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森国務大臣 特許法等の一部を改正する
法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
近年、
技術革新の進展に伴い
技術開発成果の迅速な保護が強く求められ、また、産業経済活動の国際化等に伴い工業所有権
制度の国際的調和の必要性が増大するとともに、特許出願の審査等を迅速に行うための諸
施策を
推進すべく特許特別会計の財政的基盤を強化する必要性が生じております。
本
法律案は、以上のような工業所有権
制度をめぐる最近の情勢の変化に対処するため、工業所有権
関係四法について所要の改正を行うものであります。
なお、本
法律案は、工業所有権
審議会において
平成三年五月から慎重な
審議が重ねられ、昨年十二月に提出されました特許法及び実用新案法の改正に関する答申を踏まえた内容となっております。
次に、この
法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一は、特許出願に係る補正の範囲を
適正化するものであります。
我が国では、特許出願に係る補正の範囲が主要国に比べて広範となっており、これが、迅速な権利付与を妨げる要因となっております。このため、
制度の国際的調和を図るとともに、
技術開発成果の迅速な保護を図るべく特許出願に係る補正の範囲について所要の改正を行うものであります。
第二は、迅速な審理を
推進するため、特許に係る審判手続の簡素化を行うものであります。具体的には、補正の却下の決定に対する審判を廃止し、補正の可否は拒絶査定に対する審判において争うこととすること等所要の
改善を行うものであります。
第三は、実用新案
制度の早期登録
制度への改正であります。現在の実用新案出願には、
技術開発の加速化を背景として、早期に製品化され、寿命が短い
技術が多くなっております。しかし、現行
制度は主要国と異なり審査を経て権利を付与する
制度であり、出願から権利付与までに長期間を要しております。これを改め、製品寿命の短い
技術の迅速な保護を図るため、早期権利付与を可能とする実用新案
制度に改正するものであります。
第四は、手数料等の改定を行うものであります。その背景といたしましては、日米構造協議における審査を迅速に行う旨の
目標を達成するためには、ペーパーレス計画の
推進、審査官の増員等の諸
施策を強力に
推進する必要があります。しかし、そのための経費が増加する一方で、保有権利の見直し、出願の厳選といった構造的変化により歳入が伸び悩むため、
平成五年度には特許特別会計が赤字となるおそれがあります。このため、歳出削減を
推進する一方で、今後も引き続き審査の迅速化のための経費を確保するため、所要の引き上げを行うものであります。
以上がこの
法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御
審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。