運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1993-04-22 第126回国会 衆議院 国会等の移転に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年四月二十二日(木曜日)     午前十時四分開議 出席委員   委員長 西田  司君    理事 武村 正義君 理事 谷川 和穗君    理事 東家 嘉幸君 理事 木間  章君    理事 鳥居 一雄君       井上 喜一君    久間 章生君       塩谷  立君    村岡 兼造君       沢藤礼次郎君    武藤 山治君       村山 富市君    山口 鶴男君       平田 米男君    金子 満広君  出席政府委員         国土庁計画・調 糠谷 真平君         整局長         国土庁大都市圏 内藤  勲君         整備局長  委員外出席者         参  考  人         (日本経済新聞         社常務取締役東 杉田 亮毅君         京本社編集局         長)         国会等移転に         関する特別委員 杉本 康人君         会調査室長     ――――――――――――― 四月二十二日  理事井上普方君及び山口鶴男君同日理事辞任に  つき、その補欠として渋沢利久君及び木間章君  が理事に当選した。     ――――――――――――― 二月十九日  国会等地方移転等に関する陳情書  (第一  一四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  参考人出頭要求に関する件  国会等移転に関する件      ――――◇―――――
  2. 西田司

    西田委員長 これより会議を開きます。  理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事井上普方君及び山口鶴男君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 西田司

    西田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 西田司

    西田委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事に       木間  章君 及び 渋沢 利久君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 西田司

    西田委員長 次に、国会等移転に関する件について調査を進めます。  参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本経済新聞社常務取締役東京本社編集局長杉田亮毅君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり」〕
  6. 西田司

    西田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  7. 西田司

    西田委員長 この際、杉田参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、最初に三十分程度意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  それでは、杉田参考人、お願いいたします。
  8. 杉田亮毅

    杉田参考人 御紹介いただきました日経の杉田でございます。  私、きょうは、この問題については非常に素人ではございますが、考えを述べさせていただきたいと思います。三点ほどにわたって私の考え方を申し上げたいと思うのでありますが、まず最初に、この首都移転といいますか、国会等移転、今や経済合理性にかなってきているのではないかというのが第一点であります。  この問題は、実は私も新聞記者になりまして三十二年になるわけでございますけれども、駆け出しのころから問題になっておりまして、私が建設省担当のころも、河野一郎建設大臣富士山ろく首都移転したらどうだ、こういう構想も飛び出したりしまして、本当に相当期間議論をやっている。しかし、結局議論だけに終わってきているわけなのですね。この原因は、先生方皆さんもう御承知のように、結局、集中メリットといいますか、集積メリットが非常に大きい。ですから、これを逆に移転させるということはそのメリットを打ち消すことになるということで、なかなか経済的に合理性が得られなかったという点が非常に大きかったのではないかというふうに思うわけであります。結局、情報、技術あるいは文化、それからビジネスチャンス、それから消費が非常に高度化が進んでいる、こういうふうなところのメリットがありますから、なかなかこれを消すことができない、こういうことであります。しかも、行政にいたしましても、あるいは政府公共事業などにいたしましても、結局東京中心放射線状の行政をやるということになりますので、非常に効率的になってくるわけですね。ですから、そういう点でも集中それから集積メリットというものが非常にあって、それを否定することがなかなかできなかったというのがこれまでの経緯じゃないかと思うのであります。  しかしながら、現在におきましては集中弊害というのが非常に拡大してまいっておりまして、むしろそれが表面化してきている。したがって、東京及びその周辺に住む人たち生活環境、これは交通住宅をとってみるまでもなく、生活環境が非常に悪くなってきている。その第一の原因はやはり地価高騰ということでありますが、住宅だけではなくて、企業にとりましても非常に大きな問題でありまして、なかなか今のような地価状態では、採算をとるということが非常に難しくなってくる。採算をとるということになりますと、消費者に対して非常に高い価格を押しつけなければいかぬ。高い価格を押しつけるということになりますと、これは世界で一番経済の強い国と言われながら、海外に比べて非常に高い消費物資消費者に押しつける、こういうような結果になっているのではないかというふうに思うわけであります。  それから、大都市圏に住む、特にこの東京周辺に住む人たちの若い世代、若者たちから将来の夢をかなりもう奪ってしまっているのではないか。今回、バブルというようなことで、バブル崩壊過程地価は若干下がっていると言われますけれども、しかしそれはもう大幅に上がってなかなかもとには戻り切れない、もとに戻すと経済的に大混乱が起こる、こういうような状態になっているわけでありますから、今回のバブル過程を通じまして、特にそういう夢を奪う度合いというものが大きくなってしまっておるということだと思います。  また同時に、この地価高騰によりまして社会的な不公平というものが非常に拡大してしまっている。土地所有者、これを資産として持っている人たちと持ってない人たちの間の格差が非常に広がってきている。しかしまた、それじゃ持っている人たちも幸せかというと必ずしもそうではありませんで、必ずしも売る目的ではなくて、単に住んでいるだけで地価高騰して相続税が払えない、したがって自分の住んでいる家、土地子供たちに譲れない、こういう状態も生まれてきている。ですから、これは単に社会的不公平が拡大しているというだけではなくて、土地を持っている人たちにとっても非常に不幸な事態になっているのではないかということであります。  それからまた、国際的に見ましても、東京に象徴されますいろんなゆがみ、これはやはりもう有名になってきておりまして、東京というのはすばらしい町である反面、各国の町づくりにとっては絶対にまねてはいけない、つまり反面教師になってきているということでございまして、経済拡大過程でできた一種の化け物的存在ではないかと、いうようなことで、日本ゆがみというのとダブってきているというような国際的イメージを形成しているように思います。したがいまして、そういうことでありますので、集中緩和してバランスのとれた国土建設相当なエネルギーを傾注する時期に来ているというふうに思っております。  今回、この先生方中心とする特別委員会とか、それからまた政府の方でも調査会がスタートいたしましたので、今度は国会先生方も、また政府の方も本気になって取り組んでいただけるのかなという期待国民に与えていると思いますが、先ほどから申し上げております弊害国民かなり人たちが認識してきていると思うのです。ですから、これは国土庁からいただきました資料などを見ましても、国民の九割以上が集中是正というものを望んでいる、こういう状態になっていると思います。また、国会等移転に関しましても、七割以上の人たち賛成をしているというような状況だと思います。国会行政機関移転集中を抑制しつつ、同時に地方魅力を高める努力というものが今後展開されることを、私もジャーナリストとしてだけじゃなくて一国民としても強く期待をしているわけであります。  後でまた申し上げますけれども、国会行政機関を移すというだけでは、なかなかこの問題を全体に解決することは難しいと思います。やはり、国会行政機関を移すと同時に、地方魅力度を増していくという行政があわせて展開されることが必要なのではないかというふうに思います。先ほど申し上げましたように、すべての計画東京に向かってなされておりますので、道路も鉄道も全部放射線形になっているわけですね。ですから今度は放射線ではなくて横軸といいますか、これは大分県の平松知事は第二国土軸という呼び方をされておりますけれども、地方都市地方都市との間のアクセスといいますか、交通機関を含むそういう整備をしていかなければいけない。それからまた、地方文化水準を引き上げていくというような努力も必要でありますし、また地方下水道整備中心とします生活環境拡大にも予算を割いていかなければいけない。そういうようなことで、公共事業といいましてもやはりその予算配分のやり方というものを、これまでの放射線形予算配分からそういうふうに地方都市魅力を増すための配分というようなことに変えていく必要があるのではないだろうかというふうに思っているわけであります。  二番目に、この移転の対象が問題になってくると思うのでありますけれども、これは役所の皆さんの中には、私がいろいろ聞きますと、いやもう国会先生方だけ行っていただいて、静かなところで議論をしていただいたらいいのじゃないかなんというような無責任なことを言う人も中にはいるのですけれども、しかし国土庁資料を見てみますと、中央官庁の課長さん方もかなり人たちがその移転必要性感じているということでありますので、その点では安心をいたしておりますけれども、やはり政治行政機能移転させるということが必要だと思います。政治行政機能経済機能をやはり分離するという考え方を私は支持したいというふうに思っているわけであります。  現在東京にいろいろな集中が起こるといいますのは、もちろんいろいろな理由があります。経済的な集積が進んでいるということもありますし、それから文化水準がやはり東京が非常に高いというようなこともありますのですけれども、それだけじゃありませんで、やはり情報メリットといいますか、ここに国会があり、政治中心であるということ、それから行政機関が存在すること、したがってその行政機関にまつわるいろいろな情報東京にいるのと大阪にいるのとではまるっきり違う。経済界人たちの話を聞きますと、やはり二対一だということを言っておりますね。これだけ情報ネットワークが発達しているにもかかわらず、東京に住んでいるのと大阪に住んでいるのとでは情報の質と量を含めて考えますと二対一ぐらいの格差があるんだというようなことを言っておりまして、やはりどうしても東京に行かなくてはならぬということで、本来大阪にあるいは関西に本拠地を持っていた銀行なり大企業も、関西本社と並ぶ東京本店あるいは東京本部というものを持ちまして両方が本社化しつつある、こういう状態になっているのだと思います。ですから、やはりそういうような行政国会がここに集中しているということをある程度分離するということが必要なのじゃないかというふうに私は思っております。したがいまして、国会とあわせまして主要官庁移転するということが必要なのではないかと思います。  それから第三番目に、それではそういう国会行政機能移転というだけで問題が解決するのだろうかということであります。これはいろいろな考え方があろうかと思いますけれども、国会行政機関移転というだけでは集中場所東京から他の場所に移す結果になる可能性が強いというふうに思うわけであります。企業経営者たちが今首都機能移転を過半数が支持しているような状態になっていると思いますが、その支持している理由の中には、やはりそれが地方分権への契機になるとか、あるいは地方都市活性化が進むだろうとか、そういうような期待をした上で支持しているのだと思われるわけでありますが、やはり集中場所を変えるだけではなくて、この機会に権限の分散といいますか、地方への分権というものをあわせてやっていく必要があるのじゃないか。また同時に、政府各省と民間との間の規制許認可事項が一万件以上にも上っているというような状態をなくしていくということがこの機会に必要なのではないか。また、こういう機会でないと、こういう地方分権とか規制緩和というのは、なかなか議論しているだけでは是正できないのではないかというふうな感じもしているわけであります。  それで、この地方分権規制緩和というのは、これまた古くて新しい問題でありまして、私の駆け出しのころからこの問題をずっと書いたり、解説を書いたりしてきたわけなんでありますが、しかし、なかなかそこへは進まないという状態であります。しかしながら、この首都機能移転には、国土庁の試算では十四兆円とかいう数字が公表されておりますけれども、これはその他の、輸送機関とか道路とか、そういうものが入ってないようでありますので、そういうものを入れると恐らく二十兆あるいは二十兆を超える規模の大事業になってくるのだろうと思います。そうしますと、それだけの大事業をやるには、これは相当国民負担をお願いせざるを得ないわけでありまして、そのためには、首都機能移転先とかかわりのない、全国民国民的支持がどうしても必要であるというふうに思います。そうしませんと、これは、おれたち負担で他の箇所が繁栄する、こういうような受けとめ方しかできなくなりますので、これではこの大プロジェクトは実現しないのではないか、こういう感じに私は思っているわけであります。したがって、この国会を含む首都機能移転というものが全国民にとって何らかのプラスになるのだというふうな受けとめ方、自分たちにかかわりのある問題なんだということをぜひプレゼンテーションする、そういう形でやっていただかなければ、なかなかこのコンセンサスづくりが難しいのではないかというふうに思います。  それで、この地方分権規制緩和によりまして、先ほど申し上げました地方都市魅力度づくりというものが実現できる環境地方分権ということでより一層高まってくる、それからまた規制緩和ということで、今いろいろ言われております、官庁と一部の政治家方たち業界人たちのつながりといいますか癒着といいますか、こういうものをある程度断ち切っていく、そういうことにもなります。それからまた、この規制緩和ということに対しては国際的な関心も寄せられておりまして、日本市場が非常に閉鎖的だという批判を浴びているわけでありますが、私どもから見るとそれほど閉鎖的ではないのではないかというふうに日本人自身感じているわけでありますが、その原因はどこから来るかといいますと、やはり許認可事項にまつわる問題、つまり、法律だけ見ているのではわからない、政令とか省令によって行政が動かされている部分が非常に多い。ですから、そういうことで、外国人たち法律を勉強するだけでは足りないわけでありまして、そこでいろいろな規制を受けるということで日本市場が非常に不透明だという誤解が生まれているわけでありまして、やはりこの機会地方分権とあわせて規制緩和していくという姿勢が必要なのではないか。  また、現実に規制を残したままで移転をいたしますと、今度は国民個人あるいは関係業界人たちが、どれくらい離れるかわかりませんが、新しい首都陳情に行かなきゃいけない、許認可をもらいに行かなきゃいけないということで、東京に来るよりももっと煩雑になるというふうな不満が非常に強く起こるわけであります。ですから、そういう許認可事項をこの際思い切って減らしていくというふうにして、そこに足を運ぶ回数、度合いというものを最小限に抑えていくということが必要になってくるのじゃないかというふうに思っているわけであります。  しかし、この地方分権規制緩和というのは、率直に言いまして、これを取りまとめしようとしておられる国土庁は別といたしまして、諸官庁本音は、許認可を持っておられる官庁本音は多分反対だと思いますね。ですから、本音のそういう反対をどういうふうに説得あるいはしむけていくかというのが政治の問題でありまして、これはやはり相当政治決断なり、また行革審の新しい展開みたいなものがこの首都移転議論とあわせて進められないと、なかなか本当の意味での首都移転というのは難しいのではないかというふうに思っているわけであります。しかし同時に、それには相当時間がかかるかなという感じもいたします。しかしながら同時に、一方では、私は経済記者の一人として、この大プロジェクトは実は時間との競争だなという気もしているわけなんですね。  それはどういうことかといいますと、日本の今後の成長力を考えてみますと、今不況ですけれども、恐らく来年から三%台の成長コースに戻ると思いますけれども、二十一世紀に入りますと、日本潜在成長力というのはだんだん低下してくると思いますね。国民の年齢が高齢化してくるということ、若者の数が減ってくるということ、それから環境に対する国民の意識が非常に強くなってくる。ですから三%台の成長もだんだん難しくなってくる、やがて二%、そして一%台ということで、やはりヨーロッパ先進諸国がたどっているようなコース日本も向かっていくことが避けられなくなってくる、そういう可能性が非常に強いわけであります。そうしますと、非常に大きな資金、巨額の資金が要るこの大プロジェクトをある程度早い機会に、日本成長力がある程度ある間にやっていかないと、国民に大変な税負担を背負わせてしまう、大増税をやらなければこの大プロジェクトが実現できないということになってくるのではないかという気がするわけであります。  その期間がどれくらいあるかなということで多少無責任にいろいろ考えてみますと、高齢化テンポなどから見まして、日本成長力が今世紀は三%台が仮に確保できるとして、二十一世紀に入りますとそれが二%台に落ちて、さらに二%台も難しくなる時期というのはいつごろだろうか、恐らく二〇一〇年から二〇二〇年あたりの時期が考えられるわけであります。そうしますと、この事業は今後二十年ぐらいで実現をするということが必要になってくる。そうしますと、計画立案に五年間、そして実際の着手、着工から完了までに十年間ということで、できれば十五年間ぐらいで完了しないとなかなか、財源面での制約が出てくるのではないかという気がするわけであります。その点、外国の例などを国土庁資料なんかで見ますと、キャンベラの首都建設などは非常に時間がかかっておりますね。数十年、時間がかかっておりますのですけれども、日本にそれだけの時間的余裕はちょっとないのではないかなというのが私の率直な印象でございます。  ですから、分権規制緩和というこの各省庁が相当反対されるであろう問題と、この大プロジェクトを本当に実現するには時間が限られておるということとどういうふうに両立するかという、この辺が先生方にもぜひ議論していただきたい非常に大きな問題なのではないかなという気がしているわけでございます。  私の論点は以上でございますが、その他の問題としましては、実際に移転するということになりますと、移転先候補地の名前が出るたびに地価高騰していくということになりますので、具体的な候補地が公表されるときにはもう直ちに地価対策が用意されているというふうなことにいかないと、多分、地元では大混乱が生じるのではないだろうか、こういうふうにも考えております。  私の最初のコメントは以上にさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  9. 西田司

    西田委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     —————————————
  10. 西田司

    西田委員長 これより質疑を行います。  御発言は、委員長の許可を得てお願いいたします。
  11. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうも御苦労さまです。  今、各面からのお話を承りました。賛成です。私ども、そういう今お話のあったような点、特にこの首都機能移転という場合は、今の霞が関をそのまま持っていくということであってはならない。この際、思い切って地方分権を徹底的にやる。規制緩和も行う。霞が関をスリム化して、そういう中で国会行政機関、この移転を実現することがいいのではないかという議論も随分いたしまして、御存じだと思いますが、臨時国会で成立をいたしました国会等移転に関する法律では、この地方分権と的確に関連づけて首都機能移転を行うべきであるということも法律の中に明確に書いた次第であります。したがって、今お話をいただいた点は私ども全く同感であります。  したがって、問題は、今期間見通しについてもお話があったのですが、私たちやはり法律によって調査会ができました。調査会でこれから各論の審議をいただくのだろうと思いますが、やはりいつまでものんべんだらりやっておったのではこれはいかぬわけでございまして、しかもお話では、我が国の経済成長率三%台を維持するのもそんなに長い期間続くわけではない、そういった見通しもなされました。とすれば、やはりこのことを実現するためには、いろいろな意味法律整備が必要だと思います。御指摘のような地価の問題ももちろんそうだと思います。地価規制するための特別な法律も必要でしょうし、これを進めるためのさまざまな面からの法律整備をする。そういった法律整備しつつ、その移転場所についての議論をして、そして結論を出していた。だく。そして、それに対して財源を一体どうするかということもあわせてやっていく。  同時に、私は東京役割というものをこの際やはり十分考えていかなければならぬだろうと思います。結局東京皆さんも、この首都機能移転して、そして東京は、ロンドン、ニューヨーク、東京という形で国際金融機関の中枢として大きな役割を持っているのだ、そしてその役割を十分果たしてもらう。そのために、今東京等地震でもって心配だというのですから、地震対策等をきちんとやはりやっていくというふうに、東京に対して今後どうするのかということをきちっと位置づけながら、同時に法律整備も進めながら、そうして移転先十分議論をした上で決めていただくということが必要ではないだろうかと思います。  そういったことを進めていくに当たって、特にやはり留意すべき点はこういう点があるのではないか。期間についても若干御意見がございました。どの程度テンポでどのような準備が必要だという点があれば、お示しをいただきたいと思います。
  12. 杉田亮毅

    杉田参考人 山口先生の御指摘、本当に私もそのとおりだと思います。  東京都の方が首都機能移転反対しておられるようでありますが、結局、東京都が寂れてしまうのじゃないかというような懸念を持っておられるのではないかと思うのです。あるいは、東京都民にとっては余りメリットにならないという判断もあるのじゃないかと思いますが、実はそうじゃなくて、先ほどもちょっと事前に委員長とも雑談しておったのでございますけれども、やはり地方皆さんだけではなくて東京都民の皆さんも、この首都機能移転自分たちにとってプラスになる、こういう認識を持っていただくということが非常に大事だと思います。そうしますと、おっしゃったように首都機能移転の結果、東京都が経済文化の都市として、生活環境あるいは経済活動、文化活動にとってむしろ非常に町づくり整備されるという形であれば、都民の皆さんも非常にその点は評価してくれると思いますね。  ですから、一つは政府官庁が移った後の跡地の問題があろうかと思います。ですから、これは普通ですと、最近は大蔵省はすぐ民間に転売したりして財源を調達するというふうに考えがちなわけでありますが、やはりこの跡地をどういうふうに計画的に、国民あるいは都民の生活とそれから安全のために活用していくかということが非常に大事になってくるのではないかという気がいたします。  それから、おっしゃるように、特に今心配しておりますのは、これだけ集中しますと、地震がもし起きた場合に、やはり百万、これは率直に言いますとどの程度というのはなかなか予測がつかないのですけれども、しかし、我々報道でも非常に控えている問題なのですけれども、いろいろ間接的に情報を聞きますと、公表されている数字を相当上回る、百万単位の犠牲者が出る可能性がある。しかし、それをなかなか我々としてはストレートに報道できないという問題もあるわけですね。ですから、安全対策をこの際きちっとしてあげるというようなことをぜひあわせてやっていただきたい。  それからもう一つは、先ほどもちょっと触れましたけれども、相当お金がかかると思うのですよ。先ほど二十兆と言いましたけれども、東京対策とか、あるいはまた地方魅力づくりとかいうようなことを考えますと、相当お金がかかる。そうしますと、現在配分されている公共事業のほかにそれだけやっていきますと、国民はとても税負担でたまらぬと思いますね。ですから、そのためには、総額はもちろんある程度ふえていくと思いますけれども、現在の公共事業費の配分をぜひ見直していただきたい。やはりこれからは、必要なところにある程度傾斜配分していくということが必要になってくるのではないか。その点、この間ラジオで聞いていましたら、政治改革の自民党の皆さんと野党の皆さん議論の中で、どなたか委員の方が数字を引っ張り出して読んでおられましたけれども、この十年間公共事業配分比率、各省別の配分比率とか、そういうものを比べてごらんになるとほとんど変わっていない、これは事実だと思いますね。ですから、私も本当にこの点は、配分比率というものを本当にニーズの高い方に傾斜配分していく、それだけの政治決断なり皆さんの御努力をぜひお願いしたいということでございます。  何か答えになっていないようで、申しわけありません。
  13. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ありがとうございました。
  14. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 今、山口先生からおっしゃった地方分権ということはすごく大切だと思うのです。許認可事項集中している。つまり、権力集中ということは利権集中みたいな感じがありまして、今話題になっているような金と政治の問題も絡んでくる。これを分権することによって、自浄作用といいますか、抑制作用がきくという点で非常に重要だということをまず申し上げた上で、これからは質問なのですけれども、私は教師出身なものですから、この問題に関して、子供たち、青少年、教育、価値観、こういった問題についてはよく考えるのですけれども、地方におりまして高等教育を受けようとすると、かなりの財力がないと今それに応じ切れないという状況がありますね。しからば、学術研究、教育の環境として東京が適切かというと必ずしもそうではないという問題を考えた場合に、国会と同じ場所にという意味じゃありませんけれども、教育あるいは学術研究機関の分散ということも考える必要はないか、それによって教育の機会均等も保障できるというふうなことが一つあるのですが、このことについてのお考えをお聞きしたい。  もう一つは、日本列島はひょろ長いものですから、どこへ移転するかという距離的な問題とか位置の問題がぴっと関心の対象になりやすいのですけれども、私は、先ほど先生がおっしゃったようないろいろな内実を伴わせた移転であれば、少し位置が偏ったとか、現在の東京からの距離というふうなものは余り問題ないのじゃないかという気がするのです。アメリカも、かなりあの広い地域の中の端でしょう。それからカナダもそうですよね。オーストラリアもそうですよね。中国もそうですよね。したがって、国土のど真ん中にいる必要はない。それから、移転する距離は何十キロ以内でなければならないというふうな制約も、私は余り意味がないと思う。この点についてのお考えをお聞きします。
  15. 杉田亮毅

    杉田参考人 第一点の教育なのですけれども、これは国会等移転問題とは余りダブらせないで、むしろ本当は、通常のこれからの行政集中是正という行政の中で積極的に推進していただくのがいいのじゃないかというふうに思うのですね。もちろん、この議論とあわせてやった方がやりやすいということであればそれでも構わないと思うのでありますが、おっしゃるように、今東京都内、なかんずく東京都内の学生諸君の勉強の環境というのは余りよくないのですね。キャンパスもだんだん狭くなってきている。その点、アメリカなどおいでになるとおわかりのように、非常にキャンパスが広い。ですから、非常に学生の生活が伸び伸びしているわけですね、緑に包まれまして。そういう中で自分たちの、いわば自分考え方なり物の見方なりが形成される一番ナイーブな時期といいますか、そういう敏感な時期にそういう自然環境も含めた非常にいい環境の中で勉強させるということは、私は一人の人間形成の中で非常にいい役割を果たすのじゃないかと思っているわけであります。ですから、今度の国会等移転に絡ませてもいいのですが、本当はもっとどんどん行政の方針として、ぜひそういう方向で、大学の当局者とも話しながら用地のいろいろな提供等も含む努力をしていった方がいいのじゃないかというふうに、私も全くそう思います。  それから、移転箇所の問題は、率直に言ってこれはもう本当に私どもが口を挟む問題じゃないのかもしれないというふうに思います。ただ、おっしゃるように、原理原則からいいますと、距離には余り関係ないかもしれませんね。通信施設がもう今や非常に発達してきておりますし、それから今後の高速輸送機関の発達、新しい技術の導入というようなことも考えますと、少々の距離はそれほど問題なくなってくるかもしれないというふうに思っておりますが、具体的に何キロ以内というふうな考え方は、私自身は今は持っていないということでございます。
  16. 平田米男

    ○平田(米)委員 どうもきょうはありがとうございます。公明党の平田でございます。  私は、なぜ東京に一極集中するかということが非常に大きな問題ではないかと思うのですが、その中で言われることは、情報集中ということが取り上げられるわけでございまして、参考人もまさに巨大新聞の一員でいらっしゃるわけでございますが、この日本の巨大新聞というのは世界ではなかなか例を見ないのではないか、こう言われておりまして、その情報集中とまさに新聞の巨大化、マスコミの巨大化というものがどういうふうにかかわり合っているのか。また、多極分散の中で国会移転も考えていかなければいけないと思うのですが、そうしなければまた新しい東京をつくるだけになってしまうような気がいたしますので、そうしたときに情報集中から情報の分散といいますか、また新しい展開、こういうものはどういうふうにできるものなのかどうか、またできないものなのかどうか、それなどを勉強させていただきたいと思いますので、お教えをいただければと思います。
  17. 杉田亮毅

    杉田参考人 情報の分散というのは、マスコミの情報発信機能の分散をおっしゃっておられるのか、マスコミが取材源としております、つまりもともと情報発信源の分散をおっしゃっているのか、二つ考えられるわけであります。  取材源の情報分散というのは、まさに今問題になっている首都機能移転の問題と非常に密接にかかわっていると思いますね。先ほどちょっと御紹介しましたように、企業の経営者の皆さん東京にどうしても住まなければいかぬ、大阪に本社があっても東京に半分はいなければいかぬという原因は、やはり情報ということなのですね。その情報は、要するに新聞が書いてないような情報東京では得られるということなのですね。それは要するに、例えば政治家皆さんもとよりでありますが、あと政府官庁の高官の皆さんとお食事をしたり、あるいは若干お酒を飲む機会があったり、そういう会話を通じて、あるいは実際に役所を訪ねて直接お会いすることによって情報が得られるということなのです。この情報というのは、一般的な情報もさることながら、先ほどの一万何百件に上っております今の許認可事項、ここにまつわる情報が得られるということでありまして、これは、大きな問題を我々新聞が報道しているわけでありますけれども、実は業界皆さんが欲しいのは新聞に載ってないようなもう一つ手前の情報が欲しいわけなのですね。新聞に載ってからではちょっと遅いのであります。ですから、新聞に載る前の情報東京では得られる、それが非常に大きいと思いますね。ですから、首都機能移転、特に官庁機能を移転するということは、実はその情報集中東京から移すということでありますので、これは情報発信源の分散になってくるというふうに思いますね。それと、何が何でも会わなければわからないというのは、やはり許認可事項が多過ぎるから関心が非常に強いわけでありまして、許認可事項が少なくなりますと、また新聞に載らない手前の情報を知る意欲といいますか、ニーズも減ってくる、こういうことなのだろうと思いますね。  ですから、今の日本の場合は、諸外国はもちろん、例えばアメリカでもワシントンというのは情報の都市でありまして、やはりあれだけ権限が分散していましてもワシントンに情報をとりに来る人たちはたくさんいるわけですね。ですから、これはある程度は避けられないと思いますよ。今度新しい都市に移しましても、全くその都市から情報がなくなるということは考えられない。ただ、諸外国に比べてずば抜けて情報集中が行われている、そこを是正するということなのだろうと思いますね。ですから、そういう点で非常に効果があるのではないか。  それから、マスコミの分散でありますが、我々マスコミは、情報源がどこにあるかによって取材源の集中を進めてきているわけですね。どうしてもやはり東京情報集中しているものですから、我々は東京にたくさん記者を配置するというシフトをしておりますが、もしこれが地方分権によって地方にいろいろ情報が分散していくということになりますと、コストはかかりますけれども、記者を地方分散していくという体制に我々は持っていかざるを得なくなるということが一つですね。  それから、もし国会等の機能が新しい都市に移っていくということになりますと、まだ新聞社の中でもそういうことを議論したことはありませんけれども、例えばニューヨーク・タイムズはニューヨークに本社を置いているわけです。ほとんどのアメリカのテレビはニューヨークに本社があるのですね。ですけれども、ワシントンにワシントン総局というものをつくっているわけであります。ですから、新しい都市がどこになるかわかりませんが、そこに日経の何とか総局をつくって皆さんを取材する、本社は東京にありますけれども。それから、工場も新しい都市に持っていく必要はないと思うのですね。工場は今はもう全部コンピューターで処理しておりますので、新しい都市で記者がワープロなりパソコンをたたき込みますと、直ちにコンピューターに入りまして印刷が開始されるという状況でございますので、その情報は直ちに全国に流れますので、情報源の分散に合わせて我々は取材体制を変えていくということでございまして、マスコミの本社機構を移していくこと、あるいはそうなりますと東京に要らないよという新聞社も出てくるかもしれませんね。ですから、そうなると高い地価東京から離れて、もうちょっと離れたところから取材するということは可能になってくるのではないか。そういうことは考えられると思いますね。  以上であります。
  18. 平田米男

    ○平田(米)委員 ありがとうございました。
  19. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 社会党の武藤と申します。  予算のことなのですが、今国と地方の借金が、大ざっぱに言って二百六十兆円、国債残高、地方債残高。さらに建設公債が年々七兆円プラスになって、ざっと見ても十年で七十兆円オンされるのですね。金利だけで今、年二十兆円、地方と国で利息だけで。それで今世界の経済成長が、一九六〇年代の成長が五%、七〇年代四%、八〇年代は三%ぐらいに落ちてしまったのですね。恐らく九〇年代は二・五ぐらいのところが世界の経済成長率の平均になると思うのですね。ですから、先ほど杉田さんがおっしゃったように、これから十年、二十年後はかなり成長率は鈍化する、これはやむを得ない。もう世界経済成長は二%ぎりぎりのところだと見なければならぬと思うのですね。そのときにこの国債問題が足かせになって、金利と元金の返済でもう財政はどうにも首が回らぬ、ちょうど今のアメリカの赤字よりもひどい状態ですから、一般会計に対する比率は。ただ、預貯金がたくさんあるから表に出ないだけの問題なのですね、日本は。こういうことを真剣に検討すると、この二十兆円なり二十五兆円かかる大移動をやるのにはやはり国有林とか国有地、そういうものがたくさんあるところを見つけないと、かなりのものが土地代でかかってしまう。そういう配慮も十分しないといけないのじゃないかな、そんな感じがしてならないので、とにかく二十年後に完成しようというのだから、まだまだ具体的な話をする必要はないのだが、財政上の制約が非常に大きくのしかかってきて、国土庁や我々がやれと一生懸命決めても財政当局が金をどこからどうやって出すのだという問題にぶつかってくるのじゃないのかな、私はそういうことを非常に心配しているのですが、杉田さんの御認識はいかがなものですか。
  20. 杉田亮毅

    杉田参考人 武藤先生のおっしゃる財源の問題というのが本当に今までのところ議論されてない大問題なんだろうと思います。ですから、この財源を最小限にするために建設費を最小限にしていくということ、これは非常に大事なことなんだと思います。ただ、私がここで国有地が多いところと言うともうある程度場所が特定化されてくるような気がするものですから、その点に関してはちょっと私も発言を控えたいと思うのでありますが、一般論として言えばできるだけ建設費のコストを抑えていくというのは、国民経済的な見地から見ると非常に必要なんじゃないかと思うのです。  それから、財政当局が財源問題をどうするということで相当難色を示すことはもう目に見えているわけでありますので、おっしゃるように相当大蔵省が抵抗するというふうに思います。ですから、そういう意味でも、先ほど申し上げましたように今の公共事業の中で、不要不急とは申しませんけれども、つまり過去にこれだけのシェアがあったからこれだけのシェアを頑張ってとるんだというのをなくして、やはり時代の流れに応じて必要度が変わってきているはずなのでありますから、時代の流れにもかかわらず一向にシェアが変わらないというのは明らかにおかしいわけでありまして、その比率を変えることによってもかなり財源を新しいニーズに振り向けることが可能になってくるのではないかというふうに私は、細かく計算してはおりませんけれども思うわけですね。ですからそういうことも含めて検討しなければ、国民のコンセンサスはなかなか得にくいのではないか、そういうふうに感じる次第であります。
  21. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 先生、もう一つ伺わせてください。  最後にコンセンサスづくりという御指摘がございました。それに関して非常に大切なことは、一極集中というのが機能とか人間の集中だけじゃなくて価値観の集中をもたらしている。例えば、例として適切かどうかわかりませんが、子供たちが学校を卒業しますと、いずれは農業をやりに帰ってくるけれども一度は東京に出してくれと言うのですね。もう大都会というのはあこがれの的なんですよ。それをつくり上げているのはやはり全体の空気ということになるだろうし、あるいはマスメディア、マスコミの責任も大きいと私は思うのですけれども、特に若い者たちのそういった価値観の集中を我々大人が少し分散するような形、例えばテレビを見ますとかなりの時間帯はスタジオのちゃらちゃらした番組、我々東北人には理解できない早口の番組が圧倒的に多いわけですね。それをやはりむしろ生産圏のいろいろな状況なり話題なりというものに目を向けていかなければならない。報道の姿勢も大都会で知らず知らずのうちに一極集中になっているケースが多いと思うのです。演歌なんかもそうでしょう。北に帰る人の群れはみんな無口でとか、源流れてやまずというふうな調子で、こういう青少年の価値観の集中というものに関するある意味でのコンセンサスづくりについての今後の方向についてお考えをお聞きしたいと思うのです。
  22. 杉田亮毅

    杉田参考人 私どもが日ごろ余り意識していない点を今先生に指摘されまして、私も御意見を拝聴しながらなるほどなというふうに今思っているわけでありますが、テレビを含めます私どもマスコミのあり方というのも確かにこれから検討しなければいかぬ部分が相当出てくるのではないかという気がしますね。  ただ、東京からいろいろな機能を分散していきましても、やはり何といいましても東京経済機能文化機能に関しましてはかなり先端を行っている、そういう状況は多分変わらないのだろうと思いますね。そういう状況は続くのではないかと思います。ですから、地方都市魅力づくりの中に文化という点を相当加えていかないとその格差はなかなか埋められないと思うのであります。若い人はやはり東京に職を求めて来る人以外に、今先生がおっしゃったように、東京に行くととにかくおもしろい、おもしろいものがある、何か引かれるものがある、これがかなりあるわけですね。それを抑え切るという部分は非常に難しいものがあるのではないか。ただ、今は東京に来る若者たちにも、ある程度東京を見たら本当はもう地方に帰ってもいいんだけれども、ただ地方に行くと仕事がない、適切な、自分の生きがいになるような仕事がないということでそのまま東京に定住してしまうということでの集中が進んでいるのではないか。ですから、その人たちが例えば二、三年東京にいたら大体見きわめがついて、それで地方に行けば十分自分たちの生きる職場があるということになれば地方に帰っていける、そういう環境ができているとこれほどの集中にはならないのではないかという感じがするのでございます。  しかし、先生がおっしゃるように我々マスコミの取り上げ方、地方のいろいろな生活、文化経済だけではなくてそういうものをもっともっと提供していくということは必要だと思います。私どももそういうふうに努力したいと思います。
  23. 塩谷立

    ○塩谷委員 きょうはありがとうございます。  きょういろいろお話を伺ったこと、我々も今まで大分議論してまいったわけですが、いずれにしても今のお話地方分権を同時に進めていかないととても対応していけないし、まさに時間との勝負ではないか、財源も含めてですが。現在、地方分権については一つ、道州制ということが取り上げられております。東京の一極集中を是正して地方分権ということで、道州の中に地方の拠点をつくることになると思うのですが、この道州制についてどうお考えか。  それともう一点は、現在許認可権とか、行政改革の中でそこら辺をかなり整理していかなければならぬと思うのですが、例えば法律的に、土地問題で今のうちにこういう法律をつくっておけとか、移転を前提として現在できる何か法律的なこととかそういうことがあったら教えていただきたいと思うのです。
  24. 杉田亮毅

    杉田参考人 今、二番目の質問に対するアイデアは今のところ私は持ち合わせておりませんので、ちょっとお話しできないと思いますが、最初の道州制なんですが、この道州制は、これも相当以前から議論されておる問題なんですね。この道州制そのものがいいのか悪いのか、私も勉強不足ですので結論的に言いにくいのですが、しかし、先ほどからの地方分権、こう言っていく場合に、各市町村単位で全部権限をそれぞれ持って、そしてそれぞればらばらにやっていくということになりますと、相当整合性のないいろいろな町づくりみたいなことが行われる可能性がありますね。ですから、やはりある程度広域的にいろいろ物を考えていく、一つの市町村だけではなくて、やはり幾つかの市町村があわせていろいろなものを計画していく、そういうような広域行政考え方というのが地方分権をやる場合にはあわせて必要なような気がします。それがこの道州という形がいいのかどうかというのはちょっと私も今即断できないのでありますけれども、地方分権で、全都市町村が権限を握って、それぞれ好きな計画に従ってやっていくということになりますと、相当いろいろまたぎくしゃくした面も出てくるような、そんな感じがいたします。
  25. 久間章生

    ○久間委員 どうも、きょうはありがとうございます。  先ほどから、許認可権限が東京集中しているために東京に一極集中する気配があるのではないかとおっしゃられたわけですが、確かに日本の場合、地方分権が進んでいないというのはよくわかるわけですけれども、むしろ許認可東京に上がってくるケースが一万件ほどあるのではなくて、ほとんどのケースで東京集中するというのは余りないのではないかな。私自身、役人もやっておったし、地方の議員もやったし、議員もやっておりますから、やはり予算編成を通じて、予算配分とかあるいは何といいますか、どういう形で日本経済が動いているか、政府がどういう方向に行こうとしているかを早く探ろうとする、そういうものが政界、官界あるいは業界を通じて全部東京に来ているのであって、許認可権と本当にリンクして一極集中しているのだろうかという、そういう疑問があるわけですよ。だから、そこのところを本当にそう思われているのかどうか、具体例を挙げて、ちょっとお気づきだったら教えていただきたいと思うのです。  それからもう一つ、地方分権、これも確かに進めなければならないわけですが、日本の場合おくれておるわけですけれども、一方、地方の実態を見ますと、知事に権限が集中してしまった場合に、今でさえ知事のコントロールができない。今はしかし割と国が権限を持っていますから、コントロールが、いわゆる権力がバランスとれているわけですけれども、それでも国会議員をやめて、大臣までやった人が知事になりたがる傾向があるわけですが、知事の場合は三選、四選、五選、八選までやった人もおられるわけですね。そうなってきたときに、この間の山梨の例もそうですけれども、知事を争って、勝つか負けるかによって大騒動するというのは、権限が地方分権された場合に、この多選の問題をやはり頭に置きながらセーブさせないと非常な危険があるのではないかという気がするのです。地方分権の話はよく出るけれども、権限委譲の話は出るけれども、多選の話は最近さっぱりマスコミから話が消えていますので、そういう権力が集中する、アメリカの大統領は集中しているかわりに任期が八年と決まっているわけですね。そういうことについてどう考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  26. 杉田亮毅

    杉田参考人 今、久間先生の方から具体的にどういう権限があるんだということでございますが、多分これはもういろいろな例が挙げられると思いますけれども、すぐやはり私なんかに浮かんでくるのは、例えば運輸省の行政の中には本来地方でもう少し考えてもいいような、例えばバスの路線のストップをどこにするかということまで多分東京で見ていると思います。それから駅につきましても、例えば私ども本当に、私は埼玉県の田舎の方に住んでいるのですけれども、これは全部本省に上がっているのですよ。その駅の入り口をどっちにつけるかとかいうようなことまで運輸省の本省なんです。それは結局本省で見ておりまして、しかも現場には調査に行かないわけでありますから、ただ書類審査でやっておられるというような状況があるわけですね。それで、実際に何年か前に私どもの近くに駅ができたときに、私たち住んでいる住民の方に駅の入り口を、出口をふさいで、片っ方だけしか認可しないみたいな変な決定が出そうだったので、それは後で修正してもらいましたけれども、それは結局もっと現場に近いところで、たまたま埼玉県というのは近いところですからそれでよろしいのですけれども、地方、離れたところになりまして、そういうようなことが多分生活に密接に絡むようなところでも結構あるのではないかという気がするのですね。  それから、先生おっしゃるように、予算と権限というのは密接に絡んでいるわけでありまして、ですから、予算のいろいろな配分をする場合に、箇所づけまでどの程度ごちらで見ているかということがあると思うのですね。相当細かいところまで見ているか、あるいは包括的に、例えば補助金を出す場合に包括的にある程度やって、その包括的な補助金の中でそれぞれ地元で考えてもらうというふうになっているか、それによって大分違ってくるのではないかという気がいたしますね。現在は補助金をまだまだ相当細かいところまで多分東京でやはり決定をしているという状況なんだろうと思います。ですから、先生がおっしゃるように、やはりどうしても東京に来ないと話が通じないということなんだろうと思うのですね。もちろんそういう分野は、これは国が予算権限を握っておる以上は、やはり大なり小なりあると思うのです。  これはアメリカでもどこでも、やはりワシントンにいろいろ情報をとりに、今後どういうふうに政府行政を展開しようかと、情報収集に皆さん来るわけですね。それは、私もさっきから申し上げているように、ある程度あるというのはもうそのとおりだと思うのです。ただ、それが日本の場合には各国のレベルに比べても相当強いのではないかというのが感想でございまして、その点を是正していくということになるのではないか、こういうふうに思うのですけれども。
  27. 久間章生

    ○久間委員 知事の権限の集中について。
  28. 杉田亮毅

    杉田参考人 これは、知事のことは、私もその実態は、多選の問題については、もし地方に権限を移すときには、同時にそれを何らかの形で検討されたらいかがでしょうか。私自身、それはちょっと勉強していない問題なんですけれども、おっしゃるように、地方に権限が移りますと、今度は地方でいろいろな問題が起きるということがもう十分にありますね。ですから、それは地方分権とあわせて、もし必要な事項がありましたら、あわせて政治家先生方が御検討されるということを考えられてはいかがでしょうか。
  29. 久間章生

    ○久間委員 先ほどもちょっとお答えになられたようですけれども、バス停の話なんかにしましても、私も運輸政務次官をしておりましたけれども、数年前に日本新党の細川さんがそれを行革審で言われていたわけですね。ところが、そのときはもう既にそれは全部各県の陸運事務所に権限を移しておるわけですね。それなのに、まことしやかに、そういうバス停一つ動かすのにも全部中央が決めるんだみたいな話になってしまったわけですね。マスコミあたりもそういうものについては事実関係を、やはり報道するときにきちんととらえてもらう必要があるのじゃないかと思うのです。  それと、ほとんど今は関東運輸局で取り上げたのは関東運輸局ですし、九州だったら九州運輸局で、駅のこっちに玄関をつくるか、どっちにつくるかというのまで全部運輸省の本省でやるなんということは常識的にちょっと考えられないので、それは恐らく関東運輸局だと思うのですよ、東京の場合や埼玉だったら。そういうものについて、何か許認可東京にすべてあるみたいにみんなが思っているから、逆にそういうふうに錯覚するのですね、いろいろなことが行われているのではないかと。そういうふうな気がしてならないのですよ。具体的にそういうのはどれだと一々いろいろな機会に聞いてみますと、案外ないのですね。そのために東京に来ているのではなくて、何となく来ている、そんな感じを受けるのですけれども。いや、バス停についてはもうはっきりそういうあれですから。
  30. 杉田亮毅

    杉田参考人 ああ、そうですか。  でも、いかがでしょうか。私の先ほど申し上げた駅の問題は、私自身が実際に体験した話でありますので、運輸省の本省に出かけて話をしたわけでありますから、それは間違いない点なんでありますが、仮に陸運局に話を通す場合にいたしましても、陸運局に対するいろいろな指示は当然本省から出ているわけでありますから、その本省の考え方をどうしても知りたい、こういうことが陸運局に問い合わせたらそれは本省に聞いてくれ、こういう話になるんだと思いますね。ですから、どうしてもやはり東京でコントロールしているという部分は、久間先生、かなりあるんだと私は思いますよ。
  31. 武村正義

    ○武村委員 昔から都を変えるということは、政治が行き詰まって刷新する、あるいは人心を一新する、そういう動機だと言われているのですが、今政治改革の季節ですからあえて言うわけじゃありませんが、今の私どもが言っている政治改革は野党の皆さんに協力いただいて今国会で間違いなく成就すると思っておりますが、そういう選挙制度とか政治資金議論は別として、二十年後に都を変えたときに、当然国会の新しいあり方、場所が移るだけでなしに、国民のそういう期待も当然わいできますし、もう一度その時期には第二段階の政治改革の必要性が出てくると思うんですね。  きのうも委員会議論で、ちょっとこれは余談ですが、小選挙区制にしたって、今のまさに分権ですね、中央集権システムが残っていれば今よりもっと利権というか地盤培養で国会議員が地元のことにせっせとかまける、そういう状況が濃くなるという、野党からそういう批判も出ました。これも一理ある御意見だと思うのです。それで、そういう面でも政治改革と大いに絡まってくるわけですが、その政治の刷新ということと新しい政治の都を新天地につくるということを重ね合わして、その時期の政治の新しい姿、国会の新しい姿にどんなイメージをお持ちでしょうか。  もう一点は、お金のことを大変御心配いただいて、これは大変リアルなテーマだと思うのですが、私は、都を変えるときには、一つの提案ですけれども、土地債券という制度を考えたらどうかと言っているのです。これは、何千ヘクタールの大きい土地が取得されて、造成してインフラの整備から始まりますね。それには十数兆円から二十数兆円の金が要るとしましても、このかなりのインフラのコストを税金でなしに、一定の土地のプランがきちっと決まって大臣が事業認可した時点で、これは官庁部門とか公共部門はもちろん売れませんけれども、民間に売っていい部分が何十%かあると思うのです。その部分は土地債券を事業認可のときに発行する、これは譲渡してよろしいという形で。その資金かなりの経費を賄うという提案を、きょうはちょっと数字を持ってきておりませんが、しているのです。私は、手前みそですが、一定のモデルで計算するとほぼ税金なしでもやれる、そういう絵もかけるのです。だから、これがどうこうということでお尋ねするわけじゃありませんが、道は、財源の乏しいときに税金を工面しなきゃできないというふうに思い詰めなくてもいい、ほかにも知恵はあるのかなと。これは私の感想として申し上げておきます。
  32. 杉田亮毅

    杉田参考人 それじゃ、最初の問題について私も感想を申し上げさせていただきますが、これだけ政治改革、今大議論をされておりますし、確かに、新しい政治行政都市ができる場合には政治に対するイメージも一新していただければ、私どもも国民の一人として非常にうれしいと思うんです。  それは、私がどういう点で一新してほしいと思っているかと申しますと、やはり国会の議員の皆様方の法律立案機能といいますか、あるいは政策立案機能、これをぜひ強化していただきたいという気がするんですね。ただ、そうしますとまた人件費がふえるかなという感じもあるのですが、これは失礼になることを省みないで申し上げますと、本当は国会のリストラといいますか、議員の定数をもう少し減らしていただいて、それで若干人件費その他が浮きますでしょう、それを今度は議員の先生方のスタッフの強化というような形でむしろ先生方の政策立案機能を高める。今は法律がほとんど政府各省庁から出されていると思うのでありますが、どうしても政策の検討が、官僚主導という言葉で私ども呼んでおりますが、官僚の皆さん大変優秀でありますから、官僚の皆さん行政中心になるのはよろしいのですけれども、ただやはり官僚の皆さんではどうしても自分の省の枠を飛び越えられない部分がありまして、そうしますと、日本政治とか経済が国際社会の中でどういうふうに動いていくかということを考えると、役所の枠から飛び越えられないということになると、そのために日本政治あるいは経済政策がおくれていくというようなことも起こり得るわけでありますので、そういうときに国会先生方による立法化、今でも行われておりますけれども、もっと政策立案機能が強化されて官僚の皆さんとある程度対抗できるような、もしそういうような機能ができれば本当はいいんだけれどもと、こういう気持ちが私なんかの気持ちの中にはございます。  それからもう一つは、投票の際、野党の先生方が怒られるかもしれませんけれども、列をなしていろいろなことが行われますよね。もちろんあれは少数党の権利でありますから、そういうことによって国民全体に自分たちはこれに抵抗しているよということを見せる点ではそれなりの意味があると思うのでありますが、しかし多くの国民はあれを見ると情けないなという感じを持っていることも事実なんですね。ですから、せっかくですから、新しい国会を新しいところにおつくりになるときには、日本はエレクトロニクス技術では最先端を行っているわけでありますから、電子技術を駆使した国会運営の場にしていただいて、投票もボタン一つでさっと票が出るとか、そういう非常に効率的といいますかそういうものもお考えになって、きょうは先生方から逆に怒られることを省みずに申し上げると、そういうことも検討の対象にされてはいかがでしょうか。これはまことに無責任な発言で申しわけないと思うのでありますが、強いて申し上げるとそういう感じを抱いておるということでございます。
  33. 金子満広

    ○金子(満)委員 杉田さんはマスコミの第一線で、アメリカでの特派員生活がかなり長いわけですね。
  34. 杉田亮毅

    杉田参考人 三年ぐらいです。
  35. 金子満広

    ○金子(満)委員 それで、首都移転国会移転という場合によく例に出されるのがアメリカの例なんですよ。行政機能はワシントンです、経済機能はニューヨークです、こういうふうにすればうまくいくんですという形でよく議論がされるわけです。日本では行政機能東京集中しておる、経済も同じだ、こういうように一極集中弊害というかゆがみが出てきておる、これを直すのにはまず行政機能を他に移すことです、こう言われるわけですけれども、今アメリカは別になっているわけですね、一応。しかし、ニューヨークが都市問題が解決ついているかというと、ニューヨークの都市の荒廃というのは国際的にも有名ですから、そういう意味で、単純に行政機能経済機能を分離すればめでたしだ、これですっきりいきますというようにならぬと思うのですが、そのニューヨークの状況なんかどうなんですか。
  36. 杉田亮毅

    杉田参考人 おっしゃる点は確かにあると思います。そういうふうに分ければそれじゃもうあとはうまくいくのかということでありますが、ニューヨークの場合にやはり非常に大きな問題点は、これは社会問題が、いろいろひずみがあの都市の中で起きているということだと思うのですね。しかしその大きな原因は、これはまた言い方によってはいろいろ国際的にはね返りがあるのですけれども、私の見るところは、やはりあのアメリカが持っている基本的な社会構造といいますか、特に人種のるつぼでありますし、たくさんのいろいろな国からいろいろな人がいるし、また少数民族と言われる人たちがいる。そこにおける生活格差というものがありまして、それが非常に多くのいろいろな犯罪なり失業者なりを呼んで、都市の荒廃にだんだんつながっていっておる部分がかなり大きいと思います。ですから、日本にその問題をすぐに当てはめるというのはちょっと無理があると思います。ですから、首都機能移転をした場合に東京がニューヨークみたいになってしまうのではないかというのはまた違う次元の問題でありまして、ただ、移転すれば東京の問題はすべて解決するかというとそうではなくて、やはり先生がおっしゃるように、相当東京問題というのをあわせて議論していかないといかぬのではないかと思います。  それから、もう一つつけ加えますと、最近ワシントンも、久しぶりに私行ってみますと集中があるのですね。東京ほどひどくないのですけれども、ワシントンの町から、ダウンタウンからダレス空港に行く高速道路がありますけれども、私がいたころはあの両わきにほとんど何もなくて、企業住宅もなくて本当に緑一面だったのですが、最近行きますと、いろいろな企業がたくさん出てぎて、新しい工業地帯といいますか企業地帯ができてきたのです。それはしかし、調べてみますと、いわゆる重厚長大産業ではなくて、アメリカの科学技術政策に直結するようなシンクタンクとか、それからペンタゴンからいろいろソフトウェアの発注を受けるとか、そういう政府とある程度非常に関係の深い頭脳企業といいますか、ソフトウエアとかシンクタンクとか、そういう絡みの企業が高速道路の周りに進出してきておるということで、やはりこれも、情報をとる上においてワシントンの近くにいた方がいい、こういう判断があるのだろうと思います。  ですから、どうしてもある程度許認可地方相当移転してもそういうことが起こるわけでありまして、それは人間が情報によって動かされている以上はある程度避けられないのだと思います。ですから、新しい場所国会行政が彩られて、ではそこに何にも寄ってこないかというと、それはそういうことは考えられない。ただ、今東京に集まっているような企業集団とはちょっと違う集団かもしれない、こういうことが想定されますね。
  37. 金子満広

    ○金子(満)委員 そういうことで関連して、行政経済を分離すれば片がつくのではなくて、どう調和がとれるようにしていくかを考えるのが政治だと思うのです。東京の一極集中というのはあらゆるところから指摘されていますからそれ自体はなんですが、それを解決する一つの手段として国会等移転があります。ところが、もう一つは、今度は一極集中を加速するように、現在進められている東京湾の臨海部の副都心計画がありますね。総事業費十兆と言われるのです。バブルがはじけてなかなか計画どおりには、おくれているということとの関連で、ここが完成すると十一万人口になるわけですよ。また集中が始まってくる。こういう複雑な点がありますから、そういう点で私は見直しをした方がいい、立てたものは石にかじりついてもやりますという、そういう頑固さでなくて、見直しをして調和のとれたものにしていくということがいいと思いますが、これが一つ。  一度に質問させていただきますが、もう一つは、首都移転という場合に、どこへ行くか、どんな形のものになるか、そして、十四兆という金額は一応目安として出ているわけですね。そうしますと、国会とか行政機関の建物、交通、そして土地、こういうことになりますと、現に二、三の県では誘致運動じゃありませんが始まるわけですよ。これが、時間がかかればかかるほどいろいろ入り組んでくると思うのです。そういう大きい建物というのは、中小企業で、ひとつ地元でやってくれというわけにいかぬわけですよ。これはどうしても大手建設になります。そしてそういう中で、これは公共事業ですから、それから土地も、あそこに行きそうだというようなうわさでも出たらそれで出ちゃうし、法律規制しても、それは裏は裏でいろいろなことがあるわけです。そういうようになってきますと、いろいろ予測しないような不愉快な問題も発生する、そういうものを起こさないような仕掛けをあらかじめつくっておかないとこれは難しいと思うのですが、東京の一極集中、臨海部の問題と今の問題、二つお伺いしたいと思います。
  38. 杉田亮毅

    杉田参考人 これはなかなか難しい質問ですね。私も日ごろそこまで余り考えたことがないような問題を金子先生から指摘されておるわけです。  常識的に考えますと、第一点の臨海造成の問題は、これは率直に言いますと幾つか狂いが出てきているのじゃないかと思うのです。  一つは、景気が非常に最高潮に達しているときに多分考えられた案でございますから、あの当時は都心のオフィスがどこへ行っても非常に足りないということが言われた状況で、そうするとやはり新しい、例えば国際的な機関などを中心に、あるいは新しい情報基地をあそこにつくるとか、あの計画は非常に意欲的で、あのこと自体は非常にすばらしいと私は思っているのです。ただ、あれの実現のテンポということになりますと、情勢が相当変わってきておりますので、そのよしあしとは別に、実現が相当おくれるのではないか。今、都心のビルはがらがらになってきているところが大分出てきておりますので、あそこまで行かなくても都心で十分ビルが借りられるというふうになっておりますし、ビルのオフィスの値段も大分安くなってきているということでありますので、果たしてどの程度テンポで当初の構想どおりいかれるのか、その辺は私もちょっとよくわかりません。ただ、状況が少し違ってきているなという感じは確かにいたします。  ただ、東京を今後整備されていく場合に、先ほどお話ししましたように東京経済都市あるいは文化都市として生きていくためにはある程度町を整理していく、いろいろなオフィスが雑然とあるという状態からもう少し整理されて、例えば都心にもう少し空閑地をつくっていくとかいうようなきちっとした考え方が将来できて、それでその一つの解決手段として臨海地帯を一つのオフィス群として活用していくのだ、こういうはっきりした戦略があってそういうふうにしていかれる、それでそのあいたところをきちっと都市空間をつくるなり、都民の憩いの場をつくるなりというような行政の一つの目標が出てきますと、それはそれなりにまた新しい意味がここに出てくるのじゃないかという感じが私はいたします。  それから第二の質問でございますが、その点は私どもも非常に心配している点なんですよ。どうやって地価高騰といろいろな問題が出てくるのを防ぐのか、率直に言って私どもマスコミも今のところ妙案がありませんので、これはぜひこの委員会議論されて、もし必要であれば予防措置をそこで議論していただきたいと思うのでありますが、率直に言って私どもにはまだ案がありません。ただ、非常に心配していることだけは事実であります。  それから、選定箇所もやはりぎりぎりまで伏せておかれる、それで発表したら直ちに行動に入る、そういうふうにしないと、ある程度先に出ますと、おっしゃるようなスペキュレーションといいますか投機といいますか、そういうものが相当起こるだろう、地価も暴騰するだろうということが想像されますので、その点は私どもも非常に心配している点でございます。  何か答えにならなくて済みません。
  39. 金子満広

    ○金子(満)委員 一言だけ。移転問題について、杉田さんは国民的合意がどうしても必要だ、これはそうだと思うのですね、特に東京の場合は都議会で反対決議もございますから、幾つかの区でもそうですから。議論はうんと尽くしてやっていくことだ、だから疑問に答えるというのは非常に大事なことだと私は思うのです。そういう意味で、マスコミの方でもひとついろいろな角度から御検討してやってほしい、こういうように思います。
  40. 杉田亮毅

    杉田参考人 そうですね。先生の御要請のように、これから私どももこの問題をいろいろな角度から議論し、取り上げ、いろいろな方に論じていただく。これは何も私が賛成であるから賛成論だけということではなくて、反対論の方も登場していただくという形で紙面編集を、恐らく私どもだけではなくて各社の皆さんそうやられると思います。そういう形でのいろいろな議論を、特に今まではマスコミが余り取り上げていないのは、どうせ議論だけだろうというふうにたかをくくっている部分がありまして、若干まだ残っているのですけれども、しかし、今回私まで呼び出されているところを見ると、かなり本腰でやるのかな。私どもの部長会に、委員会の方にお呼びを受けて行くんだという話をしましたらみんなびっくりしていまして、そこまで議論が真剣になってきたのかな、こういう感じを一応受けてはいるわけです。ですから、マスコミも恐らくこれから、皆さんの真剣な感じが伝わると同時にそういうふうな取り組みをしていくんじゃないかというふうに思います。
  41. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私、事務当局に聞きたいことがあるのですが、実は、この国会等移転に関する法律を提案し御可決をいただいたわけですけれども、その際、調査会の運営のあり方について随分委員皆さんから御議論がございました。私、当時提案者だったものですから、各党の理事さんにもお話を申し上げて、今、金子さんから国民合意のお話もあったわけですが、何といってもこれは国民合意が大切だ、そのためにはガラス張りのところで堂々議論をするということがやはり必要ではないのか。したがって、地方制度調査会などは総会は公開でやっておるわけですから、この調査会も、調査会自体が運営規程をお決めになることであるけれども、我々提案者の側としては、できれば調査会は公開でやっていただきたい、そのような規則をつくっていただきたいものだということを各党を代表して申し上げたわけです。ところが、調査会の中ではいろいろ議論があって、どうも公開ということにならなかったようでございます。その点、私は残念だと思いますが、しかし、できる限り調査会の論議の内容を国民皆さん方、に率直に知っていただく、そういう意味で、会合の内容はマスコミの皆さん方にもきちっとお知らせをするということがいいんじゃないかということになったやに承っておるのですが、結局、運営規則はどういうことになったか、国民合意のために、できるだけ調査会の御議論国民皆さん方に知っていただく手だてとしてはどういうことをやることになったか、この点ひとつお知らせをいただきたいと思うのです。
  42. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 ただいま山口委員から大体の御紹介がございましたが、その調査会が一昨日行われましたので、ちょっと繰り返しになる部分もあるかもしれませんが、どういうことになったかということをお話しさせていただきます。  調査会の冒頭に、調査会の運営に関する御意見がありました。そして、調査会は公開、プレスを入れるという意味だと思いますが、公開にしたらどうかという意見がまずありました。それに対して、自由な意見を述べ合う場としては公開はいかがかなという意見もございました。そういう中で、初めの意見もそれに対する反論の意見も、到達するところは、この調査会の目的が、調査会議論が世の中に幅広く伝わり、国民の世論形成に役立つようにということが本旨であるということでは一致したわけで、それを受けて、調査会で決める話ではございますが、調査会長が一任を受けたような形になって、結論としては次回に出るのでしょうが、雰囲気としては、必ずしも公開ではなく、世の中に広く意見が伝わるような、そういう形をぜひよろしくということで終わったような雰囲気でございました。  宇野収委員調査会長になりましたが、調査会の後、プレスに対しては必ず丁寧に細かく説明するということのお話がありまして、そして第一回目も、終わった後、記者クラブに対する説明を調査会長及び会長代理の新井委員のお二方でやって、いただきましたが、その場でも調査会長から、次回以降も必ずこういう形でプレスの方々には対応し、細かく意見の内容について御説明申し上げて対応するという話がございました。  そういうことでございますが、私どもといたしましても、調査会での審議の内容について、具体的に議事録ということについてはいろいろ御批判もあるようでございますから、議論になった主なことについては、はっきりまとめた形で世の中に出せるといいますか、外に出せる形のものは用意したいと思います。そんなことでございます。
  43. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 当時法律案を審議しました経過をできるだけ尊重していただいて、そして今言われたように、できるだけ国民皆さん方に議論の内容が正確に伝わるように事務当局としても努力をいただくようにお願いを申し上げておきます。
  44. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 法案の審議の過程で、山口委員が答弁の立場でもお話しされていましたように、この問題は、ともかく我が国の国民の合意形成、世の中で幅広く御議論いただく、そういうことの一つの場でございますから、今山口委員がおっしゃったような趣旨を体しまして、法案審議の議論を踏まえまして、我々としてはいろいろやっていきたいと思います。
  45. 西田司

    西田委員長 他に御発言はございませんか。——それでは、以上で質疑は終了いたしました。  杉田参考人には、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。  参考人には、御退席いただいて結構でございます。     —————————————
  46. 西田司

    西田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、来る五月十八日及び同月二十七日、それぞれ参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 西田司

    西田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る五月十八日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時三十九分散会