○堀
委員 この問題は、
自民党の皆さんが賛成していただいたら、もう直ちにこれは実行に移せる問題なんでして、私は、これは
選挙制度の
改革とか
政治資金の問題よりはるかに大きい日本の
政治改革だ、こう
考えて、終始一貫主張してまいりましたけれ
ども、今、塩川さんの御答弁を伺って、ぜひこれを、ひとつ
公明党その他の野党の皆さんと
自民党の皆さんでどういうふうにしてやるか。今の官吏の出向なり
衆議院法制局の強化なり、やはり体制をつくりませんと、ただやると言ったってなかなかいきません。ですから、そういう
意味で、
選挙法のようなものは
お互い自分
たちの問題ですから皆真剣に勉強していますからいいのですけれ
ども、そうでないものがかなりあります。
それから、今、塩川
委員がおっしゃったように、実は私は大蔵
委員会に長いのですが、大蔵省という役所はできるだけ
法案を出したくないのです。私が当選したころは、一
国会に四十本ぐらい法律が出ていました。ところが、最近はもう十数本。それは法律を少なくして後は政省令でこうやってしまう。そうすると議会の承認が要らないものですから、行政の範囲でやれるということになるわけですね。
ところが、私、大蔵
委員会が長かったものですから、党の方からちょっとどこかへかわれ、二年くらいかわれと言われまして、商工
委員会に参りました。商工
委員会に行って法律を見ておりますと、一体これは法律として必要があるかなというようなものが出てまいりました。そこで内閣法制局を呼びまして、一条一条、これは法律にしなくてもできるのではないですかこう聞きましたら、確かに法律にしなくてもよろしいですが、法律であった方がよりいいかと思います。第二条、第三条、全条令のような答弁を内閣法制局の長官はするわけですね。帰りにエレベーターで一緒になりましたら、堀先生、ひどいですよ、私
たちが通産省に言ったことを先生が私にぶつけられるのじゃたまったものじゃありません、私
どもも通産省にこれは必要ないと言いました、しかし、何とかしてくれと言って出たものをとこう言うから、それは君らが責任があるのじゃないか、これは法律にする必要はありません、ありません、ありませんとはっきり断ってしまえば
法律案で出てこないのだ。
それはどうしてかといいますと、大蔵省は御承知のようにすべて直接行政です。免許を持って、直接行政になっていますから、大体上からぽんといって、これに逆らうことはできないのですね。ところが、通産省というのは御承知のように間接行政ですから、企業をこう向けようとかああ向けようとか
考えますと、ちょっとなかなか行政の力ではそういかないのですね。そこで法律が要るということが通産省のOBの人の話を聞いてわかりまして、ははあ、なるほど役所のあり方、要するに産業界なり金融界なりとの関係、いろいろなあれでそういうものに違いができるのだな、こういうことを大変勉強いたしました。
それはちょっと横へどけますけれ
ども、そこで実は本論に入るのでありますけれ
ども、私はこの併用制の問題というのを
考えますときに、これはその国の要するに今後の
政治のあり方、それに非常に関係があると思うのです。これから改正するのですから、これは後ろへ向かっての話ではなくて、未来へ向かってこの
政治資金なり
選挙制度は働くわけですからね。
私はもう既にこの間予算
委員会で、中央集権から地方分権へ、道州制という問題を実は
提案をさせていただいているわけであります。日本は戦後ともかく垂直型の非常に権力の強い
政治行政構造になっておりまして、それが許認可事項に象徴的にあらわれているわけですね。この許認可事項なんというのは、これは法律でも何でもないものがいっぱい入っているわけです。ところがそれを、行政が力があるものですから、要するにそういうもので、そうすると民間の皆さん、その許認可を得るためにこれは大変なんですね、実は。こんな国は先進国で日本だけじゃないか。だから、少なくとも中央官庁のこの縦型のシステムを改めるのには、やはり水平型の地方分権、西ドイツは水平型地方分権でありますけれ
ども。ですから、道州制にして、道州議会があり、道州知事があり、そうしてそこで要するに道州内のいろいろな、まあ国全体の問題、この前も予算
委員会で申し上げましたけれ
ども、防衛の問題とかあるいは外交の問題とかあるいは国際金融の問題、要するに外側の問題との関係では私はやはり中央省庁というものがなければ
処理はできないと思いますが、要するに
国民生活に直接関係ある厚生省所管とか文部省所管とか、税に関しても大蔵省所管とか通産省所管とか、これはもう道州の自治体が
処理できればいい、こう
考えておるわけでして、そのモデルは実は西ドイツのこの連邦政府というものが大変うまくできている。
それはどうしてかというと、御承知のようにドイツはプロシャ時代から上から下へのこういう形があって、普仏戦争あり第一次大戦あり第二次大戦ありと、ともかく欧州ですべてのドイツ以外の国を侵略し、大変なひどいことをやった。その反省で、実はドイツは戦後に西ドイツがまず連邦国家となり、そうして州政府というものに大きな権限を与え、同時に上院は州政府の代表が入っている。こういうことで、極めて水平的な実は地方分権がドイツでは行われているわけであります。この
制度に見合う
選挙制度というのが、実は西ドイツにおける併用制の問題でございます。
私は、昭和三十五年の一月から公職
選挙の特別
委員と大蔵
委員になりました。今回は予算
委員になりましたから公職
選挙の特別
委員になっておりませんけれ
ども、約三十年余り
選挙法にかかずらわってきたわけでございまして、その中で一貫して私は併用制というのを主張しておりましたが、今回、
公明党の皆さんも御
参加いただいて、この私がかねて主張しておりました比例代表併用制が党の案になったということは、私は三十年もうひたすらこの問題にかかわって大変うれしく思っておりまして、皆さんの御協力に心から感謝をいたしたいと思います。
公明党の皆さん、ありがとうございました。
そういう経緯でございますので、そこで、今の問題の中で小
選挙区の問題についてちょっと触れさせていただきますと、実はこれもイギリスの地方
制度に関係がございます。このイギリスの地方
制度というのをちょっと調べてみたのでありますけれ
ども、
英国においても、中央政府による地方自治体のコントロールは広範に行われている。英国は、国王を国家元首とする君主制国家であり、国法学的見地からいえば、立法も行政も司法もすべて国王に淵源を発するが、以下では一応三つに区分して、中央の地方へのかかわり方を概観する。
こうございまして、まず「立法的コントロール」、
地方自治体のあらゆる活動に、法律上の明認された根拠が必要とされるが、その法律の定め方は、一般的にいって、非常に具体的であり、厳しい枠がはめられている。このため、地方自治体が成文法上で明認されていない先駆的な行政を行おうとする場合は、自団体のみに適用されるべき地方法の制定を
国会に求めなければならない。そのような場合でも、
手続きは繁雑かつ経費がかかるうえ、
国会で可決されない場合も多い。一部の論者は、地方自治体に「包括的権能」を付与すべきことを提言してきているが、大方の世論とはならずに長年過ぎている。
二番目が「行政的コントロール」で、
条例の承認 地方自治体は、それぞれの根拠法の定めるところに従って、条例を制定することができる場合があるが、その場合、中央政府の主務大臣の承認が必要である。自治体による条例の制定は、自主立法というよりも委任立法としての性格が強く、法律による具体的・個別的根拠なしには、制定することができない。
その次に今の「委任立法」の説明があって、その次に、
指揮・監督 今日では、自治体行政に関連するほとんどの法律の中に、中央政府による監督等を認める規定が織り込まれている。それらの規定は、一般的、抽象的な監督を定めるにすぎない場合もあるが、一九四四年教育法のように、中央政府の主務大臣が、「その監督と指揮の下に、地方教育当局〔教育行政所管自治体〕が国家的政策を有効に遂行することを確保する」責任を負うといった、積極かつ具体的な定め方をしている例も多い。
こんなふうに、イギリスは地方自治体と言いながら、中央政府がもう細かいことまで条例をつくるについてもコントロールしているという
意味では、これを垂直型分権、こう言われておりますけれ
ども、これは分権じゃないですね、私
どもから見ましたら。日本の自治体の方がはるかに私は水平的分権に近い、こう思うのであります。
ですから、このイギリスのそういう
政治構造、自治体と中央の関係というものを規定している
もとは、やはり現在の小
選挙制というものの中にあらわれているのではないのか。要するに、
国民の多様な要求というものが十分表に出なくて、要するに労働党か保守党か。そうすると、保守党と労働党がかわったら今のような分権を、水平的分権を労働党がやるかといったら、これもやらないということになってくると、政権が交代するということはどういう
意味があるんだろうかと思うぐらいに、このイギリスの地方
制度を見ると大変厳しい
制度になっておる。
ですから、こういう垂直的分権と、それからドイツの例をちょっとここで引きますと、これはちょっと資料が古いので西ドイツになっていますが、
西ドイツは、一一の邦(Land)からなる連邦国家である。各邦は、連邦と同じく憲法を定め、独自の議会と政府、裁判所も有している。
連邦と邦の関係は、基本法(Grundgestz=憲法に相当する。)に定められている。
連邦には、連邦大統領が置かれる。任期は五年であり、連邦議会(下院)の
議員と、比例代表により邦議会が
選挙するこれと同数の代表で構成される「連邦
会議」において
選挙される。
連邦大統領は、国際法上連邦を代表するものとされており一基本法五九)、いわゆる国家元首であるが、実質的な行政的
機能はほとんどなく、象徴的存在として位置づけられている。
連邦の行政権は、連邦議会に基礎を置く連邦政府に委ねられている(基本法六二)。連邦政府は、連邦議会が
選挙し、連邦大統領が任命する連邦首相と、連邦首相の推薦で連邦大統領が任命する連邦大臣により構成される。
立法府は、二院制であり、連邦議会と連邦参議院から構成される。連邦議会は、
国民代表的性格を有し、その
議員は、普通、直接、自由、平等、秘密の原則により
選挙される。
これが併用制でありますね。
連邦参議院は、邦を代表する性格を有し、邦まあ州と言った方がわかりやすいかもしれませんが、
邦政府が任命する邦政府の閣僚により組織される。各邦政府は、人口数に応じて定められる定数(三~五)と同数の連邦参議院
議員を任命するが、
議員の代理出席も認められる。また、連邦参議院
議員には任期がなく、邦政府は、議長に通告することにより、いつでも
議員を交代させることができる。
議会と政府との関係についてであるが、連邦議会は、後任の連邦首相を
選挙し、連邦大統領に連邦宰相に対する
不信任を表明することができるものとされ(基本法六七)、また、自己への信任を求める連邦首相の動議が連邦議会で否快された場合には、連邦大統領は、連邦首相の提議に基づき連邦議会を解散することができるとされている。ただし、連邦議会が後任者を
選挙したときには、解散権は消滅する(基本法六八)。
こうなっておりまして、要するに西ドイツは、邦が言ってみたら
一つの国みたいなものなんですね。この国の上に本当の
意味の連邦がある、こういう格好でありまして、まさに
国民の意思がそういう、私の表現をかりれば、道州の中で物が決まるという形では、私
たちは、同じ、かつて上から下への権力構造であったものを今度はもう少し、今もまあ昔どおりではありませんけれ
ども、もうちょっとそういう水平的な地方分権のあり方に改めるということが必要ではないか。
そうなると、ここでは結局、要するに水平的分権というのは、その
国民の意思が正確にあらわれるという
意味で比例代表の併用制が行われておるわけでありますから、その
国民の意思に基づいてすべての行政が行われるというのが、私は、やはり基本的に
民主主義の国の
制度のあり方ではないか、こう
考えておるわけであります。
ひとつその私の
考えについて、どなたにお願いしましょうか。元自治大臣。