○秋葉
委員 調整をしなくてはいけないということもわかりますし、
科学技術庁がそれに対するたたき台を恐らくおつくりになっているんだろうということも、
科学技術庁の任務として当然なわけですから、それはわかります。私が伺っているのは、そのたたき台をつくる段階で、これは大事じゃないか、これはそれほどでもというような濃淡をつけるに当たって、それをどういうふうにやっているんですかということを伺っているわけです。
つまり、科学技術だけではありませんけれ
ども、日本の政治がわかりにくい
一つの理由は、そういった目に見えた形で、具体的にどういう
政策を推進しているのか、あるいは非常に大事だと言われていることに対して、それほど大事ではないというような
政策がどういうふうに扱われているのか、それがだれの目にもはっきりと簡単にわかるようなシステムになっていないというところが非常に問題だと思っているわけです。
つまり、非常に悪い言い方をすれば、行き当たりばったり、あるいは極端な場合には、力のある政治家が文句を言うとそれが突然重要な問題になってしまう。そして、これは
科学技術庁がそういうことをやっているかどうかは別問題として、抽象的なレベルでは、それが今度は重点
政策としてたたき台になって、各省間の調整でもって具体的に実行されるというような形になっている。それを批判しようとする側としては、批判をするにも批判に耐える構造がないわけです。つまり、だれか力のある人がやっちゃったんだからもうしょうがないでしょうということで、力のない側としてはあれよあれよという間にそれを見ているか、あるいは全く違った次元で、例えば物理的な抵抗をやるとか、ここで
委員長席を占拠してしまうとか、そういう非常に原始的なやり方しかなくなってしまうような傾向があるわけです。
それをきちんとした議論の場にのせるためには、少なくとも現実に
政策を動かしている側の方で、どういうプロセスでどういうことを重要だと考えて決定を行っているのですよということを公開してくださらない限り、私
たちは言葉によってそれに対して対抗できない。つまり、どこのところが非常におかしいから直してくださいと各事象については言えるけれ
ども、その事象を統括するような原理原則が示されていない限り、原理原則ということは
政策ですけれ
ども、
政策レベルの議論はできないということなんです。私は、ぜひ
政策レベルの議論をしたいのです。ですから、それに関してはわかるような形で
政策を出していただきたい。
一例を申し上げますと、これは去年も同じ
委員会で言ったことですからまた繰り返しになりますけれ
ども、例えば科学技術
開発関連経費ですか、それを早期に二倍にするということがうたわれています。それでは一体その予算をどういうふうに配分していくのかというのは、当然これは
政策の重要な柱になるわけです。では、基礎科学を重視するということで、基礎科学の、しかも国が予算を執行している部門で見てみますと、これは国立大学の
研究ということが非常に大事になってくるわけです。そうすると、当然そこで考えられるのは、それは大事なところもある。大事じゃないところもある。大事じゃないと言われた人、あるいは
研究というのは確かに不満を持つということはわかりますけれ
ども、それは置いておいて、大事なところがあったらそれに当然重点的に金を回すのが私は
政策だと思いますけれ
ども、その際、
基礎研究に力を入れるということを言い、国立大学の
研究がその
基礎研究の大部分を担っているとしたら、総体として二倍になるのであれば、国立大学の
研究費だけは例えば五年の間に三倍にしましょう、あるいは五倍にしましょうという
政策が出てきてもちっともおかしくない。
ですから、そういういことをおやりになるおつもりはあるのですかというのを昨年の
委員会で聞きました。それに対する答えは、今と同じように非常にあやふやなもので、二倍より上になるかもしれないけれ
ども、どうも二倍より上にはならないというような答えでした。最終的にそうなると、これは数学的に考えればわかることですけれ
ども、国立大学の
基礎研究における投資が二倍以下になってしまえば、応用、基礎という大まかな分け方をすれば、それは応用
研究費の方が二倍以上になるということです。そっちの方に重きを置いているというふうに諸外国はとるわけです。実は、そのこと自体が命日本が
基礎研究ただ乗り論というような形で批判をされていることだ。
だから、もし本当にやる気があるのだったら、当然これは論理的な必然として、国立大学におけける
基礎研究費というものを例えば五年間の間にきちんと三倍にいたしますということが
政策として出てこないとおかしい。そういうことが出てこないで、だけれ
ども基礎研究は一生懸命やりますよ、しかも予算的措置も考えてあるんだ、できるだけ早期に二倍にするんだというようなことを言われても、まるっきり説得力がないということを昨年私は申し上げました。一年間猶予があったわけです。この一年の間に、私が問題提起をしたことに関して少しはお考えいただけたのでしょうか。