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麻生政府委員 非常にたくさんの御示唆をいただきまして、ありがとうございます。多面にわたっておりますけれ
ども、逐次私
どもの考え方を御
説明申し上げたいと思います。
第一は、何もかんも
特許庁でやらずに、もう少し
関係団体を使って官民一体で仕事をしたらどうかという
お話でございました。
その点は、まさに私
どももそうしなければいけないと考えておるわけでございまして、できるだけ民間で行えるものは民間の方に移していく、あるいは民間に委託するということでやっていきたいと思います。また、今までもいろいろなその
努力をやっておるわけであります。そういう点で一番はっきりいたしておりますのは先行
技術調査の下調べでございます。これは、
平成五年度の予算では八万件強の先行
技術調査を民間に委託するということでやっております。将来は十万件まで上げたいと思っておりますけれ
ども、これは
審査負担というものの軽減あるいは
審査促進に非常に役立つということでございまして、いわば
審査業務の一部を外部にいろいろな形で手伝ってもらっておるということでございます。
また、情報提供の面でございますけれ
ども、御
指摘がございましたように、JAPIO、
日本特許情報機構というのができておりますが、そこに
特許庁でいろいろな形で蓄積されました情報につきまして使いやすい形で民間に開放するということでございまして、これも
特許庁の民間への情報
公開、情報提供という役割につきまして非常に重要な業務分担をしておるということでございます。
御
指摘のございましたようないろいろな納付金手続等々の問題につきまして
弁理士会あるいは
発明協会というものを活用したらどうかということでございます。こういう点につきましてもいろいろな形で具体的に検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
それから、二番目の点は、この特別会計の中で庁舎まで見るのはどうかということでございます。
五十九年に特別会計ができたわけでございます。御承知かと思いますが、当時、溜池で大変古くなっておりますし、それから傾いてしまっておるというような
状況でございまして、このペーパーレス計画、庁内の仕事の能率向上というためには、やはり庁舎からやり直して新しいシステムを構築する必要があるというような
状況でございました。また、庁舎がなければ私
どもの仕事もできないということでございまして、職場の仕事をやっていくために庁舎というのは基本的に必要な条件だったということでございます。
そういうようなことで、特別会計の中では、いわゆる施設費ということで特別会計法の中に歳出
項目という形で庁舎の建設費が計上されているわけでございます。
今
先生の方から他の特別会計の事例をいろいろ
指摘なされました。私
どもが調べた限りにおきましては会計、いろいろな区分があるようでございますけれ
ども、いわゆる具体的な事業を行います特会につきましては、それに必要な施設というのは特別会計の中で賄われておるというようなことでございます。したがいまして、この点は、特別会計
制度というものをとっておる以上は非常に難しい課題ではないかと思っておるわけであります。
三番目に、ペーパーレスシステム、これは御
指摘のように私
ども非常に大きなお金をかけて、長い
期間をかけて開発をしてまいりました。このシステムは、いろいろな形で、今もそうでございますし、開発当初非常に先端的なシステムであったわけでございます。これを他省庁などに使わせたらどうかということでございます。ここで組まれましたシステムそのものはそういうことで非常に先端的なものでありますし、その後の経験もございますからいろいろな形で他省庁の似たような業務をしておるところでは活用できるのではないかと思います。そういう
意味では、必要に応じましていろいろな知識、経験、ノウハウを提供し、場合によりましてはまた一部お互いに使うというような方法がないかどうかよく研究をしていきたいと考えるわけでございます。
それから、四番目の
中小企業の問題でございます。
今回、料金値上げをさせていただこうということでお願いをいたしておりますが、御
指摘のように、
中小企業あるいは個人の
発明家の皆さんに対する負担という点につきましてどうするかということでございます。
御
指摘のように
アメリカでは料金
制度をそもそも二段構えにしておるということでございますが、
日本は、るる
説明いたしておりますように受益者負担という考え方を基本といたしまして特会をつくって運営をいたしております。そういう
状況の中で、この二段料金というのは大変難しいわけであります。しかし、
中小企業の皆さんへの影響の緩和という点は何らかの形で考える必要があるということでございまして、
中小企業対策という形で考えていきたいと思っておるわけでございます。具体的には、現在のような
状況のもとでは、
制度改正に伴って、あるいは今後の
中小企業の皆さんの
特許戦略、研究開発戦略という
意味からも、先行
発明の調査ということが非常に重要な意義を持つ時代になっております。この
中小企業の先行
技術調査を何とか補完するという形によりまして負担の軽減を図っていきたい。これが十分できますと、
権利化する見込みのないむだな
出願を回避できるということにもなるわけでございまして、
中小企業の皆さんの負担軽減に直接なっていくということでございます。具体的には、全国にございます
発明協会あるいは
商工会議所あるいは商工会あるいは通産局というところを窓口にいたしまして、そこに
中小企業の皆さんが来られますと、この
発明との
関係で先行
技術がどうなっておるかというようなこと、あるいはこういう製品の場合にどのような
技術との抵触があるかというようなことについて相談員に相談をするということになりますと、この相談員が先ほどのような
特許庁で蓄積されたデータ、これが
日本特許情報機構の中に蓄積されております、またいろいろな形で引き出せるようになっておりますから、これを引き出しまして、いわゆる先行
技術調査書をつくり、これをお渡しするという形で
中小企業の皆さんの負担を軽減するという方向で持っていきたいと考えておりまして、今具体的にこの準備を行っておるという
状況でございます。
それから、最後に、やはり増員ということをやらなければ本当の
意味でその
審査促進ができないのではないかという御
指摘でございました。
確かに最後は、結局は
審査官がちゃんと
判断をするということでないと
審査は終了しないわけであります。人員増ということは
特許庁もいろいろな形で
努力をいたしております。一方で行政
改革、国家公務員の定員は総員として抑えられておるということでございまして、一方で増員をしますと他方では全体として減員をしなければいかぬというような
状況でございますから、増員は今の環境下では大変難しいわけでございます。そういう
状況の中で、
関係者のいろいろな形での協力を得ながら増員を図っております。五年間で
審査官は百七十七人増加いたしております。これは少ないではないかという御
意見もあろうかと思いますが、一方で減員をされておるような省庁、部局から見ますと、全く夢のような話であるというふうにも言われておるようなことでございます。私
どもといたしましては、何とか今後とも増員
努力を一層続けるということでやってまいりたいと思う次第でございます。