○
田中(健)
政府委員 ただいま
先生から何点か重要な点につきましてお尋ねがございましたので、ちょっと長くなりますが、あわせましてお答えをさせていただきたいと思います。
まず、国立病院・療養所の再編成の基本的な
考え方でございますけれ
ども、御案内のとおり、
我が国の医療機関は、公私立の医療機関が整備
充実されてきた結果、量的にはほぼ確保されてきております。今後は、疾病構造の
変化、医学医術の進歩などによります医療内容の高度化にも対応した、効率的な医療供給体制の整備を図っていく必要があるというふうに
理解をしております。
一方、
昭和二十年の発足以来、
国民医療の確保に大きな
役割を果たしてきました国立病院・療養所につきましては、現在でも重要な
役割を担っておりまして、医療環境の
変化の中で良質で効率的な医療を供給することが期待をされております。
このような
観点から、現在、
厚生省として鋭意進めております病院・療養所の再編成は、行革の一環として、また国立医療機関としてふさわしい
役割を果たしていけるようにするために
実施するものでございます。
再編成計画は、国立で担うべき医療はどうあるべきかということに加えまして、合理化の視点から、先ほど
先生から
お話がございました
昭和六十年三月に閣議報告をいたしました「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」によりまして進めているものでございまして、その基本的な
考え方といたしまして、国立病院・療養所は、ほかの医療機関と
連携しつつ、国立医療機関にふさわしい広域を対象としました高度または専門医療、臨床研究、それから教育研修などの機能を果たしていくこととしたものでございます。
具体的には、統合した方がより機能の強化が図れる施設は統合をいたしまして、診療機能等を総合的に見まして国が直営でやるよりもほかの経営主体が経営するのが適当な施設は、経営移譲を行うということにいたしております。
なお、現在の私
ども国立病院・療養所の定員事情あるいは
財政事情、これから御
説明いたしますが、大変厳しい
状況でございまして、こうした
状況を勘案しますと、すべての国立病院あるいは療養所を
充実強化することは困難な
状況にございますけれ
ども、国立にふさわしい機能を担うための再編成を通じまして生み出されました要員等を必要に応じまして存続すべき施設に重点的に再配置をして、その機能の強化が図られることになる、こういうことでございます。
国立病院・療養所の再編成はこのような
考えに立って進めているものでございまして、ぜひとも御
理解を賜りたいと存じます。
それから、国立病院特別会計の
財政状況でございますけれ
ども、
平成三年度の収支
状況は、経常収入がおよそ五千八百十八億円、それから経常支出はおよそ六千八百二十四億円となっておりまして、収支率は八五・三%でございます。
国立病院・療養所は、通常の診療収入のみでは歳入が確保できない難病、がんあるいは循環器病などの政策医療の
実施や、先ほど申しました臨床研究、それから看護婦の養成等の機能を担っておりまして、これに基づきまして一般会計から繰り入れているところでございます。先ほど
大臣が
お話を申し上げましたけれ
ども、
平成四年度予算で二千四百六億円、それから五年度予算で二千四百八十二億円となっております。それから、一部施設整備につきましては
財政投融資資金からの借入を行っておりまして、その借入残高は
平成四年度末で六千四百九十四億円となってございます。
このように、国立病院特別会計の
財政状況は非常に厳しい
状況にございまして、国立病院・療養所の経営
改善が大きな
課題となっております。
それで、
先生のお尋ねの、この再編成は赤字減らしのために行っているのではないかという点でございますけれ
ども、再編成計画は、さきに申し上げたとおり、国立で担うべき医療はどうあるべきか、こういう基本的な
考え方に立って進めているものでございまして、単に赤字減らしのために行っているものではないということを御
理解をいただきたいと思います。
それから、さらに
先生のお尋ねの再編成のこれまでの進捗
状況でございます。長くなって恐縮でございますが、
説明をさせていただきます。
先ほど
お話を申し上げましたように、具体的なケースにつきましては、
昭和六十一年一月に公表をいたしました全体計画により進めているところでございますけれ
ども、個別ケースにつきましては、従来から地方自治体等地元
関係者と十分話し合いを行いまして、自治体あるいは議会、医師会の
理解を求めながら統合あるいは経営移譲を進めているところでございまして、この点につきましては先ほど
大臣からお答えを申し上げましたとおりでございます。
それで、再編成の進捗
状況でございますが、終了したものが四ケースございます。それから今年度、
平成五年度統合予定のものが四ケース、統合予定で建物等整備中のものが五ケース、その他統合予定のものが一ケース、移譲予定のものが二ケースでございます。
既に終了したもの、四ケースでございますが、一つは、国立療養所阿久根病院を鹿児島県の社団法人出水郡医師会に経営移譲をいたしました。これが
平成元年の十月でございます。
それから、国立柏病院と国立療養所松戸病院を統合いたしまして、先日当
委員会で御視察をいただきました国立がんセンター東病院を設置いたしました。これが
平成四年、昨年の七月でございます。
三番目が、国立田辺病院と国立自浜温泉病院を統合いたしまして、国立南和歌山病院の設置をいたしました。これも
平成四年の七月でございます。
四番目でございますが、組織統合といたしまして、国立精神・神経センターと国立国府台病院の組織統合を
昭和六十二年四月に行いました。
それから、
平成五年度におきまして統合予定のものといたしましては、一番目が国立療養所盛岡病院と国立花巻温泉病院の統合でございます。これをことしの七月に予定しております。
二番目が国立療養所南花巻病院と国立花巻温泉病院の統合で、これもことしの七月の予定でございます。
三番目が国立療養所東栃木病院と国立療養所宇都宮病院の統合でございまして、これが
平成五年、ことしの七月でございます。
四番目に、先ほど
先生から
お話が出ました国立病院医療センターと国立療養所中野病院の統合でございます。統合いたしまして、仮称でございますけれ
ども、国立国際協力医療センターとする予定でございまして、ことしの十月の予定でございます。
それから、統合予定で建物等整備中のものといたしましては、一番目が国立福岡中央病院と国立久留米病院の統合でございまして、
平成六年度を予定いたしております。
二番目に、国立王子病院と国立立川病院の統合でございまして、
平成七年度を予定しております。
三番目に、国立高知病院と国立療養所東高知病院の統合につきましては、現在、統合のため国立高知病院隣接地の土地を取得中でございます。
四番目に、国立津病院と国立療養所静澄病院の統合につきましては、現在、統合のため土地取得中でございます。
五番目に、国立療養所西新潟病院、国立療養所寺泊病院と国立療養所村松病院の統合につきましては、ことしの四月二十二日に基本計画を公表いたしまして、着工に向けて手続を進めているところでございます。
その他、統合のケースで動きのあるものといたしましては、国立療養所東松本病院と国立療養所松本城山病院の統合につきましては、
平成五年三月十九日に、統合
促進と国立療養所松本城山病院の後利用に関する要望が松本市から
厚生省になされておりまして、それを受けまして、新病院の構想について鋭意
検討中でございます。
それから、移譲のケースでございます。
移譲のケースとしましては、京都府の国立福知山病院につきまして、
平成四年十一月に福知山市が市地域医療
審議会を設置いたしまして、
平成五年二月、国立福知山病院の移譲を受けて、市立病院として
充実整備することが適当であるという答申がなされました。ことしの三月議会において市長が、条件が整えば五年度中に移譲を受けることを目途に
関係機関と協議すると答弁いたしておりまして、
厚生省に対しまして、四月十二日に国立福知山病院の移譲に関する要望書が提出されております。
最後でございますが、静岡県の国立疾病院につきまして、
平成三年二月に静岡県知事が経営移譲の前向きの答弁をなされております。今年度から、地元一市五町一村の首長と担当
課長で組織します賀茂地区医療推進協議会の場で、
運営主体を含めて実務的な話し合いを続けることになったと聞いております。
以上、大変時間をかけて御
説明いたしましたが、再編成の計画は着実に推進している、こういうふうに私
どもとしては思っております。