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熊野政府委員 委員御
指摘のとおり第二条第一項三号におきまして、
他人の
商品の形態を模倣した場合に「
最初に
販売された日から起算して三年を経過したものを除く。」というふうになっているわけであります。これは、そもそも
商品の形態の模倣が
不正競争と考えなければいけないというゆえんは、いわば先行者がお金を投じましたり、あるいは労力を投じたり知恵を出したりいたしまして
商品化をした成果にフリーライド、ただ乗りをするということは
競争上不正ではないかということで
不正競争行為というふうに考えたわけであります。
こういう趣旨にかんがみてみますと、基本的には模倣を
禁止するのは先行者の投資回収期間におおむね
限定することが適切ではないかというふうに考えられるわけであります。そこで、先行者の投資回収期間を一律に決するということは、確かに事例によって異なりますからなかなか難しいわけではありますけれども、一方で差しとめということを認めているわけでありますから事業
活動にも重大な影響を与えるという点もあるわけでありまして、やはり政策的見地から一定の確定期間を定めることが適切ではないかということになるわけであります。事実、
特許法等におきましても、例えば発明等の価値はその事案によってさまざまであるわけでありますけれども、政策的な見地から
権利の存続期間については一律の期間を定めているわけであります。そういうふうに他の
知的所有権法におきましても政策的見地から一定の確定期間を定めている。
それから国際的に見ましても、実は現在ECにおきましてライフサイクルの短いデザインの
保護を
目的といたしまして、登録をされていないデザインにつきましても模倣に対し差し
とめ請求権を与える制度を
検討中でございます。まだでき上がっておるわけではなくて、共同体の意匠に関するEC
規制案ということで提示をされておるわけでありますけれども、この案におきましても
権利期間はデザインの公表時から三年間ということに実はなっております。そういう
意味で
国際的ハーモナイゼーションという
観点からもこの期間決定については三年ということが考えられるのではないか。
さらに、
実態上いろいろなケースを調べたものがございます。社団法人
日本デザイン
保護協会が
平成三年十月に発表しております報告書で、意匠とかいうものについての、どのくらいの期間持っているかということを調べているわけでありますけれども、これは業種によって非常に差がございます。非常にライフサイクルの短いものから長いものまでございますけれども、比較的長いものでも実は千数百日というぐらいになっているわけであります。千二百日とかそういうことでございますので、そういう
観点からも三年ということが一つのあれではないかというふうに考えたわけであります。したがいまして、いわば三年というのは
国内の
実態、それから国際的な
ハーモナイゼーションあるいは他のいろいろな関連の
法律との
関係等々勘案して三年としたわけであります。
しかしながら、そういう期間の設定は期間経過をした後デッドコピーをやっていいよと積極的に認めようという趣旨でないことはもちろんでございまして、
法律上は違法とされないということでありましても本来
他人の創意工夫あるいはいろいろな労力によって得たものを模倣するということは
商業道徳上歓迎されるべきものではないというのは
社会通念であろうと思います。そういう
意味で、この三年に限るというものが積極的にそういう期間経過後のデッドコピーを認めたものでないことは
委員御
指摘のとおりでございます。
なお、その
商品の形態が
商品等
表示として
需要者の間に広く認識されるように至った場合は、
本法の第二条第一項第一号の
混同惹起行為に該当する場合はあり得るわけでございます。したがいまして、そういう場合にはこの
混同惹起行為として
規制の
対象となつ得ると思います。もちろん個々の事例によって
判断をする必要はありますが、
一般的に申し上げればそういうことではないかと思います。
また、不法
行為の
要件を満たす場合には、当然のことでございますけれども民法に戻って損害賠償の
対象とはなり得るということでございます。