○関
政府委員 お答え申し上げます。
先生今御
指摘ございましたように、中小
企業対策と申しますのはいわば生きた
経済を
対象にしている面がございますので、情勢の変化に応じて、時に応じまして見直しをするということが大事だと私
ども考えておりまして、これまでも幾度かその見直しをいたしたわけでございます。
たまたまことしは中小
企業基本法が
制定されましてから三十年が
たちまして、この間に、今先生御
指摘ございましたように、
経済の成熟化でありますとかグローバル化でありますとか、あるいはまた
消費者の価値観の変化等々中小
企業をめぐる環境も随分大きく変わっておるわけでございますので、今の施策の体系でよろしいのかどうかという点、それからまた、これまでのさまざまな御努力によりまして非常に広範な、また精密な施策をいろいろ講じさせていただいておるわけでございますが、一方で、この施策がもう少しわかりやすくならないか、もっと使いやすくならないかという御
要望もあることも事実でございます。
こういったようなことも踏まえまして、私
ども、中小
企業政策
審議会に
基本施策検討小
委員会というものを設けていただきまして、実は昨年の秋以降
検討をさせていただいておるわけでございます。実はこれは
審議継続中でございまして、次回は六月の十四日に開くということでまだ結論を得たわけではございません。ございませんので、
最終的にどういう御答申をいただけるのか今の段階で申し上げることはできないわけでございますが、その
検討の
対象といたしましては、中小
企業施策の理念あるいは位置づけ、あるいは今後の政策展開の方向といったようなことにつきまして、過去十二回にわたりまして、この
委員会における
審議、あるいは中小
企業を直接経営しておられる方や組合の方の御
意見、あるいはまた中小
企業を日ごろから指導しておられる都道府県でありますとか商工会、商工
会議所の方の御
意見、こういったさまざまな方面からの御
意見をいただきながら
検討を続けておるというところでございます。したがいまして、まだ
最終的な結論になっておりませんが、せっかくのお尋ねでございますから、現在までの
審議の方向というものを御
報告申し上げます。
これまでの
審議経過等を踏まえますれば、この小
委員会の取りまとめの方向といたしましては、現行の中小
企業基本法の体系を前提としつつそのもとで新たな政策展開を求めるものでございまして、直ちに中小
企業基本法の
改正を要するという提言はなされない方向にあるものと私は考えておるわけでございます自私
どもとしては、この答申をいただきましたならば、これに基づいて今後現下の情勢に対応する中小
企業施策の展開を図ってまいりたいと思っておるところでございます。
次に、具体的な問題といたしまして、中小
企業の政策の
対象と申しましょうか範囲と申しましょうか、定義についてのお尋ねがございました。私
どもも報道につきましては承知をいたしておるわけでございます。それで、これにつきましても実はこの基本
検討小
委員会で御議論をいただきました。いただきまして、これもまた結論が出ておるわけではございませんが、大きな流れを御紹介させていただきたいと思います。
先生御案内のとおり、今の中小
企業の定義には従業員
基準と資本金
基準という
二つがございます。議論の方向といたしましては、従業員
基準については、その後の推移を見ましても一
企業当たりの従業員規模等がほとんど余り大きく変わっていないということもございまして、これについては見直すべき理由はないのではないかということでございます。
次に、資本金
基準につきましては、今の定義、すなわち製造業では資本金一億円、それから卸売業で資本金が五千万円、それから商業・サービス業では一千万円ということでございます。これについてもレビューをいたしましたが、製造業につきましては今のカバレージで大体九八%がカバーされておるということでございますが、卸、小売・サービス業についてはカバレージが下がっておることは事実でございます。そこで、昭和四十八年以降の
経済規模の拡大とか物価水準の上昇から見て、特に卸、小売・サービスについて見直すべきそはないか、議論の余地があるのではないかという議論の展開がなされております。特にサービス業の中で、
業種によりましては非常に資本装備率が高いものあるいは業態が製造業に類似しているもの等々も最近出てきておりまして、こういうものについては見直していく必要もあるのではないかという議論もございました。
しかしながら、一方、中小
企業の定義を変更いたしますと幾つかの問題が出てくることも事実でございます。
例えば限られた予算の中で施策が上位シフトするのではないかという懸念が
一つございます。あるいはまた、規制法、調整法がいろいろございます。例えば下請代金支払遅延等防止法、下請中小
企業振興法あるいは事業活動の調整に関する
法律といったようなものがございますが、こういう
法律につきましては、範囲が変わることによりましてこの行政の
内容が変わってこざるを得ない。すなわち、拡大いたしました場合、今までいわば規制
対象になり得たものが今度は保護
対象に入ってくる、そういった問題をどう考えるか、あるいは三番目に税制との
関係をどう考えるか等々多岐にわたる新たな問題が出、これらを
検討することも必要になってくるわけでございます。
そこで、この範囲の改定の問題につきましては、今回の結論は、今後実態の把握に努めつつ
検討を継続していくというような方向になり得るのではないかと考えておるわけでございます。
ただ、先ほど申し上げましたように、一部のサービス業等におきましては、その形態、業態等から製造業に非常に類似したものがございます。こういったものについては、実はサービス業につきまして基本法を直してその対応をするというようなサービス業の業態についてのある程度の明確な概念なり範囲なりについての整理がまだ十分できていない点もございます。そこで、一部のサービス業については個別施策において必要な施策の
対象に加えていくといったようなことを
検討したらどうかといった方向の結論になるのではないかと私
どもは
理解をいたしております。
いずれにいたしましても、今後さらに
審議会が開催されますので
最終的な方向は私
ども何とも申せませんけれ
ども、今の状況は大体そのような方向になりつつあるということを御
報告させていただきたいと思う次第でございます。