運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1993-06-11 第126回国会 衆議院 外務委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年六月十一日(金曜日)     午前十時三分開議 出席委員   委員長 伊藤 公介君    理事 小里 貞利君 理事 狩野  勝君    理事 古賀 一成君 理事 鈴木 宗男君    理事 長勢 甚遠君 理事 上原 康助君    理事 土井たか子君 理事 東  祥三君       新井 将敬君    小渕 恵三君       大野 功統君    鴻池 祥肇君       坂本三十次君    塩谷  立君       中山 正暉君    細田 博之君       松浦  昭君    宮里 松正君       秋葉 忠利君    川島  實君       時崎 雄司君    藤田 高敏君       元信  尭君    吉田 正雄君       遠藤 乙彦君    神崎 武法君       倉田 栄喜君    古堅 実吉君       和田 一仁君  出席国務大臣         外 務 大 臣 武藤 嘉文君  出席政府委員         外務大臣官房審         議官      津守  滋君         外務大臣官房外         務参事官    小池 寛治君         外務大臣官房領         事移住部長   荒  義尚君         外務省アジア局         長       池田  維君         外務省北米局長         事務代理    加藤 良三君         外務省経済局次         長       林   暘君         外務省経済協力         局長事務代理  内藤 昌平君         外務省国際連合         局長      澁谷 治彦君         水産庁長官   川合 淳二君  委員外出席者         外務大臣官房外         務参事官    服部 則夫君         厚生省健康政策         局看護課長   矢野 正子君         厚生省保健医療         局国立病院部政         策医療課長   西本  至君         通商産業省通商         政策局北西アジ         ア課長     北爪由紀夫君         運輸省航空局監         理部国際航空課         長       藤野 公孝君         海上保安庁警備         救難部警備第二         課長      陶山 高志君         労働大臣官房国         際労働課長   木村富美雄君         自治省行政局公         務員部給与課長 伊藤祐一郎君         外務委員会調査         室長      黒河内久美君     ————————————— 委員の異動 六月一日  辞任         補欠選任   川島  實君     松原 脩雄君 同日  辞任         補欠選任   松原 脩雄君     川島  實君 同月十一日  辞任         補欠選任   坂本三十次君     鴻池 祥肇君   細田 博之君     塩谷  立君   山口 敏夫君     大野 功統君   新村 勝雄君     吉田 正雄君   高沢 寅男君     元信  堯君   神崎 武法君     倉田 栄喜君 同日  辞任         補欠選任   大野 功統君     山口 敏夫君   鴻池 祥肇君     坂本三十次君   塩谷  立君     細田 博之君   元信  堯君     高沢 寅男君   吉田 正雄君     時崎 雄司君   倉田 栄喜君     神崎 武法君 同日  辞任         補欠選任   時崎 雄司君     新村 勝雄君     ————————————— 五月二十七日  子ども権利条約批准に関する請願金子満広  君紹介)(第二四四二号) 同月二十八日  子ども権利条約批准と実行に関する請願  (小沢和秋紹介)(第二七九一号)  同(金子満広紹介)(第二七九二号)  同(木島日出夫紹介)(第二七九三号)  同(児玉健次紹介)(第二七九四号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二七九五号)  同(菅野悦子紹介)(第二七九六号)  同(辻第一君紹介)(第二七九七号)  同(寺前巖紹介)(第二七九八号)  同(東中光雄紹介)(第二七九九号)  同(不破哲三紹介)(第二八〇〇号)  同(藤田スミ紹介)(第二八〇一号)  同(古堅実吉紹介)(第二八〇二号)  同(正森成二君紹介)(第二八〇三号)  同(三浦久紹介)(第二八〇四号)  同(山原健二郎紹介)(第二八〇五号)  同(吉井英勝紹介)(第二八〇六号) 六月七日  子ども権利条約批准に関する請願伏屋修治  君紹介)(第三三一〇号) 同月十一日  核兵器廃絶に関する請願児玉健次紹介)(  成田一郎君第四三五〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  みなみまぐろ保存のための条約締結につい  て承認を求めるの件(条約第一〇号)  商業及び事務所における衛生に関する条約(第  百二十号)の締結について承認を求めるの件(  成田一郎条約第五号)(参議院送付)  航空業務に関する日本国ネパール王国との間  の協定締結について承認を求めるの件(条約  第三号)(参議院送付)  日本国と中華人民共和国との間の航空運送協定  を改正する議定書締結について承認を求める  の件(条約第四号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 伊藤公介

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  みなみまぐろ保存のための条約締結について承認を求めるの件及び商業及び事務所における衛生に関する条約(第百二十号)の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。元信堯君
  3. 元信堯

    元信委員 朝で余り出席がよろしくないようだけれども、諸般の事情がおありでしょうから、質問を始めたいと思います。  きょうは、私はみなみまぐろ保存のための条約について質問する予定にしておりましたが、外務大臣お見えでございます。緊急の問題について一問お願いをしたいと思いますが、北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国ですか、核拡散防止条約からの脱退問題が大詰めを迎えてまいりました。本来きのうがタイムリミットかと思っておりましたが、向こうの時間だと十日ですか、きのうの交渉がさらに継続延期されたという報道をけさテレビで拝見をいたしましたけれども、外務省としては状況をどういうふうに把握をされておるのか、どういう御理解をされているのかまず伺いたいと思います。
  4. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 両国間の協議は、アメリカ時間で十日の午前十時から始まったようでございます。昼食を挟んでずっと行われてきたようでございますが、先ほどの連絡では、まだ続いておるというふうに連絡を受けております。
  5. 元信堯

    元信委員 十二日がタイムリミットというふうに伺っておりますけれども、正確には十二日というのは何時をもって十二日というのでしょうか。
  6. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 いずれにしても、申し出て三カ月すれば効力が発生するのですが、今、北朝鮮の時間なのかあるいは国連の時間なのか、ちょっとその辺は事務当局も少しはっきりしないようでございますが、いずれにしても三カ月すれば発効するというのは、これはもう規定で決まっているわけでございますから、十二日のいっかというのは、どこの十二日のいっかというのはわかりませんが、十二日の午前零時ということが正確なところではないか、その午前零時がどこかというのは、ちょっと私も今承知をいたしておりません。
  7. 元信堯

    元信委員 いずれにいたしましても、脱退などというような事態を迎えますと大変なことになるわけでありまして、我々も、両国あるいは日本を含めて関係国が万難を排してこの交渉を成功させるように祈るほかないわけでありますが、外務省としては、基本的にはどういうスタンスでこの交渉を見守っておられるのか、あるいは今後想定をされる国連経済制裁などについてどういうふうにお考えになっているか、今の時点でのお考えを承っておきます。
  8. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 もちろん、海を隔てた、本当に近い距離にある日本としてはこの問題は大変深刻に受けとめておるわけでございまして、ぜひとも脱退の意思を撤回してもらいたいというのが私どもの姿勢でございます。今日までも、直接にも働きかけをし、あるいは中国、韓国アメリカ、それぞれと連絡をとりながら、ぜひとも脱退する意向を撤回していただきたいということをいろいろとお願いをしてきておるわけでございます。ただ、北朝鮮側アメリカとの交渉でこの問題は解決するんだということを前々から言ってきておると承知をいたしておりますので、特に今回の第三回にわたるアメリカとの会談が何とか成功をしてもらえれば大変ありがたいと思っております。  制裁問題というのはそれ以降の問題でございますので、今の時点でコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  9. 元信堯

    元信委員 それでは、みなみまぐろ保存のための条約について入ってまいりたいと思いますが、ここは外務委員会でございまして、必ずしも皆さん漁業問題にお詳しいとは限らぬものですから、まず、ミナミマグロ漁業というものがどういう沿革を経てきたものであるか、そして資源状態がどういうものであるか、水産庁から御説明をいただきたいと思います。
  10. 川合淳二

    川合政府委員 ミナミマグロ漁業沿革あるいは資源状況などについて御説明させていただきます。  第二次世界大戦が終わりまして日本遠洋漁業を開始いたしました一九五二年ぐらいからこの漁獲が始まっておりまして、六〇年代ではかなりの漁獲量を、特に南アフリカのケープ沖公海漁場中心としてやっておりました。その後、一九七〇年代、八〇年代には毎年二万トンから三万トンというようなスケールの漁業でございました。  しかしながら、オーストラリア沿岸におきます小型の魚を、ミナミマグロでございますけれども、多獲したというようなことが原因となりまして資源が減少いたしまして、一九八二年以降、我が国オーストラリアそれからニュージーランドの三カ国でこのミナミマグロにつきましての三カ国間の協議をいたしてきたわけでございます。特に八五年以降は、総漁獲量あるいは各国別割り当て量などを協議してきております。現在、私ども日本漁獲量は六千六十五トンということで、約二百五十隻の漁船がこの漁獲に従事しているということでございます。  資源でございますが、今申しましたように、八〇年代に入りましてまき網というような漁業豪州では行われておりまして、これで小型魚、一、二歳の若齢魚を捕獲したというようなことがございまして、現状では、親魚、親の魚でございますが、これは先生承知のとおり通常八歳以上でございますけれども、かなり低い水準になっているというふうに科学者間は見ております。その後、今申しましたような漁獲量の規制などを行いましたし、それから、今申しましたまき網漁業の抑制とか、あるいは期間禁漁水域などを設定いたしまして、小型の魚の資源が徐々に増大しているということになってきておりまして、四あるいは五歳魚というようなのも徐々に増大してきているという感じでございます。  しかしながら、まだ八歳を中心とした親の資源がなお低水準であるということでございまして、引き続き資源の回復について注意していかなければいけないというのが三カ国の研究者見解というところでございます。ただ、この見解につきましても若干分かれているところがあります。いずれにいたしましても、慎重な資源管理が必要だというのが現状だろうと考えております。
  11. 元信堯

    元信委員 ミナミマグロというのは、我が国で最も珍重されておりますクロマグロに肉質が近い、したがって価格もクロマグロに次ぐ高級マグロとして扱われている。そして、一時期、今お話にありました。稚魚をまき網でとっていたという時代がありますけれども、最近はほとんどはえ縄でないかと思いますが、したがって、その漁獲物はほとんど日本に輸入されて消費をされておる。今、豪州それからニュージーランド、それと日本、三カ国が主に漁業に参加をしているわけでありますけれども、その消費はほとんど日本である。日本のためにほかの国がとっている、こういう特殊な需給構造にある魚種でないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
  12. 川合淳二

    川合政府委員 世界的に申しますと、マグロ類は約百五十万トン漁獲されているわけでございますけれども、このうち、今御指摘がございましたように、ミナミマグロ、そしてこれに類似するクロマグロが約四万五千トンというようなところでございます。これは、マグロ類の中では一番高級として非常に珍重されるものでございまして、このうちの、ミナミマグロクロマグロ合わせて約半分が日本に輸入されているということでございます。やはり刺身用ということで使われているわけでございまして、今御指摘のように、日本最大需要国であり、その大部分を日本消費しているという状況でございます。
  13. 元信堯

    元信委員 昨年は京都ワシントン条約締約国会議総会が開かれ、それからことしは、ついせんだってIWC総会がこれまた京都で開かれました。どちらも採決ではクロマグロがやり玉に上げられ、危うくワシントン条約附属書の登載の提案があったわけでありますが、IWC総会でも大変日本は苦しい立場に立たされた。これは、日本漁業に対する国際的な非常に大きな批判と申しますか、排除の動きがあるわけでありまして、これからこれにどういうふうに対処していくかということが、我が国漁業外交最大の問題になろうかというふうに思うわけであります。  マグロ類につきましても、また後ほど申し上げますが、この資源に対する関心と懸念は非常に大きなものがありまして、これの整備が今進められなければならぬ、だんだん進んでいく、この条約もその一つであろうかというふうに理解しておりますが、世界マグロ類資源の保護の上でこの条約がどういう歴史的な意義を果たすものであるか、これは外務省から承りたいと思います。
  14. 津守滋

    津守政府委員 お答え申し上げます。  今回御審議いただいておりますこの条約につきましては、これまで日本オーストラリアニュージーランドとの間で八二年以来、条約枠組み、法的な基礎がない状態のままで、実質上ミナミマグロ資源管理それから保存、こういった問題について協議をしてきたわけでございまして、そういった協議の中で具体的に総漁獲量それから各国割り当て量について三国間で決めて、その割り当て量に従って各国漁獲を行ってきたわけでございます。しかしながら、今先生指摘のとおり、マグロにつきましてもワシントン条約対象にするという動きアメリカあるいはスウェーデン等から出てきた、こういう漁業資源国際管理に対する関心が大変高まってきた状況の中で、このミナミマグロにつきましても法的な枠組み、法的な基礎を与える必要がある、こういう問題意識で、豪州ニュージーランド日本の三国間で協定作成について八八年以来協議を続けてきて今回合意を見たわけでございます。  全世界的に見ました場合、既に大西洋まぐろ保存条約、それから全米熱帯まぐろ類条約、この二つの条約があるわけでございまして、今ここに三番目の条約としてミナミマグロについての条約を作成するということになったわけでございますが、さらに、残る地域といたしましては、太平洋それからインド洋、こういったところのマグロについての国際管理についても何らかの措置を講ずる必要があるということで、北太平洋につきましては、昨年十一月よりアメリカとの間で新たな枠組みを設けることについて意見交換を開始いたしました。また、インド洋につきましては、国連食糧農業機関(FAO)の枠組みのもとで、インド洋マグロ委員会というものを設立するための協定作成交渉が現在関係国間で行われている状況でございます。
  15. 元信堯

    元信委員 この条約は、我が国豪州ニュージーランド、三カ国の条約ですが、ミナミマグロ漁業というのはこの三カ国だけで行っているものなのでしょうか。非締約国でこの漁業に参加している国があるかどうか、そのことについて伺います。
  16. 津守滋

    津守政府委員 非締約国といたしましては、インドネシア漁獲を行っております。韓国も、わずかでございますが、とっているようでございます。国ではございませんが、台湾もとっております。南アについても、統計はございませんが、多分とっていると思われます。
  17. 元信堯

    元信委員 この条約は、これらの非締約国ミナミマグロ漁業に参入している国に対してはどういう扱いを予定していますか。
  18. 津守滋

    津守政府委員 御案内のとおり、マグロは非常に広範な水域を回遊する高度回遊性魚種でございますので、有効な資源保存管理を行うためには、すべての関係国、すなわちマグロ漁業国、それからマグロが回遊いたします二百海里水域沿岸国の間の協力が必要でございます。こういう観点から、御指摘のございました非締約国についてもできる限りこの条約に参加することが望ましいということで、条約加入の奨励に関する条項を設けているわけでございます。  さらに、台湾につきましては、これは国ではございませんので正式の加盟国にするわけにはいきませんが、必要であればオブザーバーの資格でこの条約規定のございます委員会等出席を求めるということは可能でございます。
  19. 元信堯

    元信委員 せっかく条約をつくっても、条約枠組みの外で漁業が行われれば条約の効果というのは半減することになってしまいますから、ぜひこの漁業国はすべてこれに入るように引き続き努力をお願いしたいと思います。  ところで、この条約の第十八条を見ますと、この条約に参加することができるのは必ずしも漁業国に限らないというふうに読めるわけでありますが、この条約で言います「他の国」というのは、今名前を挙げていただいた漁業国以外で加入可能性がある国というのはどういう国でしょうか。
  20. 津守滋

    津守政府委員 この十八条に規定されております漁業国でない沿岸国、先ほども申し上げましたように、南アについては統計はございませんが、とっていない場合には、これはここで言います二百海里内を回遊する沿岸国、これに該当すると考えられます。
  21. 元信堯

    元信委員 その沿岸国というのは、南ア以外にどこが可能性ありますか。
  22. 津守滋

    津守政府委員 ほかにはインドネシアも、これは漁業国マグロもとっておりますが、同時に沿岸国ということでございます。
  23. 元信堯

    元信委員 マグロ回遊範囲は非常に広い、さっきお話があったとおりでありますから、例えばそれ以外に南太平洋島興諸国、そういう国が当然入ってくるのじゃあるまいかと思いますが、その点どうですか。
  24. 津守滋

    津守政府委員 先生案内のとおり、ミナミマグロオーストラリアの西部で産まれまして、その後南極の上の方、緯度でいいますと南緯四十度ないし六十度ぐらいの地域を東から西、西から東に回遊しているわけでございまして、島嶼諸国につきましては、ミナミマグロが回遊する沿岸国という地域には入らないと思われます。
  25. 元信堯

    元信委員 魚がどこを通るかというのはなかなか認定するに難しいことだと思いますが、二百海里というとかなり広いわけですね。これは水産庁からいただいたと思いますが、これを見てまいりますと、例えばフィジーとかサモアとかマーケサスあるいはチリあたりまで行く可能性というのはあるんじゃないかと思いますけれども、そういう国が、我が国の二百海里も通るんだよ、沿岸国だというふうに主張した場合は対抗できますか。
  26. 津守滋

    津守政府委員 お答えいたします。  この条約には科学委員会というのを設けておりまして、そこでこのミナミマグロ資源の生態上の実態について科学的な知見に基づいて把握するということを任務としているわけでございまして、仮に、チリとか今御指摘のありました南太平洋島嶼諸国沿岸国であるというような主張を行った場合には、そういった科学的な知見に基づいて、この条約枠組みでいえば科学委員会審査する、調査する、こういうことになろうかと思います。
  27. 元信堯

    元信委員 しかし、この条約を見た限りでは、その加入については科学委員会審査が必要などというふうには書いていないかと思いますが、どの条文からそういうふうに読めますか。
  28. 小池寛治

    小池政府委員 条約の解釈ともかかわりますので私の方から答弁させていただきます。  先生承知のとおり、この十八条に、漁業国の後に続けまして「又はみなみまぐろ自国排他的経済水域若しくは漁業水域を通過して回遊する他の沿岸国は、この条約加入することができる。」ということになっておりまして、「通過して回遊する他の沿岸国」、これは事実認定に結びつくわけでございます。  それで、この科学委員会設置についての規定は第九条にございます。第九条の2の(c)で「みなみまぐろ資源状態」を「委員会に報告すること。」というのが科学委員会任務として設けられております。したがいまして、厳密な意味の審査ということではございませんけれども、科学委員会のこのようなミナミマグロ資源状態に関する報告に基づいて委員会審査するといいますか、通過して回遊する他の沿岸国に該当するのかどうかを審査するという形になっております。
  29. 元信堯

    元信委員 ちょっとそれは苦しいですね。それぞれの国が、自国の沖を通るから、経済水域を通るからこれは我が国も参加する権利があると言ったときに、科学委員会というのは、資源状態、つまり資源のボリュームを答申するわけで、そういう加入の問題にまで権限があるとはとても読めないと思うのですよ。そこらはちょっと問題があるということを申し上げておきたいと思います。  なぜこういうことにこだわるかと申しますと、IWCのことを念頭に置きまして、つまりマグロを全然漁獲しない国、例えば島嶼諸国、広く考えますとフランス植民地なんかもありますから、フランスですとかイギリスですとかこういう宗主国が、我々の植民地の沖合、経済水域マグロが通るんだから我々もそうなんだ、そしてそのマグロ日本人が食い尽くしてしまうことはまことにけしからぬ、こういう議論をして入ってきたときに、この条約委員会設置をすることになっておりますけれども、委員会の運営は全会一致制ということになっていますよね。  そうしますと、そういう国が入ってきまして、一カ国でもこれを、例えば来年の漁業枠の取り決めに反対をするというような事態が生じたときに、IWCにおけるモラトリアムの再現というようなことが起きやしないか、こういう心配をするから申し上げているわけなのです。  仮にそういう沿岸国が入ってきて、来年の捕獲枠決定を毎年委員会はやらなければならぬわけでありますけれども、それに反対をしたなどという場合には、一体どういう事態が出来するのか。どうお考えでしょうか。
  30. 津守滋

    津守政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、全会一致方式が定められておりますが、条約の八条7の規定で、これは対象締約国を法的に拘束することとなる委員会決定する措置でございますが、こういった決定された措置を完全に遵守しその実施を担保する、こういう観点からこの全会一致方式というものが定められたわけでございます。一カ国でも反対する事態というのは当然想定されるわけでございますが、そういった事態が出てきた場合には、この会合の中での議論を尽くして妥協点を見出すということで努力する、これが条約の趣旨でございます。
  31. 元信堯

    元信委員 よくわからないのですが、毎年毎年、次の年の漁獲割り当て量を決めますね。これがこの委員会の一番の仕事だろうと思うのですけれども、ある国が入ってきて、我が国マグロ漁業そのもの反対だというようなことを言い出して、これの決定に賛成しないという態度をとった場合、漁獲は相ならぬというような主張をして漁獲枠の決定を議決できないというような事態が起きた場合に、一体日本ミナミマグロ漁業というのはどういう目に遭うのだろうか、こういう質問ですから、そこのところ、明確にお答えをいただきたいと思います。
  32. 津守滋

    津守政府委員 繰り返しになりまして恐縮でございますが、一カ国、仮に一つの締約国反対したために決定が行われないというような事態になる場合、最終的に最後までその反対する国が頑張る場合には、これは理論的には何らの決定も行われないということはあり得るわけでございますが、実際上、そういった場合にはできるだけコンセンサスを得るよう議論を尽くす、これがこの条約の精神でございます。
  33. 元信堯

    元信委員 多分、IWCももともとはそういう精神だっただろうと思うのですね。しかし、今やIWCはそういう議論からはるかに逸脱してしまっているということですから、国際条約というのはそこらのところはきっちり詰めておかないと、そんなつもりではなかったのにと後で言っても間に合わぬわけでありまして、条約そのものをつくることは私は大いに賛成でありますけれども、この条約、そういう問題を残しているということを指摘をしておきたいと思うのです。  それと同時に、この条約は事務局を設置するというふうに定めておりますけれども、当面、分担金を払って常設の事務局を設置しないという方針であるやに聞いておりますが、いかがですか。
  34. 津守滋

    津守政府委員 事務局を設置しないという決定を行ったわけではございません。十条の2に規定されておりますが、当面事務局が種々の理由で設置されない場合、具体的には現在ニュージーランドが財政上の理由から難色を示しているわけでございますが、事務局が設置されない場合には、委員会の議長がその所属する政府の中から委員会の書記として行動する職員を指名いたしまして、この者が事務局の任務を一年の任期で遂行するということになっておりますので、当面事務局を設置しなくても支障が生ずるというふうには考えておりません。
  35. 元信堯

    元信委員 支障が生ずると思うのですよ。それは、事務そのものがどういうふうに行われるかということと離れて、この条約に参加した国は分担金を支払わなければならぬ、この分担金で委員会の事務局の費用を賄う、こういうことになっているわけですが、事務局が設置されない間は分担金は要らない、こういうことになっているのですね。つまり、参加したって一銭も払わなくても構わない。毎年の会議に自分たちの国の費用で代表団を送ってさえくればそれで一人前の参加国だ、こういう扱いになってしまうわけですね。そうだといたしますと、先ほど私が申し上げましたような懸念、第二のIWC化しないか。どんな国でも入ってしまって、金は一銭も払わないわ、旅費だけ払って出てくるわ、こういうことになりはせぬか、こういう懸念があるので、事務局の設置については、早急に設置をし、分担金を徴して実効ある活動をしていただくように要請をしておきたいと思います。  オブザーバーの規定というのがございますね、加盟国とは別に。このオブザーバーに、特別の資格を有するNGOがオブザーバーとして参加できるということになっていますが、この特別の資格を有するNGOというのはどういうものを想定されているのでしょうか。
  36. 津守滋

    津守政府委員 現時点で具体的にどういうNGOをこの規定対象として想定しているか、そういったものは現時点ではございません。
  37. 元信堯

    元信委員 条約に書いてあるのに想定していないというのもどうも解しかねるお話ですが、例えば過激な環境保護団体などがNGOと称してこの会議に押しかけてくるようになれば、先ほど申し上げたような懸念は一層深まるのではないか、こういうふうに申し上げざるを得ないわけであります。  さて、時間がなくなってまいりましたので、この条約が、運用次第によってはかえって我が国漁業の首を絞める可能性があるということについて指摘をしておいて、あと、もうこれでおしまいになるかと思いますが、この際、便宜置籍船の問題についてやはり触れざるを得ないと思うのです。  せっかく条約で取り組みをしても、その国の資本で別の国に船籍を置いて、それで漁業に参入するというようなことになれば、これは頭隠してしり隠さずという結果を招きかねない。この便宜置籍船対策について、これは水産庁でしょうか、どういう対策をお持ちでしょうか。
  38. 川合淳二

    川合政府委員 国際資源管理の枠外で操業する便宜置籍船の問題は、国際的な資源管理を進めようという上で非常に問題視されてきております。例えばマグロでございますと、現在パナマ船籍あるいはホンジュラス船籍というような形で国際資源管理を逃れているというような状況でございます。  これにつきましては、今回のミナミマグロ、あるいはお話がございましたICCATなどの会合でかなり問題意識を持ってきておりまして、本条約にも、この便宜置籍船を防止するための適切な手段をとるべきであるという規定がありますが、ICCATでもそれについての幾つかの対策が進められているわけでございます。  また同時に、全体といたしまして、FAOを中心にいたしましてリフラッギング防止条約をつくろうというような動きがございまして、これについての幾つかの会合が持たれておりまして、一番の契機になりましたのは、UNCEDのアジェンダ21にこの点についての指摘があり、その後FAOで会議を積み重ねてきております。この三月にも、FAOの水産委員会の場で検討が行われておりまして、来週ローマのFAO本部でまたこれについての技術作業部会などが開かれるというようなことでございます。  いずれにいたしましても、この問題は、国際的な枠組みができればできただけ、この点が非常に問題になってくるわけでございますので、積極的に我が国も対応していかなければいけない重要な問題だと思っております。
  39. 元信堯

    元信委員 時間が参りましたので終わりますが、冒頭お話にありましたように、この条約ができることによりまして、世界マグロ類資源のうち、大西洋はICCAT、全米熱帯まぐろ類保存委員会で中部太平洋、今度の条約インド洋の南部と太平洋の南部、それからインド洋もFAOでやろう。やはりこの太平洋北部が大きな穴になって抜けてしまうわけであります。この点については、目下アメリカ協議中という御答弁がございましたが、これをぜひ急いでいただいて、クロマグロ中心とする北太平洋マグロ資源保存のために、早急に国際的な枠組みをつくっていただきますように強くお願いを申し上げまして、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  40. 伊藤公介

  41. 土井たか子

    ○土井委員 政府は、ILOについての重要性は認識されていると思うのでございますが、きょう審議の対象になっておりますILO百二十号条約、つまり商業及び事務所における衛生に関する条約、これは採択されたのが一九六四年、昭和で言えば三十九年ですね。そして、発効したのが一九六六年、昭和四十一年なんですが、それ以来今日まで約二十七年間、この条約批准までに余りにも時間がかかり過ぎているということは衆目の一致するところだと思うのです。どうも積極性がないのじゃないか。政府はILO問題に対してどういう姿勢で臨もうとされているのかということが問題になるときに、この条約に対する対応というのは必ず話題になると思います。  今までこの条約批准できなかった理由、どの辺にあるのですか。いかがですか。
  42. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 この条約につきましては、内容について余り問題にならなかったということもございまして、余り注目されていなかったという事情がございます。そういったこともありまして、私どもといたしましては、手続面で若干時間をかけたという面もございます。ただ、実質的には、最近に至りましてこの条約の内容につきまして、内外で注目されるような状況に至りましたので、検討した結果、締結するということにいたしたものでございます。  もちろん、ILO条約批准を促進すべきであるという御意見も国会の場を初めとしてございましたので、今回この条約を取り上げて批准することにいたしました。我々としては非常に努力いたしたつもりでございます。御理解いただきたいと思います。
  43. 土井たか子

    ○土井委員 非常に苦しい御答弁ですね。今まで注目されてこなかったのでとおっしゃいますけれども、発効したのはとっくの昔ですよ、これは。発効することのためには、注目を受け、そしてそれに対する認識があり、それに対する努力があって採択されて、そのうち発効に至るまでの間の期間があるはずでございます。どうも今の御答弁からすると、では注目されている条約はすべて日本としてはこのILOに対しても誠実な対応をなすっているのですか。条約締結に向けての努力をされているのですか。注目されていないから今までこれについては批准ができなかったということをおっしゃるならば、あえてそういうことを申し上げますよ、私は。これは理由にならない、国連局長の御答弁とはいえ。  日本としたら、既にこの条約の実施のための国内措置というのは、昭和四十七年、一九七二年に施行されている労働安全衛生法を中心に国内的には確保されているという状況がある。外務省がお出しになっている説明書にもちゃんと書いてあるじゃありませんか。事情は、状況は同じである一九七二年以後どうして批准できなかったのか。これは理由ないですよ。注目されていたから、注目されていなかったからというのは、これは言いわけにしかすぎない。やはりこれに対して遅過ぎたということを率直にお認めになるべきだと思いますが、いかがですか。
  44. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 私どもといたしましても、条約の持つ目的、内容、その他について検討いたしまして、国内法との整合性等も検討したという事情もございますけれども、やはりILO条約につきましては批准の促進を図るべきだという御意見が国会の場等で高まっております。そういった事情を背景にいたしまして、今回特にこの条約を取り上げて承認お願いしている次第でございます。
  45. 土井たか子

    ○土井委員 幾らお尋ねをしても、今のような苦しい御答弁の連続であろうと思います。  この条約についても、七二年以後、国内法との整合性とおっしゃるが、これは確保されているとずっと言い続けられるであろうと思うのです、外務省とすれば。それが今日に至るまで批准されなかったというのは、今のお答えでは理由になりません。したがって、注目をされているILO条約の対応について、今の御答弁から少しただしたい点がございます。  ILOの条約勧告適用専門家委員会というのがございますね。この委員会の機能、役割というのはどんなものでございますか。
  46. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 この委員会任務は、ILO憲章第十九条、第二十二条及び第三十五条の規定に従って加盟国がILOに提出した報告を検討し、検討の結果をまとめて専門家委員会報告書として理事会に提出するということでございます。この報告書は、理事会でテークノートされた後、総会の議題資料となります。
  47. 土井たか子

    ○土井委員 今の御答弁のとおり、この委員会には大変大きな権限があります。  ILO八十七号条約といえば、これを日本として締結するときに、国連局長の先ほどの御答弁の言葉をかりれば大変注目された条約でございまして、国会の審議の過程でも、議事録というのは大部のものにわたります。ただ、この八十七号条約日本批准してから後、消防職員の団結権をめぐって随分係争が相次いでおります。審議のときから既に問題視されておりましたが、その後、消防職員の団結権をめぐる係争は一層具体的になりました。一九六五年に日本がこのILO八十七号条約批准して以来、これは一貫して係争の的になっているわけであります。その原因は何ですか。いかがですか。
  48. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 消防職員の団結権をめぐる問題でございます。
  49. 土井たか子

    ○土井委員 消防職員の団結権の係争の原因は何ですかということをお尋ねしているのでございます。
  50. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 八十七号条約は、すべての労働者に団結権を認めるのを原則としておりますけれども、軍事、警察についてはそれぞれの国の事情に応じて、その法令によって決定できるということでございます。その関連で、消防職員の団結権の問題が取り上げられてきたということでございます。
  51. 土井たか子

    ○土井委員 その関連でとおっしゃるけれども、ILO条約には消防なんてどこにも書いてないのです。問題は軍隊、警察なんですよ、九条だと思いますが。  そこで、お尋ねしたいのですが、これは経緯を言えばもう時間はとても足りません。それだけで数時間を要するだろうと私は思うのです。既に日本側からは一九七二年に労働団体、自治労からILOに提訴されまして、明けて七三年に自治労から追加提訴をされたという事情がございましたが、先ほどお尋ねをした八十七号条約に関する解釈について、条約勧告適用専門家委員会がどのような見解を出しておりますか。提訴しているのですから、その後ずっと経緯があるのですけれども、どのような見解を出していますか。それをいろいろ言うと——今まで何回となく見解を出しているわけですから、一番新しい年次についての見解でよいから、今言っていただきたいと思います。どういう見解ですか。
  52. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 ILO本件条約の第九条におきまして、従来、我が国は警察には我が国の消防も含まれるというぐあいに考えてまいった次第でございますけれども、最近のILOの立場は、これに消防は含まれないということでございます。
  53. 土井たか子

    ○土井委員 国連局長、正確にお答えを願いたいのです。最近のとおっしゃいますが、最近というのはいつからを指しておっしゃっているのですか。はるか遠くからこのILOの条約勧告適用専門家委員会も結社の自由委員会も、報告の中では今おっしゃったような趣旨をはっきり出していますよ。最近のとおっしゃるのはいつからですか。
  54. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 七三年以降だと承知いたしております。
  55. 土井たか子

    ○土井委員 七三年が最近ですか。お尋ねをしておりますのは、一番新しい年次の見解、もう一回ここではっきり示していただきたいのです。どのような見解条約勧告適用専門家委員会から出されておりますか。——労働省、出席をしておられるのだったら、労働省から答えてください。所管の省でしょう。これは知らないとはおっしゃらないだろうと思いますよ。それは当たり前のことですよ、御存じなのは。
  56. 木村富美雄

    ○木村説明員 外務省の方から御答弁ございましたように、消防職員の団結権に係る問題についてILOが最初に八十七号条約との関係で指摘をいたしましたのは、御指摘のように一九七三年の専門家委員会でございまして、最近におきましては、直近では九一年、二年前の総会でございます。その総会委員会での指摘されている結論といたしましては、日本の国内で関係者間の対話が継続されていることに留意する、こうした協議がここ数年間に専門家委員会が示したような見解、すなわち消防職員の行う職務は九条に言うところの団結権から除外することを正当化するような性質のものではないという見解がございますが、この見解を踏まえて代表的な労働組合との協議がさらに進められ、その討議が近く条約に沿ってこれらの労働者の団結権を認めることに至るよう、強い希望を表明したという報告書になっております。
  57. 土井たか子

    ○土井委員 今おっしゃったのは九一年ですね。強い意向を表明したとおっしゃっているその九一年見解ですが、九三年、ことしの三月に専門家委員会からの見解が出ております。私は、一番新しいと言ったのですよ。どうして九一年をお出しになったのですか。
  58. 木村富美雄

    ○木村説明員 失礼いたしました。  条約の適用状況に対するILOの審査手続は、三月に専門家委員会が開かれ、その報告を受けて総会委員会議論がなされるということでございまして、専門家委員会の報告としてはことしの三月がございました。ただ、総会委員会の方で申し上げましたので、失礼いたしました。
  59. 土井たか子

    ○土井委員 その九三年、ことしの三月も、先ほどおっしゃった九一年と同じく、この九条に対しての解釈、つまり消防職員に対して団結権から除外するということを正当化できないという見解がここに示されているということですね。
  60. 木村富美雄

    ○木村説明員 御指摘のとおりでございます。
  61. 土井たか子

    ○土井委員 先ほどおっしゃった九一年ですが、その九一年のILO総会条約勧告適用委員会において日本政府代表は報告されているのですけれども、どのような報告をそこでされておりますか。
  62. 木村富美雄

    ○木村説明員 一昨年の六月の総会におきましては、日本政府代表の方から、今後二年間を目標に解決策を見出すよう自治省と自治労との間で協議をしていくという趣旨の発言をいたしました。
  63. 土井たか子

    ○土井委員 自治省、御出席だと思いますが、その点はそのとおりですね。確認したいと思います。
  64. 伊藤祐一郎

    伊藤説明員 そのとおりでございます。
  65. 土井たか子

    ○土井委員 もう一つ確認したいのですが、今の御答弁で今後二年間を目標にとおっしゃいました。日付がちゃんと入っておりますが、何月何日という日付でありますか。九一年の何月何日にそのことについて意見が一致した、今後二年間を目標に解決するということを取り決められたのですか。
  66. 伊藤祐一郎

    伊藤説明員 九一年六月十日の適用委員会におきます日本政府の代表発言といたしまして、関連のところでございますが、去る六月六日には、自治大臣と連合の会長及び自治労委員長が会見を行い、今後二年間を目標に解決策を見出すよう協議していこうということで意見が一致したところである、このように発言いたしております。
  67. 土井たか子

    ○土井委員 そうして、やがて十五日になりますとILO総会が開かれるのですが、今開かれている九三年、ことしのただいまの条約勧告適用委員会日本政府はどのように報告なさるおつもりですか。これはいかがですか。
  68. 木村富美雄

    ○木村説明員 自治労と自治省との間の定期協議につきましては、九〇年の十一月以来十一回にわたりこの問題の解決策を見出すための協議を誠意を持って行ってきたところでございますが、残念ながら、現時点においては、国内の協議においてはその解決策を得るには至っていないという状況でございます。  ただ、現在ILO総会が開催されておりますが、この総会条約勧告適用委員会においてどのような議論がなされるかについては現地で関係者の間での折衝が続けられておるということでございますので、私どもとしては、その状況を踏まえつつ、日本案件の審査に当たっては対処をしてまいりたいというふうに考えております。
  69. 土井たか子

    ○土井委員 いつも定型をおっしゃるのですね。  お尋ねしたいのですけれども、「官庁速報」というのがあります。ことしの五月三十一日付の「官庁速報」をお読みになっていらっしゃると思いますが、いかがですか。
  70. 木村富美雄

    ○木村説明員 申しわけございません。まだ拝見いたしておりません。
  71. 土井たか子

    ○土井委員 この問題は非常に深刻なところにあるのです。六月十五日は目の前ですよ。どのように日本として対応するかというのは、ILOは言うまでもなく、国際関係のいろいろな機関が注目しています。世界が注目しておると言ったって過言ではないのですよ。その問題の取り扱い方について、「速報」の中ではこれを報じている中身が載っかっているのですが、まだお読みになっていらっしゃらないとなると、これはちょっと不勉強も甚だしいと言わなければならぬと思います。  この中では、ILOの条約勧告適用委員会で話し合われるという中身が「日本にとって団結権問題の大きな節目となるが、まとまらなかった場合、総会への報告の特記事項に記載して、重要な問題としてアピールするという動きも出ている。」こうなっていますよ。それは労働省としたら御存じですね。それはもうしっかり受けとめて、覚悟の上だろうと思うのですが、いかがですか。
  72. 木村富美雄

    ○木村説明員 ILOの手続といたしまして、批准した条約について、国内において重大な条約の履行上の問題がある、しかもその改善に向けての関係者の真摯な努力が認められないというような場合には、スペシャルケースに登載するというような手続があるという点につきましては承知しております。
  73. 土井たか子

    ○土井委員 二十年も解決されないで今日に至っている、そうして、二年前に解決をすると言っていながらその約束は果たされていない。こうなると、今回の日本政府のお出しになる報告、これはかなりの批判を浴びますよ。国際的な非難を招くと思われますけれども、外務大臣、お聞きになっていて、どうお思いになりますか。
  74. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 長年の問題であるというのは私も認識をいたしておるわけでございますけれども、今お話のありましたように二年の間にということになっておるわけでございますから、私といたしましては、自治省と自治労とが何とか話し合いをしていただいて、できるだけ早く、それこそ二年ということになっているわけでございますから、その間に解決をしていただけるということを心から望み、そのような方向に行くような環境整備に外務省としても協力をしていかなければならないと思っております。
  75. 土井たか子

    ○土井委員 それは外務大臣としたらそうおっしゃるでしょうけれども、ともかく、外務省の姿勢もそうですが、日本のお役所の姿勢というのは、いつもどんどん問題を先延ばしするという特技を持っておられる。何でもそうなんです。日米交渉だってそうだし、環境問題だってそうだし、いろいろな国際的な取り決めをやっていくことに対しても、どうも先延ばしをするというふうな特技がある、特性があるということを言わざるを得ないのですが、ILOに対しての今回の対応を見ておりましても、本当にいつまでたったら、日本としたら、政府は本気になってこの問題に対応するのであるか。これは国際的な不信を買うもとになると思うのですよ。  国際貢献とか国際社会にどういう役割を日本は果たすか。事あるたびごとに言われている問題ですけれども、こういう問題に対しての信義、信用、日本がどういう姿勢でこういう問題に臨むか。こういうことを通じて、日本が国際社会に対して本当に責任を持つ一国であるかどうか、役割を果たす国であるかどうかということが注目されるんじゃないですか。  そういうことを考えてまいりましたら、これは九日の日だったと思いますけれども、労働側が労働省に対して、直接大臣に申し入れをしっかりなすっているという事情がありますが、これはお聞きとめいただいているでしょうね、労働省側。いかがですか。
  76. 木村富美雄

    ○木村説明員 たしか六日の日だったかと思いますが、連合の山岸会長、このILO総会理事の選挙があるということもございまして、ジュネーブの方に行っておられました。九日の日に、連合の山岸会長と村上労働大臣との間で、この問題も含めて、電話での情報交換、意見交換があったというふうに承知しております。
  77. 土井たか子

    ○土井委員 意見交換よりもっと具体的に、労働大臣に対して具体的な提案があり、そして、それに対して労働大臣は、こたえるということをはっきりお出しになっているはずですよ。労働省側は、そのことに関して御存じないはずはない。これもひとつはっきりしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  78. 木村富美雄

    ○木村説明員 総会委員会での日本案件の審議は、先ほど申し上げましたようにこの十五日が予定されております。その十五日に向けて、今ジュネーブで関係者の間でのいろいろな折衝が行われておるわけでございますが、その過程の中での電話でございます。最終的にどんなふうになっていくかについては、まだ関係方面のいろいろな努力をまつ事柄であろうかというふうに承知しております。
  79. 土井たか子

    ○土井委員 さて、十五日のILO総会の場所でどういうふうな回答が得られるかというのは、これは非常に大きな問題になってきております。結果は、日本としては国際基準を守らない、国際的な約束は守らない、そういう国際的信用、国際的威信というのは著しく傷つけられることになるかどうかという問題も含めて、問題になりますよ。  したがって、ILOがどういうふうに総会で答えるかという十五日の結果について当外務委員会にひとつしっかり報告をしてもらいたいと思うのですが、外務大臣、これはよろしゅうございますね。経緯からすれば、どうです。
  80. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 しかるべき報告をするようにいたします。
  81. 土井たか子

    ○土井委員 委員長、今外務大臣そのようにお答えですから、委員長の方に申し上げたいのは、当委員会に報告を求めるということが必要だろうと思うのです。委員長もこういう認識をお持ちでいらっしゃるであろうと思いますから、当委員会の名において、そのことをひとつ強く求めていただきたいと思うのです。これは御了承いただけますね。
  82. 伊藤公介

    伊藤委員長 承っておきます。
  83. 土井たか子

    ○土井委員 さて、ILO関係では、さらにもう一つどうしても私は触れなければならない宿題を背負っております。  それは、女性に対する差別撤廃条約を八五年に日本批准したわけでございますけれども、そのときにILO百五十六号条約について、きょうも私は議事録を持ってまいりましたが、審議の過程でも、これを一日も早い締結をということを申し上げ続け、そして予算委員会の場所でもこの問題を取り上げまして、当時の外務大臣の安倍外務大臣が、百五十六号条約批准すべきであるということについて、批准ができるようにひとつ努力を重ねていきたい、できる限り速やかにということも言われて答弁をされたという経緯がありますが、いまだにこれは国会に出ません。毎回私は口酸っぱく、いつ出すのですか、約束どおりこれはしっかり国会に提出してくださいということを言い続けているのですが、いまだに出ません。  しかも、女性に対する差別撤廃条約の審議のときには、当委員会の決議の中にもこれを盛っているわけであります。一体どういうわけで、いまだにこれは国会に批准を求める提案として出てこないのでありますか、いかがですか。
  84. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 この点につきましては、国内面において法的整備を行う必要があるかどうかについてなお検討いたしております。  例えば、本条約は、第八条におきまして、「家族的責任のみをもって雇用の終了の妥当な理由としてはならない。」と規定しておりますが、この規定に関しまして、我が国の国内法では、男女雇用機会均等法第十一条におきまして、婚姻、妊娠、出産等を理由とする女子労働者の解雇を禁止する規定がございますし、また育児休業等に関する法律七条において、育児休業の申し出または育児休業の取得のみを理由とする解雇を禁止する規定がございます。  しかしながら、他方におきまして、男子労働者に男女雇用機会均等法の規定が適用されないということにもかんがみまして、これらの規定により、この条約八条の要請を満たしていると言えるかどうか、この点につきましてさらに検討を要するということでございます。そのために国会への提出がおくれているということでございます。
  85. 土井たか子

    ○土井委員 男女労働者特に家族的責任を有する労働者の機会均等及び均等待遇に関する条約というのが百五十六号条約の名称ですよ。今おっしゃった男性に対してという問題、男性は家庭責任を今まで担ってこられましたか。男性は家庭責任を担われるどころか、過労死が問題になっているんじゃないですか。  問題は、女性の肩にのみ家庭責任の負担というのがかかっているということが今まで問題だったのですよ。このことを重点に置いてILO百五十六号条約というのが採択され、そして批准されてきたのですが、お尋ねをいたしますけれども、今ILO百五十六号条約批准国は何カ国になっておりますか。
  86. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 八十九カ国と承知いたしております。
  87. 土井たか子

    ○土井委員 批准国は百十カ国じゃありませんか。
  88. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 失礼いたしました。間違いました。十九カ国でございます。
  89. 土井たか子

    ○土井委員 十九か国ですか。百十カ国でしょう。これは正確におっしゃってください。
  90. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 九三年一月二十五日の時点で十九カ国でございます。
  91. 土井たか子

    ○土井委員 それはちょっと正確にもう一度確かめていただきたいと思いますよ。これは恐らくは間違った数字をおっしゃっているのではあるまいかと私は思っていますが、その程度の認識なのだなと思います。  そこでお尋ねしたいのは、条約勧告適用専門家委員会、先ほど来問題になっているあの委員会が、条約批准を促進するために、重要だと思われる条約を指定するということになっているのですが、そのILO百五十六号条約が指定されておりますか、どうですか。いかがですか。
  92. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 指定されております。
  93. 土井たか子

    ○土井委員 各国にその適用状況について政府の報告書の提出が求められていたはずでありますが、日本に対しても求められたと思います。報告書をお出しになりましたか、どうですか。
  94. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 ILO側の要請に応じて出しております。
  95. 土井たか子

    ○土井委員 これは既にお出しになっているはずでありまして、大分大部のものでありますが、具体的な質問に対してのお答えという形で報告書は作成されたはずでありますけれども、そのとおりと考えてよろしゅうございますか。
  96. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 クエスチョネアに答えるという形で報告しております。
  97. 土井たか子

    ○土井委員 来年は国際家族年とする国連決議がございますが、来年が国際家族年となるというふうに認識しておいてよろしゅうございますね。
  98. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 そのとおりでございます。
  99. 土井たか子

    ○土井委員 さあ、そうなってまいりますと、ILO百五十六号条約に対して八五年以来一日も早い批准をということを言い続け、あの女性に対する差別撤廃条約批准するに際して、ここで決議をして以来言い続け、そして諸般の事情からすると、国際環境とILOそのものについての動きが今申し上げたとおりなのです。そして日本としたら既に報告書というのを出していられるというただいま御返答なのですが、私ども国会の方の手元にはございません。外務省とされたら当委員会の決議にかかわる問題でもありますから、この報告書をILOに提出されるに際して当委員会に対してぜひとも報告されてしかるべきだと思うのですよ。  委員長、いかがですか。これはぜひとも当委員会に対しての報告を私は求めたいと思います。報告も何もない、そしてお尋ねすれば、それに対して、それは何だかわかったようなわからぬような御返答しか聞こえてこないということでは、これは審議をする意味がない。国会に対しての行政の責任がどうなるかという問題にもなりますよ。いかがですか。
  100. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 これはしかるべき形で御報告させていただきたいと思います。
  101. 土井たか子

    ○土井委員 しかるべき形なんというのを勝手に考えられたら困るので、お出しになった報告書そのものを提出されたらいいじゃないですか。
  102. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 提出の時期、場所等御相談の上、報告書そのものを提出させていただきます。
  103. 土井たか子

    ○土井委員 何をもったいぶっておられるのですかね。何か事があれば聞かせてはならない、見せてはならない、知らせてはならない、そういう姿勢があるのではないかと勘ぐりたくなるわけであります。これではもう政治の基本というのがまるで損なわれていくということを黙視できないわけです。  もう一つこれにつけ加えて申し上げたいのは、先日、当委員会でも承認をいたしました子ども権利条約、あの条約の条文を見ますと、児童の養育における父母の共同責任を保障するということがございます。この際、男女とも仕事と家庭が両立できるような環境整備の必要性というのが当然のことながら問われてくるわけでありまして、先日、この衆議院の外務委員会承認をいたしましたあの子ども権利条約ともこれはかかわり合いのある非常に中身の関係する条約だと言わなければなりません。  それで、このILO百五十六号条約批准に向けて努力するとか検討するとか言われ続けてきたのですが、外務大臣、もういよいよこれは日本としたら批准することのための手だてを具体的に講ずるという時期じゃないかと思いますが、このお答えはいかがでございますか。外務大臣にお尋ねします。
  104. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 やはりだんだん社会環境が、おかげで日本もそういう環境になりつつあると私も判断をいたしておりますので、できるだけ早く批准の方向に努力をしたいと思っております。
  105. 土井たか子

    ○土井委員 できるだけ早くというのは幾たびとなく聞かされてきておりますから、ひとつ武藤外務大臣のそのときにおいて、できるだけ早くが具体的になったということで御努力をなされますように重ねて私は申し上げたいと思うのです。  そうして、子ども権利条約といえば、これはここで最後の質問をさせていただいた先月の二十六日に、いろいろな広報について広報活動の義務が今度は政府に生ずるわけですが、表題を子ども権利条約という名称でこの取り扱い方をされることを考えていくべきだという質問をいたしました。それも含めて、外務省とすれば検討してみます、考えてみますということであったのですが、それから日がたっております。検討されたと思います。そのことの結果をひとつ外務大臣の方からお聞かせをいただきたいと思います。
  106. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 いろいろ検討させていただきましたけれども、やはり条約の表題は児童ということで、児童に関する権利条約ということでお願いを申し上げたいと思っておりますが、PRといいますか、国民、特に子供たちによくわかるように説明をしていかなければならない活動が、これからPR活動がございます。その中においては「児童」という表現も使うことがあると思いますが、「子ども」という表現も、そういう文言を使わせていただきまして、できるだけわかりやすい形でPR活動をしていきたいと思っております。
  107. 土井たか子

    ○土井委員 終わります。
  108. 伊藤公介

    伊藤委員長 東祥三君。
  109. 東祥三

    ○東(祥)委員 みなみまぐろ保存条約及びILO第百二十号条約について質問させていただきます。  まず初めに、みなみまぐろ保存条約に関してでございますが、二つの角度から質問させていただきます。一つはミナミマグロ保存及び管理という側面、もう一つはミナミマグロ漁業に従事する漁民の生活の安定という角度でございます。  みなみまぐろ保存条約は、関係国による国際的な管理体制下のもとでミナミマグロ保存及び最適利用を図ることを目的としております。その意味から、我が国漁業者によるミナミマグロ漁業の安定的操業が維持されるのであろう、このように推測いたします。その意味におきまして本条約締結には賛成でありますが、条約の趣旨が変えられないように政府として最大限の注意をする必要があるのではないのか。その点で、国際捕鯨取締条約、これは一つのいい例になるのだろうと思います。  この国際捕鯨取締条約は、鯨資源保存及び捕鯨産業の秩序ある発展を目的としてつくられたものであると私は理解しております。しかしながら、いつの間にか捕鯨禁止条約へと性格を変えていってしまった。先月五月十一日に、田名部農林水産大臣は、国際捕鯨委員会IWC京都会議開催期間中の閣議後の記者会見で、捕鯨に関係ない国がどんどん加入して多数決で決めるのでは、本来委員会をつくったときの趣旨と大分かけ離れたものになっているのではないのか、このような発言をされました。関係ない国とはこれまで一度も捕鯨の経験のない国のことを指していると私は思いますが、これは農林水産省の見解考えてよろしいのでしょうか。まずお答え願いたいと思います。
  110. 川合淳二

    川合政府委員 国際捕鯨取締条約は、本来的には捕鯨の管理と捕鯨産業の秩序ある発展ということを目的に条約締結されたというふうに私ども承知しております。残念ながら、今お話がございますように、現在の国際捕鯨委員会の構成はそうした目的からすれば必ずしもかなっていないという状況にあるということは、私どももそのように把握しているところでございます。
  111. 東祥三

    ○東(祥)委員 私の質問は、田名部農林水産大臣の個人的な意見なのか、農林水産省としての見解なのか。農林水産省の見解であれば農林水産省の見解ですと、このように答えていただければいいのです。
  112. 川合淳二

    川合政府委員 必ずしも今の御質問に対して的確にお答えするということにならないかもわかりませんが、と申しますのは、構成についてそれが正式にどうかということについての見解を私どもまとめているわけではございませんので、省としての見解というふうにこうした公の場で申し上げることは適当でないかもわかりませんが、構成についてそういう批判があるということは十分承知しているところでございます。
  113. 東祥三

    ○東(祥)委員 外務省としてはどのようにお考えになっておられますか。同調しておられますか。
  114. 林暘

    ○林(暘)政府委員 今先生指摘のとおり、現在の国際捕鯨取締条約には直接捕鯨をしていない国が入っているということは事実でございますが、これらの国々についても、正規の加入手続きをとって加入している国々でございますので、そういったものを現実として受けとめなくてはいけないというふうには思っております。
  115. 東祥三

    ○東(祥)委員 私の言わんとすることは、国際捕鯨取締条約の当初の目的が時間の経過とともに変質してきたのではないのか。農林水産省はその点に関しては認めるという御発言だったと思います。文言の句々それ自体を認めるというよりも、その変質過程は認めておられる、このように私は理解しておりますが、外務省はこの点についていかがですか。これが私の質問です。
  116. 林暘

    ○林(暘)政府委員 国際捕鯨取締条約が、現在、捕鯨を一定の条件のもとに認めるという観点からの議論が科学的根拠に基づいてなされずに、捕鯨を禁止するという観点からの議論がなされているということはそのとおりであるというふうに考えております。
  117. 東祥三

    ○東(祥)委員 アイスランドは、既にIWC脱退しました。そして、これに対抗する捕鯨国の新組織、北大西洋海産哺乳動物委員会、NAMMCO、ナムコと言ってよろしいのでしょうか、を設立いたしました。ノルウェーは、IWC京都会議閉幕後、改めて商業捕鯨の再開を発表し、今月八日、最初の一隻がもう既に出港いたしました。  我が国は、商業捕鯨再開に向けてどう行動するのか。脱退の上、NAMMCO加入の方向に向かうのか、あるいはまたIWCにあくまでとどまるのか。とどまるとすれば、今のままで商業捕鯨再開のめどはあるのかどうなのか。この点についてお答え願いたいと思います。
  118. 川合淳二

    川合政府委員 現状から申しまして、なかなか商業捕鯨の再開ということが難しい状況にあるということは御指摘のとおりでございます。しかしながら、ことしのIWC京都会議におきましても、私どもがこれまで行ってまいりました捕獲調査などから出てきた科学的な資料というものにつきまして評価も高まっていることでもありますので、私どもといたしましては、今後ともこうした調査を継続し、科学的根拠の蓄積を図ることによりまして、捕鯨再開について諸外国の理解を得ていくということに粘り強く努めてまいりたいと思っております。反対国の中にも冷静な議論が出始めてきているところでございますので、そうした対応で対処してまいりたいというふうに現在考えているところでございます。
  119. 東祥三

    ○東(祥)委員 ミナミマグロについてですが、鯨の轍を踏まないようにすることが大切なのではないのか。先ほど外務省の御答弁にありました、たとえ鯨をとっていない国であったとしても正式な手続を経て加盟国になっている、ある意味で仕方がない、こういうニュアンスにも聞こえるわけでございますが、このみなみまぐろ保存条約に関しては、無関係国条約加入を認めないことが必要なのではないのか。関係国とは、ミナミマグロ漁獲を行っている国と、ミナミマグロ沿岸国となっております。したがって、無関係国とは、ミナミマグロ漁獲を行っていない非沿岸国である。条約第十八条がそのための保障措置考えてよろしいのでしょうか。
  120. 小池寛治

    小池政府委員 先生の御質問の趣旨は、国際捕鯨取締条約と、それからみなみまぐろ保存のための条約が特に加入条項についてどういうような違いがあるかという御質問だと思います。先生承知のとおり、国際捕鯨取締条約は、その第十条の2におきまして、「この条約に著名しなかった政府は、この条約が効力を生じた後、アメリカ合衆国政府に対する通告書によってこの条約加入することができる。」という形になっておりまして、加入し得る国というものについては、特定な条件等は全く定めておりません。みなみまぐろ保存のための条約第十八条におきましては、「自国の船舶がみなみまぐろ漁獲に従事する他の国又はみなみまぐろ自国排他的経済水域若しくは漁業水域を通過して回遊する他の沿岸国は、この条約加入することができる。」という規定になっております。  ここの部分ですけれども、これは、高度回遊性魚種保存管理のためには、高度回遊性魚種漁業国沿岸国の双方が適当な国際機関を通じて協力すべきであるという国連海洋法条約考え方に沿ったものでございます。  ある国の二百海里水域を特定の高度回遊性魚種が回遊するか否かというのは客観的な事実であって、このような客観的事実は、科学的データに基づいて客観的に認定されるべきであることは当然でございます。本条約上、みなみまぐろ保存委員会各国加入要件の審査の権限が付与されているわけではございませんが、この委員会の下に置かれる科学委員会が特定の国の二百海里水域ミナミマグロが回遊するか否かにつきまして科学的データをもとに検討し、その結果をみなみまぐろ保存委員会に報告し得るということは、科学委員会の機能に関する第九条の規定に照らして当然でございます。  仮に、客観的な科学的知見に基づきまして、ある国が沿岸国でないということが明らかでない場合に同国から加入書の寄託が行われたときには、その取り扱いについて締約国で話し合いの上適正に対処することになるということは、この条約に特段の規定はございませんけれども、当然のことと考えております。
  121. 東祥三

    ○東(祥)委員 ミナミマグロ漁獲を行っていない沿岸国、これは当条約では関係国規定されている。このような国が分担金まで払って条約加入する積極的メリットはないのじゃないかと思われます。加入する目的として考えられることは、保存機関の内側からミナミマグロ漁獲を規制あるいは禁止することではないのかとの懸念を抱かざるを得ません。加入する国の資格を漁獲国に限定し、非漁獲国の沿岸国は、分担金を払わない、あるいは投票権を有しない特別な参加資格を与えて、委員会での意見表明権を認めるというような枠組みにはできなかったのでしょうか。
  122. 小池寛治

    小池政府委員 ミナミマグロ資源の有効な保存管理を確保するためには、漁業国沿岸国の双方が平等な立場で参加して、科学的知見に基づいて適切な措置決定、実施していくことが肝要であるという考え方に基づきまして、本条約においては漁業国沿岸国との間で条約の参加資格に特に差異を設けることはしておりません。
  123. 東祥三

    ○東(祥)委員 なぜ設けなかったのかということを聞いているのです。
  124. 小池寛治

    小池政府委員 若干繰り返しになりますけれども、ミナミマグロ資源という高度回遊性魚種でございますから、これの有効な保存管理を確保するためには、漁業国沿岸国の双方が平等な立場で参加することが肝要である。そして、そのときには科学的知見に基づいて適切な措置決定して実施していくことが必要であるという見地に立って、漁業国沿岸国の双方が平等な立場という前提でこの条約は作成しております。
  125. 東祥三

    ○東(祥)委員 質疑に時間がかかっていますので、二分五十秒延長させていただいてよろしいですか。  それでは、漁獲国がすべて条約加入しなければ本条約の趣旨である有効的な資源保存管理は行えない、これは明快なことだと思います。先ほどの御答弁でありました、参加国以外でインドネシア台湾韓国南ア、これはもう既に漁獲を行っている。これらの国々の最近の漁獲量はどれぐらいになっているのか、また、これらの国々が加入するためには具体的にどんな手段を講じるのか、お答え願いたいと思います。
  126. 川合淳二

    川合政府委員 漁獲量について、私ども、今御指摘の今回非加盟国となるところについては完全に把握しておりません。わかっているところで申しますと、これは一九九〇年の数字でございますが、例えば台湾で百十七トンという数字が一つあります。インドネシアあるいは先ほどお話がありましたパナマ、ホンジュラスというようなところの数字は把握しておりません。
  127. 東祥三

    ○東(祥)委員 これらの漁獲国をどのような手段を通じて加盟国にさせるのか、これがもう一つの質問でございますが。
  128. 津守滋

    津守政府委員 本条約の十三条には、締約国間で「いずれかの国のこの条約への加入を奨励することにつき、相互に協力する。」ということが定められておりますが、具体的には、十八条に定める加入要件を満たす国、すなわちミナミマグロ漁業国あるいはミナミマグロの回遊する水域沿岸国である相手国に対しまして、締約国協力して外交経路を通じて働きかける、こういうことになろうかと思います。
  129. 東祥三

    ○東(祥)委員 台湾の場合はどうされますか。台湾の場合、我が国は国として認めておりません。オーストラリアニュージーランドも同様であると承知しております。したがって、台湾条約加入する資格を有していない、このように思います。そうであるとすれば、このみなみまぐろ保存条約の目的である有効的な保存管理というのはできなくなってしまうのじゃないですか。このようなケースをカバーする措置考えられているのかどうか。
  130. 津守滋

    津守政府委員 条約第十四条では「この条約締約国でない国又は団体であって」云々という規定になっておりますが、これは具体的には台湾を指しておりまして、台湾につきましては、必要であれば委員会あるいは科学委員会の会合にオブザーバーを出席させる、こういう措置によりまして台湾をも適切な資源管理資源保存に参加せしめる、こういう規定が設けられております。
  131. 東祥三

    ○東(祥)委員 先ほど申し上げましたとおりどうもメリットの問題で、国は特定しませんけれども、加入しないで自由にミナミマグロをとれるような状況であるならば、その国にとってみれば加入しない方がいいのではないか、したがって、では加入させるためにはどのような手段をとるのか、その方法はどのようにお考えになっているのか、これが私の質問でございます。
  132. 津守滋

    津守政府委員 この条約締結いたしました趣旨は、マグロといったような資源管理あるいは資源保存が非常に重要な漁種につきましては、国際的な枠組みの中で管理をしていかなければいけないという一般的な認識が国際的に高まってきたことがまず背景にあるわけでございます。したがいまして、台湾が仮に資源管理上非常に問題のあるような漁獲を行うということになれば、当然国際的な圧力も高まってくるでありましょうし、そういった圧力を背景にいたしまして、締約国協力して台湾に圧力をかけるといいますか、外交経路その他を通じて、国でありませんから日本としては外交経路を通じてやるわけにいきませんが、その他の方法で台湾に対してオブザーバー参加を勧奨していく、こういうことになろうかと思います。
  133. 東祥三

    ○東(祥)委員 日本オーストラリアニュージーランドミナミマグロ漁獲枠という視点から見ますと、一九九二年から九三年、六千六十五トン、オーストラリアニュージーランドを足しますと、一万一千七百五十トン。消費量は、聞くところによりますと、約一万トンというふうに聞いております。ということは、当然漁獲枠の上限をすべて日本においては獲得した上でプラス輸入の部分があるのだろうと理解します。これはどこから来ているのでしょうか。また、その総消費量、約一万トンというふうに理解しておりますが、これは正しい認識なのでしょうか。もし間違っていれば正確な数字を教えていただきたいと思うのです。
  134. 川合淳二

    川合政府委員 まず輸入でございますが、これはクロマグロミナミマグロの区別がございませんでした。今後この必要が出てくるかと思いますが、それで見ておりますが、日本への輸入は今のところ韓国台湾インドネシア、パナマ、ホンジュラスなど、あとその他というようなことでございます。これは一九九二年の数字でございまして、合計が、クロマグロミナミマグロ含めてでございますが、七千五百トンばかりでございます。  消費の面で申しますと、クロマグロミナミマグロというのは区別がございませんで、これを一緒に私ども統計上処理せざるを得ない現状でございますが、先ほども申し上げましたように、大体両方で漁獲が、グローバルに見まして四万五千トン程度でございまして、そのうちの半分が日本消費しているのではないか、こういう感じでございます。
  135. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうしますと、輸入している国というのが、韓国台湾、パナマ、ホンジュラス等、まだ加盟するという意思表示もしていない国だというふうに理解いたしております。そうしますと、大西洋まぐろ類保存国際委員会、ICCATあるいはまた本条約に設立されるみなみまぐろ保存委員会などの国際的な保存管理機関に加盟していない国を条約加入させるため、日本はある意味で重要な力を持っているのではないのか。つまり今御答弁ありました韓国台湾、パナマ、ホンジュラス、これらの国々が主体的な形で加盟してくるというのを待つのではなくて、積極的に加入させるために何らかの方法が考えられるのではないのかと思うのですが、この点についてはいかがですか。
  136. 川合淳二

    川合政府委員 クロマグロあるいはミナミマグロという漁獲につきましては、国際的な枠組みの中で規制をしていくということが国際的な流れになりつつあります。クロマグロにつきまして大西洋まぐろ類保存国際委員会がございまして、ここでは原産地証明というような一つの手段でこの枠組みの規制を強化しようという試みがとられております。  また一方で、先ほどお話がございました便宜置籍船、例えばパナマとかホンジュラスにつきましてはそうした手段でやられているケースが多いわけでございますが、こうした点についても規制を強めようという動きがあるわけでございます。  こうしたクロマグロあるいはミナミマグロを通ずる全体の国際的な流れの中で、今先生指摘の問題について対応していかなければいけないというふうに考えておりまして、具体的に的確な、これで規制するというようなことはございませんが、全体的な雰囲気の中でそういうふうな対応を強めていくということになろうかと思います。
  137. 東祥三

    ○東(祥)委員 では提案申し上げます。  もし今おっしゃったような形での雰囲気あるいはムード、積極的に加盟していこう、そういう雰囲気が出てこない場合、あるいは時間が相当かかる場合、日本としてこれだけの量の輸入をされているわけですから、非締約国あるいは台湾を含めた非締約地域というふうに言ってよろしいのでしょうか、そういうところからの輸入禁止措置、こういうものは考えられますか。
  138. 津守滋

    津守政府委員 条約十五条の四項に今先生がおっしゃられたようなケースについての規定がございます。非締約国等による本条約の目的の達成に不利な影響を与えるような漁獲活動を抑制するため、適切な手段をとることについて締約国協力する、こういった規定がございますが、この規定の趣旨は、非締約国の活動に対しまして、種々の経路あるいは方法を通じて働きかけることを想定しておりまして、貿易制限措置も理論的にはその一つの可能性としては考えられていますが、必ずしもそれだけを想定しているわけではない。いずれにしましても、この十五条の四項は国内法それからガットを含む国際法との整合性を維持しながら運用されなければならない、こういう規定もございまして、具体的に貿易制限措置をとるべきかどうかということにつきましては、このガットの規定の趣旨も見まして慎重に検討する必要がある、こういうふうに考えております。
  139. 東祥三

    ○東(祥)委員 重要な指摘だと思います。例えば貿易制限措置を施した場合、具体的に言えばマグロの輸入禁止措置、こういうものを発効させようとした場合、それはガット違反のおそれがある、このように理解しているのでしょうか。
  140. 林暘

    ○林(暘)政府委員 お答え申し上げます。  ガットでは一般的に輸出入にかかわる数量制限というのをしてはいけないという一般原則がございまして、例外的に認められる場合が幾つか書いてございます。今御指摘の、この条約の非締約国からの輸入を禁止したらどうかという御示唆でございますけれども、この条約の非締約国であるからということで輸入制限をするということは、現在のガットの規定にかんがみますと、ちょっと難しいのかなというふうに考えております。
  141. 東祥三

    ○東(祥)委員 外務大臣、最後にお伺いします。  国際的な漁業規制の高まりの中で、減船、船を廃棄処分にしてしまうだとかそういうことですが、減船を余儀なくされたり、船を維持できなくて外国に売却せざるを得なくなるなど、漁民の生活はますます追い詰められている状況がいろいろなところで報道され、また指摘されております。  ことしの四月二日、減船を希望していたと言われる小型サケ・マス漁船第三十八長門丸が中国人密航事件に関与したとの理由で摘発されて、船長ら乗組員四人が密入国幇助の罪で現行犯逮捕されました。船長は暴力団関係者であるらしいと言われております。また、使途を知らずに船を貸した船主は、生活がかかっているし、賃貸料もよかったということで、初めて船を他人に貸したとのことです。同船には船主の子息が航海士として乗り込んでおりました。また機関長も同乗していた。もちろん密入国を手伝ったということ自体は罰せられるべきものであると私は思います。しかしながら、その両名がそういうことに手をかさざるを得なかった事情を推察すれば、その人たちもまたある意味で被害者であったのではないのか、このようにも思うわけです。  国などから支払われる減船補償は、船を廃船にした場合には約一千五百万円、廃船にしない場合には二百万円ほどしか支払われていない。船主たちは、減船しても借金が残るという状況だと聞いております。この当該地域である地元根室市では、両名の早期釈放と船返還を求める署名運動が展開されていると聞いております。裁判の行方はさておいて、このように国際的な漁業規制に苦しむ漁民を救う手だてはないものなのかどうなのか。  外務大臣、この事件の背景としてある漁民の生活苦をどのように認識されているのか、またどのように大臣自身は御心境をお持ちなのか、この点について外務大臣からお話を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  142. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 これは所管は農水省でございますし、犯罪関係については警察庁でございますので、私からというのは大変難しいのでございますけれども、正直、かつての水産国でありました日本が、このようにいわゆる経済水域二百海里時代というのを迎えて非常にあちらこちらから追い詰められてきておるという日本の水産業に実態というものに対しては、本当に何らかのことをもっと考えていかなければいけないんじゃないかという気持ちを私は持っております。
  143. 東祥三

    ○東(祥)委員 ありがとうございました。
  144. 伊藤公介

  145. 古堅実吉

    古堅委員 最初に、ミナミマグロ保存問題についてお伺いします。  ミナミマグロ保存のために国際法的枠組みをつくって管理することは必要だと考えております。  ところで、八〇年代に入って、台湾インドネシアなどが新しく参入してきていますが、こうした諸国の漁業規制はこれまでどのように扱われてきておったのか。また、これらの諸国は、この条約に加盟あるいはオブザーバーとして参加することになっているのか、その見通しも含めて伺いたいと思います。
  146. 津守滋

    津守政府委員 お答えいたします。  これまでミナミマグロ資源管理につきましては、条約はございませんでしたが、日本豪州ニュージーランドの間で毎年話し合ってきたわけでございますが、台湾あるいはインドネシア、こういった国については漁業規制は何ら行われてなかったというふうに承知いたしております。  次に、こういった非締約国が今後この条約加入する見通し、あるいは台湾の場合にオブザーバーとして参加する見通しにつきましては、現在のところインドネシアあるいは台湾がそういう希望を表明しているという情報はございません。  以上でございます。
  147. 古堅実吉

    古堅委員 それでは次に進みます。  次はILO百二十号条約に関連して伺いたいと思います。  このILO百二十号条約は、主として事務作業に従事する事務所というのが対象になっておりますけれども、建設など現場労働に従事する労働者の安全、衛生の確保も極めて重要になっています。その点で、一九八一年の百五十五号条約、職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約、それを早期に批准すべきだと思いますけれども、準備がどのように進んでいるか伺いたいと思います。
  148. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 ILO第百五十五号条約の内容は、労働安全衛生法その他の関係法令によりおおむね実施されております。しかしながら、なお若干の問題点がございますので、関係省庁との間でさらに検討を加えることとしたいと思っております。
  149. 古堅実吉

    古堅委員 建設業での労働者の安全、健康が問題になっておりますし、今の表明でありますと、いつごろどうという見通しもないままなんでありますが、多少不十分な面があったにしても、まずは批准をしてその上でさらに改善を目指すという方向で進めるべきだというふうに考えますし、前向きの御検討を要望しておきたいというふうに考えます。  次に、引き続き、関連しまして沖縄の看護婦養成の問題について伺っておきたいと思います。全国的に大きな問題となっている看護婦不足の解消問題も、この条約との関連で重要です。  そこで、沖縄の実態にも触れながら若干伺いたいと思いますが、看護婦不足問題の解決には、その養成、労働条件の改善、離職者再雇用の促進など総合的に論すべきは申すまでもありませんが、ここでは看護婦養成の問題に絞って伺いたいと思います。  沖縄の看護婦不足も、現状は大変深刻なものがございます。沖縄は、御存じのように全県が離島の集合体のような特殊条件のもとにあるために、本土各県のように近隣諸県との間で看護婦不足を補い合うということも極めて困難であります。したがって、地元の沖縄県内での看護婦養成の拡大と定着を図ることが他県以上に重視されなければならない事情がございます。そのことについては厚生省も御理解いただいておるのではないかというふうに思いますが、それについての所見を厚生省の方から伺いたい。
  150. 矢野正子

    ○矢野説明員 今先生指摘のように、適切な医療サービスを提供するためには看護婦の確保が極めて重要であると思っております。  それで、このために看護婦等の養成力の強化等の施策を図っているところでありますが、特に養成力につきましては、平成三年度の十二月でございますが、そこで看護職員需給見通し、これは平成元年につくられたものでございますが、それを見直しをいたしまして、それに基づきまして全国的に強化を図っております。  それで、沖縄県の状況でございますが、過去何年かの例を申し上げますが、平成三年度には、三年課程、これは看護婦のレギュラーコースといっておるものでございますが、これを統合いたしまして大型化いたしました。平成四年度につきましては、一学年定員五十名の三年課程を一校設置いたしております。それから、ことしでございますが、平成五年度につきましては、今の看護婦三年課程一校を設置し、さらにその三年課程の定員を増員いたしまして、合計でこの三年課程につきましては百名の増、それから、看護婦二年課程ということで、これは進学コースと申しておるものでございますが、これにつきましては二校設置いたしまして、合わせて百名ということで、五年度につきましては看護婦養成の面では二百名の増を図っております。これは一学年定員でございます。以上の状況でございます。
  151. 古堅実吉

    古堅委員 御存じのように、沖縄には厚生省管轄の国立の看護学校は愛楽園附属の准看護学校が一つあるだけで、正看養成の学校は一つもございません。今全国で厚生省管轄の国立の正看学校のない県はどこどこで、何県あるか示していただきたいと思います。
  152. 西本至

    ○西本説明員 お答えいたします。  秋田県、福島県、滋賀県、福井県、沖縄県の五県でございます。
  153. 古堅実吉

    古堅委員 かつて厚生省管轄の准看学校が全国に八十校ほどあったというふうに聞いております。これが正看学校との関係ではどんな対策をこれまで進めてこられたのか、そして、現在この准看学校なるものが何校ほど残されているのか、さらに、残された准看学校に対して今後どういう対策を進められようとしておるのか、そこらあたりをお聞かせください。
  154. 西本至

    ○西本説明員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のように、昭和三十一年には国立病院に附属しております准看護婦の養成所は八十校を数えておりまして、その後、順次可能なところから正看、いわゆる看護学校への切りかえを積極的に進めてまいったところでございます。現在は六十七が切りかえを終わりまして、十三施設がまだ准看学校として残っているわけでございます。これらにつきましては、看護婦養成課程として必要な実習施設の確保、あるいは講師の確保等が困難であるという事情を抱えているものでございます。当方といたしましては、看護職員の質的向上を図るという観点から、今後とも検討してまいりたいと考えております。
  155. 古堅実吉

    古堅委員 沖縄愛楽園附属の准看学校も、今ありました御意向のように、いずれは正看学校との関係で検討される時が来るものだというふうに思われるのですね。そこで、問題を提起してぜひ御検討願いたい、そのことについて申し上げたいと思います。  実は、厚生省もよく御存じのことでありますけれども、国立療養所沖縄病院が一九七八年、昭和五十三年に沖縄北部の金武町から移転、新築されたときに、その当初計画では、そこに附属看護学校を設置することも含まれておった。しかし、その計画なるものが中途で変更されて、看護学校はつくられないことになったそうであります。当初計画に入っておったわけですから、土地も当然確保されました。しかし、その確保された土地は現在も残されたままで、予定された看護学校はないままであります。  問題提起と申しますのは、愛楽園の准看学校を吸収する形で沖縄病院に附属看護学校を、当初計画したような方向のものを復活させて設置してはどうかという問題です。こういう問題を解決するについて一番困難なのは土地の確保です。御承知のとおり、研修その他に必要な条件を備えるという面では、今申し上げたようなこととの関連で考えればそう困難な問題とは考えられません。すぐにどうこうという結論をここで求めたいというつもりはございませんけれども、沖縄の現状に照らしても、またこれまであった経過に照らしても大変重要な問題ではないかというふうに考えますので、ぜひ御検討を願いたい、このように思いますが、いかがですか。
  156. 西本至

    ○西本説明員 先ほどお答え申し上げましたように、八十校の准看をどんどん切りかえをいたしまして、現在十三施設ということでございます。いろいろな条件がございます。実習施設の問題あるいは講師確保の問題等々踏まえまして、今後検討を進めてまいりたいと思っております。
  157. 古堅実吉

    古堅委員 今申し上げた、移転のときにそういう計画があって土地も確保されたままになっているというふうなことについては厚生省も当然御存じだと思うのですが、それを御理解の上での御答弁だというふうに承っていいですか。そこらあたりちょっと確認したいのですが、そういういきさつについて、私が申し上げたようなことについてはそのとおりだというふうに理解しておられる立場ですか。
  158. 西本至

    ○西本説明員 お答えをいたします。  この問題につきまして、かつて沖縄県内の関係者の皆様方からこういう御要望があるということは、私どもも承知をいたしております。ただ、土地確保の問題等につきましては、十分把握していない面もありますので、そのあたりを把握をした上で検討したいというふうに考えております。
  159. 古堅実吉

    古堅委員 今ありましたように、地元沖縄では沖縄本島の中部地域に看護学校を設置してほしいという関係の市町村からの強い要望がございます。同時に、医療関係者などもそういう方向で挙げて要望し、運動も展開しています。この問題は、沖縄の看護婦養成の拡大施策を将来にわたって重視していかなくてはいかぬという面から考えても、また愛楽園の准看学校の今後の検討ということと関連させて、それを含めて沖縄病院附属の国立正看学校を設置していくということとの整合性の問題でも、これは難なく肯定的に見れる、そういうものもあるわけですから、地元の要望にもこたえる、そういう方向も含め、また愛楽園にあるところの正看学校の今後の取り扱いについても、間違いのない方向として発展的に整合性を持たせ解決していくという面からも、ぜひ今要望申し上げたような方向での検討というものが望まれる、そのように考えておりますけれども、もう一度、そういう面ですぐに結論をということにはなりにくい面があると思うのですが、強い要望にこたえて検討もされる、御努力もされるということについての御意見がいただければと思います。もう一度伺わせてください。
  160. 西本至

    ○西本説明員 ただいま国立病院・療養所は、実を申し上げますと極めて厳しい経営状況でございまして、再編成計画等々病院そのものの本体の問題にも取り組んでいるような状況でございます。看護婦の養成所につきましても、もちろん附属でございますので、今後例えば大型化をするというような形で今検討を進めているわけでございますので、先生きょう御指摘の点は、踏まえまして研究を進めてまいりたいと考えております。
  161. 古堅実吉

    古堅委員 重ねて念を押してお聞きしますけれども、正看学校との関係で、今ある十三施設の全国の厚生省管轄の准看学校、それをいずれ、困難な条件があるのだが検討していく方向だというふうにおっしゃいます。この沖縄の愛楽園も、愛楽園のある地域状況に照らしてみれば、その困難性というのは非常に強いものがある。だからといって、この准看学校をそのままなくしていくというだけで問題を取り扱ってしまうことになってはいかぬのじゃないかというふうに考えますが、そこらあたりはどうですか、単になくするだけでは解決になりませんよというふうに思うのですが、いかがです。
  162. 西本至

    ○西本説明員 とにかく切りかえが可能な施設につきましては、三十一年来順次切りかえをしてきたわけでございます。したがいまして、ただいま残っているものについては、それぞれいろいろな問題があって即座にできないというものではございますけれども、大きな方向としてそういう切りかえをしてきたという流れは、これは変わっていないわけでございますので、先ほど申し上げました種々の条件を勘案しながら今後進めてまいりたい、研究してまいりたい、このように考えております。
  163. 古堅実吉

    古堅委員 もう時間が参りましたから終わりますが、愛楽園の准看学校はいずれその取り扱いの結論を出さなくてはいかぬ、そういう方向にある。沖縄は、正看学校が厚生省管轄のものとして一つもない少ない県の一つになっている。しかも、看護婦養成についての需要というのはなお、沖縄の離島ということを前提に考えれば、他県以上に重視しなくてはいかぬ施策の一つだということなどを踏まえてぜひ、今申し上げていることは、私の単に一議員の意見などとかいうものとは異なって、沖縄における先ほど申し上げた関係者からの強い要望もございますので、真剣に御検討いただけるように強く要望申し上げて、終わらせていただきます。
  164. 伊藤公介

    伊藤委員長 和田一仁君。
  165. 和田一仁

    ○和田(一)委員 みなみまぐろ保存条約からお伺いいたしたいのですが、朝から同僚委員の質問を聞いておりまして、大体私がお尋ねしたい中身はそれぞれお聞きいただいたように思います。時間も迫っておりますので、ごく簡単にお伺いして終わりたいと思います。  このみなみまぐろ保存条約、私どもは魚の保存という条約があると聞くと、また遠洋漁業業者といった人が操業する範囲等が狭められるのではないか、いろいろな規制がかかってきて、いわゆる公海漁獲自由の原則が大きく制約されてしまうのではないかという心配を持つのですが、このみなみまぐろ保存条約についてそういう心配があるのかないのか、あるいは我が国にとってのメリット、デメリットの点からいうと、デメリットは全くないとお考えかどうかをまずお聞きしたいと思います。
  166. 津守滋

    津守政府委員 お答えいたします。  この条約の目的は、三条に規定しておりますように、ミナミマグロ資源保存及び最適利用を適正な管理を通じて確保する、こういうことでございまして、具体的には、マグロ資源水準を維持し最大限の漁獲を行うということでございます。これは同時に、最近とみに強くなってきております漁業資源保存の必要性、こういった国際的な要請にこたえることになるわけでありますが、これは同時に、繰り返しになりますが、我が国漁業者によるミナミマグロ漁業の長期的かつ安定的な操業を可能とするものである、こういう目的を目指したものであるというふうに御理解いただきたいと思います。したがいまして、これはあくまでも資源保存を図りながら漁業者の利益を確保するという点で大きなメリットのある条約である、こういうふうに御理解いただければと思います。
  167. 和田一仁

    ○和田(一)委員 オーストラリアニュージーランド我が国で国際的な保存管理措置を決めて、今おっしゃるような資源の温存を図りながら適正な漁獲をしていこう、こういうことですけれども、これは先ほど来お話がいろいろありましたように、関係していない国の参入、この条約に無関係な国を入れていかないといけない、その方途についてはなかなか難しい、こういう感じでして、IWCの例もとられて、やはりそれがきちっとしないとその最初の目的がいつの間にか制限、禁止という方向に変わってしまいやしないか、こういうような心配がございました。  今、こういうことで我が国ミナミマグロ漁獲が適正であるということを、だから大丈夫だということは世界に示せても、第三国から大量に買っている、あるいは先ほどもございましたように、第三国に船籍を置きかえた、そういった形での漁獲日本は購入している、こういうことが非常に日本で多いということになりますと、そういった乱獲の誘因が日本にあるのじゃないかというふうにとられてくるわけですけれども、この点をどうお考えになっているか。  それから、第三国船籍を、我が国でもそういった実態があるのかどうか、あるとすればどのぐらいのものを把握しておるか、これについてもお聞かせいただきたいと思います。
  168. 川合淳二

    川合政府委員 お話がございましたように、マグロ類のうちで高級な、例えばミナミマグロあるいはクロマグロなどにつきましては、かなりの部分が日本消費されていることでございます。したがいまして、この国際管理につきましては日本は積極的に貢献していかなければいけないということは、御指摘のとおりだと思っております。  水産物全般にわたりましてやはり適正な管理と保続的な利用ということが大きな課題になっておりますので、そういう意味で、今回ミナミマグロにつきましてこういう国際条約が結ばれるということは非常に重要なことでございます。既にお話がありましたようにICCATでもございますし、またほかの水域におきましてもそういう流れがあるわけでございますので、積極的にそうした国際規制、そして保続的な利用ということに参画することによりまして、しかもイニシアチブをとることによりましてこうした問題に対応していくということが、我々の必要な対応ではないかというふうに考えております。
  169. 和田一仁

    ○和田(一)委員 今お話ございましたように、幾つか、全米熱帯まぐろ類条約であるとか大西洋まぐろ類保存国際条約であるとか、水域ごとにそういったものがあるのですけれども、空白水域について話し合いが行われないと、やはりこういったところを中心に制約とかあるいは禁止とかいう方向が強まるのではないかと思うのですが、北太平洋水域、こういったところにおける国際機関づくりというものについてはどんなふうな状況になっておりますか。
  170. 林暘

    ○林(暘)政府委員 今御指摘がありましたように、北太平洋地域については現在マグロ類管理のための地域漁業機関は存在しておりません。ただ、北太平洋マグロ類保存管理につきましても、国際的な資源管理枠組みがあれば資源保存及び管理に資するという考え方に立ちまして、昨年の十一月からアメリカとの間で意見交換を開始したところでございます。
  171. 和田一仁

    ○和田(一)委員 時間がありません。ILOの方で一つだけお聞きします。  先ほどからこの百二十号、非常におくれているという御指摘がございまして、それに対して、注目されていなかったからあるいは検討していたからというような御答弁がございまして、批准促進の立場からこれからはやるんだというお話でございましたが、私もこれは日本の立場は非常に誤解されるのではないかというふうに思っております。ゆっくりやっていたんだと言えば言いわけみたいですけれども、職場環境の衛生や国際社会での日本の労働条件のあり方というものに誤解を招いてしまうのじゃないか、こういう心配も出てくるわけでございまして、批准促進については大いに努力していただかないといけない、こう思うのです。今聞いておりますと、ILO条約のうちの四十一本目ですか、ということで、非常に少ないのではないか。国際的な水準からいっても少ないのではないかな、私はこう思っております。  外務大臣我が国の労働環境や雇用状況について、こういう状態批准が非常におくれているということ、これを国際水準に一致させていく方向でもっと努力しなければいけないと私は思うのですけれども、これからILO条約批准に積極的に取り組む、これはやはり外務省中心に進めていくべきことだと思うのですが、いかがお考えでしょうか。
  172. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 確かに条約という観点から申しますれば外務省が積極的にしていかなければならないわけでございますが、それぞれ労働省もあれば産業関係の各省がいろいろあるわけでございまして、今日までいろいろなILO条約批准について、今御指摘のとおりで、数からいたしますと必ずしも優等生ではないということは確かに言えると思うのでございます。しかし、それはそれなりのこれまでのいろいろの各省庁間の協議がうまくいかなかったという点があるのじゃなかろうかと思いますと、外務省が率先してというのはなかなか難しい点も正直言ってあると私は思うのでございます。  しかし、日本がこれだけの経済大国になって、しかも労働条件が必ずしも、世界から見ればもう少し条件がよくなってもいいのじゃないか、こういう御指摘はよくあるわけでございますので、そういう観点からいたしますれば、ILO条約批准についてはなお一層の、今まで以上の積極性を持つということだけは確かに必要であると私は思っております。
  173. 和田一仁

    ○和田(一)委員 もう大分予定の時間より過ぎてしまいましたが、私は、大臣の御答弁にございましたけれども、ILOの本来の目的がだんだん拡大されてきている、こう考えておりまして、従来の労働基準の底上げであるとかあるいは適応状況の監視といった本来の目的はそのままですが、それに加えて相互的な依存度が高まってきている中で、もっと多角的に人的な技術協力、こういうものも非常に重要視されるようになってきたのではないかと思います。したがって私は、こういったILO条約批准をめぐって、国際的に日本もILO条約のそういった目的にきちっと対応しているんだという姿勢を示しながら、国際協力の中でのきちっとした立場をおつくりいただきたい、こういうふうに要望申し上げまして、質問を終わります。
  174. 伊藤公介

    伊藤委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  175. 伊藤公介

    伊藤委員長 これより両件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、みなみまぐろ保存のための条約締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  176. 伊藤公介

    伊藤委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、商業及び事務所における衛生に関する条約(第百二十号)の締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  177. 伊藤公介

    伊藤委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 伊藤公介

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  179. 伊藤公介

    伊藤委員長 午後一時四十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ————◇—————     午後一時四十分開議
  180. 伊藤公介

    伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  航空業務に関する日本国ネパール王国との間の協定締結について承認を求めるの件及び日本国と中華人民共和国との間の航空運送協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤田高敏君。
  181. 藤田高敏

    藤田(高)委員 今委員長から説明のありました二つの案件について質問をいたしたいと思います。  非常に時間が制限されておりますので、断片的な質問になろうかと思いますが、まず第一に、日本・ネパールの航空協定に関連をいたしましてまずお尋ねをいたしたいことは、ことしの四月来、現在の日米航空協定について、特に以遠権の問題につきましてアメリカと運輸省を中心として政府間交渉がなされたようでございますが、新聞その他の報道によりますと、いわばこの改正の中身について、具体的な条件が前進しないまま後退に後退をして、どういう形で現段階で決着を見つつあるのか必ずしも明確でございません。このノースウエスト航空との以遠権交渉のてんまつはどのようになっているのか、このことをまずお尋ねいたしたいと思います。     〔委員長退席、狩野委員長代理着席〕
  182. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 米国の航空企業によります以遠権の行使のあり方の問題につきましては、特に先生指摘のノースウエスト航空の大阪以遠シドニー路線の問題ですとか、ユナイテッド航空の東京以遠シドニー路線の申請問題につきまして、米側と実は非公式協議を含め五回ほど会合を持っておりますが、議論は平行線でございます。  すなわち、米側は、日米航空協定上、以遠権の行使は一般に自由かつ無制限であるとしております。これに対して我が方は、以遠権というのは妥当な制約、制限に服すべきものであるとし、自国と最終目的地との間の輸送を第一次の目的としなくてはならないということを日米航空協定第十二条もうたっておるわけであります。すなわち、米国、日本、それから第三国、例えばオーストラリア、つまりノースウエスト航空の路線について申し上げれば、ニューヨークから大阪それからシドニー、こういう路線を運航します場合に、ニューヨークとシドニーとの間の輸送がやはり主たる輸送であるべきである、大阪とシドニーの間のいわゆる以遠区間の輸送は、これは従たるものであるべきである、私どもはこのように主張しております。私どもの主張というのは、何も日本の孤立した主張ではございませんで、豪州、タイ、それからEC加盟国相互間の慣行においても私たちと近い、ないしはほとんど同じ立場がとられているというのが現状でございます。  これまで米側との交渉においては、こういう協定の解釈についてまだ見解の一致を見ておりませんけれども、状況は今申し上げましたとおりのところでございますので、今後とも米側との交渉についてはきちんとした態度で臨んでまいりたいと考えております。
  183. 藤田高敏

    藤田(高)委員 私どもの知る範囲では、当初四月の段階で運輸省が、その交渉に当たっては、現在の航空協定から見ましても認可条件に違反している部分に対しては、例えば制裁措置として、今説明のありました三便のうち一便をカットするとか、また四月九日には同会社に対して制裁措置の実施を一カ月延期するというような我が国の方から条件設定をやって、現行の協定自身の中身において大変不平等なものがあるけれども、現段階における以遠権の問題については、協定協定として厳守すべきだというようなことでこの交渉をしてきておるようでありますけれども、これが先ほども申し上げましたように、結果的には、例えば大阪−シドニー区間の輸送量については全区間の五〇%を超えないということでアメリカ側がそのことを遵守する、これから先厳守するというような条件がきちっと確認をされたのかどうか。このあたり、ぜひ聞かせてもらいたいと思います。
  184. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 ユナイテッド航空の場合につきましては、実は今先生指摘の点がそもそも問題になっていることとの関連で申請そのものがまだ日本に提出されていない、こういう状況にございます。ノースウエストについては、今先生が御指摘されましたような五〇%以内にシドニー−大阪間の旅客を抑えるべきであるという運航条件を付してオペレーションを認めている、こういう状況になっているわけでございます。
  185. 藤田高敏

    藤田(高)委員 そのことが今度の交渉できちっと確認をされたのかどうかということを聞いておるわけです。あってはならぬことですけれども、これは相互信頼の問題になるかもわかりませんが、もしアメリカの側が、航空会社が今後このような違反をした場合に、日本は減便をやるとか、あるいは極端なことを言えば、イギリスやフランスやタイにおいては協定自身を破棄するというようなことさえやってきておるわけですが、そういう強硬措置をとってでもこの不平等な条件を解消するために政府は対応していくのかどうか。
  186. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 政府は米国との航空交渉において毅然とした、きちんとした対応を貫徹するつもりでございます。  その交渉については、理論的に申し上げれば、先生が御指摘になられましたような協定の破棄、これは日米航空協定の十八条にそもそもその規定がございます。それから十五条には仲裁手続に移行するというような規定もございます。しかし、協定全体の精神といたしましては、これまた先生が先ほど御指摘になられましたように、協議を旨とする。すなわち問題がある場合、相違がある場合はできるだけ協議によってこれを解決するということがうたわれておりますので、私どもとしては、できるだけ対決色のない協議による解決というのを目指したい、こういう気持ちでございます。  しかし私どもは、ノースウエストの運航に付しております五〇%という制約、これは先ほど私が申し上げましたように、何も日本だけが勝手にやっているものではなくて、広く豪州、タイそれからEC諸国等々にも分かち合われたそういう認識であるというふうに考えておりますので、この確保にはきちんと対応してまいりたい。すなわち、その条件を外れた運航が行われた場合には、その運航を日米航空協定十二条に見合ったものに復元させるために必要な措置はきちんととりたい、こういうふうに考えております。
  187. 藤田高敏

    藤田(高)委員 それでは、違反をした場合には、もちろん決して協定破棄を目的とするものではないけれども、そういったことを含めて厳格な対応をする、こういうことですね。  それと、今言った四月来の交渉につきましては、大阪−シドニー間の以遠権の問題については、現行の五〇%というものをアメリカの航空会社はこれまたきちっと守る、こういうことが担保されたわけですね。
  188. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 日本政府としてノースウエストに認めるのは、五〇%という条件が担保された形の運航でございます。そして、協議においても日本側はその立場を非常に明確にしている。外務省、運輸省共通の立場といたしまして、この以遠権に対する我が方の立場は非常に正しいものであると確信しております。
  189. 藤田高敏

    藤田(高)委員 それでは、以遠権の問題につきましては、せっかくこのような交渉で確認をされておるわけですから、そういった協定の趣旨がきちっと守られるように今後とも厳格に対応をしてもらいたいと思います。  大変これは余分なことかもわかりませんが、運輸省は姿勢を正して交渉をやるんだけれども、外務省は弱腰で、案外こういったことについて柔軟過ぎる態度をとるんじゃないかという批判がありますが、そのようなことのないように、これは外務省にも強く警告をしておきたいと思うわけです。  そこで、この以遠権の問題だけでなくて、日米航空協定というのは、もう御案内のようにかれこれ四十年前に締結された協定でございまして、それこそ新聞ではないけれども、今日、世界経済の嫌われ者というのは日本の貿易黒字だ、世界の空の嫌われ者はアメリカの航空協定だ、このようにさえ言われているわけでありますが、この日米航空協定は、けさの朝日新聞の「論壇」にも運輸省の寺嶋運輸審議官がその不平等性を指摘して、それに対する大方の見解を示しております。  私は、実はこの質問をしようと思って少しく調べておったわけでありますが、けさの「論壇」を読んで、これは非常に折り目のある態度だというふうに一応は敬意を表してきておるわけでありますが、これはあくまでも新聞における一運輸審議官見解でありまして、この種の考え方が国会の合意として確認されるかどうか。  そういう意味において私は質問するわけでありますが、現行の日米航空協定には大変不平等な条件が幾つかある。そのことについては政府も認めているのかどうか。認めているとすれば、それらの不平等な条件をどのように今後解消していこうとしておるのかということが二つ目。  三つ目には、せんだってアマコスト駐日大使が、この日米航空協定には不平等なものはない、むしろ日本の航空会社の怠慢といいますか、我々からいえば言いがかりをつけたような見解の表明をこれまた新聞紙上でし、それを拝見しておるわけでありますが、アマコスト大使の見解に対する外務省見解あるいは運輸省の見解を聞かせてもらいたいと思います。
  190. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 アマコスト大使の見解に対する外務省見解は、先生が御指摘になられました寺嶋論文、これに書かれてあるところと同一でございます。
  191. 藤野公孝

    ○藤野説明員 お答え申し上げます。  運輸省といたしましても、ただいま外務省議官の申されたとおり、この寺嶋審議官の、運輸審議官名できょう出しております「論壇」の趣旨、それは一審議官の意見ではなくて、運輸省の省としての意見でございます。
  192. 藤田高敏

    藤田(高)委員 時間がありませんから、この寺嶋運輸審議官のけさの「論壇」の記事をあえて申し上げませんけれども、この中身には、例えば、現在の日米関係の運航の便数でいえば三〇対七〇の割合だ、そして以遠権の行使については、週二便対百四十便というまさにワンサイドゲームになっている、加えて、以遠権の問題については、先ほども答弁がありましたが、十二条に関連をする不平等性を指摘いたしています。  だれが見ても、日米関係というのはいわば世界で一番友好的な関係にある。日米友好関係、G7ではありませんけれども、先進国の最たる国としてお互いが自負をしておる。こういう両国間において、四十年前のこのような不平等な条約が今なお存在して、そして日本政府はそのことをほおかぶりしていこうとするようなことは、日本国の権威にかけてもまさに屈辱的な性格のものじゃないか。今指摘をしたようなことについて、先ほどのお二人の見解がそれぞれ外務省、運輸省の政府の見解であるとすれば、こういった不平等協定の改正に向けて今後政府はどのように積極的な姿勢で取り組んでいこうとしておるのか、この点をお尋ねいたしたいと思います。
  193. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 米側には、アマコスト大使の論文に書かれたような米側としての立場があろうかと思います。しかし、先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、私どもは、現在の日米航空協定上、日米間に大きな権益の不均衡が存在しているというふうに考えております。したがいまして、この是正を目的として、実は一九七六年以降協定改定交渉は開始されているわけでございます。しかし、その全般的な改定というのは、現実の問題として当面なかなか難しい状況にあるということも事実だろうと思います。  そういう状況のもとで、政府としては、協定の枠内での協議を通じて権益上の不均衡の是正に努めておりまして、これまで旅客便の路線の拡大や貨物便の参入なんかにつきまして暫定的な合意を重ねてきております。私たちとしては、今後とも粘り強い交渉を毅然とした態度で行っていきたいと存じております。  もちろん、先ほど私が触れましたように、日米航空協定上も、十八条のように協定の破棄そのものをうたった条項はございます。しかし、協定の組み立てそのものは、日米双方の航空企業の秩序ある発展ということを確保するために、違いがある場合はなるべく協議により解決せよということをうたっておりますので、私たちは、せっかく日米が、国会を通していただいて結んだこの条約でございますから、その条約の枠内で最大限の努力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  194. 藤田高敏

    藤田(高)委員 私は、一般的な考え方としてはそのとおりだと思うのです。何も労使間じゃないけれども、ストライキをやることを目的的なものにしてどうこうやるわけではなくて、お互いに相互信頼の中で誠意を持って交渉をやらなければいかぬわけですが、四十年来続いてきたこういう不平等性を解決するためには、いま少しきちっとした我が国外交の姿勢というものを示して交渉をする必要があるのじゃないか。これは、国民の立場から見ましても、日米関係の感情面にとってもいいことではないと思うわけです。そういう意味において、あえて外務大臣見解を聞かせていただきたいと思います。
  195. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 確かにこの日米航空協定は、今審議官から申しましたように、私どもも非常に均衡を失している点があると思うわけでありまして、そうかといって、それでは航空協定を破棄してしまって全く自由にしたらこれはまた大変な混乱も起きるわけでございますから、そういう意味では、航空協定枠組みの中でというのも私もわかりますけれども、私自身が前々からこれは非常に不均衡だと思っておりますので、一回機会をとらえて私から強くこの問題についてどこかで取り上げてみたい、日米間のいろいろの交渉の中で私としても取り上げてみたいと思っております。
  196. 藤田高敏

    藤田(高)委員 せっかくの今後の積極的な不平等性解消に向けての努力を要請いたしておきたいと思います。  そこで、時間の関係がございますが、問題といいますか懸案の日本・ネパール航空協定についてであります。  この中身を見ますと、付表2の注2に、ネパールの会社は、上海から大阪及び上海から当該以遠の二つの地点の間においては運輸権はない、こういう協定になっておりますね。これは、ごく常識的に判断をしましても、先ほどの日米関係の不平等性ではありませんけれども、今度のネパールとの航空協定において日本が何らか不平等的なものをネパールに押しつけるような気がするわけでありまして、このようなことを一方でやりながら、アメリカに対してはその不平等性を解消せよ、このように主張しても、なかなかそこは整合性というか、一方では違ったことをやり、一方では正当なことを言うということではちぐはぐになるような気がするわけであります。この点は不平等性の問題は起こらないのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  197. 池田維

    ○池田政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま藤田先生から、ネパール側の路線におきまして、上海と大阪あるいは上海と大阪以遠の運輸権について制約が課されているということで、これが不平等ではないかという御指摘でございます。  もともとこの協定の原則は、ネパール発着の旅客機の輸送を促進することでございます。特に途中の上海というところは航空市場として大変価値の高いところだということもありまして、途中の、例えば上海と大阪だけを運航するということも理論的に可能になってまいります。そういうことになりますと、日本とネパールとの間の航空関係を強化しようというもともとの目的に必ずしも沿わないということでございまして、そういうことから今のような制限が付されているということでございます。この点についてはネパール側の了承を得ておりますし、私どもは、不平等という指摘は当たらないと考えております。  ちなみに、日本側の路線についてそのような規定がございませんのは、現在のところ、日本側でネパールまで運航しようという計画が具体的にございませんので、そういう必要性が生じなかったと理解しております。
  198. 藤田高敏

    藤田(高)委員 ネパールの方はこれでよろしい、また、我が国の方の考え方としては不平等的なものではない、こういう認識でおりましても、ごく客観的に見ると、こういう条件設定というものは将来不平等的なものを現実の問題として起こしてくるのではないかという心配がありますので、こういう点はできるだけ双務的な平等な条件に改正するように努力をしてほしい、こう思うわけであります。  そこで、時間がないわけでありますが、ネパール関係についてあと二つだけお聞きしておきたいと思います。  私ども素人から見ますと、ネパールから飛んでくるなには航路と地点が決まっておるが、日本からネパールに行く航路及び二つの中間地点についてはいまだ設定がされていない。こういう協定の結び方はちょっと変則的といいますか、片道通行的な性格に見えて仕方がないのです。こうならざるを得ない理由は何なのか。  それと同時に、積極的な意味からいけば、こういう形にしろ、ネパールに対してここまで肩入れをして積極的に日本協定を結ぶ理由は何なのか。  いま一つの問題は、日本からネパールに向けての航路の二つの地点についてはいつごろ決定の見通しなのか。  加えて、時間の関係で私の希望を申し上げますが、お隣の中国は、御案内のとおり経済発展のテンポが今大変すばらしく進行しております。わけても華南地区、台湾と福建省、香港と広東省、そして従来我々が言ってきた海南島といったような地域は今中国経済を引っ張る拠点になっておるわけです。そういったことも考慮して中間地点を設定するお考えがあるかどうか。  以上四点、お尋ねをしたいと思います。
  199. 藤野公孝

    ○藤野説明員 お答え申し上げます。  まず最初の、日本とネパール間の航空機の運航が片務的といいますか、片道的になっておる、これはどういうことかというお尋ねでございます。  あくまで一般論で恐縮でございますが、ある路線を航空企業が運航いたすか否かというのは、やはり各企業におきまして需要の見通し等を勘案して経営上の判断を行い、決定をしておるわけでございます。  先生お尋ねのネパールと我が国の間におきましては、我が国の航空企業といたしましてもいろいろ検討はいたしたわけでございますが、需要等の面から採算性を考慮すれば運航が難しいという判断をいたしまして、現在のところ、具体的な乗り入れ計画を有している企業が日本側にはないという状況でございまして、この結果、当面ネパール側からの運航のみが行われるという形になるわけでございます。しかしながら、こういう形ではございますが、日本とネパール間には定期航空路を開設いたします一定の需要は現実に存在いたしますし、この定期航空路の開設によりまして、両国間の交流の促進を図るという面には非常に大きく貢献いたします。  あわせて、来年夏ごろに開港を予定しております関西国際空港、この空港をハブといたします国際航空ネットワークの形成にも資するという観点等から本協定締結するに至ったものでございます。  それから、途中の地点が未決定である、その決定の見通しいかんという点についてでございます。  先生の御指摘のとおり、日本とネパール間の航空協定の付表におきまして、日本側が運営する路線につきましては、中間地点が二地点、以遠地点が二地点、それぞれ後で特定する、こういうことになっております。またネパール側につきましては、以遠の二地点が後で特定されるということになっております。しかしながら、日本、ネパール側双方につきまして、具体的な地点の指定といった意味での運航計画は現時点においてまだ立てられておりませんで、はっきりとした見通しが持てない状況でございます。
  200. 藤田高敏

    藤田(高)委員 私が前段言ったようなことも考慮して、今後の地点設定については努力をすべきではないだろうかということを希望として申し上げておきたいと思います。  質問の項目の半分もできませんが、日中議定書の改定については、現行では会社が二つまでというのを二つ以上に改正するということですから、そのこと自身については問題はありませんが、そのことに関連をして、中国問題を一つ、二つお尋ねしておきたいと思うのです。  既に西安と名古屋との路線が開設されておりますけれども、これまた西安の方から日本に飛んでくるのは決まっておりますが、日本の方からはいまだ就航してない。この見通しはこれまたいつごろになるのか、この点一つお尋ねをしておきたいと思います。  二つ目の問題は、日中政府間経済協力が中国の政治、経済に今日まで与えてきた影響は非常に大きいと思うのですが、その影響評価をどのように政府は今日まで判断しておるか。そしてこの航空協定の改定等を含めて、今後どのような協力関係を結んでいこうとしておるのか。  三つ目の問題は、せんだって銭中国外相が日本に来ましたが、このときに武藤外務大臣及び宮澤総理との会談があったわけであります。ここで少しく、マスコミ報道ではございませんが、いうところの中国の国防力強化についての意見交換もあったやに私どもは理解をいたしておるわけでありますが、こういう最近の中国の国防力強化に対する政府の見方というもの等々についてひとつお聞かせをいただきたいと思います。  いま一つの問題は、御案内のとおり、ことしは日中平和友好条約締結十五周年に当たります。この十五周年を期して、昨年の天皇訪中ではございませんが、日中関係は今大変良好な関係にあります。しかし、これから国民レベル、そしてまたお互い国民感情を含めて政府間の友好関係を充実したものにしていく必要があろうと思うわけでありますが、そういうものに対する政府の見解、以上四点、ひとつお尋ねをいたしたいと思います。
  201. 藤野公孝

    ○藤野説明員 お答え申し上げます。  現在、日本と中国との間の航空機の相互乗り入れにつきましては、先生も御承知のとおり、条約上の制約から企業数が二つまでということになっておりまして、先生指摘ございました西安−名古屋路線につきましては、現在の運航形態といたしましては、中国東方航空公司が運航しておりますが、これはあくまでも中国西北航空公司の……(藤田(高)委員「それはわかっているんだ。日本からのを聞いているんだよ」と呼ぶ)それで、今そういう中国側の第三社日が今度乗り入れ可能となる時点におきまして、我が方といたしましても具体的にまだ企業名の確定はできておりませんが、希望を既に受けておりまして、双方三社目が乗り入れる可能性がこの改定によりまして生じているというのが現実の効果でございます。
  202. 池田維

    ○池田政府委員 その他の御質問の点についてお答えを申し上げます。  最初に、最近の日中間の協力というものが中国の政治、経済にどういう影響を与えているかということでございますが、七二年の正常化、それから七八年の友好条約締結以来、日中間の協力関係というのは飛躍的に広がりと深まりを見せているというように私ども評価いたしております。そして、特に七八年の平和友好条約が結ばれましたころから中国は現在の改革・開放路線をとるようになったわけでございまして、この改革・開放路線に対して日本協力するという姿勢をとってまいりました。そして、八〇年代に入りましてから対中円借款供与というものを始めたわけでございますが、この円借款供与につきましては、中国側もこれを非常に高く評価しておりまして、中国の民生向上とかインフラの整備等に貢献しているというように評価しております。  いずれにしましても、アジア・太平洋におきまして大変重要なこの日本と中国という二つの国が協力し、平和と安定のために貢献していくということは、これは単に日中関係のみならず、アジア・太平洋の安定のためにも大変有益であるというように考えているわけでございます。  それから次に、最近の中国の国防力の状況についてどういうように見ているかという御質問がございました。  確かに、中国は四つの近代化ということで国防の近代化を進めてきております。ただ、その四つの中では一番最後に置かれているということは事実でございます。最近の中国の国防予算の伸びをどういうように評価するかということにつきましては、為替ルートとかインフレ率等の要因を考える必要があるというように考えておりますけれども、基本的には、とりあえずのところ、中国の最近の国防力の強化がこの地域の軍事バランスを変えるほど大きな要因にはなっていないというように考えております。  例えばドルレートで換算して申しますと、中国の公表しております国防予算の割合というものは比較的安定しておりまして、実質的に大きな変化は来しておりません。ただし、人民元でとってみますと、一九八九年、四年前以来約二けた台の成長を示しているということはございます。ただ、もともとのレベル自体、決して高いものではない。一部の先進諸国に比べて決して高いものではないということも考慮に入れますと、当面のところは、今申し上げたようなことになろうかと思います。  ただ、現在のような状況があと五年、十年続いていった場合の中長期的な影響というものについては、私どもとしましても、これは単に日本だけではなくて国際的にも大変に強い関心の的となっているわけでございまして、注意深く冷静にこれを見守っていきたいというように考えております。  同時に、この間の日中外相会談で武藤外務大臣の方からも提案されまして、中国側も原則的に受けましたけれども、日中間で安全保障についての対話を深めていく。つまり、双方がどういう意図によってそういう軍の近代化ということを図っているのかということで、お互いの不要な誤解を避けるためにそういう政策対話を深めていこうということで合意ができたわけでございまして、そういった面で、今後日中間におきましてより政策の透明性を図るような努力というものが進められていくことになりました。それから最後に、日中間の今後の友好関係の拡大について政府としてどういうように取り組んでいくのかという御質問でございました。  私どもとしましては、まず一つは日中関係をより成熟した関係に持っていく。特に、これまでは過去の問題に縛られることも決して少なくはなかったわけでありますけれども、やはり未来志向に基づいてより成熟した関係に持っていきたいというのが一つでございます。  もう一つは、日中関係は単に日本と中国の関係だけではなくて、アジア・太平洋地域の問題、例えばカンボジアの問題であるとか朝鮮半島の問題であるとか、そういった問題について日中間で十分に意見交換をし、できる分野については協力していくといったような、そういう二国間を超えたような関係につくっていきたいというように考えております。  それからもう一つは、やはり中国の現在の改革・開放路線というものを日本としては引き続き支援していきたいというように考えております。
  203. 藤田高敏

    藤田(高)委員 大臣も同じですか。
  204. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 大体今局長が答弁したのが、私とこの間銭其深との話の内容でございます。
  205. 狩野勝

    ○狩野委員長代理 お約束の時間が経過しておりますので、結論をお急ぎください。
  206. 藤田高敏

    藤田(高)委員 これで終わります。終わろうと思って立ったのです。  ぜひ日中共同声明、日中平和友好条約の趣旨に沿って、なかんずく、私は、やはり反覇権の立場でお互いが軍事大国にはならぬ、そういう意思疎通を、先ほど局長が答弁され大臣がそのことを確認した、そういう線に沿ってこの日中間の友好関係をますます発展させてもらうことを要望しまして、少しく時間が超過しましたが、お許しをいただき、質問を終わりたいと思います。
  207. 狩野勝

    ○狩野委員長代理 川島實君。
  208. 川島實

    川島委員 私は、ただいま議題となっております航空業務に関する日本国ネパール王国との間の協定締結について及び日本国と中華人民共和国との間の航空運送協定を改正する議定書締結について、以下質問をいたしたいと思います。藤田先生との関係もございまして、割愛をしながら質問をいたしたいと思いますので、よろしく御配慮をいただきたいと思います。  現在、我が国と航空協定締結している国が三十九カ国、このほか航空協定を希望している国が四十四カ国、このうちネパールを含む十二カ国が関西空港への乗り入れ希望ということですが、我が国がこれら相手国の四十四カ国に対して乗り入れを希望している国はどのくらいあるのか、また我が国は相手国に対してどれだけ充足をできるのか、この二点についてお伺いをします。
  209. 藤野公孝

    ○藤野説明員 お答え申し上げます。  まず、先生お尋ねの第一点目でございますが、ただいま御指摘のとおり、ネパールを含む四十四カ国が我が国への新規乗り入れを希望しておりまして、そのうち十二カ国と今いろいろ交渉をやっておりますが、先生お尋ねの我が国の企業がこのうちどのくらいの国へ希望があるのかということでございますが、現在、先生も御承知のとおり、我が国の航空企業は大変経営上厳しい状況に陥っておりますことと、これら新規四十四カ国が総じて二国間の、当該国間の需要が余り多くないというようなことがありまして、この四十四カ国すべてについて具体的な運航計画を現時点で表明しているエアラインあるいは国は一カ国もございません。しかし、将来的には可能性を必ずしも否定するものではありません。例えばベトナムなんかについては将来的に可能性があると考えられます。  また、空港容量との関係でございますが、確かに、一般に空港容量の制約がございますが、現在私どもが行っております航空交渉は、新たに開港いたします関西新空港への乗り入れを前提としておりまして、当面しばらくの間は空港容量がネックとなって新規乗り入れの便数等を制限しなくてはいけない状況には立ち至っていないというふうに考えております。
  210. 川島實

    川島委員 参議院の質疑の内容を見ますると、ネパールを含めて関西空港へ十二カ国希望している。さらに、ネパール自身は一九七八年に希望して、ようやく今日成った。先ほどの質疑で、日本からネパールへ行く希望社はないけれども、ネパールからの要請で今回こういう協会を締結することになった。だったら、四十四カ国のうち、今後向こうからの希望があればこのような締結が進む、こういうふうに受けとめていいのかどうか。
  211. 藤野公孝

    ○藤野説明員 先生からただいま御指摘いただきましたように、ネパールは一九七八年に我が国の乗り入れを要望し、今日まで十五年ぐらいたっておるわけです。これがなぜおくれたか、その辺の理由はちょっと御説明させていただきたいと思うのですが、七八年に申し入れを受けた当初は非常に需要が小さいということで、定期航空路を開設するための航空協定締結交渉にはまだ至らなかったわけでございますが、一九八八年に第一回の予備協議をやりました。このときは、一応成田への乗り入れを前提にしておりましたが、一九八九年に成田の空港容量が満杯になって、そこで一たん中断をしておりました。それが今回、関西空港開港を前提ということで、再度交渉して今日に至っているという状況でございます。  なお、先ほどの答弁に関連いたしまして、こちらから乗り入れ希望がないのだったら、相手が乗り入れたいと言えば全部オーケーするのかということにつきましては、我々は、やはり定期航空便のある一定水準の需要の存在を前提として航空協定を結びたい、それまでの間はチャーター便等で対応するという格好で対処しております。
  212. 川島實

    川島委員 次に、日中間の航空協定の改定の関連で、朝鮮半島の上空を横断する短縮ルートを通れば、日本から中国へいく航空ルートが約五十分時間短縮できる。この交渉の見通しは今どうなっているのか。それから、名古屋空港に関係をする中国との関係では、今回の改定によってどのような変化があるのか。この二点について。
  213. 藤野公孝

    ○藤野説明員 お答え申し上げます。  最初の御質問、今回の日中航空協定の改定によって今後の日中航空関係はどのように変わり、また進展していくのかということにつきましては、両国の定期航空業務に従事します自国の企業の数が、従来は一または二となっておりましたものが、今後三社目以上の乗り入れが可能になるということで、今後の両国間の交流拡大に対応した相互の乗り入れ企業数の拡大あるいは運航路線数の拡大等容易に行われ、両国の関係改善に資するというふうに考えております。  二番目の、名古屋の中国路線の開設状況はどうかというお尋ねでございますが、名古屋空港におきます中国路線の運航状況につきましては、日本航空が昨年八月、名古屋−北京間を週二便運航を開始いたしました。それから、中国側からは中国東方航空公司が上海−名古屋間を週三便、西安−名古屋間、これは上海経由でございますが、週四便運航いたしております。なお、この西安−名古屋路線につきましては、先ほどもちょっと御答弁しましたが、中国東方航空公司が中国西北航空公司の乗員、機材を使用して運航いたしておるものでございます。
  214. 川島實

    川島委員 次に、中国と経済、貿易関係では屈折がありながら順調な発展を今遂げておるわけでございます。貿易は七二年当時と比べ、二十年間で往復で二十一倍、投資はゼロから三十四億ドル、有償の経済協力は三兆一千億、こういう中で、いろいろ航空協定等もあって今後進展をすると思われるわけでございますが、ただ一点、さきの中国の製鋼原料について、初めて我が国はダンピング課税第一号を決定いたしましたが、このことが世界各国に与える影響といいますか、どういう受けとめ方を各国がなさっておるのか、この件についてお伺いしておきたいと思います。
  215. 北爪由紀夫

    ○北爪説明員 先生の今の御質問に対しましてお答えいたします。  本件につきましては、一月二十九日にアンチダンピングにつきまして課税を発表したわけでございますが、本措置につきましては、二月にガット事務局の方に通報しております。本年四月にアンチダンピング委員会におきましても特段のコメントがございませんでした。そういうことから、本件の措置につきましては適正に行われたものというふうに理解がされていると承知をしております。  以上でございます。
  216. 川島實

    川島委員 今まではアメリカやヨーロッパ諸国から日本のダンピング問題がいろいろ取りざたされてきて、我が国は防衛一本だったわけですが、こういうことをしたというのは何か意図があったのかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  217. 北爪由紀夫

    ○北爪説明員 お答えいたします。  確かに先生おっしゃいますとおり、アンチダンピングにつきましては、欧米諸国を中心に乱用のし過ぎではないかという議論がウルグアイ・ラウンド等であることは御承知のとおりでございます。  本件につきましては、特段日本もそういった路線に乗ったということではございませんで、やはり適正な貿易を確保するということで、ガットの規定及び関連国内諸規定に基づきまして適正にかつ透明性を保って行ったということでございまして、貿易政策が変更になったということではございません。
  218. 川島實

    川島委員 次に、今月の八日の中国の西安市におけるホテルの日本人旅行者三名の悲惨な殺害、殺人事件ですか、昨年も旅行者二人が一連の事件に巻き込まれて死亡しておる。これらに対して、過去の日本に対する反日感情がまだ残っているのが原因なのか、旅行者としてのいろいろなマナー、注意が不足しておるのか。外務省はどのようにこれを受けとめておるのか、そして今後の対策はどのように考えておるのか、お伺いしておきたいと思います。
  219. 荒義尚

    ○荒政府委員 ただいま御指摘の今週の火曜日の事故でございますけれども、私どもとしましても、三名の方が殺害されるという大変痛ましい事件に対しまして大変残念に思っていまして、亡くなられた方に対しましては、我々としても心から哀悼の意を表している次第でございます。  中国におけるこの種事件ということでございますけれども、過去二年間に二件、今回も含めて二件でございます。昨年の事件、先生指摘の事件は強盗殺人事件でございまして、今回の事件についても現在捜査中でありますけれども、中国公安部の中間的な報告では、強盗殺人と思われる。なお、それを超えた背景につきましては、まだ我々としても何とも断定できないわけでございますけれども、物取りという可能性が多いのではなかろうかというふうに私どもとしては感じておるわけでございます。  ちなみに、全世界でこういう凶悪事件というのは年間大体二十件あるいは二十四件ぐらい起こっておりますが、ただ、そういう点から見ましても、特に最近中国において著しくそういう凶悪犯が多くなって、邦人の方が犠牲になるというところまではまだ言えない状況というふうに我々として認識しております。  私ども外務省としましては、今回の事件を含め、そういうふうに海外でいろいろ事故が多くなっているということでございますので、各地の治安、安全に関する情報を、都道府県の旅券関係課を通じ、あるいは旅行業者、さらには日本在外企業協会等を通じまして、渡航情報あるいは安全相談センター情報ということで国民一般の方に積極的に提供するよう努めております。また、それに加えまして、各種パンフレットあるいは海外の安全ハンドブックというものを通じまして、国民の方々が安全対策の重要性、なかんずく自助努力としての安全対策をよく講じていただくよう、国民に対する啓発活動をやっているわけでございまして、この点について我々としても今後努力してまいりたいと考えております。
  220. 川島實

    川島委員 次に、戦後処理の問題で、旧日本軍の遺棄化学兵器問題。中国政府はこのことを、中国は戦争の被害者であり、日本側が化学兵器の廃棄処理に責任を負うのは当然のことである、こういう談話も発表しており、我が国は中国と共同で調査を実施しているやに聞いておるわけでございますが、現在どういう対応がなされているのか。  それから、化学兵器禁止条約との関係で、このことをどう受けとめておるのか、まずお伺いしておきたいと思います。
  221. 池田維

    ○池田政府委員 本件、旧日本軍の残しました化学兵器の遺棄の問題につきましては、現在日本側としては、中国側と十分に協議をしながら、誠意を持って解決するという方向で努力をいたしております。これまで中国側と意見交換を行いましたほか、具体的には吉林省、河北省、江蘇省、こういうところに現地視察を行いました。そして、まず実態を調査するということで調査を続けておりまして、次回会合は専門家レベルで年内にもう一度日本から中国に派遣するということで大体話がまとまりつつあります。  それから、ただいまの化学兵器禁止条約との関係でございますが、私どもとしましては、この本件の問題の解決に当たりましては、日中共同声明あるいは日中平和友好条約、それとこの間署名されました化学兵器禁止条約の精神を踏まえながらやっていきたいということでございます。
  222. 川島實

    川島委員 中国政府は、戦争賠償の放棄を確認した七二年の日中共同声明の立場は不変、こういう立場をとっているわけですが、民間賠償の動きは黙認をする、こういう構えじゃないかと思っております。  現在、中国で対日賠償を求める被害者連合会というのが十万人組織されている、こういうふうに伺っておりますし、慰安婦の問題も中国ではいろいろと声が上がってきておるわけでございますが、こうした戦争以後の一連のそういう賠償問題について、政府は今後どのようにやろうとしているのか。これは中国との関係だけでなく、アジア諸国全般にわたって、ひとつこれからのアジアと仲よく、日本がリーダーシップを発揮していくためには、きちっと処理をする必要があろうかと思うわけですが、大臣、この件についてどのようにお考えなのか、御見解をお伺いしておきたいと思います。
  223. 池田維

    ○池田政府委員 日本とアジア諸国とのいわゆる戦後賠償に関係します問題は、法的にはサンフランシスコ平和条約あるいは賠償協定その他の二国間条約等によって決着はしているわけでございます。  ただいま御指摘の日中間の問題によりますと、例えば一九七二年の日中共同声明の発出によりまして両国間の請求権の問題は存在していないということでございまして、この認識については中国側もそういう認識を持っているということを明らかにいたしております。  その他との関係におきましても、法的な決着ということにつきましては、私どもの対応は非常に明確でございます。  ただ、最近、いわゆる従軍慰安婦問題につきまして、この問題の性格にかんがみまして、人道的、道義的にも、何か日本側として誠意を持って日本側の気持ちをあらわすための措置考えるべきではないかということで鋭意検討はいたしておりまして、関係国との間でも、内々にその意見を聞くということはやっております。この問題はそういう意味では一つの特別な例でございますけれども、ただいま申しましたように、全体的には法的に決着済みであるというのが日本国政府の立場でございます。
  224. 川島實

    川島委員 東シナ海における中国による日本漁船への発砲問題、これは毎年発生をしておりまして、漁民の皆さんが非常に困惑をいたしております。追跡、臨検、威嚇発砲、こういう事犯が目に余るものがあるわけでございますが、海上保安庁はどのように対応しているのか。私どものデータでも、外国船を含めて、一年間で四十件近いデータが示されております。日本と中国とのそういう対策協議会が開かれている、こういうふうに言われているわけでございますが、これらはどのような実効を上げておるのかお伺いしたいと思います。
  225. 陶山高志

    ○陶山説明員 お答え申し上げます。  不審船によります発砲等の事件の発生の防止と迅速な対応を図りますために、海上保安庁では、巡視船及び航空機を配備して警戒に当たっております。  現時点におきます配備の状況について申し上げますと、巡視船については、他の管区本部からの応援派遣も行いまして、ヘリコプター搭載型巡視船を含む四隻を事件発生海域に常時配備するとともに、航空機については、那覇及び石垣航空基地から随時哨戒に当たらせております。万一事件が発生した場合は、配備の巡視船、航空機等を現場に急行させ、日本船舶の保護、事案の調査、確認等を行っております。  また、事件発生の都度、外交ルートを通じて中国側に調査を依頼するとともに、不審船が中国公船であることが判明した場合には、厳重に抗議を行っております。  さらに、東シナ海を通航する船舶に対しては、国旗の常時掲揚、巡視船との通信連絡の確保、漁船の集団操業等の指導を行っておるところでございます。
  226. 川島實

    川島委員 今回のこうした一連の事件については、中国は新領海法を設定しておりますが、そういうものとの関連があるのではないかとか、石油開発に関連して領土権の既成事実をつくり上げるのではないだろうか、こういう意見も出ておりますし、尖閣諸島における我が国の固有の領土というのがあいまいな形になってしまうのではないか、こういう憂いをしておる学者の皆さんもおるわけでございますが、我が国政府はこれらに対してどのような受けとめ方をしておるのかお伺いをして、終わりたいと思います。
  227. 池田維

    ○池田政府委員 ただいま御指摘の、いわゆる船舶に対する不法な発砲事件あるいは乗船というようなことは、基本的に密輸の取り締まりのためであるということでございまして、これは中国側ともこれまでもう何度も話し合いをしております。これは、改革・開放というものが進んで密輸船がふえてきた、そして、それを取り締まろうとする動きと関係しているということと聞いております。  それからもう一つは、これは最近は中国も公表いたしておりますけれども、東シナ海で海賊行為を行う者がいるということで、福建省ではたしか十数名の犯罪者を処罰したということを公表いたしておりますが、そういう面もございます。したがいまして、本件が領海法とかあるいは石油資源等に関係しているというようには私どもは見ておりません。
  228. 川島實

    川島委員 終わります。
  229. 狩野勝

    ○狩野委員長代理 東祥三君。
  230. 東祥三

    ○東(祥)委員 日本・ネパール航空協定日本・中国航空協定に関して質問させていただきます。  その前に、本日、午前中の記者会見で、河野官房長官が驚くべきことを明らかにしております。これは北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国のNPT脱退問題に関連して明らかにされたことでございますが、先月末、朝鮮民主主義人民共和国が、能登半島沖の日本海で、開発中の中距離弾道ミサイル、ノドン一号と言われるらしいですが、ノドン一号の試射を実施、成功していたことを政府が確認していたということを発表されたようでございます。外務省はこの点について情報を把握されておられますか。
  231. 池田維

    ○池田政府委員 本件につきましては、私どもは防衛庁に確認をいたしておりますが、現在のところ、防衛庁によりますと、現時点において労働一号の発射実験が行われたかどうか確認しているわけではないけれども、各種の情報を分析整理中であるというように聞いております。したがいまして、外務省として独自の情報を持っているわけではございませんので、現時点では、そういう情報があるということでその確認を急いでいるという状況でございます。
  232. 東祥三

    ○東(祥)委員 外務省経由で出てきた情報ではなくて、防衛庁経由だということですか。
  233. 池田維

    ○池田政府委員 どこの経由かはわかりません。いずれにしましても、外務省からのものではございません。
  234. 東祥三

    ○東(祥)委員 ある情報によりますと、もう既に自衛隊は現実にこの実験を確認されている、また、米軍も既に調査済みである、こういう情報が入ってきているのですが、いかがですか。
  235. 池田維

    ○池田政府委員 私どももそのような話は聞いておりますけれども、ただいま申しましたように、まだ権威のある当局からの確認ではないということでございます。
  236. 東祥三

    ○東(祥)委員 実験が能登半島沖の日本海で行われている、また、情報によれば、この実験では五百キロメートル先の目標に的中させている、そして射程距離は一千キロメートル、したがって、北朝鮮本土から撃った場合大阪は射程距離に入る、さらにまた、北朝鮮においては射程距離一千三百キロぐらいの弾道ミサイルも今開発中である。もし開発に成功すると日本全土が射程距離に入ってしまうのではないのか。こういう問題に関して、今事実を確認中であるということでございますが、こういう事実が次々に判明してくるとすれば、どのような対応、対処をされるおつもりなのでしょうか。
  237. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今アジア局長から答弁いたしましたように、その情報については、私どもも情報としては承知をいたしておりますけれども、どうも、果たしてどこまでが事実関係なのか、正直なかなかはっきりしない情報源でございますので、防衛庁で今鋭意事実関係について確認を急いでもらっておるわけでございます。どうも仮定の問題についてはなかなかコメントはできにくいのでございますけれども、万が一というときはこれは大変なことであると私は承知をいたしており、何らかの対処をしなければいけませんが、どうも事実関係がはっきりいたしませんので、きょうのところはコメントを差し控えたいと思います。
  238. 東祥三

    ○東(祥)委員 北朝鮮の核技術開発能力についてはどれくらいの情報をお持ちなのでしょうか。
  239. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 やはり五百キロから千キロまで今どうもいっているのではないかという情報だけはある程度承知をいたしております。
  240. 東祥三

    ○東(祥)委員 鋭意分析していただいて、また別の機会に情報をいただければと思います。  一説によれば、ある某国と核技術協力も行われているということも聞いております。ましてきょうのこの情報によれば、中距離弾道ミサイルが現実の問題として実験に成功しちゃっている。日本にとっては極めて脅威にならざるを得なくなるのだろう、このように思いますので、情報が入り次第、またその情報をいただきたいというふうに思います。  本題に入らせていただきます。  日本・ネパール間の出入国者数、つまり直通の航空路を開設するのに必要な輸送需要というのは一年間に往復二万八千人くらいが必要だというふうに言われているわけですが、日本・ネパール間の現在の出入国者数はどれくらいなのか、また今後どの程度の増加を予想されているのか、この点について御説明願いたいと思います。
  241. 池田維

    ○池田政府委員 法務省の入国管理局によりますと、一九九二年のネパールヘの邦人の入国者でございますが、これが一万人強でございます。そして、ネパールから本邦へ入国しました数が千九百八十名というようになっております。  これを五年前の状況と比較いたしますと、ネパールヘの邦人の入国者数は八五%増、それからネパールから日本に来ました人の数は九三%増ということになっておりまして、今回の日本・ネパール航空協定締結されますと、こういった両国間の人的往来あるいは経済交流の拡大ということに資することになるというように考えております。
  242. 東祥三

    ○東(祥)委員 この航空協定締結されますと、ネパール側からはロイヤル・ネパール航空が乗り入れるということを聞いております。他方、日本側で乗り入れの意思表示をしている航空企業はないというふうにお聞きしているわけですが、どのような理由で日本側は乗り入れを行わないのでしょうか。
  243. 藤野公孝

    ○藤野説明員 お答え申し上げます。  ネパールと日本の間に日本側から今乗り入れの具体的計画がない、その理由は何かというお尋ねでございますが、先ほど先生も御指摘のとおり、一定の需要というものを前提として採算性を考慮して決めるわけでございますが、日本側の企業の経営上の判断によれば、現在のところ就航を決断するに至っていないということで、具体的な運航実施計画というものを我々の方にも出してきておりません。あくまでもこれは採算面の見通しが立たないということでございます。
  244. 東祥三

    ○東(祥)委員 ODAとのかかわり合いの中でネパールを取り上げたいと思うのですが、会計検査院の平成二年度決算検査報告書によりますと、ネパールの既存上水道の改修、拡張事業約十五億円ですが、これでは故障中の取水施設を改修することはできましたが、配水管が未整備のため時間給水しかできず、「無償資金協力対象となったポンプ等機材が十分活用されていない状況である。」ということが調査によって明確になっているわけです。  報告は、主な理由として相手国の苦しい財政事情を挙げておりますが、そこまで見通した、ある意味でかゆいところに手が届くような援助だったのかどうか極めて疑問ではないのか、このように思うわけでございますが、会計検査院の勧告によれば、まさにこうした援助について、事前に十分実現性などを調査して、実施中は適切な助言をすること、あるいは実施後は相手国の自助努力を促して、必要ならば追加援助などをすべきだとしておりますけれども、本件に関してはいかが対処されているのか、その後の動きについて説明していただきたいと思うのですが。
  245. 内藤昌平

    ○内藤(昌)政府委員 本件につきましては、まず私どもは、無償資金協力を行うに先立ちまして、相手国政府と工事の分担をいたします。  私どもの無償資金協力は、先方政府が入手できない外貨で整備すべき機材等を私どもが分担しまして、現地の通貨で処理できるいわゆる施設工事、敷設工事、こういうものは通常現地政府の方で責任を持って行う、こういうことにしております。実は、世界じゅうからの要請に対して我々は外貨の部分をできるだけ負担します。現地通貨で、いわゆる現地の工事費、こういうものはできるだけ現地政府の自助努力ということで、両方相まって経済協力ということにしております。その際の先方政府の仕事の分担部分は文書によって取り決めております。したがいまして、その当時はネパール政府としても、これだけの仕事は自分たちでやりますという約束をしていただいたものでございます。  その上で、我々の分担部分は、ポンプの修復を終えまして、ポンプは完全に機能しておるわけでございます。そこで、水はたまっているのですが、その配水のところに、給水の方のネパール側の工事がまだ追いついていない。もちろん給水は行われているわけでございますが、完全にはまだ完成していないという状況でございます。  そこで私どもは、この会計検査院の報告の後に、被援助国政府が水道管の改良、延長及び貯水槽の建設を行う等、先方の負担によって工事が着実に進捗しているという報告に接しております。本年に入りましても我が方の大使館員が現地を視察しております。そういうことで、私どもは、さらに先方の自助努力により本件が所期の目的を達成できるよう引き続き注視してまいります。
  246. 東祥三

    ○東(祥)委員 日中関係について質問いたします。  外務大臣、先月の二十九日に来日した中国の銭其シン副首相兼外相と会談されまして、中国の軍の近代化問題あるいは環境問題、そしてまた安全保障問題等多岐にわたり議論をされたと伺っております。両外相は、アジア・太平洋地域の安全保障問題を協議するため、今後日中間で安全保障に関する対話を開始することに関しては合意いたしましたけれども、銭外相は、今すぐに体制づくりをするのは機が熟していない、このように指摘されたと報道されております。  アジア・太平洋地域の安全保障機構創設には慎重な考えを示していると言えると思います。中国側が安全保障機構創設に慎重なのはいかなる理由によるものなのか、どのようにお考えですか。
  247. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私との会談では、両国間でいろいろ幅広く安全保障の問題について話し合おうということでは合意をいたしました。それ以上のことについては、特に私どもの間で意見が食い違ったとは私は思っておりませんが、私との会談以外の場所で今のような御指摘の話があったのではないかというふうに私は承知をいたしております。
  248. 東祥三

    ○東(祥)委員 銭外相は定期協議の席で、九五年に終了する第三次円借款、九〇年から九五年、八千百億円ですが、その後の第四次円借款についても要請したと聞いております。外務大臣協力を約束しておりますが、政府開発援助大綱との兼ね合いの中で、どのように実施されていこうとされておられますか。
  249. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 これは協力をしましょうということは確かに申し上げたと思いますけれども、一九九五年からのことでございますから、私どもとしては検討をこれからする段階でございますので、検討をいたしましょうということで、具体的にお約束をしていることはございません。
  250. 東祥三

    ○東(祥)委員 その対話を始められる、また第四次円借款についての議論の進め方として、政府開発援助大綱というのがあるわけでございますが、これとの兼ね合いについては、大臣のお考えとして、どのように調整されていこうと考えておられますか。
  251. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 新しい五カ年計画との関連というわけではございませんけれども、私から申し上げましたのは、例えば環境問題というものについては、昨年つくりました日本の新しい政府開発援助大綱の中には、環境を破壊するようなものは困るということになっているから、少なくとも環境保全ということを考えてもらわなければ困るとか、あるいは軍備拡張、武器輸出といったような国に対しては、やはりそこは一つの問題点として考えていかなければならないということも、政府開発援助大綱の中に入っているわけであるし、そんなようなことをいろいろ申し上げたことはございます。  私としては、そういう政府開発援助大綱に基づいた形で将来ともに、これは中国だけではございません、どこの国に対してもそのように対処していかなければならないと思っております。
  252. 東祥三

    ○東(祥)委員 中国の李鵬首相は、三月十五日の全国人民代表大会における政府活動報告で、ガット、関税貿易一般協定締約国としての地位は必ず回復されなければならないと述べて、ガットの設立メンバーの一員としての復帰に強い意欲を示しておられます。  中国は、ウルグアイ・ラウンド開始直前の八六年七月にガット加盟を正式に申請しておりますが、現在に至っても加盟が認められていない。日本政府としてはこれを支持しているわけですが、現在に至っても加盟が認められていない理由はどの辺にあるのか。この点についていかがでしょうか。
  253. 林暘

    ○林(暘)政府委員 お答えいたします。  ガットに加盟いたします場合には、通常の手続といたしまして、作業部会を設けて、そこでその国の経済貿易制度を審査いたしまして、必要な条件を定め、その後、関係の関心国と関税交渉を行うという手続をいたします。  中国の場合につきましては、今御指摘のように、八七年に作業部会が設けられまして作業を進めておりましたが、いわゆる天安門事件が起こりましたことによってこの作業が一時中断をされておりました。昨年の秋以降はまたこの作業部会が再開をされて、現在作業を続けておりますけれども、中国の経済貿易規模、それから最近の市場経済化政策というようなことにかんがみまして、多くの国が非常な関心を示して、彼らの政策、関税制度その他いろいろなことについて知りたいということで、そのための作業が今続けられているという状況でございます。  また、我が国につきましては、ことしの二月に、中国と関税交渉に原則として入る用意がありますということを伝えまして、そのための検討を今進めているという状況でございます。
  254. 東祥三

    ○東(祥)委員 他方、台湾は九〇年一月、独立関税地域としてやはりガットに加盟申請しております。昨年九月、ジュネーブで加盟準備を行う作業部会が設置されてから急ピッチで作業が進んでいる、このように聞いております。関係者の間では、特に加盟に当たっての大きな障害はないとされておりますが、台湾のガット加盟の見通しについて説明していただきたいと同時に、この台湾のガット加盟申請に対して、日本政府としてはどのようなスタンスに立っているのか、お答え願いたいと思います。
  255. 林暘

    ○林(暘)政府委員 台湾につきましても、今御指摘のように、昨年の九月以降、作業部会における検討を進めております。作業はもう少しかかるかなという感じでおります。  いつごろ加盟の見通しが立つかという御質問でございますが、現在の状況でちょっといつという時期について明確なことを申し上げるのは難しいのでございますけれども、鋭意作業が進められているという状況でございます。  我が国としては、まだ台湾と関税交渉も行っておりませんので、その交渉次第という部分がございますけれども、一つ問題点といたしましては、台湾がある種の品目については対日差別をしておりますので、そういった点についてどう解決するかというような問題があろうかというふうに考えております。
  256. 東祥三

    ○東(祥)委員 台湾の李登輝総統は、四月九日開幕した国民大会における演説において、国連への加盟を積極的に推進していくことを強調されておられます。今後三年以内に国際社会がこの問題を重視するよう望むとも述べておられます。台湾の最高指導者である李総統が、三年という期限を切って国連加盟に言及することは、台湾当局の決意を内外に強くアピールしたものと考えられますが、この発言が、一つの中国の立場から、台湾国連加盟に反対する中国を一層反発させるのか、あるいは何らかのリアクションを伴うことにならなければいいなと思うのですが、なるかもしれない。明確に国連加盟の意志表示を行った台湾の姿勢を我が国としてはどのように評価されているのか、この点についてどうでしょうか。
  257. 池田維

    ○池田政府委員 李登輝総統がそういう趣旨の発言をされたということは我々承知いたしておりますが、これは台湾の内部で、台湾の重要な行事の際にそういうことを述べられたわけで、これはある意味では対内的なみずからの政治的意図の表明であろうというように受けとめているわけでございます。  ただ、日本と中国、台湾との関係につきましては、七二年の日中共同声明の枠に基づいて処理してきておりますし、今後ともそれに変わりはないということを申し添えたいと思います。
  258. 東祥三

    ○東(祥)委員 最後の質問になりますが、外務大臣、クリントン・アメリカ大統領は五月二十八日、対中国最恵国待遇の供与を一年間延長されました。一年後の再延長に条件をつける大統領令に署名したわけでございます。  クリントン大統領は、昨年の大統領選挙戦では、ブッシュ前政権の無条件対中最恵国待遇供与を強く批判しておりました。そして、人権問題などを最恵国待遇更新の条件とすべきだと主張しておりましたが、大統領当選後は、人権問題に加えて、米中貿易不均衡、武器拡散の三分野に懸念を表明していた。このすべてを最恵国待遇更新の条件とすることを示唆していたわけでございます が、クリントン大統領が自己の選挙公約を破棄してまで対中最恵国待遇更新を行ったのはいかなる理由によるものと分析しているのか。  さらにまた、きょうの新聞でございますが、先月の五月二十四日、二十五日チベットにおいては大規模な食糧暴動というのが起こっています。さらにまた、六月六日四川省においては、農民「経済負担に反発」ということで一万五千人の暴動が起こっております。こういったものが深くかかわってくるのかどうなのか、その辺も踏まえた上で政府の御答弁を願いたいと思います。
  259. 池田維

    ○池田政府委員 クリントン政権は、従来中国との関係を安全保障あるいは経済問題等の角度からどういうように評価するかということで米中関係を考えてきた面がございます。それと同時に、ただいま先生から御指摘になられましたような人権であるとかあるいは武器拡散といったような面から中国をどういうようにとらえるかということがあったと思いますが、今回のクリントン政権の決定は、やはり安全保障あるいは貿易面から見た中国の重要性ということに留意しながら、とりあえず九三年度については無条件でこれを延長する、そして九四年以降につきましては、人権の進展ぐあいを見ながら米中関係を進めていくという意味で、人権というものを一つの条件に付しているというように考えます。  ただいま御指摘のチベットあるいは四川省の動き等につきましては、特にアメリカがこの点を本件の検討の際に重要な要因として考慮したというようには聞いておりません。
  260. 東祥三

    ○東(祥)委員 ありがとうございました。
  261. 狩野勝

    ○狩野委員長代理 次に、古堅実吉君。
  262. 古堅実吉

    古堅委員 最初に、日中航空協定についてお尋ねします。  政府は、中国と南朝鮮が国交樹立したことを受けて日中航空路の短縮化を中国側に申し入れしています。しかし、中国と南朝鮮の話し合いはまだ妥結に至っていません。話し合いがつかない要因は何なのか、また早期妥結の可能性があるのか、そこらあたりを伺いたいと思います。
  263. 池田維

    ○池田政府委員 日中間で短縮ルートができますと日本にとっても大変いいということで我々も関心があるわけでございますが、韓国と中国は国交を正常化しまして、その後、昨年二回にわたって航空交渉を行っております。九月と十一月でございます。その中で私どもが聞いております問題点としましては、一つの航空路線に参入し得る航空企業の数について両国の意見が合致しない、もう一つは、管制の受け渡し地点について双方の意見が合致しないというように聞いておりまして、中韓の間でそのように新しい航空ルートの開設に合意ができておりません。したがいまして、日中間の短縮路線というものもまだ実現していない、そういうことでございます。
  264. 古堅実吉

    古堅委員 関連しまして次の質問に移らせてもらいたいと思います。  東シナ海における不審船による日本船威嚇銃撃事件ですが、三月に海上保安庁の警備救難第二課長が訪中してこの問題も話し合われました。しかし、その後も日本船等に対する発砲事件が相次いでいます。五月十一日は、尖閣諸島魚釣島北二百三十キロの公海上で、長崎県船籍の第八十八大漁丸が一時間十五分にわたって追跡をされながら三十発も被弾する、そういうひどい事件が起きて、この船は本当に命がけでジグザグしながら逃げ延びた、そういうことが報道されています。同九日、波照間島の南約百四十八キロの公海上で、催涙弾らしきものを撃ち込み、乗り込んできて、貨物を積みかえろという要求をし、それができないとわかるや中国向けに航行を指示する、そういうことなど、臨検を含めてまことにギャングそのもののような事態が相次いで発生しています。  去る日中外相会談では、そういうことなども踏まえて、日中取り締まり当局による協議が合意されたと聞いておりますけれども、その内容はどういうものであったか、またその開催時期はいつごろになるのか、そこらあたりを明らかにしてください。
  265. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私から六月中にはぜひとも協議を開始してほしいという要望をいたしました。先方からは七月でどうかという話がありまして、私は六月、向こうは七月、私の一番希望するのは大体六月の終わりということだろうと思うのでございますが、六月、七月、その辺までは合意が得られておりますので、そんなに違わないところで話し合いが行われると期待しております。
  266. 古堅実吉

    古堅委員 今の御説明によりますと、六月の末から七月の初めごろ、中間あたりをとってということになるのかなと思いますけれども、問題は、こういうことが実効性を持って日中間の話し合いになっていく、そのためにも、中国側のしかるべき省庁を含めた話し合いということまできちっとなっていくのかということについても関心を持たざるを得ません。  中国側が今回の協議で具体的な話し合いを進めていくことになったということは、海軍や公安や海関や国境警察、そういう関係省庁の調整が中国側ではとれたというふうに理解してよろしいですか。
  267. 池田維

    ○池田政府委員 ただいま外務大臣から御答弁がありましたように、近く当局間の取り締まり者の会議が開かれることになりますが、それが開かれるときには、前提といたしまして、中国側において関係省庁間の内部の調整が整ったというように考えております。したがいまして、関係省庁が一堂に会するという格好になるものと想定しております。
  268. 古堅実吉

    古堅委員 今回の協議で、中国船による発砲や威嚇、こういうことはあってはならぬという問題の核心をはっきりさせるような協議にしなくちゃいけないというふうに考えますが、協議はそういう方向に進みますか。
  269. 池田維

    ○池田政府委員 協議がそういう方向に進むというように強く期待しております。
  270. 古堅実吉

    古堅委員 日本側として、そういう方向に協議が進められるということを前提にして、実効あるものとしてどういう具体的な作業を提起したいのかというふうなことを伺いたいと思います。
  271. 池田維

    ○池田政府委員 そういう当局者間による協議が行われますと、その際には、一つはやはり日中間の連絡体制をどういうようにつくり上げるかということになると思うのです。これまで、特に中国の場合、幾つかの省庁が関係しておりまして、その間の連絡体制が必ずしも十分でない、特に中央と地方の関係が必ずしも連絡がうまくいっていないということがございました。したがいまして、向こうの体制を一つの統一的なものにしてもらって、問題があるときにそこの窓口に連絡すればすぐに意思が疎通されるというような形にする必要があると思います。これが一つだと思います。  もう一つは、再発防止のために具体的にどういう措置をとるかということでございまして、例えば向こうの中国の公船あるいは日本側の海上保安庁の船がどういうような旗をつけてどういうように取り締まりを行うかということで、外から見ましてこれが中国の公の船であるということが一目瞭然になるような形をとるというような必要性もあると思います。したがいまして、そういう意味で再発防止のためのいろいろな協議が行われるというように考えております。
  272. 古堅実吉

    古堅委員 不審船による威嚇、銃撃、臨検等の事件がすぐに解決されるかどうかは、東シナ海を航行する漁船、貨物船、そのいずれを問わず、日本船にとって命がけの問題、文字どおり死活の問題ということにまでなってまいっています。こういう協議に時間がとられればとられるほど、先ほども二つの事件についてちょっと取り上げましたが、相次いでこのような事件が起きてくるわけです。大事な漁場でありますし、避けることのできない航路でもございます。そういうところにかかわるものであるだけに、今回の協議を通じて中国に日本船を確認させるということについて、最終的な文書での協議などというものはいつ決着をつくかわかりませんが、これだけ突っ込んで中国側との協議に入りたいという準備もしているというのであれば、仮に今回一回で協議が調わないにしても、相次いでいる発砲あるいは威嚇、そういうことが一日も早くなくなるような意味からも、中国側にそういう発砲や威嚇、そういうことをやらないということをまず約束させる問題、簡単な無線や視認などの確認方法について速やかに何らかの形で合意に達して、実効あるものを進めながら、全体として両国間で必要なきちっとしたものにまで仕上げていく、そこらあたりも含めて、きちっと六月の末か七月初めのそういう協議でそれが一回でできるというのであれば大変好ましいことだと思います。  仮に、両国間における何回かの話が続くその前提として、一回目の会議とかいうふうなことになるというのであれば、一回目の会議でも、少なくとも今のようなギャングみたいなことをやらせないということについての暫定的な話し合いまでは持っていくという努力があってしかるべきだというふうに思うのですが、外務大臣の指導力をどのように発揮されるかということにもかかわると思いますが、大臣、いかがですか。     〔狩野委員長代理退席、委員長着席〕
  273. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 これは外務省だけではなくて、運輸省の海上保安庁その他関係省庁ともよく話し合いをしなければなりませんが、いずれにしても、これは中国が認めてやらせているわけではないわけでございますから、中国側も正直どういうふうにしたらいいのか、やはり日本側と同じようなことを中国側もしなければいけないだろうと思うのです。  そういう面で、いかにしてきちんとした取り締まりをし、そのような発砲をさせないようにし、臨検をさせないようにするか、臨検というか、いわゆる不法に船の中へ入ってくるようなことをさせないようにするかということについては、そういうような事態が今後は起こらないようにということで話し合いをさせていきたいと思います。
  274. 古堅実吉

    古堅委員 すべてが中国の公船であるとか中国船であるなどというふうな形で確認されているのじゃないのですが、少なくとも中国公船がそういう類似のことをやったなどということが何件か確認されているということなどをもって類推していけば、中国ではないかというふうに言っても言い過ぎではないような状況だと受けとめているわけです。  そういう意味から、今おっしゃるような、中国としても徹底させなくてはいかぬなどとかいうふうな立場があるからということで、今進んでいるところのギャングみたいなことを、徹底されるまでやむを得ぬみたいな態度になってはいかぬ。なまぬるいぞというふうな言い方もある中でのことですから、ぜひそこらあたりを含めて、さっき申されたようなことを踏まえたきちっとした話を最初から強力に展開してほしいというふうに思いますが、もう一度念を押して、そのことについて大臣の決意も伺っておきたい。
  275. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 両国ともいろいろの役所関係があるわけでございますが、いずれにしても、今申し上げましたように、そのような発砲事件が今後絶対に起きないように、あるいは不法に船の中へ侵入してくるというようなことのないように、それをしっかりとわきまえるような話をさせたいと思っております。
  276. 古堅実吉

    古堅委員 では、以上で終わります。
  277. 伊藤公介

    伊藤委員長 和田一仁君。
  278. 和田一仁

    ○和田(一)委員 私、先月の委員会でも北朝鮮の問題についてお尋ねをいたしました。  それはやはりNPT脱退を何とか撤回していただきたいものだな、こういう思いが強かったわけですけれども、池田局長も中国に行かれ、北朝鮮のNPT脱退を何とか思いとどまらせるようなお話はいろいろしていただいたと思うのですが、そのときも大臣、確かにいろいろ努力をする、こういうお話でございましたが、現にどういう努力をされてきたか。  それとあわせて、今アメリカ北朝鮮との間で最後の詰めというか、何とか撤回をということで会談を続行中だろうと思うのです。しかし、期限としてはいよいよもうぎりぎりのところへ来ている、こういう思いでどうなるかなという感じが強いのですが、今この北朝鮮アメリカとの会談の見通しはどんな見通しを持っておられるのか、どういう努力をしてこられたか、このアメリカ北朝鮮間の会談の見通しについてお伺いし、それからもう一つお聞きしたいと思います。
  279. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 銭其シン外務大臣との会談においても私からこの問題は取り上げさせていただきまして、中国にも協力を求めた次第でございます。  それで、見通してございますが、今の時間ではもう終わっていると思うのでございますが、現地時間で十日の夜まで続いていたようでございまして、今向こうは深夜でございましょうからもう終わっていると思うのでございますが、何とかいい方向にいくようにということで願っておりますが、先ほどの連絡では、こういう方向になりましたというはっきりした報告は残念ながらまだございませんでした。
  280. 和田一仁

    ○和田(一)委員 きょう閣議がございましたが、閣議でも恐らくこういったことについての話題が出たのではないかと思うのです。  さらに、その後の記者会見の中で、先ほども質問がございましたが、労働一号の試射を能登半島沖に向かってやっている事実があるのかということに対して、そういう情報をとっているという官房長官の談話のように聞いておりますが、今北朝鮮の置かれている立場というのは、我が国にとって注目をし続けなければいけないような緊張状態にあるのではないか、私はこんな思いがしてならないのです。  特に、最近の経済情勢も非常に厳しい実情のようでありまして、国民自体も非常に苦しい生活を強いられている。さらに、暴動というか、相当大規模なデモも、今までは考えられなかったような金日成体制に対する批判のデモもあるやに聞いておるのですが、外務当局として、この北朝鮮の実態についてどういう分析をされているのか。そしてこの労働一号の発射に対してどういうふうにお考えになっているか。事実関係は先ほどまだ調査中というふうに伺いましたが、どういうふうに受けとめておられるかをお聞きしたいと思うのです。
  281. 池田維

    ○池田政府委員 北朝鮮の現在置かれております状況でございますが、これは私から特に申し上げるまでもないかと思いますが、一つは、外交的に大変孤立しているということだと思います。特に、去年中国が韓国と正常化をいたしました。それから、その前にはロシアが韓国と正常化をいたしました。そういった意味で、大変に孤立しております。  それから、経済的に困窮をきわめているということは、最近いろいろなルートを通じて伝えられております。特に、最近三年間の経済不況というものはかなり深刻であるというように見ているわけでございます。しかしながら、私どもとしましては、だからといって北朝鮮が国際的にさらに孤立することなく、建設的な。パートナーとしてNPT脱退決定を取り消す、そうして建設的な役割を果たすということを期待しているわけでございます。  それから、ただいまのノドン一号という動きでございますが、これにつきましては、現在私ども防衛庁等とも連絡をとりながら調査、確認中でございますので、また明らかになりましたら御報告申し上げたいと思います。
  282. 和田一仁

    ○和田(一)委員 先ほどの御質問にもありましたけれども、NPTを脱退してもいいというぐらいの強い姿勢に出ている、国際的な孤立化も覚悟の上でそういう姿勢に出ているという裏には、人によっては、もう既に核弾頭を持っているんだという見方をする人もおるぐらいですね。それはある意味ではつくるぞという宣告であり、いや、持っているというあかしでもあるかもしれない。能力的には、自分で開発するまでにはまだ若干時間がかかるかもしれませんけれども、あるいはどこの国かわかりませんけれども、もう手に入れているのではないかという情報すらあるので、私どもにとりましては、これは看過しがたい大変大事な問題だと思っております。それに対していろいろなシミュレーションが書かれているというふうにも聞いておるのですが、それはまたゆっくりお聞きすることにいたします。  私は、最近のアジア、特に東シナ海を中心にして、このアジアが何か非常に緊迫しているような雰囲気を感じておるのですけれども、大臣、そういった情報は大臣の手元には集中してくると思うんですが、今も東シナ海における公海上の漁船への発砲事件あるいは略奪事件、こういうような不法な行為が非常に数多く出ている。それは、確認はされないけれども、中国の軍用船であるという可能性が非常に高い。私どもはアジアの平和のために最大関心を持ち、注意を払っていかなければいけないのですが、大臣のところに集まってくる情報の中で、こういう状況を大臣はどういうふうにお考えになっておられるかお聞きしたいと思います。
  283. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 正直言って、なかなか外務省も人手が足りないということもあるかと思いますけれども、私の意識としては、もう少し情報を収集し分析する力を持っていかなければならないんじゃないかという反省をいたしております。  いずれにいたしましても、今お話のありましたように、東アジアの地域においては不安定な状況がいろいろと出てきていることは事実でございまして、私としては、たまたま七月の下旬にシンガポールでASEAN拡大外相会議がございますので、それに出席する機会にこの問題をぜひ取り上げて話をしてみたい。この点については中国の銭外相も大体同じ意見だろうと思っておりますし、この東アジアを中心とする地域の、アジア全体にわたっての安全保障という問題については、ぜひ真剣に議論をしてみたいと思い、また外務省といたしましても、今後、より情報を迅速に、的確に把握をし、それをより早く、より的確に分析できる機能をもっと充実していかなければならないと思っております。
  284. 和田一仁

    ○和田(一)委員 こういった問題については、また機会があればお尋ねしたいと思います。  きょうは日中、日本・ネパール間の航空協定で一つだけお聞きして終わりたいと思いますが、従来ともいろいろ言われておりましたけれども、以遠権の問題について、このままでいいとお考えになっているのか、これはやはり改定していくべきだとお考えになっているのか。これは日米航空協定の中でこういう問題が出ておりますが、これについて一つ。  それから、ネパールですが、まず、大分長いこと待った上でやっとそういった協定ができるようになりましたが、これは成田が今のような状況であるからこそこういうことになっていると思うのですが、これは運輸省に、成田の第二期工事の見通しについて簡単にお話しを願いたいと思うのです。  それからもう一つ、ネパールのカトマンズで事故が起きましたが、この原因と、それからいわゆる近代的な保安設備というものがちょっとおくれている、こういうものに対する技術協力日本もそれに積極的に取り組もうというふうに聞いておりますが、具体的に何かそういった方策を始めたかどうか、この点についてもお尋ねをしたいと思います。
  285. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 ただいま先生指摘の三点のうち、第一点、日米航空協定絡みの以遠権の問題についてまず御答弁申し上げます。  確かに、日本アメリカの間には以遠権をめぐって解釈の相違がございます。すなわち、米側は、日米航空協定上、以遠権の行使は自由かつ無制限であるということを主張しておりますが、日本側は、以遠権は妥当なかつ適当な制約のもとに服せしめられるべきものであるという考え方をとっております。日米航空協定第十二条の趣旨に照らしてみましても、米国、日本、第三国、つまりノースウエスト航空の場合について言えば、ニューヨーク−大阪−シドニー、そういう順序の運航があります場合に、ニューヨークとシドニーとの間の輸送が主たる輸送であるべきでありまして、大阪とシドニーの間のいわゆる以遠区間の輸送というのは従たるものであるべきだ、これが我々の主張でございます。これは日本だけの主張ではなくて、実はオーストラリアですとかタイですとか、それからEC加盟諸国相互間では日本と類似の解釈がとられていると承知いたしております。現在に至っても、アメリカ側との交渉において協定の解釈についてまだ見解の一致を見ておりませんけれども、政府といたしましては、今後とも米側との交渉に毅然たる態度で臨むつもりでおります。
  286. 藤野公孝

    ○藤野説明員 お答え申し上げます。  成田の二期工事の見通しについてでございますが、先般、御承知のとおり成田空港問題シンポジウム、一応結論が出まして、白紙に戻すということになっておりまして、現在、今後の進展に向けての新たな協議の場の設定について真剣に詰めておるところでございまして、これらの平和的な話し合いによる解決を図りまして、二期施設をできるだけ早く完成すべく今後とも引き続き最大の努力をしてまいりたいと考えております。
  287. 服部則夫

    ○服部説明員 昨年のカトマンズ空港での航空機事故の調査結果につきまして簡単に御報告いたします。  事故直後、ネパール政府で設置いたしました事故調査委員会の報告書が本年四月にネパール首相に対して提出されております。現時点で我々が入手しておりますのはその概要のみでございまして、本報告書そのものはまだ入手いたしておりません。  概要によりますと、主な原因いろいろ書いてございますけれども、端的に簡単に申し上げますと、一つには操縦士の判断ミスがあった、それから操縦士とカトマンズ航空管制塔との連絡が非常にうまくいかなかった、その原因としては機材の問題等もあるでしょうし、それから言語上の問題もあったろうというようなことが指摘されております。それからまた、操縦士とコーパイロット、副操縦士との間の適切な調整が行われていなかったのではないかというような点が概要で報告されております。  以上です。
  288. 内藤昌平

    ○内藤(昌)政府委員 カトマンズ空港の安全性向上のための経済協力について御報告いたします。  私どもは、昨年十一月から累次調査団を現地に派遣しまして、これは運輸省の専門家にも加わっていただきまして、現地政府と話しております。そこで、どうやらあの空港は山に囲まれたという立地条件があるために、レーダーの設置一つをとっても相当包括的な調査が必要であるということで、本年七月からその調査をいたしまして、この際、安全性にとどまらず全面的なカトマンズ空港の整備計画のマスタープランづくりをいたします。この調査報告書は来年五月に完成する予定でございます。さらに、その上で必要な経済協力の実施を考えてまいりたいと思っております。
  289. 和田一仁

    ○和田(一)委員 時間が来ましたのでやめますが、航空協定に絡んでいろいろ思うことは、領空・領海の問題あるいは海底資源の問題、それから尖閣列島の問題等々非常にたくさんの問題が今我々の目前にあるな、こういう思いがあります。それぞれの国がそれぞれの権益のために相当意識的に動いている中で、日本はきちんとそういう国際社会の中でみずかちの権益は守るのだ、そしてそのことをきちっと主張すべきときには主張するという外交姿勢を貫いていただきたい、御要望して終わります。
  290. 伊藤公介

    伊藤委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  291. 伊藤公介

    伊藤委員長 これより両件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、航空業務に関する日本国ネパール王国との間の協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  292. 伊藤公介

    伊藤委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、日本国と中華人民共和国との間の航空運送協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  293. 伊藤公介

    伊藤委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  294. 伊藤公介

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  295. 伊藤公介

    伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十六分散会