○池田政府
委員 その他の御質問の点についてお答えを申し上げます。
最初に、最近の日中間の
協力というものが中国の政治、経済にどういう影響を与えているかということでございますが、七二年の正常化、それから七八年の友好
条約の
締結以来、日中間の
協力関係というのは飛躍的に広がりと深まりを見せているというように私ども評価いたしております。そして、特に七八年の平和友好
条約が結ばれましたころから中国は現在の改革・開放路線をとるようになったわけでございまして、この改革・開放路線に対して
日本は
協力するという姿勢をとってまいりました。そして、八〇年代に入りましてから対中円借款供与というものを始めたわけでございますが、この円借款供与につきましては、中国側もこれを非常に高く評価しておりまして、中国の民生向上とかインフラの整備等に貢献しているというように評価しております。
いずれにしましても、アジア・
太平洋におきまして大変重要なこの
日本と中国という二つの国が
協力し、平和と安定のために貢献していくということは、これは単に日中関係のみならず、アジア・
太平洋の安定のためにも大変有益であるというように
考えているわけでございます。
それから次に、最近の中国の国防力の
状況についてどういうように見ているかという御質問がございました。
確かに、中国は四つの近代化ということで国防の近代化を進めてきております。ただ、その四つの中では一番最後に置かれているということは事実でございます。最近の中国の国防予算の伸びをどういうように評価するかということにつきましては、為替ルートとかインフレ率等の要因を
考える必要があるというように
考えておりますけれども、基本的には、とりあえずのところ、中国の最近の国防力の強化がこの
地域の軍事バランスを変えるほど大きな要因にはなっていないというように
考えております。
例えばドルレートで換算して申しますと、中国の公表しております国防予算の割合というものは比較的安定しておりまして、実質的に大きな変化は来しておりません。ただし、人民元でとってみますと、一九八九年、四年前以来約二けた台の成長を示しているということはございます。ただ、もともとのレベル自体、決して高いものではない。一部の先進諸国に比べて決して高いものではないということも考慮に入れますと、当面のところは、今申し上げたようなことになろうかと思います。
ただ、現在のような
状況があと五年、十年続いていった場合の中長期的な影響というものについては、私どもとしましても、これは単に
日本だけではなくて国際的にも大変に強い
関心の的となっているわけでございまして、注意深く冷静にこれを見守っていきたいというように
考えております。
同時に、この間の日中外相会談で
武藤外務大臣の方からも提案されまして、中国側も原則的に受けましたけれども、日中間で安全保障についての対話を深めていく。つまり、双方がどういう意図によってそういう軍の近代化ということを図っているのかということで、お互いの不要な誤解を避けるためにそういう政策対話を深めていこうということで合意ができたわけでございまして、そういった面で、今後日中間におきましてより政策の透明性を図るような努力というものが進められていくことになりました。それから最後に、日中間の今後の友好関係の拡大について政府としてどういうように取り組んでいくのかという御質問でございました。
私どもとしましては、まず一つは日中関係をより成熟した関係に持っていく。特に、これまでは過去の問題に縛られることも決して少なくはなかったわけでありますけれども、やはり未来志向に基づいてより成熟した関係に持っていきたいというのが一つでございます。
もう一つは、日中関係は単に
日本と中国の関係だけではなくて、アジア・
太平洋地域の問題、例えばカンボジアの問題であるとか朝鮮半島の問題であるとか、そういった問題について日中間で十分に
意見交換をし、できる分野については
協力していくといったような、そういう二国間を超えたような関係につくっていきたいというように
考えております。
それからもう一つは、やはり中国の現在の改革・開放路線というものを
日本としては引き続き支援していきたいというように
考えております。