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1993-01-26 第126回国会 衆議院 大蔵委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成五年一月二十二日)(金曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次のと おりである。   委員長 太田 誠一君    理事 井奥 貞雄君 理事 柳本 卓治君    理事 小野 信一君 理事 細谷 治通君    理事 日笠 勝之君       浅野 勝人君    石原 伸晃君       岩村卯一郎君    江口 一雄君       衛藤征士郎君    遠藤 武彦君       大島 理森君    河村 建夫君       小林 興起君    左藤  恵君       関谷 勝嗣君    田中 秀征君       戸塚 進也君    中村正三郎君       福田 康夫君    藤井 裕久君       前田  正君    山下 元利君       渡辺 秀央君    伊藤  茂君       池田 元久君    上田 卓三君       佐藤 恒晴君    沢田  広君       仙谷 由人君    戸田 菊雄君       中沢 健次君    中村 正男君       早川  勝君    渡辺 嘉藏君       井上 義久君    河上 覃雄君       正森 成二君    中井  洽君     ————————————— 一月二十二日  太田誠一委員長辞任につき、その補欠として  藤井裕久君が議院において、委員長に選任され  た。 ————————————————————— 平成五年一月二十六日(火曜日)     午後四時五十五分開議 出席委員   委員長 藤井 裕久君    理事 井奥 貞雄君 理事 石原 伸晃君    理事 田中 秀征君 理事 前田  正君    理事 柳本 卓治君 理事 仙谷 由人君    理事 渡辺 嘉藏君 理事 日笠 勝之君       浅野 勝人君    江口 一雄君       衛藤征士郎君    大島 理森君       岡島 正之君    河村 建夫君       戸塚 進也君    中村正三郎君       福田 康夫君    光武  顕君       村井  仁君    山下 元利君       渡辺 秀央君    伊藤  茂君       池田 元久君    上田 卓三君       小野 信一君    佐藤 恒晴君       沢田  広君    戸田 菊雄君       中沢 健次君    中村 正男君       早川  勝君    細谷 治通君       井上 義久君    河上 覃雄君       正森 成二君    中井  洽君  出席国務大臣        大 蔵 大 臣  林  義郎君  出席政府委員        大蔵政務次官   村上誠一郎君        大蔵政務次官   片山虎之助君        大蔵大臣官房総  日高 壮平君        務審議官        大蔵省主計局次  涌井 洋治君        長        大蔵省主税局長  濱本 英輔君        大蔵省理財局長  藤井  威君        大蔵省証券局長  小川  是君        大蔵省銀行局長  寺村 信行君        国税庁課税部長  松川 隆志君        国税庁調査査察  野村 興児君        部長  委員外出席者        参  考  人  福井 俊彦君        (日本銀行理事)        大蔵委員会調査  中川 浩扶君        室長     ————————————— 委員異動 一月二十二日  辞任             補欠選任   太田 誠一君        村井  仁君 同月二十六日  辞任             補欠選任   左藤  恵君        岡島 正之君   関谷 勝嗣君        光武  顕君 同日  辞任             補欠選任   岡島 正之君        左藤  恵君 同日  理事村上誠一郎君及び持永和見平成四年十二  月二十六日委員辞任につき、その補欠として前  田正君及び田中秀征君が理事に当選した。 同日  理事中川昭一君同月二十一日委員辞任につき、  その補欠として石原伸晃君が理事に当選した。 同日  理事小野信一君及び細谷治通君同日理事辞任に  つき、その補欠として渡辺嘉藏君及び仙谷由人  君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  国の会計税制及び金融に関する件(財政金融  の基本施策)      ————◇—————
  2. 藤井裕久

    藤井委員長 これより会議を開きます。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  このたび、皆様の御推挙によりまして大蔵委員長重責を担うことになりました。甚だ微力ではございますが、委員各位の御鞭撻、御協力をいただき、公正かつ円満な委員会運営を図り、その職員を全うしてまいりたいと存じます。  何とぞよろしくお願いをいたします。(拍手)      ————◇—————
  3. 藤井裕久

    藤井委員長 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事小野信一君及び理事細谷治通君より、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤井裕久

    藤井委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。一ただいまの理事辞任による欠員二名のほか、委員異動に伴う欠員三名、計五名の理事欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 藤井裕久

    藤井委員長 御異議なしと認めます。よって       石原 伸晃君    田中 秀征君       前田  正君    仙谷 由人君    及び 渡辺 嘉藏君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  6. 藤井裕久

    藤井委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国の会計に関する事項  税制に関する事項  関税に関する事項  金融に関する事項  証券取引に関する事項  外国為替に関する事項  国有財産に関する事項  専売事業に関する事項  印刷事業に関する事項  造幣事業に関する事項の各事項につきまして、今会期中国政に関する調査を行うため、議長に対し、国政調査承認要求を行うこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 藤井裕久

    藤井委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。      ————◇—————
  8. 藤井裕久

    藤井委員長 この際、林大蔵大臣並びに村上大蔵政務次官及び片山大蔵政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。林大蔵大臣
  9. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 先般、大蔵大臣を拝命いたしました林義郎でございます。  内外に数多くの重要課題が山積みしている中で、財政金融政策運営の任に当たることになり、その責務の重大さを痛感いたしております。  今後とも、政策運営に遺漏なきよう全力を尽くしてまいる所存でありますので、よろしく御指導お願いいたします。(拍手
  10. 藤井裕久

  11. 村上誠一郎

    村上(誠)政府委員 先般、図らずも大蔵政務次官を拝命いたしました村上誠一郎であります。  厳しい経済財政事情の折から、その職員の重大さを痛感いたし、誠心誠意努力する次第でございますので、今後とも諸先生方の御指導、御鞭撻をよろしくお願いします。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)      ————◇—————
  12. 藤井裕久

  13. 片山虎之助

    片山政府委員 先般、大蔵政務次官を拝命いたしました参議院の片山虎之助でございます。  未熟非才でございますけれども、職員の重大さを十分認識いたしまして、一生懸命やらせていただこう、こう思っております。どうか委員会の諸先生の御指導、御叱正をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手
  14. 藤井裕久

    藤井委員長 次に、国の会計税制及び金融に関する件について調査を進めます。  財政金融基本施策について、大蔵大臣所信を聴取いたします。林大蔵大臣
  15. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 今後における財政金融政策基本的な考え方につきましては、先般の財政演説におきまして所信を申し述べたところでありますが、本委員会において重ねて所信一端を申し述べ、委員各位の御理解と御協力お願いいたします。  まず、最近の内外経済情勢について申し上げます。  我が国経済は、現在調整過程にあります。他方で、住宅投資回復動きが見られ、公共投資は拡大しております。政府は昨年夏に、過去最大規模総合経済対策を策定し、その着実な実施に努めておりますが、平成五年度予算についても、近年になく厳しい財政事情のもとではありますが、景気には十分配慮いたしました。こうした政策努力が、今後我が国経済内需中心の持続的な成長に大きく寄与するものと確信しております。  国際経済情勢を見ますと、世界経済は総じて緩やかな回復基調にあるものの、回復の足取りは国によりばらつきが見られ、その活性化が大きな課題となっております。また、ECでは統合に向けた動きが進展し、旧ソ連や中・東欧諸国では、市場経済への移行努力が続けられるなど世界情勢には大きな変化も見られます。  私は、今後の財政金融政策運営に当たり、このような最近の内外経済情勢を踏まえ、以下に申し述べる諸課題全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。  第一の課題は、内需中心とした持続可能な成長実現することであります。このような観点から、景気に十分配慮した施策実施することとしております。  平成五年度予算編成に当たりましては、こうした見地から、公共事業関係費について最近では実質上最も大きな伸び確保するとともに、財政投融資計画地方財政計画における地方単独事業についても近年最大伸び確保するなど、国、地方を通じ全体として十分な額の公共投資確保することとしております。この結果、今後とも公共投資の切れ目のない執行が可能となり、平成五年度の政府経済見通しにおける政府投資額は九・五%増と高い伸び増加する見込みであります。  また、住宅の質の向上により生活大国実現に資するとともに、経済に対する波及効果の大きい住宅投資を促進する観点から、住宅対策充実を図ることとしております。  一方、金融面では、五次にわたる公定歩合引き下げ効果などにより、市場金利は低下を続け、これを受けて金融機関貸出金利も低下してきております。政府としては、こうした政策効果がなお一層浸透していくことを期待しております。  また、今後とも、主要国との政策協調及び為替市場における協力を通じ、為替相場の安定を図ってまいりたいと考えております。  第二の課題は、財政改革を引き続き強力に推進することであります。  顧みれば、我が国財政は、昭和五十年度以降、特例公債発行を余儀なくされ、その結果、巨額公債残高を抱え、財政構造硬直化が進行しました。政府としては財政対応力回復のために懸命な努力を払い、平成二年度においてようやく、十五年間の長きにわたって続いた特例公債発行が回避されました。このような経験から見ても、一たび特例公債発行すれば、財政赤字体質が慢性化し、特例公債依存から脱却することが極めて困難となるのは明らかであります。  平成五年度予算においては、税収が前年度当初見積もりを下回るという、昭和五十八年度予算以来の厳しい歳入状況に直面しております。このような状況のもとで、制度歳出の徹底した見直し合理化に積極的に取り組むことなどにより、特例公債発行を回避いたしましたが、他方景気の動向などにかんがみ公共事業などを着実に推進していくため、建設公債発行額増加させることとしました。その結果、我が国財政は、公債残高平成五年度末には約百八十二兆円にも達する見込みであり、巨額国債費政策的経費を圧迫するなど、依然として構造的な厳しさが続いております。  財政改革の目的は、本格的な高齢化社会が到来する二十一世紀を間近に控え、一日も早く財政が本来の対応力回復することにより、今後の財政に対する内外の諸要請に適切に対応し、豊かで活力ある経済社会建設を進めていくことにあります。  したがって、今後の財政運営基本的方向としては、後世代に多大の負担を残さず、再び特例公債発行しないことを基本とし、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくことが重要であります。財政の規律を重んずるという考え方は、国際的にも共通の認識となっているところであり、私は今後ともこのような基本的方向に沿って、財政改革を引き続き強力に推進していく覚悟であります。  第三の課題は、調和ある対外経済関係の形成と世界経済発展への貢献に努めることであります。  保護主義的な動きを回避し、多角的自由貿易体制を維持強化することは、世界各国経済発展国民生活向上の基礎であります。このような観点から、ウルグアイ・ラウンドにつきましては、我が国を含め各国が有する困難な問題について適切な解決を図りつつ、成功裏に終結するよう努力することが重要であると考えております。  関税制度につきましては、市場アクセスの一層の改善を図るなどの見地から、重油の関税割り当て制度の廃止などの関税改正を行うこととしております。  経済協力につきましては、開発途上国自助努力を支援するため、昨年六月に策定された政府開発援助大綱のもとで、政府開発援助充実に努めているところであります。  また、累積債務問題につきましても、その解決世界経済の安定と成長を図る上で重要な課題の一つと位置づけ、引き続きその解決努力していく考えであります。  旧ソ連地域に対する支援につきましては、これらの国々が新しい体制のもとで、市場経済への移行や種々や改革を円滑に進められるよう、他の主要先進国とも協調しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。  第四の課題は、金融システム安定性確保及び証券市場活性化を図るとともに、金融資本市場自由化国際化を着実に進展させることであります。  金融システム安定性確保につきましては、金融機関自助努力基本としつつ、政府としても金融システムに対する国民の信頼が損なわれないよう最大限の努力を払っていくことが重要であり、このような考え方に立って各種の措置を講じてまいりました。  まず金融機関不良資産の問題につきましては、その処理方針早期に確定し、計画的、段階的な処理を図っていくことにより、金融システムヘ不安感を払拭することが重要であります。この観点から、個別問題の早期処理が進められている一方、民間金融機関により共国債権買取機構が設立されることとなるなど、必要な環境整備に努めております。また、各銀行によるいわゆる不良資産のディスクロージャーが本年三月期より行われる予定であります。さらに、経済活動に必要な資金の円滑な供給が阻害されることのないよう、新たな自己資本充実策を着実に実施するなど、金融機関融資対応力確保を図っているところであります。  証券市場活性化等のための施策につきましては、安定的で活力ある市場の確立に向けて、公的資金簡易保険福祉事業団等を通じるいわゆる指定単への運用に関し、株式組み入れ比率を制限しない指定単平成五年度においても設けるほか株式累積投資制度の創設、従業員持ち株制度運用弾力化先物取引改善基本的方向についての取りまとめ等措置を講じております。  金融資本市場自由化国際化は、国民の幅広いニーズにこたえるとともに、我が国経済発展にも寄与するものであります。また、近年、市場の一体化が世界的に進展する中で、世界主要市場の一員としての我が国に対する期待は増大しており、その期待にこたえる上でも大きな意義を有するものと考えます。  このような観点から、まず預金金利自由化につきましては、定期預金金利自由化を本年六月を目途に完了し、また平成六年中には流動性預金金利完全自由化を図るべく努力してまいる所存であります。  また、金融制度改革は、有効かつ適正な競争を促進することにより金融制度効率化及び市場の健全な発展を図るという重要な意義を有しており、政府としても着実かつ円滑に実施していくこととしております。昨年十二月には、金融機関及び証券会社相互参入の推進、諸規制、諸慣行の見直しなどについての制度改革実施のための具体的事項を決定したところであり、今後は、本年四月ごろを目途金融制度改革法を施行すべく所要の準備を進めてまいりたいと思います。  次に、平成五年度予算の大要について御説明いたします。  まず、歳出面につきましては、特例公債発行を厳に回避するため、制度歳出の徹底した見直し合理化に積極的に取り組むとともに、景気生活大国づくりに十分配慮するなど社会経済情勢の推移に即応した財政需要に対しては、財源の重点的、効率的配分を行うこととして編成いたしました。  その結果、一般歳出規模は、三十九兆九千百六十八億円となっており、これに地方交付税交付金国債費等を加えた一般会計予算規模は、七十二兆三千五百四十八億円となっております。  次に、歳入面について申し述べます。  税制面では、現下の厳しい財政状況及び最近の社会経済情勢変化に顧み、課税の適正公平を確保する観点から、租税特別措置整理合理化を行うほか、農林業対策等のための措置、第十一次道路整備五カ年計画に必要な財源確保等のための措置など、当面早急に実施すべき措置を講ずることとしております。  公債発行予定額は八兆一千三百億円としております。なお、借換債を含めた公債の総発行予定額は、二十九兆九千三百二十三億円となっております。  財政投融資計画につきましては、景気に十分配慮するとともに、生活大国実現に資するため、財政投融資の積極的な活用を図るとの考え方に立ち、社会資本整備住宅対策環境対策等に対し、資金の重点的、効率的な配分に努めたところであります。  この結果、財政投融資計画規模は四十五兆七千七百六億円、前年度当初計画に対し一二・二%の増加となっており、また、資金運用事業を除いた一般財投規模は三十六兆五千九百五十六億円、一三・四%の増加となっております。  以上、財政金融政策に関する私の所信一端を申し述べました。  既に本国会に提出したものを含め、御審議お願いすることを予定しております大蔵省関係法律案は、平成五年度予算に関連するもの五件、その他一件であります。今後、提出法律案の内容について、逐次、御説明することとなりますが、何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  16. 藤井裕久

    藤井委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各件調査のため、本日、参考人として日本銀行理事福井俊彦君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 藤井裕久

    藤井委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————
  18. 藤井裕久

    藤井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細谷治通君。
  19. 細谷治通

    細谷委員 まず、林大蔵大臣大蔵大臣御就任を心からお祝いを申し上げたいと思います。  今も大臣自身述べられましたように、極めて厳しい経済財政状況でございます。そういう中で重責を担われるわけでございます。どうぞ時宜にかなった、的確な判断で財政運営に当たっていただきたいと心から願う次第でございます。  大変短い時間でございますけれども、大臣所信表明に対しまして、若干の総括的な御質問を申し上げたいと思います。本日言い足りない分につきましては、後刻大蔵委員会でさらに具体的にお伺いをしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。  まず冒頭、林大蔵大臣は、宮澤さんは積極財政論者と世上言われておりますけれども、そういう範疇で申し上げれば、大蔵大臣積極財政論者か、それとも堅実型なのか、みずからの財政運営に対するスタンス、認識といいましょうか、そういうものについてお伺いをしたいと思います。
  20. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 細谷さん、お父さんの時代から大変に御厄介になっていますことを、この機会をかりまして、お礼を申し上げておきたいと思います。  今、私は積極論者堅実論者かというお話でありましたが、どちらということでもございません。私はやはり中正な形で財政運営をやっていかなければならない。大変難しいときでありますから、それがいかにしたら最適のものができるかということを念じて、これからの運営をやらせていただ きたい、こういうふうに考えているということでございます。
  21. 細谷治通

    細谷委員 中立公正ということでありますけれども、財政運営財政出動というものが後手後手に回らないようにくれぐれも気を配った運営方お願いを申し上げたいと思います。  早速でございますけれども、バブル経済崩壊後の平成不況というのはいろいろ言われております。複合不況だとか、政策不況だとか、心理不況だとか言われておるわけであります。いずれにいたしましても、現在の日本経済の低迷というものは相当厳しいものがあると思っております。年末年始、地元の事業経営者のところを回ってまいりました。大変悲痛な経営悪化の叫びを聞いてまいりました。実感として、肌で感じておるわけでございます。  いずれにいたしましても、景気は単に循環的な調整段階にとどまらず、構造的な要因が深く介在しておりまして、構造不況と言っていいのじゃないかと思いますけれども、極めて深刻な状況下にあると認識しておるところでございます。  ある著名な経済評論家の診断によりますれば、日本経済は重度の成人病にかかっているという表現をしております。企業がそろって大減益に見舞われているというのも、一九八〇年代に日本企業成人病にかかったからだ、すなわち、企業がぜい肉をつけ、コスト高経営になってしまったからだという指摘がされておりまして、この際企業は徹底したダイエットを行って、事業リストラ、再構築が不可避であるというふうに言われております。その意味において、水膨れ体質の解消がこれからの企業戦略として重要であろうという指摘であります。こういうことでありますから、少々の減税や公定歩合引き下げをしても大きな景気好転期待は持てないのじゃないかと言っております。私はそれなりに思い切った政策をとればそう批判したものではないと思いますけれども、そういう指摘がなされております。いずれにいたしましても、日本企業リストラを断行して成人病を克服し得るシナリオが実行されない限り景気の明るさは見えてこないだろう、こういう指摘でございます。  それに、これは私の考えでありますけれども、今回の不況には金融システムの動揺、不安定化という戦後初めて我々が経験するそうした事態が複合不況に一層拍車をかけている、複雑にしていると言わなければならないと思うわけであります。そういう観点に立って考えますと、経済実態に対する政府認識以上に実態は深刻である、かって経験したことのない経済不況ではないかという認識を持たざるを得ないと思っております。  そこで、政府景況感でありますけれども、経済はなお調整局面にあるけれども、在庫調整が進んでいるのでことし前半には回復基調になるのではないか、そういう見方もされているようであります。私は、少し甘いのではないか、楽観的過ぎるのではないかと考えております。  そこで、まず本年度、九二年度の政府経済見通し、一・六%ということになっておりますけれども、これは一・六%の達成すら困難ではないかという見方もあろうかと思います。これについて、達成は可能と考えているのかどうか、その辺のお見通しについて、それからあわせて平成五年度の経済見通し政府内でもいろいろ議論があるようでありますけれども、実質三・三%の達成を可能にするため、その自信といいましょうか根拠というのは何なのかということ。なるほど政府投資というのは確保されましょうけれども、GNPの八割を占めると言われる民間の支出、すなわち個人消費や設備投資の回復が何といってもかぎになるわけであります。そういうマイナス要因が重なっているわけであります。この辺を含めて経済の見通しについて、政府の、大蔵大臣としてのお考えをお尋ねしたいと思います。
  22. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 今、細谷さんからお話がございましたように、今回のこの不況は並み大抵のものではないという認識は私も持っております。いろいろな形での数字が出ておりますし、いろいろな言葉遣いがありますが、大変な問題である。いわゆる景気循環的なものというような話だけでなくて、やはり金融の構造問題もあります。今までかつて余り経験したことのないような諸問題があっておりますから、複合不況というお話がありました。また、成人病というようなお話もありましたが、それも当たっているかもしれませんが、一つには複雑骨折みたいな話のところもある。いろいろなことを解決をしていかなければならない状況ではないかな、こう私は思っておるところであります。  しかし、そういったことを考えまして、昨年の八月に総合経済対策を策定いたしましたし、また、暮れには補正予算を通していただきましてその骨格ができたし、今予算案を提出しておりますから、そういったことをやっていくならば、私は相当なところに持っていけるんじゃないか。景気も悪い悪いということも、全部悪くてどこまでも下向いているということじゃありません。上向いているようなところも相当あります。例えば住宅投資であるとか、あるいは公共事業の関係もいろんな仕事も出てきていることも事実でありますから、そういったような中でどうしていくかということを考えていくことだろう、こう思っています。  と同時に、これからの経済、やはり安定成長の課程に持っていかなくちゃなりませんが、その安定成長に持っていくというのは一体どういうことであろうか。かつてのバブル時代みたいなものをまたつくっても私はいかぬのだろうと思いますから、そういったことについても配慮しながらこれからの景気回復について努力をしていくべきものじゃないかなと思っております。  それから、今、政府の見通しの問題で、今年一・六%でもできないのではないかとか、五年度の問題について三・三%というような話がどうだというような話がありました。この辺は数字の問題になりますから、政府委員をして答弁をさせたいと思います。
  23. 日高壮平

    ○日高政府委員 ただいま大臣から御答弁がございましたように、本年度、平成四年度の経済見通しの実績見通しというものを先般決定をさせていただきました。当初見通しては実質成長率三・五ということでございましたけれども、御承知のとおり一・六というふうに下方修正をさせていただいております。  これは、御指摘がございましたように、主として今回の景気後退局面におけるいろいろな形でのいわばマイナス効果といったものが、特に大きく個人消費なりあるいは民間の設備投資に反映されているということで一・六%の成長に下方修正をさせていただいたわけでございますけれども、政府としては、御承知のように昨年の八月のいわゆる過去最大規模総合経済対策、これは従来型の公共投資中心としたものだけではなしに、今先生が御指摘になりました金融システム不安感の解消のための各種の施策とあわせていろいろ措置を講じているということでございます。  今、大臣が申し上げましたように、その後、補正予算を通していただき、あるいは景気に十分配慮いたしました五年度の当初予算についても現在提案をさせていただいている、そういう状況にございます。また、五次にわたる公定歩合引き下げ日本銀行において決定をされているということで、そうした効果をいろいろ考えてまいりますと、四年度の実績見込み一・六%の成長は十分達成可能だろうというふうに考えているわけでございます。  それから、五年度の三・三%の見通しの問題でございますけれども、これはただいまいろいろ申し上げました昨年八月の総合経済対策以降に各種とられました財政金融上の措置、及び特に本年以降は補正予算によって実施が可能となりました公共投資の拡充という効果がよく出てまいるというふうに期待できるわけでございますし、いずれ予算を通していただけるということで考えれば、切れ目のない公共投資確保というものが期待できるというふうに考えております。  今、先生おっしゃられましたように、GNPの 大宗を占める個人消費なり設備投資というものは、私どもとしては既に下げどまり傾向があるとは思いますけれども、当面それが景気をぐいぐいと引っ張っていく状況にないことは私どもも十分承知をいたしておりますが、今そうした消費なりあるいは設備投資がやや横ばい状態であるという状況のもとで、当面、今申し上げた公共投資政府投資の拡充と、明るい指標としていろいろ言われておりますが、住宅投資、そういったものが景気を支えてなだらかな回復に向かっていく、その過程において今申し上げたような各種措置効果というものが勘案されてまいりますと、最終的に三・三%の成長は十分達成可能であろうというふうに考えているわけでございます。
  24. 細谷治通

    細谷委員 時間がありませんから二つの点だけ確認をしておきたいと思います。  一つは、きょうの本会議での総理答弁にもありましたけれども、政府としては、経済の動向については注意深く見守って、必要があれば機動的対応をとるという総理の発言がありました。こういうことで大蔵大臣よろしゅうございますか。これが一点。  それからもう一つは、平成四年度の、歳入委員会でございますから、歳入状況ということに対しては我々は大変関心を持っているわけでありまして、平成四年度の税収見通しというものは達成可能であるというふうに確認していいかどうか。その二つの点、確認で結構でございます。
  25. 日高壮平

    ○日高政府委員 前段の御質問についてお答えさせていただきます。  総理の本会議における御趣旨は、政府は今後とも経済情勢変化に細心の注意を払い、一日も早く景気回復が実感できるよう機動的な対応を怠らないようにいたします、まずは景気の足取りを確実なものとするためにも平成五年度予算の速やかな成立を切望いたしております、そういう趣旨の御答弁だったというふうに伺っております。そういう意味で、私どもも同じ対応をさせていただくということでございます。
  26. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 平成四年度の税収見通してございますけれども、過般、補正予算に計上させていただきました補正後の税収額、これはその間近な時点までの課税実績でございますとかいろいろな業績見込み等から積み上げました見通してございまして、現段階におきまして私どもは適正なものと考えております。
  27. 細谷治通

    細谷委員 次は、当面の金融政策についてお尋ねをしたいと思います。  きょうは日銀の福井理事、わざわざお見えいただきまして御苦労さまでございます。ありがとうございました。  景気刺激策として、財政の支出はもちろんでありますけれども、金融政策の動向について株式市場資本市場とも関心を持っている、もちろん産業界もそうでございますけれども、大変関心を持っていることだと思います。過日、一月二十三日の日本経済新聞に「公定歩合、来月にかけ下げ」という一面トップの記事が出ておりました。きょうもある中央紙にも出ておりましたけれども、この記事についての御感想をお伺いしたいと思います。
  28. 福井俊彦

    福井参考人 お答えを申し上げます。  新聞記事は私どもも拝読いたしておりますけれども、新聞記事につきまして具体的に私どもの立場からコメントを申し上げるということはなかなか難しゅうございます。ただ、私ども日本銀行におきましては、昨日来支店長会議を開催いたしておりまして、その席上出されております報告を聞いておりましても、現在ただいま日本銀行全体として持っております情勢判断と平仄の合う話が非常にたくさん出ているということでございます。  それを一言で申し上げますれば、我が国経済は、現在ただいまの時点におきましては引き続き厳しい調整局面を経過中であるということに尽きると思います。公共投資の増勢とか住宅投資回復とか上向きの動きもございますけれども、やはり製造業を中心に設備投資の減少が続いている、あるいは個人消費の足取りも一段と鈍化しているといった点が強い力となって今作動しておりまして、最終需要全体としては停滞色の強い状況にあるということでございます。  ただ、そうした生産あるいは設備の抑制という形で経済全般の調整が進む中におきまして、いわゆるストックの調整、これはかなり進捗しつつあることは事実でございまして、別の言い方をいたしますれば、景気回復への基盤が少しずつ整備されつつあるというふうにも考えられるわけでございます。そうした状況のもとで、総合経済対策など財政面からの刺激度合いはこれから強まってくる段階だということのようでございますし、私どもの金融政策の面から申し上げますれば、過去五回にわたる公定歩合引き下げ効果が累積的に強まってきている。委員御承知のとおり、本日も一部の長期信用銀行が長期貸し出しのプライムレートを来月冒頭からさらに〇・三%ポイント引き下げるということを発表いたしまして、そういう形で金融緩和の累積的効果がさらに強まって出てくる段階にございます。  そういった点を考慮いたしますと、私どもの現下の情勢判断といたしましては、懸案の在庫調整につきましてもそう遠からず完了して景気は緩やかながら回復に向かっていく、そういう筋道は引き続き失われていないというふうに判断しているわけでございます。もちろん、経済は生き物でございますので、今後とも日本銀行として情勢の展開を注意深くかつ慎重に見守っていきたい、これが現下の私どもの金融政策基本姿勢でございます。
  29. 細谷治通

    細谷委員 過去五回の公定歩合引き下げの累積効果がこれからあらわれてくるから心配ないんだという話をされておるようでありますけれども、今回の不況はまさに政策不況と言われて、財政はもちろんでありますけれども、金融政策の面でも機動的対応がなされなかった、後手後手に終始したそのためだという強い批判がなされているということは御承知だと思うわけでありまして、私は、現下の経済情勢考えれば、公定歩合引き下げというのは一日も早く実施されるのが望ましいのではないかというふうに考えておるわけであります。そういう意味において、多少日銀と、金融当局の見解と違うと思いますけれども、私はそういうふうに判断しているということをまず申し上げたいと思います。  そこで、金融政策の当事者としての日銀の景況判断は今伺いましたけれども、いずれにしても厳しい面であるということはお認めいただいたわけであります。公定歩合引き下げを判断する際に最も重視する要因は、もちろん景気の動向ということだと思います。しかし、物価の番人としての日銀としては、物価水準の動きに最も敏感でなければならないというのは当然だと思うわけであります。  そこで、最近の物価動向が一体どうなっているのか、卸売物価の水準はどうなっているのか、CPIの水準はどうなっているのか八七年二月時点で、過去最低の公定歩合の水準と言われました二・五%を判断したあの時点の、八七年時点の物価水準の動向と比較して一体どういう状況になっていると認識されているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  30. 福井俊彦

    福井参考人 お答えを申し上げます。  まず八七年二月の時点での物価でございますけれども、国内の卸売物価は、あの当時は前年比でマイナス五・八%と非常に物価が低い水準にございました。それから消費者物価の方も、これは非常に振れの大きい生鮮食品を除きました消費者物価、いわゆるコアの消費者物価で見まして、同じく前年比でマイナス〇・一%と水面下の物価水準でございました。これに対しまして現在ただいまはどうかということでありますが、一番新しい物価指標は昨年十二月、国内の卸売物価指数が前年比マイナス一%でございます。八七年二月のマイナス五・八に相当するのがマイナス一・〇でございます。それから消費者物価も、十二月の数字を見ようといたしますとまだ全国の数字が出ておりませんで、便宜上東京だけの数字で御報告申し上 げますれば、生鮮食品を除くベースでプラスの一・九%ということでございます。八七年二月のマイナス〇・一に対応する数字がプラスの一・九ということでございます。  こういうふうに計数を単純比較いたしますれば、八七年二月の時点の方がはるかに卸売物価、消費者物価とも下落幅が大きかったあるいは上昇幅が小さかったということになりますが、委員つとに御承知のとおり、あの当時は、それに先立つ一年余りにわたりまして相当急速な円高が進行して、それが物価指数に強い影響を与えていたということでございます。今回はそうしたファクターが比較的少ないわけでございますので、その点を留意いたしますれば、今回も物価の安定基調はかなりしっかりしているというふうに思います。唯一民間のサービス価格について弾力性が必ずしも十分でないなという感触は私どもも持っておりますが、全体としての物価の安定基調は現在も比較的しっかりしているというふうに認識しております。
  31. 細谷治通

    細谷委員 当時、八七年二月時点は特殊な要素があった、そういうことを差し引いて見れば、何といいましょうか、現在は安定的であるという御判断のようであります。これは私の勝手な解釈でありますけれども、利下げの環境というものは、ある意味では物価の面から見れば整っているのではないかというふうに思うわけであります。したがって、公定歩合引き下げについても金融当局として十分視野に入っているというふうに私は判断をいたしたいと思います。  さて、仮定の話でまことに恐縮でありますけれども、質問を続けさせていただきますと、仮に公定歩合を下げましても、金融機関救済の利下げでは意味がないわけであります。金融機関による貸出金利も見合って当然引き下げられなければ有効ではないということだと思います。九一年七月以降五回の公定歩合引き下げにつきましては、巷間金融機関救済の利下げとの批判も聞かれるのであります。事実、最近の金融機関の決算状況を見ますと大幅な業務純益が出ております。これは単なる利下げのタイムラグだけの問題ではなくて、貸出金利の下げ渋りもあるのではないか、このことが結果として金融機関が抱えております不良債権処理や株価下落の含み損に対する償却の原資となっているという指摘も、見方も実はあるわけであります。  そういう意味において、経済の言ってみれば真の意味の活性化のための、経済全体の活性化のための有効な利下げになっていないというふうに言われているわけであります。こうしたことに対しまして日銀として、金融機関に対する貸出金利引き下げ等に対する指導というものを一体どういうふうにやってこられたのか、これに対する御批判に対して見解を承りたいと思います。
  32. 福井俊彦

    福井参考人 お答えを申し上げます。  若干繰り返しになりますが、私どもは現在情勢の推移を引き続き冷静に見守る、そして政策効果の浸透をさらに分析し続ける、こういうことでございまして、予断を持って臨んでいる段階ではございません。したがいまして、そういうことを前提にいたしまして、主としてこれまでの利下げの過程で金利の低下ということが御指摘のような問題を含んでいるかどうかという点を中心にお答えをさせていただきたいと思います。  金融機関貸出金利は、日本銀行の緩和政策に伴って当然順調に下がらなければならないというふうに私どもも思っております。ただ、個々の企業に対して適用される個々の貸出金利につきましては、やはりこれはなかなか個別の指導といったことにはなじみにくい面があることは御理解いただけると思います。やはり基本的には資金の需給関係などを反映いたしまして、広い意味でマーケットの中で決まっていく筋合いのものでございます。ただ、今申し上げましたとおり、全体としてのと申しますか、マクロの金融政策をお預かりしております私どもの立場から見ましても、それら個々の貸出金利を全部集合いたしました全体としての貸出金利が、そのときどきの経済情勢とか私どもの政策スタンスにふさわしいものにきちんとセットされていく、つまり全体として順調に下がっていくということは非常に大事なことでありまして、その点、常日ごろ目を凝らして点検してきているというところでございます。  そういう観点から今までの金利の低下状況を振り返ってみますと、先ほど長期プライムレートのことを一言申し上げましたが、長期あるいは短期のプライムレートだけでなくて、実際に個別に適用されている銀行の約定貸出金利、これを全体の平均金利で見ましても、これまで五回の公定歩合引き下げ過程について申し上げれば、通計の公定歩合引き下げ幅を上回る、そして過去の緩和局面と比べましても順調と言える低下を示してきているのが実情でございます。これは、金利自由化の進展あるいは市場の拡充に伴いまして、今回の金融緩和は市場金利を活用しながら金利の低下を図ってきているということによってそういう金利低下にアクセントがついてきているというのが実情でございます。したがいまして、こうした貸出金利全体の動きから見ます限り、必ずしも御指摘のように金利の低下が政策意図に反して鈍いということにはなっていないわけでございます。  しかし、今現在金融機関は過去の融資姿勢の行き過ぎからいろいろな問題を抱えておりまして、今後にそうした問題を大きく持ち越さないために、融資姿勢の健全化、リスク管理面での姿勢の強化というふうなことでスタンスの立て直しを行っている過程でございます。そういう意味では、あるいは個々の企業にとっては、従来の緩和期に比べて金融機関の態度が比較的慎重ではないかという受けとめ方がされている面があることは事実でございます。私どもとしては、貸出金利全体の動き金融政策基本的な姿勢と平仄の合うような姿にきちんとおさまっていくよう、個々の金融機関の行動につきましても、あくまで正常化の範囲内で姿勢の是正が行われること、そして行き過ぎがないかという点については今後とも注意深く見守っていきたいということでございます。
  33. 細谷治通

    細谷委員 公定歩合引き下げの問題については判断は極めて微妙なようであるということもよくわかりました。ただ、仮定の話で恐縮でありますけれども、そういう指摘があるわけでありますから、もし仮に公定歩合引き下げるということになれば、それが十分経済に対して実効性を担保できるようにぜひ大蔵当局を含めて御指導を賜りたいというふうに思います。と同時に、仮に引き下げということになれば、また史上最低水準に近づくわけでありましょうけれども、これがまた前回の轍を踏まないように、長期間にわたって放置した結果がバブルの生成ということになったわけでありますので、超低金利を実行する場合には厳しい監視をして、経済のインフレ化を招かないような配慮が必要であろうということを念のために申し上げておきたいと思います。  それから次は、時間がございませんので少しはしょって申し上げますけれども、所得税減税の実施財源問題について申し上げたいと思います。  最近では、もう景気刺激策という面で所得税減税の大合唱でございます。各野党はもちろん、財界、労働界、学者、評論家も異口同音に所得税減税の必要性をうたっています。与党の幹事長でさえも、国会対策のリップサービスかもしれませんけれども、戻し減税を示唆しているのです。与党内でも既に暗黙の合意すらできているということであります。従来慎重派で、どちらかといえば大蔵省の味方でもあった経団連の会長とか、それから税調の委員の学者先生なんかも、やるなら戻し減税だという発言もされているようであります。宮澤総理も、総選挙対策かどうかわかりませんけれども、赤字国債による本格的な所得税減税をひそかにお考えになっているというふうに伺うわけでございます。  また、最近は野党でも、我が党の赤松新書記長も赤字国債発行の、従来の不発行、赤字国債を出さないという党の方針と多少違って、財源対策として所得税減税をやるために赤字国債を容認してもやむを得ないのじゃないかという張り切り発言 も実は出ております。そういう状況でございまして、大蔵省はひとり壮絶で悲壮な決意のようでありますけれども、今や四面楚歌、包囲網ができ上がっていると言っていいのじゃないかと思います。しかも、ぐずぐず渋っておる間に、昨年来の二兆円規模というのが四兆円、五兆円、いや五兆円、六兆円というふうにだんだん膨らんできてしまっているようであります。  そこで、私は提案したいのは、大蔵省もこの際この大合唱に乗じて、逆手にとるということはおかしいわけでありますけれども、方針転換をされたらどうかということを提言を申し上げたいと思います。  我が党の新書記長の発言の中に、この大部分の財源は単なる借金ではなく、償還をどの時期に、どういう形で返済していくか手法を考えて、禍根を残さないようにしなければならないとまで言っておるわけでございます。野党第一党の新書記長の発言というのは私は重いのじゃないかと思います。償還の時期を決め、手法を考え、禍根を残さず、しかも四兆円、五兆円の赤字国債の発行を許すというのでありますから、これは当然財源対策というものがその裏づけとしてはあると私は考えます。四、五兆円の財源捻出ということになれば、二兆円規模ぐらいならばいざ知らず、直間比率の見直しを含めた税制の抜本改正なしには四、五兆円の財源というのは出てこないのじゃないかと私は思うのです。財政を少し知る人なら、ある意味では明白なことだと私は思います。こういうことがもし各野党とも担保されるということであるならば、大蔵省として政策転換をすることにやぶさかであってはならないのじゃないかと思いますけれども、こうした一連の動きについて大蔵大臣はどういうふうなお感じを持っておられますか、お答えいただきたいと思います。
  34. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 新聞やその他で拝見しておりますと、今細谷さんのお話のようなことも当たっているのだろうと私も思います。ただ私は、財政を預かっているというか、私が一番責任を持ってやらなければならないのは、経済を安定的成長のもとへ向ける、こういうことだと思うのです。そのためにどんなことをやれるかというのは、やはり筋道を通してやらなくちゃいかぬので、新聞が言われたからとか、どこで言われたからということではなくて、それはお互い筋道を通してやらなければならない話だと思うのです。特に当大蔵委員会は権威のある歳入委員会ですから、そこでどんなことを考えるべきだというようなことは十分に御議論をいただきたい。  大蔵委員会ですからあえて私もいろいろなことを申し上げたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、総合経済対策でいろいろなことをやりました。また、これから平成五年度の予算公共事業中心として相当景気に配慮したところの予算を組んでおるところであります。そうした形で、私たちは今、大体うまくいくのじゃないかな。総理が言っておられますのも、いろいろなことが起きるかもしれない、経済は生き物ですから、必ずうまくいかないという話じゃない、生き物でありますからいろいろなことで問題が出てくるかもしれませんよ、こういうことで言っておられるわけでありまして、決して総理も補正予算を組めとか赤字国債を出して所得税減税をやれということは一つもこれからは言っておられないわけでありまして、私はやはりこの辺は十分慎重に考えなくちゃいけないのじゃないかなと思います。私たちの方では、所得税減税を行いましても、今の状況で申しますと貯蓄に回る可能性は非常に大きい、消費刺激策としての効果は余り期待できないのではないかということであります。  それから、戻し税減税というような話でいろいろ出ておりますが、こういったことになりましたならば、まさにこれはあるべき税制の姿を無視したようなばらまき減税という形になるわけでありまして、経済効果もまたその場限りの極めて乏しいものになるだろうと思います。さらに、今お話しのように何兆円というようなことになれば、委員指摘のようにその負担をだれがするのか、こういうことになるわけでありまして、特に私が思いますのは、現世代でうまい目を見てやるという減税という効果がある、しかしながら、そのツケは必ず後世代、次の世代にわたるわけでありますから、今の我々がうまいものを食って子や孫たちに大変苦しい思いをさせるということは、果たして責任ある態度であろうかな、こういうふうに私は思いますし、また、もしもそういった特例公債でも発行することになれば、これは歯どめがきかなくなってくるというのは、かつての特例公債発行したときのお互い持っているところの苦い経験であろうと私は思うのであります。そうした意味で私は、この問題についてはネガティブに考えているということを改めて申し上げておきたいと思います。
  35. 細谷治通

    細谷委員 所得減税の適否については見解を異にするようでありますけれども、仮にやったとした場合の方式については、私は大臣と同じ考えてあります。戻し減税じゃだめだと私は思います。小手先じゃなくて、やるとすれば本格的見直しをすべきだというふうに思うのです。戻し減税というのは税の体系ではないと思うのですね。これは言ってみれば歳出の問題ではないかと思うのであります。ばらまきという表現を使われましたが、言ってみれば、まさにそういうことだというふうに思います。しかも、これまで戻し減税は、ある意味では前年度剰余金を使うという形で、曲がりなりにも税の還付という形の性格があったわけでありますけれども、今回は全くそれがない。赤字国債を出して、そしてそれで国民におごるようなものではないかという気がするわけでありまして、やるとすれば、ぜひ本格減税でやっていただきたいというふうに私は思います。  ちょっと時間、申しわけございません。  最後に、きのうあたりの新聞、テレビの報道を見ておりますと、東京佐川、京都佐川に対しまして国税庁の調査が入ったようであります。調査の目的は必ずしもつまびらかではございませんけれども、この政治不信にかんがみ、国民は、検察には期待できない、国税庁に大変な期待をかけているというふうに私は思うわけであります。ぜひ大蔵省も大蔵大臣も、国税庁を督励して実効の上がる調査にし、国民期待にこたえていただきたいということを要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  36. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 今の国税庁の査察の話は、昨日の新聞で私も読みました。国税当局が公正な税の執行をやらなければならない、そういった形でやっているものだと私はかたく信じているところでありまして、結果をまた見たい、こういうふうに思っております。
  37. 細谷治通

    細谷委員 ありがとうございました。
  38. 藤井裕久

  39. 小野信一

    小野委員 大臣大臣就任おめでとうございます。厳しい環境のときだけに、一層の御精進を心から御祈念申し上げます。  今我が国最大課題は何かと問われるならば、私はちゅうちょすることなく、計算不能と思われるほどの国の借金である、こうお答えいたします。まさに国家的危機への秒読みが始まったのではないかとさえ感じられるほどです。また、このことは、財政破綻からの脱却の方策として大増税時代が到来し、国民負担率が上昇することを意味いたします。生活大国路線とは全く逆なコースでございます。改めて大臣の現在の財政認識をお尋ねいたします。
  40. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 小野委員指摘のように、私は財政上大変大きな難しい状況になっている、こう思っております。  今御指摘のように、この平成五年度末には百八十二兆円にも達するところの累積残高を抱えることになってくるわけでありますし、また、これを回復するためにもいろいろな財政運用におきまして難しい問題がある。平成五年度の歳入見直しにいたしましても、五十八年度以来の厳しい伸びである、こういう形でありまして、景気がよくて財政が、金が入って、租税収入があって、それで返していけるという状況ではない。しかも、その 中でいろいろな政策的な経費をやっていかなければならないということでありまして、当面の問題としても、いかにして景気をうまくやっていくか、しかも財政の秩序を保ちながらやっていくかということを一つには考えてやると同時に、将来の問題について、できるだけツケを残さないようなという考え方を持ちまして財政運営をやってまいらなければならない、こういうふうに考えておるものでございます。
  41. 小野信一

    小野委員 現在の不況からの脱出は、バブルの時代のように個人消費が伸びないためにでき上がっている、この個人消費を回復させることが必要だという意見が大変強いように感じられます。バブル時代と現在の消費性向を比較した場合には、むしろ現在の国民の消費性向の方が堅実なのではないか、好ましいのではないかと感じます。世界の資源の消費配分から見ましても、バブル時代の我が国の比率は私は異常だと思います。世界の人々から非難されるのはある意味で当然だとすら考えております。したがって、現在の個人消費の伸長、伸び期待するというのは、かってのバブル時代の個人消費に戻れということであるならば、私は大きな時代錯誤ではないか、こう認識をいたしておりますので、大臣にその辺のお考えをお尋ねいたします。
  42. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 私も小野委員と大体同じような年配でもありますし、同じような感覚を持っているということを申し上げておきたいと思います。  バブル時代の、いろいろな経済がありました。まさにバブルでありまして、泡のごとくずっと膨れ上がって、その中でいろいろなものが出てきた。非常に高級な物が売れたり、高級なゴルフ会員権がありましたり、いろいろな形のものがありました。私はそれはやはりちょっと行き過ぎではなかったのかなと思いますし、それから経済運営経済の中におきましても、あれだけの土地騰貴があったということはまさにバブルがもたらしたところの弊害だっただろう、私はこう思います。私はその他いろいろな弊害があったと思いますから、ああいった社会をつくったということはやはり反省をしていかなければならないものだろうと思います。  日本人は勤勉であるし、また非常にまじめな生活をし、そして知識水準も高いし、創造的な努力もしていく、こういうふうな国民でありますから、それが投機に走ってやっているというような話が、一部に投機はあってもそれはいいかと思いますが、この投機が全般的な話になりまして、そうしたまじめな態度というものが失われるような社会をつくったのではいかぬのであろう。私は、これがバブル経済がもたらしたところの一番大きな弊害ではないかな、こう思っていることを申し上げておきたいと思います。
  43. 小野信一

    小野委員 五十数カ月の平成景気の上昇期には当然個人消費も伸びます。したがって、設備投資額も大幅に伸びました。大量生産競争でございます。しかし、無限に個人消費が伸びるわけではございませんから、当然過剰供給になります。しかし、供給能力に需要が追いつきませんから、そこで不況が出てまいります。  この設備投資過剰からくる需給ギャップの不況は、すべて今政府政策の間違いから起こったのではないかというように感じられる論調が強うございます。私は、果たしてそこには経営者の責任というものはないのだろうか、経済界の皆さんの責任というものはないのだろうかと疑問に感ずるのであります。生産能力を上げて、つくったものが売れないのは、キャパシティー全部が売れないのは政府政策が悪いからだという意見は少し納得しかねるところがございます。大臣、遠慮のない、忌憚のない意見を聞かせていただきたいと思います。
  44. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 経済でございますから、いろいろな方がおられますし、私はそれを全部政府の責任だと言っておるのはけしからぬと言って非難をするまでのなにはありません。いろいろな方がおられるわけですから、それはそれでやってきた。しかし、経済全体の運営の問題として考えるならば、やはりいろんな点で行き過ぎがあったんじゃないかなということを私たちは考えていかなければならないんじゃないかな、こう思っておるところであります。  先ほどもちょっと申しましたように、いろんな点で行き過ぎがあったと思いますが、その行き過ぎをだれがどうして是正をするかということになれば、これはやはりそれぞれのところで考えていかなくちゃいけないし、また国民全体の問題でありましょうし、また政治を預かっておる者がやはりそういったことを言わなければならなかったのではないかな、こう思っておるところであります。
  45. 小野信一

    小野委員 もう一つお尋ねいたします。  株価や地価がどんどん上がっているときに、多くのエコノミストや評論家はそれを肯定的にとらえたように私は今感じております。日本経済が新たな段階に入ったというような理屈が異常な株価や地価を正当化するために持ち出されていたように思われてなりません。ところが、バブルが崩壊をいたしますと、この論調は今度はバブルをつぶすことが日本経済の健全で長期的な成長のために望ましいと変わってまいりました。私は、どうも首尾一貫していないのではないかという感じがいたしております。そういう感じを持つのは私一人だけでありましょうか。私もバブルの整理は早急に行うべきものだとは思っておりますけれども、もしそれであるならば、当時バブルの時代にもう少しその現状を批判し、警鐘を乱打しなければならなかったのではないか。私は、私自身そういう反省を持っておるんですけれども、現在の風潮に対して大臣の所見をお尋ねいたします。
  46. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 先ほど申しましたように、一般的な風潮としてそういったことが出てきたということも私は否定できない事実だろうと思いますし、私たちがやはり警告をしなければならぬ、なかなかこれは警告をするというのは難しかった話だろうと私は思っています。やはりやすきに流れる、こういうことでありますが、やすきに流れたようなことになっていったということも私は正直言って事実だと思いますし、私もそれ自身について反省をしなければならない点があったのかな、こう思っておるところでありますが、それは各人それぞれの倫理観あるいはそれぞれの人の生活の態度の問題ということでありましょうが、やはり政治家としてそういったことについて将来を見渡したこともやっていくことが必要であろう。また、金融やその他のところについてもいろんなことを考えていかなければならなかったということは私たちとしても反省をしていかなければならない。  しかし、なかなかそれも、収束に向かった段階でやるというのは、正直言ってそれではいつの段階でどうすることができたかなと私は思っておりますし、そういったことが起きたことについてのいろいろな諸問題について私たちはこれから反省をして、再びそういったことが起こらないようなことをこれから考えていくのが今与えられたところの仕事ではないかな、私はこう思っているところでございます。
  47. 小野信一

    小野委員 次に、予算についてお尋ねをいたします。  政府予算編成に当たって特例公債発行を厳に回避することを基本方針としてこれを厳守いたしました。しかし、そのために建設国債が大幅に増加し、二つ目には減税が行われませんでした。三つ目には各種のツケ回しが行われる結果となったことは事実でございます。  このツケ回しては資金運用部への債務返済の繰り延べ七千億円、政府管掌健康保険への国庫補助金の繰り延べ、地方財政への補助率引き下げ三千億円、地方交付税交付金会計からの借り入れ四千億円、地方単独事業増加策が見られるからでございます。  大蔵省は隠れ借金と言われるのを大変嫌いでありますけれども、むしろ裏国債あるいは表面に出ない赤字公債にも匹敵する借金じゃないかとすら私は思っております。また建設国債といっても必ずしも耐用年数と償還年数の六十年が一致してい るわけではございません。用地費の割合も高いし、赤字国債との区別も明確ではございません。赤字国債の発行は慎重でなければならないことは論をまちませんけれども、この現在の姿勢が、予算編成の姿勢が財政の健全化に結びついたとはどうしても私には思えません。財政の健全化で今回の新年度予算を見た場合に、大臣はどういう感想をお持ちになりますか。
  48. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 今お話しの諸問題につきましては後で詳しく事務当局から御説明さしても結構でございますが、いろいろな点で国の方がやりくり算段をやってきた、こういう話でございます。  隠れ公債、こう言われますが、やはりそこはそこで何とかしなければならない、そういったような形でいろんな知恵を絞ってやったものでございますし、しかも、それはそれぞれの形でまた法律を出して御議論をいただいてやっていくわけでございますから、いわば赤字国債のように野方図にやるという話でありませんし、一応金額も限定されています。しかも、政府会計の中でのいろんな処理でございますから、私はそれでやむを得なかった措置じゃないかな、こう思っておるところであります。むしろ、いろんな形でそういったやりくり算段をやったということについて私は御理解を賜りたいと思っているところであります。
  49. 小野信一

    小野委員 ここで黒白をつけるという議論をするつもりはございませんので、今回の新年度予算編成に当たって、どんな反省点といいますか、感想をお持ちかということをお聞きしたかったわけでございます。  次の質問に移ります。  経企庁が十二月二十四日に発表いたしました九二年経済の回顧と課題、ミニ白書、こう呼んでおりますけれども、これによりますと、九二年の七月から九月期、第二・四半期で需給ギャップは二・七%に相当する供給過剰であると報告をいたしております。同時に、八五年以降、我が国経済の潜在成長率は四・三%になっておる、こうも書いてあります。  そこでお尋ねしますけれども、昨年の十二月に審議をされました十兆七千億円の補正予算はこの二・七%の需給ギャップ、需要ギャップを埋めるためにつくられた金額である、こう確信を持って答弁することができますか。また、今回、九三年度予算で前年対比四・八%増の公共投資額八兆五千七百億円は、昨年の二・七%の需給ギャップよりも大きくなっている現在、私はこのギャップを埋めて経済成長率を巡航速度に乗せる金額でなければならないと思うのですが、その辺の数的な根拠というものは出されておるんでしょうか。
  50. 日高壮平

    ○日高政府委員 昨年八月の総合経済対策におきまして十兆七千億円の過去最大規模公共投資等の拡充を行ったことは御高承のとおりでございます。そのときの考え方は、いわば景気自体の低迷ということのほかに、過去に例を見ないような土地なり株価といったいわゆる資産価額の低落がいわばいろいろな形で企業経営者あるいは消費者の心理にも大きな影響を与えている、あるいは実体経済に影響を与えているという考え方のもとに立って、いわゆる金融、証券面の対策とあわせて講じたものでございます。  ただ、今先生指摘がございましたいわゆる需給ギャップという考え方は、実は正直に申し上げて、確かに経済企画庁の回顧と課題ではそういう形で書いてございますけれども、実際問題として、私どもがどれだけの規模経済対策を打つかというときには、実は、その需給ギャップといったいわば学術的な面だけではなくて、実際にどれだけの消化ができるか、あるいはこれだけの低迷をしている景気を支えるのにどれだけ必要であろうかということを関係省庁と御相談しながら決めさせていただいたということでございます。  それで、それと同時に、その十兆七千億円の公共投資等のいわば拡充を図るということで決定させていただいたわけでありますが、そのうちのかなりの部分が補正予算措置を要するということで、先般の、昨年の臨時国会において補正予算を成立させていただいた。その後、今回の平成五年度の予算編成におきましても、やはり厳しい財政事情のもとではございますが、景気に十分配慮した形での公共投資の拡充を図ろうということで予算編成をさせていただいたわけでございます。  そうした流れの中で切れ目のない公共投資が執行されるということで、政府の投資額、いわゆる公共投資というのは、GNPベースでの、私どもの言葉でIGと言っておりますけれども、この公共投資の額は前年に比べまして、平成四年度の実績見込みは一一・六%、それから平成五年度の見込みは九・五%ということでかなりの高い伸び率を確保しているということになるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、私どもとしては、今申し上げたような切れ目のない公共投資の執行ができるように、何とか五年度の予算案につきましても一日も早く成立をお願いいたしたいというふうに考えているわけでございます。
  51. 小野信一

    小野委員 需給ギャップを考慮しないで補正予算景気を刺激するための補正予算を組んだとしても、理論的には海図のない航海をしているようなものにはならないのだろうかという心配を私はいたします。当然、需要不足はGNPに対して幾らあり、そのギャップを埋めるために公共事業をこれだけやらなければならないという算定のもとに補正予算が組まれなければならないはずなのに、そういうものを逆な方から持ってくるということは余り正当な論拠ではないのじゃないかなという感じがいたしますけれども、いかがなものでしょうか。
  52. 日高壮平

    ○日高政府委員 私の御説明が若干舌足らずの面があったのかもしれませんですけれども、私どもは、今の景気状況から見てどれだけ必要かという判断をするときに、いわばどれくらい需要と供給に差があるかという考え方は当然あり得ると思いますし、そういう考え方から公共投資という形でのいわば需要を創造していかなければならないと考えたわけであります。  したがって、その需給ギャップの問題を全く考えてないということではないのでございますけれども、問題は、公共投資を行う場合にどれだけの消化が可能かというようなことも考えていかなければならないわけでございますから、先ほど申し上げたかったのは、もちろんそういう考え方もあるわけでございますけれども、規模を、いわゆる十兆七千億円という規模を決める過程において、その需給ギャップの数量的な問題だけから規模を決めたということではないということを申し上げたかったわけでございます。
  53. 小野信一

    小野委員 平成四年度の国の借金を確認しておきたいと思います。  国債残高百七十四兆円、それから、隠れ借金と言いますと大蔵省の皆さん嫌がりますから、政府が、国が責任を持たなければならない資金、国鉄清算事業団の債務二十六兆四千億、地方交付税特別会計運用部借入金五兆八千億、国民年金特別会計への国庫負担繰り延べ一兆二千億、地方財政対策に伴う後年度負担一兆一千億、政管健保補助金の繰り延べ五千億、計四十二兆円になります。したがって、国債残高百七十四兆円を加えますと総計二百十六兆円になりますけれども、そう確認してよろしゅうございますか。
  54. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答えいたします。  国債残高につきましては、実は補正予算建設国債の増発をしているものですから、平成四年度末の国債発行残高は百七十六兆円になります。  それから、いわゆる隠れ借金という言葉があるのですけれども、これは具体的にどういうものを指すかについては必ずしも明確な定義があるわけではございません。例えば清算事業団の借金が約二十六兆あるわけでございますけれども、これは清算事業団が所有している株式とか土地の処分で基本的には充てるわけですから、それで賄い切れない分が最後は国に来るということでございますので、それをすべていわゆる国の隠れ借金とは我々は理解しておりません。そういう意味で、残高総計が幾らという考え方は、実は我々は先生の言われるような形での集計は考えておりません。
  55. 小野信一

    小野委員 いろいろな仕事を、大蔵省が国債残 高の推移についていろいろな手だてをすると仮定いたしまして、国債残高が本年度百七十四兆円、平成七年度百八十一兆円、平成十二年度、西暦二〇〇〇年には百八十五兆円まで膨張するのではないか、こういう試算がありますけれども、いかがでしょうか。  二つ目は、現在、赤字国債の発行がゼロにしてもそのストックは六十四兆円ある、それから、平成十五年末で五十兆円の赤字国債が残る、こう言われておりますが、いかがでしょうか。借換債は平成四年度以降に二十兆円を上回り、多い年には二十五兆円近くになるのではないか。百七十四兆円の国債の全額償還は、もし現在の支払い計画でまいりますと、三倍以上の五百十兆円が必要になる、こういう試算がありますけれども、いかがですか。
  56. 藤井威

    藤井(威)政府委員 将来にわたります国債の残高の見通しについてのお話がございました。  先生のおっしゃいました数字は、恐らく去年の一月、去年の予算ができましたときに、中期展望とあわせて御参考ということで御提出申し上げました国債整理基金の資金繰り状況というデータからであろうかと思います。  このデータは、今後、新規財源債、建設国債でございますが、建設国債がどの程度発行されていくかということをある仮定を置いて計算したものでございまして、その仮定を前提にすれば、おっしゃいますように、平成十二年度末で国債残高は百八十五兆円程度に達するという計算になっておるところでございます。その後、去年の補正予算、それからことしの予算ということで若干の前提条件の変化がございますので、この数字も若干変わると思いますけれども、基本的にはそういう数字になっていく、今後もこの仮定、一定の仮定を置いたその仮定が正しければ、そういうふうな推移をたどっていくだろうというふうに考えております。
  57. 小野信一

    小野委員 借金の残高は私が申し上げた数字以上に大きくなるということでございます。  したがって、大臣にお尋ねしますけれども、こういう財政実態の中で、赤字国債の発行というのはどういうことになるのだろうか、赤字国債についてどういう認識をお持ちなのか、お尋ねをいたします。
  58. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 先ほど来申し上げましたように、赤字国債ということになれば、まさに後代にそのままツケを回す、こういうことでありますし、私は、やはりやるべきものでないということはもう当然に考えておるところであります。それは、この前特例公債も出しました。そのときにも随分かかっていろいろな整理をする。こういうことでありました。いろいろな計画を立ててやったわけでありますけれども、いろいろ十年償還というごとでありましたけれども、やはり十年償還、たってみたならばなかなかできなかったということもあります。  今お話しのように、国債残高というものがいろいろな点でまたふえていく。いろいろなことがありますから、できるだけ後代に負担をさせないようにというのは、私たちが本当に一生懸命考えていかなければならない基本的な問題であろう、私はこう思います。これは赤字国債、国債一般を通じての話だと御理解いただければありがたいのですが、そういうふうに私は考えております。
  59. 小野信一

    小野委員 要するに、今大臣が答弁しましたように、赤字国債は数十年後の未来世代、私どもの後輩の支払いを義務づけるものでございます。このことを逆に見ますと、逆というか素直に見ますと、現世代、我々は加害者になっている、未来世代、私たちの孫は被害者になるという構図を持っておることになります。しかも、この加害者と被害者の間には世代という時間差がありますから、責任の所在がまことに不明確になってまいります。  同時に、民主主義と言われる多数決方式は、異なる世代間にまたがるこのエゴイズムをチェックするシステムの機能をいたしません。民主主義は、時間を共有するときに決定する力は発揮いたしますけれども、加害者と被害者が世代をまたがるときには、時間差があるときにはこれが機能をいたしません。ある意味で、悪い言葉を使えば、現世代の無責任な強制をチェックする機能がないということであります。私は、このことは景気の問題以上に大変な内容を含むなという感じがいたしておるところでございます。したがって、赤字国債を発行する場合には、世代間にまたがる政策決定には、新しい考え方、新しいシステムが必要であることを痛感するところでございます。あるいは財政倫理ともいうべき内容がなという感じがいたしております。  そこで、世代間にまたがる赤字国債の発行について、もう一度大臣考え方をお尋ねいたします。
  60. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 財政演説の中でも私は申し上げましたけれども、財政には規律を求めなければならないということを申し上げました。まさに今小野委員指摘のようなことを私は頭に置きまして、今の時代で、お互いがお互い同士で話し合いをして予算の分捕りをしたり、資金の分け合いをするという話ならまだわかるのでありますが、今の我々が消費をして、そのツケを後代に回すということについては、民主政治のもとにおいては解決する方法というのは非常に難しい問題であります。ブキャナンの本がありまして、やはりそういったような問題があって、民主政治というものと、そういった財政の規律というものを一体どう考えるんだという問題の提起があったことを私も読んだことがあります。そうしたようなことを本当にどう考えていくのかなというふうに今思っているところであります。  先ほど、何か大蔵省は四面楚歌だ、こういうふうな話がありました。しかしながら、私たちの良心をもってこういった問題を解決をしていくということは、今の与えられたところの役割じゃないかな、こう思っているところでありますし、特に大蔵委員会は長年にわたる立派な歳入委員会でありまして、いろいろな御審議をされた経験を持っておられるところでありますから、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
  61. 小野信一

    小野委員 最後に、私の意見を述べさせていただきます。  現在の赤字国債の規模は、数十年後の被害者となるかもしれない未来世代、子供や孫から同意を取りつけることのできないものであります。後世代はそれを阻止する相互性を発揮することができません。したがって、これは未来世代との間の相互の社会契約が成り立ちません。未来世代の選択の幅は、我々の考え方によって狭められる可能性を持っているということであります。  現在世代と未来世代は同じだけの選択可能性を持っているのではなくて、もし私どもがわがままを通すとすれば未来は狭くなるというゼロサム構造であります。したがって、現在以上の赤字国債発行は、このような論理的な帰結になるのではないかと私は思います。景気政策とは切り離して赤字国債を考えた場合には、こうならざるを得ないと私は思います。もし赤字国債を発行するとするならば、こういう財政倫理をしっかりと裏づけをつくって国民の前に提示することを心からお願いを申し上げまして、終わらせていただきます。
  62. 藤井裕久

  63. 日笠勝之

    日笠委員 林大蔵大臣におかれましては、御就任おめでとうございます。大臣は、明治維新揺籃の地、長州の出身でございますから、この厳しい財政運営を見事乗り切っていただけるものと期待もし、またお祈りをする次第でございます。  さて、先ほど大臣から当委員会における所信の表明がございましたので、その所信表明に関しましてまず何点かお伺いをしたいと思います。  実は、昨日我が党の石田委員長が代表質問いたしまして、いわゆる所得減税、四兆円から五兆円ぐらいの大幅減税をすべきである、その財源は赤字国債もやむを得ないのではないか、こういう御質問をされたわけでございます。それに対する総理の答弁も重々知っておりますけれども、それに関連をいたしまして、その国債の問題につきまして、先ほど同僚委員からも議論がございましたが、 もう少し私の方からもさらに議論をさせていただきたいと思うわけでございます。  大臣のこの所信表明を見ますと、既に巨額公債残高を抱えており、財政構造硬直化が進行しておる、ゆえに財政が本来の対応力回復するためにも財政の規律を重んずることが大事である云々、こういうことを述べられました。そこで、一つの基準というものがないと、本当に硬直化しているんだろうか、本当に節度がなくなったんだろうか、こういうことでございます。  平成五年度の予算案を見ますと、公債依存度は一一・二%でございます。公債費率は二一・三%ということになっております。これは高いのか低いのかそれでは妥当な、硬直化していない、対応力のある国債依存度というのは何%程度を言うのか、国債費率は何%を言うのか、まずその辺の指標といいましょうか、どういうふうにお考えなのか、お聞きしたいと思います。
  64. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 中長期的な財政構造として、いわゆる公債依存度をどの程度を目標として財政改革を進めていくべきかという点につきましては、平成二年度の財政制度審議会の答申の中におきまして、これは要するに基本的には国債が累増しないような、国債残高がふえていかないような形にしていくべきであろう、大体それがおおむね公債依存度五%、それを目標とすべきであるという答申をいただいているところでございまして、それに沿って政府としてもそういう方向に進んで努力しているところでございます。  なお、国債費については、これは幾らというのが妥当なのかということはなかなか具体的な数字はございませんが、これは諸外国と比べても我が国予算に占める国債費が大変高い、極めて健全な姿ではない、そう理解しているところでございます。
  65. 日笠勝之

    日笠委員 公債依存度が今現在一一・二%ということですね。五%であればまあよかろう、こういうことですが、先ほども隠れ公債とか隠れ借金とかつケ回しとかいろいろ宣言葉があるようでございますが、実際平成五年度末の見込みで「今後、処理を要する措置」をしなければならない事項とその金額ですね、一体どういうものが幾らあるのか、ぜひ教えていただきたいと思います。
  66. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 隠れ借金とかいろいろ言われるわけですけれども、必ずしも明確な定義があるわけではございません。  ただ、大蔵省といたしましては、従来よりこれに関連いたしまして国会の方に「今後、処理を要する措置」ということで資料をお出ししているところでございます。その平成五年度予算ベースでの「今後、処理を要する措置」について現在整理を行っているところでございますが、現段階でおおむねの数字を申し上げますと、国民年金特別会計への国庫負担金の繰り入れの平準化、これが八千二十三億円、それから地方財政対策の改革による交付税特別会計借入金、これは一般会計に振りかえた分でございますが、これが五兆四千四百二十二億円、それから地方財政対策に伴う後年度負担、これが二兆五千五百七十三億円、それから日本国有鉄道及び日本国有鉄道清算事業団から承継した債務の償還の延期、これは繰り延べしている部分でございますが、これが二千八百二十七億円、それから政管健保の国庫補助の繰り入れ特例、これが五千九百三十九億円、それから政管健保の棚上げ債務一兆四千七百九十二億円、それから日本国有鉄道清算事業団長期債務、約二十六兆円、以上でございます。
  67. 日笠勝之

    日笠委員 そうすると、国鉄清算事業団の分の二十六兆円、これは株、土地、資産があるわけですから一概に二十六兆とは言い切れませんが、しかし先ほど言われた中の政管健保の棚上げ債務までは、これはいずれか会計にまたその処置をしなければいけないわけですね。恐らくトータルで十一兆一千五百七十六億円ぐらいになると思うのですね。  そうすると、本来はこれは会計間の貸し借りである、同じ国庫の中のこっちのポケットからこっちへ入れたんだからということでしょうが、しかしこういう資料は要求しないと一つも出ませんですね。ということは、この三月期、金融機関もディスクロージャーしろということでしょう。健全な銀行として、サウンドバンキングとしてディスクロージャーをしろ、こういうことで金融制度調査会でもいろいろ議論されておるわけですよ。国の財政は確かに予算書を見れば公債依存度一一・二%、八兆一千三百億円出しますよとか、これはわかるのです。しかし、こういうアンダーテーブルの隠れた部分は、これは資料を請求しなきゃ出てこない。本来ならばこれは予算書につけて出すぐらいの参考資料で、でないと本当の議論はできないんじゃないでしょうか。  そういうことで、大臣、この「今後、処理を要する措置」につきましては、参考資料で予算書へ添付するとか、予算の説明というのがございますね、別枠で薄いパンフレットが、そこに書き入れるとか、せめて我々議論する者がどのぐらいあるのだろうかということがわかるような親切さ、心配りがあってもいいんじゃないかな、まさに変化の時代でございますから、と思いますが、大臣はいかがですか。
  68. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 厳しい財政事情につきまして、できるだけ資料を出して対外的に説明していくことが重要である、それは先生のおっしゃるとおりでありますし、我々もそういう方向で努力していかなければならないと考えております。  なお、この先ほど申し上げました資料につきましては、従来衆参の予算委員会の提出資料として実は出してきたところでございます。今年度はまだ出しておりませんけれども。ということで、我々はそれなりに努力しておりますけれども、これからさらにいろいろ努力していかなくてはいかぬと考えております。
  69. 日笠勝之

    日笠委員 ですから、それは資料要求すれば出てくるのでしょう。ではなくて、初めから参考資料で添付して出せばいいんじゃないかということを言っているのですよ。それはできますか、来年度から。
  70. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 来年度の資料の提出の仕方については研究してみたいと思います。
  71. 日笠勝之

    日笠委員 それで、先ほど言われた平成五年度末累計見込み額、それぞれの事項ごとに言われましたが、これは借りているといいましょうか、ちょっと会計間で、お互いに紳士協定で、ちょっと貸してくださいとか、今回は払うのをちょっとペンディングですよとか、こういうことですね。  そうすると、金利というのはやはりあるのでしょう。金利というのはどういう計算でどういう項目の中から出ておるのでしょうか。
  72. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 いわゆる特例的な歳出削減措置としてやっているもの、いろいろあるわけでございますが、それはそれぞれの制度施策をめぐる状況を踏まえて限定的にやっているわけでございます。金利分を全部どうしているのかというのは、今手元にちょっと資料がございませんので、また後ほど御説明させていただきます。
  73. 日笠勝之

    日笠委員 金利は国債費に入っているのじゃないのですか。
  74. 藤井威

    藤井(威)政府委員 ただいま主計局次長からお答えしました中で、いわゆる国鉄ないし国鉄清算事業団の債務を一部一般会計で引き受けている分あるいは地方交付税交付金で発生しました借入金の一部を一般会計で引き受けている分、そういうものは保一般会計の借入金でございますので、これは、発生いたします金利は国債費の中でカウントしていただいておるところでございます。
  75. 日笠勝之

    日笠委員 そうすると、金利は歳出国債費の中にカウントされているわけですね。わかりました。  ですから、この隠れ借金がふえればふえるほど、大臣国債費率二一・三%がどんどんふえるということです。余りこういうものを自由に貸し借りしたのじゃいかぬということですね。これも節度がなくちゃいかぬわけですよ。そういう意味では、私はディスクロージャーを、きちっと議論するべく予算委員会なり大蔵委員会の資料に、請求をしなくても、要求しなくてもちゃんと出す。予算書 の添付でもよろしいし、予算の説明というあのパンフレットみたいなのがありますね、あの中でもよろしいですからね。そういうことから私たちも本気になってこの累増する公債残高をどうするかという議論ができるわけですね。主計局、それをひとつ来年度善処をお願いを申し上げておきたいと思います。  それと、これは赤字国債を発行してでも、こういうように我が党の委員長は言っておりますが、私も大蔵委員会に長いことおりますと、まあそれはどうなのかなという気もいたします。しかし、これは政治判断だというふうに割り切りまして、これはもう委員長の応援団としてやはり主張しなければいけない、このように一致結束箱弁当じゃありませんけれども思っておる次第でございます。ところが、赤字国債は絶対だめというのが大臣所信表明であり、先ほどからの答弁でございますね。  じゃ、どうでしょうか、赤字国債はだめならば、この四兆円か五兆円の減税財源資金運用部から、ないしは郵貯もどんどんふえておるようですから郵貯特会からお借りする。そうすると赤字国債じゃないのですから。正面はぴかぴかで中はぼろぼろかもしれませんよ。そういう手だてだってなきにしもあらずだ。これも三年後までには必ず金利をつけて返しますよ。その間、税制改正を抜本的にやる。納税者番号制度の問題もありますしね。そういう問題をしっかりやった上で返せるような段取りをしていく、そういうことも、これは一つのアイデアですが考えられますね。赤字公債発行しません、特別会計から借りるわけです、ちゃんと金利をつけて返す、こういう手もあるんですが、これだったらどうですか、大臣大臣、これは政治判断の問題ですから。
  76. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 国の会計には一般会計と特別会計がございまして、御承知のとおり特別会計は、例えば国民年金とか厚生年金とかあるいは保険会計とか、それぞれの特別会計が保有している資金というものはそれぞれの特別会計の趣旨、目的に従って使途が予定されているわけでございまして、その特別会計から借り入れた財源で減税を行えば、いずれにしてもその償還財源をどのように確保し得るのかという問題になるわけでございますし、そもそもその特別会計運営に支障が生ずることがあってはならないわけでございます。  ですから、従来やっております特例的な歳出削減措置というのは、これはあくまでもその特別会計運営に支障がない、例えば平成五年度予算で行っている政管健保の繰り入れも、本来法律で決まっている国庫負担額を、その政管健保の特別会計運営に支障の生じない範囲内で、一部国庫負担額を今年度は負担しないで繰り延べるという措置をとっているわけでございまして、単にそれぞれの特別会計に金があるから持ってくるというわけではないわけでございます。
  77. 日笠勝之

    日笠委員 だから、召し上げるとは言ってないです、返せばいいんです。例えば、資金運用資金なんかは百数十兆円オーダーでしょう。それから、全部とは言いませんよ、四兆円の減税としたら半分ぐらい借りましょう。それから国債整理基金特会へ定率繰り入れをやっておりますが、これも去年聞いたお話ですと一兆数千億円、二兆円ぐらいあれば、よほどのことがない限り借りかえできるということであれば、この定率繰り入れを一部停止して一兆円とか、あっちからもこっちかるもとにかく集めて、それでこれだけ、四兆円なり五兆円の財源を見つけてやる。これは政治判断の話なんですね、大臣。  ですから、そういう知恵は、大蔵省の皆さんはすばらしい知恵があるわけですから、やらぬと決めれば知恵は出ませんからね、やろうと決める。必要は発明の母でございますから。そういうふうにやろうと、減税するんだと決めれば、いろいろなテクニックは、この隠れ借金という言葉が悪ければ申しわけありませんけれども、手はあると思いますよ。ですから、そういう手だてをしてでも、財界も労働界も野党も、与党の幹事長ですらそういうニュアンスで言っておるわけですよ。政調会長も、税調会長までが。もう四面楚歌どころか、上下から、もう四面八面楚歌ですから。  そういうことで、ひとつ大臣、これは政治判断で所得減税、戻し税になるか何かわかりませんけれども、財源確保は大蔵省が責任を持ってやる。また後ほど言いますが、これは不謹慎になると怒られるかもしれませんが、皇太子御成婚の金貨も出れば少しは税外収入も入ってくるでしょう。そういうふうなことで、いろいろなところからかき集めて、とにかく知恵を出して、皆さんの負託にこたえる、こういうお考えはございませんか。
  78. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 日笠さんからいろいろなお話がありました。長いこと大蔵委員をやっておられまして、また、いろいろその方面のことについても通じておられる方でありますから、いろいろなお知恵を持っておられるということもよくわかりますが、私は、今のいろいろなかき集めをするというのも、それぞれの特別会計で金を持っているというのは、それぞれの特別会計でやらなければならない金を持っているわけでありまして、国の金でありますから、特に余った金を持っているとかなんとかという話じゃありません。それを一時的に借り入れをするとかなんとかということになると、今度は特別会計の方の問題もまた出てくるということも考えなければならないと思いますし、また郵便貯金の方を集めてどうだということになりましても、これも貯金ですから、預かっている金でありますから、そうむちゃくちゃなことはできない。  今お話がありましたように、三年くらいで償還をするとか云々、こういうことですが、なかなかそういった形で現実問題としてワークしないのではないか。ワークしないものをつくって、三年たってまた返さなければいかぬ、また引き延ばしをするというような形にすることにおいて、私は財政の節度を失うものだろう、こう思うわけでありまして、そこで、先ほど先生お話しいたしましたけれども、財政の節度というものを一体どう考えていくかということを私は真剣に考えていかなければならないものだろうな、こう思っているところでありまして、何かあって、やったならばできるから、みんな言うからやったらどうだということには、私は納得できないということを申し上げておきたいと思います。
  79. 日笠勝之

    日笠委員 そもそも、大臣、減税はするということになっているのですよ。地価税の法案を通したときに、附帯決議で所得減税とはっきり言っているわけですよ。地価税、今度〇・三%になるわけでしょう、本則へ戻って。今の予算書を見ると、全然減税がないですよ。  私たちは、あのときには、地価税を通すときに、地価対策と減税に充てるということがあったから、いそいそと早く通そうということでいろいろ努力もさせてもらったわけです。減税がないじゃないですか。附帯決議は盲腸だと言われますけれども、だけれども、配意しますと大臣あのとき答えましたよ。附帯決議のことについては政府も配意していきます、心を配るということですよ。信義違反じゃないですか。これは何兆円という規模の減税に比べれば、地価税も六千何百億円でございます。四千億が六千億になって二千億伸びて、そのうち法人税で半分取られちゃうから実際一千億くらいの伸びしかない、こういうことでしょうが、しかし予算書を見ても全然減税が出てこない。そういう意味で、私は、地価税のあの法案を通したときの附帯決議、これはもう二年間もネグられておるわけですから、それは当然減税が表面に出てきてもおかしくない、そういうふうに思います。これは信義違反だ、こうなりますよ。
  80. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 御指摘のように、地価税収の使途につきましての論議というのを忘れているわけではございません。しかし、これに関しましては、要するに極めて深刻な状況に陥っておる財政事情を考慮すれば、土地対策等に資するという観点から歳出を通じて国民生活に還元することが現実的には適当であるという御判断を税制調査会等でも賜り、これに従って措置をさせていただいたところでございまして、この段階でも、これを減税す ることによりまして歳入に不足が生じまして、それを赤字公債で埋めるということは、これはまさに後代に対して責任のとれないことをすることになる、そのようなことをして本当にいいのかという議論によって最終的な判断に至ったものでございます。
  81. 日笠勝之

    日笠委員 時間がありませんので、次の質問に移ります。  大蔵委員会、ヨクラ委員会というくらい夜暗くなってもじっくりやる委員会でございますから、しっかりまた議論させていただきます。  そこで、皇太子御成婚が皇室会議で決定されました。慶事でございます。これを記念しまして記念貨幣、硬貨といいましょうか、発行をしたらどうかという多くの声があるわけでございますが、この記念硬貨の発行につきまして、今具体的にどういうスケジュールであるか、お聞きしたいと思います。
  82. 藤井威

    藤井(威)政府委員 このたびの皇太子殿下の御成婚、貨幣法に言います国家的な記念事業に該当するという考え方でございまして、記念貨幣の発行は十分考えられる点でございます。  先般、御成婚が正式に決まりましたときに大蔵大臣から発表していただきましたが、今後、この記念貨幣の発行の内容について、言論界、文化人、学界等各方面の有識者による会合を開催いたしまして、御意見を伺いながら検討したいというふうに考えております。  今御質問ございましたスケジュールの点でございますけれども、できる限り早期に記念貨幣を発行することができるように、今申し上げました有識者による会合を二月中にも開催するよう、今現在事務的な作業を進めておるところでございます。そこで貨幣の種類、額面、図柄、こういうものについてできるだけ早く結論を得たいということにいたしたいというふうに考えております。
  83. 日笠勝之

    日笠委員 これから検討していくとなると、恐らく金貨でしょうか、白銅貨になるのでしょうか、複数発行というふうなこともあり得るわけですか。
  84. 藤井威

    藤井(威)政府委員 これからの有識者による会合における検討課題でございます。貨幣の種類、額面を一種類にするか、あるいはおっしゃいますように複数にするか、いずれも考えられるということであろうと思います。
  85. 日笠勝之

    日笠委員 金貨など高額ですから、これは余り需要はないようですから、白銅貨の五百円ぐらいつくって、二種類ぐらい出すと広く国民に行き渡るということですから、そういう議論が大蔵委員会であったということで有識者の会合で皆さんにお伝えください。  それから偽造防止、これは厳にお願いしなければいけません。きのうからきょうにかけて都内十大デパート、十の大きなデパートに全部電話しました。天皇在位六十周年記念の十万円金貨でこれから買い物に生きたいけれども使えるかと言うと、伊勢丹新宿店は使用できません、松屋銀座店は使用できません、阪急有楽町店は使えません、京王新宿店は使用できません。これは日本政府が信認した金貨が使えないのですよね。四割は使えません。こういうことがないように、偽造防止は厳にお願いをしたい、これは有識者の会合でもお願いをしていただきたいと思います。  それから最後に、大臣、私の岡山県と山口県のちょうど真ん中に挟まれた広島県、来年十月二日からアジア大会があります。アジア大会の組織委員会の方からも、ぜひこれを記念して記念硬貨を発行してもらいたい、こういう強い要請が来ておると思いますが、発行の可能性の有無、これについて簡潔にお答えいただきたいと思います。
  86. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 お隣の広島県の話ですから私も関心を持っておりますが、形式的に申しますと、オリンピック大会に準ずる国際的なスポーツ大会でありますから、国家的な意義を持つものとして記念貨幣の発行の検討対象にはなり得るものだろうというふうに私は考えております。
  87. 日笠勝之

    日笠委員 ぜひこれを発行して広く国民に知らしめるという見地からも、十月二日から始まるのですが、前倒しで二カ月か三カ月ぐらい前から発行する、そして広くしていただく、こういうことも可能性があるわけですね。  先ほどの皇太子御成婚の金貨も、これはどうも五月か六月かと言われておりますが、これは金貨なら当然間に合いませんね、局長。御成婚の日に合わせては、恐らくその前とかは難しい、秋ぐらいになるのかなという感触もあります。  それが一点と、今申し上げた広島のアジア大会は、できれば複数の二、三種類ぐらいの記念硬貨で前倒しで発行お願いしたい、かように思いますが、以上二点、お答えいただきたいと思います。
  88. 藤井威

    藤井(威)政府委員 まず皇太子の御成婚にかかわる記念貨幣でございますが、御成婚の日程がおっしゃいますようにまだ正式には決定しておりませんので、その日程との関連で御成婚の記念貨幣の発行がいつになるかということを明確にするのは非常に難しい段階でございます。先ほど申しましたように、貨幣の種類、額面につきましてもいろいろ複数考えておりますが、できるものはできるだけ早くということで、最大限の努力をいたしたいというふうに考えております。  それから、広島の第十二回アジア競技大会の記念貨幣の件につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、貨幣発行の検討対象にはなり得ると我々も考えております。ただ、実際に行われますのが平成六年秋ということでございますので、現在、記念貨幣発行の是非をすぐに検討を開始する、あるいはスケジュールの検討を開始するということについては、まだ時期尚早かなというふうに考えております。
  89. 日笠勝之

    日笠委員 わかりました。いずれにしても、大臣、前向きに検討をお願いしたいと思います。  それから、ちょっと一分ほどありますが、佐川急便本社に税務調査が入ったという報道が大々的になされておりますが、国税庁、来られていますか。どういう調査なのか、どういう調査を念頭に置いてしようとしているのか、この辺のところを最後に簡潔にお答えいただければと思います。
  90. 野村興児

    ○野村(興)政府委員 ただいま個別事案についてのお尋ねでございます。個別の事柄、個別の事案につきましては従前より答弁を差し控えさせていただいているところでございます。  一般論のお答えで甚だ恐縮でございますが、国税当局といたしましては、常に納税者の課税の適正化を図るという観点から、あらゆる機会を通じまして課税上有効な資料情報の収集に努め、これらの資料と納税者側から出てまいります申告書等を総合検討いたしまして、課税上問題があると認められる場合には実地調査を行うなど、適正な課税に努めている、こういうふうな考え方でやっているわけでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  91. 日笠勝之

    日笠委員 終わります。
  92. 藤井裕久

    藤井委員長 正森成二君。
  93. 正森成二

    ○正森委員 それでは林大蔵大臣や関係者にお伺いをいたしたいと思います。  まず最初にお伺いしたいのは、景気の問題であります。  きのうから本日にかけて全国の百貨店やチェーンストアの売り上げの統計が出ております。皆御存じと思いますが、念のために申しますと、百貨店の売上高は、前年に比べて三・三%の落ち込み、これは一九六五年に統計をとり始めて以来これだけ落ちたのは初めてだ。チェーンストアは〇・五%とわずかに上回りましたが、これも一九七七年の統計開始以来最も低い伸び率であるということであります。  さらに、その中身を見ますと、当初百貨店の落ち込みというのは、非常に高級品の絵画とかあるいは宝飾品というのがバブルの崩壊で買われなくなった、それで雑貨部門が減少したと言われておりましたが、昨年の春からは四割を占める衣料品などが非常に前年を下回り始めたということで、十二月の売り上げに至っては百貨店は前年同月比八・一%減、それからチェーンストアも十二月は一・二%減で四カ月連続して減少したというのは 史上で最長である。これは百貨店と違って、チェーンストアというのは数も多うございますし、購買者が一層庶民的なそういう階位でありますから、これは宮崎義一さんが複合不況ということで言っておられますし、我々はあの分析のうち、バブルがなぜ起こったかという分析には非常に正確な部分があると思っております。ただ、その解決策その他、全般について同一意見ではございませんが、しかし、それにもかかわらず、現在の状況を見ておりますと、国民の購買力が非常に弱まっておる、そこで政府施策によっても不況が根本的に回復しないという面があると思います。  それを別の角度から見ますと、ここに経済企画庁の国民経済計算年報というのがあります。もちろん大蔵省は御存じですが、それを相当過去にさかのぼって調べてみますと、例えば一九八三年、今から十年前ですね、昭和五十八年の民間最終消費支出、これは国民総支出の中に占める割合ですが、それは六〇・一%でした。それが以来引き続き低下いたしまして、統計のあります平成二年、一九九〇年では五六・七%に下がっております。これは三・四%ですから、大体で言いますと、GNPが例えば昨年でも約四百八十兆余りですから、単純計算しますと、十五、六兆円民間最終消費支出が減少しているということになります。  どこがふえたのだろうかと思って見ますと、民間企業設備が一九八三年は一四・七%でありましたが、九〇年は一九・八%と実に五%の伸びを示しております。つまり、設備投資はせっせとやって、バブルでため込んだお金で設備投資をしたが、それが有効に活用されていない、つくったものは、肝心の買い手である国民の懐ぐあいが悪くて金がないから売れないということになっていると思うのですね。  これは日本共産党の統計じゃないですからね、経済企画庁の統計ですから、統計をごまかしたわけじゃない。その統計が冷厳に示していることは、国民の懐ぐあいが悪いから物が売れなくて景気が悪いということに帰すると思うのですね。この解釈には誤りがないと思いますが、いかがですか。
  94. 日高壮平

    ○日高政府委員 委員がおっしゃられました数字については確かにそのとおりであると私どもも思っております。ただし、今おっしゃられましたその数字の解釈につきましてはちょっと意見を異にするということで申し上げたいと思います。  まず、百貨店売り上げ、あるいはチェーンストアを含めた大型小売店販売の数字は確かにマイナスになっておりますけれども、委員御承知だと思いますが、大型小売店販売というのは実際には消費全体の一割にも満たないシェアしかないということで、大型小売店販売がこれだけ落ちているからといって、それで個人消費全体が落ち込んでいるという状況にはない。特に百貨店の場合には、個人消費全体に占めるシェアは五%にも満たない、そういう状況にございます。  たしか本日発表になりました家計調査の実質消費支出を見ますと、これによりますと、例えば十月はマイナス〇・八でございましたが、十一月は前年比プラス〇・二ということで、いわば統計によりまして若干数字の出方が変わってきているということが一つ言えようかと思います。これは大型小売店販売等には、やはり堅調な動向を示しておりますいわゆる家計関連のサービスについての消費が全然統計としてあらわれてこないということが言えようかと思います。  それからもう一つ、全体のシェアが落ちているではないか。確かにシェアがGNP統計の六割を割っているということは御指摘のとおりでございますけれども、これは一つには、いわゆるバブル時代のずっと長い、金額的に消費自体が膨らんでいたものが、先ほどちょっと小野委員からもお話がございましたように、いわゆるそういった過剰消費から最近では堅実な消費行動に移ってきているということのあらわれではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
  95. 正森成二

    ○正森委員 大分るると苦心の答弁をしましたけれども、しかし我々は、百貨店やスーパーというのは一つの指標として言っているだけであって、百貨店がこうだがら全部こうだと言っているのじゃないのですよ。それの例証として、経済企画庁の民間最終消費支出というマクロの点では一番あらわれているのが一貫して低下している、こういうことを言っているのです。  しかもあなたは、何かバブルで使い過ぎておったのが、このごろ堅実になってむしろいいんだという意味のことを言われましたが、一九八三年というのはバブルになるはるか前ですよ。そのときに六〇・一だった。それがバブルの時代も含めて一貫して低下しているのですよ。ここの数字十年分、全部読み上げるわけにいきませんが、例えば年度を省略して言いますと、六〇・一、五九・一、五八・六、五八・三、五八・〇、五七・五、五七・二、五六・七というように、バブルの時代だって上がったときはないのですよ。つまりこのことは、バブルだから浮かれて国民が従来と違ったぜいたく物を買って消費性向がどうかなったとか、そんなものじゃないのですね。傾向的にあらわれているのです。  このことはなぜかといえば、私は余り国会外のことは言いたくありませんが、労働組合側の賃上げが十分に行われない、労働分配率が絶え間なく低下しているということも一つの原因であるということを率直に指摘しておきたいと思います。  もう一つは所得税減税が行われていないということで、私は、所得税減税がどうしても必要だという考えてあります。ただし、本会議でも私拝見しておりまして、赤字国債が必要だというような御意見の党がありましたが、私どもは、財政の健全性からいいまして、時間の関係から一々申しませんが、政府長期債務のGNP比にいたしましても、あるいは国債費の比率にしましても、アメリカを除けば、イギリス、ドイツ、フランスに比べていずれも非常によろしくないという点で、財政の健全性から見てそういうことはすべきではないと思っております。  しかし、恒久的な財源を求めて、減税の必要性は大いにあると思いますが、その点について大蔵大臣、局長の意見だけでなしに、御自分のお声を聞かせてください。
  96. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 正森さんからのいろいろなお話、私も常に傾聴して聞いている方でございますが、今回、今のお話も、極めて論理整然といろいろお話がありました。  確かに民間消費が落ちてきているということは事実だろう、こう思いますが、そのときに、果たしてそれをやったらいいかどうかといういろいろな政策判断の問題というのはあるのだろう、私はこう思いますし、今御指摘のように、赤字国債をどうしますか、こうしますかというような話、これは、日本は諸外国に比べても相当悪い状況にあるというふうに私どもは認識をしておるわけであります。  それではどういうふうな形でやっていったらいいか、こういうことですが、果たして減税をやってできるのかどうか。やはり経済が安定的な成長の方にみんないく、大体これでよくなるよ、こういうふうな雰囲気が出てこないと、なかなかやってもいかぬのじゃないかなという感じを私は持っているわけでありまして、正森さん御指摘のように、いろいろな形で別の財源を求めてという話ならば、それが果たしてどんな形になるのか、そういったことを考えた上でやらなければならない話じゃないかな、こう思っております。
  97. 正森成二

    ○正森委員 もう時間がわずかだというように言ってきましたので、本当はもっと申したいのですが、日高さん、いろいろ言われましたけれども、言っているのは私の意見だけじゃないのですよ。  財源としては、私どもの計算では、資本金十億円以上の企業が四千六十五、これは金融と保険を除いてございますが、それが今現在ため込んでいる内部留保が約百二十一兆円あります。こういうため込んでいるものを外へ出さないでため込み過ぎて、それを設備投資へ回して、余りたくさんつくる、しかし買い手の側が買う力がないというところに非常に大きな原因があるんです。  それをここに持ってまいりましたが、社団法人 の生命保険協会というのがあります。生命保険関係は正確な意味の機関投資家とは言えませんが、証券局長、来ていますね。あなたはもちろん御存じでしょう。それが十二月十八日「株主への利益還元状況等について」という調査と論文を出しております。それを見ると、今の企業というのは自分にため込んで労働者に還元しない、中小企業は下請代金を買いたたくというだけでなしに、ある意味では、こういう表現は適切ではありませんが、株主を搾取しているんですよ。株主に対して十分な還元をしないということをやっているのは問題だということを生命保険協会は言っているんです。これは相当ありますから、もう時間がありませんので要約しますが、これまで傾向的に低下してきた株主資本配当率は、三年度は一・九七%と調査開始昭和四十四年度以来初めて二%割れとなった。一万米国企業は、同年度に業績悪化にもかかわらず配当性向を引き上げ、株主資本配当率は五%台を維持するなど、日米の間に非常に大きな違いがあるということ宣言うた上、三年度末に企業内に蓄積されたプレミアムは資本金の額面部分の二・七六倍に達した。三年度末においてプレミアム部分が資本金の額面部分の五倍を超える企業のうち、百十三社は株主資本利益率が二%未満と極めて低い水準であった。これはエクイティーファイナンスに応じた株主にとって全く不本意な結果となっている、こう言っているのです。つまり、余りにもため込みで株主さえ粗末にしているんじゃないかということを言っているんですね。  多く言いませんが、もう時間になったということですから。配当率を見ますと、配当性向ですが、全上場会社の配当性向は、一九七五年は五九。三%なんです。それが一貫して低下して、八九年度は二七・六%。最近は利益が少なくなったというので、三〇%とかあるいはその次は三七、八%ですか、上がりましたけれども、アメリカの同じ時期の五四%、イギリス六六%、ドイツ五〇%に比べても極端に低いんですね。だから、もし働く人が賃上げでこういう資本のやり方、また株主が、株主総会が無力で配当性向を引き上げるということをしないなら、政府は税金によってでもこういう大企業のため込んでいるものを取って、それをより有効な減税その他景気対策に回すというのは当然のことじゃないですか。
  98. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 企業の蓄積に関しましてただいまの正森先生の御指摘は、これを税で吸い上げて配分をしてはどうかという御指摘。  この側面につきまして考えてみますのに、それでは具体的な今の法人税制の仕組みの中で先生の今のお考えを当てはめてみて、どのようなことがそれに近い処置として考えられるかということになろうかと思いますけれども、私ども思いつきますのは、例えば税法上の引当金制度がございます。こういった引当金制度につきましては、従来からも議論がございまして、あるいは正森先生の御指摘に外れているかもしれませんけれども、そういった引当金制度を大幅に見直して、そういう形によってただいまおっしゃったような目的を果たすことができないかという一つの問題だと思います。  ただし、この引当金制度一つ考えてみましても、やはりこれはもう先生にこちらで御説明をするまでもないことだとは思いますけれども、要するに考え方としましては、各期間の費用と収益が対応する、対応すべきであるという考え方に基づきます費用の適正配分の仕組みでございまして、いわば客観的に合理的な計算をいたしますための処方でございまして、そういった処分をどう先生の御指摘に照らして改め得るかということになりますと、そう簡単なものではございません。御指摘いただきましたことに対してこのような処方があろうということをにわかに思いつかないということで、まことにお答えにはならないかと思いますけれども、ただいまのお求めに対しましてとりあえずの感想を申させていただきました。
  99. 正森成二

    ○正森委員 主税局長は処方せんを思いつかないということです。私は処方せんを持っておったのですが、残念ながら時間が参りましたので、また次回に主税局長と議論をさせていただきます。
  100. 藤井裕久

    藤井委員長 中井洽君。
  101. 中井洽

    中井委員 林大蔵大臣、おめでとうございます。頑張っていただきますようお祈りをいたします。  選挙区である方にお目にかかりまして、どうですかと言いましたら、中井さん、ことしはホールインワンだ、こう言うから、何だろうと思いましたら、パットしないということのようでございまして、パットしないよりか大変厳しい経済状況、本当に一刻も早くできる限りの対策をとらなければいけない、こんなふうに考えております。  そこで、大臣財政演説やら所信表明を聞かせていただいておりますと、冒頭に「我が国経済は、現在調整過程にあります。」こういうお言葉があります。先ほどから答弁の中で大変厳しい経済状況という認識を承りましたが、ちょっとこの「調整過程」という言葉はどうなんだろう。昨年あるいは一昨年ぐらいから政府は使われ続けておられる。そして同時に、今度の総理大臣所信表明演説にはこの「調整過程」という言葉は出てこなかった、こういう記憶があります。大蔵大臣が「調整過程」という言葉を使われておる現状認識、あるいはどういうつもりでお使いになっておられるのか御説明をいただきます。
  102. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 実態的に調整、アジャストメントということでしょうと思いますが、製造業で設備投資が少しずつ減少してきている。設備投資もかつて非常に膨れたのが少し減ってきた、いわゆる在庫調整をやらなくてはいかぬという形でやはり調整をしている、こういうふうに考えているわけでありまして、そういった意味での「調整過程」というふうに御理解をいただけたら、こう思っております。  実は、政府の出しております月例経済報告でも、一月で「我が国経済調整過程にあり、引き続き低迷している。」こういうことでやっておりますし、総理はそういったことを外れて非常に難しい事態だ、こういうことを言っておられますけれども、私の認識もそんなに違いはないというふうに御理解いただきたいと思います。
  103. 中井洽

    中井委員 先ほどからいろいろと御議論ありましたが、本当に今度の不況というのは大変厳しいものだと考えておりますし、本年度の三・五%という政府の目標とされておる経済成長は到底達成できないと考えてもおります。同時に、心配もいたしているわけであります。  一昨年から五回にわたって公定歩合引き下げられましたけれども、株価がちっとも反応しなかった、あるいはマネーサプライがここ数カ月ずっとマイナスになっておる、こういうことはかってないことではないかという思いがいたします。過去も、円高不況あるいはオイルショック不況、いろいろありましたけれども、それらは円高というものを乗り越えればいい、エネルギーの節約を考えればいい、こういうことで出口がわかった。今回はさっぱり出口が見えない、したがって不況を乗り越えるための投資も起こらない、こういう悪循環に陥っているわけであります。  政府が去年十兆七千億というかつてない大きな公共投資中心とした景気対策をとられたこと、私どもはあの金額の大きさ、賛成であります。積極的に国会での早期の成立を目指して御協力を申し上げてまいりました。しかし、あれだけ大きな公共事業中心とする景気対策をとっても、株価は依然として一万六千円台、そして今のような景気の冷え込みの現状、このことを考えたら、もう打てる手を全部打つ。  そういう意味で、あと私は、所得税減税、どういう方法でやるか、財源論いろいろありますが、やらざるを得ないと考えております。同時に、党を挙げてこれを要求していきたい、このように考えておりますが、政府も大体どこかでおやりになるおつもりになっておると私は思いますけれども、要は時期だと思います。これが十二月等に行われたのではさっぱり効果が出てこない。やはり早い時期に行われる。なろうことなら、公定歩合のさらなる引き下げ、あるいは減税、そして皇太子殿下の御成婚、三つぐらい重ならないとうまく 弾みがついてこない、こんな感じすら持っております。  そこで、政府としては、大蔵大臣、総理大臣を含めて、平成五年度予算の会期内の早期成立、そして効果を見るんだ、こうおっしゃるのはよくわかります。同時に、総理大臣は、それでも景気の動向に対して細心の注意をして機敏な対応をする、このようにお答えになっておられます。この細心の注意というのは一体どこを見るんだろう、これをお尋ねしたいと思います。  昨年、私どもの大内委員長が本会議で、景気対策、少し手おくれになったんじゃないかとお尋ねをしましたのに対して、総理大臣はわりかし正直に、数字が上がってくるのは大体大企業で三カ月前、中小企業で五カ月前だ、少しおくれた面もあるかもしれないとお答えになられました。そういう意味で、これから行われるもろもろの減税を含めての政策あるいは対応策はおくれてはならないと私どもは思います。そういう意味で、大臣として、景気の動向、数字、何を一番見ていかれるのか、ここらのことをお尋ねいたします。
  104. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 どの数字を見ているかというお話でございますが、やはりいろいろなことを考えていかないといけないんだろうと私は思うのです。毎日出ています日銀券発行高というのもありますし、それからいろいろな各種の統計、その他もありますから、その辺を総合して判断していかないと物事を誤るだろうと思います。  私も正直申しまして、いろいろな政府の統計というのは、どうしても実物経済の方はおくれちゃうんですね。この前も一月のなにがありましたけれども、政府のいろいろな数字を見ますと十月とか十一月ぐらいになっている。十月、十一月というのでは総合経済対策実施された前の話でありますから、それを見てもしょうがないな、こういうふうに思っておりますし、いろいろなものを見て判断をしていかなければならないと思っています。  というのは、今までの状況と違いまして、例えば消費を刺激すればよろしいとか、あるいは投資を刺激すればよろしいとか、それは公共事業をやればよろしい、そういった形で景気循環波に乗ってきたんですね。これはいわば実物経済的なところでの動きでやれたんだろうと私は思いますが、今回はバブルで、特にバブルの崩壊で金融機関その他のところで大変大きな問題が出てきておるわけでありますから、その辺をどうするかという、その辺がまた実体経済の方に影響してきておりますから、これが非常に複雑にかみ合って影響してきているのが実情だろうと思います。そうした意味で、金融界の数字もいろいろと見ていくことが私は必要だろうと思いますし、そういった意味での総合対策をやっていくということが大切なことじゃないかと思っています。  宮澤総理が言っておられますのも、恐らくいろいろな点を配慮してというのは、単に実物経済的な話とか単純な話じゃなくて、いろいろなことをやっていかなくちゃならないので、すべてのことについて注意深く見ていこう、こういうふうな考えだと私は聞いておりますし、また私もそれは正しいんだろう、こう思っております。
  105. 中井洽

    中井委員 財源問題でいろいろと御議論を聞かせていただいておりまして、大蔵大臣自身も財政を健全に運営していくことに一番力点を置かれておる、このことは、これはこれで立派なことだと思います。しかし、今の公債の残高を含めて、あるいはいわゆる隠し借金のあり方を含めて、今の政治の仕組みあるいは予算編成上の仕組みでやりくりしておったら、健全な財政体質を残していくんだといったって、ずるずると借金がふえていく。かつての国鉄も、毎年毎年健全にするんだ、するんだといって山のような借金を残して民営化に踏み切った、こういうことであります。  私どもは、一番大事なことは、この時期、やはり行財政改革、また政治改革を含めてやっていかないと、景気対策に資する、あるいは柔軟な財政運営、こういうものはできてこないと考えております。  そういう意味で、大臣お一人で自民党の長年の制度をぶち破れるわけではありませんが、私どもが予算あるいはいろいろな質疑等を見ていまして一番思いますのは、平成四年度の予算で補正がございましたが、それなんかでも、民間会社ならお金が足りないんだから圧倒的に削っていく。ところがやはり削らない。削った金額は、七十兆円余りの予算の中で数百億円だ。これではなかなか国民も納得しない。そういう運営の中で赤字国債をふやすのはいやだといったってなかなか通用しないんじゃないか、こんな感じがいたします。  そういう意味で、思い切った行政改革あるいは政治改革を含めたものを、国会も含めてやらなきゃならないと私は思いますが、いかがですか。
  106. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 行政改革について抜本的にメスを入れなければならないというのは全く御指摘のとおりでありまして、今行革審でいろいろと御議論をいただいておるところでもありますし、私たちもそういった形でやらなければならない。しかし、これは、さっきお話がありましたように、今回の予算編成に当たりましてもいろいろと経費節減その他はやろうというふうな、私は五百億なんということではないと思いますけれども、相当な削減はやってきていると思いますけれども、削減をするというのは並み大抵の努力ではない話でありますし、まさにそういった形でのいろいろな行革をいろいろな角度からやっていくということは私に与えられたところの仕事だろう、そういった自分の身を削っていって初めて国民に対して説明ができることになるんじゃないかな、こう思っています。
  107. 中井洽

    中井委員 時間がありませんので、三つだけ項目別にお尋ねをいたします。簡単にお答えをいただきたいと思います。  証券局、おられますか。大臣所信の中に「従業員持ち株制度運用弾力化こういうことがございます。これをちょっと御説明いただくと同時に、労働組合の持ち株制度、従業員じゃなしに労働組合の持ち株制度、こういった発想を取り入れる考えは議論の中にあるのかないのか、これをお尋ねいたします。  二つ目は、過日新聞に載りましたオリンピックの報奨金に対する課税であります。  私は、昨年の委員会で、政治献金を裏でもろうたやつに課税して、オリンピックの報奨金の課税みたいなものは堪忍してやれ、こういったことを申し上げたことがございます。一時所得で課税をされるようでありますが、これは委員会全体としても、オリンピックの金や銀メダルをとってもらった報奨金ぐらいは非課税にする、そういう法律ぐらいつくっていくべきだと私自身は考えていますが、国税当局はどんなお考えか。  それから三つ目は、不良債権の買い取り会社が発足をいたします。大変御苦労なすって、うまくいくことを祈っておりますが、債権だけ動いて肝心の不動産が動かなければ何ともならない。この買い取り会社と不動産関連業界とで実質的に債権を売買し、不動産を有効活用して、不動産市場活性化する話し合い、あるいは仕組み、そういったものを考えるべきだと思いますが、その点についてのお答え、以上をいただいて、終わります。
  108. 小川是

    ○小川(是)政府委員 従業員持ち株会についてのお尋ねでございますが、昨年来検討いたしまして、その運用弾力化しました主な点は、以下のとおりでございます。  現在の従業員持ち株会というのは、会社ごとに持ち株会を持っておりますが、通常入会をいたしますときに、年に一回、ある固定した時期の入会といったようなことになっております。また、例えば、その持ち株会に入りまずときに、私は毎月二万円、三万円で入りたいと言って、給料が上がってまいりまして、それを変更したいと思いましても、これまた年に一回という固定的なことになっております。そこで、この持ち株制度がさらにうまく使えますようにということで、一年を通じで入会を随時にするとか、あるいは掛金の口数を上げる機会をふやすといったような緩和を行ったところでございます。  第二点のお尋ねは、労働組合単位でこの持ち株会というものができないかというお尋ねでございますけれども、これは現在、証券投資信託という制度がございます。不特定多数の方からお金を預かって株式に、あるいは公社債に運用しているわけでございますが、これとの境目という問題がございます。そこで、現在の制度の中では、組合というような一つの法人格を持った単位になってまいりますと、とてもそういうことはできません。現在の個々人が従業員として行う株式の取得というものをみんなでやる、会社単位で持ち株会というのをつくってやるというのが現行の体系の中の限界でございます。
  109. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 お答え申し上げます。  所得税法におきます考え方は、国民の取得いたしました所得というものに対しては広くあまねく課税の対象にこれを取り込むという考え方でございますけれども、幾つか限定的な例外を設けているわけでございます。従来から、ただいま御指摘がございました報奨金等幾つかのものにつきまして、これをその例外とすべきではないかどうかということはこの国会でも議論されてまいりました。私どももそれにつきまして検討させていただいたことがございます。  しかし、これまで、例えば国民の栄誉を担われる賞というものはいろいろな形で存在しておりまして、どれと特定して例外にするということはなかなか難しい。強いて言うならば、長い間一定の時間をかけて国民に対していろいろな労を尽くされる、国民がそれを時間的な評価の中で評価できるようなものがそれに該当するのではないかというような、そういった論議というものもございましたけれども、結局なかなか明確な線を引くことは困難であるというのが今日までの検討状況でございます。  例えば、ノーベル賞の受賞者というのは国際的に認知された一つの受賞であるというふうに理解されておりますけれども、また我が国におきましてもこれにつきましては非課税ということで扱われておりますけれども、アメリカにおきましてはたしか課税になっているはずでございまして、各国におきましてもその点は難しい論議ということになっております。
  110. 寺村信行

    ○寺村政府委員 この買い取り会社のスキームにおきましては、債権を買い取りました買い取り会社は、その担保となっております不動産を市場に売却して債権の回収を図り、金融機関からの融資の返済に当てなければならないということにもともとなっておりまして、担保不動産の売却がいたずらに遅延いたしますと金利負担がかさむということになりますので、できるだけ早期の売却が必要だ、まずそういうスキームになっております。  加えまして、担保不動産が買い取り会社に買い取られる関係で、担保不動産の権利関係の調整をある程度進めざるを得ないということで、通常売却できるような状況になるということが期待されます。  さらに、買い取り会社は、当該不動産につきまして適正、客観、公正な価格で判定するということでございますから、いわゆる実勢価格の評価を基準として債権を購入する、つまり適正な仕入れ価格がその段階である程度実現されているということになりますから、不動産が売りやすい状態になるということが期待されるわけでございます。  したがいまして、極端に不動産市場が低迷している今の状況で、必ずしもすぐには効果が出ると考えられませんが、こういう手続を進めていくことによりまして不動産市場活性化が図られるのではないかという効果期待できる、その段階におきまして、不動産市場もこの買い取り会社の動向についてかなり関心を持って注目をしている、このように考えております。
  111. 中井洽

    中井委員 ありがとうございました。
  112. 藤井裕久

    藤井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時三十六分散会