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秋葉委員 実はだんだん年をとってくるとこういうこととは縁遠くなってきますから、私も同じカテゴリーに入るのですが、若い
研究者の場合、しかも独身の
研究者あるいは技術者が多い場合には、こういうことで一番問題になるのはやはり結婚の問題だと思います。あるいは男女の交際といいますか、セックスも含めてそういった問題ではないかというふうに思います。実はこの意識
調査の中には、そういった問題が
一つも触れられていない。それはやはり意識
調査としてはおかしいんじゃないか。健康の問題について、体調がすぐれているかどうかなどということももちろん大事です。しかしながら、例えば結婚適齢期になって、結婚する
相手が周りにいるのかどうか。あるいは仮にいたとしても、ああいう暗い
研究者なんというのは嫌だというふうに周りの人がほとんど
考えている。そういう状況だったら、やはりこれは環境としてはよくないということをおわかりいただけると思いますけれ
ども、そういった問題があるということについてすらこの意識
調査には上ってきていない。恐らくそのことは
科学技術行政の中には
考えられていない問題ではないか、そんな気がいたします。しかし、やはりそれは大事な問題ではないか。そういうふうに
考えているのは、実は私だけではありません。
これはいつもお送りいただいていますが、「
科学技術ジャーナル」という
科学技術庁で発行しているジャーナルがあります。いつもきれいなカラー写真がたくさんあって、目には楽しいのですけれ
ども、
内容はすばらしいときもあるし、それほどでもないときもありますが、たまたま最新号にこの問題について二つ関連するエッセーが出ていました。
一つは、共同通信のつくば通信部の大島さんという、これは女性記者ですが、「
科学技術のイメージアップと結婚難」ということで、まさにこの意識
調査で当然出てくるべきであったようなことをその
現場にいる記者の
立場から非常に明確に書いています。さらに、なぜそういうことになるのかという長期的な、教育的な問題と関連して、これは
科学技術政策研究所の遠藤さんという特別
研究員が、「理工系は社交ベタで読み書き嫌いでいいのか」という、これも
科学技術庁で行った理工科系志望の若い人
たちの好き嫌いを調べた結果ですけれ
ども、その分析結果を報告しています。
ですから、具体的にはやはりどこかで
問題提起はされているのです。だけれ
ども、その
問題提起のされ方というのが、これはジャーナルが出たばかりですから、この結果を見てすぐということは無理ですからそのことを申し上げているわけじゃないのですが、これに限らず、いろいろな形で
問題提起がされている。先ほどから申し上げているのは、この
委員会で
発言する
内容ももちろん
考えていただきたい。だけれ
ども、こういうさまざまな形で、いろいろなところで
問題提起をされている事柄をやはり十分
考えていただきたい。
ただし、そこで私が申し上げているのは、私は
科学技術委員会の
委員だから、私の申し上げていることをまず優先して聞いて、ほかの人のことは聞かなくてもいいよということを申し上げているわけじゃないのです。限界があるわけですから、有限の時間の中でどうしてもこれはやらなくてはいけないということもあるし、あるいはこれはもうちょっと待っていてもいいかなという問題も恐
らくあるはずです。私が仮に
問題提起をしても、それは優先度の高い問題ではないという判断はあり得るわけです。そんな問題まで私が言ったからということで、
委員会の
発言を先に取り上げるということを言っているのじゃないのです。ただ、私が申し上げているのは、こういうふうに例えば「
科学技術ジャーナル」に非常に大事な
問題提起がある、この
委員会でも同じように大事な
問題提起がある、両方はどうしてもできない、そういう状況のときに、じゃ
科学技術庁としては、
政策として一体どういう基準でもってどれを選んでいるのですかということです。
ですから、さっきの
特許権の問題にしても、私は大事な問題だと思っています。しかしながら、それ以上に今
科学技術庁としてはどうしてもやらなくてはいけない問題があるんだ。例えば資源
エネルギーの開発というのは物すごく大事なんだ、だからそのために全庁取り上げて一年間やりました、だから特許の問題は残念ながら先送りになったんだと、そういう説明はあり得ると思います。恐らくそういった
説得力のある説明があれば、私は
特許権の問題についても納得すると思います。しかしながら、今までの説明ではそういった方針が、大方針がない。
科学技術政策についての全体像が描かれていない。その中ですべての
発言について、いろいろな問題について、重い問題ですというふうに取り上げていますしょっちゅう
考えています、そういう
答えはある。しかしながら、
現実に
一つ一つ伺ってみると、どの問題についてもほとんど何もやっていない。それでは
日本の
科学技術が本当にこれから直面しなくてはいけない世界的な大問題に取り組めないのじゃないか、そういう危惧を覚えます。
これは、
科学技術庁の問題だけではなくて、
日本の政治全体の問題だと思いますけれ
ども、ともかく
日本の政治全体を変えるには、例えば
科学技術庁の中でも、新しい
方向で政治をやっていこうよという声が上がり、自民党の中でも社会党の中でも同じような声が上がり、あるいは大蔵省の中でも同じような声が上がって、全体として大きな世論ができ上がるときに、政治が新しい
方向に向かうと思います。そういう
意味で、私はこの場をかりてもこういう
問題提起をしているわけです。
そこで、先日も伺いましたけれ
ども、
科学技術庁としての
政策の全体像、一体
科学技術庁の主目的は何なのか、どういう
方向に
日本の
科学技術をこれから引っ張っていこうとしているのか、二十一世紀に非常に重要な問題が山積しているけれ
ども、そういった問題にどういうふうに取り組もうとしているのか、改めてこの問題について長官に伺いたいと思います。
それから、次官にも。政務次官は、これまではいわば
科学技術委員として、我々の同僚として、こういった問題をこちらの側からいろいろと
考えられ、
質問もされ、
政策立案にも携わってこられたわけですけれ
ども、今度は
科学技術庁の内側。
立場が変わって、ではどうなんだ、事によったら我々の
立場から見えないような
科学技術政策についての全体像、その策定過程についての問題なんていうのをお感じになっているかもしれない。
そういった
意味で、長官とそれから政務次官、お二人のこの問題についての基本的なところ、哲学といいますか、そのあたりを伺いたいと思います。