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1993-04-06 第126回国会 衆議院 環境委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年四月六日(火曜日)     午前九時三十分開議 出席委員   委員長 原田昇左右君    理事 青木 正久君 理事 塩谷  立君    理事 高橋 一郎君 理事 細田 博之君    理事 持永 和見君 理事 斉藤 一雄君    理事 馬場  昇君 理事 大野由利子君       住  博司君    武村 正義君       戸井田三郎君    前田 武志君       増岡 博之君    谷津 義男君       柳本 卓治君    山下 徳夫君       岩垂寿喜男君    小川 国彦君       岡崎トミ子君    志賀 一夫君       田中 昭一君    時崎 雄司君       草野  威君    辻  第一君       寺前  巖君    中井  洽君  出席国務大臣         国 務 大 臣 林  大幹君         (環境庁長官)  出席政府委員         環境庁長官官房 森  仁美君         長         環境庁企画調整 八木橋惇夫君         局長         環境庁企画調整 加藤 三郎君         局地球環境部長         環境庁企画調整 松田  朗君         局環境保健部長         環境庁大気保全 入山 文郎君         局長         環境庁水質保全 赤木  壯君         局長         通商産業大臣官 清川 佑二君         房審議官  委員外出席者         外務省経済協力 黒木 雅文君         局調査計画課長         厚生省生活衛生         局水道環境部水 浜田 康敬君         道整備課長         厚生省生活衛生         局水道環境部環 三本木 徹君         境整備課長         農林水産大臣官         房総務課環境対 坂野 雅敏君         策室長         運輸省運輸政策         局環境海洋課 柴田 耕介君         長         建設省建設経済 澤井 英一君         局調整課長         環境委員会調査 西川 義昌君         室長     ————————————— 委員の異動 三月二十五日  辞任         補欠選任   田中 昭一君     野坂 浩賢君   時崎 雄司君     和田 貞夫君 同日  辞任         補欠選任   野坂 浩賢君     田中 昭一君   和田 貞夫君     時崎 雄司君 四月六日  辞任         補欠選任   時崎 雄司君     志賀 一夫君   寺前  巖君     辻  第一君   塚本 三郎君     中井  洽君 同日  辞任         補欠選任   志賀 一夫君     時崎 雄司君   辻  第一君     寺前  巖君   中井  洽君     塚本 三郎君     ————————————— 三月十日  水俣病問題徹底完全解決のための国による患  者との和解協議即時開始国会による促進に関  する請願岩垂寿喜男紹介)(第五四一号)  同(岡崎トミ子紹介)(第五四二号)  同(菅直人紹介)(第五四三号)  同外十件(伊藤茂紹介)(第五七〇号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第五七一号)  同(菅直人紹介)(第五七二号)  同外五件(二見伸明紹介)(第五七三号)  同(伊藤茂紹介)(第五八八号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第五八九号)  同(楢崎弥之助紹介)(第五九〇号)  同外五件(二見伸明紹介)(第五九一号)  同(伊藤茂紹介)(第六三三号)  同(楢崎弥之助紹介)(第六三四号)  同外五件(二見伸明紹介)(第六三五号)  同(伊藤茂紹介)(第六九〇号)  同(岡崎トミ子紹介)(第六九一号)  同(楢崎弥之助紹介)(第六九二号)  同外五件(二見伸明紹介)(第六九三号)  同(伊藤茂紹介)(第七四五号)  同(小川国彦紹介)(第七四六号)  同(岡崎トミ子紹介)(第七四七号)  同(外口玉子紹介)(第七四八号)  同(楢崎弥之助紹介)(第七四九号)  同外五件(二見伸明紹介)(第七五〇号) 同月二十三日  水俣病問題徹底完全解決のための国による患  者との和解協議即時開始国会による促進に関  する請願岡崎トミ子紹介)(第七九八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  環境事業団法の一部を改正する法律案内閣提  出第二一号)      ————◇—————
  2. 原田昇左右

    ○原田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出環境事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩谷立君。
  3. 塩谷立

    塩谷委員 今日の地球環境問題というのは、最大政治課題一つであることは間違いないわけでございますが、一度失われた自然はもう二度ともとへ戻らない、あるいは戻るにしても何十年もかかるというような中で、我々人類は、今日まで利便性のみを追求し、また生産性収益性のみを追求してきたわけであります。確かに我々の生活は豊かで大変便利になったわけでございますが、一方ではやはり自然破壊の道をたどってきたということは否めないと思うわけでございます。その結果、地球温暖化オゾン層破壊熱帯林の減少、酸性雨砂漠化等、どれ一つとってもかけがえのない生命、地球の生存を大変揺るがすような深刻な事態が今問題になっているわけであります。そういう意味では大変大きな転換期に来ている。  そういう時期に、昨年は環境サミット、これは世界百八十の国あるいは団体参加して、大変な盛り上がりを見せて、いろいろな決議がされたわけでありまして、また、それに伴う資金的な問題、そういう問題におきましては、地球賢人会議が、地球サミット事務局より要請があり、日本で竹下元首相が議長、あるいは海部元総理、そして経団連の平岩会長がホストとなって我が国で開催され、こうした各国熱意の中で大変な評価を得ているというところであります。そして、この賢人 会議提言地球サミット成果に反映され、発展途上国への援助ということ、そういった将来的なあり方を位置づけたということであります。  そして、こういう事態の中でサミットにおいて幾つかの提言がされ、また決議もされたわけでありますが、我々公的機関でやるODAも含めて援助等があるわけでございますが、一方でもう一つ重要なのは、やはり民間活動であるということであります。当然さまざまな民間活動、これは末端において御努力の結果いろいろな成果も上げていることも事実だと思いますが、まさに地球環境保全については、その役割というものが大変大きいものがあると思うわけでございます。  そこで、まずお伺いしたいのは、地球環境保全のために民間団体の果たすべき役割というものは、環境庁としてどのように認識しているのか、この点をお伺いしたいと思います。大臣、もしよければ……。
  4. 林大幹

    ○林(大)国務大臣 塩谷先生にお答えいたします。  今の先生の御議論、一々私も同感でございます。特に、環境問題が最初地域的なあるいは公害発生的な問題から取り組まれた、そういうことの一時期を通りまして、今日は、先生おっしゃるように、地球規模における環境保全ということが大変重要な課題になってきておりますことは、もうおっしゃるとおりでございます。  そこで、民間団体役割につきましても、非常に重要な役割民間団体としては担っていただかなければならないし、またそうあるべきだという考えを私は持っております。特に、都市生活型公害というようなことが大きくクローズアップされてきた今日の環境問題解決のためには、政府もとよりでありますけれども国民あるいはまたそれぞれの事業主体、それらが自主的に、積極的に取り組むことが不可欠であるという認識もとに、そういう熱意を持つ人々の参加を期待しながら、民間団体あるいは国民一人一人の足元からの行動促進するという意味で、今回の環境基金の問題も生まれてきているわけでございますし、特に、アジアで我々が絶えず見聞する途上国住民ニーズもあります。それにまたこたえなければならないということもあわせ考えますと、環境協力を進める上で地球環境基金というものに取り組むこれからの取り組み方は非常に大事である、そのような認識十分国めまして、今回法案も提出いたしております。
  5. 塩谷立

    塩谷委員 その重要性は、今大臣御答弁いただいたとおり、大変にこれから役割が大きいと思うわけでございます。  現実においても、さまざまな民間団体世界各国で活躍をしているわけでございますが、その世界状況に比べますと日本民間団体につきましてはやや脆弱といいますか、大変基盤が弱いような気がするわけであります。もちろんNGO民間団体につきましては、いろいろな団体の持っている資金的なバックボーン、そういうものが、税制等関係日本の場合はなかなかそういう点で難しい点もあると思いますが、やはり我が国においても、この民間団体役割重要性を改めて認識して、その団体についての支援といいますか、そういうことも考え、今回の環境基金の問題となったと思います。  そういう意味で、現在の我が国環境保全団体実態について、どのようになっているか、お伺いしたいと思います。
  6. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 ただいま先生指摘のように、現在、地球環境問題を初めといたしまして、今日の環境問題が都市生活型公害になってきた、身近なところに環境問題があるということから、国民的な関心の高まりを背景といたしまして、環境保全活動を行う我が国民間団体におきましても今まで見られなかったような意欲盛り上がりが見られるということは、私ども感じておるわけでございます。ただ、残念ながら、我が国環境保全団体がこういった活動を行い始めたということは、欧米諸国に比べましてかなり歴史が浅い、また、これはあるいは宗教活動との関係もあるのだと思いますが、そういう自主的活動に対する意欲の問題というものも、風土の違いもあるいはあるのかというようなことから、総じて申し上げますれば、活動基盤が脆弱であるというぐあいに私どもはまだ言わざるを得ないのではなかろうかというぐあいに分析しているわけでございます。  幾つかちょっとデータをもとに御紹介させていただきたいと思うのですが、私ども平成四年の環境白書で御指摘申し上げたのですが、欧米環境保全団体の中では、数十万人または数百万人というような会員を擁しながら、年間予算でも数十億円を超える団体幾つかございます。例えば米国では、一番大きいNGO団体は五百八十万人で、予算規模も百十六億円というのがございます。それに対しまして、我が国では、最大団体でも会員数は四万人足らず、予算規模も十億円に満たないというような状況で、かなり規模の違いがあるということが一つ挙げられます。  また、こういった規模の違いということから、では、NGO自体がみずからどういったようなことを考えているのかということを、昨年の秋に環境庁ではアンケート調査をいたしたわけでございます。回答のございました四百団体のうち、六六%が資金不足というものを訴えておりまして、また六割が人材不足を訴えている、さらに四五%が情報不足を訴えているような状況にございます。つまり、意欲はあるものの、そういったものが不足しているということを訴えている状況にあるわけでございます。  さらに、ちょっと別の観点から見まして、OECDの開発援助委員会通称DACと言われているところでございますが、そこの統計によりますと、我が国民間団体による途上国援助の実績は、ODA総額に比べて、すなわち政府援助に比べてどういったような地位を占めているかという相対関係をちょっと調べてみたのですが、それで見ますと、ODA総額に対する比率で見ますと、DAC諸国平均では大体一〇・七%、すなわちODAを一〇やるとすれば一ぐらいはNGO援助があるという関係にあるわけですが、我が国の場合は、ODA比率で見ますと一・九%、保約五分の一といったような状況にあるわけでございます。さらに、国民一人当たりNGO援助額ということで見ますと、DAC諸国平均では七・九ドルというのに対しまして、我が国は一・四ドルという状況になっているという数字もあるわけでございます。  こういうことから見ますと、環境問題が今世界的課題になっているという状況の中で、こういった環境保全団体活動を積極的に支援する必要があるなどいう問題意識を再確認した上で、今回こういった法案を御提案申し上げているという事情にあるわけでございます。
  7. 塩谷立

    塩谷委員 ただいまのお話のとおり、海外の活動と比べて我が国はまだ基盤が大変脆弱だということでございますので、ぜひともこの環境基金、これから充実して、我々日本人一人一人も意識を持って協力していかなきゃならぬと思うわけであります。そして、今NGOのそれぞれの団体アンケートもとられていろいろな問題点が浮き彫りにされたわけでありますので、その点も十分に踏まえて民間団体の生の声をぜひとも反映していただきたいと思うわけであります。  そして、この民間団体活動というのは、公的機関では手の届かないようないろいろな活動があり、工夫を凝らしながら細かい機動的な活動を行っておると思うわけでありますので、今回の環境基金制度については、運営に当たってもそれなりの対応が必要になってくると思うわけであります。そして、多様な活動に対して、できるだけそれに対応していくという形が必要だと思いますが、今回のこの制度がどのようにこれから公正かつ円滑に運用されていくかというところをお伺いしたいと思います。具体的には、どのような活動対象として、またどのようなプロセスで助成していくのかというところをお伺いしたいと思います。
  8. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 御指摘のように、今回のこの 地球環境基金は、地球環境保全観点から、国民の発意に基づく活動を行う民間団体、そういった国民一人一人の足元からの行動促進し、または途上国住民等ニーズに即応したきめの細かい環境協力を進めるというような観点から、草の根の環境協力等のため地道に汗を流す民間団体活動支援しようということにそのねらいがあるわけでございます。  そこで、実際に制度運営といたしましては、営利目的としない民間団体、これは財団法人社団法人といった団体のほかに権利能力なき社団を含めて考えるべきだというぐあいに考えているわけでございますが、そういう団体が行う活動であることという要件が一つ。そして二番目に、開発途土地域における植林とか野生生物の保護といったような活動や、こういった活動に必要な知識の提供、あるいは我が国で広く国民参加を得て行う緑化リサイクルといったような活動、またこれらについての普及啓発等に関し助成を行っていくというぐあいに考えているわけでございます。  こういう団体対象事業を考えておるわけでございますが、それでは、実際助成事業を行うに当たってはどういう手続を踏むのかという御質問も中に入っていたかと思います。  まず、助成事業を実施するに当たりましては、政府としてはこういうことを考えているんだというようなことから、助成金交付要綱といったようなものを広く公表することによりまして、民間団体から助成を希望する活動について応募を求める、すなわち、こちらからの売り込みではなしに、応募を求める。そのための前提としては、どういう活動をうちの方で助成したいかというような公表を前提にするわけでございますが、それに基づきまして助成を希望する活動についての応募を求めるということをいたしまして、実際にそういう応募があった案件につきまして、環境事業団がこの制度趣旨を踏まえました上で審査を行い、さらに有識者から成る委員会意見も聞いて助成案件を決定するようにしてまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
  9. 塩谷立

    塩谷委員 今のお話で、有識者等意見も聞いてということでありますので、その点については慎重かつ広範な応募を求めて、ぜひとも有効的に行っていただきたいと思うわけであります。  この制度につきましては、地球環境保全に向けた我が国の積極的な取り組みということが非常に重要な柱となるわけであります。我が国自体、過去において大変な公害等の問題の経験もしておりますし、環境に対するいろいろな技術的なことにつきましても世界トップレベルへいっているわけでありますので、そういう点においてもこの地球環境基金というものは非常にこれから期待されるところが大きいわけでありまして、我が党も今回の基金創設については大変な努力をし、またこれは一般のマスコミ等、それから国民からも支持されてきたことだと思うわけであります。  これ自体、実際どの程度基金があれば現在の問題に当面の取り組みができるかというのは、多ければ多いほどいいに決まっているわけでございますが、今回は十億円の基金への拠出とそれから助成が五億円ということであります。これは民間からも拠出を求めるような形になると思いますが、将来的にその基金規模はどの程度のものを考えているのか、そして計画として毎年どのくらい積み増しとか、そういうことが今の中でありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  10. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先生質問の点は、なかなか難しい質問でございます。本年度は非常に厳しい財政状況の中で、基金に対する要求額十億円ということと、事業費に対する助成として五億円の予算をお認めいただいたわけでございますが、私どもといたしましては、これから実際に助成応募等を得て実際の仕事をやっていくわけでございます。そこで、具体的な案件に即したそういったものが出ていない現時点で、将来の資金規模について今どのぐらいを目途とするかということをこういう席で申し上げるということは、なかなか困難な事情にあるわけでございます。  しかし、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたDACにおけるODAとそれからNGO援助比率とか、また一人当たりNGO援助額国際比較とかそういうものを見ますと、我が国においては相当まだ低い水準にあるというような事情を見、またこの制度が、国及び民間の双方が力を合わせて民間団体地球保全活動支援していこうというような制度趣旨からいたしますと、やはり、できるだけ早期に相当程度事業規模が確保できるように充実させる必要があるのではなかろうか。そのために、これは今のような財政状況また経済状況ですと、一挙にそこまで持っていくというのはなかなか困難な状況にあろうかと思いますが、逐一、私どもはその充実に向けて年々努力していくべきではなかろうかというぐあいに考えている次第でございます。
  11. 塩谷立

    塩谷委員 財政上の問題ですから、こういう場で申し上げられないということはわかりますが、いずれにしても、やはり、これからの環境問題というのがそれだけ地球的規模、そして我々人類の将来に大変な影響を与えるというところでありますので、この点は今後我々自身も真剣に取り組んでまいるわけでございますので、環境庁としても大きな目標を持って、また広く呼びかける形で民間にも理解を求めて努力をしていただきたいなと思うわけであります。  環境事業団につきまして、昨年もこれ自体公害防止事業団から環境事業団へと名前を変えて、これは、ますます環境の問題がこれからの大きな国家的な問題であるということで、法律改正が次々と行われているわけであります。今回、民間団体への助成ということで環境基金創設をするわけでありますが、先ほどちょっと私聞き漏らしたかしれませんが、実際に具体的な活動内容といいますか助成内容、今現在、例えば緑化運動とかそういう項目で挙げるとしたらどの範囲が考えられるのかということと、助成だけではなくて、多分調査研究ということもこれからある程度やっていかなければならぬと思うのですが、そこら辺の内容的なものでちょっとお知らせいただけたらと思うわけであります。
  12. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先ほど若干お答え申し上げたわけですが、私どもが考えておりますのは、先ほど申し上げましたような営利目的としない民間団体、これは事業遂行能力があれば権利能力のない、法人格がなくても結構だというぐあいに考えているわけでございますが、そういう団体開発途土地域に出かけていって、地球環境保全のための緑化運動でございますとか緑を植える運動でございますとか、そういう活動を行う範疇一つあろうかと思います。  また、国内団体にちょっと限定させて申し上げさせていただきますれば、そういう団体国内において地球環境保全のために行います広範な、国民参加を得て行うような例えば緑化のための事業、またリサイクルのための実践的な事業活動といったような事業活動を行うということが範疇として考えられるわけでございます。  さらにもう一つ申し上げますならば、先ほど私が御説明申し上げましたように、日本におけるNGO実態というのはまだかなり脆弱であるというようなことから、そういう団体活動を行うに当たって、例えば研修をしたり、また普及啓発活動を行ったり、また調査研究を行ったりというような基盤整備のための事業も必要になってこようかということが考えられるわけでございます。そういったような仕事につきましても、本基金対象事業として一種の支援活動を行っていくことも重要ではなかろうかというぐあいに考えております。
  13. 塩谷立

    塩谷委員 我が国民間活動そして公的活動につきましても、大変これから充実させていく必要がある段階に来ているわけでありまして、そういう中で、先ほど来お話しいただきましたように、まだまだ脆弱な状況、これを何とか将来的に地球環境保全現実として一つ一つ我々実行できるような形を整えていただきたい。そういう中では、 国民啓発といいますか、先ほどのお話民間団体会員の人数の差が歴然としております。こういう面でも国民に対する啓発活動、そして我々自身意識を変えて取り組まなければならぬ。私は地球人改革という言葉で時々話をしているのですが、そういった意味で、我が環境庁が本当に力を入れて努力をしていただきたいと思うわけであります。  さらには、国際的な立場そして日本の経済的な立場を考えますと、これはもうリーダーシップを大いに発揮して、これから国際貢献も含めて日本努力をしていかなければならない。そして、本基金充実をし、世界的にもこの基金というものが初めての基金であるということを聞いておりますので、そういう点も含めて、環境庁長官地球環境問題担当大臣という立場で積極的に取り組んでもらいたいと思いますが、この基金の育成あるいは今後の環境対策の問題についての御決意を最後にお伺いしたいと思う次第でございます。
  14. 林大幹

    ○林(大)国務大臣 塩谷先生にお答えいたします。  先ほど来の先生の御議論を拝聴いたしておりまして、一々同感するところが多うございます。その中で、地球環境問題に取り組む取り組み方につきまして日本としてはどうなんだという御質問がございまして、企調局長からも詳細に答弁させておりますけれども、私は、一つ民族性の問題を無視できないのじゃないかという気がいたします。  つまり、欧米にありましては、これは宗教的背景も相当影響していると思いますが、要するに利益自分のひとり占めにしない、自分に来た利益は社会に還元する、やはりこういう長い歴史の上における生活の態様があったと思います。したがいまして、社会奉仕的な活動になりますと大変目をみはるような活動があるわけであります。しかし、日本はなかなかそれが伸びていかない。というのはやはり、一つ民族性というように片づけてはいけないと思いますけれども、過去の日本という一つの島の中から生活を求めておる姿の中で、自分生活をどう守るかということがどうしても優先してしまったという長い歴史的な背景も無視できないのではないかなと。  したがいまして、そのためにはやはりリーダーシップが大事である。日本においても、環境問題に取り組むにつきましてもリーダーシップが大事である。そして、民間にこのことをやはり御理解願わなければならない。民間の協力を得るという意味におけるリーダーシップです。  ですから、今回の地球環境基金がくしくも賢人会議が糸口になって生まれてきているという事実を見ましても、リーダーがこれからいかにしてこのような地球環境基金運営していくか、また、それに伴う事業をどう推進していくかということについて、大変な責任もあわせ持った考え方が大事であろうと私は思いまして、環境庁といたしましても、そういう意味から、国はもちろんでありますけれども、国の施設だけあるいは国の施策だけではなかなかきめ細かい点ができない面も出てくる。それを、民間団体努力と知恵をかりまして、そしてきめ細かく一つ一つに取り組むということになってくると、やはり環境基金のようなものが充実されることがまず基本だなという考えを持っておりますので、この制度の育成につきましては、さらにさらに諸先生の御指導もいただきながら努力を重ねて、私は、欧米諸国に負けないような、地球環境問題についてのリーダーシップもとれるような、そのようなものを踏まえた地球環境基金に育成していきたい、そういう考えを持っております。
  15. 塩谷立

    塩谷委員 大臣の大変な御決意をお伺いしましたので、大いに期待をして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  16. 原田昇左右

    ○原田委員長 次に、岡崎トミ子君。
  17. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 今回、地球環境保全目的とした地球環境基金創設が提案されているわけですが、この基金NGO活動助成するということから、一つ役割を担うのではないかというふうに認識しております。私たち地球に暮らす人々が、環境を享受する一方で環境破壊しているという矛盾する命題をいかに乗り越えて、次の世代に限りある地球を残していくかという努力を促すことになるというふうに思います。その点では私どもも評価をしているわけです。しかし、いざ運用する、その効果を期待する段となりますと、さまざまな問題があると言わなければなりません。このような観点に立ち、順次質問していきたいと思います。  まず、二十八条の二の環境基金です。今年度は基金十億、事業費として五億が予算化されたということですが、まず五億の内訳、今後の基金の目標をどのようにお考えになっていますか。  次に、政府以外の者からの出捐金、つまり寄附を募るようですが、具体的にはどのような対象からどのように募るのでしょうか。
  18. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 まず最初に、本年度の地球環境基金事業費五億数千万円の内容についての御質問でございます。  地球環境基金につきましては、国、民間双方の拠出をもって財源を得て、いろいろな事業を実施することとしているわけでございます。五億数千万ということは、現段階では民間拠出の具体的な額が明らかでございませんので、主として国からいただいた予算措置についての御説明にならざるを得ないわけでございますが、平成五年度予算におきましては、本基金への出資金として十億を予算でお認めいただきました。さらに、基金業務への補助金五億円を計上することを認めていただいたわけでございます。その限りで見ますと、この出資金の運用益、これをいつの時点で入れてもらって、どのくらいで回せるかというその運用益とそれから補助金の合計額、約五億数千万円が本年度の最低の事業費としては見込まれ得るということになるわけでございます。  その事業といたしまして、これはまだ運営委員会を発足させたり、中でこれからいろいろ議論をして詰める必要があるわけでございますが、先ほど塩谷委員に御説明申し上げましたように、基金事業費の使途を大きく分けますと、一つ民間団体活動に対する直接の助成事業と、それからもう一つは、そういった活動を振興していくための調査研究とか制度の広報といった基盤的な経費に充てていくものと、二つ考えられるわけでございます。差し当たっておおよその心づもりといたしましては、おおむね三億円余りが助成費、それから残りのおおむね二億円余りが調査研究や広報といった経費に充てられるのではなかろうかというぐあいに考えているわけでございます。  将来どのぐらいにしていこうかということにつきましても、先ほど御質問があったわけでございますが、助成応募等を得ていない現時点でその辺をはっきり申し上げることは困難でございます。しかし、いずれにしましても、この問題の重要性から考えまして、私どもは、できるだけ早期に相当程度事業規模を確保できるように、事業規模基金規模の拡充に年々努力していくべきだというぐあいに考えているところでございます。  第二に、それでは民間の方はどういうふうにして集めるつもりなのかという御質問であったかと思います。  先ほど申し上げましたように、この制度は国と民間が力を合わせて民間団体地球環境保全活動支援しようとしていくわけでございますので、国民の各界各層にこの基金へ積極的な御寄附をお願いして地球環境保全参加意識を高めていくということ自体、かなり重要な要素ではなかろうかというぐあいに私どもは考えているわけでございます。先ほど、こういった基盤整備に二億円ほど充てられる予定であるということを申し上げましたが、本制度趣旨国民各界各層に普及、広報することを通じまして、国民、企業等から幅広く浄財を募っていく必要があるというぐあいに考えているわけでございます。  そこで、それでは募金の目標等を立ててやっていくのかという御質問があったわけでございますが、私ども、現時点で民間拠出につきまして具体 的な目標とか方法を固めているわけではございません。しかし、いずれにいたしましても、これは広く自発的な活動に期待するという面が大きいわけでございます。ただ、自発的と申し上げましても、やはりこういう制度を知っていただかなければならぬ、そのためにはやはり啓発活動をやっていかなければならぬ。そういうことを通じまして、国民、企業等の積極的な協力が得られるよう、自発的な協力が得られるよう、私どもとしてはその基盤整備に努めていく必要があるというぐあいに考えております。
  19. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 次に、十八条の八号で民間団体活動支援することが書かれているわけですが、この民間団体NGOについて伺います。  NGO活動をどのように把握し、評価していますでしょうか。また、NGOのあるべき姿というものについてどんなふうにお考えか、お伺いします。
  20. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 これは先ほど大臣がお答えしたことと若干重複するわけですが、今日の環境問題の多くが、都市生活型公害とか地球環境問題とかといったような日常生活、社会生活活動そのものに起因している部分が非常に多くなってきているわけでございます。そういたしますと、勢いその解決のためにも、国民事業者といったような幅広い方々の自主的、積極的な取り組みが不可欠になってくるという認識をまず持っているわけでございます。  そういった中で、環境保全熱意と関心を持つ人々に御参加いただき、その発意に基づいて活動を行うという民間活動それ自体は、やはり国民一人一人の足元からの行動促進するという面を持っているということ、また、海外に出かけていったような場合の開発途土地域にございましては、政府開発援助とは異なった性格といいますか、それぞれの役割分担をすべき分野があって、住民等ニーズに応じた草の根の環境協力を進めることができるという意味で極めて重要な役割を持っているのではなかろうかというぐあいに考えているわけでございます。そういうような認識もとにこの制度を御提案申し上げているということでございます。
  21. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 その助成対象についてですけれども、三つのケースが書かれております。それぞれ「政令で定める要件に該当する」とありますが、政令では具体的にどのような要件を想定しているのでしょうか。
  22. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 政令でどういう要件を決めているかということでございます。  現段階において私どもが考えておりますことは、御指摘になりました十八条第一項八号にイ、ロ、ハというぐあいに政令があるわけでございますが、まずこの十八条一項の八号イ、ロの政令、これは内外の民間団体による開発途土地域環境保全活動に関する政令でございますが、これにつきましては、開発途土地域住民ニーズにこたえまして現地において行う植林、野生生物保護等の実践的な事業、また住民等がこれらの事業を行う上で必要な知識の提供、またこれらの活動の推進に役立つ調査研究または国際会議といったようなものを想定しているのではなかろうか。  また、同号ハに掲げております我が国民間団体による国内での環境保全活動に係る政令につきましては、これは広範な国民参加を得て行います緑化運動またはリサイクルといったような実践的な事業活動、また広範な国民に対する普及啓発事業、これらの活動の推進に必要な調査研究、そういったようなことをそれぞれ定めることを予定しているところでございます。
  23. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 全体的に、NGO活動する場合、海外で環境の保全を目的とするということと現地の住民の需要にこたえるものというふうにとらえてよろしゅうございますか。
  24. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 大まかに申し上げて、そのようにとらえてよろしいかと思います。本制度趣旨を踏まえて、その二つの要件を検討していくということでございます。     〔委員長退席、細田委員長代理着席〕
  25. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 私どもが一番関心を持つところは、助成をする対象としてのNGO活動の範囲をどこまでとらえるのかということです。そこで、その判断の基準についてお伺いいたします。  活動団体にはさまざまな思想や宗教を持っている人たちがいると思いますが、思想、信条によって助成をするか否かの判断をすることがあるでしょうか。また、十八条の二で、外務省そのほかの行政機関、団体と緊密に連絡するとありますが、外務省そのほかのアドバイスなどが助成の判断の基準になるのでしょうか。お願いいたします。
  26. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 第一点の御質問は、NGOの範囲をどうとらえていくのかという御質問であろうかと思います。  この法律では、助成対象となる民間団体は「民間の発意に基づき活動を行う営利目的としない法人その他の団体」というぐあいに法律上規定しているわけでございます。したがって、国の特殊法人といったような公法人、また営利目的とする企業なんかはこういったものには含まれず、したがって対象とするのは財団法人社団法人等といったような非営利法人のほかに、いわゆる権利能力のない社団も広く含むというぐあいに考えているところでございます。  それから、実質的な内容についての御質問もあったわけでございますが、この制度は、国費とそれから民間の浄財を財源といたしまして、民間団体地球環境保全活動支援するものであるということでございますので、そういった財源をもとにしているということから、その助成対象となる活動内容についてはやはり慎重な配慮が必要になってくるのではなかろうかというふうに考えております。  例えば、特定のグループの人だけが恩恵を受けるというようなことは必ずしも適当ではないのではないかというぐあいに考えられますし、その活動が真に地球環境保全に役立つかどうか、その成果は広く国民や開発途上国住民等に及ぶものであるかどうかということを検討し判断する必要があろうかというふうに考えているわけでございまして、それは団体の属性によるということではなしに、その対象となる活動内容等に従って判断されるべき事項である、こういうように考えております。  それからもう一つ、外務省と緊密な連絡をするというようなことになっているが、この趣旨はどういう趣旨なのかという御質問だったかと思います。  この業務の支援対象となる民間団体活動につきましては、まさに草の根の創意工夫によって多様な内容が含まれるわけでございますし、またこれらの団体は、その活動推進上、さまざまなニーズに対応してそういう活動をやっているということが考えられるわけでございます。そこで、環境事業団がこういった多種多様な民間団体環境保全活動に対しまして円滑かつ効果的に支援を行っていくためには、やはり関係機関等から情報を得たりその提供を求める必要があるというぐあいに考えられることから、関係機関等との緊密な連絡に関する規定を本業務についても適用することとしたわけでございます。  その中で、特に外務省をその例示として挙げたのはどういう趣旨がという御質問であろうかと存じますが、これは、先ほど御説明申し上げました支援対象となる活動の相当部分が開発途土地域における海外の地域で行われるものであるという性格があるわけでございますので、そういった事情にかんがみまして、特に外務省におきましては、海外の現地事情、またこの基金による助成対象活動につきまして現地の評価の把握といったような面で緊密な協力を得る必要があるということから、地球環境基金開発途土地域等で行われる事業が多くを占めているという特性にかんがみまして、そういう趣旨のものを挙げたわけでございます。  御心配は、外務省からそういったようなものが行われる場合に、事業団は適切に事業判断をやっていくことになろうかどうかということであろう かと思いますが、本制度の運用はやはり環境事業団が責任を持って行う。したがって、外務省等からそういった助成事業の実施上有用な情報が寄せられる場合に、事業団が責任を持ってこれを適切に判断し対処していくということになっているわけでございます。     〔細田委員長代理退席、委員長着席〕
  27. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 わかりました。つまり、NGO活動については、その活動内容住民ニーズがまず第一なので、思想、信条にはとらわれないというふうに私たちは受け取りました。  それから、外務省には協力の委任であって、アドバイスを受けることはあるけれども、基準にはならない、参考材料というふうに受けとめてよろしいのではないかと私自身思いますが、地球環境基金によるNGO助成は何といっても地球環境の保全というのが第一義であって、これは環境庁にしかできないことだというふうに思っております。一方の外務省のNGOへの助成は、外交政策上の判断が働く場合が多いというふうに聞いておりますので、ここはやはり他の省庁とは違う、まず地球環境を守るのだという立場役割をしっかりと認識してくださいまして、独自の判断を働かせていただきたいというふうに思います。  ところで、助成の判断や決定はだれがどのようにするのでしょうか。運営委員会で審議がなされるというお話ですが、委員のメンバーはどのような方をお考えになっていますでしょうか。また、寄附を出す市民やNGOの声を代表する立場の人が少なくとも複数、二人か三人は入るべきだというふうに思いますが、どうでしょうか。また、的確な判断やNGOニーズを理解できる方が必要と思いますが、その点についてもお伺いしたいと思います。
  28. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 まず最初に、本件が地球環境保全目的とした制度であるということから、地球環境保全が主たる判断要因になるというようなことはもちろんのことでございますが、現地におきまして問題を起こしたりするようなことは、やはり地球環境保全を長期的に効果的に継続する上において重要な点でございますので、そういう点はやはり考慮の中に入ってこざるを得ないということは申し上げざるを得ないというぐあいに考えます。  それから第二に、運営委員会の構成につきましてどういうふうに考えているのかということでございますが、運営委員会につきましては、この制度の運用全般について有効性とか信頼性を確保する観点から設けられるものであるというぐあいに考えるわけでございます。そこで、具体的な構成等につきましては今後の検討事項でございますが、国民一般の声、また地球環境保全に取り組むNGO事情、一般の声を反映できるような方々について、学識経験を持っている人々の参加についても十分配慮していく必要があるというぐあいに考えているわけでございます。  委員会委員数等の詳細につきましては、これから、本委員会の有効かつ円滑な運営が図られるというようなことで、各方面の意見を聞いて十分検討してまいりたいというぐあいに考えております。
  29. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 ありがとうございます。NGO意見を取り入れていくことは私どもも大変重要なことだというふうに思っておりますのできれば複数の方を、一人では選定の困難さや一人のキャラクターによって影響されることが多いことを考えて、複数の方をメンバーとして考えていただきたいと強く要望しておきたいと思います。  次に、もう少し細かい点について質問いたします。  住民に貢献しているか否かについては大変難しい問題があります。特に海外のNGO活動が一番問題になると思うのですが、植林事業などでも、ユーカリの植林事業のように、ユーカリは養分を非常に早く吸収し土地をからしてしまう。また、その葉の中には毒性を持つものが多く、必ずしも地域の方に歓迎されていないケースもあると聞いております用地域の人に受け入れられているか否かの判断については慎重さが要求されると思いますが、その点についてどのようにお考えか。また、慎重な判断で助成をしたNGO事業が、事業の半ばに残念なことに住民に貢献していないことが判明した場合、また環境保全上の問題が生じた場合、中止または改善のためのシステムは考えられているでしょうか。そしてそのような場合、だれがどのような形で行うのでしょうか。また、援助の形ですが、一括で支給でしょうか、分割するのでしょうか。途中打ち切りは可能でしょうか。この辺のシステムをお伺いしたいと思います。
  30. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 事業実施の細部にわたる御質問もございまして、これからこれは環境事業団と詰めていかなければならぬ部分もあろうかと思いますが、概括的に申し上げまして、助成事業の実施に当たっては、環境事業団民間団体の要望を受けまして、地球環境保全にどのくらい役に立つかまた開発途土地域住民等ニーズヘの対応の度合いはどうなっているか等々につきまして慎重に審査を行いまして、先ほど申し上げました各界の有識者から成ります委員会意見を聞いた上で決定しようとしているわけでございます。  次に、助成を決定した後、それではフォローアップをどうしていくかということでございますが、これは、必要に応じ適宜活動状況報告等を求めることといたしまして、万一個別具体の活動に問題のあることがわかったような場合には、環境事業団が当該民間団体活動に是正を求めたり、必要があればまた助成決定の変更、取り消し、助成金の返還も行い得るようなことを考えていく必要があるのではなかろうか。そういったようなことは助成金交付要綱においても明らかにしていく必要があるのではなかろうか。これは、資金の源泉が国の税金及び国民の浄財によっているところであるから、やはりそういったような性格のことはやっていく必要があるのではなかろうかというぐあいに考えておるわけでございます。  それからさらに御質問は、具体的な支給の方法等についてでございますが、これはちょっと事業団の方とあわせて検討しなければならないのではなかろうかと思いますが、対象とするNGO我が国の場合、先ほど御紹介申し上げたように必ずしも強くないという実情を考えていかなきゃならぬ側面と、それからもう一つ制度の的確な運営を図るという二つの面からこれは検討していく必要があろうかと思うわけでございます。せっかくの基金ですから、お金が生きるように出さなければならぬというようなことから、この両面を考えまして、適切に対し得るような制度のあり方というものを研究してまいりたいというぐあいに考えているわけでございます。  大体こういった作業をそれではどういうところを通じてやるかということでございますが、こういう助成事業の実施につきましては、先ほど申し上げました運営委員会というものを設けまして、事業団において適正、的確、有効性を持ったように運用していくというようなことを考えておるわけでございまして、そのほかにまた新たなシステムをつくる必要があるかどうかということは、現段階ではそのようなことまで考える必要はないのではないかというぐあいに考えております。  ただ、やはりこの制度に関しては国民の理解と協力を得るということが必要でございますから、広報等を通じ、またこの制度に寄せられる要望というようなものは広く聞いていく必要がある、特に制度の発足に際しては注意深くそれらに耳を傾けていく必要があるというぐあいに考えております。
  31. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 なぜこのようなことを申し上げるかといいますと、ODAの中には住民からの強い抵抗運動が生じたケースもあります。ですから、環境保全になると単純には言いがたい造林事業の現状が各地で見受けられるわけです。  例えばここ二年間ほど、オイスカがインドネシアのバリ島やスラウェシ島でマングローブの植林事業をしております。笹川平和財団の支援を受けた事業ですが、かつて日本の企業がマングローブを伐採してエビの養殖場をつくっていた。住民に とっては従来の生活スタイルを破壊されて当時問題になったのですが、やっと現在の生活になれてきた。ところが、今になって今度はその養殖場に緑化事業ということでマングローブの植林を始めた。現地の住民生活がエビの養殖によって支えられている現状なのに、住民と話し合わないまま事業が行われていく。それは生活も脅かすことになるわけなんですね。一見環境保全事業に見えても地域の人々の生活とはかけ離れている場合があるわけです。こういった場合、やはり何らかのシステムが必要というふうに思いますが、いかがでしょうか。
  32. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先生指摘になりました固有名詞につきましての御議論はちょっと避けさせていただきますが、本制度による具体的な助成案件につきましては、先ほど申し上げましたように、民間団体からの要望を受けた上で、その活動地球環境保全という観点から見まして本当に有効であるかどうか、また開発途土地域における住民ニーズ等に見合ったものであるのかどうかということにつきましては、十分環境事業団が審査し、決定する必要があろうかというぐあいに考えているわけでございます。  そのときに、その決定が国民の意向に合っているかどうか、または一般的な情勢に見合ったものかどうかということにつきまして、各方面の有識者から成る委員会意見を聞いてやる必要があるというようなことを考えているわけでございまして、こういった事柄のほかにさらに、助成した案件につきましては、実績報告を求めるとか必要に応じて環境事業団の職員等を現地に派遣することを含めまして、所要のフォローアップ調査を行うことも必要ではなかろうかというぐあいに考えているわけでございます。  こういった仕組みを通じまして助成事業の実施については円滑、適正を期し得るのではなかろうかというぐあいに私どもは考えているわけでございまして、さらに新たなシステムを必要とするかどうかということは目下のところ考えておらないわけでございます。
  33. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 現実論からいいまして、環境事業団助成を決定したその判断が批判されていくようなシステムはだれもつくりたくないだろうなというふうに思うのですね。でも、広く市民の寄附を募る、そして国費も使われるという両面から考えますと、やはりきっちりと第三者機関を設けるということは当然だというふうに思うのですね。  NGO活動ではありませんが、パプアニューギニアにおきますステティン・ベイ・ランバー社、これは日商岩井の現地子会社なんですが、このランバー社が行った二つの造林事業について、JICAが一九九一年三月に作成した調査報告書の中で、造林の影響についてのアンケートがあります。このアンケートの中には、造林により環境上の大きな変化があったことを現地の人々が答えています。例えば、八〇%の現地の人が動植物が大幅に変化したと答えています。また、除草剤を使用しているとも書かれ、明らかに環境破壊が起きたことがわかります。  このように、事前、事後を問わず、そのチェック機能も必要と考えますが、これはその調査研究、情報収集とも関係してまいりますし、他の省庁の行うNGO助成にもかかわる共通の問題といたしまして環境庁役割としても大変重要なことだというふうに思いますが、その辺のシステム、例えば現地に派遣ということがありましたけれども、もう一つ運営委員会にチェック機能を与えるお考えはないでしょうか。私、第三者機関というふうに申し上げましたら、それは考えないかのような御返事でしたけれども、そこをちょっときちんと伺っておきたいというふうに思います。ぜひ前向きにお願いしたいと思います。     〔委員長退席、細田委員長代理着席〕
  34. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 この資金の源泉が国民の税金と国民の浄財を基礎としているということからこの事業が適正に行われる必要があることは、先生指摘のとおり言うをまたないところでございます。  そこで、運営委員会のようなものを設けまして助成事業の信頼性、有効性また公平性を確保したいというぐあいに考えているわけでございますが、同時に、どういう事業助成をするかということは、広く国民に知っていただくということから、これを公表するということも非常に大事なことではなかろうかというぐあいに考えております。  それからさらに、事業の実施に当たりまして環境事業団がどのように対処するかということを申し上げたところでございますが、それに関して申し上げますならば、やはりこれは国費が入っておりますから客観的には会計検査院の検査の対象にもなることでありますし、また、運営委員会は翌年の助成事業の選択に当たってフィードバックを行って実績を反映し得るという道もあるわけでございまして、そういったような事柄を通じまして先生のおっしゃるような面の確保を図ってまいりたいというぐあいに考えております。
  35. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 ありがとうございます。せっかく援助したNGO活動が、地域の住民に貢献していないばかりでなく、かえって悪影響だったというのでは話になりません。地球環境基金も、仏つくって魂入れずの制度にならないように、やはり万全の体制をつくっていただきたいというふうに思います。  大変環境庁としては自信をお持ちのようですけれども、それでは、その環境庁は、どんな訴えにも耳を傾けて常に国民世界の市民あるいは現地の地域の人々の声を聞くという開かれた機関としてのスタンスがおありになるということで確認させていただいてよろしゅうございますね。
  36. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先ほど申し上げましたように、この制度を運用するに当たっては、やはり地球環境保全という目的に即して国民の意向または外国の事情等をいろいろと見ていかなければならぬということは確かでございます。そのために我々としては、広く情報を収集する必要もございますし、また、皆さん方の意見を聞いていく必要は十分あるというぐあいに考えておるわけでございます。
  37. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 その姿勢に大いに期待したいと思います。  次に、たくさんのNGO援助の申請をした場合、その援助の決定について、また、助成された資金の使われ方について、また、先ほど述べた途中または事後のチェックで問題が生じたこと等の報告について、広く国民に知らせていただけるということでございます。公平性、客観性があったかどうかを知らせることが、やはり国民に対する地球環境保全行動の啓蒙、啓発NGOに対する自助努力にもつながるというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、開発途上国における助成規模についてお伺いします。一団体で平均どの程度を想定しておりますでしょうか。  貨幣価値の異なる国に対する援助は、ODAのときにもよく言われることなんですが、できるだけ小さく、地域に即応した援助が、つまり等身大の援助が望ましいと思うのです。地域の人々とともに活動するという点でもふさわしい規模があると思いますが、その点についてお考えがありましたらお聞かせください。
  38. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 この制度は、先ほどもお答え申し上げたのですが、開発途土地域における住民等ニーズに即応し、かつ地球環境保全観点から意義の高い活動を重視していく必要があるというぐあいに考えるわけでございまして、そういった視点から、助成対象となる民間団体予算規模等の面で上限や下限を設ける必要があらかじめあるのかどうかということに関しましては、私どもは現段階でもまだそこまで考えておりません。実際に運用をいたしまして積み重ねをした上で、それを考えるべき必要があるかどうかということは、数年たった後あるいは考える必要があるかもしれませんが、現段階ではそのような必要は考えておりません。  そこで、予算規模等の小さい団体であっても、その活動が草の根の環境協力にふさわしくて、地球環境保全観点から意義があるということになりますれば、それは、執行能力が十分あるということを見きわめた上で助成対象となり得ることはあるというぐあいに考えております。
  39. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 できるだけ多くの団体事業助成するためにも、きめの細かい配分をしていただきたいというふうに要望しておきます。  それと、常にNGOで問題になりますのは、人件費、事務費、そういった維持費の不足だということなんですが、単に物を買うことへの援助だけでなく、ソフト面の調査研究など、NGOの多様なニーズに応じて十分に対応すべきと考えますが、その点についてはどうお考えでしょうか。
  40. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 この制度は、やはり民間の自発的な活動地球環境保全に資するものを助成するということでございますので、その民間活動の存立そのものをお手伝いするということは、やはり民間団体が自発性を持って活動なさるということを否定することにつながっていくのではなかろうかというようなことから、民間団体運営経費そのものについてまで助成するということは私どもは行き過ぎではなかろうかというぐあいに考えております。  ただ、民間団体がそういった地球環境保全活動を進める上に当たって必要な情報を提供したり人材を育成するため研修を行ったりするようなそういった事柄については、やはり十分助成をしていく必要があるのではなかろうか、その辺はやはり区別して考える必要があるのではなかろうかというぐあいに考えております。
  41. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 わかりました。  もう一つ忘れてならないのは公害の問題だというふうに思いますが、日本では、一九六〇年代から、産業公害による被害の反省がさまざまな公害防止や予防策を模索して今日に至っております。昨年の地球サミットでも積極的にその役割を果たす努力をしたのではないかと思っていますが、残念なことに、開発途上国においてはいまだそのメカニズムさえ知られていない、開発のみが先行している現状があると思います。  そういう意味で、公害防止及び改善、公害の測定や知識の普及をする事業に対しての助成は考えているでしょうか、どうでしょうか。
  42. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 微妙なところに関する御指摘でございます。私どもは、産業公害の防止というのはやはり産業そのものが公害を出さないように努めていく、またそのような対策をとっていくことがまず大事じゃないだろうかというぐあいに考えているわけでございまして、したがって、産業公害を防止するために民間活動がやらなきゃならぬという前に、そういうようなところは産業にやっていただきたいというのが偽らざる本音でございまして、その周辺で民間団体にそういったようなふさわしい活動があるかどうかということに関しては、やはり慎重に考えていく必要がある、そこは産業助成につながってもならないわけでございまして、その辺は慎重に考える必要があるわけでございますが、本来、やはり民間団体として、その知識の普及とか、またはそういった公害測定を行うためにふさわしい事業が仮にあるとするならば、そういったようなものをあながち否定すべきではない。ただ、産業公害は産業がしっかりやるべきだという前提に立っての議論でございます。
  43. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 他の省庁の方に聞いていただかなきゃならないというような答えではないかと思いますが、私たちの歩んできた公害の歴史は二度と繰り返してはならないというふうに思っております。そういう意味で、公害防止の活動はできるだけ広い範囲でとらえていただきたいというふうに思います。  最後に長官にお伺いいたします。  長官の施政方針演説の中にありましたアジア・太平洋地域における国際環境協力と研究ネットワーク事業に関連しお伺いしますが、この点について、二月二十三日の斉藤一雄委員質問に対して、研究のネットワークづくりへのリーダーシップをとって貢献していきたいというふうにお答えになっていらっしゃいます。ぜひ頑張っていただきたいのですが、さらにもう一歩進めて、NGOと協力、連携をしてアジア・太平洋環境サミットを開催し、公害の防止とともに地球環境の保全のための行動のリーダーシップをとるお考えはおありでしょうか。NGOとかかわっている事業団を含めた環境庁挙げての取り組みを期待したいのですが、いかがでしょうか。
  44. 林大幹

    ○林(大)国務大臣 岡崎先生の御質問にお答えいたします。  アジア・太平洋地域における環境問題に取り組むにつきまして、サミットが必要ではないかという御質問でございますが、私も全く同意見でございまして、実はこれを事務当局に指示いたしておりまして、既に構想も固まってきておりますが、先生おっしゃるように、この地域はもう大変開発途上国が多いという現象と、それからまた、それだけにこれからの高い成長が見込まれるところでもあるわけであります。  しかし、日本でもこういう経験を今日までしてまいりましたので、それが一つ環境対策に対する大きな教訓になっておるのは、地域公害をいかに克服するか、そしてまた地域公害からその犠牲になっておる方々をいかに救済するか、そういうことについて日本は大変な一つの苦い経験を持ちながら、しかも、それを将来に生かす道も開きつつあるわけでございます。したがいまして、そのようなことをやはり開発途上国に改めて経験させたくないという気持ちも私自身は持っております。  したがいまして、開発途上国環境担当の責任者が一同に集まりまして、この地域における環境問題をお互いに議論し合う、あるいはそこからまた一つの答えを見つけていく、そしてまたお互いに力を合わせてその問題の解決のために力が尽くせる、そういう意味におきましても、今度の地球環境基金というものが大きく育っていけば、それなりの大変重要な意味もまた生まれてくるものと私は思います。  いずれにしましても、このアジア・太平洋地域における環境担当の閣僚も含めた各国のリーダーが集まるサミット、これを実は今、エコアジア93と銘打ちまして、できればこの夏日本で開きたいということでございますが、もしまたエコアジアの計画内容について今あれば、地球部長あたりに御説明させる機会もあろうかと思いますが、そういうことで鋭意取り組んでおります。
  45. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 大変前向きな姿勢に心強く思います。私どもも応援させていただきたいというふうに思っております。  もうちょっと時間がありますので、最後に長官にもう一言お伺いしたいと思います。  局長のお答えの中にも、開かれた環境庁として、さまざま行われた事業についての公表が行われる、あるいはまたお互いの情報も交換し合っていく、そういうふうな大変前向きな今度の仕事になろうかと思われておりますので、開かれた環境庁であるということで、長官にも一言お言葉添えをお願いしたいというふうに思います。
  46. 林大幹

    ○林(大)国務大臣 お答え申し上げますが、私は、先生の今の御質問環境庁としても当然取り組まなければならない大きな基本的な姿勢だろうと思っております。  特に環境問題は、私が申し上げるまでもありません、環境委員会の諸先生は、やはりお一人お一人がすばらしい環境問題に対する専門家でもありますし、それから日本の現状についても最も詳しく分析されておる先生方でございます。その先生方のお気持ちの中には、やはり環境行政は開かれていなければならないという共通した念願が存在するものと私は思っておりますが、なぜ開かれなかったのかという点に思いをいたしますと、人間はどうしても我が身を大事にしたいというエゴがありますね。このエゴの生活の姿が時に環境破壊しても、それはもう気がつかない、あるいは環境破壊することに対しての責任も感じない、そ してまず自分のエゴイズム、それを通していきたいということになりがちであります。  したがいまして、ともすれば開かれるべきものが開かれざる姿で取り組まれておるということもありがちでございますので、これはほかの省庁も同じでありますけれども、ほかの省庁も恐らく開かれる省庁という形で努力されると思いますけれども環境庁におきましては、とりわけ自然と人間との共生、協和ということがありますから、大いに開かれた環境行政に進んでいきたいと思いますので、これからも諸先生の御指導を賜りたいと思います。
  47. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 私たちもともに頑張ってまいりたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。
  48. 細田博之

    ○細田委員長代理 田中昭一君。
  49. 田中昭一

    田中(昭)委員 まず具体的な質問に入る前に、今回のこの法案の提起については私どもは賛成の立場でございまして、積極的にこの種の問題については具体的に取り組まなければいけない、こう思っております。  そこで、長官に冒頭お聞きをしたいのですが、環境庁という庁の設置目的であるとか任務であるとか、そういうものについて改めてこの際お互いに確認をし合うことが必要ではないかな、こういう気持ちを実は持っております。  環境庁の任務としては、いわゆる公害の防止であるし、自然環境の保護、それから国民の健康で文化的な生活の確保に寄与する、こういうことが述べられておるわけであります。今、地球環境の問題であるとか公害の問題であるとか、やはり人間が健康で文化的に生きていくということを考える場合、環境庁の今後の任務、責務というのは極めて重要ではないかな、こういうふうに思っておりまして、そういう議論の中から環境庁環境省に昇格をするなどという議論が出てくるのは私は当然だと実は思っているわけでありまして、そういう意味から、まず環境庁の今後の任務のあり方などについての基本的な考え方を、冒頭に少し長官にお伺いをしたいと思います。
  50. 林大幹

    ○林(大)国務大臣 田中先生の御質問、大変重い御質問でございます。確かに環境庁の設置法の第三条に規定されているその果たすべき任務というものは先生が今申されたとおりでございまして、そこで、先生といたしましては、それだけの重要な環境保全、自然保護というようなことを考えて、しかもそこに住む人間のあるいは国民の健康、そしてまた文化的である生活というものをいかに確保するかということも踏まえてのことでございますので、それには環境庁そのものを省に昇格させる必要もあるのではないかという、環境庁にとりましてはこれは改めて自分の、環境庁というものの足元を見なければならないという大変厳しい御質問とも受けとめるわけでございます。  今の省庁の設置につきましては、当然国家行政組織法もその道を示しておりますし、それから、片よりは省に昇格した方が力も強くなるし、行政規模も大きくなるという一般論も考えられるわけでございますけれども、ただ、現実の私の今の立場からしますと、田中先生がおっしゃってくれましたから大変ありがたい、大賛成でございますというお答えはできないわけでございます。私は、やはり現在取り組んでおります国家行政の枠組みの中で果たさなければならないということでありますので、省になれば省になっただけのことも国民に対して、国家に対して責任ある行政を通さなければなりませんけれども、現在は庁でありますので、庁の中で序として置かれているその仕事に専念せざるを得ない、専念することによってその責任を果たしたいという気持ちであります。  先生御案内のように、庁の場合には、これは広い意味におけるいろいろな情報を集め、問題点を素直に聞くということから始まるわけでございますので、今の環境庁としてはいろいろな条件を素直に聞いていく、そして先ほども言いましたように、開かれた環境庁という形で運営していくためにも、誤りなくいろいろな意見を十分に聞いて、その上で環境庁としての正しい行政を進めていくということが私に与えられた任務である、そのように受けとめてございます。先生の御質問意味は十分心に体しておきます。
  51. 田中昭一

    田中(昭)委員 私は、ここで庁を省にしなさいとか強くそれを要求するという意味で言ったわけではございませんので、やはり環境庁に対する国民の期待というものが極めて強いわけですから、そういう議論の中で一つの例としてそういう議論もあるということを申し上げたわけでありまして、今長官が言われたような立場で今後とも環境問題に積極的に具体的に取り組んでいただきたいということを申し上げたかったわけです。そういうふうに御理解をいただきたいと思います。  そこで、具体的な質問に入らせていただきますけれども、今回、今後の地球環境保全取り組みの中では民間団体活動が極めて重要である、こういう立場から基金制度創設をする、こういう提案になっておるわけでございます。目的などについてはそれなりに理解をし受けとめておるつもりでありますけれども基金制度を今回創設をするという目的であるとか理由であるとか、そういう点についてもう一つ冒頭にお聞きをしておきたいと思います。
  52. 林大幹

    ○林(大)国務大臣 このたび、地球環境基金制度創設する目的事業団法の改正を今諸先生に御審議をお願いいたしておりますけれども地球環境問題が大変今まで地域的に、あるいはまた公害発生というようなことで、ある意味においては限定された地域をもとにしてずっと進んできたこの十数年の動きの中から、今回、やはり地球環境というとらえ方で物事を考えていかないと抜本的なあるいは根本的な環境対策の解決にならないということがありまして、地球環境問題が大きく今我々の目の前に横たわってきたわけでありますが、そのためにもその問題そのものを、現下における最も緊急な、そしてまた最重要な環境政策の課題であるという受けとめを環境庁としてはいたしております。  この地球環境問題の解決のためには、国の取り組みはもちろんこれは重要でございます。しかし、先生も御案内のように、環境問題になりますと十七、八の省庁にそれぞれかかわった幅広い対応が迫られておりますので、それぞれの省庁はそれなりに取り組んでおりますけれども、それだけではなかなか地球環境という問題になりますと取り組み切れない問題も出てきておりますので、そういう中からさらに民間の自主的な、そしてまた積極的な取り組みをぜひこれから指導していく、あるいはそのような仕組みをつくっていくことが必要であろうということで、国民の各界あるいは各層が力を合わせて地球環境に取り組めるという環境基金を設けることも一つの大事な政策となるのではないかということで、今回の基金を設けることを決意いたしまして、今諸先生の御審議を煩わせておるところでございます。
  53. 田中昭一

    田中(昭)委員 そこで、基金規模なんですが、提案によりますと、平成五年度の予算措置としては環境事業団の出資金が十億と環境事業団の補助金が五億円、こうなっておるわけです。今後の計画をどう拡大をしていくのか、展望していくのかという問題。いわゆる予算の継承性、来年度ずっとそういう予算の継続性があるのかないのか、この基金というのをどのくらいの規模を考えて、今後年間計画としてはどういうふうに考えておられるのか、将来のことを今回をスタートにしましてどういう規模にしていこうと考えておられるのか、この辺について少しお聞かせをいただきたいと思います。
  54. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先生政府予算措置についての御指摘でございました。  この制度は、国と民間の双方が力を合わせまして民間団体地球環境保全活動支援していこうということでございます。そこで、私どもといたしましては、具体的な案件に即した助成応募等をまだ得ていない段階で将来の見通しを確たるものとして申し上げるわけには、まだ現段階で至っておらないわけでございますが、しかし、地球環境保全という目的重要性からかんがみまして、こ の事業は相当規模に達するまでやはり充実をさせていく必要があるというぐあいに考えているわけでございます。  そういう意味で、民間の浄財、御寄附をいただくに当たっては、広く広報活動に努めるということをやっていきます一方、御指摘政府予算措置につきましては、やはり私どもといたしましては、地球環境保全に対する活動がある程度安定的にできるためにはある程度基金を持つ必要があるというぐあいに考える一方、しかし財政事情もございまして、現在のような金利が低い時代におきまして基金だけに頼って多額の親金をちょうだいし得るような財政状況にはないということを考えますれば、やはり直接的な助成費用というような、本年で申し上げますと五億円の補助金ということになるわけでございますが、そういう道をあわせ考えながら基金事業充実を考えていく必要があるというぐあいに考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、私どもは、今後の、将来のこの事業重要性を考えますれば、数年間にわたってやはりこの両面を充実させていく必要があるというぐあいに考えているところでございます。
  55. 田中昭一

    田中(昭)委員 よくわかるのですが、政府以外の民間からの出捐金という提起もございますが、今も若干説明があったのですが、政府以外の民間からの出場金ということについて、これも対象であるとか規模であるとか、それからどういう呼びかけ方をするのかなとという具体的な考え方がおありになるのかどうなのか、そして、政府以外の民間からの出堀金をいただいた場合に、その団体は税制上何らかの特典などがあり得るのかどうなのか、そういう点を含めまして、今の質問と関連をしてもう少しお聞かせをいただきたいというのが一つ。  それからもう一つは、日本の場合には縦割り行政ということがいろいろ言われますけれども、外務省が平成元年度から国内NGOに対する事業補助金制度というものをつくっておると聞いておりますし、それからまた国内外のNGOに対しても小規模な無償資金協力制度というものをつくっておる、こういうふうに聞いております。また、郵政省が平成三年から国際ボランティア貯金というものを実施している。これは予想以上にたくさん集まっているわけで、これらの問題が同じような趣旨目的で使われていく、こういうふうに理解をするわけですが、これらとの関連を含めまして、こういう問題についてはもう少し統一的な対応ができないのかどうなのかという疑問を持つわけですが、この点についてのお考え方を少しお聞きをしたいと思います。
  56. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 まず最初に、政府以外からの御寄附を願う者についての考え方等の御質問でございます。  募金の対象者についての考え方でございますが、この制度は国と民間が力を合わせて民間団体地球環境保全活動支援しようとするところでございますので、この制度趣旨国民各界各層にやはり広く広報、普及するということを通じて国民、企業等から幅広く御寄附を募っていく必要があるのではないかというぐあいに考えるわけでございます。そこで、現時点で民間拠出の具体的な目標とか方法を固めているわけではございませんが、こういった制度趣旨にかんがみまして、国民や企業の積極的な協力が得られるように、私どもは適切な広報とか呼びかけ等の措置を講じていくようにしてまいりたいというぐあいに考えるわけでございます。  それから、一番大事な御指摘がございました。企業から、また個人からの御寄附につきまして税制上の措置を考えるのかということでございます。私どもといたしましては、幅広い協力が得られますように、損金算入、所得控除等の税制優遇措置を講ずることといたしまして、今政府部内でこれは折衝中でございます。  それから次に、外務省にNGO事業補助金とか、また郵政省に国際ボランティア貯金というものがあって、それらとの関係をどう考えていくかという御質問であったと存じます。  御指摘のように、外務省のNGO事業補助金それから小規模無償資金協力といったようなものは、これは我が国の外交政策の見地から開発途上国の経済開発また民生の安定等を目的として、一定のNGOの国際協力事業に補助をするということを目的としているものでございますし、また、郵政省の国際ボランティア貯金制度は、これは郵便貯金の利子の一部を預金者からの寄附として申し受けまして、開発途土地域住民の福祉の向上に寄与するNGO活動に配分しようとするようなものでございます。  そこで、こういった制度はそれぞれの趣旨目的がそれぞれ変わっておりまして、またその目的に基づいて助成対象範囲につきまして決めていくというようなことから、私ども環境保全活動がその中に入るといたしましても、それはそういった目的に照らして入り得るという視点から入ってくるということから、環境保全分野はやはりその事業活動の一部にすぎない。また、医療、福祉、農村開発といった事業と並んで行われるという点で大きく違っているというぐあいには考えるわけでございます。  しかしながら、個別具体の活動に即して考えますならば、やはり他の制度による助成と重なり合うところがあるんじゃなかろうかという点は、これは御指摘のとおりで、その可能性は否定できないわけでございますが、やはり、それぞれの制度が限られた資金で有効、適切に運用され、また関係する諸団体の多様な助成ニーズに適切に対応していく必要があるというぐあいに考えているところでございます。  そういう意味から申し上げますなら、私どもが御提案申し上げております地球環境基金については、まだまだこれから伸ばしていくべき事業のものであるというぐあいに考えておるところでございますし、具体的な事業の実施上必要がありますならば、外務省、郵政省等の関係機関とも緊密な連絡をとりながら、調整を図った上で、私どもとしては所期の目的を達成するようにこの制度の円滑な運用を図ってまいりたいというぐあいに考えているわけでございます。
  57. 田中昭一

    田中(昭)委員 わかりました。それで、国際ボランティア貯金の場合も税制上の問題などについては未解決の点がございまして、そういう意味では、民間からの出捐金に対する税制上の問題などについては、局長言われるように、さらに努力をいただきたい、こういうふうに思います。  そこで、次の質問ですが、主務大臣というのがまた追加になりまして、これは今日の行政機構の中では必要があるかなという気もするのですが、環境庁長官のほかに厚生、農水、通産、運輸、建設、それぞれ主務大臣がいるわけで、ふえたわけで、そういう意味では、助成を具体的に実施するという場合に非常に手続が煩雑になったり、また時間がかかったり、各省間の手違いが出てきたり、こういうことが考えられないかというふうに思うのです。手続の簡素化とか迅速化という面でも、ここらの主務大臣がたくさんおる中での業務の統一化という問題などについて、きちんと今申し上げましたようなことが可能なのかどうなのか、その点について少しお考え方を聞いておきたいと思います。
  58. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 御指摘のように、環境事業団につきましては、その管理運営当たります主務官庁としての環境庁のほかに、これまで個別業務の内容に応じまして厚生省、通産省、建設省が主務官庁として参加しておったわけでございます。これらが引き続き地球環境基金につきましても主務官庁として参加を得るほかに、新たに今度は農林水産省と運輸省に主務官庁として参加いただくということを御提案申し上げているわけでございます。  その趣旨といたしましては、従来の三省庁が、廃棄物、資源リサイクル都市緑化といったようなどちらかと申しますと都市向き、都市内型の取り組み官庁であったのに対しまして、地球環境保 全に関する民間団体活動の中にはやはり森林とか海といったようなものをフィールドにしているような事業が新たに加わってくるわけでございます。そういった業務を取り扱っておりますところ、こういった事柄に関する環境保全を主として担当している農林水産省、運輸省というものに今回御参加いただいたわけでございますが、これらの省庁が入ることによって事務が煩雑になったり事務が遅滞するというようなことがあってはならぬということはまさに御指摘のとおりでございまして、その辺につきましては、管理運営に責任を持つ環境庁といたしましては十分注意をしてまいりたいというぐあいに考えます。  それから同時に、手続について民間団体の負担にならないように簡素迅速化を図っていくべきであるという御指摘でございます。  この問題につきましては、やはり制度趣旨に適合して国民の信頼を得ていくということが非常に重要でございますので、そういった面での慎重さは必要とするわけでございますが、それと同時に、やはり民間団体の積極的な発意に基づく活動を円滑に促進していくということも重要でございます。手続の面等で十分配慮することによりまして公正な運用が図られるよう、十分御意見を踏まえて対処してまいりたいというぐあいに考えます。
  59. 田中昭一

    田中(昭)委員 それで次に、例えば助成対象となる団体というのはどういう団体なのかという問題、いわゆる助成をするという判断基準、どういう活動をしている団体とかどういう性格の団体とか、こういうものについては助成をやるという判断基準みたいなものが極めて必要じゃないかな、こう思うのですね。この辺がよくわからないわけです。例えば長良川堰の環境を守るために反対をしている団体がありますね。これは助成対象になるのですか。一生懸命環境を守るために頑張っている場合、これは一つのわかりやすい例なんですが、対象団体というのは一体どういう基準によって選定をするのか。例えば国連の憲章七十一条では、国連との協議資格を持つ非営利団体NGOという規定が国連の場合にはあるように、どういう団体をこの対象とするのかということは極めて重要だろうと思うのですが、この点について少し具体的にお聞きをしたいと思います。
  60. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 助成対象となる団体についてでございますが、地球環境基金事業対象となる団体につきましては、「民間の発意に基づき活動を行う営利目的としない法人その他の団体」ということでございますので、形式的な要件といたしましては、財団法人社団法人等のほかに権利能力なき社団を含めまして、国の特殊法人とか地方公共団体、また企業は含まないということになるわけでございます。  それでは、そういう形式的要件が整う中で実質的にどういう団体対象としていくかということでございますが、これは、本制度助成民間団体の行う具体的な活動そのものに着目をして行うということでございますので、その具体的な案件における活動目的、方法等を踏まえながら、その活動が本制度地球環境保全という趣旨に合致しているかどうかということにより判断していく。その判断をするに当たっては、運営委員会意見等を聞きながら有効性、信頼性、公平性を保つように制度運用したいというぐあいに考えているわけでございます。そういうところで、国民の浄財、国民の税金を原資としているというようなことから、国民の間に意見の相違があったようなものについて対象とすることが適当かどうかということにつきましては御意見のあるところだろうかと存じます。  それから、先生お触れになりました国連憲章七十一条との関係の御質問でございますが、国連憲章七十一条の規定によりまして、国際連合の「経済社会理事会は、その権限内にある事項に関係のある民間団体と協議する」ことができるという規定がございまして、その規定によって六百余りの団体がその対象にされているものというぐあいに承知しているわけでございますが、これは国際連合がその機関を運営するに当たっての規定でございまして、一方、私ども地球環境基金日本制度で、それ自体目的を持った制度でございます。したがって、国連憲章七十一条に言う民間団体とは特別の関係も持たせる必要はないというぐあいに考えております。
  61. 田中昭一

    田中(昭)委員 この助成をやる対象団体を選定するのは一体どこがやるのかという問題、これもひとつはっきりしてほしい。それで、運営委員会を設置する、こう提起があるのですが、運営委員会というのはどこの条項を見てもこの法案にはないわけですね。これは私の見落としか何かわかりませんけれどもないわけで、この運営委員会というのが法的にどういう位置づけ、機能があるのか、どういう機能を持つのか、あるいはこの運営委員会のメンバーというのは一体どういう人たちを選定するのか、ここが例えば助成をする対象団体の選定などもやるのかどうなのか、この辺がどこを読んでもよくわからないわけです。  したがって、対象団体をどういうふうに選ぶのかという問題は極めて重要ですし、また、運営委員会を設置するのだけれども運営委員会というのはどういうメンバーでどういう機能を持ってどういう仕事をするのか、ここのところもよくわからないので、もう少しきちんとお聞かせいただきたいと思います。
  62. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 失礼いたしました。御説明不足でございました。  運営委員会につきましては法律上どこにも書いてないじゃないかということでございますが、これは御指摘のとおりでございまして、この運営委員会は、環境事業団基金業務を行うに当たってその適正さを確保するという観点から、業務方法書の中でその設置根拠等を定めることとしているところでございますので、おっしゃるように法律には書いてございません。この法制上の取り扱いにつきましては、他の類似の基金でもやはり同じような取り扱いをしているということに倣ったところでございます。  そこで、この地球環境基金制度は、先ほども申し上げましたように、国、国民、企業等の幅広い資金拠出を得まして、民間主導の地球環境保全活動支援することを通じて地球環境保全に向けた国民運動の展開を図ろうとするところにあるわけでございまして、その視点から、環境事業団における事業の実行上その適正さを確保する視点からこの地球環境基金運営委員会を置くということにしているところでございます。したがって、助成対象となる民間団体及びその対象事業につきましては、運営委員会意見を聞きながら環境事業団がその責任において選定するということにするわけでございます。  ただ、それにつきましては、先ほども申し上げましたように、どういう事業、どういう団体に対して助成したかということを国民に広く公表するということを考えておりますのと同時に、この委員会運営を通じて公平、適正さを保持してまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
  63. 田中昭一

    田中(昭)委員 今の局長の御答弁によりますと、環境事業団が責任を持って助成する対象団体は選定をする、その際運営委員会意見を十分に聞く、こういうふうに理解していいわけですね。環境事業団がその助成をする対象団体をどういうふうに選考するかという基準などというのは今から環境事業団で作成をする、こういうふうに理解をしていいのですか。
  64. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 御指摘のように環境事業団の責任においてやる、その際に運営委員会意見を聞きながらやるということでございまして、どういう事業の段取りを行うかということにつきましては応募要綱、または助成金の交付要綱等を含めましてこれから検討し、つくっていくということに相なるわけでございます。ただ、このときには、制度の発足時でございますから、これにつきましては環境庁としても十分関心を持って事業団と協議し、作成に当たってまいりたいというぐあいに考えております。     〔細田委員長代理退席、委員長着席〕
  65. 田中昭一

    田中(昭)委員 今も再三申し上げたように、どういう団体対象にするのかは非常に重要なことだと思うのです。今からそういうことについては十分に配意しながらつくるということですから、その点についてはきょうはこの程度でやめておきたいと思います。  いずれにしましても、どのような団体がどういう活動をやって、その活動に対してどれくらいの助成をやったのか、そしてその団体がその後どういう活動をやっておるかということを公開していく、オープンにしていくということは極めて重要であると思いますから、その点については強く申し上げておきたいと思います。いいですか。
  66. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 御指摘のように、事業が適正に行われるかに関しましてはフォローアップも大事でございます。それから、助成対象事業について、これが国及び国民各界の資金拠出もとにしてなされているということから、国民に対して適切にその実施状況等を公表することは、拠出を求めるに当たっても重要な情報でございます。御指摘趣旨に沿って、フォローアップ及び公表等については適切に行うことを旨として考えてまいりたいと思います。
  67. 田中昭一

    田中(昭)委員 少し次元を変えまして質問したいと思うのです。  先ほど、環境庁の今後の任務、責務などについての質問を申し上げまして、長官からの御答弁をいただいたわけです。今環境事業団で、民間団体として地球環境問題、公害問題に真剣に取り組んでおる団体活動に対して助成金を交付するという点について議論を行ったわけですが、そういう立場から、例えば水俣病、あれだけの大公害が起きまして、再びこういう大公害が起こらないようにという支援団体がたくさんございます。そういう団体は、今の議論でいきますと対象になるのですか、ならないのですか。例えば、昨年六月、前の環境庁長官参加をされたわけですが、地球サミットがございまして、この際、NGO主催のグローバルフォーラムが開かれました。この中で、御承知のように有機水銀中毒という水俣と同じような現象がイラクとか中国とかカナダ、特にアマゾンでは大変な問題になっておるわけで、日本の水俣の悲劇を再び繰り返さないということで、そういうことが起こらないような取り組みをやろうではないかということを提起をいたしまして、今取り組みが進められておるという状況がございますが、こういう団体対象になるのですか、ならないのですか。ここのところを少し聞きたい。
  68. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 御指摘のように、制度といたしましては、対象となる民間団体は、形式的要件からいたしますれば、民間の発意に基づき活動を行う営利目的としない団体ということでございます。したがって、形式的な要件には該当することになるわけでございますが、本制度助成対象となるかどうかということになりますと、それは、民間団体から具体的に助成応募がありました活動がこの法律の目的制度趣旨に適合するかどうかということでございまして、そういう視点から判断していく問題だというぐあいに考えます。  それから、例えば水銀汚染に関して我が国民間団体が国際的取り組みを行うに当たって地球環境基金助成対象となるのかどうかということでございますが、具体の案件につきましては、助成を受けたいという事業内容を見た上で判断すべき事項でございまして、あらかじめそれを申し上げることは困難であろうと思うわけでございます。  一般的に申し上げれば、助成応募対象開発途土地域環境保全、それが産業起因の公害防止であったような場合には、地球環境保全としてやる必要があるのかどうか、産業公害防止の視点からそれをアプローチすべきであろうかどうかを十分踏まえる必要があると同時に、その活動目的、方法とか現地の事情はどうかといったような個別具体の事情を見ながら、この制度に適合するかどうかという判断をしていくべき事柄であろうというぐあいに考えております。
  69. 田中昭一

    田中(昭)委員 頭から否定をするという立場ではないという御答弁だというふうに受けとめておきたいと思います。  長官にお伺いをしたいのですが、三月二十五日に熊本地裁で第三次訴訟第二陣の判決が出されたわけです。御承知のとおりでございまして、国には、食品衛生法、水質保全法、工場排水規制法上の規制権限を違法に行使しなかったことによって水俣病の被害が拡大したということで国の責任あり、県の場合も、食品衛生法上、規制の権限を違法に行使しなかったということで県の責任がある、こういう原告勝訴の判決が出されたわけです。  これに対して、もうこれも長官御存じと思いますけれども日本の四大新聞すべてが、例えば朝日ですと「責任論争で時間を空費するな」、これはもうこの際、国は決断をして和解による解決を進めるべきであると。それから、読売の場合も「水俣問題の解決に政治決断を」と社説で強い主張をしているわけです。それから、毎日の場合でも「政治判断で水俣病救済せよ」、こう言っていますし、日本経済新聞の場合にも「国に和解迫る水俣病判決」ということで、いずれも私はこれは世論だろうと思っているわけです。  こういう判決が出て、マスコミを初め世論が、これはこの際何とかしなければいけない。時期も、次のこの委員会では環境基本法が提案をされる、こういう時期。そして、我が国世界における環境問題、公害問題の先進国として指導的な役割を果たさなければいけないときに、三十数年もこの公害問題が未解決だ。そして世論も司法も挙げて政治決断で解決すべきである、こういうことを言っている時期に、私は、水俣病問題については一定のけりをつける政治的決断のときがいよいよ来た、こういうように思うのですが、この点について長官はいかがでしょうか。お考え方をお聞きしたいと思います。
  70. 林大幹

    ○林(大)国務大臣 田中先生にお答えいたします。  三月二十五日の熊本地裁の判決をどう受けとめて、これにどう対応するつもりかという御質問趣旨であろうと思いますけれども、実はこれから申し上げますことは、田中先生の御質問に対して何か大変後ろ向きのような印象を受けられますと残念なのでございますけれども、率直に言いまして、国としましては、国自体に賠償責任はございませんという考え方をもとにして従来からずっと係争してまいった事件、事案でございます。しかし、今度の熊本地裁の判決は、国に賠償責任を認めている判決をいただいたわけでございます。したがいまして、これは従来の国の主張を理解していただくことができなかったということで、極めて厳しい判決というように受けとめてございます。  しかし、それでは今後その対応をどう考えるのかという御質問になろうかと思いますが、実は、国はあくまでも賠償責任というものを認めていなかった主張が通らなかったということから見て、関係の省庁、環境庁一つ質問題がありますけれども、ほかの省庁もありますものですから、関係省庁とも十分意見を調整して対応しなければいけない、それによって国の態度を決定したいということで、まだ結論は出ておりません。
  71. 田中昭一

    田中(昭)委員 責任論の問題なのですけれども、結局、国には賠償責任ないという判断が出なければこの問題の解決には踏み出すことはできない、今要約しますとそういう御答弁だろうと思うのですよ。しかしそれは、結局国がお気に入りの判決が出るまでは控訴したり上告したりしまして、最終的には最高裁でなければ結論出ないことなのです。  ところが、みんなが言っておることは、最高裁まで行って最終的な結論が出るという道を選ぶとすれば、これはもう今世紀中には間に合わない、被害者はみんな年寄りですからもう死んでしまう。みんな死んでしまって、そして最高裁で仮に国の責任ありという判決が出た場合には、一体国はどういう責任をとるのかという問題などを含めまして、これは熊本県も言っていますし、チッソ も言っているわけです。この間の委員会質問の際には、県もあるいはチッソもまだ和解で最終的にまとめて解決を図るということは聞いていないということをおっしゃいましたけれども、しかし、これも御存じのように、国、県も何らかの責任を感じるべきだという県の従来の主張の延長線上にあって、和解による問題の早期全面解決に向けた国の政治判断を期待する、これは県の態度なのです。それから、チッソの方もいろいろ言われておりましたけれども、確認事項ができ上がっておりまして、「水俣病問題の全面解決のために国が和解協議に出席されることを期待しています。」それから「水俣病問題解決のために、当社は自助努力をすることはもとより、国などの金融支援等が得られるよう努力いたします。」こう言っているわけなのです。和解では責任論、病像論含めて一致しないと言ったのが、これはするわけですよ、できるわけです。そういう意味では、今回の判決を契機にしてやはり何らかの政治的決断をして和解によって解決をする以外にこの問題の解決の道筋はない、こう思うのです。  それで、長官のところにも判決が出て以降原告の方から要請書が出てきておると思うのです。この要請書を見られますと、奇異に感じられたのではないかなと思うのですね。普通ですと、これだけの判決が出ますと、この判決に従うべきである、国は賠償責任をきちんと認識すべきである、こういう要請になると思うし、したがって控訴はするな、こういう要請になると思うのです。これは常識だと思うのですね。ところが、この原告からの要請文にはそんなことは一言も書いてなかったと思うのです。控訴をするなという文章もなければ、この判決に従えという要請もなかった。  要請書というのは、和解によってこの際解決をしよう、こういう要請書が出されたと思うのですが、それはなぜかといいますと、控訴をするなとかあるいは判決に従えということではこの問題については解決ができない、したがって和解によって話し合いで解決をする以外にこの問題の解決はない、そういう判断に立ったからそういうことを要請として環境庁長官にもお願いをしたわけで、この点はやはりこの時期に環境庁長官として決断をすべきじゃないかなと私は思うのですが、これはいかがですか。この時期を逃したら絶対に解決つきませんよ。そして、最高裁に行って国に責任ありという結論が出たときに原告は全部亡くなってしまったという場合に、国はどのような責任をとるつもりなのですか。そこのところを考えた場合に、和解による解決以外に道はないのではないでしょうか。もう一回お伺いをしたいと思います。
  72. 林大幹

    ○林(大)国務大臣 先生の御意見につきまして、実は基本的に二つの考え方に対してそれぞれ決めていかなければならないと思います。一つは、三月二十五日の判決にどう対応するかということ、もう一つは、今先生が後段でおっしゃいました和解の問題でございます。  実は、もう先生方御案内のように、医学的な所見に基づいて、この方々は大変お気の毒ですけれども水俣病患者と認定しますという認定患者が二千九百四十五名おります。さらに、水俣病患者と認定するのはなかなか難しいけれども、しかし諸般の情勢から救済措置を考えるべきじゃないかということで、総合対策の枠内で今いろいろお手当てをお願いしている方が約三千名余りございます。つまり、両方合わせまして約六千名近い方でございますね。今度、和解につきましては、それ以外の方々も含めて和解の枠の中でいろいろ御心配いただいているというのが実情でございますが、そこで、今回の水俣病判決につきましても、我々は、三権分立の中で司法の判決、判断については、これは厳粛に受けとめなければならないわけでございます。  ただ、もう既に先生方御案内のように、東京地裁あるいは新潟地裁においては、これは必ずしも国の責任論そのものを表から責任ありと決めつけた判決は出ておりませんし、それから、熊本地裁におきましては、その前の判決においても国の責任論に触れてございますし、今回もそうなっております。  したがって、行政当局として国民に対して御理解いただくためには、この問題を控訴に持ち込むのか、あるいは素直にこれを受けとめるのか、その辺についてはやはり慎重な判断をしなければならない。つまり、裁判所の、最高裁、高裁、地裁という三段階の進め方がございますものですから、その中で、どういう形で国民に納得していただけるのか、理解していただけるのか、そういう判断をどの時点でお願いできたらいいのかということがありますので、それでは今の時点だけで決められる、確定していただけるということなのか、あるいはまだ控訴しないと国民に対して説明つかないということになるのか、それらにつきましてはやはり関係省庁の意思をまとめなければなりませんので、まだまとめ切れていない段階と承っておりますが、いずれにいたしましても、この問題につきましては一日も早く解決に持ち込みたいというのが、これは我々の気持ちでもございますので、解決の道をどこでつけるかということに大変苦慮しておるのも実情でございます。
  73. 田中昭一

    田中(昭)委員 時間が来ましたので、これでやめますが、解決の道をどこで決めるのか、長官がいろいろ悩みながらお考えになっていることについてはよくわかります。私は再三言いますように、この時期こそ決断をしなければならない時期だ。東京地裁は確かに国勝訴になっています。しかし、国勝訴ですけれども、解決をするという、政治的な解決をしなければいけないということは東京地裁の判決でも明らかになっているわけですから、私は、そのことも踏まえましてこの際勇気ある決断をぜひしていただきたい、そのために関係閣僚会議環境庁長官の責任で開いていただいて、何とかしなければならないのではないかという議論を再度やっていただきたいということを最後に申し上げまして、終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  74. 原田昇左右

    ○原田委員長 岩垂寿喜男君。
  75. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 地球環境基金を設けて民間主導によって内外の環境保全活動助成するということは大変結構なことだというふうに思います。そういう意味で賛成の立場で若干の質問をしてまいりたいというふうに思っております。  法案趣旨をちょっと拝見しますと、その説明の中で、もって地球環境保全に向けた国民運動の展開に資するものというふうに書いてございます。えらい大きな目標を掲げたものだというふうに思うわけですが、それも結構です。結構なんですけれども、それにしてはお金が少しみみっち過ぎるのではないだろうか。  と申しますのは、皆さん御案内のように、東京都でも百億ですね。私どもの神奈川でも、トラストの基金が百億で、この種の基金というものは六億、両方合わせれば百六億です。地方自治体がそれだけの金額をいろいろな形で助成しようとしているときですから、国ももうちょっと踏ん張ってほしかったな。率直に申し上げて、最初から十億、五億でやったわけじゃないと思うのですが、環境庁はどのくらいの腹づもりで予算の折衝というか、要請をなさったのかということをまずお尋ねしておきたいと思います。
  76. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 御叱正でございますが、平成五年度の基金の要求につきましては、政府における予算の要求の段取りといたしまして、シーリング制度というものを設けておりますことから、政府予算要求をいたしましたのは十億でございます。しかし、この問題につきましては、与党の環境部会の先生方の応援をいただきまして、補正予算で何とか手当てをできないのか、また、事業の発足時からある程度事業規模を確保するような知恵はないものかということでいろいろ御議論をし、その上で決定を見たものが、政府が当初要求しておりました出資金の十億の要求に対する計上に加えて、基金事業に対する補助金五億円の計上をさせていただいたところでございます。  そういうことでございまして、財政事情が極めて厳しい中では、いろいろな方の御協力を得ながら最善の努力をして得た予算の計上額ではないか と思いますが、地球環境保全重要性にかんがみ、これで私ども満足しているということではございません。これからの民間の要望等を背景にしながら、この基金充実には今後も十分努力してまいりたいというふうに考えております。
  77. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 国の基金に積み増しの目標というのはやはり必要なんですよ。後ほどお話ししますけれども政府は、こんなテンポで、ここらのところで、例えば二〇〇〇年なら二〇〇〇年でいいんですよ、どの辺まで積み増しをしていきたいなということを明らかにすべきです。そういう目標を持ちませんと、基金というものは育っていきません。その点についてはどうですか。
  78. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 おっしゃる趣旨もよくわかるわけでございますが、私どもとしてはまだ具体的な案件に即した需要の態様というものも見ておらない。そこで、私どもとして、夢というんですか、希望というものは、これはあることは事実でございますが、こういう公式の席でそういうことを申し上げるまでにまだ確度を持ってはいない。したがって、私どもとしては、基金充実につきましては関係者の賛同を得ながら十分充実させるべく努力をしてまいりたいという答弁で御勘弁いただきたいと存じます。
  79. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私は、大石武一さんと力を合わせて緑の地球防衛基金というのを財団法人で発足させて、今でも常任幹事という仕事をしています。それから、ついせんだって環境庁の御協力もいただいて発足した、これは社団法人でございますけれども日本ナショナル・トラスト協会、これも理事という役割を仰せつかっております。日本野鳥の会の理事も実はやっております。また、WWFJなどのメンバーでもございます。そういう意味では、こういう基金活動にずっとかかわってきました。  ところが残念なことに、これは国民性と言っていいのかわからぬのですけれども、なかなかお金が集まりません。しかし、いろいろな努力をして、それなりに積み立てをして、そしてその利子というか果実で、あるいは直接それを援助対象にしている。こういういろいろな積み重ねの努力というものを振り返ってみますと、国が音頭をとるからというふうな安易なことではやはり無理です。だから、基本的には、国がこれだけの熱意を持ってやるよ、育てたいよ、したがって民間にも御協力を願いたいということを呼びかけていきませんと、なかなかそのことは達成しにくい、困難だということだけは、これは私なりの経験で申し上げておきたいというふうに思います。  そこでお尋ねをいたしますが、助成対象が一、二、三とございまして、本邦内の民間団体開発途土地域における環境の保全を図るために行う活動、二つは、本邦以外の民間団体開発途土地域における環境の保全を図るための活動、三として、本邦内の民間団体が本邦内においてその環境の保全を図るために行う活動というふうに分けでございます。細かいことを伺おうと思ったのですが、時間もございませんし、それからまた前の岡崎さんや田中さんも質問をしておられますから触れませんけれども、一、二、三、多少バランスを持って発足時には対応なさろうとしていますか。
  80. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 一、二、三のバランスをとって当初から発足するかという御指摘でございます。  これにつきましては、こちらから割り当てるということではなしに、民間団体の方から助成の要請をいただいて、それをもとにして検討するというようなことから考えておりますので、こちら側からこうしたいということをあらかじめ申し上げるということはあるいは適当ではないと思うわけでございますが、本邦以外の民間団体による開発途土地域環境保全活動については、当初からそれほど出てくるというふうには私ども想定しておりません。むしろ国内民間団体活動を主体として考えていくべきではないかという漠然たる考え方は持っております。
  81. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私も実はそういう認識に立ちます。国際的なことはもう申し上げる必要もないと思うのですが、日本NGOというのはなかなか育ちにくいですね。でも、企画力や宣伝力やというふうなことを通してメンバーをふやしていく、そのメンバーをふやすことによって財政的なファンドもあるいは活動の分野も広くなってきている、そういう団体幾つかあります。きょうこの席上で名前を挙げようとは思いません。しかし、幾つかあります。  問題は、このNGOをどう育てていくかというところに実はこの役割、この目的を生かす一番近道があるんじゃないかというふうに感ずるわけですね。そんな点をこの際申し上げておきたいと思います。調査研究とかあるいは研修とかということも大事ですけれども、一般的に事務所も大もというような話に持っていくつもりはございません。しかし、そのことも場合によってはやはり考えてあげなければいけない面がある。その点はよろしいですね。
  82. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 その辺は先ほど岡崎委員の御質問にお答えしたかと思いますが、私どもとしましては、やはり民間の自発的な活動ということでございますので、民間の自発的な活動そのものに対して、すなわち民間団体の組成そのものについてまで立ち入っていくということは、逆に民間のボランティア性を失うことになるので、それは適当でないというぐあいに考えております。ただ、地球環境保全を行うに当たってどういった活動がそれに役立つものとか、どういったようなことをすればいいのか、またボランティア活動をするに当たっての一種の研修といったような基盤整備事業に関しましては、私どもといたしましては、これは積極的にやっていく必要がある。すなわち、ここで申し上げました調査研究、情報収集それから研修、そういったものについては重きを置いて考えていく必要があるというぐあいに考えております。  それからもう一つは、先生が一番最初に触れられました、こういった活動を行うに当たって民間団体活動そのものが重要だというような意義を高める上においての広報活動というものも、私どもはかなりウエートを持って考えていく必要があるんじゃなかろうかというぐあいに考えております。
  83. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そこで、重要なことを二、三お願いをしたいと思うのですが、例えば私がかかわってきた中でも、知床の原生林を守っていくという運動、あるいは白神山系の青秋林道のブナの原生林を守っていく、あるいは屋久島の瀬切川流域の照葉樹林を守っていく、こういう運動が地域の住民運動としてある。しかし片方では、林野庁は林野庁の方針でそれを切ろうとしている。最終的にはそれをストップしてくれました。それは林野庁の積極的な対応であったというふうに私は思います。  時に政府の政策と運動が対立する場面というものがございます。それから海外でも、例えば熱帯雨林を国策として切ろう、しかし、それは環境やその地域住民生活ということから見て何とかひとつ守りたいという運動と対立する場面というのは往々にしてあります。これは、ナルマダ・ダムの問題も申し上げるまでもありませんし、あるいはまた、AREのことを指摘するまでもございません。要するに、国策と住民運動が対立する場面というのは往々にしてあり得ると思うのです。  その場合にどっちを優先するかということになれば、私は、住民ニーズを基本とするということをぜひ八木橋さんから御答弁いただきたいし、先ほどからそういうふうに答弁をいただいていますから、確認の意味でまず押さえておきたいと思います。  それからもう一つは、それを担保するためには、やはり助成の公平性というか公明性というものを確保するというある種のシステムが必要だというふうにも思うのです。そういう意味で、運営委員会がそれを選ぶのだ、運営委員会が選んで、それは事業団が責任を持ってやるのだ、それはそれで結構です。しかし、今のようなことを考えると、最低限運営委員会の構成というのをここで明らか にしておいていただかないと、どんなことになるのか。後は任せておいてくださいよ、率直に言ってこれでは済みません。  これについて、NGO参加というようなこともございましたが、今のようなことを担保するために一体どういう運営委員会の構成をお考えになっていらっしゃるのかということをここですっきり示しておいていただきたい。これはまだ決まっておりませんのでこれからやりますというようなことでは、この法案の仏つくって魂入れずということになりかねない。その点だけ御答弁いただきたいと思います。
  84. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 この基金の考え方といたしましては、環境保全熱意と関心を持つ人々が参加し、その発意に基づいて活動を行う民間団体を応援していくということでございます。そういう意味におきまして、開発途土地域住民等ニーズに応じた草の根の国際協力を進めるということは極めて重要であるというぐあいに考えているところでございます。  現実にそういった事業をどう選択していくかという上において、今度は運営委員会の構成が非常に重要でないかという次の御質問に移るわけでございますが、私ども運営委員会として考えておりますのは、先ほど申し上げましたように、この事業運営の有効性、公平性、信頼性を高めていくという視点からこういう委員会を設ける必要があるというぐあいに考えているわけでございまして、そういう意味におきましては、これは利益代表というよりは、大所高所からこういった事柄について意見を述べられるような方々に御参加願う必要があるのではないかというぐあいに考えております。  そういう意味で申し上げますならば、やはり地球環境保全ということを目的とする以上、民間の発意や開発途土地域住民等ニーズへの対応といった問題等についても見識を持っているような方々に入ってもらうことが重要ではなかろうかというぐあいに考えます。
  85. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 御答弁は長いのですけれども、中身がさっぱりわからぬのですね。見識を持っておられる方々を参加されるといったって、見識はいろいろな見識になるわけですから。  私が言いたいのは、企業や市民からお金を集めるという面が一つある。それから、政府が出すという面もあるでしょう。それと、そういう面の学者、専門家、そしてNGO、こういうようなジャンルで、平均的にNGOの気持ちが生きるような、そして住民ニーズを吸い上げることができるような、そういう民主的な運営委員会のあり方を求めたいと思いますが、おおむねその方向で御努力いただけるのでしょうねと確かめておきたいが、いかがでしょうか。
  86. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 実際に助成する対象NGO活動でございますから、御指摘のような点を踏まえて、そういう事情がわかる方も加わって運営委員会運営されることが大事ではなかろうかということだろうと思います。そういう御意見も踏まえながら選定に当たってまいりたいというように思っております。
  87. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 だって、私が言う以外にないんじゃないですか。それ以外にないじゃないですか。だから、いうようになんておっしゃらないで、やはりそれは、そういう努力をしてまいりますと一言簡単に言えばそれで済むじゃないですか。いかがですか、もう一遍。
  88. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 その線に沿って努力してまいります。
  89. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 きょうは、お忙しいところ大変申しわけないのですけれども、この法律の主務官庁となる、またなっているところもあるのですが、新しくこの法律によってなる厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省、建設省の担当の皆さんにお越しをいただきました。大変お忙しいところ恐縮でございます。  私がなぜお招きしてお願いしようとしているかというと、これだけたくさん集まりますと、それが縄張り争いを始めたら大変なことになるし、いろいろ自分のところの主張だけ強いと、船山へ上っちゃうということでございますので、力を合わせる、つまり合力という観点を、皆さんにぜひ委員会法案審議の過程できちんとお約束をしておいていただきたいなと思うのです。  そこで第一は、やはり環境破壊をしないというための行政の上での積極的な努力は重要だと思う。しかし、にもかかわらず、それに対していろいろな意味住民が対立する場面があることも考えておかなければなりません。そういう民間団体を育成していくということでございますから、主務官庁におなりいただく以上は、民間、役所を問わず、この基金を少しでも大きくするために各省庁の御協力を煩わしたいと思いますし、その立場から、各省庁どんな御協力がいただけるのか、お尋ねをしておきたいと思います。  お忙しいところ、何回かおわびをしながら、御答弁をいただきたいと思います。順序は、この法案の説明資料の中にある順序で結構でございます。厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省、建設省、こんな順番で結構だと思います。
  90. 三本木徹

    ○三本木説明員 地球環境基金助成対象活動一つといたしまして、民間団体国内において住民参加を得て行う廃棄物の減量化あるいは適正処理の推進のための活動や、開発途土地域での廃棄物処理技術の指導などがこの基金では考えられているわけでございます。  厚生省といたしましては、こうした分野にかかわります行政を所管しております立場から、対象となり得る民間団体に対しまして積極的な取り組みを指導するなど、民間や国からの貴重な拠出金が有効に使用されますよう、この基金に係る業務の適切な運営最大限の協力をしてまいりたいと考えております。
  91. 坂野雅敏

    ○坂野説明員 お答えいたします。  農林省では、従来から、熱帯林、砂漠化それから海岸美化など、活動を積極的に推進しているところでございます。  このたび、地球環境基金の設立に伴いまして、当省も主務官庁としてこれまでの知見それから実績を生かしながら関係省庁と十分協力し、連携をとりつつ、地球環境基金の業務が円滑に実施されるよう、今後とも努力してまいりたいと考えております。
  92. 清川佑二

    ○清川政府委員 お答えいたします。  通産省ではこれまでも環境事業団の業務に関しまして主務官庁として関与してきたわけでございますけれども、今後、また新たな業務といたしまして、リサイクルの推進というようなことにつきまして業務が行われるというふうになるわけでございます。  通産省は、御案内のとおり、リサイクル法の施行等を含めまして再資源化というような事業を随分行っております。このような行政経験も積んでおりますので、この意味でも、環境庁と密接な連絡を図りながら、基金の円滑な運営に努めてまいりたいと考えております。
  93. 柴田耕介

    ○柴田説明員 運輸省では、交通公害の防止や海洋汚染防止等、運輸省としてその有する知見や経験を生かせる分野を中心に、今後幅広い分野での活動を予定しております地球環境基金の円滑な運営に積極的に協力してまいりたいと考えております。
  94. 澤井英一

    ○澤井説明員 環境問題の対応は建設行政にとりましても最重要課題一つと考えております。このため、都市緑化もとより、公共施設の整備、技術開発、観測の実施、国際協力など、さまざまな取り組みを現在推進しております。こうした取り組みを踏まえまして、民間団体によります地球環境保全活動を幅広く私ども支援していきたいというふうに考えております。  このため、環境庁を初め関係省庁との連携のもとに、事業団業務の円滑な運営に必要な提案なり協力といったものを積極的に行っていきたいと考えております。
  95. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 お忙しい皆さんにお越しをいただいた意味は、今のような御答弁をいただくこともありましたけれども、もう一つは、各省庁がいろ いろな事業を進めます。その場合に、環境の保全と対立するというか、あるいは住民の要望と対立をする場面というのは往々にしてあるわけです。もうここでは指摘をするつもりはございません。そのときに、そういう団体も、環境を守るという観点からいえば、この法案助成団体として該当する団体というのはあり得ると私は思うのです。そのときに、それはだめだよ、おれのところの仕事を邪魔するような団体はだめだよと言われたのでは、何のことはない、政府公認のNGOというか、政府が認めたNGOしか届かないという議論になっちゃうと思うのですね。そうすると、この民間団体のということが強調されていることの意味が非常に小さくなってしまう。  そういう意味で、各省庁とも、関係省庁が主務官庁になった以上は、ぜひひとつそういうことにも寛容だというか、そういうことにもっと開かれたというか、そういう行政的な対応を求めたいということでございますので、その陳情をしたかったわけであります。もう御答弁はいただきません。もうちょっとお願いをしたいと思うのです。  事務方で結構ですが、実はおととしかその前かもしれませんけれども、御存じだと思いますが、ICBP、国際鳥類保護連盟という組織がございまして、私のところヘインボーデンという事務局長がお見えになってレッドデータブックの話と要望を受けました。環境庁にもお願いしたのですけれども、そこでは、アジアの鳥類保護のためにアジアのレッドデータブックをつくるために日本政府並びに日本民間団体に協力をしてほしいという要望がございました。それを環境庁に取り次いだことがございます。  実は、ヨーロッパはもうかなり前からできていまして、それをもとにしてこれからの鳥類保護のための仕事をどういうふうにやっていくかというような話を進めた結果として、事業のインフェリオリティーを決めるような役割の基礎になったわけですけれども、割合に運動が前に進んで、特に東欧地域のNGO活動が非常に活発になったというふうに言われています。アフリカは一九八六年にICBPが中心になってデータブックができています。去年のことでございますけれども、コロンブスの新大陸発見五百年を記念して、これはスペイン政府が費用を出しまして南米のレッドデータブックをつくり上げました。すると、あと残っているのはアジアだけなのです。  率直なところ、こういう国際貢献の中で日本役割を果たすということがとても大事じゃないかなというふうに思いますね。全額それは国がというような議論にならないと思うのですが、やはりぜひ、一億ぐらいなんです。三年か何かかかるのですけれども、金額のことは別として、つまりその程度のものであって、しかもグローバルなネットワークを補完するということにもなるとすれば、これは高い評価を受けることになるだろうというふうに思いますが、この種のことが今度の基金の要するに助成対象になるのかどうか、この辺を御答弁いただきたいと思うのです。
  96. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 ただいまお聞きした限りで的確にすぐお答えすることは難しいと思うのですが、一般的に、今お聞きしたところでは、地球環境保全の見地から国際的に意義があって我が国民間団体がやるにふさわしい、または国際的な連携をもってやるにふさわしい事業であるということになりますれば、それは助成対象になり得るものというぐあいに私どもお聞きいたしました。  ただ、国際的にそこの穴を埋めるということであるとするならば、むしろ国家的にも意義のある事業なのかどうかということになりますと、民間活動として助成対象にするのか、それともむしろ環境保全として正面からとらえていくべきなのか、その辺の議論はあるいはあるのかなというふうに今お聞きしたところでございます。
  97. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 大臣に御答弁をいただきたいと思うのですが、今局長からも御答弁をいただきました。確かに、小さいファンドからたくさんの基金をというようなことになると、ほかの方が大変圧縮されるという傾向もあります。けれども、ICBPというのはかなりもう国際的に大きな役割を果たしているし、認知されている団体NGOです。そういう点では、国がもっと何かの形で貢献できるかなということについて、長官にもしお考えがあるならば前向きに御答弁をいただければ大変ありがたいと思います。
  98. 林大幹

    ○林(大)国務大臣 岩垂先生の御質問の中で、特に絶滅の危機に瀕しておる鳥類、これを取り上げまして、レッドデータブックなどをつくるということで大変な御尽力をなさっておることを伺いまして、感銘しております。  環境庁としましてもやはり、鳥類に限らずに、一たん絶滅すればもう復活することはほぼ絶望しなければならないというような自然の姿でありますので、特に今、鳥類につきましては、それなりに岩垂先生の御高見あるいはまた先生の持っておられる御経験を生かしていただきまして、こういう問題に対しても積極的に取り組んでいきたいと思っております。
  99. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうもありがとうございます。  八木橋さん、これは助成なんですけれども、先ほどもちょっと触れられた方の質問がありましたけれども、単年度で、そして毎年報告書を出せというふうにやっていかれますと、途上国の諸君というのは特にそういう事務能力やら機能が十分備わってませんものですから、なかなか大変だということがあるし、それから仕事を続けるということ自身の中に環境保全に対する関心を呼び起こしていくという意味もあるものですから、単年度主義ではなくて、うんと長いというわけにはいかなくても、ある程度中期的な事業をぜひ助成対象にも加えてほしい、こういう要望を現地のやっている人たちの気持ちも含めて伺っておりますので、ちょっと御答弁をいただきたいと思います。
  100. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 事業の有効性を発揮させるまでには、何年か継続をしてやらなければ効果を発揮し得ない事業もあるということは、御指摘のとおりだろうと思います。  そこで、私どものこの基金制度は、一応単年度単年度で計画を審査していくということになろうかと思いますが、御指摘のような事情があるということを踏まえまして、複数年度にわたる長期的な事業につきましては、全体計画をお聞きしながら、その事業自体が適正、円滑に実施されるというようなことを旨としながら運用をする必要もあろうかとも思います。御指摘趣旨を踏まえて、運用の面でどういう工夫がなし得るか、考えてまいりたいというふうに考えます。
  101. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 外務省、環境関係ODAは、アルシュ・サミット以来三千億とか、それからこの間のブラジルで九千億から一兆みたいな話が出されております。国際的な関心事にもなっております。今後の計画などをぜひお聞かせいただきたい、これが一点。  それから、先ほど質問田中議員がしておりましたけれども、この事業と外務省がやろうとしている民間団体NGOに対する補助、あるいは小規模な無償援助といいましょうか、環境関係してやっていくという計画との競合関係というものがやはり心配だという指摘もありました。その辺の役割分担に対する考え方。  それからもう一つは、外務省と連絡をしてというのですけれども、外務省はどっちかというとODAの方を考えますから、ODAは国と国の関係ですから、国と民間団体は国と国との関係とは必ずしも一致をしない。しかし、そのことは配慮しながらも民間団体助成していくという考え方なんですから、若干そこは矛盾が出るわけですね。だから、余りこれによって外務省に連絡を密にして云々ということになってしまって切り捨てられてもたまったものではないという感じがするのですが、そんな懸念を払拭する意味でも、外務省から御答弁を簡単にいただきたいというふうに思います。
  102. 黒木雅文

    ○黒木説明員 お答えいたします。  環境分野におけるODAの今後の目標でございますけれども、昨年六月の地球サミットにおきまして、総理から、九二年度から五年間で環境分野 への援助を九千億から一兆円をめどに大幅に拡充強化するということを発表しております。この目標額を単純に計算いたしますと、今後毎年平均一千八百億円から二千億円をめどとする協力を行うということになります。ちなみに、平成四年度、九二年度からの五カ年計画の一年度目でございますが、平成四年度につきましては、円借款のみで二千四百五十億円という規模になっておりまして、毎年平均一千八百億から二千億円をめどとする協力をするという目標は達成しております。今後五年間で九千億から一兆円ということで、政府といたしましては、この目標達成のために今後とも一層努力する所存でございます。  それから、二番目の御質問の、ODAでやっておりますNGO補助金それから小規模無償と今回の基金との関連でございますけれどもNGO補助金、小規模無償ともに我が国及び開発途上国におけるNGOに対する協力という点では基金と同趣旨でございますが、NGO補助金及び小規模無償につきましては、ODAであるということ、それから途上国における協力ということにおきまして今回の環境基金とは若干性格を異にするということがございますので、そういう意味では補完的な関係にあるというふうに思っております。
  103. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今最後の御答弁の中で、こっちはODAとは違うんだという御答弁は非常に意味のある言葉だと私は思うのです。つまりこっちは民間団体なんですね。そのときに、実はこの法案の中にも書いてありますが、外務省と密接な連絡をとって補助団体を決めていくということになっているものですから、ODA、つまり国と国との関係と同じように、そっちの国の方はそんなものはやめておけと言われているからやめちゃえというような議論に短絡しないような配慮を願いたいということを申し上げたわけでございますから、その点はよろしゅうございますね、性格が違うということをもう一遍確認しておいてください。
  104. 黒木雅文

    ○黒木説明員 先ほど申しましたように、ODAと非ODAであるという性格の違いがございます。しかしながら、環境基金につきましても、NGO活動で場合によっては政府間の問題になるという可能性もあり得るということから、外務省も一応緊密な連絡をいただくということになっております。
  105. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その場合に、NGOに対する助成なんだから、NGOというものを育てるという観点は外務省といえども貫くと、その点を御答弁いただきたいと思います。
  106. 黒木雅文

    ○黒木説明員 先生指摘のとおり、NGOを育成するという観点は貫くという考えでございます。
  107. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 厚生省はあとちょっと水道の質問があるもんですからあれですけれども、ほかの省庁の皆さんには大変忙しいところを御苦労さまでございました。ありがとうございました。  こういう仕事をやっていく上で、時節柄そんなことを言うわけにはいかないけれども、例えば海外にスタッフを派遣するということを考えた場合に、今の事業団の体制で十分だろうか、これを強化する必要があるんじゃないかという感じがいたしますが、その点はどうですか大丈夫ですか。
  108. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 事業団につきまして申し上げますならば、昨年環境事業団に変えていただきまして海外に目を向けた事業を初めてやるようになった、ことしはその二年目でございます。体制が整っているとは残念ながらまだ申し上げるわけにはいかない、私どもとしては、そちらの面の充実に関しては御指摘のとおり前向きに対応していくべきだというぐあいに考えております。
  109. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私、実は長いおつき合いの中で、公害防止事業団という名前だけでは十分ではないんじゃないかという意味で、広い意味環境というとらえ方が必要ではないかということを正田さんに何回か申し上げたことがございますし、環境庁の皆さんにこのことを進言してまいったことがあります。そして今、国際的な分野を含めて新しい仕事を担当することになるわけです。そういう意味では事業団の機能というものはやはり今の状態ではちょっと弱いんではないかなという意味では、強化をしてあげる必要があるなと思いますので、ぜひその点は御理解をいただきたいと思います。  この事業団法でぜひお願いしたいのは、一つは、助成をどこに幾らというそれを決める運営委員会、そのあり方、それは公正、公明、透明というようなことが必要であることは言うまでもないけれども民間団体助成するんだという視点を損なってはいけないということ、それから、ちょっとやそっとでこれは金が集まるという仕組みではありませんよ、だからそこらについて今からやはりいろいろなアイデアを考えなければいけませんねということを、私なりにささやかな経験で申し上げておきました。  大変恐縮です。事業団法は一応そこで区切って、まだ少し時間が余ったものですから質問をさせていただきたいというふうに思います。  実は、これも広い意味関係がないとは言えないわけですが、NOxの対策について、この前もちょっと質問しましたけれども質問をお許しいただきたいというふうに思います。  二〇〇〇年にNOxの環境基準をおおむね達成するということで、この前法律の審議をしたわけであります。けれども、そのときにも明らかになりましたように、達成が困難と見られる地域、とりわけ大都市においては、移動発生源だけじゃなくて固定発生源からのNOxの削減をも追求することが必要だということはもうおわかりになっていらっしゃると思います。  実は、私ども川崎では環境基本条例をつくりました。その環境基本条例のいわばガイドラインである、これから環境基本計画というものを決めていく。その中で、二〇〇〇年の移動発生源やあるいは固定発生源の目標削減量というものを設定しなきゃなりません。そういう立場で川崎なら川崎市が対応するということについて、環境庁としてはどうお考えかということをお尋ねしておきたいというふうに思います。
  110. 入山文郎

    ○入山政府委員 環境改善のために自治体がいろいろな工夫を凝らしまして独自の施策を講じていこうということは、これは私どもは望ましいことであると思っております。  そうは申しましても、こういった施策が的確に実施されるためには、国の施策との関係などにつきましても十分な調整が必要な場合も考えられるわけでございまして、環境庁といたしましては、今後御指摘の問題等につきまして川崎市から具体的な相談があった段階でよく検討し、それから適切な施策については支援をしてまいりたい、こういう立場でございます。
  111. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 御答弁で結構ですが、自治体のそういう自主的な取り組みというものはやはり厳しい状況に対応する施策でございますので、自治体のそういうイニシアチブを尊重するということは、もう一遍御答弁を煩わしたいというふうに思います。
  112. 入山文郎

    ○入山政府委員 できるだけ自治体の意図するところを酌み取って対応してまいりたいと思っております。
  113. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 NOx法のときの議論でもございましたが、特定地域内のディーゼル車について、最新適合車の代替の促進を図るために、国の具体的な助成にどんなことを考えていらっしゃるか、御答弁をいただきたい思います。
  114. 入山文郎

    ○入山政府委員 基準に合わない車の代替支援策といたしましては、平成五年度から新たに自動車取得税の軽減といった税制上の特別措置が講じられることになりましたし、また、中小企業金融公庫などによる低利融資制度も設けられたところでございます。  環境庁といたしましては、今後も関係の機関と連携を密にいたしまして、基準適合車に代替がスムーズに行われますように進めてまいりたい、このように思っております。
  115. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 特定地域以外の自動車対策として、地域内に流入する量の調査などを含めた地方自治体のこういう行動取り組みにやはり国が協力を いただきたいということが一点と、それから二〇〇〇年の達成が困難な地域についてはやはり特別な局地対策が必要だなというふうに思うので、その点を含めて支援策に取り組むという御答弁を一言だけいただければというふうに思います。
  116. 入山文郎

    ○入山政府委員 特定の地域外から入ってくる車もあるわけでございまして、これは基本方針等でも述べておりますように、できるだけ基準に適合する車を使っていただくように啓蒙してまいりたいと思っているわけでございます。  それから、局地的な対策についてでございますけれども、これはその地点の特性が多種多様でございますので、道路の構造でございますとかあるいは渋滞の状況など周辺のことをよく調査した上で、例えば植樹帯の設置といった道路構造対策、それから交差点の改良といった交通流の円滑化対策といったような局地汚染対策について検討して実施に移していくということになろうかと思います。このために、関係の機関ともよく相談しながら、少しでも早期の環境改善に向けて努力してまいりたい、このように思っております。
  117. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 最後の質問ですが、一昨日の朝日新聞によれば、日本水道協会の調査の結果として、水道水源の汚染が深刻になっている、七十六カ所で取水制限などの対策をとらざるを得ない実態が明らかになった、その理由として、飲み水の水源となる河川などが上流の開発や農薬、工場排水などで汚染されていること、あるいは森林の伐採や家畜のし尿の垂れ流しというのもその原因となっているということが指摘されています。そして、今や臭い水を飲んでいる人々というのは二千万人を超えているというふうに言われています。  我が神奈川県でも、実は取水口から二キロメートル上流の化学工場からの排水に含まれていたアンモニア性の窒素の影響で年に十数回も取水停止を余儀なくされたり、あるいは県民の水がめである相模湖や津久井湖に流入する水が山梨県の桂川、道志川などの水であることから、県民の安全でおいしい水を確保するためには水道水源の水質保全法のような法律の制定が必要だということを実は運動として掲げて、その運動が前進をしています。これはもう皆さんも御存じのとおりです。  そこで、環境庁も、水質環境基準の見直しや、水濁法に基づく、きのうも資料をいただきましたが、排水基準の設定や地下浸透水の浸透規制を中公審に諮問するなど、その対策を進めておられることを承知しております。厚生省も、水道水の水質基準の大幅な改定を行うとともに、水道水源の水質保全のための法案を予定するなど、総合的な対策を進めようとしている。  この際、これは実は環境庁と厚生省に私お願いがあるのです。実は、厚生省がこの法律の立法化、そして今国会にというようなことを、アドバルーンを上げたというか声を上げました。どうも聞いてみると、環境庁と必ずしも十分な連絡がついていない。そして、他の省庁も、実はある雑誌によれば、環境庁、厚生省がずっと張り合っている感じだ、縄張り争いみたいな議論をしているというふうにも受け取られている、結局は厚生省と環境庁の間ですり合わせて、それを後から我々に回してくるということになるんじゃないかということを関係の通産省を初めとする各省庁が言っている、こういうふうに言われています。  そこで、厚生省に一つお願いをしたいのは、国会、恐らくこの国会というわけにはまだ事務的なすり合わせを含めて難しいと思う。だから、時間がかかるかもしれませんが、やはり環境庁と十分協議をして、これは環境庁が今まで取り組んでいる仕事というのはあるわけですから、そこのところを軸にして、お互いに譲り合って、お互い、もと一つなんですから、同根なんですから、だから、ぜひこの国会、ないしはそれができなければ次の国会ということになるのかも知れませんが、両方できちっとすり合わして法案の準備をしてほしい、そして国会に提案してほしいというふうに思いますが、その点は厚生省よろしいか。
  118. 浜田康敬

    ○浜田説明員 お答え申し上げます。  水道水源の水質保全対策の重要性については、もう先生指摘のとおりでございまして、私どもも二月以来、省内に設けました有識者懇談会の提言を踏まえまして、関係省庁と懸命に相談を続けてきているところでございまして、関係省庁におきましては、水道水源における水質保全対策の充実の必要性については、大方の御理解は得られる段階になってきているのではないかというふうに思いますが、こうした中でも、今先生指摘もございましたが、水質汚濁防止法等に基づきまして水質保全行政を担当してこられた環境庁との調整がまず第一に必要であろうという認識、私ども全く同様でございまして、現在同庁と精力的に調整を進めているところでございます。私どもとしては、こうした努力を引き続き進めまして、何とか今国会に所要の法案が提出てきますようにぎりぎりの努力を続けさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
  119. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 申しわけない。長官に、やはりこれは大事なことなんですよ。私質問したのは一カ月前なんです、二月なんです。すり合わせがどうも必ずしもうまくいっていない感じがします。そこで、長官が、やはり水道水源というのは環境の面のかかわりが大きいのですから、やはりそのイニシアチブをとってそして調整していくという御答弁をいただきたいと思います。
  120. 林大幹

    ○林(大)国務大臣 岩垂先生の御質問、これは大変大事なことであります。特に水道水源の水質改善、水質保全ということは、これは大変重要な問題でありますので、関係省庁とも常に協力し合いながら努めて。いきたいと思います。
  121. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 協力するだけじゃなくて、やはり国会に提案をするということを言ってもらわぬと、これはどこまで、エンドレスになっては困りますので、どんな点を目標にして努力をするという一つのメルクマールをお示しいただけませんか。
  122. 林大幹

    ○林(大)国務大臣 水道水源の水質保全につきましては、実は先生も御案内のように、環境庁も厚生省もこれに強力に取り組んでおるところでございますので、その取り組み方をさらに督励しながらさせていきたいと思っております。
  123. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 わかりました。終わります。
  124. 原田昇左右

    ○原田委員長 午後四時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     午後四時開議
  125. 原田昇左右

    ○原田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大野由利子君。
  126. 大野由利子

    ○大野(由)委員 近年、国境を越えて人道的あるいは社会正義の立場から献身的な活動を続けるNGO活動への大変大きな期待が高まっております。我が国には約二百から二百五十のNGOが存在する、そのように推定されているわけですが、我が国NGO歴史は過去十年から十五年という大変短いものであり、活動規模も非常に小さなものが大半でございます。  一九九〇年におきます我が国NGOの自己資金の対ODA比は約一・一%であり、開発援助委員会DACに加盟している先進十八カ国の平均八・六%を大きく下回っている、そういう現状でございます。また、国民一人当たりNGO援助実績もわずか一・四ドルにとどまっている。そういう中で、今回環境事業団法の一部を改正いたしまして、NGO支援に積極的に乗り出していくということは大変すばらしいことではないか、そのように思っております。  地球環境基金についてでございますが、基金を積み上げて地球環境保全に役立てるようにしよう、するべきではないかということは、かねて我が党も主張してきたことでもありますが、基金がスタートしてしまいますと、これは国会審議の場を卒業してしまう。そういう意味で、発足に際し、運用について十二分な審議が必要ではないか、そのように思うわけでございますので、私は、きょうは大変細かいことが多くなりますが、この地球環境基金について種々質問をさせていただきた い、そのように思っております。  平成五年の国の環境事業団への補助金が五億円ということは、地球環境基金ですが、大体将来百億円ぐらいを想定していらっしゃるのかどうか、当初、地球環境基金基金は二千億円ぐらいというような話がございましたが、これは基金規模が小さくなったのかどうなのかについて伺いたいと思います。
  127. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 御指摘のように、この基金を構想するに当たりましては、いろいろな考え方、いろいろ夢を持って当たったことも事実でございます。しかし、これを現実予算の場で要求をするということになりますと、予算要求には例のシーリング枠というのがございまして、環境庁予算枠の中で財政当局に要求し得た数字というのは出資の十億円だけでございました。こういった中で、初年度からこの基金についてはできるだけ現実仕事ができるようにということで、関係者間のいろいろな応援もいただきまして、当初の概算要求額の十億円に加えまして事業費補助ということで五億円の計上もさせていただくことができたわけでございますので、初年度に当たる計上としては、財政事情の厳しい中では、私どもとしては最善の努力を図ってやったものというぐあいに考えております。  ただ、先生先ほどお触れになりましたように、世界の中で我が国NGO状況というものを見てみますと必ずしも十分ではない、そういう中で、NGO地球環境保全に対する活動というものに対する助成充実させていくためには、やはりこの基金事業というものを充実させていく必要があるでしょう、そのために私どもは将来に向かって着実に、しかもできるだけ早期に必要な相当規模事業規模が確保できるように、今後基金規模の拡充に向けて努力をしていきたいというぐあいに考えているところでございます。  先生、数字をお触れになりましたが、そういうことも念頭にあることは事実でございますが、一方で具体的な案件に即した助成応募をまだ得ていない現時点でございます。こういう公式の席で未来に対する見取り図というものを述べる段階にまだ至っていないということについては、御理解を賜りたいと思います。
  128. 大野由利子

    ○大野(由)委員 民間からの基金寄附金も想定していらっしゃるようでございますが、これについても何年間ぐらいかけて基金を集めて、今将来図をなかなか描きづらいとおっしゃったわけでございますが、民間からの寄附金と政府からの出資金、どの程度の割合とか、その辺について伺いたいと思います。
  129. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 おっしゃられますように、この制度は国と民間とが力を合わせて民間団体地球環境保全活動支援しようということでございますので、私どもは、民間に対しましても、本制度趣旨というものを各界各層に普及、広報することを通じまして幅広く寄附を募っていきたいというぐあいに考えているところでございます。  一方、しかし、これは国民の自発的な寄附にまつということでございますから、私ども、割り当て的な考え方とか、目標値を持ってこういうふうにやりたいというようなことも必ずしも適当とは思えないというようなことで、具体的な目標や方法等についてこの場で申し上げるわけにはいかないわけでございますが、いずれにしましても、本制度趣旨にかんがみまして、国民、企業の積極的な協力が得られるように、適切な広報、呼びかけを通じて基金充実を図っていく必要があるというぐあいに考えております。  そういたしまして、やはりこれは国民の善意に基づくところの国民的な運動というものをバックにした基金にしたいというようなことから、余り財政資金に偏るのもどうかということで考えております。したがって、民間資金の募集についても、現在経済状況が非常に悪いわけでございますが、また、我が国では寄附金に対する社会的風土というものが必ずしも備わっているとは思えない点もありますが、しかし、広報、普及に努めることによって幅広い寄附を集めるべく、私どもはこれから大いに努力してまいりたいというぐあいに考えておるわけでございます。
  130. 大野由利子

    ○大野(由)委員 広報活動によってというお話でございますが、広く草の根からの寄附を、国民の皆さんの浄財を出していただくということについて、具体的に今どういうことがいろいろ検討されているかについて伺いたいと思います。
  131. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 私どもが考えておりますのは、一つは、こういった公益的な目的に対する寄附金ということになりますと、やはり企業経営なり、また個人の所得の配分の中におきまして、それなりの価値を認めるというようなことから、税制上の恩典、寄附金控除または損金算入等の措置について考える必要があるということを一方で考えておりますのと同時に、あとは国民、企業の積極的な協力を得られるような呼びかけといたしまして、具体的には、環境事業団自身ができる限りさまざまな広報媒体またイベントを通じて、この基金趣旨、意義等の普及を図るというようなことをやっていく必要があろう。同時に、政府自体政府広報とかまた関係省庁、地方公共団体を通じていろいろな公表が行われておるわけですが、そういったところの御協力も得ながら、啓発事業の中で積極的に取り組んでまいりたい。  さらには、第三点として、報道機関の御協力もお願いして広報に努めてまいりたいというぐあいに考えているところでございます。現実にボーイスカウト、ガールスカウトと、固有名詞をこういう席で出すのはどうかと思いますが、そういうところの協力も得ながら、地道に、かつ精力的に広報活動には取り組んでまいりたいというぐあいに考えております。
  132. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今お話がございましたが、個人に対しては寄附金控除の対象、また企業に対しては損金算入の対象になることはもう決定したのでしょうか、これからでしょうか。
  133. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 具体的な手続は完了しておりませんけれども関係省庁の了解は得ておりましたので、実質的にはその方向で進めるというぐあいに確信しております。
  134. 大野由利子

    ○大野(由)委員 将来は基金の運用金のみで賄われるようになるのかどうか。また、不況の年とか金利の非常に低い年、高い年、年によっていろいろあるわけでございますが、金利が低くて運用金が非常に少なくなると、NGOの皆さんにとってもこういうときこそ助成をしていただきたいというふうな不況のときもあるかと思います。必要なときに使える金額が少ないというのも矛盾ではないかと思いますが、この点についてはいかがでございましょう。
  135. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 基金事業を考えまする場合に、まさにその点が一つ問題点でございまして、実は今年度の予算編成過程におきましても、目下の低金利時代でございます。例えば、五億なら五億円の利息を生み出すためには百億円の基金が必要になってくるというように、低金利時代には一定の事業活動を生み出すためのかなりの基金の大きさというものが必要になってくるということがあることから、本年度のような場合には、直接的な助成費として補助金をちょうだいするというようなことを考えたわけでございます。  将来を考えます場合に、安定的な事業規模を生み出すためには一種の安定した基金を持っていく必要があるという要請が片方でございます。そのために、私どもとしては、相当規模基金を早期に造成するための努力をしなければならないということを考えるのと同時に、御指摘のような、金利変動に伴って必要な事業費をはかるという観点からは、直接的な事業費の確保、これは先ほど申し上げました国の補助金とか、または民間の場合でも会費的なフローの拠出というような要素も加味していく必要があるのではないかというぐあいに考えます。両々相まって安定的な事業費の確保を図ってまいりたいというぐあいに考えております。
  136. 大野由利子

    ○大野(由)委員 助成の一件当たりの供与額はどれくらいを想定していらっしゃるのか、金額に縛りがあるのかどうかについて伺いたいと思い ます。
  137. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 この基金助成事業につきまして、個別案件助成額についてあらかじめ上限等を設けることは現時点では考えておりません。  ただ、この基金がある程度一般的になってきた場合に、限られた財源でできるだけ多くの要望に応じていく必要が出てきたということが考えられるわけでございますが、そういった場合、またもう一つ民間団体が自主活動として会費収入という自己資金を投入し得るケースも考えられるわけでございます。  そこで、こういった事業に対しまして、結果として助成対象活動事業費の一部に対し助成を行うことを考えなければならぬというようなことも出てこようかと思います。いずれにしましても、これは実際に助成事業を行うに当たってどのぐらいの応募が出てくるのかということとの兼ね合いで考えていかなければならぬということで、現時点で上限を設けるということはまだ考えておりません。
  138. 大野由利子

    ○大野(由)委員 財政支援事業費だけを対象にされるのでしょうか。事業費だけではなくて、人件費とか通信費とか事務所経費とか、そうした一定の管理費に対しても支援をしてもらいたいという要望が高いのではないかと思いますが、この点について伺います。
  139. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 この事業は、民間団体による地球環境保全活動重要性にかんがみまして、法律の趣旨に合った一定の活動に着目して、その活動費を助成しようということでございます。しかも、その対象となる民間団体は、民間の発意に基づき活動を行う団体というぐあいに私どもは想定しているわけでございます。仮に、管理的経費に対しまして助成を行うとなりますと、民間の発意に基づき自発的な活動を行うという趣旨から見ていかがかなというぐあいに考えざるを得ません。逆に、こういう助成を行うことによって民間団体の自主性、自律性を損なうことがあってはならないというぐあいに考えているわけでございます。  したがって、私どもとしては、個々の民間団体の存立基盤にかかわるような管理的経費を直接助成することは適当ではないのではないかというぐあいに考えております。
  140. 大野由利子

    ○大野(由)委員 日本NGOの大半は、スタッフとかボランティアにかかわる人の数が今大変少なくて、活動を推進していく上で大変苦労をしているのが現状でございます。NGOにとって人材の確保と育成が大変大きな課題になっております。善意や社会正義感だけでは不十分で、実務能力とか実践能力を備えた人材というものが必要、専従者も必要、そういう状況でございますし、今後NGO支援が進んで事業費に充てられる資金が急速に拡充すればするほど、ある面では人というものも必要になってくるわけですが、人件費に充てることができないとなると、本格的なNGO支援にならないのではないかという心配がありますが、この点についていかがでしょうか。
  141. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 御指摘の点はもっともでございます。そこで、この基金事業といたしましては、民間団体活動の振興に必要な調査研究、情報収集、整理、提供、それから人材育成のための研修というようなものは、基盤整備事業として助成対象にし得るというぐあいに私どもは考えているわけでございます。
  142. 大野由利子

    ○大野(由)委員 補助率は事業費のどれぐらいを想定していらっしゃるのか、縛りがあるのかどうか、伺いたいと思います。
  143. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 補助率についてあらかじめ一定の率を考えてはおりませんで、先ほど申し上げましたように、会費収入といった自己財源等も考えながら、事業を遂行するに当たって適正、適切な限度で助成を行っていくという考え方でございます。
  144. 大野由利子

    ○大野(由)委員 対象事業の選定基準について伺いたいと思います。
  145. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 この制度は、国民的な支持と協力のもとに、草の根の環境協力等のため地道に汗を流していく民間団体活動支援しようとするような制度であるわけでございます。したがって、具体的な助成対象といたしましては、これから個別の助成申請を待つわけでございますが、一般的に申し上げますならば、やはりこの制度趣旨に合ったような地球環境保全に役立つ、また海外の事業でございますれば開発途土地域住民ニーズ等に見合っているかどうかを個々具体に判断していくということになると考えております。
  146. 大野由利子

    ○大野(由)委員 環境保全では、例えばの例ですが、植林活動に携わるNGO、緑を守ろうということで植林活動に携わる、NGOだけでなくて、熱帯林などの破壊を事前に食いとめようとするキャンペーン活動を展開しているそういうグループもございます。どちらも立派な環境保全のための活動ではないか、そのように思いますが、どちらも対象事業になるかどうか、伺いたいと思います。
  147. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 ちょっと個別具体の例を見ないと何とも言えないわけでございますが、やはり地道な実践活動を行うということを考えているわけでございまして、一般論として、例えば伐採防止のキャンペーン活動を行うという場合に、それを国内において行うのか国外において行うのか、いろいろな局面があろうかと思います。しかし、仮に国民の間で賛否の大きく分かれるような活動であったとするならば、やはり国民の支持と協力のもとにこの制度が仕組まれているということから申し上げますれば必ずしも適当ということにならないと思いますし、そうでなければ適当な場合もあろうかということになるかと思います。  そこで、熱帯林保全のケースについて先生お触れになったわけでございますが、一般的に植林事業は、それは適切なものであれば助成対象になり得るものと考えておりますし、また、熱帯林保全のキャンペーンについて考えますならば、日本国内において国民に対し木材資源を大切にすることや、途上国において住民に対し森林資源の持続的利用に呼びかけるようなこと、そのものについては対象になり得るというぐあいに考えておるわけでございます。  したがって、先ほど申し上げましたように、キャンペーンの内容が、国内、国外、また途上国に出かけていった場合に、その現地における要請の問題とか、また、現地における林業政策の方針とどうマッチしているのかというようないろいろな要素を考えながら、そこは個々具体具体に沿って考えていかなければならない。ただ、概括的に申し上げれば、先ほど申し上げました法律によって定められている三つの要件に沿ったものがその対象になり得るということでございます。
  148. 大野由利子

    ○大野(由)委員 環境庁長官に伺いたいと思うのですが、今回のこの助成事業は大変すばらしい趣旨であり、すばらしい事業の一環だとは思うのですが、これをいろいろ助成できる対象助成できない対象、その辺が非常に難しいところもある。私は、政府の政策に適合するNGOだけを支援する、御用NGOだけを育てるみたいなことになるとかえってマイナスになる面も出てくるのではないか、環境NGO活動の振興を盛り上げるということに本当に寄与することになるのかどうかというような、場合によってはそういう危惧も生まれてくるのではないか。要するに、国の補助金が受けられるかどうかということでその環境保護団体が色分けされていく、NGOの分断化がそこで始まっていく、本当に正常な草の根活動の芽を摘むというような不安がそこに生まれてこないかどうかということを危惧するわけですが、その点についてはいかがでしょうか。
  149. 林大幹

    ○林(大)国務大臣 大野先生の御質問にお答えします。  今大野先生のお言葉の中で、地球環境基金制度的に設置するということを大変評価していただいておるように聞ける御発言がございまして、大変心強く思っておるわけでございますが、しかもその中で、もし基金の配分において政府が偏った配分をすることになると困るという御懸念も表明されたわけでございますが、この環境基金制度は、当然、先ほど担当局長からの説明もありまし たように、地球環境保全に取り組む、つまりNGO民間団体活動支援するという、そういうために国も民間も双方ともに力を合わせてこの制度充実させようという、こういう仕組みで組まれておるわけでございまして、このことは先生の御理解いただいているところであります。  そこで、その制度趣旨にかんがみまして、民間団体、つまりNGOのそれぞれの自主性あるいはNGOの持つ多様なニーズ、これを尊重することが非常に大事でありますし、また、それによってそれぞれの民間団体が特色を持ってNGOとしての活動に深く進めるということができると理解しておりますので、国民のそれぞれの各層にわたる理解と協力を得られるようにしていくことがこの活動一つの基本にはなるのではないかというように考えております。  したがいまして、それぞれの諸要請を踏まえましてこの基金制度が有効かつ適切に運営されるように、今後も努力を続けていきたいと思っております。
  150. 大野由利子

    ○大野(由)委員 現在政府NGO支援しているものに、幾つかありますが、その主なものの違い等々について教えていただきたいと思います。  郵政省で行っています国際ボランティア貯金による支援、それから外務省でやっていますNGO事業補助金制度、それと小規模無償資金協力等々がございます。ほかにもありますが、主にこれらの三つの違い、対象の違いとか趣旨の違いとか、そういうことについて伺いたいと思います。
  151. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 御指摘のありました郵政省の国際ボランティア貯金制度でございますが、これは、郵便貯金の利息の一部を預金者からの寄附として申し受けまして、それを開発途土地域住民の福祉の向上に寄与するNGO活動に分配するという制度になっているようでございます。また、外務省のNGO事業補助金、小規模無償資金協力は、これは、我が国が外交政策を行うに当たって、その見地から開発途上国の経済開発、民生の安定等を目的といたしまして一定のNGOの国際協力事業に補助を行うということになっているものと承知しております。  そこで、これらの制度を見ますと、それぞれの趣旨目的がございまして、それに基づいて行われる。また、助成対象範囲につきましても、私ども対象としております環境保全分野を一部取り込んでいることは事実でございますが、それはあくまでもその一部にしかすぎないことになっておりまして、医療、福祉、農村開発等の事業が幅広く対象になっているという点におきまして違いがあろうかと思います。私どものこの基金は、地球環境保全環境保全という目的に限定されておるわけでございます。
  152. 大野由利子

    ○大野(由)委員 郵政省の国際ボランティア貯金は、民間の要するに貯金を原資にしているわけでございますので、会計検査院の検査を受けなくて済む。一方、外務省でやっていらっしゃるNGO事業補助金制度はまさに国民の税金を使って行われている補助金制度である。そういった違いから当然会計検査院のチェックを受ける。そういう違いがあるからでしょうか、NGOの人から見ると、外務省の補助金を受ける場合は非常に厳しいという話を私は話として聞くわけでございますが、今回のこの環境基金は、いわゆる政府から出ているお金とそれから民間から出してもらうお金と両方で基金をつくろうという意味においては、まさに郵政省の国際ボランティア貯金と外務省の事業補助金制度の中間的な性格が、この出資金から見た感じですが、ちょっとあるわけですけれども、どの程度の位置にあるのかという、厳しさというか、NGOの人にとってどれだけありがたいものなのかどうかということについて伺いたいと思います。
  153. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先生が今端的に、その中間に属するのではなかろうかという表現をなさったわけでございますが、御指摘のように、私ども地球環境基金は、国及び民間の双方が力を合わせて資金拠出をするという性格から見ますと、まさに御指摘のようにボランティア貯金、NGO補助金の中間的な性格にあろうかと思うわけでございます。  ただ、おっしゃるように、この資金を適正に使っていただくということからすれば、国費が投入されますと当然それは会計検査の対象になり得るということでございますから、そういう意味においてはNGO補助金と同様の性格を有する、性格を持っているということだろうかと存じます。
  154. 大野由利子

    ○大野(由)委員 このNGOの人たちにとって今回の趣旨は非常にありがたいんだけれども、自主性、自律性というものを損なわれないために、要するに税金を使わないで、国民の皆さんの、民間の方の寄附だけで、寄附を募って多少時間がかかってもこういう基金をつくった方がいいのじゃないか、そういう御意見がございますが、これについてはいかがでしょうか。
  155. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 御指摘のような意見はあろうかと思います。  ただ、私どもこの制度を考えます場合に考えましたのは、我が国におきましてはいろいろ企業または財団等がみずから募金活動、または寄附金等をもとにして事業活動をやっていることは事実でございます。また、税制上そういうものに対して優遇措置をとっていることも事実でございます。しかし、これは主税局の方が何回か御答弁なさっていることでもわかりますように、そういう寄附金控除なり損金算入の利用度合いというのは必ずしも高くない。ということは、逆に申しますと、我が国におきましてそういう寄附金を一般的にやる土壌が備わっているかどうかということからすると、必ずしもそうは言えない事情にあろうかと思います。  そういう中で、我が国におきまして民間団体による環境保全活動の振興を図るためには、そういった民間による活動を待って、それに対して税制上の優遇措置を与えるということを待っていて適当かどうかということを考えますときに、それだけではやはり今日的な地球環境保全を守るということから見ますと十分とは言えないのではなかろうか、やはり国と民間とが一体となって拠出するこの基金のような仕組みがぜひとも必要ではないかということで、この制度創設をお願いしているというのがこの間の経緯でございます。
  156. 大野由利子

    ○大野(由)委員 支援対象事業でございますが、当初は基金も小さいことですので、環境に限定をするということは、これは無理もないことかと思いますが、しかし開発途上国を見てみましたら、環境破壊というのはいろいろ原因がございまして、例えば人口爆発が環境破壊を引き起こしている、そういう場合もございます。貧困が熱帯林の伐採につながっている、そういう場合もございます。そういった意味では、環境保全のためには、目前の環境だけではなくて、医療や衛生面の向上とか識字率の向上とか女性の社会参加の向上とか、そういったものが要するに貧困を克服し、人口爆発を防ぎ、環境保全につながる。そういった意味で、この地球環境基金がもっと充実していった時点においては対象事業も広げるということが即環境保全につながるのではないか、そのように思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  157. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 御指摘のように、環境問題の背後に人口問題とか貧困問題があることは事実だろうかと存じます。  しかし、私どもといたしましては、御指摘のような諸点というのは、やはり開発途上国における経済開発、社会開発そのものの問題といたしまして、やはり包括的な住民福祉向上のためどういう手を打っていくべきかというようなことから、政府の開発援助というものを中心にしまして総合的に取り組んでいかなければならないというぐあいに考えます。  私ども地球環境基金という制度を考えるに当たりましては、やはり地球環境問題の緊要性にかんがみまして、我が国が行う国際貢献の一環として、内外の環境保全活動のうちから特に地球環境保全の分野を対象として緊要なものとしてやっていく必要があろうかというぐあいに考えたところでございます。もとよりすべての事象に対しま してこの地球環境基金だけで対応できるとは考えておりませんが、私どもとしては、地球環境保全として緊要な事業として、この基金対象事業を法律で定めたようなところに限定さしていただいたというところでございます。
  158. 大野由利子

    ○大野(由)委員 対象国についてですが、「開発途土地域における環境の保全」と出てくるわけですが、この「開発途土地域」というのはどういう国を指すのかについて伺いたいと思います。
  159. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 開発途上にある海外の地域といたしましては、OECDの開発援助委員会が決めております開発途上にある国または地域というものに加えまして、近年環境問題が非常に重要な課題になってきております旧ソ連を含む東欧諸国を想定しているところでございます。  このことは、今からすると昨年になりますが、私ども本法改正をいたしまして、公害防止事業団から環境事業団に変えさしていただいたわけでございますが、そのとき、開発途土地域環境保全に資する情報等の提供といういわゆる七号業務というのを追加さしていただいたことがございます。そのときの整理と同じように、先ほど申し上げたところで考えているわけでございます。
  160. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今回追加されます事業団法の十八条の八号に「本邦以外の地域に主たる事務所を有する民間団体による」、そういう言葉が出てきます。つまり、海外の民間団体によるというようなことだと思いますが、これには先進国を含むかどうかについて伺いたいと思います。あらゆる、日本以外のどの国であっても対象になるのかどうか。
  161. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 助成対象となる海外のNGOについての件でございます。  私どものこの助成事業につきまして、国際的に見たNGO活動状況や資金の必要性から見まして、やはり開発途土地域NGOニーズを重視することが必要であると考えておるわけでございます。しかし、概念的に、また制度的に、先進国のNGOを最初から排除しているというわけではございません。
  162. 大野由利子

    ○大野(由)委員 この海外民間団体によります開発途土地域環境保全活動についてですが、申請の段階でそれをどう選ぶかというようなことと、その後どういうふうに検査をするかということの、事前、事後の調査というのでしょうか、それはどのようになさるのかについて伺いたいと思います。
  163. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 開発途土地域環境の保全につきましては国際的に協力して推進する必要があるものでございます。我が国の国際的な立場を見ながら、本制度では、我が国NGOのみならず海外NGO活動についても支援をできるような仕組みにしたところは御指摘のとおりでございますが、実際に海外NGOに対する助成を実施するに当たっては、一つは、御指摘のように事前にどういう団体を選ぶのか、事後的に事業が適切になされているかどうかをフォローアップできるのかどうかということが問題になるわけでございます。  そこで、私どもとしては、当面はやはり、しかるべき国際機関の支援を得て行うようなもの、それとタイアップして行うようなもの等を重視しながら、案件を適切に選定していく必要があるのではなかろうかというぐあいに考えているところでございます。
  164. 大野由利子

    ○大野(由)委員 事後も同じでしょうか。事後についてもちょっと聞きます。
  165. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 事後に対するフォローアップ等につきましては、例えば事業実施の状況の現地における情報収集というようなこともございますし、また選定事業については国民に公表するということをやっておりますので、国民からどういう反応があらわれてくるかということによる情報もございますし、場合によっては現地に環境事業団の職員を派遣して実施状況を見るというようなもろもろのことを通じて、これはもちろん海外NGOだけではございませんが、そういうことを通じて事業実施のフォローアップもやってまいりたいというぐあいに考えております。
  166. 大野由利子

    ○大野(由)委員 申請は毎年一回もしくは二回というふうに行われるのかな、そのように思うわけですが、申請が一年ごとに行われるのかどうか、事業によっては一年で完成しない事業、二年なり三年なりかかる事業があるわけですけれども、申請をして初年度認可されて助成を受けられたけれども、二年目、三年目、助成対象にならなかったというようでは困るわけでございます。こういう二年、三年に及ぶ事業の場合は、一括してその事業に対して認めるのか認めないのかというやり方にしないといけないのではないか、そのように思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
  167. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 この基金による助成につきましては、適切な会計処理を行うというようなこと、また事業の進行管理を的確に図っていくという必要がありますことから、御指摘のように、各年度ごとに事業応募を受け、助成決定を行う必要があるのではないかというぐあいに考えておるわけでございます。  そこで問題になりますのは、二、三年にまたがって行われるような事業について、途中でそれを打ち切られると、事業の効果を発揮する等、不都合なことが出てくるのではないかという御懸念であろうかと存じます。  こういう案件につきましては、初年度の助成審査の際にあらかじめ全体の事業計画の説明を得るとともに、その事業実施が的確に進められるような場合には、毎年度ごとに助成応募を受けて、これに対する助成を継続して行うことがある程度予見し得るような格好での適切な配慮が行われるよう、運営上の工夫をしていく必要があるというぐあいに私どもも考えております。
  168. 大野由利子

    ○大野(由)委員 では、一年ごとに申請なりはするにしても、当然その辺は、大きな二、三年にまたがる事業はその事業そのものが対象にされる、そのようなお答えであったのではないか、そのように受けとめさせていただきます。  それから、基金助成を今すぐ受けるほどの実績や力のないNGOについても、情報とか人づくりの面で支援、育成をするべきではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  169. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 まず最初に、先ほどのお答えに関しましては、その事業全体を直接助成対象にしたというのは、直截的に、先ほど申し上げましたように、会計処理等の点からなかなか言いにくい。ただ、現実には、その数年間行われるであろうということを予見しながら、また予定しながら実際上の手続を進めて、事業の実施に支障のないような工夫をしていきたいということでございます。  それから、ただいまの御質問の点、今すぐ受けるに至らないNGOについても育成を図っていくというようなことを考えるべきではなかろうかというような御指摘でございます。  今直ちに基金助成対象となるような事業を行うに至らない場合であっても、将来に向けてその意欲を有する団体についてはその能力向上のために支援を行っていくということは、そういう意味では重要であろうかということでございます。今回の改正案で、民間団体の具体的な活動への助成は、十八条第一項八号に加えまして、民間団体活動の振興に必要な情報、人材等の面での支援、九号という業務を行うことを予定しているのは、まさにこういう趣旨でございます。
  170. 大野由利子

    ○大野(由)委員 最初の質問に関しては、何かお答えがわかったようなわからないような、どうももう一つよく理解ができないのですが、ともかく皆さんが、一年で完遂する事業しか対象にならないというような懸念がないように、その点の御努力はぜひお願いをしたいと思います。  それから申請ですが、外務省でやっていますこのNGOの補助金制度とか郵政省の制度、そうしたものに二重に申請することはできますでしょうか。また、許可についてはどうなんでしょうか。
  171. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 NGO対象事業としてとり得る幾つかの制度に重複して御申請なさるということは、それはあろうかと思います。ただ、私ど もとしては、同じ事業に対して必要以上の助成を行うということはやはり適当であるとは考えませんので、それは郵政省、外務省との間で調整を図って、ダブることがないように私どもの方では注意していかなければならぬというぐあいに考えております。
  172. 大野由利子

    ○大野(由)委員 長官に伺いたいのですが、平成四年十二月に日本環境協会が行われたアンケートの中で、全体の四割強の団体活動に必要な情報が不足、そのように答えております。環境破壊実態破壊の現状に関する情報とか環境保全活動の手段、方法に関する情報とか、また他の団体活動状況活動事例に関する情報、こういう情報を非常に求めているということがアンケートの結果判明しているわけです。  今回、事業団の業務の中でこうしたニーズにこたえていかなければいけないわけですが、一方的に、NGOに対する情報の提供はもちろん考えていらっしゃると思うのですけれども、それ以外のあらゆる草の根の環境保護団体とか、個人にも開かれた形での研究所というか、情報センターのような機能を果たす必要があるのではないか、そのように思います。資料請求に関して資料を提供するとか、パソコンでいろいろな環境に対するデータを引き出すこともできるとか、そういうような役割を果たす必要があるのではないかと思いますが、この点についていかがでございましょうか。
  173. 林大幹

    ○林(大)国務大臣 先生の御指摘はごもっともだと思っておりますが、今日の環境問題を解決するためにも、民間団体あるいは国民が自主的、積極的に取り組んでいく、それを促進していくことがどうしても欠くべからざる大事な点であるということにかんがみまして、環境保全上の必要な情報を提供する体制を将来的に整えるべきじゃないかという先生の御指摘でございます。  この点につきましても、今度の法改正の中にもそのようなNGO活動の振興に必要な、これは一方的に偏った、ただ一方通行的なものじゃなくて、先生の今御懸念のようなことも踏まえて、それをどうするかという情報の問題につきましては、環境事業団が積極的に対処することを予定して今回の法改正も取り組むということになってございますし、また国民一般に対しても、環境保全のための足元からの、つまり草の根の行動、そういうことを促進していく見地からも、環境庁としては、環境教育等の促進も通じて必要な情報を的確に提供したいということを考えております。
  174. 大野由利子

    ○大野(由)委員 国民の間に広く環境保護運動が広がっていくということが今回の改正の一つ目的でもあるわけでございますので、この点は非常に大切なのではないか。  例えば、ちょっと一つの例を挙げますと、国民の消費生活を守るために、例の国民生活センターというのが、いろいろな情報収集をし、いろいろ情報提供をし、大きな役割を担っているわけですが、NGOだけではなくて、個人もこの情報を引き出すこともできるし、また情報を提供することもできる、こういうことが非常に大事なのではないか、そのように思うわけですね。  今回、環境事業団の中に運営委員会がつくられて、国内有識者、海外の有識者で構成する、その中にNGOの代表も加われるかどうかについてちょっと伺いたいと思います。
  175. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 この基金を運用するに当たりまして運営委員会を設けるということを業務方法書で書くように予定しているわけでございます。この運営委員会は、助成をするに当たって本制度の運用全般につきます有効性、信頼性、公平性を確保する観点から設けるということを考えているわけでございます。そこで、特定の環境NGO利益代表という立場からの参加ということではなしに、環境NGOの全般の事情に明るい有識者についても参加していただく必要があろう、そのための十分な配慮をしていく必要があるというぐあいに考えております。
  176. 大野由利子

    ○大野(由)委員 NGOが現場でつかんでいます情報を的確に、スピーディーに吸い上げて環境保全運動に生かしていくということが非常に大事なのではないかと思うのですね。今回の環境事業団地球環境基金からNGOにお金を助成しますよ、それから情報も提供しますよという、上から何かNGOにしてあげるというようなお上的発想じゃなくて、現場で一番いろいろなことを知っているNGOから情報を常に逆に提供してもらうというような、そういうことが非常に大事なのではないか、NGOと定期的に協議をしていくということが大事なのではないかと思うのですが、その点についてはどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
  177. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 御指摘のようなことは非常に重要なことだと考えております。制度の運用に当たっては御趣旨の点が反映されるように工夫してまいりたいというぐあいに考えております。
  178. 大野由利子

    ○大野(由)委員 ぜひこれ具体的に、ちょっと今の御答弁では余り具体的に何もイメージがわかなかったのですが、やはりNGOと対等の立場で協議をする場というのが必要じゃないかと思うのですね。今回、地球環境基金を設けるに当たってNGOの代表の方から種々御意見を聞かれたということはNGOの代表の方から私も伺いました。しかし、これがこの法律をつくる前だから意見を聞かれたというのじゃなくて、日常的に、通常的に、定期的にこういう協議の場を設けていくということが大事なんじゃないかなと思うのですね。  ちょっと話が外れますが、例えば国連の機関の中で今NGOは経済社会理事会とだけ協議が可能というふうになっているのですね。UNEP、国連環境計画とかそういうところとNGOとの正式な協議の場がないわけですね。この辺も改善していかなければいけないのじゃないかと私は思うのです。これは外務省の管轄だと思いますのであれですが、私は、環境庁としては、まず国内NGOとどう定期的に協議の場を設けるか、また、国際的な活動をしているNGOは国連機関のUNEPとかそういうところと定期的な協議ができる場を設けるようにしていく、そういうことがまず大事ではないか、そのように思うものですから、この点について、国連の方はともかくとして、国内について御答弁をいただきたいと思います。
  179. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 協議という場面を設定するかどうかは別といたしまして、NGOに対する助成を行うわけでございますから、NGOの実情に沿わないことをやったのでは意味がない。その意味では、情報の交換、また対話というものを進めていく必要があるということは私どもも承知しておりますし、その線に沿って何らかの工夫はしていくべきだというぐあいに考えております。
  180. 大野由利子

    ○大野(由)委員 済みません、時間が残り少なくなってまいりましたので、いろいろまだ伺いたいことがありますが、ちょっと最後、もう少し別のことを質問させていただきたいと思います。  先日、二十九日付の読売新聞に、例の環境アセスの法制化について当面行わないものとする、そういう覚書があった、そのような報道がなされておりましたが、こういう事実があったかどうかについて伺いたいと思います。
  181. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 私もその報道は承知しております。読んで非常にびっくりしたわけでございますが、環境基本法案につきまして、環境アセスメントを含めまして、また法案の解釈等につきまして、共通の理解を得るように想定問答等をつくるとか所要の検討を行っていることは事実でございますが、この報道にございますように環境アセスメントにつきまして将来の法制化を否定するような覚書を結んだという事実はございません。
  182. 大野由利子

    ○大野(由)委員 否定するようなじゃなくて、肯定するようなものにぜひ頑張っていただきたい、そのように思います。  最後に、例の水俣病の裁判についてちょっと一言質問をさせていただきたいと思うのですが、つい先日、三月二十五日に熊本地裁で水俣病第三次訴訟の判決が言い渡されたわけでございますが、国としてこの判決をどう受けとめて、どのような対応をされようとしていものか。私は、もう本当にこれ以上控訴をして裁判を長引かせるべきではない、そのように思っておりますが、この点につ いて大臣にお伺いしたいと思います。
  183. 林大幹

    ○林(大)国務大臣 三月二十五日の熊本地裁の判決でございますけれども、実は国といたしましてもこの判決は極めて厳しい判決であるという受けとめ方をしておるところであります。なぜ極めて厳しい判決かということになりますと、実は国は国の賠償責任というものを認めるということがまず前面に出てきておりまして、これは我々がかねて主張しておったことが理解されていなかったということに通ずることでありますので、そのような厳しい判決と受けとめておるわけでございます。  したがいまして、これは、今先生のお言葉の中で、控訴というような手段に出ないで早期解決に持っていったらどうかというお話でございますけれども、実は控訴するかどうかについては、環境庁だけの問題ではありませんで、関係している省庁もございますので、これと相談して国の姿勢を決めなければならないということで、今関係省庁と協議を重ねている段階でございますので、この段階で控訴するとかしないとかということに今ここで私が触れるということはちょっと適当でないと思っております。
  184. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今回の判決では、水俣病患者の認定についても、国の、運動失調や手足のしびれとか典型四症状が組み合わさった神経系疾患に限っている現状に対しまして、患者多発地域に長期間居住しているなどの条件が整えば、症状が手足末端の感覚障害のみの者でも水俣病の可能性が高いということを今回指摘しているわけでございます。現実に苦しんでいる患者が存在する限り、できるだけ多くの患者を救済するためにも、この判決を受けた上で認定基準を見直す考えはないのかどうか。環境庁、責任官庁に、何らかの救済措置をとるべきではないか、そのように思いますが、いかがでございましょうか。
  185. 松田朗

    ○松田政府委員 お答えいたします。  水俣病患者の救済に関しまして、現在、公健法に基づきまして医学を基礎といたしまして公正に認定を行っている、またそうすべきだというふうに考えておるわけでございます。  今回の判決でございますが、判決の中におきましては、現在の国が示しておりますこの認定基準につきましては、特に言及していないということでございまして、現在の判断基準というものは、医学の定説となっております知見を基礎としまして適切に運営されているというふうに現在も考えておるわけでございます。この判断基準は、医学的に水俣病と疑わしいと診断し得るものをぎりぎりの線で救済しているというふうに考えておりまして、現在までにも二千九百四十五名を既に認定しておるということでございまして、今後私どもはこの認定業務をさらに促進していきたいというふうに考えているわけでございます。
  186. 大野由利子

    ○大野(由)委員 原告側の一番の願いは、これ以上結論を長引かせたくないという一言に尽きるのではないか、そのように思います。裁判をいたずらに延ばすのではなくて、環境庁が率先して水俣病問題関係閣僚会議の開催をぜひ関係省庁に働きかけていただいて、政治的決着をぜひ図っていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  187. 原田昇左右

    ○原田委員長 辻第一君。
  188. 辻第一

    ○辻(第)委員 昨年の環境事業団法の改正で実現した産業廃棄物処理施設の建設譲渡事業に関連して、最近社会問題となっています管理型処分場での水質汚染の問題を質問いたします。  九二年に、東京の西多摩、日の出町にある広域ごみ処分場で、ごみ埋め立てのために敷いた厚さ一・五ミリのゴムシートが破れ、周辺の井戸水が汚染された疑いが持たれています。問題なのは、処分場近くの河川や処分場わきの監視用井戸から、発がん性が指摘されているフタル酸ジエチルヘキシルというプラスチックの可塑剤が比較的高い濃度で検出されているほか、処分場の浸出水にはダイオキシン類も微量ながら検出されています。  そこで、環境庁、厚生省もこのゴムシート問題の検討を始めましたが、環境事業団が今年度から産業廃棄物処理施設の建設譲渡事業を開始するに当たって、どのようにやることにされているのかお尋ねいたします。
  189. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 廃棄物の管理型の最終処分場におきまして使用されるゴムシートの安全性の問題につきまして、これは環境事業団においても大きな課題であると認識しているというぐあいに私どもは承知しているわけでございます。  先生指摘のように、今年度から環境事業団におきまして、新たな事業として、みずからが事業者となって最終処分場を建設し譲渡する事業が開始されたわけでございます。この事業につきましては、現在最初の事業実施地区、これは島根県でやっておるわけでございますが、そこで環境調査を実施しているところでございます。御指摘の問題につきまして、今後実施設計を進めるに当たって、事業団において関係資料を収集し、所要の検討を行うというぐあいに承知しております。  いずれにいたしましても、施設の建設までにはまだ時間がございます。事業団におきましては、みずから検討する、その結果を分析することはもとよりのこと、ただいま厚生省などの検討会で検討しているところでございます。その検討の成果も十分収集した上で、これを参考としながら適切な工法を採用していくべきものというぐあいに考えております。
  190. 辻第一

    ○辻(第)委員 環境事業団の産業廃棄物処理施設貸付事業で埼玉県寄居町に建設された埼玉県環境整備センターという管理型の最終処分場があります。ここは、十四年間にもわたる住民と県当局の協議の結果、やっと合意し、埋め立て開始となったもの。この処分場の埋め立ての構造を見ると、浸出水が地下水に混入しないように、一・五ミリの合成ゴム製遮水シートと、厚さ四・五−十ミリの保護マットを敷き込んでいる。当然、シートの上には、破損の防止のため、厚さ一メートルの良質な保護土をかぶせている。一方、日の出町の処分場は、この厚さ十ミリの保護マットが敷き込んでいない。また、つけ加えて言えば、寄居町の処分場の浸出水の浄化処理は、高度処理も含めて四段階処理で、水質汚濁防止法よりもはるかに厳しい水質基準を設定している。  環境庁長官、シート破損の場合、このような保護マットがあるかないかが大きな違いになると思うが、今後、ゴムシート問題や地下水汚染防止問題を見直す場合、一般の処分場より環境事業団の処分場の方が公害、環境対策がすぐれていると言われるように、ぜひ見直していただきたい。お尋ねをいたします。
  191. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先生、埼玉県の寄居町の施設について、今例としてお挙げになったわけでございます。一層安全に配慮した工法をとって、環境事業団という名前が恥ずかしくならないように措置するべきじゃないかという御指摘だろうかと思います。  御指摘のように、私どもといたしましても、このゴムシート問題による遮水工法については、いろいろな御指摘がなされていることは承知しているわけでございます。そういった問題をいろいろ検討し、また改善も重ねられてきているというぐあいに承知しているわけでありますが、各地におけるこれまでの事例というものをよく研究し、さらにはいろいろな経験というものを十分踏まえながら、地元地方公共団体の指導も受けつつ、環境保全に十分配慮した適切な工法を採用していくようにすべきだという御指摘については、全くそのとおりだというぐあいに理解しております。
  192. 辻第一

    ○辻(第)委員 私の質問を終わります。
  193. 原田昇左右

    ○原田委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  194. 原田昇左右

    ○原田委員長 速記を始めて。  寺前巖君。
  195. 寺前巖

    寺前委員 関連して質問をします。  今度環境事業団法の改正は、昨年の地球サミットと前後して盛り上がった国民環境保全に対するそういう願いがここにも一つあらわれてきているというふうに見るわけです。そこで、海外発展 途土地域の面倒を見ていこうという話になるわけだけれども日本の大企業が海外へ、公害輸出とまで言っていいのかどうか知りませんが、かなり進出するんですね。それで、被害をいろいろ与えてきている。これに対する批判が強まって、日本国内にも外国の方が訴えに来られたりしているわけです。  このような多国籍企業による発展途上国への被害を与えてきている、こういう問題のしりぬぐいのために基金をつくっていこうということになるのかいな、私の気になるのはこの法改正の中でその点なんです。交付要綱や審査指針を策定する際に、NGO環境保全事業が多国籍企業による発展途上国の食い荒らされたものに利用されるということにならないように、きちんと規定してほしいなというふうに思うのですが、その原則的立場はいかがなものなんでしょうか。
  196. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 日本の企業が海外進出をするに当たって、環境配慮を行わなければならぬということは、これは当然のことでございまして、私どもとしましては、政府環境保全関係閣僚会議の申し合わせに基づきまして、民間企業の海外活動について適切な配慮が行われるように努めるべきことを申し合わせすると同時に、そういう態度は、今回の環境基本法においてもその考え方を宣明した条文を起こさせていただいているところでございます。  地球環境基金はそういう問題とは別の問題でございまして、開発途土地域に現に深刻な環境状況がございますとか、現地の住民等ニーズに対応して民間団体が盲主的、積極的に行おうとする環境保全活動支援しようとするものでございまして、企業の責任をNGOに転嫁するという趣旨のものでは断じてございません。
  197. 寺前巖

    寺前委員 私、気になるのは、フィリピンやインドネシアやマレーシアなどの熱帯林の食い荒らしの問題というのが東南アジアでは大きな問題になっていますね。一九六〇年から八四年の総丸太輸出量一億立方メートルのうち六五%が日本向けであった。この結果、森林率は六〇%から二七%に激減した。今では、フィリピンが輸出規制を行っているため、日本での輸入実績は丸太と製材合わせて九一年度で五万二千立米まで落ち込んでいる。そのかわり、現在ではフィリピンからマレーシアの方に変わって、サラワク州、サバ州から丸太と製材合わせて九一年度で九百八十七万五千立米と急増している。  当然、このような急激な輸入増はマレーシアの原住民生活や生態系の破壊を引き起こし、このまま伐採が進んでいくと、あと十年もたったら、サラワクに残された原生林は伐採されてしまう。こうした総合商社による木材採取でフィリピンのミンダナオ島やパラワン島は広大な裸の土地になっている。ルソン島ではマングローブの伐採や日本が輸入するエビ養殖のため生態系が破壊される、こういう事態になってきているわけです。  だから、念のために私聞きたいのですが、こういうようなことの後始末をまさかこの基金でやろうということには、具体的に聞きたいのですが、ならぬのでしょうな。それは大企業にちゃんとさせますね。そこのところはどうですか。
  198. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 これは先ほどもお答えしたところでございますが、地球環境基金による助成は、対象になる民間団体活動が真に地球環境保全に役立つかどうか、また開発途土地域住民等ニーズに適合したものになっているかどうかということを環境事業団が十分審査して判断していくということを考えているものでございます。したがって、先生が御指摘になるように、日本企業の事業活動がそこで行われていた、それによって環境破壊が行われたことを補てんするような格好でやるというようなことは毛頭考えておらないところでございます。
  199. 寺前巖

    寺前委員 私、繰り返し要らぬことを言うのかしりませんけれども日本の大企業が全く責任をとらなかった問題で、現に政府ODAによる海外援助を利用してきたものがあるのです。例えば、林野庁のアジア地域への森林・林業協力では、フィリピンのパンダバンガン林業開発計画とか、あるいは広域森林情報分析管理計画調査とか森林セクター計画ローン、インドネシア、南スマトラの森林造成計画、産業造林計画、林木育種センター整備計画、セクタープログラムローン、マレーシアのサバ州の造林技術開発訓練計画、サバ州造林計画調査など、ずっといろいろあるのです。林野庁がやっているのですよ。  フィリピンの森林セクター計画ローンは、伐採によって著しく減少した森林資源の維持回復を目指す植林計画で、これ一件で百五十億円の資金協力になっている。そうすると、これは政府の資金になるわけですね。ODAの資金でやっていこう、こういうことになっている。何か後始末をやらされているやないか。これ気になって仕方がない。  それから、外務省は国際開発協力関係民間公益団体補助金、NGO補助金と通常言われているのだけれども、やはりそういうものを使っていろいろしりぬぐいをやる。郵政省も国際ボランティア貯金がある。NGO補助金では、文化事業協会がフィリピンのアルベイ州で造植林事業、チボリ国際里親の会がコタバト州で山岳少数民族の居住地の森林破壊を食いとめるための植林事業。国際ボランティア貯金では、オイスカ産業開発協力団が乱伐で裸の土地になったミンダナオ島やパラワン島での植林事業日本・フィリピン・ボランティア協会がミンダナオ島で熱帯林学習センターの建設、植林実践校に対する教育支援、沖縄国際マングローブ協会がマングローブ生態系の破壊が進行しているルソン島でマングローブ林再生用苗畑の造成。そんなことみんなやっているのや。  各省がやっている内容を見ると、破壊された後の後始末の仕事をずっといろいろやっておるのやね。何回も局長さんは、はっきりしてますのや、これはやりませんのや、こういうふうにおっしゃっているのだから、信用しまっせ。やはりやらすべきものは、後始末は後始末としてやるようにしないといかぬと思うのです。そして、国際的に貢献しなければならぬ事業に対して、技術指導やらいろいろなこともありますわな、そういうことをやるとか、やはりそういうふうに任務を明確にやるということが非常に大事な点なので、私は、くどいようだけれども、あえてそのことを提起したわけですが、大臣、いかがですか、御理解いただけましたか。     〔委員長退席、持永委員長代理着席〕
  200. 林大幹

    ○林(大)国務大臣 今寺前先生から、日本の大企業が海外で大変森林破壊に通ずるようなことをどんどんやっている、その後始末をODAやるんじゃないのか、それで今回の地球環境基金もそのような形で利用されたのでは大変困ることだということでありますが、それは全く困ることでありまして、地球環境基金の今回の問題では一切、そういうことは絶対ありません。
  201. 寺前巖

    寺前委員 それは積極的に、そっちをほかしておけということではなくして、そっちの方は後始末の指導を国家的にもやるということで、企業に対する指導を通産省なりしかるべき省がみんな、それぞれ関係する省がありますから、そういうところをやはり指導してやってほしい。それで、国際的な全体の立場に立って基金活動というのは公正で民生的にぜひやってほしいと思うわけです。  ところで、この基金の交付要綱や審査指針が策定されて、国内外の有識者による運営委員会の審査を経て支援内容が公表されることになると思うのです。今回の地球環境基金による資金の支援は、この地球環境基金の運用の仕方によってはNGOが選別されたり、環境庁のひもつきというような、言い方は悪いのですけれども、特定のものだけ面倒を見ましょうということになるとまずいと思うのですね。そういう点では、基金の運用に当たっては民主的で公正な支援措置がとられて、しかもNGOの自主性、自律性が保障されるというような視点でそういう運用をぜひやってほしいと思うのですが、その点はどうなっているのでしょうか。
  202. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 この基金助成事業は、法律上も明らかになっておりますように、民間の発意 に基づく活動対象とすることにしておりまして、まず民間団体がその発意による具体的な活動計画をつくっていただき、それに基づいて基金助成を要望した場合に基金の財源の範囲内で助成をするという趣旨と手順を踏まえて、あらかじめ先生指摘になりました助成金交付要綱というものを作成、同時にそれを公表するというようなことをし、それに基づいて助成事業を行うということを考えているわけでございます。そこで、これらを適切に運用することによりまして、民間団体の自主性や自由な活動が損なわれることのないようにやってまいりたいというぐあいに考えております。
  203. 寺前巖

    寺前委員 それで、ブラジル会議を前後する時期には二千億円という金の話もありましたね。それが三カ月ほどたって九月ごろになってくると三百億円という話に減ってきておる。それがいつの間にやら秋ごろになると十億円。二千億円と十億円ではけた違いもいいところ、何違いと言うのでしょうか、べらぼうな違いなんです。  そうすると発想の基本も狂ってくる。こういう十億円の基金で五億円の補助金というやり方でいつまでもいくのか、やはりそこは姿勢を改めるのか。かつて二千億円と言ったという問題との関係はどういうふうに見ているんだろうか。例えば郵政省の国際ボランティア貯金でも二十三億円という金がそこだけでぼんとやっておるのでしょう。余りにも金額の小ささというのは、ここで大論議しなければならぬほどの金額でもないわけなんで、考えてみたら、これは態度はどうなんだと言ってみたものの、将来ともこのままでいくのか、大臣、そこはどんなふうなおつもりでおられるのかちょっとつもりを聞きたいのです。
  204. 林大幹

    ○林(大)国務大臣 二千億円という話は私も就任してから伺っておりますが、これはしかし二千億円という数字を確定してこの企画を進めてきたということではありませんでして、二千億円という基金をつくることができれば地球環境基金として、またそれぞれ民間団体活動を大いに推進していただくためにも、相当活発な活動ができるものであろう。しかし、このような低金利の状況になってくると、相当な基金がないと果実をもってする場合にはなかなか難しい、したがってそれには二千億円くらいはどうしても必要じゃないのか、そういうことを構想することでありまして、つまり描いたことでありまして、それは現実にこの企画を盛り込む、あるいは地球基金というものを具体的に進めるためにそのような条件をいろいろ検討した上で決めたという額ではないと私は伺っております。  それからまた五億円の問題でありますけれども、仮に五億円にしましても、五%ということを考えれば百億の基金がないと五億円は生まれないわけであります。したがいまして、今回活動のために五億円、これはそのように予算措置をとっていただいたということは、言うならば百億の基金が当然あったもので逆算したわけではありませんけれども、これはもうどうしてもそうせざるを得ない、十億円を使ってしまってはどうにもならないということであります。  しかし、私はきょう大変意を強くいたしておりますのは、寺前先生も恐らく賛成してくださるんじゃないかと思っているのでありますけれども、各党の先生方が非常な深い御理解を示してくださるということでありますので、これから来年度予算をどう獲得するかにつきましても、環境庁としては全力を挙げて取り組むつもりでおりますが、二千億円についてはそのように一つの構想を描かれたものではなかろうか、私は詳しく追及したわけではございませんけれども、そのように承っております。
  205. 寺前巖

    寺前委員 もうあれですからやめますけれども、先ほど局長さんは民主的で公正な、そして自主的にプランを出してもらってそれにこたえるようにしていきたい。そのために、お金にすれば百億の基金があったと同じだけの金額であるけれども、五億円を予算化したと大臣もおっしゃっているわけです。しかし、みんなの意欲から見るならばこれではどうにもならぬなという感じがしますので、引き続き積極的な役割を担えるようにしてほしいということ。  それから、交付要綱や審査指針を策定する際にいろいろなことを内容を公表してくださることになるのですが、やはり審査をする運営委員会の構成メンバー自身も、NGOの代表も参加するような、そういう運営委員会にしたらどうなんだろうか。政府機関や民間拠出団体NGOの代表が出て、そして積極的にどういうふうにしてこれをいいものに、役割を国際的にもしていこうか、金額はわずかであっても気持ちは全部の気持ちをくみ上げていくというような雰囲気で新しい前進を遂げてもらったらどうなんだろうかという希望的夢を私は持っておるのですけれども、その点はどうでございましょうか。
  206. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 御指摘のように、この基金を設けることによって地球環境保全に対する国民意識を高めていきたいということもそのねらいとしているわけでございます。そういう意味からこの運営委員会委員についても、大所高所からこの地球環境保全につきまして御意見をいただける人にぜひ加わっていただきたい。しかも、その対象となる事業民間団体環境保全活動でございますから、御指摘のように特定の環境NGO利益代表という格好ではございませんけれども環境NGOにつきまして十分事情に明るい方がそういう事情を踏まえて御意見を言っていただくということが大事だと思って考えておりますので、そのような線に沿って運営委員会の人選にも当たってまいりたいというぐあいに考えます。
  207. 寺前巖

    寺前委員 もう終わります。大臣も、賛成してもらえるようだという希望をおっしゃっておられましたが、我々も賛成しますので、積極的に生かしてくださることを要望して、終わります。
  208. 持永和見

    ○持永委員長代理 中井洽君。
  209. 中井洽

    中井委員 最初に、今回の質疑当たりまして時間を大変御配慮いただきました委員長初め各党の皆さん方にお礼を申し上げます。私どももこの法案につきましては反対するものではありません。しかし、どうも幾つかひっかかるところがありますので、そんなところを中心に質疑をして納得をして賛成をしたいものだな、こんな思いでございます。  最初に、大臣にお尋ねをいたしますが、諸外国でもNGOというのは政府関係しない団体をいうんだと思うのです。それが日本の国だけが環境NGOに対して国からお金を出す、こういう発想というのはどんな点からきておるのか、これを聞きたいのですが、どうですか。
  210. 林大幹

    ○林(大)国務大臣 中井先生にお答えいたしますが、この問題は先刻も御質問賜ったことでありますけれども、率直に言いまして、地球環境基金というものをつくっても、そしてこれに民間からの拠金も仰ぐということにして、この構想は非常にいい構想だと実は私は思っておりますけれども、ただ、果たして今のまま民間に任せきりで本当にこの事業充実するのかどうかという点になりますと、実は一抹の危惧がないわけではございません。  と申しますのは、やはり社会的な、風土と言っていいのかどうかわかりませんけれども、あるいは一つの例をとりましても、我々日本人というのは、まず自分のことから始めるという行き方をずっと長く歴史の中で続けてきておりますので、したがいまして、利益を社会に還元する、そういう面の社会構成になれておりません。その点から比べますと、これはやはりある時期までは相当公的機関がリードしないとなかなか充実が難しいのではないかという点も実はあわせ考えまして、しかし、それを表に出しますと、何か日本国民に対して少し考えが違っているのじゃないかというおしかりも受けないとも限りませんので、ここは国も、それからまた国民もそれぞれの事業も、ともに相協力してこの仕事に入ろうではないかということから、今のような姿で御提案したわけでございます。
  211. 中井洽

    中井委員 スポーツでも文化でもあるいは政治 に対しても、日本人というのはなかなか個人でお金を出さない、出すのはどうも企業だというような社会構成になっているのが欧米と一番違うのじゃないかと僕は思います。欧米NGOが本当に、世界規模団体も含めて財政的にきちっとしておる、それは、やはり個人が寄附をするという習慣、あるいは同時に税制も確立をしていると思うのですね。こういうNGOというのが、日本環境団体というのは公害闘争から始まってきた、その中ではやはり反政府であり反企業であった。そういう生い立ちを持つ団体に対して、国と企業とが金を集めて補助金を出していくというのは本当になじむのか、どうなんだろう。逆に、環境庁がやることは、環境庁がお金を集めるのじゃなしに、そういうNGO団体へ寄附をする個人や企業は税制面で優遇される、そういうルールをつくる方が、NGO自体が自力で育つあるいは財政基盤を確立できる一番の根幹になるのじゃないか、私はこんなふうに思いますが、いかがですか。     〔持永委員長代理退席、委員長着席〕
  212. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 中井先生のようなお考えをとることも私は十分あり得るかと思います。ただ、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、日本の中で、寄附を積極的に行うという基盤がないところで、そういったような事柄にまっていて地球環境保全ということを適切に進め得るかということに関して、私どもは若干危惧の念を抱いておりまして、やはり国、民間が相寄って基金を出して、そして民間団体助成するというようなよすがをとっていく。また、地球環境保全に対する資金のチャネルというものは、昨年の東京賢人会議におきましても議論されましたように、一つのチャネルが絶対的にいいということではなくて、いろいろなチャネルというものを考えてやっていくということも考えていいのではなかろうかということも考えたわけでございます。  そういう意味におきまして、民間企業また民間の財団がやりますチャネルに税制上の優遇措置を講じていくということは、それなりに意味のあることだと思いますし、私どもといたしましては、こういう地球環境基金というものをつくって、国と民間が相協力し合って民間団体地球環境保全に対して助成を行うという一つのチャネルをつけるということも、一つの新しい意義があるということで、今回御提案申し上げた次第でございます。
  213. 中井洽

    中井委員 たびたび議論も出ておりましたけれども、この基金というのは一体幾らたまったらやめるのだ、事前にもお聞きしましたけれども、わかりません、幾ら民間からお集めになるのということはわかりません。これはよく予算がついたなと僕思うのですね。これは基金に十億、補助金五億、これから何年かけてどれだけにするのだという話がなしに予算がつくというのは、日常の大蔵省の発想の中から出てこないと思うのですね。どこまでやるのだということがなかったらどこまでも、例えば税制上の優遇措置が基金へ寄附した人に対してとられるということになったらいつまでもこれを続けるのか、あるいはある程度のところで切ってその基金の運用の中でやっていくのか、そこらが少し見えてこないのですが、いかがですか。
  214. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先生がその辺に対して明確な方針を示さないということに対していら立ちを覚えることは私としても理解できるわけでございますが、一方、地球環境保全にこういう金を回すということはまだ始めたばかりでございまして、これをどのぐらいやればそこで十分なものに達するというような線を出し得るような状況にはまだないということを一方で御理解いただきたいわけでございます。  私どもとしては、まだここしばらくは相当程度努力をしながら、基金につきまして積み増しをすると同時に、基金事業充実を図っていく必要がある。それにつきましても、先ほど来、当初の構想に比べて小さ過ぎるのではないかという御指摘もあったわけでございますが、一どきに、現在の財政状況または経済状況から見まして、飛躍的な伸びを望むということは現実の問題としては難しかろうと思います。そういう意味では、一歩一歩私どもは歩を進めていくという考え方をとっていかざるを得ないのではないかということを、正直、考えざるを得ないものであります。
  215. 中井洽

    中井委員 個人でNGOへ出さない、またNGO自体も今の不況の中でそれぞれお願いに上がってもなかなかお金が集まらない、そういう中で環境庁事業団がこういう基金をつくってやっても、私はなかなか集まらないのじゃないかなということを考えております。心配します。  そうすると、必ず企業とか企業団体へ割り当てたり強制というものが起こってくるのじゃないか。集め方によって非常におかしな形が出てくるのじゃないかなと心配をしておりますが、そういう企業とか企業団体へ強制をする、割り当てをする、そういったことはやらない。お約束いただけますか。
  216. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 現時点で寄附金の集め方について具体的な方法を固めているわけではございませんが、趣旨としまして、企業または国民から幅広く浄財を募っていくということにこの制度の意義があり、また、そういう基金を集めること自体地球環境保全に対する一種の国民的な運動意識の高揚につながるというぐあいに考えておるわけでございます。御指摘のように、個別の企業等に対しまして割り当てをするとか、そういったような方法による寄附の集め方ということは考えておりません。
  217. 中井洽

    中井委員 次に、助成金を出すわけでありますが、いろいろと御質疑がありました。どういうことに対して出すか、こういうことで聞かしていただきましたが、こういうのには出さないというのがあるのじゃないかと私は思うのであります。例えば、政府関係をされておるのですから、政府の公共事業等に対して環境面から反対運動をなさるといった人たちもこの助成対象となるのかならないのか、お聞かせください。
  218. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 逆に助成対象にならないものとしてどういうものがあり得るかということでございますが、まず、民間団体でない地方公共団体営利法人等については、対象となることはございません。これは定義上からそうなります。  実質的に今度は、民間団体が行う事業の中で、思想、信条等によって差別をするのかどうかということでございますが、一義的にそういうところで区別をすることではなしに、やろうとする事業目的、効果、影響等が真に地球環境保全に役立つかどうかというようなことでそこは議論していくべきだと思いますが、反対運動をする云々につきまして、それは国民意見が分かれるような対象につきましては、国民の浄財を得てやる事業、また税金を使ってやる事業ということから、それは適当なものであるということにはならないというぐあいに考えております。
  219. 中井洽

    中井委員 例えば具体例を挙げて大変恐縮なんですが、グリーンピース日本支部というのがある。これは原子力発電はもう絶対だめだよ、鯨はだめだよ。しかし、世界じゅうでやっていらっしゃる環境活動ということに対しては、非常にすばらしい活動をやっていらっしゃる。このすばらしい活動面を見て、グリーンピース日本支部からもし申請があったら、お出しになるのか、それともこっちの反対というところがだめだから出さないとされるのか、そういう判断はどうですか。
  220. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 ただいま固有名詞を挙げました団体がどういったような事業をおやりになるか、そのために財源としてこの地球環境基金助成をしないとその事業がうまくいかないのかどうか、また、その事業をやることによって地球環境保全上どういう効果を持つのか等々、そういうことを検討しながら助成するかしないかということを検討することになろうかと思います。
  221. 中井洽

    中井委員 そこの判断が非常に僕は難しいと思うのですね。例えば植林を海外でなさるというけれども、熱帯雨林を切るなという反対運動から始まったかもわからない。環境運動というのは非常に多種多様であります。長良川の河口堰反対というけれども、あれは長良川の自然環境を守ろう という運動かもしれない。そういうところの基準を一体どこに置かれるのだろう。私はそこのところが少しわからないのであります。数百ある環境団体の中には、そういう反対運動関係なしに純粋にやっていらっしゃるところもある。しかし、反対運動から始まったすばらしい環境団体もある。そこらがお尋ねをしても微妙にどう考えていいかわからないところであります。どういう判断をなさるのか、重ねてお尋ねをいたします。
  222. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 具体的なイメージを持たないで御議論することは非常に難しいわけでございますが、おっしゃるように、どういう団体を選んで、どういう事業助成していくかということになりますと、相当程度、それはかなり判断に微妙なものを要するという場合が出てこようかと思います。  そういうことがございますものですから、私どもとしましては、やはり広く環境問題に対して学識経験を持っている方々、または民間団体に対する情報、経験をお持ちになっている方々等から成ります運営委員会というものを設けまして、そこにおいてこの助成事業の有効性、信頼性、公平性ということを確保できるような運営の仕方をやりたいと思っておりますし、また事前に助成金交付要綱といったようなものをできるだけ国民の目に明らかにするような格好で公表し、一定の客観的なものをつくっていくように努めてまいりたいというぐあいに考えているわけでございます。
  223. 中井洽

    中井委員 私は先ほど、企業や企業団体に強制するな、こういうことを申しましたが、日本ではそういうところへ強制して、割り当てをしてお願いをしないとなかなかお金が集まらないというのが、スポーツでも文化でも、自民党さん、恐縮ですが、政治資金でもそうであろうかと思うのです。しかし、そういうところがどかんと出しちゃうと、どうしてもこういうのには金を使わないでくれという注文が必ずついてくる、ひもつきと見られる。それではNGOというのが本当に本来の意味を持って活動しない、そんなことを危惧もするわけであります。  浄財を本当に個人から、税制優遇がされます、しかも環境庁がきちっと選択をして、立派な、またこれからも続くNGOに補助金として使っていきます、そういう形でのPRが一番必要だ。先ほどから、幅広く幅広くと言われているけれども、どうも企業から集めることをお考えになっているんじゃないか。そうじゃなしに、本当に個人で出してもらうのを主眼とする、これくらいの熱意でおやりをいただきたいと思いますが、重ねてお答えいただきます。
  224. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 私どもといたしましては、企業からの御寄附を排除する必要はないというぐあいには考えております。しかし、企業からのみ御寄附を仰ぐということもやはり問題だろう。先ほど申し上げましたように、この制度は、地球環境保全を行うという一種の国民意識の高揚を図るという点に一つの意義があろうかということを同時に考えておるものですから、私ども国民運動的な活動によるところの御寄附というものも考えてまいりたい。そのためにいろいろなPRもやらなきゃならぬし、取り組みもやるということを考えているわけでございますが、現にボーイスカウト、ガールスカウトとか、ああいうところからも、こういうことに対しまして賛同し、募金活動をお手伝いしましょうかという声も上がっているところでございます。
  225. 中井洽

    中井委員 郵政のボランティア貯金、あるいはまた外務省にも同じような補助金があるということは、先ほどから議論が出てまいります。こういうところから補助金が出た団体には同じ年にはこの環境基金からは補助金が出ない、こういうふうに理解していいですか。
  226. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 資金に限りがありますときに、助成を希望する民間団体がどのぐらいあるか、どういった事業に対して助成を希望しているかということになろうかと思います。そういった場合に、一つ団体のやります同じ事業に二つのところから助成を行うということは、やはり効率的ではないというぐあいに考えますから、そこは調整する必要があろうかと考えております。  ただ、別の事業、別の活動対象にして助成をする必要が生じたという場合については、よその団体で同種の希望があるかどうかということを見ながらそこは検討していくことになろうかと存じます。
  227. 中井洽

    中井委員 事業団でこの基金をつくることによって人間を増員されると思うのですが、これはどのくらいの増員をお考えでありますか。
  228. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 本年度の予算査定のときにその辺は財政当局と議論をいたしまして、実質要員としては六名、うち一名の振りかえでございますので、本年度におきましては五名の増員ということに相なっております。
  229. 中井洽

    中井委員 初年度、基金が十億、それから補助金五億ということであります。それで、質疑を聞いておりますと、実際海外等で使われたらそれも調査に行くこともある、こういうお話もございます。また、この委員のメンバーに何か海外の環境問題の専門家もお入りいただくのだ、こういうことも聞きました。  そうしますと、そういう委員にお出しする旅費だとか、あるいはそういう海外に調査に行く費用だとか、あるいは五人も増員した費用だとかいうことで、この基金に対する補助金が使われちゃう。実際少ない基金NGOに配分をされるのが少なくなる、私はこんなふうにも心配いたします。苦しい財政の中で、まあまあこれだけの金額ですが、せっかくスタートされたわけですから、できる限り有効にお使いいただくように、またできる限り中身も納得がいって、来年、再来年と基金に対する寄附金が本当にふえていく、そういう形で運営されるように要望して、質問を終わります。
  230. 原田昇左右

    ○原田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  231. 原田昇左右

    ○原田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  環境事業団法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  232. 原田昇左右

    ○原田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 原田昇左右

    ○原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  234. 原田昇左右

    ○原田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十一分散会