○小森
委員 経済の二重構造という問題については、既に一九五七年の
経済白書で
政府みずからが
指摘をしておるわけですね。
昭和三十二年、一九五七年の
経済白書にあるわけです。このときに基調というか物の考え方を読んでみると、そういう二重構造で急速に拡大再生産を図っていくということは、それは拡大再生産が図れるというのは、低
賃金で無権利な労働力を意のままに使うことができるという条件のもとでいわゆる資本の蓄積がどんどん進んでいったということなんでありますが、一九五七年の
経済白書では、それはあんまり早まったことをやり過ぎるという意味の、
経済というものはもう少し堅実な歩みをさせなきゃならぬというようなことが書いてあるわけです。
しかし、それ以後の
我が国の
状況というものは、政治家が業界に押されるのかあるいは政治家が逆に業界の機嫌をとって選挙基盤を強化するのか、まあ私は相互作用だと思いますけれども、そういうものがあって
我が国の
経済の二重構造というのはなかなか是正できない。時間があったら十分に
議論をしたいと思うのですけれども、また別に機会を私はとりたいと思いますけれども、日米の構造協議というのを、アメリカ自体は二重構造という
言葉を使ってないですけれども、あそこで
指摘しておる二百何項目は、ほとんど二重構造にかかわって
日本に対してアンフェアだと言っているのです。アメリカがなぜ貿易収支がああいう形になって
日本に対して大変大きな赤字が累積するのかということは、
日本の
経済の、要するに大企業にとってはまことに得手勝手な労働市場の支配というものがあってそうなっていると思うのです。
この
経済白書では、大企業の
労働者の
賃金を仮に一〇〇とすれば中小企業は五〇だ、零細企業は四〇だ。同じ旋盤を使って同じように自動車の部品をつくっても、三人か五人かで家内労働力を中心にやっておるところでは労働力は四〇にしか見積もられないが、大企業でやる場合には一〇〇の
賃金が払われる。これで、いびつな形で国際貿易の帳じりを合わせておると私は思うのですが、そこのところを本当に
企画庁長官、あなたにわかってもらわないと、幾ら表向き日米協調だといったところで、最終的には協調も何もできぬようになってしまうと思うのです。
そして、
日本の働く者の権利がそれで守れるのかといえば、先ほどのような災害が続出をして守れない。災害を受けないまでも、一家は崩壊の寸前にある。何のためにこの世に生まれてきたのか、妻と子供と別れて働かなければ妻や子供を養うことができない、それでは私は全然だめだと思いますから、その点をひとつよくお考えをいただきたいと思うのです。
先ほど
企画庁長官が例示をされました例の同和対策
審議会の答申は、
昭和三十二年、一九五七年の
経済白書が出てから後、一九六五年ですからね、同和対策
審議会の答申は。七年たったときに、部落差別の原因が
経済の二重構造だと言っておるんです。今
お話がございましたけれども、
企画庁長官はそういう受けとめ方をされてますか、どうですか。部落差別というと、例えば
我が国における労働市場に例をとってみたら、大変な無権利、低
賃金の
労働者群というか、都合のいいときだけ働かしてもらえるんですから
労働者群とも言えないですね。じゃ潜在的な
失業者というのか、これは学問的になかなか規定しにくいような労働市場に操られておる。私は部落解放同盟の中央本部の書記長ですから、以前からそういう問題については、どういう呼び方がよいか、
失業者と言うたところで、一度も正式に職についたことがない、それを
失業者とはなかなか言いにくい。だから、学問的な
言葉で表現する概念さえなかなか見つからぬような
状況にあるんですね。
そこで申し上げますが、先ほどの東京江東区の問題も話題に出しました。そして、広島新交通システムの問題も出しました。大臣の方から、逆にほかの例も出されました。こういう事実があるということを両大臣に聞いておいてもらいたいと思うのは、例えば新潟県の神林村という村があります。これは同和地区として指定するとかせぬとかいって騒動して、裁判して、指定しなければいかぬじゃないかという意味の判決が出たけれども、
政府はいまだにほったらかしにしておるわけですね。新潟地裁でそういう判決が出たけれどもほったらかしにして、同和対策の制度を適用してないわな。
その神林村に私が行ったときに、新潟空港まで現地の役員が送ってくれたときに、自動車の中で話すのに、小森書記長、もう考えたら残念で残念でかなわぬ、農村一般が出稼ぎ労働に出るが、出稼ぎの中でも最も危険なところで働かざるを得ないから、このわずか百十世帯ほどの小さな村で、もう死んだ人とか大けがをして労働にたえられぬようになった人が十指に余ると言うんですよ、百十世帯で。だから、最底辺の労働市場を支えているということが言えるでしょう。こういう現状にあるということを、あなたが今回対審答申ということを出して答弁されたが、理解をされた上で言われておるのかどうか、もう一度お尋ねをしたいと思います。