○和田(一)
委員 新政権ができて、経済援助をしてまた再び騒乱が起きるようなことがあったのでは援助も役に立たないので、安定した政権ができることが望ましいわけですが、これは
選挙の結果を見ないと何とも言えないと思うので、またの
機会にいたします。
きょうは、
条約についてはもうきようでおしまいということでずっと続けてまいりましたので、私にとりましても最後の
質問の
機会に、確認しておきたい点を何点か御
質問させていただきます。
現在、
児童の人権は、
世界人権宣言であるとか国際人権規約等によって規定され、守られているわけでございますけれ
ども、実態としては大人の
権利の陰に隠れた状態になっているのではないかと思います。我々大人の
社会が引き起こす
戦争や
紛争、こういった
混乱や、あるいは経済的政策、施策の失敗、こういうものによって、一番被害を受けてしまうのが、
社会的に弱い立場にあります年寄りや女性あるいは
児童、
子供であるというふうに思います。特に、ソマリアとかボスニア等において
子供たちが置かれている現状というものは極めて悲惨な
状況である、こういうふうに思うのでございます。
一部発展途上国にあって恒常化している飢餓の問題、
内戦がある国における難民の問題、
子供を
戦争に駆り出す少年兵の問題、親による
子供への暴力、性的虐待、それから識字率がない、低い、あるいはストリートチルドレンが出る、
子供をめぐる人身売買や麻薬その他の薬物による健康の阻害であるとか、
世界全体の
児童、
子供を取り巻くこういったような
状況というものは相当深刻なものがあると思っております。一方、人口は急激にふえつつある、それもやはりそういった国々において急速にふえている、こういう実態ではないかと思います。
そういうことを考えますと、翻ってみて、
我が国の
子供の置かれている
状況というものは、生存が侵されるというようなことは極めてまれではないか、ほとんどないと言ってもいいように、そういった国々と比較すれば極めて恵まれているというふうに感じます。しかし、恵まれた
社会の中にあっても、
子供をめぐる問題というのは絶無ではありません。いろいろな問題がございまして、この審議の
過程でそれらのことが
一つ一つ指摘されてきたわけでございます。いじめの問題、体罰の問題、あるいは
学校へ行きたくないという
子供、非行の
子供等々、
教育関係だけでもたくさんの問題がございました。
私は、家庭環境や自然環境の改善や、
子供を取り巻くいろいろな課題について、やはり解決していくべき問題があると思うのでございます。こういった観点から、国際的な
協力によって、困難な
状況にある
子供たちの生存権であるとか人格権、こういったものを大事にしようという
条約の
趣旨を評価して、やはり早く批准しておく必要がある、こういう立場でおるわけでございますが、その立場にあって、以下
幾つかお聞きしたいと思います。
第一に、十二条の
児童の意思表明権についてお尋ねを申し上げます。
この
条約で画期的なのが十二条に書かれております
児童の
意見表明権の問題であろうと思いますが、この意思表明権についての
政府の
解釈について、改めて確認を込めて御
質問したいわけです。
今の行き過ぎた管理
教育であるとか、それから派生すると言われているいろいろな不合理な校則や
学校運営上の問題、こういう問題を
指摘して、それを是正する手段として
児童あるいは生徒に
権利として発言の場を与えるものだ、こういう決めつけの
解釈ではないのではないか、こう私は思うのですね。原則として、この条文が規定するように、
自分の
意見を形成する能力のある
子供の
意見は、その年齢や成熟度に応じて配慮されればよい。その
権利だけを大きく取り上げて前面に押し出すということではないと思います。例えば
学校教育の場を考えてみましても、
学校には
学校運営上の
ルールがあり、校則もあり、それは改善の余地があれば、それなりの手続を通して当事者が次第次第に不断の
努力によって改善すればよい、また、改善するのが当然だと思います。
学校と
児童生徒の
関係というのは、一般
社会における契約
関係、いわゆる対等の契約
関係、
権利義務の
関係とは違う、こう私は思っております。
児童生徒というものは
社会的には当然まだ未熟ではございまして、同時に
教育を受けるという立場にあるわけでございまして、
教育を受ける者にしては、よりよい
教育効果を上げるためには懲戒する場合もある、こういうことを念頭に置くことは十分必要ではないか、こう思います。いたずらに
児童の
権利だけを強調してはいけないのではないかと思うのであります。
この点について、我々一般
社会における法律的な
権利義務
関係と同じようなものであるというふうに割り切れないと考えておりますけれ
ども、十二条のこの
児童の
意見表明権についての
政府の見解、そしてそれをどう
広報していくか、その点についてお尋ねをしたいと思います。