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武藤国務大臣 まず最初に、大変お褒めの言葉をいただきましたけれ
ども、微力でございますのでよろしく御
指導のほどをお願い申し上げます。
まず、今本
会議でも出てまいりましたウルグアイ・ラウンドの農業交渉における米の問題でございますが、私は、
国会決議の趣旨を体してというのは、実は通産
大臣のときもそう思っておりました。実はあのときに、今は関税化の問題が大きな問題となってまいっておりますけれ
ども、三年前は関税化の問題、必ずしもやらなければいけないと私は考えておりませんでして、たまたまあのころはミニマムアクセスの方がどちらかというと大きな問題として出てきておりまして、アメリカのヒルズあるいはヤイター、そういった
方々との交渉の中で――私は今は
外務大臣ですから、大変言葉を慎まなきゃならぬのでございますが、やはり内外に与える影響が通産
大臣と比べますとより大きいものでございますから、私は慎重に対処していきたいと思っております。
あの当時申し上げておりましたことは、結局アメリカがちょうどウエーバーをやっておりまして、ウエーバーを外すかどうかという話があったときに、おまえの方もウエーバーを外すのならおれの方も今のように二万トンか三万トンだけというわけにいかないだろうな、こういう話を実はしたことがありまして、これが、ミニマムアクセスをある程度受け入れるべきではないか、こういうふうに報道されたわけでございます。
最近は、どうもこのミニマムアクセスの方が小さくなってしまいまして、関税化か関税化じゃないかというような議論の方が高まっておりまして、関税化という問題になりますと、これはやはり慎重に対処をしていかないといけない。
日本の
立場からまいりますと、最初、例えば七〇〇%なり六〇〇%でも、私がヒルズとやっておりましたときも最終的には五〇%というような話が出ていたわけでございます。やはり今
日本の農業、万が一にでも近い将来に七〇〇からだんだん下がっていって五〇まで持っていかれちゃったらこれは大変だ、こんな感じで、私は関税化については実は非常に消極的でございます。そういう
意味合いから申しまして、現時点においては、
国会決議を踏まえてというのは、十分趣旨を体してというのは言えるという
立場にありまして、私はそういうことを申し上げているわけでございます。
いずれにいたしましてもこの問題は、
日本の問題としては大変難しい問題であることはよく承知をいたしておりますが、慎重な
対応を今後はやってまいりたいと思っております。
それから、二番目のロシアとの問題でございますけれ
ども、政経不可分、最近は拡大均衡と言っておりますが、私はこの
原則を変えるつもりは全くございません。ただ、ロシア支援に当たりまして、これがあるから一切支援をしないとか、そういう問題ではなくて、やはりこの問題はこの問題としてあくまで、だから支援をするにも限界があるよ、やはり
日本の国民の気持ちを考えれば、北方領土の問題というものを無視してあなたのところを何でも応援するわけにはいかないのだということを私は今後もよくロシアとの間においては申し上げてまいりたいと思っております。
しかし、それがあるからいこじに
日本だけが、例えばG7が今度ありますけれ
ども、その中で
日本だけが一切
協力を、今までよりも非常に消極的だ、こんなような受けとめ方をすることも、またこれは問題ではなかろうか。その辺は、あくまで拡大均衡の
原則は踏まえながら、
対応というものはいろいろ変化があってもやむを得ないことは出てくるのではないかというふうに私は考えております。
それから、最後の問題のPKOでございますけれ
ども、これは午前中にも御
質問にお答えをいたしておりますが、私は、PKFの凍結解除について、何もいつまでも凍結解除をすべきではないという考え方ではございません。ただ、あの法案が成立をいたしますときには非常な混乱の中で、国論がどちらかというと二分するに近いような形で成立をいたしておりますので、PKOの法律というものに対しては、もっともっと国民が理解をしていただかなきゃいけないんじゃないだろうか。そして、国民の理解があれば、なぜ凍結をこういうときには解除しなきゃいけないのかという話も含めて、国民に御理解を求め、国民が御理解いただければそのときに凍結を解除していくというのが本当の筋ではないかな。やはり政治というものは世論と離れて行われてはいけないし、
外交はいわんや国民と離れて行われてはいけない、こういう考え方に立って私は申し上げておるわけでございます。