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賀耒政府委員 ただいま、
交通事故が大変ふえておる、ここ数年ふえ続けておるという御
指摘ございまして、その上に、
交通安全運動がマンネリ化しているのではないかという御
指摘でございます。
御
案内のとおり、
交通事故はここ数年ふえ続けております。若干昨年の後半から少しは落ちつきつつありますが、基本的には増勢傾向というのはここ続くのではないだろうかと思います。
それで
交通安全運動、春十日あるいは秋十日、もう昭和二十年代の後半ぐらいから、国の制度としては三十五年ぐらいからかと思いますが、かなりの期間続いておるわけでございます。これは基本的に、やはり国民が春とともに活動すると申しますか、進入学であるとか新たに就職する、あるいはまた新たに季節の変わり目とともに活動するということで、
免許証を取得して活発に活動する、そういう時期に春は設定され、また秋も九月の後半ということで、そろそろ夏のシーズンも終わって国民活動が活発になる、そういう時期に設定されております。
いわゆる
交通安全運動というのは、本来は毎日毎日国民一人一人がみずからのこととして意識して、毎日の
一つの考え方として取り組むべきでございますが、そう年がら年じゅう運動ばかりやっておるわけにもいかないということで、歴史的に定着したものかと思います。しかしながら、マンネリ化しているのではないかという御
指摘は、御
指摘いただくまでもなく、私もここ数年そういうような声を聞いておりまして、いろいろ
努力しなければならぬと思っております。
それで、従来は
交通安全運動というと、小学校の
子供も若い人もお年寄りもということで、
全国民を挙げてということで対象が広かったり、あらゆる
交通安全のテーマが広がっておりましたが、昨年からその要項を見直しまして、若干絞り込んできております。例えば秋ですと、
交通安全運動の重点を高齢者の、特に歩行者というようなことでやろうということで、ポスターも少し変えております。
委員長、ちょっとよろしゅうございますか、パネルを。(写真を示す)あそこの右にございますのは、昨年の秋の
交通安全運動のポスターでございますが、要するに高齢者の皆様方あるいは若い人も含めまして、夜間出歩くときに反射材をつけていただく、要するに
自動車等のライトが光れば人が歩いているということがわかるような、こういうようなことに的を絞って、特に強調してみたりしております。
それともう
一つ、
左側のポスター、これはことしの四月六日からの十日間に、三月から掲示する予定でございますが、従来は
安全運転に心がけようということで、若いタレントの
人たちに
協力をいただいて
シートベルトの着用などを勧めておりましたが、どうもこれでは迫力がないと申しますか、何のために
シートベルトが必要だということがどうもわかりにくいということで、あのポスターは、
平成四年の五月に常磐
自動車道でトンネルの入り口でぶつかって車が完全に転覆したのですが、
シートベルトをしておったために五日間程度のけがで済んだという実際の
事故現場の写真を、いわゆるポスターに活用させていただいたものでございます。
このように、
先生御
指摘のように、何となく
交通安全をやっておるというより、物理的な反射材を活用することによって、歩いていることを本人が目立たせ、車が防衛
運転をするとか、あるいは
シートベルトをしておればこんな大きな
事故でも命が救われるのだ、そういうような、
交通安全運動も抽象的なところからもう少し実践的な、
体験的な、もっと端的な言葉で言うと即物的な、場合によったら衝撃的ないわゆるインパクトを与えるような
方向に変えていった方がいいのではないか。
あるいはまた
交通安全
教育にしましても、ただ抽象的にお説教をしているというのではなくて、実際に危ない車の
運転状況を
体験していただく、あるいは高齢者の方も実際の路上での危険な歩行というものがいかに車側から見たら危険だとか、夜間だと黒っぽい服を着ているとなぜ見えないのか、そういうような、従来の安全
教育をもっと、視聴覚
教育からさらに実践的に切りかえていくような
方向で、いろいろと試みているところでございます。
しかしこれは、御
案内のとおり、中央官庁である一省庁がやれるだけのものでございませんで、
関係省庁の御
協力、また
関係団体の御
協力、また民間のいろいろな御
協力をいただくとともに、これはまだまだ熟しておりませんので、地方の自治体の方、地方の団体の方、市町村、町内会、そういう方々まで、長年続いておるものを現代の
車社会にふさわしいように、安全運動の手法を徐々に工夫していく必要があると考え、そのように
努力する所存でございます。
いずれにいたしましても、諸
先生方の御支援、またマスコミを初めとする国民に訴えるマスメディアの
協力とか、いろいろな従来の手法から大いに
努力し、我々も反省
検討をし、前向きに
努力する必要があるかと思います。何とぞよろしく御
指導のほどをお願いいたしたいと思います。
以上でございます。