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1993-04-07 第126回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年四月七日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 野中 広務君    理事 大野 功統君 理事 金子原二郎君    理事 久野統一郎君 理事 杉山 憲夫君    理事 野田  実君 理事 石井  智君    理事 山内  弘君 理事 平田 米男君       植竹 繁雄君    大石 正光君       金子 一義君    金子徳之介君       川崎 二郎君    塩谷  立君       萩山 教嚴君    光武  顕君       宮里 松正君    谷津 義男君       山本 有二君    木間  章君       貴志 八郎君    渋沢 利久君       渋谷  修君    松本  龍君       薮仲 義彦君    辻  第一君       米沢  隆君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中村喜四郎君         国 務 大 臣 井上  孝君         (国土庁長官)  出席政府委員         国土庁長官官房 藤原 和人君         長         国土庁計画・調 糠谷 真平君         整局長         国土庁大都市圏 内藤  勲君         整備局長         国土庁地方振興 秋本 敏文君         局長         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設大臣官房総 市川 一朗君         務審議官         建設大臣官房審 村瀬 興一君         議官         建設省建設経済 伴   襄君         局長         建設省道路局長 藤井 治芳君         建設省住宅局長 三井 康壽君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局経済部団 田中 信介君         体課長         公正取引委員会         事務局審査部管 上杉 秋則君         理企画課長         法務省刑事局刑 大泉 隆史君         事課長         大蔵大臣官房企 細見  真君         画官         国税庁調査査察 藤井 保憲君         部調査課長         自治省行政局行 中川 浩明君         政課長         建設委員会調査 杉本 康人君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 四月七日  辞任         補欠選任   谷津 義男君     宮里 松正君 同日  辞任         補欠選任   宮里 松正君     谷津 義男君     ――――――――――――― 三月三十日  住宅等国民生活関連公共事業の推進に関する請  願(辻第一君紹介)(第一〇五四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  阪神高速道路公団法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一三号)  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 野中広務

    野中委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野功統君。
  3. 大野功統

    大野(功)委員 おはようございます。自由民主党の大野功統でございます。  きょう私は、中村建設大臣の大きな胸をおかりいたしまして、いささかの書生論をさせていただきたいと思います。  なぜ書生論がといいますと、物事が紛糾したり錯綜したり混乱しているときには、表面ばかり見て、現象面ばかり見まして、感情論に走ったりあるいはヒステリックになったりすることが往々にしてございます。やはり物事本質を見忘れてはいけない。根本の問題は何か、こういうことを常に我々は念頭に置いておかなければならないのではないか。基本的に見たらどうなんだろうか、幅広い視野で見たらどうなんでしょうか、長期的に見たらどんなことなんだろうか、こういうことがやはり建設行政の今後を考える上で大変重要なことだと私は思うわけであります。  せんだって、ある国会議員の方のお話を聞いていまして私も首をかしげたのでありますが、どういうお話かというと、金丸衆議院議員の脱税問題あるいはやみ献金疑惑の問題、こういう問題が出てまいりますと、国民皆さんに、大なり小なり国会議員はこういうことをやっているんじゃないか、こういう疑惑が生まれてきて、そして大変な政治不信に陥ってくる、しかしながら、国会議員の中でも糾弾される政治家と糾弾する政治家がいるんだ、こういうお話でありました。私は、糾弾する-もちろん自分潔白な場合は、相手を攻撃して、糾弾して、そして自分潔白を証明する、潔白証明をすることは必要かもしれません。あるいはアリバイ証明をすることも必要かもしれません。でも、政治世界でそれだけで終わったのでは何にもならないわけであります。全くの不毛の議論に終わってしまうわけであります。  政治はだれのものか。もし政治家だけのものであれば、お互いに言い合うのもいいかもしれません。でも、政治というのは国民皆さんのものでありますから、例えば昨日の朝日新聞でございますけれどもアンケート調査で、「金丸前副総裁が脱税容疑で逮捕、起訴されました。この事件で、あなたが一番問題だと思ったのは、何ですか。」こういう質問に対して、私腹を肥やした、あるいはやみ献金をした、こういう答えよりも一番大きなものは、「政治金権体質が変わらないこと」、これが一番大きな回答、半分以上を占める回答になっているわけであります。  物事本質は、やはり体質を変えていかなければいけないのじゃないか、現象ばかりにとらわれずに体質を変えていかなければいけないのじゃないか、これを一番国民が望んでいるのではないでしょうか。  もし潔白証明選挙のためにやりたいというのであれば、選挙区でそういう潔白証明なりアリバイ証明をやればいいのであって、やはり私たちは、この国政の場において、将来二度と再びこういう事件が起こらないように体質を変えていかなければいけない、こういう問題ではないでしょうか。  政治家役割なり責任ということは、過去に起こったこと、これはもう反省材料として、大きな反省材料としてかみしめることは大切であります けれども、その問題はやはり司法あるいは検察、国税の手で公正に解決してもらう。私たちの、政治家役割なり仕事責任というのは、将来にあるのではないか。もし将来同じような事件が起こったら、これは今の政治家責任である、私はこのように思うわけであります。  したがいまして、政治家の第一義的な役割、第一義的な責任というのは、将来の問題である、将来このような問題が起こらないように今の政治家が種々検討、先ほども申し上げましたけれども、根本的、基本的、長期的、幅広い視野から問題の解決に当たっていくべきではないか、私はそういう意味で、政治家仕事、あるいは政治家責任というのはまさに将来にあるんだ、このように思いますが、建設大臣、政界の若きリーダーであります中村建設大臣に、この点についてどうお考えになるか、御所見をお伺いしたいと思います。
  4. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  先生から御指摘をいただきましたように、政治家が将来に対して責任を持つ、再びこのような事件が、問題が起こらないような、将来に対するしっかりとした責任を持っていくべきではないかという御指摘、私も全く同感でございます。  そこで、今回、建設業界に対して国民から非常に厳しい批判を受けることになったわけでありますので、今後こういった問題を将来にわたって起こらないようにしていくためには、現在の制度の中で競争性透明性をいかにして高めるかということが非常に大切な課題である、このように私は認識しております。  そこで、まず本年度は、トンネル、橋梁、あるいは地下駐車場等工事中心として、四月五日に七十一件の十億円以上の工事というものを公開し、それに対して、いわゆる技術情報を幅広く募集して、入札参加者を選定する方式あるいは施工に関する技術提案を認める方式、こうしたものを採用することによりまして、業者の方が自分の能力に合った技術を選択し、そこに応募していく。さらに、入札手続を透明化していくために、手続検討委員会というのを今局長中心として行っておりますので、これが大体一カ月以内に固まってまいりますと、手続そのものもさらに透明性を増してくる。  そういうことによりまして公共工事の適正かつ厳正な執行が整えていける、このように考えておりますので、御指摘をいただきましたように、将来にわたって責任のある行政の確立のために努力をしなければならないという責任を感じている次第でございます。
  5. 大野功統

    大野(功)委員 建設大臣から大変心強いお言葉をちょうだいしました。ありがとうございました。  さらに、考え方だけではなくて、もう具体的にこういうことまでやっているんだというお話をちょうだいしまして、大変力強く思う次第でございますけれども、今大臣お話の中に出ました入札手続改善検討委員会、一カ月ぐらいで結論を出していこう、こういうお話でございましたけれども、どういう点、技術力中心にという大臣お話ではありましたが、若干ポイントにわたってお話をちょうだいできればありがたいと思います。
  6. 伴襄

    伴政府委員 お答え申し上げます。  大臣談話という形で、今大臣が御答弁申し上げたような形で三月二十九日に大臣談話が出まして、それで、当面すぐできることをやろうということで、技術情報募集型指名競争入札方式と言っていますが、これは先ごろ七十一カ所やるということを発表いたしました。こういったようなことは、すぐにやろうというようなことをやっております。  それから、公共団体等でまだ十分普及できておりませんが、例えば指名基準を決めて公表するとか、あるいは指名業者の名前とか入札結果の公表とか、そういうのはもう直轄ではやっておりますけれども公共団体でやってないところがまだかなり残っているというようなこともありますので、そういうことはすぐ普及するというようなことをまずやろうということにしております。  それから、今大臣からお話がありましたように、この指名制度運用が恣意的になってはいかぬというようなことで、その恣意的な部分を何とか排除する意味では、やはり透明性を拡大する、透明性の度合いをアップする、あるいは競争性を高めることが大事だということで、そういう観点から、すぐにできることを具体化しようというようなことで入札手続改善検討委員会というのが設けられておるわけでございます。これは私ども技監を座長といたしまして、全局長が入ってやっております。  その具体的な中身でございますけれども一つ指名基準を具体的にしようということで、今指名基準が例えば直轄の場合八項目ほど決まっておりますが、やや抽象的でございますので、それを具体化しようというのが一点ございます。  それから二つ目は、指名されなかった者、あるいは落札されなかった者が、もしそのことに対して不満がある場合には、その理由の説明を求められたらそれに答えられるようにしようというようなことがございます。  さらには、今やみ献金等の話に関連しまして、積算基準が甘いんじゃないか、不適切じゃないかという御議論があります。私どもは、そんなことは決してないというふうに言っておりますけれども、なお、今の積算基準が実態を機動的に反映したものになっているか、合理的なものになっているかというようなことを再度見直しまして、そういうことを整備する、積算基準を整備するといったようなこともやりたいというようなことでございまして、このような事柄につきまして一カ月以内に結論を出すようにという大臣からの強い指示がございますので、できる限り検討を急ぐ、できるものからやっていくというようなことの姿勢で臨みたいというふうに考えております。
  7. 大野功統

    大野(功)委員 ただいまのお話で、入札手続改善検討委員会大臣の指令でなるべく早く結論を出す、その中でも、基準を明確化していく、あるいは指名されなかったものについて理由を説明できるようにやっていこう、積算の根拠を整備していこう、大変大きな進歩を我々期待できるわけでありますけれども、私は冒頭申し上げましたとおり、もっともっと根本的に考えることができないのか。基本的に考えることができないのか。  確かに大臣一つ透明度を増していかなければいけない、こういうことをおっしゃっています。もう一つは、競争性を高めていかなければいけない、こういうことをおっしゃっているわけでありまして、三月二十九日の建設大臣談話の中におきましても、大変前向きの、進歩が見られる御発言、談話があるわけでございます。  しかし、私は、確かに入札制度契約制度において、透明性大事だ、競争性大事だ、もう一つ物差しがあっていいのじゃないかという気がするわけであります。  その物差しは何かといいますと、やはり公平性といいましょうか、英語でいいますとフェアネスという考え方でありますけれども、例えばアメリカなんかは異質の要素で成り立っている社会ですから、大変このフェアネスという考え方が徹底しております。日本でいいますと、例えばお年寄りを大切にするということもフェアネス世界だと思います。あるいは体の不自由な方々にも雇用機会を与えていこう、一定限度で与えていこう、これもフェアネス考え方だと思うのです。  建設業界におきましては、私はやはり中小企業の育成ということも忘れてはならないのではないか。競争社会ばかりであれば、強い者が勝ちまして弱い者は必ず負けてしまう、弱肉強食の世界であります。だからといって、今私の申し上げました公平性ということだけを見ますと、これは大変安心はできるかもしれませんけれども、活気のなくなる世界になってくる。その兼ね合いが大変大切だし、フェアネスという概念を入れる場合には透明度がやや下がってくる可能性もあるわけでございますけれども、やはり私は、今申し上げましたように、一番大事なのは透明、そして競争かもしれないけれども公平性フェアネスという考え方もぜひとも取り入れていただきたいなと思う わけてあります。  そこで、御質問を申し上げてお考えを聞かせていただきたいのでありますが、透明性といった場合、今建設経済局長お話を伺っていましても、一般競争入札の方へ移行するというような感じはちょっとうかがえなかったのでありますけれども透明性確保といった場合には一般競争入札へ移行していく、これが一番透明性確保になるわけでありまして、なぜ日本ではそういう一般競争入札世界へ行けないのか、そういう問題があるのではないか。  それで、指名という制度にしますと、どうしても一定の数しか入れませんから、そこに見えない力が働く可能性は十分出てくるわけでありまして、しかも伺ってみますと、指名の場合、いろいろな分野でランクづけが行われている。ランクづけが行われていると、競争という観点から見ましても、例えば今回の入札Aランクだけであるというふうにいたしますと、Aランクが落として、そしてBランクなりCランク企業を下請に使う、こういうことが十分行われるわけであります。なぜランクづけということが行われるのであろうか。ランクづけはむしろ競争を阻害する要因となるのではないか、こういう問題が、完全な競争をするという観点からは、私は当然出てくると思います。  したがいまして、ランクづけをするとすれば、先ほど私はフェアネス公平性ということを申し上げたのでありますが、公平性という観点からすれば、競争社会に生きる者と公平性社会に生きる者、つまり競争という土俵相撲をとる企業フェアネスという土俵相撲をとる企業と、この二つあれば十分なのじゃないか。A、B、C、Dとたくさんのランクづけを行うから、そこに競争が十分発揮できない、しかも下請泣かせが出てくるおそれが十分あるのではないか。  今申し上げました透明性の問題からいうと、なぜ、制限性を持ったとしても、足切りがあるとしても、一般競争入札の方へ進んでいけないのか。二番目は、ランクづけという問題から見ると、どうも競争が阻害されるのではないか。三番目が、公平という観点からいうと、ランクづけはもう二つでいいのじゃないか、こういうことであります。  それに加えて、やはりこれは全国的に行うわけでありますから、地方公共団体が発注する公共事業についても十分指導をしていただかなければ、全体としてうまくいかない、この四点についてお尋ね申し上げたいと思います。
  8. 伴襄

    伴政府委員 今、特に公平性の点について御指摘ございました。確かに競争公平性というのはなかなか両立しない問題かと思います。  おっしゃるとおり、一般競争が片一方の極といたしますと、それだけでやっていきますと公平さが失われてくる。特に税金を原資とするような公共工事につきましては、受注機会確保公平性ということは非常に大事な問題かというふうに思っております。  現に、私ども今持っております指名基準におきましても、その指名に当たっては、指名とかあるいは受注状況を勘案して、指名が特定の有資格者に偏しないようにしなければならないというふうな運用をやっておりますし、それから、その指名基準の中に今手持ち工事状況はどうかというようなことを見てやりますので、やはり極力その公平さを保つようにするということは、この指名競争の利点というか、メリットとしまして扱っているという点があるわけでございますので、なかなか完全な一般競争に移行できないという理由もそこにあるのかなという気がするわけでございます。  そういった意味で、今の指名競争入札をとっていく理由として、受注機会確保、特にその場合には勘案しなければいけないのは、中小企業への配慮ということでございまして、先ほど申し上げたような七十一のプロジェクトにつきましては、これはいずれもかなり大規模な工事でございまして、大手が競争してやっていただくということもあると思いますけれども、なかなかそれを一挙に下のBあるいはCのランクにできないというのも、そういうところがあると思います。特に公共工事という性格からいきまして、受注機会の公平さということを担保するにはどうすればいいかということが大きな問題かというふうに思っております。  いろいろこういった制度につきましては、建設省直轄工事というのは全体の受注事業量の五、六%しか占めてないわけでございまして、七割以上は地方公共団体でございますので、そういったところにこういった考え方をどう敷衍していくかということが、先生指摘のとおり、大事な問題でございますので、その点につきましては、いろいろな、中央地方あるいは県レベルでそれぞれそういう発注者連絡協議会ができておりますので、そういったところで徹底、敷衍していきたいというふうに考えております。
  9. 大野功統

    大野(功)委員 私の申し上げた点、必ずしも十分カバーしていただけたとは思いませんけれども、申し上げた点は十分理解していただけたと思いますので、どうか、よりよき制度をつくるために頑張っていただきたいと思います。  私は、今から三十年以上前でありますが、初めてアメリカヘ参りました。びっくりしたのは、パイナップル畑の中を走っている農道が舗装されていること、どこへ行っても水洗便所があること、本当にびっくりいたしました。  公共事業というのは、まさに我々国民にとりましては明るい夢であります。そういう意味で、公共事業が正しく執行されることが必要でございますけれども、やはり私は、そういう夢を持っている国民のために公共事業があるのだということを、当たり前のことでありますけれども、この際、十分御認識をいただきたいのであります。  例えば瀬戸大橋でありますが、これはもう我々四国に住んでいる者にとりましては大きな夢が実現しまして、四国が島でなくなりました。この四月十日には五周年記念を迎えました。また記念行事が行われるわけでありますけれども、しかしながら、高速道路から瀬戸大橋をお渡りいただいて四国にお入りいただいた方はおわかりだと思いますが、山陽自動車道を通ってまいりまして瀬戸大橋へ入る、その入り口で関所がございまして、まずこれまでの道路公団通行料を支払い、決済しなければいけない。それから瀬戸大橋切符をもらって、瀬戸大橋を渡り切ったところで今度は瀬戸大橋通行料を払って決済して、それからまた四国横断道切符をもらう、こういうふうになっております。  確かに本四公団道路公団の違いはあるのでありますが、通行している人から見ますと、江戸時代じゃないわけですから、関所がそんなにたくさんなくてもいいのじゃないか、道は一本でございますので。これはもう技術的にはいろいろと問題があることは十分わかっておりますけれども、どうぞ国民の立場に立った建設行政ということを今後ともお願い申し上げたい。これが一つ。  それからもう一つは、例えば公共事業、今国民生活の本当の夢を実現してくれるものだと申し上げたのですが、公共事業の全体は確かにどんどん伸びているのでありますが、その中で、例えば住宅対策とか下水道、公園、海岸、治水、道路整備、こういうふうに分けて考えますと、この十年間ぐらいはほとんどシェアが変わってない。もちろん三十年ぐらいのスパンをとってみますと、住宅対策なんというのは、昭和四十年度には七・九%のシェアだったのが今一七・二%、相当伸びていますのでも十年ぐらいのスパンでとってみますと、これはほとんど変わってない。私はやはり、世の中変わっている、今重点政策は何だ、その重点政策をいろいろ考えてやっていくのが政治家役割じゃないか。変わっていく世の中で、今国民のニーズは何か、これを見きわめてやっていくのがやはり公共事業じゃないか。国民生活との関連で見まして、この二点、大臣ひとつよろしくお願い申し上げたいと思うのであります。  時間もありませんので、もう一つぜひともお願いしたいのは、公共事業というのは景気回復、経 済対策として大変大きな役割を持つわけであります。いつも前倒しということを言われますが、ことしは特に大幅な前倒しをよろしくお願い申し上げます。  以上三点、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  10. 中村喜四郎

    中村国務大臣 最初の質問は、道路局長にちょっと答弁させたいと思います。
  11. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生指摘のように、高速道路だけではなくて、有料道路がつながってまいりますと、当然のことながら利用者中心とした徴収方法、要するに利用者が不便にならないような停車回数にするように考えることは当たり前だと思っております。御指摘のとおりだと思います。  そこで、名神の例えば豊中インター阪神高速一体徴収といったような、いわゆる一体徴収方式をいろいろと工夫してまいっております。瀬戸大橋の場合は、早島インター坂出インターで今徴収をさせていただいておりますが、これは実は本四公団の独特の事情がございまして、先生御承知のとおりだと思いますけれども本四だけは独特の割引制度をとっております。そのために、今はやむを得ずこの二カ所でこういう一体徴収をさせていただいております。高速道路本四一体徴収という形をやらしていただいております。  ただ、特殊事情だからこのままでもう永久にいいんだというふうには考えておりません。したがって、いろいろなカードシステムあるいはリモートカード等々含めて、今後どのようにしていったらいいか、引き続き私ども研究をさせていただきたいと思っております。  そういう意味で、いずれ山陽道全線つながり四国高速道路が全線つながった暁のことを考えて、いろいろと先生の御指摘を生かすべく今後ともやってまいりたいと思います。
  12. 中村喜四郎

    中村国務大臣 第一問につきましては今政府委員が答弁をいたしましたが、確かに利用する側から見れば先生の御指摘のとおりだと思いますので、難しい点は今政府委員から答弁をいたしましたが、もう一歩踏み込んで何とか具体的に改善ができるように私の方からも指示していきたい、このように考えておりますので、御了解をいただきたいと思います。  第二番目の、公共事業の配分というものはやはり国民ニーズに合ったものとして投資されるべきではないかという御指摘については、私も基本的には先生考え方と同感でございます。ただしかし、我が国の場合は、道路にいたしましても、住宅にいたしましても、下水道にいたしましても、まだ全体的に平均値にまで水準が達していない、こんな状況でございますので、まず全体的に欧米先進国と比べて見劣りのしないような公共事業社会資本の整備というものを行っていく、このことがまず第一番目に必要なんではなかろうか。  その上で、先生指摘をいただきましたように国民のニーズに合った公共事業の投資というものをどう考えるかということは当然必要なことだと考えておりますので、今後の検討課題とさせていただきたいと思っております。  そして三番目が、予算の前倒し執行を効果的にというお話をいただいておりますが、平成五年度の事業執行につきましては、引き続き切れ目のない発注を行っていきたい。三月に所管の各発注機関に対しまして、年度当初に発注を予定されておる事業について、事前に設計、積算等の諸般の準備をすること、大幅な事務の簡素合理化を図ること等を指示し、今実施しているところでございます。  五年度の執行方針につきましては、景気対策の一環として現在検討中でありますが、各発注機関に対しましては、所管事業の施行促進に特段の努力を払うこと、特に第一・四半期の執行については前年度の実績を上回るように配慮することということで、今対応させていただいております。
  13. 大野功統

    大野(功)委員 ありがとうございました。  井上国土庁長官、お忙しい中お越しいただきましてありがとうございます。  国土庁というのは、私はやはり大変夢のある官庁だと思っております。日本の国土全体をどういうふうにデザインをしていくのか、言ってみれば総合デザイナーみたいな役割を果たしておられるのではないかと思いますけれども、総合デザイナーの中でやはり私がお願い申し上げたいのは、ふるさとにはふるさとの夢がある、ふるさとにはふるさとの特色がある。したがいまして、こういう夢とか特色を余り壊さないで日本全体の夢をデザインをしていただきたい、こういうことでございまして、そういう意味では、地方拠点法の地域指定というのは都道府県の知事がやることになった。私は大変な進歩だと思いますけれども、第一点、今後ともひとつ地域の夢を壊さない、地域の特色を壊さないでデザインをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  時間がありませんので、質問三つ、一緒にさせていただきます。  二番目の質問は、これもやはり本当に新しい夢、明るい夢を与えてくれておりますのが、この厳しい経済情勢の中での新しい国土軸の問題であります。夢は大きいのでありますけれども、よく見てみますと、調査費がわずか一子二百万円しかついてない。こんなことで一体夢が実現できるのだろうか、疑っておるのでありますけれども、どうぞ金もうんと、予算もうんと、調査費も増額していただいて、早くこの検討結果を出していただきたいなと思うわけであります。  もう一つ、三番目の問題として、一極集中是正が叫ばれておりますけれども、この中で特に意義あることは、首都機能の移転、つまり国会等の移転法ができたことでありまして、この点についての青写真について簡単に御説明いただければ大変ありがたいと思います。  以上三点、よろしくお願いいたします。
  14. 井上孝

    ○井上国務大臣 ただいま大野委員仰せのとおり、国土庁といたしましては、四全総に従っていろいろな計画を実現するように努力をしておるわけでございますが、先般つくりました地方拠点都市法、あれにおきましては、もう御指摘のとおり、地方の創意工夫を生かしていこう、こういうことで、地域の指定につきましては知事さんがこれをやる。やる前に国と協議をしていただくということになっておりますけれども。そして、地域を指定しますと、計画づくりは市町村にやっていただくというような、従来にない、先生のおっしゃる地方の夢を何とか生かしていこう、こういう趣旨でつくられたものであることは、もう御承知のとおりでございます。国といたしましては、そういう夢のある計画を、補助金とかあるいは地方債というような手段でこれを支援していこう、こういう趣旨であることは御承知だと思います。私どもは従来から、例えば、わずかな補助金でございますが、地域個性形成事業補助とかあるいは過疎地域活性化モデル事業というように、わずか数億でございますが、補助金を出して、それぞれの地域のいわば小さな創意工夫を育てていくという事業もやっております。今後とも、国が余り前面に出ますと画一的な物まねみたいなものが全国にはびこるというようなことでございますので、地域のやる気を生かしていこう、こういう態度でこれからの地域開発を考えていきたい、こう思っております。  それから、先ほど申しました四全総につきましては、御承知のとおり、東京一極集中を排除していこう、こういうのが中心課題ではございますが、現実にはまだ、六十二年に東京に十六万人社会増があった、これが平成三年には八万人に半減はしております。したがって、東京一極集中がやや鈍化したと口では言えるわけでございますが、現実には、地方がますます活力を失っていく、東京の一極集中がますます激しくなるというような現実認識でございますので、今国土審議会の中の調査部会というところにお願いをいたしまして、四全総の点検をしていただいております。その中に、大野委員おっしゃいます国土軸という、高速交通体系を生かして、今は一本しかない軸、東海道―山陽、これを、第二国土軸として四国を通り九州に至る軸、あるいは東京から北海道へ至る東北 の軸、あるいは日本海沿岸を通る日本海国土軸というような提案もございますが、この調査部会において四全総の見直しの際に非常に大きなテーマとしてこの国土軸が取り上げられておるという状況でございますので、御指摘のようにわずか千二百万ではございますが、本年度から国土庁に調査費をいただきまして、真剣にこの軸についての勉強をやりたい、こう思っておる次第でございます。  それから、最後にお尋ねの国会等の移転に関する法律でございますが、おかげさまで昨年の暮れに成立をさせていただきました。それからとりあえず法律に規定がございます国会等の移転調査会、これの編成を今まで一生懸命やっておったわけでございますが、先般、三月の未にメンバーを決定いたしまして発表させていただきました。このメンバーをごらんになりますとおわかりだと思いますが、こういうことに各界の意見を代表していろいろな次元の高い御議論を賜るような方々にお引き受けいただきました。これは三月三十一日に総理大臣の任命を終えまして、三十二名の方をお願いをいたしました。今のところまだはっきり申し上げられませんが、四月の二十日に第一回、今月中に第一回の調査会を開かせていただきたいと準備を進めておる次第でございます。  この調査会では、法律の規定によっていろいろ、移転の対象範囲とか、あるいは移転先の新しい都市のつくり方とか移転をした後の東京をどうするかというような問題も含めて御議論を願うことになっておりますので、国土庁はその事務局として一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。
  15. 大野功統

    大野(功)委員 井上国土庁長官のおっしゃいましたこと、大いに推進していただきますようお願い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  16. 野中広務

    野中委員長 次に、木間章君。
  17. 木間章

    ○木間委員 私も議論に参加をさせていただきたいと思います。  金丸被告の佐川疑惑事件が大型の脱税事件となって広がり、その摘発を通じて建設業界ぐるみの同被告への巨額の不正献金の事実が明らかになってきました。建設業界は、我が国の公共事業も、すべてを施工段階で担当しておる業界でして、社会資本の蓄積過程で、今国民の目には請負契約に不正はなかったかどうか疑問が持たれておるところであります。献金問題は次の機会に譲らしていただきまして、きょうは、公共工事をめぐる指名入札問題に絞ってただしたい、こう思っておるところであります。  日ごろから、とかく公共工事をめぐる入札やあるいは入札に入る前の指名や、あるいは談合などがありやしないか、ささやかれてきましたが、ここへきて、その実態の一部が浮き彫りになってきたと私は思っておるところであります。発注官庁を舞台にいたしまして政治家やあるいは建設業界が絡んだ指名の際の不正、入札談合を構造的に、そして恒常的に繰り返してきた疑いが濃厚でありますし、公正でなければならない、そして自由な競争でなければならない、そういった基本的ルールが根底から崩壊しかねないような事態だ、私はこのように受けとめざるを得ないのであります。  このような一連のことにつきまして、建設大臣はどのように受けとめていただいておるのか、認識を明らかにしていただきたいと思いますし、あわせまして、今どのような手法を打つべきなのか、打っておいでるのか、お伺いをしたいと思っております。
  18. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  建設省としては、今回の件について、業界がいわゆるやみ献金を行っていたのではないかという国民の厳しい批判を受けていることになり、あわせて、公共工事入札契約制度運用について不透明な点があったのではないか、このような指摘を重く受けとめまして、去る三月の二十九日に大臣談話建設省の対応方針を発表させていただいたところでございます。  この方針は、公共工事入札契約制度について透明性競争性を高めていくために、建設省直轄工事におきましては、技術情報募集型、施工技術提案型、この方式を導入いたしまして、本年度、トンネル、橋梁、地下駐車場等工事中心に七十一件の工事について十億円以上のものを公開をしまして、四月五日にそれを明らかにしたところでございます。  また、入札手続の透明化、適正化を図るために、指名競争入札制度の改善を図ることとし、四月一日に、省内に全局長等を構成員とする入札手続改善検討委員会を設け、約一カ月程度で指名基準の具体化、非指名者に対する理由説明等を検討し、早急に結論をまとめたいと今改善に取り組んでいるところでございます。  さらに、建設業界に対して企業倫理の確立を求めていかなければならない、強く要請いたしましたところ、日建連、全建、今後それぞれの団体が、企業一丸となって、企業倫理の確立のために政治資金規正法に違反する献金は一切行わない旨の決意を自主的に表明し、建設省としても、その内容が速やかに徹底、遵守されるよう指導していきたい、このように考えております。
  19. 木間章

    ○木間委員 建設業界にも指導をしておるところと、このようにお答えをいただいたわけでありますが、このような疑惑事件などなどが起こりましてからの業界への手だては私はいかがなものか、日ごろから業界指導をしていただかなきゃならない問題であろう、こう思っておるわけです。  建設業法では、健全な発達を図ることを目的として建設業団体を認めておりますし、あるいは届け出を受けた大臣や知事は、指導、助言、勧告も行うことになっております。したがいまして、こういった事件が起こらないように、日ごろから建設業と密接なそういった連携をとりながら、指導、助言、勧告などの対応をしていくべきでありましょうし、今日までどのように業界に接してこられたのか、こういったことをまずお尋ねしたいと思っております。
  20. 伴襄

    伴政府委員 お答え申し上げます。  建設業団体が日常的にどのような指導、助言、勧告を行ってきたかというおただしてございますが、先生指摘でございましたように、この建設業関係の団体というのは建設業法上で規定されているわけでございます。もちろん、それぞれが公益法人であることが多いわけでございますので、その主管の大臣あるいは知事の認可を受けた団体でございますが、それがこの建設業法上の団体としてそれぞれの大臣あるいは知事に届け出るというようなことにしております。  この法律に基づきましていろいろな規制がございますが、規制とあわせまして建設業者みずから建設業の振興あるいは近代化に向けて努力してもらおう、団体を中心としながらやってもらおうという趣旨かと思います。  したがって、これらの団体は自主的に業の発達のための活動を行う、そして、いろいろな個々の建設業者に対する各種の指導、通達等は、その多くはこの団体を通じまして個別業者に周知徹底を図っていくというようなことで、これはそういう形で今までやっておるわけでございます。  例えば、今構造改善、建設業界の近代化ということで、官民一体となって構造改善事業を進めております。現在は、平成四年度から第二次構造改善推進プログラム、三年計画でやっておりますが、この場合も同じでございますけれども、やはりこれも各業界団体がその中心的な実施母体であるというようなことでございまして、いろいろな構造改善の努力も、この関連指導もいろいろございますけれども、こういったことも含めまして、きめ細かく業界団体がみずから実施中心母体というような形でやっていただくというようなことをやっておるところでございまして、折に触れてこの業界団体、特にもう五十二万もある業者でございますので、この業界団体の活動を通じながらいろいろな行政施策の浸透あるいは自主的な盛り上がりを期待しているというようなことでございます。
  21. 木間章

    ○木間委員 五十二万社の個々の指導については、業界に自主的にやっていただこうということで任せておるような答弁もいただいたわけですが、後 ほどその業界団体が何をやっているのか、具体的にまた申し上げていきますので、お願いをしたいと思います。  私ども社会党は、公共工事に係る不正献金問題等調査特別委員会を発足させたのは、御案内のとおりであります。そして今日、全国的に各県でどのような行政が執行されておるのか、とりわけ公共工事、県や市町村の行政の進め方についても点検を行っておる最中でありまして、私ども中央におきましても、勉強会、ヒアリングを続けながら、また調査活動も行ったところであります。  先般、山梨県を訪ねまして、建設省、県庁、そして業者団体などから事情聴取を行いました。公共工事入札、契約の執行については、今日まで皆さんは常に公正だ、公平だと繰り返してこられたわけでありますが、それはどうも永田町だけのような気がしてなりません。施工現地では必ずしも皆さんの思いどおりにといいましょうか、なっていないということが明らかになったところであります。談合が深く潜行し、そして従わない業者には、業界、役所ぐるみで圧力がかかるなど、指名から外されておるという事例も明らかになったのであります。  一つの例でございますが、事の発端は、県土木部発注の小淵沢町岩窪地内の道路改修工事に絡むものでありまして、この入札は平成三年五月に執行されております。入札は昨今の指名競争入札でございましたが、結局、業者間で折り合いがつかない、こういう表現はよくないかもしれませんけれども、そのような状況下で二社でいわゆる競争、たたき合いとなったわけであります。落札もはっきりいたしましてこれで事が終わったのかな、こういうことであったようでありますが、問題はその後に起こったのであります。そして、この工事で落札した業者が、以降、指名は一切行われておりませんし、今日も公共工事から外されておるのであります。  もっと具体的に申し上げますと、落札した藤森建設が平成三年七月十日に、二カ月後ですね、県の出先の事務所に呼ばれまして、当時の出張所長に会っております。面談の内容は、甲府の建設協会本部より藤森を一年間指名停止するように要請があった旨伝えられまして、県もそういう対応で今後やっていきます、こういう断罪を通告されたわけであります。  ですから、私は、皆さんが公平公正だとおっしゃっておられますが、実際に施工される現地ではこのようなことが、あってはならないことが、実は判明してきたわけであります。  このことがあった後、今度、農林省の関係の事業の入札がありました。たまたま既にこの藤森建設も含めまして指名されておりましたので、入札に参加いたしました。現地説明の前日でございますが、再びこの県の出先所長に呼び出しを受けまして面談をしております。広域農道の一つの工区を指名したが、甲府地区の業者が欲しいと言っているので、つまり早野組に譲ってほしい、こういうことを伝えられました。そして、所長は、このことについては県庁の耕地課長よりもその旨を伝えてほしい、こう付言されておるのでありまして、この藤森組に、何とかならないか、こういうことがあったようです。  このことをめぐりまして、当時は現地でマスコミの皆さんも取材をし、報道もされたわけでありますが、こういったことが現実、現地ではあったということでありまして、このことについて建設省は知っておられるのかどうか、あるいはどのようにお考えなのか、御意見を賜りたいと思います。
  22. 伴襄

    伴政府委員 ただいま山梨県における具体的なお話がございました。私どももちょっとその最初の土木の工事あるいは農地関係の工事の話がございましたけれども、突然のことでございますので、それに関する正確な情報を当然持ち合わせておりませんし、また、今のお話ですと、土木関係だけでなくて、県の農林関係の発注の仕事もあるというふうに承っておりますので、実態については十分承知できない立場にありますけれども、山梨県に関しましては、今お話がありましたような知事選挙に絡んでの勝ち組、負け組の話等々、いろいろな話に新聞報道等で接しているわけでございまして、それが事実であるとすれば大変ゆゆしい話かと思っております。やはり公共工事の発注というのは、国民からもいささかも疑われることのないような、適正かつ厳正に行うということが当然のことながら基本でございますので、そういう意味では、公共工事を担う建設業界にはきちんとした企業倫理の確立に努めてもらうという必要があるというように考えておるわけでございます。  山梨県の建設業界におきます企業活動につきましては、いろいろそういう御指摘、報道等も承っておりますので、我々としましては、一般的に建設業を育成指導する立場から、こういった協会についてもいろいろヒアリングをしてみたいというふうに考えております。  ただ、協会あるいは業界は、県知事の許可の業者であったり、あるいは協会であったり、認可の協会であったりということでございますので、当然のことながら、県当局を通じてとか、あるいは全国建設業協会という全国団体がございますので、それを通じて、しっかりとその状況を調べてみたいというふうに考えております。
  23. 木間章

    ○木間委員 地方の出来事だからというふうにも聞こえました。  先ほどの局長の答弁では、五十二万社もあり、各地区に協会もあるから自主的に運営も任せておるというような御説明もいただいたわけでありますが、協会ぐるみでそういったことがあったということを今申し上げたわけでありまして、皆さんの今日の対応は建設業法に乗っかっていない、私はこう指摘せざるを得ないのであります。  また、伴局長は、選挙の結果勝ち組、負け組、そういう御発言もあったわけです。各地にそういったことはなきにしもあらずでありますが、とりわけ私どもが入りました山梨では、二年前の知事選挙の結果、極端にあらわれておる地区でもありました。政争が激しい地区だと言えばそれまででありますが、行政にまでその影響をもたらしてはいかぬ、私はこう思っておるわけです。  先ほど一つの例を申し上げましたが、このほかにも幾つかあるわけです。  例えば、当時の地元紙の報道によりますと、ある一日に県管理下の入札結果が載っておりました。この日競争された案件は十一件でございましたが、一人の特定業者が六件に指名をいただいておるわけであります。業者指名を選定されるときには当然、七、八社、十社前後ほどなんですから、たくさんの中でランクごとに選ばれるわけでありますが、一人の業者が十一の案件の中に六カ所にも指名を受けておる、これも極端な例でおろうと思います。ですから、どの件にも指名をされない業者もたくさんおるはずでありますから、これも指摘をしておきたい、こう思っておるわけであります。  また、平成四年度、昨年一年間の県発注の工事を各部署別に調べてみたわけでありますが、一つ業者は百九件を落札しております。いま一人の業者は十三件の落札であります。現地のいわゆるランクづけの位置では同系列でありまして、しかも百九件を落札した業者はずっと下位の方です。そして十三件の業者はトップクラスであります。こういったことが実は平然と行われておるのでありまして、私は大きな疑問を持った一人であります。  また、勝ち組、負け組が建設協会ぐるみで行われておったという事例も申し上げたわけでありますが、山梨の建設協会は六百六社から構成されておりまして、全県に八つの支部を持っております。それで、負け組が支部の役員をしておれば仕事は出さない、堂々と発注者、つまり自治体なんでしょうが、職員からそのように宣告をされまして、役員は役職から離れるという報告もいただいたのであります。そして、このようなことが、県レベルの問題だけではなくて、今日全県の市町村に蔓延をしておる、こういう状況であるわけです。  それで、地方のことだからでは済まされないと思いますから、とりわけ県の土木部長さんにお金 いをしてきたわけでありますが、建設省の天下りの方でありました。そのほかにも土木部においでるわけでありますが、皆さんは指導をいただかなければならないのは当然であります。  私は、ここに当時の新聞切り抜きも持っております。また、県の出張所長とのやりとりのテープも持っております。もし必要なら皆さんに一時期提供もやぶさかではございませんけれども、こういったことが今や全県的に行われておるとなりますと大変なことであります。  あるいはまた、今までの風の便りには、全国あちこちに大なり小なりなかったことではない、そういうことも聞くわけでありまして、このことについて今後どのように対応いただけるのか。ぜひ対応をしていただきたいと思いますが、建設省、いかがでしょうか。
  24. 伴襄

    伴政府委員 今先生からお話のあった件は、特に発注サイドというか、発注の対応についていろいろ問題があったというようなお話かというふうにも承るわけでございますけれども、御案内のとおり、まさに発注業務というのはそれぞれの発注主体が責任を持ってやるものでございまして、私どももいろいろな、例えば建設省直轄で改善点を出し、こういうふうに改めたい、あるいはこういうふうにするといったようなことを言いましても、なかなかそこの周知徹底ができないのは、その辺に悩みがあるわけでございまして、それぞれ国にもほかの発注主体がございますし、それから公団、事業団もまた別の発注主体でございます。  まして公共団体におきましては、全く別の発注主体としてそれぞれの入札契約制度をとり、それを運用できるという建前になっておりますので、今のような御指摘ございましたけれども、もちろん県から事情を聞くということは可能でございますけれども、県発注の対応そのものについて直接どうこうするというわけにはなかなかまいらないという気がいたします。  それの受注者側であります業指導の立場も、あるいは団体、これは限界がございますけれども、その限界の中で業監督の立場からいろいろアプローチすることは十分やりたいと思っておりますが、今の県発注のいろいろな具体の問題につきましては、事情は聞いてみたいと思いますけれども、直接にどうこうするという立場にないということは御理解賜ればありがたいと思います。
  25. 木間章

    ○木間委員 皆さんの日ごろの癖は、きわめつけになりますと、それは自主的にやっておるんだから、こう言っていつも逃げられます。口を開けば、公共工事は我々の手にあるんだ、こうおっしゃるわけであります。また、国民皆さんの目からいたしますと、それは、国の直轄施工であれ、県や市町村の個々の施工であれ、それぞれの皆さんの税金で工事が進められておるわけでありますから、どこが主体であろうと国民の目には同じように映るわけであります。  先ほども申し上げましたが、県へそれぞれの年度に土木部長や幹部を派遣されておりますから、私は逃げちゃいかぬ、こう申し上げざるを得ないのであります。やっぱり正すべきはきちっと正していく、そして公共工事を真に国民のためのものにする、そしてまた、それに至る入札制度その他も公平、公正でやっていこう、そういう決意がなければいかぬと思うんです。このことについてもぜひ英断を持って正していただきたい、こう思っておるわけであります。  次へ進みますが、公共工事の落札者で、本省は指名業者に集まってもらって入札を行っていくわけであります。本来でありますと、先ほども大野委員からお話がありましたように、すべて公平、公正でなきゃならぬ、そういう意味では、私は一般競争入札が一番妥当であろうと思っておるところでありますが、まあそれはそれといたしまして、近年は現場説明に行った段階で既に落札業者が決まっておるということを聞くわけであります。  まあ山梨でもその話を聞いたわけでありますが、以前は例えば業者が集まってカードを配って、そして自分が本命だからこういう数字でお願いします、こういうことが日常茶飯事に行われておったという証言をいただきました。しかし、最近は業者が集まりますと人目につきますから、それは業界の会館であれ、どこであれ、人目につきますから、夜間電話をかけるようであります。自分が本命ですから、あなたどうぞよろしく、数字はこんなものでありますということが電話戦術でやられておるのであります。まあ確かに電話でありますから相手だけの話で済むわけでありますが、この点にも十分留意をしていかなければならない、こう思っております。  ところがまた、近年特にこの件についてはこういった方からの御下命でありますので、こういうことが実はささやかれる時代だという証言があったわけであります。これは一体どういうことなのか。入札指名の段階でもいろいろありますし、あるいは入札、落札の段階でもこういったことがまかり通っておるとしたら、私は大変なことであろう、こう言わざるを得ないのであります。また、この点についても証言台に立ってもいい、こういう方も実はおられることも付言をしながら、この状態についてどのように受けとめておられるのか、御決意があれば、お聞きしたいと思います。
  26. 伴襄

    伴政府委員 これもちょっとまた具体のお話であるかのようでございますけれども、十分私ども判断できるような正確な情報は持ち合わせておりませんが、そういった事柄が、例えば独禁法違反というようなことになれば、それはそのしかるべき官署が認定するわけでございまして、そういったことがあるかどうかを待たないと、なかなかそういううわさとか報道とかだけでは我々も動けない立場かなという気がするわけでございます。  いずれにいたしましても、そういった事柄が、例えば独禁法違反であるとかあるいはその他いろんな法令に違反するというようなことがあれば、それに対しては、それに応じた的確な対応をするという立場でまいりたいというふうに考えております。
  27. 木間章

    ○木間委員 伴局長、そういうことがあれば法手続に従って罰すればいいでは私はやっぱり済まぬと思うんです。  私は、別に今道路問題で道路局長にこういうことがあったよ、あるいは住宅問題で住宅局長に申し上げておるんじゃなくて、建設経済局の使命は何なのか、やっぱり日ごろから業界を正しく指導する、助言をする、そういったことが皆さん仕事じゃないでしょうか。直接皆さん仕事なんですから、そういう的外れの答弁をいただいたんでは、私は理解ができません、納得できません。そういったことで、ぜひ肝に銘じて日ごろから業界の指導、業者の指導をぜひ的確にやっていただきたい。これは皆さんが給料をもらっておいでる中の大きな仕事でありますから、そのことをぜひ求めておきたい、こう思っておるわけであります。  それから、次に移らしていただきますが、建設行政、とりわけ指名に至るまでの間はどうも密室の事務処理のような実態があるわけであります。指名競争業者選定については、それぞれ選考委員会を設けて行っております。しかし内容は、幾つかの事例で申し上げましたように、不公平きわまりありません。ですから、まず指名ランクづけの段階ですき間がありますから、あるいは実力者等の介入の余地もあるでしょう。さらに落札の段階でも、先ほど申し上げましたようにすき間が存在をしておるわけでありますから、私はこういったことは何としてでも事前に防がなさやならぬと思いますし、やっぱり競争に参加する皆さんについては審査をしておるわけでありますが、そのランクづけの問題について公表をしていただきたい、こう思っております。と申し上げますのは、例えばランクづけの判断をされるときに客観的要素と主観的要素で成り立っておるわけでありますから、ですから、私はやっぱりそういう中で公表をやっていただきたい、こう思っておりますが、いかがでしょうか。
  28. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 御案内のとおり、公共事業の発注につきましては、登録をしていただき、ランクづけを行い、その上に立って指名を行わしていただいて競争に入っていただく、こういう手続 でございます。そのプロセスで非常に不透明である、わかりにくいという御指摘と存じますけれども、私ども、まずランクづけは、今先生もおっしゃいましたように、客観的事項、主観的事項両方、両々相まったもので、いわば厳正なというか機械的な計算をさしていただいておるということが前提でございます。  ちょっと細かいことで恐縮でございますけれども、具体的には年間の完成工事高あるいは自己資本額、職員数、経営状況工事成績、安全成績、こういったことなどを客観的要素あるいは主観的要素として見ているわけでございますが、とりわけ年間工事高だとか、自己資本、職員、経営状況、こういったものは、経営事項審査の結果でもって機械的、客観的に出てくる数値というものを前提にいたしております。これが大体総合評価の中の八割くらいのウエートを占めておるという状況でございます。  しかし一方、これだけではなかなか機械的過ぎるということも現実ございます。やっぱり発注者として過去の実績等についての信頼感、こういったものが大変重要になってまいりまして、そこで工事成績だとか特殊な工事に関する経歴あるいは安全管理がどうであるか等々、事故問題等考えますと大変重要な要素である。こういったことを、いわば発注者としての主観的評価ということをやらしていただいておりますが、これが全体の評価の大体二割くらい。この考え方についてはもう公表されておる算式でございますが、今先生がおっしゃったいわゆる公表云々について、個別企業ランクがどこであり、何点の点数であるかということにつきましては、やっぱりそれぞれの企業間のいろいろな問題が、プライバシー的な問題もかかわってまいりますものですから、これについては公表を差し控える、こういう次第でございます。  そういう上に立ちまして、私どもは当該発注工事の対応するランクから十社くらいの業者指名する、これはもう御案内のとおりでございますが、その場合に、今先生もおっしゃいましたけれども、私どもは合議制のシステムでやらせていただいておる、こういった次第で、できるだけ主観的というか、恣意的というか、そういった批判を受けることのないような細心の注意を払ってのシステムで運営させていただいておる、こういう実情でございます。
  29. 木間章

    ○木間委員 官房長、先ほど大野委員質問に対する説明の中に、例えば指名に漏れた人とか、あるいはランクづけについても苦情があるだろうから、その不満にこたえるために説明を行っていきます、こうおっしゃっておいでるわけであります。  となりますと、今の御答弁と少し矛盾するであろう、私はこう思っております。  例えば、点数制でおやりになっておりますから、私は、そういうことについてプライバシーも存在をしないのじゃなかろうか。やはり公開の原則に立っていくならば、おたくはこういう点数であります、そして、特Aにランクしました、Aにランクしましたと言っても、差し支えないのじゃないでしょうか。ぜひこのことについても十分内部で御議論をいただいて、そして処置を求めておきたい、こう思っておるところであります。  いま一つは、指名入札の結果を公表していただきたいのであります。私たちは現地へ行く前に、建設省、そして県土木に対しまして、それぞれの工事ごとに指名者の一覧表、そして落札者の氏名、金額を示していただきたいことを文書で要請いたしました。現地へ伺いまして、建設省の甲府工事事務所長といろいろ議論をしたわけでありますが、甲府事務所長は公表できない、このことで最後の最後まで拒否をされたわけであります。  先ほども申しましたが、国の会計法、そして公金の出入りについては公開が大原則でありますから、このことを秘密にすべきでないだろう、隠し事をされますと、逆に私たちはひがむ性格もないわけではございませんが、何かあるのじゃなかろう分、実はこう言わざるを得ません。  これも先ほど申し上げましたが、勝ち組、負け組、特異な例だろうとは思いますけれども、そのときの状況によって極端に仕事がふえていく、極端に仕事が減っていく、こういったことはあってはならぬと私は思っております。お互いに競争のことでありますから、まあ競争原理が生かされればいいのでありますけれども、その前段に指名という作業が伴っておりますから、やはり競争をしようにも指名をいただかなければ何にもならぬわけでありますから、このことに重きを置いていただきたいと私は思いますし、重ねて申し上げますが、山梨県の国の事業、県の事業につきまして、過去三年間一億円以上の案件について資料提供を求めておきます。どうですか。
  30. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 契約制度の公明性というものを担保するために、昭和五十七年五月以降の措置としまして、工事ごとに指名業者あるいは入札者、一冬入札者の各回の入札金額あるいは落札者、落札金額、こういったものを直ちに閲覧するという方式で私ども公表させていただいております。そういった中で、直轄事業においてはこの公表制度というものは徹底しているはずでございますし、徹底しているところでございますが、正直言いまして、この公表の実情は、各公共団体レベルになるとどうであろうかということになりますと、必ずしもまだ十分に行われていないという実情も承知いたしております。  このことについては、昨年の十一月の中建審の答申、これでも同じようなことが言われておるわけでございます。これはちょっと形式論で恐縮ですけれども、先ほど来ちょっと出ておりますように、この公共事業の発注業務というのは、国あるいは公共団体等々それぞれの発注機関のいわば固有の事務であるわけでございまして、そういった意味で、中建審の答申も、国、各省、建設大臣もそうですけれども、に加えて、各県知事にあてて建議がなされておる、こういった仕組みになっております。  したがいまして、いささか形式的なことを言いますと、各公共団体におきましても、こういった建議の趣旨に対して、そういった方向での御努力というものをしっかりとやっていただくことが必要だろうというふうに考えております。  ただ、これを、ちょっと先ほどの先生のお言葉を使わせていただきますと、英断を持って指導するということになりますと、いささかくどくなりますが、やはり公共団体と国、建設省の関係ということについては、現在の行政システムの根幹に触れる部分が出てまいります。そういった意味で、私どもはいわゆる中央建設業審議会の事務局という立場でいろいろと御理解を深めていく、周知徹底していくというふうな運びになろうかと思います。そのためには、地方におきます公共事業に関する連絡協議会、こういった場等々も通じて、建設省のやり方あるいは中建審の答申の趣旨、こういったものを十分理解を深めていきたい、また、その方向での御努力をお願いしていきたい、こんなように考えております。  そこで、今先生の方からありました第二点目の山梨県内での直轄工事の過去三年分の資料の提出要求でございます。  今申しましたように、私ども入札結果はすべて閲覧方式で公表しているところでございますので、何も秘密にするものではもともとございません。そういった意味では、資料の御要求につきましては、私どもも別にふだん隠すというものではございませんが、ちょっと御理解いただきたいのは、何分にも私どもの事務所等々の事務処理の体制の問題がございます。そういった意味で、御要求いただく資料の内容、詳しさ、ボリューム、こういったものと私どもの作業能力ということで、ある一定の限られた時間の中で的確に対応できるかどうかという面であるいは御迷惑、御無礼なことが起こるかもしれませんが、いずれにしましても、この辺につきましては、委員会の御判断等もいただきながら、私どもはできる限り御要望に沿える線で頑張らせていただきたい、かように考えております。
  31. 木間章

    ○木間委員 官房長も、自治体のことは自治体の主権が存在しますし、また、根幹にかかわる問題 でありますからと言って逃げられております。私は一面理解もできるわけであります。  ところが、この資料の公表について、私どもの要求について、山梨県の土木部長はこたえていただきました、後刻送りますからと。ところが、建設省の甲府事務所長はかたくなに、頑強に拒否を続けておるわけであります。恐らく地建かあるいは本省の指示があったのではなかろうか、私は実はこう言わざるを得ないのであります。  そして、今官房長は、この問題については、体制の問題もあり、作業量の問題もあり、こういう御発言をちょうだいしたわけでありますが、私はいささかどうか、こう思うのです。というのは、二年前に建設委員会理事会で、ぜひ業務の煩雑、繁忙性から増員要求をしよう、こういうことを確認して、皆さんも存じておいでるところであります。  また、行政改革が始まったときに押しなべて行政改革が実施をされました。人減らしが進められていったわけであります。私は行政改革そのものは反対ではございません。やはり過去の遺物みたいなものは、この機会に整理をする。しかし、新たな時代に向けて新しい作業量、事務量もふえるわけでありますから、増加もあっていいのじゃなかろうか。それが、事務的、機械的に押しなべて一律パーで減員になっておるのです。むしろ私から申し上げますと、皆さんがそのことをお認めになっておられたのでないだろうか、こう言っても過言ではないと思います。天の声だからでは、やはり私は今の御答弁では納得できないのであります。  それで、委員長にお願いをするわけでありますが、委員会の総意であれば出すことにやぶさかでないという官房長のお話も今ありました。ぜひその点で、この問題については理事会で少し御相談をいただけないだろうか、このことを委員長に御要請を申し上げるわけでありますが、委員長、いかがでしょうか。
  32. 野中広務

    野中委員長 木間委員の御要請につきましては、理事会において協議をいたしたいと存じます。御了承願います。
  33. 木間章

    ○木間委員 先ほどから伴局長あるいは官房長の方からも、自治権の問題だからそこまで建設省の踏み込みもいかがなものか、そういうことであります。私も市役所に籍を置いた一人として、これもわからないわけじゃございませんけれども、やはり皆さんの指導がすべてであろうと思いますから、このことについても今後とも御留意をいただきたいと思っております。  となりますと、やはり自治省のお考えもお尋ねしなければならぬと思うのです。自治省の方、来ておられますか。一言お尋ねをしたいのでありますが、三千三百の都道府県、市町村の指導をされておる自治省として、今ほどまで議論をしてきたことについて、ぜひ皆さんの指導もお願いをしたい、しなきゃならない部分があるわけでありますから、自治省の御決意をお尋ねしておきたいと思います。
  34. 中川浩明

    ○中川説明員 お答えを申し上げます。  地方公共団体におきます建設工事等の入札契約につきましては、地方自治法におきまして具体的な手続が定められているところでございまして、地方公共団体におきましては、これらの規定に基づきまして、適正な手続を踏んで入札契約がなされているものと考えているところでございます。  ただ、万一、今御指摘のございましたような住民から批判されるような事実があった場合におきましては、まず、その当該地方公共団体において適切に対応すべきものではないかと考えております。したがいまして、自治省としましては、個別の地方公共団体に対しまして調査、指導をすることは現在考えておりませんが、入札、契約の経過及び結果につきまして住民から疑惑を持たれることのないよう留意をすることは申すまでもないことでございますので、この旨、地方公共団体に対しまして繰り返し財政運営通達等によりまして徹底をしてまいっておりますけれども、今後ともそのように周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
  35. 木間章

    ○木間委員 自治省の方に重ねて要請だけ申し上げておきたいと思いますが、調査する、指導はする、こういったことはやらない、まあそれは皆さんの御判断にお任せするとしていても、やはり指導はしていただかなければならぬと思うのです。行政通達その他でやっておいでるわけでありますが、出しっ放しては、それは決してまともなものになっていかない。やはり点検活動もやっていただかなければならぬのではないでしょうか、まあ事の正否によりけりでありますが。そういった点でぜひきちっとやっていただきたい、このことを願っておくところであります。  先ほど大野委員の御質問の中にも一部あったわけでありますが、不満にこたえるために説明も行っていく、こういうことをおっしゃられたわけです。私は、不十分であろう、こう思っております。ですから、むしろ一歩進んだ苦情処理機関を設置されたらいかがだろうか、こう実は思っております。  先ほどからも申し上げてきましたが、ランクづけは客観的に主観的に等級区分されるわけですが、どういうことでおたくはAですよ、Bですよ、このことをやはり第三者が見てても歴然とするような、そういうことでなくてはならぬと思いますし、そういった機関をぜひ設けてもらいたい、こう思っておりますが、いかがですか。
  36. 伴襄

    伴政府委員 指名に漏れた人、指名にならなかった人に対する苦情処理ということでございますが、これにつきましては、現在建設省内に設置しております入札手続改善検討委員会の大きなテーマになっております。やはり、入札手続の透明化とか適正化を図るには、そういうことがきちっと、理由説明する、あるいは適切な苦情処理の方策を講じるということは、大変大事な問題かと思っております。  現在鋭意検討中でございますが、これにつきまして、どういう形で苦情処理に応じるか、まずその理由説明ということだけでも大変大事なことだと思いますし、今までやってないことでございますから、画期的なことだろうと思いますけれども、どういう対応をするかということは、今後この委員会の中で十分検討したいと思っておりますが、それはとりもなおさず、御本人が御納得いただけるかどうかということにもかかわるわけでございますので、そういう意味で言いますと、先ほど先生からちょっと御指摘があったかのような気がしますけれども、一方での、例えば指名基準の具体化とか透明化とか、そういったものとの関係で、御本人がそれについて納得できるかどうかというところもあるかと思いますので、そういったことの全般の中で苦情処理体制というか非指名理由体制というのか、そういったことを十分検討させていただきたいというふうに考えております。
  37. 木間章

    ○木間委員 先ほど建設大臣は、中建審の答申を前倒しでやるべきは既に手を打った、こういうことでございますが、私、これだけで十分だろうか、こう実は考えざるを得ないのであります。むしろ、中建審の中でも議論があった、例えば制限つき一般競争入札、これの早期導入に踏み切るべきではないだろうか、このことを考える一人であります。  先ほどから地方の事例も幾つか申し上げましたが、やはり行政業者の癒着があってはならない、何としてでも公平、公正でなくてはならないこの入札一般について、もっと競争原理を働かせて、そしてやっていくということになれば、一歩近づくのじゃないだろうか、こう実は思っておるところであります。また、国民公共工事に対する不信も取り除けるのじゃなかろうか、こう思う一人でありまして、ぜひ制限つき一般競争入札に踏み込んでいただきたい、この御決意を大臣からお尋ねしたいと思います。
  38. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答え申し上げます。  先生、御指摘をいただきましたように、中建審におきまして昨年十一月に答申をいただいたわけでありますが、御指摘の制限つき一般競争入札については、本答申において、疎漏工事やダンピングの発生のおそれがある、また、これらを防止するための入札審査、施工監督等の事務量の増大、さらに中小企業受注機会確保が図れなくなる などの現状において導入することが困難であるという指摘がされ、建設省としても導入は困難と考えております。  しかしながら、現行の指名競争入札制度についても、広範な参加機会の確保を図るという一般競争入札制度が持つ利点を取り入れるために、より一層の透明性競争性確保していかなければならない、このようなことで、先ほども答弁をさせていただきましたが、技術情報型あるいは施工提案型、こういった新しい方法について踏み込んでいくわけでございますし、また、入札手続の改善委員会におきまして、客観性、透明性をいかにして確保できるかということで、その意見を今集約しているところでございますので、いずれにいたしましても、公共工事の適正かつ厳正な執行に万全を期していきたい、このように考えております。
  39. 木間章

    ○木間委員 この問題についてはまだ今後いろいろ法案の審査とかの機会があろうと思いますから、その機会にまた議論に参加をさせていただきたいと思っております。  公正取引委員会からおいでをいただいておると思いますが、一、二お尋ねをしておきたいと思います。  今回の一連の問題、とりわけ不正献金問題の背後にあります公共工事入札に関して談合の疑惑があるのかないのか、あるいはこのことについて何か具体的に調査を行っておられましょうか。また、現段階で独禁法に違反する事実をつかんでおいででしょうか。このことについて今日の対応を少し御説明いただきたいと思います。
  40. 上杉秋則

    ○上杉説明員 御説明申し上げます。  公正取引委員会は、官公庁等が入札を行うに当たりまして、入札参加者側があらかじめ受注予定者を決定する、いわゆる入札談合につきまして独占禁止法違反行為として従来から積極的にその摘発に努めているところでございます。公取といたしまして、独占禁止法に違反する疑いがあるとする具体的な端緒となる情報に接した場合には、必要な調査を行うことは当然でございますけれども、最近の審査事件を見ますと、入札談合事件を初めといたしまして、違反行為がますます巧妙化し、その発見が困難になる傾向があることは、御指摘のとおりでございます。私どもといたしましては、山梨県における一連の動きについても公正取引委員会として強い関心を有しておりまして、検察当局の動向も注視しつつ、鋭意情報収集に努めているところでございます。  なお、現在、どのような情報を集めているかとか、あるいは今後審査するのかというようなお尋ねであったかと思いますけれども、こういう具体的な事件処理にかかわることにつきましては、どういうことを行っているか、あるいはどういうことを行う方針であるかということは、職務上表明できないことになっておりますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますので、御理解いただきたいと思います。
  41. 木間章

    ○木間委員 今日の段階で重大な関心を持っておる、その決意の表明が、披瀝があったわけですから、きょうのところは、この問題についてはこれ以上申し上げません。ただいま一つ、私は、今日の状況を醸し出した原因は公取にもないわけじゃない、こう指摘申し上げざるを得ないのであります。  五十九年二月に、いわゆる建設業におけるガイドラインが発表されました。このガイドラインを何遍繰り返して見ても、金額上の談合がなければ何をやってもいい、情報収集などなどをやってもいい、こうなっておるわけでありますから、今日の状況を生み出す要因になったのではなかろうか、私はこう指摘申し上げるわけであります。  ちなみに、五十四年、五十九年の前に独禁法上の指針が発表されておりますが、建設業関係について申し上げますと、逆に、これはまかりならぬ、情報収集その他も競争阻害になる、実はこういうことを言っておいでるわけであります。つまり、五十九年に皆さんのガイドラインが百八十度変わった、こう指摘せざるを得ないのでおりまして、このガイドラインを、今日のこのような状況下の中で見直すといいましょうか、改正するといいましょうか、そういった御決意があるかないか、お聞かせいただきたいと思います。
  42. 田中信介

    ○田中説明員 建設業ガイドラインの中でも、事業者団体ガイドラインを前提として競争入札において受注予定者または入札価格を決定する場合は、独占禁止法違反となることを明示しているところであり、入札談合の防止に資するものと考えております。  一方、建設業ガイドラインは、建設業団体の独禁法違反行為の防止を図るとともに、建設業団体の適正な活動に役立つことを期して、公共工事に係る建設業の諸特性を勘案し、情報活動や経営指導などで事業者団体ガイドラインでも許容されている行為について、でき得る限り建設業の実態に即したものとして、具体的、確認的に取りまとめたものでございます。  公正取引委員会としては、従来から、建設業界における入札談合事件に対して厳正に対処してきたところですが、建設ガイドラインについて建設業界の方で明確に認識をしていないというところもございますので、普及徹底に一層、十分力を入れてまいりたいと思っております。(発言する者あり)
  43. 木間章

    ○木間委員 今、よくわからぬぞという御発言もあったわけでありますが、私も余りよくわかりませんでした。  やはり前期のガイドラインと今適用されておりますがイドラインは百八十度違うわけですから、このような入札をめぐりまして政官財の癒着があってはならぬのでありまして、それを事前に防ぐためにも、今のガイドラインは不適当だろう、こう私は断ぜざるを得ないのでありまして、ぜひ今の状況もにらんでいただきながら、すっきりとしたガイドラインをつくっていただきますように御要望申し上げておきます。  時間が過ぎたようでありますが、渋沢委員に少し御了解をいただいておりますので、もう一、二点申し上げたい、こう思っておるところであります。  一つは、ランクづけをされておるわけでありますが、その評価をされるときに、審査基準が大手から準大手、中小、零細まで一様の基準でやっておられるやに承るわけであります。五十二万社あるわけでありまして、しかも末端へ行きますと、小人数で事業をやっておいでる方もあるわけです。例えば審査基準の中に、人材が確保されておるかどうか。しかし、この人材だって、今名義を貸し借りもないわけじゃございませんで、資格を持った人の名前を事務所の額に入れて飾っておけばそれで用が足りるわけでありますし、また、機械器具にいたしましても、リース業がありますから、てめえのところで何にもなくてでも、名簿に載せておけば事が足りるわけであります。ですから、末端の業界では人夫をたくさん常用して、つまり人夫の派遣業みたいな仕事だろう、私はこう判断をするわけでありますが、これが大手、準大手から零細まで一様に同じペーパーでやられるのはいかがなものか。ですから、大手、準大手あるいは中、小、零細とランクをつけて、それぞれ特性が生かされるような審査基準に置きかえてもらいたい、このことを申し上げますが、いかがでしょうか。
  44. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 登録の審査基準については、先ほどちょっと客観的要素あるいは主観的要素ということで申し上げましたが、客観的要素は先ほど来申し上げているようなことでございますので、これに関しましては、項目を、要素を大手、中小等あるいは零細等に分けて基本的に違うものでやろう、やる必要があるということについては、私ども、今のままでいいんじゃないかなという、実は率直に感じておりますが、今先生のおっしゃった事柄は、様式等の問題もさりながら、審査項目の実態の見方、こういったことにかかわるものかとも思います。  いずれにしましても、契約制度については改善検討委員会等もつくらせていただいているわけでございますが、今のこと等は私ども一つ視野 に入れた勉強の対象かな、こう思います。  ただ、くどいようですけれども、項目について、審査の基本的枠組みについて大手、中小、零細等で基本的に違うものをつくる必要性があるかどうか、これについて実は六十三年にも今日の姿にしたばかりでございますし、私ども、現在行政を預かっている立場では、今のところ、その必要性は感じていない、こう思いますけれども、せっかくの御意見でございますので、その辺も視野に入れた勉強をしてみたい、このように思っております。
  45. 木間章

    ○木間委員 もう一つ申し上げておきたいと思いますが、これももう実施に移されておりますから、くどく申し上げるまでもないと思いますが、今度の中建審の答申の中に、地方公共団体事業の円滑な促進を図るために議会議決対象額の引き上げが答申をされておるわけであります。そして、議会手続についても専決処分の活用を図りなさい。  私は、この問題についていささかいかがか。このようないろいろの不信が抱かれておるこの中で、さらに議会議決の金額を引き上げる、あるいは議会によらないで長の専決処分で処理をされていく、そういうことであってはいかない、逆に引き下げるべきではないだろうかとさえ実は私は思うわけです。  ところが、自治省にお尋ねしますと、去年の十一月に答申をいただいて、既に三月段階で各地方に指示をされた、こう聞くわけであります。私は待ったをかけたいところでありますけれども、既に発せられておりますからこれ以上申し上げませんが、やはり公共工事国民のためのものでありまして、皆さんが注目をしておるわけでありますから、公共工事の分野でも信用がいただけるように、ぜひ今後とも万全を図っていただかなければならぬ。もとより私たちもその先頭に立つ決意であります。  以上をもちまして質問を終わるわけでありますが、大変大事な事業でございますから、皆さん方も心してぜひ取り組んでいただくように重ねてお訴えをいたしまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  46. 野中広務

    野中委員長 次に、渋沢利久君。
  47. 渋沢利久

    ○渋沢委員 大臣、きのう、新聞、テレビでちらっと拝見した程度でありますが、今回の事件関連をして、捜索を受けた建設業界に対して建設業法に照らして厳しい処分の態度で臨みたい、あるいは、既に企業のトップが政界への裏献金などを表明している東急建設あるいは前田建設等の企業については、その内容を建設省としても子細に調査をしたいというような発言をしたことが報道されておりますが、直接きょうその趣旨をお話しいただきたいと思います。
  48. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  今回の件に伴って、建設業界国民の厳しい批判を受けることになり、あわせて公共工事入札契約制度運用について不透明な点があったのではないか、そういった指摘がございましたので、三月二十九日に大臣談話建設省の対応方針を発表したわけであります。  その方針に沿って、公共工事入札契約制度について透明性競争性を高めるために早急に改善策を講ずるとともに、建設業界に対しては、社会責任の重要性にかんがみて、企業倫理の確立を強く求めていく、このようなことを申し上げました。  その中で、先生の御指摘をいただいた建設業法上の監督処分については、個々の建設業者が業務に関して他法令違反を行った場合等、建設業法に掲げる処分事由に該当する場合に講ぜられるものであり、強制力を有する行政処分でありますが、本件につきましては、政治資金規正法違反等の事実についてしかるべき機関が判断を下したわけでないので、今後の事態の推移を踏まえて適切に判断していきたい、このように申し上げたわけでございます。
  49. 渋沢利久

    ○渋沢委員 捜査を受けた、もうそのこと自体、公共事業を扱う大手の業界が十八社とか二十社とか、こういう形で捜索を受け、事情聴取をされるというような事態、もう既に言うまでもありませんが、公共事業自体に対する国民の不信が大変な勢いで広がっている、こういう状況でありますから、これは少なくとも検察の手にすべてをゆだねるということでなしに、それはまさに建設行政の根っこの、足元がこういう形で、しかも醜悪な恥部としてさらけ出されているという状況の中ですから、これは当然独自の積極的な調査というものがあってしかるべきものだと思っておりますが、そういう構えでやっていく方針がありますか。
  50. 伴襄

    伴政府委員 確かにこれも、なかなか新聞報道からでないと我々も知り得ない状態であるわけでございますけれども、少なくとも先般の起訴状等を見た限りでは、建設業界がどういうかかわり方をしたかというようなことは一切書いていないわけでございます。したがって、新聞報道等、それから今の東急、前田建設の話等がございましたので、そういった事柄の上での話かと思いますけれども、今それが何が問題かという形で申し上げると、政治資金規正法違反ではないか、それを認めたのではないかというようなことでございますけれども、いずれにいたしましても、どれも政治資金規正法という、私どもが所管している法律ではないし、また、それなりの捜査権なりあるいは押収権なりそういうものを持っていないものでございますので、この政治資金規正法違反になるのかどうかということは、やはりそれはしかるべき機関が判定される話だと思います。  したがいまして、それに対してどう対応するかということは、建設業を監督する立場としてはなかなかできがたいわけでございますけれども、しかしながら、これだけのいろいろな問題になっていることでございますので、やはり業を監督する、一般的に指導、育成するという立場からは、調査あるいはヒアリングをするということは必要かと思っておりますので、それは大臣からの今もございますので、そのヒアリングには取りかかりたいというふうに考えているところでございます。
  51. 渋沢利久

    ○渋沢委員 今の答弁では、本気で今問題になっている課題をきちんと見詰めた姿勢であるというふうには思えない。やはり検察、しかるべき当局の対応結果を待って、それを見てというような響きが強いわけであります。  しかし、これは大臣、もう申し上げるまでもないが、今度検察が金丸氏の脱税事件としてこれに対応し、その全貌を明らかにした。けれども、この経過の中で国民の前に明らかになった事態というのは、単なる金丸信という一人の特殊な政治家の特殊な蓄財とかスキャンダルとかいうことだけが映し出されているのではない。単なる山梨のローカルな問題ではない。まさに国民の生活の中で、公共事業に包まれて生活しているような、まさに公共事業に深く抱いている国民の関心、その信頼を根っこから欠くような構造的な状況というものが映し出されている。公共事業を多く受け持つこの業界総体と、そして建設に強い政界の権力とのかかわりが映し出されてきているという大きな問題だろうと思うのです。  きょうは大臣制度的な問題を中心にぜひ意見交換をしたいと思いますけれども関連をして法務省に来ていただいていますが、お尋ねしたいのであります。  この間の法務省の予算委員会等で示されました中間報告でも、山梨県内の建設業者にとどまらず、東京に本社を置く大手の総合建設会社の各事務所等を九十四カ所にわたって捜索を行い、七千点の証拠物を押収した。そうして大手の総合建設会社や山梨県内の建設業者から供与される資金の一部を原資として金丸蓄財、その脱税の状況が検察と法務省から国の機関に、国会に報告をされておるわけであります。  最近新聞等でいろいろ報道されておりますこのかかわり方の個別の報道を見る中で、これはもうこのかかわりは非常に組織的なものである。受注額の何%をお世話になった与党の政治家にお返しをするのはもう常識化している、制度化している、業界として取り組んでいるというような実態が明らかにされる、あるいは、個別の企業の献金の仕様も明らかになってくるということの中で、大変 な不信が広がっているわけですけれども、当然、今度の検察の踏み込みは金丸氏の脱税事件ということであったけれども、派生じて、これらの捜索の中でさらに新しい事件の展開になっていくであろう、こう国民は見ていると思います。  七千点からの資料を押収されて、今検討が当然行われていると思いますけれども、これらの調査の過程で、まさに贈収賄の罪にかかわる可能性の非常に強いと思われるもの、私の感じるものがたくさんございます。政治資金規正法に背反する明らかな行為と思われる部分もあります。公職選挙法に明らかに背反する行為と思われる部分も伝えられております。  この捜査は金丸氏の脱税事件が目的であったから、それが山を越したらそれで打ちどめという、そういうことにまさかなるまいと思いながら、一つの懸念を持って、これからの検察の取り組みを国民は期待の中に注目をしているという、今こういう局面だろうと思っております。  私ども、当初、金丸さんの例の二十万円ぽっきりという問題で非常に国民の批判が起こり、我々も検察不信ということを指摘しなければならない不幸な事態だな、こう認識した時期がございましたけれども、今回の金丸氏逮捕へのこの決断とその踏み込み、これは、二十万円問題で十年もう検察不信は消えないだろうなどと書いた新聞もありましたけれども、しかし私は、今度の姿勢はまさに、検察不信を一挙に吹き飛ばして、そして、大きな国民の信頼の中で、法を守るべきものの国家国民のあり方に厳しく挑戦しておられる検察庁の姿を見ていると思うのであります。  ぜひ、今度の金丸脱税事件関連をして、もし所得税法以外の法律に背反する問題が、私はもう当然起こり得ると思っておりますけれども、そういう事実があるならば、当然それは厳しく、そこらも視野に置いて引き続き厳しい捜査が行われるものだ、こう思っておるわけでありますけれども、いかがなものでありましょうか。御判断を伺いたいと思います。
  52. 大泉隆史

    ○大泉説明員 お答え申し上げます。  金丸前議員らに対します所得税法違反事件の捜査は、委員指摘のとおり、おおむね終了したものと聞いております。  検察当局は、今回の捜査におきまして、これも御指摘のように多くの証拠物を押収するなどしておりまして、今後、公訴維持等の観点から必要に応じましてこれらの証拠物等の分析、検討を行うものと思います。  ただ、今後における検察当局の捜査の見通し等につきましては、事柄の性質上現段階では何とも申し上げられないところでございまして、一般論として申し上げれば、検察当局としては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、適正に対処するものと思います。
  53. 渋沢利久

    ○渋沢委員 今の段階で法務省がおっしゃるのは、もうまさに精いっぱいの所見だと思うのです。  今の御指摘にありましたように、一般論ということでありましても、これだけ押収した資料の分析の中でさまざま法に反する事実があれば、当然これを追及していくという検察の姿勢と受けとめまして、お帰りいただいて結構ですから。しかし、ぜひ、国民は期待しておるのですから、これは徹底的にひとつ、非は非として究明していただきたい。  このことで大変痛い思いをする企業や人々があるいは仮にあろうとも、しかし今、この事態というのは、この問題というのは、やるときにきちっとやっておかないと、将来の日本のために、これから世界と広くおつき合いをしていく中で、これは恥部の一つが、見せたくないおくれた日本の仕組みが露見した、そういう恥ずかしい事件だと我々は受けとめておりまして、そういう意味では、検察のひとつこれからの踏み込みと活動を大いに期待を申し上げて、法務省への質問は終わりにいたします。  そこで大臣、今言いました今度の事件ですね、まさに業界と政界とのかかわり、しかもそれが業界全体の問題になっているというこの事態について、先ほど御所見がありましたけれども、この間、決議なるものを全国建設業協会が出しました。これからは自粛自戒をして、政治活動に関する寄附については、適法なもの以外は一切行わない。今まではいかに不適法な行為をやってきたかということをある意味では明確にするようなこの決議の中身でありますが、同時に、「政治団体への会費等の納入に当たり、個々の企業受注した公共事業の額に直接かかわりのあるような方法は一切廃止する」、日本の全国建設業協会がここまで改めて決議しなければならぬということは、言いかえれば、この日まで受注額に応じた献金というものが常識化していた、こういうことに映っているわけなんです。  ですから、検察がどう調べるとか公取がどうということ以前に、これは建設行政の根幹に触れる問題が提起されているという事実として厳しくこれは受けとめなければならぬのじゃないでしょうか。  先ほどの、大臣のきのうの発言を解説されたけれども、みずからの倫理の確立に向けて業界にしかとやるように督励をするとか指導するなんて言葉の上で幾ら言っても、そんなことで簡単に片づくとだれもこれは思ってないですよ。簡単に、こんなことでやみ献金はもうやらぬとか言うたって、それでそうなるとだれも思ってない、残念ながら。皆さん、それが実態じゃないですか。ですから、大臣、これは本当に深刻にお受けとめになっていらっしゃるのかどうか。先ほどの説明では、決してそういう厳しい受けとめ方に響かない。いま一度あなたのお考えを聞きたいのです。
  54. 中村喜四郎

    中村国務大臣 私の表現が不十分であって、先生に私の意のあるところが伝わっていないとするならば、私はこのような状況に対して非常に重大に受けとめておりますし、また主要団体、関係企業に対して、事業活動の実態、会計処理、会費の徴収方法等について調査をすべきその実施方法等々について検討を行っておりますので、できるだけ早い機会に実施していきたい、このように考えております。
  55. 渋沢利久

    ○渋沢委員 これは本当に恥ずかしい事態だなと思うのであります。  建設業法に違反するような事実があれば、あるいは政治資金規正法にしても同様だけれども、しかるべき関係の当局がその処分を決定したということになれば、これは建設省としても処分の対象にしなければならぬという趣旨でしょう。実際には、この処分、厳しい対処と言われるけれども、建設業法のこの趣旨に基づいてというなら、建設業法の二十八条の第三項を援用して必要な指示をするということの含みでおっしゃっているわけでしょう。  これは、先ほどの大臣の話もあったように、その法律違反が確定して、単に起訴じゃないのですね、起訴段階でやりますか、そうじゃないのですね。従来建設省の態度、方針はそうでしょう。結審、最終的な決定がない、決まらない限りは、手をつけないという方針じゃないですか。  それで、まあ役所の人でも、もし何か事件があれば、起訴の段階で責任をとらされているのが普通だけれども、事、業者については、起訴段階でも処分の対象にするということをやっていますか。そこは避けているでしょう。これは大変時間のかかる話なのです。そして、いつの間にかマスコミが扱わなくなれば世間も忘れる、あらしの過ぎるのを待とうとな、そんな構えではあるまいと思うけれども、実際に厳しく処分をするとか、みずから倫理を確立するなんと言ったって、みずからやろうはずもない業者に、これは役所の機能のぎりぎりのところで厳しい構えをとる以外にないのです。しかし、かなり時間のかかる話じゃないですか。  どうでしょうか、もっとそこを本当に、これは、業者が襟を正し、そして我々国会議員もまさにこの事態をそれぞれの立場で深刻に反省をする。我々の反省は、しかし具体的にまずい仕組みを直すということでその責任をとり、反省の実を示す以外にないわけですから、これはこれから議論し たいと思うのです、まずしかし、そういう厳しさを、業者処分と簡単におっしゃるけれども、それだけが新聞の活字になって、あたかも中村人恒は大変厳しい姿勢でこの改革に取り組もうとしているような印象だけ振りまいたってだめだと私は思う。どうですか。
  56. 伴襄

    伴政府委員 大臣の厳しい姿勢というのは、単に監督処分をいつやるかといったようなことだけじゃなくて、そもそも、先ほど全国建設業協会の宣言の話が出ました。この以前には日本建設業団体連合会の申し合わせもございますけれども、これも大臣企業倫理の確立を強く、モラルの確立を強く求められた、その結果に呼応して日建連なり全国建設業協会がこの決意表明をしたわけでございます。これはまさにおのおのの団体に所属する企業が一丸となって自助努力、自主的な努力としてやろうという決意でございます。したがってこれは、それぞれ聞いておりますけれども、大変重大な決意を持ってこれを実行したいというふうに言っておりますので、これも大臣の厳しい姿勢のもとにいち早く対応してもらった一つの例かと思います。  それから、今個別の処分の話がございましたけれども、段階におきましては、起訴段階では指名停止ということは行われる可能性はあります、可能性としては。それから業法上の監督処分ということになりますと、やはり従来の例からいいますと、事実関係が確定していなければまずいものでございますから、判決の確定等事実関係が明らかになった時点で、個々の事案ごとに判定をするという仕掛けになっておりまして、その間におきまして、やはりそもそもはこういうことが起こらないようにする仕掛けをつくることが大事かと思いますので、発注システムの方の改善とか業界の方のモラルの確立、あるいはそれに呼応したそれぞれのモラルの実行、それが一番大事かと思いますので、そういったことの対応をしっかり見守りたいというふうに考えているところでございます。     〔委員長退席、金子(原)委員長代理着席〕
  57. 渋沢利久

    ○渋沢委員 まあ本当に役所が決意をすれば、それはやりようはある。現に、先ほどの木間さんの話じゃないが、談合に応じないで札入れてとっちゃったという業者に対しては、これは逆な意味で、お話によれば、県庁が介入して指名させないという処置をとっておる、やっておるんです。恣意的にやれる仕組みになっているから、やっておるわけです。業界と円満に対応しようとしている。  先ほど局長も説明しておったけれども、業界を通していろいろ指導、対応したいということでいえば、そういう建設業界との円満な対応を考えている役所の皆さんは、地方自治体などでは、紹介されたように、円満を欠く、談合を拒むような業者があれば、一年も入れさせないという処置をやっておるわけです。逆な意味で、行政が腹を決めてやれば、襟を正すという状況を、環境をつくることができる。それが足らない。このことで議論していても、時間がありませんので、先へ行きます。  大臣、私はこう思うのです。このような事態を引き起こしている諸悪の根源というのは三つあると思うのです。一つは談合。それから談合を支えている要因の中に強いて言えば二つある。一つ指名入札制度一つは天下りというやつもある。これはそういう癒着構造を支えている仕組みの一つになっている。この三つが非常にうまく機能して、そして、まあかなり思い切った受注額の何%かを政界にばらまくぐらいの余裕、ゆとりを与えているのですね。談合というのは業者にとって大変メリットがある。それは価格競争を、これだけ競争の激しい時代にこれをカットして、そして言ってみれば落札のたらい回し制度でしょう、談合というのは。これがないことを前提にして発言されるだろうけれども、こんなものは全国津々浦々やられている方が常識なんです。それを前提にして行政だって対応しているじゃないですか。  けれども、これを解決しない限り、それは言ってみれば、やみ献金なんかを禁ずる、業界の決議をさせたくらいのことでできるわけがありませんよ、談合をどうするかということ。しかし、談合を支えているものは何ですか。それは非常に限られた少数の指名による業者がつまり札を入れるということで談合の条件を担保しているんじゃありませんか。だから、談合と指名入札という制度は紙の裏表、表裏一体なんですよ。これは非常にはっきりした事実じゃないですか。  指名者の数を減らせれば減らせるほど談合がしやすいということで、会計法その他の法令では少なくとも十名以上にしなければならない、こう規定しているんじゃありませんか。あの規定は十人に絞れというのじゃなくて、実際はみんな十社でやっているのが習慣になっているようですけれども、それは余り数を減らしちゃいけませんよという思想じゃないですか。     〔金子(原)委員長代理退席、委員長着席〕  大臣、このような状態が出てきている根源は三つあると私は思うのです。それは談合であり、そしてそれを支える指名入札制度であり、そして後で時間があれば言いますが、天下りというやつがある。天下りというのは、つまり役所をやめた人がみんな業界にそれぞれ高禄をはんで、優遇されて、今度は自分の部下に対していろいろ業者として働きかけをやる構図でしょう。極端に言えば、退職のお祝いをやったそのもう一カ月後には、今度は業者の立場で自分の同僚や後輩に情報をとったり、商売のお願いをするという場になっているのでしょう。これは資料がありますけれども建設省なんか大変だ。もうみんなそれぞれゼネコン、一流の企業に相当な位置で毎年大量に配属されているじゃないですか。どの省よりも一番多い。  こういうようなこの三つが、私は残念だけれども、今すぐにこれは動かしがたいもの、うちの省だけじゃないということの中でずるずるとここまで来てしまっている。世界とのおつき合いは、もうこれは時間の問題で避けられない、こういう交流の時代に大臣、依然として三つの柱でこういう古い制度が、恥ずかしい制度が温存されているということについて、あなたはどう思いますか。
  58. 中村喜四郎

    中村国務大臣 先生からの御指摘は、まず談合の問題について御指摘をいただきましたが、三月二十九日に私の談話におきまして、現行の公共工事入札契約制度に関し、より一層の透明性競争性確保していきたい。建設省直轄工事においては、本年度より技術力を重視した広範な参加機会を確保するための新たな入札方式を積極的に導入する。手続の透明化、適正化を図っていきたい。さらに、省内に全局長を構成メンバーとする入札手続検討委員会を設けて、指名基準の具体化、非指名者に対する理由説明などを検討し、結論をまとめるように指示しているところであります。これによって、技術力中心とした有効な競争確保及び入札手続における透明性の一層の確保は期待できるものであると考えております。  さらに、談合のお話でございますが、昨年十月に設立いたしました財団法人建設業取引推進機構を通じまして、昨年十ブロックで約二千七十九名の方に参加をいただきまして、独禁法に対する、違反行為に対する教育を行いまして、そして独禁法違反行為に対する指名停止処置や、建設業法に基づく監督処分による厳正な対応等により、独占禁止法違反が発注しないように業界団体を強く指導していきたい、このように考えております。  そして、ちょっとこの機会でありますので、若干具体的なことで恐縮でありますが、平成二年度に建設投資八十二兆円ございましたが、その中で政府関係投資は全体の三二・六%、二十六兆九千億円でございます。その中で、公共工事関係費が十五兆一子億円、さらにそれの中の直轄事業ということになりますと二兆八千億円でありますが、その中で建設省直轄分が一兆四千億円でございます。そうなりますと、地方単独補助事業その他を合わせますと十九兆円、その中で建設省関係の事業費というのが一兆五千億円でございますので、全体の五・六%になるわけでございます。  まず、ここを今御指摘いただいたような直轄関係が、そういったことが少くとも疑惑を持たれるようなことがないようにすることによって、少な くとも中央省庁においてそういったことが横並びで基本的な考え方として確認できるということはまず必要なことである、このように考えております。  さらに、御指摘をいただきましたように、その全体の中で十九兆円、七〇・六%は都道府県知事並びに市町村長というところから発注されるわけでございますので、こういった考え方一つの基本としていただいて、地方においてもそういうものが遵守できるような環境づくりを確保していくことが、今御指摘をいただいたような問題を解決することになっていく、このように考えております。  また、指名入札制度が談合の温床になっているのではないか、このような御指摘をいただきましたが、指名入札制度は、不良な工事を排除して工事施工の質を確保するため、信頼できる施工業者を選定し得るという観点からすぐれている制度であり、入札参加意識のある業者に対して広範な参加機会の確保を図るという競争性観点から改善すべき点を有していると考えられておりますので、今回一層の透明性競争性確保するための改善策をまとめたところでございます。  いずれの入札制度においても、適切な競争が行われることが重要であり、一般競争入札方式を採用している米国におきましても、年間数十件の入札談合に対する刑事訴追が行われていると聞いておりますので、必ずしも入札方式と談合との発生が結びつくものではないと、このように考えております。
  59. 渋沢利久

    ○渋沢委員 その最後の部分の認識が全然違う。それは事件になってくるのは本当にほんの一部で、問題にならない。  きのうではありませんが、数日前に日経連の久米副会長がこの事件関連して会見をして言っておりますけれども、大手総合建設会社が多額のやみ献金金丸信被告にしていたことについて、建設業界は談合をやめるなどとこれまで何度もうそをついてきた、けじめをつけるべきだ、こういう発言をしている。  残念ながら談合が慣習化しているという事実認識はお持ちになった方がいい。あなた、持っているでしょう。まさかそれも否定しないでしょう。それは、事件になった割合は何%、そんなことを力んでおっしゃってはいけませんよ。  それから、地方の公共事業の予算配分、そんなものは言われなくたってわかっておる。中央の政府の姿勢を今問われているという意味で、私はただしているわけなんですね。それは話にならない。談合、あなたは否定しますか。残念ながら、大臣がこういう席で言いにくければ、あえてそのことは求めませんけれども、しかし、否定できないでしょう。そういう事実認識の上に立たないと、これから本当の対策は出てきませんよ。どうですか、一言。ないと思っていますか。今あなたの言った数字は、事件になったパーセントでしょう。その範囲だと思っていらっしゃるのですか。
  60. 中村喜四郎

    中村国務大臣 私が申し上げましたのは、誤解があるといけませんので、米国においての年間数十件の入札談合というお話を、一般競争入札で行われている場合であるというお話を申し上げたわけでございます。  そして、談合というのはあり得ない、あってはならない、このように考えております。
  61. 渋沢利久

    ○渋沢委員 あり得ないなんてことがあるのか。  それでは、その先にいきましょう。  ちょっとこれをお尋ねしたい。中央建設業審議会答申、いろいろ新方式をやるということは聞きました。よくわからない、よくわからないが、聞きました。これは、この答申に基づいて新方式というものを打ち出した、こういうことですね。その中に「指名業者数の取扱い」というのが、これも新しい方式で出ている。これはまた個別のいろいろな意思確認方式とか三つも四つも出ていますが、そのいずれの、全体として適用する方式といいますか、考え方であるわけですか。
  62. 伴襄

    伴政府委員 指名業者数の取り扱いにつきましても、中央建設業審議会の方から答申をいただいておりますが、これは、先生指摘のような新方式に関して特例と言えるような意味ではございません。  一般的に指名業者数の取り扱いにつきましては、今、予決令、予算決算及び会計令におきまして、「なるべく十人以上指名しなければならない。」こうされておりますので、原則はあくまで十名以上ということでございましょうけれども、例えば過疎地のような地域的な要因とか、あるいはそういうことをやれるような技術が非常に特殊であって、十人といってもなかなか十人以上確保できないといったような場合に、画一的な運用をしますとそういうことができない人まで入れというようなことになりますので、形式的な競争になるということを恐れたものでございます。  なお、昭和五十七年に二十社とする措置をやったことがございますが、それが依然として二十社運用しておりまして、なかなか混乱しているという話も聞いておりますので、そういったことにつきまして一般的に十社画一的にやらなくてもいい、そういうことを打ち出してある答申でございます。
  63. 渋沢利久

    ○渋沢委員 それなら、なおひどい話だなと思う。この時期にその趣旨でこれから入札の事務を執行しろというのは――今まさに透明性とか競争性とかいろいろ言われている。みんなによくわかるように、競争できるように、そして、見えないところをできるだけ少なくして、みんな企業競争して、公正な契約ができるようにそのことを今問題にしているわけだ。  この答申だって五つの原則等に書いてあるじゃないですか。一つ透明性二つ競争性、三つ、対等性、四つ、信頼性、何か特に民間技術力の活用というのを五番目に入れたということはあるけれども、一から四まで基本的な視点だというふうにこの文章の中でも書いている。それはまさに透明性競争性、対等性、信頼性なんだ。今まさにそこなんですよ。答申のその柱の立て方は間違っていない。しかし、そこへ出てきているものは、十社以上にしなければならぬぞと法令で言っているものを、法令を超えて、いろいろ事情がある場合についてはもっと少なく絞ってやってもいい、そういう方針じゃないですか。それを今やっていきます。理由は聞かない方がいい、今のあなたの理由なんか。  今問われているのは、数が少ない場合に、十社などという場合にこだわったら困る場合もあるなどという、そんな末梢の技術論が問題になっているのではないんだ。まさに透明性競争性、信頼性、そういう性質のものなのに、ここで、新方式にかかわらず、今後の入札のあり方については数を減らしていくんだ、減らすことも可能だ、画一的な、十社以上などという運用をしなくてもいいということで、言葉は非常に丁寧だけれども、一皮むいてみると、それだけの話だ。法令の規定を簡単に越えている指導を出されて、その答申を尊重している、こういうことになっているわけであります。  私はお尋ねしたいのですが、さっき大臣の答弁の中で、制限つき一般競争入札がなぜいかぬのだということについて、幾つか理由を言っていましたね。事前の入札の審査に事務量が多くて大変だ、あるいは過当競争になって大手だけがとって中小企業がはみ出される心配がありはせぬか、価格だけで争われる傾向は好ましくないので技術を導入するという配慮があるとか、幾つか言われました。しかし、どれ一つとってみても、今問われようとしている指名競争入札、十社だけで談合の環境を整えてやること、理屈はいろいろつけようとも、そういうことでいいのか。それとも一定の制限をつけて、つまりランクの面で厳しさを、チェックするものはチェックして、しかし競争性を高める、透明性を高める、信頼性を高めるというのはみんなそれなんだ。さっき自民党の先生の発言の中にもあったように、透明性というなら、まさに一般競争入札以上のものはないじゃないか。そのとおり。これは天の声、常識ですよ。  ところが、それをとれない理由として言ってい るどの理由をとってみても、それは審査のときに業者が多過ぎて、配る紙も事務量が大変だ、設計書をコピーする、そんなことは末梢のことでしょう。簡単に片づく話じゃないですか。中小企業がはみ出すおそれがあるというなら、ランクをもっときめ細かく分けて、そして中小なら中小にふさわしい参入の機会を与える仕組みはやれば絶対できるはずです。これがないというわけはないのです。  だから問題は、指名制度に固執するのか。業界はしがみついていますよ。これがなかったら談合がないんだから、談合がなかったら、どこにでも適当にばらまくような余裕が出てきませんよ、本当に競争をやらされたら。目の色を変えて、政治献金なんてとんでもない、政治家にお世話にならぬでもいい、実力で勝負だということにもなるのですよ。  ところが、今の制度は、談合を指名制が保証し、それが政治家へのやみ献金というようなつながりに道を開いていることは明らかだから、それをやめて、制限つき一般競争入札にする。そのために出てくるマイナス点、問題点、事務量とか中小企業その他の問題、ダンピングは起こらない、その点はフォローするということで知恵や工夫は出せばいいのであって、今の建設省の方針というのは、指名制度にしがみついて、しかし改善しましょう、基準があいまいでした。あなた、今までやってきて、建設省指名基準があいまいだったなどということを言わなければならないこと自体恥ずかしい話じゃないですか。しかし、そう言わなければならない。それで、今あらしの中に立っているこの指名制度を守っていくためには、あれもこれも変えましたという小手先の手法で技術導入問題なども入れていると思う。そんなものはランクづけの中で生かす方法は幾らでもできる。  私は、一般競争入札制度にすることは不可能だと言っている理由は決してそんな決定的な理由でないというふうに思う。それをどう考えるのかということをきちんと説明してもらいたい。
  64. 伴襄

    伴政府委員 お答え申し上げます。  先ほどの指名業者数の取り扱いで、若干私の答弁が誤解を呼んだのかもしれませんが、あくまでこれは予決令に十人以上と書いてございますので、この原則を変えるつもりは毛頭ありませんし、また、変えられるものではないと思っております。したがって、余り形式的、画一的なもので有効な競争が阻害されるような場合、そういった場合はこの画一的運用をしないということでございまして、新方式につきましてももちろんこの原則十名以上というのが適用されるのは、当然のことでございます。  それで、先ほどの一般競争指名競争の話でございますけれども一般競争につきましては、先生御案内のとおりの欠点があるわけでございまして、この中央建設業審議会の答申のときも、実は最初から指名競争がいいんだというようなことで議論したわけではありませんで、全く白紙の状態で、しかも外国の例なども参考にしながら、場合によっては外国の学識経験者の意見も聞きながら審議をしたわけでございまして、決して指名にしがみついているわけではございません。  ただ、現在の一般競争は、本当に唯一の例がボンド制度をとっているアメリカぐらいでございまして、諸外国、ヨーロッパでも指名あるいはそれに準じたような形をとっているわけでございます。アメリカはむしろ例外でございます。  そういった状況にあるし、やはり工事の質の確保ということは非常に難しい、それから事務量の問題もどうしても防げないといったようなところから、やはり一般競争というのはとり得ないということで、指名競争を原則ということにしたわけでございます。  ただ、指名競争をやるときに一番問題なのは、先生指摘のとおりでございますけれども、余り恣意的な運用が行われたらいろいろ今回起こっているような問題が指摘されるわけでございますので、恣意的な運用を排除する。そのためにはどうすればいいかということは、今の指名競争制度運用の中で透明性を高める。競争性を高めることが必要かということで、その手当てをいろいろな形でしているわけでございまして、決して結論が先にあってやっているわけではございません。十分議論して、その上で指名競争を原則にせざるを得ない、ただし、今の指名競争制度運用ではまずいということで、いろいろな改善策を講じた、それがこの答申でございますので、この答申をしっかり受けとめてやっていけば、今いろいろ非難されている事柄についても対応できるというふうに考えているわけでございます。
  65. 渋沢利久

    ○渋沢委員 あなたの答弁を聞いていると、とにかく長い間既得権としてきた今までの仕組みを必死で守りたいという業界の、いずれそれぞれ役所をやめればお世話になる業界なんでしょうが、その業界の悲痛な願いを何か私は聞いている響きがある。今私が言った疑問に一つも具体的に答えていない。制限つき一般競争入札については支障があるということについては、それは決定的な支障では決してない。  大体、この答申自体、これはいつ大臣が諮問したのですか。こんな事件とは関係のない時期、おととしでしょう。平成三年の春に諮問して去年の暮れの十一月に答申を受けたというもので、大臣、今問われているのは、まさにこういう時期で皆さんが物を判断したものではない。今国民の中に明らかになっているこの批判と疑問に的確にこたえるという制度を追求していく責任があるのですね。  私はぜひこの際に、新方式にこだわるなどということをしないで――今のような説明では全く説得力がありませんよ。だれが納得しますか。指名制度をとにかく守りたいということ以外にはないじゃないですか。こんなことをやっている限りだめです。だから、制限つき一般競争入札をやる場合のマイナス点は何か、それをどうしてフォローしていくか、その手法はいっぱいあるのです。そこをテーマにして、新しい今の時代に合った制度検討を始めるように、大臣、これは判断しなさい。こんな何年も前に出てきたものにしがみついて、事件が起きたから明らかになって、業界に火がついてきたというのがわかってからにわかに新方式を打ち出したんじゃないですか。だめですよ。そんな姿勢にむしろ問題がある。だから、今のこのきょうの国民疑惑と、そして改革への期待にこたえる、そういう立場で、新たに大臣は決断を持ってこのテーマでひとつ検討する、制度検討するということを考えるべきじゃないですか、大臣
  66. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  先生から御指摘をいただいた制限つき一般競争入札等についての御質問でございますが、先ほども政府委員からアメリカにおいてのボンド制度についてのお話がありましたが、実はお言葉を返すようで恐縮でありますけれども、イギリスにおいても、かつて一般競争入札を実施していたわけでありますけれども、たしか一九六四年だと思いますが、バンウェル委員会の報告によって、誠実で十分な資質と能力を持った業者によって良質な工事確保されるよう指名競争入札に変更したということで、こういった例もございまして、今回の方式指名競争入札の欠点をなくした性格のものであり、まずこのことを実施して国民の要望に的確にこたえていくことを目指していきたい、このように考えております。
  67. 渋沢利久

    ○渋沢委員 それはもう問題にならない答弁です。アメリカやイギリスで、アメリカ程度しかないとさっきおっしゃった、一般競争入札。それじゃ聞くけれども、このような談合、裏金献金、業界ぐるみ、公共事業に長年の間こうして群がりついて、そして業者と一部の政治家がそのリベートを、利益を分かち合うような仕組みは、世界のどこにあるんだ。そんなに幾つもありますか。アメリカしかない一般競争なんというのは例にならないみたいな、日本で簡単に適用できないような、そんな話ではない、これは。まさに今のこの事態の中で、我々がみんな知っているこの恥部にみずからどう光を当てるか、メスを入れるかということが迫ら れておるんじゃないですか。  もう多くを言いませんけれども、これは長い間建設業界にいて、今大学の先生をやっている人がこの間書いているのを見て、全くこれは我々この問題の素人、二月に私も建設委員会に初めて入って、この業界のことも建設行政も決して十分に知っているわけではないけれども、しかし、こういう専門家が言っているこの一言が、それは胸にこたえるよ。公共事業に伴う腐敗やトラブルの根絶には、会計法の本則、つまり一般競争入札に立ち戻るしかない、法改正は必要がない、すぐにも可能な手法だ、こう言っておる。これは、まさにこの建設省の今度の新方式というようなものは、かえってこれはその閉鎖性、談合体質を深めるだけだ、役所の介入の余地を広げるだけだ、これは本音は、まさに今の指名制度を死守するという業界の立場に立ってこの事態をかわそうとしている手法でしかないと断言している。このとおりだろうと私は思います。  しかし、まああなたは新方式、書いた紙を繰り返し読む以外ないんです。私は非常に残念です。こういう時期にあなたはたまたま建設大臣におなりになったんだ。これはピンチをチャンスにして、このときあなたはまさに指導力を発揮して、この業界を含めて、政界、官界、この公共事業を食い物にするなどと言われる恥ずかしい事態を改革するためにあなたが勇気を持って立ち向かうということが見えないのは、これは非常に残念であります。  御容赦いただいて、私の始まった時間が少し延びたものだから、委員長、もう何分か御容赦いただけると思うんですが、最後に一つだけ大臣にお尋ねしよう。これは局長に答えてもらう性質のものじゃないから、聞くまいと思ったけれども、やっぱり聞いておこう。  こういう中で私は、そうはいっても、建設大臣がしかと指導力を発揮して頑張っていただくことを期待をしております。けれども、残念なことに、業界に対して厳しい指令や指示や指導をしようという当の責任者が、もう既に早くも大手の建設業界からきちんと献金を、裏金献金をちょうだいしているというようなことが明らかになっておる。あなたも、いや、私は薄く広くです、手続もちゃんとやっていますというような答弁をその質問に対して答えておるから。ですけれども、しかし、報道されているように、こういう事実があったことは、あなたもまさか否定はできないということで、しかしながら、中身は薄くて広いという説明を加えているんだと思いますが、この事実を、この機会だから、あなた個人の問題ではないから――あなたが大臣でなければ、だれもこのことを委員会でただそうなどとは思わないかもしらぬが、これはひとつこの事実を、言われているその毎日新聞の報道だけでなしに、今のゼネコンからあなたが政治献金を全く受けてない、びた一銭受け取ってないと言い切るんなら、それも結構だ。少なくとも伝えられていることについての事実は、明確に説明してもらいたい。
  68. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  この問題につきましては、先日の衆議院本会議でもお答えをさしていただきましたが、建設業界を含む企業からの献金については、これまでも適法にやってまいりましたし、私の信条として、先生からもお話をいただきましたように、薄く広くという考え方で対応してまいりました。この点につきましては、建設大臣としての現在も、また、これからも変わりません。  ただ、建設業界を含む企業からの献金について調査をした結果、複数の企業から献金を受け取っているとの報告をいただきましたが、いずれも政治資金規正法にのっとって適正に処理されております。  なお、報道されました清水建設のランク表については、私としては全く関知しておりませんので、コメントすることはできません。
  69. 渋沢利久

    ○渋沢委員 そのBランクで報道されたという事実は全くないということですね。全くない。――関知なんと言っても、あんなものは報道されてから何日かかっているんだ。どういう事務所のだれが受け取ったのか、受け取ってないのか。そんなことあり得ようはずがないと僕は思っているけれども、あなたは直接受け取ってないということだけで通る話じゃないでしょう。秘書や事務所やしかるべき者がかわって受け取っているでしょう。それは関知しないという言い方で済む話ですか。
  70. 中村喜四郎

    中村国務大臣 繰り返してまことに申しわけありませんが、あのランク表というのは本当に私、関知しておりませんので、何度聞かれても同じことを答えるしかありません。
  71. 渋沢利久

    ○渋沢委員 その押し問答をやっても時間のむだだからやめましょう。  ただ、あなただけではない。建設省に強い政治家は当然手厚い献金の対象になっていたという事実であって、あなたがここはどう言葉でかわそうとも、非常に残念な事態だということだけは明らかだ。象徴的だ。建設大臣Bランク。あなたの言う薄いというのは、要するに三百万程度か。大変なことだ、これ。薄くて広いと、これが二十社で幾らになると計算しただけでも、ぞっとするくらい。  大臣、これ以上かようなことで申しませんが、しかし最後にぜひひとつ、この事態に対して勇気を持って、制度改正については、私が指摘を申し上げましたような点でぜひひとつまじめに検討するように、これは強く申し上げておきたい。これからもあらゆる機会を見てこのことは指摘し続けたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
  72. 野中広務

    野中委員長 午後一時三十分より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十分開議
  73. 野中広務

    野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。渋谷修君。
  74. 渋谷修

    ○渋谷委員 連日、新聞やあるいはテレビなどで使途不明金という言葉が出てまいりまして、これについては、何もきのうきょう始まった話ではなくて、実は昔から指摘をされてきたことでございます。  昨年の金丸氏の事件のときに、佐川からの五億円という政治資金の問題がありまして、このときに、これはまあ氷山の一角であって、そのほかにも、いわば裏金が相当あるだろうということで、実は、一つは使途不明金についての調査をしておりました。  たまたま経済同友会の主催で国会改革というシンポジウムがありましたので、そこに私が顔を出しておりましたら、発言を求められまして、国会改革について政治家がどう考えるかという話の前に、そこに多分二百人か三百人か経営者がおりましたけれども、まず、あなたの方が使途不明金というような形でやみ金を垂れ流しにするということを改めなければならない。蛇口を締めなければ、政治資金規正法等幾ら強化、改正をいたしましても、事はやみ金ですから、ばれなければ罰せられないという構図であります。  その一つには、もちろん自民党の派閥維持という問題がありまして、私ども同僚の議員などから話を聞きましても、当選するまで二億、三億という金を派閥から応援してもらったということを同僚の議員から聞いております。(発言する者あり)そんなもらってないですか。あるいは自民党の総裁選に至っては百億を超える金が動く、こんな金を政治資金規正法に基づいて集められるわけがない。一体どこからこの金がわいてくるのかということでありますが、これは大蔵省の方から出していただいた資料でいいましても、資本金一億円以上の会社が三万二千社ございますけれども、そのうち一五、六%を大蔵省が調査をいたしまして、約五千社ですが、そのうちの五百八十五法人、調べたうちのさらに一二%ぐらいから使途不明金が明らかになる。建設業界だけで平成二年分で三百億円、トータルでいいますと四百七十六億円に達しております。平成元年は参議院選挙がありましたので建設業界から四百億円、合計が五百六十三億円に達しております。実は、調査しただけで例 年これほどの使途不明金があるわけでございまして、膨大な金額に上っている。調査をしないものを入れると、さらにこの数字は膨らむでしょう。  また、これは資本金一億円以上の会社でありますから、資本金が一億円以下、山梨の事件などはまさにそれであります。ここに至りましては、同じように現地へ行って、やはりいろいろ話を聞いてまいりましたけれども、盆暮れに集めたお金、それぞれ業者が、あそこは、山梨には土木事務所に合わせまして八つの支部がありますけれども、各支部ごとに大体一千万ぐらいずつ集める。これは領収書が要る、ちゃんと切っているのか、いや、領収書なんてとてももらえませんよ。領収書なしで集めまして、支部長のところに取りまとめをし、そしてそれを取りまとめをして、さらに上へ持っていく。上へ持っていったって、これもまた領収書なしであります。こうしたやみ金を総額したら一体どれほどの金額になるのか。膨大という言葉を通り越して、底なしの実態があるわけでございます。こうした使途不明金の現状について、まずは両大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
  75. 中村喜四郎

    中村国務大臣 建設業界の使途不明金の額は他の産業に比べて多いということは、国税庁の調査の結果に関する報道等で私も承知しております。  この背景には、現場生産等の建設業の特殊性もあり、工事迷惑料あるいは周辺住民対策費、やむを得ない支出もありますが、法人として経理をできるだけ明確にし、社会経済的に信頼を確保することは重要であり、企業会計原則にのっとり、適正な経理処理が行われるよう今後指導してまいりたいと考えております。  また、政治献金については、関係法令に基づいて適法に行われる必要があると考えておりますし、先ごろ日建連、全建においても政治資金の自粛決議が行われたところであり、その実行の徹底を見守ってまいりたい、このように考えております。
  76. 井上孝

    ○井上国務大臣 私も、今回建設業関係にこんなに大きな使途不明金があるということを知りまして、実はびっくりしておる次第でございまして、今建設大臣がおっしゃいましたようなこと、建設業の特殊性として使途不明金が多くかかるという事情はわからぬでもないような気がしますけれども、実際にこんなに大きいというんで実はびっくりしておる次第でございまして、その原因その他について私申し上げる知識は余りございませんので、控えさせていただきたいと思います。
  77. 渋谷修

    ○渋谷委員 今の両大臣の話を建設業界の人が聞いたら、これはあきれを通り越して怒りますよ、それは。両大臣というぐあいには言いませんけれども、先ほど来申し上げている山梨の事例もそうですが、政治家がたかっている構図なんですよ。政治家のところに金を持っていかなければならない。金丸事件、まさにそうじゃないですか。山梨の事件もそうであるし、あるいは後ほど具体的に事例を申し上げますけれども、中央政界においても、こうしたやみ金を使途不明金という処理で政治家のところに運んでいるんですよ。それまた、運ぶことを要求をしている、そういう実態がある。いやしくもそうした使途不明金という会計処理に基づいて、どういう名目をつけようが、例えば政治献金などという名目をつけようが、金を受け取ってはならない。政治家が金をもらったら、どんな金だってきちんと政治団体の領収書を発行すべきじゃないですか。  両大臣とも、政治家としてこれまで、例えば建設業界等からお金をもらった際に、すべて政治資金規正法に基づくきちんとした処理はされている、当然これは言明される話だろうと思いますが、そのことも含め、さらに使途不明金についての一般的な話ではなくて、これはそういう話を仄聞している、あるいは見たことがある、あるいはこういうことがあってはならない。今や業界、財界でも、こうした問題については大変深刻な反省の状況にあるわけですから、一方で、受け取る側の事件がこうして明らかになった。やはり政治家としての言葉がなければいけないじゃないですか、これはいかがですか。
  78. 中村喜四郎

    中村国務大臣 政治献金につきましては、今までも適正にいただいて法律的に処理させていただいております。  また、今使途不明金については大変大きな問題になっておるということにつきましては、予算委員会質問の中でもたびたび出てまいりました。また、談話の中でも、こういったことが建設業界に対する信頼を失うことになるということで、企業倫理ということで、会計処理も含め、こういったものの透明性を増していくようにということで私の方からも発表させていただき、業界も今後はそういったことは日建も全建も含めて行われないようにするという決意を表明されましたので、私は、今後はそのことについては相当の、具体的な形になってくる、このように期待しております。
  79. 井上孝

    ○井上国務大臣 私は、昭和五十五年に国会に出させていただきましてから、政治団体を二つ持っております。いずれも、広く薄く業界、私は主として建設業界から支えられておる全国区の議員でございますから、そういう業界からの会費をもって私は政治資金として使わせていただいております。  したがいまして、すべて政治資金規正法による届け出もやっておりますし、領収書も発行して今日までやらせていただいております。  建設業界の使途不明金につきましては、先ほども申し上げましたように、金額が他の産業に比べて非常に大きいということはまことに残念なことでございます。不可解なことであるな、こう思っておる次第でございます。
  80. 渋谷修

    ○渋谷委員 午前中の議論もありましたし、これからいろいろとお話を申し上げまして、その結論部分でお話をしようと思ったのですが、いろいろ質問しなければならないことがありますので、結論部分で先にお伺いしておきます。  これほど公共事業にかかわる、つまり国民の税金を使う建設業、企業体、もちろん民需でやっている方もいらっしゃるでしょう、しかしながらほとんどが公共事業でいわば企業経営をやっているというようなところもあるわけですね。私ども野党の方は、企業、団体、あるいは労働組合も含めてですが、一切の政治献金はやめるべきだということでこれまでも主張してきましたし、実は今度の政治改革関連法案の中でも出しています。本来は、これが実現すればこういう議論をする必要もないわけでありますけれども国民の血税を使って公共投資をする、それにかかわる企業から、いわば政治資金規正法にのっとってもらうというぐあいにいいましても、事は建設の行政にかかわる、いわば直接の責任者である建設大臣あるいは国土庁長官は、少なくともその在任中はそういう企業などからの政治献金はみずから辞退をするべきではないか。未曾有の国民のこれほどの不信にあるときですから、そのくらいの姿勢を見せること保が、建設行政に対する国民の信頼を回復することにはなりませんか。
  81. 中村喜四郎

    中村国務大臣 先生指摘をいただきましたように、企業献金のあり方についてはいろいろと議論があることは、私も承知しております。しかし、現在までも法令の定めに従ってやってまいりましたし、何らかの新たな企業献金についての方向、枠組みというものは、今度の政治改革の中で当然議論されてくると思います。そして、そのことがまとまればそれに従うのは当然のことでございます。そして、現職閣僚であるという私の立場を考えれば、公私のけじめをきちんとつけていくことは当然でありますし、献金の有無にかかわらず、大臣としての職責を毅然として全うし、いささかも行政の筋を曲げることのないように、特に最近一部で報道されているような公共工事の発注に関する介入などの疑惑を招くことのないように、みずからを厳しく戒めていくことは当然のことである、このように考えております。
  82. 井上孝

    ○井上国務大臣 ただいま建設大臣がおっしゃいましたように私も存じております。  ただ、先ほど申し上げましたように、私の政治団体はほとんどが建設関係、個人もありますけれども、建設関係でございますので、会費としてい ただいております。したがいまして、これは続けさせていただいてもいいんじゃないかなというふうに、今何いながら考えておったわけでございます。
  83. 渋谷修

    ○渋谷委員 制度としてあるから、それは制度の枠内であればもらっていても当然じゃないか、もちろんそれは論理ですね。しかしながら、今の、公共工事国民からいわば見られているような政治状況、そしてまた次から次へと明らかになる使途不明金というような形で政治家に渡されている、そういう報道がなされている現状ということでいえば、きょうこうしてこの建設委員会が開かれているのも、そうした国民疑惑にきちっと答えよう、建設省がどういう行政姿勢で今後そういう問題について対応していくかということを明らかにするために開いておるわけですね。  そこで、一般論としての議論ではなくて、これはやはり政治家の生の声として国民に対して物を言うべきではありませんか。そういう点から私は言っているのです。いかがですか。
  84. 中村喜四郎

    中村国務大臣 政治家としての生の声で答えろというお話でございますので、私個人のことを申し上げることはいかがなことかと思いますが、私は、今まで当選六回させていただきました。そして、今回で閣僚二回させていただきましたが、政務次官あるいは委員長等もさせていただいております。そのことが是か非かというのは、またいろいろ議論があると思いますが、今までもそういった政務次官あるいは大臣、こういったところでパーティーなり、出版記念会なり、いわゆる祝賀会なり、そういうものは中央も地方も含めまして一切やらないように、公私のけじめはつけてやってきたつもりでございます。  また、御指摘をいただくような、いわゆる一部の企業に対する利益誘導というような疑惑を持たれることは、中央も地方も含めまして絶対にやらないようにやってきたつもりでございますので、今後もその姿勢を貫いていきたい、このように考えております。
  85. 井上孝

    ○井上国務大臣 何遍も申し上げますように、私の政治団体は会費としていただいておりまして、加入を強制したこともございません。実は昭和五十五年は前の選挙制度でございまして、いわゆる全国区、名前を書く選挙でございまして、あれはやはり相当金がかかる選挙でございましたが、そのとき以来私は、新政策研究会という会を持っておりまして、その会費としていただいております。一口、月一万円でございますが、私のところは三口までとして、四口以上はいただかない、お断りするということでやっておりますので、私は今適法ではないかなと思っておりますが、よく検討してみたいと思います。
  86. 渋谷修

    ○渋谷委員 今の点に関連して、きのうの新聞で、「石川日商会頭の責任言及」ということで日経連の永野会長の談話が出ています。今、使途不明金という言葉を使いましたけれども、会計法上は使途不明金という科目はございません。永野会長は、「使途不明金は法律で認められており、その範囲内でやっていることが倫理に反すると指摘することは難しい」というぐあいに新聞では発言をしておりまして、他の新聞でも似たようなことを言っております。  さらに、日経連の久米副会長が同じような談話を言っておりまして、ゼネコン業界のやみ献金を使途不明金の形で処理していると言われていることについて、「使途不明金は法で認められているが、国のために良かれと思うなら、なぜ政治家個人に何十億円も献金したのか疑問だ。やはり利害が絡んでいるとしか言いようがない」。  何を言っているかといいますと、「使途不明金は法で認められている」という部分ですね。これは両大臣にお伺いするのではなくて、大蔵省、この談話は正しいですか、いかがですか。
  87. 藤井保憲

    藤井説明員 お答え申し上げます。  私ども国税当局としては、真実の所得者に課税するという役割を課せられておるわけでございまして、使途不明金は課税上大変問題があると考えておるところでございます。  ただいま、新聞記事に関連いたしまして、使途不明金は法律で認められているのかという御質問をいただきましたが、税法上、使途不明金の定義はございません。また、法人税の基本通達に、「法人が交際費、機密費、接待費等の名義をもって支出した金銭でその費途が明らかでないものは、損金の額に算入しない。」という規定がございますが、これは、国税当局としてその使途の解明のために最大限の努力をいたしましても、なお法人がその使途を明らかにしない場合が現実にあるわけでございまして、そういう場合の課税上の取り扱いを定めたものでございます。したがいまして、この規定は、使途不明金を法律的に、あるいは制度的に認めるという趣旨では全く言い、このように考えておるところでございます。
  88. 渋谷修

    ○渋谷委員 財界の首脳がこういう感覚だから、こういう問題が常態化するんですね。この方は日商の石川会頭について、今度の建設業界のいわばその問題の責任をとって身を処すべきだということの発言をしておるわけですが、その発言の前段で、使途不明金が法で認められているという前提に立って発言をしているわけです。  法律でなんか認められていないのです。税法上も使途不明金などという、もちろんそういう意味での言葉もございません、科目上も許されていません。もちろん企業が自己否認をして使途不明金を出した、相手先が本来は所得があったところに課税されなければならないにもかかわらず、使途不明金ということで処理するということは、言ってみれば脱税に協力するということなんです、これは。  法律的に許されているという認識を持っているということは、そんなことがまかり通っているということを言っているわけです、日経連の永野会長は。これは、みずから身を処すべきは永野会長ですよ、こういう感覚で財界をリードしていたら、こういう問題が常態化するのは当たり前じゃないですか。現状はまさに常態化しているのです。こうした発言については、建設大臣だけに伺っておきますが、どのように考えますか。
  89. 中村喜四郎

    中村国務大臣 使途不明金の問題につきましては、基本的には税法上の処理の問題である、このように考えております。
  90. 渋谷修

    ○渋谷委員 税法上の処理の問題ではなくて、そもそも使途不明金というのは許されないのですよ、税法上も。そもそも、これが認められているから責任が問われないというような性格のものではないのです。しかも、その使途不明金が現実にいろいろなケースで、例えば今回の事件でもそうですが、建設会社側が、例えば前田建設の発言でもそうでしょう、金丸さんに裏献金を渡した、領収書をもらえなかったから使途不明金として処理をした。相手先を言うことができないから使途不明金として処理をする。そもそも使途不明金というものは、例えば商法上も会計はきちんと正確に記載しなければならないという義務規定があるわけでありまして、そういう会計処理そのものは許されてないのです。なぜならば、株主に対するある意味では背任的な行為にもなりますでしょう。当たり前の話じゃないですか。  となれば、これは私よりも大先輩の建設大臣にこういうことを伺うのは、専門外という話ではなくて、こういう使途不明金ということでの処理が行われてはならないんだ、財界のリーダーがこうしたことを平気で発言するようなことは憂慮しなければならない、そういう発言があってしかるべきじゃないですか。いかがですか。
  91. 中村喜四郎

    中村国務大臣 東急建設及び前田建設の件について、報道では承知しておりますが、政治資金規正法に違反する事実があったかどうかということは、しかるべき機関で判断をされるべきであろうと考えておりますが、建設省としてはその状況を見守っていくという考え方でございます。
  92. 渋谷修

    ○渋谷委員 それでは、お二人にぜひお伺いしておきたいと思っているのですが、一九八五年というのは実は大変重大な年でありました。この年の二月ですけれども、田中派から竹下派が分裂をいたしまして創政会が発足をいたしました。この創 政会が発足する直前に、建設業者の代表をそれぞれ議員会館に呼びまして、役割分担をそれぞれしたんだろうと思いますから全部呼ぶなどということはできません。それぞれの竹下派の中堅の方々が建設業者を議員会館に呼びまして、そういう重大な政局に当たって協力の要請をしたということは、御本人として、お二人ですが、経験がございますか。あるいは、それを聞いたことがございますか。
  93. 中村喜四郎

    中村国務大臣 ございません。
  94. 井上孝

    ○井上国務大臣 全く覚えがございません。
  95. 渋谷修

    ○渋谷委員 御本人からはやらないけれども、秘書にそういう指示をしたということはございますか。
  96. 中村喜四郎

    中村国務大臣 ございません。
  97. 井上孝

    ○井上国務大臣 秘書にも聞きましたけれども、ございません。
  98. 渋谷修

    ○渋谷委員 使途不明金の性格ですから、先ほどの話が、前田建設の社長の談話にもあるように、領収書も残っていません。一方で、領収書も発行しない。だから、事実を証明するということはこれはなかなか難しい。しかし、私の方は複数の建設業者から幾つか話を聞いております。これはお二人ということでは申し上げません。創政会発足の一週間ほど前にそれぞれ議員会館に呼ばれまして、既に秘書の方から金額については割り当てがあって、何に使うのですか、それは今言うわけにはいかない、いずれそれは新聞に出る話になるということで、それを一週間後に届け出をした。結局、そのことについては領収書をもらえなかったので使途不明金として処理をしたということを、これは建設業者から私はじかに話を聞いているのであります。こうしたことが当時から実は常態化しているということですね。これは昔の話です。もう税法上も時効になっている話ですね、一九八五年といえば。  去年ですが、さらに今度は竹下派が分裂します。このときに、表では、もちろん竹下派分裂ということで、新聞にも随分記事が出ておりました。ところが、竹下派の七奉行と言われた幹部が建設業界のある幹部に連絡をしまして、金丸さんがこういうことになったので、これからはこっちの方面の資金担当は私がやらせていただきますということで、直接電話をかけている。まさに暗闘ですね。お互いに資金源を奪い合う暗闘が行われている。これが、言ってみれば裏では当たり前。今の事件でもそうですが、裏で当たり前の話がたまたま表へ出た。みんなでうろたえておろおろしているというのが現状じゃないですか。いかがですか。
  99. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたしますが、先生のおっしゃられている話、私は、二つの話ですか、八五年の話と今度のその話も全然心当たりなく、答えができません。
  100. 井上孝

    ○井上国務大臣 私も全く考え及ばないところでございます。
  101. 渋谷修

    ○渋谷委員 本当は政治家の名前も聞いているし、それから業者の名前も私の方ははっきりしているわけですけれども、それを明らかにしたのでは、山梨の事例もそうですけれども、まさに上から下まで至る談合構図ですね。もっと言えば、建設マフィアですよ、これは。山梨では自殺者まで出ている、自殺者まで、指名を外されて仕事がとれずに。名前を出したら、あしたから指名を外されるあるいは報復を受けるという可能性もありますから、あえて、これは私が責任を持って言っている話ですから、お二人がいろいろとこのことについて納得いかないことがあれば、どんな手段をとられようと私が受ける話ですけれども業者の名前等ニュースソースは、これは絶対に明らかにするわけにいかない、今の現状がありますからね。これがまさに談合構図の、今の問題でもそうですけれども、裏に隠されている実情であります。こうした実情を私ども制度を変えることによって一つ一つやはり解決をしていかなければならないというぐあいに思います。  使途不明金の問題については、ただ単に使途不明金けしからぬという話だけではなくて、具体的な提案を若干しておきたいと思いますけれども、大蔵省、この使途不明金の処理について、現実は今、先ほど来申し上げているような状況になっている。新聞等でも毎日報道されている。これを企業の側も、新聞報道によれば、領収書をもらえないから仕方なくということで、安易に使途不明ということでの処理をしているような状況がある。この問題についての対応策を検討しているということはございますか。
  102. 藤井保憲

    藤井説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、使途不明金については課税上大変問題があると考えておりまして、その使途の解明に全力を尽くしているところでございまして、ただ、税務調査がいわゆる任意調査を基本としておるところでございまして、使途不明金の使途の解明は極めて難しいことも事実でございますが、従来から調査に当たりましては、使途不明金の使途の解明、真実の所得者の把握に特段の努力を払っているところでございます。この点につきましては、今国会で使途不明金について種々の御議論をいただいております。こうした点も頭に置きながら、さらに使途の解明に特段の努力を尽くしてまいりたい、かように考えておるところでございます。  ただ、処理でございますが、解明のために最大限の努力をいたしましてもなお企業がその使途を明らかにしない場合には、やむを得ず使途不明金として、損金算入を認めず、支出法人に対して法人税を課しているところでございます。その場合、使途を明らかにすれば当然損金となるものも課税対象になる、こういう形になっておりまして、現行法人税制上としてはできる限りの措置を尽くしておる、かように考えておるところでございます。
  103. 渋谷修

    ○渋谷委員 大蔵省、この問題もきのうきょう始まった話じゃないでしょう。税制調査会の答申では、昭和五十八年にこの問題についてはきちんと指摘が行われているし、さらに参議院の予算委員会等では、私どもの同僚の議員がこの問題について何度も質問している、時の大蔵大臣が竹下さんだったりしているのはちょっと皮肉ですけれども。何度も繰り返しているのですよ、この議論は。昭和五十八年ということで、この答申の出たときからいえば、何年たっているのですか。日本人の言うイエスというのはノーだという話はここでも同じですか。検討しているということは、何もやっていないということと同義語でしょう、これはいかがですか。
  104. 細見真

    ○細見説明員 先ほど国税庁の方からも御説明いたしたとおり、いわゆる使途不明金と申しますものは、真実の所得者に課税をするという税法の考え方からすれば、できるだけ使途を解明して、その支出先に対して適正な課税をするという観点から、執行当局においてもさまざまな努力をしているところでございますが、どうしても使途が不明という場合におきましては、支出先に対して適正な課税を行うという原則があるわけでございますが、支出をした側につきまして損金を不算入ということで課税上の措置をとっているということでございます。  それに関連いたしまして、ただいま委員の方から御指摘がございました税制調査会の答申でございますが、昭和五十八年にこの問題について御議論をいただきました際に、「本来、何らかの経費としての性格を持つ支出を損金不算入とし全額を結果的に課税することは、法人税制の枠内の措置としては限界であるとも考えられる。」という御答申を実はいただいておるところでございます。  私どもとして、使途不明金というものにつきましては、執行当局も含めまして、さまざまな努力をしていくことは当然でございますが、ただいまの答申にございますように、私どもなりに法人税制の枠内ということで努力をさせていただいているということをぜひ御理解をいただければと思うわけでございます。
  105. 渋谷修

    ○渋谷委員 時間のむだ遣いをしてもしょうがないので、今までの議論の繰り返しでしょう。何にも工夫もなければ、今のようなこういう事態について対応しようという姿勢もないじゃないですか。今までのままでいいという話でしょう、結局 は、結論は。  私の方から具体的に提案をしておきますけれども、この二点についてぜひ検討しておいてください。  山梨へ行きましても、中小法人の使途不明金による処理というのが常態化しています。これは、何も企業をいじめるのじゃないのです。企業に対してそういうルールを課すことによって、政治家がたかるということに対するバリアにする、そういう意味ですよ。そういうことで聞いてください。政治家がたかろうとしても、企業の方は会計上それはとても処理できませんと。あとは、どうしてもやみ金に流れるやつは、それはそれで別途対応すればいい話で、暴力団の新法と一緒、表に代紋つけて堂々とそんなものやるというのは許されないから、暴力団新法をつくって取り締まる。使途不明金だって、経済界の人たちが法律上許されているからやっているのだという話でしょう。そんな認識を持たせてはだめなのですよ、この問題は。したがって、いかに踏み込むかということです。  そういうことでいえば、一つは、中小法人に関しては、一定の金額以上の使途不明金を支出したような企業については、青色申告の承認の取り消し、これは今でもある制度です。これは、こういう形での対応が一つ考えられます。  さらにもう一つは、いろいろ私も考えました。大臣、例えばフランスなどの場合は、こういう使途不明金については特別課税を課していまして、その使途不明金をそのまま一〇〇%税金で持っていってしまうわけです。企業が、これはどこに払ったかわかりませんけれども使途不明です、日本と同じですね。自己否認で出した場合は七五%課税。ただ、日本の場合は、税法上これを理屈づけるというのはなかなか難しい。いろいろ議論はしました、納得されても困るのですけれども。私もまだあきらめているわけじゃないのですが、これはなかなか難しい。  そこで、今やっている制度の中で役員の認定賞与という方法があります。この役員の認定賞与というのは一緒なんです。つまり、役員がどこかに支出をしたけれども、実際は税務調査が入らなければわからない話ですが、どこかの役員のところに帰属をした、いろいろ調査をしたけれども、わからないけれども、一応これは役員賞与ということで認定をしよう。その支出については法人税課税がされていますけれども、プラス役員に対して所得税がかかるということになっているわけです。私は、これは方法としては何とかなるんではないか。  というのは、先ほどの使途不明金でこういう話があるのです。政治家のところへ行くのは大体担当の建設会社の役員は決まっていますよね、取締役が。なかなか社長が直接行くなんということはしない。それは談合担当、その問題専門に担当。その担当の人間が政治家から言われてお金を丸ごと運んでいく。三百万とか五百万とか運んでいくのですね。運んでいくんだけれども、領収証をもらえないから、会社に対して、払ったかどうかなんというのは、本当は事実確認をできないのです。中には半分くらい抜いている例もあるかもしれないということになるわけです。抜いちゃったら、そのことの事実確認というのは今度、マル査じゃありませんけれども、新聞記事に出てきましたタマリというやつですね。役員の周辺を調査をやって、例えば銀行預金とか株とかあるいは資産その他で、あれば、それは確認をして、税務調査をして、役員賞与ということができるかもしれません。  いずれにせよ、そういうことというのは、常に、この使途不明金というのはいろいろな形で想定されるということでいえば、今みたいに単に損金に不算入、そういった処理ではなくて、これについては、根拠規定を設けないと、裁判になった場合にどうなるかということがありますから、議員立法で根拠規定を設けまして、使途不明金については、それの支出にかかわった担当役員の認定賞与という処理で、これは企業いじめということではない、そういう不透明な会計処理をしてはだめだ、あるいは不透明な会計処理によって政治家に金を渡しちゃだめだということをやらない限り、幾ら政治資金規正法を強化したって、やみ金ですから、出る蛇口の方を締めなければだめだということです、大臣。そういうことをぜひ大蔵省の方には御提案申し上げておきたい、検討していただきたい。早急に、一週間以内に私の方に検討の内容をお聞かせいただきたい。それでやってもらえなければ、私の方は議員立法を準備をいたしまして、これは自民党の先生方にも多分御了解をいただける話だと思いますから、ぜひ御相談を申し上げて、議員立法で実現することもぜひ図ってみたいというぐあいに考えます。  使途不明金の問題については以上にいたしまして、残りの時間が少なくなりましたから、山梨の件を若干触れておきます。  談合の問題を先ほどから取り上げているわけですが、まあ別に談合といったって英語にもなっているぐらいですからそんなに珍しい話ではない。珍しい話ではないけれども、改めて、談合という言葉だけで去年一年間のある新聞の記事を全部検索してみました。そうしましたら、百七十五件の記事が一年間で載っておりました。重複しない事件を全部洗ってみましたら、全部で四十五件。  建設省、日米建設協議で建設省アメリカ側にどういうぐあいに説明していますか、この談合問題については。
  106. 伴襄

    伴政府委員 今先生が御指摘の談合というのは独占禁止法違反のことかと思いますけれどもアメリカ側からは、ここでたびたび申し上げておりますけれどもアメリカの方は一般競争、ボンド制度を前提とした一般競争をとっております。アメリカアメリカとしてこれが一番いい制度だというふうに考えておるわけでございまして、そういうことを前提に言っておりますし、私どもは、たびたび申し上げていますけれども、ヨーロッパ型というのか指名競争入札制度を原則としているわけでございまして、それぞれそういう制度を前提にしてやっておりますので、これはお互いにそういう制度を前提にしながら参入し合おう、こういうことでアメリカとの話し合いはできておるわけでございます。  談合につきましては、独禁法違反の事案につきましては厳しく取り締まるべきだということは、私どもというよりはむしろ公取当局の方に対して言われておりまして、そのことも踏まえながら独禁法の運用については非常に強化されているというふうに我々も感じておりますし、実際にそういうふうにされているということかと思いますが、その遠因として、やはりアメリカからも厳しい指摘があるのじゃないかというふうに私は思っております。
  107. 渋谷修

    ○渋谷委員 私は、アメリカがなぜそういう指摘をしているかということを聞いたのではなくて、こうした談合事件が相次いでいることについて、建設省側の反省なり、あるいは先ほど来入札制度のあり方の問題について議論しているけれども、そういうことについて触れた御答弁をされるのかというぐあいに実は思っていたのですが、そうではない。危機意識がどうこうという話は、これはやめておきましょう。  いずれにせよ、つい最近アメリカ大使館の方とも話をしましたけれども、日米建設協議、若干残されているようですが、これはまた始まりましたらアメリカ側から厳しい指摘があるようですね。これまではそういう談合という事件は語られていても、実態はないということを日本建設省は主張してきた。しかし、金丸事件があって、渋谷さん、これは一体どうするのでしょうね、日本の政府はどういうぐあいに説明してくるのでしょうか、そのことが一つ。  それから、日本国民は、なぜ、これほどの問題が起こっているのに、もっと激しく怒らないのか、国民の税金が盗まれている事態じゃないかというような指摘をされました。私は、思わず顔が赤くなっちゃいました。政治家の一人として恥ずかしくなりました。  そういう状況について、私ども、やはり立法府に所属をする一員として、もっと危機意識を持っ てやらなければならない。私は、行政のしりをひっぱたくなどということだけを考えておりません。立法府が本来の機能を果たしていないところに、実はこういう問題が起こっているということも言えるわけでありまして、こうした集中審議のときに寝ていられる人は幸せでありますけれども、とてもじゃないけれども、今の事態というのは昼寝しているような状況にはないということを、あえて言わなければならないというぐあいに思います。  山梨県の事例では、先ほど来お話をそれぞれされましたけれども、実は知事選挙が終わりまして、新しい今度の、天野知事になりまして、それでかつて負け組だった人は随分よくなったというのですね。かつて勝ち組だった人は、もう指名もお呼びもかからなければ仕事が来ない、大変だというわけです。いろいろな実は実情を、話を聞きながら、これは一体どうなっているのだろう、両方から話を聞きました。  一方で、私は知事の政治団体の方を調べさせていただきまして、これは表に出ている話ですから別にそんな大した話ではない、知事の建友クラブ、建設の建に友と書きますが、これは名前の天野建、建設とは関係ないのですが、建友クラブという政治団体がありまして、収入総額が大体約八千万ぐらいです。これについていろいろとまた地元の業者から話を聞きました。そうしたら、勝ち組も負け組も、建設業者こぞってこの会員になっている。年間三十万とか六十万とか会費を払っている。直接払っている人から聞いたし、払った領収書も見せていただきました。  こういう構図に一体どうしてなるのだろうか。これは当たり前ですね。県の工事入札施行までの経過などについても、地元の方々に話を聞いたり、それから県当局からも話を聞きましたけれども、県当局から話を聞いた中で、この入札の仕組みについて、県の方でこれに基づいて実は入札をやっているわけですが、県の建設工事入札制唐合理化対策要綱という書類があるのですが、これはもちろんそんな珍しい書類ではありません。「入札の方法は、指名競争入札を採用するものとする。」という原則を明らかにしまして、あと細かな手続が決められているのですが、指名を決めるのにフローチャートを地元からもらってきましたけれども、出先機関、つまり土木事務所で業者を選考いたしまして、指名業者を内申をし、あと手続を挙げているわけですが、この指名入札制度という制度の中で指名業者に入るかどうかでほとんど工事をもらえるかどうか、あるいは将来的にもらえるかどうかも含めて決まってしまうのですね。この入札制度に根本的な実は原因がある。今外されているけれども、もしかしたら将来仕事をもらえるようになるかもしれない。だから、保険料として実は知事の政治団体に、これはもちろん合法的ですが、会費としてお金を払っているということですね。  土木事務所長は何でそんな指名業者を選定できるのだろうか。土木事務所長と実はそのエリアの建設業界の支部の支部長と話をして指名業者を大体決めるようでありますが、これはもちろん業界の方は一つのルールをつくろうという話ですが、これはトップがかわれば当然、県の組織に対する人事権を持ちますから、下の人間は全部上の顔色を見て仕事をする、直接に土木事務所長に金が渡るとか、そういう飲ませ食わせという話ではもちろんないようでありますけれども、個別の工事で金が渡ればもちろん贈収賄罪が成立するわけですから、そういう危ないことはやらない。言ってみれば、そういう一つのネットワークですね、こういうシステムの中でちゃんと金がわいてくる構図ができ上がっているという状況にあるわけでございます。  建設省の方は、これは県の方の話であって、本来は県議会でやるべき話でこんなところでやる話ではないというような感じで先ほど来答弁しておりますけれども、この対策要綱を、県の方で聞きましたら、県の方は建設省の指導によってこういう要綱をつくっているというぐあいに言っているのですが、建設省としては、この要綱についてはこういうモデルを示したことがあるか、あるいはこういうことでやれという通達を出したことがあるか、一切ないならないということでお答えをいただきたいと思います。
  108. 伴襄

    伴政府委員 入札契約制度ないしその運用につきましては、たびたび申し上げておりますように、基本的には各発注企業がそれぞれ自分の判断によってそれぞれの、例えば財政法、会計法とか予決令、地方の場合ですと地方自治法に基づきまして適切な運用がなされるように、それぞれ決めているところでございます。  今お示しの山梨県が作成しているという県の入札合理化対策要綱でございますけれども、これはどういう経緯でそういう内容になったのか、作成の経緯はわかりません。わかりませんが、作成に当たっては、恐らく他の都道府県の要綱をまねしてみたり、あるいは建設省の場合は地方支分部局工事請負業者選定事務処理要領というのがございますので、そういったものを参考にしてつくられたのではないかという気はいたします。何か先例がないとこれはなかなかできないので、あるいは私どもの方のこの処理要領をまねしたのかもしれませんが、いずれにしても、建設省の方でこのとおりやれとか、こうしろとかいったことを指導したことはございません。
  109. 渋谷修

    ○渋谷委員 そうすると、今の点で確認しておきますが、建設省からこのことを指導したことはない、ということは、本来これは県が独自にやっていることであって、したがって、本来は県議会が関与すべき事項ですね。県議会が全然関与せずに行政ベースで全部やっているものですから、結局そういう形で、ある意味では非常に恣意的な運用が行われてしまう。これは国会での問題というよりは、僕はやはり県議会の方々がこの問題についてはきちんと関与して、こういうルールをつくらせるべきだというぐあいに考えております。  実は、山梨の問題の中で幾つか取り上げておかなければならない。建設省のかかわりの中で言いますと、これは資料要求したのですが、古い話だからということで出てこなかったのです。一九八四年に摘発された山梨県の須玉町の工業団地をめぐる贈収賄事件、これなんかも贈収賄事件で起訴されました上村元町長さん、これは金丸先生にお願いしたら、その工業団地への取りつけ道路について建設省からすぐ補助金がおりた、昭和五十七年に二千六百万、昭和五十八年に六千七百四十万、合わせて九千三百四十万円の補助金がおりた。受けた業者は随意契約で受けたようですが、業者が元副総理にやみ献金をしたということを証言しています。これは公判でそういうやりとりがあったようですけれども、こういうのが実態なんですよ、大臣。  建設省は知らないなんて言ってられない。建設省名指しで、建設省金丸さんを通じて話をしたら、すぐ補助金をおろしてくれたという話なんだから、こういう一々の地域の問題について建設省が反論しているというわけにはいかぬでしょうけれども、こういうぐあいに事件が出てくるということについて、例えば補助金制度のあり方も含めて我々は検討し直さないと、こういう事件が後を絶たないということに実はなっているわけです。そこで、まだ時間がありますか。-それともう一つは、これは具体的に取り上げておきたいのですが、今度の事件でも明らかになりました、ゼネコンが工事を発注する。そうしますと、生コンの納入に当たって甲斐通商という金丸さんのファミリー企業が介在しまして口銭を稼ぐというような記事がありました。実は一部建設業者からも話を聞きました。そのとおりでして、甲斐通商を入れてくれということで指示があって、入れざるを得なかった。三%天引きされた。こういうことについては、言ってみればぺーパーカンパニーが入ってきて、国民の税金で工事をやる、発注する、そこに政治家がかかわるようなぺーパーカンパニーが入ってきて白昼公然と国民の税金を盗んでいく。何もしていないのですから同じことでしょう。これは法的に一体どういうことになるん でしょうね、取引関係の話ですから、私は公取からこの問題についての考え方を聞いておきたいというぐあいに思っているのですが、いかがですか。
  110. 上杉秋則

    ○上杉説明員 御説明申し上げます。  一般論として申し上げさせていただきたいのですが、今御指摘のような事実に関連する規定といたしまして、独占禁止法上、優越的地位の乱用、あるいは不当な拘束条件つき取引というようなものが問題となり得るかと思われます。  独占禁止法上の優越的地位の乱用として問題となるためには、ある事業者の取引上の地位が相手方に対して優越していると認められることが要件となりますが、これは、取引の依存度、市場における地位、それから取引先変更の可能性、取引対象商品の需給関係等を総合的に勘案して事案ごとに判断されるものでございます。  したがいまして、例えば事業協同組合がある商品について共同販売事業を行っているというような場合には、その組合なりの地位は当該商品の購入をする者よりは強いことが多いわけでございますので、このような場合には、当該商品の購入者は組合に対して優越的地位にあるとは認めがたいというふうに考えられますので、独占禁止法上問題とすることは困難ではないかと考えております。  それから、不当な拘束条件つき取引という側面につきましてでございますが、ある事業者が他の事業者と取引を行うに当たりまして、ぺーパーカンパニーを経由するということを条件にして取引をしたということになりましても、そのことによって市場における競争が阻害されるということはやはり考えがたいわけでございますので、同様に、独占禁止法上問題とすることは困難ではないか、かように考えている次第でございます。
  111. 渋谷修

    ○渋谷委員 お話を伺ったとおりであります。これは政治家にとっては朗報ですね。  つまり、お互いにできる限り力をつけてダミー会社でファミリー企業をつくりまして、それで建設工事を請け負わせたところにうちのファミリー企業を使えということであれば、これは法的に何ら問われない。三%であろうと二%であろうと、とりほうだいということになるわけであります。  しかし大臣、これは常識的に考えたらおかしいでしょう。ぺーパーカンパニーが入ってきて、仕事をするわけではないけれども、ともかくそこを通すだけで口銭を稼いでいく。それが何ら法的に問題にならない、現状は。独禁法上は、優越的地位の乱用とか、独禁法上の規定の中ではもちろんだめなんです。しかし、はい、そうですかと、ここで議論をしてしまっては、これは国民にとっても申しわけない。三%抜けるということは、これは見積もりに問題があるのでしょう。生コンの単価が三%抜けるほど余裕があるということじゃないですか。  甲斐通商が間に入っているということは、ほかにもあります。今度のリニア新線についてもそういう話を聞いております。これは答弁をお願いしておりますと、あと入札制度について一言、二言やっておかなければいけないので終わりにしますけれども、これは建設省、つまり直接発注じゃないですね、間接発注についてですが、そこにこうした形でぺーパーカンパニーが入るということをそのまま今の議論のような形で許しておくということは問題がある。国民感情からいっても問題がある。そういうことについてやはり事実確認をしながら、当然見積もり等の見直しをするべきであるというぐあいに私は思います。  これはぜひ建設省として検討しておいてほしい、独禁法上は対応できないのですから。そんなことをこのまま見過ごす、金丸さんがああいうことになってもファミリー企業はちゃんと生き続けて、リニアに関しては既に発注していますからね、発注していることについて、契約関係で入っているものについてはそのまま口銭が稼げるような状態を許しておくということにはいかないというぐあいに私は思います。建設省の方への要望としてこの保ごとも、単なる要望で一方通行ではなくて、検討した結果を後ほどぜひお聞かせいただきたいというぐあいに思います。  入札制度の問題が一番根本の問題なわけでございますけれども、このことを事務的にやっていますと、一時間、一時間半の時間がありましても、とてもじゃないけれども足らない。ですから、ここで細かい話をやるつもりはございません。ただ、一回だけやりとりをしておかなければならないのは、会計法上、入札は原則としてどういう方法によって行うことになっていますか。
  112. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 では、一言で御答弁させていただきますが、会計法二十九条の三で一般入札でやるということが決められております。原則です。
  113. 渋谷修

    ○渋谷委員 私も建設関係のいろいろな団体だとか、そういう仕事もしておりますから、実情はよく知っているのです。だから、実態を踏まえた議論を先ほど来のような形でやるつもりはない。  会計法本法では、国会でつくった法律では、一般競争入札が原則なんです。指名競争入札というのはあくまでも例外規定です。しかも、例外によることは法律の中で列挙されているのは二点だけです。これはあえて申し上げません。役所が一番よく知っている話であります。  では、なぜ今指名競争入札が、例外規定が一般化し、一般競争入札が例外化しているのか、ここが問題でしょう。先ほど来入札制度についての見直しをこれからやるというぐあいに建設省建設大臣もおっしゃいました。しかし、これは役所に任せておくわけにはいかぬですよ。法律本法に書いてあることとは違うことを歴史的にずっとやっていますから。そうでしょう。会計法に書いてあることは違うでしょう。原則の一般競争入札とは違うことをやっているでしょう。いかがですか、そのことだけ。
  114. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 限られた時間の中でございますという前提ですから、先生御承知のことですから、くどくど申し上げることは差し控えますけれども、おっしゃるように、先ほど申し上げましたように、一般競争の原則が二十九条の三でございますが、その第三項に、もう御案内と存じますけれども、要するに発注者にとって不利な場合、このときには指名競争入札をすることができる、こういうことによってやらせていただいております。
  115. 渋谷修

    ○渋谷委員 それは非常に抽象的な規定でありまして、今みたいに指名競争入札を完全に一般化する、例えば山梨県によっては指名競争入札によるものとするということなどにはなっていないのですよ。これは会計法上そうなっているし、予決令もそうだし、それを踏まえて地方自治法も決まっているわけです。ところが、それとは違う法運用が行われているというところが実は問題なんです。制度を変えるというのはいいけれども、しかし役所がいろいろな形で研究したでしょう、その研究した内容に全部ゆだねてしまうというのは、私は立法府の怠慢だというぐあいに言っているわけです。  これはこの前の佐川急便の事件もそうでありましたけれども、都市計画法では市街化調整区域ということについて非常に厳しい制限があります。限定列挙がありまして、どこでもあんなものを建ててもいいという話にはなっていなかった。ところが、一建設省局長が通達を出して、その通達によって佐川急便の新潟トラックターミナルは建設することができる、そんな通達については国会で議論したことないですよ。  話を広げるつもりはありませんけれども、今申し上げたことも含めて、私は委員長にぜひここで御提案申し上げておきたい。これはアメリカでは当たり前の話になっているのですが、各常任委員会に法律を具体的に審議するためのいろいろな小委員会が置かれております。その小委員会の中の一つとして、常任委員会で通した法律についての行政府における法運用、政省令、通達あるいは今みたいな例えば入札制度、これは会計法の方に根拠規定があるわけですが、建設省の方はもちろん予決令その他を踏まえて今度の入札制度を見直そうというわけでありますけれども建設省行政 府だけの仕事なんですよ。これに対して、私どもがここで議論して、おまえら、けしからぬと幾ら言ったって、状況はなかなか変わらない。これまでもそうでありましたけれども。  したがって、これだけ読み上げて私の質問は時間が来ましたから終わりにいたしますけれども、後ほど私ども理事の方から具体的に御提案させていただきます。この建設常任委員会のもとに行政調査委員会といったようなことでの小委員会を設置をしていただきたい。これは衆議院規則四十三条に基づいて小委員会を設置することができるということはもう当然の話であります。既に地方行政委員会などには暴力団新法についての小委員会が設置されまして、法成立後の政省令、規則等の問題についても検討を行っています。  私どもの建設常任委員会というのは、国民の安全やあるいは財産あるいは今のような利益に直接かかわる法律を扱っているわけでありますから、そうした問題について行政府が一つのシステムをつくる、運用をつくる、運用通達を出すという問題については、私どもは立法と行政府の権力のチェックアンドバランスということからいいましても、立法府の側がこれだけきちんとやっているよということを国民に対して見せるためにも、私どものこの建設常任委員会のもとに行政調査委員会というものを設置をいたしまして、この常任委員会で採決をしました法律やあるいは本常任委員会が所管する事項について、その小委員会で専門的に、系統的に、あるいは経常的に審議をするというような姿勢を私ども立法府がぜひ持つべきではないか。これがなかったら、私は今度の事件についての立法府の姿勢そのものが問われるというぐあいに考えておりますので、ぜひ与党の理事の方々も含めてこの問題について積極的な御検討をいただいて、そういう委員会を設置していただくことをお願いを申し上げまして、私の質問を終わりにしたいと思います。
  116. 野中広務

    野中委員長 次に、平田米男君。
  117. 平田米男

    ○平田(米)委員 きょうは入札あるいはやみ献金の問題が主とした議論でございますが、その議論をさしていただく前に、若干別の問題を質問さしていただきたいと思います。二月の二十五日の予算委員会でも質問をさしていただいたんですが、定期借地権の利用による住宅供給策の実現につきまして質問をさしていただきました。その際、大臣からは大変前向きの御答弁をいただいたわけでございます。私は、来年度からこれが実現できるように手続を進めていただきたい、このように思っておりますが、二月二十五日の大臣答弁の以後どのような対応をされたのか、お伺いをいたします。
  118. 伴襄

    伴政府委員 定期借地権利用のことでございますけれども、この新しくできました制度を早速活用するというようなことで、実は昨年七月、定期借地契約に係る約款案をつくりまして、それを公表いたしております。  そこで、これをいかに活用するかということは、先生指摘のとおり大変大事な問題でございますので、現在、定期借地活用方策検討委員会というのを設けまして、そこで今検討さしていただいております。そこでは、例えば定期借地契約方式の今の普及状況調査、実態把握、それから官民が一体となってこの定期借地契約の方式をやるには、どうすればいいか。例えば土地を官側が借りまして、その上に住宅を建設して分譲賃貸住宅を供給するといったような方法、そのためのモデルプランをつくるといったようなことも可能かと思いますし、そういったことも検討さしていただきたい。それから普及のためには税制とか住宅金融公庫等の融資の措置も大事でございますので、そういったものがどういうものが取り入れられるか、あるいは考えられるか、補助制度をどうすればいいかというようなことを検討さしていただいております。  なお、そのほかに、本年一月には建設大臣から住宅宅地審議会に対しまして、今後の宅地政策のあり方について検討依頼が出されておりまして、その中で特に「生活大国五か年計画」を着実に達成するために急がにゃいかぬことがあるだろう、緊急にやらにゃいかぬことがあるというようなこともございまして、その中にこの定期借地方式の活用方策、これも含めて検討してもらおうということで、この緊急に講ずべき宅地供給促進策として、ことしの六月を目途にこの結論を出してもらおうというふうに考えております。  こういったいろんな手だてを考えながら、定期借地方式を活用した住宅宅地供給の促進策、これを緊急にまとめたいというふうに考えております。     〔委員長退席、大野(功)委員長代理着席〕
  119. 平田米男

    ○平田(米)委員 そうしますと、その宅地審議会の答申を受けて来年度には何とか実現にこぎつけたい、こういう姿勢であるというふうに伺ってよろしいんでしょうか。それだけをちょっと明確にしておいていただけますか。
  120. 伴襄

    伴政府委員 せっかく制度ができましてもなかなか普及しないことが問題でございますので、実際にこれを実現する、実例がどんどん出てくるということが大事かと思いますので、その実現方のためのいろんな施策を講じまして、できれば、これは六月と言っておりますから、例えば来年度の予算要求、税制要求、それから融資要求、それを結びつけたいということでございます。その成果を見ながら、ぜひともこれは、実際の実例がどんどん出てくるように努力したいというふうに考えております。
  121. 平田米男

    ○平田(米)委員 次に、住宅基本法につきまして我が党はもう長い間、法案をつくりましてこの委員会に提出をいたしておりますが、最近野党共同で提案をする動きが出ておりまして、場合によれば今国会中に提出をしようという考えもございますが、野党共同案が提出された場合、建設省といたしましては、どのような対応をされるお考えなのか、お聞かせをいただきます。
  122. 三井康壽

    ○三井(康壽政府委員 御承知のとおり住宅基本法をめぐる議論は、相当長い間、昭和四十年代から続いているわけでございます。私どもといたしましては、住宅政策は、住宅建設五カ年計画によりまして持ち家対策あるいは借家対策、それぞれそのときそのときの情勢によりまして対策を講じてきた、あるいは必要な立法を講じてきた。最近では、大都市法によりまして広域的な供給計画を立てるとか、あるいは金融公庫法の改正とか、あるいは今回は特定優良賃貸住宅の供給の促進法、こういった形で政策を進めさしていただいているわけでございます。  基本法をめぐるいろんな議論につきましては、いつも御答弁さしていただいているとおりでございますけれども、住宅政策に対する基本的な目標、あるいは国、公共団体の責務、住居費の負担のあり方等々につきましてまだいろんな御議論がありまして、基本法をつくるというほどに合意形成がなされてない、これが現状ではないかというふうに認識しているわけでございます。  ただいまの御提案は、野党で共同して住宅基本法を提案するというふうなお話でございます。具体的な中身を存じ上げないでこう言っては失礼でございますけれども、野党共同で、今申し上げましたような基本法をめぐる合意形成の中身が十分に含まれているような御提案が出てまいりますれば、私どもの方も当然真剣に検討さしていただきたいと思いますし、また検討には、当然基本的な問題でございますので、私ども政府といたしましては、住宅宅地審議会の議も経させていただかなければならないというふうに考えてはおりますけれども、いろいろ長い間の積み重ねの御議論の中で合意形成ができるような案をもしお出しいただくということでございますれば、当然私ども真剣に検討するというふうに考えているところでございます。
  123. 平田米男

    ○平田(米)委員 では次に、やみ献金の問題についてお伺いをしたいと思いますが、午前中から既にこの前自民党副総裁の金丸信被告の脱税事件に絡む問題で、やみ献金あるいは使途不明金あるいは入札問題が議論されているわけでございますが、今回この事件が発覚をいたしまして、大手ゼ ネコンがやみ献金をしているのではないか、公共事業に絡んでそのようなことをして、それが不正蓄財に回った、このような事実がほぼ明らかになったわけでございますが、建設業界を監督する立場である建設省といたしましては、公共事業に絡むこのようなやみ献金の問題にどのように問題意識を持っておいでになるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  124. 伴襄

    伴政府委員 やみ献金というふうなお話でございますが、政治献金そのものにつきましては、まあ建設業も自発的な意思に基づいて政治活動は行えるものでございますので、問題は、それが正当なものかどうかということだと思いますけれども、今、建設業界やみ献金を行っているのではないかという厳しい国民の批判があることは、大変重大な問題だということで私ども受けとめておるわけでございます。したがいまして、去る三月二十九日、大臣談話あるいは対応方針を早速大臣の方から談話という形でお示しになり、その中で業界と、それからいろいろ入札契約システムについての話もございますので、その両面にわたりまして御指導、御指示があったわけでございます。  業界に対しましては、倫理の確立というようなことで大臣談話の中で求め、それにこたえる形で、日建連あるいは全建の方でも、これに対する企業倫理の確立を行うとともに、政治資金規正法違反の献金は一切行わないというような決意を自主的に表明されたわけでございますが、あわせまして、建設省としましても、この問題に関しましては、建設業を一般的に指導、育成する立場から、企業あるいは関係団体に対しましてヒアリング等を行って、その結果を踏まえた建設業界に対する適切な指導を行ってまいりたい、そういう姿勢ております。
  125. 平田米男

    ○平田(米)委員 三月二十九日に出されました建設大臣談話の中で、「建設省としては、今回の事柄を重く受け止め、国民の信頼の回復に努めて参りたい。」こういうふうにおっしゃっております。末尾には「官民が一体となって国民の信頼回復のため全力をあげて取り組む決意である。」と、言葉は大変決意表明をしておいでになるのですが、では、具体的に何をされたのかということになりますと、今の御説明でもどうも他人任せだなという感じが私はしてなりません。午前中からの質疑を伺っていても、どうも何か間を置いているといいますか、本当に建設省が先頭に立ってこの問題に真剣に取り組もう、国民の不信を払うだけの真剣さを示そう、こういうものが私は見えておりません。  まずお伺いするのですが、建設省として、やみ献金に関して検察庁から資料提出を含めて事情聴取をされた企業を把握しておいでになりますか。
  126. 伴襄

    伴政府委員 やみ献金問題で事情聴取を受けた企業名でございますが、これにつきましては、私どもとしても、新聞等で報道されている以上のことは承知していないわけでございまして、新聞等で報道されている企業名はもちろん承知しておりますけれども、それ以上のことは私どもは把握できておりません。
  127. 平田米男

    ○平田(米)委員 なぜ把握をしようとされないのですか。なぜ把握をしようとされないのですか。
  128. 伴襄

    伴政府委員 これは今検察当局で司法的な観点からいろいろな形で調査されている段階の話でございますので、私どもとしては、それについて照会しても、あるいはお答えいただけるかどうかもわからない状態でございますから、一般的にそういうことがなされているということは報道等で承知しておりますので、むしろそういった業界全体の問題として受けとめて指導するという立場でおります。
  129. 平田米男

    ○平田(米)委員 検察庁がやっているから建設省は何もしない、何もしないというよりも、やみ献金をした企業についてまず把握をしないということの意味がよくわかりません。  建設省設置法の三条の五十三号を見ますと、「建設業の発達及び改善を助長し、並びに建設業者の監督に関する事務を管理する」、これが建設省の所管事項だ、こういうふうに規定がございます。改善を助長する責任があるわけですね。違法を取り締まるのは検察庁でございまして、建設省はさらにそれを上回る妥当性の問題に入っていかなければならないわけでありまして、価値基準建設省と検察庁では違うはずでございます。  だから、検察庁がやっておるからできない、やらないという理由にはならないと思いますが、もう一度お答えいただけますか。
  130. 伴襄

    伴政府委員 今のやみ献金の問題でございますが、これはやみ献金というのは何かという定義の問題にもよろうかと思いますけれども、恐らく一つには、例えば政治資金規正法違反ということだというふうに理解いたしますと、その政治資金規正法違反に本当になっているのかどうか、該当しているのかどうかということは、我々とても判断できるわけではございません。したがいまして、これはそのしかるべき機関が判定され、それに応じて我々は業法上の監督の立場で対応するしかないというふうに考えておるわけでございます。  やはり業界に対して企業活動の適正化、企業倫理の確立を強く指導するという立場はございますので、それは必要な範囲で調査をするつもりでおりますし、また、その結果を踏まえた適切な指導は行っていきたいと思っておりますけれども、今例えばやみ献金の、個々の企業が該当しているかどうかといったようなことを前提としたような指導というのは、やはりしかるべき機関で一応の判定が出ないと我々は動けないという状況は、御理解いただきたいというふうに思っております。
  131. 平田米男

    ○平田(米)委員 そうすると、今検察庁はそういう方向で動いておるということを認識しておいでになるわけですか。政治資金規正法の捜査をしている、だから、その捜査を待った上で判断をすればいいということを検察庁あたりから聞いてみえるということでございますか。
  132. 伴襄

    伴政府委員 各企業やみ献金をしているから、それでそのことについてどう改めるかというような問題だとしますと、そのやみ献金がどうかということが明らかになっていないと、我々は対応できないわけです。今おただしのような、検察庁でそれを調べているかどうかということは、私は全く承知しておりません。そういうことを連絡受けておるわけではありませんけれども、少なくとも、例えばこの間の見せていただきました起訴状等を見ますと、そのことについては何も触れていないという状況でございますので、したがって、私どもが本当に今世の中に出ているような名前の企業やみ献金、例えば政治資金規正法違反になっているかどうかといったようなところは、掌握できないわけでございますので、そこで、その観点からの建設業法上の指導ということもできないという状況であるということを御理解いただきたいと思います。
  133. 平田米男

    ○平田(米)委員 そうしますと、ここに書いてあります改善の助長というのは、建設省設置法の第三条の五十三でございますが、改善の助長というのはどこまでも違法を是正する、こういうふうに理解をしてみえるわけでございますか。
  134. 伴襄

    伴政府委員 改善助長というのは、建設業全体に対する改善助長ということでございまして、いろいろ制度的な枠組みもありましょうし、法律やあるいは通達、制度、いろいろございますけれども、そういった全体の枠組みにつきまして全体的に指導するということでございまして、個々の、例えば今の違法の、違法行為などということにつきましてそれぞれ対応するわけにはいかないというふうに考えております。
  135. 平田米男

    ○平田(米)委員 まさにそのとおりでございまして、個々の企業やみ献金を取り上げて、それを政治資金規正法に反するか反しないか、これは検察庁の仕事であって、建設省仕事は、業界全体がそういう方向にあるのかどうか、大勢の、多くの企業がそれをやっていたと言われておるわけですから、それが業界の問題なのかどうかということを認識するために、私は独自に調査をすべきではないかというふうに申し上げておるわけでございまして、まさに今伴局長がおっしゃったように、制度的枠組みの問題についてやるのだというお考 えだったらば、なせ調査をされないのかというように私はお伺いをしておるわけでございます。それを、検察庁が個々の企業の刑事責任を云々しない限りは私たちは出れませんとおっしゃっているので、そこに矛盾があるのではないか。あなた自身がおっしゃっていることに自話相違があるというふうに申し上げているわけです。
  136. 伴襄

    伴政府委員 大変失礼いたしました。  建設業界全体の指導育成という立場、もちろん私どもの立場でございますので、今回大臣談話もありましたし、それから企業のサイドの方も、団体としてそれぞれ決意をしているわけでございます。そういった中で、建設業者あるいは関係の団体からヒアリング等を行いまして、その企業活動を適正に行われているかどうか、企業倫理、モラルの点はどうかといったようなことを活動状況を含めて把握を行うということに考えております。  これにつきましては、主要団体あるいは関係の企業に対しまして、事業活動の実態はどうか、会計処理はどうなっているか、あるいは会費の徴収方法はどうかといったようなことを調査いたしたいというふうに思っておりまして、現在、なるべく早く調査にかかれるように、その実施方法について大至急詰めているところでございます。
  137. 平田米男

    ○平田(米)委員 それはいつまでに行われる予定でございますか。そして、その結果は公表されますか。
  138. 伴襄

    伴政府委員 こういう状況でございますので、できる限り早期に実施に入りたいと思います。  結果につきましては、いろいろその結果を見てみてということでございますが、どういう形になるか、ちょっと今のところはそこまでお約束できませんけれども、この調査結果につきましては、できる限り建設業界の信頼回復のために生かしたいという観点から、正確な調査結果を修正、分析しまして、対応に当たりたいというふうに考えております。
  139. 平田米男

    ○平田(米)委員 それでは、大臣談話でおっしゃった言葉が虚妄にならない努力をしていただきたい、こんなふうに思います。  日本建設業団体連合会は、三月三十一日に記者会見をいたしまして、「今後、本会会員は、政治資金規正法に違反する行為は一切行わない」、こういうふうに申し合わせをしたということでございますが、しかし、会員各社の裏献金、やみ献金の実態については調査する考えがないというふうに言っておりました。  業界団体というのは、それは業界の利益のためにあるのであって、国民の利益のためにあるのではないという考え方ならばこういうことなのかもしれませんが、しかし、少なくとも建設省というのは国民の立場に立って行政を行うわけであって、建設省が認可をした団体が国民のことを全く思わないで行動していて自分たちの利益のことだけ考えてやっているということであったならば、許されないと私は思うのです。私は、建設業界がこの問題を真剣にとらえていると言うならば、談話を発表して申し合わせをしたと言うならば、自分たちで自浄作用をいたしまして、少なくともこの問題に絡む会員各社についてのやみ献金の実態を調べるべきである、私はこう思いますが、建設省としてはどのようなお考えですか。
  140. 伴襄

    伴政府委員 今般、日建連や全建が、それぞれ申し合わせあるいは決議を行った、しかも、会員企業等が一丸となって企業倫理の確立を図ろう、あるいは規正法違反に該当するような献金は行わないといったようなことを自主的に決めたわけでございまして、私どもの立場としては、その決議の内容が会員企業において速やかに遵守徹底されるように強く期待し、見守っていきたいというふうに考えております。  個々の企業政治資金規正法違反の献金を行ったかどうかというのは、これはやはり、くどいようでございますけれども、しかるべき機関が調査して判断すべき問題なのではないかというふうに考えておりますので、現下の状況において、建設業者団体について、それぞれの会員に対して調査しろというようなところまでは考えられないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、大変今回は不退転の決意でこういうことをやろうということを申し合わせているようでございますので、我々は、それがきちんと徹底実施されることを見守りたいというふうに思っております。     〔大野(功)委員長代理退席、委員長着席〕
  141. 平田米男

    ○平田(米)委員 けじめというのは、やはりうみを出して初めてけじめがつくだろうと思うのですよ。今までのうみはそのままにしておいて、そしてこれからはきれいにやりますということでは本当のけじめにはならないと思うのですが、そういうお考えはございませんか。
  142. 伴襄

    伴政府委員 やみ献金を実際に行っているかどうかということは、これはしかるべき機関でもなかなか調査が大変だと思いますが、それぞれの会員企業で成り立っておる連合体の方にそういうことを期待するのほかなり無理なのかなという気がいたします。だから、私ども呼びかけておりますように、それぞれの企業が、制度や何かの問題ではなくて企業モラルとしてどう実行していただくかということが大事なことでございますので、そういうことに期待したい。今回はそういう不退転の決意でやっているというふうに理解しているわけでございます。
  143. 平田米男

    ○平田(米)委員 四月二日の記者会見で、鹿島の宮崎社長がやみ献金について質問されたときに、担当役員に事情を聞いておらずよくわからない、こういう答弁をしているそうでございます。これに対して、東急の五島社長は、社内で調査した結果、通常の政治献金枠を超える献金をしていることがわかった、今後は絶対にこうしたことの起こらないよう努める、こう言ったそうでございます。  その後も、前田建設の社長も社内で調査をしたということでございますが、大手のゼネコンの中できちっとけじめをつけてやっている、そして自分の非を認めて、それを記者会見で発表している会社もあれば、いまだに担当役員に事情も聞いていない、こういう、本当にいいかげんにしてもらいたい。これが日本を代表する大企業のトップの発言なのか、そのようなありさまでございます。  これは三月三十一日、日建連が申し合わせをした後の記者会見でございますよ。今、局長は、その成り行きを見たい、彼らの決意はすばらしいものがある、期待ができるぞ、こういうふうにおっしゃいました。期待ができた結果、これでございますか。いまだに担当役員にも話を聞いていない、これをどのように見ておいでになるのですか。
  144. 伴襄

    伴政府委員 その会見のやりとりについては具体的にはもちろん承知しておりませんけれども、この申し合わせの期待というのはこれからのことでございます。  今、担当役員に調べてみると言ったのは、恐らく今までのことかと思いますので、あるいはそこにそごがあるのかもしれませんが、いずれにいたしましても、個々の建設企業の献金というのは政治資金規正法違反かどうかというのは、非常に難しい問題でございますし、やはりしかるべき機関が判断するということでないと、なかなかそれに対する対応は、私としても、建設省としても、できないということは、御理解賜りたいと思います。
  145. 平田米男

    ○平田(米)委員 何度も言っておりますが、政治献金をして違法かどうかの話ではございません。まさに心を入れかえてやるという姿勢が見えるかどうかをお伺いしているのです。お答えはすれ違っていますよ。質問に対するお答えになってないと私は思います。  今、局長は、三月三十一日申し合わせをしてかたい決意をしているようですと、業界団体を信頼しております。業界団体の主たる会社の社長が、いまだに担当役員に事情も聞いていない。事情も聞いてないということは、指示もしていないということにもなるのじゃないですか。それを見て明確なお答えができないというのは、どういうことですか。  大臣、いかがですか。こういうありさまですよ。三月二十九日、大臣談話があった。大臣談話を受けて、三月三十一日、業界団体は申し合わせをし でかたい決意を表明した。決意を表明した後の、その会員会社の社長が、いまだに担当役員に事情を聞いていない。このていたらくで、それで建設省はよろしいのでしょうか。大臣、いかがですか。
  146. 伴襄

    伴政府委員 今、個別の企業の話でございますし、実際に記者会見のやりとり、それから、対応した方の真意がわからないわけでございます。したがいまして、それがどういうことなのかということは私ども調べたいと思います。  これは恐らく関係企業につきましては、先ほどちょっと申し上げたように、主要団体とともにヒアリングしたいと思っておりますので、そういった中で、そういったことも含めて調べてみたいというふうに思っております。
  147. 平田米男

    ○平田(米)委員 午前の質問の中でもやみ献金をした企業に対してはペナルティーを科すような御発言がございました。これから真剣に反省をしてやり直そう、そして担当役員から話を聞いて、そして記者会見で明確に発表した企業がペナルティーを科されて、そして担当役員に聴取さえしていない、私から言えば極めて無責任、そういう企業が何らの処分を受けない。これは逆に不公平であると私は思います。やはりやっているところが平等に対応されなければならないわけでございまして、今調査をされるとおっしゃいました。これはこの企業だけではなくて一遍全企業やってみてください。こういっていたらくなんですから、期待しています、期待していますで、建設省責任が終わるとは思えません。大臣、いかがですか。大臣、お答えしてくださいよ。
  148. 中村喜四郎

    中村国務大臣 ただいま政府委員が答えておりますように、建設省といたしましては、企業モラルの確立ということで会計の処理とか、あるいは団体会費の徴収とか、その他の企業の実態把握についてヒアリングを行うということでございますので、できるだけその線に沿って作業を進めていきたい、このように考えております。
  149. 平田米男

    ○平田(米)委員 大臣、今国民政治不信の真っただ中におります。そして、政治家に対する期待はもうほとんど持っていないという状況にございます。そういうときに、やはり私たち政治家は、真剣になって国民の期待にこたえなくちゃいけないんではないかと思うのです。  私は申し上げたくありませんでしたが、まさに大臣は、巷間言われている建設族の階段を上っておいでになられました。私は、それがいいとか悪いとかと申し上げていることではありません。しかし、国民が、そういう階段を歩んできた人に対する疑惑というものを、不信というものを今回の事件で持ったわけでございます。そうしたときに、そういう立場にいる、まさに大臣そのものが、いや、違うんだ、私たちはスペシャリストであって、癒着はありません、国民皆さん誤解をしないでくださいという態度を、大きな声を上げて、そして、具体的な事実として私は示していただきたいのです。  私は、午前中からの答弁をずうっと伺っておりますと、残念ながら、国民皆さんがその姿を見たならば、その疑惑を晴らすだけのお姿を見せていただいたことにはならないのではないか、こんなふうに私は思います。  今も原稿を読まれて答弁をされました。しかし、生の声で、本当に大臣自身が国民の声にどうこたえるかという心でお答えをいただけないですか、いかがですか。
  150. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  先生から御指摘をいただきましたように、私自身も、当然のことでありますが、私は、建設の階段を上ってきたという意味がどのような前提でお話しになられたか、ちょっと正確に理解できませんが、確かに、議員になりましてから建設関係の政務次官とか委員長もやってまいりましたし、このたび大臣をさせていただいているわけでございますので、そういった仕事につく機会は多かったわけでございます。それだけに、いわゆる企業との癒着だとか、あるいは国民から不信を招くような、そういった言動というものは、今までも、これからも、公私のけじめをきちんとつけてやっていくということは、私自身の政治家としてのモットーである、このように考えておりますので、その考え方を前提として建設行政の今置かれている立場というものを厳しく認識して、国民の信頼の回復に全力を挙げて取り組んでいきたい、このように考えております。
  151. 平田米男

    ○平田(米)委員 ぜひ信頼の回復できる事実を調べていただいて公表をしていただきたい、このようにお願いをいたします。  また、山梨県の建設業協会あるいは日本土木工業協会がやみ献金をしていた、こういう記事が、新聞報道がなされております。業界団体がやみ献金をしていたということは、またこれは許されないことでございますが、これについての調査も同様にされるわけでございましょうか。
  152. 伴襄

    伴政府委員 今のお話でございますが、山梨県の建設業協会につきましては、やみ献金というかどうかあれでございますが、協会としての活動が、あるいはそうでないのか、そこら辺はよく不分明なところがございますけれども、少なくとも山梨県の建設業協会のことは取りざたされています。  それから、土工協の話につきましては、これは土工協そのものがどうこうしたというのは私は余り報道等では接しておりませんけれども、土工協も関連団体だと思いますけれども、こういった主要な建設業団体につきましては、先ほど申し上げましたようなヒアリング、事業活動の実態とか、そのほか会計処理方法とか会費の徴収方法とか、そういったことは統一的に調査してみたいというふうに考えております。
  153. 平田米男

    ○平田(米)委員 日本土木工業協会の金丸信被告に対する約二億円のやみ献金の記事は日経新聞三月十八日の夕刊に載っておりますので、一応調べていただきたいというふうに思います。  先ほど社会党の渋谷委員からもございましたが、使途不明金、建設業界は大変多いわけでございます。使途不明金だけではなくて、やはり大手ゼネコン三社が所得隠しで、三社で十八億円の追徴といいますか、悪質な隠し所得税が十八億円で、追徴税額は合計で六十二億円、こういう報道がなされております。これも東京国税局が調査をした結果、そういう事実がわかって追徴課税をしていた、こういうわけでございます。  使途不明金のみならず、さまざまな形で今建設業界疑惑を持たれております。やみ献金、使途不明金、そしてさらには脱税、こういうような、しかも巨額なお金でございます。先ほどからヒヤリングをされるという話でございました。建設省としましては、やみ献金のみならず、こういう今建設業界体質、実態というものをしっかり調査をしていただかなければいけないんではないかと私は思います。調査をした上で対策をとっていただきたい。  そういう意味で、ここで提案でございますが、建設省内に調査委員会をつくるべきだと思います。やみ献金、そして使途不明金、この二点について、徹底的に業界の調査をしていただきたい。入札問題につきましては技監委員長としておつくりになりました。大変結構なことだと思います。入札問題と同様に大問題であるこのやみ献金あるいは使途不明金の問題について、事務次官を委員長とする建設省内に調査委員会をつくることを提案いたしますが、いかがでございますか。
  154. 伴襄

    伴政府委員 入札手続改善検討委員会は省内に設置いたしました。これは大臣からの御指示で早く具体的な指名競争入札改善策を出すというようなことでございまして、これが委員会形式をとりましたのは、建設省の発注に係る行政が多数の部局にわたっているというようなこともございまして、これらの連絡調整あるいは政策決定を円滑に図ろうというような趣旨で設けたわけでございます。  今、やみ献金とか使途不明金の調査のためにも委員会を設置したらどうかという御提案でございますけれども、このやみ献金とか使途不明金の問題、繰り返して申し上げて恐縮でございますが、個々の業者政治資金規正法違反のやみ献金がどうかとか、あるいは使途不明金をやっているのか、 幾ら出しているのかといったような事柄は、それぞれのしかるべき所轄の担当のところでもなかなか実態が把握できないように伺っているところでございまして、しかしながら、そういったところで判断すべき問題ではないかな。ということは、建設省あるいは建設業監督の立場でそういうことを正確に把握するということはなかなか難しい。いわば建設省としては所管外にわたるような話になってしまいますので、御提案のような委員会というものを設置するまでは至らずに、むしろこれから、今申し上げたようなヒアリング、そういったものをいかに充実していくかといったようなことで対応させていただければと思っております。  そういう観点から、一般的に業を指導、育成するという立場から、建設業行政を所管する部局におきまして、主要な団体あるいは関係企業に対しましてヒアリングを行って、その実態の正確な把握に努力したい、努めたいというふうに考えております。
  155. 平田米男

    ○平田(米)委員 ヒアリングの責任はだれがやられるわけですか、責任者はだれがなられて行うわけでございますか、また、どういう体制で行うのか、おっしゃってください。
  156. 伴襄

    伴政府委員 観点は、やはり建設業を一般的に指導、育成するという立場でございまして、建設経済局の方でそれを所管しておりますけれども、もちろんそのヒアリングの実施体制につきましては、関係の方面からも協力を得ながら、きちっとした体制を組んでやっていきたいというふうに考えております。
  157. 平田米男

    ○平田(米)委員 そうすると、責任者は建設経済局長ということでございますか。
  158. 伴襄

    伴政府委員 私が中心になってやりたいと思っております。
  159. 平田米男

    ○平田(米)委員 ぜひ調査委員会に匹敵するようなきちっとした調査責任ある調査をした上で公表をいただきたいというふうにお願いをしておきます。  次に、入札制度の問題について質問をいたします。  午前中からもさまざま質疑が行われました。入札の中で、今いろいろな業界の人あるいはお役人、地方の公務員も含めて、いろいろ聞いてみますと、皆さん口をそろえておっしゃるのは、談合は必要悪だ、こういうふうにおっしゃいます。その理由はさまざまあるようでございます。しかし、談合が必要悪であるというのは、業界も、そしてどうも役所もこぞって皆さん考え、認識しておられることのようでございます。談合がなぜ必要悪なのか、これはよく我々は究明をしなければいけないというふうに思います。  残念ながら、昨年十一月二十五日に出ました中央建設業審議会の答申は、そこまで踏み込んだ議論をどうもしておいでにならない、こういう思いがいたします。  確かに建設省は、大臣談話と同様に、入札制度の改善について方針を明らかにされました。「建設省の対応方針について」ということで、新たな入札方法の導入、それに付随する事柄を発表しておいでになるわけでございますが、いずれも談合は必要悪である、また、今回の金丸脱税事件に絡むやみ献金の動機、これは指名を外されないための保険料である、こういう皆さんやみ献金の動機についての深い洞察、それに対する対応という観点からは、この中建審の答申も、そして建設省の対応方針も、十分ではない、私はこんなふうに思います。  四月五日に、「多様な発注方式の導入について」ということで、技術情報募集型及び施工方法等提案型指名競争入札方式、これを発表されました。技術情報が七十一件、それに重複して施工方法が八件、こういう数が出てまいりました。平成三年度の新規発注件数、これは直轄事業だけでございますが、一般土木だけで七千四百二十七件、建築で八百二十五件、まだたくさんあるわけでございますが、そこの中でわずか七十一件、この一般土木の一%にもならないわけでございます。しかも、この技術情報募集型というのは、確かに、一見技術がある人だけが指名をされる枠の中へ入ってきて、指名入札が少し変わるのかなというふうに思うわけでございますが、一歩踏み込めば、十億円以上の新規の事業を受けられるような企業というものは、ほとんどこれだけの技術レベルを持っているというふうに考えられるわけでございまして、新しい名前をつけて、ちょっと目先変わったのかなという感じがするだけでございまして、現在の入札方法については全く変わらない、こんなふうに私は思うのですが、いかがでございますか。
  160. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 公共事業の契約方式のあり方については、午前中来ずっといろいろな角度から御質問、御議論いただいているわけでございますが、いささか繰り返しになって恐縮ですけれども、御案内のとおり、公共工事の発注というのは、何分とも物品の調達といささかというか基本的に大分違う点があるということで御理解いただきたいと思うのです。そういった中で、特に大事なことは、やはり設計どおりの仕事を予定どおりの工期にしっかりと仕上げていただく、そういう高い信頼性が絶対欠かせないということが私どもの大前提でございます。  一方で、るる先生おっしゃったようなもろもろの問題もどう乗り越えていくかという、いわば両方を調和した契約のあり方というものが問われているわけでございますが、私どももこれまで、最近で言うと昭和五十八年あるいは昨年の十一月、こういった二回にわたって中建審からの建議あるいは答申をいただいている。その内容はもう既に言うまでもありませんけれども、広く学識経験者の方々にもお集まりいただいて、慎重な熱心な御議論をいただいている。こういった経過で我々も、指名入札制度あるいは一般入札制度についての長短の議論を積み上げていただいているという経過でございます。  その中で、私どもの今日の基本的スタンスは、いわゆる指名競争入札制度というものをやはり基本にするということでやらせてもらっておりますが、その際に、いろいろと御指摘されますような不透明感あるいは競争性の阻害、こういうことがあって、その上に、今先生おっしゃったような、残念ですけれども、談合の問題等々が言われるというようなことは、制度としても少しでも未然に防ぐ知恵を駆使したいということで、今般、新しい方式も導入させていただいた、こういう経過でございます。  御指摘のとおり、私ども直轄の全発注件数からすると確かに割合は低うございますけれども、やはりまず建設省みずからしっかりとしたものをやっていこう、こういう熱意のあらわれと御理解いただきたいと思いますけれども、とりあえずは十億円以上の事業をやるということでございます。  この方式の内容は御案内のとおりでございますので省略いたしますけれども、一言で言うと、指名競争入札制度一般競争入札制度のよさ、メリットというものをできるだけ入れたいということで新しく踏み切ったものであり、特にまた、できるだけの透明性ということを確保するために、一年間の工事も年度の初めに全部オープンにする、こういったことで、スタートからしていわば公明、公正な仕事入札をやっていきたい、こういう次第でございます。  もうここでは私、一般入札制度のデメリットあるいはメリット等々についてはあえて繰り返しは差し控えさせていただきますけれども、そういう経過でございますので、ひとつ私どものこのやり方というものをしっかりとお見守りいただきたいな、こう思う次第でございます。  またあわせて、別途何遍もこれもおっしゃっていただいておりますように、技監を長とします契約制度の改善検討委員会、これも今大車輪で我々取り組ませていただいておりますので、これは両々相まって、制度としての担保をさらに強めたい、こんな今日の状況でございます。
  161. 平田米男

    ○平田(米)委員 建設省としては、中建審の答申が出たので、その枠内でしか動けないという事情もあるのかな、こんなふうに思うのですが、中建 審にとらわれていたならば、今回の金丸問題から始まった入札の欠陥の対応というのは、私はできないと思うのです。それは、目先、この答申に従った対応をされるということは、これはこれでいいのかもしれませんが、もっと抜本的にもう一遍見直す、再諮問するというぐらいのお考えがないといけないのではないかと私は思います。  確かに答申は制限つき一般競争入札方式の導入については極めて消極的でございますが、おっしゃっている不合理、確かに私はわかります、ふぐあい、わかりますが、しかし、それをいかに克服するかということについての検討、これは私はなされていないのじゃないかなというふうに思うのです。まず指名入札ありきということではないのかなというふうに思うのです。  私は、指名入札、何でだめなのかというふうに申し上げると、例えば、事例としては、これは山梨県知事の天野建さんがおっしゃっている内容で、これは毎日新聞に載っておりますが、平成三年九月十日の報道の中で、「今まで(公共事業受注を)取り過ぎていたところ(建設業者)には私の権限で指名から遠慮してもらっている」、こういう発言をしておいでになります。  すなわち、建設業界からすれば、政治家から、この場合はこの知事さんでございますが、あるいは官から、こうやって指名を外されるかどうか、これは死活問題でございます。午前中からの質疑の中でも同様の事実を摘示してお話がございました。今その指名入札というのは、指名権というのは、まさに政治家の、あるいは官僚の武器になっている、業者を抑える武器になっていると言っても過言ではないのではないかと私は思うのです。だから、保険料として、指名から外されないように献金をせざるを得ない、献金枠を超えていればやみでもやらざるを得ない、こういう構造になっていることは明らかではないかと私は思うのです。  それなのに、いや、一般はだめです、一般はだめです、指名に限ります、指名の中で改善策をとりますと言って、わずか一%の件数に対応する施策しかできないようであったならば、問題の根本的解決にはならない、私はそう思います。  私は、今アメリカがやっているようなボンド方式、これは非常に注目に値すると思います。確かに、アメリカ日本に比べまして官庁の技官の数が少ないとか、公共事業に対する知識が不十分であるとかということがありますので、日本は昔から直轄で、直営で事業をやってきたという歴史的経過がございますので、日本のお役人の技術力というのが非常に高い、あるいは監督能力、管理能力というのが非常に高いということはよく承知をしておりますが、しかし、今はそういう問題ではないと思うのです。すなわち、指名権を官が握るのか政治家が握るのかという問題であるわけでございまして、それを私たちが、官側が、政治家側が、指名権というものをもう放棄をする、放棄をした上で、いかに一般競争入札の欠点、欠陥というものを乗り越えるかという発想で考えてきたときに、私はボンド方式というのは極めて有効ではないかというふうに思います。  一般競争入札で行った場合には、先ほども大臣が、先ほどといいますか、午前中からの答弁の中でおっしゃっておりましたが、ダンピングが出るとか、あるいは疎漏工事があるとか、あるいは中小企業受注機会が失われるとか、こういうような理由を挙げて、制限つき一般競争入札というのは導入ができませんというふうにおっしゃっていました。しかし、ここでボンド方式を導入すると、ダンピングをしますとその会社はもうかりません。もうからないような会社に保証会社はボンドをつけません。ですから、これは制限ができます。また疎漏工事をやると、手抜き工事をやると、責任を追及されるわけでございまして、やはり保証会社もボンドをつけることができない、こういうことになるのではないかと思います。  また、中小企業受注機会という問題、これはやはりランクづけすればいいわけでございまして、これは現行もランクづけでやっておいでになるわけで、一般競争入札ランクづけというのは相反することではございませんので、これはそのランクづけによって乗り越えることができるというふうに思います。  そういたしますと、今申し上げたように、大臣がおっしゃった制限つき一般競争入札の欠点というのは、ボンド方式、保証会社方式によって乗り越えれるのではないか、私はそういうふうに思います。  そして、私はもう一つ提案をしたいのは、建設会社の格付機関をつくるべきではないかというふうに思います。ボンド会社がその会社を、保証会社がその会社をどのような会社なのか調べるには、それなりのノウハウが必要でございます。保証会社がどういう会社になるのかが適当なのか、これから協議が必要になるのかもしれませんが、例えば信託会社だとか、ノンバンクだとか、あるいは農協だとか、信用金庫等の多くの金融機関等に、保険会社も含めて、こういう保証会社になっていただくときに、多くの会社がボンド事業に参入するためには、格付を第三者できちっとやっていただくということが必要ではないかというふうに思います。そういう意味で、全国一律の建設会社の格付会社を、格付機構といいますか、格付機関というものをつくったらどうかというふうに思うわけでございます。  確かに、午前中からの質疑を伺っておりますと、建設省の努力と建設業界の努力によって現在の問題を乗り越えたいというふうにおっしゃっておいでになります。しかし、談合問題あるいはやみ献金問題というのは、何も今回が初めてでないわけでございまして、もうそれこそ戦後ずっと言い続けられているわけでございます。先ほど渋谷さんも一年間の記事を件数を挙げておっしゃっておいでになりました。まさにもう日常茶飯事なわけでございます。今までも努力せられた。一生懸命やって解決しますと言い続けておいでになりました。  しかし、もはや私たちは業界には期待ができない。また、業界を監督する建設省と業界とだけの努力だけでは、もう解決できないのではないか。それだけ建設業界体質にしみ込んでしまっている、完全に構造化してしまっている、システム化してしまっているというふうに思います。それを打破するには、入札制度を変えると同時に、そこの中に、やはりその業界とは違う新しい血を入れないと、その体質は変わらないのではないかと思います。そういう意味で、保証会社をボンドという形で入れるということは、全く別の業界、建設業界にかかわったことがない人たち建設業界に参入することになるわけでございますので、体質改善にとっては極めて有効であろう、私はこういうふうにも思います。  今、目先は中建審の昨年の答申に応じてやるというお考え、それはそれで一つの流れがありますので、それは結構かと思います。それはそれとしておいて、今申し上げたような抜本的な制度改革、すなわち指名権を官が、そして政治家が放棄をするという原点に立って、制限一般競争入札の欠点を別途の方法で乗り越える策というものをお考えになっていただきたい。そして、そのために中建審に諮問のやり直しあるいは新たな諮問というものをやっていただきたい、こういうふうに思うのですが、大臣、いかがですか。
  162. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 大臣からお答えいただく前に、ちょっと私から事務的に御答弁させていただきます。  特に、今先生の御提案の中に審査の第三者機関の設置というお話があったわけでございますが、先ほどちょっと申し上げたように、公共工事の実行、実施を預かるそれぞれの行政体におきましては、本当に予定された仕事をしっかりとやり上げるということが非常に重いということを、もう一遍繰り返させていただきます。  そういったときに、ボンド制度もそうでございますが、これはしばしば出ておりますように、アメリカだけが例外的に扱っているシステムであるようでございますけれども、本当に予定された工 期にしっかりとした仕事ができるかどうかということについては、金銭的保証で済ますということで我が国の公共工事にはいいかどうかという点がまず一点。  それから、第三者機関について申し上げますと、これも午前中御答弁させていただきましたけれども、やはり発注者がいろいろとランクづけ等々やっていく中で、客観的要素、客観的、機械的に評価する部分ございますが、あわせてこれまでの実績がどうかということが大変に重い評価要素としてある、こう認識しております。そういった中で、おっしゃったような金融機関等々の方々が果たしてそういう機能を発揮することができるだろうかということなどを考えましたときに、私ども、簡単にこの第三者機関というものがなじむかどうか、かなりの疑問を持っております。  いずれにしましても、だからといって、現行のままでいいというふうに割り切るつもりはございませんけれども、ともかくそういった先生の御提案については、今率直に伺いながら、その感想を持ちましたものですから、ちょっと事務的に御答弁させていただきました。
  163. 中村喜四郎

    中村国務大臣 ただいまの政府委員が答弁したこととダブるところもあるかと思いますが、先生御承知のとおり、公共事業入札契約制度については、各国それぞれの歴史的、社会的な状況によってさまざまな様相を呈しているわけでございます。このたび、EC統合によって新しい経済体ができるわけでありますが、その中でも、発注はそれぞれの国の発注制度がとられるということも報告を受けております。  そして、企業の格付については、指名競争入札を採用しているイギリスの資格登録、一般競争入札を採用しているアメリカの事前資格審査においても、その審査は発注者みずからが行っているということでございますし、また御指摘をいただきましたボンド制度につきましては、アメリカと我が国とでは、先生も先ほど御指摘いただきましたように、インハウスの有無等に関する歴史的相違、履行不能の場合に考え方の相違などがあること等により、御提案の内容を我が国に採用するにはまだ検討する課題が多い、このように考えております。
  164. 平田米男

    ○平田(米)委員 ぜひ前向きに検討いただくことを最後にお願いいたしまして、時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
  165. 野中広務

    野中委員長 辻第一君。
  166. 辻第一

    ○辻(第)委員 三十分時間をいただいているのですが、たくさんお尋ねをしたいことがありますので、どうかひとつ簡明に御答弁をいただきたい。まずお願いをして、質問に入ります。  リクルート、それから共和、それから佐川・暴力団疑惑、そして続いて金丸氏の巨額脱税、不正蓄財、こういう問題の連続の中で、国民の怒り、政治不信は頂点に達しているというのが今日の事態だと思います。  そういう中で、今度の金丸脱税事件が明らかにしたものは、金丸氏の脱税や不正蓄財の原資となったのが、大手建設会社からの巨額なやみ献金の存在だったということであります。また、公共工事を食い物にする政官業癒着の頂点の構造、朝日はそのように言っております。国民の税金、国民の血税で行われる公共事業の一部が政治家の懐に吸い上げられる。大手建設会社はこの裏金で事業を広げ、もうけを拡大している。まさに許すことのできない、異常な政治腐敗に対して国民の怒りが頂点に達しているわけであります。  私どもは、この家宅捜索、事情聴取を受けた大手建設会社など十八社がどれくらいの公共工事をやってきたのかということを調べてみました。  各社が大蔵省に提出いたしております有価証券報告書、これで調べたんですが、営業の状況、完成工事高の中の官公庁分、建築工事、土木工事、開発事業、合計では、業界最大手の清水建設は、昭和六十二年が千九百五十七億、六十三年が千九百八億、平成元年が二千四十六億、平成二年が二千四百二十四億、平成三年が二千三百七億、五年間で一兆六百四十四億ですね。その他、鹿島建設は五年間で一兆二千八百九十二億、大成建設が一兆二千四百三十七億、大林組が一兆一千六百四十五億、西松建設が九千七百十億、このようになっております。  関係十八社の合計、五年分で官公庁工事の実績は、何と十二兆八千四百十八億であります。本当に巨額な公共工事受注し、施工をしてきているわけであります。  こういう巨大な受注を受けて、そしていろいろ、それに対して一%か三%かという金が政治家に払われているとか、あるいは上納金というような形で政治家に金が贈られている、こういうことであります。  そこでまた、もうきょうは何度もお話しになっているわけでありますが、使途不明金、私も恥ずかしい話でありますが、こういう使途不明金がこんなに多いものだというのは、今度初めて認識をいたしました。一九九二年六月までの一年間に企業が使途不明金としたものが、わかっただけでも五百五十八億、そのうち三百八十二億が建設業界だ、このように聞いているのですが、きょうは大蔵省は来ていただけましたか-はい。  それから、大体この調査というのは全部やられたわけじゃないでしょうから、どの程度でこれくらいの金額になっているのか、その辺もお聞きしたいと思います。
  167. 藤井保憲

    藤井説明員 お答え申し上げます。  私ども、使途不明金につきましては、原則として資本金一億円以上のいわゆる大法人につきまして、そのうち実際に調査いたしましたものについて計数を把握しておるわけでございまして、これについて申し上げますと、先ほどお尋ねの平成三事務年度で申し上げますと、合計三万三千七百二十八社ございますが、そのうち、四千七百二十二社について実際に調査をいたしました。うち、使途不明金を把握いたしましたものが、法人数で五百五十四社、使途不明金の把握総額が五百五十八億円、うち建設業が三百八十二億円、その数字につきまして、委員指摘のあった数字は、そのとおりでございます。
  168. 辻第一

    ○辻(第)委員 使途不明金につきましては、午前中も午後もいろいろ議論があったところでありますが、まあひどい内容だと思いますね。不明朗きわまると言うのが私の印象であります。  このやみ献金がこのような使途不明金として、あるいは下請、そこから絞り上げる、こういう形でやられてきているというのは、ゼネコンの幹部が漏らしているようであります。そういう事態でありますが、国民は、こういうような許すことのできない不届きなことを長年やってきたゼネコンは、当然事情、みずからその事実と献金額を明らかにすべきだ、このように考えております。日経の社説にも「ゼネコンは事実と献金額を明らかにすべきだ。」このようにも言っているわけであります。  ところが、ゼネコンは一部、前田とか東急とか、清水はどうなんでしょうか、言ったと言えるのでしょうか、言っているようでありますけれども、本当に部分で、全体としては明らかにしていないというのが実態だと思います。  建設省は、当然事実と献金額を彼らが明らかにするようにまず指導をする、やらないのなら、建設省調査をし、事実解明をすべきだと思うのですが、やっているのですか。
  169. 伴襄

    伴政府委員 今おただしの点でございますが、政治献金につきましては、正当な政治活動として行われるものについてはもちろん適法でございますので、やみ献金と言われるものあるいは使途不明金と言われるものにつきまして、なかなか私どもの立場では実態はもちろん解明できないわけでございますし、そういう能力がないわけでございます。  ただ、御指摘のとおり、業界一般があたかも一般のように国民の厳しい批判を受けていることでございますので、この点を重大に受けとめまして、大臣からも建設省の対応方針としていろいろなことを公表したわけでございますし、また、建設業界に対しましても企業倫理の確立を求めたという ことでございまして、それにこたえて、業界の方もやみ献金をやめるということを宣言したというところまで来ているわけでございます。  建設省としまして、今までの献金の個々の実態というようなところまで調べることはできないと考えておりますけれども、ただ、こういうふうにいろいろな問題がございますので、一般的に建設業の健全な発展を図るという見地から、業界の企業活動の適正化あるいは企業倫理の確立のために調査するということは必要かと思っておりますので、主要な建設業者団体あるいは関係企業に対しましてヒアリングを行うことを予定しておりますしっかりとしたヒアリングをやりまして、その結果に応じた適宜適切な指導を行いたいというふうに考えております。
  170. 辻第一

    ○辻(第)委員 建設省の対応というのは、私は極めて不十分だと思いますね。今建設業界の古い体質、構造、そういうものも当然言われているわけでありますが、先ほども少し触れましたが、政官財の癒着、そういうこと、先ほど入札の問題、談合の問題あるいは天下りの問題など、いろいろお話がありました。そういう問題も含めて、今建設行政というのが本当にどう生まれ変わるのか、本当にこれまでの状態にどう抜本的にメスを入れるのかということを、国民は強く期待をしているわけであります。ここのところで本当に本格的に対応すべきだ、私は厳しく要求をしておきたいと思います。  清水建設のことが三月二十六日の毎日新聞に報道されているのですが、清水建設は、金丸被告、竹下元総理など自民党五十六人、野党一人の計五十七人に、閣僚七人、現職国会議員五十四人の政治献金リストをつくっていたことが明らかとなった。中村建設大臣初め建設大臣経験者と人、建設政務次官経験者らを含めると、建設族関係は十六人に及ぶと報道されております。  献金リストは二十日に捜査されるまで清水建設本社に保管されていたもので、副会長、専務、常務ら十一人の担当役員別に五十七名の政治家名が列記され、SA、A、B、C、Dの五ランクに分かれ、最高一千万円から最低百万円までとされておる。リストどおり献金が行われていたとするならば、盆と暮れの分だけ合わせて年間二億七千四百万円となる。仮に、盆、暮れ二回ではなく、年に一回としても一億三千七百万円になる。こういうふうに見てまいりますと膨大なものであります。  これ以外に、受注のお礼が一%か三%か、あるいは選挙のときとか、こういうふうに見てまいりますと、大変な金額になるのではないか。金丸氏の不正蓄財が今わかっているだけでも七十億というふうに言われているわけでありますから、そういうところから類推をいたしますと、恐ろしいほどのやみ献金がやられていたのではないか。私は今清水建設を例に言っているわけでありますけれども、こういう事態であります。  清水建設の会長は、二十六日の記者会見で献金を認めているのですね。潤滑油的な存在だとか捨てるつもりでの献金ではない、このようなことも言っているようであります。こういう具体の問題、清水建設に対して建設省はどのように対応をされているのですか、お尋ねします。     〔委員長退席、野田(実)委員長代理着席〕
  171. 伴襄

    伴政府委員 私も清水建設の社長がやみ献金を認めたという話は初めて承りましたが、政治献金そのものは、各社あるいは個人の自由な判断でやっておるわけでございまして、問題は、不正な政治献金がどうかということが問題かと思っております。  そういう厳しい批判を建設業界が受けていることは、建設省としても重く受けとめておりますけれども、ただ、個々の建設企業が行った献金が政治資金規正法違反かどうかといったようなことにつきましては、これは私どものちょっと手の出せない問題でございますしかるべき機関が判断すべき問題でありまして、その個々の問題につきましては、建設省としては、その状況を見守るしかないというふうに考えております。  したがいまして、そのしかるべき機関がそれぞれその結論を出されれば、それに対しては、個々の企業の問題としては建設業法上の監督の立場からしてもしっかり対応したい、個々の結論に応じて対応したいというふうに考えております。
  172. 辻第一

    ○辻(第)委員 ちょっと言い漏らしたのですが、資本金だとかその他政治資金規正法で条件がありますね。それで見てみますと、間違いなしに政治資金規正法違反だと私は考えているわけであります。きちっと対応してくださいよ。  それから、次に大臣にお尋ねをいたします。  先ほど申し上げました、毎日新聞に報道されたような献金を清水建設から受け取った事実があるのかどうか。それから、その他の大手ゼネコンからこのような献金を受け取っておられるのかどうか。それから、政治資金規正法を細かく御存じですか。ひとまずそこだけお尋ねいたします。
  173. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えいたします。  報道にありました清水建設のランク表につきましては、先日の本会議でもお答えいたしましたが、私は全く関知しておりません。建設業界を含む政治献金につきましては、あの本会議でもお答えをいたしましたが、広く薄くちょうだいするというのが適当であると考えて対応してまいりましたし、これまでも政治資金規正法に基づき適切に処理してきたということで報告を受けております。
  174. 辻第一

    ○辻(第)委員 もう一度大臣にお尋ねいたしますが、このような大手ゼネコンのやみ献金ですね。そして、資本というのは利潤追求というのがやはり第一だと思うのですね。そのためには手段を選ばぬというような、そういう形。そして、建設行政の中の、殊に入札の問題、そういうところも含めて、そこで政治家に金を贈って自分に有利なように計らっていく。こういう問題の中で、今度の膨大など言っていいでしょうね、こういうやみ献金の問題が明らかになってきたのですが、この問題について建設大臣の所見を求めたいと思います。     〔野田(実)委員長代理退席、委員長着席〕
  175. 中村喜四郎

    中村国務大臣 今御指摘をいただいた問題は、いろいろ新聞等報道で私も承知しておりますが、詳しくその実態について現段階で承知しておりません。ただ、私自身は、今後とも建設大臣としても、また一政治家としても、この問題を厳しく襟を正して、国民皆さん方から信頼される行政政治の実現に向けて、誠心誠意努力していきたい、このように考えております。
  176. 辻第一

    ○辻(第)委員 大手の建設会社の役員の話によると、金丸さんに受注高に応じて献金するのは業界の常識、公共工事の口ききのお礼で受注高の三%が相場と聞いたことがある、こういう新聞報道もされております。  大手建設会社のやみ献金の巨額さについていえば、鹿島建設の宮崎社長は、政治献金担当の役員以外にも支店レベルでも献金しており、総額でどのくらいになるかは、担当役員でもわからないのではないか、これは四月三日の日経でそういうふうに報道されております。想像を超える巨額なやみ献金の存在が推測をされるわけであります。  受注高に応じて献金するのは業界の常識だとか、公共工事の口ききのお礼で受注高の三%が相場と言われているようないわゆる業界の常識について、建設省は知らないできたのか、それとも知っていて黙認してきたのか。いかがですか。
  177. 伴襄

    伴政府委員 公共工事受注の都度一定割合の政治献金を納めるといったような行為は、公共工事に対する国民の信頼を著しく損なう行為でございますし、そういうことが一般的に行われているとか、あるいは常識だとかといったようなことは、到底考えられないわけでございます。  公共工事に関しましては、適正な積算に基づいて予定価格を定めております。しかも、その事柄につきましては、会計検査院等による厳しい検査も経ているわけでありますので、そのような中からやみ献金が捻出されるということは考えられないわけでございますけれども、ただ、そういったことがいろいろと世上言われております。  我々の行政のとる姿勢としましても、なお一層適正な積算に基づいて公共工事の適正な発注に努めるということが大事だと思っておりまして、あ わせて、我々のそういう厳しい態度と、それから建設業界の信頼確保のための対応、それに対するしっかりした指導ということをやっていきたいというふうに考えております。
  178. 辻第一

    ○辻(第)委員 政治家へのやみ献金は、毎年予算を決めて使途不明金にしたり、下請から吸い上げたりする、見返りは談合の際の調整、複数のゼネコンの幹部がこのように言っているようであります。やみ献金は役員クラスが経理、総務課長らに用意させるが、別のゼネコン幹部は、役員はどういうふうにしてつくれとは指示しないので、担当者が使途不明金として処理するほか、下請から吸い上げてつくる、このように話しております。  私は、大手企業の横暴というのばこういうやみ献金も含めてきわまれりと思うのですが、こういうことまでして下請いじめをやっているということであります。これはけしからぬと思うのですね。同じようなことを繰り返すことになりますが、こういう問題もきちっと調査をして、そうして対応をされたいということであります。  ついでに申しますと、今思いついて言うのですけれども、大手ゼネコンは多層の下請というのですか、そういう中で、末端の仕事をする人、私はこの間交通安全対策特別委員会でダンプの過積載の問題でお尋ねをしたのですけれども、例えば、一日八時間でダンプ一台持って仕事に行くときには、残土の処理なんかなのですが、平均五万五千円が積算されるというのですね。実際にそのダンプを持っていった労働者がもらうのは、三万三千円くらいというのが平均なんですね。そこで順番に抜かれていくわけです。だから過積載せざるを得ぬという状況に追い込まれている。これはこういう例です。  そういうことを含めて、この下請いじめの実態、こういうことにもきっぱりとした調査と対応をしていただきたい。
  179. 伴襄

    伴政府委員 いわゆるやみ献金が下請からの吸い上げたというようなことが言われたりしておりますけれども、その実態については承知しているわけではありませんけれども建設省といたしましては、やはり建設業を一般的に指導、育成するという立場で下請との関係もしっかりつかんでおく必要があろうかと思います。したがいまして、主要な建設業者団体、関係企業に対するヒアリングの際には、そういった面も含めてヒアリングを行いたいと思っております。  特に、元請、下請関係に関しましては、今多重な下請関係の話が出ましたけれども、やはり私ども基本的には両者が対等な立場に立って適正な契約が結ばれるということが一番大事でございますし、そういう努力を続けてきておるわけでございます。  また、その事柄が一般的な業の指導、育成の立場から大事だというふうに考えておりますので、今後ヒアリング等におきまして、例えば下請業者との見積もり手続とか、契約の締結方法とか、そういったものについても調査をできればいたしたいと思っておりますし、その結果を踏まえまして、適正な契約の締結だとか、あるいは適正な契約代金の支払いとか設定とかといったようなことを指導してまいりたいというふうに思っております。
  180. 辻第一

    ○辻(第)委員 建設業法の二十八条には、「指示及び営業の停止」として「建設業者が請負契約に関し不誠実な行為をしたとき。」「建設業者又は政令で定める使用人がその業務に関し他の法令に違反し、建設業者として不適当であると認められるとき。」また、公共工事請負契約に係る指名停止等の措置要領、これで、別表第二「贈賄及び不正行為等に基づく措置基準」として十、以上のほか「業務に関し不正又は不誠実な行為をし、工事の請負契約の相手方として不適当であると認められるとき。」とされておりますが、国民の税金による公共工事受注している大手建設会社が政治家へのやみ献金という違法行為を行って国民の大きな怒りを買っているとき、しかも建設行政がその悪行に一枚かんでいるのではないかと不信の目で見られているときに、建設省としては、建設業法に基づく断固たる処分をしなければ国民は納得しない、このように考えるわけであります。いかがですか。
  181. 伴襄

    伴政府委員 たびたび同じことを言って恐縮でございますけれども、この個々の建設企業が行った献金、これは政治資金規正法違反かどうかというのは、やはりしかるべき機関の判断を待つほかないのでございますけれども、おっしゃるとおり、建設業法におきましては、建設業者がその業務に関して他の法令に違反し、建設業者として不適当であると認められるときには監督処分を行うことができるという規定がございます。  この運用は、従来から、判決の確定があるなど、事実関係が明らかになった時点で個々の事案ごとに判断しておるわけでございまして、御指摘の件につきまして他法令違反が確定するといったような段階で、建設業法上の監督処分を行う事由に該当するかどうか、その時点で十分検討させていただきまして、適切に対応してまいりたいと思っております。
  182. 辻第一

    ○辻(第)委員 最後に、中村建設大臣にお伺いをいたします。  今度のやみ献金問題というのは、本当に許すことのできない内容のものであります。企業からの不正な献金ということであります。私どもは、諸悪の根源は企業、団体からの政治献金にある、そのような考え方政治献金、団体献金の禁止を強く主張し、また実行してまいったところでございます。  そういう意味で、今度の問題は、そういう観点でもあるわけでありますけれども、長年の建設行政、あるいは建設業の古い体質といいましょうか、古い構造といいましょうか、そういう中で出てきた問題でもあろうと思います。これを機会に徹底的にうみを出して、抜本的に改善をしていただきたい、このように考えるところでございます。また、政治献金はきっぱりと禁止をすべきだ、このように考えるのですが、御所見を伺って、終わります。
  183. 中村喜四郎

    中村国務大臣 先生から御指摘をいただきました企業献金のお話につきましては、いろいろ御意見があることは私も承知しておりますけれども、まさしく今度の国会で政治改革問題が、抜本的な改革が議論されるわけでございますので、そこで出ていく結論が守られるということは当然のことである、このように考えております。
  184. 辻第一

    ○辻(第)委員 政治献金だけじゃなしに、今度のやみ献金の問題、建設行政の抜本的な対応の問題で決意をお伺いしたいと思います。
  185. 中村喜四郎

    中村国務大臣 やみ献金の問題につきましては、今現在、個々の問題について、建設省として、建設業団体の事業内容とか、会計処理とか、あるいは会費の徴収の方法とか、そういったものをヒアリングを行っていきますので、その中で明らかに建設業法違反というようなことになれば、厳しい処置をとるということは当然のことであります。
  186. 辻第一

    ○辻(第)委員 終わります。
  187. 野中広務

    野中委員長 次に、米沢隆君。
  188. 米沢隆

    ○米沢委員 最後の質問になりましたので、同僚委員質問に重複するところがあると思いますが、お許しをいただきまして、質問をさせていただきたいと思います。  まず、建設大臣にお伺いしたいと思います。  今回明らかになりました金丸脱税事件の全容につきましては、これからまだ司法による解明を待たねばなりませんが、今日までの事件の経緯を見ましたときに、改めて公共事業をめぐる建設業界と政官の癒着構造が浮き彫りになりまして、国民政治不信は爆発寸前のところまで来ていると言っても過言ではないと思います。  とりわけ、不正蓄財、脱税の原資が、主として建設業界からのやみ献金であったこと、やみ献金にはまたそれなりの不公正な利益誘導が不即不離の関係にあるはずなどの推論が成り立つことは、今日までの建設行政の不透明さが問われている問題でもあり、また、これからの建設行政執行にとりましても、ゆゆしき問題だと言わねばなりません。公共業事を食い物にしておるとか、ひいては国民の貴重な税金を食い物にしておるとの国民の批判 は、まことに厳しいものがあります。  そこでお尋ねしたいのは、建設行政の衝に当たる大臣は、この国民世論の実態をどう認識され、今回明るみになりました公共事業をめぐる政官業界の癒着構造、金丸氏錬金術、大臣にお尋ねするのは酷な話かもしれませんが、そういうものにつきどのような所見を今持たれているか、聞かせていただきたい。
  189. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  先生から御指摘をいただきましたように、今日建設業界国民に厳しい批判を受けるということになり、あわせて公共工事入札契約制度運用についても不透明な点があるのではないかという指摘があるということは、非常に厳しく、重く受けとめております。  三月二十九日に、大臣談話として、また建設省の対応方針を発表させていただいたわけでありますが、その中で、先生から御指摘をいただきましたようないわゆる透明性競争性をどのように高めていくかということで、とりあえず直轄工事におきまして技術情報を幅広く募集していく入札参加方式あるいは施工に関する技術提案方式等を導入するということを発表させていただいて、去る四月五日に、七十一件の橋梁、地下駐車場等工事中心にして、その事業内容を公開したところでございます。  さらに、入札手続の透明化、適正化を図っていくために、四月一日に技監中心とした全局長を構成員とする入札手続改善検討委員会を設置いたしまして、大体一カ月くらいの間に指名基準の具体化、非指名業者に対する理由説明などを検討し、早急に結論をまとめていきたい、このように考えております。  また、建設業界に対して、社会的な責務の重要性、企業倫理の確立というものを強く要請していき、日建連、全建におきましても、この事態を厳しく受けとめまして、企業が一丸となって企業倫理の確立、政治資金規正法に違反する献金は行わないという旨の決意を自主的に表明しており、建設省としては、その内容が速やかに徹底、遵守されることを期待しているというのが現状でございます。
  190. 米沢隆

    ○米沢委員 ちょっと質問と答弁は行き違いがありますが、今後こういう事件の再発を防止し、建設行政の透明化、公正化を図るためには、政治家責任を負わねばならぬことは無論のこと、行政責任、業界の責任で解決を図らねばならぬこともそれぞれあると思われますが、とりわけその前提として、先ほども指摘をされておりますように、建設省は、この事件の解明につき、司法だけに頼るのではなくて、建設行政としても責任を持って積極的な努力が傾注されねばならぬと私は思います。  そういう意味で、建設業界からのやみ献金の実態、ひとり金丸ルートにとどまらず、建設業界からのやみの献金の実態はどういう状況にあるのか、談合の実態、政治家の介入の実態、行政の介入の実態等々につき早急に調査を進めるべきだと私は思います。大臣の見解はいかがですか。
  191. 伴襄

    伴政府委員 個別の企業のいろいろな問題につきまして指摘されております。これにつきましては、例えばやみ献金の問題とか使途不明金の問題とかというような形で出ているわけでございまして、これにつきましてそれぞれ調査するという権限もなければ、能力もないわけでございますけれども先生指摘のとおり、こういうふうな大きな問題になっているということでもございますので、特に建設業の企業活動の適正化あるいは企業モラルの確立といったような見地から、建設業者団体あるいは個別の関係企業に対しまして、その活動状況等を中心としてヒアリングを行いたいというふうに考えております。  個別のそれぞれの団体あるいは企業に対しまして、事業活動の実態はどうなっているか、会計処理法はどうか、会費の徴収方法についてもいろいろ議論のあるところでございますので、その実態はどうかといったようなことを調査いたしまして、その調査結果によって、しっかりとした業界指導をやっていきたいというふうに考えているところでございます。
  192. 米沢隆

    ○米沢委員 今私が御質問したのは、まあ談合というのはないものだということになった、しかしながら、このような実態が明らかになりますと、結構うまく談合をやっておったんだな、その談合にはかなり政治の影がちらついたんだな、言わなくてもわかる話であります。  そういう意味で、建設業界にヒアリングをすることで正直におっしゃっていただけるのか、それとも、やはり建設行政の立場からかなり強い調子で調査が始まらないと、談合の実態もそのまま何もなかったことと看過されて、結局問題の摘出にならないということではないかという気持ちを込めて、談合の実態や政治行政の不当な介入等の実態について、個別の名前は出さなくても、実際にあるのかないのか、あったのかどうかぐらいのことは調べるのが建設行政の立場ではないか、そう申し上げておるのでございます。  再度、答弁を願います。
  193. 伴襄

    伴政府委員 今、私はやみ献金等の話を申し上げましたが、例えば、談合の話でもそうでございますけれども、やはり談合といっても独占禁止法違反の行為があったかどうかということがそのポイントかと思いますので、そういったことにつきましては、やはりしかるべき機関の判断に仰がなければいかぬ問題かというふうに思います。  いろいろ問題が生じておりますのが、例えば山梨県の場合であったりいたしますので、当然この山梨県の建設業協会等を調査対象にしたいと思っておりますけれども、これは県の認可団体でございますので、県の協力を得ながら、あるいは共同で、あるいは全国団体で全国建設業協会がございますので、そういうところを経由いたしまして当然調査をしたいと思っておりますが、その中で、私ども調査できる範囲はもちろん調査いたしたいというふうに考えております。  要は、問題は、こういったことができないような仕掛け、システム、それをどうするかといったような問題でもありましょうし、それから幾らシステムができましても、それの運用がちゃんとできるかどうか、そのモラルの問題もあろうかと思います。システム、それからその運用のモラルというような点でなかなか一挙に改められないものではあろうかと思いますけれども、少なくともそういう適正な仕掛けづくりあるいは適正な運用態度ということを要請するような、そういうことに結びつけられるような調査結果を出したいものだというふうに考えておるところでございます。
  194. 米沢隆

    ○米沢委員 それは、調査の結果として公表はあるのですね。
  195. 伴襄

    伴政府委員 調査結果につきましては、ちょっとまだ十分に検討しておりませんけれども、少なくとも今申し上げましたように、これからの建設業の育成、指導に役に立つような形の調査結果を生みたいというふうに思っておりまして、それに向かって努力したいと考えております。
  196. 米沢隆

    ○米沢委員 先ほどもう既に建設大臣が、今後の建設省としての対応策等について簡単に触れられました。私も三月二十九日の建設大臣談話、それから建設省の方から、いわゆる今後の建設省の対応方針について、いろいろと御説明をいただいたところでございます。  ただ、この談話を見てちょっと気になりましたのは、今度の事件というのは、単に入札契約制度についてさらに透明性競争性を高めるという視点も大事ですが、やはり談合や何かどの絡みで、公正化という点である程度入札契約制度にメスを加えるという視点がないのでないか。あるいはまた「技術力を重視した新たな入札方式の導入や指名基準の具体化等現行の指名競争入札制度に係る所要の改善措置を実施に移す所存である。」まさに結構なことでございますが、こういうことが、すなわち、政治が介入しない保証として担保できているのかどうか、そのあたりが今本当は問われているんじゃないでしょうか。  そういう意味では、現在のこの事件にかんがみて今この建設委員会で集中審議が行われるという ことであれば、これは建設行政として当然やるべきことをやっていますというだけの話であって、こういう事件にかんがみて反省の上に立って、改めて何かをやるんだという発想で出てきている話ではない、僕はそう不思議に思っておるのですが、いかがですか。
  197. 伴襄

    伴政府委員 二つの面がございまして、業界側の対応というものがございます。これにつきましては、企業倫理の確立というような形で要請をし、それにこたえてそれぞれの団体で決議等を宣言しているわけでございまして、そちらの方はひとつ対応させていただいております。  それから、この入札契約制度のシステムでございますけれども、これは中央建設業審議会の方の答申が出ておるわけでございますが、たまたま先生からは談合の問題が出ておりますけれども、独禁法違反の問題につきましても踏まえた形でこの答申は出していただいておりまして、一応あらゆる世上言われている問題に対応した形で答申をつくったというふうに考えておるわけでございます。  現在いろいろ言われていることで、問題は、やはり指名制度運用が恣意的になるのではないか、恣意的になるから、いろいろな第三者からの介入が入るのじゃないかといったようなことが言われているというふうに理解しておるわけでございますので、その恣意的なものを防ぐためにどうするかということで言えば、やはり透明性競争性を高める。現在もその努力はしているわけでございますけれども制度あるいはその運用方策として、透明性競争性を高める方策を改善策として考えて、そういった介入の余地がないようにするという努力をするのが我々の務めじゃないかというふうに考えておりまして、現にこの中建審の答申では、そういう観点から新しい入札方式あるいは今の指名競争制度の改善方策ということを提案されているわけでございますので、その具体化を急ぐという形でこれにこたえたいということを考えているわけでございます。
  198. 米沢隆

    ○米沢委員 私は、今回明らかになりました公共事業入札を利用したいわば金丸式の錬金術、これの構造は概括的に言いますとこういうことだと思うのですね。  まず、指名競争入札制度がある。そこは必然的に談合体質が生まれやすいものになっている。先ほど言いましたように、談合はないということでありますが、業界に言わせれば一種の必要悪だとして、現に結構うまく生き続けていることが大体わかってまいりました。また、その業界の談合体質の中に政治家行政の直接、間接的に介入してくる土壌が生まれる。そこには当然のごとく、また、やれ保険料だとか、お礼だとか、あいさつ料だとか、通行料だとかいう名前でやみ献金が横行してくる。あげくの果ては不正蓄財、所得税法違反の原資ともなったという構造ではないかと思うのです。  ですから、本当にこれからこういう事件の再発を防止していくという観点に立つならば、指名競争入札制度が本当にいいのか、あるいはそれゆえに出てくる談合体質が本当になくなっていく制度確保するように努力することではないか。そしてまた、行政の立場からも政治が介入しないという姿を厳然としてつくっていく、このところが反省として担保されるような改善や改革がなされていかない限り、同じような事件はいつでも続いてくるということではないでしょうか。  そういう意味で、今度の事件にかんがみ再発防止を本当にしようとするならば、今行われております指名競争入札制度をそのまま大枠として続けていくと言うならば、では、指名競争入札の中に談合的な体質が出てこないように何ができるのかということが本当は問われていかねばならぬだろうし、本当にいい意味での談合を必要とするならば、建設省としてそういう談合ぐらいやってください、独禁法にかからない範囲でこういう談合は結構です、しかしそれはオープンで議論するというような措置がなされて、初めて、いわゆる指名競争入札、談合体質、そしてそこに政治が介入するというわだちを断つ改革になっていく。そこまで踏み切って抜本的な議論をされない限り、私はやはりこんな事件は起こると思うのですよ。指名競争入札の中に今度新たにこういうものを入れる。こういうものを入れる、それは結構ですよ。しかし、それを入れることが本当に談合体質をなくし、政治の介入をなくすような担保があるのかということを、先ほどから私は問うておるわけです。
  199. 伴襄

    伴政府委員 独禁法の違反と入札制度のあり方とがどのような因果関係があるかということは、これはいろいろ議論がございます。いずれの制度におきましても、やはり適正な競争が行われれば、独禁法違反あるいは談合という問題は起こらないというふうな理解でございまして、一般競争入札方式を採用しているアメリカでも、くどいようでございますけれども、年間数十件の入札談合に関する刑事訴追が行われているということを聞きますと、やはり一般競争をとったから必ず談合がなくなる、発生に結びつかなくなるというようなことにはならないのではないかという気がするわけでございます。  現行の指名競争入札、これはいろいろメリットがございます。たびたび申し上げておりますけれども、不良な工事を排除して施工の質を確保する、信頼できる施工業者を選定するということで質の確保をする、あとは価格だけの競争だというようなことで、これはこれで非常にすぐれた制度だと思っております。  ただ、御指摘のとおり一般競争のメリットもあるわけでございまして、それはやはり広範な参加機会を確保する、広く確保するということに一般競争のメリットがありまして、競争性観点からは、そういう点は改善すべきではないかというふうに思っているわけでございます。  したがって、今回の指名競争入札の改善策、新しい方式を導入します。そういったものを申し上げますと、例えば新しい方式によりましてやはり一層の競争性透明性確保することが必要であるというようなことで、入札参加意欲のある業者に対しまして広範な参加機会を与えよう、そういう一般競争入札のメリットを取り入れようということでございまして、例えば建設省直轄工事におきましては、新たに技術情報を広く募集いたしまして、そして広く参加していただこうという入札参加者選定方式をとろうということでございます。  それかも、新しい提案の中にございますけれども、例えば現在は価格一本で、価格が安い者が落札するという形になっておりますけれども、価格以外の、例えば工期とか品質とかあるいは施工の安全性とか、そういった技術的な要素を加味いたしまして、価格だけでなくて、それ以外の要素も加味して最終落札者を決めるという方式も提案しております。これは総合的に落札者を決定する技術提案総合評価方式、プロポーザル方式と言っておりますけれども、この導入の検討も行っておりまして、これも提案させていただいておりまして、早急に実施に入りたいと思っております。  例えばこの方式によりましたら、価格以外の要素も加味されるわけでございます。したがいまして、例えば事前の調整行為というようなことは価格だけですとやりやすいわけでございますけれども、そういった新しい別の要素を入れて最終落札者を決めるということで困難になるということもあるわけでございまして、そういったいろいろな工夫をやって、指名競争入札制度の中で独禁法違反に該当するようなことが起こらない、あるいは起こりにくいようにするという努力はしていきたいというふうに思っております。
  200. 米沢隆

    ○米沢委員 いろいろと御努力をいただくことを僕は否定しておるわけではありません。それは結構なことだと言っておるわけです。  しかしながら、指名競争入札制度というその制度の中に談合を生みやすい体質があるとするならば、このような事件が発生してここまで鋭く国民の批判を受けるならば、その制度そのものを維持しながらその中で何とかしようという発想も必要かもしれませんが、同時に、一般競争入札みたい なものをどうしたら日本制度に導入できるのかくらいのことを考えることが、本当はあなた方の仕事ではないのかな、そう思うのです。  確かに、一般競争入札指名競争入札、それぞれもう長い間哲学論争的なものをやってまいりましたし、それぞれ長所あり短所ありという議論があって、結果として今指名競争入札制度が残っておる。これは私も十分知っておるつもりでございます。  ただ、その指名競争入札というのが談合体質と密接に絡んでおるとするならば、本当にこのような事件の再発を防止する立場から、せめて指名競争入札にかえて一般競争入札を導入し、そしてまた、一般競争入札でいろいろ問題点が指摘されておるものをどう克服されるかというところをもっと勉強していこうという立場ならば、私は何も異を唱えるわけではありません。  せめてかなり金額の張る工事等については一般競争入札で一回やってみるというくらいの試行錯誤を重ねて、ただ指名競争入札だけがすべてだという議論ではこのような事件の再発防止策としてはちょっと足りないのではないか、僕はそういう疑問を投げかけているわけでございます。どうですか。
  201. 伴襄

    伴政府委員 ここに至りますまで中央建設業審議会で約一年半くらいの間検討させていただきました。一般競争入札は導入できないか、限定的であっても、制限つきであってもできないかということを一年半にわたりまして、各界の専門家を集めたり、あるいはお呼びしたりしまして、それから外国の制度等も十分調査しましてやらせていただきました。  その結論がこういった形で出ております。たとえ一部限定的にしても一般競争は難しい、一応この結論になっておるわけでございます。長年の検討を加えて、本当に専門家が一生懸命やったわけでございます。  また、先生、お言葉を返すようでございますけれども指名競争日本が非常に特異な例ではなくて、イギリスでもやっているし、それからヨーロッパのフランスだとかドイツはやはりいろいろな形で制限つきの入札をやっておるわけでございまして、やはりアメリカ型というのはなかなか、ヨーロッパもそうでございますけれども日本にもなじまないのではないか、そういう外国の例も踏まえながらやったわけでございます。  ただ、先生のせっかくの御意見でございますので、この点に関しましては中建審の答申をもらっている段階で、まずこれについて実行して、透明性を高める、競争性を高めるという努力はしたいと思っておりますけれども、せっかくの御意見でございますので、よく勉強させていただきたいと思っております。
  202. 米沢隆

    ○米沢委員 それぞ札理屈があることは私も十分承知しております。ただ、それぞれの国のいわゆる土壌もあったりしましょうし、あるいはまた一般競争入札を入れる場合には、それぞれ仕組みをつくって問題点を克服しようという努力がなされている。だから、一挙にすべて一般でなければならぬということにはならぬかもしらぬ。しかしながら、一般競争入札を通じて建設省としてやる気も見せるというところが大変大事な視点だ、そう僕は思います。  したがって、今のところ、指名競争入札がすべてのベースだ、その中でいろいろと改革、改良を重ねていくという姿勢のようでございますけれども、今問われている業界の談合体質が本当にそういうことでなくなっていくのか、あるいはまた、不幸にして政治行政が変に介入する事件は起こらないのか。こう考えますと、やはりベースそのものを変えていかない限り、この問題は、今事件になりましたからいっときはおとなしくなるかもしれませんが、またぞろ出てくる可能性のあるものだということを私は大変心配するわけです。  そういう意味で、ぜひ指名競争入札、今までの行きがかり上それが一番ベターだという議論ではありましょうけれども、そこに談合体質が生まれ、建設業界一つの甘えが出てくるとするならば、思い切って一般競争入札形式のものを一回やってみる、そして問題点を抽出して、それをどうしたら克服できるかぐらいのことを議論していくという前向きの姿勢を私は建設省に求めたいと思います。  それから、最後になりましたが、今回のこの脱税捜査は一応終了した、こう言われています。だが、解明すべき疑惑はまだ大変多く残っておるという認識を私は持っています。  例えば建設業界の裏金ややみ献金等については、これはもらった方も出した方も脱税という観点からの捜査がもっと続けられるであろう。あるいは政治資金規正法違反の疑いが強いものでございますから、七百点も資料を押収されたというのですから、今からブツ読みが始まっていきますと、相当のものが、人によっては宝の山だとおっしゃる、そういうものになっていく可能性が大変強いという気持ちを私は持っています。  あるいは、特定の公共事業やみ献金の関係が判明すれば、これは新たな贈収賄事件やあっせん収賄罪事件に発展する可能性もある。先ほど業界をつぶさに調査をされるという話でございますが、その間に談合といつ事実が明るみになるならば、やはり新たな談合事件の摘発もあり得るのではないかという気もいたします。  あるいはまた、金丸被告以外にも業者からの献金のランクづけの高い政治家がたくさんおることがわかりました。日本債券信用銀行の地検に提出された資料の中には、購入者リストにはいろいろあるという話も聞いている。  そういう意味では、この問題を単に金丸脱税事件として終了するのではなくて、法務省としては、やはり疑惑を徹底的に解明する姿勢を国民に示し、そして今後の基本方針もしっかりしたものを打ち立ててもらわねばならぬと思っておるわけでございますが、その点につき、法務省、国税庁、公正取引委員会等の見解を聞いて質問を終わりたいと思います。
  203. 大泉隆史

    ○大泉説明員 お答え申し上げます。  ただいま委員指摘のとおり、いわゆる金丸脱税事件につきましての捜査はおおむね終了したものと聞いておりますが、検察当局は今回の捜査におきまして多くの証拠物を押収するなどしており、今後公訴維持に万全を期するなどの観点から、必要に応じこれらの証拠物等の分析、検討を行うものと存じております。  ただ、今後における検察当局の捜査の見通しにつきましては、捜査が具体的証拠関係に基づいて検察の判断でなされるべきものであることなどにかんがみまして、法務当局としては答弁をいたしかねるところでございますが、一般論として申し上げれば、検察当局としては刑事事件として取り上げるべきものがあれば適切に対処するものと存じております。
  204. 藤井保憲

    藤井説明員 お答え申し上げます。  建設業の政治献金にかかわる今後の課税の問題ということでのお尋ねと承知いたします。一般論として申し上げさせていただきます。  国税当局としては、一言で申し上げますと、適正な課税の実現を図るということでございまして、従来から、あらゆる機会を通じまして有効な資料、情報の収集に努め、課税上問題があると認められる場合には実地調査を行うなどによりまして、適正な課税に努めているところでございます。  特に大法人につきましては、建設業者に限りません、従来から重点的に調査を行っているところでございまして、密度の高い調査を実施しているところでございます。  また、そういう調査に当たりましては、使途不明金はもちろん、政治献金につきましても、その支出先及びその支出目的等を検討いたしまして、適正な経理処理が行われているかどうかを確認しているところでございます。  一方、受領者側の問題でございますが、政治家個人が受ける政治資金の所得課税につきましては、法人税等の調査の際に得られます資料、情報あるいは政治資金規正法による報告書から得られます資料、そういった各種の資料、情報を収集い たしまして収入金額の把握に努めているところでございますし、また政治家個人の調査等に当たりましては、一般的に当該政治家のすべての財産状況及び消費の状況等を含め、総合的に調査をすることとしているところでございます。  私ども国税当局といたしましては、このような考え方に基づきまして、さらには今国会でも種々御議論いただいております。そういった御議論を踏まえまして、適正な課税の実現に向けて最大限の努力を尽くしてまいる所存でございます。
  205. 上杉秋則

    ○上杉説明員 御説明申し上げます。  公正取引委員会といたしましては、独占禁止法に違反する疑いがある具体的な端緒となる情報に接した場合には、必要な調査を行うという方針で臨んでおりまして、本件につきましても公正取引委員会として強い関心を有しておりまして、検察当局の動向等も注視しつつ、鋭意情報収集に努め、適正に対応したいと考えております。
  206. 米沢隆

    ○米沢委員 終わります。      ――――◇―――――
  207. 野中広務

    野中委員長 次に、内閣提出阪神高速道路公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。中村建設大臣。     ―――――――――――――  阪神高速道路公団法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  208. 中村喜四郎

    中村国務大臣 ただいま議題となりました阪神高速道路公団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  近年、京都市及びその周辺の地域において、自動車交通の増大は目覚ましく、幹線道路を中心とした交通渋滞は、都市の機能を著しく低下させております。また、大阪市及び神戸市と京都市との間においては、都市化の進展が著しく、慢性的な交通渋滞が発生しております。  この法律案は、このような状況にかんがみ、阪神高速道路公団が、京都市の区域のうち大阪市及び神戸市の区域と自然的、経済的、社会的に密接な関係がある地域等において、自動車専用道路の建設及び管理を行うことができるよう所要の改正を行おうとするものであります。  また、あわせて、役員に関する規定の整備を行おうとするものであります。  次にその要旨を御説明申し上げます。  第一に、公団は、新たに京都市の区域のうち大阪市及び神戸市の区域と自然的、経済的、社会的に密接な関係がある地域等において、その通行について料金を徴収することができる自動車専用道路の建設及び管理を行うこととしております。  第二に、監事は、監査の結果に基づき、理事長または建設大臣に意見を提出することができることとしております。  第三に、副理事長は、理事長が建設大臣の認可を受けて任命することとしております。  その他、これらに関連いたしまして関係規定の整備を行うこととしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようにお願い申し上げます。
  209. 野中広務

    野中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、明後九日金曜日午前九時四十分理事会、午前九時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十七分散会      ――――◇―――――