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1993-04-12 第126回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年四月十二日(月曜日)     午前十一時四分開議 出席委員   委員長 貝沼 次郎君    理事 北川 石松君 理事 前田 武志君    理事 森  英介君 理事 山崎  拓君    理事 志賀 一夫君 理事 時崎 雄司君    理事 倉田 栄喜君       水野  清君    渡辺 栄一君       小森 龍邦君    新村 勝雄君       鈴木喜久子君    松浦 利尚君       寺前  巖君  出席国務大臣         外 務 大 臣 武藤 嘉文君         国 務 大 臣 中山 利生君         (防衛庁長官)  出席政府委員         国際平和協力本 柳井 俊二君         部事務局長         防衛庁参事官  高島 有終君         防衛庁参事官  河路 明夫君         防衛庁参事官  三井 康有君         防衛庁参事官  太田 眞弘君         防衛庁長官官房 村田 直昭君         長         防衛庁防衛局長 畠山  蕃君         防衛庁人事局長 秋山 昌廣君         防衛庁経理局長 宝珠山 昇君         防衛庁装備局長 中田 哲雄君         防衛施設庁長官 藤井 一夫君         防衛施設庁総務 竹下  昭君         部長         防衛施設庁施設 江間 清二君         部長         防衛施設庁建設 黒岩 博保君         部長         防衛施設庁労務 荻野 貴一君         部長         外務政務次官  柿澤 弘治君         外務大臣官房長 林  貞行君         外務大臣官房審 須藤 隆也君         議官         外務大臣官房会 藤崎 一郎君         計課長         外務省アジア局 池田  維君         長         外務省北米局長 佐藤 行雄君         外務省欧亜局長 野村 一成君         外務省経済局次 林   暘君         長         外務省経済協力 川上 隆朗君         局長         外務省条約局長 丹波  實君         外務省国際連合 澁谷 治彦君         局長         外務省情報調査 鈴木 勝也君         局長  委員外出席者         法務大臣官房司         法法制調査部参 戸田 信久君         事官         法務省刑事局刑 大泉 隆史君         事課長         外務大臣官房審 加藤 良三君         議官         大蔵省主計局主 東垣外洋三君         計監査官         大蔵省理財局長 妹尾喜三郎君         有財産第一課長         文化庁文化財保 若松 澄夫君         護部記念物課長         会計検査院事務 阿部 杉人君         総局第一局長         会計検査院事務 小川 幸作君         総局第二局長         決算委員会調査 山本  正君         室長     ————————————— 委員の異動 四月十二日  辞任         補欠選任   長谷百合子君     鈴木喜久子君   日野 市朗君     松浦 利尚君 同日  辞任         補欠選任   鈴木喜久子君     長谷百合子君   松浦 利尚君     日野 市朗君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成年度一般会計歳入歳出決算  平成年度特別会計歳入歳出決算  平成年度国税収納金整理資金受払計算書  平成年度政府関係機関決算書  平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管防衛庁)、外務省所管〕      ————◇—————
  2. 貝沼次郎

    貝沼委員長 これより会議を開きます。  平成年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管防衛庁及び外務省所管について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  中山国務大臣及び武藤外務大臣概要説明並び会計検査院検査概要説明につきましては、これを省略し、本日の委員会議録に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 貝沼次郎

    貝沼委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     —————————————    平成年度防衛庁関係歳出決算に関する概要説明                 防 衛 庁  平成元年度における防衛庁関係歳出決算につきまして、その概要を御説明いたします。  まず、(組織防衛本庁経費につきまして御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は三兆五千百五十四億六千三百万円余でありまして、これに政府職員平成元年四月以降の給与を改善するための予算補正追加額五百四十四億九千四百万円余、高空における放射能塵調査研究のため、科学技術庁から移替えを受けた額一千九百万円余、南関東地域震災時における自衛隊災害派遣計画作成に関する調査等のため、国土庁から移替えを受けた額六百万円余、南極地域観測事業のため、文部省所管文部本省から移替えを受けた額十八億四千百万円余、前年度からの繰越額百四十三億四千六百万円余、航空機接触事故に係る損害賠償に必要な経費として予備費を使用した額三十九億一千八百万円余を加え、既定予算節約等による予算補正修正減少額六十億七千五百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は三兆五千八百四十億一千五百万円余となります。  この歳出予算現額に対して支出済歳出額は三兆五千二百二十六億三千百万円余、翌年度へ繰り越した額は三百五億一千六百万円余でありまして、差し引き不用額は三百八億六千七百万円余であります。  平成元年度の予算の執行に当たっては、「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準の達成を図ることを目標とする「中期防衛力整備計画」の第四年度として計上された予算を効率的に使用して計画を着実に実施し、実質的な防衛力整備を進めることを主眼といたしました。  以下、陸・海・空各自衛隊別にその主な内容を申し上げます。 一 陸上自衛隊につきましては、七四式戦車五十二両、七三式装甲車二十三両を取得し、新たに平成年度以降取得予定の七四式戦車五十六両、八九式装甲戦闘車八両、七三式装甲車二十三両の購入契約をいたしました。   また、航空機は、対戦車ヘリコプター八機、観測ヘリコプター十一機、多用途ヘリコプター八機、輸送ヘリコプター四機合わせて三十一機を取得し、新たに平成年度以降取得予定の対戦車ヘリコプター九機、観測ヘリコプター十一機、多用途ヘリコプター十機、輸送ヘリコプター五機合わせて三十五機の購入契約をいたしました。 二 海上自衛隊につきましては、昭和六十年度計画護衛艦三隻、昭和六十一年度計画護衛艦二隻、昭和六十二年度計画中型掃海艇二隻、昭和六十二年度計画補給艦二隻、昭和六十三年度計画支援船四隻、平成元年計画及び調達に係る支援船二隻合わせて十五隻を取得し、新たに平成年度以降に竣工予定護衛艦二隻、潜水艦一隻、掃海艦二隻、音響測定艦一隻、支援船三隻合わせて九隻の建造契約をいたしました。   また、航空機は、対潜哨戒機十機、訓練支援機一機、初級操縦練習機三機、対潜ヘリコプター十七機、掃海ヘリコプター四機合わせて三十五機を取得し、新たに平成年度以降取得予定の対潜哨戒機十機、訓練支援機一機、連絡機二機、初級操縦練習機二機、対潜ヘリコプター十二機、掃海ヘリコプター四機、救難ヘリコプター三機、初級操縦練習ヘリコプター二機合わせて三十六機の購入契約をいたしました。 三 航空自衛隊につきましては、要撃戦闘機十二機、輸送機三機、中等練習機二十機、輸送ヘリコプター二機、救難ヘリコプター四機合わせて四十一機を取得し、新たに平成年度以降取得予定要撃戦闘機十一機、早期警戒機三機、中等練習機二十機、輸送ヘリコプター二機、救難ヘリコプター二機合わせて三十八機の購入契約をいたしました。   また、地対空誘導弾ペトリオットは、四FUを取得し、新たに平成年度以降取得予定一価高射群分購入契約をいたしました。平成元年度の防衛本庁職員定員は、自衛官二十七万三千八百一人、自衛官以外の職員二万二千七百十一人でありまして、これを前年度定員に比べますと、自衛官については同数であり、自衛官以外の職員について百四十五人の減員となっております。  また、予備自衛官の員数は、前年度同数の四万七千九百人であります。  次に、翌年度への繰越額三百五億一千六百万円余は、計画及び設計に関する諸条件等のため、工事等が遅延したことによるものであります。  また、不用額三百八億六千七百万円余は、外国為替相場の変動があったこと等により、航空機購入費を要することが少なかったこと等のため生じたものであります。  続いて、(組織防衛施設庁経費につきまして御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は四千四十一億八千六百万円余でありまして、これに駐留軍等労務者等平成元年四月以降の給与を改善するための予算補正追加額十九億二千七百万円余、前年度からの繰越額二百六十七億一千百万円余を加え、既定予算節約等による予算補正修正減少額三億一千四百万円余、防衛施設周辺障害防止事業等に要する経費として移替えをした額、農林水産省所管農林水産本省へ七億九千二百万円余、建設省所管建設本省へ十八億六千七百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は四千二百九十八億五千百万円余となります。  この歳出予算現額に対して支出済歳出額は三千九百八十三億四千万円余、翌年度へ繰り越した額は二百八十八億五千九百万円余でありまして、差し引き不用額は二十六億五千百万円余であります。  支出済歳出額の主なものは、調達労務管理費につきましては、アメリカ合衆国軍隊等が使用する駐留軍等労務者離職者対策福祉対策従業員対策等に要した経費五百六十五億七千百万円余、施設運営等関連諸費につきましては「防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律」等に基づき、自衛隊施設及び「日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定」等に基づく提供施設維持運営等に関連し必要な土地の購入及び借上げ、施設整備各種の補償、障害及び騒音の防止措置飛行場等周辺移転措置民生安定施設助成措置等に要した経費三千百五十億四千百万円余、提供施設移設整備費につきましては「日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定」による日米間の合意に基づき、現在提供中の施設及び区域の返還を受けるため、当該施設及び区域を集約移転するのに要した経費一億一千六百万円余等であります。  平成元年度の防衛施設庁職員定員は、三千三百七十七人でありまして、これを前年度職員定員に比べますと、十二人の減員となっております。  次に、翌年度への繰越額二百八十八億五千九百万円余は、計画及び設計に関する諸条件アメリカ合衆国軍隊等事情、用地の関係等のため工事等が遅延したことによるものであります。  また、不用額二十六億五千百万円余は、事業計画変更等により、提供施設等整備費を要することが少なかったこと等のため生じたものであります。  以上をもって、平成元年度における防衛庁関係歳出決算概要説明を終わります。  なお、平成年度決算検査報告におきまして(組織防衛本庁不当事項が掲記されましたことは、誠に遺憾にたえないところであります。  これらにつきましては、適切な措置を講じましたが、今後このようなことのないよう再発防止に万全を期す所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    平成年度決算防衛庁についての検査概要に関する主管局長説明             会 計 検 査 院  平成年度防衛庁決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件であります。  検査報告番号一号は、屋外燃料タンク補修工事の施行に当たり、鋼板の材料費工場加工費等積算が適切でなかったため、契約額が割高になっているものであります。  この工事は、海上自衛隊が使用する艦船の燃料を貯蔵する鋼製縦型円筒式屋外タンクを補修するため、鋼製底板及び側板の一部の取替えなどを施工したものであります。  この工事費積算について検査いたしましたところ、鋼材使用重量については、設計図書において、タンクの底面を底板アニュラ板で一重とすることとなっているのに、誤って、底板及びアニュラ板の二重構造であるとし、数量を重複して計算していたり、鋼材単価については、積算参考資料実勢価格が示されていたのに、高炉メーカー公表販売価格を採用していたり、鉄骨工労務単価については、海上幕僚監部から単価が通知されていたのに、前年度単価参考にして高価な労務単価を適用していたりなどして、契約額は約五百九十万円割高になっているものであります。  また検査報告番号二号は、職員不正行為による損害が生じたものであります。  これは、陸上自衛隊武器補給処十条支処において、地対空誘導弾レーダ等の部品から採取した 銀くずを売払処分まで誘導武器部補給課倉庫スチールロッカーに保管していたところ、同課分類班に所属する某自衛官が、不要物品解体保管等事務に従事中、この銀くずのうち約六十八・九kg(評価額約百三十三万円)を、平成元年二月から四月までの間六回にわたって領得したものであります。     —————————————  以上、簡単でございますが説明を終わります。    外務省所管平成年度決算について                 外 務 省  平成年度外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要をご説明申し上げます。  歳出予算現額は、五千八百八十九億七千六百五十五万円余でありまして、支出済歳出額は五千六十七億七千三百五十七万円余、翌年度繰越額は八百億六百九十三万円余、不用額は二十一億九千六百四万円余であります。  歳出予算現額内訳は、歳出予算額四千九百七十二億七千五百十八万円余、前年度繰越額九百十七億百三十六万円余でありまして、前年度から繰り越したものの内訳経済開発等援助費九百四億三千三百十八万円余、在外公館施設費十二億六千八百十七万円余であります。  支出済歳出額の主なものは、経済協力の一環として、青年海外協力隊派遣開発調査センター協力機材供与保健医療協力農林業協力産業開発協力開発協力専門家養成確保等事業アジア諸国等開発途上国に対する経済開発援助及び国連開発計画等の多数国間経済技術協力のための拠出等に要した経費三千六百七十四億八千四百十一万円余、エネルギー対策のため国際原子力機関に対し同機関の憲章に基づく分担金及び拠出金として二十七億六千七百七十九万円余並びに各種国際機関に対する分担金等として二百六十四億七千二百七十四万円余であります。  次に、翌年度繰越額について申し上げますと、財政法第十四条の三第一項の規定による明許繰越のものは七百九十三億三百七十七万円余でありまして、その内訳経済開発等援助費七百九十三億三百七十七万円余及び財政法第四十二条の規定による事故繰越のものは七億三百十六万円余、その内訳経済開発等援助費七億三百十六万円余であります。  不用額の主なものは、外務本省の項で退職手当を要することが少なかったこと及び在外公館の項では、職員手当を要することが少なかったこと等のためであります。     …………………………………    平成年度決算外務省についての検査概要に関する主管局長説明            会 計 検 査 院  平成年度外務省決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     —————————————
  4. 貝沼次郎

    貝沼委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。志賀一夫君。
  5. 志賀一夫

    志賀(一)委員 私は、まずカンボジア問題についてお聞きいたしたいと思います。  先日、大阪出身国連所属選挙監視団ボランティアの一員として活躍されていた中田厚仁君が、ポル・ポト派と思われる者に銃撃され死亡したことについて、極めて遺憾の意を表するとともに哀悼の意を表したいと思います。  かかる不祥事が起こる前に、全力を尽くして武力紛争のない状態にしてから民間奉仕団派遣すべきで、直ちに民間人は引き揚げ、中国、ベトナム等ポル・ポト派と話し合える国々と我が国が中心になって十分話し合いをし、和解解決後に派遣するというのが本当ではないでしょうか。今回、またPKOの第二次派遣がなされるわけでありますけれども、これは暫時中止して、これら諸国との十分な話し合いをいたした以降になされた方が、今のカンボジアにおける総選挙を前にしての極めて緊迫した情勢を考えますと、その方が賢明ではないのかと思いますが、外務大臣はいかなるお考えか、まずお聞きしたいと思います。
  6. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 確かに中田さんのあのような死というのは、使命が崇高なものでありましただけに大変残念な事件であり、私どもは心からお悔やみを申し上げる次第でございます。  ただ、私としては今、事実関係をでき得るだけ正確に詳細に把握したいと思っておる次第でございます。今現在の段階ではそういうことでございまして、PKO協力法に基づく自衛隊派遣を直ちに中止すべきだとかいうようなことは、私は考えておりません。また、ボランタリーの方を引き揚げたらどうかというお話でございますが、これは、国連においてボランタリー活動される方を募集というか集められて、ボランタリー皆さん国連に喜んで参加してやっておられるわけでございまして、日本政府としてとやかく言うべきことではないと思っております。
  7. 志賀一夫

    志賀(一)委員 この点については、現地日本大使館もあることでありますし、国連との十分な連携を密にした中での、日本人のボランティア活動がこのような不祥事ができないようにするというのは当然のことでありましょうから、そういう点で、日常における十分な連絡プレーというものがないのではないかという気がいたします。ただいまも申し上げましたように、ポル・ポト派はあくまでも総選挙を阻止しようという構え武力攻勢を一層強めよう、こういうような報道を聞いておりますと、これが、民間ボランティア皆さんだけではなくて、PKO派遣される自衛隊皆さんにも大変大きなショッキングがあることでありますから、これらについて十分調査をして、ある程度の期間を置いて安全をまず第一に対処する、そういう構えがあってしかるべきだと思いますが、いかがでしょう。
  8. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私どもとしては、ポル・ポト派も含めてまた選挙に参加していただければこんなありがたいことはないと思っておるわけでございまして、何も、ポル・ポト派を向こうに追いやることはすべきではないと思っております。  それから、いま一つは安全の問題でございますが、確かにあのような痛ましい事件が起きたのでございますから、従来のUNTACのそういう面においては、もう少し配慮していただければよかったのじゃないかなという感じを私は率直に持っております。今川大使を通じて今後はできるだけ、例えば警備を厳重にして、丸裸の、ああいう中田さんのような方が非常に治安の悪いところに行かれるようなときにはやはり警備をきちんとしていただくとか、あるいはできるだけ今後は集団的に行動していただくとか、そういうような指導はぜひひとつお願いを申し上げたいということは申し入れておるわけでございます。
  9. 志賀一夫

    志賀(一)委員 やはり、日本民間ボランティアを初めPKO皆さんも行かれるわけでありますから、ひとつ十分な対応をしていただきたい、そんなふうに思います。  それで、同日の新聞で見ましたところ、カンボジア派遣をされている陸上自衛隊がいざ攻撃を受けた場合にどうするかということについて、自衛隊首脳部でいろいろと、一旦緩急の場合どう対応するかということでの研究をしており、かつそれが現地指揮官連絡をされていたという報道があったわけでありますが、これについて日吉防衛事務次官が、撤収を考えている印象を与えるということは対外的にも極めてまずいことだ、こういうような談話をしておるわけでありますが、その辺、防衛庁首脳部日吉次官との間に落差があるというふうに受けとめたのですが、現実はどうなのか、お聞きしたいと思います。
  10. 畠山蕃

    畠山政府委員 防衛庁といたしましては、カンボジアヘの施設大隊派遣に当たりまして、常に万が一不測事態というものを想定し、当然これを想定した上で、それに備えて検討を行うというのは必要なことであるというふうに思っておるところであります。  それで、そういった意味で、派遣の当初から検討を進めて、今御指摘のような万が一事態にどうするのかという対応策について検討を進めているところでございますけれども、現在まだ検討途上にございまして、検討の結果は得られていないということでございます。  陸上自衛隊の方で検討していながら日吉次官の方は別のコメントをされたという点についての御指摘がございましたけれども、これは、実は内局の方の、実際直接担当しています私の方から陸上自衛隊に対して、そういう検討をすべきであるというのをかなり早い時期から申し渡しておったところでございまして、それを踏まえて今検討途上にあるということでございまして、当然、結果が得られますれば、大臣初め次官にも報告をする、そういう段取りになっている途上段階のものでございます。
  11. 志賀一夫

    志賀(一)委員 そうすると、現地指揮官にはそういう指示はしていなかった、こういうふうに言われているわけですね。
  12. 畠山蕃

    畠山政府委員 実際に何かが起こったときにどういう対応をするかということに関しまして、大枠といたしまして、こちらの方から現地の方に対して指示を行って、それを踏まえて、これは実は東京において机上の空論として計画を立ててもしょうがないわけでございますので、現地交通事情、道路の状況、そのときの状況等を踏まえて、現地において詳細な対応策を考えるというのが本来の筋でございますので、それを踏まえて現在、むしろ地元の現地の方で、今カンボジア現地の方で検討中ということであるわけでございます。
  13. 志賀一夫

    志賀(一)委員 研究をして、そういう指示によって現地検討している。そういう場合に当然にしてその中身で、場合によっては攻撃が激しければやはりいっとき撤収をする、こういうことがあり得るわけでありますが、そういう撤収ということを考えることは、国際社会から見ても日本の立場を危うくするものでとんでもないことだというふうに日吉次官が言っているわけでありますから、どうも現実的に対応していることについての考え方の相違がその辺にあるのではないか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  14. 畠山蕃

    畠山政府委員 新聞報道によりますと撤収を考えているということが前提として報ぜられたものですから、そういうことであるとすればそれは事実にも反するし、我が国だけがそういうことを今の段階で考えているというのは問題であるということの趣旨を次官が申したものと考えます。  一方、実態の方はどうかといいますと、先ほど来申し上げておりますように、これは派遣の当初から私ども指示をして、そういう派遣をする以上は万が一事態を想定しての対応策というのを常に考えておくというのは当然のことでございますので、その時点から既に検討を進めておって、しかも撤収を前提としてということではなしに、いわば実施要領にあります一時休止という物理的な作業の中断ということも念頭に置きながら、それがいつ起こってもどういうふうな具体的な対応をすればいいかということの検討を進めているということでございまして、いわば法律上の撤収を前提として、特に最近の状況を踏まえて撤収を前提としての研究を進めているということとは意味が違うということでございます。
  15. 志賀一夫

    志賀(一)委員 一応わかります。  別の問題でありますが、米ソの対立の冷戦は今や過去の歴史となった今日、軍縮への大きな歩み、そしてまた核兵器の廃絶というような、世界が大きく平和への方向に歩んでいるというのが現実の姿であろうというふうに思いますが、その中で、我が国自衛隊の持つ装備力と申しますか、そういうものは、この世界の平和への軍縮というような方向とは逆に、むしろ増強しつつあるのではないかとさえ思われる点が多いのであります。このことは、アジアの国々からも、日本が軍事大国へ進むのではないか、そういう危惧を当然にして抱かれているという状況は否定できないことは、いろいろな事件の中でも我々感じておるところであります。  そこで、今私がお聞きをしたいのは、陸海空の自衛隊の今日使用している主要な装備の現況、そしてその主要な装備の価格は一体どういうものなのか、予算はどうなのか、総額においてどれくらいの額になっているのかという諸点について、まずお聞きをしたいと思います。
  16. 中田哲雄

    中田(哲)政府委員 主な装備の価格につきまして御説明申し上げますと、陸上自衛隊関係につきましてはいろいろございますけれども、例えば小銃でございますと、八九式小銃が製品単価、五年度予算でまいりますと約三十万でございます。それから、りゅう弾砲FH70というのがございますが、これの平均価格は約三億五千万ほどでございます。それから、戦車につきましては、九〇式戦車というようなものがございますが、これにつきましては、平成年度予算単価でまいりますと九億三千六百万程度でございます。  また海上自衛隊につきましては、護衛艦ございますが、それぞれいろいろタイプが違うわけでございます。例えば、平成年度調達予定しております七千二百トン型のDDGイージス艦でございますが、これですと千百七十八億七千四百万の単価予算上要求をお願いしているところでございます。それから潜水艦につきましては、二千七百トン型でございますが、これにつきましては五百二十一億八千五百万という予算をお願いしております。  それから空につきましては、F15J要撃戦闘機でございますが、これにつきましては、平成年度調達数量は減ってございまして、予算上の単価が百三十六億八千五百万ほどになっております。それから、P3C対潜哨戒機でございますが、これにつきましては同様に百三十六億四千万程度でございます。ヘリコプターにつきましては、SH60Jというヘリコプターがございますが、これにつきましては五十七億二千七百万ほどの単価でございます。  主要なもの、範囲いろいろございますけれども、とりあえず以上でございます。
  17. 志賀一夫

    志賀(一)委員 これらで、トータルで主要な装備、陸海空共通のものもあるでしょうし、陸海空それぞれの固有の持っているものもあるだろうし、そういったもので総額どれくらいの装備を金額にして持っておられるのか、こういうことをお聞きしたい。
  18. 中田哲雄

    中田(哲)政府委員 その範囲を限定して申し上げるべきでございますけれども、概数を申し上げますと、年間の調達額が約一兆八千億調達しておるわけでございますが、このうちいわゆる正面装備と言われておりますものは八千億ないし九千億程度の契約を行っているところでございます。
  19. 志賀一夫

    志賀(一)委員 今言ったもの、私が申し上げようとしているものは若干主要な装備で入ってないものが、御説明になかったと思いますが、ペトリオットとかE2C早期警戒機とかというようなものを全額まとめますと、総額で七兆円を超すのではないか、そんなふうに思います。  これらの主要装備に通常年間で必要な燃料とか、あるいは修理費とか、あるいは常時訓練上使う場合のいろいろな消耗とかというふうな、そういう管理費的なもの、そういうものを含めますとどれくらいまた年間予算をとっておられるのか、その辺もお聞きしたいと思います。
  20. 宝珠山昇

    ○宝珠山政府委員 平成年度予算について申し上げますと、維持費というのがございますが、油購入費が四百六十二億でございます。それから、修理費五千三百四億というのが計上されているところでございます。
  21. 志賀一夫

    志賀(一)委員 この主要な装備の中で、私どうも、こういうことについて極めて素人でありますけれども、国民の皆さんから見ても、なぜこういうものが必要なのかな。例えば、具体的に申し上げますと、護衛艦七千二百トン下型イージス艦一隻一千百七十九億円、調達数四隻で四千七百十六億円。護衛隊群旗艦として現代海戦における本格的な指揮、管制能力を持つイージスシステム搭載艦で防空能力抜群であるとのことだが、このようなものが今の世界情勢の中で我が国の自衛力を 守っていくためにどうして必要なのかな、こういう疑問を国民の一人として単純に持たざるを得ないと思うのですが、その根拠はどういうところにあるのでしょう。
  22. 畠山蕃

    畠山政府委員 イージス艦についての御指摘でございますけれども我が国の海上交通の安全確保に当たる中核部隊となっております護衛隊群というのがございます。護衛隊群の防空中枢艦といたしまして前の中期防、中期防衛力整備計画から逐次三隻まで整備してきたところでございまして、平成年度に残りの最後の四艦目ということで調達を予定しているところであります。  大綱におきましては、護衛隊群を常時少なくとも一個群即応の態勢で維持できるために、軍事技術の趨勢に対応し得るよう配意しながら、四個護衛隊群を保有することというふうにされております。四個護衛隊群を保有しますと、例えば修理に入っている期間、あるいは訓練の練度がまだ十分じゃなくて訓練をしている期間等々を考えますと、四個護衛隊群があって初めていつの時点においても一個護衛隊群が高練度の状態、即応の態勢にあり得るということから四個護衛隊群を保有することとされているわけであります。  その護衛隊群を保有する重要性というのは、我が国の置かれた地理的環境等が変わらず、海上交通の安全確保という必要性がある以上、現在の国際情勢においても必要であろうというふうに思っておるところであります。この四個護衛隊群にイージス艦を各一隻ずつ配備したいということで従来から進めてきているところでおりまして、四個護衛隊群でありますうち三個護衛隊群につきましては既に予算手当てがなされておりますので、残りの一個の護衛隊群についてイージス艦を入れるというのが今回の予算措置ということでございます。
  23. 志賀一夫

    志賀(一)委員 また、対潜哨戒機P3C調達数百機、一機百三十六億で、全体でいくと一兆三千六百億円。F15J要撃戦闘機調達数二百機で、一機百三十七億円、総額二兆七千四百億円。それからまた、湾岸戦争で私ども初めて知ることができた地対空誘導弾ペトリオット調達数が六・七五個群プラス二セット、これで五千二百四十五億円というふうに大変な装備をなさっているわけでありますが、これは我が国の防衛上、どういう計画でどういうものを予想しながらこれだけのものを必要としているのか。やはり国民の皆さんが納得できるような御説明をしてほしいと私は思うのであります。
  24. 畠山蕃

    畠山政府委員 P3CとF15とペトリオットについての御指摘でございますけれども、P3Cにつきましては、これは、我が国は四面を海に囲まれて、当然資源とかエネルギーその他を大きく海外に依存しているという立場からいたしますと、先ほども申し上げましたが、海上交通の安全確保というのは極めて重要であるということでございまして、そのためには港湾、海峡の防備、あるいは哨戒、護衛等の各種作戦を実施し得る機能を持たなければならないということであります。対潜哨戒機P3Cはこういった意味での哨戒監視、それから海上護衛といった任務に当たるものでございまして、海上交通の安全を確保するためには依然として極めて重要な役割を担っているということでございます。  それからF15につきましては、領空侵犯あるいは航空侵攻に対しまして即時適切な措置を講じ得る態勢を、現在の国際情勢のもとにおいても常続的にこれを維持する必要が極めて重要であるということからF15の調達を継続しているところでございまして、航空軍事技術の向上に対応して、要撃性能にすぐれたF15といったものの装備が依然として必要であるということでございます。  それからペトリオットでございますけれども、これはやはり領空侵犯、航空侵攻に対しまして要撃戦闘機部隊が対応するということではございますけれども、それに漏れて我が本土に来たという場合に備えて、地対空誘導弾部隊を適切に組み合わせた形で態勢を整えるということが重要であるということでございまして、御指摘のとおり六個高射群について整備を進めてきているということでございます。
  25. 志賀一夫

    志賀(一)委員 最後のペトリオットですが、こういうものを持っておって、本当にどういう構想、どういうことが予想されるからこういうものが必要なんだ、こういう論拠をいま少し、例えば従来だと、冷戦時代はソ連を仮想敵国と見て、そしていろいろ装備をされてきたのではなかろうか、そんなふうに思うのですけれども、冷戦後の今日、こういうペトリオットというようなものをなぜ必要なのかということを、もう本当に率直に、素朴に考えてその必要性がどうなのだろうかなというふうに考えざるを得ないのですが、その辺はどうなんですか。
  26. 畠山蕃

    畠山政府委員 冷戦時代から私ども防衛計画の大綱に従って防衛力整備を進めておりまして、ソ連を仮想敵というようなことを前提として進めたわけではないということはるる御答弁申し上げてきたところでございます。私どもといたしましては、そういった仮想敵というものを想定せずに、独立国として我が国の安全を確保するという立場から防衛力整備に努めてきたところでございます。  そこで、ペトリオットについてでございますが、独立国として、本当の意味で、国際軍事技術の動向にも即しながら我が国の安全を守るという立場から考えますと、航空侵攻という事態を考えますと、これは、先ほど申し上げました、とりあえずのところは我が国の方の要撃戦闘機というものの整備、F15を整備することによって、これによって対応する部分もかなり大きいわけでありますけれども、すべてが、一〇〇%そういうもので対応できるとは限らないということから、それをくぐり抜けて我が国土に侵攻してくるものがあるとすれば、それに対して地対空ミサイルによって対処しなければならないという事態が想定されるわけでございまして、これは何も我が国だけがそういったものを想定しているわけじゃございませんで、特にこの冷戦後の世界におきましても、各国ともそういった必要最小限の国土を守るための装備品というものは開発、整備をしているところでございまして、独立国として必要最小限のものを整備する、そしてそれは役に立つものでなければいけませんから、そういった意味で、性能の進歩したものをペトリオットという形で整備をしていくということにしているところであります。
  27. 志賀一夫

    志賀(一)委員 納得するものではありませんが、次の点についてお聞きをしたいと思います。  早期警戒管制機AWACS、一機五百七十億という大変な高価なものでありますが、機体の背に円盤状のレーダーを載せた早期警戒管制用の航空機で、低空で侵入してくる敵を捕捉して味方の戦闘機に迎撃命令を出し作戦指揮をする、空飛ぶ司令部とも言われているというふうに聞いているわけですが、冷戦後のどこの国の飛行機が我が国にどのように侵入してくるのか、こう予想してこのような高価なものを購入しているのか、いま少しく具体的にお聞かせをいただきたいなと思います。
  28. 畠山蕃

    畠山政府委員 AWACSについてのお尋ねでございますけれども、AWACSの整備を今回お願いいたしておりますのは、これは要するに航空軍事技術の動向というものが非常に進歩をいたしておりまして、その結果に対応するために、我が国の安全確保のためにはこのAWACSが必要である、つまり、早く情報をキャッチしてこれに対応することが必要であるということでございまして、一般的な軍事技術の動向に対応するということでございまして、どこの国のどの飛行機がどう攻めてくるといったような個別具体的なことを念頭に置いているわけではございません。  事実、ほかの国々におきましても、全部とは申しませんけれども、アメリカを初めヨーロッパの多くの国、あるいはサウジアラビアに至るまで、このAWACSというのは既に近年において整備がなされておりまして、といいますのは、やはりそういった意味で国際軍事技術の動向に対応した形で、それぞれが情報の早期キャッチということ を前提としてそういうものを整備を進めていると承知をしているところでございまして、我が国におきましても、そういった意味で、国際軍事技術の動向に対応した形でこういうものを整備してまいりたいということでございます。
  29. 志賀一夫

    志賀(一)委員 世界の主な国々がそういう装備をしているからそれに見習って買うんだ、こういうお話でありますが、我が国は御承知のように専守防衛を頭に置いてやっている装備でありますから、際限なくそういうものを設置するということには疑義があるわけであります。別に早期警戒機十二機がありますし、さらにレーダー網もあるわけですから、我々国民としては、こういうものもそろっているわけでありますから日本の自衛という意味ではそれで十分ではないのかな、こういうふうに思っているところであります。  それともう一つは、むしろ日米貿易摩擦の一環として、やはり日本に買ってもらわなければいけないということでのアメリカ側からの強い要請があってこの購入に踏み切ったのではなかろうかな、そんなふうにも思われるのですが、いかがでしょうか。
  30. 畠山蕃

    畠山政府委員 前段の御質問は、E2Cや地上のレーダーが既にあるから今回のAWACSは必要ないではないかという点でございますけれども、これは実は役割が違うものでございまして、話がちょっと長くなりまして恐縮でございますけれども、まず昭和五十四年にE2Cを入れますときに、地上レーダーサイトだけではカバーがし切れない、役割が果たせないという反省がございました。しかしながらそのときは、地上レーダーサイトは低空侵入で入ってくるものに対しては捕捉し切れない、その捕捉範囲をいわば補完するという程度の意味合いを持たせまして、その意味ではE2Cで足りるということで、地上レーダーサイトだけでは足りずにE2Cというものの導入を図った、こういうことでございます。  そして、現在の状況を言いますと、これは先ほども申し上げておりますように、航空技術の進歩が著しく、すなわち具体的に申しますと、航空機の航続距離が非常に延びたということと、それから空対地のミサイルの射程距離が非常に延びたということがございます。そうしますと、洋上遠くから低空で侵入してきて、洋上遠くから国土の中枢部分に攻撃をしかけることが可能になる、そういう事態が技術的に見て一般化の状態になってきているという状況がございます。そういたしますと、E2Cの能力からいたしまして、これは、洋上遠く離れて警戒監視をする能力が、いわば非常に限られたものになってしまうわけでございます。そういたしますと、航続距離が長くて速度が速く、かつ自分自身が管制能力を持っている、そういうAWACSみたいなものが必要になってくるということでございまして、そういう意味でAWACSの導入がぜひとも必要であるというふうに考えたところでございます。  それから第二の点は、日米貿易摩擦への対応ではないかということでございますが、これは、そういった意味でただいま前段で申し上げましたように、我が国の安全確保のためにぜひとも必要であるという立場から、我が国が自主的に判断してこれを導入することを決めたものでございまして、御指摘のような事実はございません。
  31. 志賀一夫

    志賀(一)委員 もう一つお聞きしたいのに、新輸送艦LSTがあります。単価が五百三億円、大変高いものです。二十二ノットといいますからかなり速い船でありますが、これが八千九百トン、高性能の二十ミリ機銃が二基、七十六ミリ砲が一基、ホーバークラフト型揚陸艦二隻、大型ヘリが発着可能で、船尾に大きなドックがある、ちょうど軽空母に似たような戦闘艦だ、こういうふうに聞いておりますが、これは明らかに、いわば航空母艦に準ずるようなものだというふうに思うのですが、こういうものを買うというのは、専守防衛の枠を超えて他国に上陸作戦をするという目的で使用する、そういう性格の輸送艦ではないのかな、こういうふうに考えざるを得ませんし、またこのことは、アメリカの国内でさえ、専守防衛政策の枠組みを超えるものだ、こういう声さえアメリカ内部でも出ているわけでありますから、極めて問題ではないか、こんなふうに思うのですが、いかがでしょう。
  32. 畠山蕃

    畠山政府委員 平成年度予算に計上いたしております八千九百トン型の輸送艦についてのお尋ねでございますけれども、これは現在、輸送艦といたしましては、千五百トン型三隻と二千トン型三隻の合計六隻、そのほかに細かいのはありますが、主としてこの六隻を持っているわけであります。そのうちの千二百トン型のあつみ型というものが除籍になる、使えなくなるということから、それの代替更新を図ろうというのが基本的な考え方であります。その代替更新を図るに当たりまして、三点ばかり考慮に入れました。  第一は、近年の技術的趨勢に従いまして、陸上自衛隊各種装備品が搭載可能な輸送用エアクッション艇、いわゆるLCACを搭載することが輸送能力上望ましいという点、それから、人的資源の制約を考えますと、これまでの輸送艦と乗員数をほぼ同じにして輸送能力が向上するということが望ましいという点、それから、民間フェリー並みの速力の確保あるいは悪天候時におきます航行の安定化を図りたい、そういった構造にしたいということがございまして、それらの要因を勘案した結果、最適なものとしてこの八千九百トン型ということにしたものでございます。  なお、補足させていただきますと、いかにも八千九百トン型で大型で物すごい輸送能力がついたということのようにお受け取りだと思いますけれども陸上自衛隊の所要の物を所要の地域に輸送する全体の所要は、現状で三割程度しか能力がなかった。つまり、この部分は非常におくれていたということでございまして、今回この八千九百トン型を千五百トン型にかえて入れることによりましても、この新しい体系で所要の約四割をしかまだ輸送能力が達成できない、こういう状況でございまして、なお非常におくれておるということがございます。  それから、お話の中に、これは軽空母ないしは非常に外に向かっていくものではないかという趣旨のお話がございましたけれども、まず第一に、私どもは、こういう輸送艦を持ったからといって外に云々というような意図は全く、専守防衛の我が国としてはそういう意図は全く持っておりません。それから第二に、構造上もそういった種類のものにはなじまないものになっておりまして、構造上これは、例えばヘリの発着スポットが一つございますけれども、これは専用のヘリを持つわけではございませんので、いわゆる航空母艦的な、あるいは軽空母的な、航空機を運んで、それを洋上で運航するといったような種類のものにはなじまない構造になっておりまして、単にヘリが一つだけ発着するスポットがあるというだけでございまして、常時専用の飛行機を持つには、後方援助装置とか整備用の格納庫であるとかエレベーターとか、そういったものがなければいけませんけれども、そういったものを備えておらないということからもおわかりいただけると思いますけれども、そういう構造にはなっておらないということを申し添えさせていただきたいと思います。
  33. 志賀一夫

    志賀(一)委員 一つは、今までの輸送艦、現在までの輸送艦六隻で十分こなせるはずなのに、必要量の三割しか対応できないとか、あるいは今回のLSTを導入しても約四割を満たすだけだ、こういうようなことですが、これはどういうことを一体想定をしてこういうような委員会での、あなたが答弁をなさっているのか、具体的にお聞きをしたいと思います。  それから、子供が千円のおもちゃを買ってもらえば、またもっといいものを欲しいということで一万円のおもちゃを欲しがる、そういうように相次いで、次から次へ大きい、新しい武器を購入するというのは、やはりこれは日本の、我が国の今日までとってきた防衛大綱あるいは中期防衛計画に基づいてのことであろうというふうに私は思いますけれども、しかし、防衛大綱なりあるいは中期防の、これの基本である国際情勢というものは 大きく変わっていることは御承知のとおりであります。直接、間接の侵略の可能性が消えているというようなこと、あるいは日本領域に対する武力攻撃も、安保五条にありますが、これもない。アメリカの対ソ戦略の枠組みも解体した。こういうような基本の問題が既に変わっている中で、防衛大綱やあるいは中期防を、当然にして、これだけの国際情勢が変化をしているのだから、それに見合う防衛計画の全体の見直しをするのが当然のことですね。際限なく近代兵器を拡大していくというのは、先ほども申したように日本の平和憲法の枠組みを既に外れたものだ、こう指摘せざるを得ないと思いますが、いかがでしょう。
  34. 畠山蕃

    畠山政府委員 御質問の最初の方で、輸送所要の三割、四割というのは一体何を考えているのかというお話がございました。これにつきましては、陸上自衛隊の所要の部隊と先ほど申しましたが、それは戦略機動する最小単位の部隊ということでございまして、その戦略機動する最小単位の部隊というのは何かといいますと、一個普通科連隊に特科大隊それから戦車中隊等を配属した部隊を念頭に置いているところでございまして、それらに所要の人員とそれから装備品等を総合的に計算いたしましたうちの、その所要のうち三割しか達成されていないところを、今回の措置で四割の充足になる、こういうことでございます。  後段の方で、防衛計画の大綱との関係を御指摘になりましたけれども防衛計画の大綱におきましても、防衛力全体として均衡のとれた態勢を保持するということが書いてございまして、その具体的な例として、「防衛の態勢」の中で輸送ということも入っております。  したがいまして、輸送能力というものも、ただいま申し上げましたように、これはまだ十分ではなくておくれているところでございますので、そういった意味の均衡のとれた態勢を保持するという考え方から、早急にこの輸送艦の整備を図るということでございまして、防衛計画の大綱で想定された規模以上のものを我々は整備しようというものではございません。  なお、御指摘の、防衛計画の大綱を国際情勢に合わせて検討し直すべきではないかということでございますけれども、これにつきましてはるるこれまでにも御答弁申し上げておりますとおり、国際清勢が今後中長期的にどういう方向に進んでいくのかということを、なお変化を続けている状況を踏まえまして、これを見きわめた上で、さらにいろいろな観点、非常に多様な観点から、抜本的に今後の中長期的な我が国防衛力のあり方というものを検討するということを現在考えてございまして、これは平成年度までには結論を得たい。その結果として、防衛計画の大綱の変更につながり得ることもあり得るということはるる御答弁申し上げているところでございます。
  35. 志賀一夫

    志賀(一)委員 次に、在日米軍の駐留経費についてお尋ねをしたいと思います。  在日米軍の駐留経費は、思いやり予算などと言われて、年々際限なく膨張しているというのが現実であります。米軍基地の施設の建設費はほぼ一〇〇%日本負担となり、七八年に始まった思いやり予算は、当初六十二億円から始まって、本年度では何と二千二百八十六億円、十五年間で三十六倍強に膨れ上がったと言えます。この駐留経費負担の総額で五千六百十二億円からすると、日本にいる米兵の一人当たり、何と千二百二十七万円余の負担増、こういうふうになりまして、九五年には基地の従業員の給料、米軍関係光熱費の全額を持つとのことでありますが、その時点で幾らの負担になるのか、まず明らかにしていただきたいと思います。  それから、八八年の国会答弁で、国民の理解を得られるものという一つの制約もあったにもかかわらず、これをどんどんはみ出して、施設建設費がふえているというふうに思うのでありますけれども、極めて遺憾だと言わざるを得ないわけでありまして、ドイツにおいては、米軍の住宅はもちろんのこと、基地従業員の労務費や光熱費も一切米軍が支払っている。この辺の差はどこから来るんだろうか、こう不思議に考えざるを得ないわけでありますが、これらの諸点について、なお明らかにしていただきたいと思う次第であります。
  36. 加藤良三

    ○加藤説明員 まず冒頭に申し上げたいのでございますが、日米安保条約は日米関係の基礎をなす強固なきずなでございます。そして、それは、我が国を含むアジア・太平洋の平和と安定にとって実は不可欠な枠組みであると私たちは認識いたしております。  そういうところで、日本政府といたしましては、日米間の経済力の相対的関係が変化いたしましたこと、それから米国側が財政赤字を抱えながらも、国際の平和、安全の維持のためにグローバルな役割を果たしていること、それから、日本といたしまして、国力にふさわしい役割をみずから積極的に果たしていくことがますます強く求められていること、こういった観点から、在日米経費の一層の負担を自主的に図って、日米安保体制の信頼性、効果的な運用を確保することが重要であると考えてまいったわけであります。  こういう認識に基づきまして、先生の方からの御指摘もございましたが、我が国としては昭和五十四年から、隊舎とか家族住宅の新築、改築等の提供施設整備を行っておりました。さらに、平成三年に締結されました在日米軍駐留経費特別協定に基づきまして、在日米軍従業員の基本給など、それに光熱水料等に関する負担を行うといった努力を払っております。  在日米経費に係る予算が年々増加しておりますのは、主として、特別協定に基づきまして、在日米軍従業員の基本給、それから光熱水料等に関する我が国の負担を段階的に増大いたしまして、平成年度にはその全額を負担する方針で対処しているということによるものでございます。したがいまして、現在のところ、在日米軍構成員の給与を差し引いた額、これの日本とアメリカによる分担の割合は、おおよそアメリカ三、日本七ということになっていると思いますが、今申し上げましたとおり、政府といたしましては、平成年度には在日米軍従業員の基本給及び光熱水料等に関する我が国の負担を段階的に増大した結果、全額を負担するという方向で対処している、そういう次第でございます。
  37. 志賀一夫

    志賀(一)委員 大臣が欠席されるそうでありますので、ちょっと超えますが、一つ大臣にお尋ねをしておきたいと思います。  米軍の日本における基地というのは、面積においても米軍の数においても依然として変わらないというのが現実の姿だと思うのであります。これはもう大変な長い年月がたっているわけでありますから、やはりどうしても縮小させる、そういう話し合いというものが必要ではないだろうか、こういうふうに考えておるところであります。  昨年三月の内閣委員会でも、私どもの先輩、大出先生が渡辺外務大臣に対しての質問の際、外務大臣が、一年後には話し合いをしたいと思っている、こういうような答弁がなされましたのをお聞きしているわけでありますが、新大臣になられた武藤大臣、ひとつ、いかように考えておられるのか、国民の皆様は大きな期待を持っているのではないかと思いますので、その辺に対する所信のほどをお聞かせいただきたい、こんなふうに思います。
  38. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 確かに、東西対立がなくなり、冷戦構造は崩壊をいたしました。そして世界的に軍縮の方向に向かっているわけでございまして、この点は、平和を愛する日本国家としても大変評価すべき方向だと思います。しかしながら、まだまだ、現時点においても世界のあちらこちらでいろいろの紛争が地域的に行われておりますように、日本を取り巻く環境も必ずしも私は安定しているとは考えられないわけでございまして、今後とも、日本の平和と繁栄を確保していくためには、どうしても日米安保条約に基づく現在のこの体制というのは必要であると私ども考えておるわけでございます。その日米安保条約を遂行するに当たりまして、必要最小限度の在日米軍基地の確保ということはこれまた必要であると思っており まして、アメリカ軍としても、何もむだなというか不要なものを置いておるとは考えられません、  ただ、一つの問題といたしまして、確かに、沖縄に関する限りは基地の全体に対する過密度は大変高いと私は判断をいたしておりまして、この点については、前大臣も、ことしの二月にアメリカの国防長官に対して、整理統合を進められないかということを提言されたと承知をいたしておりますので、私もその線を受け継ぎまして、沖縄の基地につきましてはできる限り今後整理統合が進められるよう努力をしてまいりたいと思っております。
  39. 志賀一夫

    志賀(一)委員 お出かけになる前に具体的にアメリカ側と、前の渡辺外務大臣もそうおっしゃられたんですから、あなたは日米交渉の中でそういうお考え、話し合って、何としても、段階的にでも縮小させる、こういう具体的な問題でのお話し合いをする考えがあるかどうか、もう少しくお聞かせいただきたいと思います。
  40. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今申し上げましたように、私は、アメリカ軍でも不要なものを置いているとは思わないわけでございます。これはやはり、アメリカ軍が、日米安保条約に基づいて、この日本を取り巻く地域において安全を確保するため、日本の平和を確保するために最小限必要だ、こういう考え方でアメリカ軍もいると私は思っておるわけでございまして、ただ、今申し上げましたように、沖縄については、私どもとしても、いかにももう少し整理統合をしていただいた方が沖縄県民に対してもいいのではないだろうかというようなことを私は考えてもおりましたし、前大臣もそういう方向で国防長官にお話をされたということでございますから、その点については、私も引き続いて、アメリカの当局者と会いますときにはそのような方向で話を進め、努力をしてまいりたいと思っております。
  41. 志賀一夫

    志賀(一)委員 どうぞ、結構ですから。  今お話もありましたけれども、やはり大臣の姿勢の中に、今日、もう十分おわかりになっておられるはずの国際情勢の変化というものを十分理解されているというふうに私は思うのでありますけれども、しかし、だからアメリカに対して、これだけ状況の変化があるんだから、いま少しくこの人員や基地の縮小、もうこれについてやはり具体的に段階的な議論をしてもいい、こういうふうに私は思うのであります。  今お話がありました沖縄については——沖縄ももちろんのことであります。沖縄に何回も私もお邪魔しましたけれども日本に返還後二十年たっておっても、やはり依然として沖縄は基地の中に沖縄があるという印象はぬぐえない状況にあります。また同時に、横田基地を初め本土の各地におきましても、基地周辺の住民は大変な迷惑をこうむっているという事態はもう論をまたない状況にあります。  そういう状況を見た場合に、やはりここで世界の情勢が平和への方向に大きく歩みつつある、部分的な紛争はあっても平和の胎動に流れつつあるという認識の中では、基地の縮小、そしてまた米軍の削減のために努力する、こういうのは当然なことではないのかというふうに思います。ヨーロッパではもうソ連軍も全く撤収されましたし、アメリカ軍も総体的に削減をしているということは御承知のとおりだと思いますし、またフィリピンからは完全撤去をしたという、こういう世界の流れというものを見きわめたときに、我が国が安保条約の中でやはりアメリカと率直に話し合いをして、在日米軍の縮小やあるいは基地の削減をしていくというのはこれはむしろ当然のことだろう、ぜひそういうことについて前向きに努力していくという考えがあってしかるべきだ、そんなふうに思いますが、その一点だけを若干お聞かせ願って終わりたいと思います。
  42. 中山利生

    中山国務大臣 先生御指摘のような流れであることは間違いないわけでありますが、アメリカも新しいクリントン政権が発足をいたしまして、安全保障についても、今先生おっしゃいましたようなヨーロッパにおける大幅な軍事力の削減を初め、世界の警察官といいますか、そういうような形での軍備というものを見直す、そういう時期に来ておりますが、いまだにかなりの世界の安定勢力としての軍事力は温存するという建前もとっているわけでありますし、特に我が国との関係日米安全保障条約、安全保障ばかりではなくて経済面での非常に大きな意義を有している条約でありますし、我が国の安全についてのアメリカ軍の存在というものは非常に大きなウエートを占めております。  その上、アジア・太平洋地域の安全保障ということにつきましても、ヨーロッパと違ったお隣の国々との複雑な関係、そういうものを考えますと、やはりアメリカの存在というものはこのアジア・太平洋地域の安全保障にとっても大きな力になっているのではないかというふうに思っているわけでありますが、私も、新しい政権の安全保障政策、特にアジア・太平洋地域における安全保障政策の変化というものを一日も早く確認をしていきたいというふうに思っております。  また、今先生おっしゃいました基地の問題、基地の縮小あるいは基地使用についての周辺についての配慮、そういうものにつきましては、渡辺外務大臣も、この二月にアメリカヘ行きましたときにアスピン長官に具体的にお願いをしてきておりますし、私もそういう機会がありましたら、またなお一層努力をお願いしていきたいと思っております。  先生のおっしゃる意味をよく踏まえながら努力をしていきたいと思っております。
  43. 志賀一夫

    志賀(一)委員 終わります。
  44. 貝沼次郎

    貝沼委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時九分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  45. 貝沼次郎

    貝沼委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。水野清君。
  46. 水野清

    ○水野委員 質問の時間をいただきまして大変ありがとうございます。感謝申し上げます。  外務省に対しまして二つばかり御質問を申し上げたいと思います。  最初は、ユーゴスラビアの分離独立からできたマケドニアという国がありまして、今国連加盟ができるかできないかというところであります。そのことと、その後日本がどういうふうな形で承認するつもりなのか。それからもう一つは、いわゆるボランティアの問題でありますが、国際緊急援助隊医療チーム、普通JMTDRと言っておりますが、その問題と、二つをひとつ御質問申し上げたい、こう思っております。  最初にマケドニアの話から、簡単な話でありますから申し上げますが、御承知のとおり、マケドニアという国ができまして、これは前のユーゴスラビア連邦の一つの国であります。そこが一昨年の八月か十月に、ユーゴスラビア連邦が崩壊をして独立宣言をいたしましたけれども、なかなか周辺国の承認が得られない。現在までのところは五カ国か六カ国しか得られておりません。それにつきましてどういうふうに見ておられるか。  最近、国連総会において、国名の問題と国旗の問題がひっかかっているわけでありますけれども、国名の問題では一応国連のあっせんによって加盟が認められそうだという話までは外務省の方からもお話を聞いておりますけれども、詳細をひとつ御説明願いたいと思います。
  47. 柿澤弘治

    柿澤政府委員 マケドニアにつきましては、先般八日に開催されました国連総会におきまして、マケドニアが旧ユーゴスラビア・マケドニア共和国という暫定的な名称のもとで国連加盟が認められたわけでございます。その新たな展開を踏まえまして、今後我が国としてはマケドニアの国家承認問題について対処を検討してまいりたいと考えております。  また、現在までマケドニアを承認しております国は、ロシア、ブルガリア、トルコ等八カ国でご ざいます。
  48. 水野清

    ○水野委員 そこで、重ねて伺いたいのですが、このマケドニアが国連加盟を承認される際には、EC諸国が、今まで反対していたギリシャも柔軟な姿勢で同調して提案国になった、こういうことであります。その中で、イギリスは、国連の承認の提案国になることは即イギリス政府としてマケドニア共和国を国家承認することである、こういうふうに言っていると聞いておりますが、日本も、そこまで来たわけでありますし、特別何か利害関係が、ほかの国との問題が面倒なことがなければ早く承認をしてやってほしい、こう思うのでありますが、いかがでしょうか。
  49. 野村一成

    ○野村(一)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど政務次官の方からお答え申し上げましたように、マケドニアの国連加盟が認められたわけでございますが、やはりこれと国家承認の問題というのは別の問題というふうにとらえておりまして、実は、この国連加盟に当たりまして、現実の投票におきまして、国連では我が国は支持をいたしました。同時に、この支持がマケドニアを国家として承認するものではないんだ、そのことを意味しないという趣旨の留保も行っております。  やはりこの国家承認という問題につきましては、幾つかのポイントがあろうかと思いますけれども国連憲章初め国際法を遵守する意思とか能力とか、さらには特に少数民族の人権保護という点が問題になっておるわけでございまして、そういった点の重視とか、いろいろな事情を考慮に入れて総合的に検討いたしたい、私ども、そういうふうに考えておる次第でございます。
  50. 水野清

    ○水野委員 そこで、今のお話なんですけれども、イギリスは国連加盟のときに提案国になった。イギリスは同時に、国家承認をしてもいい、こう言っていると聞いております。  それから、マケドニアについて国家承認する条件が整っているかどうか検討中だ、こういうことでありますが、じゃ、ネガティブにいって、いまだに承認できない——国連加盟の前は一つの冒険があったと思いますが、御承知のとおりこれはギリシャとの問題なんですね。ギリシャが、マケドニアという名前がけしからぬとか、国旗がアレキサンダー大王の紋章か何か使っているからいかぬ、こういうことを言って、それをおろせばいつでも賛成するよ、こう言っていることは外務省も御承知のとおりですね。  そこで、ネガティブにいって、そのおくらしている理由をもうちょっと説明してもらいたい。そうおくらしているわけでもないんでしょうけれども、大変慎重な言い回しをしておられたから、ちょっとおかしいなと思って再度質問をさしてもらいます。
  51. 野村一成

    ○野村(一)政府委員 お答え申し上げます。  国連加盟を認められたということではございますけれども、何分やはり私今申し上げましたような点、あるいはマケドニアをめぐります、ギリシャを含みますEC諸国対応等、いろいろな状況諸般をもう少し見守っていきたいというのが、私、総合的に判断して検討を行いたい、そういう趣旨でございます。
  52. 水野清

    ○水野委員 どうもよくわからないんだけれども、まあいいにしましょう。何かわけのわからぬことをおっしゃらぬで、もう少し積極的なことをして——ギリシャがいけないと言って毎週外務省に抗議に来ているという話は私も聞いているんですよ。しかし、ギリシャは国連加盟の際、提案国になったんですから。  国名については一応何かわけのわからぬ仮名で国連加盟するというのは非常に珍しいことなんですけれども、それでもまあいいにしても、あと何なのかということをもう少しはっきりおっしゃってもいいと思うんですけれども、言いにくければまあやめましょうか。言いにくいんならもうこれでやめましょう。次にいきますから。
  53. 柿澤弘治

    柿澤政府委員 今水野先生御指摘の御趣旨も十分に念頭に置いて、今後新しい事態対応して検討してまいりたいと思います。
  54. 水野清

    ○水野委員 そこで次に、国際緊急援助隊医療チーム、これは略してJMTDR、こう言っているようでありますけれども、これについて少しお話を聞きたいと思います。  実は私、自分のことを言って恐縮なんですが、十何年か、もう十三年前になりますけれどもカンボジアの難民がタイの領内にサイトを三つか四つつくって、合計三十万ぐらいの難民が入ってきたとき以来、カンボジア難民の問題で私はいろいろやってきたわけです。それで非常に関心を持っているので、こんなことを決算委員会へ来て外務省をいじめるつもりはありませんけれども、少し伺ってみたい、こう思います。  御承知のとおり、カオイダンとか、タイ領の難民収容所がかつて幾つかありましたけれども、最初の一九七九年の暮れでありますけれども日本が初めて医療チームを送ったわけですね。これは非常に出おくれをしておりましたけれども、メディカルセンターというものをカオイダンの収容所の手前の方へ、タイ領の国境からずっと手前の方へつくって、日本のいろいろなお医者さん方が交代で向こうへ行かれて非常に献身的な努力をしてこられました。私もその当時行って見てきました。  その後、こんなことではだめだというので、御承知のとおりJMTDRというものができて、発足をしたわけであります。これは事務局は何かJICAにあるそうですね。それで、それぞれいろいろなところで活躍をしてこられました。御承知のとおりです。エチオピアの干ばつの被災民でも行ってこられましたし、メキシコの地震にも行かれましたし、イラクのクルド難民の救急医療にも参加をされましたし、いろいろなことを、実績を挙げてきたわけであります。  ところが、実は昨年の六月、PKOの法律が成立をしました。そのときに、国際緊急援助法という法律があることは御承知のとおりですが、これの一部が改正をされてJMTDRと自衛隊の、要するに防衛庁の医療班といいますか、それが一緒に含まれる、両方がこの緊急援助法の対象になる、対象というか、発動して派遣をされる対象になることに相なった。それまではさっきから申し上げておったJMTDRのみで活躍をしておったんですが、ここへ自衛隊の医療チームも参加できるようになった、これは大変私は喜ぶべきことだと思うんです。そういうことになったわけであります。  しかしそれと同時に、実はどうも、最近のカンボジアボランティア派遣では、ボランティアといいますか医療チームの派遣においては、JMTDRが行きたいと言っているにもかかわらず、余り政府側は歓迎しない、なるべく派遣をしたくないというふうな態度がどうも見えるわけです。  これは、私ども自民党の国際貢献の議員連盟の会でも、その関係者の説明を聞いたわけでありますけれども、どうしてそういうことに相なるのか、そこのところが私どもによくわからないので、せっかく行きたいと言っているのに——ボランティアの方が亡くなりましたね。亡くなったにもかかわらず、私たちは医者としてあるいは看護婦として、どうしてもカンボジアに行きたいのです、カンボジアの各地で医療でカンボジアの再建のために尽くしたいのだ、こう言っているんですが、どうもよくわからないんだが消極的なんだ、そこのところを一遍ひとつ御説明を願いたいと思います。
  55. 川上隆朗

    ○川上政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘の国際緊急援助活動に関しましては、御指摘のとおり昨年法律が改正されまして、自衛隊外務大臣が特に必要と認めるときには参加し得るというような法体制に幸いなったわけでございます。  他方、そのときの我々の議論で、政府部内におきまして、当時PKO、国際平和協力法の審議も同時に行われておりまして、PKO法案とこの国際緊急援助隊法の改正法案との仕分けということで、政府部内で議論をいたしまして、紛争に起因する災害につきましては、新たに成立を目指しておりましたPKO法案のもとで対処する、それか ら国際緊急援助隊法は、あくまで自然災害、人為災害等の紛争に直接起因しない災害に対処するというような形で、政策的な仕分けを行わさせていただいた次第でございます。  したがいまして、カンボジア事態をどう認識するかということになろうかと存じますけれども、我々といたしましては、今の事態はやはり内戦に起因する事態でございますので、基本的には緊急援助隊法の体系のもとではなくて、むしろ、新たに成立いたしました国際平和協力法のもとでの事態ではないか、その法体系のもとで考えられてしかるべきではないかというふうに考えている次第でございます。  したがいまして、国際緊急援助隊のもとでの法律要件というものには必ずしも今のカンボジア事態は合致しないのではないかということで、この法律のもとでの派遣ということは当面考えないというふうな仕分けを行ったわけでございます。
  56. 水野清

    ○水野委員 そこでもう一遍お話を聞きたいんですが、それのことはよくわかっているんです。しかし、今それでは防衛庁から医療チームがカンボジアに行っているんですか。医療班が行って、いわゆる自衛隊員のための、PKO派遣されている人たちのための医療チームは行っているかもしれませんけれども、そうでなくて、一般のカンボジアの被災民のための診療をするための医療チームは、私は、行っていないように聞いているんですね。防衛庁長官、うんと言っている。
  57. 中山利生

    中山国務大臣 お話のとおり、派遣をされております部隊のための医務室的な医療隊は行っておりますが、一般の例えは難民に対するとか、地域の住民に対する医療班というものは行っておりません。
  58. 水野清

    ○水野委員 そこで、外務省の局長に聞きたいんですが、現在行っていないわけですよ。そして片方でJMTDRは行きたいと言っているんだけれども、紛争地域だからおまえは行く必要はないとも言わないようだけれども、何か余り歓迎をしない。  結局は、医療が今のカンボジアの現状は非常に困っていますね。これは医者は何人いてもいいわけです。ポル・ポト派がみんな医者を殺しちゃったんですから、医者がいないんですから。その中で片方でボランティア団体、これもJICAがメンテナンスをやっておられるようですけれども、純粋のボランティアではないかもしれませんけれども。  いずれにしても、行こうと言っているんだが、どうも余り歓迎されない、あるいは紛争地域だからおまえたちの分担地域じゃないんだ、こういうことで仕分けをしておられますけれども、その理由をもう少し突っ込んで聞きたいのです。
  59. 川上隆朗

    ○川上政府委員 お答え申し上げます。  若干繰り返しになって恐縮でございますが、我々、先ほどの二法案を国会で御審議いただいている過程におきまして、政府の中の政策として仕分けをいたしまして、紛争に起因するものはPKO法、それから、そうでない、起因しない従来型の、主として自然災害を中心とした災害は緊急援助隊法という仕分けをさせていただきましたものですから、カンボジアの今回の事態につきましては、やはり何といっても内戦に起因する、紛争に起因する事態でございますので、むしろPKO法のコンテキストで考えるべき事態なのではないかというふうな考えを持って対処している次第でございます。
  60. 水野清

    ○水野委員 そこは僕は何遍聞いてもわからないからこんな決算委員会の場所を通じて御質問申し上げるんだけれども、それでは、緊急援助隊用の人たち、いわゆるボランティアの医療緊急援助のJMTDRの方は、では法的には今のカンボジアのようなところには行ってはいけないのか、むしろ禁止的な条件がきちっとどこかにあるのかということをもう一遍聞きたいのです。
  61. 柿澤弘治

    柿澤政府委員 この問題はPKO法と緊急援助隊法の両方に関連することでございますので、私からお答えをさせていただきたいと存じます。  今までも国際緊急援助隊は、我が国の人的な国際貢献において重要な役割を果たしてまいりました。今水野先生御指摘の国際救急医療チーム、JMTDRの医師等多くの民間の方々を含む国際緊急援助隊として派遣された方々が国際緊急援助活動を遂行するに当たって努力を払われてきた結果であると認識しておりまして、政府としてもこれを大変高く評価をしているところでございます。今後もJMTDRを含む従来型の国際緊急援助隊による活動が適当な場所においては引き続きこれらの方々に協力をお願いをしてまいりたい、こう考えております。  ただ、昨年六月、国際緊急援助隊法の改正によりまして、自衛隊の部隊が国際緊急援助活動を行うことが可能となりました。この意味では、国際緊急援助活動の一層の充実が図られたものと考えております。しかし、この国際緊急援助隊法によります活動につきましては、自衛隊の部隊が派遣されるのは、被災国政府等の要請の内容や災害の規模、態様、関係行政機関等の対応能力等を勘案して、ある意味では大規模な、そして危険度の高い災害について外務大臣が必要と認める場合に出させていただくということで考えておりまして、それ以外の場合には従来どおり、自衛隊以外の国際緊急援助隊、つまり警察、消防、民間の医師、看護婦等を個々の災害の状況に応じて積極的に派遣していきたいという方針には何ら変わりがありません。  カンボジアの状態についてでございますが、カンボジアは、御承知のとおり長年にわたって続いた内戦の結果として悲惨な状態になっているわけでございます。我が国としては、パリ和平合意に基づきまして、停戦の合意そして自由選挙の実施等のために、PKO要員を現在派遣をいたしているわけでございます。  水野先生御指摘のように、カンボジアでも医師の不足等で医療活動が大変低水準にあるということは私どもも十分に承知をいたしておりますが、現在起こっておりますように、国連ボランティアの方が殺害される等危険な状態でございまして、その原因は国際緊急援助隊法が想定しているいわゆる重大な自然災害というものに基づくものではないわけでございますので、国際緊急援助隊法に基づいてのJMTDR等の派遣は、これは当面差し控えるのが適当ではないかというふうに考えているわけでございます。  医療水準の低い国というのは途上国の中でたくさんございますが、あくまで国際緊急援助隊法は、重大なる災害、いわゆる自然災害の発生に基づく緊急事態対応するために要員を派遣するわけでございまして、その意味では、カンボジアのような状態は必ずしも国際緊急援助隊法の想定している状態にそのまま当てはまるということではないわけでございまして、私どもは、決してJMTDRの活動を過小評価しているわけでも、またそれに対していろいろな制約を加えようとしているわけでもない、むしろそうした事態が発生しましたときには今後とも大事な要員として派遣をお願いするということでありますので、その点誤解なきよう、よろしくお願いを申し上げます。
  62. 水野清

    ○水野委員 政務次官、僕はあなたと親しいのでこんなこと言っては悪いんですが、ますますおかしいので。いいですか。JMTDRが行っていけないという法律があるんですかと思って。  行政上、紛争地域はなるべく自衛隊が担当しましょう、非紛争地域といいますか、長期の災害とか長期の疫病であるとか、あるいは地震災害とか、そういったものについてはJMTDRにお願いします、そういう仕分けをした、こう言うわけですね。  しかし、今カンボジアで医療が不足しているというのは、あなたもおっしゃったとおりですね。自衛隊は今医療班を出していないんですからね。一般の被災民に対する、レフュジーに対しては全く出していないわけですから。ですから日本は医療については何ら貢献をしていないわけですよ。そうでしょう。だからボランティアの人たちがそれをやりたいと言っているんだが、自衛隊が担当するところだからおまえたち来なくていい、こう 言っているわけですね。  そこが根本的におかしいんですよ。これは私の部屋に何遍も外務省の人が説明に来て、何遍聞いてもわからない。だから、非常に悪意にとれば、自衛隊の医療隊が将来活躍するための余地を残しておきたいものだから、JMTDR、おまえさんたち余り出てくるんじゃない、おまえたちが光り過ぎるとわしらは邪魔だ、こういうことなのかなとさえ私は曲解するんです。いいですか。  それから、危険地域とおっしゃるなら、今のJMTDRが行っているあのソマリア、これもたしか何人か医者が行っているはずですよ。行っているはずです。それからモザンビークは行っているでしょう、たしか。クルドは行っていましたよね。クルドはあのときは安全な地域じゃなかったでしょう。イラクの北部のクルドなんて今のカンボジアよりもっと危険地域ですよ。そういうところにはやることはやっておったわけです。  当時は緊急援助隊法が改正されておりませんでしたから、そうじゃないんですと必ず言うと思いますけれども、どうも私そこのところに、なるべくちょっとおまえたち遠慮していなさい、今自衛隊の医療班が実績稼ぐからと。それはいけませんぞ。  せっかく、今あれだけ医療が不足して困っていて向こうも欲しいと言っているし、現にJMTDRの人たちは調査班まで出して、どのくらい医療が困っているかということを自分たちで調べます、調べた上で改めて政府に派遣方をお願いしようと思っていますとさえ言っているわけですから、もう少し開放的にやっていただいていいんじゃないか。せっかく五百人にわたって医者と看護婦とその他いろいろな要員の登録ができて、日本としてはこれは珍しいボランティアなんですよ。日本が今、金は出すけれども顔は出さない、人が来ないと言われている、それはPKOの問題もありますけれども、一般のボランティアの人たちが来ないんです。  私は実はこの間、さっき質問したマケドニアヘ行ってきたんですよ。ユーゴスラビアヘ行ってきたんですよ。そうしたら、日本の人は二人か三人、よくまあこんなところへ来ているなと思う。ボスニア・ヘルツェゴビナあたりまで入っているわけですね。そういうふうな人たちは勝手に行っているんだというふうにするんじゃなくて、もう少し私はボランティアの人たちを育てていってやらなければいかぬと思うんです。  ところが、どうもお育てになるお気持ちが最近薄れてきた。なるべくPKO自衛隊を基幹にしてこれからやろうと思っているのかなと、そういうどうも誤解をせざるを得ないようなことが大変多いものですから、御答弁は要りませんよ、ともかく私の部屋に何遍か事務当局が説明に来たんだが、私はわからぬ、君らの言っていることはさっぱりわからぬとかんしゃくを起こして、ここで質問をさせていただきました。  以上であります。
  63. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次に、北川石松君。
  64. 北川石松

    ○北川(石)委員 委員長、時間がおくれたけれども御了承願っておきたいと思います。  冒頭に私は、ボランティアで活躍されながらお亡くなりになった中田厚仁さんの霊に謹んで御冥福を祈りながら、このようなことが二度とあってはならないという見地に立って、外務省は政務次官防衛庁大臣がお越しですが、どうお考えですか。これは質問には入っておりませんが、御答弁願います。
  65. 柿澤弘治

    柿澤政府委員 今回の中田厚仁君の殺害事件は、大変遺憾なことでございます。こうしたことのないように、今後ともカンボジア関係各派に対して自制を呼びかけると同時に、安全保護の充実をUNTACに求めながら、カンボジア和平の達成のために日本としてできることを引き続きやってまいりたいと考えております。
  66. 中山利生

    中山国務大臣 今回の中田君の事件につきましては大変残念な出来事であると思いますが、言うまでもなくカンボジアの問題は、二十数年続きました国内の混乱、流血、そういうものから五月に行われる選挙を通じて新しい平和な国をつくろうということで、世界の各国が協力をしているというのが実情であろうと思います。その中で、中田君のような青年がボランティアとして志願をして、自衛隊派遣をされている地域よりももっと困難な条件の中で頑張っておられた。本当に心から敬意を表する次第でございますし、そういう意味で我が自衛隊とは同志の仲間でもあるわけであります。そういう方がお亡くなりになったということは大変残念でございますが、何とかして彼の遺志が貫かれて平和なカンボジア国家ができ上がりますように、私どももこれからも努力をしていかなくてはならないというふうに考えております。
  67. 北川石松

    ○北川(石)委員 時間が短いので、簡単にお答え願いたい。  大臣がお越しになりましたので、中田さんのこのとうとい遺志と、そしてお亡くなりになって、身をささげられたことに対して、私は、外務省は位階勲等を出すほどの国家褒賞をすべきであると思っておりますが、いかがですか。
  68. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 まだ位階勲等まで私の頭の中には正直なかったのでございますが、とりあえず私としての感謝状、そして総理の感謝状、これはぜひ出させていただきたい、こう考えております。
  69. 北川石松

    ○北川(石)委員 若人たちのとうといボランティア活動というものに対して国家褒賞を与える形をこの際つくっていただきたい、このことを私は申し上げておきます。  次に移ります。  七月ですか、このたび行われるサミット、これに対して外務省は、北方四島について宮澤首相にどのような形で臨むのか、お聞きいたしたい。
  70. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今度はいわゆる東京サミットでして、東京で行われるために日本が議長国となりますので、東京サミットの正式議題にこの北方四島の領土返還の問題を取り上げるというのは大変至難だと私は正直思っております。  しかし、総理が例えば、エリツィンさんもお越しをいただくようでございますから、両国の間においては、日本とロシアとの間においては、当然北方領土の問題は、話し合いの中で、今までの日本の主張というものをよく相手により理解をしていただくようにお話しをいただくということは、私からお願いをしたいと思っております。
  71. 北川石松

    ○北川(石)委員 ミュンヘン・サミットで、法と正義の原則においてというあのときのなにがあります。日本の外交というものは一貫しておらなくてはならない。しかも北方四島というものは、ポツダム宣言を受諾した後にソ連が占領した。あの北方四島というのは、江戸時代の近藤さんでしたか、あそこに日本の日の丸を立てられた古来のものであるということも原則なんです。そして、ミュンヘンであれだけ宮澤総理が活躍しながら、このまま放置してはならぬ。  ロシアというのは、率直に言ってずるい。石頭であり、ずるい。これに日本がもしこびる外交を打ったならば、日本国民、日本全体の政治というものはゆがまざるを得ない。ゆがんでしまう。このことを思うときに、私は、前渡辺大臣が病気でおられないので——もう柿澤次官帰ってしまったな。おったら質問しようと思ったんだが。外交部会でも、ミュンヘンに行くときに北方四島が何らうたっていなかった、このようなことでは困る、そういうことも申し上げたい。  それから、これに関連して、援助をするというが、ODAの援助は一兆円以上になってきたけれども、国民の血税なんです。これは外務大臣もよく、私がたびたび言うことであって、国民の血税というものを使うためには、すべてに対してきちっとしたところのけじめをつけて国民の血税を使わなくては、国民はやはり理解をしにくいと私は思いますから。  この二つについて簡単に御答弁願っておきたい。
  72. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 御指摘のミュンヘンの宣言にあのような形で入れられたことは、日本として大変よかったと私は思っておりますし、それが今度東 京サミットの宣言の中に入らなくても、あの宣言の文言がなくなったわけではないわけであります。一年一年その都度サミットの宣言はそこで切れるというものではないわけでありまして、これは継続をいたしておるわけでございます。そういう面からいって、先ほど申し上げたように、たとえ東京サミットの共同宣言の中に入らなくても、二国間の問題としては総理に取り上げていただこうということを申し上げたわけです。そこで今御指摘のとおりの、我々も同じ気持ちでいるわけでございまして、北方領土は固有の領土でございますから、こういうものが一日も早く返還されるように、二国間で粘り強く話をしていくことは当然必要だと私は思っております。  それからODAの問題でございますけれども、これは私も、今日までの日本のODAのあり方、いろいろと問題がなかったとは思いません。今御指摘のとおり、せっかくの国民の税金を使って世界の人たちにより援助を差し上げているわけでございますから、やはり世界のそれぞれ援助をお受けになった国の国民の皆さんが、日本の国はよくやってくれた、自分たちの国の繁栄のために、自分たち国民の幸せのために本当によくやってくれたと思われるような援助をしていかなければならないと私は思っておるわけでございます。ただ要請主義だからといって相手の要請のままに応じてしまって、それが案外、その政権のための援助であって、国民のための援助でなかったということも過去においてはなきにしもあらずであった、この点は十分今後は気をつけまして、本当にその相手の国民が喜んでいただけるような援助をしていきたいと思っております。
  73. 北川石松

    ○北川(石)委員 北方四島をサミットの議題の一つにしておくことをこいねがいまして、終わります。
  74. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次に、松浦利尚君。
  75. 松浦利尚

    松浦(利)委員 午前中志賀先生、そして今北川先生からも、カンボジアで亡くなられた中田さんについての御質疑がなされました。私も、若い命をカンボジアの地に散らされた中田さんの御冥福を心からお祈りするとともに、御遺族の皆さんに心から哀悼の意を表したいと思います。  先ほど、冒頭志賀委員の質問に対して外務大臣は、本件は調査中である、こういう簡単な回答がなされたのでありますが、御承知のように中田さんは、実はUNと書いた白いUNTACの自動車に二人で乗って僻地に出かけておったことは事実なんです。それに向かって銃口が向けられておるわけで、テレビ放映を見ますと、既に弾痕が無数に国連の車、UNTACの車に入っておるわけですね。このことは、明らかに国連に対して敵意を持った者が銃撃を加えたということは、これは外務大臣、容易に想像できるんじゃないですか。どうですか。
  76. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 だれがそれを撃ったかということに対してはまだわからないわけでございまして、すべての事実関係を私はきちんと掌握をしたいということを申し上げたわけであります。
  77. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、国連のUNTAC自体が何者がから攻撃を受けたということは確認できるでしょう。どうですか。
  78. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 全体をまとめて報告を受けたいと思っておりますので、私としてまだ全体のまとめた報告は受けておりません。
  79. 松浦利尚

    松浦(利)委員 外務大臣、余り格式張った議論をしておると、また事故が起こるかもしれないんですよ。事故というのは、こういうやりとりをしておるときにも起こる可能性というのは多分にあるんです。ですから、さっきも位階賞勲の問題が出ましたけれども、それ以上に大切なことは、こうした事故を起こさないために早急に原因を明らかにすることでしょう。既にカンボジアの大使館から現地に調査に行っていますね。なぜ、そういうことに的確に反応できるシステムになっておらないんですか。今、事故起こったらどうしますか。  そういう点が、何か歯に衣を着せて、日本の外交というものが、日本の平和のあり方について外国から映らない。これは日本国民も歯がゆく思うのです。白いUNと書いたUNTACの自動車に弾痕があいておるということは、明らかに銃口が向けられておるということじゃないですか。そのことも言えないのですか。もう一遍お尋ねします。
  80. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 調査をしているのがたまたま国連が調査をしているわけでありまして、その調査の正確な結果を見てみたいということを私は申し上げておるわけであります。  ただ問題は、私どもは当然、そういうとうとい人命、しかもあのような崇高な任務についておられた方がお亡くなりになったということでございますから、これに対しては二度とそういうことが起きないように、UNTACに対しても、例えば、そういういわゆる選事業務に従事をしておられる方々の警備をもっと厳重にしてもらいたいとか、あるいは、集団的行動をしていただくようにひとつ指導していただきたいとか、そういうようなことはもうUNTACに厳重に申し入れをしておるわけであります。
  81. 松浦利尚

    松浦(利)委員 プノンペンの週刊紙ですか、プノンペン・ポストという週刊紙にポル・ポト派のサムファン議長が投書をしておりまして、私が西欧と言うのには日本を含んでいるんだ、こういうことを論文として出しておられる。  ポル・ポト派日本の、UNTAC要員についても攻撃の対象にしておるということについては、把握しておられますか。
  82. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 日本のUNTACに派遣されている要員に対してポル・ポトがねらい撃ちをしているという点につきましては、特に今までのところ確たる証拠は私どもは集めておりません。ただ、情勢が非常に懸念する情勢になりつつあるということは事実だと思います。
  83. 松浦利尚

    松浦(利)委員 外務省は、サムファン議長がプノンペン・ポスト紙、週刊紙ですね、これに、私が西欧と言うときには日本を含んでいるんですよということを言ったことが書いてあるはずですよ。それも調べておられないのですか。すぐ調べてみてください。後刻そのことについて報告してください。そういうことが書いてあったかどうか、確認をしてください。どうですか。
  84. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 即刻調査して御報告いたします。
  85. 松浦利尚

    松浦(利)委員 外務大臣、この週刊紙を見ますと、UNTACにおける日本の要員もポル・ポト派攻撃の対象になっている。中田さんが亡くなったというのはその一環だったかもしれない。ですから、この問題は、ただ言葉のやりとりだけで済まされないのです。もっと調査機能を発揮してちゃんとしてもらわないと。  しかも、四月十日の日にカンボジア国民最高評議会でシアヌーク殿下が非暴力宣言をしようとしたら、ポル・ポト派は反対しておるでしょう。サムファン議長はその宣言については同意しておりませんね。拒否しておりますでしょう。そのことは知っておられますか。どうですか。
  86. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 その点については承知いたしております。
  87. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そのことについては承知しておられるということですから、ポル・ポト派はシアヌーク殿下の言うことの指揮下にも入っておらない。そしてまた、選挙は現実にもう行われようとしている。明石代表が激しくポル・ポト派攻撃した。しかも、四月十日の国民最高評議会の中で明石代表がポル・ポト派攻撃をした。私は、ポル・ポト派というのはけしからぬと思いますね。しかし、けしからぬ、けしからぬでは現実的な問題は一つも解決をしない。逆に言うと、そのことが逆にポル・ポト派を刺激しておることも事実だと思うんですね。  今度の選挙はUNTACの軍事基地において投票される、こういうことが今決められようとしているでしょう。今度の投票は普通の投票ではない。UNTACの要員のおる基地において投票を行わせるという方向をとろうとしておるでしょう。そのことについては外務省は、把握しておら れますか。
  88. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 UNTACの駐屯地の例えは構内で投票するという点については、把握いたしておりません。ただ、設けられた投票所をUNTACが警備するという意向である点については、把握いたしております。
  89. 松浦利尚

    松浦(利)委員 UNTAC要員がわずか一万五千名でしょう。それから警察官を入れたとしても五千人くらい図それだけの要員じゃ、あの広大なカンボジアにおける投票を安全に行うことはできない。ですから結果的に、軍事基地に来て投票してもらう、そしてその投票所に行く途中はプノンペン政権が監視をする、そういう方向でだんだん進むんじゃないですか。そうじゃないんですか。
  90. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 カンボジアの治安につきましては、パリ協定によりますれば、既に存在している行政機構がそれぞれUNTACの管理のもとで責任を負うということでございますので、一義的には、それぞれの行政機構が支配している地域に関しましてはUNTACの管理のもとで投票所の安全を図るということでございます。ただ、重点的にUNTACが直接投票所を警備するということは、あり得ることだと思います。
  91. 松浦利尚

    松浦(利)委員 局長、私が聞いておるのはそうじゃない。投票する場所をUNTACの要員基地で行うようにするという方向になっている、危ないから、危険だから。投票用紙どうのこうのじゃない。そこで投票してもらう、そういう方向になろうとしているというんですよ。  ですから、もっと言葉をかえて言えば、投票するカンボジア国民の安全を保つためにUNTAC要員の基地において投票させるという行為が仮に今度の選挙のときに行われたとすれば、パリの和平協定の中立的政治環境下での選挙ということになるのかならぬのか。  例えば、先ほど言いましたように四月十日の国民最高評議会におけるポル・ポト派議長の動向を見ても、宣言についても拒否をする、選挙についても反対をする、そういう状況下で、結局、現在のプノンペン政権が一番力が強いわけですから、この派が管理監督をするその場所に行って投票するということは、明らかにパリ協定でいく中立的環境下というものに該当しない状況ということになると思うんですが、どうですか。仮定の問題でも結構です。あなたはそういうことはないないと言うから、もしそうなったときは。
  92. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 UNTACの基地の中で投票するという件につきましては、UNTACが今検討している種々の可能性の一つとしてあるいはそういうことはあるかもしれませんけれども、現在のところ、投票所をUNTACの基地内に移すという動きはございません。  次に、投票所の安全を含めた治安につきましては、UNTACの管理のもとにそれぞれの行政機構がその責任を全うするということでございまして、UNTACは、プノンペン政権のみならずその他の派、これはポル・ポト派を除きますけれども、その他の派にも投票所の安全につきましては協力を求めております。これはパリ協定に従った措置だというぐあいに理解しております。
  93. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ポル・ポト派が完全に拒否して、しかも銃口が、現実に中田さんというとうとい犠牲者も出てきて、先ほど言いましたように週刊紙にも、西欧という中には日本も含めるんだ、攻撃対象をはっきり日本ということまでサムファン議長は論文を出しておいて、そしてこれがパリ協定で言う中立的環境下においての選挙というふうに言えますか。じゃ、その結果に対して、プノンペン政権がその選挙結果に合意しなかったときはどうなりますか。それはUNTACの責任ですか。どうですか。これはもう外務大臣に聞いた方がいいんじゃないですか。どうですか。
  94. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 選挙が公正かつ中立の環境の中で行われたかどうかにつきまして判断をいたしますのはUNTACでございます。UNTACがそういう判断を下せばその選挙の結果は公正中立ということになるかと思います。
  95. 松浦利尚

    松浦(利)委員 UNTAcが、UNTACが、こういうふうに明石代表にすべての責任を持っていきますけれども、最終的には国連でしょうけれども、しかし日本自体も——ボランティアだから、午前中外務大臣は、国連の募集に応じたボランティアだから、こういうふうに中田さんのことを言われましたけれども、しかし今現実に日本の青年が犠牲になっておるんです。予算委員会で渡辺外務大臣に質問したら、人が死んでも、一人二人亡くなっても撤退するようなことはしない、こういう御発言を渡辺外務大臣からお聞きはしておりましたけれども、そういうことが今現実になってきたんですね。しかも、選挙というものを目の前にしてますますポル・ポト派攻撃は強まろうとしている。こういう状況の中で自衛隊が、現実には後方だけれども施設大隊が道路の補修あるいは橋梁の補修に努力しておられる。しかも今度は、選挙監視要員として五十名の皆さん日本政府派遣をしなければならない。  UNTACが、UNTACが、こういうふうに言われるけれども日本政府としてこうした問題を判断する必要は全くないんですか。もう全然日本政府は、どうであろうと、要するにUNTACが言うからもうそれでいいんだ、オーケーだという判断のもとに全部これから対応するんですか。日本の外交というのはもっと主体性があっていいんじゃないでしょうか。日本自身が状況判断をして日本政府の意見をUNTACに述べる、そういう点についてどうですか。明快に答えてください。
  96. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 UNTAC及び主要関係国との間では絶えず非公式な協議を行っております。そういった場で私どもの見解も述べることはあるかと思いますけれども、最終的にはこれはUNTACの判断によるということでございます。
  97. 松浦利尚

    松浦(利)委員 外務大臣、もう官僚の答弁は、あの方たちは範囲が決まっておるんだからあれぐらいの答弁しかできないんですよ、幾らやってみても。やはりこういうことは政治判断だと思いますね。外務大臣として現在の状況について、カンボジア状況をどう判断しておられるのか。もう全く安心の状態だ、官僚が答弁したようなことだ、あなた自身もそう判断しておられますか。せっかく外務大臣の後を受けて新しい武藤外交を展開しようとするしょっぱなですから、お聞かせください。
  98. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 カンボジアの情勢については、中田さんが不幸にしてお亡くなりになった事件を契機に、私は正確に判断をしたいということで今いろいろの情勢報告を待っておるわけでございますが、いずれにいたしましても、長い間の内戦で疲れたカンボジアの国民の皆さんは平和を愛好しておられると思うのです。その平和が実現するために民主的で公正な選挙が行われるように努力をしておる、その今の状況、方向というものは私はやはり尊重していかなければならないと思っております。私もよく承知をしておりませんが、中立を損なわれるような選挙は私としては行われないと信じておるわけであります。  そういう中にあって、たまたまこういう不幸な事件が起きた、一体これから日本はどうするのか、こういうことでございますが、やはり日本としても国連に協力をし、そして同じアジアの国であるカンボジアが一日も早く平和な民主的な国家になっていただきたいということを願うのは当然でありまして、そのための努力をしていかなければならない。ただ、我々PKO協力法の五原則がございますので、どうしてもその範囲内で協力をしていくということになろうと思います。  それから、今後の派遣の問題でございますけれども選挙監視員の派遣の問題は、やはりUNTACから国連報告が行き、そして国連検討し、それからまたそれがUNTACに、じゃこういうことでというときになったときに日本にその要請が国連からあるのだろう、そうすれば日本はUNTACともいろいろ協議の上で派遣についての決定をして協力をするかしないか、そこで問題が出てくるわけでございまして、私としては、そのときも、今のような判断からすれば、やはりで きるだけ選挙監視に行かれる方は何とかひとつ国連から要請があったときにはぜひ御協力を願いたいと思っております。
  99. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは外務大臣、今調査の結果を待っておられると思うんですが、全体的にカンボジアの情勢というのを、ただUNTACなりの情報じゃなくて、あらゆる情報を的確に把握されて、現在のカンボジア状況が果たしてPKO派遣の五原則に該当しておるのか、あるいはパリにおける中立的環境下の選挙なのかどうか、そういう点について精査をしていただきたい。その点についてはどうですか。そしてまた、御報告いただきたい、こう思います。
  100. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今、現時点では五原則に私は決して反していない状況だと期待をいたしておるわけでございます。  今後の問題については、いろいろの状況を判断をしてまいりますけれども、今後ともこの五原則に反しない形でカンボジア情勢が推移することを心から期待をいたしておるわけであります。
  101. 松浦利尚

    松浦(利)委員 現実と期待は違うので、言われる気持ちは、私たちもそう期待をしたいのです。しかし、現実がそういう方向に、期待する方向でない状況の展開が進んでおるから、ですからそういう点について的確な把握を実はお願いをしたい、こう申し上げておるんです。おわかりいただいたでしょうか。
  102. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 そのためにUNTACにお願いをして、できるだけ正確な情報分析、情報を提供してもらえるようにお願いをしておるわけであります。
  103. 松浦利尚

    松浦(利)委員 だから、カンボジアの大使館からもぜひ情報をとっていただきたいというふうに思いますが、どうですか。
  104. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今川大使からも連絡は来ておりますけれども、正確な情報というのは、今いろいろのことをUNTACの指導監督のもとに進められているわけでございますから、やはりUNTACの的確な情勢分析が非常に参考になる、私はこういうふうに見ておるわけであります。
  105. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、外交に感情が入ったらだめだと思うんですけれども、しかしいずれにしても、明石代表の国民評議会におけるポル・ポト派非難の発言、それを受けてのポル・ポト派のサムファン議長の発言、これは非常に両者とも過激ですから、だからそういった意味では、UNTACの情報だけではなくて、我が国の駐在大使館からの情報も的確に把握をしていただきたい、そして判断をしていただきたい、そのことを強く要望申し上げておきたいと存じます。  それから、これは、きょうこういうことを言うことが適切かどうか質問の判断に迷ったんですけれども、実は外務大臣が就任なさったときに、外務大臣は昔から米の開放論者でしたから、外務大臣に御就任になったときにたまたま米の問題にちょっと触れられて、金曜日の本会議で御訂正になりましたね。それはそれで結構なんです。ところが、小和田事務次官、きょう納采の儀がありまして心から慶賀申し上げますけれども、四月十日福岡で講演をなさいまして、対米外交等のことを中心にして日本の黒字減らし等の話があったんだと思いますが、その中で実はこういう発言をしておられるんですね。  七月のサミットに向かって協議のための具体的な行動が必要なんだ。そして、各国が犠牲を払うシステムを強化し合う、要するに、各国が犠牲を払うということも考慮に入れてやらなければいかぬ、こういう意味なんですが、だからといって特定のところにしわ寄せされないように、国民レベルで全体でその犠牲を平均化されるようにしていくべきだ。米が典型的なその例だ。何か米の一定の補償なりなんなりができれば米の開放をやってもいいんじゃないかというような意味のことを、四月十日福岡で発言をしておられるんです。  外務大臣が発言をなさって、本会議で修正なさって、その直後、今度は事務次官が福岡で米の開放発言される、これはもう確信犯じゃないですか。外務大臣は今度アメリカに、日米首脳会談には恐らく行かれないと思うんですけれども、総理の腹の中にはもうそういうふうな、米という問題については一定の開放路線というものが腹の中にあって、外務大臣を含め、事務次官も含めて、外務省は一定の米開放という方向に地ならしを始めておるというふうに理解していいですか。事務次官もそういうふうに発言をしておられるわけですから。どうでしょう。
  106. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私の発言も、新聞報道が私の言ったとおりを必ずしも書いていただいてなかったと私は見ておるわけでありまして、必ずしも本会議で私は訂正をしたというわけではございませんので、誤解のないようにきちんと申し上げたつもりでございます。  同じことで、事務次官の発言についても、新聞報道でございましょうから、私は本人からまだどういう考え方で発言したのかを承知をいたしておりませんので何とも申し上げられませんけれども、私どもは、少なくとも米については、日本人の心であり、やはり日本文化の源泉であるという観点に立って、国会の決議の趣旨等を体して今後とも対処していくという方針に変わりはございません。
  107. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私たちが心配をするのは、決して総理を、腹の中ですから、いろいろせんさくして言うつもりはありませんけれども、何か七月のサミットを焦点にしてそういう話をなさるものですから、アメリカとの間に一定の米に対しての腹案というものを持っておられて、恐らくアメリカからは門戸開放要求の最たるものとして米の自由化というのは求められるでしょう、ですから、そういった腹づもりができておるんではないかということが非常に気になるものですから。  外務大臣はわかりましたけれども、その外務大臣の発言がそのまま総理の発言だ、二元外交ではいけませんので、そういうことだ、こういうふうに理解をしてよろしいですね。
  108. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私も三年前、たまたま通産大臣のときにこの問題で当時、ヒルズUSTR代表、またヤイター農務長官、あるいはベーカー国務長官等といろいろ率直な話をいたしましたけれども、アメリカ側も正直いろいろと意見が、弾力的な意見をおっしゃる方と非常に厳しい意見を言う人とあるわけですね。  私は、そういう面からいって日本は、私が米について先ほど来申し上げているとおりでありまして、今後ともそういう方向でアメリカに対して強く働きかけていくことが必要であると思いますし、また、これはやはりマルチで、ウルグアイ・ラウンドというのはマルチでやるべきことでございますから、日米間でどうこう決めるべき問題ではないと思うのでございます。その辺も、ジュネーブなりその他でずっと作業は続けておる、議論も続けておるわけでございますから、先ほど申し上げた趣旨で、総理を含めて私どもは、日本政府としてそういう方向で今後とも努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  109. 松浦利尚

    松浦(利)委員 非常に心配なんですが、二国間協議の中に入り込んでいきますと、向こうの、アメリカの主張に引きずられていきかねませんので、ぜひお願いをしたいと思うんです。  今度の日米首脳会談で、大臣は非常に通産経験り深い大臣ですから、九一年の例の半導体交渉のときに二〇%の問題が大変国会でも議論になりました。あれは国際公約ではないと我が方は理解をしておったんですけれども、現実的にアメリカ側はあれは国際公約だと。その二〇%が一定の基準になりまして、常に日米間で半導体交渉になると、その二〇%が守られていないのではないかという攻撃対象になるんですね。  今度のアメリカのクリントン大統領は、構造協議のように漠然として全体的な枠組みの中ではなくて、単品について、特定なものについて、結果を重視する、この点ほどうなんだ、この点ほどうなんだ、こういうふうにしてくると思うんですね。  そうしできますと、これは大臣が御承知でしょうけれども、九三年度外国貿易障壁報告、これは 通産からもらったんですけれども、この中に、御承知のように三十九項目、いろいろなのがあるんですね。コンピューターがどうだこうだと書いてあります。これからの日米外交というのは、一千億ドルという我が国のとてつもない黒字に向かって、そのことに対して一つ一つのものを具体的に結果について要求をしてくるという対応のとり方をしてくるのではないかと思うんです。  そうすると、今度の首脳会談でそういった結果重視の方向づけが仮に出てくると、そのことについて一定の発表にはならぬでしょうけれども我が国が腹構えをして戻ってくるというようなことになりますと、これは大変我が国の貿易に影響を与えてくると私は思うんですね。現に、この二〇%で半導体はアメリカにシェアを席巻され始めていますからね。  ですから、そういった意味について、大臣のお気持ちをお聞かせいただきたいと思うんです。
  110. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 二〇%のセミコンダクターの数字につきましては、いろいろとアメリカ側と日本側のとり方が違っていたのは今先生の御指摘のとおりでございます。日本側はあくまで民間の約束であって決して政府間のものではないということを言ってまいりましたけれども、向こう側はそうではないという姿勢をとっていたことは私もよく承知をいたしております。  いずれにしても、私は自由貿易体制をお互いに堅持しながら、しかしその中でなるべく協調すべきところは協調していこうという中で、そういう固定的な数字を挙げて政府間の協定であるかのようなものを、正式の政府間協定ではございませんけれども、あたかも政府間の協定であるかのようなものが横行することは今後は絶対に避けるべきだ、私はこう考えております。  幾ら結果重視とはいいながら、まさか管理貿易体制をしこうとクリントン政権が思っておられるとは私は考えておりませんので、今後とも両国のためにも、また世界の経済のより拡大のためにも、自由貿易体制をお互いに堅持をしていくということでアメリカとの間で話し合いをしていくというのが私は日本の姿だ、考え方だと思っております。
  111. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これは大変失礼なお尋ねになるのですが、総理が十六日に米大統領とトップ会談をなさる前に、外務大臣、通産大臣等々の御協議があるのでございましょうか。現実に、外務大臣はG7等であさって、しあさってと大変お忙しいと思います。ですから、そういう総理との腹合わせというのは既にもうでき上がっておるのでございましょうか。その点を聞かしてください。
  112. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 まだ正式にそういう腹構えをお互いに話し合ったことはございませんし、今後もそういう正式の会議というものは多分ないだろうと私は思っております。場合によれば電話で幾らでも話ができるわけでございますし、必要に応じて私がこういうことだけはぜひというようなことも総理に申し上げようと思えば申し上げられるわけでございまして、そういう三者協議、総理を中心として外務大臣の私と通産大臣と三人で協議をするという場は多分ないと私は思っております。
  113. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、宮澤総理は決して進路を間違う方ではないと思いますけれども、やはり通産行政に非常に詳しい大臣ですから、結果オーライという形を向こうは求めるわけですから、ぜひそうならないようにお願いしておきたいと思います。  それから、東京で開かれるG7の問題ですが、御承知のように、エリツィンさんが訪日を突然延期されまして、延期というよりも中止されまして、かつて外交上例のないことだと思うんですが、しかもその後、何か日本がけしからぬから行かぬのだ、こういうような発言をなさいました。私は、率直に言って、ヨーロッパは別にしても、日本ではエリツィンさんという人に対しては非常に批判的な国民が多いと思います。私も批判的な一人なんです。  ところが、今度のG7を目前にいたしまして、アメリカ大統領が、カナダにおきましてエリツィンさんと会談をされた。そのときに、北方四島について日本の立場を理解をした上で発言をなさったというんですが、エリツィンさんは全く反応を示さなかった。そのことについてコメントもしなかった。ただ単に米大統領が言っただけという程度のものだったんですけれども、これは一体どういう意思があって出されたのか、外務省の方ではどういう把握をしておられるのか、お聞かせいただきたい。これが一つです。  それから二番目の問題は、G7を目前にいたしましてアメリカが二国間十六億ドルの対日支援額を発表なさいました。一体この目的は何だったのか。そういう点について率直な御意見を賜りたいと思います。
  114. 野村一成

    ○野村(一)政府委員 お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、北方領土問題につきましては、アメリカ合衆国は基本的に我が国の立場を従来より一貫して支持しております。今回、クリントン大統領がエリツィン大統領に対しまして、首脳会談において北方領土問題に言及いたしまして我が国の立場に対する支持をきちんと確認された、そういうふうに承知いたしております。これは、先ほど申しました従来のアメリカ政府の我が国政府に対します北方領土問題についての基本的な立場にのっとってとられた措置である、そういうふうに理解しておる次第でございます。  十六億ドルの対ロ支援をあわせて米ロ首脳会談でクリントン米大統領が発表いたしたわけでございますが、それは先生御案内のとおり、約七億ドルの無償支援あるいは食糧輸出用促進クレジット等有償部分が九億ドルといった内訳から成るわけでございまして、このパッケージのねらいということでございますけれども、現在、改革路線を進めているエリツィン大統領にとりまして苦しい状況にある中で、エリツィン大統領が進めておりますロシアの民主化あるいは市場経済化のための改革努力をさらに強く支援するということで、それをこの米ロの間の首脳会談という機会をとらえてエリツィン大統領に対して直接それを発表したものであると理解しております。
  115. 松浦利尚

    松浦(利)委員 日本がサミット議長国ですから、日本を除くG6はほとんど全部赤字ですね、日本だけが貿易収支が黒字。ですから、日本を対日支援の中心に据えようというねらいがあって、そういった世論づくりをされたという背景があるのではないかという気が私はするんですが、そういう気持ちがするんですが、そういうことは考えられませんか。もっともっと日本に積極的に金を出させる手段として先導役を買って出た。北方領土も言いましたよ、十六億ドルも出しましたよ、さあ今度は日本、あなたの番です、こういうことじゃないんですか。どうですか。
  116. 野村一成

    ○野村(一)政府委員 お答え申し上げます。  必ずしも私は、先生御指摘のあったように、日本に対して云々という、直接そういう関係にはないのであろうと思います。ただこれはあくまで二国間の支援でございまして、アメリカがアメリカの立場で必要と考える支援策を発表したということでございます。私どもとしましては、御案内のとおり、近くG7の閣僚合同会議が開かれるわけでございますけれども、こういったクリントン大統領の今回の発表もそういう閣僚合同会議の一環と申しますか、そういうものとして高く評価しておるわけでございます。  我が国は、御案内のとおり、ことしのG7につきましては議長国の立場でございます。その議長国の立場でG7の間を調整する責任を持っておるわけでございまして、必要なそのための責任を、一層の努力を図っていくという所存でございます。
  117. 松浦利尚

    松浦(利)委員 言葉ではよくわかるんですけれども、それでは具体的な例として、今度は領土問題は宣言の中に入ってくるんですかね。昨年のサミットでは政治宣言の中に領土問題が入ってきたわけですが、今度は経済宣言だけで政治宣言等は入らないのですか。ないのですか。どうですか。
  118. 野村一成

    ○野村(一)政府委員 先ほど大臣の方からも御答弁ございましたけれども、東京サミットにおきま して、私どもは領土問題が正式な議題になるというふうには考えておりません。  それから、ミュンヘン・サミットの宣言との関係におきましても、これも同じく大臣から答弁ございましたけれども、これは前回のミュンヘン・サミットにおきまして、まさに法と正義に基づいて、それが領土問題の解決を通じての日ロ関係の正常化の基礎になるという考え方、これにつきましてはG7諸国の間の理解と確認が得られている、そういう立場でございます。
  119. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そのことをロシアそのものが認められますか。今度のサミットにはエリツィン大統領を招聘なさるそうですけれども、そういうことがロシアの大統領には理解をされておりますか。
  120. 野村一成

    ○野村(一)政府委員 私申し上げましたのは、これはあくまでG7の諸国の間の理解と確認といたしましてミュンヘン・サミットで行われているわけでございます。  ただ、私が申し上げましたのは、今申しましたように、法と正義に基づく外交というのは、これは基本的にエリツィン大統領が公にしている立場でございます。
  121. 松浦利尚

    松浦(利)委員 エリツィン大統領が、そういった問題についてG7ならG7で議論することについて、快く了解をしておられると外務省の方は思っておられるんですか。そのことをクリアできなければ日本から援助をもらうことはできない、もっと端的に言えば、我が国は本格的な援助については、領土問題が解決して均衡ある形で拡大をする以外はだめです、ですから政経不可分、拡大均衡ということはいささかも日本は変更しておらないということは、相手に、ロシア外務省側に、ロシアの大統領に対して、常時そういうことを言い続けておるわけですか。今度来られたときにもそういうことを日本は言い続けますか。
  122. 野村一成

    ○野村(一)政府委員 お答え申し上げます。  領土問題を解決して日ロ関係の完全な正常化を図るということは、これは我が国の日ロ両国間の関係の最重要懸案でございます。そのため、それを実現するため、拡大均衡の原則にのっとって粘り強く対ロ外交を推進していく考えでございまして、この考え方は全く不変でございます。  今ロシア側の理解ということでございますけれども、この領土問題を解決して両国関係を正常化させることの必要性ということについては、ロシア側も同様の認識を持っておるというふうに理解しております。
  123. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、政経不可分あるいは拡大均衡という我が国の対日支援の基本原則が仮に崩れるような場合、それは金額的に二国間援助がどれくらいになるのか、あるいはG7における多国間援助がどうなるのか、その金額、その内容等によっていろいろ変わってはくるでしょうけれども、そういうふうなときには、国民の合意を得るために国会に報告等を行った上で、相手側にそういった確約をするというような原則だけは守っていただかないと、なし崩し的にいつの間にか政経不可分が崩れてしまった、こういうことでは国民の合意というのは絶対に得られない、私はこう思いますので、その約束はできますね。
  124. 野村一成

    ○野村(一)政府委員 対ロ支援と北方領土問題との関係での御質問でございますけれども我が国は、国際協調といたしまして応分の対ロ支援を行ってきているわけでございまして、これは今後も行っていく必要があると考えております。しかし、これも繰り返し国会の場で表明させていただいておるわけでございますけれども、大規模かつ本格的な支援を含めて経済関係を発展させるためには、北方領土問題が解決されて日ロ関係が正常化される必要があると考えております。  要するに、我が国としましては、早く日ロ関係が領土問題の解決によって正常化に向かうことによって、政治も経済もともに拡大していくということを強く望んでいるわけでございまして、これが政経不可分あるいは拡大均衡の原則でございます。この考え方は変わることなく今後とも堅持してまいるつもりでございます。
  125. 松浦利尚

    松浦(利)委員 どうも最近は一千億ドルの黒字というものが外交上の重荷になりまして、対ロ支援等の問題をめぐって、集中的にG7の中で我が国に対してほかの国々が、もう少し対ロ支援の増額を求める空気になっておる。そういう点について、ぜひ原則は原則として踏まえていっていただきたい、そのことを強く申し上げておきたいと存じます。  最後になりますけれども我が国は今日まで二十八億三千万ドル二国間支援等を表明してきておりましたが、実行というのは八千万ドル。二十八億三千万ドル支援を表明してきたけれども、実行実績としては八千万ドル、〇・一%しかできておらなかったということを報道で知るわけですが、こういうことは発表した以上はやるべきことだから、そういったことがどうなっておるのか、そのことがロシアのエリツィン大統領を刺激しておるということも仄聞しますので、お聞かせをいただきたい。それで私の質問を終わります。
  126. 野村一成

    ○野村(一)政府委員 お答え申し上げます。  一時期そういう趣旨の報道がなされたことを私ども承知しております。何分このコミットメントとそれからディスバースの関係と申しますのは、例えば貿易保険なんかにつきましても、基本的に民間の契約の実施状況の把握と関連いたすものでございますので、なかなか実態の把握が、その時点時点で正確にとらえるのは難しいという面がございます。  現在私どもの把握しておるところによりますと、対ロ支援、ロシアという国ではコミットメントが約二十七億ドルでございますが、このうち現在までのところ七ないし八億ドルが実施済みであり、また、近い将来四ないし五億ドルの実施が見込まれているというふうに承知しております。約束したことはきちんとという趣旨でございますけれども、残りの部分についても、ロシア側の受け入れ体制等必要な条件が整い次第着実に実施してまいりたい、そういうふうに考えている次第でございます。
  127. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いずれにしても、最下位では困りますので、実績が上がるようにしていただきたいと思います。  なお、武藤外務大臣、対ロ支援にしても日米外交にしても、今、日本外交の過渡期だと思います。重要な段階だと思いますので、ぜひ頑張っていただくように最後に激励を申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  128. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次に、鈴木喜久子君。
  129. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 二十分という大変短い時間ですので、端的にお答えいただきたいと思います。  私は、防衛庁が六本木の桧町の庁舎から今度は新宿区の市谷の方に移転する問題について、二、三伺いたいと思います。  この移転計画でございますけれども、これは大体昭和六十年ごろ、一九八五年ぐらいですか、そのくらいから計画が始まったというふうに聞いておりますけれども、だれが言い出して、どういう経過で決定したのか。そして、その予備調査というのが行われたと思いますが、予備調査の責任者、またプロジェクトチームの責任者、固有名詞でなくて役職でも結構でございますから、その辺の経過を簡単にお願いいたします。
  130. 三井康有

    ○三井(康有)政府委員 お答えいたします。  防衛中枢の市谷への移転計画は、現在防衛本庁等が所在いたします桧町地区周辺が、商業地化が著しく進みましたために、商業ビルの高層化等による警備、通信面での影響等が増大しまして、防衛中枢が所在する場所としては適切ではなくなってきたことによるものでございます。また、国有財産の有効利用の観点からも、同地区の活用を考えました場合、防衛中枢を置くよりも、その位置、環境等にふさわしい他の用途に利用することが適当であると考えたわけでございます。  防衛庁といたしましては、こういう状況を踏まえまして、今委員指摘のとおり昭和六十年代の初めから検討に入ったわけでございますが、昭和六十一年度と六十二年度の二年間にわたりまし て、調査費もいただきまして、防衛中枢を市谷地区に移転した場合の問題点等について調査いたしました結果、昭和六十二年の八月でございますけれども防衛庁の庁議におきまして、防衛中枢を市谷地区に移転することを中心といたします防衛庁本庁庁舎等移転計画を決定したわけでございます。特にプロジェクトチームとかその責任者とかいったものが特定して定められておったということではございません。
  131. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 そうしますと、結局これは、責任者は、最高でいきましたら防衛庁長官というふうに理解しておいてよろしいわけでございますね。
  132. 三井康有

    ○三井(康有)政府委員 先ほど申し上げましたように、防衛庁といたしましては、最終的には防衛庁の庁議という形式をもちましてこの計画を決定いたしておりますので、仰せのとおりでございます。
  133. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 現在あります桧町の庁舎の中に中央指揮所というのができ上がっているということでございます。これは大変立派なものができまして、予算も約九十億円かけて昭和五十八年に完成して、五十九年からそれが使われ始めたということでございますけれども、この中央指揮所の耐用年数はどのくらいを見込んでおられたのでしょうか。
  134. 三井康有

    ○三井(康有)政府委員 お答えいたします。  中央指揮所の建物につきましては、これは鉄筋コンクリートづくりでございますので、耐用年数は六十五年ということでございます。
  135. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 六十五年というふうに今言われましたけれども、そうすると、六十五年の耐用年数のあるものが二年ぐらい使ったところで、しかも九十億といったらその当時のお金で大変なものだと思うのですけれども、それについて、既にそれを取り壊して次なる新宿の方に移転する計画というのは、余りにも計画性がなさ過ぎるというか、非常に不自然な感じを私は抱くわけでございます。  とにかく、まだ二年しか使っていない。その中身について見てみますと、非常にいろいろなことがある。この建物は地上二階、地下三階、延べ五千平米の施設であって、そして爆撃に対したりするようなシェルター装備の構造までできているというふうに出ているわけですから、非常に立派な建物ができているわけですよ。これを二年しか使わないうちにもう既に移転の計画をしてきたというのは、非常に唐突な感じがいたします。  先ほど移転の目的については、国土の利用、もっとほかの利用方法があるのではないかということ、そして近隣の部分が商業地区になってきたというような理由をおっしゃいましたけれども、この六本木の地域といいますのはにわかになったわけではなくて、前からにぎやかなところでございます。三年かけてこの中央指揮所の建設が終わったということでございますと、そのくらい前、既に五年ぐらい前からそんなことはわかっているわけでございまして、何かここへ出てくるのに非常に唐突な移転計画のような気がしてなりません。この点についてはいかがでございましょうか。
  136. 三井康有

    ○三井(康有)政府委員 お答えいたします。  中央指揮所につきましては、これは昭和五十一年にミグ25事件という事件がございまして、このときの反省も踏まえました上で防衛庁としては検討に入りまして、昭和五十六年度から五十八年度にかけて建設したというものでございます。  他方で、防衛中枢の市谷移転につきましては先ほど申し上げたとおりでございますけれども、今委員は中央指揮所ができましてから二年しかたってないということでございましたが、中央指揮所完成後三年ないし四年たってこの移転計画を決定したということになるわけでございます。  それにしても、中央指揮所をつくって余りにも間がないではないかということではないかと思うのでございますけれども、その点につきましては、現在桧町地区に所在しております防衛庁の建物の約七〇%は昭和二十九年に建設された古い建物でございまして、仮に中央指揮所の耐用年数がたつのを待っておった場合におきましては、今申し上げました他の建物を大幅に建てかえていかなくてはならないという状況にもなるわけでございまして、かえってむだな投資をふやすという結果にもなるわけでございます。  防衛庁といたしましては、このような状況も踏まえまして、いろいろ検討しました結果、本移転計画を決定したというものでございます。
  137. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 非常におかしいと思うのですけれども、そんなことだったら、最初に指揮所をつくるときにもう既にそのぐらいのことはわかっているわけでございまして、それだけ真っさらなものができて、周りの庁舎が非常に老朽化してきているというようなことがその二、三年の計画の間に出てくるわけではなくて、もっともっと計画的に考えればわかることなのに、そうしたら、なぜそのときに新しいものを、ばんど立派なものをつくって、暫定的でもないしっかりしたものをつくり出しておいたのかということについては、まさに税金のむだ遣いを初めからあらかじめ承知しながらやったとしか思えないと私は思います。時間がありませんからその次に行きますけれども、この点も私は非常に疑問を感じつつあるということ、これからの計画の中でも、こういったむだ遣いはぜひともなさらないようにお願いをしたいと思います。  その次に、ここを移転して市谷の方に行った後の跡地については、これを売却して、その費用をもって移転の費用その他に充てるという、特待会計という言葉で言われているその会計ということになるというふうに聞いておりますけれども、移転費用は約三千四百億円かかるというふうにお聞きしております。  大蔵省に伺いますけれども、この特待会計ということで、一度大蔵省の方から国に入りましたこの土地を売却するということ、どのぐらいのもので売れるというふうに考えておられて計画を立てられているか、それを伺いたいと思います。
  138. 妹尾喜三郎

    ○妹尾説明員 防衛庁の本庁の庁舎の跡地につきましては、この計画を策定するに当たりまして、近隣の公示価格等を総合勘案しまして処分の見込み価格を算定しておるところでございますが、その額の具体的な開示につきましては、将来の同跡地の処分価格に予断を与えるおそれがある、そういうことから答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。
  139. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 これは新聞等の発表でどなたかがおっしゃってい至言葉があるわけですね。西広さんという方が言われている言葉が新聞の中で報道されていて、大体このあたりだったら一坪五千万円は下らないんじゃないかというような談話が、大分前ですけれども出ている。これは、どのぐらいになるかはわからないとおっしゃるし、今言えないとおっしゃるならばこれ以上聞いてもしょうがないのですけれども、そのころの地価と現在とでは、バブルがはじけまして非常に状況が変わってきたと思うのですけれども、三千四百億円は大丈夫だというふうに見積もっておられるのでしょうか。
  140. 妹尾喜三郎

    ○妹尾説明員 特定国有財産整備特別会計といいますものは、国有財産の適正かつ効率的な活用を図るために、六本木の庁舎のような国の庁舎等の集約立体化とか、それから庁舎等の移転再配置事業を行っている特別会計でございます。そうしまして、このような事業にかかる費用といいますものは、移転跡地の処分収入で収支相償う形で特別会計を運営しているところでございます。そういうことで、六本木に所在する防衛庁の庁舎の移転先につきましても、この本庁跡地の処分収入により経費を賄うことを前提に計画しているものでございます。
  141. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 ですから、わからないし、言えないし、算定もまだできていないものをやるというふうに——私たちが普通移転計画を立てるときだったら、どのぐらいで売れるということが見通しが立って、それからどこかに持っていって、それだけの費用をかけてもいいのじゃないかというふうに考えるはずですのに、国というのは非常に悠長なもので、もしこれがバブルがはじけてどん どん下がっちゃって三千四百億円にもならなかった場合でも、ああこれは見込み違いでございました、ごめんなさいと言えばそれで済むことなんですか、そういうのが国の財政なんですかということを私はお聞きしたかったわけです。今のお答えではそれは不満足ですけれども、時間がありませんのでその次の問題に行きます。  防衛庁の先ほどのお話では、この移転については、防衛庁が庁議で決めて独自に判断されたものだ。ことしの三月二十六日の参議院、四月六日の衆議院、それぞれの委員会での答弁の中で、こういったことは防衛庁の御判断だというふうに答弁されているので、これを前提に伺いたいのです。  こうした場合に、移転に関する事業について業者を選定するというようなときに、この決定する経過について一部いろいろと取りざたされたりうわさされていることがあると思うのですが、国会議員やまた国会議員の秘書等の関与の有無ということは全くないのでしょうか、どうでしょうか。まず防衛庁の方に伺います。
  142. 黒岩博保

    ○黒岩政府委員 お答えいたします。  防衛施設庁では、工事の信頼性と入札における競争性を確保するために、原則として指名競争入札という方式をとっておるところでございます。指名業者の選定に当たりましては、特に合議制の指名選定委員会の設置とか、あるいは指名業者を公表するとか入札結果を公表するというようなことによりまして、その公正さを十分確保しております。外部の介入によりまして厳正かつ公正な入札契約事務がゆがめられるということはあり得ないというふうに考えております。
  143. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 同様の質問について法務省の方に伺いたいと思うのですが、この点について何か調べられたりしたことがありますでしょうか。
  144. 大泉隆史

    ○大泉説明員 委員指摘のような報道等がなされておることについては承知しておりますが、検察当局がいかなる事実関係について捜査しているかという事柄については、捜査の内容なり秘密に関連する事柄でございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
  145. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 今の御答弁なんですけれども、いつもそういうふうにおっしゃるのですけれども、具体的に内容まで聞きません。そういうことを調べられているということがあるのですか、ないのですかという点についても答えていただけませんか。
  146. 大泉隆史

    ○大泉説明員 重ねてのお尋ねでございますが、同様でございます。
  147. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 大変残念なんですよね。指名競争入札というのは今現在非常に問題になっている入札方法で、その透明性の担保ということについてはさまざま取りざたされているところだろうと思います。こういうことについてこれ以上今追いませんけれども、現在の受注された業者の名前、また最初に競争入札に加わったそれぞれの業者の名前、これについては私の方にまたお示しをいただきたいと思います。  次に、市谷台の方の移転の問題なんですけれども、このところは今度全部今までの自衛隊施設を壊して、そしてそこに防衛庁施設を持ってくるというのですが、ちょうどその敷地の真ん中辺のところに一号館というのがありまして、この一号館について非常に今現在問題になっています。  朝日新聞のことしの四月七日付の「三面鏡」というところにも取り上げられている問題なんですけれども、この一号館というのは、戦時中は参謀本部とか陸軍省が入っていた。そればかりでなく、戦争が終わりましてから極東軍事裁判の法廷に使われたという、非常に歴史的な意義もあり、また、私たちが戦争と責任とかということを考えるときに、また戦争という現実を考えるときに、その建物自体の存在というのは非常に必要であろうと思われる場所です。  私も、自分の選挙区ですから行って中は見学してまいりました。やはりそこに立って、ここでこうだったということを、後世の子供たちもまた私たちも、本当にその子孫たちもそれをいつまでも、戦争というものを風化させないためにも、そこに残しておく意義は大いにあると思うのですけれども、これも全部取り壊す計画に現在なっているわけなんです。  こういった一号館の歴史的な意義については、私が一番初めに国会議員になったときの百十八国会のときにも同様の質問を文部省にもいたしました。文部省のお答えはそのときは、ずっともっと時がたってこれが歴史的な意味を持つようになったときに考えるもので、それまでは対象にならないというようなお答えをいただきました。  しかし、今ここで問題にしなければ、崩れてなくなってしまってああ残念なことをしたなと後からそう思ったって、もう遅い時期に今来ているわけなんですが、文部省としては、これをとっておく、保存をしておくということの意義については、前のお答えと同様なのでしょうか。
  148. 若松澄夫

    ○若松説明員 お答えいたします。  私ども、歴史的な建造物でございますとか遺跡というようなものを保存するために、そういう制度といたしまして文化財保護法というものがございまして、先生の御指摘のような物件につきましては、これを史跡ということで指定をするという方法があるわけでございます。  これは前にも先生の御指摘でお答えを申し上げたことかと存じますけれども、文化財保護法によりますところの史跡の指定というものにつきましては、古墳あるいは城跡などの遺跡で我が国にとって歴史上、学術上価値の高いものについて行うことができるということになっておるわけでございます。  市谷の建物のような近現代の建物につきましては、そのような歴史上、学術上の価値ということが確定をしていないというようなことでございまして、そういうことからこの建物を現時点で文化財として史跡に指定をして保護していくことは困難であるというふうに考えております。
  149. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 この問題と同じように、旧近衛師団の司令部の跡地というのが千鳥ケ渕にありまして、これについてはたくさんの署名が集まってこれを保存するということで保存されたと聞いております。私も二十数年前にあそこに行ったときはもう本当にぽろぽろの建物だったんですけれども、それがきれいに今補修されて残っていて、一つの近衛師団というものを残しているということですけれども、今回残そうとしているのはそういう近衛師団だとか大本営だというような問題じゃなくて、極東裁判という一つの戦争の歴史、みんなに残していかなきゃならないという歴史的な意義のあるものです。  ぜひ防衛庁の方に答えていただきたいんですけれども、世界遺産条約というものがございます。この中の指定というのも、先ほどの文部省のお答えを聞きますと、どうしてもこれはほかに法制化しないで、歴史的なものでなければこの遺産条約でも指定できないというふうに聞こえますけれども、あと三年たてばこれは五十年、半世紀たつわけですよ。戦争が終わってから半世紀たつというこの区切りのときに、今この建物をなくしてしまうということは防衛庁事業としても非常におかしいことだと思うんです。遺産条約の中の登録をされるなり、また、そうでなくてもこのものについて何らかの形で保存をするということを考えていただきたいと思うんです。アウシュビッツについてはこの遺産条約のことで登録をされているんですから、それと同様にもいろいろ、第二次世界大戦を風化させないために何とか防衛庁の方でも御配慮いただきたいと思うんですが、時間が来ましたので、このことについて長官の御答弁をいただきたいと思います。
  150. 中山利生

    中山国務大臣 市谷に残っております一号館の保存につきましては、防衛庁といたしましても、歴史的な意義、先生がおっしゃいましたような意義について軽視しているわけではございませんで、何とか保存をする方法はないか、全部は無理としても一部だけでも残す方法はないかということで検討を重ねたと聞いております。  ただ、御承知のような市谷台のあの限られた敷地の中にあの広大な建物でございまして、あれを 残すことは防衛庁本庁の移転計画に大きなそごを来すということになりまして、やむを得ず撤去をするということになったわけでございますが、そのかわり、歴史を後世の人々にできるだけ正確に残していくというような意味も含めまして何らかの形で記念に残せるようなものは残す、また歴史のはっきりした現実というものを記念館のような形であそこに残して、記念館を建てましてその歴史の意義というものを後世に伝えていきたい、そう努力をしているところでございます。
  151. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 これで終わりにいたしますけれども、ミニチュアとか記念館じゃだめなんですよ。実物を残すところに意義があるんだから、その点、長官、ぜひお考えをいただきたいと思いますので、よろしく。せっかく今いろいろな意味で話題になっているところでございます。言いたいことはまだたくさんあったのですけれども、またの機会にさせていただきますが、壊しちゃったらもうおしまいなんですから、壊す前にぜひお考えをいただきたいと思います。  これで私の質問を終わります。
  152. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次に、小森龍邦君。
  153. 小森龍邦

    ○小森委員 まずお尋ねをしたいと思いますことは、先般、国連ボランティア中田さんが何者かに殺害をされた、巷間伝えられるところによると、ポル・ポト派によって殺害をされたということが言われておるわけでありますが、我が国政府、もちろん出先の今川大使がとられた措置でありますが、今後はそういう立場の人の安全をぜひ確保してもらいたい、こう言ってUNTACに申し入れたようでありますが、一体これは、申し入れることは非常に簡単でありますけれども、具体的にはどういう方法を想定して現地今川大使はUNTACに申し入れられたか、こういうことについて外務省の正式な見解を聞いておきたいと思います。
  154. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 UNTACといたしましては、要員の安全確保につきましてはもちろんUNTAC自身の第一義的な責任であるということで、非武装の選挙監視要員等に歩兵部隊や文民警察の護衛をつける等必要な措置を講じておりますし、これを強化していくということでございます。さらに各派に対してUNTACの要員の安全について協力を呼びかけております。
  155. 小森龍邦

    ○小森委員 文民警察などを配置してこれまでも安全を確保しておるという、その文民警察がやられるような状況でしょう。そういうことではちょっと納得いきませんよ。  言葉の先でUNTACに申し入れた、これは、巧みに我が国の国民の世論を操作するためにそういうこともやっておるんだろうと思うけれども、つまり、PKOの今日の我が国政府のとっておる態度に対する批判的な世論をどういうふうに政府側に誘導するかということでやっておることだと思うけれども、実際に文民警察がやられておるじゃないですか。そして、これまでは大体八カ国二十人ほどの人が、それぞれの立場の人が殺されておるじゃないですか。  そういう簡単なことで私は納得いきませんよ。続いてひとつ明快なところを答えてください。
  156. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 UNTACといたしましては、今回の事件にもかんがみ、各派に対し安全について協力を呼びかけ、申し入れを行っております。後ほど具体的な措置が明らかになるものと思われます。
  157. 小森龍邦

    ○小森委員 それでは、極端な言い方をさせてもらうと、日本語になってないんですよ。つまり、質問に対する答えとして日本語的対応になってないんですよ。  私は、カンボジア現地に赴いていろいろなことも調査をしたり、あるいは、プノンペン政府の側でありますけれども政府の要人たちとも会いまして、一体我々が民間的にどういう手助けをすることができるかというようなことも討論して帰りましたが、その際に私が感じましたことは、UNTACの兵士が世界各国からあの地に駐留することによって、あの国の経済というものは大混乱して、物すごいインフレなんですよ。よく聞いてくださいよ。そして、そういうことで経済不安が出てくるから、治安というものは物すごく乱れているんですよ。UNTACがいかにもカンボジアの平和と秩序を守るためにというけれども、国民経済生活というものは破壊の一歩手前ですよ。  それはちょっと頭の予備知識として置いていただいて、今のことでどういうことが——国会議員が国会で議論して、答弁もらったら何やらかんやらわからなかったということで済みますか。くどいようですけれども、一体どういう具体的な措置を想定して今川大使はUNTACに申し入れたのか、ここを答えてください。
  158. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 UNTACの内部では、特に投票所の安全につきまして種々の議論が行われております。特にその警備を強化することについて、今種々検討中でございます。そういった状況を踏まえて今川大使は申し入れを行ったものでございます。
  159. 小森龍邦

    ○小森委員 投票所の安全を守るということはもちろん大事なことなんでありますけれども、私が言うのは、それ以前の、つまりそこに至るまでのもろもろの準備活動ですね。現に中田さんは、投票所で投票をするときに殺されたのではないでしょう。そういうところを、つまり、我が国から行っておる国連ボランティアのみならず、全体の安全というものをどういうふうに守るということをUNTACに想定して言っておるのか、これを答えなかったら答弁にならないでしょう。
  160. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 要員、特に国連派遣しているボランティアについての安全、つまりそのボランティア警備を強化する、具体的には兵力をつけるということでございます。
  161. 小森龍邦

    ○小森委員 兵力をつける言って、二人や三人のボランティアがあっちこっち動いておることについて一々警備をつけるんですか。兵隊をつけるんですか。実際にそういうことはできるんですか。それ、口で言うことは簡単ですけれども。したがってUNTACはそういうふうにするんですか。そこを答えてください。
  162. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 それはどのような形にするのか、目下内部で検討中でございますので、私どもの方からこれを事前に申し上げるということは差し控えさせていただきます。
  163. 小森龍邦

    ○小森委員 それでは言ってみたばかりということになるじゃないですか。まあ、これで日本政府がこの問題について無策であるということを私は確認しました。  では次に尋ねますが、同じくカンボジアの問題についてでありますが、私が大体調査をし、さらに我が国のマスコミ等でも記事を読んでみて大体そうだ保なと思いますが、つまりポル・ポト派は、今度の総選挙を拒否し武装解除を拒否しておるポル・ポト派は、カンボジアの国土のおおよそ一五%を支配しておるように思います。そして、そこでカンボジア国民の一〇%程度を自分らの影響下に置いておる、こう思います。  いよいよ選挙が近づくに従いまして、これを拒絶するということを言っておるわけですね。新聞等の報道を見ると、ポル・ポト派は、パリ協定に違反をしない限度において総選挙の執行については妨害すると言っているんですよ。パリ協定に違反しない限り妨害すると言っているんです。パリ協定に違反しない限り妨害するというようなことは、論理的にこれは成り立たないことだと思います。しかしここでポル・ポト派の方に答弁をしてもらうわけにいかぬので、だから私はその裏返しとして聞きたいと思うのでありますが、我が国政府は、なおパリ協定は崩壊しておるとは思わない、こう言うんですね。同じような意味じゃないですか、これは。ポル・ポト派が言っておるのもへ理屈じゃが、我が国政府が言いよるのもへ理屈じゃないですか。  国土の一五%と国民の一〇%ほどが投票に参加しないということが初めから明らかになっておって、パリ協定が守られておるということになりますか。日本の国で総選挙をするのに、私らのある広島県、これは中国地方といいますね、中国五県、四国四県、これぐらいが初めからそっぽを向 いておって、総選挙が執行されたということになりますか。日本政府の感覚、おかしいんではないですか。  これは外務大臣から答えてください。大臣から答えてくださいよ。こういう高度な問題は官僚じゃだめなんだ。
  164. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 大臣の御答弁の前にお答えさせていただきます。  確かにポル・ポト派選挙への参加を拒否しているということはパリ協定に対する違反でございますけれども、これをもって停戦合意が崩れたというぐあいには私どもは判断いたしておりません。依然として停戦の枠組みが維持されているというぐあいに考えております。
  165. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 全面的な戦争に至っているわけではございませんので、偶発的な不幸な出来事は起きておりますけれども、まだパリ協定が崩壊しているとは私も判断いたしておりません。
  166. 小森龍邦

    ○小森委員 そういう答弁が我が国内においてまかり通るということになれば、ポル・ポト派選挙を拒否する一つの説明として、パリ協定は崩れていない、パリ協定は守りながらあれだけの妨害をしておる、こういうことになるんですよ。そういう論理的に矛盾したことを平然と言うようでは、とてもそれは成功しませんよ、こういうことは。  私は、そういうことをなぜここで声を大にして叫ぶかと言えば、日本政府はもっとやるべきことがあるのではないか、しっかりとした民生安定のために打つ手があるのではないか。それから、パリ協定についてかなり大きな役割を日本政府が果たしたのでありますから、確実に守れるという取り組みというか根回しというか、そういうものをしないから中田さんのような犠牲者も出るんですよ。口の先で、いや、パリ協定は崩れていないと思いますというような、言うことは簡単ですよ。しかし現実は人が死んでおるじゃないですか。もっとひとつ緻密な物の考え方を持ってもらいたいと思う。  ついでに申し上げておきますけれども、これは答弁は要りませんが、あの国道三号線の、つまりどういいますか補修工事というか、私は、まだでこぼこ道で時速十五キロぐらいでなければ動けないときにジープで行きましたよ。これをやるんだということを聞きました。何ですか、あれ、路盤工事をやって、アスファルトが来ぬからできぬ。やがて雨季が来てからに路盤工事が壊れてしまう。ようそんな無責任なことやりますね、我が国政府が。そういうこともあるんだということを、私が言わなくても知っておると思いますけれども防衛庁長官外務大臣もよう念頭に置いて、もう少し日本政府の品格に合うたようなことをしなさいよ。何をしよるのやらかにをしよるのやらわからぬようなことじゃだめでしょう。それは指摘しておきます。  次、人種差別撤廃条約についてお尋ねしたいと思います。  人種差別撤廃条約が想定しておる人種という、この考え方ですね、これはどういう範囲のことを言っておるか。これはもちろん人種差別撤廃条約の実定規定の第一条を読めばわかるんですが、皮膚の色とか民族とか種族とかということはよくわかりますけれども、ここで「皮膚の色こという続きに「門地」という言葉がありますね。これは日本国憲法にも門地というのがありますね。「社会的身分又は門地により」という言葉がありますが、門地ということを念頭に置いて、ここで言う人種差別というのはどの範囲のことを言うのか、どういうように理解をされておるか、外務省の見解を聞きたいと思います。
  167. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 この条約におきましては、人種差別とは、人種、皮膚の色等に基づくあらゆる区別、排除等でございまして、政治的、経済的等の分野における平和、平等の立場での人権及び基本的自由の享有、行使等を無効にし、または害する目的または効果を有するものというぐあいに、この第一条で規定されております。  御指摘のございました人種の意味するところにつきましては、当然その人種差別の理解の仕方にもかかわるところでございまして、現在種々の観点から検討中でございます。
  168. 小森龍邦

    ○小森委員 やはりこうなると、国会の議事録というものをできるだけ多く一億二千五百万の人に見せなきゃ、もう時間がたって、でたらめな答弁をして、そこで多少苦口を使われて、それで終わりというようなことになってしまうので……。  門地というのを今ごろ検討中なんですか。おかしなことを言われますね。つまり、日本政府が人種差別撤廃条約というものについてまことに対応が不誠実である。不誠実ならば、その言いわけとしてもせめて解釈ぐらいはびしっとできておらないかぬでしょう。  一体、この人種差別撤廃条約の取り組みというものは、国際的には国連がいつ提唱して、いつごろから取り組まれ出したことなんですか。今、取り組み出してどのくらいたつんですか。ちょっとそれを答えてください。
  169. 丹波實

    ○丹波政府委員 先生、この問題に大変御造詣の深い先生でございますので、御承知とは思いますけれども、一九六五年の十二月に国連で採択されまして、発効いたしましたのは一九六九年ということでございます。
  170. 小森龍邦

    ○小森委員 そうすると、提唱されてから、あるいは発効されてからもう相当の年限がたっておるでしょう。それを我が国はまだその定義について目下検討中というようなことは、国際的に不誠実じゃないですか、それは。不誠実とは思いませんか。答えてみてください。
  171. 丹波實

    ○丹波政府委員 この問題につきましては、昨年の三月末だったと思いますが、当時私がまだ国連局長のときに予算の分科会で先生の御質問にお答え申し上げておりますけれども、そこでも申し上げましたけれども、この人種差別を撤廃すべきであるという考え方自体について反対される方は、政府も含めまして、ないと思います。ただこの条約につきましては、そのときにも申し上げましたけれどもこの条約の根幹をなすところの第四条でございますが、人種差別に該当するような表現あるいは行動といったものを制限し、それを処罰せよという規定になっておるわけですが、この規定日本の憲法の二十一条で規定されておるところの表現の自由との調整という問題がございまして、この問題をめぐって法務省その他の関係省庁との間で依然として意見交換が行われておる、そういうことで今日まで至っておるということでございます。
  172. 小森龍邦

    ○小森委員 それはもう大分前からそういうことを言われておるわけで、それではらちが明かないわけですね。つまり日本は、国連に協力する、協力すると言って、軍事行動についてはもうすぐさま飛びついて国連に協力するということを言うのです。しかし、人権とか人々の福祉とか、そういうようなことについてはいつも後々を行っておるわけですね。  それで、先ほどそういう答弁がございましたのでちょっと簡単に外務大臣から答弁いただきたいと私思いますが、ならば、そこが、第四条がのどにかかるのならば、これを留保して、ほかにもいっぱいやらなければならぬことをたくさん書いてあるわけですからね、その精神はだれも反対しないというのですからね、これは留保して、留保するということは私は嫌いですよ、嫌いですけれども万々譲歩して、留保をして批准するという手はございませんか。これは外務大臣から聞きましょう。
  173. 丹波實

    ○丹波政府委員 留保という条約の技術的な表現の問題でございますので私の方から先に御説明させていただきますけれども、留保ということは、条約に加入するに当たって確かにそういう考え方、はございますけれども、他方、先生これも御承知だと思いますが、条約法条約という条約がございまして、その第十九条には留保につきまして規定がありますけれども、当該留保が条約の趣旨及び目的と両立しないものである場合には留保は認められないという考え方が表明されておりますが、それと同様の考え方がこの条約の二十条に書かれ ておりまして、要するに、留保というものは認められるだろうけれども、この条約の趣旨及び目的と両立しないものは認められないということを言っておりまして、第四条につきましては、先ほどもちょっと私の方から申し上げましたけれども、やはりこの条約の根幹をなす部分であろうというふうに考えられるわけでございまして、この第四条に留保を付すということはまさにこの条約の趣旨及び目的と両立しないということになるのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  174. 小森龍邦

    ○小森委員 留保ということについてなかなかよい理屈をつけられたわけですが、留保というのは反対という意味じゃないんですよ。つまり、ある程度時間がかかるとか、あるいはこれについてはすぐ対応するというところまでまとまっていないとかというときに留保するわけなんであって、この第二十条は、それとは裏腹なことを日本政府がするというときには、それはだめですよ。  だから、まあとにかく外務大臣、この辺でちょっと答弁してください。
  175. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今条約局長から説明をいたしましたとおりでありまして、この問題は日本の憲法との問題が非常に絡んでいることは先ほど来説明のとおりであります。そういう面からいきますと、正直、なかなか今すぐこの問題について批准の方向に行くということは非常に難しい。私も、人種差別の撤廃ということについては、これはもう当然のことで大賛成でございますけれども、その辺のところが残念ながらひっかかっており、法務省との間においては相当この問題については議論をしているようですけれども、なかなか長い間議論をしていてもまだ結論は得てないというのが現状だと私報告を聞いておりますので、正直、なかなかそんなに簡単なものではないと私は判断いたしております。
  176. 小森龍邦

    ○小森委員 憲法には、人権を守るために不断の努力をしなさい、こういうことになっていますわな。そうすると、人を殺せとか、むちゃくちゃな宣伝をするようなものを何らかの形で法的に規制するということは非常に大事なことですよ。  私も、竹下の褒め殺しじゃないけれども、右翼に約十カ月ほどやられましたわ、総選挙の前に。そのときには殺せという言葉が入るんです、小森を殺せと。そして聞くにたえない賤称語を使って、私がいわゆる封建時代からの被差別部落の出身ということで、聞くにたえない賤称語を使ってやる。それを今、外務大臣の答弁からいえば、それは放置する以外にないんですよ。そんなことが文明社会にあり得ることですか。  だったら、世界百三十カ国ほど今批准しておると思います。国が新しくできたり、また国が解体したりしておりますから、私の記憶では一番ピーク時には百三十二カ国批准しておったと思うんです、多少一、二カ国違うかもわからぬが。これらの国は野蛮国なんですか。日本のような憲法の精神というのは皆それぞれの国が持っておるんですよ。持っておっても批准をしておるんですよ。日本の政府の閣僚がそういうことを言うということは、ほかの国は皆野蛮国で、言論の自由がない国ということになりますよ。その矛盾はどうなりますか。
  177. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 くどいようでございますが、やはり条約というものを批准していくには、これは条約も法律も同じことですが、結局各省間の了解がなければ、意見の一致がなければできないのが今の機構になっておりますから、残念ながら私は、法務省の姿勢が、私どもの方の姿勢じゃなくて、法務省の方の姿勢がなかなかその辺でかたいようでございますからなかなか難しいということを申し上げているわけであります。
  178. 小森龍邦

    ○小森委員 この前も法務省というようなことを示唆されるような、あれは、渡辺外務大臣の答弁にはなかったと思うけれども、法務省の方を向いてちょっとあごをしゃくったんですよ。私は、だから法務省、その後——あれは法務省だと宣伝しておるんですよ。宣伝しておるが、法務省がそういう態度をとるからいって閣僚間にあってそこを、つまり前向きの調整ですね、そういうものをしないと、日本はいつまでたってもだめですよ。  念のために、外務大臣、あなたは、私がこんなことをほかの官僚から答弁してもらって頭に入れてもらわなくても御理解いただいておると思いますが、人権関係の国際条約、二十幾つかあると思いますが、その数字を今から言ってもらいます。そして、幾つ我が国が批准をしておるかということも答弁もらいますから、ちょっと頭に入れてください。
  179. 丹波實

    ○丹波政府委員 国連の資料によりますと、人権関係の条約数は二十三ということでございまして、このうち日本が批准しております条約は、いわゆる国際人権規約A、B規約を初めといたしまして、女子差別撤廃条約その他、それからもちろん重要な条約としては難民の地位に関する条約がございますが、全部で七つでございます。
  180. 小森龍邦

    ○小森委員 我が国憲法の趣旨を理解してもらいたいと思うんです。我が国憲法は「確立された国際法規」、これをつまり尊重しなければいかぬ、こう書いてあるんですよ。官僚から答弁もらえば、確立された国際法規とは日本もそれに調印しておることをいうんだと言うと思いますけれども、趣旨を理解しなければいけませんよ。つまり、我が国が得手勝手に自分の国だけのことをやればよいということであってはならぬという意味のことを憲法に書いておるのだろうと思うんです。このおくれを一日も早く取り返してもらいたい、私はこういうように思います。  そこで、今まで人種差別撤廃条約のことについて何回か私は質問いたしましたけれども、その際に時間の関係で触れておくことができなかったんですが、こういう事実を局長さん方にしても大臣にしても知っておいてもらいたいと思います。  一九八三年の第二回の人種差別撤廃世界会議、スイスのジュネーブで行われたのでありますが、私はそれに出席をしておりました。そして、その前の日にニューヨークからやってきた千葉国連大使、この人と会いました。私は出る前に外務省を訪ねて、人種差別撤廃条約についてはぜひひとつ立派な態度をとってもらいたい、こういうことを言っておった関係上、ジュネーブで当時の千葉国連大使と会いました。千葉大使は、私に非常に前向きなことを言われたのであります。  その前向きなことを言われたのは、英文もありますけれども、それはその私に言われたとおりを演説されたんですから、英文もここへ私は持っていますけれども、翻訳したのをちょっと読んでみますと、どういうことであるかというとこうなんですよ。これは国際約束ですよ。外務大臣、よく聞いてください。「日本は近々他に二つの重要な条約に同意する考えでいる。」その他の二つの条約とは既に批准をされた女性差別撤廃条約、「それらは、女性差別撤廃条約とあらゆる形態の人種差別撤廃に関する国際条約である。我が国は既にこれらの概念を精神的・実際的にかたく守っている。」こう千葉大使は言っている。これは大演説したんですよ。私は、英語がよくわからないから、わからないというかすぐ発言で聞き取るだけの力はないから、じっとその原稿を読みながら、前の日に私に見せてくれた原稿と同じことを読んでおるということだけは発言で確認しておるんです。それを日本語に翻訳したらこうなるわけです。  一九八三年、ことしは何年ですか、一九九三年ですか、そのときにかたく守られていると公言しておきながら、十年間たって中身もまだ目下検討中というのは筋が通らぬじゃないですか。ええかげんな答弁はせぬようにしてくださいね。  中身はどうも、去年の答弁も聞き、ことしの答弁も聞いて法務省だということがわかりましたが、法務省の人権擁護局というのが日本では人権破壊局なんですよ。そうでしょう。本来法務省が外務省と協力して何とか国際的にかかわるんだということを、そうじゃなければ言わにゃいかぬわけでしょう、人権に関しては。外務省は、我が党の仙谷代議士に対して渡辺外務大臣が、四分六分で私は批准の方に傾いておるという意味のことを 私が質問した直後の質問で答弁をしておられます。だから、外務省の気持ちはわかるんだ。わかるが、先ほどのような答弁はいけませんよ。人種差別の規定、特に門地というのを私が出して、これをどう思うのかいと言ったら——これは日本社会ではずばり言って部落差別なんですよ。そういうことを、検討しておるということじゃだめですよ。  外務大臣、法務省と打ち合わせをしてもらって、幸いに法務省が、どういいますか実力大臣後藤田副総理でもあるので、ひとつよく打ち合わせをして、ぜひとも国際的に筋の通ったことをやっていただくように御尽力願いたいと思います。最後に一言コメントを聞いておきましょう。
  181. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私も就任以来まだ一週間なるかならないかでして、この問題について過去の経緯もよく承知をいたしておりません。  いずれにしても、法務省側の見解などもよく聞きまして、私自身は人種差別撤廃ということは当然のことだと思っておりますから、できるだけ努力をいたします。
  182. 小森龍邦

    ○小森委員 では、終わります。
  183. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次に、倉田栄喜君。
  184. 倉田栄喜

    ○倉田委員 公明党・国民会議の倉田でございます。  私は、まず最初に政府開発援助についてお伺いをいたしたいと思います。  ただいま平成元年度の決算でございますが、会計検査院指摘検査報告によりますと、政府開発援助については平成年度平成年度にそれぞれ数字が出ております。例えば平成年度においては、無償資金協力二千百五十一億八千七十三万円、プロジェクト方式技術協力二百八十七億二千百十五万円、直接借款八千四十六億九千二百七十九万円、また、平成年度もこれと大体類似をする数字が出ておるわけでございます。  私がお聞きしたいのは、ここに出ている数字というのはどのような数字をお書きになっておられるのか。いわゆる政府開発援助、十八省庁にまたがる総額がこの数字としてあらわれておるのかどうか、これをまず確認の意味でお伺いをしたいと思います。
  185. 阿部杉人

    ○阿部会計検査院説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生がおっしゃいました数字はODAの総額ではございません。ODAの主要部分をなすものでございますが、それぞれ、二国間援助のうちの無償資金協力の全体、それから技術協力のうちのプロジェクト方式技術協力の分、有償資金協力のうちの直接借款の分の数字でございます。
  186. 倉田栄喜

    ○倉田委員 私があえてこの数字をどのような数字なのかと確認をいたしましたのは、いわゆる政府開発援助、最近いろいろな議論がある中で、我が国は総額一体どれくらいやっているのだろうか、これを見るときになかなかわかりづらい、こういう思いがありましたので実はお聞きをしたわけでございます。  そこで、外務省にお聞きをいたしますけれども、元年度、二年度、三年度、この政府開発援助の総額は幾らなのか、これは外務省の方は承知をされておられると思いますので、お答えを願いたいと思います。
  187. 川上隆朗

    ○川上政府委員 ODAの予算についてのお尋ねでございます。  まず、政府全体のODAの一般会計予算でございますが、先生御指摘の三年につきまして、まず平成元年度におきましては七千五百五十七億円、平成年度八千百七十五億円、平成年度八千八百三十一億円となってございます。それから、我が国のODAの予算規模を全体として示しますODAの事業予算を見てまいりますと、これはネットベースで、借款の原資をなすような予算も入った一般会計予算にプラスしたものでございますが、それで見てまいりますと、平成元年度におきましては一兆三千六百九十八億円、平成年度におきましては一兆四千四百九十四億円、平成年度におきましては一兆五千二百九十五億円というふうになってございます。
  188. 倉田栄喜

    ○倉田委員 そこで、また改めてお伺いをしたいわけでございますが、当委員会は決算をやっておる。今一応予算ということでお答えをいただいたと思うのですが、元年度、二年度、三年度、それぞれの実績としての決算が幾らになったのかということについてはなかなか難しいというお話でございましたが、この点についてはまだ後で御要望いたしますけれども、いわゆる実績額、これは今の予算額と違いが出てきておるのかどうか、その実績額の推移についても元年度、二年度、三年度、お答えをいただきたいと思います。
  189. 川上隆朗

    ○川上政府委員 実績の数字についてのお尋ねでございますが、内訳も含めてちょっとお話をさせていただきますと、元年度につきましては、無償資金協力二千二十八億、技術協力千百十四億、これが一般会計予算から来るものの実績ということでございます。それから円借款は、先ほどの事業ベースの予算関係いたしますが、一兆百五億円というふうになっております。  それから二年度につきましては、無償資金協力が千九百九十八億円、技術協力が千二百六十四億円、これが一般会計予算関係でございます。それから円借款が一兆七百五億円でございます。  それから三年度につきましては、無償資金協力が二千百二十五億円、技術協力が千二百九十億円、それから円借款が九千七百九十四億円というふうになっております。  ちなみに、それぞれのベースは、無償資金協力、有償資金協力については交換公文を締結したベースでとらえてございます。それから、技術協力は決算のベースでございます。
  190. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今実績ということでお伺いをいたしましたけれども、実績というのは暦年ということで、一月から十二月までの実績の数字というふうにお聞きをしております。これは、OECDの方で統計をとっておられる関係でそういう実績額が出てくる。予算の方は、四月から翌年の三月三十一日まで、これを通して予算というわけでございますから、この予算対応するという意味では、四月一日から翌年の三月三十一日までのいわゆる決算の額、これも掌握をしていただかないとやはりなかなか決算というのも難しいのではないのか、こういうふうに思うわけでございまして、外務省におかれましても、いわゆる暦年の実績ということのみならずにして予算対応する決算としてどのような数字が残っていくのか、それもぜひまとめていただきたい、こういうふうに要望をして、この点はまた次の機会にお伺いをさせていただければというふうに思います。  そこで、会計検査院にもう一度お伺いをしたいと思いますが、この検査報告について、平成元年度については政府開発援助についての記載は全くありません。これはどういうことなのか。二年度、三年度からこのODAの、開発援助についての記載が出てきたのはなぜなのか、この辺を御説明いただきたいと思います。
  191. 阿部杉人

    ○阿部会計検査院説明員 決算検査報告には、先生おっしゃいますように、六十三年度に特記事項として記載がございまして、その後、平成年度、三年度の各決算報告に記載がございます。  六十三年度決算検査平成元年に行いました。それで、検査の結果、援助の対象となりました機材などが十分稼働していなかったり機材の一部が長期間未利用となっていたりしているなどの事態が見受けられましたので、政府開発援助のより効果的、効率的な実施のために問題提起を行い、我が国全体として論議していただきたいということから、特記事項として決算検査報告に掲記いたしました。  次の平成年度決算検査報告対応する平成二年の検査でございますが、この年は五カ国に調査官を派遣いたしまして、在外公館、国際協力事業団の事務所及び海外経済協力基金の事務所の会計実地検査を行うとともに、政府開発援助の現場を現地調査いたしました。それで、決算検査報告作成に当たりましては、これらの調査の結果を慎重に検討いたしましたが、検査報告に掲記して報告するような事態ではないと判断いたしました。  しかしながら、我が国の政府開発援助は多額で ありまして、その使途や効果に対する国民の関心も極めて高いことにかんがみまして、平成三年には本院の検査活動を明らかにするとともに、調査を実施した事業の全体について実情を明らかにする目的を持って決算検査報告に特別の項目を新設いたしまして掲記しております。四年もこれを踏襲しております。そのような事情でございます。
  192. 倉田栄喜

    ○倉田委員 ODAの総額あるいは予算決算というものが各十八省庁にまたがりながら、そしてその省庁の中にそれぞれの項目に分かれておって、予算項を見ても非常にわかりづらいなという印象を持つわけでございます。  検査院として、このODA、国民の関心も非常に高まってきているわけでございますが、検査の範囲とか、どういう視点から検査をしているのか、方法、ずっと検査をしてこられて感じておられること、あるいは問題点として思っておられること、そういうことがあったら御披露いただきたいと思うのです。
  193. 阿部杉人

    ○阿部会計検査院説明員 私どもは、政府開発援助が予算の大半を占めております援助実施機関であります外務省、国際協力事業団、海外経済協力基金は毎年検査を実施しております。これらの機関検査に当たりましては、援助の実施及び経理は適切であるか、それから、援助が効果を発現し、援助の相手となる開発途上国の経済発展及び福祉の向上などに寄与しているか、援助の制度、方法に改善すべき点はないかなどにつきまして、本院に提出されております計算書や証拠書類によります書面検査及び相手方の官署及び事務所に赴いて行う実地検査を行っております。  また、援助の相手国に対しましては、我が国援助実施機関に対する検査の場合とは異なりまして本院の検査権限が及びませんが、援助の効果が十分発現しているか否かなどを確認するためには、我が国援助実施機関に対する検査のみでは必ずしも十分ではございません。それで、相手国に赴きまして、我が国援助実施機関職員の立ち会いのもとに、相手国の協力が得られた範囲内で、事業計画どおり順調に進捗しているか、援助の対象となった施設、機械、移転された技術などは十分利用されているか、事業は所期の目的を達成し、効果を上げているかなどを中心に現地調査を実施してまいっております。
  194. 倉田栄喜

    ○倉田委員 外務省にお伺いをいたします。  検査院の方から平成年度、三年度、それぞれODAについて指摘をされておられますが、これに対して外務省としてはどのような対応をなさっておられますか。
  195. 川上隆朗

    ○川上政府委員 先生の今の御質問にお答えする前に、先ほどの私の二番目のお答えは一応年度ベースでございます。暦年ベースの数字はまた別途ございますけれども、コミットメソドベース、いわば交換公文を結んだベースで有償、無償をとらえて、年度ベースで見た場合にはこういう数字になる、こういうことについてお答えしたつもりでございます。その点、御了承を願いたいと思います。  ただいまの御質問についてでございますが、平成年度、三年度の会計検査報告では、検査対象となりました大部分の案件はおおむね順調に推移しているというふうに認められておるわけでございますが、一部の案件につきまして、当然案件を取り巻く相手国の政治的な状況、経済的な状況の変動等不可抗力の要因によって必ずしも当初の計画どおりでない状況に至っており、援助の効果が十分発現していないとして掲記されたことは、ただいまも御説明があったとおりでございます。  外務省といたしましては、検査報告において御指摘いただいた事業につきましては、相手国に対しまして事態の改善を促すとともに、必要に応じまして、援助実施後のフォローアップと申しますか、追加的措置を講じてきている次第でございます。また、援助の一層の適正かつ効果的、効率的な実施を確保するために、事前調査の充実でございますとか、援助実施中の事業の進捗状況の把握、さらには相手国に対する助言、無償協力、有償協力と技術協力との連携といったような必要な措置を講じてきているつもりでございますけれども、今後ともこういう措置をできるだけ充実してまいりたいという基本姿勢でございます。
  196. 倉田栄喜

    ○倉田委員 次に、カンボジアPKOについてお尋ねをいたしたいと思います。  カンボジア国連選挙監視員の中田厚仁さんが射殺をされるという大変不幸な出来事が起こりました。中田さんの御冥福を心からお祈り申し上げまして、また御家族の方に弔意を申し上げたいと思います。  そこで、この事件に関して外務大臣防衛庁長官、それぞれ御所見を伺いたいと思います。
  197. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 カンボジアの国民の皆さんが、長い間の内戦から何とか一日も早く平和な、しかも民主的な国家として再建をしていただきたい、こういう気持ちでおられることは間違いのないことだと思います。それを受けて国連においても、何とかそのような形で平和なうちに民主的な選挙が行われるようにということで、今UNTACが中心となってそのようなことを進めておられる。  そういう中で、本当に治安が悪いところまで出かけていって、その仕事のボランティア活動として、全く武器も持たないで行かれて一生懸命お仕事をされていた中田さんがあのような形で射殺をされたということに対しては、まことに残念であり、御本人に対しましては本当に心から御冥福をお祈りするとともに、このような射殺をするような人に対しては本当に憤りを感じておる次第でございます。  何とか中田さんの死を越えて、一日も早く正常な姿で選挙が行われることを心から望んでおります。
  198. 中山利生

    中山国務大臣 カンボジアの和平、新しい国家の建設ということで、ボランティアで志願をしてあの国で一生懸命汗を流しておられた中田君が、しかもカンボジアの人に殺された、まことに遺憾なことでございまして、私どもも心から御冥福をお祈り申し上げたいと思います。  今度の事件をとうとい教訓といたしまして、現在カンボジアに行っております文民警察、選挙監視要員あるいは停戦監視要員、自衛隊員、これらの方々の安全についてもなお一層努力をしてまいりたいと思っております。
  199. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今回の中田さんの事件が起こって、日本国民は、あのカンボジアの一番危険なところにも日本ボランティアの方がおられるんだなということに改めて注意を喚起されたと思うのです。そこで、現在カンボジアでは日本人のボランティア活動というのは、例えば人数であるとか規模であるとか、どのような形で展開をされておられるのか、その実態、人数、内容は外務省としてきちんと把握をされておられますか。
  200. 川上隆朗

    ○川上政府委員 カンボジアにおきましては、和平合意の達成の前から我が国のいわゆるNGO、民間援助団体が活動を行ってきているというふうに承知いたしておりますが、現在は日本国ボランティアセンター、曹洞宗ボランティア会、二十四時間テレビのチャリティー委員会、日本国民間協力機関等々といったNGOの団体が、医療事業、職業訓練、学校建設、井戸建設といったような幅広い活動を行っているものと承知いたしております。  カンボジアでNGO活動を行っている民間法人ボランティアの数は、これはプノンペンの我が方の大使館が把握している数でございますが、三十三名ということでございます。
  201. 倉田栄喜

    ○倉田委員 これらの方々の安全対策ということについては種々質疑がございました。ひとつ十分な安全対策を図っていただきたいと思います。  そこでもう一つ、今少しお答えもいただきましたけれども、これらのボランティア活動に対する日本国としての支援、これは具体的にどういうふうになっておるのか。  それから、中田さんの場合も含めて、一たん事故が起こった場合にどのような補償が考えられるのか、具体的に中田さんの場合はどうなのか。そして、先ほど午前中質問がありましたけれども、今、法の中で考えられる中田さん御自身に対する 補償の問題とは別に、日本政府として新たにこのとうとい犠牲に対して何らかの補償的な措置を考えられるおつもりはないのかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  202. 川上隆朗

    ○川上政府委員 先生の特に前段の御質問に対して、まず答えさせていただきたいと思います。  カンボジアにおきましては、草の根レベルの援助ということで非常に柔軟かつ迅速に対応できるNGOによる援助活動というものを我々としても非常に大事であると考えておりまして、これを積極的に支援するという観点から、政府は従来からNGOの事業補助金という制度を持っております。もう一つは小規模無償資金協力の制度という、二つのスキームがODAの中にございますけれども、こういうものを通じまして積極的に支援を行っております。  NGO事業補助金につきましては、平成年度におきましては、カンボジアで活動する我が国の三つのNGOの団体、先ほども述べましたけれども日本国ボランティアセンター、曹洞宗ボランティア会、国連支援交流財団という団体でございますが、これらが行う六件のプロジェクトに対しまして総額三千六百三十万円を供与いたしております。さらに、今申しました小規模無償資金協力におきましては、平成年度我が国のNGOの二つの団体、これはボランティアセンターと二十四時間テレビのチャリティー委員会でございますが、それと、平成年度におきましては曹洞宗ボランティア会に対しまして、いずれも合計千二百五十万円という支援を行っておるわけでございます。  中田さん関連の補償の問題につきましては、国連局長から御答弁させます。
  203. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 カンボジア派遣されております国連ボランティアにつきましては、国連の規則に従って、UNVがボランティア派遣している国連組織でございますけれども、UNVの負担によって民間の保険に加入しております。今回の中田氏のケースにつきましても、この保険の適用があるものと考えられます。このカンボジアの具体的な契約条件については承知いたしておりませんけれども、受取額についてはUNVが保険会社と交渉を行うことになっているというぐあいに聞いております。  さらに、一般化して申し上げることはなかなか難しいのでございますけれども中田氏のようなカンボジアの和平に向けて献身的な努力を行ってきた若く優秀なボランティアを失ったということは極めて残念でございまして、哀悼の意を禁じ得ません。政府といたしましては、目下、何ができるか、誠意を持って検討中でございます。
  204. 倉田栄喜

    ○倉田委員 この問題、あえて外務大臣にお尋ねをしたいと思いますが、本当にとうとい今、ああいう形でお亡くなりになった中田さんを顕彰する意味で、日本政府として何ができるか、いろいろな形があるのだろうと思いますが、外務大臣はどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  205. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 十三日にお帰りになると承知をいたしておりますので、とりあえず外務大臣としての感謝の気持ちを表する何らかの感謝状と申しますか、というものをお出しをし、あわせて、内閣総理大臣からも感謝を込めた何らかのものを出すということだけは、私、今それだけは大体予定をさせていただいております。それ以上のものについては、今国連局長が答弁いたしましたように、何らかの形が日本政府としてできないか、検討をいたしておるわけでございます。
  206. 倉田栄喜

    ○倉田委員 ぜひ日本政府として十分な対応をしていただきたい、これは強く要望しておきたいと思います。  そこで、この事件、だれがどのような形で行ったのか、これは調査中ということでございますが、いわゆるカンボジア選挙が始まる中で、ポル・ポト派、非常に妨害活動も顕著になっているような状況がどうも見受けられる。このポル・ポト派自体は、この総選挙には参加しない、こういうふうな宣言をしているわけでございますが、外務省としては、ポル・ポト派選挙に参加していないということについて、総選挙自体の正当性はどんなふうにお考えになっておられるのか、これは、まず一点、確認をしておきたいと思います。
  207. 池田維

    ○池田政府委員 総選挙ポル・ポト派が政党として参加しないという見通しであることはまことに残念なわけでありますが、もともとこの総選挙を決めましたのはことし一月八日の北京でのSNCの会合でございまして、そのときには、ポル・ポト派のキュー・サムファン議長も参加しておりまして、この総選挙の日にちを決定することに反対はしなかったわけでございます。そうして、その後総選挙のための準備が行われてまいりまして、既にカンボジアでは全有権者の九割、四百七十万人の有権者登録が行われているという現状でございまして、こういう状況であれば、彼らが政党として参加しないということを決めていることはまことに残念でありますけれども、しかしながら、有権者の九割が既に有権者登録を終えているということから見ましても、選挙を行いますことについて、選挙に正当性がなくなったということは言えないというように考えております。それは、大多数の国民が熱意を持って参加するという考えであるというように承知しているからでございます。
  208. 倉田栄喜

    ○倉田委員 ポル・ポト派が総選挙に参加しないという宣言をする中で、一方でカンボジアの民主化のために選挙は進めなければいけない。中田さんの非常に不幸な事件が今後ともあり得るかもしれない、そう思うときに、総選挙に対する我が国の支援のあり方、ボランティア活動だけに頼っている現状、あり得るかと思うのですけれども、この選挙に対する支援、ある意味では人的支援はどのような体制で今臨まれようとしておられるの。か、お伺いしたいと思います。
  209. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 お答え申し上げます。  カンボジアにおきます永続的な和平実現の過程で、総選挙が成功裏に行われるということが決定的に重要であることは申すまでもございません。  そこで、我が国といたしましては、UNTACが行う選挙監視活動にできるだけの協力をするという姿勢で、現在諸般の準備を進めているところでございます。UNTACの選挙監視分野への要員の派遣につきましては、これまでに非公式に我が国からも出してほしいという国連の要請がございました。これに基づきまして準備を行ってきたわけでございますが、今後国連から正式な要請をいただきました後に、諸情勢を総合的に勘案いたしまして、政府としての対応を決定することになると思います。  現在、私ども総理府の国際平和協力本部の事務局におきまして、要員の候補者の方々を一応リストアップいたしまして、これまでに研修等の準備を行ってまいりまして、現在、その他の準備を行っているところでございます。  なお、以上申し上げましたことは人的な貢献という面でございますが、国際平和協力法のもとでは、御承知のとおりいわゆる物資協力という制度もございます。これによりまして、これまで選挙の準備、また、選挙そのもののいわゆる啓発と申しますか、そういうことのためにテレビ、ビデオ、それから小型発電機を二百セット寄贈してまいりました。それから、最近はUNTACの放送によりまして、カンボジアの国民に広く選挙の意義あるいは手続を知らせておりますが、その受信のために小型ラジオを四万台、いわゆるラジカセでございますが、これを千台UNTACに寄贈してまいりました。
  210. 倉田栄喜

    ○倉田委員 カンボジア我が国PKO活動を展開されたわけですけれども、第一陣として行かれた方が帰ってきておられます。  そこで、今の時点において、このカンボジアPKO活動の第ータームといいますか、その評価、それから、今後どういうふうに見通しをしておられるのか。これはそれぞれ、防衛庁のお考えもありましょうし、あるいは活動本部としての総理府本府としてのお考えもあろうかと思いますので、それぞれにお尋ねをしたいと思います。
  211. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 ただいま御指摘のごとく、最近、カンボジアに参りました第一陣の要員部隊の交代が行われました。文民警察につきましては九カ月の任期でございますのでまだそのまま残っておる次第でございますが、いわゆるカンボジア国際平和協力隊は、昨年の九月中旬から十月中旬にかけまして現地に参りまして、合計六百八十三名の隊員が停戦監視、警察行政の指導、あるいは道路、橋等の修理といった分野におきまして国際平和協力業務を行ってきたわけでございます。このうち、停戦監視要員及び自衛隊施設部隊につきましては、先ほど申し上げましたように、第一次の要員部隊が既に帰国いたしまして、第二次の停戦監視要員及び部隊も既に到着しております。  このような我が国の要員、部隊の活動につきましては現地でも高く評価されておりまして、その活動につきましては、我が国の国民の大多数の御理解と支持をいただいているものと思っております。現地での評判でございますが、これは私も現地でいろいろな方から伺ってまいりましたけれども我が国自衛隊員、警察官、さらには中田さんのようなボランティアの方々の大変にまじめな勤務ぶりは非常に高く評価されているというふうに承知しております。  今後でございますけれども、交代をいたしました要員、部隊はこれまでの任務を引き続き行っていくことになります。それから、先ほどちょっと触れましたけれども選挙監視要員につきましても現在派遣の準備中でございます。  このような協力の実績を積み重ねていくことによりまして、内外の御理解と御支持を一層得ていくものというふうに考えておりますし、そのように努力してまいりたいと思っております。
  212. 中山利生

    中山国務大臣 第一次派遣施設大隊の仕事につきましては、我が国におきましては想像もできないような過酷、劣悪な生活環境の中で、まず生活用水とか自分の寝るところとか、そういうものを初め、大変な御苦労をされたと思います。そういう中で、そういう生活の基盤をつくりながら、目的でありました道路の補修、また橋梁の補修、そのような仕事を的確に果たしてこられた。しかも大変まじめに、規律も正しく、装備も優秀というふうなことで、地元の方々、また、ほかの国の部隊の方々からも高い評価を受けていると聞いておりますし、そのほか地元の方々との交流などにも大きな成果をおさめたと思っております。  きょう実は第一次派遣部隊の代表の方々に初めて報告を受けるということになっておりまして、まだ私どもとしてこの評価について公式な評価を下してはおりませんが、私自身としては、この第一次派遣部隊の成果というものは高く評価をしております。  それから、部隊の苦労された方の声をどう聞いているかということでございますが、私どもも、できるだけいろいろな広報誌に投書をしていただいたり、向こうへ行っていろいろ御事情を聞いたり、また、留守家族の方々からもできるだけいろいろな声を吸収して努力をしてきたつもりでございます。しかも、いろいろ通信、電話をかけるのにも非常にお金がかかるとか、いろいろな問題がございましたので、その方面の解決につきましては、本部あるいは外務省などと連絡をとりながら一つ一つ解消していく努力をしております。  第二次部隊につきましては、隊員の多くの方々にアマチュア無線の資格を取ってもらいまして、資材も持っていく。また、留守家族にも同じようにアマチュア無線の資格を取っていただいて、その交流をしていくというようなことをやっております。一番大事なのは留守家族の方々に不安を与えぬことだろうということで、私どももその方に重点を置いて努力をしていきたいと思っております。
  213. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今お答えをいただいたわけですけれども、第一陣の方がお帰りになって、現地での感想あるいは反省なり、それぞれの自己評価というものをいろいろな形で発表なされると思うのです。今長官もお答えいただきましたけれども、電話代が高かったとか、一日の手当として一万六千円あるけれども所得税で半分ぐらい引かれてしまうとか、病気、あるいは気候風土が違う中で大変御苦労なさって帰ってこられた方々が、実感としてお感じになって、さまざまなことが出てくる。その一つ一つの声に丁寧にこたえて対応していかなければいけない、これは政府の責任であろうと思いますので、今長官お答えいただきましたけれども、きちんと対応していただきたいと強く要望しておきます。  それで、三点目ですが、外国人の弁護士問題についてお伺いをいたしたいと思います。  今ウルグアイ・ラウンド交渉の中で外国人弁護士問題も一つの大きな対立点として浮かび上がってきているというふうに聞いておるわけですけれども、この外国人弁護士問題におけるウルグアイ・ラウンド交渉の現況と見通しを外務省にお伺いしたいと思います。
  214. 林暘

    ○林(暘)政府委員 ウルグアイ・ラウンドにおきます外国人弁護士の問題についてお答え申し上げます。  御案内のとおり、ウルグアイ・ラウンドにおきましては、物の貿易と並びましてサービス貿易についても交渉対象となっているわけでございますが、弁護士によります法律サービスについてもその一環として取り上げられております。現在も交渉は続行中でございますが、その過程で、我が国の外国人弁護士の問題についてもアメリカ、EC等より自由化を求められているというのが現状でございます。  我が国の場合には、外国法事務弁護士に関する特別措置法、いわゆる外弁法というものがございまして、その外弁法上は相互主義ということが基本原則の一つとなっております。ところが、ウルグアイ・ラウンドにおきますサービス貿易におきましては、最恵国待遇というものを大原則といたしております。したがいまして、相互主義によりますように相手方の待遇によって我が方がとる待遇を変えるというやり方は、今申し上げました最恵国待遇義務に違反いたしますので、我が国としては、今申し上げました相互主義を持っている外弁法上、外国人弁護士について自由化がオファーできないという状況にございまして、アメリカ、EC等よりはそういう交渉態度についての批判をされているというのが現状でございます。  今後の見通してございますが、アメリカがファストトラックの延長を決めましたので、早晩また交渉が再開されると思いますが、その交渉でどういうことになりますか、今の状況ではちょっと見通しがつきかねるというのが現状でございます。
  215. 倉田栄喜

    ○倉田委員 これは外務大臣にお伺いをしたいのですが、お答えいただければと思います。  司法制度の問題である外国人弁護士問題がガット・ウルグアイ・ラウンドではサービス貿易、通商の関係で交渉されております。この場所が適当なのかどうかというのを今から言ってもしょうがないのですが、このことに対して外務大臣はどのような御認識をお持ちでございますか。
  216. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私もウルグアイ・ラウンド交渉を三年前にやってまいりましたが、正直、日本の弁護士制度と外国の弁護士制度は非常に制度が違うわけでございまして、今の相互主義が、ただ相互主義だからといってなかなかうまくいかないという点があると私は思うのでございます。しかし、ウルグアイ・ラウンドの中で結果的にはサービス部門で入ってしまったものですから、入った以上は何らかの形でまとめるという方向で努力をしていかなければいけないということで、今局長が答弁をいたしておりますように、いろいろ努力をしながらやっておるわけでございますが、現実には、最後の段階で果たしてどういう合意がなされるかというのは、まだまだ相当議論をしなければならないことになるのではないかなという感じを私は率直に持っております。
  217. 倉田栄喜

    ○倉田委員 法務省にもお見えいただいておると思いますが、法務省としてこの問題をどのように現在とらえておられるのか。いわゆる日弁連との意見交換、十分に行われているのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  218. 戸田信久

    ○戸田説明員 法務省といたしましては、ガット・ウルグアイ・ラウンドでのサービス貿易分野での交渉に対する対応を含めまして、外国弁護士問題につきましては、我が国の司法制度、とりわけ弁護士制度の基本に関する重大な事項にかかわることを考慮いたしまして、従来、日本弁護士連合会の自主性を尊重して、同会と対応について協議いたしてまいりました。そして、相互主義もいわゆる外弁法制定の際に同制度の根幹の一つとして採用されたものであることにかんがみ、現時点において相互主義を撤廃することは困難であると考え、サービス協定上の最恵国待遇の免除を求めているところであります。  外国弁護士問題につきましては、先ほども申しましたように、法務省といたしましては、国際情勢の変化等も踏まえ、検討すべき点があるとすればさらに検討すべきであると考えておりますが、他方、この問題は我が国の司法制度、とりわけ弁護士制度の基本に関する重大な事項に関することでございますので、今後日本弁護士連合会と十分に協議を重ね、今後の対応についても検討してまいりたいと思っております。
  219. 倉田栄喜

    ○倉田委員 いわゆる論点の整理あるいは事実関係の認識等についていろいろ議論がなされておりまして、私もその中身はある程度承知をしておりますが、この論点の整理あるいは事実関係の認識について、外務省としてはどのように整理をされておられるのか、これを確認の意味でお伺いをしておきたいと思います。
  220. 林暘

    ○林(暘)政府委員 お答えいたします。  ウルグアイ・ラウンドないしは二国間でアメリカ、ECの方から日本が要求を受けております点は、大きく分けますと四つございます。  一つは、外国法事務弁護士、いわゆる外弁と日本人弁護士の共同経営ないしは外弁による日本人の弁護士の雇用の問題、これが第一点でございます。第二点は、現在の法律上、日本で外国人弁護士として仕事をする場合に五年間の職務要件というのがございますけれども、それを緩和してほしいというのが第二点でございます。第三点目は、日本において外国で彼らが所属しておるローファーム、法律事務所でございますが、それの名称を使用したい。それから第四点目は、日本法に関する仲裁事務について当事者の代理を外弁ができるようにしてほしいというこの四点、大きく分けましてこの四点が要求されておりますが、特にその中でも第一点で申し上げました雇用、共同経営の問題が最重要視をされているというのが現状でございます。
  221. 倉田栄喜

    ○倉田委員 この問題も日本の米と同じような形で弁護士の中では言われておりますので、ひとつ慎重に、そして十分に対応をしていただきたい、こう思います。  次に、いわゆる旧ソ連でいわゆる放射性物質、この管理の問題についてお聞きをいたしたいと思います。  いわゆるこの放射性物質、二十三カ所あたりで大量に放棄をされた。原子炉二基あるいは三十八隻も放射性物質を積んだまま船ごと沈めてしまった、こういう問題が報道されておるわけでございますけれども、いわゆる旧ソ連、そしてロシアとして現在も何か続けるみたいな報道もあるわけですけれども、この旧ソ連にしても、あるいは現在のロシアにしても、条約を承継するとすれば海洋投棄規制条約、この加盟国でもあるわけです。そうするとこの違反行為ということになるわけですが、この違反行為に対する制裁、これはどのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  222. 野村一成

    ○野村(一)政府委員 御指摘の核廃棄物の海洋投棄、これは極めて遺憾な事態であるというように認識しております。既に国会で何回も答弁させていただいておりますけれども、ロシア政府に対しまして投棄の即時停止というのを強く申し入れておるわけでございます。  で、今具体的なロンドン海洋投棄規制条約の締約国であることから来る制裁云々についての御指摘がございましたけれども、条約上特に制裁ということについて定めた規定はございません。私どもの頭の中にあることは、とりもなおさず事実確認ということが第一番でございますけれども、とにかくこういう海洋投棄そのものを即刻停止してもらうということがとりもなおさず重要なことではないかというように認識しておる次第でございます。
  223. 倉田栄喜

    ○倉田委員 その条約があって、そしてしかもその条約に違反する事実がある。そしてしかも、やむを得ないから今後も続けるみたいな形がそのまま許されるようなことがあっては、これはどうにもならないという気がしてなりません。これは日本政府としても断固たる態度と決意で、この問題はまあ環境汚染という問題もあるわけでございますので、臨んでいただきたいと思いますが、大臣いかがでございますか。この点についてはどのようにお考えですか。
  224. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 幾ら罰則がないからといって条約に違反していいというものではございませんし、特に今地球環境問題というのが世界的な問題として取り上げられているときにこのような行為は全く許せないことでございますので、私どもとしては枝村大使を通じて厳重に抗議をいたしましたが、たまたまコズイレフ外務大臣がG7に関連いたしまして来日をされると聞いておりますので、私と多分二国間の外相会議が開けることになると思います。そのときには厳重に、一日も早く投棄をやめるように、中止をするように私からも強く申し入れたいと思っております。
  225. 倉田栄喜

    ○倉田委員 それから、いわゆるこの放射性廃棄物質はかつてアメリカも投棄をしていた事実があった。これは現在も海中に沈んだままになっていると思うのですが、この海中に投棄された放射性物質の人体、環境への影響、これはかってアメリカが投棄をした分も含めて、私は、それぞれの箇所がわかっているのであれば、その環境調査というか影響調査を行う必要があるのではないかな、こう考えるわけでありますが、この点について影響調査みたいなものを行われる予定はないのかどうか、あるいはこれを行う必要がないのかどうか、これをお尋ねしたいと思うのですが、いかがですか。
  226. 須藤隆也

    ○須藤(隆)政府委員 御指摘のアメリカにおける核廃棄物の海洋投棄につきましては、一九四〇年代から一九七〇年にかけて低レベルの放射性廃棄物を四カ所、サンフランシスコの河とか、ボストンの河とか、ニュージャージー州の沖、あるいはメリーランド州の沖と四カ所で投棄をしていたという事実が確認されておりまして、アメリカ政府関係者に照会いたしましたところ、その後一九七四年から一九九〇年にかけまして海洋投棄を実施した海域周辺の海水とか植物とか生物のサンプリングによる放射能測定を実施しておりますほか、投棄後二十五年以上経過したドラム缶を引き揚げて放射能物質の漏えいの有無を調べるというような調査をしておりまして、現在までのところ、いずれも自然放射線線量を超える放射線の影響は見られなかったという説明を受けておりますが、今回のロシアによる放射性廃棄物の投棄に関しましても、実態を報告書あるいはロシア政府からさらに詳細な説明を受けました上で、必要なモニターその他の調査の実施を検討していきたいと考えております。
  227. 倉田栄喜

    ○倉田委員 これは一回調査をして安全だったからということで済む問題ではないと思いますし、やっぱり年々歳月の経過とともにどういうものがまた漏れてくるかわからないということを考えれば、定期的、継続的に影響調査というものをする必要があるのではないのか、こういうふうに考えますので、そういう対応もとっていただきたいと要望しておきたいと思います。  そこで、もう一つこれに関連をして、ロシアでトムスク7爆発事故があったというふうに報道されております。この爆発事故の実態といいますか、状況というのを外務省は現時点でどのようにとらえておられますか。
  228. 須藤隆也

    ○須藤(隆)政府委員 外務省といたしましても、この爆発事故の原因を初め被災状況その他につき 全力で確認作業を急いでいるところでございますが、現在までロシアの原子力省あるいはウィーンにありますIAEA等を通じて得ました情報によりますれば、概要次のとおりでございます。  四月六日の午前九時過ぎに、ロシアのシベリア地区トムスク7放射化学工場内のN15という主として放射性廃棄物処理をしております施設におきまして、建屋内のウラン溶解液タンクが爆発しまして建屋の天井が炎上したということであります。その結果、建屋内の換気装置を通じてタンク内の放射性物質が大気中に放出されまして、周辺区域数百メートルに及ぶ放射能汚染が発生している模様であります。  原因につきましては、有機物とニトロエンの化学反応で爆発が発生して、その結果電気回路の破損、ショートによって屋根の火事を引き起こしたという説と、むしろ建屋の天井の電気回路のショートが先に起こって、それによってウラン溶解液タンクが爆発したのじゃないかという二説があるようでありまして、なお原因を究明中の由でございます。  なお、施設外の放射線量は一時間当たり数ミリレントゲンで、自然放射線の三、四倍程度を記録しているが人的被害は発生しておらず、他の工場施設は運転継続中の由であります。  なお、IAEAの事故事象の尺度によりますれば、この事故は、とりあえず、事故に至る一歩手前のレベル三という重大な異常事象に相当すると評価されております。
  229. 倉田栄喜

    ○倉田委員 こういう爆発事故があったときに一番最初に知りたいのは、どの程度の規模で、いわゆる生命の安全にどのような影響を及ぼすのか、どのくらいの範囲まで広がるのか、日本としてこの事故に対して、日本自身の安全性あるいは影響があるのかないのか、こういうことを知りたいと思うのですね。ですから、そういうことにも答えられるようなそういう情報の収集をしていただきたい、こう思うわけです。  そこで、外務大臣、また恐縮ですが、外務省の情報収集能力というのか、あるいは情報をいろいろ持っていらっしゃるのかもしれませんけれども、それを発表されていないのかどうか、この情報管理能力、この点について外務大臣はどういうふうに問題意識をお持ちでございましょうか。何か外務省として情報を察知されておられるのではなくて、いろいろなほかのところからもらってそれを発表する、どうも後手後手に回っているような印象を受けるのですけれども、これはいわゆる外務省の情報収集能力の問題として何らかの限界があるのか、あるいは予算、人的な問題として限界があってなかなか思うようにいかないのか、この点について外務大臣の、これから武藤外交を展開されようとするについてはその情報収集ということは非常に大切なことだと思いますので、御認識をお聞きしておきたいと思います。
  230. 鈴木勝也

    鈴木(勝)政府委員 お答え申し上げます。  事実関係に関する点もございますので、とりあえず事務当局からお答えいたしたいと思いますが、外務省といたしましては、もとより従来から情報収集機能の強化ということについては常に努力はいたしてきておりますし、外務本省及び在外公館におきましても情報収集能力を強化するように各般の努力をいたしております。また、世界各地の事件につきましても、主要国を含みます関係国間での緊密な情報の交換等を通じまして、迅速に事態を把握して適切な対応ができるようにということで努めていることは、まず第一に申し上げておきたいと思います。  ただ、先生から御指摘がございましたように、現在の我が国の情報収集体制というものが万全でないということもこれまた事実でございます。そういうこともございまして、一昨年、平成三年でございますけれども、臨時行革審の方から答申をいただきまして、外務省を中心としまして政府の情報収集機能というものをもっと強化すべきであるという趣旨の答申をいただいたわけでございます。  外務省につきましては、こういうことを踏まえまして、今後情報の収集、管理、それから国内要路への提供も含めまして、情報諸機能を格段に強化するということを目的といたしまして国際情報局というものを設置することに決定をしているところでございます。
  231. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今答弁をいたしておりましたように、必ずしも私は情報管理という面からいけば十分である体制ができていないと思います。先進各国と比較をいたしましても大変人数も少ないのではないか。正直、そうかといって、こういうものはすぐ素人がさっとできるわけではないわけでございまして、やはり定員もふやし、またその研修もしっかりやっていくということが大切であろう。またいま一つは、私は外務省の中でもう少し情報の方に回せる人がないだろうかということも、せっかくこういうポストになりましたので、私は私なりに検討して、もしでき得るならば今の中で配置転換をしてでも情報能力を十分に確保していきたい、こう考えております。
  232. 倉田栄喜

    ○倉田委員 時間が参りましたので、最後に一点だけ外務大臣にお伺いをいたしたいと思います。  実は質問を残してしまったのですが、いわゆる対ロシア支援とそれから北方領土の問題でございます。  いわゆるロシア支援の緊急性が非常に叫ばれている中で、従来北方領土の交渉の中で政経不可分の原則ということが盛んに言われておりました。これから東京サミット等々いろいろ首脳会談が展開をされる中で、エリツィン大統領も日本にお見えになる。この時期に絡んで外務大臣は、いわゆる対日支援の必要性、緊急性の問題と政経不可分の原則、そして北方領土問題の交渉、これをどのように整理をされて、そして国民に説明をされようと考えておられるのか、この点の確認をして私の質問を終わりたいと思います。
  233. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 北方領土の問題は、正直、日本の固有の領土であるということは歴史上も明らかでございますし、そういうものが今なお不法な形で占拠されている姿でございますから、これはぜひとも日本としては北方領土を返していただきたい、そして、一日も早く平和条約を締結いたしまして完全な正常な状況に日ロ関係を持っていくというのが大切なことは当然だと思っております。この点については他の先進諸国も大体了承していただいておるのではないかと思っております。このことは、今後粘り強く北方領土の返還を求めて我々は努力をしてまいりたいと思っております。  ただ問題は、たまたまもうあと二、三日いたしますと、十四日、十五日と対ロシア支援の外相蔵相会議も開かなければなりません。また、今御指摘の東京サミットも七月にあるわけでございまして、そういう中で、それではそういう問題があるから日本は対ロ支援に対しては非常に消極的であるというようなことも、これまた国際的に孤立するおそれがあると私は思っております。我々としては、やはりロシアの、政治的には民主化、また経済面では市場経済原理の導入、また外交においては法と正義に基づく外交、こういう形で改革に努力をしておられるロシアが経済的にも非常に苦しい状況に置かれていることを考えますと、それはそれとして、やはり一方、これが失敗をいたしましてまた後戻りをするということだけは我々は避けなければいけませんので、その意味において、できる限りのロシア支援をしていくというのもまた、日本国際社会の中でやっていかなければならない点はあると思うのでございます。  しかし、国民の感情というものも考えながら、国民の理解を得ながら、そのような対日支援については私ども、決めますときにはなるべく国民の理解が得られるようにしていきたいと思っております。
  234. 倉田栄喜

    ○倉田委員 以上で終わります。
  235. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次に、寺前巖君。
  236. 寺前巖

    ○寺前委員 せっかく、旧ソ連時代からの原潜の原子炉や核廃棄物を海洋に投棄してきたという問題が出ておりましたから、私もそれについて聞きたいのですが、海洋投棄された核廃棄物の種類、投棄場所、投棄の時期、日本近辺の投棄場所と核 廃棄物の流れによる影響、そういうような実態を日本政府としてしっかりと握っているのか、調査中なのか、どういう実態になっているか、まず御説明をいただきたいと思います。
  237. 野村一成

    ○野村(一)政府委員 本件、海洋投棄問題につきましては、去年の十二月の終わりでございますけれども、ロシアの政府委員会の方から事実関係指摘がございまして、その後私ども、ロシアの外務省あるいは国防省に対しまして、累次その事実関係の確認ということを求めてまいりました。その結果もありまして、四月の二日でございますけれども、ロシア政府委員会より、白書という形で公表になっております。  他方、まだ今現在その白書につきまして詳細を検討中でございますけれども、一応、その投棄海域とか、あるいは投棄の態様、あるいはその放射能の程度といったことについての一般的な記述がございますが、なおさらに詳細をきちんと調査する必要があるというふうに認識しております。  本件につきましては、関係省庁連携をとりまして、鋭意検討を進めているところでございます。
  238. 寺前巖

    ○寺前委員 ロシアが旧ソ連時代やった内容というのは、これは国際法上違法行為になるのでしょうか。我々も、一九八〇年の第九十一国会で、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約というものを締結をしております。当時、旧ソ連は批准書の寄託国になっています。寄託国が違法行為を行っているのだというふうに断定していいのでしょうか。
  239. 野村一成

    ○野村(一)政府委員 お答え申し上げます。  今、この海洋投棄につきましては、ロンドン海洋投棄規制条約がございます。ソ連邦それからロシアもその当事国になっておるわけでございますが、この条約上は一応、低レベルの放射性物質の投棄は一定の規制のもとで可能になっておるわけでございますけれども、他方、その後この締約国会議の決議で、そういう低レベルであっても投棄を差し控えるという趣旨の決議が採択されておるわけでございます。  それで、現実に、今回の投棄の実態というのは、先ほど御説明いたしましたように、きちんと調査してみないと断定的なことは申し上げられないわけでございますけれども、そもそも私どもの認識としましては、四月二日、先ほど申しましたロシア政府委員会の発表の中で、ロシアみずから、例えば次のような趣旨でございますけれども、ソ連時代から存在し、現在もロシア連邦内で有効な海洋投棄に関する国内法規、つまりこの海洋投棄に係る国内法規というのは、ロンドン海洋投棄規制条約等の国際条約に矛盾しているという趣旨のことの記述がございまして、ロシアの方がみずからそういう趣旨を認めておるというのが実態でございます。
  240. 寺前巖

    ○寺前委員 前に日本でも、米原潜が入港して放射能漏れが問題になって、モニタリング調査をやるということで、予算委員会でも随分問題になったものです。それで、海洋投棄が明らかに重大な影響を与えるということで国民が批判するのはもう当然のことでありますから、そういう意味では、海洋投棄を即時やめるように、国際会議なりあるいは対ロシア資金援助問題の場合に、ぜひとも問題にすべきだと私は思いますが、外務大臣、この問題を持ち出す用意があるのですか。
  241. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 コズイレフ外務大臣が参りまして二国間の外相会議が開かれますときには、必ず厳重に、一日も早く海洋投棄を中止するように私から申し入れさせていただきます。
  242. 寺前巖

    ○寺前委員 ところが、ヤブロコフ大統領顧問は、液体廃棄物の海洋投棄はまだ数年続けるということを言っているわけですね。そうなってくると、これでは居直りじゃないか。こういうのは私は許しておくわけにはいかないと思うんですが、ところが、先ほどの条約問題に関係するんです。  この条約を日本が締結したときの記録を読むと、やはり気になるんですね。その条約の七条の四項では、「他国の主権の及ばないことが国際法により認められている船舶及び航空機については、適用しない。」という規定があるんですね。こうなると、原潜の原子炉や冷却水などの海洋投棄は免罪されることになるんじゃないだろうか。今お話しになったところの四月二日付の文書を読むと、ロシア連邦の認めたロンドン条約その他当該分野の国際協定並びに一九九一年の国際法に関するロシア連邦法に合致していないか、または完全に矛盾しているということを言っているんですけれども、しかし、私がこの国会で論議したときと見ると、あの条約にはそこが外されているということは、私は、問題じゃないだろうか。  これは単にロシアだけの問題じゃないと思うんです。原子炉を持ったところのアメリカだって古くからずっと潜水艦を持っておって、日本の国に入ってきたときに問題になっていたんだから。そうすると、これからの問題を考えてみた場合に、国際法上七条の四項の問題というのは、これは直さなければならないという問題を持っているんじゃないだろうか。  どういう見解をお持ちですか。
  243. 丹波實

    ○丹波政府委員 確かに先生御指摘のとおり、このロンドン条約の七条四項は「他国の主権の及ばないことが国際法により認められている船舶及び航空機については、適用しない。」という規定がございまして、ここで言う「船舶及び航空機」は、常識的には軍艦、軍用機、そういうことを意味していると思いますが、そこまでは先生おっしゃるとおりでございます。  ただ、この四項には「もっともこという規定がその後続いておりまして「各締約国は、適当な措置をとることにより、自国が所有し又は運用する当該船舶及び航空機がこの条約の目的に沿って運用されることを確保する」という規定がございますので、この締約国が、自国の軍用機及び軍艦がこの条約の趣旨に従った行動をとる国内措置をとっていないということ自体は、やはり条約上問題になる、こういう構造になっているということでございます。
  244. 寺前巖

    ○寺前委員 そうすると、どういうことになりますか。私、これ自身が問題やというふうに思っているんだけれども、率直に言ってこれ自身変えないかぬのと違うやろうか。国際的にこれから、潜水艦が、ロシアだけじゃなくしてアメリカだって全部廃棄処分をせんならぬことが起こってくるだろう。そのときに、何やかんや変な理屈を言わぬと、この項は全部やめてしまう、そうしてやはり海洋投棄はしないようにしていくということをぽんと打ち出していく、そういう積極性を打ち出さなかったらいかぬのと違うだろうかな。  大臣、どう思われます。検討しますか。
  245. 丹波實

    ○丹波政府委員 今の条約の言葉を普通の言葉で御説明申し上げますと、各国の軍用機、軍艦というものは他国の主権に服さない、他国の管轄権に服さないわけでございますけれども、各国が自国の軍艦、軍用機がこの条約の趣旨を守るような措置をとるべきだということが書かれておるわけでございまして、今の日本とロシアとの関係をこれに当てはめますと、先ほどから私たちが申し上げておりますことは、ロシアの例えは軍艦ということに関する限りは、ロシアがもし自国の軍艦に核廃棄物の垂れ流し的なことを自由にやらせていたのであるとすれば、そういうことをきちっと禁止する国内的措置をとってほしい、とるべきであるということを日本として厳重に申し入れる、そういう趣旨になるわけでございます。
  246. 寺前巖

    ○寺前委員 いずれにしたって、せっかくの機会が目の前にあるときにきちんと対応されることを要望して、この件は終わらせてもらいます。  それから、先ほど出たカンボジアをめぐる問題です。これもやはり非常に重大な意味を持っていると思うんです。日本人の国連ボランティア中田さんが銃撃殺害されるという問題、これはポル・ポト一派のゲリラによるものであるということを国連のスポークスマンが言っております。無防備な個人に対してこういう卑劣なテロ暴力行為が加えられたと糾弾し批判するのは当然だし、また、ボランティアの方とその遺族に心からお悔やみを申し上げなければならないと私は思うわけです。  かねてから我々は問題にしてきたわけですが、カンボジアに真の和平をもたらしていく上で、ポル・ポト一派の無法と暴力が依然として横行していることを今日の問題は示しているし、また、それが最大の障害だということは天下周知の事実です。このポル・ポト一派に対して和平の実施に同意を求めて説得を続けるという姿勢ではなくして、国際的な批判をポル・ポト一派に加えていくというような包囲網を敷いていくということが大切な、現実的な対応にすべきではないだろうかというふうに私は思うわけです。  ところで、このポル・ポト一派が、パリ協定の実施すなわち武装解除やその他の問題があります、そういうことを拒否する、また選挙も拒否するという事態になってきている。そしてついに、選挙をやるに当たってUNTACは、新聞報道によると、この選挙を防衛するためにプノンペン政府の軍隊に面倒を見てもらおうという話までになってきた。  こういうことになってくると、選挙はプノンペン政権の側で面倒を見てもらえる範疇において行われるということになってくるから、したがって、UNTACというのはその中立性を守ってするという仕事から離れていくことになるんじゃないだろうか。中立性が破壊されているという実態になっているのじゃないだろうか。  考えてみたら、中立性がなくなっている事態のもとに日本自衛隊派遣させることができるのかという問題に直面していると私は思うんです。ああやこうやもう理屈を言っている段階の問題じゃないと思う。自衛隊の出動は許されないということになるんじゃないでしょうか。いかがですか。
  247. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 UNTACとして各地の治安維持に努めておりますけれども、パリ協定に基づけば、UNTACの管理のもとに、現在存在している行政機構が一時的にはその責任を負う。したがって、例えばプノンペン政権がその支配下の地域において投票所の警備に当たるということはパリ協定違反ということにはなりません。ほかの派についても同様な協力をUNTACは求めております。
  248. 寺前巖

    ○寺前委員 極めて明確じゃないのですか。UNTACは投票所の警備をプノンペン政権の軍と警察の協力を得て実施するんだ、攻めてくるのはポル・ポト派だ。現にその犠牲を受けたわけです。ますますそういう方向に進んでいくでしょう。そうすると、PKOの出動要件であるところの中立性の問題というのは、現にポル・ポト派が存在する限りはなくなっているんじゃないだろうか。ポル・ポト派の活動というものが中立性を破壊してしまったんだ。その点ははっきりしなかったら、この問題は結局プノンペン政権の側での協力活動を展開をしていくんだということになってしまうじゃないか。自衛隊の出動要件というのはこれで完全につぶれていると断定しても私は間違いないと思いますよ。  大臣、どうですか。疑問をお持ちになりませんか、この段階で。疑問を持たれるのか持たれないのか、ちょっとはっきりしてください。
  249. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 この問題については、まだ全面戦争になっているわけでもございませんし、そういう点ではパリ協定の基本的枠組みはつぶれていないと私は思っております。そういう面からいっても、私は五原則が崩れているという判断はいたしておりません。
  250. 寺前巖

    ○寺前委員 それは言葉のひとり歩きであって、停戦が維持されているとか、危険はない、安全だなどと従来からも言ってきておったように、現実には危険な状態になってしまって、無理な派遣を今行っているということは目の前に見えてきたわけでしょう。こういう段階で、犠牲者が生まれてくるような派遣をしておってはならないぞというのは、もう共通した、御家族を含めて国民的な視野になってきているじゃありませんか。そして現に、武装解除の話から選挙の話から、内部的にはあそこの構成メンバーの一方の一つであるところのポル・ポト派が破壊活動をやっておって、中立性が守られているというようなことを言っていたら、そんなものはどこの話だというふうに言わざるを得なくなるでしょう。  私は、政治というのはもっと真っ正面から取り組むべきだということを御忠告申し上げて、撤退を要求したいと思います。  その次に移ります。  これも先ほど出た話ですが、在日米軍の基地は一体どうなっているんだろうか。防衛施設庁予算委員会に提出された資料を見ると、八九年には百四十九ですか、九〇年になるとそれより四つふえている、九一年になるとまた一つふえている、九二年になると一つ減ったけれども、また九三年になると一つふえている。在日米軍基地は減るどころかむしろふえてきておったんだなということを、予算委員会の提出資料を見ながらつくづく感じておったところです。  フィリピンからは基地は撤去されている。基地機能、役割を日本が引き受ける。世界にも例のない手厚い駐留軍支援や思いやり予算がふえている。アジア・太平洋ばかりか中東、アフリカまで作戦展開する米軍の最前線基地、こういうふうに変わっている。  こういうようなことを考えてみると、本当に新しい時代にあって米軍基地問題について根本的に、日米安保条約がどうやこうやと言うんだったら、私は見直しを提起すべきではないだろうかというふうに思うんですが、大臣はいかがお考えでしょうか。
  251. 佐藤行雄

    ○佐藤(行)政府委員 お答え申し上げます。  在日米軍基地の問題につきましては、従来から、なるべく不必要なものは返してもらう、そういう意味で整理統合を進めるということを基本方針としてやってきております。  ただ、特に御承知の沖縄には大変な基地が集中しているということがございまして、昨年の五月十五日の沖縄返還二十周年のときにアメリカ側と話し合いをいたしまして、さらにその返還についてお互い相談をしようということで来ております。ただ、その後、アメリカ側の政権の変更というものもございましたものですから、若干その辺での作業はおくれているという事情はございます。  他方、日米安保体制全体の問題につきましては、これは予算委員会で総理以下繰り返しお答え申し上げておりますとおり、冷戦は終わった、ソ連が崩壊したという政治情勢の変化はございますけれども、アジア・太平洋地域においてなお不安定要因も残っております。近くは北朝鮮の核開発の疑惑が高まっているというような状況もございまして、政府の判断といたしましては、今後とも日米安保体制のもとにおいて安全を確保しながら、この地域の一層の安定を図る外交努力を続けていく、そういう方針でやっているところでございます。
  252. 寺前巖

    ○寺前委員 何で、日本を守るためにとか言うとったものがいつの間にどんどんどんどん広がっていくんやろうかな。フィリピンが減ってきたらまた日本がそれを受け継いで広がっていく。こんなばかな話ないなというような感じで見ながらこの問題に対処してきているところです。  ところで、在日米軍が管理する横田、座間、六甲、沖縄を結ぶマイクロ通信回線があるんですが、六甲の通信施設が昨年十一月ですか返還されています。米軍の通信システムが、従来のマイクロ回線からNTTの光ファイバー回線や衛星通信にずっとかわってきている。そうなってきたら、今、神奈川県の湯河原町、箱根町に米軍の大観山通信施設があるんだけれども、これも当然のことながらやめたらええのと違うか。聞いてみたら、何と二年ほど前からこれは何も使っていないと言うんですね。使っていないものだったらさっさと返してもらったらどうなんだ。  地位協定の第二条の三項に「合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討するこ とに同意する。」こんなことまで書かれている以上は、本当にさっさと返還を要求して、そして日本の国民のためにそういう米軍施設をなくすというようなことをやったらどうなんだろうか。  一体、政府は基地の返還を要求したのか、あるいは日米合同委員会でこの問題を協議したのか。どういうことになっているのです。
  253. 江間清二

    ○江間政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま先生御指摘の、まず六甲通信所につきましては、先生お話の中にございましたとおり、昨年の十一月十二日付で返還をいたしたところでございます。また、お話の中にございました大観山通信施設でございますけれども、この施設につきましては、現在通信機能が停止されているというふうに私どもも承知をいたしております。  したがいまして、私どもは米側に対しまして、機会をとらえて、同施設を今後とも使用するのかどうかということを照会いたしているところでございますけれども、現在米側においてはこれを検討中ということでの答えが返ってきておる状況でございます。
  254. 寺前巖

    ○寺前委員 検討中で二年間も日本の土地が放置されておって、これを黙って見ておくんですか。私は気になる。  米軍の問題について、もう一つ聞きます。  横須賀の基地内の泊浦湾ですね。これは、米軍側が大型艦船の航行上の障害などを理由にして、ほかのところで掘ったヘドロというのですか、泥をこの泊浦湾に持ってきて埋め立てていった。臭い臭い状態になったので、八七年から八八年の五月までに埋め立てた土地の上に、八八年になって一年かけて約六ヘクタールの土地をつくった。市長さんに聞いたら、市長さんは全然そんなことは知らぬのや、基地内で勝手にやっておるんだと。国内法の手続もとらぬと勝手に埋めて、そして土地ができた。それで今度、九一年一月になってから防衛施設庁が土地確認申請を出してくる。何や勝手に日本の国の土地が米軍によってつくられていくんや。こんな勝手なことをやらしておっていいものなんだろうか。  これは一体、後何に使うんですか。勝手に土地をふやして、そして勝手に自分の計画に基づいて何か使っていこう、そんな勝手気ままなことが日本の土地で許されていていいんでしょうか。御説明いただきたいと思う。
  255. 佐藤行雄

    ○佐藤(行)政府委員 先に、日米間の地位協定上の見地からのこの問題についての見方だけをお答えさせていただきます。  地位協定の第三条で米軍には施設区域の管理権が認められておりまして、御承知のとおり、それについての地位協定の合意議事録がございます。そこで、その三条の第一項に関する合意議事録の中で、アメリカ側が日本施設の管理権としての行使として行えることについて、しゅんせつあるいは埋め立てということを認めております。そういう意味で、今おっしゃられた、アメリカ側が土地を埋め立てて云々ということは、地位協定上は認められていることでございます。
  256. 寺前巖

    ○寺前委員 埋め立てが勝手にできるなどというようなことで、あなた、済ましていくのか。どんどん勝手に日本の土地を埋め立ててつくっておる。やはり、埋め立てる場合にはどういう計画を後々やるからということを提起しながら、しかも埋め立てやっていいものかどうかということまで諮ってこそ、主権国家日本に対する当然の姿だろうと私は思うんですよ。こういうようなことを野放しでやらしておって、そして何年かたってから、いよいよ土地ができ上がりました、手続をさせてもらいます、これでは市長さん、港湾責任者として管理責任を果たすことができないではありませんか。こういう問題は非常に重要だ。  最近また、こういう問題が佐世保で起こっておるんですね。米軍の光ファイバーケーブルの敷設ですよ。佐世保の漁協が底びき網の漁場に使うところに米軍が九百メートル未満の浅い海域でケーブルを埋めるということをやってきた。そうすると、これは底びき漁業にとっては非常に重要な影響を与える。だから、この前開いたら、約束どおりちゃんとかぶせて、そして網に関係ないようにやってもらいたいということで大分文句を言っておられましたな。それでまた、船だまり防波堤の工事のために米軍水域の一部の返還もやってくれというふうに漁協の皆さんはおっしゃっているんです。  日本の土地なんだから、米軍のやることを本当に一々、日本皆さんに約束したら約束したことを守る、全然ないものやったら一々日本の側に許可をとる。やはりそういう姿勢がなかったらうそだと私は思うんですが、これはどうなっていますか。
  257. 江間清二

    ○江間政府委員 御指摘の佐世保におきます光ファイバーケーブルの関係でありますけれども、これは、平成三年十二月から四年の一月にかけまして佐世保−沖縄間におきます光ファイバーケーブルの埋設を行ったわけでありますが、その際、御指摘にもありましたとおり、地元漁協との間におきましては、水深六百メートル以内の部分についてはケーブルを埋設するということで御説明をし、御了解をいただいた経緯がございます。  もっとも、この工事は米側の直轄工事でなされた工事でございますけれども、昨年の八月だったと思いますが、これが相浦地先から一・五キロの距離について埋設されていないという事実が判明をいたしました。したがいまして、私どもの方から米側の方に対しまして、これは地元漁協との間で約束をした事項でもあるのでこれを埋設をしてもらいたいということを申し入れを行ったところでございます。これを受けまして米側は、新たな予算措置が必要なものでありますから、一九九四米会計年度になりますが、ことしの十月一日からの予算で埋設工事を実施をするということで回答がございました。今後、この埋設工事の実施に当たりましては、関係者とも十分調整を行った上で、漁業関係者等に支障を生じないよう措置してまいりたいというふうに考えているところでございます。  なお、先生のお話の中に、この関係で漁網被害が発生したというお話がございました。この点について一言申し上げさせていただきますと、昨年の十月の中旬だったと思いますが、この相浦地先から約三キロメーターぐらいのところで漁網被害が生じたという漁協からのお話がございました。そこで私ども海上自衛隊の方に依頼をしまして、水中処分隊に海に潜ってもらって当該地域の状況なんかも調査をしたところでありますけれども、この部分につきましてはケーブルも埋設をされておりましたし、それが原因での漁網被害ではないという、その調査の結果も漁協にお知らせをして、御了解をいただいたところでございます。
  258. 寺前巖

    ○寺前委員 もう時間が来たのであれですから、さっきちょっと言いましたが、東浜地区船だまり防波堤工事のための米軍水域の一部返還という問題が出されているんですね。御存じですか。御存じだったら御説明いただきたいんですけれども防衛施設庁の方が知っているんじゃないですか。それは知りませんか。それが一つ。  それから、これは自衛隊関係することですが、もう時間が来たので、最後にお答えいただきたいのです。  私の地元京都の宇治というところ、カンボジアヘ出動した部隊が今度帰ってきたわけです。そこの大久保というところの駐屯地から出ていったわけですが、四五普通科連隊というのがあるんです。新聞で、それが廃止になる、あるいは第四施設団のうちの第三一六施設中隊が廃止したということで、ちょうど交通の非常に激しいところでもあるから、ああ、廃止になるんだったら、いっそのことあそこの自衛隊の土地を開放してもらったらありがたいなと。  関連して、黄檗というところに弾薬庫がある。これは京都大学の研究室の際なんです。周辺は住宅地になってきている。それではこの際に、町の中に弾薬庫があるというのはぐあいが悪いぞということで、ここも開放してくれという声が出ている。  そうしたら今度は、関西研究学園都市というの が京都、奈良、大阪の関係のところにつくられてきた。その横に祝園のごつい弾薬庫がある。研究学園都市の横にそんなものがいつまでもあるのはぐあいが悪いな、こういう話になってきた。  さあ、こういう一連の動きについてどう対処されるつもりなのか、御説明をいただいて終わりにしたいと思います。
  259. 江間清二

    ○江間政府委員 ただいま先生の前段の御質問、つまり佐世保の東浜の水域に関します御質問について私の方からお答えをさせていただきます。  東浜の防波堤建設に伴います水域の返還ということにつきましては、関係漁協の方からかねてから強い要望をいただいているところでございまして、米側の方とも、その実現を見るべく私どもも調整を進めてきたところでありますけれども、この三月二十五日に、その防波堤を設置する対象の水域について、共同使用ということで合同委員会の合意を見たところでございます。  以上、御報告をさせていただきます。
  260. 畠山蕃

    畠山政府委員 ただいまの後段の御質問についてお答え申し上げますが、大久保駐屯地の問題でございます。  平成年度に御指摘の三一六施設中隊を廃止したところでございますし、それからまた、平成年度には第四五普通科連隊を廃止するということになっております。しかしながら他方、第三施設大隊を千僧駐屯地から、それから第四陸曹教育隊を松山駐屯地からこの大久保の駐屯地に移動させる、移駐させるという計画になっております。その結果大久保駐屯地には、第四施設団の主力と、それから第三施設大隊、第四陸曹教育隊等が所在するということになりますので、今後とも有効にこの駐屯地を活用してまいりたいというふうに考えているところであります。  それから、祝園弾薬支処のお話がございましたが、この弾薬支処は、関西地区の補給処の支処といたしまして中部方面隊におきます弾薬補給等を担任しておりまして、大久保駐屯地に所在します第四五普通科連隊等が廃止されたとしましてもその必要性において変わるところがないということでございまして、現在のところ、これを廃止する予定はございません。
  261. 寺前巖

    ○寺前委員 時間が来ましたのでやめます。
  262. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時七分散会