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1993-04-09 第126回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年四月九日(金曜日)     午前九時五十一分開議 出席委員   委員長 野中 広務君    理事 大野 功統君 理事 金子原二郎君    理事 久野統一郎君 理事 杉山 憲夫君    理事 野田  実君 理事 石井  智君    理事 山内  弘君 理事 平田 米男君       植竹 繁雄君    大石 正光君       金子 一義君    金子徳之介君       川崎 二郎君    木村 守男君       塩谷  立君    萩山 教嚴君       光武  顕君    谷津 義男君       山本 有二君    木間  章君       貴志 八郎君    渋沢 利久君       渋谷  修君    仙谷 由人君       松本  龍君    薮仲 義彦君       吉井 光照君    辻  第一君       米沢  隆君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中村喜四郎君  出席政府委員         建設政務次官  東   力君         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設大臣官房審 村瀬 興一君         議官         建設省建設経済 伴   襄君         局長         建設省都市局長 鹿島 尚武君         建設省道路局長 藤井 治芳君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局官房総務 中出 孝典君         誤審決訟務室長         公正取引委員会         事務局審査部管 上杉 秋則君         理企画課長         参  考  人         (阪神高速道路 大堀太千男君         公団理事長)         参  考  人         (阪神高速道路 福本 英三君         公団理事)         建設委員会調査 杉本 康人君         室長     ————————————— 委員の異動 四月九日  辞任         補欠選任   木間  章君     仙谷 由人君   伏木 和雄君     吉井 光照君 同日  辞任         補欠選任   仙谷 由人君     木間  章君   吉井 光照君     伏木 和雄君     ————————————— 四月九日  流通業務市街地整備に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第五四号)(参議院送  付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  阪神高速道路公団法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二二号)  土地区画整理法及び都市開発資金貸付付に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  一四号)      ————◇—————
  2. 野中広務

    野中委員長 これより会議を開きます。  内閣提出阪神高速道路公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として阪神高速道路公団理事長大堰太子男君及び同理事福本英三君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野中広務

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 野中広務

    野中委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。貴志八郎君。
  5. 貴志八郎

    貴志委員 まず、阪神高速道路公団質問をいたします。  この阪神高速道路公団ができたころは、ちょうど特殊法人設立のラッシュと申しましょうか、そういう時期でありまして、地方でも公社の設立などどんどん行われた時期であります。その当時の公団設立趣旨が、設立後既に三十年以上経過した今日、今なお生かされているかどうかということになると、これから質問申し上げる内容からいって、どうもかなり見直さなければならぬ部分があるのではないか、そういうふうに思われるのでありますけれども公団として、設立三十年以上経過した今日、そういった設立当初の趣旨、目的などから考えて、特に検討を要すると思われる点があるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  6. 大堀太千男

    大堀参考人 お答えをいたします。  阪神高速道路公団昭和三十七年に発足をいたしまして、昨年、創立三十年の節目の年を迎えました。現在供用しております延長が百五十七・九キロメートルということで、一日の交通量も八十二万台から三万台ということで、関西地区阪神地区における交通量の大きな部分を担当しておるわけでありまして、地元の方々の経済あるいは各方面の活躍において大きな役割と期待を寄せられているものと考えておるのであります。  阪神高速道路公団は、さらに関西地区における大きなプロジェクトの進行もございますし、その社会的な基盤であります道路、特に都市高速道路建設管理に寄せられる期待というものも大きなものがあろうと思いますが、最近における都市環境の問題、景観の問題あるいは渋滞の問題、いろいろな課題を抱えておりますので、その課題を解決すべく、現在鋭意努力をしておるところでありまして、創立のときの精神を忘れずに、役職員頑張っていきたいと考えておるところでございます。
  7. 貴志八郎

    貴志委員 ところで、現在阪神道路公団に累積する赤字と申しますか、とにかく債務トータルがかなりふえ続けているのではないかと思うのです。その合計が、私がちょっと拝見したところ一兆円を超すようにも思うのですが、売り上げから見ますと、果たしてこの債務を返済していくことができるようなことになっておるのかどうか。まず、経営内容と見通し、それに対する解決策、そういったものについてお示しをいただきたいと思います。
  8. 福本英三

    福本参考人 お答え申し上げます。  阪神高速道路債務先生がおっしゃいました一兆円何がしというお金でございますが、二つございまして、いわゆる供用をしました後の債務と現在建設中のものに係る投資額債務というもの、二つあるわけでございます。  そこで、まず供用中のものにつきましては、私どもといたしましては、業務収入等の収益と管理費等の費用の差というものを償還準備金ということで毎年繰り入れておりまして、それがいわゆる利益というようなことにもなりますが、それが全体では、三年度末では百七十億円というようなことになっておるわけでございます。営業中全体の累計で見ますと、路線の道路資産といいますかそういうものに対しましては、いわゆる債務というものは一兆五千億ばかりになるわけでございますが、その償還準備金との差額といいますか、そういうものをどんどん積んでいっておるわけでございまして、そういうものの償還というものは、ほぼ償還計画に沿った格好でできておるわけでございます。そして、そういうものの残りの利益のようなものが百七十億円ぐらい出ておるというようなことでございまして、そういう意味では、供用中のものにつきましては、大体計画どおり償還しておるということでございます。  それから、建設中のものがなお一兆円ばかりの債務がございますが、これは、後ほどそういうことで供用いたしますと、毎年の料金収入から償還していくということになっておりますので、それも今後そういう償還にかかっていって、そして、毎年そういう償還をしていくというようなことになっております。したがいまして、今先生が一兆円を超えるような債務というようなことでおっしゃいましたが、私どもといたしましては、そういう債務につきましては、そういう長期的な料金収入でもって十分償還していけるものだと考えておるわけでございます。
  9. 貴志八郎

    貴志委員 それでは、この間公団役員名簿をちょうだいいたしまして、ついでに建設省関係する特殊法人役員名簿、その旧識なども含めて資料をちょうだいいたしました。阪神公団だけを申しますと、その役員の全員が国から、建設省から二名、警察庁から二名、それから関係府県ということで兵庫、大阪でしたかから合わせて三名というふうな形であります。よそは多かれ少なかれほぼ同様でありまして、他の公団ではプロパー職員ども役員に就任をいたしておりますけれども、この阪神公団に関する限り、プロパー職員はだれ一人役員にも入っていないという形であります。  これから後で御質問申し上げるような中身の問題、運営等の絡みから申しましても、プロパー職員役員になれないというふうなことはその公団活性化につながらない、つながっていかないというふうに受け取るわけでございますが、役員がそういうふうに天下りだけによって占められておるというふうなことに対して、これは公団にそのことを聞くよりも、むしろ建設省、せっかく政務次官がお越しになっていただいておりますので、そういった問題について、もっとプロパーの人間を生かしたりするということを考えたり、あるいは建設省関係省庁天下り、本当に天下り機関というふうなことになっておることについて、どういうふうにお考えになっておるのだろうか、その辺について明らかにしていただきたいと思います。
  10. 東力

    東政府委員 公団の大事につきましては、適正な人事が行われていると承知しておりますけれども、特に国家公務員につきましてお答えいたしたいと思います。  公団業務の円滑な遂行を図るためには、国家公務員の専門的な知識経験、さらには国や関係地方公共団体業務との関係も勘案いたしまして、団体役員への国家公務員関係地方公共団体職員からの登用が必要であると考えている次第でございます。
  11. 貴志八郎

    貴志委員 そう紋切り型に言われると、質問する方でもちょっと味がないわけでございますが、いずれにしても、プロパー職員登用されないという現状は、これはやはり考えていかぬとだめだと思うのですね。他の公団では、やはり少なくとも役員の何割かは、十人おれは二人、三人、みんな役員にしているわけなんです。ここだけがなぜかないというふうなことは、それでなくても今の官界からの転出で、時間をもうこのことだけでとるのは余りあれですが、言いませんけれども、例えば退職金なんかでも公務員の場合は一カ年単位で本俸の何%を掛けるとかいうふうなことで計算されるのです。この公団の場合は、退職金規程を見ますと月額の三六%、一カ月ごとに加算されるような仕組みになっているのですね。  それは、例えていいますと、理事長報酬が、今手元にありませんが、約百四十万円の月額報酬であったと思うのです。そういう点で計算いたしますと、もう五年もおれば一生働いた分の退職金と同じ額のものを手に入れることができるというふうなことになっておる、そういうところへ、いかに知識があろうが経験があろうが、プロパー役員はそこは遮断をしてしまう。そして、そこへ天下った者はそれだけの優遇をされるというふうな、そういうことになっていることにメスを加えるという気持ちにならないと、今のいわゆる建設マネーなどと呼ばれておるさまざまな問題を解決していこうというトータルでの姿勢が見えてこない、私はそういうふうに思うのです。  そういうふうな問題を含めて、さてこれは一遍公団——官房の方でお答えをいただけるのですか、ではお願いします。
  12. 望月薫雄

    望月(薫)政府委員 ただいま先生の方から公団役員の給与あるいは退職金をめぐっての御意見を承りました。あるいは、いろいろ見方があろうかと存じますけれども、私ども考え方としましては、公団の持っておる職責、使命の大きさ、またそれを本当に指揮管理する役員責任の重さ、こういったこと等から考え。ますと、妥当なものと、こういうふうに考えさせていただいておるところでございます。  そこで、しばしば先生から御指摘いただきますような、いわゆるプロパー職員の処遇の問題、この関係でございますけれども、もう言うまでもありませんけれども、私ども建設関係公団、具体的には道路系公団あるいは住宅都市整備公団などにつきましては、もう言うまでもありませんけれども道路建設であり住宅の供給、大変公共性の高い仕事に携わっていていただいておる、そういう意味では行政一体、不即不離の仕事をやっていただいておる、こういう側面がございます。  また、そういったことをやるためには専門的な知識が必要であるということは、先ほど政務次官から御答弁しましたが、あわせて、やはり地元地方公共団体等関係方面との調整業務というものが非常に重くなってきている、また、本来重いものである、こういったこと等から考えますと、やはりその公団、それぞれの発生、歴史経緯等を踏まえますと、適材が育っているかどうかということが大変重要なポイントになろうかと思っております。  それで、現在、私ども関係公団で申しますと、道路系公団住宅公団あるいは金融公庫まで含めますと、大体二割くらいの者がいわゆるプロパー登用として役員になっておりますが、御指摘のとおり、阪神高速道路公団については、現在のところ、まだ国あるいは公共団体からの役員でございます。これはもう御案内のとおり、昭和三十七年に設立されてまだ歴史も浅い、こういったような経過がございます。私どもとしては、そういった意味で、阪神公団については、いわゆる公団採用職員役員登用をまだした例はございませんけれども、いずれにしましても、今後とも、役員の大事については適材をもって適所に充てる、こういう基本方針で貫いてまいりたいと考えているところでございます。
  13. 貴志八郎

    貴志委員 目線が違うと思うのですね。その仕事は重要であり、大変な責任があるということは認めますけれども、庶民というか国民目線で物を見ると、これはそういうふうに簡単な言い方で事が済んでしまうようなものではないということだけはしっかりとわかってもらわなければならぬと思うのです。  それで、この公団が三十七年にできてまだ日が浅いというが、そのときに三十歳の人は既に三十年たてば六十歳になっているわけなんです。一体幾つになったら役員にならしてくれるのか、そういうことになるわけですよね。やはり物事は国民目線で物を見て、そして、これは少し行き過ぎているとか、これはもう少し現場の者を大切にしなければならぬとかいうふうなことがなければならないということだけは強く言っておきます。  次に移りますが、公団発注方針について、これは国あるいは地方公共団体が行っておるような発注方式と同じかどうか、まずお尋ねをします。
  14. 福本英三

    福本参考人 お答えいたします。  私ども公団発注に当たりましては、やはり国とか地方公共団体と同じように、原則指名競争入札という格好でやっておるわけでございます。その指名競争入札やり方につきまして御説明させていただきますと、工事完成に必要な技術力等、いわゆる施工能力のある業者を選定するということが重要なことと思ってやっておるわけでございますが、その個々発注に当たりましては、あらかじめ登録された業者の中から指名基準に従い、適正に指名を行っているところでございます。  この場合には、原則として、発注する工事契約予定金額に応じて定められたランクに属する登録業者の中から指名することとしておりますし、また、当該年度における指名及び受注の状況を勘案しまして、指名が特定の業者に偏らないような指名というようなことでやっておるわけでございます。
  15. 貴志八郎

    貴志委員 その指名のあり方なり、ランクづけなり、入札方法なりについて、また建設省に対しても質問がありますから、ここではその中で、では、落札をして工事をするわけでありますけれども、そのときに立てられる設計予定価格でございますが、予定価格というものは設計金額に基づいてはじき出されると私は思うのです。この場合、阪神高速道路公団設計一体、全部阪神高速道路公団が自前で、インハウスでやっておるのかどうかということです。それをひとつお答えいただきたいと思います。
  16. 福本英三

    福本参考人 私ども公団工事の実施に当たりましては、計画立案段階から設計積算施工及び管理まで一貫して公団職員責任を持って実施してきておるわけでございます。  ただ、設計段階におきましては、補助的な業務、例えば、図面の作成とか数量の算出などは建設コンサルタントに外注しておるわけでございます。
  17. 貴志八郎

    貴志委員 その場合に、外注した設計コンサルタントが、後日指名入札をする場合の業者系列下にあるコンサルタントという場合も時にはあり得ると思いますが、それはいかがですか。
  18. 福本英三

    福本参考人 お答えいたします。  先ほど建設コンサルタント設計の補助的な業務を外注するということを申し上げましたが、そういう設計に基づきました施工方法、いわゆる積算につきましては、これは公団独自で行っておるわけでございます。設計に基づきます施工法とか工期とか仮設備、現場条件、そういうものを実際に考慮しながらいわゆるお金の入ったもの、これを私ども積算と言っておりますが、そういうものをやるわけでございますが、それにつきましては、全部公団が独自でやっておる。したがって、いわゆる予定価格にかかわってくるようなものにつきましては、全く公団が独自でやっておるということでございます。
  19. 貴志八郎

    貴志委員 会計検査院会計検査報告書があるわけですが、これには阪神高速道路公団指摘されている部分がかなりあるわけでございます。例えば今手元に持っているものでいいますと、「高速道路高架下巡視等に係る委託業務費積算について」ということで、これも入札に付した上でやっているのではないかと思うわけですが、これでいいますと、「積算額を四千三百万円低減できた。」こうあるのですね。これは一例にすぎないのですが、ほかにもあるのですが、こういう指摘を受けるような基礎計算しかできないような組織になっているのと違うか。どこに欠陥があるからこういうことになったとお考えなのですか。ぜひお答えください。
  20. 福本英三

    福本参考人 私ども工事その他の業務につきましては毎年会計検査院から検査を受けまして、それに対応しておるわけでございます。検査院指摘では毎年一、二件、幾つかのことが指摘されるわけでございます。  先ほど先生お話高架下管理に関する問題につきましても、昨年の検査院でそういう指摘を受けたわけでございます。  ただ、高架下管理の問題につきまして申し上げますと、積算をする基準につきまして、私どものやってきたやり方が、ある面から見ると少し問題があるのではないかというような御指摘も受けまして、私ども、そういう基準の問題を改めて精査した結果、必ずしもおかしいといいますか、もうけ過ぎといいますか、払い過ぎといいますか、そういう点はないとは思っておりますが、見方によりましては、そういう基準の問題も見直すところがあるのではないかというようなことも考えて、その点につきましては今後見直すというようなこともやっております。  したがって、先生指摘のように、非常にたくさん検査院でそういう工事やり方そのものがおかしいという御指摘を受けるやに伺いますが、そういう点はございませんで、私どもは、工事の執行に当たりましては、事業の公共性にかんがみまして適正に、厳正にやるよう心がけておるわけでございます。また、そういう検査院の御指摘も受けながら、業務の改善に今後努めていきたいと考えておるわけでございます。
  21. 貴志八郎

    貴志委員 このことを深追いはしませんけれども、いずれにしても、諸経費率を二六%及び三一%で積算をすれば四千三百万円低減できた。その後、公団は改めて、指摘どおりのことをやっているというわけですね。  では、その前に毎年同じようなことを繰り返してきておれば、会計検査院によれば、それだけのむだ遣いがあったということを指摘されているわけです。物の見方によっては検査院の言うとおりになるでしょうというふうな取り上げ方では、公団が厳しい姿勢でやっているとは言えないのではないかというふうに思いますから、その辺のところを、これからも十分注意してやってもらわなければならぬと思います。  ほかにも公団関係についてお伺いをしていきたいわけでございますが、いろいろと案件がございますので、次に進みます。  一昨日、それから三月二十五日、本委員会で、特に公共工事に係る不正問題について、その原因をなしておるのは談合問題であり、あるいは談合の誘発剤となっている指名競争入札制度欠陥についてかなりの指摘があり、明確になったとは言えませんけれども、ある程度輪郭が浮かんできたように思うわけであります。  そこで、問題は、何がそのガンであり、何が病巣かということにあると思います。今日までの委員会審査の中で、建設省当局競争入札に対する答申を踏まえて、技術提案などを加味して改定をしていくというふうにお答えになっておりますけれども基本部分になっている指名競争入札制という、指名という肝心の項目、これはいわば権限でありますが、これに制限を加えたり監視をしたりするということをやらないで、また、非公開という秘密のベールの部分にも手を触れないというふうに、今日までの審議の中では、改正について、現行やっておることの問題点について、しっかりと手を加えていこうという姿勢がもう一つ見えなかったように思うわけです。その部分こそが病巣であり、日本の公共投資がガラス張りで公正になるためには、その部分に手を加えなければならないわけであります。  そこで、私は幾つかの質問をしながら、現在行われておる指名競争入札が、このまま続けてなお問題をつくっていくのではないかという心配をいたしますので、その点について、問題点を絞りながら質問をしてみたいと思います。  そこで、システム運営上の問題、特に地方にもいろいろ問題があるようでありまして、そういったことについての行政指導をどうするかということを含めて質問をしていきたいと思います。  まず、現在、指名競争入札をするわけですが、その前提としてランクづけ、格付というものが行われております。この格付は国でも地方でも行っておるわけですし、先ほどの阪神道路公団でも行っておるわけですが、この格付審査するのは、審査に当たって資料となるのは提出された書類審査だけでありましで、その書類審査によって格付をしていく、そして格付けされたものが非公開である、これを公開をすることができない根拠は一体どこにあるのか。それから格付書類審査だけできちんとした格付ができておるのか、そういうことについで、まずお答えをいただきたい。
  22. 望月薫雄

    望月(薫)政府委員 御指摘のように、現在指名競争入札制度をとっている際に、その基本的なシステムとして格付ということをやらしていただいております。この格付についての私ども事務の取り扱いは、これは公開されていることでございますけれども地方支分部局工事請負業者選定事務処理要領というものを定めておりまして、その基準を公開きしていただいております。言うなれば、公開された基準に基づいて私どもの作業がなされておるということが基本でございます。  具体的には、個々の企業の技術力あるいは経営力を評価するための年間平均完成工事高あるいは自己資本額職員数経営状況工事成績あるいは安全成績などなどの要素を所定の計算式でもって点数で総合的に評価する、こういうやり方をとらしていただいております。特に、今申しました幾つかの項目のうちの完工高だとか資本額だとか職員数経営状況、こういったものについては、いわば客観的要素ということで全く機械的に処理をさしていただく、加えて工事成績あるいは安全管理、こういったことについてはいささか主観的といいましょうか、いささかという言葉もいい意味で申し上げていますけれども、主観的な要素という側面が強うございますので、そういった主観的、客観的両方要素を複合してやっておりますが、客観的要素が大体総合評価の八割くらいのウエート主観的評価が二割くらいのウエートというふうに基準を持った上でやらしていただいております。  この結果、格付というものが出てまいるわけでございますが、一言言わせていただきますと、非常にそういう意味では客観的に作業をやらしていただいておるということを申し上げたいわけでございます。そういった結果、決定された業者のランク、これは当然のようにそれぞれの業者に、いわば競争参加資格認定通知書という格好個々業者には通知さしていただくということになっております。  さて、今先生おっしゃったこれを公表したらどうかということでございますけれども、これは今申しましたような経過からすると、企業の技術力あるいは経営力、こういったものを総合評価した結果がこのいわばランクであるわけでございます。そういったランクを公開するということになりますと、業者の競争上の地位を害するおそれがあるというふうな懸念が一般的に持たれておるところでございまして、私ども、そういう点でそれは非公開、こういうふうにさしていただいておるところでございます。
  23. 貴志八郎

    貴志委員 問題は、あれ、なぜあの人があのクラスだのに私はこういうところにおるんだろうかという、そういうこともいろいろあるわけですし、この公開にしないというところが政治家が介在をする一つの部分、陰の部分となっておるということも先刻御承知のとおりだと思うんです。まあランクが下のCの者がAクラスの指名の仲間入りは絶対できない、Bの上の場合にはそういうこともあるかもしれませんけれども、とにかくそのランクづけというのがまず仕事指名をされるためには一つの大きな関所である、ハードルであるということはだれでもわかっておることです。  この部分の透明性をどうするかということ、あるいはその政治家のみならず官僚の先輩やとか、そういう関連のところからの働きかけによって、ランクづけなどについてもただ単なる計算だけでは済まない。点数についても、例えば技術力の大きなところは、もう一定基準以上の大きなところは別でありますけれども、小さなところではコンピューター処理をしないといろいろ問題を起こすようなことがたくさんあるんじゃないかなというふうなことも思われるわけです。そういったことを、まあ事務的にもいわゆる書類審査だけであるというそういう方法と、それから、このランクづけに対して政治家たちも介入できるようなことになっているというふうなことについての防止策というものを考えておかなければ、その問題をやっぱり引きずったままになるということをこの場合はまず指摘をいたしまして、次に指名の問題について申し上げてみたいと思います。  我々が耳にしたりいろんな資料によってわかりますことは、この指名競争入札指名に入るか入らないかということがもう極めて重要な問題になってくるわけでありまして、その限りにおいては、指名から漏れないような、また不利益な扱いをされないようにするためにいろいろな働きかけが必要になってくる、こういうことが今回の不正献金問題に、どうやらこの部分に問題の中心があるように思われるわけです。  そこで具体的に、まあ事務的に見ますと、指名をするときに担当者が原案をつくり、それをずっと上げていって最後には指名委員会とかそういうふうなところにかけられていくわけでございますけれども、すんなりと係で単純に決めたものが上まで行って決まる場合と、そうではなしに、上まで行くまでの間に何遍も差し戻しをされて戻ってくる場合といろいろなケースがあるというんですね、それは、だれかから働きかけがあって事務的な面だけでは見られないということで、場合によっては、指名業者が当初予定していた業者よりもかなりたくさんふえていくという場合だってあり得る。  そういうふうな経路をみてまいりますと、この部分の問題を透明化をさせておかないと、どこかではっきりさせておかないと、これは、いつまでたってもこの温床はなくならぬ、こう思うわけでありますけれども、この間うちからの論議を聞いておっても、どうやらこの指名競争入札指名をするという権限については、いささかも建設省当局もこれに対して、さっきの技術の問題は加味するということは別にいたしまして、指名をするという権限の問題については、これはもう何らかのチェック機関を設けるとか、もう一つ透明性を上げるとか、そういうふうなことについて、今具体的な考え方を持っているのかいないのか、ぜひ聞きたいと思います。
  24. 望月薫雄

    望月(薫)政府委員 先生の今るるおっしゃられたことについて、私も全体的なお話として、ああそういう見方というものが今日なされているのかなという感じを持ちながら伺ったところでございますが、何分ともこの指名入札制度というのが、私も、制度としてどういうシステムを持っているか、あわせて、これをどのようにこの発注者が運用するか、この両面から今先生がおっしゃったような御疑念を生むのか生まないのか、こういったことにかかわってくる基本的な問題があるんじゃないか、まずこんな感想を持つわけでございます。そういった中で、私、今この立場で自信を持って御答弁させていただくのは、やはり建設省の直轄の発注のこと、こういうことにならざるを得ないわけでございまして、端的に言いまして、公共団体等の発注については、私がここで明快なことを申し上げることは、立場上できない性質であるということをまず前提として御理解いただければと存じます。  私ども建設省やり方については、もう今までこういう機会等を通じてるる申し上げさせていただいておりますが、繰り返しませんけれども、先ほどのお話のようないわゆるランクづけ、こういったものを基本にしながら、個々指名に当たってどのような業者を十社以上どう指名するか、これについては指名基準というものをもって行わせていただいております。  その指名基準も、内容は省略させていただきますけれども、ここをめぐっていろいろとまだ透明性を高めるべきであるというふうな御指摘等も中建審初めいただいているところでございまして、私どもとしては、そういったことの努力は当然させていただくということで、現在全省を挙げた組織的な検討に取り組んでいるわけでございますが、何分とも、これを運用するに当たって必要なのは、今先生がおっしゃった本当にこれが恣意的に流れないようにということであろうと存じます。  建設省の場合で申しますと、指名審査委員会、こういった合議制機関を持ちまして、お互いにみんな役人の世界でございますので、本当に真摯なる審査、検討を行った上で適正な指名を行わせていただいている、こういった経過でございます。言いかえれば、その間において他からの圧力等々については、それによって指名行為がゆがめられることは決してない、こういったことをこの場で申し上げさせていただきたいと存じます。
  25. 貴志八郎

    貴志委員 答弁によりますと、いささかも問題がないように御答弁をされておりますけれども、結果は、いろいろ問題を起こした舞台となっているわけですから、その部分については、今のような、今までやってきたことが正しいからこれからもそれでいいのだということではない。これはやはり一般公開競争入札というアメリカ並みのやり方にするのか、あるいは、まあ日本の国内でも、例えば愛知県の岡崎市ですか、制限つきの形ではありますけれども、そういう方向に踏み切ってやっているわけですが、問題は、国民の税金を使うわけですから、いささかの問題が起こるようなことがあってもいけないという立場を、ぜひ踏まえておいてもらわなければならぬわけです。  そこで、あわせて聞いてまいりますが、先ほど公団の方でも少し触れましたが、予定価格であります。問題は、この予定価格は上限で、最低制限価格というのがあるわけでありますが、この予定価格設計額の積算からはじいたものであるということでありますけれども、この決め方に大変問題があるのではないか。それで、この予定価格の金額によって、これはもうける仕事、これは赤字覚悟の仕事、こういうことになってくるわけですね。赤字覚悟のものを受け取った企業体は、いずれかの機会にそれを埋め合わす、そういうふうなことができるということになっておると業界では言われでいるわけなんです。  それで、問題は、この予定価格の算出が公正であり間違いはないと言っているけれども、実は、時々、再々間違いをしているのではないか。  これまた会計検査院指摘によりますと、これは古いのですが、一九七七年から八一年までの公共工事、要するにサンプルだけを見ましても百億円過大積算部分があったというのですね。業界の皆さんに聞いてみますと、過大な分もあるし少ないものもあるのだ、過小なものもある、そういうふうな数字のはじき方をするほど、私のところは設計積算も全部適切にやっておりますと言うけれども、そんな人間の確保ができているのかどうかということを含めて、建設省の中に大変問題があると思うのでありますが、補助金を出したところの出し方がおかしいとか過大積算の問題だとか、そういう問題がもう毎年のようにどんどん出ているわけですけれども、そういうことについての見解をひとつ求めてみたいと思います。
  26. 望月薫雄

    望月(薫)政府委員 先生指摘のとおり、毎年建設省所管の公共事業をめぐりまして、ということは、具体的には直轄事業のみならず補助事業も含めての話でございますけれども、おっしゃったような、設計が適切でない、あるいは積算が適切でないというような御指摘会計検査院からいただいておることをまことに申しわけないと存じます。私ども積算システム、ルール、これについてはしっかりしたものを持っている前提に立っておりますが、やはり現場設計業務なり積算業務に当たる職員の、まあ言ってしまえば不注意等々によりましてこういったことが起こっておるという次第でございまして、まことに残念でございます。いずれにしましても、こういったことについては、とにかく一件でも二件でも少なくする、なくする、こういった方向で、私どもみずからはもちろんでございますが、公共団体に対する指導も強めている今日でございます。  それで、問題は、こういった業務を行う職員の問題を今先生お触れいただきました。おっしゃるとおり、私ども設計業務発注業務等々は、いずれもいわゆるエンジニアリングインハウスでやらせていただいておりますので、ここが狂うようでは公共事業に対する信頼の根幹に触れる部分になってしまう、こういうふうな重要な部分であると確信いたします。そういった中で私どもは、職員の確保、同時に質の向上、こういうことについては日々怠りなくこれからも頑張らせていただきたい、かように考えているところです。
  27. 貴志八郎

    貴志委員 追いかけて言いますと、二重払いや工事設計ミス、悪質な補助金のむだ遣い、具体的には建設省の下水道終末処理場に関するもの、そういったものでむだ遣いは総額で六十四億三千五百万円に上っておる、これは一九八〇年から八九年の会計検査の中身であります。これはインハウスでちゃんと設計から積算から全部やっていると言うけれども、この部分がいかにずさんであるか。要するに、予定金額の立て方そのものが極めて問題がある。だから、それをいろいろな形で聞き出そうとしたりというふうなことも問題を起こす温床になっておる。この部分をどうやってきっちりしていくかということについて、これも今までの体制の中で、今までのシステムの中で繰り返したって到底よくはならぬと思われます。  そこで、追いかけて申しますが、問題は建設省の人間です。私の手元に参りました表によりますと、予算は昭和五十八年から平成四年までの間に二倍弱に膨れ上がっています。これは公共投資関係でふえたわけでありますが。人員は逆に一〇%以上減っているわけです。予算が約二倍になって人員は逆に一割減っている。こういうことで果たして公正な運営ができるのだろうかということでございますね。さっきも公団でも、これはインハウスで、そんなことはやっていませんと言うが、実際にはいろいろな、設計のみならず、監督だとか後の検査だとかそんなところに十分手が回っておるとお考えなのでしょうか。その辺についてどういうふうに見ておるのか、聞きたいと思います。
  28. 望月薫雄

    望月(薫)政府委員 お説のとおり、建設省業務というのは国民の本当に強い期待の中で私ども年々、いわゆる事業量の拡大が図られてまいっております。  同時にまた、その仕事内容というものは、地元協議の関係あるいは環境調査などなど、非常に質的な面でも高度なもの、複雑なものが求められておる、こういった状況にあることでございますが、一方では、今お話しのように、昭和四十三年度から始まりました累次にわたります定員消滅、政府として取り組んでいる消滅計画の中で、毎年毎年定員が減ってまいっております。現在は八次定削が実行されておりますが、私どもの役所、やはり毎年毎年二百四十数名の者を定数として削減しなければならぬ、こういう状況にございます。  しかし、今御指摘のように、私どもが預かっている大変大事な仕事というものを的確にやっていくためには、設計なり測量なり調査なり、あるいはまた、関係方面との協議なり用地買収、工事監督あるいは安全管理、しかも、でき上がった施設の適正管理、サービスの供給、こういったこと等々をしっかりとやっていくためには、その必要な要員というものがぜひ必要でございまして、私どもも、厳しい定員削減計画が実行されておる中ではございますけれども、平成五年度は百十四名という定員の増を回らせていただきました。  片方で、しかし削減計画がかかっていて削減されるということで、ネットでは減っているわけでございますが、私ども、いずれにしましても、本当にこの仕事をしっかりとやり、また、今先生指摘のような問題についての御疑念が生まれないように、今二万四千職員が本当に一生懸命頑張らせていただいております。  しかし、今後のことを考えますと、今の点も含めまして、私どもとしては、今後の要員確保というものが本当に大事だな、こう思います。と同時に、やはり私ども業務の執行についても、まだ合理化すべき点が少なくない、あるいはあるかもしらぬ。こういった観点から、業務の合理化、簡素化、こういったこともし、あるいはまた、部分的には、補助的な業務については外部に委託するというようなことも知恵を駆使させていただいておりますが、ともあれ私どもは、今先生の御指摘のようなことも頭に置きながら、今後の執行体制の充実、あるいはまた、職員の資質の向上ということについては頑張らせていただきたい、かように考えておるところです。
  29. 貴志八郎

    貴志委員 現場ではかなり悲鳴を上げているのです。工事の打ち合わせをするための会議を開きたいけれども、なかなかほかのことに手間がかかってその会議にも出られない。今度は業者の方から、工期に間に合わぬからということでぶうぶう不足を言ってくるというふうな、そういうまさに戦争のような大変な繁忙にあえいでいる。そういうふうな状態だからこそ、いろいろな点で、やはり手不足ということのために、肝心の押さえておかなければいけないところを押さえていないというふうなことでいろいろ問題が起こる、そういう素地ができ上がっている。  これをやはりきちんとしなければ、まず設計積算というふうなところをきちんとする。工事についてきちんとした監督、でき上がりの検査、そういったものを含めて、技術面においてもきちんとしたものをやっておかない。だから問題がいろいろ起こるわけでありまして、現場における手戻りなんかもかなりに上っておるというふうなことを含めて、かなりの注目を払って、そして改善をしていってもらわなければ、今問題になっている国民に対する答えにはならないと思うのです。いろいろあるのですが、これから公正取引委員会質問を続けていきたいと思います。  まず、公正取引委員会でございますが、公正取引委員会名簿をちょうだいいたしますと、これは全員官庁、官僚出身でございまして、公正取引、要するに民間の目線で公正取引を考える人、この中には一人も入っていない。これはまあ、今ここで任命権者がおりませんので、質問ということにはならぬのだろうと思いますけれども、こういうところにこそ、例えば弁護士会の代表だとか消費者の代表だとか、利益相反するところの人が入っていないと、まさに公正という名の委員会を構成できないのではないかというふうなことを私は前提に置きながら、少し質問をしておきたいと思います。  そこで、公取委の活動を裏づけるものというと、課徴金があります。それから刑事告発がある。それから損害賠償の裁判に協力する。大体この三つではないかと私は大まかに思うわけですが、ここでまず順番として、損害賠償について、裁判所から要求があれば、公正取引委員会資料を提出するというふうなことになっておると聞いておりますが、それでは、私が本委員会において、例えば、ついこの間問題になりました埼玉県の独禁法違反事件について、あの損害は一体どれだけ関係団体なり、広く言いますと国民、県民に対して損害を与えたことになっておるのか、その損害額を質問いたしますと、お答えいただけますか。
  30. 中出孝典

    ○中出説明員 公正取引委員会は、平成三年、独占禁止法第二十五条に基づく損害賠償請求訴訟制度の有効な活用を図るため、裁判所または訴訟当事者から求めがあった場合の資料提供基準を公表しております。同基準におきましては、確定審決が存在する独占禁止法違反行為に係る損害賠償請求訴訟につきまして、裁判所から文書送付嘱託がございました場合に、資料提供を行うことにしております。  それで、資料提供基準考え方でございますが、あくまでも、独占禁止法第二十五条の損害賠償請求訴訟制度の有効な活用を図るため資料提供を行うこととしております。したがいまして、この被害者以外に対します資料提供は想定しておりません。  それから、損害額でございますが、公正取引委員会は、独占禁止法違反行為の調査を旨としておりまして、先ほどの損害額が幾らかどうかについては調査しておりません。したがいまして、独占禁止法二十五条に基づきまして裁判所から損害額に関する意見公正取引委員会に求めるという制度がございますが、その際も、損害額につきましては、損害額の算定はこういう計算方法で行うべきであるというような、一般的な考え方しか裁判所に対しても申せないところでございます。したがいまして、なかなか損害額については公正取引委員会としては申し上げにくいかなと考えております。
  31. 貴志八郎

    貴志委員 ちょっと解せないんですが、課徴金を決めますね、そうすると課徴金は何を基準にしてお決めになるんですか。それによって得た利益を算定して課徴金を課すんですか、それとも、与えた損害に対してその課徴金を課すんですか、それは一体何を基準にしてやっておるんですか。
  32. 上杉秋則

    ○上杉説明員 御説明申し上げます。  課徴金制度というのは、カルテルなり入札談合が行われた期間における売上額というものを基準にいたしまして、法律で定める一定の率を掛けるという考え方に基づいて算定するものでございます。  したがいまして、例えば入札談合事件ということになりますと、ある期間から始まりましてある期間に終了したという間に受注した金額というものがございまして、従来であれば、これに三%を掛け、二分の一を掛ける。それから、平成三年七月以降でございますと、大規模事業者につきましては六%、中小企業につきましては三%という率を掛けて得た額を課徴金とするわけでございます。
  33. 貴志八郎

    貴志委員 そうすると、その売上高や、課徴金の基礎となった金額については、質問すればここで答えられるわけですか。
  34. 上杉秋則

    ○上杉説明員 御説明申し上げます。  私ども、課徴金は、課徴金納付命令というものを関係業者に送達して行うわけでございますけれども、その中におきまして、今申し上げましたような売上額、いわゆる受注額は幾らであったか、それからどういう率を掛けたかということが明示されておりますので、もし御質問でございましたらお答えできるかと思います。
  35. 貴志八郎

    貴志委員 そこで、問題でございますが、一番の公取の権限で、これこそまさに最も強い力を持っていると思われるのが刑事告発ということになると思うんです。  この埼玉事件を刑事告発しないで終わってしまったということに対して、各新聞社は大きな見出しで、「公取委 ”宝刀”抜けず?」とか、「独禁法強化に障り」「「なぜ見送り」広がる波紋 公取委に禍根残す 消費者・米から批判の恐れ」「弱きをくじき強さに遠慮?」、こういう指摘も各社の見出しであるわけでございます。  その埼玉問題をなぜ告発しなかったのか。この問題を告発してこそ本当に、今問題になっておる不正献金等の問題、談合疑惑、そういったものに対する一つの大きな国としての姿勢が示されることになると思うのでありますけれども、なぜ刑事告発をやらなかったのか、その理由をぜひ知りたいと思います。
  36. 上杉秋則

    ○上杉説明員 御説明申し上げます。  公正取引委員会では、平成三年の五月以降、いわゆる埼玉土曜会事件につきまして審査を進めた結果、遅くとも昭和六十三年四月以降、埼玉県が指名競争入札方法により発注いたします土木一式工事について、受注予定者を決定していた行為が認められたということで、平成四年六月、これらの行為を独占禁止法第三条違反だということで審決を行っております。  審決におきましては、違反行為の再発を防止するために、例えば自社の役員とか従業員にまで違反行為であったことを周知徹底させるとか、今後そういうことを行わないことについての行政上の命令を課したところでございます。  この審査の過程で、本件につきまして告発を行うか否かということも検討したわけでございますけれども、これは御案内のように、平成二年六月二十日に刑事告発に関する方針というものを公表いたしておりまして、この公表の日、つまり平成二年六月二十日以降における事実関係につきまして、検察当局とも意見交換を行った上で、公正取引委員会といたしまして法律上、事実認定上の問題点を検討してまいりました。  その結果、公表した日以降におきまして、独占禁止法の規定に違反する犯罪ありと思料し、告発を相当とする具体的事実が認められるには至らなかったということで、告発を行わないこととし、これを、先ほどの処分を公表する際に、あわせ公表した次第でございます。
  37. 貴志八郎

    貴志委員 土曜会が六月に解散を宣言するわけですが、その後十月に公取が検査をしたときにも同じようなことが繰り返されていた、こういうふうに報道されておるわけでございますけれども、そういう事実があったにかかわらず、なお告発を見送ったということになるんじゃないですか。
  38. 上杉秋則

    ○上杉説明員 御説明申し上げます。  先ほど触れました公正取引委員会の審決、いわゆる行政命令の中におきまして、埼玉土曜会におきましては、埼玉土曜会が解散した平成三年六月十日以降においては、審決で認定されておりますような違反行為はもはや終了しているという認定がなされておりまして、そのような事実はなかったものと理解いたしております。
  39. 貴志八郎

    貴志委員 告発の条件は何かということでありますけれども、一つは、やはり国民生活に広範な影響を与えるカルテル結成というふうな場合、もう一つは、反復し、行政処分では独禁法の目的達成が得られない場合、こういうことになっているわけです。  公正取引委員会としては、今日まで幾つかの問題を摘発されておるわけですが、この土曜会の問題については、その相手、対象が六十六社でございましたか、そういう大変多く、かつ何遍も何遍も同じことを繰り返してきたということを歴然と把握しながら、要するに、告発事件の条件にぴたりはまっているにかかわらずこれを告発しなかったということについて、今なお関係の識者からは、公正取引委員会が何かの圧力に屈したのではないかという、かなりの批判を受けておるということだけは肝に銘じて今後の問題を取り組んでいただきたい。  そこで、もう一つの問題について触れておきたいと思います。  これは、なぜ私がこれを強く言うかというと、独禁法違反の問題については、公取の方が告発をしなければ検察庁はこれを取り上げない、こういう取り扱いになっているわけなんです。要するに、談合による独禁法違反については、公正取引委員会がそれを調べ、そして刑事告発をしなければそれは起訴されない、そういうことになっておりますから、公正取引委員会が唯一の窓口じゃないか。その唯一の窓口が、最近はそうでもないのですが、めったに手にすることのできない事案と遭遇をしても、それを刑事告発して解明しようとしないというふうなことになってまいりますと、公正取引委員会が唯一の窓口であるというだけに、大変非難を浴びるわけです。  公正取引委員会が刑事告発をして、後、検察陣がそれを受け継いで公判が維持できるかどうかということを検討するわけでありますけれども、入り口で、公正取引委員会で、刑事告発をもうしないということ、投げ出してしまうというふうなことは、独禁法の番犬としての役割がそれで果たせるのだろうかというふうに私どもはつい疑念を持ちたくなるわけでありますけれども、こういった点について、公正取引委員会はどのように理解し、これからも同じような態度でいくつもりか、これからはもっと厳しい態度で臨んでいくつもりなのか。お答え次第によりましては、日米構造協議の上でもかなり問題になろうかと思いますので、心してお答えをいただきたいと思います。
  40. 上杉秋則

    ○上杉説明員 御説明申し上げます。  今先生指摘のように独占禁止法第九十六条で専属告発制度というものを設けているわけでございますが、これは、専門的な調査、判断を要する独占禁止法違反行為の認定、それからそれを排除するための措置というものについての判断は、その専門かつ独立の行政機関である公正取引委員会に集中させ、一体的な法運用を図るという趣旨であろうと理解しているわけでございます。  したがいまして、このような重大な職責にかんがみまして、この専属告発制度を適正に運用する必要があるということで、平成二年六月には告発に関する方針を公表し、一定の事案について積極的に告発を行うという方針を明らかにしたわけです。  さらに、その後、独占禁止法上の犯罪があるか否かという判断を適正に行うために、平成三年一月に、公訴提起及び公判維持を担当する専門機関である検察当局との間で、告発問題協議会を設置したところでございます。この協議会におきましては、独占禁止法違反事件を告発するに当たりまして、当該個別事件に係る具体的な問題点について、意見それから情報の交換を行うこととしております。  このように、公正取引委員会は、専属告発という職責を与えられた立場を十分理解いたしまして、かつ、公判、公訴提起、公判維持を担当する検察当局との間で十分意見、情報を交換して、告発制度の趣旨にかんがみて、円滑、適切に対応したいと考えている次第でございます。
  41. 貴志八郎

    貴志委員 言葉の上ではそういうふうにきれいにおっしゃるわけですが、アメリカの公取、公正取引委員会で、大体年間十人ぐらいは刑務所入りしているというのですね。それぐらいの厳しいことをやっている。公正取引の問題に関して、アメリカでは、弁護士だけで大体千人、それは、損害を受けた方の側、かけた方の側、合わせてでありますが、千人の弁護士がそれで生活できるというほど、かなり厳しい扱いをしているのです。  日本の場合、諸外国から、またECやアメリカ、日弁連からも言われておるのじゃないですか。今の、窓口が一本化されておって検察が独自で動けないというふうな問題を含めて、かつ、そういう刑事告発などについての思い切ったなたを振るっていないというふうなことについて大変意見があるところでありまして、そういうことについて、公取が今、こういうふうな扱いで厳正にやりますということですが、もう今までと同じ態度でやっているようなことでは、本当の独禁法違反問題について本腰を入れていると目に見えてこないわけですから、その辺のところは、ひとつ目に見えるようにこれからやってもらわなければ困るわけです。  きょうは、公取の方は説明員ということでお越しをいただいておりますので、これ以上聞いてもむだなことだと思いますけれども、それにつけても、冒頭申し上げた、五人いる委員のすべてが官庁出身だというふうなことになってまいりますと、これは、もう公正取引委員会の構成そのものが不公正であるというふうに国民の側からもとられるし、外国からもそういうふうにとられてくる。  建設大臣は政治家でございますから、こういう公正取引委員会の構成を含めて、それから今まで私がいろいろと申し上げてまいりました指名競争入札制度予定価格設計あるいはランクづけ、そういった問題について、指名競争入札を続ける場合には、もっと国民の納得できるようなガラス張りのチェック機関というものをきちんと設けなければならぬし、政治家がああいう形で介入できる、させてないと言っているけれども、実は力が働いているからこそ不正献金、不正までして献金をするのじゃないですか。そういうふうなことについてどう考えるか。  もう一つは、一般公開競争入札というふうなアメリカ式の制度、会計法によりますと、日本もドイツの会計法を取り入れているのじゃないでしょうか。一般公開競争入札というのが原則になっておって、いわば指名競争入札というのは、それをやってもよろしいという一手段というふうに、法的に見るとそういうことになると思うのでありますけれども原則に戻って検討を開始するというふうなお気持ちを持たないのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  42. 中村喜四郎

    ○中村国務大臣 お答えをいたします。  先生から何点かにわたって御質問をいただきましたが、まず基本的には、一般競争入札につきましては、さきの委員会でもお答えを申し上げましたように、ダンピングあるいは疎漏工事、そしてそれを防止するための事務量がふえていくということ、あるいは中小企業の受注機会を確保する、こういった考え方の中で指名競争入札基本として今日までやってきているわけであります。  そして、イギリスにおいても一般競争入札をやっていた時期もあったわけでありますが、今のような事情で、今日は指名競争入札を一九六四年以降行っているということもこの間の委員会でお話をさせていただいたわけでございます。  ただ、指名競争入札については、今日一層の競争性と透明性というものが厳しく求められているということを重要な課題として私ども受けとめまして、今日は技術情報募集型あるいは施工の能力を発揮できるような新しい制度を導入いたしまして、そして仕事の星も、十億円以上の仕事を公開し、その中で業者の人たちが選択する限りなく一般競争入札制度に近い、持つ利点を取り入れたものを今やっていこうということでやっているわけでございます。そして、入札手続改善検討委員会も一カ月程度のうちには結論を出しまして、現在よりも指名基準の具体化、指名競争入札に係る所要の改善等を逐次実施していきたい、このように考えているわけでございます。  そして、ランクづけにつきましては、建設業者技術力施工能力に応じた発注を行い、適正な工事施工を確保するということを目的として行っているわけでございますので、今後ともこの制度を続けていきたいと考えております。  そして、最初に御質問いただきました公取のメンバーにつきましては、政治家としてというお話もございましたが、この問題につきましては、建設大臣として公正取引委員会委員の選任についてコメントする立場にはございません。委員長及び委員の任命につきましては、総理が両議院の同意を得て行うことになっているわけでありますので、その職務に照らして適切な方が選任されている、このように私は認識しております。
  43. 貴志八郎

    貴志委員 公正取引委員会の人事の問題については、当然それは権限のないことでありますけれども、少なくとも、公正にやっているということを積極的に見てもらおうという姿勢建設大臣にもなければならぬと思うのです。そういう意味では、民間の目線で物を見る、そういう人が中に入っておるという姿が望ましいというのは常識だと思うのです。  それから、この間うちからずっとこの問題について論じてまいりましたが、いずれにいたしましても、国民の税金が形を変えて不正献金になっていくという、そのシステムのどこに問題があるのかということを徹底的に究明をしてそれを改める、その姿勢こそが、今最も求められておることではないか、こんなことを強く主張いたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  44. 野中広務

    野中委員長 次に、吉井光照君。
  45. 吉井光照

    吉井(光)委員 私は、精神薄弱者等に対する有料道路の割引制度の適用拡大の問題について、若干お尋ねをしたいと思います。  既に御承知のように、この問題につきましては、私はもうしつこいと思われるくらい質問や要望を行ってきたわけでございますが、裏を返せば、それだけ一刻も早く実現をしてほしいという声が大きいということも、ぜひとも御理解をいただきたいと思うわけでございます。したがって、関係者、精薄者の皆さん方からも、後から会議録を読んでなるほどとわかるように、ひとつわかりやすい言葉で明快な御答弁をいただきたいと思います。  まず第一点は、建設省の検討状況についてでございます。  少なくとも、昨年の六月に道路審の中間答申が出てまいりまして約十カ月経過をしたわけでございますが、この間、その答申を踏まえてどのような問題点についてどのように検討をされたのか、この点についてお聞かせを願いたいと思います。
  46. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、昨年の道路審議会の中間答申及び百二十三国会における同趣旨の御請願を採択いただきまして、これを踏まえて私ども今一生懸命検討させていただいております。  もう先生御承知のとおりでございますが、有料道路の場合、料金収入建設等に要する費用を補う、こういうものでございますので、他の利用者に御負担をお願いしなければいけない、こういう性格を持っているということが一つ。それから、鉄道と違いますから、ほかの、飛行機も鉄道も切符で一人一人お持ちになるわけですが、車の場合には一台一台、こういう特殊性を持っております。こういうことがありますので、他の御利用者に理解を得られるような障害者割引制度の対象範囲、こういうものを設定しなければならないわけでございます。  そこで、拡大対象とすべき障害者の具体的な範囲をまずどうすべきか、それから介護者運転の場合における介護者や自動車の要件などの割引対象範囲をどのように限定し得るのか、それから対象自動車の範囲、車種要件、バスであるとか乗用車であるとかいったようなものを含めた車種要件、所有者の要件、それから障害者の本人確認、対象自動車の確認等福祉事務所及び料金所での利用手続、これも簡便でなければなりませんが、こういったものについて検討しております。  特にその中で障害者の範囲についてでございますが、視覚障害者、聴覚障害者、内部障害者などの身体障害者及び精神薄弱者を対象といたしまして、拡大対象とすべき障害の種類、種別及び程度について、JRの例なども勘案しながら検討しております。特に、介護者の運転で有料道路を通行することが特に必要だと認められるような重度の障害者の範囲については、関係機関と慎重に協議しながら検討させていただいております。  また、介護者運転について、車一台一台を対象として料金徴収を行うものであるために、その対象となる障害者が一人いれば、どのような同乗者であっても、例えばバスに四十人、五十人乗っていて一人障害者がおいでになるというような場合、また、何人の同乗者がいても、割引対象となるか、こういったようなことも含め、介護者や自動車の要件などの割引対象範囲の限定方法につきまして、その利用手続とあわせて、関係機関と御相談をしているところでございます。  さらに対象自動車につきましても、利用者一人一人ではなく車一台一台を対象として料金を徴収しておりますので、車種、所有者の要件、これを検討する、また利用手続も簡素でなければなりませんから、今までのようなものでいろいろな御不満もあると思いますので、そういうものも少し直したいな、こういうこともあります。  そういうことで、私ども、そういうことを含めて、せっかくこういう制度をこれから実現に向かって検討しているわけでございますので、障害者の方々のためになるものとすべく鋭意検討を進めているところでございます。     〔委員長退席、野田(実)委員長代理着席〕
  47. 吉井光照

    吉井(光)委員 大変範囲の広い、また検討の対象も非常に難しい作業であろうと思います。しかしながら、この問題につきましては、私ももう四、五回質問をしてきたわけでございますけれども、要は、これが本当に実施できるのかどうか、こういった問題にかかってくると思います。  そこで、去る三月五日の予算委員会の分科会で私も質問いたしました。そのときに大臣からは、「今後関係機関と調整を図りつつ検討を進め」「そして検討結果がまとまり次第、所要の措置をとっていきたいこのような答弁をいただいたわけでございますが、問題は、いわゆる検討結果がいつごろまとまるのかということでございます。  今の局長の答弁、先ほど申し上げましたように、確かにいろいろな問題、またいろいろな難しい問題等も含んでおるわけでございます。時期の問題でいいますと、この問題がいわゆる十一次五計、また平成五年度の予算措置でもございません。締め切りがないわけでございます。いわばタイムリミットというものがないわけでございます。したがって、やろうと思えばすぐにも実施できる、これは素人考えかもしれませんが。そう思わなければ、これはいつまでも引き延ばすこともできる性格のものでございます。  当然、建設省はこれを実施するという決意だと思いますが、その決意の表明として、検討結果がまとまり次第、所要の措置をとる、こういったわかったようなわからないようなそういう表現ではなくして、大体今までの検討結果からいって、いつごろまでに方針決定ができるのか、また、これを実施するということをここではっきり言っていただきたいと思うのです。この点、いかがですか。
  48. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 お答えいたします。  先ほど御答弁申し上げましたように、いろいろな角度からかなり制度を詰めて検討させていただいております。そういう意味で、もう少し時間はかかるわけでございますが、私ども、大臣から御答弁を予算委員会等でいただきましたように、できるだけ早く検討を進めるという御指示もいただいておりますので、そういう趣旨でやっております。  検討結果がまとまり次第所要の措置を講ずる、こういう意味は、所要の措置というのは、いろいろな手続とか、例えば道路公団にどうだとか福祉事務所にどうだとかいろいろな多岐にわたるそういう具体的な措置がございます。そういう措置を講じた上で実施に移す、こういう意味のものを含めて、措置を講ずる、こういうふうに申し上げたいと思います。
  49. 吉井光照

    吉井(光)委員 ここで初めて実施という言葉をいただけたわけでございますが、実施をされるといっても、これが決定されまして、直ちに実施されるというわけではございません。方針決定から実施されるまでの流れ、今局長も、できるだけ早く検討を進めて実施に移すという明快な御答弁をいただいたわけでございますが、建設省がいわゆる方針決定をされてから実施をされるまで所要の措置を講ずる、この所要の措置とは具体的にどういうことを指すのか、また、その措置を講ずるまでにどれだけの期間を要するのか。大体こうした問題については過去にもいろいろな例もあるわけでございますが、そういった流れといいますか、これを最後にお尋ねしておきたいと思います。
  50. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 お答えいたします。  この身体障害者割引制度の拡充につきましては、その検討結果が取りまとめられまして、具体的な内容が決定されますれば、私ども、これは大臣のもとで省内で省案としての方針を決定するわけでございますが、決定されれば、公団公社等のいわゆる有料道路事業主体、多岐にわたっております、道路公団、本州四国公団あるいは首都、阪神等々の都市公団等々多岐にわたっておりますが、こういう各公団公社等におきましてこの内容を通知いたします。  そして、それらの公団公社等においては、これを受けで、道路整備特別措置法というものがございますが、それに基づいて料金の変更についての許認可の手続を行う必要があります。公団公社等は、変更の許認可の申請に先立ちまして、本来道路管理者への協議等を行う必要がございます。  さらに、一般有料道路につきましても、本来道路管理者が、協議に応じようとする場合は、これは一般有料道路の場合に県議会あるいは指定市の場合には指定市の市議会等の議決をいただかなければいけない、こういうこともございます。こういった手続を経なければならない、これが第一点でございます。  それから第二点は、拡充の内容について厚生省にも御通知申し上げまして、厚生省より対象者の窓口となる福祉事務所などへの周知徹底を図っていただく。福祉事務所などにおきましては、対象者の方々への周知を図るとともに、手帳への押印、それから割引証の交付等の準備も進めていただかなければならないわけでございます。  今回の割引制度拡充について検討結果がまとまった場合、その実施までに、これらの許認可手続や福祉事務所などでの周知、準備のために要する期間、これは地方公共団体の議決を要することとか、介護者運転の場合には、本人が運転をすることを要しないために、対象者が著しくふえるおそれがございます。おそれというかふえる可能性がございます。  そこで、利用手続の具体的な内容を確定していないことなどから、現時点でまだ確たることを申し上げるわけにはいきませんけれども、今までいろいろと本制度導入時の、前回に拡充した経験もございます。そういう経験をもとに今回の検討結果の取りまとめの場合に敷衍いたしますと、おおむね半年程度で実施に移せるのかな、こんなように考えております。
  51. 吉井光照

    吉井(光)委員 終わります。
  52. 野田実

    ○野田(実)委員長代理 平田米男君。
  53. 平田米男

    ○平田(米)委員 引き続いて、私の方から質問させていただきます。  今回、阪高の改正案が出たわけでございますが、京都にまで高速道路を引っ張ってくる、市内にまで引っ張ってくるという話でございますが、京都というのは日本の古都としまして、ある意味では日本の大変な財産なわけでございます。確かに、社会の発展の中でモータリゼーションが急速に進んでまいりましたので、古都の保存とそのモータリゼーションとの調和、住民の生活の利便等を考えますと、その調和をやはり考えていかなければいけないと思うわけでございますが、西大路線と堀川線を整備した場合に、京都の都心の自動車通行量がどれだけふえるのか、これは非常に心配されるわけでございますが、都心に入ります西大路、堀川の各線ができ上がった段階における都心の交通量の増加、この辺はどのように見ておいでになるのでしょうか。
  54. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 京都高速道路のうち、ただいま二つの路線につきましてお尋ねがございました。  まず第一点の西大路線は、御案内のとおり、右京区西院高田町から南区上鳥羽北村山町の四キロの区間、路線でございます。平面街路西大路線、四車線ございますけれども、その地下に計画をされているものでございます。現在、平成二年の平面街路、上の方の交通量は一日四万三千台でございます。将来予測をいたしてございますけれども、この予測によりますと、平成二十二年という時点をとらえて仮に計算をいたしますと、平面街路が一日三万一千台でございます。西大路線につきましては、仮に完成されておれば、一日三万四千台と予測されるわけでございます。  堀川線につきましても、下京区高辻堀川町—伏見区竹田向代町川町、区間三・七キロの路線でございますけれども、平面街路堀川通り、六車線ございますが、この地下に計画をされてございます。平成二年の平面街路堀川通りの交通量が一日六万一千台、平成二十二年予測をいたしますと、平面街路が四万二千、京都高速道路堀川線は三万一千台、こういう予測をいたしてございます。
  55. 平田米男

    ○平田(米)委員 そういたしますと、西大路の方が平成二十二年では六万五千台で、現在よりも二万二千台ふえる。そして、堀川の方は平成二十二年では合計で七万三千台になりまして、現在よりも一万二千台ふえるということになるわけでございます。  そういたしますと、当然京都の町中、特に都心が渋滞をするのではないか。渋滞が大変激化するのではないか。今でも京都の町は渋滞しておるわけでございますが、渋滞をしておるからこの高速道路をつくるんだ、そういう発想なんだろうと思うわけでございますが、高速道路をつくるゆえにまたさらに渋滞を増す、こういう結果になるのではないかというふうに思うのですね。その辺はどのようにお考えなのか。まず、渋滞はこれで解消するのかどうか。いや、かえって拡大をするというふうにお考えなのかどうか。これはいかがでございますか。
  56. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 先生仰せのとおり、京都市域におきます道路交通は、現在でも、京都のああいう土地柄と申しますか地形の状況にございますので、空港とか港湾とか他の大きな交通結節点は実は持たないわけでございます。  そういう中で、調査によりますと、通勤通学とか人の移動につきましては、自動車交通を利用する方々が今二六%ぐらい、平成二年の数字でございます。一方、貨物につきましては、日常生活を支えます生鮮食料品、産業活動を支えます物資の流動等ございますけれども、トンキロベースで約九五%を貨物の自動車が輸送しているというような状況にもございます。  また一方、京都市内の方々が自動車を保有している状況を見てみますと、昭和五十五年と平成二年を比較いたしまして一・四倍にふえ、保有台数につきましても五十三万台、一人当たり〇・三六台ということで、近畿の地域におきます保有台数を上回っておるような状況にございます。  そういう中で、先ほどちょっと御説明を申し上げたわけでございますけれども、平面街路におきます交通の処理を、これから地下の方へ一部分担をしてもらうということでございまして、例えば西大路線につきましては、現在交通量が平面街路で四万三千台あります。これが京都高速道路ができますとそちらの方に分担がされますので、平面街路の部分につきましてはむしろ三万一千台に減るということで、平面におきます状況は緩和されるというふうに理解をさせていただきたいというふうに思うわけでございます。  そこで、将来交通量というのはさらに、私どもの予測でまいりますと、現在の交通量を見ましても、京都の地形上と申してよろしいと思いますが、東西の方向一つを例にとって見てまいりますと、東山の断面におきまして混雑度が一・七六、それから西の方の市の境、桂川断面で見てまいりますと一・七二ということで、大変な混雑の様相を呈しておるわけでございます。  このような状況は、将来の人口とか土地利用というものがさらにこの地域で伸びてまいろうと思います。そしてまた、大阪、神戸の圏域と一体となりまして近畿全体が伸びてまいりますので、あの地域全体を取り合わせますと、将来の自動車交通量に対しまして、適切にこれに対応していくというためには、いろいろな手段が必要であろうかと思っております。そういう大量に発生することが予想されます交通量につきまして、効率的にこれを処理していくということになりますと、やはり都市内の高速道路というものが必要であろうかと思います。  そこで、高速道路だけでそれではすべて処理ができるかということになれば、私どもといたしましては、総合的に、体系的に、道路交通網全体について整備をしていく必要があるわけでございますので、それとあわせまして、幹線街路から成ります都市内の道路網の体系的整備を進めることはもちろんでございますけれども、現在踏切がたくさんございます。JR、私鉄を含めまして鉄道がたくさんございますので、そういった踏切を除去しながら、地域全体をきれいにしていくという連続立体交差化事業を進めておるわけでございます。こういった事業につきましても推進を図っていく必要がございます。  さらにまた、路上における駐車等によりまして、一時的な交通阻害になるというようなことでは円滑な交通の確保を図れないわけでございますので、路外の駐車場の整備につきましても進めてまいらなければいけません。  さらにまた、バス等の利用も相当ふえていると伺っておりますけれども、バスの利用を便利にするためにバスの専用レーン、信号、そしてまたバスの待合、停留の施設というものにつきましても、道路サイドからも積極的にこれを支援していくというようないろいろな施策を講じまして、先生御懸念のところを私ども一生懸命対応していきたいというふうに考えておるところでございます。
  57. 平田米男

    ○平田(米)委員 高速道路が地下にできた部分の上の道路は、確かにおっしゃるようにすくわけでございますが、これは五条通り、国道九号線でございますか、ここまでしかないわけで、それから北の西大路にしても堀川通りにしても、地下にはないわけでございますから、まさに平面になるわけで、要するに、五条から南の地下と地上の交通量がまさに地上だけで走らざるを得ないことになるわけでございますから、だれが考えたって五条から北は渋滞をするというふうに考えるわけでございますね。交通量が極めてふえるということでございます。  今いろいろな施策をされるというお話でございました。これはぜひ推進をしていただきたいと思うのですが、やはり京都は古都であるという、町そのものが文化であり、また日本の貴重な資産であるという観点から考えますと、例えば、私が住んでおります名古屋の町と同じように、道路を広げてモータリゼーションをどんどん取り入れて町づくりをしていくという発想だけで、果たしていいのかどうかということが大きな問題ではないかと思うのです。ほかの町と同じように考えていくのかどうか、そうではなくて、古都保存ということとモータリゼーションの調和ということをきちっと考えて施策をされるお考えなのかどうか、この辺いかがでしょうか。     〔野田(実)委員長代理退席、委員長着席〕
  58. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 京都市は、人口百四十六万人を擁する、大阪、神戸と並びまして関西の地域で経済、社会、文化の中枢をなす、国全体から見ましても大変枢要な都市圏を形成している地域でございます。地形的には三万を山に囲まれて、先生指摘のとおり、道路整備に当たりまして、いろいろ配慮すべきことはたくさんあろうかと思います。  一般論でございますけれども、都市の健全な発展を図るために、市街地内を通過する車は、都市内を通らないで、周辺部におきましてこれを円滑に通過していただくというのがまず一つ重要だと思います。それから、都市内におきましてももちろん車の交通というのはたくさんあるわけでございますので、都心への適切な分散導入というようなこと、都市内、内々の交通を適切に処理する体系的な道路のネットワーク整備というなものが当然必要になってくるであろうというふうに考えております。  そこで、京都の例でまいりますと、環状道路という形で整備をされます京都縦貫自動車道、京都第二外環状道路と申しておりますけれども、あるいは京滋バイパス、それぞれ事業中であり、供用もされておりますけれども、さらにはまた名神高速道路といった形で、いろいろなこういった外郭的な道路、環状道路を使ってスルーの交通を処理するということが必要になってまいります。一方、京都の都市内におきます交通につきましても、これらをただいま申しましたような京都縦貫自動車道等と連結をする計画を持ってございますけれども、これによりまして、適切に分散導入を図ろうということでございます。  振り返りますと、京都におきましては、昭和六十年三月でございますけれども、京都市の基本計画というものがつくられてございます。京都市の秩序ある市街地の形成を図るということで、かねてから京都の南部の地域に都市型産業立地を促す、そしてまた、都心の機能をそこで育成していくという方針が示されてございます。現在、この見直しを審議会にお諮りして検討しているというふうに聞いておるわけでございますけれども、特に京都駅の南の区域につきまして、ただいま申しましたように都心部と並ぶ商業地域でございますので、都市型の産業の立地というものを促すためのいろいろな施設整備を進めようというようなことで計画もなさっているようでございます。  私どもとしては、南部地域の基盤整備にもこの京都高遠というのは大変寄与するものでございますので、均衡ある京都の発展のために、こういった都市高速道路整備を進めさしていただきたいというふうに考えております。  もとより京都という特性がございます。景観とかに配慮して進めるようにという先生のお話はもちろんのことでございますので、景観に関しましては、専門家によります検討会をつくりまして、これから具体の事業の執行に当たりまして、御意見を伺いながらきちっと進めさしていただきたいというふうに考えております。もちろん道路だけで、これまた先生指摘ございましたとおり、交通問題がすべて解決をし、都市機能を向上させるに十分だというふうに申しておるわけではないわけでございまして、道路交通と他の交通機関との連携というようなものも頭に置きながら、効率的な交通体系というものを目指して私どもも努力をさしていただきたいというふうに考えております。
  59. 平田米男

    ○平田(米)委員 ぜひモータリゼーションの波にのみ込まれないように京都の町を守っていただきたい、こういうふうに思います。  伺うところ、今回の改正によって阪高が事業を行う範囲、すなわち大阪市の区域及び神戸市の区域と、京都市の区域のうちこれらの両市の区域と自然的、経済的、社会的に密接な関係がある地域というのは京都の市街地を含むということでございまして、五条より北も入る、市街地部分も入るという話でございますので、ぜひ、そういう御配慮をいただくようにお願いをしておきます。  もう時間が余りございませんので、これはこの程度にしておきまして、委員長、次の質問に入るに当たりまして、ちょっと図面を見ていただきながらお話をしたいと思います。御了解いただけますでしょうか。
  60. 野中広務

    野中委員長 はい。では配付してください。
  61. 平田米男

    ○平田(米)委員 道路のネットワークづくりというのが、特に高速道路の場合は非常に重要なわけでございまして、建設省もそういう視点で計画を練っておいでになるわけでございますが、ネットワークができ上がった段階では、非常にすばらしい対応になるんだろうというふうに考えるわけでございますが、そのネットワークが完成するまでには相当長い年月を要するわけでございます。そのネットワーク完成に至るまでの道路完成順位によっては、かえって渋滞を引き起こして、ネットワークそのものが完成するまでの間、非常に機能低下に陥る、あるいは麻痺を生ずるかもしれないというような事態が起きてくることは十分考えられるわけでございます。  今お手元にお配りさしていただきましたのは、私が住んでおります名古屋の高速道路のネットワークでございまして、非常に単純でございますのでわかりやすいですし、私、地元でございますのでよく承知をしておりますので、参考例として持ってまいりました。今、このネットワークが現状どうなっているのか、また、一、二年後どうなるかということをまず御説明をいただけますか。
  62. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 先生お示しいただきましたこのネットワーク、私も中部地建の局長をさせていただいておりまして、そのときにこの問題に直接計画、実施にかかわらせていただいておりますので、熟知しております。この名古屋の交通問題、これは名古屋の大半が区画整理事業で大きな平面街路をおつくりになって、そして現在に至る間に、より効率的な道路網というものをつくろうじゃないかということから、名古屋都市高速道路昭和四十五年に都市計画決定をさせていただきまして、以後、逐次事業化をいたしまして、現在御承知のように三十キロが供用されている。  その中心はこの図面の右側の縦軸、これが二号線でございますが、これを中心に、また横軸のいわゆる高速一号線、これが中心でございます。そういうことで、これは今後十一次五計期間内には、この一号線の右側のところでございますが、吹上から高針というところまで約七十キロ、これが開通いたします。そうすると、この右側にぐるりと白い環状線、これは環状二号線と言っておりますが、これと結ばり、そして東名高速道路とも結ばってくる、こういうことに相なるわけでございます。  さらに、二号線の場合には、萩野から東新町間、この上の方でございますが、この上の方には小牧空港、名古屋空港がございます。楠という字の上の方に空港がございますが、そこへ向けて今鋭意事業をいたしておりまして、萩野から東新町間及びその関連路線として十キロの供用を目標としております。  一方、これと本来表裏一体をなす名古屋二環、言ってみれば交通量の分散導入、こういう役割を担っている二環は、先ほどの名古屋高速が四十五年に都市計画決定がなされたのに対して、一般道路は四十六年から開始いたしましたが、専用道路については五十七年に都市計画決定、まあ言ってみれば十二年おくれて都市計画決定に何とかこぎつけることができました。そこで私どもこの計画のおくれを事業の実施という段階で取り戻すべく今考えておりまして、名古屋西ジャンクションから勝川ICまでの間十七キロは供用済みでございます。この平成五年度に勝川、この右側のちょうど斜めのところ、春日井のあたりのところでございますが、これから名古屋lC、東名に至る間十一キロ、これをこの平成五年度には開通をいたします。  さらに、十一次五計期間内には名古屋高遠一号線の吹上から高針間のこの名古屋高速の供用にあわせまして、高針から上社ジャンクションまでの間の三キロの供用を図ることを目標といたしております。  これが現在の状況でございます。  なお、もう一つ付言いたしますと、このBというところの高針、東名名古屋ICという、この図面から下側、私どもこれを東南部と言っております。ここを私ども極めて重視しておりまして、ここが十一キロございます。ここはほとんどが土地区画整理事業で事業を実施しておりまして、五十六年から国道三百二号として直轄事業によってやりましたが、約七割用地が解決しております。延長では九キロが解決しております。あともうちょっとでございます。これが解決するのにあわせまして、私ども専用部について、何とか十一次五計のなるべく早い期間に所要の措置を通じて、事業方法も決めまして事業化さしていただいて、先ほど言いました都市計画決定のおくれを事業の実施という形で補いながら、全体のネットワークの機能が果たせるように今現在考えている状況でございます。
  63. 平田米男

    ○平田(米)委員 時間が余りありませんので答弁を短くしていただければありがたいのですが、要するに、ここ二、三年のうちに高速二号線が完成をいたします。これが右側の南北の道でございます。高速三号線はまだでございますが、そして高速一号線の、先ほど吹上と言いましたが、この図面では中区と書いてありますが、中区から高針までが第十一次で完成をしていただける。そして環状二号線の上半分が平成五年度に完成をする。こういうことでございますが、そういう状況の中で、今南側の方は、高速道路というのは高速の二号線一本しかございません。  これは現在一日六万二千台通行がございます。許容量は七万二千台だそうでございますが、これは図で見ていただくとおり、将来的には環状二号線が全部でき上がってスムーズに走るようになっておるわけでございますが、計画では、環状二号線の南の部分は一日五万八千台の計画でございますが、現在はもう既に六万二千台走っております。名古屋の市民の皆さんは、東名・名神のインターに入るのに非常に時間がかかります。特に一宮インターへ行くのも渋滞しておりまして、やはり三十分くらいかかるケースが多いのですね。  環状二号線の北側ができ上がりますと、そして高速一号線が完成をして一号線と環状二号線がつながりますと、高遠二号線から入って、そして環状二号線を使ってインターに入る、こういう方々がどうしても非常にふえてくるわけでございます。そうしますと、高速二号線の南側の部分に非常に車が集中する、今は六万二千台でございますが、もう許容量の七万二千台を超える車が入ってくることは十分予測されます。今道路局長おっしゃいましたように、環状二号線の東南部、これはもう早く着工したいというふうにおっしゃっておいでになるわけでございますが、ぜひそれはお願いしたいわけでございます。  私がこの問題で申し上げているのは、具体的な話でこの道路云々ということではなくて、要するに、ネットワークをつくっていく段階の中で、果たして渋滞が起きないように順序立てでネットワークづくりをしておいでになるのかどうか、これを非常に心配をしておるわけでございます。東京も放射道路と環状線、これが全部きれいにでき上がればすばらしいネットワークができるわけでございますが、遺憾ながら、放射道路を先につくってしまった、そのために放射道路そのものが非常に渋滞をして、もはや高速道路とは言えないのだという非難を受けておるわけでございます。その教訓がその後の道路づくりに生かされているのかどうか、この名古屋の状況を見ておりますとそれが非常に心配でございます。  最終的な交通量の調査あるいはシミュレーションというのをしておいでになることはわかっておるわけでございますが、それぞれの路線決定をして、それが完成した暁にどのような渋滞が生ずるのか、そういうことをシミュレーションしながら路線決定をしておいでになるのかどうか、一応はやっておいでになるのだろうというふうには思うのでございます。しかし、しっかりしたものができ上がっていないのではないかという心配を、この名古屋のネットワークづくりの順序からいたしますと心配でなりません。そういう意味で、その辺どのようになっているのか、また今後どういうふうにするお考えなのか、手短にぜひお答えをいただきたいと思います
  64. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 お答えいたします。  まず、先生のおっしゃいました二号線一本ではこのネットワークからいって足りないということで、東南部の専用部についてなるべく早く仕事をしたいと私ども思っております。特に、東南部はいわゆる地盤のいいところでございますので、どちらかというと建設費も北よりも少なくて済む、ですから、早く土地区画整理事業を実施してこういうものをつくっていく、こういうふうに思っております。  しかし、それまでの間どうするんだ、こういう御質問だと思いますが、つい先ごろ、昨年の十一月二十七日に開通した東京外環の例で申し上げますと、これも全線開通いたしておりません。本当はもっと全線したかったわけですが、できません。そこで、地元の方々はそのことによって混乱が生じるのではないかと御心配になられました。  私ども先生の御指摘のようなチェックをいたしまして、そして、一般道で新たな交通混雑が生じないように、美女木—和光間で片側一車線を一般道路供用するとか、アクセス道路となる二百五十四号のバイパスの拡幅とか、あるいは交差点改良等々を、それに応じて、暫定的な開通にプラスになるような改良事業もその間でやらせていただいて今回開通いたしました。その結果、現在の状況を見ますと、いわゆる外環と並行する国道等々県道も合わせて、二割程度の交通量の減少で、現時点では支障がございません。  そこで、名古屋二環においても、五年度の末に開通を名古屋ICまでやるわけでございますが、上社ICまでやるわけでございますが、それにあわせて、主要地方道名古屋岡崎線までの二環の一般部について、とりあえず暫定的に供用を図るというようなことをあわせて、そういう途中途中のチェックもさせていただきながらやる、こういうことを今冬現場で実施に移しておりますので、今後とも先生の御指摘を十分教訓といたしながらやらせていただきたいと思います。
  65. 平田米男

    ○平田(米)委員 その答弁で十分なお答えだとは思いま世んが、やはりネットワークが完成するまでの間のそれぞれの、例えば、道路も五年ずつやっておるわけでございますので、それぞれのシミュレーションをやりながら整備をしていただきたいと思うのです。確かに利用状況とか、それから用地の買収の進捗状況、こういうものはいろいろあるかと思いますが、しかし、それでもやはりそういう道路の用地を先にどこから始めるかということから考えて、ネットワークが完成をするまでの間も、それぞれの道路が十分な機能が働くような知恵をぜひ働かせていただきたいということをお願いして、次の質問に移りたいと思います。  大臣、道路行政については非常に御努力をいただいておるわけでございますが、道路について、ネットワーク化と同時に、これから情報化ということが非常に重要ではないかというふうに私は思います。路車間情報システムについては、今この秋に実験をされるというようなお話でございますが、それを含めて道路の情報化の推進、道路というのは単に土地があってそこが舗装されてただ走れる、歩けるというだけであってはならないのではないか。これまで日本のハイテク技術が進歩をし、情報化が進んでいるわけでございますので、それに対応して私は、まさに道路の情報化というよりも、道路のハイテク化ということをこれから考えていかなければならないのではないか。それは、高速道路だけではなくて、特に市街地の渋滞がひどいところは、道路を拡張するよりもハイテク化することによって渋滞解消のメリットが、投下資本に対して大きなものが、効率いい対応ができるのではないかというふうに思っておるのですが、その辺は大臣いかがでございましょうか。
  66. 中村喜四郎

    ○中村国務大臣 お答えをいたします。  ただいま先生の前の質問道路局長から答弁をしたわけでありますけれども建設省としてもやってはいると思いますが、先生指摘いただいたようにまだ十分ではない、このように考えておりますので、これから道路をつくるばかりじゃなくて、いかにして車の流れをスムーズにできるかということを、現在から将来に向かって、きちっとした予測を立てながら道路整備していくということは全く必要なことだと思いますので、これからさらにそのことについては努力をさせるように、道路局を挙げてやっていきたい、このように考えております。  そして、ただいま御指摘をいただきました情報化の問題も、先日公明党の薮仲先生からやはりこのことについて御指摘をいただきました。現在、道路管理、利用者への多方面にわたる情報化、高度化が強く求められているわけでありますので、コンピューターの処理の高度化、光通信技術の進歩、そして道路交通情報を示す図形情報板、利用者のリクエストに応じた道路情報ターミナル、そして道路交通情報システム整備、高度化を進めているわけでありますが、御指摘をいただきましたように、路車間の情報システムの実現化に向けても検討しておりますので、今後、道路管理の高度化、情報化、そして安全と円滑、快適な道路交通の確保のためには、ぜひとも、こういったものが今後の道路行政の中で大きな役割を担えるようにしていかなければならないと考えておりますので、この問題も十分積極的に取り組んでいきたい、このように考えております。
  67. 平田米男

    ○平田(米)委員 第十一次道路整備五カ年計画の案によりますと、十一次では路車間情報システム、VICSに対する事業費は七百億円と見込んでいます。総額七十六兆円でございますので、〇・一%でございます。長期構想では事業費は三千億円でございまして、第十一次の七十六兆円の比率でも〇・四%にすぎないわけでございまして、非常に事業費としてはわずかでございます。長期構想では八〇%の都道府県道をこのV1CSでカバーをすることができる、こういう計画だそうでございますが、それだけのカバー率でわずか三千億円でできるということならば、私は、第十一次の間に、長期構想などと言っていないで、長期構想分全部を第十一次で早期にやっていただきたい。金額的にもわずかなことでございますので、金額的だけ考えれば私はできるのじゃないか。  それで、技術的な問題は、この秋に実験をするそうでございますが、ほとんどもう実用化できるというふうにメーカー側からも伺っております。そういう意味で、あと五年のうちにこれをぜひやっていただきたいな。そうすれば、渋滞解消のために踏切を高架にするとか、あるいは道路を拡張するというようなこともお考えでございますが、そういう投下資本よりも効率がよくなるのではないか。投下資本の効率が非常にいいというふうに考えます。  同時に、今日本は日米の貿易摩擦等も言われておりまして、内需拡大ということを言われておるわけでございましで、特に、今また不況で電機関係とかがよくないという話がございます。このVICSを導入することによって、そういう点にも多大な効果が出てくるのではないかというふうに思いますので、ぜひその辺、第十一次の案をお考え直しいただきたい、こんなふうに思うのですが、いかがでございましょうか。
  68. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 今先生指摘の七百億とか三千億、これはあくまでも現時点で私ども考えている数字でございまして、私どもは、大臣がお答えいただきましたように、こういう交通情報システムはできるだけ早くまとめていきたいと思っております。  そういう意味で、警察庁と郵政省と一緒になってそういう協議会等も設けております。その中でまとまれば、今回の首都圏、近畿圏、中部圏、名古屋圏における実験の成果を生かして、まずやるべきことは、情報を入手するインプットの装置をつくっていく。これがなければアウトプットの情報を出せませんので、そういうものからなるべく手がけていくように努力をしていきたいと思っております。  そういう意味で、数字そのものもあくまでも現時点における目標値だということで、今後進展のいかんによってはこういうことを十分さらに拡充を図ってまいりたいと思っております。
  69. 平田米男

    ○平田(米)委員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
  70. 野中広務

    野中委員長 辻第一君。
  71. 辻第一

    ○辻(第)委員 阪神高速道路公団業務地域が、今回の改正により京都市などに広がります。この法改正により、公団建設する道路、あるいは建設を予定している道路、あるいは構想として挙がっている道路にはどのような路線があるのか。今回着手の新十条通りは京都大阪線と言われていますが、将来、大阪と京都を連絡する都市高速道路建設するということだと思いますが、大阪—京都間の路線について、どのような地域を経由してどのような道路建設する構想なのか、できるだけ簡潔にお願いをしたい。  もう一つ、今回の改正に伴い、京都市、京都府からの出資額が幾らになるのか。以上、お尋ねいたします。
  72. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 三点お尋ねがございました。今回公団建設を予定する、そして構想する路線はどこかということであったかと思います。  平成五年度から新十条通り、山科区西野山桜ノ馬場町から伏見区深草西川原町まで延長二・八キロにつきまして、事業を本年度から進めることといたしてございます。  今後予定いたしておりますものは、平成五年二月十六日に都市計画決定されました油小路線、久世橋線、堀川線、西大路線から成ります京都高速道路十七キロでございます。それから、京都市南区久世川原町から大阪市に至る京阪連絡道路考えているところでございます。  京都—大阪間の路線の通過地、基本構造につきましては、淀川右岸に考えており、現在ルート、構造について調査を進めているところでございまして、通過地等具体には決定をされておりません。  京都府、京都市の出資額につきましては、平成五年度それぞれ三百二十五万円を予定をいたしてございます。
  73. 辻第一

    ○辻(第)委員 都市化が進行した京都—大阪間を、淀川右岸に新たな高速道路建設するとなると、また大きな問題が出てくると思います。また、当面建設されるのは、着工準備費がついた新十条通りからだということでありますが、堀川線、西大路線は五条通りまで延びるわけであります。  私も京都市内に生まれて京都市内で育ったのですが、非常に関心があるのですが、京都市内に高架などの都市高速道路が必要なのかどうか議論があります。このような高速道路は、古都京都の景観を損ないます。また、深刻な大気汚染などが心配をされる。また高速道路による市内の流入車両の増加による交通渋滞などいろいろな問題がそこで起こってくる、そういう心配。また、約七百戸が立ち退きというふうに聞いております。町が壊れる、こういういろいろな問題を含んでいるわけであります。  昨年の二月に、我が党の寺前議員が環境委員会で排気ガスなどの問題を指摘してきたところでもあります。京都の住民の皆さん方の中に、先ほど申しましたような観点で、いろいろ反対の声があります。京都府の都市計画審議会でも、我が党の委員は反対をしてまいりました。建設省はこういう種々反対があることを知っているのかどうか。大変恐縮ですが、はいとかいいえとかの範囲でお答えをいただきたいと思います。
  74. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 京都高速道路の都市計画決定の手続等の過程を通じまして、京都都市高速道路計画に反対の御意見をお持ちの方がいるということは、承知をいたしております。  私どもが市から聞いたところによりますと、この都市計画の案を約五百人の方々が縦覧をされたということ、そして意見書が件数で約七千五百件、うち賛成が二千七百件、反対の御意見等が四千八百件あったと聞いております。
  75. 辻第一

    ○辻(第)委員 どうも申しわけありませんでした。  具体的にお尋ねするのですが、鳥羽街道団地というのがございます。これはたしか市か府の住宅公社の分譲住宅でありますが、全部で十二棟あります。その四棟が道路計画にかかって立ち退きの対象、団地の真ん中を高速道路が貫き、しかも給水塔が立ち退きの対象になる。団地全体として極めて深刻な問題であります。また、この計画のために、既にこの住戸の売却、売りたい人が売れないという状況も起こっております。反対の声が非常に高まっているわけでありますが、建設省はこれをどうするのですか、お尋ねをいたします。
  76. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 お答えの前に、先生に恐縮でございますが、冒頭の答弁の中で、油小路線初め京都高速道路の今次の都市計画決定の日付を平成五年二月十六日と申し上げましたが、三月十六日の間違いでございます。お許しをいただきたいと存じます。  新十条通り、京都市山科区西野山桜ノ馬場町から伏見区深草西川原町まで延長二・八キロにつきましては、昭和六十二年八月に都市計画決定がなされてございます。これは、ルートにつきましては先生御案内でございまして、鴨川を越えて琵琶湖の疎水、京阪道路、JR本線、こういったものをくぐりまして、稲荷山をトンネルで越えるというような状況にございます。工法上も大変難しい問題を抱えているというふうに伺ってございまして、比較的浅いトンネル構造として鳥羽街道団地をくぐり抜けてまいっていくわけでございます。そうしますと、抵触する南端部の団地のうち四棟が立ち退き、あるいはまた給水塔につきましては移設をせざるを得ない、こういう計画になっておるわけでございます。  私どもといたしましては、事業実施に際しまして、現地状況等の詳細の把握、検討をこれから行ってもらいますと同時に、立ち退きの対象となる方々、移設の必要となる給水塔につきまして、地元の方々の御理解、御協方を得ながら、必要な対応を図ってまいりたいと考えております。
  77. 辻第一

    ○辻(第)委員 こういう深刻な問題は、何ぼそういうことを言われても、それは納得されないと思います。これは深刻な問題ですね。こういう問題は南区でも下京区でもいろいろありますね。反対の声が上がっております。こうした道路計画の決定自体が私は問題だと思うのですが、次に参ります。  また、大阪の大和川線、これは阪神高速の湾岸線と松原線の間約十キロを大和川左岸沿いに結ぶ道路、堺市と松原市を地下、掘り割りで通るようでありますが、御存じのように、堺市は非常に公害患者が多い地域であります。その患者の集中している地域を通ることについて、一九九〇年に我が党の藤田議員が予算委員会の分科会で取り上げております。それだけに、大和川線の沿線のうち、堺市においては住民の強い反対があります。関係住民は、大和川線に反対し、堺の道路交通問題を考える会を結成して、計画に反対をしています。  これからアセスに着手されるようでありますが、アセスをやればよいというような問題ではないと思います。住民の合意と納得の上で進められるべきだ、このように考えるのですが、いかがですか。
  78. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 先生もう全部御承知のとおりでございまして、この大阪南部地域、東西で非常に混雑しております。そこで、そういういろいろな地域の状況から、大阪府がレインボー計画21あるいは新総合計画等々で大和川ラインの路線を位置づけております。そういうことも踏まえまして、三年の十二月に大阪府、大阪市、堺市、松原市及び阪神高速道路公団から構成する大和川線・泉北線計画協議会を設けて、そこで環境対策からいろいろなものの調整をいたしまして、この五年の一月二十五日に大阪府知事から各市に対して、都市計画決定に向けての基本事項の提示を行ったわけでございます。そこで、現在各市でこの案についての問題、それから環境影響評価準備蓄等の取りまとめ、こういうものをやっているわけでございます。  こういう環境影響評価あるいは都市計画決定、こういった手続は、私ども閣議決定に基づく実施要綱によって行っているわけでございますし、また、それぞれの都市計画手続の中で実施されているわけでございますので、その際に、公告縦覧とか地元説明会、こういうものを十分やってまいるわけでございます。  そういうことで、御意見を十分しんしゃくし、かつ、そういう結果どのような都市計画決定ができたとしても、その事業の実施を行う際にも、さらに工事内容についてまた地元に御説明を申し上げる、こういうふうなことで事業をやってまいりますので、私ども、この問題についても今までのやり方を踏襲しながら、できるだけ御納得といいますか、こういう手続を経てやらせていただきたいと思っております。
  79. 辻第一

    ○辻(第)委員 これまでもそういう手続はやっておられるわけでありますけれども、私ども道路の問題では、住民参加、住民合意ということを繰り返し申し上げてきたわけであります。そういう観点、今深刻な事態の中で進められている方向というのは、私どもあるいは住民の皆さん方の願っている方向とは違うというふうに、もう一度厳しく指摘をしておきたいと思います。  ほかにも淀川左岸線ですね、これは第一期部分は既に一九八六年に都市計画決定が行われ、今回新たに第二期、四・三キロの都市計画決定に向け作業が進められているというふうに聞いております。この道路は、さきに述べました大和川線などと同様に、大阪都市圏の基幹道路である第二環状道路の一部分でありますが、中津リバーサイドコーポなどの住民の皆さん方が、中津コーポ高速道路に反対する会をつくって、長い間反対の運動を続けられております。住民の本当に強い反対がある道路であります。  こうして見でまいりますと、京都だとか大阪ともに、阪神高速道路公団の実施している高速道路は住民の皆さんの反対の多い路線であり、また、反対を無視して事業が展開をされているというのが今日の状況ではないか、このように考えております。京都への拡大も、先ほど来申しました種々の問題があります。反対のある道路建設のための拡大ということは大きな問題であります。第十一次道路整備五カ年計画の案で、良好な環境創造のための道路整備の推進、これを強調されておるわけであります。  いろいろ申しましたが、ここで大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  先ほど来申しましたように、住民の声を十分聞かない形での道路建設推進が進んでいるのではないか、このように考えます。本当に住民合意を図ることを第一にして対応していただきたい、強く求めるものでありますが、建設大臣の御答弁をいただきたい。
  80. 中村喜四郎

    ○中村国務大臣 お答えをいたします。  先生御案内のとおり、この地域は、我が国の歴史的、文化的、社会的にも非常に重要な役割を担っている地域でありますし、また一方、京都、大阪、兵庫、この地帯が一千七百万を超す大都市圏を形成しているという現状もあるわけでございます。  そこで、阪神高速道路ネットワークは、今後一層強力にその整備を進めていかなければならないという必要性があるわけでありますが、御指摘をいただきましたように、今後とも地元公共団体と十分調整を図りつつ、事業の必要性、環境対策を含めた事業の内容について十分に御説明申し上げ、一層の御理解、御協力を得られるように公団を指導していきたい、このように考えております。
  81. 辻第一

    ○辻(第)委員 最後に、今回の法改正は、阪神高速道路公団が京都の高速道路建設することを主な目的にしています。これは、世界的な町であります古都、京都の景観を壊す、環境、特に大気汚染の激化、高速道路による流入車両の増加などで渋滞の問題、その他いろいろな交通問題が出てまいります。あるいは七百戸というような形の中で町が壊されていく、こういう深刻な問題が含まれて、関係の住民がたくさん反対をされているわけであります。そういう状況の中で高速道路建設をするための改正であり、加えて将来、京都—大阪間の新高速道路を新設するということになりますと、多くの住民に影響が及び、騒音でありますとか、日照でありますとか、大気汚染でありますとか、いろいろと影響が懸念されるものであります。こうした道路建設のための改正には我が党は反対であることを申し上げて、質問を終わります。
  82. 野中広務

    野中委員長 これにて本案に対する質疑は終局。いたしました。     —————————————
  83. 野中広務

    野中委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  阪神高速道路公団法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  84. 野中広務

    野中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  この際、中村建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中村建設大臣。
  85. 中村喜四郎

    ○中村国務大臣 阪神高速道路公団法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいる所存でございます。  ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。(拍手)
  86. 野中広務

    野中委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 野中広務

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  88. 野中広務

    野中委員長 次に、内閣提出土地区画整理法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。中村建設大臣。     —————————————  土地区画整理法及び都市開発資金の貸付けに関   する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  89. 中村喜四郎

    ○中村国務大臣 ただいま議題となりました土地区画整理法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  豊かさとゆとりを実感できる国民生活を実現し、生活大国を築く上では、住生活の充実が最も重要な課題の一つとなっており、大都市地域及び地方においで居住環境の良好な住宅及び住宅地の供給を促進することが必要であります。  土地区画整理事業は、従来から、良好な市街地の形成とともに、住宅及び住宅地の供給において重要な役割を果たしてきたところでありますが、生活大国の実現のためにも、なお一層の事業の推進が強く望まれているところであります。  この法律案は、このような状況にかんがみ、住宅先行建設区制度を創設するとともに、土地区画整理組合に対する資金の貸し付けに関する制度を改善し、都市開発資金により貸し付けを行うこととするものであります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  第一に、土地区画整理法におきまして、住宅の需要の著しい地域において新たに住宅市街地を造成することを目的とする土地区画整理事業につきまして住宅を先行して建設すべき土地の区域として住宅先行建設区を事業計画に定め、住宅先行建設区への申し出による換地を認めることとしております。  第二に、都市開発資金の貸付けに関する法律におきまして、国は、土地区画整理事業による健全な住宅市街地の造成を促進し、もって住宅及び住宅地の円滑な供給に資するため、都道府県または指定都市が、土地区画整理組合等に対し、土地区画整理事業に関する資金を無利子等で貸し付ける場合に、当該都道府県または指定都市に対し、その貸し付けに必要な資金を貸し付けることができることとしております。  その他、これらに関連いたしまして関係規定の整備を行うこととしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  90. 野中広務

    野中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る十四日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十三分散会 ————◇—————