○平田(米)
委員 建設省としては、中建審の答申が出たので、その枠内でしか動けないという
事情もあるのかな、こんなふうに思うのですが、中建
審にとらわれていたならば、今回の
金丸問題から始まった
入札の欠陥の対応というのは、私はできないと思うのです。それは、目先、この答申に従った対応をされるということは、これはこれでいいのかもしれませんが、もっと抜本的にもう一遍見直す、再諮問するというぐらいのお
考えがないといけないのではないかと私は思います。
確かに答申は制限つき
一般競争入札方式の導入については極めて消極的でございますが、おっしゃっている不合理、確かに私はわかります、ふぐあい、わかりますが、しかし、それをいかに克服するかということについての
検討、これは私はなされていないのじゃないかなというふうに思うのです。まず
指名入札ありきということではないのかなというふうに思うのです。
私は、
指名入札、何でだめなのかというふうに申し上げると、例えば、事例としては、これは山梨県知事の天野建さんがおっしゃっている内容で、これは毎日新聞に載っておりますが、平成三年九月十日の報道の中で、「今まで(
公共事業の
受注を)取り過ぎていたところ(建設
業者)には私の権限で
指名から遠慮してもらっている」、こういう発言をしておいでになります。
すなわち、
建設業界からすれば、
政治家から、この場合はこの知事さんでございますが、あるいは官から、こうやって
指名を外されるかどうか、これは死活問題でございます。午前中からの質疑の中でも同様の事実を摘示して
お話がございました。今その
指名入札というのは、
指名権というのは、まさに
政治家の、あるいは官僚の武器になっている、
業者を抑える武器になっていると言っても過言ではないのではないかと私は思うのです。だから、保険料として、
指名から外されないように献金をせざるを得ない、献金枠を超えていればやみでもやらざるを得ない、こういう構造になっていることは明らかではないかと私は思うのです。
それなのに、いや、一般はだめです、一般はだめです、
指名に限ります、
指名の中で改善策をとりますと言って、わずか一%の件数に対応する施策しかできないようであったならば、問題の根本的解決にはならない、私はそう思います。
私は、今
アメリカがやっているようなボンド
方式、これは非常に注目に値すると思います。確かに、
アメリカは
日本に比べまして官庁の技官の数が少ないとか、
公共事業に対する知識が不十分であるとかということがありますので、
日本は昔から
直轄で、直営で事業をやってきたという歴史的経過がございますので、
日本のお役人の
技術力というのが非常に高い、あるいは監督能力、管理能力というのが非常に高いということはよく承知をしておりますが、しかし、今はそういう問題ではないと思うのです。すなわち、
指名権を官が握るのか
政治家が握るのかという問題であるわけでございまして、それを私
たちが、官側が、
政治家側が、
指名権というものをもう放棄をする、放棄をした上で、いかに
一般競争入札の欠点、欠陥というものを乗り越えるかという発想で
考えてきたときに、私はボンド
方式というのは極めて有効ではないかというふうに思います。
一般競争入札で行った場合には、先ほ
ども大臣が、先ほどといいますか、午前中からの答弁の中でおっしゃっておりましたが、ダンピングが出るとか、あるいは疎漏
工事があるとか、あるいは
中小企業の
受注機会が失われるとか、こういうような
理由を挙げて、制限つき
一般競争入札というのは導入ができませんというふうにおっしゃっていました。しかし、ここでボンド
方式を導入すると、ダンピングをしますとその会社はもうかりません。もうからないような会社に保証会社はボンドをつけません。ですから、これは制限ができます。また疎漏
工事をやると、手抜き
工事をやると、
責任を追及されるわけでございまして、やはり保証会社もボンドをつけることができない、こういうことになるのではないかと思います。
また、
中小企業の
受注機会という問題、これはやはり
ランクづけすればいいわけでございまして、これは現行も
ランクづけでやっておいでになるわけで、
一般競争入札と
ランクづけというのは相反することではございませんので、これはその
ランクづけによって乗り越えることができるというふうに思います。
そういたしますと、今申し上げたように、
大臣がおっしゃった制限つき
一般競争入札の欠点というのは、ボンド
方式、保証会社
方式によって乗り越えれるのではないか、私はそういうふうに思います。
そして、私はもう
一つ提案をしたいのは、建設会社の格付機関をつくるべきではないかというふうに思います。ボンド会社がその会社を、保証会社がその会社をどのような会社なのか調べるには、それなりのノウハウが必要でございます。保証会社がどういう会社になるのかが適当なのか、これから協議が必要になるのかもしれませんが、例えば信託会社だとか、ノンバンクだとか、あるいは農協だとか、信用金庫等の多くの金融機関等に、保険会社も含めて、こういう保証会社になっていただくときに、多くの会社がボンド事業に参入するためには、格付を第三者できちっとやっていただくということが必要ではないかというふうに思います。そういう
意味で、全国一律の建設会社の格付会社を、格付機構といいますか、格付機関というものをつくったらどうかというふうに思うわけでございます。
確かに、午前中からの質疑を伺っておりますと、
建設省の努力と
建設業界の努力によって現在の問題を乗り越えたいというふうにおっしゃっておいでになります。しかし、談合問題あるいは
やみ献金問題というのは、何も今回が初めてでないわけでございまして、もうそれこそ戦後ずっと言い続けられているわけでございます。先ほど渋谷さんも一年間の記事を件数を挙げておっしゃっておいでになりました。まさにもう日常茶飯事なわけでございます。今までも努力せられた。一生懸命やって解決しますと言い続けておいでになりました。
しかし、もはや私
たちは業界には期待ができない。また、業界を監督する
建設省と業界とだけの努力だけでは、もう解決できないのではないか。それだけ
建設業界の
体質にしみ込んでしまっている、完全に構造化してしまっている、システム化してしまっているというふうに思います。それを打破するには、
入札制度を変えると同時に、そこの中に、やはりその業界とは違う新しい血を入れないと、その
体質は変わらないのではないかと思います。そういう
意味で、保証会社をボンドという形で入れるということは、全く別の業界、
建設業界にかかわったことがない人
たちが
建設業界に参入することになるわけでございますので、
体質改善にとっては極めて有効であろう、私はこういうふうにも思います。
今、目先は中建審の昨年の答申に応じてやるというお
考え、それはそれで
一つの流れがありますので、それは結構かと思います。それはそれとしておいて、今申し上げたような抜本的な
制度改革、すなわち
指名権を官が、そして
政治家が放棄をするという原点に立って、制限
一般競争入札の欠点を別途の方法で乗り越える策というものをお
考えになっていただきたい。そして、そのために中建審に諮問のやり直しあるいは新たな諮問というものをやっていただきたい、こういうふうに思うのですが、
大臣、いかがですか。