運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1993-04-02 第126回国会 衆議院 商工委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年四月二日(金曜日)     午前十時一分開議  出席委員   委員長 井上 普方君    理事 新井 将敬君 理事 井出 正一君    理事 金子 一義君 理事 額賀福志郎君    理事 山本  拓君 理事 竹村 幸雄君    理事 安田  範君 理事 遠藤 乙彦君       甘利  明君    岩村卯一郎君       尾身 幸次君    古賀 一成君       古賀 正浩君    谷川 和穗君       中島洋次郎君    真鍋 光広君       増田 敏男君    村田 吉隆君       江田 五月君    大畠 章宏君       小岩井 清君    後藤  茂君       清水  勇君    武藤 山治君       安田 修三君    吉田 和子君       和田 貞夫君    長田 武士君       春田 重昭君    小沢 和秋君       川端 達夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  森  喜朗君         国務大臣         (経済企画庁長 船田  元君         官)  出席政府委員         公正取引委員会 小粥 正巳君         委員長         公正取引委員会 矢部丈太郎君         事務局経済部長         公正取引委員会 植松  勲君         事務局取引部長         公正取引委員会 糸田 省吾君         事務局審査部長         経済企画庁調整 長瀬 要石君         局長         経済企画庁調査 土志田征一君         局長         通商産業大臣官 江崎  格君         房総務審議官         通商産業大臣官         房商務流通審議 細川  恒君         官         通商産業省通商 岡松壯三郎君         政策局長         通商産業省貿易 渡辺  修君         局長         通商産業省産業 熊野 英昭君         政策局長         通商産業立地  堤  富男君         公害部長         通商産業基礎  牧野  力君         産業局長         通商産業省機械 坂本 吉弘君         情報産業局長         通商産業生活 高島  章君         産業局長         中小企業庁長官 関   收君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局官房審議 塩田 薫範君         官         法務省民事局参 升田  純君         事官         法務省刑事局刑 鶴田 六郎君         事課長         社会保険庁総務 池田  登君         部経理課長         農林水産省食品         流通局企業振興 米田  実君         課長         労働大臣官房参 後藤 光義君         事官         建設大臣官房地 峰久 幸義君         方厚生課長         建設省建設経済 風岡 典之君         局建設業課長         会計検査院事務         総局第二局上席 西村 七夫君         調査官         会計検査院事務         総局第二局労働 金田 政信君         検査課長         商工委員会調査 山下 弘文君         室長     ————————————— 委員の異動 四月二日  辞任         補欠選任   甘利  明君     山口 敏夫君   吉田 和子君     小岩井 清君 同日  辞任         補欠選任   小岩井 清君     吉田 和子君     ————————————— 三月三十日  綿織物等の実効ある輸入秩序化対策の確立に関  する請願(木村義雄君紹介)(第一〇九三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 井上普方

    井上委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。  厚生委員会に付託されております内閣提出福祉用具研究開発及び普及の促進に関する法律案について、厚生委員会に対し連合審査会開会を申し入れたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井上普方

    井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  なお、連合審査会開会日時等につきましては、厚生委員長と協議の上、追って公報をもってお知らせすることといたします。      ————◇—————
  4. 井上普方

    井上委員長 通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大畠章宏君。
  5. 大畠章宏

    大畠委員 日本社会党大畠でございます。  前回エネルギー需給構造高度化のための関係法律の整備に関する法律並びに省エネ・リサイクル支援法について御質問させていただきましたけれども、そのときに時間の関係質疑ができなかった点を中心として、質問させていただきたいと思います。  前回のこの二つの法案の成立によりまして、いわゆるリサイクル、紙やあるいはまた資源等リサイクルというものに対する法律的な支援体制ができたわけでありますけれども、実際の地域での情勢等をお伺いすると、この法律ができたのでありますけれどもなかなか厳しい状況にあるという話を伺っております。そういう地域実態等意見等を踏まえながら質問させていただきます。  まず、最近の紙の需要低迷に伴いまして古紙相場が非常に低迷している、そういうことから回収業者方々活動というのが非常に苦しくなっている、そういう意見が寄せられております。私自身前回いろいろとお伺いしたわけでありますが、いかにしてこの需要を伸ばしていくか、これが大変重要だと思います。  前回もちょっと申し上げましたけれども、例えば、日本で使用される紙というものを、コストの面が多少あるのですが、将来の日本資源あるいは地球上の資源というものを考えながら、輸入に頼らざるを得ない日本として、日本国内で使用する紙については可能な限り古紙を混入する、いわゆる再生紙をできるだけ社会的に使用していこう、そういう環境づくりあるいは動きというものをもっともっと強めなければならないと思うのです。例えばパージンパルプ一〇〇%の紙の使用量を制限する、こういうものについてはいいけれどもそれ以外はほとんどと言っていいほど古紙を混入した紙を使おうじゃないか、そういう姿勢を国として打ち出して、そして、古紙相場低迷の原因が需要側にあるとすれば、その需要側市場活性化を図る、そういうことが大変重要ではないかと思うのでありますけれども、その件について、現在通産省としてどのように考えておられるか、まずお伺いしたいと思います。
  6. 高島章

    高島(章)政府委員 古紙再生紙利用される本当の大前提といいますか一番大事なところは、最初御指摘ありました景気の問題でございまして、景気がやはりきちっと盛り上がって全体の需要がふえませんと紙の需要はふえない、したがってその中での古紙利用拡大も望めないということでございます。したがいまして、通産省としても景気回復に今全力投球しているところでございます。  紙だけのところで申し上げますと、やはり古紙がうまく回収されること、それからメーカー段階でその古紙が上手に使われること、いろいろな技術開発をもって使われること、それから最後に、でき上がった再生紙がどんどん使われていくこと、今御指摘ございました、いかにして需要拡大するかということでございまして、この三つ要素がうまくバランスをとりまして促進されていくことが基本的に重要だと思います。とりわけ、御指摘ございました第三の点、要するに需要拡大される、再生紙利用拡大されるということが、これはもう一番のポイントでございまして、ここにやはり政策的ないろいろな厚みをつけていくことが肝要であろうかと思うわけであります。  そのためにはいろいろな施策が必要かと思います。といいますのは、紙はあらゆる職場、あらゆる家庭に入っておりまして、特定のところだけの需要拡大ということでは済まないわけでございます。したがいまして、これまでいろいろな施策をとってきたわけでありますけれども一つリサイクル法の着実な運用、さらにはグリーンマーク制度ということで、若い人たちにも省資源必要性を、紙のリサイクル必要性をわかってもらうための普及広報活動一つでございますが、こういったものを強力に推進しております。それから、古紙は紙以外にも使われるところがいろいろあるのではないかということで、ほかの用途開発も今進めているところでございまして、例えば包装資材といったようなものはむしろ古紙を使ってでもやれるのではないかという、そういった用途開発研究もしているわけでございます。それから、各方面への再生紙拡大のためにはやはり政府とか自治体率先することが重要でございまして、やはりそういったところが再生紙を実際に使っていくという実績を示すことによっていろいろなところへいい波及が期待できると思うわけでありますし、政府関係機関あるいはいろいろな方面への働きかけ普及を呼びかけているところでございます。  ただ、日本古紙利用率は今五二%を超えておりまして、そういう意味では世界最高水準ということでございます。ここまで高い水準を達成した日本のこれまでのいろいろな再生紙に対する知恵というのは今後とも生かされ、また大きくなっていくでありましょうから、そういう意味では、先ほど冒頭に申し上げました三つ要素のうち再生紙需要を、利用をどんどん拡大していくというところは今後とも我々が一番力を注いていき、また実際の効果のあらわれてくるところであろうと期待をしております。
  7. 大畠章宏

    大畠委員 今御答弁いただきましたけれども景気回復が何よりもこの古紙需要というものを伸ばすためにも重要だという御指摘はそのとおりだと思います。平成五年度の予算におきましても、もっと景気回復を図るために本予算そのものを修正をして、減税問題あるいは公共投資拡大等を図るべきだ、私どもはそういう主張をしたわけであります。政府の方でもこの予算とは切り離して景気拡大を図るための再補正というものを検討しているということでございますが、ぜひ私たちもそういう景気拡大に役立つような予算が組めるように今後とも考えていきたいと思います。  さて、そういう中で、今古紙利用するという中で、政府自治体等率先をしてということであります。そのデータがあるかどうかわかりませんけれども、例えば私の部屋にも政府関係資料がたくさん寄せられます。御案内のようにというまくら言葉がいつもあるように、大半の情報が議員のもとに寄せられるわけでありますが、政府関係利用する紙の何%がいわゆる古紙再生紙を使っているのか、そこら辺は大体わかるでしょうか。また、自治体等についてはわからないかもしらぬけれども、そこら辺は通産省として、率先してということであれば、今政府自治体等の行政府で使われている紙の何%が再生紙を使っているのか、大体の状況がわかりましたら教えていただきたいと思います。
  8. 高島章

    高島(章)政府委員 先ほど申し上げましたけれども政府の中で省エネルギー・省資源対策推進会議というのがございますが、そこで申し合わせをいたしまして、古紙利用について今後進めようという決定と関係方面への働きかけをしたわけでございます。  そういうことで、この申し合わせに基づきまして再生紙使用拡大はどんどん進んできておりまして、平成三年度でございますが全省庁で、例えば例示で申し上げますと、トイレットペーパーはすべて再生紙にかわりました。それからコピー用紙も全体の六割まで再生紙封筒も七割までが再生紙でございます。これを全国平均で見ますと大体一五%程度で今再生紙が使われておりますので、そういう比較からいえば、この六割とか七割というのは非常に高い数字であろうかと思います。それから地方公共団体にも働きかけ、呼びかけをしておりますが、先般の厚生省の方の調査によりますと、都道府県再生紙利用は全都道府県でなされておりますが、市町村段階はまだ若干おくれがございまして、引き続きそちらの方への働きかけを行ったところでございます。
  9. 大畠章宏

    大畠委員 今トイレットペーパー一〇〇%、コピーとか封筒等についても努力しているというのですが、例えば白書とかすごい分厚い資料とか予算書等々がございますが、ここら辺は今どうでしょうか。
  10. 高島章

    高島(章)政府委員 これもだんだんに白書そのもの再生紙が使われるようになりまして、現在三十二あるうちの二十七、八はもう既に再生紙になっておりますが、残りのものにつきましても引き続き関係省庁にお願いをして、全部再生紙に切りかわるように現在努力をしているところでございます。
  11. 大畠章宏

    大畠委員 ぜひ政府筋あるいは自治体等で使う紙は、多少割高で、これは税金むだ遣いじゃないかと言われることがあるかもしれませんけれども、安ければいいというものではなくて、地球全体のことを考え、あるいは日本の将来のことを考えた場合には、この程度財政負担というものは国民は許してくれると思うのです。税金がぐるっと回って床下の金塊になるというのは許せませんけれども古紙を使うことで少しコストが高くなるということは国民方々は許していただけると思いますので、政府筋用紙等についてはほぼ一〇〇%、こういう資料とか何かもほぼ一〇〇%古紙を使うのだということで、通産省がぜひ先頭を切って各省庁働きかけて行動を起こしていただきたいと思います。  さらに、私自身、まあ素人考えてありますが、現在、本屋さんに行きましても、聞きますと、本が一日に百冊とか二百冊とか新刊が出ているそうでありますが、この本に使う紙も大変な量だと思います。雑誌新聞、今包装紙についてはお触れになりましたけれども、そういう一般図書企業等々そこら辺まだまだ、この五二%という数字が世界的に高いということでありますが、資源がない国、いわゆるエネルギー源資源もほとんどを輸入している国としては五二%でもまだまだ半分が利用されていないということでありますから、もっともっと努力する余地があると思うのです。例えば雑誌や製本、こういう業界に対する通産省としての働きかけはどういうふうにされているのでしょうか。
  12. 高島章

    高島(章)政府委員 現在五二%でございますが、我々はこれでよし、これで十分とは決して考えておりません。リサイクル法のもとで平成六年にはこれをまず五五%にしたいということでございまして、その五二%のさらなる上昇、アップを考えているわけでございます。  関係業界へのいろいろな働きかけでございますが、これは強制的に、強権をもって使おうということはできないことでございますから、リサイクル必要性と、そしてそれにも増して経済的にもちゃんと古紙を使ってもやっていけるんだという形になるようにメーカー段階での技術開発、さらには回収あるいは備蓄等も含めたいろいろな方面での負担を少しでも軽減できるようにしていくことが必要であろうかと思います。したがいまして、回収段階、それを集めます卸売の段階、そして備蓄段階、さらにはメーカーでの生産の段階、それぞれにいろいろな負担軽減のための税制、金融等の援助をいたしまして、そのことによって経済的にも古紙最終需要者に回れるように、再生紙が回れるようにしてまいる所存でございますし、現在もそのためのいろいろな施策推進をしているところでございます。
  13. 大畠章宏

    大畠委員 今のリサイクルの仕組みについてはまだ次に御質問させていただきたいと思います。  もう一つ。四月一日から新しく新入社員の方もたくさん出ましたし、また小学校中学校高等学校等では新入生が出てきたわけでありますが、文部省等で使われている教科書の紙質なんかはもちろん再生紙という形で行われているのでしょうか。これはほとんどの市町村で児童に無料で支給する形になってきていると思うのですが、この教科書、もう大変な物量だと思うのですが、そこら辺は実態はどうなっているか教えていただきたいと思うのです。
  14. 高島章

    高島(章)政府委員 先ほど申し上げましたように、強制的にすべて強権をもってということでの再生紙利用はできないわけでございますが、現在学校では、教科書及び副読本につきまして再生紙を使用してもらうように働きかけてきておりまして、そういう例は出てきているわけでございます。それをひとつ推し進めます方法としてグリーンマーク制度というのがございます。これは小中学校中心に、再生紙利用した製品グリーンマークというのをつけていただいておりまして、これはメーカーの方がつけて、それを生徒たちが使うわけでございます。製品にそういったグリーンマークを付しますと、これをある一定点数集めて学校等に持ってまいりまして、それを取りまとめますと苗木等をその学校に差し上げる、その木をその小学校中学校で植えることによって、結局紙というもの、資源というものがぐるっとリサイクルしていくんだ、そしてそういった古紙を大切に、また次の資源に使うことの意味は、こういう形で生きるんだということを目に見える方法で、グリーンマーク制度という形のもとで普及活動一つとして使わせていただいているわけでございます。これを一つ見ましても、平成三年度に約三千六百校がこういったグリーンマーク制度に参加しておりましたものが、平成四年にはさらに千以上ふえまして、今四千八百校程度がこのグリーンマーク事業に参加をしておりまして、そういう意味では若い、これからの世代の意識の高揚に大変大きな役割を果たしているわけでございます。  いずれにいたしましても、教科書等への再生紙利用につきましては、引き続き関係業界に強く働きかけてまいりたいと思います。
  15. 大畠章宏

    大畠委員 四千八百校ということでございますが、全国では何枚あったんですかね、四千八百校の分母の数、これはわかりますか。まだまだ多分大変な学校の数で、一割ぐらいの学校が参加しているのかなという感じもするのですが、もしもわからなければそれで結構ですが、いずれにしても、今後とも、とにかく今古紙の方の回収については非常に国民の間で関心が高まり、とにかく資源を大切にじょう、エネルギーを大切にしようという機運が生まれてきています。その機運が生まれてきているのですが、なかなか需要先が見出せない、そういうことで、古紙回収業者方々も大変困ってきているということでありますので、先ほどの景気対策ということももちろんでありますが、これはどちらかというと他力本願になっていますので、通産省としてもそういう長期的な資源エネルギー政策一環として、必死に需要先を伸ばすという意味でも、教科書あるいはまた政府筋の紙の需要先、それを、強権発動はできませんけれども、まあできたらやってくれというのと、ぜひお願いしますよというその意気込みで、大分その伝わり方も違うと思います。やれということはなかなかできないかもしれませんけれども通産省としても必死に日本資源エネルギー政策一環としてお願いしたいという熱意を持ってやれば、もっともっと学校等でもあるいはまた自治体でも、そしてまた他の省庁でももっと協力していただける体制ができるのではないかと思うのですが、そこら辺、再度お伺いしたいと思います。
  16. 高島章

    高島(章)政府委員 正確な数字は持っておりませんが、グリーンマーク制度が対象にしている小中学校は約三万ございますので、先ほどの数字から申し上げますと一割五分程度は今進んだということでございます。しかし、なおまだたくさんグリーンマークを使っていただくことによって、再生紙が小さい人たちにも若い人たちにも意識として強く植えつけられていく、理解されていくということは必要でございますので、これは文部省の方にも強く引き続き要請をしてまいりたいと思います。  それから、実は私どもはいろいろ関係省庁に今どれだけ本当に再生紙が使われているんだということを、その都度その都度チェックさせていただいておりまして、そういった時間の流れの中で、どの程度効果があらわれているか、効果があらわれていないならば、どういうことによってより古紙の、再生紙利用率を上げ得るのかということを日々努力し、見ているところでございます。  いずれにいたしましても、政府全体での率先利用、地方自治体への働きかけ、さらには関係業界への働きかけを今後とも強力に進めてまいることにいたします。
  17. 大畠章宏

    大畠委員 私がいろいろしつこく御質問しているのも、どんなにすばらしい計画やどんなにすばらしい法律ができても、その需要先がふえなければ、絵にかいたもちというのは失礼な言い方ですが、そうなっては困る。したがって、先ほども申しましたとおり、国民の間でも、エネルギーの問題、資源の問題に対する関心が大変高まっております。そういう国民意識が高まった折に、それが生きるかどうかというのは需要先拡大にある、そういう意味からすると、今お話がありましたとおり、文部省等にも、一割五分の学校で採用していただいていると思いますが、ぜひ一〇〇%の学校で協力してもらえるように、私も別な機会にまた文部省にもお願いしますが、ぜひ通産省としても必死の形相でやっていただきたい。  これは単に、今は紙がたくさん余っていますが、モンゴルの方では紙がなくて困っているという話も聞くし、将来、二〇五〇年時代を考えたときに一体、日本資源がどれだけ残っているか、そういうことから考えると、非常に私は先行き不透明だし、不安感がありますので、今からそういう国民意識というのは大変重要だということからお願いしていることでありまして、ぜひ通産省としても、景気対策は大蔵省や通産省やいろいろありますが、景気対策以外にもできるだけ需要拡大を図るという努力を今後とも続けていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  次に、この需要先というのがそういうことで拡大されますと、今回リサイクル支援法等法律も制定されましたので、うまくいくのじゃないかということなんですが、需要先価格低迷によりまして回収業者方々が非常に困っているということで、三月六日付の新聞等では、古紙などの相場低迷対策として板橋、葛飾区で回収業者助成金をつけ始めだということが報道されているところであります。法律だけつくれば後は自由市場の中で流れればいいんだということなんですが、実際に古紙回収業者あるいは問屋方々からいろいろ伺っても、この間もちょっと申し上げましたけれども問屋での買い入れ価格キロ当たり八円から九円だとすれば、回収業者の方が住民の方から古紙無料回収したとしても、二トン車に五百キロぐらい積んだとしても四千円ぐらいの収入にしかならないというような状況も生まれていますので、そういうことからすると、もうこんなのやらないよということで、一番末端でありますというか最先端であります回収をする機能というのが失われてしまったのでは、どんなに需要先を伸ばしてもうまくいきません。  確かに問屋筋では古紙の山ができ始めているというのですが、やはり末端回収業者の方がきちっと自分の生活あるいは収益等も確保しながら仕事ができる環境をどう確保するかということについても、中央としてもきちっと見ておかなければならないと思うのでありますが、地方自治体等が混乱し始めている回収業者に一生懸命助成金を出しているという実態について、もうちょっと通産省としても目をかけて、あるいはうまく回るような仕組みというものをつくるために知恵を出すべきではないかと思うのですが、そこら辺、この実態をとらえて、どう考えておられるでしょうか。
  18. 高島章

    高島(章)政府委員 古紙はそれぞれの職場、家庭で出ますので、やはり一番身近にあります行政主体としては地方自治体がそこに深くかかわっていくということは、我々としては非常に結構なことだと思うわけであります。  現在、地方自治体の中には古紙回収事業者の事業を支援するために、古紙回収事業者に古紙回収量に応じた補助金を交付するといった事業、それからもう一つは、地方自治体が出資いたしました古紙の分別を古紙回収事業者に委託する事業を講じているところが出てきているわけでございまして、今御指摘がありました東京の区のいろいろな事業も、こういった流れの一つでございます。     〔委員長退席、安田(範)委員長代理着席〕  いずれにいたしましても、今冒頭申し上げましたように、それぞれの地域において古紙回収業者が非常に重要な役割を果たしているというのはそのとおりでございますので、その地域でのいろいろな活動一環として、地方自治体がそういった回収業者人たちへいろいろな支援措置をしていくということは我々としては大変ありがたいことでございますし、むしろ、その成果の大ならんことを今注目しているところでございますが、関係省庁といたしましては、厚生省とのこれからのいろいろな協議が大事だと思っておりますので、そういった形で各地域におきます古紙回収が一段と進みますように、両省間でもいろいろな知恵を出し合いまして今後とも検討してまいりたいと思います。
  19. 大畠章宏

    大畠委員 関係業者の方からも政府の方にもいろいろ要請が出ていると思うのですが、先ほど、景気低迷によって市場相場が落ちて非常に資源リサイクルが回らなくなっている、一時的な景気の動向によってリサイクルの輪がとぎれないように行政府としても考えてほしい、そういう意見も出ています。  確かに、私自身古紙回収業者の立場に立ったとすれば、自分自身も御飯を食べなければいかぬ、家族も養わなければいかぬ、そして社会的に役立つ仕事をしているんだという誇りも持って仕事をしていますが、一日働いた、あるいは一日回収した、その成果というのが非常に市場の動きによって、きょう一回トラックで運んだら四千円だった、前のころは一万円ぐらいしたんだけれどもそれが半分以下になったというのであれば非常に不安感を持つと思うのですね。かつ、自分の仕事に対する将来性に対して疑念を持ってきますので、そこら辺、市場の価格のあれなんだから仕方がないというだけで資源リサイクルというものを考えていいかどうかというと、私はそうじゃないと思うのですね。  したがって、今お話ありましたとおり、厚生省あるいは自治省等ともよく連携をとりながら、通産省がまさにリーダーシップをとりながら資源リサイクルというものの仕組みをずっと確保していく、そういう気持ちを持ってこれからもしていただきたいと思います。  もう一つお願いしたいのは、各地域で、東京の足立区等でも古紙あるいは資源の再利用の仕組みが現在の状況ではうまくいかないというので、回収システムがうまくいくようにということで、都の財政で回収業者の方に対する補助金といいますかを使いながら動きを始めているということなんですが、全国の各地域実態調査して、うまく回らないところについてはこの東京都の方式等のものをぜひ実行するようにということで、通産省の方から関係自治体等にあるいは自治省等に働きかけながら、そこら辺のチェックもしていく必要があると思うのですが、この東京都の方式等について、あるいは全国実態についてどういう調査をされ、かつ、それをうまく回そうとしているのか、その件についてお伺いしたいと思います。
  20. 高島章

    高島(章)政府委員 各自治体でいろいろな形で回収業者のために支援をされている例がございまして、これは逐一我々といたしましては勉強しておりますし、情報収集を怠りなくやっております。今後とも、関係省庁とは十二分に協議をいたしまして、それぞれの地域に最もふさわしい形で回収事業が円滑に進みますように、我々としては知恵も出し、そしてお手伝いもしていきたいと思います。
  21. 大畠章宏

    大畠委員 わかりました。ぜひそこら辺をお願いしたいと思います。  いずれにしても、市場価格の低迷によりまして、問屋が製紙メーカーに売り渡すお金か低迷、上がったり下がったりするのですが、問屋さんが回収業者から古紙を受け取って代金を払うとい、つ、そこに、メーカーに対する売り渡し価格との連動で下がったり上がったりします。したがって、そのときに回収業者の方がペイするようにというのはおかしいのですが、生活が安定するように、その差額分を行政として補助したりというような動きがあるわけであります。例えば板橋、葛飾区の場合には一キロ当たり二・六円の助成金を支払っているということでありますが、今後ともこういう措置を全国自治体で行うことによって古紙回収業者の方が安心して仕事をできる、そういう実態になると私は思いますので、通産省としても、これはなかなか難しいかもしれぬけれども、自治省と話をしながら、古紙回収業者が安定した職業として誇りを持って資源リサイクルを行うための環境整備をしていただけるようにぜひお願いしたいと思うのですが、そこら辺、もう一回通産省としての決意をお伺いしたいと思います。
  22. 高島章

    高島(章)政府委員 自治省、厚生省とは十二分に連絡を密にいたしまして、各自治体におきます回収事業の円滑化のためのいろいろな方策につき、ともに努力をしてまいる所存でございます。
  23. 大畠章宏

    大畠委員 ひとつそういうことをお願いしたいと思うのです。これは単に一業界の話かもしれませんけれども、ひいては日本の——先ほどから申しましたように、日本資源がない国なんです。だから、エネルギー源もありません。そういう意味では、現在の日本人の生活様式、あるいは現在ふんだんに使っている紙の使い方も考え直さなければいかぬのかなと私自身思うのですが、そういう観点からも将来をにらんだ、この事業は、大変小さなポイントかもしれませんけれども国民に対する大きな影響力も持っておりますので、かつ、町内会では子供会なども、紙の回収に一生懸命子供たちがリヤカーを押したり、あるいは一生懸命本などを回収する事業にも参加しております。これは非常にいい社会活動だと私は思っておりますので、そういう活動が停滞してしまわないようにぜひ今後とも努力していただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  それから、回収業者の件でありますが、問屋筋等あるいは回収業者の方も大きな広場が必要であります。回収したものを置いておく場所ですね。そうなってきますと、固定資産税等が、今地価の高騰は一応おさまりましたけれども、非常に大きな影響を受けております。この固定資産税に対する軽減措置ですとか、あるいは事業税、固定資産税等々に対する対策ですね。先ほど言いましたように、利幅が少ないものですからなかなか大きな収入がありません。したがって事業を続けていくこともなかなか大変だということで、事業税、固定資産税等々についての対策が必要だと思います。  自治省の方でもいろいろ対策をしていると思いますが、きょうは、そういうことを含めて現在どういう対策を、手を打とうとしているのか、お伺いしたいと思います。
  24. 高島章

    高島(章)政府委員 まず、回収業界に対する経営の安定化のための施策でございますが、事業用施設の事業所税の軽減措置、それから古紙をこん包いたします機械が必要でございますが、その古紙のこん包装置に係ります税額控除等の税制上の支援措置をまず講じております。それから金融面では、中小企業金融公庫、国民金融公庫の低利融資を行って金融上の支援措置を講じておりますが、これは規模に関係なく、すべてその措置が実際に使えるようになっているわけでございます。  それから次に、古紙の卸売業者が回収業者から古紙を円滑かつ安定的に購入することで全体がうまく活性化をしてまいりますので、昨年の十一月から古紙の卸売業界が中小企業近代化促進法に基づき行います構造改善事業に対しまして中小企業金融公庫、国民金融公庫、さらには中小企業事業団によります低利融資、さらに機械等の割り増し償却、それから登録免許税の軽減、特別土地保有税、事業所税の非課税等の支援措置を講じてきているわけでございます。それからさらに、古紙の需給を安定いたしますためには古紙の事業者の備蓄推進されることが必要でございますが、この備蓄コストが非常に高くかかりますので、これに対しましても支援をするということで、これも昨年十一月からでございますが、古紙の卸売事業者が行います古紙備蓄に要する費用に対しまして古紙再生促進センターから金利二%という非常に低い金利の融資を行っているところでございます。
  25. 大畠章宏

    大畠委員 ぜひ関係部署と連携をとりながら、本当に誇りを持って資源の有効利用のために先兵となって頑張っていただいていますこういう古紙回収業者あるいは鉄くず等の回収業者の方がこれからも安心して事業に励めるようになお一層環境整備に取り組んでいただきたいと思います。  それから、いろいろ紙の問題を申し上げてきましたけれども、鉄くずも非常にこれも景気に連動しているかもしれませんが、現在鉄くずの蓄積量が十億トンに達しようとしている。現在の需要は年三千五百万トン程度ということで、この鉄の再利用計画というものを何か手を打たないと、今生き缶あるいはアルミ等の回収をしようじゃないか。これだけ駅のホームまで空き缶の回収箱と普通の燃えるごみ箱とは区別される時代になってきたんですけれども、これも回収の方がうまくいっても利用先がうまくいかないんではこれまた紙の問題と同じになってしまいますので、そこら辺、鉄鋼メーカー等あるいはまた国内の何かそういう鉄製品とかアルミ製品をうまく再利用するそういう状況環境整備が必要だと思うんですが、その件についてどのような努力をされているかお伺いしたいと思います。
  26. 牧野力

    ○牧野政府委員 御指摘のとおり、現在日本の鉄の蓄積量が非常に上がってきておりまして、その意味で今後スクラップがだんだん出てくる、多くなってくるということは御指摘のとおりでございます。このスクラップ化をいかに進めるかということは、今御指摘のとおり省エネ、省資源あるいは環境問題に対応という点からも非常に重要でございます。その際、今御指摘がございましたように日本の鉄鋼の大宗であります高炉メーカー中心にスクラップの需要拡大していくということが大事であるということは御指摘のとおりでございます。  これにつきまして、当省といたしましても従来から高炉メーカー中心にこの問題を指摘し、本問題の積極的な取り組みを促してきたところでございますが、そういった結果、例えば高炉メーカーによるスチール缶の再利用のための実証試験がどんどん進んでまいりまして、平成二年では三万トンでございましたのが平成三年七万五千トン、平成七年には二十万トンぐらい、これはスチール缶でございますけれども、これの高炉における使用が拡大をされてくるという方向が明確に出ております。さらに、鉄スクラップ全体に関しましても、確かに鉄鋼のスクラップの量は出てまいりますけれども需要も今後非常に大きくなってくる。例えばこの鉄スクラップを専ら原料といたします電炉メーカーの技術がどんどん高くなってまいりまして、相当いろんな鉄鋼がつくれるようになりましたので、この電炉メーカーのスクラップ引き取り量が非常にふえております。  それからもう一つは輸出でございますけれども、東南アジア諸国は鉄鋼の生産を進めるに当たりまして、これはなかなか高炉は難しいということで電炉でやりますので、これはほとんどスクラップを使います。この鉄スクラップの東南アジア向けの輸出が現在ふえておりまして、これは今後相当ふえてくる。そのための努力を大いにいたしたいというふうに思います。  それと、今申し上げましたような高炉メーカーの技術の改善等によります引き取り量の拡大によりまして今後スクラップの需給につきましては現在以上により改善をしていくというふうに思っております。  さらに、この需要の増大のみならず流通でございますね、鉄スクラップの流通につきましてもなるべく価格の乱高下等がないようにするための研究を電炉メーカー、スクラップ業者も含めましてここ一年間検討してまいりましたが、例えば現在非常にスポット的な契約で価格が非常に不安定でございますが、これをなるべく契約請負制といいますか中長期的な契約にいたしまして価格の安定を図るあるいはスクラップの質をより高めるため努力をするといったようなことで、この流通面におきましても万般の対策を講じてまいりたいということでございまして、結論からいいますと、まあ直ちに問題がすぐ改善するわけじゃありませんけれども、スクラップの排出量の増大に伴っても問題がよりスムーズに解決できるように現在努力をしているところでございます。
  27. 大畠章宏

    大畠委員 この問題も先ほど申しましたとおり、紙と同じように回収業者方々の実際の業務、大変状況が悪くなってきていますので、通産省としても一生懸命この需要拡大に取り組むということでなお一層——景気拡大もそれはもちろんなんですが、いろいろあるだろうけれども頼むよということで熱心に、熱意を持ってそういう今お話がありました事業を進めていただきたいということを要望したいと思います。  さらに、きょうの新聞の投書欄に次のようなことがちょっと出ています。これは回収の方なんですが、「空き缶回収費のため価格上乗せを」というので、これは会社員の方ですが、地域の奉仕作業に出て、最近できた国道のバイパスの横の道端をずっと投げ捨てられた空き缶拾いをした。十人ほどで約一時間やったけれども、拾い集めたのが一人頭百個も拾った。車の運転をする人のマナーの悪さにびっくりしたけれども、住民が今後ともバイパスの関係の道路の空き缶拾いをしょう、瓶拾いをしようということを決めた。しかし、そのマナーの悪さに腹を立てるとともに、缶入りジュース類や瓶入り飲料などのメーカー、販売業者たちの後始末を私たちにやらされてはたまらないという思いがある。そこで、言ってみればデポジット制をもうちょっと考えてくれないかというような意見が出されておるんですけれども、もう一つの空き缶あるいはアルミ缶、スチール缶の回収のためのデポジット制等について現在通産省としてどういう検討をし、進めようとしておるのかお伺いしたいと思います。
  28. 堤富男

    ○堤(富)政府委員 お答え申し上げます。  デポジットにつきましては行革審あるいは新経済計画等で検討を促されておりまして関係省が今それぞれ検討をしている段階でございます。通産省もまあ非公式な形ではございますけれども検討を始めておりますが、なかなかデポジットというのは難しい面もございます。今おっしゃったような意味で、散らかっている空き缶をある一定のところまで持ってきてお金を返してもらうというところであるわけでございますが、その後その集めた空き缶がどうなるかという問題がまた一つございます。  それで、今まで日本の各地で十幾つか、私の記憶が正しければ十二くらいデポジットをやっていたところがございますが、やはりうまくいかないままやめておりまして、今は大分県の姫島村というところでやっておるそうでございますが、ここのところの空き缶も集めたものを回収に固さずに結局土の中に埋める、最もコストが安いのでという形で、残念ながら回収ルートに乗ってきてないという問題もございます。なぜこのデポジットをローカルでやったところがうまくいかないかというと、買ったところに行ってお金を返してもらうというだけじゃなくて、そのほかのところに行っても返していただきたい、そうなりますと特定の地域だけでやっていたのではなかなかうまくいかない。陸続きですとほかから拾ってきたものをまた持っていってしまうとかそういう問題もございますし、じゃあそのお金の流れをどのくらい把握するかという問題もございます。それから集まってきた空き缶の置き場所、これは長く置いておきますとにおいがしてきたり非常に臭くなったり、そういう問題があってスペースをどうかするというような問題もございます。それから物の流れが、小売店まで集まった後どうやって回収ルートに乗せるかというような問題もございます。そのときに、回収ルートに乗せるときに、従来の回収業者と、それからメーカーが直接持っていってしまうのと、回収業者との関係では非常にまた問題もあるというような、私たちが今検討中ではございますが、幾つかの問題もあることは事実でございまして、そういう問題を我々なりに考えてまたやっていきたいと思います。  それから、対策の中には、先ほどの先生からの御質問が、いかに利用を促進するかという面と、それから、こういうようにいかに空き缶を集めて供給するかという面と二つあるわけでございますが、現在日本の場合には、どちらかといいますと、よく集まってきてしまってそれを使う利用度が少ないという面もございます。そういう意味で、政策の方向というのは二つあるわけでございますが、今通産省としては、どちらかといいますと、先生前段に御指摘いただきましたような利用促進ということにかなり力を入れておる次第でございます。デポジットについても現在真剣に検討しているということを御報告させていただきます。    〔安田一範)委員長代理退席、委員長着席〕
  29. 大畠章宏

    大畠委員 確かに集める方と使う方と両方これは対策をきちっとしないといけませんので、今それぞれ御答弁がありましたことをベースとして、ぜひなお一層御努力をお願いしたいと思います。  資源リサイクル関係についてはこれで質問を終わりますが、次に、不況対策としての公共事業のあり方について一点お伺いしたいと思います。  きのう新聞にNTT四十五兆円計画というのが発表されました。通信網整備ということで広帯域総合ディジタル通信網と呼ばれるものを整備したいと新聞に出ていましたけれども、実はアメリカの方でも、クリントン氏とゴア氏のコンビで情報スーパーハイウエー建設計画というものを選挙中に打ち出して、さらに当選後、「すべての家庭、企業、研究室、教室、図書館を結ぶ情報ネットワーク」の創設を予算化しました。これは大変巨額な投資であり、アメリカ国内の情報産業等に対する大規模なてこ入れをしようという意図もあったと思うのです。  今日の日本の公共事業というとほとんどが土木事業、きのうお伺いしたところによりますと、公共事業、八対一で、大体八が土木で一が建設関係だということであります。この土木建設関係の公共事業といいますと、つい最近報道されましたとおり、コンクリート一立米当たり百円の還元金が政治家に入っている、そういう報道もされたところでありまして、不況対策のための公共事業の拡大というのはもちろんこれは大切だと思うのですが、どうもそこら辺に国民からも疑念を持たれてきている。そういう意味では、このNTTの四十五兆円計画、総合情報通信網の整備、こういう新たな公共事業というものに日本としても取り組むべきじゃないか。特に、千三百億ドルも日本の貿易黒字があった、では一体そのお金を何に使うのだ、何をするのだということがいま一つ見えないということで諸外国から非常にいろいろとおしかりをいただいているのですが、日本としても、内需拡大策の一環として、公共事業イコール土木建設関係の促進というのじゃなくて、こういう情報網の整備、アメリカの情報スーパーハイウエーと言われる日本版を通産省としても積極的に推進していく、そういう指針をするべきじゃないかなと思います。  そうすれば、例えば政治家の政治資金の収入と支出とをインプットしておけば国民すべてが自由にその内容を見られる、あるいはまた政府内の予算の配分、あるいは予算等がどういうふうに使われているか、そういうものもこの通信網を使えば日本の各家庭で有権者の皆さんあるいは国民の皆さんが知ることができる。私は、そういうオープンにすることが日本の国を諸外国にも理解される、あるいは日本人から見ても非常に透明感を強める、そういう結果につながってくる大変重要な計画だと思うのですけれども通産省として日本版の情報スーパーハイウエー構想的な通信網の整備というものに対してどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思うのです。
  30. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 ただいま委員指摘情報通信インフラの整備という点に関しましては、私どもも今後我が国がいわゆる高度情報化社会というものを迎えてその充実を図っていくという観点から大変重要な公共的な事業であるというふうな認識を持っているところでございます。  今御指摘のように、アメリカにおいてはいわゆる情報ハイウエー構想ということで、大学、国立研究機関のスーパーコンピューターの整備とその間をつなぐ高速、大容量のネットワークというものを早急に整備して、欧州や我が国に対して研究開発力、国際競争力を強化しよう、こういう大変野心的な構想が打ち出されているところでございます。  まず、今御指摘の大学、研究機関の問題に関しましては、私どももただいま文部省、科学技術庁と協力をいたしまして、通産省の国立研究機関も含めましてコンピューターの導入とそのネットワークの形成ということで、研究機関相互の情報交換がより容易になり、共同研究あるいは資料の収集が容易になるような構想を検討いたしているところでございます。  また、通信インフラ全般の問題につきましては、ただいま委員指摘のNTTにおける情報通信インフラを整備するということの必要性はつとに認識をいたしているところであります。もちろん本件は郵政省において最終的に判断される事項ではございますけれども、今後、家庭あるいは工場あるいは研究所あるいは公共機関、そういったところをいわば高速、大容量のネットワークでつなぐ、それによってユーザーサイドから自由に情報源に対するアクセスができる、そういった社会をつくっていくことが今後大変大きな国の役割だというふうに考えているところでございます。そのためには、NTTを初めとして今後相当量の大規模な投資を必要とすると思うのでございますけれども通産省といたしましても、情報のユーザーあるいは情報の提供者、そういった観点から一日も早く高度情報化社会へ向かって大きくかじを切ってまいりたい、こういうふうに望んでいるところでございます。
  31. 大畠章宏

    大畠委員 今御答弁がございました。質疑時間がもうなくなってきましたのであれですが、公共事業というと先ほど言いましたように土木と建設という感じになってきているのですが、まあこれも重要ですけれども、そういう時代はそろそろ、先ほど言いましたように、日本情報をできるだけ公開していく、そういうことによって日本国内の透明性あるいは日本というものを諸外国にも理解していただく、そういう意味でもこの情報の通信網の整備というのは大変重要なものであると思います。今御答弁がございましたことをぜひ通産省としても積極的に推進していただきたいと私は思います。  最後に大臣にお伺いしますが、今資源エネルギー問題、大変重要でありますし、その中で今回法案が成立しましたけれども、いかにしてリサイクル資源エネルギーを上手に、なるべく有効に利用していくか、そういうことに対して大変政府として通産省と取り組むことが重要だと思いますし、さらには不況対策の一環として、土木公共事業投資の性格を土木、建設からこの通信網の整備というものに置きかえていく、そういうことも大変重要だと思うわけでありますが、その二つについて大臣の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
  32. 森喜朗

    ○森国務大臣 お答え申し上げます。  最初の方の、いわゆる廃棄物処理あるいは再資源の問題、大畠委員の大変御熱心な御意見を含めての御質問、また事務当局とのやりとりを拝聴いたしまして、大変感銘深く伺っておりました。極めて身近な問題でございますけれども地球を守っていくということ、あるいは我々の生活環境を整えていくということ、これは永遠に続くテーマでございますから、極めて重要な問題だと思って伺っておりました。先生のお話をいただきましたことなどを的確にまた反映ができますように、行政の中に指示をしていきたい、こう考えております。  私、昔近所のお年寄りからいろいろな話を聞いたことがございますが、糸を縫う針をむだにすると今に針の地獄に落ちるとか、それから紙をむだにすると今に紙の橋を渡らなきゃいかぬようになって、下に鬼がいっぱい待ち構えているよなんというようなことをお年寄りから聞いたことを思い出しましたが、昔から言い伝えられるように、こうしたものは大事に大事に守っていくことだなということを、極めて基本的な原則的なことでございますが、委員のお話を伺いながらそんなことを思い出して、重要な問題としてこれから取り組んでまいることを申し上げておきたいと思います。  それから、新たな内需拡大一環としての新社会資本ということでございますが、これも当委員会でたびたび私申し上げてまいりました。土木中心になっていくことから変えなければならぬというふうに私は考えておりませんが、やはり即効的な効果があるということ、それからまた、日本の国の橋だとか、あるいは河川でありますとか港、あるいは農業の基盤整備だとか、こうしたことはまだまだやらなきゃならぬことはたくさんあるわけです。そしてまた即効的なことからいえば、景気対策として極めて効果があるということでございますが、ここのところずっと前倒し、前倒しで進めてきましたし、地方などではいささかちょっと偏った面も出てきておるということもございますし、通産省としてやはり一番心配なのは、最終需要がなかなかもうひとつ光が差してこない。そのために、企業間に不況感というものが漂っているわけでありまして、そのことが、企業が生々はつらつと動かないということだと思うのです。  そういうことを考え合わせてみますと、少しそうした波及効果のすそ野の広い社会資本というものを考えていくべきではないだろうか。そういう一環の中で今の情報処理の基盤を整備する、あるいは研究施設や教育施設、どちらかといいますと財政再建の中で政策経費がシーリングの中で抑えられてきて、いささか偏ってしまった、そういうのが、例えば東京大学の施設だとか病院の施設だとか随分おくれているわけでありますし、どうしてそういうところへもう少しつぎ込まないのかなと考えてみると、それに伴う施設整備費がどうしてもやはり金がかかる、こういうようなものも新たな社会資本の整備としての公共事業として考えられないだろうかということが、私は常々発言をしてきておるところでございます。  いずれにいたしましても、昨日、総理から景気対策の取りまとめが命ぜられましたし、また皆さんのおかげで二十二年ぶりに予算が年度内に成立をいたしました。恐らく、これが直ちに執行されていきますと景気にいい影響を与えていくものだと思いますけれども、さらに追加的な対応をしておくことが今の日本のこの産業社会の中におきます一番求められている点ではないか。こういう意味で考えて、今委員からいろいろ御指摘いただきましたことも含めて、私どもとしても積極的にこの社会資本の整備に取り組んでいきたい、このように考えております。
  33. 大畠章宏

    大畠委員 ありがとうございました。終わります。
  34. 井上普方

    井上委員長 和田貞夫君。
  35. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 法のもとの平等ということは、これは常に我々政治家としても心にしなければなりませんし、当然のことながら行政執行の、我が国の責任を持つ政府としても当然のことであろうと思うわけでございますが、宮澤内閣が生活大国を目指す中で、その計画に、中小企業の労働者も、大方のすべての業種で働く労働者も、千八百時間の労働を達成するために努力するということが明確にされておることは御案内のとおりであるわけでございます。  ところが、例えばこの三月三十一日限りで労働基準法のいわゆる四十六時間の猶予期間、これを一年間延長するというようなことを、政令改正に向けて中央労働審議会に労働省が諮問するというようなこと、これを受けて労働基準法の改正案がこの国会に出されてくるわけでございますが、中小企業を担当する通商産業省として、これは労働省の所管であるからということではなくて、先ほど申し上げたように、法のもとで平等ということであるならば、やはり業界なり、あるいは業種団体を通じまして、行政指導を一つ一つの企業に指導していくということがなければならないのじゃないかと私は思うのです。  かつてこの一般質問の中で、私も、流通関係の問題あるいは特に大型店舗の正月の二日から商売をする、三日から商売をするということの中で、商品を搬入する、いわゆる配送業者が三十一日の大みそかの日も元旦の日もそのために労働を強いられておるというようなことを議論させていただいたわけでございますけれども、そういうようなことを見てまいったときに、今回の労働基準法の改正が延長されるということ、猶予期間が延長されるということ、これはまさに労働行政の大きな後退でもありますし、また中小企業を受け持つ通産省として、そのような労働省の姿勢というものがいいのか悪いのか、どう考えておられるのか、まずこのことにつきましてひとつ通産大臣の方からお答えいただきたい、こういうふうに思うわけです。
  36. 森喜朗

    ○森国務大臣 労働時間の短縮、これはゆとりと豊かさの実感できる社会を実現するためにも、また、我が国産業が国際的な調和を図っていくことを確保していくためにも、これは必須の課題であるというふうに我々も承知をいたしております。さらに、中小企業にとりましても労働力の確保を図る上で極めて重要な課題保であるというふうに認識をいたしております。  通産省といたしましても、かねてから労働省と提携をいたしまして、中小企業労働力確保法の策定をいたしまして、労働時間の短縮に向けて種々の施策を講じてきたわけでございます。しかしながら、現下のこの経済情勢、極めて厳しいわけでございまして、こういう状況の中にありまして、今、時短に伴うコストアップに対応するということは非常に困難な中小企業が少なからず存在をしておるということは事実でございまして、これらの中小企業からの慎重な対応を求めている声が上がっていることも事実でございまして、こうしたことも、特に地方に参りましても、委員どもいろいろなところからお聞きであろうかと思います。  今般国会に提出されました労働基準法の改正法案は、このような中小企業の実情に配慮しながら、産業界全体の時短を促進するものとなっていると考えておりまして、本法案が遅滞なく成立することを期待いたしておるわけでございますが、今の産業界、また、日本の中小企業等の立場も十分に考えて対応していかなければならぬ、このように認識をいたしております。
  37. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これはまだ法案が国会に提出されておらないわけでございますし、その後、また、労働委員会中心に連合審査等も行われることであろうと思いますから、そこに議論を譲りたいと思いますが、確かに今日的な不況、そういう中で中小企業の経営者の皆さんは大変なことであるということは百も承知であります。しかし、だからといって、そこに働く労働者を、大企業や中堅企業の皆さんと労働条件が異なるというようなことに放置しておきますと、雇用力の確保の面から、より経営面が非常に難しくなってくるということがやはり予測されるわけであります。少なくとも、大企業に働く労働者も中小企業に働く労働者も労働条件というものがそう変わらないというような条件づくりをしていかなければならないと思いますし、また、人手不足だからということで休日の労働やあるいは時間外の労働を、国際的な水準以下の時間外の割り増し賃金で働かせていくというようなことは、これまた大企業と中小企業の労働者の格差という点で、大きな企業の方に労働力が流れていくという原因にもなりますし、あるいは福祉の面につきましても、年金の面につきましても、むしろどちらかというならば、大企業に相当するような年金制度をどうしてつくるべきであるか、福祉の面にあっても、大企業に劣らないような福祉を労働者に与えるような政策というものをどうすべきであるかということを私は真剣に議論をしていくことが真に中小企業の経営者の皆さん方に対しての親切な行政の執行じゃないか、こういうように思うわけでございますので、議論はまた別の機会に譲るといたしまして、今の大臣の答弁はまさに政府として当然のことであろうと思いますが、労働省の、今回の法案を提案する、そういう姿勢をそのまま貫いた答弁であったんじゃなかろうかと思いまして、非常に不満でございます。しかし、議論は後に譲らせていただきたいと思いますが、どうぞひとつ、中小企業者の立場に立って、そこに働く労働者の立場に立って、通産省としてはひとつ行政を遂行してもらうように強く要望しておきたいと思うわけでございます。  そこで、下請中小企業振興法という法律があるわけであります。この下請中小企業振興法という法律は昭和四十六年、極めて古い法律であります。見てまいりますと、この法の施行令第二条「業種の指定」ということで、「下請中小企業振興法第五条第一項に規定する政令で定める業種は、次のとおりとする。」一、二、三、四、五と並べられておるわけでございますが、「金属工作機械製造業」「発電用、送電用、変電用、配電用又は産業用の電気機器の製造業」「家庭用の電気機器又は電子機器の製造業」「自動車又はその部品の製造業」「船舶又は船舶用機関の製造業」というように限られておるわけであります。下請中小企業というのは単にこの業種だけじゃなくて、例えば農水省の所管の食料品の製造業あるいは食料品の加工業等々がございます。あるいは運輸省の所管の配送業でありましたならば、日通のペリカン便の下請を軽貨物の業者が下請をしておる、あるいは大手の大きな運送会社の下請を小企業の運送会社が下請をしておる、あるいは同業種の製造の部品を下請をしておるということだけじゃなくて、製造業に、部分的な構内作業を特定運送事業の業者に下請させている等々極めて、これだけの業種じゃなくて他省庁関係する業種あるいは異業種の元請、下請の関係というのは非常に多いわけであります。法律の施行が古い法律でありますからどうかと思いますが、私は、この際これに限るんじゃなくて、今お話をいたしましたように、もっと業種を拡大していくということで下請の企業がここでやはり単に下請の支払いの遅延防止というようなことだけじゃなくて、法によって保護していく、あるいは援助していくということが必要じゃなかろうかと思うわけでございますが、その点についてのお考えをひとつお答えいただきたいと思います。
  38. 関收

    ○関政府委員 先生から今下請中小企業振興法についてのお尋ねがございました。  御指摘のとおり、この法律は昭和四十五年に策定されたものでございまして、法律のポイント、先生御案内だと思いますが、簡単に御紹介をさせていただきますと、一つは、この法律におきましては、製造または修理のみを対象としておるわけでございます。これが基本的な枠組みでございます。  次に、内容でございますが、いろいろございますけれども、大きく三つの柱になろうかと思います。一つは振興基準、これは法律の第三条でございます。これは、業種の指定はなく、すべてのいわゆる製造業、修理の下請関係に適用されるものでございます。それから二つ目の柱が、今先生御指摘の、振興事業計画を策定する。これにつきましては、政令で業種を指定するということになっておりまして、先生御指摘のとおり、現在五業種が指定をされておるということでございます。具体的には、この五業種の中でこれまで十一の振興計画が策定され、実施に移されているところでございます。それから三番目の柱が、法律の第十一条になりますけれども、下請企業振興協会の設立及びその業務について記述をしてございます。この下請企業振興協会は、下請取引のあっせんあるいは苦情の処理等々の事業を行う機関でございまして、各都道府県にございますけれども、これにつきましても業種の指定はないわけでございます。  そういった意味で、この振興事業計画を除きましては、下請中小企業振興法につきましては、製造業、修理業につきましては下請関係のあるものについて適用されているということでございますので、ぜひ御理解を賜りたいと思う次第でございます。  今先生、食品製造業についての御指摘ございました。食品製造業は、今私からお答え申し上げましたとおり、製造業でございますから、この法律の適用が可能ということになるわけでございます。  それから、運送、サービスというような御指摘がございました。運送、サービスのサービスの中でも、例えば建設業につきましては、これは建設業法で別途同様な規定が、下請代金支払遅延防止法と同様な規定がございますが、御指摘のとおり、その他のサービス業あるいは運送業については現在この法律の中では規定されていない。それは、製造業、修理業におきます発注元と受注先との関係と、サービス業においては、やはりその業態が異なるということではなかなか同列には議論できないということではなかったかと思いますけれども、現在の法律では対象にはなっていないということでございます。  それから最後に、先生、異業種でありますとかそういう関係のものはどうかという御指摘ございました。御指摘のように、下請関係も、これまではどちらかといいますとピラミッド型といいますか、一つの親にいろいろな下請企業が関連してい ろいろ事業をやっているというものが多かったわけですけれども、最近のリストラの動きなどによりまして、ネットワーク型と申しましょうか、それぞれが多数の親企業、あるいは親企業も多数の下請との取引関係を持つというような形がだんだんふえてきているわけでございます。こうした中で、今いろいろ、不況でありますとか、あるいはリストラが進むという大きな環境変化がございます。こういった中で、下請企業の振興という観点から、どういう施策がいいのか、どういう考え方を持っていくのがいいのかということについては、最近の動きも踏まえまして、今私ども検討させていただいているところでございます。その検討結果に基づきまして、種々の施策をしてまいりたいと思っているわけでございます。  ただ、その結果として法律事項にまで及ぶか否かにつきましては、これまたその検討の内容いかんによろうかと思いますので、しばらくお時間をおかりしたいと思う次第でございます。
  39. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 農水省にお尋ねしますが、農水省の方で、食品製造あるいは食品加工業種の中でこの法律の適用を受けておる業種はありますか。
  40. 米田実

    ○米田説明員 本法の対象でございますが、現在のところ受けて保おりません。
  41. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 受けていない。  建設省は来ておられますが、質問通告はしていないのですが、建設省の方でこれは下請ありますね、孫請もあるね、この法律の適用を受けているところはありますか。
  42. 風岡典之

    ○風岡説明員 お答えいたします。  建設業につきましては、先ほど中小企業庁の長官の方からお話がございましたように、私どもは建設業法の中で中小企業につきます配慮規定というのを設けておりまして、それを通じまして適切な代金の支払いとか契約関係が実現できるように努めているところでございます。
  43. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 今説明があったわけでございますが、長官、この法律が現実的には、せっかくの法律であるにもかかわらず通産省所管の業種しか適用を受けていないんですね。  私は、この際、この振興法という法律を、最近のようにただその代金の遅払いをどうするこうするということだけでなくて、労働関係、雇用の関係で下請と元請との間に問題が起こってくることが非常に多いわけですよ。それがために、ぜひともこれの業種を広げていかなくてはならないと思います。また、建設業の場合、官公需で元請との契約はあるけれども、元請が出した下請業者との関係というのは、発注者との関係が全くなくなってしまう。下請がさらに孫請をした場合にはなおさらのこと、発注者と全然関係がない。こういうようなところにこれまた非常にやみ献金の原因がつくられる、そういう一つ要素ができてくるわけであります。  したがいまして、この法律というのはせっかくある法律でございますから、ひとつ業種を他省庁所管の業種にまで広げていく、そしてこの法律の立て方として今や振興というようなことではなくて、それを通じて中小企業者に対してひとつ保護を加えていく、あるいは援助を与えていく、そういうような法律にこの際大改正をしていく必要が、今やその時期に来ておるんじゃないか、こういうように思うわけでございますが、ひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  44. 関收

    ○関政府委員 繰り返しで恐縮ではございますけれども、今の下請中小企業振興法、これの三本の柱ということを先ほど申し上げましたけれども、例えば振興基準、これは下請事業者の生産性の向上でありますとか、あるいは親企業との取引条件の問題でありますとか、あるいは設備の近代化でありますとか技術の向上、こういったような事項につきましては、製造業、修理業でございますればすべて対象になるものでございます。したがいまして、この法律にも書いてございますように、振興基準自体は通産大臣がつくらせていただきますけれども、実際いろいろ運用に当たりましては、各業の主務大臣がなさるという法体系にもなっているわけでございます。  一方、労務関係といいますか、今先生そういう御指摘もございました。先ほど大臣から御答弁申し上げましたけれども、実は今の振興基準の中で労働時間の問題につきましても規定を設けているわけでございまして、例えば親企業が週末に発注をして、週初に、翌週の初めに納めるとか、夜遅く発注して翌朝納めてくださいといったようなことは極力避けていただくようにこの振興基準の中で明記をいたしているわけでございます。これはあくまでも振興基準でございますから、それぞれの御協力をいただくという性格のものでございます。  一方、先生御指摘になりました、より大きな問題といいますか、より大局的な見地からの下請企業の振興のあり方について法律改正をしてはどうかという御指摘がございました。  先ほどお答え申し上げましたように、今極めて経済状況が厳しい上に、いわゆるリストラというのが進みつつある中で、これから下請中小企業の展開をどう考えていったらいいか、そのためにまた、中小企業庁としてどんなお手伝いができるかというようなことは非常に重要な政策課題だと思っておりまして、今いろいろ勉強をさせていただいておるところでございます。その検討結果に基づきまして対応させていただきたいと思う次第でございます。
  45. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 その検討の中に、私が今申し上げた、下請中小企業を援助していく、元請から守ってあげるために援助をしていく、保護をしていく、そういうような考え方に基づいて、あるいはそういう考え方も含めて検討されておるのかどうか、お答え願いたい。
  46. 関收

    ○関政府委員 今先生お尋ねの、援助といいますか補助といいますか、その辺については二つの側面があろうかと思います。  一つは、親企業との関係で取引条件その他が極めて厳しくなる、それが公正な取引が行われるようにいろいろやっていくということにつきましては、これは先生御案内の下請代金支払遅延等防止法の運用という形でこれからも厳正に対処してまいりたいと思っておるところでございます。この点は公正取引委員会の方が主としてやっていただいておりますし、我々も中小企業庁としていろいろ対応させていただいておるわけでございます。  それからもう一点は、下請中小企業の方々が時代の変化に応じまして新たな技術開発をしなければならない、あるいはコストダウンのための投資が必要である、あるいはまた、新分野を目指して新しく展開をしようといったような方向での動きに対するお手伝いということがあり得ると思います。我々これを中心に今検討させていただいておるわけでございますが、それらについて、予算措置でできるのか、あるいは金融といった形でできるのか、先生御指摘のように、どうしても法律でなければできないのか、その辺のところは、この検討結果を待っていろいろ考えさせていただきたいということで申し上げた次第でございます。
  47. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 長官、建設省の方も見えておるわけでございますが、例えば建設業、ゼネコンが部分的に下請する、こちらも下請する、その場合に、ゼネコンは資本金が十億、二十億であっても、いわゆる交際費というのは限られておるでしょう、ゼネコン自体での交際費が、大蔵省、税務署に対して。我々が中小企業の相談、中小企業の皆さんから苦情を受けるのは、そういうところから、ちょっと制限されておるからおまえのところタクシーのチケット十冊持ってこい、このツケはおまえのところで落としておけ、具体にそういう元請から下請に対しての要請があるわけです。これを拒むことができないという弱さがある。会計上処理ができぬので、毎年の確定申告の時期になると、これは一体どうなっているんや、いやいや、これは言えませんねん、ああそうか、使途不明金やということで税金をかけられてくる。口があやまっても元請の名前が出せないという弱さがそこにある。あるいは、ゼネコンが発注先から受けた請負額、全然手を汚さないで、五%なら五%、八%なら八%、これは本社経費や、営業経費やということでカットしてしまう。残りをそのまま下請に丸投げする。発注者から十億で受注したのが、下請に来たときにはもう十億を切れておるのですよ。そういう中で今度はやる。さらにそれを孫請に投げていく、下請させていく、交際費だとかつき合い費だとかつケを回されると、その上にそういうようなことが来る。そういうような現実の姿であるにもかかわらず、発注者は、元請以外は知らぬ、下請とは全然関係ない、孫請とも全然関係ないというようなことで済まされておる現実の姿があるわけですよ。これは単に建設業者だけじゃないのです。建設業界だけじゃないのです。  私は、あえて企業の名前はここで出しませんが、農水省所管のある食品の製造業があるのです。そこに同種の下請、物品を製造さすという下請じゃなくて、例えば工場の中に物を移動きす、あるいは物を詰める、包装する、倉庫に納品する、倉庫から自動車に積み込む、そういう構内作業の部分を下請させられている運送業があるのです。これが、代金の遅払いじゃなくて、六年間も七年間もその請負代金というものは全く上げておらない。その上に、契約を見てみましたら、こんなものあなた、全然異業種であっても、これはもう完全な下請、あるいは完全な企業と関係のある労働者の扱い方をしておるわけです。例えば、業者と業者の間には当然のことながら契約書というのがあります。それをさらに作業の中で、仕分け業務、配送業務の作業実施要領というものをつくりまして、ここには何名の人員を配置しろ、そしてそれは何時から何時まで働かせい、私物をそこへ持ち込んだらいかぬ、作業着はここでかえなさい、そこの本体の事業所の社員と同じような扱いをしている。しかも、運送業でありますが、今申し上げましたような構内作業の仕分け、配送の業務の覚書というものを見てみましたら、基幹人員をここに何名置け、変動人員をここに何名置けというようなことでございますから、これはまさに労働者の違法な供給事業だと見られるような契約の内容になっておるのです。それがぽこっとつぶれてしまった。そこに働く労働者が明くる日からどうにもならぬというような状態が一例としてあるわけです。建設業の先ほどの例、あるいは異業種間の製造業と元請、下請の関係、こういう例があるわけですから、先ほど申し上げたように、単に下請の中小企業の振興ということで下請代金だけの遅払いを防止する法律だけで、これはもう中小企業を保護していっているんだというようなことにならぬのですよ。そういうもろもろのことを含めて、この振興法というものをこの際下請の中小企業の保護法あるいは下請中小企業の援助法というようなところに大改革をしていく方向で検討していく必要があるのじゃないかということを私は言っておるわけです。具体の問題が起こっておるわけでありますから、それこそが中小企業対策であると私は思うのですが、お答え願いたい。
  48. 関收

    ○関政府委員 今先生御指摘のケースにつきまして事情をつまびらかにいたしておらないわけでございますけれども、現在の下請中小企業振興法におきましては、単に料金の問題だけではなくて下請企業全体の発展あるいは取引条件のあるべき姿等々についても規定をしているところでございます。基本的に市場経済ということの中で、こういった形で国等が直接間接にどの程度介入すべきかということについてはさまざまな御議論があろうかと思いますし、また今先生御指摘のいる人なケースにつきまして、これをいわゆる通常の下請関係における問題としてとらえるのか、もうちょっと一般的な取引の問題として取り上げるのか、これはさまざまな御議論があり得るのではないかと思っておるところでございます。今御指摘の具体的なケースにつきましては、私も初めて伺った次第でございますので、少し我々も勉強させていただきたいと思う次第でございます。
  49. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 大臣お聞きいただいたと思いますが、私はそういう二つの例を今挙げましたけれども、そういう中でやはり中小企業を保護してやらにゃいかぬのです、中小企業を守ってあげにゃいかぬのです。今これから勉強するということを言っているのでございますが、せっかくこの法律があるのだから、この法律をそういうように改正したらどうやということを私は提言しておるわけでございます。この法律以外にそういうようなことを検討して新しい法律をつくっていただいてもいいわけでございますが、私の考え方についてひとつ大臣のお考え方をお述べいただきたいと思います。
  50. 森喜朗

    ○森国務大臣 今委員と長官とのやりとりを伺っておりました。確かに、これは四十六年というふうに伺いましたからもう二十年以上たっておりますし、いろんな意味で中小企業、またあるいはこの産業社会そのものも大きく変化をしておるわけでありますから、とりわけ今下請中小企業の多くは、景況の低迷に加えて大企業のリストラ等に起因する影響あるいは構造的な問題に直面をしておるわけでございます。  こういう状況の中で、下請中小企業が行う努力に対して具体的にどのような方法で支援を行うことが最も適切であるか、そうしたことを今長官も申し上げましたように鋭意検討をさせているところでございます。私も就任をいたしましてから、やはり中小企業のことについて現実とよく合っておるのか、例えば資金のことにつきましても金融のことにつきましても現実と本当にそこを来してないのかよく検討するように命じているところでございます。したがいまして、下請中小企業に対する支援として、下請取引関係の適正化、下請取引あっせんの積極的な推進等、さまざまなものが考えられるわけでございますけれども、新たに法律上の措置を必要とするものがあるならばそれについても検討すべきである、このように私は考えております。
  51. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 ひとつ今日的な時点で、ぜひとも中小企業保護のために検討方を強く要望しておきたいと思います。  なお、農水省の方も来てもらっておりましたが、今私が挙げたような例もあるわけですから、農水の方もぜひともその保護のための法律ができるように、ひとつ原局で検討してもらいたいと思います。  時間も余りないわけでございますので、次に移りたいと思います。  これは非常に大変な時期でございまして、きのうも参議院の方で証人喚問あるいは参考人招致をやっておりますが、実際嫌なものであります。この機会に、単に口先だけじゃなくて、与党も野党も行政もそういうようなことのないようにするためにはどうあるべきかということをやはり真剣に考えなければ、国民の政治不信というものはますます募るどころか、もう限界に達していると思います。国民の皆さんのその政治不信というものが限界に達すれば後はどうなるかということです。非常に恐ろしいことを私たちは推定することができるわけです。  だから、ひとつこの際真剣になってという考え方で建設省にお尋ねしたいわけでございますが、私は先ほどちょっと下請と元請との間の例を挙げました。もっと言うならば、これだけの下請代金を払うのだけれども、ひとつ二割の水増しの領収書を持ってこいというように元請に言われても、はいはいということで水増しの領収書を出さざるを得ないという弱さの下請、孫請というのがあるわけです。だからそういうようなことについて、今建設省の方は、あの金丸事件が起こって大臣談話も発表されて、そして中央建設業審議会への諮問もやり、答申も受けて、どういうような入札制にすればよかろう、どれがベターであろうというようなことを検討しておられるということでございますが、それに加えて、私が先ほど申し上げたように、元請だけじゃなくて現実に工事を請け負っておる下請、孫請、そういうようなところまで受注者と発注者の関係というものをつくることによって、その中間的な非常に不透明な金の動きというものをなくしていく結果をつくり上げる一つ要素になるのじゃないか、こういうように思うわけでございますが、そんなことは検討しておられますかな。
  52. 風岡典之

    ○風岡説明員 お答えいたします。  先生今御指摘いただきましたように、私ども入札契約制度につきましてはできるだけ競争性、透明性のある制度というものを実現したいということで、昨年の秋に中央建設業審議会で答申をいただきましたので、大臣の指示もいただきましてそれを早期に実現するようにということで今準備をしております。平成五年度から新しい入札方式の導入ということも行う予定にしておりますし、また手続面での改善ということも省内に委員会を設けまして一カ月ぐらいで結論を出すということで今準備をしているところでございます。  それからもう一つ、その際先生の方から、元請と下請の関係あるいはさらに孫請との関係、その辺も大事ではないかという御指摘をいただきました。御指摘のとおりだというふうに思っております。これにつきまして、私ども今まで取り組んできましたことについて若干御報告をさせていただきたいと思います。  まず、元請、下請あるいは下請の一次、二次の間の関係というようなものにつきましても建設業法に基づいて指導してきたわけでございますが、さらにその精神をできるだけ具体的に定めて指導する必要があるということで、平成三年でございますが、建設産業合理化推進の指針というものを定めておりまして、これは元請と一次下請の関係だけではなくて、一次下請と二次下請、さらにもう少し重層的なものはさらにその先も含めてでございますが、まず当事者間の関係が、一方が優位に立つという関係では適正な契約が結ばれないということで、対等な当事者ということで契約が結ばれるようにということで、まずそういうような指導をしております。契約の締結についてはそういう立場で、適正な契約をするように、さらに代金の支払い等につきましても細かい指導というものを行っているところであります。御指摘の点につきましても、そういったことをさらに徹底するということで進めてまいりたいと思っております。
  53. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 ぜひともひとつ工事契約に、やはり下請、元請、とにかく工事に関係する業者はすべてが発注者とのかかわりがあるという、そういう内容をぜひともつくり上げてもらうことがこの種の事件が起こらない一つの要因になろうと思いますので、ひとつ真剣になって建設省考えてください。それがまた下請、孫請の中小企業を守ることにもなるんです。  それから、私も地方の下っ端の役人をやったことがあるんです。だから、私は次のことを言うんですけれども、昔は、例えば建築にしても土木にしても、発注者である自治体なら自治体あるいは工事事務所なら工事事務所が自分で設計したんですよ。自分で設計すれば、どういう材料が要って、どれだけの工賃が要ってといって積算ができますよ。本来設計した者にしか本当の積算というのはできない。それが今設計が全部請負にしているでしょう。失礼な話でございますが、技監であろうが何であろうが、その設計した者よりも素人です。玄人が設計して積算して、素人の役人が工事の管理に行くんや、ろくなものできるはずがない。そういうような設計業者に設計、積算をさせておいて、そして我がしたかのような顔をして発注者が受注者に仕事をやって、予定価格がどうやこうやということはわからぬのに、予定価格だけわからぬ役人がつくって、それで入札や、これじゃ自信を持った発注者と受注者の関係というのはできない、正常じゃないんです。そういう点は難しい話でございますが、私はやはり考えておく一つじゃないかと思う。  もう一つ、これは無理からぬ話であるかもわからないけれども、やはり原点に返って、会計法どおりの入札の仕方をしなければいかぬ。会計法どおりの入札ということは一般競争入札です。指名競争入札ではないんです。指名競争入札をやるから政治家が、この指名に入れてやってくれへんかというように働きかける。指名入札制度でございますから、今度はランクづくりというのをやる。AダッシュからAランクからDランクまでつくって、この工事については何ランクや、だからあなたのところはあかぬ、そこを何とかしてくれぬかい、そこを一ランク上に入れてやってくれぬかということをまたランクづけで政治家が動く。だから指名競争入札、そのためにそのランクづけ、これも非常に不透明な契約の内容になる一つの大きな問題であろうと私は思うのです。これだけを何とか克服すればそう悪い政治家は出てこぬようになります、と思いますよ。私はやはりこの際、与党も野党も、そして行政も真剣になってメスを入れるということになってもらわないと困る。ひとつ建設省、お答え願いたいと思います。
  54. 峰久幸義

    峰久説明員 お答えいたします。  まず、会計法に基づいて一般競争入札をという御指摘でございました。会計法においては申し上げることもありませんが、契約方式の原則は一般競争契約とされておりますけれども、一般競争入札に付することが不利と認められる場合には指名競争入札にすることとされております。公共工事につきましては、物品の購入と若干異なりまして、現地の組み立て作業でありますとかあるいは単品受注というふうな特殊性がありますので、そこから施工能力の劣る建設業者あるいは不誠実な建設業者を排除して疎漏工事の防止を図る、こういうことから指名競争入札を採用しているところでございます。  また、一方、入札契約制度のあり方につきましては、従来からいろいろ中央建設業審議会でも御審議をいただいております。五十八年にも答申がございましたし、最近におきましては、平成四年十一月二十五日でございますけれども、ここでも議論がなされました。そこで、基本的には入札契約制度の基本的なあり方ということについて、主要先進国における制度の実態も参考としながら、これはアメリカなどでは一般競争がやられているという実態もあるわけでございますけれども、イギリスではかつて一般競争が大部分であったのが指名競争入札に変えたとか、あるいはフランスでは提案型をやっているとか、こういうこともいろいろ検討しながら、一般的に制限つき一般競争入札というものを導入することにつきましては、入札の審査でありますとか、あるいは一般的な公募をしていますので、そこでチェックをするということで施工監督等の事務量が非常に増大するとか、あるいはダンピングの発生のおそれがあるとか、疎漏工事を排除するための客観的な条件をいろいろづけていかなければならぬ、こういうふうな技術的な検討というのもまだまだたくさんする必要がある、こういうことで、現状において導入することはなかなか困難であろうということで、今後幅広い検討を重ねるということになっております。したがって、一般的な入札契約制度としては、従来どおり指名競争入札を基本とするということになっているわけでございます。  ただ、本答申において、もう先生既に御指摘になられましたけれども、現行の指名競争入札制度について透明性、競争性の観点からもう少し改善すべき点があるんじゃないかということは指摘されているのも事実でございまして、これにつきましては、先ほど建設業課長からもお答え申し上げましたが、この答申等を踏まえまして、まず建設省の直轄事業から始めようということで、平成五年度から技術力を重視した新たな入札方式の導入を図るとか、あるいはその手続を改善するということで、省内に検討委員会を設置しまして指名基準の具体化だとかあるいは入札手続の改善のための具体案を早急に取りまとめる、こういうことにしているところでございます。そういう形で所要の改善措置を早急に講ずるということで、公共事業のなお一層適切かつ厳正な執行に努めてまいりたいということでございます。  それからもう一つ、登録制度それから指名について政治家の介入するようなあいまいなものではないかという御指摘がございました。登録につきましては、先ほど申されましたように、ランクづけを行っておりますけれども、これにつきましては、完成工事高であますとか技術職員の数だとかあるいは経営状況、工事の成績、こういうものを所定の一定の算定要領に基づきましてこれで総合点数をある程度明確に決めるようになっておりますので、そういうもので順番に格付しているということで、そこのところについては厳正に行われていると思っております。また指名競争につきましても、いろいろな指名基準とか会計法令に基づいて、各種のことを基準に従ってやっているところでございます。なお、そこについてさらに改善すべき点があるのじゃないかというのは、先ほど申し上げたとおりでございまして、早急に検討しているところでございます。
  55. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 お互いに、私たちも勉強します。この際、建設省、これを限りに、国民から信頼されるような建設省になるようにひとつ頑張ってください。  そこで、時間がありませんので、公取に対する質問は後で同僚がまた詳しく質問いたしますが、公取委員長、それにいたしましても、談合体質、公取の対応不十分というようなことがマスコミに書かれておるのや。その書かれておる一つの原因は、昭和五十九年二月二十一日にあなたの方で決められた指針、ガイドライン、これが大きく取り上げられておると私は思うのですよ。あなた、談合はいかぬ、話し合いはいい、情報交換はいい、業者間の情報を取り合いをしてもいい、役所の情報を入手してもいい、こんなばかなことがありますか。このガイドラインがある限り、公正取引委員会はいつまでたっても対応が不十分になるというより、少なくとも建設業の発注と受注者の関係について、あなた方自体がメスを入れるということができない、自分で自分の首をくくっているということになっておるのじゃないかというように私は思っておるのでありますが、これに対するところの考え方が一つ。  もう一つは、独占禁止法の四十四条の二項、「公正取引委員会は、内閣総理大臣を経由して国会に対し、この法律の目的を達成するために必要な事項に関し、意見を提出することができる。」これはどうも我々の方のこの条文の解釈の仕方とあなた方の方の解釈の仕方が違うらしいのでございますが、しかし、公正取引委員会として本当に力を出して正常な、公正な取引をやらせていこうと思いましたならば、この法律を活用して、おれのところは本当に困っておるのや、ガイドラインを廃止しようと思っても政治的な圧力があってなかなか廃止できへんでというようなことでもいいから国会に意見を言ってもらう、そういうことをひとつやってもらいたいなということを私たちはしむけておるわけでございます。そして、官公需というのは単に建設省だけじゃないのです。郵政省もある。農水省もある。防衛庁もある。通産省もある。各般にわたっておるわけです。建設業界だけ、あるいは建設省だけに眼を向けるのじゃなくて、この際、少なくとも政府機関として透明な契約が結ばれるように公正取引委員会としてもぜひともこの機を逃さず頑張ってほしい、こういうふうに思うわけでございますが、公取委員長、ひとつお答え願いたいと思います。
  56. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまのお尋ねでございますけれども、第一の建設業ガイドライン、公共工事に係る建設業団体の活動の指針、いわゆるガイドラインでございますが、よく御存じのように、これは一般的な事業者団体に、ガイドラインを前提として、建設業の特性を勘案して、独占禁止法上どういう行為が許され、どういう行為が違反であるかということをできるだけわかりやすく明示したものでございます。その中でも、当然でございますけれども、例えば入札に際しましてあらかじめ受注予定者を決める、あるいは受注価格を決めるというような行為は明らかに独占禁止法違反であるということを明示しているわけでございまして、このガイドラインが御指摘のようないわゆる談合を生む契機になっているというようなことは決してないものと私どもは考えておりますが、しかし、御指摘でもございます。私ども業界に対する独占禁止法の理解の徹底ということになお十分でない面があるいはあろうかとも思います。私ども、ここは十分にさらに努力を続けて違反行為の未然防止に努めなければいけないと考えているわけでございます。  それから、二番目のお尋ねでございますけれども、御指摘のような、本件に関連いたしまして、例えば先ほど建設省の方からの御答弁もございましたが、入札制度のあり方というものを含めまして、この種の問題についての独禁法違反行為防止の徹底にどういう方法が有効であるかということも、私ども、内部でさらに十分に勉強しなければいけないと思いますし、必要があれば私どもの考え方もまた申し上げるということを考えていきたいと思っております。  それから、最後のお尋ねでございますけれども、公共工事の発注はもとより建設省だけの問題ではございません。私ども、その発注制度のあり方につきましては、第一義的には発注官庁側が御検討されるべきものと思っておりますけれども、御指摘のように、現行のいわゆる指名競争入札制度が適正に行われる限りは公正、自由な競争が行われてしかるべきものと考えますが、さらに……(和田(貞)委員「物品の購入もな」と呼ぶ)物品の購入につきましても、会計法に即してというお話がございました。私ども、本来の趣旨に沿った業者間の競争が行われれば独占禁止法に違反するような行為が起こり得るはずはないと考えますけれども、遺憾ながら、必ずしも現実そういうことでもないということでありますれば、そのような購入制度あるいは発注制度についてのさらなる検討も必要であろうかと考えております。  私どももこの問題については、今後一層強い関心を持って私どもの業務の着実な推進に努めてまいりたいと考えております。
  57. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 あとは同僚議員に質問してもらうことにしまして、終わります。
  58. 井上普方

    井上委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時八分休憩      ————◇—————     午後一時十三分開議
  59. 井上普方

    井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小岩井清君。
  60. 小岩井清

    小岩井委員 私は、最初に建設談合事件関連について質問をいたしたいと思います。  金丸信被告の脱税事件の摘発を通じまして、大手建設事業者等による同被告への巨額な不正献金の事実、さらにこれまでの公共事業発注について金丸被告を初めとする政治家、建設省等の発注官公庁、建設業界、これらが一体となって指名の際の入札の不正や入札談合を恒常的に、しかもかつ構造的に繰り返してきた、この疑惑が日増しに明るみに出つつあるということは、そういう認識にお立ちになっているだろうと思います。  社会党は、去る三月二十九日赤松書記長を先頭に、小粥公取委員長に対しまして、今回の不正献金問題の背景にある公共工事入札談合疑惑について、公取としてみずからの権限に基づいて速やかに徹底した調査を行って、企業代表者に対する刑罰も含めた厳正な措置をとることと、談合の温床になっていると言われる建設業ガイドラインを直ちに見直すべきであるということ等を要請したところであります。このことは、既にテレビ、新聞等でも報道されたように、この要請に対して小粥委員長は重大な関心を持って情報の収集に当たっているというふうに述べられました。そして、適切に取り組みたいとも述べられました。さらにガイドラインについて、指摘を大事に受けとめて見直すかどうかを含めて勉強したい、私どもが検討してくれと言ったら、検討という言葉を避けまして、勉強したいとおっしゃいましたね。というような御回答でありましたね。その点を、私もともに安田理事も同席をいたしておりましたから、そういうことであったと思います。きょうはその社会党と小粥委員長との今回の建設談合事件、このことについての話の要請の続きとしてやりたいと思います。  最初に、金丸事件に対する所感を伺いたい。  公正取引委員会としては、大手ゼネコン並びに地元建設業協会などから金丸被告等への不正献金問題と個々の入札談合疑惑が独占禁止法違反事件として成立するか否か、基本的に別問題などの立場をとっているようでありますけれども、公正かつ自由な競争の促進をうたう独占禁止法を所管する行政機関の長として、公正取引委員会委員長として、金丸被告の巨額脱税事件に端を発する今回の一連の事態についてどう受けとめておられるか、最初にこの点を伺いたい。この点を伺った上で順次質問に移りたいと思います。
  61. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまお尋ねの問題でございますけれども、この問題の全容は、検察当局が捜査をされ、その処理あるいは内容はまだ明らかでないと承知をしておりますけれども、いずれにいたしましても、本件との関連で一部に入札談合疑惑等が報じられていることは私ども承知をしております。  この点につきまして、あえて一般論として申し上げますれば、官公庁等が入札を行うに当たりまして、入札参加者側があらかじめ受注予定者を決定するいわゆる入札談合、このような行為は、申すまでもなく入札制度の根幹を揺るがすものであるとともに競争制限行為を禁止しております独占禁止法に違反をするものであります。私どもは従来から積極的に入札談合の摘発に努めてきているところであります。  そこで、公正取引委員会といたしましては、独占禁止法に違反する疑いがあるとする具体的な端緒となる情報に接した場合には、必要な調査を行うことはこれも当然でございます。本件につきましても、私ども公正取引委員会としては強い関心を持っております。したがいまして、検察当局の動向をも注視しながら鋭意情報収集に努めているところでございます。
  62. 小岩井清

    小岩井委員 小粥委員長は、一般論として今述べられましたね。具体的に伺っているのですけれども、具体的な端緒になる情報に接した場合、今最後にそういうのがありましたね。まだ具体的な端緒になる情報には接していないと。接しているのですか、していないのですか。
  63. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 具体的な端緒になる情報に接すれば必要な調査を行う、今までも行ってまいりましたということは申し上げたとおりでございます。  ここで御質問でございますけれども、具体的な端緒となる情報に接して私ども調査を開始する、これにつきましては、いわば違反行為に対する業務の内容といたしまして、これは違反行為にかかる証拠を、必要であれば間接的な強制権限も行使をして、その証拠の収集にも当たるというのが私どものこのような事案についての取り組み方でございますから、現在私ども情報に接して既に調査を開始しているかどうかということは、私どもの業務の性質上ここでお答えをさしていただくことは控えさしていただきたいと思いますけれども、私ども調査を開始するに足りる端緒となる情報に接すれば必要な調査を行う、それを前提にして現在鋭意、申し上げましたように情報収集に当たっておる、努力をしておる、そういうことでございます。
  64. 小岩井清

    小岩井委員 かなり答弁が明確性を欠いていますけれども、従来の答弁から見るとかなり踏み込んでいるなというような感じはいたします。  そこで、実は、私の質問の通告できよう一点追加されたものがありますから、それを先にやりたいと思います。  「告発問題協議会の設置等について」ということで、平成三年一月十日に公正取引委員会から文書が出ていますね。これは、「「告発問題協議会」を設置した。」この「協議会は、検察当局側が最高検察庁財政経済係検事以下の検事、公正取引委員会側が審査部長以下の担当官で構成され、同法違反事件を告発するに当たり、その円滑・適正を期するため、当該個別事件に係る具体的問題点等について意見情報の交換を行うものである。」ということで、設置の理由が書いてあります。  二点目なのですけれども、「検察当局からの公正取引委員会に対する独占禁止法違反に係る情報の通報について」、これがありますね。ここで、「公正取引委員会は、法務省との間で、検察当局がその捜査等の過程で得た独占禁止法違反に係る情報の、同法の規定に基づく公正取引委員会への通報に関し、その具体的要領について合意した。」とありまして、これは、「公正取引委員会は、従来の情報収集活動に加え」て、今おっしゃった、みずから端緒になる情報収集をするということでありますけれども、「この通報により得られた情報を積極的に活用することにより、独占禁止法違反行為の排除等に努める方針である。」こうありますね。  法務省、御出席をいただいておりますが、「検察当局がその捜査等の過程で得た独占禁止法違反に係る情報の、同法の規定に基づく公正取引委員会への通報に関しことありますけれども、これは、通報をし、そしてその通報が情報の端緒として告発、専属告発というみずからの保権限ですから、専属告発に基づきみずからの権限で告発をされる、それを法務省が受ける、こういうことが今必要ではないかというふうに思うのですけれども、この点はどうですか。法務省と公正取引委員会双方にお答えいただきたいと思うのです。
  65. 鶴田六郎

    ○鶴田説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、平成三年一月に検察当局と公正取引委員会との間で告発問題協議会というものが設置されまして、その先年の十二月になるかと思いますけれども、法務省と公正取引委員会との間で、検察当局がその捜査等の過程で得た独禁法違反に関する情報の、独禁法の規定に基づく公正取引委員会への通報に関し、その具体的要領について合意したということは、そのとおりでございます。その趣旨も、今御指摘になられたような趣旨で設けられたということで、相互の円滑な協力関係を行うという趣旨で設けられたものでございます。
  66. 糸田省吾

    ○糸田政府委員 ただいま法務省からも御答弁ありましたように、平成三年一月に、ただいまの御答弁の内容の合意をいたしたところでございます。公正取引委員会といたしましては、審査活動を行う上において、いろいろな角度からの情報収集を行うわけでございますけれども、法務省からもしこういった内容の通報がございましたら、これを積極的に活用して審査活動推進に努めてまいりたい、そのように考えておるところでございます。
  67. 小岩井清

    小岩井委員 法務省、質問のとおり答えてくださいよ。この第二項に従って、捜査の過程で得た独占禁止法違反に係る情報を提供するとありますけれども、したのですか、これからするのですか、そして、さらにそれが、専属告発は公取の権限ですから、それで、それを情報の端緒にして、告発を受けてさらに捜査を進める、こういうことになると思いますけれども、いかがですかというふうに聞いたのですけれども、それについての答弁出てませんね。
  68. 鶴田六郎

    ○鶴田説明員 お答えいたします。  情報の収集につきましては、具体的な案件につきましては、通報するかどうかということになりますと、前提としまして、事件を捜査しておる検察当局の判断というものが前提になるわけでございまして、今私ども段階でそのことについてはお答えできないわけですので、一般論という形で申し上げますと、一昨日起訴しましたシール談合については御指摘のような形で通報をとっておりますけれども、それと同様に、公正取引委員会の審査に資するという観点から、独禁法に違反する事実があると思料すれば必要に応じまして法令の許す範囲内で通報するという考え方でおるわけでございます。
  69. 小岩井清

    小岩井委員 法令の許す範囲で通報するという御答弁をいただきましたが、現在との段階に来ているのですか。通報する段階に来ているのですか、これからですか。
  70. 鶴田六郎

    ○鶴田説明員 お答えいたします。  具体的な捜査の内容というようなことにわたりますので申し上げられないことを御理解いただきたいと思うのですが、現段階で通報をしたということはないわけでございます。
  71. 小岩井清

    小岩井委員 現段階についての御答弁が非常にあいまいですけれども、具体的端緒になる情報に接した場合に、これを審査し証拠の収集に当たるという中での一環として検察当局からの情報の提供があるだろうというふうに思いますが、それを含めて、今後、公正取引委員会として本問題にする決意のほど、今聞いていると非常に淡々としていて、やるんだかやらないんだかわからないんだけれども、その辺どうですか。
  72. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、私ども、いわゆる入札談合を含めまして独禁法違反行為があると疑うに足るだけの情報、端緒に接しました場合は、これまでも必要な調査を行い、法に従って厳正に対応してきたところでございますし、その考え方は当然のことながら今後とも変わらないことでございます。
  73. 小岩井清

    小岩井委員 厳正に対処をするという方針は今までもとってきたし今後も変わらないということでありますね。今までとかく公取の非常に腰の引けた消極的な姿勢ということが批判をされてきたわけですね。ただし、最近非常に前向きに、積極的に公取としての職務を果たしているという評価を私自身もいたしております。したがって、そういう評価が出ている段階でありますから、自由にして公正な競争を実現するという番人でもある監督官庁の公正取引委員会の職員に従って、積極的に努力をしていただきたいということを要望いたしておきます。  次に移りたいと思います。  建設ガイドラインについてでありますけれども、これはもう既に私からだけではなくて何人かの方から他の委員会でも出ているというふうに承知をいたしておりますが、公正取引委員会事務局が一九八四年に制定した建設ガイドライン、公共工事に係る建設業の諸特性を勘案し、建設業の実態に即した形で本指針を定める、こういう前置きがありますね。発注官公庁別発注工事の実績に関する情報、発注予定工事に関する情報、労務賃金、建設資材の価格等積算の基礎となる事項に関する情報等の収集、提供は原則として独占禁止法違反とならないことを明言しておりますね。この事実をまず最初に確認したい。  このことが、かえって建設業界における談合体質を助長してきた、こういう指摘が多いのですけれども、みずから振り返ってみて、この建設ガイドラインについてどうお考えになりますか、見解を伺いたい。
  74. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまの御指摘でございますけれども、いわゆる建設業ガイドラインは、御質問にもございましたように私どもが公共工事に係る建設業の諸特性を考慮いたしまして、建設業団体についてどのような行為が独占禁止法違反であるか、あるいは許容されるか、これをできるだけわかりやすく、このガイドラインの前に一般的な事業者団体の活動についてのいわゆるガイドラインを設定しておりますけれども、これに則した形で建設業についてなるべく具体的に確認的に示したものでございます。したがいまして、御指摘でございますけれども、当然そのガイドラインの中には、一般ガイドラインと同じように、入札に際していやしくも受注予定者をあらかじめ決める、あるいは受注価格について取り決めを行う、このような行為は明らかに独占禁止法違反行為であるということは明示しているところでございます。したがいまして、私どもこのガイドラインが、御指摘のようにいやしくも談合を許容する、まして助長する、そのようなことがあろうとは全く考えておりません。しかし、このガイドラインが出されましてからまた私どもとしては、他の業種と同じく建設業に対しましても違反行為があると認められたときには、法に従って厳正な対応をしてきているところでございます。  しかし、御指摘のように、このようなガイドラインの存在あるいは私どもの違反行為に対する対応がありましても、なお入札談合行為が時に後を絶っていないということはまことに残念なことでございますし、またこのようなガイドラインが業界における独占禁止法についての理解あるいは法違反行為に対する未然防止に役立つようにと私ども考えて、普及にも努めてまいったつもりでございますけれども、この点は私ども努力がなお足りないということかとも思いまして、御指摘は私ども大事に受けとめて、どのようにしたら業界に独占禁止法がより十分に理解され、違反行為が未然に防止されるか、どのようにすればより効果的にそのようなことが行われるか、十分に勉強を重ねてまいりたいと考えております。
  75. 小岩井清

    小岩井委員 談合体質を助長してきたということではなくて、理解を深めるために出しているんだ、実際には、公取側はそういうふうに考えたんだけれども、これは違うんじゃないですかということがあちこちから指摘をされている。ですから、これは公取としても一度全部照らし合わせてみて見直したらどうかという指摘があるわけですね。  というのは、これの制定のきっかけになったのは、八一年の静岡建設業協会事件、摘発されたのですね。そして八二年一月から八月にかけて各政党が公共工事入札に関する制度改善策等を公表しておりますけれども、与党の自民党の見解を要約して申し上げますと、公共工事を受注する建設業界実態と特殊事情を考慮すると調整行為は不可欠であり、もしこれが独禁法その他の法令に抵触するというならば、むしろ公共事業執行の実態に即して法令の側を改正するか適用除外の措置をとるなど、適切な配慮が必要だというものです。この自民党の見解を読んでみますと、建設ガイドラインとの関連で大体理解がついてくるのですけれども新聞はもっと端的に、談合の元締めと言われた飛島建設名誉会長植良祐政さん、当時の会長ですけれども、これが今被告になっている金丸被告に陳情して、公取もその意向を酌む形で一定の情報交換を認めるガイドラインを出したんだということを書いているのですよ。この事実、承知していますか。  実際に七九年の事業者団体活動一般に関するガイドラインには、クロとなる行為類型、すなわち「原則として違反となるもの」「違反となるおそれがあるもの」を明確に例示して注意を促しているのに対して、この建設ガイドラインでは、競争入札において、一定のルールを定めることにより受注予定者または入札価格を決めない限り独禁法違反にならないとして、「原則として違反にならないもの」だけを具体的に列挙しているのですよ。極めて異様な感じを受けませんか。公取が、そうじゃない、談合体質を助長しているんじゃないと言いながら、そういうことになっているんですよ。ですから、そういうふうに具体的に疑いを指摘されるあるいはマスコミからも書かれている、国民からもそういう目で見られているということは一つ一つ検討し直さなければいけないと思うのですよ。  八一年の静岡の事件の際にも公取出身の弁護士が脱法行為の指南をしていたとして騒がれたことがありますね。そして、この建設ガイドラインは公取事務局みずからが書いた談合摘発逃れの手引書、少し酷評するけれども、そう言われても仕方がないものじゃないですか。このガイドラインならむしろなくしちゃった方がいい、ガイドラインなんかない方がいいと私は思いますけれども、どうですか。お答えください。
  76. 矢部丈太郎

    ○矢部政府委員 お答えいたします。  今建設業ガイドラインのできたときの経緯と、それから現在のガイドラインについてのお尋ねでございますけれども、独占禁止法の解釈や運用を明らかにするために種々のガイドラインを作成、公表しておりますけれども、そうしたものをつくる際には、従来から業界実態を十分把握した上でこれを行うことを基本としております。建設業ガイドラインの作成に当たりまして公正取引委員会は、公共工事に係る発注手続その他建設業の実態の聴取を行ったほか、学識経験者、発注官庁、関係業界団体等多方面意見を参考にさせていただきつつ、既に公表されておりました一般の事業者団体ガイドラインを前提として公取独自の立場からっくったものでございます。確かに自民党の見解も示されておりますけれども、それも参考の一つとしたものでございます。  それから建設業ガイドラインの内容でございますけれども、このガイドラインの中にもはっきり、競争入札において受注予定者を決めたりあるいは入札価格を決める場合には独禁法違反になるということを明示した上で、非常に限られた情報交換を掲示しているわけでございまして、決してどんな情報交換も認めているという内容にはなっておらないわけでございます。これは静岡事件を契機といたしまして、どういう場合の情報交換が認められるのかということが業界の中で非常に混乱したために、独禁法上問題とならない活動類型をわかりやすく示してほしいという要望があったことを踏まえまして、それから当然その情報交換の中にも事業者の合理的経営判断の助けになるものもございますので、そういう観点からっくられたものでございます。このガイドラインのもとにおきましても、公正取引委員会は建設業界における入札談合事件に対しましては厳正に対処しているところでございますし、先ほど委員長から御答弁がありましたように、建設業界の正しい理解が必ずしも徹底していない面があるとするならば、それは私ども努力が足りない面もあると思いますので、その前提となっております事業者団体ガイドラインとあわせてこの建設業ガイドラインの周知徹底が図られますよう一層努力いたしまして、談合防止に万全を期するということが重要であると考えております。
  77. 小岩井清

    小岩井委員 この建設業ガイドラインの理解を深めて談合防止なんかできませんよ。九一年一月六日の日経新聞の朝刊に、政府「談合防止へ情報交換を制限」「禁止条項を明確化」「独禁法建設業指針改定へ」という記事が掲載されていたのは御存じですね。この記事は、「政府は公共工事での入札談合を排除するため、独占禁止法の運用基準の一つである「建設業ガイドライン(指針)」を改定し、業者間の情報交換を厳しく制限する方針を決めた。現在のガイドラインでは、入札価格と受注予定者を決めない限り、入札対象工事に関する情報であっても業者間で交換することを容認している。このため、「入札談合が繰り返し起きる一因になっている」と批判が出ており、米国も「政府が談合を助長している」と改定を要請している。政府は交換を禁止する情報内容を明確に示す形でガイドラインを改定し、入札談合の抑止効果を高める。」と書いておりますけれども、不思議なことにこのガイドライン改定問題はその後立ち消えになってしまっているようですね。新聞も続報を書いていませんからよくわかりません。過去の経過として、この記事にあるように公正取引委員会内部でこれまでガイドラインの見直し等を検討した事実はありますか。また、横須賀米軍発注工事談合事件や日米構造協議その他の機会に米国政府等からこのガイドラインの改定を要請されたことはありませんか。この点について伺っておきたいと思います。これが一点です。  二点目、また、一九九二年八月二十七日の日刊建設工業新聞は、「公取、建設談合にメス、独禁法運用で、個別情報提供は違反」と題して、八月二十五日に新潟の建設業界が主催した独禁法研修会の中で公正取引委員会当局が示した独禁法運用基準を紹介いたしております。これによれば、情報提供活動のうち、公共工事の受注実績や計画の提供については、違反対象とならないのは長期的な観点に立った受注計画等に限定をされ、直接工事に係る個別の受注計画等は含まれないとしていると言われております。これはそのとおりですか。これも確認をしておきたいと思います。  仮にそうだとすれば、実質的に公正取引委員会自身が建設業ガイドラインとは別の独禁法運用基準を既に定めていることになりますね。というのは、情報交換の内容として長期の受注計画はシロで個別の受注計画はクロというような基準は、現行の建設業ガイドラインの表現からは全く読み取れませんから、この混乱を避けるためにも、私は先ほどない方がましだと言ったけれども、今あるものですから、きっちり見直して、談合体質を助長していると言われるような内容をきっちり改める、こういうふうに見直すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  78. 矢部丈太郎

    ○矢部政府委員 何点か確認を求められた点に順次お答えしたいと思います。  最初の、建設業ガイドラインにつきまして公取内部で見直しをし、それから業者間の情報交換を厳しく制限する方針を決めたという新聞記事でございますが、このような事実はございません。なお、公正取引委員会が出しておりますがイドラインにつきましては、運用している過程において問題がないかどうかという点については常に検討しているわけでございます。  それから二番目の、日米構造問題協議におきましては排他的取引慣行のテーマのもとで談合に関する効果的抑止について議論が行われましたけれども、この会合におきましてアメリカから建設業ガイドラインの改定について要請を受けたということはございません。それからまた、横須賀米軍発注工事談合事件の際にもそのような改定の要請はございませんでした。  それから三つ目のお尋ねの受注計画でございますけれども、これにつきまして現在のガイドラインで書いておりますのは、委員から御指摘ありましたように長期的な視点に立った受注計画等に限定され、個別の受注計画等は含まれないということでガイドライン作成のときから解釈しておりまして、現にそのように業界に対しては説明しているところでございます。これは、一般に建設業者は経営の合理化の観点から、公共工事の受注につきましても相当長期にわたった将来の目標受注額を設定しまして、その額の達成を図ることによって事業の運営を進めていくものでありますので、その受注計画というのはこうした各事業者が将来について設定する概略の受注計画を表現したものでございまして、個別の工事に関するものは含まれておりません。この点は前文にもございますように、受注予定者を決定するとかあるいは入札価格を決めるというものにつながるような情報交換はこのガイドラインでは認められてないということから出てくる問題でございます。  それから四番目でございますけれども、ガイドラインですべてはっきり書くというのはなかなか書き切れないところもございまして、そういうことにつきましては解釈として一般の方々には説明しておりますし、また業界への研修、説明を行ってきているわけでございます。したがいまして、建設業ガイドラインについては、これを見直すということよりも、むしろその前提となっている事業者団体ガイドラインとあわせまして一層の正しい理解を求め、周知徹底が十分図られるよう努めていくということが談合の防止に万全を期すことにとって重要である、こういうように考えております。
  79. 小岩井清

    小岩井委員 ガイドラインについて種々質問してまいりましたけれども、小粥委員長、見直すということで検討を始めたらどうですか。この点、お答えください。
  80. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 これまでにも申し上げてまいったわけでございますけれども、大切なことは、この業界に独占禁止法が正しく理解されること、それが現状では必ずしも十分ではないという御指摘でございますから、さらに理解が徹底、浸透すること、そして違反行為の未然防止が十分に確保されること、これが最も大事なことであろうかと考えております。ただ、ガイドラインにつきまして、ただいま委員から各点につきまして御指摘をいただきました。この御指摘は私どもも謙虚に受けとめさせていただきます。  いずれにいたしましても、今事務当局からもお答え申し上げましたけれども、本来の目的であります法の理解の徹底、あるいは違反行為の未然防止の徹底、これに対してどのような対応があり効果的であるか、これは常に勉強しているところでございますが、ただいまの御指摘も十分に承りながら、私ども、より一層努力をしてまいりたいと考えております。
  81. 小岩井清

    小岩井委員 さらに見直しに向けての検討を要請いたしておきます。  事業者団体について質問いたしたいと思います。  独禁法の八条一項について、事業者団体による競争の制限、事業者の数の制限、構成事業者の機能または活動の不当な制限、不公正な取引方法を用いさせようとする行為等を禁止をしております。同条二項は、事業者団体は、成立の日から三十日以内に公正取引委員会に届け出なければならないと規定をしております。届け出をしなかった者等に対して、九十一条の二で二百万円以下の罰金を科することにしています。ここに言う「事業者団体」とは、二条二項で「事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とする二以上の事業者の結合体又はその連合体」を指すものとされておりますけれども、この点について伺いたいと思います。  七九年の事業者団体ガイドライン、一、「共通の利益」とは、事業者個々の具体的利益であるのか業界一般の利益であるかは問わない、二、「主たる目的」とは、定款、規約等の目的にとらわれず、実質的に判断される。三、この規定に言う「事業者」は、事業主体だけではなくて、その利益のために活動する役員、従業員、代理人等も含まれる。これは二条の一項でありますけれども、そのため、例えば各会社の役員あるいは部課長をメンバーとする継続的な集まりについても、事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とするものであれば、事業者団体に当たるとの解釈指針を出しております。  以上を踏まえますと、例えば埼玉談合事件、これは土曜会のようなインフォーマルな談合組織、もしくは継続的に行われている談合のための会合もまた独占禁止法上の事業者団体とされ、無届けなものについては九十一条の二で刑罰を科すことができると考えておりますけれども、この点についての解釈を伺いたい。  それから、次に、ある政治家の業種別後援会、これを舞台として継続的に談合もしくは業者選定に係る陳情がなされている場合、こういうことをよく聞きますね、今回の金丸さんだけではなくて、あちこちで聞きます。各都道府県でも聞きますけれども、この後援会組織等もまた独占禁止法上の事業者団体の規定の適用対象になると考えられますけれども、この点についてはどうでしょうか。  これまでこの事業者団体の届け出義務違反で摘発された事例は存在しているのかどうか、談合等の独禁法違反事件の端緒をつかむためにも、今後この種の規定も積極的に活用していくべきではないかと私は思いますけれども、この点についても御答弁いただきたいと思います。
  82. 矢部丈太郎

    ○矢部政府委員 まず初めに、独占禁止法の事業者団体につきましては今委員から述べられたとおりでございまして、「事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とする二以上の事業者の結合体又はその連合体」であると法律に定義されておりますし、その具体的な解釈につきましては今のとおりでございます。  ある組織、会合がその事業者団体に当たるかどうかというのは、その目的、実態によりケース・バイ・ケースで判断されますけれども、例えば専ら公共工事に関する情報活動を行い、先ほど来委員から御指摘がありましたような要件を備えている組織体であれば、それは独禁法の事業者団体に当たることになります。  この事業者団体の届け出制度が設けられている趣旨でございますが、これは独禁法の運用に資するために事業者団体の活動の動向を把握するという点と、それから、届け出に際しましてその事業者団体の活動が独禁法上問題とならないかどうかということをチェックいたしまして指導するという趣旨によるものでございます。なお、その事業者団体に該当するものが独禁法上の届け出を行っていない場合には、届け出履行のために設けられております九十一条の二の刑罰の対象になり得るものではございますけれども公正取引委員会といたしましては、まず事業者団体の届け出制度を活用することによりまして、届け出ない団体に対しまして届け出を促すという形で、届け出を行うように促しているところでございます。  その次に、後援会組織等のお尋ねでございますけれども、先ほど申しましたように、事業者団体であるかどうかというのは、その実質的な目的、実態から判断されますが、一般的に後援会組織等は、事業者としての共通の利益の増進を目的に含まず、専ら政治的活動を行うことを目的としているものである場合には、独禁法上の事業者団体には当たらないと考えられます。しかしながら、仮に後援会等の中に、構成事業者の関係する公共工事にかかわる情報活動を行うことが主たる目的である組織体など、実質的に事業者としての共通の利益を増進することが主要な目的である団体があれば、独禁法上の事業者団体に該当するか否か検討すべき場合もあり得るかとも考えられますが、あくまでもケース・バイ・ケースで判断されるということになります。
  83. 小岩井清

    小岩井委員 要は、後援会等において事業団体として認定されるようなこともあり得る、ケース・バイ・ケースで検討する、こういうことですね。これは確認しておきます。  時間が迫っておりますから、社会保険庁の発注シールの談合事件に移ります。  課徴金の算定について、社会保険庁発注支払い通知書等のシールの供給業者らの談合について、談合罪、独占禁止法違反で摘発されましたね。それと並行して社会保険庁も、談合による不当利得、不当な経済的利得約十五億円の返還を求める訴訟を起こす方針を決めたというふうに報じられていますね。既に支払いの終わっている八九年の第一回の入札から九二年五月入札分まで、四億六千八百万枚のシール印刷代について、一枚当たり平均約十円の単価のうち、実際に丸投げされた下請業者に支払われた六円六十銭との差額三円二十一銭、これが談合による不当な利益もしくは発注者側としての損害に相当するという計算でありますけれども、これは実に受注単価の三二・七%になっております。これは三分の一以上ですね。この点について、数字的に間違いがないか、最初に確認をしておきたい。  それと、入札の場合には、指名業者が決まって入札をする場合に、この落札をする業者を決める場合に予定価格というのがあるのですよ。その予定価格との関係はどうなったのかということもあわせて聞きたい。  それから、この点について会計検査院はどういうふうに考えているのか、これも伺っておきたいと思います。  以上です。
  84. 池田登

    ○池田説明員 お答えいたします。  シールの落札価格につきましては入札の終了後官報で公告を行っておりまして、これは公表されておるわけでございますが、これまで私ども平成元年八月入札から平成四年五月までに支払いを行いました総額が約四十六億七千三百万円というふうになっておりまして、これをシール一枚当たりの単価に換算いたしますと、平均いたしまして九円九十八銭、約十円でございます。一方、下請業者に支払われたとするシール一枚当たりの額につきまして、下請させた価格が六円六十銭、これは消費税を含めますと六円七十九銭になりますが、こうでもったということは社会保険庁も確認をしており、事実でございます。  そこで、談合による不当な利益あるいは損害の額をどう見るかについてでございますが、これにつきましてはもちろんいろいろな考え方がとれるわけでございまして、私ども訴訟を今後提起するといたしました場合に関係省と十分協議をしなければならないと考えており、現段階で明確に申し上げることはできませんが、仮にシール一枚当たりの単価、先ほど申し上げました六円六十銭が適正な価格として認められるべきものであるといたしますれば、御指摘のとおりになります。  それから、予定価格についてでございますが、御承知のとおり契約の履行及びその後の他の競争入札の執行上支障がございますので予定価格そのものを申し上げることはできませんが、落札価格との結果を比較いたしますと、その差額は大きいものではなかったという結果になっております。
  85. 小岩井清

    小岩井委員 とすれば、おかしいじゃないですか。予定価格の設定自身がおかしかったということになる。ということになると社会保険庁ぐるみの談合になるじゃないですか。そうじゃないですか。
  86. 池田登

    ○池田説明員 お答えいたします。  社会保険庁といたしましては、このシールの入札に当たりまして、会計法令の定めに従いまして予定価格の積算をする場合に、原則といたしまして建設物価調査会発行の「物価資料」に基づきまして、なお「物価資料」に掲載されていないものにつきましては当該シールの原材料業者等から取引価格を徴し、これを参考にして予定位格を積算をしたということでございます。  ただ、しかしながら御指摘のとおり結果として予定価格が高目に設定されたということは事実でございまして、この点につきましてはまことに私ども申しわけなく思いますが、その大きな原因はシールの原材料業者、私どもが見積もりの参考のためにとりましたその実例価格の照会に対し、原材料業者の方からその価格を高く設定して提出していたためである、これが大きな原因であったというふうに考えております。  なお、私どもとしても今後このようなことができるだけなくなりますように、取引実例価格の見積もり徴収者につきましてはこれをできる限り多くの方から提出をしていただく、あるいはその根拠等もできるだけ詳しくとるというような形で、しかるべく対処をしていきたいと考えております。
  87. 小岩井清

    小岩井委員 いや、この点を追及していくともっと問題は大きくなるのですけれども、時間がありませんから一言だけ申し上げておきますけれども、要するに見積もりを出させて、その上で予定価格をつくったのでしょう。まるきり積算根拠も全然点検をしないで予定価格をつくったとすれば、業者の言いなりに予定価格をつくって落札させたということになれば、ぐるじゃないですか。ここに談合体質を助長している、役所ぐるみの談合があると言っても答弁できないでしょう。責任問題はどうするのですか。その点伺っておきたいと思います。次に移りますけれども、その責任問題だけ後で答えてください。  これに対して、公取が出す課徴金納付命令、これは九一年の法改正前の分、改正後の分などの問題が出てくると考えられますけれども、どのような計算になるのですか。九一年の改正の際、公正取引委員会は、当時梅澤委員長ですけれども、私に対して、カルテルによる不当な経済的利得は地球上に存在しない数字だと言って、私は取り消せと申し上げたのだけれども、算定は難しいという理由で、売上高営業利益率の平均をもとにして原則六%、一定の傘として、実行期間の算定についても終期からさかのぼって三年間に限定するというみなしを行ったのですね。シール談合の場合、終期を九二年九月とすると三年前は八九年九月、同年八月の第一回入札分は計算から外れることになりますね。しかし、改正前の行為については改正前の規定を適用するとすれば第一回分も算入されることとなります。ただ、いずれにしても今回のようなシール談合を見てみますと、この前の課徴金の改正がいかに控え目というよりも、全く文字どおり地球上にない数字で算定をしたというふうにお返しをしたいくらいなんですよ。そういう不十分な内容であったのじゃないか、この点をどうお考えになりますか、伺いたいと思います。  それから、損害額、不当利得額の算定について、社会保険庁として独禁法二十五条の損害賠償請求でいくのか、あるいは民法七百四条の悪意の受益者の不当利得返還請求でいくのか、この点は検討しているというふうに聞いておりますけれども、前者で公取に損害額の算定につき意見を求められた場合、どのような意見を申し述べることになるのですか、先ほど申し上げたようなことと関連をしてお聞かせください。さきに示した社会保険庁側の計算どおりでよいのか。民法七百三条、七百四条の不当利得返還請求でいく場合でも、七百九条の不法行為の場合と同様に参考資料を提供する考えがあるのかどうか、この点も伺っておきたい。  さらに、念のために公取と法務省の見解を伺いたいが、既に課徴金を納付した場合でも、損害額、不当利得額の算定に当たり課徴金分が控除されることはないのか、この点についての考え方も伺っておきたいと思います。  さらにもう一点、刑法の没収、追徴規定の適用関係について、これは法務省から伺っておきますが、会社の従業員、役員が会社のために談合を行った場合、当該談合により落札した会社が得た談合利益、他の会社が得た談合分配金について、刑法第十九条、十九条ノ二の没収、追徴規定の適用関係について法務省はどのように考えておられるか。これらの規定について典型的な企業犯罪として行われる談合事件の実態に適合していると考えておりますか、そう言えるかどうか。  また、刑法の特別法である独占禁止法違反で法人、個人に両罰規定が適用される場合には、この没収、追徴規定の適用関係とどういう関係になっていくのか、この点についてもお考えを伺っておきたいと思います。  以上です。
  88. 糸田省吾

    ○糸田政府委員 一番最初のお尋ねの、一昨年行われました独占禁止法改正によって課徴金の算定率の変更があったわけでございますけれども、その時期を挟んで違反行為が行われている場合に課徴金はどのように計算されるのかというお尋ねでございますので、その点についてお答え申し上げたいと思います。  この点につきましては、改正法の附則第三項の規定によりまして、改正法の施行日であります平成三年七月一日前に行われました違反行為については改正前の法律の算定率が適用され、それからまたこの改正法の施行日以後に行われた違反行為に係る売り上げにつきましては改正後の算定率を乗ずる、こういった形で計算することになっているところでございます。
  89. 塩田薫範

    ○塩田説明員 平成三年の課徴金の引き上げの際の先生と当時の梅澤委員長との間でいろいろ議論がございましたが、その点に関連づけての御質問でございます。  そのときの課徴金引き上げの法案改正に当たりましては、課徴金の懇談会を設けまして、そこで有識者の意見をまとめていただいて、基本的な考え方といたしまして、「課徴金制度が社会的公正の確保と抑止力の確保の両面の性格を有するものであることを踏まえ、かつ、刑事罰・損害賠償制度との関係にも留意しつつ、本制度の性格にかんがみ合理的な範囲内で設定される必要がある。その場合、その水準は必ずしもカルテルによる個別具体的な経済的利得と厳密に照応するものである必要はなく、カルテル禁止規定の実効性を確保するために十分な抑止効果が期待できるものとして設定されること」が適当であるということでございまして、さらに具体的には、カルテルによる経済的利得は「現実には把握し難いことから、最も適切と考えられる一定の方式を定め、これによって算定することが必要となる。」「課徴金制度は行政上の措置であることから、算定の容易さ、透明性・明確性等の点を勘案すれば、個々のケースごとに経済的利得を算定することは適当でなく、」「売上額に一定率を乗じる簡明な算定方式とすることが妥当である。」そういったような御意見をいただきまして、この課徴金問題の懇談会の報告に沿って改正を行い、国会の御了解をいただいたところでございます。  それから、社会保険庁からの事案につきまして、二十五条訴訟がその後提起され、裁判所からこの関係で公取に対しまして損害額の意見を求められた場合にはどう対応するのかという御質問でございますけれども、これにつきましては、二十五条訴訟に基づく訴訟に関しまして、裁判所から損害額につきまして意見が求められた場合には、公正取引委員会としては、違反行為に即しまして、違反行為と被害者の損害一般との間に相当因果関係があるか否か、そういった点、それからもう一つ、損害額についても、違反行為に即して、違反行為の特性、市場状況、流通等の状況、そういったものを踏まえた上で適切な一般的な算定方式を述べるということでございます。したがって、仮に、社会保険庁が独禁法二十五条に基づく損害賠償訴訟を提起し、公取に対しまして裁判所から損害額についての意見を求められた場合には、今申し上げましたように、違反行為に即して適切な一般的な算定方法をお示しするということになろうかと考えております。  それから、二十五条訴訟あるいは民法七百九条訴訟ではなくて、民法七百三条なり七百四条に基づく訴訟が提起された場合に、公取に意見あるいは資料の提供を求められた場合にどう対応するかという点でございますが、先ほど申し上げた私どもの対応の考え方は、独禁法二十五条訴訟なり、あるいは独禁法違反行為に関連する民法七百九条に基づく損害賠償請求訴訟についての我が方の対応の考え方を示したところでございまして、その議論といいますか、我々の方で議論をいたしました中では、民法七百三条、七百四条のケースにどう対応するかということは検討の対象にしておりませんでした。ただ、一般的な制度として、そういった七百三条、七百四条の訴訟制度でございますから、そういったものが出てきた場合には、私どもとして十分に検討した上で適切に対応したいと考えております。  それから、課徴金が既に納付されている場合に、損害額あるいは不当利得額の算定に当たり課徴金分が控除されることはないのかあるいは控除されるのかということでございますが、課徴金制度なりあるいは損害賠償制度、それぞれ趣旨、目的が異なっております。したがって、具体的にはといいますか、最終的には裁判所が御判断になる問題だろうと思いますけれども、私どもといたしましては、両者はそれぞれ趣旨、目的、内容等を異にしておりますので、公正取引委員会意見において損害額の算定を仮にいたします場合には、課徴金分を控除することはないというふうに考えております。
  90. 升田純

    ○升田説明員 法務省といたしましては、具体的な事案に関する事柄でございますので、訴訟が提起された後に裁判所において判断されるべき事柄であると考えておりますけれども、一般論として申し上げますと、先ほど御指摘の不法行為に基づきます損害賠償訴訟、請求といいますのは、民法七百九条あるいは独禁法の二十五条に基づく請求ということになりますが、その場合に請求できる損害額といいますと、行為と相当因果関係にある損害を請求できる、こういう関係になっておるのではないかと考えております。ただ、御指摘の課徴金を控除すべきであるかどうか、あるいは御指摘の場合に不法行為が成立するかどうかにつきましては、法務省としては意見を差し控えさせていただきたいと考えております。  また、不当利得の返還請求でございますけれども、これは民法の七百三条以下に規定されておりますが、これは法律上の制度といたしましては、法律上の原因なしに他人の財産等によって利益を受けその他人に損失が生じた場合にその利益の返還請求を認めるということになっておりますので、御指摘の場合に不当利得が成立するかどうかという問題につきましても、やはり最終的には裁判所で判断されるべき事柄であると考えております。
  91. 鶴田六郎

    ○鶴田説明員 お答えいたします。  刑法の関係ですので私の方から説明させていただきますと、直接御質問にお答えする前に刑法の没収、追徴制度について若干説明させていただきますと、この没収、追徴というのは、一つの基本としては付加刑であるということになっております。刑事事件で起訴され、有罪にされた被告人が普通は懲役とか罰金とかいうことでそういった、主刑と私ども呼んでいるわけですが、主な刑と書きますが、その主刑に付加される付加刑であるということでございまして、原則としては起訴されている被告人について言い渡されるということであります。  それから、ではどんなものがその没収対象になるか、これは一々詳しく申し上げませんけれども端的に申し上げますと、犯罪組成物件であるとか犯罪供用物件、犯罪生成物件あるいは犯罪報酬物件ということになっていますけれども、これもまたその没収の対象になるものは、有体物でかつ原則といたしまして犯人の所有に属していなければならないということになっておるわけでございます。  そこで、その談合罪というものについて見ますと、刑法には両罰規定がございませんので、起訴される者は自然人ということになりますので、その自然人について先ほど主刑を言い渡すときに付加刑ということになりますので、その落札した会社が得た談合利益というものを刑法上の没収で行う、追徴で行うということはなかなか難しい。できる場合というのは、行為者である自然人が談合した、その結果いわゆるその談合したことの報酬としてよく言う談合金というものを個人が取得しているというようなものであればそれは没収の対象になりますし、費消して現存していなければそれに相応する利益を追徴するということになっているわけでありまして、そういう裁判例は調べた限りでも数件あるということです。  それから、今度は不当取引制限の独禁法の関係なんですけれども、結論的に申し上げますと、刑法の没収規定を使ってその落札した会社が得た利益といったものを没収するのはなかなか難しい、これは学者の人も指摘するところで、そういう不当利益の剥奪というのでは課徴金というのが非常に活躍しているのではないのかなというふうに理解している、こういうことでございます。
  92. 小岩井清

    小岩井委員 丁寧に答弁いただきまして、若干時間をオーバーしてしまいまして申しわけありませんでした。安全保障、輸出管理について時間がとれま保せんでしたので、渡辺貿易局長、御出席いただいて申しわけありませんが、機会を改めて質問させていただきたいと思います。以上です。
  93. 井上普方

    井上委員長 春田重昭君。
  94. 春田重昭

    ○春田委員 私は、六十分という限られた時間でございます。本日は数多くの質問を準備しておりますので、大臣並びに長官、政府委員、答弁はひとつ簡潔にお願いしたいと思います。  まず、景気問題についてお尋ねしたいと思うのです。  為替市場が再び円が急騰してきております。ちょうど前回覧間したときも円が非常に急騰したわけでございまして、私が質問に立ては何か円が急騰するような状況になっているわけでございますが、昨日のニューヨーク、ロンドン市場では一時百十三円台に突入、本日、我が国の東京市場でも午前中は百十三円に突入、日銀が若干介入したことによりまして、午前は百十四円二十銭で終わっております。この円高によりまして、業界よりましてはメリット、デメリットがそれぞれ出てくるわけでありまして、この円高傾向に対しまして、通産省としてはメリット業界に対してはいかなる指導をしていくのか、またデメリット業界に対しては助成をしていくのか、こういったことを考えるわけでございますけれども、まず通産大臣の御所見をいただきたいと思います。     〔委員長退席、安田(範)委員長代理着席〕
  95. 森喜朗

    ○森国務大臣 今委員から御指摘ございましたように、昨今の円高の動きがまたいろいろと目まぐるしく動いておるわけでございます。  常に申し上げておりますように、中長期的な観点でいえば、私どもといたしましては、対外不均衡是正を進めていくためには、基本的に、為替レートが我が国のファンダメンタルズを反映し緩やかな円高傾向となることが望ましいというふうに考えております。しかし、今回のようにまた、恐らく四月に予定をされている宮澤首相の訪米あるいは次回のG7を控えまして、政治的な円高方向への為替調整圧力が生じるのではないかという思惑が依然として強く残っていることに加えまして、相場の需給面でも輸出企業によるドル売り圧力が生じているというような観測が出ているということ、こうしたことがこの動きを反映しているのではないかと見ております。もう一つは、我が国の株式相場が最近堅調に推移してきております。このことが円買いへの安心感を生んでおりますし、また、経済対策への期待も高まっているということなどを背景として投機的な動きが活発化しているのではないか、このように考えております。  当省といたしましては、為替レートが思惑によって短期的なうちに急激に変動することは輸出関連企業の円ベースでの手取りを減少させ、収益のさらなる悪化を招くなど、停滞を続ける内外経済へ悪影響を与えるのではないかということを懸念いたしておりまして、今委員からおっしゃるとおり、デメリットとしての面で十分に気をつけていかなければならないというふうに考えております。  円高による差益還元についてどうか、メリットの方はどうかということでございますが、円高メリットが実際に発生するためには円高がある程度の期間継続する必要があると考えております。さらに、原油等原材料の価格動向等によっては、場合によってはこれらのメリットがまた相殺されるという面もあるわけでございまして、一般的に、円高メリットが発生した場合には、それが市場メカニズムを通じて我が国経済の各分野へ浸透することによって物価の一層の安定に資するものと考えておりますが、円高のメリットが末端にまで波及するにはそれ相応の時間を必要とするものではないかと考えております。  いずれにいたしましても、通産省といたしましては、為替レートの動向等を踏まえまして、円高メリットの発生及びその波及の状況については十分注意してまいりたい、このように考えております。また、円高メリットが発生いたしましたら適時適切に対応していきたい、このように考えております。
  96. 春田重昭

    ○春田委員 本日、二日には、アメリカの雇用統計が発表される予定でございまして、この統計の内容が芳しくない、思わしくないとなれば円高が一段と進行される。こういうことで円高が定着方向になれば、電力を初めとした輸入業界の円高差益というのは当然国民また消費者に還元すべきであろうと私は思っております。通産省としては適切なそういった指導をひとつしていただきたいし、またデメリット業界に対しましても、きょうの昼のニュースを聞いておりますと、大臣は、地場産業に対して十分注意を払う必要があるというようなコメントをされたやに聞いているわけでございますが、私は、そういったデメリット業界に対しても国として最大限の援助を差し伸べていただきたいと強く要望しておきます。  さて、船田長官の方にお伺いしたいと思います。  平成四年は実質経済成長率、当初三・五%ということで経企庁は発表したわけでございますが、昨年十二月、これを大幅に下方修正して一・六%としたわけでございます。この大幅修正した経企庁の責任者として、長官、どう御反省なさっているのか、また、この一・六%は現時点でも厳しいのではないかという声が出ておりますが、この辺の御判断をどうされているのか、あわせて御答弁いただきたい。
  97. 船田元

    ○船田国務大臣 お答えをいたします。  まず、平成四年度の政府経済見通し、当初は三・五%ということでお示しをいたしまして、その後、昨年十二月に一・六%ということで下方修正せざるを得なかった、こういう経験を持ったわけでございます。私どもとしては、景気の動向そして今後の予想、いろいろと正確な数字をなるべくお示しじよう、あるいは政策努力の結果としての数字をお示ししようということで常に努力しているつもりでございますけれども、今回の景気低迷の原因といたしまして、従来の循環的な要素、それはもちろんだけれども、それに加えての、いわゆるバブル経済の崩壊、それがいわゆる資産デフレということになり、そのことが実体経済、特に消費を冷え込ませるということもありました。また、企業家の設備投資もこれまた冷え込ませてしまう、このような事態も招いたわけでございます。我々としては、もちろんこれは多分戦後初めての経験であると思いますけれども、そういうことによって確かに見通しは困難ではあったと思いますが、しかしそれで言いわけをするというわけでは決してありませんで、やはり見通しが甘かったなということについては、これは率直に認めざるを得ない、このように申し上げたいというふうに思っております。  また、現在の一・六%の見込みでございますけれども、これも確かに昨年の十−十二月期のQEが○・一%、ほとんど横ばいという状況でございました。年度間で一・六%を達成するためには、たしか三・一四%程度この一−三月期伸びなければいけない、こういうことでございますので、これはなかなか難しいなという感じはいたしております。もちろん、現状において若干ではありますけれども、先行指標を中心として一部明るさが見られつっあります。  また、これはやはり昨年八月の総合経済対策、その効果が徐々にではありますけれども着実にあらわれ始めているということの一つの証左ではないかというふうには思っております。もちろん一−三月の数字、これからもう少ししないと手元に入ってまいりませんけれども、かなり頑張ってきたかなと思いますけれども、なかなか一・六%達成は現時点において大変難しい状況だなということは申し上げざるを得ないというふうに思っております。
  98. 春田重昭

    ○春田委員 そういった状況の中で、平成五年、経企庁は三・三%の予測をしているわけでありまして、ほとんどの民間機関が二%台、しかも前半です。これまた、要するに経企庁の判断が狂った場合はますます経企庁不信といいますか、いわゆる国の指針に対する不信が強まってくるわけでございまして、非常に私も心配しているわけであります。  今回そういった中で、非常に経済界の中では、いわゆる経企庁に対する厳しい声が出ておりまして、今回の不況はいわゆるこの政策不況である、経企庁の政策判断ミスが今日の不況を招いたんだ、実体面ではかなり景気は下降しているんだけれども、経企庁の発表ではいわゆる景気は底がたい、全く逆の、いや上昇傾向にございます、こんなことをその時点時点で発表しているわけでございます。確かに、国の経済を預かる経企庁としては余り弱気であってはいけない、強気でなければならないという面はあろうと思うのですが、余りにも実体とかけ離れた面がありました。したがって、経済界は経企庁のそういった発表によって設備計画を練る、また実施する。私の地元は松下電器の城下町でございますけれども、どんどん設備投資する、ところがこういった状況で仕事は来ない、いわゆる機械は遊ぶ、倒産、こんな状況が出ているのです。また、新入社員計画だって実施する、今日全国的にあちこちで新入社員の取り消し、そんな実態が出ているわけでございまして、そういった面では非常に景気の指針といいますか、指標というのは大事なのですね。  なぜ実体に即したそういった指標ができなかったのか、いろいろな理由があろうと思うのですが、一つは実体と調査時点でのタイムラグがどうしても出てくる、これはある程度やむを得ないという面がありますが、こういった点。また二番目としては、産業構造や社会経済構造が大きく変わってきているのに、経企庁がそれに本当に対応できたのかという点が懸念される。三番目は、今長官がおっしゃったように、確かに今回の不況というのは資産デフレ、土地、株が大きく落ち込むことによって所得が落ち込んだという初めての経験があった、これに対する経企庁の見方が非常に甘かったという点があろうと思うのです。また、ヒアリングはどうしても大手の製造業を中心に行われていた。若干中小企業にも広げたみたいですが、サービス業、はたまた末端の零細中小企業まではいっていない、こういうヒアリングがされていない。だから、実体面にあらわれてなかったという点もあろうと思うのです。そういった面で、こういうことを十分反省しながら、今後正確な、的確な指標を出していただきたい。  時間がございませんから、もうこれはあえて質問しませんけれども、そういった中で、この景気動向の指標の中にタクシーの乗車率、非常にこれは景気動向に敏感なのですね。企業もいち早く三Kという形でカットした。いわゆる交通機関と広告と交際費が入っているわけですよ。そういった面で、景気動向に非常に敏感に反映するタクシーの乗車率を新たな経済のいわゆる指標の中に入れたらどうかと提案するわけでございますが、長官どう考えますか。
  99. 土志田征一

    ○土志田政府委員 お答えいたします。  景気判断、経済情勢の判断、いろいろな指標を使っております。特に昨年来は、今先生御指摘のように、産業界からもいろいろお話を伺っておりますが、そうした中で各業界では、それぞれ過去の経験から、こういう指標を見たら自分たちは判断できるというようなお話も伺っておりまして、そういった点、勉強をしてさらに情報量を広げていこうというふうに考えております。  今御指摘のタクシーの乗車率、ちょっと調べてみたところでは、データの発表にかなり時間がかかっているようでございますので、そういった点も含めまして今後検討させていただこうというふうに思っております。
  100. 春田重昭

    ○春田委員 ぜひ前向きに検討していただきたいと思うのです。  次に、新たな景気追加対策が今盛んに報道されているわけでございますが、昨日の宮澤総理と長官の話の中では、今月の中旬ぐらい、ある新聞によると政府案は十三日に発表するという報道もされておりますが、この点どうでしょうか。
  101. 船田元

    ○船田国務大臣 御承知のように、昨日午後宮澤総理大臣に呼ばれまして、官邸に参りました。宮澤総理からは、できれば今月の中旬までに総合的な経済対策について政府において取りまとめをするように、このような指示をいただいたわけであります。  特に、この指示の具体的な中身まではなかなか申し上げられませんけれども、基本的な考え方というのは、現在の景気の動向は、確かに先ほどもちょっと申し上げましたけれども、一部先行的な指標の中では明るさは若干見られている、しかしながらやはり現在の景気の足元はまだまだ厳しいという状態が続いている、こういう景気の足取りをより確かなものにするために、やはりもう一段の努力政府において必要ではないか、このような観点に立っての総理大臣からの指示であったというふうに考えております。  日にち的に申し上げて、その十三日云々というお話も、まあ新聞報道ではありますけれども、私どもとしては頭の中にあるのは、やはり宮澤総理が訪米をされる、その前にはやはりきちんとした内容をお示し申し上げて決定をさせていただくのが常識的な時間ではないのかなというふうに思っております。十二日という日にちについてはちょっと御勘弁いただきたいのですが、その前後であるということではあろうと思っております。
  102. 春田重昭

    ○春田委員 このいわゆる経済対策は、補正予算として今国会に上程したい、こう言われておりますけれども、ある新聞では五月の中ごろという形で言われておりますけれども、この点どうなのか。またさらに総理は、昨年の十兆七千億のいわゆる経済対策を上回る史上最大の規模である、こう言われておりますけれども、この二点について、どうお考えになっていますか。
  103. 船田元

    ○船田国務大臣 お答えいたします。  一つは、当然のことながら、国の財政的な措置ということも当然含まれるわけでございますので、補正予算というものの編成、そして御審議をいただくというその手続もあるかと思っております。これにつきましては、やはり宮澤総理御自身は、具体的にいつまでというきちんとした御指示は特になかったわけでありますが、ただ、今後の運びの中で切れ目のない予算の執行を考えていきたいんだ、そういうお話をされました。そのことを類推をすれば、それはやはりできれば今国会中に補正予算が成立をする、あるいは何らかの御結論をいただくということがやはり常識的なタイミングではないのかな、こう私は考えておる次第であります。  もう一つ、規模の話でございます。これももちろん総理から直接幾らということはおっしゃらなかったわけでございますけれども、やはり前回の八月の総合経済対策、あのときは総額で十兆七千億円でございました。今回においてもそれに遜色のない程度の相当なものではないかな、こういうことを私としては、総理からの直接のお言葉ではありませんでしたけれども、全体のお話を聞いておりましてそのような感触を私自身としては抱いたわけでございまして、そのようなことになるのではないかと思います。ただ、今後の政府部内における積み上げの、あるいはいろいろな関係省庁との話し合い、検討、そういうものにすべてまたなければいけない、このように考えておりますので、しかしながら、結果としては今申し上げたような状況に近いものになるのではないか、こう思っております。
  104. 春田重昭

    ○春田委員 常々経企庁は、この本予算が通過すれば景気はよくなりますと主張してきたわけでございますが、本予算が通過したのが三月三十一日ですよ。この段階でもう補正予算の話をするというのは本当に不見識だと思うのですね。本来であれば、本予算を修正して、当然その中に盛り込んでいくのが私は当たり前だと思うのですが、それはそれで一応私としては批判しておきます。  そこで、追加経済対策の目玉は何といっても新社会資本整備となっています。この構想は、閣僚の中では森大臣が一番先におっしゃったのではないかと思うのです。政府レベルでも通産省がかなりリードしていっているみたいでございます。問題なのは、財政法にいう建設国債というのは対象が限られているわけでございますが、大臣の考えているこの新社会資本整備構想、これは財政法まで改正して対象枠を広げていく必要がある、このようにお考えになっているかどうか、まずお伺いしたいと思うのです。
  105. 森喜朗

    ○森国務大臣 できるだけ答弁を短くしろということでございますが、ちょっと、大事なところなので、少しいただきたいのです。  私は今、春田さん、船田さんとの議論、大変興味深く伺っておりました。政府は常に同じ考え方を持っておかなければなりませんが、やはり、なぜこれだけ、今春田さんが、政府の見通しが悪かったのではないか、いろいろおっしゃいました。参議院の予算委員会では、総理は判断を誤った面もあるということも率直にお認めになっておられて、私は大変いいことだと思いました。それはやはり、昨年三月緊急対策、八月総合経済対策、そして、私どもの従来の循環型から見ればいい方向に出ると考えておった、ところがそうはならなかった、それはなぜなのか、なぜだったのかということをやはり率直に私どもは考えてみる必要があると思うのです。それは、もちろん資産デフレ等いろんなバブルというのは経験したことがなかったということもございますが、もう一つは、やはりいわゆる民間の寄与度がこの経済成長に意外に効果をあらわしてないという数字、ここをよく見ておかなければならぬと思うのです。  先ほど船田長官がおっしゃいました、十月−十二月の経済成長○・一%、この数字の内需の寄与度というのは民間は全部マイナスなんです。民間最終消費支出が○・三、民間住宅投資が○・二、民間企業設備が○・六。プラスになりました民間と名のつくものは民間在庫品の増加というのがプラスになっておる。これが増加になるということは在庫調整が進んでないということになるわけです。ですから、どうしても企業にとっては、いわゆる最終的な需要というものは、消費と民間設備、これで大体四分の三を占めておりますから、これが動かないことがもう一つ景気が動いてこないということになる。そうなるとすると、これだけ景気対策をやって、また今度おかげさまで三十一日に予算通ります、公共事業、これはやはり効果がございますから前倒しをいたします、する方向へ行くと思います。といたしましても、波及効果が出てこないというのは、出ていくところは決まっていて、波及効果の及ぼせないところがやはりあるのではないか、こういう考え方をしておく必要がないか。私は、そういう意味で、もう一つ従来から来たシーリングというものは、長い間、財政再建十五年やっておりますから、その間に医療施設、研究施設、教育施設、そうしたものの社会資本の整備がおくれたということもございましょう。ですから、そういうことも含めて新しい考え方を取り入れて、この際総合的なものを考えていくべきであって、春田委員のおっしゃるとおり、予算を今やったばかりですぐ補正とは何だというおしかりもよくわかりますが、ここは非常に大事なところでありますから、次の追加的な措置を今から考えておくことが、これは景気にとってとても大事なことだし、それから、景気は単に日本だけではなくて、やはりこれだけの貿易黒字、経常収支の黒字を持っておる日本が、世界全体から見た場合、先般アメリカヘ行ってまいりましても、やはりわかりやすい日本景気対策、内需拡大をやっておるなというわかりやすい景気対策を見せるということが私はこの際極めて大事なことだ、このように考えて、ずっとこの考え方を国会を通して申し上げてきたわけでございます。  さあ、そこで御質問がございました、それを四条の国債でどうするのか云々ということでございますが、情報化や研究開発関連、高齢化対応関連などの設備機器の整備に関する財源に関していろいろな論議がございます。これは私も承知をいたしております。ただ、四条国債の対象に何を含めるかということは、これは財政法の問題でございますから、通産省の私として、また通産省としてもこれを判断する立場に実はないわけでございます。しかしながら、景気浮揚の観点とともに時代の変化を踏まえていかなければならぬ。これらの設備機器は、新しい社会資本としてその整備を積極的かつ安定的に進めていくものと私は考えておりまして、その財源問題もやはり一つの大事な検討課題だ、このように考えております。
  106. 春田重昭

    ○春田委員 通産省が考えている具体的な内容をここでお聞きしたかったわけでございますが、相当時間が超過しておりますので、こちらの方から述べたいと思うのです。  要するに、情報通信の整備をやりたい。例えば国立の研究所、小中学校のコンピューターの整備をやりたい。また公益法人であります電力会社の地中化の問題とかガス会社のパイプラインの延長の問題とか、通産省なりにそれぞれお考えになっているみたいでございます。パソコンでございますが、パソコンはやはり六十年償還の建設国債に合わない。現在大蔵省と各省のヒアリングや折衝が行われているみたいでございますが、この中でも、パソコン等についてはどうもいわゆる財政法に合わないのじゃないかという、そういった大蔵省の考え方があるやに聞いているわけでございますが、そんな中でもこれを導入しようと思ったら財政法を改正する以外にないわけでありますから、そこら辺のところは通産省、どうお考えになっておりますか。     〔安田(範)委員長代理退席、委員長着席〕
  107. 熊野英昭

    ○熊野政府委員 大臣がただいま申し上げましたように、私どもが新社会資本整備と言っている内容というのは、いろいろな面から申し上げております。従来型の公共投資もいろいろ進めていく必要もありますけれども、少し角度を変えまして、学校でありますとか病院でありますとか、そういったいわゆる建築系のものに、この景気状況もかんがみてもう少し重点を置いていく必要があるのではないかとか、あるいはその中に入れる設備機器といたしまして、ただいま委員指摘のようなコンピューターでありますとか研究機器あるいは老人の福祉機器でありますとか、そういうものもあろうかと思います。さらには公益的な企業が進めていくようなもの、そういったものを考えているわけであります。いずれにいたしましても、これらを進めていくということは時代の変化に対応して必要なことでもありますし、また現下の景気情勢にかんがみても、景気対策としても供給サイド、需要サイド両面から考えて有効な施策ではないかというふうに考えているわけであります。  しかしながらその財源については、先ほど、財政法四条をどういうふうに解釈するかということは、通産省自身は担当ではございませんので判断する立場にはないということを大臣から申し上げたとおりでございます。ただ、今申し上げましたように、これらを積極的かつ安定的に今後とも進めていくためには、広い意味でこういったものの財源をどうするかということも将来に向けての検討課題ではないかというふうに考えているわけであります。
  108. 春田重昭

    ○春田委員 大蔵省とのヒアリングの中で大蔵省が、コンピューターについてはだめですよ、そういった話があったのかどうか。
  109. 熊野英昭

    ○熊野政府委員 財政当局とは当然いろいろな議論を進めてまいりますけれども、またその場合のいろいろな法律あるいは物の考え方等議論を進めておりますけれども、なお多面にわたって議論を進めているところであります。
  110. 春田重昭

    ○春田委員 それ以上質問いたしません。  大臣、所得税の減税については前回も聞きましたけれども、大臣は政府の閣僚の中で重要な位置を占めておりますし、かつては政調会長も御経験なさっている方でございますので、再度この所得税減税の問題についてお伺いしたいと思うのです。  今月五日に与野党の協議でさらに詰めると言われております。この所得税減税の問題については、非常に悲観的なコメントがさまざまに伝えられているわけでございます。例えば、与野党幹事長・書記長会談で一応前向きに検討するという自民党幹事長の答弁があったので、これは全くやらないわけにいかないだろう、しかしそれは小規模でやらざるを得ないかなとか、また本格的な減税は年末の税制改正の中でやるとか、そんなことが盛んに飛んでいるわけでございまして、大幅ないわゆる早期の所得税減税を私たちは要求しているわけでございますが、政府はなかなかガードがかたいわけでございます。船田長官もやっと今景気は光が見えてきたとおっしゃいましたけれども、何といっても景気の約六割を占める個人消費はまだ真っ暗やみ、百貨店のデータでも十二カ月連続対前年同月比を下回っているわけでございますから、この個人消費を喚起する以外景気全体はよくならないと思うのです。日経連の永野さんだって五兆円ぐらいの減税をやるべきだ、こう言っているわけですから、この際そんな小幅な、そして年末に先送りするような、そんな考え方は捨てて、ひとつ大幅な、そして早期めいわゆる所得税減税、せっかく今回景気対策をやられるわけでございますから、その中で一項目所得税減税を入れるべきである、私はこう思いますけれども、大臣の率直な御所見をいただきたいと思います。
  111. 森喜朗

    ○森国務大臣 今委員から御指摘のように、最終の需要というのが動くのかどうか、つまりそこのところだと思うのです。私は、もちろんただかたくなに所得減税はだめだと言っている立場ではないのです。私が党の政調会長をお預かりしておりましたときから、国民の力をおかりするという、そういうことか国債でございますから、要は国民的な合意を得られるということが一番大事だと思うのです。ただ、所得減税をやれというのは、確かに経済団体から、労働組合から至るところ、もちろん各党にもございますが、それじゃその財源はどうするのですか、赤字国債を出してまでやるのですかというとこれはさまざまな、恐らく春田さんの党の中だって意見が分かれると私は思う。我が党だって意見が分かれるわけです。そうなると、いい悪いということよりも、かつてのいわゆる赤字公債というもの、これを、財政の再建をやっていくことに十五年かかっているのですね。私も、この間ずっと先生同様予算の審議に携わって、与党の立場はございますけれども、シーリングあるいはマイナスシーリングというようなもので、このことで今申し上げている福祉や医療、研究施設がおくれていった、政策経費がおくれたという面もあるのですね。そういうことを考えますと、赤字財源を出してまで、赤字国債を出してまでいいかということの判断はよほど慎重にしなければならぬ。それよりも、何が効果があるのかどうかということだと思いますから、私どもとしては新たな波及効果が広がっていく、つまり、通産省の立場からいえば、産業界が生々はつらつと動いてくれる、そういう効果のある政策をとるべきであろう、通産省としては、私はそういう判断をとっております。それが、政策減税をかみ合わせながら、先ほど申し上げましたような新しい社会資本の整備を進めていくことの方が産業界によりいい効果を与えるという判断を私は今いたしておるところであります。
  112. 春田重昭

    ○春田委員 そしたら、政府全体のいわゆる経済の番人である長官、先ほど記者会見でも、赤字国債についても検討してもやぶさかでないというような発言をされたやに報道されておりますけれども、長官どうですか、この赤字国債の問題。
  113. 船田元

    ○船田国務大臣 所得税減税についての御答弁から始めたいと思います。  確かに先生おっしゃいますように、今回の景気低迷、とりわけ消費が低迷している、こういう特徴は確かにあると思っております。ただその原因としましては、もちろんそれは所得の伸びが鈍化をしているという点が一つある。これは不況になりましてからの特に時間外手当、残業が減りまして、その辺が、かなり二けたくらいの割合で減ってきている、こういう状況にもあります。しかし、それだけではなくて、例えば耐久消費財が非常に景気のいいときに、あるいはバブルのときにかなり買い込まれた、そういう数字もあるわけでございまして、そういう意味での家計におけるストック調整ということもまた一つの原因である。さらには、これはちょっと構造的な問題になりますけれども、バブルのときにはとにかく物をつくれば何でも売れるという、それは極端でございますけれども、そのような傾向があった、したがって各企業としても新しい商品、とにかく国民が本当に喜んで購入するほどの新商品といいましょうか、そういったものが企業側でなかなか開発されにくかった、その状況が今日まで続いている。そういうもろもろの消費の低迷の原因というのがあるわけです。ですから裏返して言えば、単に所得がここで若干ふえるということが直ちに消費を回復させるかどうかというその効果の有無を考えますと、私はそう簡単に消費が戻ってくるのかどうかという点についてはまだちょっと疑問符をっけざるを得ない、こういうことでございます。しかしながら、所得税減税を含めた与野党の間の不況に関する協議会というものが開かれ、そして開かれつつあるという状況でございます。そこでの議論というものを我々も本当に注目をしながら、その推移を見守っていくということは必要ではないかというふうに思っております。  なお、きょう午前中の記者会見で、私が、赤字国債発行もいいのではないか、こういう報道が若干あったようでございますが、これは真意を申し上げますと、やはりこれは先ほども通産大臣からお話がございました、過去十年近くにわたりまして、いわゆる赤字国債の発行額を、とにかく新規発行をゼロにしようということで、もう大変な苦労を我々も、国民皆さんにも御苦労かけながらやってきた、そして、たしかあれは平成元年度の予算におきまして、赤字国債新規発行ゼロというのを何とか達成をするということができた、そういう過去の苦い経験からすると、そう簡単に赤字国債発行というものについて、またそのたがを緩めるということはいかがなものか、私、かなり慎重な立場で申し上げたつもりでございますので、その辺は誤解のないようにお願いいたしたい、このように思っております。
  114. 春田重昭

    ○春田委員 最後に、所得税減税、財源の問題もあります。とともに、たとえ減税されたとしてもこれが消費に回らないのではないか、いや、むしろ貯蓄の方に回るのではないかという声がやはりあるのですね。それで、一つの何といいますかアイデアといいますか、提案するわけでございますが、現金でなくして商品券で還元したらどうか。この商品券も、デパート等でなくて、要するに中小の地元のそういった商店街でも買えるような商品券にすれば、これは貯蓄へ回らないわけでございますから、一偏に消費の喚起になっていくのではないか。中元時期またはお歳暮の時期、一番欲しいのは何かといったら、こういった商品券が欲しい、ギフト券が欲しいという答えが返っできますよね。長官、どう思いますか。
  115. 船田元

    ○船田国務大臣 商品券云々というこれも一つのアイデアかなというふうには思ってお聞きをいたしましたけれども、いずれにしましても、そういう手だてを仮にとるのだとしても、先ほど申し上げたような、特に財源の問題ですね、こういったこともあるわけでございます。もちろん、すぐ消費に回るというための一つの工夫として、これは頭の中に入れておかなければいけないことかなというふうに思っておりますが、にわかには、そこで私自身としてそれがいいとも悪いとも今の状況ではなかなか言いがたい。しかも、やはり根本的には与党と野党の間のこの協議というものの中でその結論が出るということであれば、それはやはり考えなければいけないというふうに思っておりますが、今のところはその協議の推移を見守るということで、御理解をいただきたい、このように思っております。
  116. 春田重昭

    ○春田委員 長官、もう結構です、  続いて、日米の通商問題についてお伺いします。  森通産大臣が先月の二十六日から二十八日、大変公務が多端な中で精力的にゴア副大統領、また、政府の閣僚と相次いで会談された、こう聞いているわけでございます。しかし、一部の報道では、余り成果がなかったんじゃないかとか、アメリカ側の一方的な要求をのまされたのではないかという、そんな報道もされているわけでございますが、大臣がじかに行っていろいろな方とそれぞれの日米に懸案する問題について会談されたわけでございます。  この問題については後で質問するとして、まず全体を通して、プッシュからクリントン大統領にかわった、特にクリントン大統領はもういろいろな選挙で演説して、日本に対するいろいろな要求もあちこちで演説しているわけですね。また、結果重視ということも打ち出しておりますから、そういった点で大変厳しかったんじゃないかと思うの。ですが、全体を通して、大臣の今回の訪米の所感といいますか感想をまずお述べいただきたいと思うのです。
  117. 森喜朗

    ○森国務大臣 今回訪米をさせていただきました。ちょうど予算審議中でございましたが、参議院の予算委員会あるいは商工委員会に御配慮いただきまして、トンボ返りでございましたけれども、一日でゴア副大統領、ベンツェン財務長官、ブラウン商務長官及びカンター通商代表、四人の方とお目にかかることができました。  もちろん、先ほども委員からの御質問の中にも入っておりましたように、宮澤総理が今月中ごろにクリントン大統領とお会いになるわけでございまして、日米関係というのは、まさに世界のGNPの四〇%に達しようとしておるわけでございまして、そういう日米が相協力をして世界の経済の発展に、あるいはまた世界的な課題を克服するために両国が協力をしていくということは極めて大事なことである、重要なことであるというふうに考えます。そういう意味で、両首脳のお話の前に経済関係閣僚大臣とお互いの国のベース、考え方、よく疎通を通わしておくことが大事だ、こう考えてお話し合いをさせていただきました。  一連の会談におきましては、アメリカ側からは日本の内需拡大策に対する強い期待が表明されておりまして、私からは平成五年度予算が二十二年ぶりに年度内に成立する見込みを申し上げてまいりました。いかに、与野党とも景気を大変重要に考えておりますよということを申し上げてまいりました。またさらに、新社会資本整備を中心とした追加的な景気刺激策も検討いたしておりますということも説明をしてまいりました。  ゴア副大統領との会談では、経済成長と環境保全とを両立させるためには技術開発によるブレークスルーが重要であるという点で、ベンツェン財務長官との会談では、G7による対ロシア支援が重要であるということについて、意見の一致を見た次第です。ブラウン商務長官との会談では、製造技術者交流プログラムの実施強化、研究開発協力の推進、日米貿易拡大共同プログラムの協力強化につきまして、従来、通産省と商務省が進めてまいりましたものをさらに拡充強化しようではないかというお話をしてまいりました。カンター通商代表との会談では、世界成長に向けて日米政府間で協力を強化していく必要性について、意見の一致を見たところでございます。  あえて感想ということを申し上げれば、やはりアメリカのクリントン大統領の選挙中の演説あるいは就任されましてからの演説というのは、赤字財政の再建をする、そしてまた、国民にある程度我慢をしてもらうけれども、強くすべきところは強くしていきますよ、いわゆる産業の国際競争力を強化していくこと、あるいは教育へ投資していくこと、さらに、社会資本を充実していきますよというようなこと、こうした事柄を政策的に並べていきますと、我が国が今またとろうとしておる政策と非常によく似ているところがあるわけでございます。  それで、ゴア副大統領はたまたま私に、やはり私は新しい世代の大統領、指導者だなとこう思いましたのは、今我が国がこれからやろうとしている、クリントン政権が進めようとしておる政策は、例えば環境問題でもそうだし、経済政策でもそうだし、投資でもそうだし、すべてかつて皆さん、日本が先にやってきたことだと、それをこれから私どもがやっていくのですよというようなお話をされておりまして、私はちょっと意外の感に打たれました。むしろ我が国は、アメリカや欧州に追いつき追い越せとしてそれを目標に努力してきた、しかし、今のクリントンやゴアの新しいこの世代は、むしろ日本が巨大なやはり経済国家、やはり巨大な科学技術を持った国家として見ているのだなということが、その言葉の中で非常に強く私は印象づけられました。  そういう面で、いよいよ日米関係は強力に、こうした問題をより協調的に進めて、そして、世界の平和と繁栄のために協力していかなければならぬなということを強く実は感想として持って帰ってきたことでございます。
  118. 春田重昭

    ○春田委員 景気対策で相当時間をとりまして、この日米通商問題で五、六問考えていたわけでございますけれども、あと十分しかございませんので、関心のあるものだけお聞きしたいと思うのですが、まずミニバンですね。  関税引き上げ、二・五%から一挙に十倍の二五%にしようという考え方があるやに伺っておるわけでございますけれども、これはガットの中では、相手国の了解なしに一方的に押しつけるのは許されないということになっているわけでございまして、このミニバンの問題についてはいかなる交渉をなされたのか。アメリカ議会での山場、もし出された場合、我が国の対応といいますか、ガットまで提訴するのか。この辺、あわせて御答弁いただきたい。
  119. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 アメリカにおきましていわゆるビッグスリーと言われる自動車業界は、新政権が成立して以降いろいろな要求を政府に対して出しておりまして、その中に、今委員指摘のいわゆるミニバンの関税分類の変更、すなわち関税の引き上げというのも重要なアイテムとして指摘をいたしているところでございます。これにつきましては、過日通産大臣が渡米をいたしました折に、本件の処理についてはガットのルールに則して良識のある対応を要請したいということを話していただいたわけでございます。  なお、本件はただいまアメリカ行政府におきまして検討中ということになっておるところでございますが、もし仮に行政サイドの判断として関税分類の変更、したがって関税の大幅引き上げということが行われました場合には、我々といたしまして、ガットの紛争処理手続、これに準拠いたしましてその対応を検討せざるを得ない、そういう立場に立つことになるかと思います。
  120. 春田重昭

    ○春田委員 さらに、外国の半導体のシェアの問題。アメリカ側から、二〇%確保してほしい、こう言っているわけでございますが、九二年の第四・四半期、不可能と言われたこの二〇%シェアが、一応二〇%目標が達成されたのですね。通産省、大変な御努力をされたと思うのですが、これをもってアメリカ側は、九三年も通して、平均してやはり二〇%の目標を設定すべきである、こんな主張をしているみたいでございますけれども、この点についても、今回の会談の中でどんな交渉が持たれたのか、お答えいただきたいと思います。
  121. 森喜朗

    ○森国務大臣 日米半導体協定におきます二〇%という数字は、これは春田委員御承知のとおりアメリカ産業界の期待でありまして、保証値でもございませんし、最低値でもない、このことは協定に明記されているわけでございます。あくまでもアクセス進展の状況を評価する指標の一つでございましたから、これは約束でも目標でもないということを重ねて申し上げておかなければなりません。私はアメリカヘ参りまして、ブラウン長官にもカンター氏にもこのことだけはきちんと申し上げておきました。  外国系の半導体のアクセスの推進のためには業界間の建設的な関係を進展させていくということの方がより重要でありまして、そういう意味で、デザインインでありますとか長期的な協力関係を進展させていくことが不可欠でありまして、こういう観点から、最近におきます業界関係が極めて緊密になっている、これは私は評価をしていかなければならぬと思っております。  しかしながら、半導体の二〇%という数字がやはりさまざまな誤解を生む、つまりひとり歩きをしてしまう。あたかも何かこれが常に最低値みたいにとられたり、あるいは、ことしは二〇だったんだから来年はそれからという、こういうふうに結果的に誤解を生むということになったと思います。  そういう意味で、こうした教訓に加えまして、元来市場アクセスにつきまして人為的な数量ターゲットを設定するということは市場原理に反して最終的には管理貿易につながっていくことになるわけでありますから、そういう意味では、自由市場においてはその達成を政府としては担保するということは現実問題として無理がある、このことだけはブラウン長官にもカンター通商代表にもよく明確に申し上げてまいりました。もちろん、よくわかったとか、そういうことはお互いにおっしゃる立場ではありませんが、うなずいてもおられましたし、このことは向こうの政府も十分理解を示している、このように私どもは考えております。
  122. 春田重昭

    ○春田委員 さらに、スーパー三〇一の問題、それからスパコン等の外国製品の購入問題、自動車部品の購入計画、鉄鋼のダンピングの問題、ポスト日米構造問題協議、これらも質問する予定でございましたけれども、今メモが参りましてあと五分ということでございますので、これは次の機会に譲りたいと思います。  最後になりますけれども、今通産省は許認可の見直しをされているみたいでございます。許認可数は、通産省は運輸省に次いで政府の中では二番目、全体では千九百十五件になっておりまして、許認可も法律、政令、省令、告示、この四つの分野になっているわけでございますが、通産省はこの中で時期的に早くできる省令、告示等を見直そうということでその作業が進められているみたいでございまして、新聞でも報道されているわけでございます。各省の先陣を切って通産省が許認可の見直しをしているということは、行革につながるわけでございまして、私はそれなりに評価したいと思います。この問題も質問する予定でございましたけれども、それなりに私は評価したいと思います。  私が質問したいのは、中小企業政策、大臣、ここに中小企業小六法がございますけれども、中小企業関係法律が何件あるか御存じですか。
  123. 関收

    ○関政府委員 数え方によるかと思いますが、おおむね三十本強だと存じております。
  124. 春田重昭

    ○春田委員 中小企業小六法の中では、内容は平成三年十一月一日現在として法律が五十六件、政令が四十九件、省令が四十七件、告示十三件、通達二件、合計百六十七件が収録されている、こう書いております。非常に数が多い。  これは、中小企業が全産業で九九・一%を占めている、中小企業の発展、成長というのが日本経済に大きく寄与している、そういった点で、そのときどきに応じて中小企業庁が適切な法律をつくられている。それはそれで私は評価するわけでございますが、これだけ法律が多かったら、専門家でもなかなかわからない。まして中小企業者にとっても非常に理解しにくい。こういった面があるものですから、この際、かなり必要なくなってきた法律もあるのではないか。若干中身が違うだけで同じようなものが残っているわけでございます。そういった面で、私は整理をする必要があるのではないか。  同じく中小企業に対する貸付制度、一般貸し付けと特別貸し付けがございますが、この貸付制度も物すごくあるのですね。近代化・構造改善貸付資金、商業近代化貸付資金、中小企業構造改善等貸付資金、下請中小企業等対策貸付資金、中小企業国際経済調整対策等特別貸付資金とか、これだって物すごくある。地方自治体でもかなりたくさんある。そういった面で私の地元の商工会議所の経営指導員でも、まあ何を使っていいのかなかなかわからない、経営指南でも誤ります、こういった声を聞くわけでございます。そういった点で法律の整理統合とともに、この特別貸し付けについてもある程度整理する必要があるんじゃないか。またわかりやすく利用者に対していろんな広報、普及活動を展開して、利用者の立場に立った法律利用者の立場に立った貸付制度を私はやるべきでないか、こう思います。この点を御答弁いただいて質問を終わりたいと思います。
  125. 関收

    ○関政府委員 最初に法律の本数のお話ございましたが、その法令集の中には、参照する方が好ましいということで必ずしも中小企業そのものじゃない法令も入れておるのでそうなっておると思いますが、私どもの数え方では三十本強だと理解いたしているところでございます。  今先生御指摘のように、中小企業施策、さまざまな角度から実施をいたしておりますが、私ども大きく分けましてこれは三つの柱に整理できるんだろうと思っております。  一つは、中小企業が基本的に大企業と比べて不利な点がございます。例えば資金調達が難しいとかあるいはなかなか技術開発ができないといった、そういったことに対して金融面、税制面、あるいは中小企業が共同でやるというような、協同組合などによって共同で事業をするというようなことを可能にする制度等々が一つの柱でございます。もう一つは、中小企業をめぐります。そのときどきの環境がさまざま変わってまいります。円高でありますとかあるいは労働力不足でありますとかあるいは環境問題、そういったときどきの環境変化に対応してこれに対する対応を御支援する政策。それから三番目が、小規模企業につきましては特にそういった面での難しさが多うございますので、これをより手厚い施策を講ずるということの三つに整理ができると思うわけでございます。個々具体的な法律でありますとか金融制度につきましては、御指摘のようにさまざまな制度があることはそのとおりでございます。ただ、これはもちろん基本的には中小企業の業種、業態というものがいかに多様であるかということ、またそれをめぐる環境変化、それに対する対応の難しさというものもいかにさまざまであるかということの反映でもあろうかと思うわけでございます。  しかしながら、先生御指摘のように、やはりそのときどきで最も適切な施策というものを講じていかなければならないし、また中小企業者の方にわかりやすく利用しやすいということも重要なことでございます。私どももその折々に触れて見直しをさしていただいておりますが、現在、昨年の十月以降、中小企業政策審議会の中に基本政策検討小委員会を設けまして、そこで今の時点に立った中小企業の最も望ましいあり方、また中小企業の方々利用しやすい、またわかりやすい制度とはどうあるべきかということについて今御審議をいただいているところでございまして、私どもとしてはその検討結果を踏まえて先生御指摘の方向に極力、一歩でも進むように引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
  126. 春田重昭

    ○春田委員 以上で質問を終わりたいと思うんですが、公取の方、大阪のタクシー運賃の問題で質問する予定でございましたけれども、時間がございませんので次回に譲りたいと思います。  どうもありがとうございました。
  127. 井上普方

    井上委員長 小沢和秋君。
  128. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 本日は、まず国政の場から金権腐敗を一掃するために幾つかの問題を質問いたします。  大臣は、三月二十五日の参議院商工委員会で、我が党市川議員の質問に対し、大手建設業者、いわゆるゼネコンから後援会の会費という形で政治献金を受けていることを認められました。この機会にもう一言確認する意味でお尋ねをいたしますが、最近金丸氏だけでなく自民党の実力者たちにゼネコンから盆、暮れのつけ届け、選挙資金、特定公共事業の受注依頼とかいろいろな形で巨額のやみ献金が行われているというニュースがしばしば報じられておりますが、自民党の有力者である大臣は後援会会費以外にはゼネコンから一切受け取ったことはないかどうかお尋ねをいたします。
  129. 森喜朗

    ○森国務大臣 大手建設会社あるいはまたその他の建設会社あるいはそれぞれ企業が私どもを後援し支持してくださる、そういう立場で献金がございました場合には、私は会費としてあるいはまたそれぞれ法に基づいて適切な処理をいたしまして、すべて届け出をいたしております。したがいまして、お尋ねのようにやみ献金というのは一切私どもはちょうだいをいたしておりません。
  130. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 次の質問です。そのゼネコンの中でも最大手の鹿島建設会長石川六郎氏が日本商工会議所の会頭を務めております。その石川氏の会社、鹿島が金丸氏へのやみ献金の疑いで家宅捜査され、役員らが事情聴取を受けました。石川氏が会長としてこの事態に直接の責任を負っていることは明らかだと思います。一方で石川氏は、これまで政治改革を求める発言を繰り返してまいりました。最近も日商総会で、最近の政治資金に関連した一連の不祥事で政治家の倫理観や公私を峻別する意識の欠如などが大きな原因なのは遺憾と述べたばかりであります。石川氏がこういう発言を繰り返しながら金権腐敗にみずから手を汚していたことは日商会員のみならず国民を全くばかにした行為であり、断じて許されないと思います。私は石川氏は責任をとって日商会頭を辞任するのが当然だと思います。日商の所管大臣としてどう思っておられるのかお尋ねをいたします。
  131. 森喜朗

    ○森国務大臣 今回の建設業をめぐります諸問題に関連いたしまして日商の石川会頭が会長を務める鹿島建設の名前が新聞等で取り上げられていることは承知をいたしております。しかしながら、石川会頭の進退問題につきましては、本問題の事実関係が明らかなっておりませんし、この件につきましてはそういうこの段階で私から何も申し上げることはできないと思います。  なお、商工会議所法上、日商の会頭の選任あるいは解任は会員総会において行われることとされておりまして、通産省の監督権限はこれに及ばず、進退については通産省として云々すべきことではないと考えております。
  132. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私も別に大臣が解任したりする権限があるという立場からお尋ねをしているわけではありませんが、昨日の記者会見で石川氏は一応の陳謝をいたしております。しかし現時点での会頭の辞任については明確に否認をしておる、こういう姿勢は会議所の性格、任務に照らしても私は許されないと思うんです。日本商工会議所は商工会議所法に基づいて設立された法人であり、全国百五十万の商工業者の総意を代表して国会、政府などに意見を表明する公的組織であります。さらに同法第四条では「商工会議所等は、これを特定の政党のために利用してはならない。」と会議所の政治活動を禁じております。やみ献金で政治を腐敗させ、しかも自民党と癒着していることが明らかになった石川氏はこの法の精神に照らしても会頭失格ではないかと思いますが、大臣はこの法に照らして全く問題がないというふうにお考えでしょうか。
  133. 森喜朗

    ○森国務大臣 先ほども申し上げましたように、この問題はまだ事実関係が明白にされておりません。ただ、建設会社の問題がいろいろと俎板に上がっているわけでございますが、その中に鹿島建設という会社があったということは承知をいたしております。ただ、石川会頭というのは大変立派な、まじめな方でありますし、また、日本の商工業の指導者として極めてすぐれた立場を今日までとっておられたというふうに私は承知をいたしております。したがいまして、こうした事実関係という問題がもう少し明らかになるまで、私としてはこの問題について通産大臣という立場で云々するということは控えるべきであろう、こう考えております。
  134. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 事実関係が明らかでないと言われますけれども、大筋を認めたからきのうの記者会見で陳謝をされたのではありませんか。また、立派な方と言われるけれども、政治改革を表向きはうんと主張しながら、陰ではそういうやみ献金などをしておったというようなことがどうして立派な方がすることか。私は、今の大臣の答弁では到底納得できないということを申し上げて、次の質問に参ります。  次は公正取引委員会にお尋ねをいたします。  金丸逮捕後の一連の報道によって、国が行う大型公共事業は金丸氏へのやみ献金に応じてゼネコンの間で配分される構造になっていることが劇的に明らかになりました。これまでも公共事業が談合で決められたことがしばしば暴露されましたが、今回はまさに談合の極致であり、ここには自由な競争など全くありません。このような金権腐敗の構造を一掃することが独占禁止法の番人である公正取引委員会の責任だと私は考えます。この際、公取委としての断固たる姿勢を示すために、疑惑がはっきりした部分から直ちに調査に取りかかるべきであります。先ほど来のような一般論としてではなく、今回の一連の事件について調査に着手したかどうか、改めて明らかにしていただきたいと思います。
  135. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまお尋ねの件につきましては、検察当局が捜査をされておられるわけですけれども、これは全体の事実関係がまだ明らかになったという段階ではないと承知をしておりますが、報道の中には、一部にいわゆる入札談合等の事実があったのではないか、こういうことが取りさたされていることは承知をしております。私ども、一般的に入札談合等独占禁止法に違反する行為につきましては従来から厳正な態度で臨んできたわけでございますけれども、この姿勢は当然のことながら今後とも変わらないわけでございます。本件につきましては、私ども事実関係を十分に承知をしてない段階でございますけれども、強い関心を有しておりますし、情報収集には私どもとして今後とも鋭意努力を払ってまいりたいと存じます。
  136. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 ここで問題になるのは検察との協力であります。新聞報道では七千点もの証拠を押収したと伝えられておりますが、この中には公取委が独禁法違反で調査すべき証拠書類がかなり含まれているはずだと思います。公取委の調査を進めていくためには、その書類の閲覧等を認めるよう協力を申し入れる必要があるのではありませんか。
  137. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 公正取引委員会は、平成三年一月、検察当局がその捜査の過程で得た独占禁止法に係る情報の同法の規定に基づく公正取引委員会への通報に関して法務省との間で合意をしております。また、先般、社会保険庁発注の各種支払い通知書等貼付用シールに関する事件におきましては、この合意に基づきます法務省からの通報を端緒の一つとして審査を開始したところであります。このように、公正取引委員会としては今後とも審査活動を進めるに当たりまして、この通報によって得られる情報を当然のことながら積極的に活用していく方針でございます。
  138. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今私が言ったのは、そういうような受け身でおったのでは立ちおくれてしまうのではないかという気持ちを込めて言ったわけであります。私がきのう、おとといですか公取委の方から伺ったのでは、この通報というのは公判で証拠として開示されるような状況になってから通報を受けるのだというようなお話だったように思いますけれども、これでは実際上検察の協力というのは余り受けられないということに等しいのではないでしょうか。この合意の内容というのが今の答弁でまだはっきりしませんけれども、私は、そういうような受け身の、あるいは非常におくれてしか、不十分な情報しか提供されないというような状況であるとすれば、この点改める必要があるのじゃないかと思いますが、どうですか。
  139. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいま御指摘がございました検察当局がその捜査の過程で得た独占禁止法に関連する情報資料につきましての提供は、ただいま公判との関連での御指摘がございましたけれども、これは恐らく、私が先ほどお答え申し上げました先般のいわゆるシール談合事件、これは御案内のように、検察当局が検察当局の捜査によって刑法上の談合罪で立件をいたしまして、それに基づく公判が進行をしておりました。そしてその具体的ないわゆるシール談合事案につきましてはその過程で法務省を通じて私ども資料の提供、いわゆる通報があったわけでございますから、その先般のいわゆるシール談合事案についての具体的な通報、資料提供のタイミングの問題であろうかと存じます。  一般的には、検察当局は私が先ほど申し上げました法務省と公正取引委員会との間の通報に関する合意に基づいて法の許容する範囲で文字どおり適時に通報があるものと私どもは承知をしております。
  140. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 重ねてお尋ねをしますけれども、私は、通報を受けるという受け身の姿勢でなく、あなた方が独禁法違反の疑いがあるというふうに考えたら、検察は検察で例えば脱税とか受託収賄などの疑いで捜査をする、それに並行して独禁法違反の調査をするということでなければならないと思うのです。そうだとすると、七千点もの書類を押収したという中にあなた方が見たいというようなものがあれば、見せてくれというような協力がなければいかぬのじゃないかと言っているのですが、その点どうですか。
  141. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 当然のことながら、私が先ほど御答弁申し上げました情報収集には私どもが独自で行いますいわゆる職権探知による情報収集活動も含まれているわけでございます。それから、ただいま御指摘の法務省と公正取引委員会との間の合意に基づく通報、資料の提供につきましては、これは先方からの資料の提供でございますけれども、それが具体的にどのようなタイミングで行われるかということは、これはそれに基づいて行われるであろう私ども調査活動にかかわる問題でございますから、その点は、恐縮でございますけれども、いつ、どのような内容でということ、あるいは現在どのような状況になっているかということは、私どもの業務の性格上お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。  いずれにいたしましても、私どもはこのような合意が存在をしておりますという前提で常日ごろから検察当局とは密接な協力関係を維持しているところでございます。
  142. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 重ねてお尋ねしますが、検察が押収している資料を、あなた方が独禁法違反の疑いを調査するためにはこの資料を見たいというようなことになった場合に、検察に見せてくれというような関係があるのですか、ないのですか。
  143. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 お答え申し上げましたように、この合意は、検察当局がその捜査の過程において独占禁止法違反に係る情報資料を得た場合に、法務省を通じて法の許容する範囲で私どもに提供する、通報をする、そういう合意でございますから、それが具体的にどのような形で、あるいぽどのようなタイミングで行われるかということにつきましては、これは具体的にはいろいろな対応があるわけでございますし、何よりも法務省を通じて検察当局と私どもの間の協力関係がこれによって担保されているというところでございますから、お尋ねでございますけれども、私どもは、私どもの業務の性格から申しましても具体的なお答えは差し控えさせていただきますが、当然のことながら、検察当局と密接な協力関係を維持しているわけでございます。
  144. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私には非常に受け身に聞こえるのですが、そういう受け身でしか検察から通報を受けられないというのは、公取委が今行政調査しか行えず、国税庁や労働省などのような司法警察権を持たないことも関係しているのではないかと思います。今後公取委が本当に独禁法違反を断固摘発していこうとすれば、そのような強力な権限が必要ではないか。また、それだけのことをやるための人員の増員も行わなければならないのではないかと思いますが、いかがですか。
  145. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 私どもが、独占禁止法違反行為がある、あるいはその疑いがあると判断をして調査活動をいたします場合には、法違反行為に対して私どもが行います処分の前提として、当然のことながら証拠の収集が必要でございます。その証拠の収集のためには、私ども例えば関係人からその供述を得たり、あるいは帳簿書類等の物件を提出をしてもらう、そのような権限をいわば間接的な強制権限として、すなわち、例えば物件提出命令に違反をすれば罰則の適用がある、そういう形で、間接的な強制と言っておりますけれども、そのような間接的な強制権限を法律上与えられているわけでございます。したがいまして、私ども調査活動におきまして、必要があればそのような権限を行使できるわけでございますし、また、これまでの違反行為に対する処分に当たりまして、そのような権限も必要に応じて的確に行使をしてぎたところでございます。  それからまた、公取の人員というような点で不足があるのではないか、こういう御指摘でございます。  公正取引委員会の規模は必ずしも大きなものではないわけでございますけれども、近年、関係方面の特別の理解もいただきまして、全体として国家公務員の人員あるいは機構が厳しく抑制をされております中で、公正取引委員会の定員あるいは機構につきましては、必要に応じてその増員なり機構の増設が認められてきているところでございます。私どもは、与えられましたそのような人員、機構の中で与えられました法律の権限を適正厳正に行使をして、業務の遂行に当たっているところでございます。
  146. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 昭和五十九年二月に公取委が「公共工事に係る建設業における事業者団体の諸活動に関する独占禁止法上の指針」を出しました。これ以来業者の談合がさらに大っぴらになったということは先ほど来議論されておりますし、私もしばしは聞くところであります。ですから、私たちもこのガイドラインはこの際廃止すべきだというふうに考えますが、時間が限られておりますので、この点については要求だけ申し上げておきます。  次の質問ですが、現在の指名競争入札制度では、だれを指名するか一方的に当局側が決めるわけであります。そのため、政治家に頼ったり談合したりすることになるなどいろいろな欠陥があり、よりよい制度に改善していくことは私も当然だと思います。しかし、どんなによい制度でも悪用する立場で研究すれば何か欠陥は見つかるものです。だから、決定的な問題は、第一に国民の監視の目が行き届くよう徹底的に入札の経過などを公開すること、第二に、談合したことが明らかになった場合は、その業者は今までのように数カ月というような形式的なことではなく、少なくとも数年間、は入札に参加できないよう厳罰に処すること等が大切だと私は思いますが、委員長はどういう見解をお持ちでしょうか。
  147. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまのお尋ねは、第一義的には発注者側、あるいは公共工事でございましたら発注官庁側の入札制度の運用の問題ではなかろうかと存じます。  私どもの立場といたしましては、現行の入札制度、一般的には競争入札制度、指名競争入札制度がとられているのが一般のように承知をしておりますけれども、これが本来の制度の趣旨にのっとって公正かつ自由な競争が事業者間で行われることを期待しているわけでございます。  ただ、現実には、時に必ずしもそのような競争が担保されてない場合がある。御指摘のように、いわゆる入札談合が行われるケースも時に見受けられるということはまことに遺憾なことでございますが、私どもの立場といたしましては、いわゆる入札談合行為は申すまでもなく入札制度の根幹を否定する、そしてまた競争を自主的に制限する独占禁止法違反行為でありますから、このような行為の疑いがある場合には、先ほど来御答弁申し上げておりますように、私どもとして必要な調査をし、証拠に基づいて、法の規定に基づいて厳正な対応をこれまでもしてきたところでありますし、今後ともその方針には変わりはございません。
  148. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 次に、労働省に雇用調整助成金についてお尋ねをいたします。  不況が長期化、深刻化する中で、パートや派遣労働者に続いて中高年社員や管理職の退職強要が大企業でもあちこちで起こり、雇用不安が広がっております。  こういう中で、首切りを防ぐために雇用調整助成金が大きな役割を果たすことが期待されます。十一月に適用業種が指定されて以来、月ごとにこれが拡大され、四月一日で業種数百十九、適用対象労働者二百七十八万七千名に達しております。この中には、私がしばしば相談を受けた零細業者の業種も入っております。しかし、業種が細分化されているためにまだ指定されていない業種の人もかなりあります。今後も必要に応じて拡大していくと思いますが、末端の声、特に地方の声、地域的な指定もやれるようになっていると伺いますけれども、それをどう反映するか、各職安から都道府県を通じて末端や地方の声を吸い上げるようにすべきではないか、お尋ねをします。
  149. 後藤光義

    後藤説明員 お答えいたします。  雇用調整助成金の業種指定に当たりましては、地域を限った指定も可能でございますが、その場合はまず全国レベルの業況を調べまして、全国レベルで指定基準を満たしている場合には全国指定を行う、こういうことを原則としているところでございます。ちなみに、これまでにも地場産業性が強い友禅に関係した織物手加工染色整理業あるいは洋食器製造業、漆器・回生地製造業などの指定に当たりましては、なるべく幅広く適用する観点から全国レベルで指定を行っているところでございます。  現在、都道府県に対しまして、地場産業的な業種の生産、雇用の動向あるいは事業主団体の要望等の把握に努めるよう指示しているところでございまして、あくまで全国指定を基本とするものの、内容いかんでは地域を限った指定も検討してまいりたい、このように考えております。
  150. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私が相談を受けるのは零細業者ばかりでありますが、出さなければならない書類が多過ぎるという意見がありましたので、過日改善を要請しておきました。この四月一日から改善したと聞いておりますが、どういう内容か簡潔にお示しください。
  151. 後藤光義

    後藤説明員 お答えいたします。  雇用調整助成金の申請手続につきましては、下請事業主の認定のやり方あるいは事業活動報告の報告の回数を減らす等を主な内容といたします大幅な簡素化を行いまして、この四月一日から実行に移しているところでございます。  申請手続の簡素化によりまして、従来、事業主団体等から指摘を受けておりました中小企業の事務負担が減少し、特に中小企業の利用の促進を図ることができるものと考えておりますが、加えまして、中小企業向けに利用の手引を作成中でございまして、この手引を活用しながら、安定所におきまして中小企業が申請を行う際に懇切丁寧な指導を行うように努めてまいりたい、このように考えております。
  152. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 毎月出すのを三カ月に一度にすれば手続が簡素化されることは間違いないと思いますが、しかし何人がしか雇っていない零細業者にはこれでもまだ負担が重いと私は思います。  例えば、休業、教育訓練では十二種類必要ということになっておりますが、中には不要と思われるものもあります。例えば、最近一年間における指定業種及び企業種に従事していた雇用保険被保険者数を確認できる資料、これなどは職安自身に被保険者名簿があるから職安で確認できるものではないか、こういうようなものも含めてさらに簡素化に努めて、零細業者が利用できるようにしていただきたいが、どうでしょうか。
  153. 後藤光義

    後藤説明員 お答えいたします。  今回の手続の簡素化につきましては、四十七都道府県のそれぞれを通じまして経営者団体等にお諮りをし、その要望を踏まえた上で現在の手続の簡素化を実行したところでございます。当面は現在の簡素化によりまして利用の促進を図ってまいりたい、このように考えております。
  154. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私の地元では、新日鉄八幡製鉄所が雇調金を受けておりますが、それには内部から、労働者からも批判の声が上がっております。この機会に雇罰金を最大限に活用しようとして、現場で働いている者の中から引き抜いて、雇罰金で教育を受けさせたりしております。そのため、引き抜かれた現場は、不況だというのにさらにぎりぎりの要員で仕事に追いまくられ、一方で教育を受ける者は三交代手当や残業手当が一切なくなるので、少ない者で五、六万円、多い者は十万円も減収になっている、これは雇罰金の悪用ではありませんか。
  155. 後藤光義

    後藤説明員 お答えいたします。  雇用調整助成金の給付を受けるためには、個々の事業所におきまして、事業活動の縮小が行われているか否かを厳密に判断することとしておりまして、この判断に当たっては労働者間において不当に格差が生じることのないよう指導をしているところでございます。今後とも雇用調整助成金の本旨に沿いまして労働者の雇用の安定が図られるように、適正な利用が図られるよう十分な指導に努めてまいりたい、このように考えております。
  156. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 新日鉄の労働者からは、もっとひどい雇調金の悪用の例を聞いております。何と雇調金で企業ぐるみ選挙をやったというのであります。きょうは企業ぐるみ選挙が憲法違反だということについては時間の関係で触れませんが、ここに八幡製鉄所製鋼工場連続鋳造掛の最近数カ月分の勤務配置を持っております。昨日労働省にも差し上げましたが、十一月から雇罰金を利用してTPM、職場の施設保全活動が始まり、十一月二名、十二月と一月は三名すっ配属されております。この人たちは実際には何をしたかというと、今年一月末に行われた北九州市議選で同じ職場から立候補した、民社党山田征士郎市議の選挙対策本部に毎日朝から夜まで動員されていたのであります。この山田氏だけでなく、新日鉄労使は民社党の市議候補を四人抱えて全所的な企業ぐるみ選挙を展開いたしました。ほかの工場でも同じように雇調金教育ということで数名ずつ選挙に動員しているので、三カ月間数十名が雇調金でずっと選挙に従事していたということになります。これは極めて悪質で絶対に認められないことであり、直ちに雇調金を返還させるべきだと思いますが、いかがですか。
  157. 後藤光義

    後藤説明員 お答えいたします。  先生お尋ねのTPMと申しますのは、職場環境改善活動のためのノウハウを訓練するということになっておりまして、現在のところ、先生御指摘のような事案については確認されていないわけであります。  しかしながら、先生がおっしゃいますように適正な制度の利用ということについては重要なことだと考えておりますので、私どもとしましては、業種指定を行った際に、その業種を代表する業界団体を呼んで適正な利用を行ってほしいということを再三再四にわたって指導しているところでありますし、また、個々の企業につきましても、安定所の窓口で適正利用を指導しているところでございます。今後とも、折に触れ、指導の徹底を図ってまいりたい、このように考えております。
  158. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 これで終わりますが、会計検査院の方にも今問題に内容を聞いていただきましたが、国民税金の悪用として直ちに返還させるよう実態を検査していただきたいが、いかがでしょうか。これで終わります。
  159. 金田政信

    ○金田会計検査院説明員 お答えします。  雇用調整助成金につきましては、ただいまお話がございました点を念頭に置きまして検査を実施してまいりたいと思っております。
  160. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わります。
  161. 井上普方

    井上委員長 川端達夫君。
  162. 川端達夫

    ○川端委員 大臣、委員長、長時間御苦労さんでございます。これで最後ですので、よろしくお願いいたします。  きょうは、本日の本会議労働基準法の改正というのが上程をされました。そこで、いわゆる日本の産業を統括されるお立場の通産省そして大臣の立場として、いわゆる時間短縮というものをどのように御認識され、また、どう対応されようとしているのかということについてお尋ねを申し上げたいと思います。  本委員会には、しばしば机の上にたくさんの雑誌類を、資料をいただくわけで、しっかり勉強してくださいということでいただくんだと思いまして、きょういただいたのも少し休み時間に読んでおりましたら、月刊中小企業、ダイヤモンド社、三月号には「時短の現場」ということで、若干紹介いたしますと、   景気後退により、残業が減って、実質の時短だといっているわけにはいかない。景気の上昇、下降とは別に、人々のゆとり志向は、徐々にひろがり、定着しているのである。したがって、「忙しいから残業してくれ、休日出勤してくれ」「ヒマだから、定時で帰ってくれ」という、いわば、ドンブリの労務管理では、もはや、経営はできなくなっているのである。   つまり、従業員のゆとり、社会のゆとり志向を実現する経営が求められているのであり、それを実現しない企業は、従業員が去り、新しいヒトもこないということになるのである。したがって、時短は、経営の重要課題になっているといってよいだろう。 このような文章が書いてあります。そして、後の方で、   時短を進めることで、最も問題になるのは、生産性の維持である。時短を進め、その結果、生産性が低下し、取引先に迷惑をかける、あるいは売上げがさがるということでは、困るのである。したがって、時短の推進を生産性の維持、向上のテコにする必要がある。つまり、企業革新の機会にするということである。 ということで、時短をやれない企業は働く労働者の立場でけしからぬということではなくて、将来を展望したときにそういう企業は生き残れないということではないかという指摘をされています。  そして、くしくも、労働省の平成三年の労働時間短縮が生産性向上に及ぼす影響に関する調査ということで、労働時間短縮を行った中小企業百社を調査し、そのうちデータの把握できた八十九社について集計をした中で、「労働時間短縮を行った中小企業の人・時生産性の動向」ということで、生産性が向上した企業が九三%、生産性が低下した企業が七%、労働時間短縮率以上に生産性が向上したのが七九%、時短率と同程度が八%ということで、合わせれば八七%ぐらいが時短をやったら生産性が向上したという労働省の調査も出ているということで、恐らくこの国会、これからいわゆる労基法の改正というのが非常に大きな議論になると思うのです。  ここの今引用しました中身、あるいは先ほどの続きの「月刊中小企業」の四月号、最新号がと思いますが、には「二十一世紀型企業の条件」ということで、チェックポイントということで十項目、「完全週休二日制以上である」、「年間総労働時間は一人平均千八百時間以下である」という、ずっとリストがありまして、ここで、五点評価で何点あなたの企業につけますかと、これで点数の悪い企業は二十一世紀に生き残れませんと、こういうことまで紹介されているということで、時短というのを、ただ単に働く人たち労働条件の改善ということではなくて、日本経済を支えている特に中小企業にとって、その産業構造、企業形態がどうあるべきかということが問われている問題ではないかな。この問題を、ただ景気が悪いとか人の問題だとかコストが上がるとかいうことでとらえているような姿勢であれば、恐らく日本の産業界は根底から崩れ去るのではないかというふうに私は考えております。  一番初めに、通産大臣として、この時短問題というものが通産行政の中で、そして日本の産業というものの中でどういう位置づけにあるものだとお考えなのか、御認識をお尋ねしたいと思います。
  163. 森喜朗

    ○森国務大臣 今引用されました雑誌は、残念ながら私まだ見ておりませんので、今お聞きをいたしましたことから私の感想も含めて申し上げますが、ゆとりと豊かさの実感できる社会を実現する、これが宮澤内閣が政策目標といたしております生活大国づくりでございます。さらにもう一面、我が国はやはり産業の国際的な調和を確保していかなければなりません。そういう意味で、労働時間の短縮は極めて重要な問題であるという認識をいたしております。  このような観点から、通産省といたしましても、産業界に対しまして、業界ごとの時短への取り組みにつきまして、その要請を今日までいたしてきたところでございます。  しかし、御承知のように、企業といいましてもいろいろ多種多様でございますし、また、みんなが土曜、日曜休みのときに、逆に土曜、日曜働かなければならぬような職業もあるわけでございますし、また企業も、いわゆる大企業から中小あるいは小規模経営、いろいろございますから、すべて一概に同じような形にはめ込むということはなかなか難しいところでございます。  しかしながら、そういう中で一つの大きな目標を設定しながら、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法も活用しながら、特に中小企業に対しましては、中小企業労働力確保法を柱とする各種支援措置等も最大限に活用しながら、この時短に積極的に取り組んでまいりたい、通産省としてはそのように考えております。  ただ、私個人といたしまして、先生もそうだと思いますが、よく選挙区の学生さんの指導、就職の相談を受けるわけですけれども、最近の学生さんの考え方は、資本金がどうだとか何をつくるだとか、そんなことではなくて、会社を一種のファッションというふうに考えている。だから、好きだとか嫌いだとか、自分の洋服の好み、私もよく自分の娘に、そんなくだらぬ洋服脱いだらどうだと言うと、自分の感度から、好きなんだからしょうがないじゃないですか、こう言われる。企業などの選択も、やはりそういう方向に学生たちが来ておると思います。  逆に言えば、将来出世するとかそんなことよりも、端的に言えば駅から五分以内で歩けるとか、それから残業がないということ、もちろん土、日が休みである、そういうこと。あるいは、一時は例えば制服などは余り押しつけがましくない会社の方がいいと言っておった女性が、最近は非常に制服が格好いいものになってきたものですから、格好のいい制服があるところだとか、そういうふうに多種多様な好みが特に女性の場合なども出ていますし、若い人の層にもそういうものが出ておりますから、企業の見方、価値観というものは大変大きく変わってきているし、またこれからも変わっていくだろう。  そういう面で、川端さんのお考えは非常に大事だと私は思いますし、これからも通産省としても、そういう多種多様な、労働に従事する人たちがどういう気持ちで労働、企業というものはあらねばならぬのかということは、十分これから多様な面で考えていかなければならぬと思っております。しかし、先ほど申し上げましたように、やはり基本的にはゆとりのある社会生活を営めるということが大事なこと、もう一つは国際社会との協調、この二つの柱だけはしっかり守って時短を進めていくということがやはり一番大事な私どものとるべき立場である、このように考えております。
  164. 川端達夫

    ○川端委員 今の世の中の風潮が、そういう精神的な豊かさというものよりも外見的なものに流れるというのはかなり本質的な議論で、また機会があればじっくりとお話をしたいと思うのですが、よかれあしかれ今大臣が言われたような傾向にあることも事実でしょうし、そして企業としても、まさに国際協調、国際的な公平な競争条件というもの、あるいは働く人の労働条件ということ、いわゆる生活のゆとりということ以外の要素で産業自体が必然的に時短をしなければならない。そして、せざるを得ないという意識のような企業は多分もうだめであろうというところまで来ているのではないかなというふうに私は思っています。  そういう中で、本日のメーンの議題ではもちろんないのですが、三月二十三日の閣議で、労基法のいわゆる猶予措置の一年延長もお決めになり、本日の国会では労基法の改正の趣旨説明がされました。  これはまた別の機会に当然議論がされると思うのですが、このように働く人たち労働条件という観点ではなくて、日本の産業、特に中小企業は、こういう状況の中で、時短というものはそういう大きな位置づけで迫られているという中で、どうしてもやらなければむしろ産業はつぶれてしまう。そういうときに、こういう問題が政府として提起をされたという一連の経過の中で、通産省としてはこの労基法の一部改正の政府提案に至るまでに、特に猶予期間の一年延長という問題を中心にして、どういう認識の中でどういう取り組みをされてきたのか。そして今日の提案に至るところで、また提案してしまえば政府は一本ということになると思うのですが、それまでの背景の中で通産省のお立場としては、これはとてもじゃないができないから、ぜひとも一年猶予をすべきだということで一生懸命やられたのか、これはちょっとまずいことになったなと思って行動されたのかという、行動の足跡があると思うのですが、いかがでしょうか。
  165. 森喜朗

    ○森国務大臣 これは関係省庁と事務的に折衝しておりました事務当局から説明をさせます。
  166. 関收

    ○関政府委員 中小企業庁の立場から御説明を申し上げたいと思いますが、通産省全体としての時短に対する認識につきましては、先ほど大臣から答弁申し上げたとおりでございます。私ども中小企業庁の立場で非常に大事だと思っておりますのは、中小企業の方々が時間短縮を実現できるような環境、条件を整える、これが非常に大事な私どもの役割だと考えておるわけでございます。そういった環境、条件の整備をするための対策として、私ども少なくとも四つ程度の柱が考えられるかと思っております。  一つは、先ほど大臣も御報告申し上げましたが、中小企業労働力確保法に基づきまして、労働時間短縮のための、あるいは労働条件改善のためのさまざまな計画を実施することに対する各種の支援措置であります。それから二番目は、時間短縮をいたします場合に非常に大事なことは省力化機械の導入等々によりまして生産性を上げるということでございまして、中小企業の方々が省力化機械等あるいはロボット等を導入いたします場合に低利の融資制度で支援を申し上げる、あるいは投資減税等によりまして御支援をするといったような柱が二番目でございます。それから三番目は、中小製造業の中で大体半分ぐらいは下請企業でございますから、下請企業につきましては、特に親企業との取引条件、けさほども議論に出ておりましたけれども、週末発注週初納入、あるいは夕方発注翌朝納入というようなことが続出いたしますと実際時間短縮ができないということで、下請関係の面でのいろいろな改善措置。それから四番目は、さらに、この時間短縮を可能にするための各種の技術開発等々の施策があろうかと思っております。私ども、これらの点につきましては、従来、またこれからも大いに力を入れてやっていきたいと思っておるところでございます。  一方、先生お尋ねの労働基準法といういわば法的規制の中でこれをすることにつきましては、私ども、現在の中小企業の置かれた状況、特に極めて経営が苦しいという実態というものを十分踏まえた法案策定をしていただくように関係省庁にいろいろ意見を申し上げたことは事実でございます。
  167. 川端達夫

    ○川端委員 私、ちょっと勘違いをいたしまして、労基法は来週提案ということでちょっと勘違いをしておりました。閣議決定を三月二十三日されたということでございまして、訂正をしておきたいと思います。  今、中小企業庁の方からいろいろ現在の考えを伺いました。ただ、若干残念でありますのは、現在の経済環境の中ではとてもじゃないができないということで、こういう経済環境の中で、時短、法的な規制というものに関しては、そういうことを十分配慮してほしいということでおっしゃったというお話でございましたが、そういうものを、短期的にはそうだということであっても、長期的に見ればそれが逆になるのではないか。中小企業を守ろうという部分のことは逆に足腰を弱くすることではないのかなという感じを私は強く持っております。  この問題は、また労働委員会等々、別の機会におくといたしまして、今長官がおっしゃいました中で、そういう法的な規制あるいは世界の趨勢というのですか、世の中の流れという中で、通産省として、中小企業庁としてはやはりいかに中小企業の環境をよくしていくか。これは景気対策もそうでしょうけれども、今四点にわたってお述べになりました、中小企業が時短をやっていくときに阻害をする部分をきめ細かくクリアをしていくということが、地道であるけれども非常に大事なことだというふうに思います。その部分は同感でございます。ぜひとも頑張ってやっていただきたいわけでありますが、とりわけ一番最後の方でお触れになりました、下請関係と親企業との関係ということも非常に大きな問題としてよく指摘をされています。  そこで、朝も少し議論があったかもしれませんが、中小企業庁が平成四年十二月二十一日、中小企業庁計画部下請企業課の資料として「発注方式等取引条件改善調査の結果」ということで、「休日前発注休日直後納入」というのが調査項目に入っているわけですが、ここで「休日前発注休日直後納入」という、休みの前の日に注文を受け、休みが明けたら納入しろということで、当然ながらの残業、休出を強要するような発注形態があるというのが四四・九%等々の数字が出ているのですが、これらの数字、このことに関しての数字調査をされてどういう評価をされているのか、まずお尋ねしたいと思います。
  168. 関收

    ○関政府委員 私ども中小企業庁におきましては、平成三年二月に中小企業振興基準を改定いたしまして、先ほど御報告申し上げました、休日前発注週初納入といったようなことについては極力避けていただくようにお願いをいたしつつ、同時に、毎年その実態がどうなっているかを調査し、また公表をさせていただいているところでございます。  今先生御指摘のように、「しばしばある」「時々ある」という答えが四四・九%でございまして、これは残念ながら一昨年の十月に調査いたしました数字と変わっていないわけでございます。しかしながら反面、「ほとんどない」「全くない」というお答えが、実は一昨年が五〇・二%であったのに昨年は五二・八%。若干改善をされておるということで、改善の兆しが見られることはこの数字でもやや御理解いただけるかと思いますが、なお一層の改善が必要だと考えておるところでございます。
  169. 川端達夫

    ○川端委員 とおっしゃるだろうと思ったのですが、実はこれは、平成三年に下請中小企業振興法を策定をされて、特に時短に絡んでということで改正をされたわけですが、この「ほとんどない」「全くない」は二・六%ほどよくなったとおっしゃったのですが、実際は「不明」というのが六・五%あったのが二・三%、この部分だけなんですね、アンケートの答えでは。要するに、ありますよ、困るしと言っている人の数は変わらずに、いや、ほとんどないと言っている人がふえたとおっしゃるけれども、それは調査の中で言えば、よくわからないという部分がクリアになったという部分で、前の年、一昨年の部分も果たしてどうであったのかというのは私は少し違うのではないかと思う。そして、そういう発注があると言っている人は全然変わっていないという部分では、ないという人がふえたと言われても、中身を見れば「不明」がシフトしただけということであって、総体的に言えば、私はそんなものを積極的に評価するものではさらさらない。しかも、その前の年から比べれば、「ほとんどない」「全くない」というのが、一昨年の四四・八%が昨年五二・三%とふえているということから見れば、この下請中小企業振興法の振興基準を出されたことで何か特異的にょくなったということは全然ないというのがむしろ正しい評価ではないかというふうに思います。  その中で、しかもダイレクトに何が時短の障害になっているのですかという問いに対しても、親企業の影響に起因しているというのが四三%。その前の調査では「親企業の影響に起因」が三一%ですね。むしろ逆に、この中小企業庁の調査ではなぜかここの数字はパーセントが出ていない、生の数字しか出ていないので計算したのですけれども、親企業の影響に起因するというのは一昨年の三一%が昨年の調査では四三%というふうに、これで時短ができないのだということを言っておられる人が数字的には非常にふえているわけですね。ということでいえば、下請中小企業振興法というものでせっかく時短のためにということまでわざわざ断って、「納期及び納入頻度の適正化等」として「親事業者は、下請中小企業の時短の妨げとなる週末発注・週初納入及び発注内容変更等について抑制を図るものとする。」ということが余り機能していないのではないかというふうに思うのです。中小企業の労働時間実態調査、これは日本商工会議所ですね。日商の平成四年十月の調査で、「時短の阻害要因」「貴社として労働時間の短縮をすすめる上で障害となる要因は何ですか。」という中で一番多かったのは、「取引先の仕事時間や顧客の便宜を図らなければならず、当社だけで労働時間短縮は進められない。」というのが六七・二%、「休日等に納品を要請される」というのが二四・六%というふうに、やはり中小の人たちは取引先、いわゆる納入先という企業との取引において時短が非常に阻害をされているという数字は皆さん方の調査以外にも非常にたくさん出ている。そしてそれは、せっかくつくられた下請中小企業振興法の改正で、時短の妨げになるこういうことはしてはいけませんよということまでやられたけれども、それを境に何も変化していないのではないかと言わざるを得ないのです。  これは余り知られていないのではないですか。  労働組合の連合が、中小企業の労働時間短縮と労働者福祉調査というので一九九二年十月に、これも回答企業千四百三十八社、規模千人以上を除くということでやられたとき「「下請振興基準」について」、「知らなかった」三〇・一%、「知っていたが内容は知らない」、どういうことか、要するに知らないということですね、四一・四%。七一・五%の人がこういう下請振興基準というのは知らない。そして、平成三年ですか、下請振興基準の時短に基づく改正について、「知らなかった」三九。八%、「知っていたが内容は知らない」三八・一%、合わせれば七〇%以上の企業の人たちがそんなもの知らないと言っている。私は、中身的には非常に踏み込んでいいことを言っていただいている、これをきっちり親会社も理解をし、下の方もこういうことだということで守っていけばこんな数字が出てくるはずがないし、時短の促進ももっとされたのではないかというふうに思います。  そういう意味で、こういう数字が出ていること自体、中小企業庁としてはどういうふうに認識されているのか。そして、こういうことではいけないというふうに私は思います。そういう部分で、何らかの形で広くその関係業界団体だけではなくて個別の企業も含め周知徹底されるということを望みたいのですが、いかがでしょうか。
  170. 関收

    ○関政府委員 先ほど申し上げました評価につきまして、いろいろ御異論ございました。しかし、今回の調査は昨年の十月に、毎年調べているわけですけれども回答される企業は必ずしも同じじゃございませんので、同じ企業に一昨年と昨年とでどうですかということでその違いをお伺いした結果、「ほとんどない」「全くない」が、わずかという御指摘はございましたが、二・数%ふえたということで、改善の兆しは見られるのではないかと私どもは考えております。いずれにせよこれでは十分ではないと思っておりまして、私どもも一昨年の調査を受けまして、昨年の初めには中小企業庁のみでなくて、例えば通産省で申し上げれば機械情報産業局、生活産業局の局長名の連名で各親企業団体、また親企業に対しましても改善の依頼をいたしたところでございますし、昨年の暮れにおきましても、特に年末を控えて取引条件等々について十分御注意いただくようにお願いをいたしたところでございます。  それから、振興基準がよく知られていないのではないかという御指摘もございました。私どももいろいろな通路を通じまして、親事業者の方あるいは下請企業の方がこういった振興基準をよく御理解いただくように、パンフレットのみならず、講習会でありますとか説明会でありますとかさま。ざまな機会に御説明をし、御理解をいただく努力をいたしておりますが、これからもこのあたりの努力についてはさらに拡充をしてまいりたいと考えているところでございます。
  171. 川端達夫

    ○川端委員 それと、中小企業の今の不況下でのいろいろな問題があるのですが、今その振興法でいいますと、これは、親企業あるいは取引先の企業との関係という、独自で時短をしましょう、いい会社にしましょうということの及ばない問題であるということでこういう法律ができているわけですが、実際は、親会社に法律があるから直してくださいと言ってもなかなか直らないというのが実態なんです、これは逆に言えば、PRをしていてもなかなか変わらないという部分で言えば。ある意味で、法的に、これはまあ指導ですね、中身でいえば。こういうふうにするべきであるということで、罰則を伴わないというところからこういう実態になっているのではないかな。  今日の時短の重要性、日本経済の将来にかかわる、そして企業の存続にかかわる大きな問題であるならば、近い将来というよりも早急にこの振興法を強化して拘束力をつけ加える、中身的にこれは当然ながらこういうものをやるべきだということを言っておられるわけですから、守るという義務づけをするように法整備をし直すべきではないかというふうに私は考えているのですが、この点に関してはいかがでしょう。
  172. 関收

    ○関政府委員 下請中小企業振興法の振興基準でございますけれども、先生も御案内のとおり、下請中小企業の振興を図るため、。下請事業者、親事業者のよるべき一般的な基準あるいは努力目標を定めたものでございまして、この努力目標に直ちに先生御指摘のような拘束力、例えば罰則で担保をするというようなことについては相当慎重に考えていく必要があるのではないかと私ども考えております。  しかしながら、振興基準に盛り込まれておる事項の中でも、時短の推進の妨げとなる発注の抑制という観点から、例えば非常に短納期の発注でありますとか、多頻度小口納入、そういったものについて、コストは当然増加するわけでございますけれどもコスト増を考慮しない単価で押しつけるというようなケースが出てまいりまして、その結果として下請中小企業の方に過度な負担を強いるようなケースにつきましては、これまた別途下請代金支払遅延等防止法でいろいろ手当てができるということでございますので、現在の市場経済という体制の中におきましては、振興基準は振興基準、その中で、今申し上げました支払い遅延防止等によるべき、いろいろな措置をとるべきものというものについては、そちらの法律中心に対応すべきではないかと現在のところ考えておるところでございます。
  173. 川端達夫

    ○川端委員 時間が来てしまいました。ここまで来でちょうど、公取委員長にも来ていただいているので、いわゆる下請法等々でいろいろな不況下での問題が発生しているということをお尋ねしようと思ったのですが、時間が来てしまいました。  しかし、今長官がおっしゃいました部分で下請法のいわゆる違反事例というのも随分たくさん出ているということであります。支払いを拒否するとか注文を変えるとか、そういうことは相当悪質な話ですから当然法によって罰せられるということで今いろいろやっていただいていると思うのです。現に時間短縮ということでいえば、政府も総労働時間を減らしていこう、これは国際的にも大事なことだと言っている中で、例えば休日前発注休日直後納入というのも、振興法でもそういうことはしないようにしょうと言っていても、これをやられたら必ず残業が発生するのですね、休日出勤が。そういうものは、長官がおっしゃったように、全部の部分でいろいろ厳しく厳しくしろということが本意ではありませんが、やはり時短というものが非常に重大な認識、大事なものであるという認識の中では、とてもじゃないが慎重にということではなくて、前向きに、実効が上がるという、これは何も悪い人を罰するということではなくて、本当に産業間の秩序をつくっていこう、それが結果として、そこに従事する勤労者の生活をゆとりあるものにしていくと同時に、冒頭申し上げましたように、日本の産業を本当に活力あるものにしていく最大の決め手になるのだというふうに私は思います。既存の中で、いや、これをやったらもうからないとかなんとかいうことは、もはや時短をやったら会社がつぶれるということではないというふうに私は思いますので、ぜひともに御検討いただきたいことをお願いして、終わりにしたいと思います。  ありがとうございました。
  174. 井上普方

    井上委員長 次回は、来る六日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十一分散会