○渡部(一)
議員 委員のお許しをいただきまして、私から一言お答えさせていただきたいと存じます。
さすがに多年にわたる御研さんの跡、御研究の深さというものが示されたたくさんのヒントを述べられ、敬意を表したいと存じます。私
どももまさにこの案をつくるに当たって長い間苦労した部分について、ほとんど全部お触れになりました。
まず、小党分立の歯どめというものについて率直に申されました。
小党分立の問題につきましては、私
どもは、
日本の
政治意識というものが成熟してくるというのに従って小党分立は少なくなるというような甘い
考え方ではできないなということから始めないといけないという認識を持っているわけでございます。したがいまして、ブロック制のやり方というものが小党分立の歯どめになるとひどく大きく期待された時期があるわけでございますが、それだけでは決してできるものじゃない。例えば鳥取県と島根県を同じブロックに入れる、それがいいのかどうか、岡山県と入れた方がいいのか、広島県と入れた方がいいのかというふうに、ブロックの成立をしようと思いますと、
我が国におきましては、現在執行されている都道府県制というものを道州制に、あるいはもっと大きな広域行政体制に変革しようという議論とまさに絡んでくるわけであります。その方もまだ議論の決着がついてない段階でブロック制というのをしきますと、明らかにその議論の結果を先取りする格好になるな、ここがまさにつらいところでございます。ある程度のブロック単位にする、そして今までのような都道府県単位じゃやり切れない、広域行政がいいというやんわりした合意はありますけれ
ども、そちらへ向かっての合意がないという段階でこの案を出しますと、そのブロック制の成り立ち方、ブロックの切り方、それについて多くの議論が出てくるということは、率直に言って認めなければならないと存じます。
したがって、こうした方は同時に広域行政について、地方分権についての見解を一緒に進めていかなきゃならない。私
どもは、したがいまして、この案を出す前後、自治大臣にもあるいは総理大臣にも、地方分権に対する強烈な前進をひとつしていただきたいということを何回も申し上げたわけでございますが、御答弁としてはそういう雰囲気になってまいりましたし、それから首都圏移転の問題と絡めましてそういう方向が出てまいりましたので、多少の出入りはありましても、このブロック制という方向に行くなというある程度の確信を持ち始めた。決して答えではありませんけれ
ども、そういう方向があるのではないかなと今思い始めて、このブロック制のところに依拠しようとしているわけでございます。したがいまして、完璧な答えではございませんが、明らかに次の
政治の先取りをしたというふうに御
理解いただければ、何とかお許しをいただける点もあるのではないかな、こんなふうに思っているわけでございます。
それから、二票制についてでございます。
まさに一票制と二票制の問題について相当の議論がございまして、私
どもが統一した
考え方につきましては、一票二記載制という、それこそ憲法上の問題その他さんざん討議をいたしまして、辛うじてクリアしたというところに今論議を立てているわけでございます。後ろの方から、辛うじてクリアしたのは間違いであって、悠々クリアしたというふうに言えと叫んでおりますから、そういうふうに言い直してもよろしゅうございますが、最近連用制の議論の方でも、一票制なのか二票制なのか、やはり同じところでいろいろ御議論があるというふうに承っておりまして、私
どもの
意見と同じところでやはり苦労しておられるなと痛感しているわけでございます。
私
どもは、この異
党派投票、これはドイツあたりでは悠々と異
党派投票というものを認めた上での実際の実行というものをやっているわけでございますが、私
どもについては、その異
党派投票をするということの文化的意義すら何か合意がまだできているようなできてないような雰囲気なのでございます。そして無所属の
候補者について立候補できるように、
国民の世論をなるべく吸収しようというこちらの善意があったわけでございますが、それを広げてみたところが、その無所属
候補者が小
選挙区制で当選してしまいますと、その方は一票であるにもかかわらず、今度は
政党を指名することによってもっと多くの権利を持ってしまう、これはどう考えてもいかぬというので、無所属当選者の場合は一応こっちの
政党の
投票の方をオミットしてしまう、それで帳じりが合ったような
感じがしておるわけでございます。
ところが、よく考えてみますと、バラエティーのある選択権を、一方の人には、こっちはバラエティーがあるが一方の方はバラエティーがないよという言い方のやり方をするということは、均衡性、均等性という
意味で、均衡はとれていますが均等性を欠いておるな、こういう
感じはまさに受けているわけでございまして、私たちも、それは心理的にはちょっとぎしぎししている
感じを受けていることは、もう御
指摘のとおりでございます。
また、無所属のダミー候補を出して何とかかんとかという作戦は、実は
自民党の御提案者あるいは
質問者の中に、そういう戦略をとって社会、公明両党が組んだらどうなるかという恐怖に駆られての御
質問が何種類かあったのです。私
どもは、まだどこと組むと何にも公明党は言っておりませんのに、最近ほかにもてておりまして、社会党からももてておりますのはもちろんのことでございますが、
自民党各派からももてておるわけでございまして、こういう議論というものは、同じように、こういうダミー候補、しかも強力な候補を無所属におろしておいて、
政党投票の方は別の形で取り上げていくというテクニックが実はどうしても生じてくる。それは運用制の方の御議論の中でも消化しなければならない御議論ではなかろうか、そんなことを思っておるわけでございます。
先生は
並立制の御
指摘をされましたが、
並立制の議論の一部にはそれをクリアする方法があるのは私
どもも
理解しております。ただ、
並立制によってしまいますと、単純小
選挙区制をもう
一つ悪い
制度に道を開いてしまうなという心配もこちらはあるわけでございまして、この辺は十分議論さしていただけるとありがたいなと実は思っております。
それから、私
どもの
制度が、二百五十、二百五十に将来した場合には、超過
議席が四十出るよという先生の御
調査、御
調査に敬意を表しますけれ
ども、実際、具体論では、シミュレーションをもう少し詳しくいたしますと、そんなに出ないなという自信を持っております。途中で粗っぽい計算をいたしますと、確かにそういうどかんという数字が出て、大変なことになると思った時期もあるのでございますが、実はその計算式を現在の西ドイツに当てはめてみますと、実際には一ないし二ぐらいしか西ドイツで超過
議席が出ない。その同じルールを考えてみますと、とてもそんな数字にはなり得ないのではないかなというふうには考えているわけでございます。
いずれにせよ、先生が大変たくさんの点についてまさにポイントをお示しいただきました。きょうは議論がそれほどたくさん、細かくお答えすることもできなかったと存じますけれ
ども、こういう
お話し合いをしてくださる態度の中に将来の合意が見出せる点がありとすれば、大変ありがたく感謝をいたしているところでありまして、さすが先生のふだんの御見識というのはこんなものかと、深く敬意を表するわけでございます。