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1993-06-11 第126回国会 衆議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年六月十一日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 森田  一君    理事 今枝 敬雄君 理事 今津  寛君    理事 亀井 善之君 理事 佐藤 敬夫君    理事 村田 吉隆君 理事 緒方 克陽君    理事 常松 裕志君 理事 東  順治君       衛藤 晟一君    小里 貞利君       坂本 剛二君    関谷 勝嗣君       二階 俊博君    橋本龍太郎君       平泉  渉君    古屋 圭司君       星野 行男君    増子 輝彦君       宮崎 茂一君    阿部 昭吾君       小林 恒人君    左近 正男君       関山 信之君    細川 律夫君       山中 末治君    浅井 美幸君       西中  清君    佐藤 祐弘君       高木 義明君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 越智 伊平君  出席政府委員         運輸大臣官房長 豊田  実君         運輸省運輸政策 大塚 秀夫君         局長         運輸省鉄道局長 秦野  裕君         運輸省自動車交 土坂 泰敏君         通局長         運輸省自動車交         通局技術安全部 堀込 徳年君         長         運輸省海上交通 浅見 喜紀君         局長         運輸省航空局長 松尾 道彦君         運輸省航空局技 松本 健治君         術部長  委員外出席者         警察庁刑事局暴         力団対策部暴力 上田 正文君         団対策第二課長         警察庁交通局運 片山 晴雄君         転免許課長         総務庁長官官房 福井 良次君         参事官         労働省職業安定         局建設・港湾対 井原 文孝君         策室長         参  考  人         (日本国有鉄道 西村 康雄君         精算事業団理事         長)         参  考  人         (日本国有鉄道 荘司 晄夫君         精算事業団理         事)         参  考  人         (日本国有鉄道 池田  本君         精算事業団理         事)         参  考  人         (日本国有鉄道 佐野  實君         精算事業団理         事)         運輸委員会調査 長岡日出雄君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 五月十九日  辞任         補欠選任   衛藤 晟一君     佐藤 守良君   浅井 美幸君     坂井 弘一君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 守良君     衛藤 晟一君   坂井 弘一君     浅井 美幸君     ――――――――――――― 五月十八日  整備新幹線建設に伴う在来線存続に関する  請願山中邦紀紹介)(第二一六五号)  同(小野信一紹介)(第二二九四号) 同月二十五日  整備新幹線建設に伴う在来線存続に関する  請願佐藤祐弘紹介)(第二三四三号) 同月二十八日  公共交通機関鉄道駅舎バス等アクセス  に対しバリアフリー完全実施に関する請願  (石橋大吉紹介)(第二六三七号)  同(岩田順介紹介)(第二六三八号)  同(遠藤登紹介)(第二六三九号)  同(加藤繁秋紹介)(第二六四〇号)  同(田口健二紹介)(第二六四一号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第二八六〇号) 六月一日  公共交通機関鉄道駅舎バス等アクセス  に対しバリアフリー完全実施に関する請願  (小里貞利紹介)(第三〇四一号)  同(奥田敬和紹介)(第三〇四二号)  同(木村守男紹介)(第三〇四三号)  同(住博司紹介)(第三〇四四号)  同(田邉國男紹介)(第三〇四五号)  同(保利耕輔君紹介)(第三〇四六号)  同(前田武志紹介)(第三〇四七号)  同(宮里松正紹介)(第三〇四八号) 同月四日  新幹線公害に関する請願山中邦紀紹介)(  第三二五六号)  公共交通機関鉄道駅舎バス等アクセス  に対しバリアフリー完全実施に関する請願  (石破茂紹介)(第三二五七号)  同(渡辺美智雄紹介)(第三二五八号) 同月七日  地方バス路線維持確保に関する請願清水勇  君紹介)(第三三四八号)  北陸新幹線長野以北建設促進に関する請願  (清水勇紹介)(第三三四九号)  新幹線公害に関する請願沢藤礼次郎紹介)  (第三三五〇号) 同月八日  地方バス路線維持確保に関する請願串原義  直君紹介)(第三四六二号)  同(北沢清功紹介)(第三五一〇号)  同(木島日出夫紹介)(第三六六一号)  同(堀込征雄紹介)(第三六六二号)  北陸新幹線長野以北建設促進に関する請願  (串原義直紹介)(第三四六三号)  同(北沢清功紹介)(第三五一一号)  同(井出正一紹介)(第三五九九号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第三六〇〇号)  同(小坂憲次紹介)(第三六〇一号)  同(田中秀征紹介)(第三六〇二号)  同(羽田孜紹介)(第三六〇三号)  同(宮下創平紹介)(第三六〇四号)  同(村井仁紹介)(第三六〇五号)  同(木島日出夫紹介)(第三六六三号)  同(堀込征雄紹介)(第三六六四号)  整備新幹線建設に伴う在来線存続に関する請  願(木間章紹介)(第三五九七号)  公共交通機関鉄道駅舎バス等アクセス  に対しバリアフリー完全実施に関する請願  (石井一紹介)(第三五九八号) 同月十日  公共交通機関鉄道駅舎バス等アクセス  に対しバリアフリー完全実施に関する請願  (米沢隆紹介)(第三七二二号)  同(小岩井清紹介)(第三九三九号)  同(岩村卯一郎紹介)(第四一二九号)  同(小渕恵三紹介)(第四一三〇号)  同(亀井静香紹介)(第四一三一号)  同(河村建夫紹介)(第四一三二号)  同(中川昭一紹介)(第四一三三号)  同(東力君紹介)(第四一三四号)  同(宮下創平紹介)(第四一三五号)  同(山本拓紹介)(第四一三六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十八日  北海道新幹線早期着工に関する陳情書外一件  (第二四一号)  空港への軌道系アクセス整備に対する支援措  置に関する陳情書  (第二四二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  陸運に関する件  海運に関する件  航空に関する件      ――――◇―――――
  2. 森田一

    森田委員長 これより会議を開きます。  陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  陸運に関する件について、本日、参考人として日本国有鉄道清算事業団理事長西村康雄君、同理事荘司晄夫君、池田本君及び佐野貴君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森田一

    森田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————
  4. 森田一

    森田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。亀井善之君。
  5. 亀井善之

    亀井(善)委員 行政運営における公正の確保透明性向上を図る、こういうような見地から、先般行政手続法が国会に提出をされたわけでもあります。国民権利利益を保護しよう、こういうねらいでもあるわけでもございます。政治のあり方とともに行政あり方が問われておる今日、これは十分考えていかなければならないことではなかろうか、このように考えるものでございます。  今回の行政手続法案及び整備法では、適用除外された処分があるわけでありますが、まず、運輸省関係ではどのような処分がどのような考え方によって適用除外をされておるのか、この点についてお伺いをいたしたいと存じます。
  6. 豊田実

    豊田政府委員 お答えいたします。  行政手続法案につきましては、申請に対する処分、いわゆる許認可について審査基準設定したり標準処理期間設定、公表というようなもの、あるいは不利益処分について聴聞、弁明の手続というようなことについて一般的なルール定めようというものでございますが、行政処分の性格によっては、この一般的なルールを適用することが不適切な分野があるわけでございます。  私ども運輸行政について申し上げますと、既に特定行政分野において独自の手続体系が形成されているもの、例えば私どもでいいますと海難審判法定め海難審判を経て行う処分、勧告というようなもので準司法的手続に基づき行われる処分、それからもう一つは、一定の権利、事実関係に関し形式的な審査権限のみに基づき行われる処分、例えば自動車登録であるとか船舶登録というようなもの、さらには行政処分特殊性が認められるというもので、例えば外国等によって本邦の外航船舶運航事業者に対する不利益な取り扱いに対して、差別した国の船社に対して対抗措置をするというようなもの、あるいは現場における処分航空機に対して航空交通の指示を現場で行っておるわけですが、そういうような処分、あるいは審議会において事前手続が行われる処分、私ども関係でいいますと運輸審議会に諮問して行われるような不利益処分、これらについては今回の一般的なルール適用除外するということになっております。
  7. 亀井善之

    亀井(善)委員 今お伺いいたします適用除外事項、私ども考えても当然のことではなかろうか、特に運輸省関係につきましては、いろいろの細かい、また対外的なもの、また初歩的なものもあるわけでもございます。これは理解するものでもございます。  そこで、行政手続法が施行された場合、運輸行政が具体的にどのような変化をいたすものか。特に運輸省許認可が多い、こう言われておるわけでございまして、特に許認可申請に対する処分について少し御説明をいただきたいと思います。
  8. 豊田実

    豊田政府委員 お答えいたします。  具体的な処分について私ども心がけることで、申請者の方が非常に大きな関心を持っていることは二つあると思うのです。一つは、申請に対してどういう物差しで、審査基準処分されるのかということ、それからもう一つは、いつごろまでに処分の結果が出るのかという二つが大きな関心事といいますか、事柄だと思います。  今回、この一般的なルールに基づきまして私ども現在の体制を見直すわけですが、法令定めというのは、例えば許認可審査基準にしても法令定めというのは対象が非常にいろいろなケースがありますので、どうしても抽象的になってしまうというようなことで、その辺につきましてはむしろ分野ごとに具体的な基準を設ける。例えばタクシーの分野でいいますと、ある地区の最低車両数を何両と定め、それを公表するとか、あるいはそれに必要な車庫が、所要の車庫が必要であるとかいうような具体的なケースについて、それぞれ基準をつくり公表するということを考えております。もちろん、既にそういうある種の分野では関係者にその辺の基準を、物差しをお示ししておりますが、その辺、運輸行政全般にわたって再度検討する必要があると思います。  それから、もう一つ処理期間でございます。こちらについても、一日も早く短期間で処理するという気持ちはあるわけですが、やはり行政内容のいろいろ幅がありますので、一週間で済むケースもありますし、一月近くかかるケースもある。いずれにしましても、それぞれについて標準的な処理期間定めて、それを公表して申請者が目安を立てやすくするということが必要だと思います。  以上のようなことで、行政手続法の運用によりまして、私ども運輸行政の公正の確保透明性向上をより図ってまいりたいと思っております。
  9. 亀井善之

    亀井(善)委員 ぜひその辺、特に標準処理期間設定であるとか、あるいは許認可を拒否する場合の理由であるとか、やはりこういう公正の確保透明性向上、そして国民権利利益の保護、こういう観点からなされるわけでございまして、とかくそういう面では従前、時間がわからない、あるいは申請を出してもその辺の見通しがなかなか立たない、こういう指摘を受けておるわけでもございます。ぜひそういう面でも十分留意をして、今後の対応というものをしっかりやっていただきたい、このようにお願いを申し上げる次第でございます。  そこで、今も申し上げたわけですが、行政手続法行政運営における公正の確保透明性向上、こういうための重要な法律であるわけでもございます。この目的という中で、大臣はどのようにお考えになっているか、ひとつ大臣のお考えをこの辺で伺っておきたいと思います。
  10. 越智伊平

    越智国務大臣 お説のように、行政手続法が今審議中でありますが、公正の確保あるいは透明性、こうした問題でできるだけ早く成立することを希望いたしておる次第であります。  今官房長からいろいろお話を申し上げましたが、行政手続のいろいろの面で国民の側からいいますと大変わかりにくい、また、非常に長期間かかっておる、同じような申請を五年も六年も七年も同じように毎年出しておるようなものもございます。こういうものについては、できるだけ公正の確保透明性向上、こういった見地から、この法律が早く成立することをもちろん望んでおるわけでございますが、運輸省としては前倒しでやっていく、こういうふうに思っております。ぜひこういうことを、国民の側からいうとわかりやすくしたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  11. 亀井善之

    亀井(善)委員 この行政手続法の施行に伴いまして、関係法律整備、こういうことで、用語の問題等々いろいろ多岐にわたるわけでございますが、運輸省関係でも、三百六十一の法律の中で四十三の法律については必要な措置を講ずる、こういうようなことになるわけでもございます。ぜひそのような整備がなされて目的が達成されますことを重ねて要望するわけでもございます。  そこで、今大臣からも、この行政手続法前倒し実施につきましてお話がありました。許認可の二割削減を、先般このような発表もされたわけでございます。ぜひこの際、許認可の二割削減、こういうことから、この具体的なスケジュールあるいは進め方、またどのような許認可廃止しようとしておるのか、大臣の御決意を含めて、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  12. 越智伊平

    越智国務大臣 許認可削減につきましては、事務次官を本部長として、許認可事務改革推進本部を設置いたしました。そして、今運輸省で持っております許認可事項は千九百六十六件あるわけでありますが、これを二割、二〇%削減、その一〇%は今年度内に削減をしよう、あとの一〇%は三年間に削減しよう、こういう計画をいたしております。主として、安全に関するような問題、これは残しまして、その他の問題について十分論議をして、早くできるだけの廃止をいたしたい、こういうふうに思っております。  しかし、二〇%の削減というのは実際は大変な問題であります。思い切ってやらなければできない、こういうふうに思いまして、各局でこの十月までにひとつ廃止できるものは廃止するということで申し出をするように指令をいたしております。是が非でも今年度の一〇%、これをとりあえず実現して、あと三年間で一〇%、こういう目標でやっていきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  13. 亀井善之

    亀井(善)委員 十月までに一割、さらに三年間、今お話しのとおり、十月といっても非常に時間的な制約もあるわけでございまして、なかなか難しいことではなかろうか、このように考えます。そういう中で、今までずっと役所としてもいろいろやってきておるわけでもございますが、今御決意を伺ったわけでございますけれども、それが達成できますようにお願いを申し上げる次第でございます。  許認可削減し、いわゆる許認可行政の姿勢から脱却するというのは大変すばらしいことではなかろうか。ぜひ大臣の強力な指揮のもとに、重ねてその達成というものを切望するものでもございます。また、役所の機構等々、それなりにかつて整備をなされてきておるところでもございまして、ここでいわゆる許認可行政、こういうものから脱却するということになれば、政策的な誘導行政あるいはまたサービス行政、こういう重要な意義を持ってくるのではなかろうか。  こういう中で、行政改革のもとに、運輸省誘導行政サービス行政の重要な一翼を担っております船舶整備公団あるいは国際観光振興会、これが行政改革審議会廃止対象に挙がっている、このように聞き及んでおるわけでございます。私は、先ほど来の大臣の話、あるいはまた運輸省のそのような行政、これをこれから進めていく、こういう面では大変遺憾なことではなかろうか、このように考えております。  御承知のように、これらの二つ法人は、零細な内航海運離島航路、あるいはまた外国人観光客といった、必ずしも国民全体にはなじみがあるという分野ではないわけでございます。しかし、国民生活を豊かにし、また国際的な相互理解を進める上におきましても、大変頑張っている法人ではなかろうか。  特に、船舶整備公団設立の趣旨、先ほど申し上げました、事業者に協力して老朽船代替建造を、一般の金融方式と異なる共有建造方式を推進していこう。そしてさらに、中小零細業者であるわけでございまして、なかなか担保を提供する、土地だとかそういうものがない業界でありまして、この公団が分担した費用については担保を要しない、こういうわけでございまして、資金の調達能力に乏しい海運業者も、船舶建造がこの面から可能になるわけでもございます。また、船舶建造技術支援、こういうものが受けられることから、今後とも我が国経済発展国民生活の充実のためには、果たすべき役割というものは大変大きいものがあるわけでもございます。  御承知のとおり、旅客航路事業では、離島航路国民生活には不可欠の輸送機関であります。また、内航海運につきましても、国内貨物輸送の約半分を分担するという輸送機関であり、鉄鋼やあるいは石油、セメント等産業基礎物資輸送は、その大半を海上輸送に依存をしておるわけでもございます。あるいはまた労働力の問題、労働時間の問題から、モーダルシフトの受け皿として、今後とも重要な役割がさらに期待をされるところでもあります。  また、国際観光振興会につきましても、外国人観光客に対する日本のPRなどを行っている国際観光振興会が、人件費などの固定費事業費の五〇%以上を占めている、こういうことから廃止が適当だ、こんなことが新聞報道をなされておる記事を読んだわけでもございます。時代が変わり、設立当初の必要性が薄れてきている、こんなことも指摘をされておるようでございますが、このことが外国人の反応、こういう面で、大変おかしなことを日本はするのではなかろうか、このように指摘をされ、ジャパン・タイムズにも記事が出ておるわけでもございます。  御承知のとおり、資源の乏しい、食糧やあるいはエネルギーの自給率の低い我が国にとっては、国際的な相互信頼関係維持は国家の存立の絶対条件ではなかろうかと思います。また、世界日本に関する認識というものは極めて低いわけでございまして、我が国経済力は大変高い、しかし世界日本のことを必ずしも十分認識していない、また、関心も薄い。こういうような中で、国際観光は、市民レベルでの国際交流を促進することにより、我が国の文化あるいは人々の生活に直接触れる機会を提供し、国民相互信頼の増幅に役立っておるわけでもございます。  また、あわせてこの国際観光振興会のような市民レベルでの国際交流を促進する重要な機関先進国はすべて政府観光宣伝事務所世界に配して観光宣伝を行っているわけでございまして、英国では二十六カ国三十事業所、フランスでは二十九カ国四十事業所、また、現在東京には五十三カ国の観光宣伝事務所がある。かつてアメリカでも観光局廃止しようとしたというようなことを聞いております。しかし、国内のみならず国際的にも非難を受けて取り下げた、こういう経緯があるわけでもございます。  とかく私たちは、外国へ旅行する場合、旅行エージェントがいろいろやります。日本エージェントと異なって、逆の立場になるわけでございまして、外国では、日本エージェントと異なり、情報を提供できるこういう規模の大きいものがなかなかないわけでございまして、日本を魅力あるマーケットと考えていないわけでございます。そういう面では国際観光振興会役割というものは大変重要なものでありますし、さらには二十一世紀に向けて、特にもっともっと拡充をいたさなければならない機関ではなかろうか、私はこのように考えております。  そこで、総務庁にお伺いをしたいわけでございますが、行革審は、このような法人についてユーザーの声を余り聞いていないのではなかろうかこういうようなことから、大変失礼なことでありますけれども、若干素人判断、こういうところもあるのではなかろうか、時代だとかこういうことから、廃止するという結論を先にこういうような審議が行われているのではなかろうか、このように考えますが、総務庁のお考えをこの際承りたいわけでございます。
  14. 福井良次

    福井説明員 お答え申し上げます。  行革審におきましては、昨年九月の総理の諮問を受けまして、政府役割に関する審議の一環といたして、政府事業及び特殊法人について審議をしてきたところでございます。  これまで、お尋ねの二法人を含めまして三事業三十四法人についてヒアリングを実施してきているところでございます。現在、その結果をも踏まえまして、十月に予定する最終答申に向け、引き続き幅広く審議を重ねている段階でございます。現時点におきまして、審議会として何らの結論方向を固めるに至っているものではございません。  特殊法人委員指摘のように、さまざまの政策目的を達成するためにそれぞれに重要な役割を担っているということは、審議会においても十分認識はございます。しかしながら、今後の社会経済情勢変化を展望するときに、現在の姿がベストなものであるのかどうかということにつきましては、行政改革観点から常に吟味していく必要があるというふうな視点から、現在作業が進められているということを御理解いただきたいと思います。  重ねて、特定結論方向につきまして初めから固めて審議をしているということではございません。御理解いただきたいと思います。
  15. 亀井善之

    亀井(善)委員 総務庁はいわゆるこの事務局になるわけでございますので、行政改革、真に国民立場に立った審議、意味のある審議が進められる、こういうことにぜひ努力をしていただきたい。また、事務局としてもそのような責任を持ってひとつ努力をしていただきたい、このことを強くお願いを申し上げる次第でございます。  そこで、この二つ法人、先ほどいろいろ申し上げたわけでございますが、ぜひ存続を、または強化を図るべき、私はこのように考えておるわけでございます。大臣、このことにつきましてのお考え、御決意と申しますか大臣決意をひとつお聞かせをいただきたいと存じます。
  16. 越智伊平

    越智国務大臣 お話しのまず第一点、船舶整備公団の問題でございますが、お説のとおり、内航船あるいは離島、特に離島の問題にいたしましては、これはいろいろ、さまざまでございますけれども、第三セクターとか、非常に小さな町村等を含めて船舶整備公団共有船でやっておるというのが実態でありますのでございますから、船舶整備公団をもし本当に廃止して、ほかの金融機関へ行ってもなかなかうまくいかない、私はこういうふうに思う次第であります。  ただいま総務庁からも御説明がございましたが、これは私の方も説明がもうちょっと足りないんではないか、こういうふうに思っておりますので、今後よく説明して御理解をいただくようにしないと、なかなかこれは廃止しますと大変なことになると私は思います。お説にありましたようなモーダルシフトの問題からいいましても、今、物を運んでもあるいは人を運んでも、できるだけ鉄道とかあるいは船とか、こういうことを利用することによって、生活大国とゆとりのある生活という面からいいましても、運輸省としてもぜひとももっともっと説明をして、ひとつ御理解をいただこう、私はかように思っておる次第であります。  それからもう一つの問題は、これは観光の問題ですが、やはり観光面では、御承知の、我が国外国の問題は、我が国からたくさん観光旅行に出ておりますが、外国のお客さんもぜひとも誘致して、この観光面で均衡のとれるように将来に向かって進めていく、こういう面におきまして、やはりこれもぜひとも必要な、諸外国の状況を見ましても、日本だけがほかしておくということはやはり将来のことを考えてどうかな、私はこういうふうに思いますので、これもひとつ運輸省として十分説明をして、御理解をいただくようにいたしたい、かように思う次第であります。
  17. 亀井善之

    亀井(善)委員 ぜひひとつ、さらにいろいろと努力をしていただきたい、お願いを申し上げます。  そこで、今大臣からも生活大国の実現、こういうお話がございました。そこで、特に大都市圏、またその中でも首都圏の通勤時の鉄道混雑の解消はどうしても必要なことであるわけでもございます。政府としても最重要課題としていろいろとお考えをいただいておるようでございますが、少し具体的に、鉄道会社にいろいろの情報を提供するなり、あるいは時差通勤の実施目標、こういうものをつくるとか、あるいはそういうことをされておる企業、会社につきましてはそれぞれ表彰をされるなど、いろいろ具体的にその辺の取り組みをしていただきたい、このように考えるわけでもございます。  そこで、運輸省のこの通勤対策に対する取り組み、また時差通勤の促進、こういうようなことにつきまして、具体的な取り組みがありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  18. 越智伊平

    越智国務大臣 この通勤通学の問題は、今大変な問題であります。私も一月に、北千住を含めまして都内の視察をいたしました。またその他のところも、大阪とか名古屋も見せていただきましたが、大変なものであります。少なくとも生活大国ということになれば、やはり通勤通学、これが快適に行われるようにしなければならない、かように思う次第であります。実は、労働省も非常に力を入れて御協力をいただいております。  第一には、何といっても輸送力の強化、これをやらなければなりません。このためには施設の整備、あるいは複線化、複々線化等を進めてまいらなければいけない。しかし、これにはどうしても時間がかかりますのと、費用が、財政負担が非常に多くなりますので、一挙にはなかなかいかない。そこで、今時差通勤をお願いをしよう、まず私ども運輸省からやろうということで、今計画をいたして実施に踏み切っております。運輸省自体で時差通勤をして、自分がまずやって、それから皆さんにもお願いしよう、こういうことであります。  でございますから、今後、まず施設設備の強化、輸送力の強化、それからとりあえずは時差通勤、こういうことでこのラッシュ時の緩和に努めてまいりたい、かように考えておる次第であります。
  19. 亀井善之

    亀井(善)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  20. 森田一

    森田委員長 緒方克陽君。
  21. 緒方克陽

    ○緒方委員 私は、四月二十七日の当委員会で、港湾労働法が改正をされまして五年たったということで、この審議のときに国会の中でいろいろ問題になったこと、あるいは附帯決議でつけられたことが守られていない、そういう問題もあるということで幾つか質問をいたしました。そしてそのときに、さらに検討するというような回答をいただいていたものもありますので、そういうものを含めて少し質問をしたいと思います。  まず第一は港湾労働者の雇用の問題でありますけれども、それに関連して、港湾運送事業法に基づく免許基準の中で一定の労働者の、常用労働者の確保というのが義務づけられているわけであります。先般の質問のときに、三年間で八十社監査をしたところ、六社が問題があったということで、そのうち二社は是正をし、そして一社は改善計画を出させたということの報告があったのですが、残りの三社はどういうふうになっているのか、お尋ねをいたします。
  22. 浅見喜紀

    ○浅見政府委員 お答えをいたします。  先生御指摘のように、先般お答えしました時点では三社につきまして改善計画が提出されていなかったわけでございますが、その後二社からは改善計画が提出されました。今後、これに沿って是正措置が講じられるものと考えております。それから残りの一社につきましては、経営状況が思わしくないということもございまして、経営そのもののあり方についての見直しを図っているというふうに報告を受けておりますので、今後とも内容を十分に把握しながら、適切な指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  23. 緒方克陽

    ○緒方委員 その残りの一社というのは、運輸省からこの事業法に基づく監査での警告を受けてどれぐらいの時間がたっているんでしょうか。
  24. 浅見喜紀

    ○浅見政府委員 平成二年度の末に監査をいたしまして、その後改善指導をしております。
  25. 緒方克陽

    ○緒方委員 結局、監査をして、改善計画を出して是正をしているところもあるけれども、平成二年ですからもう二年以上経過しているわけです。それでも改善できないということは、これは非常に問題があるんじゃないかというふうに思います。改善の計画を出させて半年とか一年でやるならいいですが、二年もほったらかしということについては、これは行政上明らかに問題があるというふうに私は思います。この点については、早急にこの問題の解決ができるようにより具体的に取り組むべきじゃないかと思うのですが、どうですか。
  26. 浅見喜紀

    ○浅見政府委員 そのように努力をいたしたいと思います。
  27. 緒方克陽

    ○緒方委員 それでは二つ目に、こういう監査がなかなかできないということについては、結局、国会での附帯決議もあったけれども運輸省の定員、要員がないからということである。したがって先回の答弁では、限られた定員で一層の効果的な監査をどうできるかということで、検討したいということが答弁されているわけであります。二カ月しかたっておりませんけれども、定員はふえていない、しかしいろいろなことは検討されていると思うのですが、どういう検討をされたのかお尋ねをいたします。
  28. 浅見喜紀

    ○浅見政府委員 例えば、具体的には同一運輸局管内の事業所を集中的に監査するとか、あるいは特定の事項について重点的に監査をするといったような方法の可否につきまして検討しているところでございます。本省の監査といいましても、実際には本省の担当官と所管の運輸局の担当官が一緒に事業所に行きますので、地方運輸局の意見も聞きながら検討をいたしているところでございます。  それで、監査は通常十月から十二月にかけて行っておりますので、今年度の監査につきましては、前回お答えしましたように、できるだけ効率的に実施できるように、先生の御指摘も十分念頭に置いて今検討をしているところでございます。
  29. 緒方克陽

    ○緒方委員 それでは、趣旨にのっとって効果的な監査が十分されるように希望をしておきたいと思います。  それから、今度は労働省にお尋ねをいたします。  このときに質問いたしまして、結局、私も現地に行ったのですが、立入検査はできないというような現場職安の認識だったので、それは問題ではないかということで指摘をしましたところ、それは、現場の職業安定所あるいは労働安定所が、その立入検査が職安法に基づいてやれるということを承知していない、指導上の問題があったということで、第一線機関に対する指導の徹底をやりたいという答弁をいただいたわけであります。当時は、会議などでということで答弁がありましたけれども会議等では十分その趣旨が伝わらないという面もあるのじゃないかということで、文書等、通達等でやるべきではないかという質問をしたわけでありますが、その後、このことについてどういう指導の徹底を図られたのか、お尋ねをいたします。
  30. 井原文孝

    ○井原説明員 前回、先生の方から、港湾における立入検査の権限につきまして一部の現場で混乱しておる、徹底されていないという御指摘がありまして、今後そのようなことがないように一線機関に対する指導を徹底すると御答弁させていただいたところでございます。  具体的には、これまで都道府県の課長レベルの全国会議の場を通じて第一線機関に対する指導の徹底について指示をいたしました。先生の御指摘もございます、これで終わりということではございませんで、現在、中央職業安定審議会港湾労働部会におきまして、立入検査の問題も含めて港湾労働法の問題について御審議がされております。審議結果が出た段階で、いずれその全体の問題について関係者に、あるいは現場第一線に周知、指導する必要があるというふうに考えております。その時点で対処したいと思っております。
  31. 緒方克陽

    ○緒方委員 では、もうちょっと具体的にお尋ねします。今、職安審議会の部会で審議されている、それに関連して議論されているということですが、それはいつごろ結論が出るような状況でしょうか。
  32. 井原文孝

    ○井原説明員 部会の方の議論でございますけれども、一応、全般的な議論が終わりました。現在まとめの段階に入る状況でございまして、それぞれ労使、意見がございますので、まとめるのにそれなりに時間はかかるかと思いますけれども、昨年九月以来やっておる問題でもございますし、そう遠くない時期に結論が出ると思っております。
  33. 緒方克陽

    ○緒方委員 それでは、遠くない時期に結論が出るということでありますので、私の要求した趣旨にのっとって早急に具体的に施行がされるように要求をしておきたいと思います。  さて、港湾の問題であと三、四点質問したいと思いますが、きょう質問いたしますのは、港運協会と労働者の間になされております、あるいは事業者も関連しておりますけれども、事前協議制というものについてお尋ねをしたいと思います。  日本港運協会と、港運労働省によって組織されております全国港湾、あるいは港運同盟という組合組織との間で、急速にいろいろな合理化が進んでいるということから、港湾労働者の雇用不安を解消しなきゃならぬ、あるいは生活の安定を図らなきゃならぬということで、事前協議制度が設けられたというふうに聞いております。その趣旨は大変結構なことだというふうに思いますし、また、今後とも継続をしていかなければいけないことだと思います。そして、その本来の目的を果たしていくことが重要だと思いますが、しかし、私どもが聞いたところによりますと、協議の片方の当事者であります日本港運協会がこの制度を悪用して、傘下の企業や労働組合にも大きな迷惑やあるいは被害を及ぼしているというふうに聞いております。  かつて、差別や被害を受けた港湾運送事業者などから公正取引委員会への申告によって、ことしの五月に運輸省は、日本港運協会の会長に対して運営の改善を求める行政指導を行ったということを聞いております。その内容はどういうことであったのかということが一つと、また、今回以外にも、過去にも何度か日本港運協会側の運営に問題があったということで行政指導をされたというふうに聞いておりますが、そういうことがあったとすれば、その内容についてもお尋ねをしたいと思います。
  34. 浅見喜紀

    ○浅見政府委員 先生御指摘のように、平成二年の十一月に京浜港の港湾荷役事業者が、日本港運協会による事前協議の運用が独占禁止法に違反しているのではないか、こういうことで、公正取引委員会に申告を行ったわけでございます。この事案につきまして、運輸省といたしましても港湾運送事業を監督しているという立場から調査を行いました。  その結果、日本港運協会が事前協議制度の運用に当たり、特定事業者が排除される結果を招きかねないような事実の存在が推定されましたために、去る五月七日、日本港運協会に対しまして、今後事前協議は、これは実は昭和六十一年に関係者の間で、こういうやり方でやりましょうという合意がなされておるわけですが、その昭和六十一年に締結した確認書にあるとおり、独占禁止法に抵触するようなおそれのある運用はしないこと、それから事前協議の運用に当たっては、申し入れの拒否等の取り扱いをしないことといったようなことを内容といたします行政指導を文書で行ったものでございまして、今後、事前協議の適正な運用が行われるということを期待しているところでございます。  それから、過去にもそういうことがあったのではないかというお尋ねでございますが、実は私ども承知している限りで、昭和五十五年の五月に、これは運輸省ではなくて公正取引委員会日本港運協会に対しまして、船社との事前協議に当たって、船社の取引先の自由な選択等を制限するような事実が発生した場合には、独占禁止法の適用を検討せざるを得ないという趣旨の口頭警告を行ったというふうに聞いております。  それからさらに、昭和六十年の六月に一部の事業者及び学者から公正取引委員会に対しまして、日本港運協会による事前協議の運用は、船会社及び港運協会の会員である港運事業者の取引の相手方を制限しており、独禁法違反であるのではないかという旨の申告がなされております。  それで、これを契機といたしまして関係者による事前協議の見直しがそこで行われまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、昭和六十一年の三月に新しい事前協議制度に関する合意が関係者の間で成立をしたということでございまして、その新しい合意の中では、あくまでもこれは労働問題を解決するための手段であって、事業者間の調整を行うものではないということが明記されてございます。
  35. 緒方克陽

    ○緒方委員 今局長の答弁がありましたように、過去のそういう独禁法違反にも相当するのではないか、あるいはそういう疑いがあるというようなことでいろいろ指摘をされて、昭和六十一年にこの事前協議制度というのが発足をしたわけであります。しかし、発足をした後もこのことについていろいろ問題が起きておりますので、その点について運輸省にお尋ねをしたいと思います。  この大変重要な事前協議制度について、さっきも言われたように、公取なりあるいは先ほど言われた五月の指導があるということになりましても、なかなか改善されていない、たびたび問題を起こしているということでありますが、私が組合から報告を聞いたところによりますと、会長の言うことを聞かない事業者やユーザーに対しては、会長みずからの勝手な判断で申し込みの受け付けを拒否するということがしばしばあって、このため、ユーザーや港湾運送事業者も腹の中では大変な不満を持っていても、そこの事前協議の場に出ていってちゃんと話をしなければいけないということで、何とかしてこの事前協議で受け付けてもらいたいということで、スムーズに通してもらうということで平身低頭して頼みに行っているというのが常だと聞いております。  そして、そのために相当数の企業が事前協議を申し込む都度、謝礼金を持っていっているという話を聞いておるわけであります。そういううわさが絶えないわけでありますけれども、このことについて運輸省承知をされているでしょうか。
  36. 浅見喜紀

    ○浅見政府委員 事前協議をめぐりまして、今先生御指摘のような、港運協会の会長が相当数の企業から謝礼金を受け取っているというようなうわさがあるということにつきましては承知しておりません。
  37. 緒方克陽

    ○緒方委員 この日本港運協会については、週刊誌だとか新聞だとかいろいろなところでかなり問題になっているわけでありまして、承知していないというのは私はおかしいと思いますが、そこで、より具体的に質問をしていきたいと思います。  名前も具体的に出して恐縮ですが、ある組合幹部が、この人は運輸省出身でありますけれども山下さんという理事長に、そのうわさの真実性を問いただしたわけです。ところがどういう返事が返ってきたかといいますと、確かに金を持ってくる人もあるが、その金はほんの気持ちだけ受け取って、三万とか五万とかという部分だけ受け取って、残金は丁重な手紙をつけて返している、そういう具体的な話まであるわけでありまして、非常に問題ではないかと思うわけであります。  それで、お金を持っていく企業側の話を聞きますと、申し込みに行って頼んでいると、しばらくすると同室の役員が全部退席をする、そして会長一人になる、そこで何かがやられているのではないかということであります。  返すなら全体がいるところで返せばいいわけでありますけれども、それを一部を受け取って返すということになると、これまた金を受け取っているという事実が、公務員の贈収賄とはまた違うでしょうが、公益法人としてこういうことがやられているということについては非常に問題ではないかと思いますし、労使協定に基づいて行う港運協会の公式の行事について、しかも勝手に受け付けをしばしば拒否するという手段をとりながら金を受け取るというのは、社団法人の会長として非常に問題ではないかということでありますし、組合も、大事な事前協議に対してユーザーの不満を募らせるということは決して得策ではないということで、極めて憂慮しているわけであります。  今具体的な例を言ったわけです。全部が退席をする、そして、一部はもらうけれどもあとは返したんだというような話があるわけでありまして、非常にこれは問題のあることではないかというふうに思います。そういうことで憂慮しているわけでありますけれども、こういうことについて運輸省はどういうふうに思われるのか、お尋ねをいたします。
  38. 浅見喜紀

    ○浅見政府委員 今先生の御質問の中に出てまいりました、山下理事長が気持ちだけ受け取って残りは返しているというお話とかそれから、ある時期になると役員がみんないなくなって高嶋会長が一人になるというようなことについては、私自身は承知いたしておりません。  ただ、事前協議というのは通常文書で出てくるわけですが、その文書の内容を確認するために事前協議の事前のヒアリングといいましょうか、その内容を協議した船社とか港運業者に確かめるためにそういうヒアリングを実施しているわけでございますけれども、それは通常は高嶋会長が一人でやっているというふうに聞いております。
  39. 緒方克陽

    ○緒方委員 そこで、いろいろ今言いましたように、ほかにもこの人については、港湾運営基金とかいろいろなことで週刊誌その他にも取り上げられたり、いろいろなことが言われているわけであります。そういうことの中で、事前のヒアリングだということで一人で会うということは、しかも重要なことを決定するわけですね、そんなことは望ましいことではないと思いますが、どうですか。
  40. 浅見喜紀

    ○浅見政府委員 先生御承知のように、事前協議というのは本来港運事業者の団体であります日本港運協会と労働組合、それから港運協会と船社との間の合意に基づいて実施されているわけでございますので、それを具体的にどういうやり方でやっていくかというのは、一次的には日本港運協会自身が判断すべきものではないかと考えております。  したがって、事前協議の内容について、これを確認するために、そのまた事前のヒアリングを高嶋会長が一人でやっているということについて、一概に私どもとして適切でないと決めつけるわけにはいかないのではないかというふうに考えておりますけれども、そういうやり方によりまして、事実としていろいろな弊害が生じているというようなことが判断されます場合には、運輸省といたしましても必要に応じて指導をしていきたいと思っております。
  41. 緒方克陽

    ○緒方委員 李下に冠を正さずという言葉がありますけれども、この事前協議でいろいろな話をすることで、業者にとっても重要な影響を受けるという問題でありまして、いろいろなことが起きないようにそういう制度ができた。しかも、ここは公益法人ですよ。それでいろいろなうわさがされているわけでありますから、うわさをされるということは公益法人の会長として望ましいことではない。みんなから言われないように正々堂々と、ヒアリングですから別に複数でやっても、三名でやってもいいわけであります。  そういうのをしないところに何かあるのではないかというふうに言われているわけでありまして、そういう問題については、監督官庁の運輸省としては十分考えておかないと、何か起きたらやはり運輸省にも行政指導責任があるのではないですか。そういう意味で、その辺についてはしっかり考えてもらいたいと思うのですが、どうですか。
  42. 浅見喜紀

    ○浅見政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、先般五月にも、事前協議制の運用について適正に行われるように文書でも指導したことでございますので、その点も含めて今後よくフォローをしていきたいと思っております。
  43. 緒方克陽

    ○緒方委員 それでは警察庁の方にお尋ねをいたします。  昨年の六月十二日付でありますが、東京タイムズ紙に、今話題にしております日本港運協会長が手形をだまし取るというタイトルで大きな記事が出たわけであります。  その内容を簡単に言いますと、千代田区の西神田にありますロイヤル航空、当時の名前でありますが、これが栃木県の芳賀郡で平成六年秋オープンを目途にしたゴルフクラブの建設を進めていたわけでありますけれども、その会員権の販売をめぐって、巧みに日本港運協会長の立場を利用して、傘下の会員に売ってやると持ちかけたW社に手数料として要求された二十五億円の手形を渡し、また高嶋会長にも謝礼として五千万円を渡したということ、そして期限までには一口の会員権も売らずに、だまし取られだというような記事が出ているわけであります。  これは、ロイヤル航空と系列のロイヤル建設、その二つ関係者を告訴する意思だというふうに書かれておりますけれども、告訴は行われたのでしょうか。そして、告訴されていれば、被告訴人はだれであったかということについてお尋ねいたします。
  44. 上田正文

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  警察におきましては、先生御指摘のような報道に関する告訴は受けておりません。  以上でございます。
  45. 緒方克陽

    ○緒方委員 東京タイムズという新聞の報道でありますけれども、そのほかにもいろいろな週刊誌、記事等で出ておるわけでありまして、公益法人の会長がそういうことであるということでありますから、警察としては、このことについては関心を持って調べていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  46. 上田正文

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のような報道があったことは承知しておりますけれども、何せ報道に関する具体的な事実案件を承知しておりませんので、捜査をする云々ということにつきましては、ここでは御答弁いたしかねます。  以上でございます。
  47. 緒方克陽

    ○緒方委員 それでは申し上げておきますが、関係人あるいは関係者に近い人から告訴の手続がされるだろうということがあると思いますので、この点はあらかじめ申し上げておきたいと思います。警察は結構です。  さて次に、当委員会でもいろいろ同僚議員なども質問いたしまして、これは問題だということで佐川急便に対する特別監査が実施をされまして、その結果について先日報告を受けたわけであります。ところが、相変わらず数多くの佐川関係の会社がいろんな法律違反をしているということで一定の処分がされたわけでありますが、結局のところ、後ほど具体的にまた質問いたしますが、幾ら指摘をされても改まらない会社はもう三回も四回も同じような警告なり処分を受けているということでありまして、非常に遺憾であるというふうに言わざるを得ないと思います。  そこで、今回の特別監査を実施をされまして、その結果、きょうまでに具体的な指導に対して会社から報告をされるというふうに聞いております。それはまだ多分来ていないのかなと思いますが、来ているかどうかということを一つお尋ねしたいのと、その前段に、このようにたび重なる行政指導や処分にもかかわらず、相変わらず違反行為をしておりますこの佐川急便の問題、そして今回の特別監査の結果について、大臣としてはどのような御認識をされているのか、お尋ねをいたします。
  48. 越智伊平

    越智国務大臣 お説のように特別監査、三回行いました。確かにいろいろ問題点は少なくなっておるわけであります。しかし皆無ではない。やっぱり問題点が残っておる。この点につきましては、監査の結果、私から社長を呼びまして厳重に注意を行いました。そこで、特別監査ということで、もう四回も五回も特別監査をやらなければならないということ自体がおかしいよ、であるから各運輸局でそれぞれ適宜指導、監査、こういうものをやって指導していこう、それでも直らない場合にはまた考え方を変えなければならないけれども、要は厳重に監督指導を今後やっていこう、こういうふうに思っております。  今佐川急便からの回答は受け取っておりませんけれども、とにかくも受け取らなくても、それはやりますというふうなことが返ってくるんでないかと想像いたします。しかし、それを実際に実行してくれればいいんですけれども、それがまた残って次にというようなことがあるとこれは大変でございますから、適宜適切に指導監督をしてまいりたい、かように思っておる次第であります。
  49. 緒方克陽

    ○緒方委員 それで、佐川の場合は三回の特別監査とそれ以外に昭和六十二年、六十三年、元年とかたくさん処分をされているわけでありますが、処分の経過について簡単に、佐川急便にかかわる法律違反とそれに対する行政処分の経過について簡単に説明をしてもらいたいと思います。
  50. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 簡単に御報告申し上げます。  三回やっておりまして、一回目は六十一年から六十二年にかけて行いました。その際は違反が確認されましたことに対して五千七百両程度の車両停止の処分を行っております。それから二回目は、これは限られた十三社ほどに対してやはり国会の御指摘を受けて監査をいたしました。このときは五百七十三両の車両使用停止処分をやっております。今回は三回目でございますが、五月の十二日に六百十両の車両の使用停止処分をいたしました。  その際、先ほど大臣が仰せになりましたように、社長を呼びまして今後の再発防止について改善策を出すようにという指示をしたところでございます。
  51. 緒方克陽

    ○緒方委員 それで、最初が五千七百両、それから次が五百七十三両、今回六百十両の車両停止処分ということになっているのでありますけれども、佐川グループの中の同じ会社で、前回もやられて、もう四回も名前が出てくる社があるわけであります。そんなところに対しても、今回の全体のもので見ますと三十五社で六百十の車両停止ということでありますが、再犯を重ねているにもかかわらず非常に形式的にされているんじゃないかというような気がしてなりません。  今回の処分の根拠と、その規則といいますか、そういうものを役所としては持たれて処分をされていると思いますが、それはどういう根拠でされているんでしょうか。
  52. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 処分の根拠は、法律上は貨物自動車運送事業法でございますが、具体的には処分基準というのを決めてやっておるわけでございます。これはもう四十年代からずっとそれでやっておりまして、本省と地方運輸局でそれぞれ処分基準を持っております。  具体的な内容は、各運送法の条項ごとに、この運送法についてこういう違反があった場合は、例えば警告であるとか勧告であるとか、何両の車両使用停止処分であるとか、そういうような内容になっておりまして、今仰せになりましたように、初犯の場合よりも再犯の場合は当然処分の内容は重くなっておるということでございます。  今回、前回に比べまして処分の車両数が減っておりますのは、この処分基準に照らして客観的にやった結果でございますが、やはり違反の件数なり違反の内容が前回に比べて減っておったり改善されておるということでございまして、それなりに過去のいろんな反省に基づいて会社として御努力をされて、改善の努力の結果があらわれておるんではないかというふうに私どもでは見ております。
  53. 緒方克陽

    ○緒方委員 その基準を明らかにしてもらいたいと思います。
  54. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 基準は今申し上げましたように運輸省の通達それから各運輸局長が持っておる通達でございまして、これは一種の内規として持っておるわけでございます。このいわゆる処分基準のようなものを公表いたしますと、そこまでは逆にまた違反をしてもいいというように使われることも困るということで、従来は内規として取り扱ってまいったものでございます。
  55. 緒方克陽

    ○緒方委員 そこで具体的にお尋ねしますが、今回違反三十五社で六百十日停止をされたわけでありますが、その三十五社の保有トラック台数は何台ですか。
  56. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 三十五社の保有車両数は平成三年度末で約四千二百両でございます。
  57. 緒方克陽

    ○緒方委員 たび重なって二回も三回も、あるところは四回も違反をやっているわけであります。そして三十五社で四千二百両のうちで六百十日というのは、もうとにかく痛くもかゆくもない。確かに新聞に出たという意味ではそれは一定のダメージはあるかもしれないけれども、わずか一五%になりますか、それが一日とまるというだけのことであって、通常トラックなんかは故障したりとか整備したりとかいろんな意味であるわけでありますから、それぐらいの処分で何ら営業的に困ることはないというふうに思うわけであります。  ですから、私が言いたいのは、そういったび重なる違反をしていることについて、昭和四十年代からの規定のようでありますが、そのことについては改正をして、重犯した場合にはもっと具体的に打撃を受けるよということにしなければ実効性は上がらない。もちろん会社を始めて初めてやって失敗したという例はあるわけでありますから、そういうところを厳しくせよと言っているわけではありませんけれども、三回も四回もそういう法律違反を犯しているようなところに対しては、その通達、内規というものを厳しくすべきではないかというふうに思いますが、どうですか。
  58. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 監査なり処分目的は、大量の処分を出すということではなくて、やはり直していただくということでございまして、処分基準に照らして客観的に見てもやはりそれが少なくなっているというのは、直してもらう、そういう意味の努力をしていただいているのじゃないかというふうに受け取っております。  それから、今先生おっしゃいましたように、六百十両の車両停止というのは大したことないとおっしゃいますけれども、一回車両の停止処分を受けますと、一年間は事業区域の拡張なり三カ月は増車の申請なりがまたできません。これは営業にとっては大変大きなことであると思います。そういう意味で、やはりこの処分基準に照らして今後とも適切な指導をしていきたいというふうに思っております。
  59. 緒方克陽

    ○緒方委員 再度申し上げますけれども、確かに罰則主義ではいけないかもしれない。しかし、佐川というのは何回も何回も言われてもやはりやっているという状況を見た場合には、その昭和四十年に出された通達以降、それは改正されているのですか。
  60. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 処分基準そのものは適宜改正をしてきておりますが、今申し上げましたように、何回も違反を繰り返しておることは非常に残念なことだ、しかし、その違反の中身というのはだんだん件数も減っており、内容も改善されてきております。しかし、それでも違反を繰り返しておるのは残念でございまして、これは大臣がちゃんと呼んで、これからの再発防止についてきちんとした対策を立てるようにということで指示をしたところでございますので、今後はそれをきちんとフォローしていきたいと思っております。
  61. 緒方克陽

    ○緒方委員 今までも特別監査をして、そのたびに役所に呼ばれて、そしてさらに繰り返すということで三回も四回もやっているわけですよ。それでも罰則主義ではいけないからということで、大臣がそういうことを言ったからということでは納得できませんので、きょうはもう時間が来ましたけれども、私は、三回も四回も、ある意味では意図的にやっているのじゃないかというふうに見られるようなことについては厳しくやるべきだし、そのことに甘い運輸省については、大変問題があるという指摘だけして、私の質問を終わらせていただきます。
  62. 森田一

    森田委員長 常松裕志君。
  63. 常松裕志

    ○常松委員 私は、一九九〇年二月に当選させていただいて以来、当運輸委員会に所属をしてまいりました。私たちの任期は来年の二月までであり、通常国会もこの二十日をもって閉会になる予定であります。したがって、当運輸委員会において運輸大臣に御質問し、論戦を挑ませていただくのも、この任期中では恐らくこれが最後になるかと思います。  私が当選させていただいた九〇年二月は、国鉄改革三年目が終わろうとしていた時期でありまして、清算事業団の就職未内定の職員の御家族の皆さんから、首を切らないでくれとか、JRに復帰させるよう努力してくれというような趣旨のお手紙やら陳情やらが連日参った時期でした。華々しいJR発足と国鉄改革の陰にたくさんの犠牲者の方々がいることを知りました。  この四年間、当運輸委員会の中で清算事業団と政府、そしてJRによって解雇された皆さんの問題を取り上げてまいりました。私は当初、この解雇された方々はいわゆる階級闘争に身を殉ずる活動家だろうと思っておりましたが、しかしそれは間違いで、ごく普通の国鉄職員、家族や両親との関係などから北海道、九州を離れることのできない事情を持つ旧国鉄職員が大部分であることを知りました。  政府の約束、労働組合による差別はしない、あるいは全員を就職あっせんし、一人も路頭に迷わせないという国会答弁を心の底から信じている方々であることを知りました。そしてまた、地方労働委員会の命令、JRは即時復職させよという命令は法によるものである以上、必ず履行されると信じている方々であることを知りました。その上、ほとんどの皆さんが旧国鉄から表彰されるなどの優秀な鉄道マンであり、かっ鉄道の仕事を愛しているということも知ったわけであります。  驚いたのは、解雇された皆さんがアルバイトや出稼ぎなどをして食いつなぐとともに、お互いの収入をプールし、助け合いながら、政府の約束を信じ続け、法の履行を確信し、JRへの復帰まで闘い抜くと頑張り抜いていることでありました。  国鉄改革後丸六年たちました。JR東日本は株の上場を予定しています。光の部分であります。しかし、旧国鉄の累積債務については、その解消のめどが全くつかぬどころか、利息の支払いさえできず、ひたすらふえ続けることを食いとめることさえできずにいます。この点でも国鉄改革はいまだ未解決だと思います。国鉄改革のこの二つの未解決な問題について、本日改めて取り上げさせていただきます。  しかし、他方では、幾つかの長い間の懸案であった問題の解決の道を切り開くことができました。精神薄弱者の皆さんへの運賃割引制度の実現や、駅などを新設する場合には、エスカレーターではなくエレベーターの設置をという車いすの方々などの強い要望が実りつつあります。また、JR中央線の立体化・複々線化事業も二十五年来の念願で、スタートさせることもできました。運輸大臣及び運輸省鉄道局の皆さんの御努力と御協力に心から感謝を申し上げます。  きょう改めて取り上げる二つの未解決な問題についても、皆さんの御努力で解決への大きな道が開けていくことを心から期待をいたしまして、質問をいたしたいと います。  まず第一に、九一年の十二月八日の運輸委員会におきます当時の奥田運輸大臣の御答弁があります。その御答弁は、清算事業団の抱えている債務の軽減と国民負担を少なくしていくことは、国鉄改革に対する一つの使命が達成されることであるという趣旨の答弁でありまして、債務を軽減していくということが国鉄改革の仕上げにとって重要な課題であるという認識を答弁の中でされているわけでありますが、この点は越智運輸大臣においても全く同様でございましょうか。
  64. 越智伊平

    越智国務大臣 前の奥田大臣が答弁されましたことは、趣旨はそのとおりであります。  しかしながら、二つの問題がありまして、その一つは一般的な問題で、地価の高騰ということがございました。そのために清算事業団の売却、できるだけ地方公共団体とか、あるいは普通こうした土地とかその他のものを売却する場合には最低価格というのでございますけれども、上の価格を決定しろ、これは土地上昇、地価の高騰を抑えるためにそういうことになりました。その後地価が安定しまして、地価が少し下がっておるのは御承知のとおりであります。  今、売却する場合に、競売をいたしましてもその最高価格よりうんと低く出てくるというのが実情でございます。そこで、今の監視区域等をぜひのけてもらいたいということを私としては申し入れておるわけであります。しかし監視区域を、実は地方団体等と協力してやっておりますので、地方公共団体ではまだそのまま置いてくれというようなことで、そのことが達成していないのであります。  私どもは、確かに地方公共団体も使うところがあれば売却して結構でありますけれども、どうしても値段を高く売ろうと思いますと、競売の方が高いというような実情であります。そういうことから、この土地の今の売却がおくれておる、こういうことであります。  一方、JR株でありますけれども、株も御承知のように非常に低迷いたしまして非常に安かった。そこで見合わそうということになっておりました。今二万円余りで、多少の変動はございますけれども、まず安定しておりますので、まず東日本から売却しよう、そして二十六兆六千億の債務をできるだけ早く少なくしよう。今のままでいきますと、金利で御承知のように債務がだんだんふえておる、こういう実情でございますから、少なくともそういうことのないように、早く土地あるいは株の売却を進めてまいりたい。そして、結局は国民負担になりますから、国民の負担をできるだけ軽くするようにいたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  65. 常松裕志

    ○常松委員 運輸省としては、この国民への負担をできるだけ少なくしていこうということが運輸省の政策的な目標の一つである、こういう御答弁だというふうに承りました。  そこで、清算事業団にお尋ねいたします。  清算事業団の抱えている二十六兆余の累積債務の償還計画についてお示しをいただきたいと思います。そこで、具体的には平成九年度末までに売却を図るということで閣議決定されておりますから、平成九年度の末に累積債務の残高がどのくらいあるというふうに予定しているのか、九年度末の累積債務の残高、これを端的に、それだけお答えください。  二つ目には、土地の売却計画、十二兆円の資産、売却対象の土地があるというふうに総務庁の監査報告書の中には記載されておりますけれども、その十二兆円と言われる資産のうちで売却可能な用地はどの程度というふうに見込んでいるのか。売却可能な用地はどの程度と見込んでいて、その十二兆円のうちどれだけを平成九年度までに売却しようとされているのか、これが二つ目。  それから三つ目が、JR東の株のことはこの九月ということですけれども、他の株式、残りの株についての上場の計画はどうなっているのか、これは三つ目。  四つ目が、鉄道債券の償還の計画、現在鉄道債券の残高がどれだけあって、平成九年度末にはどれだけの鉄道債券が清算事業団に残るのか。  以上四つについて、時間がありませんから端的にお答えください。
  66. 西村康雄

    西村参考人 ただいま四つの問題について御質問を承りました。  最初の御質問は、閣議決定で平成九年度までに資産の実質的処分を終了するということになっていることとの関連でございますが、この時点でどのような債務の残高があるかということにつきまして、現在の時点では経済情勢、地価の動き等々が非常に不透明でございます。そういうことで、具体的に土地処分の年度別の計画ができておりません。  また、JR株式につきましても、これから今年度売却ということをやっていきたいと考えている段階でございます。したがいまして、私どもが持っております株式がどれだけ売れるかということも、どれだけになるかということもわかっていないという状況でございます。したがいまして、平成九年度末の債務の残高がどうであるかということを、まだ見通しを立てるに至っていないということを正直に申し上げます。  次に、私どもの持っております土地の資産、これが昨年度十二兆円というように申し上げたわけでございます。この十二兆円の土地が現在どういうふうに評価されるか、最近の地価の動向等もございますので、地価動向からいいますとかなり地価が下がっております。そういう点で、十二兆円を再評価してどの程度になるものか、現在部内で一生懸命試算をしている段階でございます。  そして今御質問ございました、そのうち土地売却可能地、それから土地売却困難地というものの見通してございますが、私ども当初売却可能用地として整理したもののほか、売却困難地につきましても大いに処分を進めております。したがいまして、現在では売却可能用地と売却困難用地等も含めまして土地の処分を進めるということをいたしておりまして、全体の評価額が今幾らかということを出しているわけでございます。したがいまして、今年度はそれらを包括して処分に努めるという段階でございます。  それから、JR東日本の株式の上場を現在進めているわけでございますが、JR東日本のほかに、現在上場基準を既に満たしておりますのがJR東海、JR西日本の株式でございます。これらの株式をどのように売却を進めるかという点でございますが、私ども立場といたしますと、できるだけ早く売却をいたしたいということではございますけれども、実際に売却を進めるということになりますと、株式市場全体の動向を十分に勘案しまして、株式市場がそれを十分に吸収できるという状況を見きわめまして、そのような状況ができ次第売却にかかっていきたいというように基本的には考えている次第でございます。  それから、鉄道債券の償還についてでございますが、国鉄改革時に事業団が引き継ぎました鉄道債券は五・二兆円ございました。平成五年度の当初では、その残高は二兆四千億円になっております。今後それぞれの債券ごとの約定に従いまして償還を進めていくということでございます。全体の鉄道債券の償還の終了は平成十二年度というふうに予定しております。  以上でございます。
  67. 常松裕志

    ○常松委員 ありがとうございました。  それで、当初売却可能用地というふうに分類をされた用地については、これはもうほとんど全部売り尽くしているというふうに理解してよろしいですね。
  68. 西村康雄

    西村参考人 当初売却可能用地とされましたのは、国鉄清算事業団発足当時、全体で八千八百十ヘクタールございました。そのうち売却可能用地と一応分類されましたのが三千三百五十ヘクタールございました。現在までに処分されましたのは九百十ヘクタールでございます。したがいまして、売却可能用地は現在二千四百四十ヘクタールまだ残っております。  なお、全体といたしますと、これまで処分いたしましたのは三千九百二十ヘクタールでございますので、残る三千ヘクタールほどは売却困難用地と、それから鉄建公団等から引き継ぎました。地等を含めまして三千十ヘクタール、ともかくできるだけのことでお引き取りを願ったということでございます。
  69. 常松裕志

    ○常松委員 もう一つだけ伺いますが、この間決算委員会でもお尋ねをいたしましたけれども鉄道債券です。この鉄道債券については、今清算事業団が発行している清算事業団債とは違って、JR各社の債務保証がある、連帯債務というような債務である、このように理解してよろしいですね。
  70. 西村康雄

    西村参考人 そのとおりでございます。
  71. 常松裕志

    ○常松委員 大臣、お聞きのように、清算事業団は閣議決定で平成九年度末までに土地の売却を図るということにはなっているのですけれども、平成九年度末に累積債務の残高は一体幾らになるのか計画がない、つくれない、あるいは毎年の土地の売却をどう進めていくかということについての計画もつくれない、株についてもつくれないというのが清算事業団の実情なんですね。  その一方で、結局、清算事業団が売るものがなくなったような場合に、JR各社が債務保証をしている鉄道債券については、毎年毎年減らしていっている、平成十二年になるとそれがゼロになる、こういうことで、いわばJR各社が非常に身軽になる、そういう債務の償還が清算事業団の中で行われている。私は、最終的に、大臣の先ほどの御答弁とは逆に、国民だけが負担させられるような非常に莫大な債務が残るのではないかということを恐れているわけなんです。  そこで伺います。平成九年度を目途にしてというように閣議決定の変更がされているわけですが、この閣議決定が変更される経緯、どうして一九九〇年三月末という当初の予定が、先ほど大臣が言われたように、土地が売れない、株が売れないということだということですけれども、平成九年というふうに決められたのは、どうして平成九年という特別な目途になっているのか、そこを大臣、お答えいただきたいのです。
  72. 秦野裕

    ○秦野政府委員 ちょっと大臣の前に御説明させていただきたいと思います。  先ほど先生御指摘のとおり、当初は、国鉄改革時には、雇用対策あるいは土地処分のおおむねめどがつくという三年後というのが一つのめどだったわけでございます。ただ、その後、御案内のとおり土地につきまして、かなり地価との関係がありまして売却方法等に抑制がかかり、かつ土地の基盤整備等にも時間がかかりましたものですから、現実問題として三年後に実質的なめどがつかなかったという背景がございました。  それを受けまして、その時点で改めてチェックをいたしました結果、必要な時間を算定いたしまして、主要な土地につきましてどの程度の時間がかかるかということを一応チェックをいたしました。その結果、平成九年度には一応のめどがつくであろうということで、平成元年の閣議決定で九年度をめどにするというふうに決めた次第でございます。
  73. 常松裕志

    ○常松委員 ところが、今の事業団の理事長の答弁では、平成九年度末でどれだけの債務の残高になっているか計画が立てられないということですよ。そうすると、今の局長の答弁は、一応九年には何とかなるだろうというめどがついた、その局長の御答弁あるいは閣議決定と、事業団の実際に遂行している仕事の中身といったら随分違いがあるじゃありませんか。そうじゃありませんか。
  74. 秦野裕

    ○秦野政府委員 先ほど理事長から御説明いたしましたのは、例えば個別の土地について、この土地を何年に売り、何年に売り、したがって何年度には幾ら売れ、何年度には幾ら売れということが非常に立てにくいということが一つ。それからもう一つは、株については、当然のことながら、市場で値段が決まるわけでありますので、その値段が幾らになるかがわからないというようなことで、最終的に平成九年度に一体幾ら国民負担と申しますか、国が処理すべき額になるかということがはっきりしていないということであります。  ただ、マクロ的に見ましては、先ほど申し上げましたとおり、平成九年度をめどに実質的な処分のめどを立てるということで毎年鋭意努力をしているという状況でございます。
  75. 常松裕志

    ○常松委員 それじゃ局長鉄道局としては平成九年度末に債務はどれだけになっているというふうに計画を立てていらっしゃるのですか。平成九年度末では清算事業団の累積債務は幾らだというふうな計画、鉄道局の計画です、運輸省の方の計画はどうなんですか。
  76. 秦野裕

    ○秦野政府委員 特に運輸省としての計画というわけじゃございませんけれども、先ほど理事長からも御説明しましたとおり、要するに土地が最終的に幾らで売れるのか、それから株価が一体幾らになるのか、それが現時点では明確ではございませんので、現時点で平成九年度に幾らが残るかということは申し上げられない状況であります。ただ、土地の資産につきましては、先ほど理事長から申しましたとおり、平成四年度では十二兆円という一つの数字はございます。
  77. 常松裕志

    ○常松委員 つまり、大臣、平成九年と言いますけれども、答弁を聞いての私の印象でいえば、別に平成九年というのは根拠がない。まあ何となく平成九年ということで先延ばしをしているだけで、平成九年度までに政府が総力を挙げてその十二兆円の土地を売り尽くしていくんだとか、あるいは株を全部売り尽くしていくんだとか、そういう非常にかたい目標の年次じゃなくて、いわば平成九年とたまたま決めた程度の閣議決定じゃないかと思うのですけれども、何か反論がありますか。
  78. 越智伊平

    越智国務大臣 平成九年という閣議決定は、恐らく平成九年までにはぜひやらなければならない、また、土地の再開発とかあるいは区画整理、そういう手続等も含めてやらなければならない、また、株もそれまでに売却しようというようなことで決定した、こう思われます。しかし、今は土地が非常に下がっておる。また、それのみでなしに、大きい土地は売却に出してもなかなか買い手がない、こういう状況であります。一時土地の上昇ということで、このことによって、国鉄の処分によってさらに地価を引き上げる、こういうことはよろしくないということの政策から抑えられた、こういうことでございます。  そしてまた、株の方も非常に低迷をいたしましたので、先ほど申し上げましたように、国民負担をできるだけ少なくしよう、できるだけ株を高く売ろう、こういうことであります。ようやく今安定をしておりますので東日本を売却してみよう、こういうことでございますから、もうちょっと様子を見ないと、経済が非常に変動をしておりますので、政府全般からいいますと、そのことによってもろもろの問題を含めて解決していかなければならない。清算事業団としましても、できるだけ早く処分はしだい、しかし、そうかといって、先ほど言いましたように国民負担が多くなるということを考えれば、安売りということにもまいりません。でございますから、そこらの接点を見ながら進めていきたい、こういうふうに思っておる次第であります。
  79. 常松裕志

    ○常松委員 JR株の上場の話がありましたから、ちょっとそちらの質問をいたしますけれども大臣、本当にJR株をできるだけ高く売りたいというふうにお考えですか。ところが、清算事業団の資産処分審議会の会長の亀井さんは週刊エコノミストの中で、東日本の株は安くていいんだ、電力会社の株の七倍程度でいいんだ、こういう発言をしているのですよ。これは御存じですか。これは事業団の理事長、どうですか。
  80. 西村康雄

    西村参考人 亀井さんの発言については存じておりません。
  81. 常松裕志

    ○常松委員 これは九一年十二月二十四日の週刊エコノミストをごらんになってください。亀井さんのこのJR東の株は安くていいんだという発言についてどう思いますか、大臣
  82. 越智伊平

    越智国務大臣 私が、株はできるだけ高くということでありますけれども、もちろん高くて安定した株ということであります。逆にまた国民に、NTTのように買ったがうんと下がった、何分の一になった、こういうことは望ましくないので、株の相場でありますから上下はしましょうけれども、それは小幅な上下で、国民にその面でも迷惑をかけたくない、こういうふうに思っておりますのでございますから、高い安いの問題はありましょうけれども、私が申し上げますのは、JRもしっかりやってもらって、ひとつ率直に言ったら高値安定でいきたい、こういうふうに思っております。  亀井さんのお話は私も承知をしておりませんけれども、電力と比較するのがどうであろうか私はこういうふうに率直に思っているわけであります。
  83. 常松裕志

    ○常松委員 ほぼ大臣のお答えのようなことであるべきだと思うのです。  そこで、さらに重ねてお伺いいたしますけれども運輸省は七月にこの東日本申請を認めようとしていらっしゃるようですが、今言ったように高値安定といいますか、そういうことでその株を売却して、できるだけ国民の負担を減らそうというふうにお考えだったら、JR東日本のいわゆる保有している純資産、この時価がどうなのかということを公表すべきだと思うのです。これはJR株式の基本問題懇談会の中でも、その情報の開示ということが求められているわけですね。これはいかがですか。運輸省はJR東日本の持っている純資産、これを時価で公開する、広く投資家に公表するというおつもりはありますか。
  84. 秦野裕

    ○秦野政府委員 ディスクロージャーの関係だと思いますけれども、ディスクロージャーにつきましては、JR株式基本問題検討懇談会の意見の中でも、投資家の投資判断を左右する問題の解決、方針の確定・整理を行うとともに、法令に基づく事項のほか必要な情報の適正な開示を行うことが望ましいということになっておりますので、こうしたことに基づきまして、ただいまの先生の御意見を含めて関係者の御意見を聞きながら、適切に対処するよう現在準備を行っているところでございます。
  85. 常松裕志

    ○常松委員 いや、ですから、高値で安定した株価ということで、そのためには時価の純資産を公開しますかということですから、端的に答えてください。
  86. 秦野裕

    ○秦野政府委員 私の手元にも数字はございますし、必要があれば当然皆様にお示しすることにゃぶさかではございません。
  87. 常松裕志

    ○常松委員 そうすると、JR東の純資産の時価評価はどのくらいになりますか。
  88. 秦野裕

    ○秦野政府委員 平成三年度で東日本について申しますと、一株当たりの純資産額は十二万六千八百円でございます。
  89. 常松裕志

    ○常松委員 それは簿価でありまして、時価ではありません。  理事長にお伺いしますけれども理事長は交通新聞の中で、JR東の純資産について、仮定ですけれども、仮に百兆円というふうなことの御発言をなさっていますね。これは間違いありませんね。
  90. 西村康雄

    西村参考人 百兆円と言った覚えはございません。
  91. 常松裕志

    ○常松委員 では、純資産について言及されたことはありませんか。
  92. 西村康雄

    西村参考人 それではどんなふうなことを申したかと申しますと、実際に株式を一般の方が購入するときの考え方として、一つは実際に株式による自分たちの投資額に対する利回りという考え方がある。そういう点からいいますと、これは非常に利回りが低い、通常の株式の価格ですと、そういう点では利回りを重点に考えれば極めて低い株式の額になる可能性がある。それから今度視点を全く変えて、会社の純資産を支配する支配力を取得するという意味からいえば、非常に高いものに考えるという余地もある。非常に高いものから低いものの間で実際の株主というものは選択をして値をつけるだろうということを申しまして、そのときにたまたま仮に十兆円と申したので、百兆円とは申したわけではございませんで、十兆円ということがあればということを申しました。  これは全く仮定の話で、非常に安いところから高いところまであり得るので、実際にどういうふうになるかは、株主の方たちがどう物を見るかということにかかるのでしょうねということを申したわけでございます。
  93. 常松裕志

    ○常松委員 いや、全くそのとおりなんですね。つまりこの株価を、大臣がおっしゃるように安定した高値で売却して国民負担を減らすためには、今理事長が言ったように、純資産からその株価が幾らかというふうな判断は当然出てくるわけです。したがって、この純資産額を公表するというのは当然でありますし、これが公表されなければ、それは投資家は非常に情報がディスクローズされている、開示されているとは言えないわけです。  ですから、局長の答弁のとおり、ぜひこれは公表してもらいたい。今は数字を持っていないでしょうけれども、これはもうぜひ公表してもらいたいというふうにはっきりお願いをいたしておきますが、それはよろしいですね。
  94. 西村康雄

    西村参考人 私がそういうことを先ほど申し上げましたときの純資産の額というのは、一つの株式の価格の見方を申したわけです。しかし、現実の問題といたしまして純資産の額というのは、実際のところ資産のすべての評価をやらないとわからないわけですが、これができている企業というのはまず私ども承知しておりません。実際の純資産というのは、外部からいろいろな状況でこうであろうということを見て実際の株価というのは形成されていくというふうに理解しております。
  95. 常松裕志

    ○常松委員 それは理事長だめですよ。あなたは交通新聞の中で言っているんだ、そういう上限下限の中で株価が決まっていくものだと。そうしたら、この基本問題懇談会の言うように情報を開示しろというのだったら、JRの持っている純資産について、少なくとも運輸省あるいは清算事業団が、それがどの程度の純資産になるのかということについて情報を開示するのは当たり前じゃありませんか。現にあなたが言っているのですよ、そういう間で株価は決まっていくものなんだと。そのときに片方の上限の方は言わないで利回りのことばかり言っていれば株価は低くなるのですよ。  そうじゃなくて、大臣が言ったように、JR東は非常に優良な株だと私は思っていますよ。そうするためには、JR株式の純資産の方を公表しなければおかしいわけで、現にあなた、交通新聞の中で言っているんだ、そういうふうに決まっていくんだからと。それは公表してくださいよ、当たり前じゃありませんか。大臣、それはぜひ公表してください。
  96. 越智伊平

    越智国務大臣 今清算事業団からお答えいたしましたように、純資産、一般的に申し上げましても、すべてのものを再評価をしておるかどうかということは、恐らく各企業でも再評価、特に土地の問題は再評価をしていないということであります。当時の価額をずっと続けておる。建物とか工作物については償却をいたしておりますから、これはほぼそのとおり出ると思うのですが、特に土地を随分JRは持っておりまして、これの再評価をするということになりますとまた大変であります。その点はやはり含み資産ということで評価をいただきたい。また、今不要な土地は清算事業団が持っておりますし、現に利用しておる土地ですから、再評価といってもなかなか難しい、私はこういうふうに思いますので、できるだけ皆さんに知っていただくことがいいと思いますけれども、全部、今の純資産ということになりますとなかなかできないんじゃないか、こういうふうに思っております。
  97. 常松裕志

    ○常松委員 大臣、全部なんということを言っていないんです。それから、正確になんてことも言っていないんです。清算事業団は現在持っている土地を、昨年で言えば十二兆円というふうに評価しましたよ。JR東日本は発表していないんですよ。これはディスクローズしていないんですよ。純資産価額がどれだけになるかなんてだれもわからないことになっているんです。これで株の公開をやった場合に、大臣がおっしゃるような高値安定した株にならないんですよ。ならないんです。  大臣は高値安定で売りたいとおっしゃったでしょう。それが国民の負担を減らすことになるとおっしゃったじゃありませんか。そうしたら、具体論になったら変わるんじゃ、これは大臣おかしいじゃありませんか。ですから、どうぞ、純資産についてできるだけ公表するんだということで御答弁ください。
  98. 越智伊平

    越智国務大臣 私が先ほど高値安定と言いましたのは、十分投資家にも見ていただいて、国民の負担の関係からいいますとできるだけ高く売却できることが望ましい、しかしそれがまた急にうんと下がったり、何分の一というようなことがないように、国民の皆さん、投資家の皆さんに迷惑をかけることがないように、こういうことを願っておる次第であります。  ですから、東日本なら東日本、あるいは将来東海あるいは西日本、それぞれの実際の価値としてできるだけ高く、こういうことであります。ですから、実際にその価値のない高くという意味ではございませんので、できるだけ高く安定をしていく、また実際にそういうふうに企業の側、JR株式会社の方も努力をしてやってもらおう、こういうふうに思っておる次第であります。
  99. 常松裕志

    ○常松委員 正直、もう全く納得できませんね。私の質問は、これは清算事業団の理事長の交通新聞の中での発言から言っていることですし、以前大塚さんと議論したときから言っていることであって、安定した株価で売却するためには、純資産からの評価というのが株価の最も安定した評価なんですから。それと、その利回りとの間のどこかで決まるのですから、その片方を全然公表しないというのは、これは本当に不安定な株価を助長することになりますが、それは極めて不満ですけれども、時間がありませんから次に進みます。  そのJR株を公開していくということなんですけれども、その場合、JR北海道とかJR九州とか、JR東について言えばJR北海道やJR貨物を合併するとか吸収するとかあるいは株の買い取りをするということは今後起こらない、こういうことは今後ないというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  100. 秦野裕

    ○秦野政府委員 その前に、先ほどの評価の話でございますけれども、先ほど簿価については申し上げたとおりでありますが、それをどのようにして評価するか再評価するかということは、当然のことながら、いろいろな仮定を置いて、前提を置いて計算しなければならないわけでありまして、その結果出てまいりました答えが、非常にアバウトと申しますか正確さを欠く場合があるわけであります。したがって、それによって投資家に予断を与えるということは好ましくないということもございますので、その点は非常に難しいということは御理解いただきたいと思うわけであります。  それから、ただいま御質問のそれ以外の会社でございますけれども、私どもといたしましては、国鉄改革の趣旨に沿って旅客六社あるいは貨物会社、それぞれに独立して健全な経営を行っていくということができるにはどうすればいいかということで、今一生懸命いろいろなことを考えているわけでありまして、その考え方については将来とも特に変更はございません。
  101. 常松裕志

    ○常松委員 その純資産の問題については、これはあくまでも提示、開示、国民に向かって開示することを私は求めます。それが最もその大臣がおっしゃった高値で安定した株価の形成に寄与するというふうに考えています。  それから、純資産について評価できない、その時価について評価できないというお話でしたけれども、だったら、清算事業団の方が十二兆円とか何兆円とか今清算事業団が持っている土地について評価していることだってできなくなるんだ。清算事業団の土地についてできるということは、JRの土地についてだって基本的にその考え方でできるんだ。こういう考え方で評価をしましたというその手法さえ明らかにすればいいのです。これは最後まで求めます、時間がありませんから省略いたしますけれども。  そうすると、今の二つ目の質問に対しては、北海道や九州や貨物を合併するとか吸収するということはない。ところが、佐藤前政務次官がそういう夢を発表されていたり、あるいは林前運輸次官がそういうことを示唆されていたりしているのですね。ですから今の局長の答弁、これは非常に重要ですから、それを承っておきまして、とにかくそれは現在の七社体制でいくんだ、いくんだということになれば、それはJR北海道に対してどうやって今後運輸省支援措置をするとか、あるいはJR貨物についてどうするというような具体的な問題が出てきますけれども、それはまあきょうは省かせていただきます。  特に私、JR株について、株公開について思いますのは、一体これはだれのためなんだろうということなんです。だれのためにJR株を公開するんだろう。今言ったように、どうもできれば安く売りたいというこの亀井さんの路線で進んでいますね。そうすると結局それは国民負担の方は減らない、二十六兆円は減らない、せいぜい利息の支払いにも足りない程度しかJR株の公開で入ってこない。一方、ではJR東を利用している我々はどうかといいますと、利益が一千億円を切ったら運賃の値上げをするというのですね、あの住田社長は。そうするとJR株の株式の公開によって我々には運賃の値上げが押しつけられてくるのですよ。それから、そのJRで働いている人たちについては、今度はその利益を上げるためには賃上げを抑制されたり、あるいは労働強化がシビアになったり、こういうことなんですね。  一体そのJR株の公開というのは、だれのための公開なんでしょうか。
  102. 越智伊平

    越智国務大臣 平成元年十二月の閣議決定におきまして、民営化ということ、そして遅くとも平成三年度にはJR株の処分、こういうことでありました。それがいろいろの事情でおくれております。しかし、JRを民営化しようという趣旨でありますから、これはそれで決定をいたしたわけでございますから、国民のために株を公開するということであろう、こういうふうに私は思っております。  それから、先ほどの資産の問題につきまして、清算事業団の方で土地がおおよそ十二兆ということでありますが、これは全部、清算事業団の持っております土地は更地であります。JRが持っております土地は皆使用中でございます。ですから、今これを幾らかといっても、売るものでもなし、売れるものでもないし、そういうものを、一般的には簿価と言いますが、入手したときの価額からすると、一般的には続いておる、こういうことでございますから、今再評価をするということはどうであろうか、こういうふうに思っておる次第であります。
  103. 常松裕志

    ○常松委員 大臣がどういうふうにおっしゃっても、JR株の保有者である清算事業団の理事長が、交通新聞というものの中で、株価はそのようにして決まっていくものだということを言っていらっしゃるのですから、そういうことで世間は受けとめているわけです。そのときに、仮に十兆円というふうに、確かに仮にで言っていらっしゃいますよ、しかし、それをじゃ仮に十兆円なのか、あるいは仮に三十兆円なのかによっては、そのJR株がどの程度に形成されていくかということになっていくわけですから、その考え方を現に保有している理事長が発表しているのですから、そういう考え方をおっしゃっているのですから、それを発表しない、公表しないというのは、ディスクローズせよという基本問題懇談会の趣旨に反すると私は思いますよ。そのことだけ指摘しておきます。  最後に、先ほど申しましたように、千四十七人の方々の解雇が行われましたが、この問題について一つだけお伺いして、私の質問を終わります。  「国鉄改革後五年間の成果と課題」という鉄道局が発行したこの文書、そして、おととしの十二月四日の私の質問に対する奥田運輸大臣の御答弁、解雇された千四十七名の方々に対する運輸大臣の御答弁ですが、全部ひっ詰めて言いますと、解雇された千四十七名の方々の問題は、運輸省としても関心を持って解決を図っていくべき課題であるというふうな理解に立っているというふうに私は理解いたしております。奥田運輸大臣は、解決のために汗をかくという趣旨、あるいはJR各社とも話をしていく、御努力してくださるという御趣旨の答弁もなさっていらっしゃいます。これは今後も運輸省の方針として確認していただけるかどうかということをお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。
  104. 秦野裕

    ○秦野政府委員 大臣からお答えします前に、私からちょっと補足させていただきます。  御案内のとおり、清算事業団職員の再就職対策につきましては、政府としてはいろいろな手法、いろいろな方法を用いまして最大限の努力をしてきたわけであります。不幸にしてその千四十七人の方が解雇に至りましたことは、大変残念なわけでございます。  現在、中労委で和解の案が出まして、これが不調に終わったということは、現実的な解決から遠のくという意味で私ども大変残念ではございますけれども、中労委会長も、今後命令作業に重点を置いて検討を進めるとおっしゃりながらも、関係労使から円満解決の要請がある場合には、労使委員の協力を得て円満解決に向けて努力するというふうにおっしゃっていることでもございますので、私どもといたしましては、円満解決の可能性がもしあるとすれば、その現実的な解決のために努力してまいりたいという姿勢は従来と変わっておりません。
  105. 越智伊平

    越智国務大臣 今、鉄道局長からお答えいたしましたが、中労委が昨年の五月に出しました、解雇された方の雇用の場を確保するための措置を含めて、和解案を組合側が拒否されております。この問題の現実的解決から遠のくものと非常に残念に思っております。清算事業団の解雇者については現実的に解決すべき問題でありますが、私としては、円満解決の可能性が発生すれば、問題の現実的解決のために可能な範囲で誠実に努力をいたしてまいりたい、かように思っております。
  106. 常松裕志

    ○常松委員 終わります。
  107. 森田一

    森田委員長 山中末治君。
  108. 山中末治

    山中(末)委員 会期末を間もなく迎えるわけでございますが、政治改革、なかんずく政治腐敗防止について、私から見ますと、なかなか意欲が見られない、残念ながらそのように思います。東京佐川急便を初め、この政治腐敗と言われる現象、状態が起きた運輸省の所管大臣として、大臣はそのときは大臣でなかったですけれども、今所管大臣でございますから、大臣としてこの政治腐敗防止について、閣議を初め関係の御会合の中で、存在意識を十分に発揮されて、この政治腐敗防止のための一つの大きな制度ができ上がることについて御活躍されることを、まず質問の冒頭に強く期待を申し上げます。  では、質問に入ります。  せんだって、花巻空港でDC9の事故がありました。これで、委員長の配慮でせんだって羽田空港を視察させていただきました。その中でも委員の方々から話が出ておったのですが、これは委員会ではっきりしておかなければならぬのではないかということを、一つ二つ御質問申し上げたいと思います。  あの事故で一般の国民は、副操縦士はどういう立場なのかということをからっと受けとめておらないのではないか、機長は自動車でいいますと二種免許を持っているけれども、何か副操縦士は二種免許を持っていないような印象を国民の多くの方々は受けているのではないか、このように私は感じているのです。この機会に、副操縦士というのはどういう立場なのか、これをはっきりと位置づけておかなければならないと思いますので、まず第一問としてお尋ね申し上げます。
  109. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 お答え申し上げます。  去る四月十八日の花巻事故でございますが、この飛行の際、副操縦士が離着陸操縦をやっていたわけでございますけれども、副操縦士が離着陸操作を実施する場合の副操縦士の経験要件というものが定められております。また、横風の制限に関する規程等もございますけれども、このようなことを十分担保した上で操縦をやらせるということが本来でございますが、残念ながらこの規程の違反がございまして、この点に関しましては、規則は規則でございますので厳しく受けとめる必要があるのではないかと思っております。  しかし、今先生の御指摘のように、当該副操縦士は全くの無資格者というわけではございませんで、DC9型機を操縦できる事業用操縦士の技能証明を有しておりました。一般的に副操縦士は、一たん機長に事がありました場合には、機長にかわって操縦できる能力を有しておるわけでございまして、規程をしっかり遵守して操縦する限り、安全上の問題はないものというふうに認識しております。
  110. 山中末治

    山中(末)委員 私ももともと飛行機屋でしたので、だから機長の重要さだとかそれから副操縦士の重要さは自分では認識しているのですよ。ところが、あの事故が起きた後、はっきりと報道の方々に対して発表していきませんと、規則違反だとか、何ノット以上、例えば十三ノット以上の風が吹いた場合にはかわらなければいかぬとか、そういう規程違反だということだけが出てきて、副操縦士というのは機長に比べて何かうんと下の方の技量未熟な人だという印象をぬぐえませんので、これからこういうことが起こってはいけませんけれども、私は機会あるたびにその辺を国民に理解を深めてもらって、副操縦士が操縦しておっても危険はないのだということをはっきり言っていく必要があるのではないかなというふうに実は思っております。これは要望しておきます。  それから、事故調査委員会のその後の調査は進んでいますのかまた調査委員会はいつごろ終了しますのか、お尋ね申し上げたいと思います。時間が三十分しかございませんので、私も簡単に質問しますから、御答弁の方も簡単にお願いしたいと思います。
  111. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 ちょっと事故調査委員会の方から来ておりませんので、私から答えるのは適当ではないのですけれども、事故調査委員会の方から聞いている話では、まず経過報告ということでこの前概略の御報告をさせていただいたということで、その後CVRとかFDRのさらなる詳細な解析を今鋭意実施しておるというふうに聞いております。
  112. 山中末治

    山中(末)委員 私が聞くところでは、この種の事故は大体一年くらいかかるのじゃないかなというふうに聞いておりますが、それくらいですか。  それともう一つ、そのときに横風の風速が十三ノット以上あった、何か二十五ノットくらいあったということを聞いております。十三ノットの横風がある場合には機長が操縦しなければならぬという規程があるようですね。その規程が、この間の羽田に行ったときの話では、JASの方もJALの方もANAの方も規程の風速のノットはやや似ているけれども、ほかの規程が多少違うところがある、こういう話も伺いましたので、できればそういう規程も、機種とか飛行場の形とかいろいろな条件がありますが、一定にしておく必要があるのではないかなというふうに思います。  その辺の見解をお聞かせ願いたいのと、もう一つは、羽田でも申し上げましたけれども、羽田の新A滑走路、その横に格納庫が四棟建って、その格納庫の高さが四十メートルですか、そのとき説明を聞きました。それが四棟並んでいる。それで風が来たら、ビル風というふうなものの影響で着陸する飛行機にあふりを与えていく、こういうことも聞き及んでいますが、この点についてもあわせてどのようにお考えなのか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  113. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 お答え申し上げます。  まず第一問、最初の方の規程の関係の統一の件でございます。先生の方からも内容のお話がございましたように、この横風の関係につきましては、ほぼ大体機長の二分の一程度の横風ということで統一されておりますけれども、副操縦士が操縦桿を握れる規程につきましては、御指摘のように各社それぞれ規程の内容が異なっております。これにつきましては、それぞれの各社におきます訓練のやり方でございますとか、あるいはそれを指導する機長にどういう経験を積ませるか等、いろいろな背景があってそれぞれ各社が決めておる内容でございますので、今直ちに統一すべきであるというふうにはちょっと私ども現在考えておりません。それぞれの中で、安全を確保できる方法ということでとっておるというふうに理解しておりまして、JASが六カ月というふうに長いのは、これにつきましては安全には安全をという念を押してそういう規程を設けているものというふうに理解をしております。  それから、二点目の羽田におきます風の問題でございます。本件につきましては、新A滑走路の右側、南から進入するときの右側でございますけれども、大型機の格納庫が建設されまして、このため北東風が強い場合は、格納庫を越えてくる風のため滑走路に着陸する航空機に対しまして多少の空気の乱れが生ずるようになったものというふうに考えられます。これは従来北東風が強い場合であっても、何もなかったわけですから、恒常的な風が吹いておって乱れがなかったというところに、今回初めて格納庫ができたということで、その直後におきましてはパイロットがその問題につきまして違和感を覚えたのは事実でございますけれども、さらに現在調査を行っているところでございますが、現時点においては、強い北東風が吹く場合に多少の乱れがあるということはもう既にパイロットの人たち、皆さん知っております。それから各社においても、乗員等に注意喚起等も行っておりまして、安全運航には特段の問題はないというふうに考えております。
  114. 山中末治

    山中(末)委員 これは羽田の復習みたいになりましたので、今おっしゃったことを向こうで聞きましたけれども、十分断A滑走路の場合もパイロットに徹底するようにひとつお願いしたい。これを知りながら、今度あふりで事故が起こったとなったら、これは何だと言われます。  それから、JASの方が今の副操縦士の場合は六カ月、ほかのところは違う、こういうことですが、それでまた事故が起こった場合に、起こらぬ方がいいのですけれども、起こってもらったら困るのですが、起こった場合に、いやその規程がこういうことでしたということにならぬように、十分保安上留意して御指導していただきたい、このように存じます。  時間が余りございませんので、次に移ります。次は、日米航空協定です。これはもう実は長い間のことですから、勉強しますと相当な課題があるわけですが、それは時間がありませんので全部抜きまして、最近の日米航空交渉の経緯、これはどうですかということをお聞きしたいと思います。
  115. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 御指摘の日米航空交渉でございますが、昨年の十月に包括的な協議を開始いたしておりまして、これは来年夏開業いたします関西空港への乗り入れ便数問題、さらには以遠権問題、あるいは日米間の輸送力のシェアの問題、こういった問題につきまして目下包括的に協議を開始いたしたところでございまして、私ども引き続き早く第二回目以降の協議をお願いしたいというふうに外務省を通じてアメリカ政府に御依頼申し上げております。  それから個別問題が、ノースウエストとかあるいはユナイテッド航空関係でシドニー路線等の以遠権問題の個別協議がございますが、これはその都度議論を重ねておりますけれども、完全に一致した方向での結論はまだ見出せない状態でございます。
  116. 山中末治

    山中(末)委員 承りますと、一九八一年ごろ輸送量においては日米が大体平等な輸送量を確保していたという一時期があるわけですね。それから今日まで十二、三年の間に、何か日本側が不利益なことばかりで、まことに今の日米航空協定は不平等協定であると私は思うのですけれども運輸省の方としてはそういうふうにお考えですか。
  117. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 ただいま先生御指摘のとおりのような見解を私ども持っております。  具体的に申し上げますと、ちょうど四十年前、一九五二年にあの協定ができ上がったわけでございまして、例えば以遠権の問題につきましては、現時点で週間便数で、アジアとかオセアニアに日本経由の路線がございますが、これが百四十五便、これに対して日本側の航空企業はわずか週二便というふうな格差、それから、ただいま先生御指摘のちょうど十年前、一九八一年度ではほぼ一対一という比率でございましたが、十年後の一九九一年度におきましては日本側が三、米企業が七というふうな格好になっております。  この問題は日本側だけではなくて、今フランスもドイツも協定破棄、あるいはタイも協定破棄になっていますが、こういった輸送力シェアが、アメリカは非常に大きなシェアを持っておりまして、私どもこういう問題につきまして、何とかアメリカとの友好関係維持しながら、いい方向での合意のために引き続き議論を重ねてまいりたいと考えております。
  118. 山中末治

    山中(末)委員 今局長が最後におっしゃったように、いい関係維持しながらやっていく、私もそれは賛成です。  以遠権の問題を申し上げようと思いましたが、局長の方から先におっしゃいましたので、それは重複を避けます。  この以遠権の問題なんかは、日本国内航空会社の経営の上に与える影響というのは非常に強いのですね。日本の方の主張も、ずっと経過を読みますと、日本から何人乗るのか、向こうから何人乗ってきて、何%乗ってきて、日本からまた以遠権、遠いところへ日本発で何人乗っていくのか。それは、一〇%まであかんとか言っておられるのはわかりますけれども、今もおっしゃいましたようにこの不平等、私は不平等の航空協定だという認識で質問しています。局長の方もそうだというお答えでしたので、これはこの前申し上げたけれども、我々は野党だからといって、勝手におやりやすという気持ちではありません。運輸省が折衝されるのをやはり応援もしていくという姿勢で臨んでいますので、これからもそういう不平等協定だという認識の上に立って、それをよきパートナー関係維持しながら改正をしていくということ、これをひとつ強く要望いたします。  それを含めて、今後の日米交渉のポイントといいますか、それはどういうところに置いておられるか、最後に一つだけそれをお聞かせ願いたいと思います。
  119. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 やはり一番のポイントは日米の輸送力シェアの問題で、これは具体的に関空乗り入れを来年の夏に行いますので、この辺の平等性を何とか主張してまいりたい。それから第二点目は、以遠問題について、アメリカから日本経由例えばオーストラリアの路線についても、やはり本来の目的の五割以内で動かせる、就航できるように、そういう秩序維持を図ってもらいたいというふうなことを考えております。
  120. 山中末治

    山中(末)委員 残り時間がございませんので、今局長のおっしゃったようなことで、私自身は、関西新空港の問題もありますから、いろいろな要素を盛って、それで交渉したらどうかというふうに思っているのですけれども、それは一概にそうとも言えない部面もあるようですから、ひとつ知恵と力を働かせていただいて、この航空協定が本当に互恵平等的な協定になるように御尽力を心から期待をいたします。応援もいたします。  もう時間が余りなくなりましたので、あと二つほどありますが、一つに絞っていきます。  実はハイヤー、タクシーの問題なんです。これはこの前も申し上げましたけれども、ハイヤー、タクシーの乗務員については、賃金の上において、全産業の男子労働者と比較すると一年間百三万円の差があるのですね。安い方で差があるのです。それから、労働時間につきましても一年間に二百八十八時間多いのですね。こういう状況のもとにいわゆるハイヤー、タクシーの乗務員は置かれています。  こういう状況がありながら、いろいろな運賃問題、大臣はそうは言いませんよ、大臣は理解深いと思っていますけれども、一般的にはその運賃問題、運賃は安ければいい、競争して安ければいいということだけが何か世の中まかり通って、そしてタクシー会社のある経営者の方は、うちは運賃値上げしませんとか、運賃値上げをしたところはお客が減りますから、その減ったお客を自分の安い運賃の会社の方へ吸収をしてやっていこうというのが、大阪でも京都でもそういうのが出ていると思うのです。これは企業戦略としては百点満点やないでというふうに私自身は思っているのですよ。しかし、そういうものが出てきている。  そこで、この前ハイヤー、タクシーの運賃について我が党の方からもいろいろ質問をしましたが、ちょっとがらりと方向を変えまして、タクシーの運賃を値上げすると乗客は減ってくる、減ってくると売り上げが伸びない、今そういう状況になってきているのじゃないかなというふうに実は思うのです。そうかといって、運輸省が昨年来いろいろ考えておられる、タクシーの二種免許を持った運転者がなかなか少ないので、集まらないので、三Kの職場とも言われているから、給与の面でも、待遇の面でも、福利厚生の面でも、それは何とかよくしていかなければいかぬ、こういうことで運賃の改定というものをお考えになっていただいた、こういう状況ですけれども、これはそこそこまで運賃の額はいっているのじゃないかな、何かここでいい方法はないかなというふうに私自身考えまして、人数割の割り増し運賃のようなものが外国では採用されている例があると聞きましたので、そういうことを採用されている国がありますかということと、もう一つは、その採用されている国で問題が起こっておらないか、そういうことをまずお聞かせいただきたいと思います。
  121. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 ロンドンとパリで例があるようでございます。ロンドンでは、二人以上になりますと一人幾らということで割り増しの運賃をいただく。パリでは、三人まではいいのですが、四人になると幾らかの割り増しをいただくというようになっておるようでございます。これがどういう評価を受けておるかということまでは、ちょっと私どもではまだ把握できておりません。
  122. 山中末治

    山中(末)委員 実は私もロンドンで、二十年余り前に乗ってびっくりしました。運賃のあれが出ましたから払ったら、三人乗っていまして、これでは足らぬと言われまして、聞いたらそういうことでありました。そのときに感じたのですが、これはこれからの運賃を設定していく上で一つの選択肢になるのじゃないかなというふうに私自身は思っているのです。これを採用しろとか採用するなどか、時期はまだ熟しておりませんけれども、これからの運賃設定の場合に、この人頭割り増し制というのが一つの選択肢の中に入ってくるのじゃないかなというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  123. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 運政審の答申でも運賃の多様化を進めていくようにということが言われております。いろいろな格好で、創意工夫を凝らした運賃があっていいわけでございます。  ただ、最終的に人数割り増し、大変魅力のある一つのお考えだと思っております。具体的にどういう水準でどういう内容のものを、例えば時間や距離との関係でどうするかということになりますと、やはり営業上の判断になってくると思います。まず最初に、やはり事業者で十分検討していただかなければいけない。ただ、御提案は大変魅力的な提案であると私どもも受け止めております。
  124. 山中末治

    山中(末)委員 今局長から魅力ある一つの提案だと聞かされました。そこまではいいのですけれども、運賃というのは許可制です。承認が要りますね。その場合に、それは例えば御検討されてこういうふうにした方がいいのじゃないかなと思われた場合、それは民間の方から、業者側からそういう申請が出てくれば検討に値するというところでとまっているのか、あるいは今私の申し上げた社会的な情勢、ちょっと早まり過ぎているかもわかりませんが、そういう要素を入れることもあるよということの行政的な連絡とか指導とか運賃を設定する場合の根拠にこういうものもあるよということを大臣もしくは局長さんのお名前でお知らせするという、ちょっと積極的になるのか、その辺はどっちでございますか。
  125. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 どんなサービスにどんな内容の運賃を取るかというのは、やはり営業上の問題になりますので、第一義的には事業者でお考えになるのが一番いいことだと思います。私どもはそれを受けましてよく検討させていただきたい。ただ、先生のおっしゃったことについては、先ほども申し上げましたように大変魅力的な案であると思っております。
  126. 山中末治

    山中(末)委員 大臣、済みません。通告していないのですけれども、今局長がおっしゃったことで私は納得したのですが、大臣のお気持ちはどうでございますか、この問題で。
  127. 越智伊平

    越智国務大臣 私、四国でございますから、ときどき船で渡りまして神戸でタクシーを拾って、飛行場へ来たり、あるいは神戸で新幹線に乗ることがあるわけであります。伊丹空港に行く場合は、運転手さんも長距離ですから非常に喜んでするのであります。中に、これは規定にないのですが、今の規定でいいますとよくない人でありましょう、冬、私どもコートを着て乗っておりまして新幹線新神戸駅へ行ってくれと言いますと、ほかにお客さんおりませんかと言って、おったら二人乗って、二人分の運賃を取る場合が率直に言ってあるのであります。  でございますから、これもバッジをつけておりますとなかなかそれはやらないのですが、コートを着ておりますとそういう場合がございます。しかし、相手の人も行ったんだから払えばいいと思って、私も黙ってそのまま払うし、相手も払っておる、こういうことでございますのでございますから、そういうことも考えられるのかなと思いますが、これは十分議論して考えていく必要がある、かように思う次第であります。  それから、さきの御質問の中で政府委員が答弁いたしましたが、花巻空港の、副操縦士を私は厳しく言っておりますけれども、このことを一言だけ申し上げておきたいのは、私、実は以前に運輸委員長をやらせていただいて、欧州からアメリカにわたりまして、その間にちょうど運輸委員長であったものですから皆さんと一緒に行きましたが、日本航空の操縦席とかそういうところを見せてもらって見学もしながら回りました。そのときに、もちろん非常に長い時間ですから、副操縦士の人、常にかわっております。あるいは場合によっては操縦士が二人乗っておる、機長が二人乗っておることもございます。しかし、飛行場に着くときには必ず機長が操縦桿をとっておる、こういうことを実は見受けておる。  それからもう一つは、先ほど申し上げましたように私は、瀬戸内海でございますから、船によく乗る。船に乗ります場合に、船長とそれ以外の人がいても、港から出るとき、港へ入るときは必ず船長が、おれやるよと言ってかわって操縦いたしております。外に出まして海面を走るときはかわって操縦しておる。こういうことから、港へ着くというときは最善を尽くすんだなということを勉強しておりますので、規程はいずれにしても、やはり飛行場を離陸するとか着陸するときには、お客さんをたくさん乗せておるわけですから最善を尽くしてもらおう、こういうことが私の発想であります。  でございますから、花巻の場合に私は副操縦士一人が悪いと言うわけではございませんが、機長も副操縦士もどちらももっと最善を尽くすべきだ、これが私の考え方、そういうことを常に言っております。副操縦士をいじめるというわけではございませんけれども、やはり最善を尽くして安全に注意してもらおう。機長と副操縦士では確かに機長の方が成熟しておることには間違いございませんので、そういう発想でございますので、ひとつその点御了承をいただいておいて、今後ぜひ運輸省としての指導もそういうふうにしてもらいたい、私はこういうふうに思っている次第であります。一言つけ加えておきます。
  128. 山中末治

    山中(末)委員 ありがとうございました。私は今大臣おっしゃったように、機長と副操縦士が、離陸とか着陸のとき、一番神経を使うとき、相協力してやらなければいかぬということをつけ加えてほしいのですよ、本当は。両方乗っておるわけですから、おまえの仕事だから私は知らぬよということじゃなしに、やはり機長と副操縦士は全力を挙げて離着陸の危険なときには協力するということを要望しておきます。大臣と同じような考え方です。  時間がなくなりまして申しわけないのですけれども、警察庁の方から来ていただいております。先ほど申し上げましたように、タクシー、大型バスは二種免許が要るわけです。普通の一般の免許を取得する場合は教習所へ行きまして、技量は教習所でオーケーになるわけですね。あと筆記試験だけ試験場へ行くわけです。それで普通の免許が取れる。ところが二種免許、人様を乗せて走る、小型でも大型でも二種免許については、技量も筆記試験も二つとも試験場へ行って、それにパスしなければならぬ、このように私は認識しておるのですけれども、それでよろしゅうございますか、ちょっとお伺いします。
  129. 片山晴雄

    ○片山説明員 先生御指摘のとおりでございます。
  130. 山中末治

    山中(末)委員 これはそういうことなんですよ。私もちょっとびっくりしました。運転免許の教習所へ行って十分技量を教えてもらって、普通免許はそれで技量はパス、練習所で通れば。どうして二種免許の方はそういうことができないのか。そんなことをするから、二種免許を取ろうという人が難しいからなかなか行かないという、ちょっと障害になっているのじゃないかなと思いますので、今警察庁の方からそのとおりだということを聞きましたので、それについて運輸省の方としてはどういうふうにお考えなのか。何か障害を取り除いて、そして二種免許を持った人がもっとタクシーとかあるいはまた大型バス等の運転者に行ってやろうという気持ちが起こるようなことにできないのか、お伺いしたいと思います。
  131. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 この問題は、警察庁の御所管の問題でございます。今先生が仰せになりましたことは、私どもよく理解できることでございますが、最終的には警察がお決めになることでございますので、私どもは、今の御指摘も踏まえまして、これから警察とよく相談をさせていただきたいと思います。
  132. 山中末治

    山中(末)委員 そういうことなんですけれども、警察庁の方としては、これを内容はもう少し濃くするとかいう方法はあると思いますが、今申し上げたようなことを教習運転練習所の技量試験でパスというわけにはいきませんか。
  133. 片山晴雄

    ○片山説明員 第二種免許は、第一種免許と比べましてその取得が著しく厳しいというわけでございますけれども、この理由は、やはり多くの人の命を預かり運転を行うということを踏まえまして、安全確保必要性から設けられておるわけでございます。したがいまして、殊さら不必要な手間をかけさせているとは考えておりません。  先生御指摘のような、指定自動車教習所において教習を受けた者について技能試験を免除するということにつきましては、現実の問題といたしまして、その技能教習を行う教習員あるいは技能検定を行う検定員、これが確保できていないというのが現状で、第一種免許と同じような技術的免除ができないのが現状でございますので、今後このような指導員、検定員が確保できるかどうかこれを見きわめた上で慎重に検討してまいりたいと考えております。
  134. 山中末治

    山中(末)委員 まるっきりだめだということではなさそうで、御検討いただくということですから、大臣、ひとつ運輸省の方も協力してもらって、規制緩和、規制緩和と、ややこしいところを規制緩和を余りせんと、こういうところこそ二種免許を取りやすいように、そのかわり試験は厳しくしたらいいのですから、手続をちゃんとしてほしい。警察庁の方にもひとつ大臣の方の運輸省の知恵を十分言って、実現できるように、そういう二種免を持った人がたくさんできるようにひとつ実現をしてほしい、私はこういうふうに要望申し上げます。  時間が過ぎて、委員長、大分怒ってはるのではないかと思いますが、実はもう一つ、格安航空券、割安航空券というのですか、割安、格安、あれが出回っています。あれも包括旅行で売った券を今度は個人に回しているのでしょう。それで何かグアムまで行くのに往復四万円とか、そういうものが出回っている。これは、私は日本の国だけの問題ではなしに、航空協定も非常に大きな影響があると思うのですよ、料金の問題は。  その中で、日本の国だけでもそういう格安の航空運賃が出回っていまして、利用される方が非常に多い。だから、団体旅行で何回も外国に行ったけれども、ぼちぼちなれてきたので今度は個人で外国へ行きたいという人が、ニーズが変わってきましたね。そういうことをうまく吸い上げてもらって、そしてやはり航空運賃も、これは認可制ですから、航空運賃以外に何かまた別の航空券があるというふうなことで、それは制限もちょっとあります、途中下車できへんとかその飛行機に乗らないかぬとかいう制限もありますけれども、今もまかり通っていますので、これは申し上げるだけにしておきますが、それについて、ひとつ御研究願って、新しい国民の要望に沿った航空券を個人的に発売できるような方法を考えていただきたいということを要望して、時間が超過しましたので、委員長にちょっとおわび申し上げながら、質問を終わります。
  135. 森田一

    森田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ————◇—————     午後一時二十六分開議
  136. 森田一

    森田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。浅井美幸君。
  137. 浅井美幸

    浅井委員 きょうはこの委員会で、一つ我が国が抱えている大事な運輸行政の中の焦点でございます清算事業団について、質疑の時間をぜひ持たせていただきたいということで、委員長の計らいにもより、各理事の皆さん方のお計らいできょうはこの委員会が開かれたわけでございます。この前の委員会で少し触れましたけれども、余り時間がございませんでしたので、きょうは少し細かい点までお聞きしたいわけです。  最初に、この清算事業団の役割といいますか、これは大臣も御存じだろうと思いますけれども、昭和六十二年に国鉄が民営・分割という形になりまして、それ以来、民営化されたJRの方は債務を一応棚上げという形で、民営部門の方で一生懸命頑張ってきておる、それなりに実績を上げておる、その方は非常に好感を持って国民からも迎えられております。それに反しまして、清算業務というか、清算事業団がやっておる業務というのは非常に、大臣、先ほどの同僚議員の質問にもお答えになっておりましたけれども、経済情勢等のいろいろな状況の中で清算事務が非常に困っておる。  そういうことの中で、この問題は、ただ土地がなかなか売れませんでした、株の公開がなかなかできませんでしたと言っておる間に、当初引き受けた二十六兆一千億の長期債務がだんだんふえてまいりまして、平成四年度末では二十六兆六千億ということで、五千億ですかふえてきておる。こういう状況の中ですので、これをこれから本格的にやっていくのに一体どうしたらいいかということで、これは深刻な、何というか、ただ単なる清算事業団の問題としてとらえておっていいのか、それとも国の問題として政府が本格的にこの問題に取り組まなければならない時期に来ているのじゃないか、このように思うわけです。  そういう観点からきょうお伺いしたいと思いますけれども、まず大臣、そのようないわゆる重要な国の課題だというふうにお考えでございますか、その点をお伺いしたいと思います。
  138. 越智伊平

    越智国務大臣 お説のように、民営化いたしましたJRは、それぞれ御努力をいただきまして、まずまず順調に推移をいたしております。ところが、清算事業団の問題はお話しのように大変な課題を引き受けております。  第一番に土地の問題、これは土地高騰の余波を受けまして、ぜひとも、また土地高騰がそれに影響しないようなことで、しばらく売却を待ってもらいたい、これは政府の問題であります。また、株も大変低迷をいたしました。やっとまずまずというところまで今来ております。これとても決して安心はならないというふうに思います。そうして、今二十六兆六千億の負債を抱えております。しかし、これはお説のように、政府全般の問題だと私は思うのであります。  でございますから、土地なり株なりできるだけ早く処分をして、この負債をできるだけ少なくしていく、しかし、二十六兆六千億が完全に賄えるかというと、そのことは率直に言って難しいのではないかと思います。しかし、利子がついておるものですから、なるべく早く処分をして、この負債を少なくしなければいけない。  土地の場合でいいますと、午前中も申し上げましたが、地方公共団体にという話でありますけれども、地方公共団体にいたしましても、公共団体ですから、余り高いものを買うということはできないし、競争入札の方が率直に言って高く売れる、こういうふうに思います。それから、大きい土地や、また騒音とかその他のこともございますし、なかなか思うようには売れない。特に大きいものは、今いろいろ事務所とか工場とか、そういうことの設備投資も非常に皆さん心配をして進まないという状況でございますから、なかなか売却に出しても売れない、大きいものは売れないというような状況でございますけれども、清算事業団としては、できるだけ努力をして早く売りたいというふうに思っております。  株の問題につきましては、東日本についてはもう早急に売却を進めていきたい、そうして結局は、それでできるだけ今の借入金を少なくしていきたい、こういうふうに思っております。しかし、先ほど申し上げましたように、全部が償還できるかといったら、これは率直に言って難しいのではないか。しかし、やはりこれは国の責任であるというふうに考えておりますので、その点、今後の折衝、話し合いを進めていきたいというふうに思っておる次第であります。
  139. 浅井美幸

    浅井委員 大臣も御答弁に困っていらっしゃるのだろうと思いますけれども、決め手がない。できるだけ、なるべく早く、こういうお答えなんです。本来、発足して三年をめどに土地の売却等を済ませて、速やかにということだったわけですけれども、それがずるずる延びてきておる、そして、毎年毎年一兆五千億の利子がかさんでくるという厳しい状況ですよね。できるだけできるだけ、早く早くと言っておりながら、じんせん日を送っておるように見えてならないわけです。  これは大臣も大変でしょうけれども、あるいはまた清算事業団の理事長も、責められてもこれは答弁のしょうがない、あるいはまた、実態として、この問題の解決のめどというのが、相手のあることです、土地を売るにしても買ってくれる人がなければどうにもなりません。株も、今のような株式の評価委員会というか、株式の方もこれから決めていただくことであって、相手が決めることである、株式市場の動向も見なければならぬ。こういう八万、何といいますか、自分で自動的にやっていけるもの、だから清算事業団として努力したことがどこまで報いられるのかという点が、全部よそから、他動的な周囲の状況というか、そういうものでがんじがらめになっているように思えてならないわけなんです。  それを、できるだけという感じで期待をしておる。何とかなるのじゃなかろうか、こういうことですけれども、これも国民の側から見て、じゃいつごろめどなんですか。閣議決定で、平成九年度までをめどにして土地の売却はしてもらいたいと決められました。これだって願望でありまして、確かに平成九年度には土地が全部完売できるという保証は、今のところはないわけです。だから、そういう不確定要素をたくさん抱えておる清算業務だということで、これは非常に深刻な問題だろう、私はこういう認識でおるわけですけれども事業団の理事長はどういうお考えを持っていらっしゃいますか。
  140. 西村康雄

    西村参考人 清算事業団が置かれております基本的な状況につきましては、ただいま先生から御指摘があったところでございます。私どもも、まず平成九年度というものを念頭に置きまして、できるだけ早期に処分をしたい、これも先生御指摘のように、できるだけということになるわけでございますが、そのような努力をしている。  しかし、また一方、私どもの置かれております経済情勢というのは大変厳しいものがございます。その中でどのようなことができるか政府もいろいろな御援助を賜っております用地方公共団体にもいろいろな働きかけをして御協力をいただいております。そういった状況ではございますが、実際の経済情勢は大変厳しいものがございますので、その中で最大限の努力をして、清算事業団が与えられている課題に全力を挙げて取り組んでいくというような認識を持っております。
  141. 浅井美幸

    浅井委員 認識はお持ちなのですけれども、実態は、例えば平成三年度の土地の売却予定の価格には届かなかった、去年の平成四年度も土地の売却予定に届かなかった、こういう実態ですね。できる限りということでありながらも、それがどれだけの努力をしたのかということについては、非常に厳しい言い方をすれば、疑問になってくるわけです。  ことし、平成五年度の収入見込みあるいは支出をちょっとお答えいただけますか。
  142. 佐野實

    佐野参考人 お答えいたします。  平成五年度の国鉄清算事業団の認可予算では、土地等売却収入が一兆二千九百億円、JR株式売却収入が千五百四億円、鉄道整備基金からの収入が千百億円、その他の収入が四百十九億円、補助金が八百五十億円、財投からの借り入れが一兆八千四百億円で、収入が三兆五千百七十三億円でございます。  それから支出でございますが、債務償還諸費が二兆八千五百九十億円、用地対策費が千三百二十一億円、共済年金等の負担金が四千六百十億円、管理費等で六百五十二億円でございまして、同じく合計は三兆五千百七十三億円でございます。
  143. 浅井美幸

    浅井委員 この支出の中での人件費はお幾らぐらいあったのですか。管理費の中に入っているのですか。
  144. 佐野實

    佐野参考人 支出の中に含まれます給与は二百八億円を見込んでおります。
  145. 浅井美幸

    浅井委員 この項目の中では何なんですか。
  146. 佐野實

    佐野参考人 用地対策費及び管理費等の内訳でございます。
  147. 浅井美幸

    浅井委員 これでまた土地等の売却収入が一兆二千九百億円ありますけれども、これはあくまで目標なんですね。これは完売できるというめどはありますか。
  148. 池田本

    ○池田参考人 ただいま御指摘のとおりの土地等売却収入一兆二千九百億円でございますが、昨年度までいろいろな手当てをしながら売ってまいった経緯もございますので、それにさらに今年度新たに実施されます、例えば公有地の拡大の推進に関する法律の改正等々もございまして新しい手段もできましたので、事業団の我々といたしましては精いっぱい努力をいたしまして、ぜひこの額を達成したいというふうに思っております。
  149. 浅井美幸

    浅井委員 それも願望なんですね。要するに今まで過去二年間、三年間ずっとその収入の予定が全部そのとおりいかなかった。ことしもまた願望であって、決して改善された、あるいは改善されるであろう、こういう裏づけというのが我々には伝わってこない。そこに問題が、この清算事業団の抱えている深刻な課題があるわけなんです。こういう状況なんです。  今まで土地の売却の実績が、昭和六十二年度から平成四年度まで合計で、面積としては約三千九百二十ヘクタールで、金額が約三兆一千三百二十億円、平成五年度首保有面積と分布では、約五千三百十ヘクタールございますが、東京都内が百十ヘクタール、大阪府内が約九十ヘクタール、北海道がその五千三百十ヘクタールの中で二千五百ヘクタール、約半分。大臣、北海道というのは土地の価格というのはそんなに高くないわけですね。これも売るのは大変だろうと思うのです。  今まで全体にありました土地が九千二百三十ヘクタールで、売却済みが先ほど申し上げました三千九百二十ヘクタール、その残りをこれから売ろうというわけなんですけれども、なかなか売るのは大変でございまして、平成五年度土地の売却収入を運輸省として認可されたのは、今説明がありました一兆二千九百億なんです。これも本当に売れるかどうかわからない、こういう状況なんです。非常にこれは問題点だろうと思うわけです。  それからJRの株式なんですけれども、東日本、東海、西日本、この株式数と額面合計を言いますと、東日本が四百万株の株式数で二千億円、東海が二百二十四万株で千百二十億円、西日本が二百万株で一千億円。この三社はこれから時間の経過とともに、まず東日本が株の上場がされるであろうと推測するわけでありますけれども、東海も西日本も来年か再来年には出てくると思います。北海道、四国、九州、このいわゆる三島そして貨物、これらの上場基準の達成というものについてどういうふうに考えておられますか、まずこれをお聞きしたいと思います。三島と貨物はいつごろ上場になるのか。
  150. 秦野裕

    ○秦野政府委員 国鉄分割以来、三島会社あるいは貨物会社、それぞれ景気の後押しもございましたけれども順調に業績を伸ばしてまいりましたが、ここへ参りまして、経済情勢の変動に伴いまして金利の低下、あるいは高速道路の伸長というようなこともありましてかなり厳しい状況ではございます。  それから、昨年度は経常で利益を計上いたしておりまして、一応の成果は出ておりますけれども、今後さらに非常に厳しい環境の中で経営を続けていかなければならないものというふうに認識しておりまして、現時点でいつごろ上場がクリアできるかということを明確に申し上げる段階にございませんが、可能な限り経営基盤の確立に努めるべき時期であろうというふうに考えております。
  151. 浅井美幸

    浅井委員 これもやはり先行きが暗い、見通しができていない。いわゆる土地の売却も努力目標としては平成九年度末、こういうことが言われております。JR株式についても、今鉄道局長の御答弁にあるように、いつごろかということは具体的に答弁できない。こういう不確定要素がこの事業団にはたくさんございます。これが非常に問題だろうと思うわけです。  それから次に、一昨年でしたか鳴り物入りで、汐留開発ということで、汐留のあのいわゆる東京で残された最後の優秀な土地だということで、その土地を売ったらどうだ、こういうお話があったときに、その土地の価格というものが周辺の地価に大きな影響を与えるということで、汐留跡地は株式変換予約権付事業団債方式、こういうもので処分をする。この事業団が設立した不動産会社の汐留開発の株、この計画も当初計画より相当大幅におくれてきております。この汐留開発のいわゆる当初計画と今とどのくらいずれているか、御答弁願えますか。
  152. 池田本

    ○池田参考人 汐留地区の開発につきましては、今おっしゃいました株式変換予約権付事業団債方式の適用をするということを考えつつ、当時、平成三年の第百二十国会におきまして、日本国有鉄道清算事業団法の一部を改正する法律案を審議していただきました。  その時点におきましては、汐留地区の都市計画に関します基本方針が早期に決定され、その後の諸手続が順調に進むものとして発行時期を想定しておった次第でございます。事業団では平成三年度より特別債券の発行に向けて細部の具体的な検討を進めてきたところでございますが、汐留地区の開発方式の主体を占めます土地区画整理事業の施行区域及び再開発地区計画の基本方針に関する都市計画の決定が、当初より若干おくれましたけれども、昨年、平成四年の八月になされましたので、昨年十月に株式会社汐留開発を設立いたしたわけでございます。  現段階におきましては、当時の予定から見ますと一年程度のおくれで進んできてはおりますけれども、これからさらに具体的な開発計画をつくるというようなことも含めまして今進めておるところでございますので、具体的に何年ぐらいということになりますと、今申し上げました会社の設立は一年程度の遅れではございましたが、これから鋭意具体的な債券の発行に向けて準備を進めてまいりたいというふうに思っております。
  153. 浅井美幸

    浅井委員 この構想では、総面積が約三十一へクタールに業務、商業、文化、居住機能を備えた複合市街地を形成しよう、こういうことで、両端に四十五階程度の規模の超高層ビルを配置しよう。ところが、具体的な青写真がまだ決まっておりません。この報道によりますと、東京都の都市計画局の開発企画担当課長はことしの三月、「来年中にも事業計画を策定し、建設に着手したい。ビルが建ち始めるのは四、五年先になるでしょう」。この事業団が設立した不動産会社の株と十年後に交換できる債券を発行するわけですけれども、このことが一体いつごろでき上がるのか。いわゆるこの発想が新しい方式ではあったわけで、一昨年のこの委員会審議されて、法案としてでき上がったわけですけれども、ある見方によれば、都の幹部は、バブル末期の平成三年に導入された新しい方式であるために、結局、株が上がり続けることを前提にしているんじゃないか、明らかにバブル経済にのっとった手法だ、こういうふうに言われております。  まあ清算事業団の方では、最近の地価や株価の下落について、むしろ債券は発行しやすくなった、元本の償還期が来ても、しかるべきときに株を売却すれば元は取れると強気だが、将来割り増し評価するには、汐留開発が十年後に上場して一流企業並みの評価を受けることが必要であろう、債券発行時期は早ければ来年度末というけれども、JR株の発行でさえ先送りにされる不況下、果たしてプランどおりにいくだろうか、こう言われております。  これは事業団の方にお聞きしますが、債券発行の時期は早ければ来年度末というけれども、間違いありませんか。
  154. 池田本

    ○池田参考人 ただいま引用されました東京都の発言につきまして十分承知していないところがございますが、当時の言い方で言っていただいております来年度末、いわゆる今年度末に発行ということに向けて精いっぱいの努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  155. 浅井美幸

    浅井委員 汐留開発というのは清算事業団の子会社でしょうか、その汐留開発の計画として来年に債券を発行するかどうか、それを聞いているのですよ。
  156. 池田本

    ○池田参考人 その予定で現在準備を進めておるところでございますが、いろいろ経済情勢等もございますので、これからの状況を見ながら十分慎重に進めてまいりたいと思っております。
  157. 浅井美幸

    浅井委員 これも大臣、甚だ不明確なんです。言い切っていない。いわゆる経済情勢というか社会情勢というか、そういう不確定要素が非常に多いと言う。土地の売却も、JRの株式の上場の問題も、この汐留という最大の土地の利用の決め手と言われた株式変換つきのいわゆる不動産会社、汐留開発もどういうふうになるのかわからない。本来ならば、最初のスケジュールであれば平成五年度、来年の三月には特別債券を発行することだったんですよ。ところが、こういう情勢の中ですから一年後にもまだ不確定要素がある、こういうことです。  そこで、この清算事業団の職員の問題について一遍触れてみたいと思うのです。今清算事業団には二千五百十七名の方がおられるわけです。各支社則にずっとおられますけれども、これは御報告願えますか。
  158. 荘司晄夫

    荘司参考人 お答えいたします。  今御指摘の二千五百十七人でございますけれども、本社に二百九十四名、北海道支社に百九十六人、東北に二百二十八人、新潟に百十六人、関東支社に八百七十三人、中部支社に百五十五人、近畿支社に二百八十七人、中国支社に百四十三人、四国は三十八人、九州支社が百七十七人でございます。
  159. 浅井美幸

    浅井委員 本社に二百九十四人で全部で二千五百十七名ですね。事業団にお聞きしたいのですけれども、この事業団の事業というのは永遠に続くものなんですか。この債務の償還というのは何年かけてやるつもりですか。要するに永遠に続いていくということでこの二千五百十七人という定員を、例えば北海道に百九十六人もおられる、関東に至っては八百七十二人も職員がおられる、九州でも百七十七人、いろいろとそれぞれお忙しいのでしょうけれども、どういう職務をしているかちょっとよくわからない、この方々は清算業務が始まって六年間、どういう成果を上げてこられたのか知りませんけれども、そのままの人数でおられる。  普通の会社であれば、毎年毎年赤字を出しているなら、いわゆる赤字企業としてまず人員整理から始めようというのが経営者の考え方なんです。そういうことも、職員のいわゆる減員予定というのもない。職員は、二百八億円という給与を年間ちゃんともらうようになっておる。そして清算事務というのはどんどん先送りになっていく。これは親方日の丸という指摘を受けてもおかしくないような状況があるのですけれども理事長、この辺のことについて、職員の数が適正であるかどうか、あるいはまた、この給与二百八億円をもらっておるこういう人たちをいつまでも、これから何十年も雇用を続けるのですか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  160. 西村康雄

    西村参考人 清算事業団は、先ほどからるる申し上げておりますが、土地の処分を中心として努力をしております。具体的には、これらの土地を整備する、あるいは周辺との関係で土地の権利関係を明確にする、あるいは不法占拠をしているものはそれらの方にどいていただく、いろいろなことをしてようやく売れる条件をつくり出していくということが一つ、そして実際にお買いいただく方を探して、それらの方とお話をして買っていただく、あるいは競争入札にかける、土地をつくるということから土地を処分するというところまで大変な努力をしているわけでございますが、お話しのように、現実の私どもが与えられている課題から申しますと、目標に到達することができないというのもまた事実でございます。  しかし、これは私ども言いわけになる部分もございますが、現実の経済情勢の厳しさの中で私どもの職員は最大限の努力をしております。現在の人数は、私どもフル稼働しているというように思っております。なお平成九年度という目標に向かって私どもが取り組んでいくためには、現在の体制で進んでいくしかないというように考えております。
  161. 浅井美幸

    浅井委員 新幹線の保有機構の返済は二十五年かかるわけですね。それから東京の汐留開発、これは当面数十人の陣容でスタートして、将来、事業団から土地を受け継ぐ九三年度になるのか九四年度になるのか、数百人規模に拡充する予定とありますけれども、これはそのとおりですか。
  162. 池田本

    ○池田参考人 前回といいますか、二年前に法律改正をしていただきましたときにいろいろ議論をいただきました中では、当時、経済情勢も非常によかったということもございまして、かなり早期にいろいろなことができる、汐留全体の開発もできるということで、当該地区の不動産事業を行う、いわゆるビルを建てて経営を行っていくという意味でかなり大規模に展開できるであろうということで、おっしゃったような数字が出ていたかと思います。  しかしながら、現行ではいろいろと状況が変わってきておりますので、直ちにその全体の数字まで一遍にいくということにはならないかと思いますが、一つの全体をやったときの目標の数字である、ただし、時点的には当初考えていたよりは少し先になりそうだというふうに考えていただくべき数字かなというふうに思っております。
  163. 浅井美幸

    浅井委員 数百人規模と言われたこの汐留開発の職員ですけれども、この二千五百人の中からその職務に彩られるというか、これはまた新規に採用されるつもりなんですか。それとも、今の清算事業団の職員をそこへはめ込もうとしているのですか。どっちなんですか。
  164. 池田本

    ○池田参考人 昨年設立いたしました汐留開発で従事しております職員は、大部分が事業団の職員でございますが、将来的に見ますと、かなりの部分を事業団の職員が出向といいますか、出てやりたいという希望はございますけれども、やはり不動産関係という特殊な仕事の部分もございますので、この辺につきましては、状況を見ながら他の方々の、いわゆるそのような業務の実績をお持ちの方のお手伝いもいただきたいなというふうに思っております。ただ、基本は事業団の職員でやっていきたいというふうに思っております。
  165. 浅井美幸

    浅井委員 汐留開発をつくったのは、先ほど来申し上げているように、清算事業団の職員がだんだん仕事がなくなってくる、そして、こんなに多くの人数は要らない、だから、その行ける天下り先というか転職先というか、そういうものを考えておって汐留開発というような会社をつくった、そういう想定もできると言われております。  皆さん方、頭のいい方ばかりそろっていらっしゃるのでこういうことを考えられたのか知りませんけれども、二年前でしたか、この法律ができるときに、国民の財産であるこの土地の処分については公平であらねばならない、国民全体のものである、そこに一部の者だけが利益を受けるような開発であってはならないし、売却であってはならない、こういうことで私たちはやかましく言っておった。ところが、そのねらいが、清算事業団の職員をそこへ天下りさせるためにこういう開発会社をつくったのかという指摘を受けないようにしてもらいたいと私は思うのです。  私は、この二千五百人が多いとか少ないとかいう議論はやめますけれども、これだけのたくさんの人数がおられて、二千五百人もかかって、そして赤字をどんどんふやしているということに問題があろうと思うのです。二千五百人は一体何をやっているのか、高い給料をもらって本当に目の色変えて一生懸命やっておるのか、こういう批判があっても当然だろうと私は思うのですけれども大臣、この点についてどういうふうにお考えになりますか所感をお聞かせいただきたいわけです。
  166. 越智伊平

    越智国務大臣 清算事業団に今二千五百人の職員がおりますが、この諸君がそれぞれの部署において非常に活躍をしてくださっておる、こういうふうに私は思っております。例えば土地にいたしましても、先ほど説明がございましたように、境界がはっきりしないとか、あるいは不法占拠されておるとかいうものもございますし、今、測量とかいろいろやりまして、これが売却できるようにいたしております。  もちろん、二千五百人の要員が未来永劫に要るかというと、これはそうではない、そういうふうに私は感じておりますけれども、ただいまの時点では、この二千五百人の職員の皆さんがそれぞれの部署において最善を尽くして、今土地も安定しておりますからできるだけ早く売却するようにいたしたい、かように思っておる次第であります。  汐留の問題につきましては、いろいろ御意見がございますが、その時点での考え方でこの決定をいたしましたけれども、経済情勢とかいろいろ変わりまして、必ずしもそのとおりの計画にはいっていないというのが実情であります。これはまことに申しわけないのですが、経済情勢とかその他地価の問題とかいろいろ変わってまいりましたので、やむを得ないと言っては申しわけないのですけれども、まあやむを得ないかな、今からどうするかということになるのであろう、こういうふうに思う次第であります。
  167. 浅井美幸

    浅井委員 やむを得ないというのでは困るのでありまして、私も、清算事業団の職員が休んでいるとは思いません。二千五百人、一生懸命やってくれておると思います。これは信じたい。だけれども、結果的な、いわゆる結果論から、実績からいいますからね、そういうことから非常に厳しい批判が寄せられてくると私は思うのです。  そこで大臣、お考えいただきたいのですけれども、長期債務が膨んでくる原因は一体何なのかということです。これはやはり金利といいますか、毎年毎年一兆五千億という金利が重なってくるということについて、これは何とかならないのかというのが私の非常に強く要請したいところなんです、金利のかからない金を出せというのは非常に虫のいい話なんですけれども。これは今やむを得ない、経済情勢、社会情勢、土地の問題とかいろいろなことがあってわかっているといったって、わかっていることがだんだん、いわゆる債務がふえますと国民負担が将来はふえるということなんですよ。  我々は国民の代表として出てきているわけです。議会において、国民の側に立った発言をしなければならない。清算事業団の立場に立つわけにはいかないわけです。それで、国民負担というものを少しでも軽減するためには一体どうするのか。先ほど来、清算事業団の理事長初め理事の方々も、これは遊んでいるわけじゃないし、一生懸命でしょう。だけれども、確たる見通しが、土地の売却についてだって、株のこれからの公開についてだって、あるいは汐留開発にしても、いろいろな面を次から次へと先送りに送っておる。その間、毎日毎日、利子というものはついてきておるわけです。一日三十億とも言われておるのです。  そういうふうな状況の、利子を抱えた企業として、いわゆる法人の特別の会社として債務を償還しなければならない会社が、債務がどんどんふえてくることについて、一体政府は何をするのかということです。ただ八百五十億の利子補給をしただけで事足りるということではないと思うのです。ことしの予算の中で初めて出てきたのですか、この八百五十億というのは。いわゆる補助金受け入れとして八百五十億ございます。政府は清算事業団に対してどういうわけでこの八百五十億を出したのかよくわからないのですけれども、出すならもっとどんと出してもらいたい。そうでなければ借金が借金を生む、借金のためにどんどん赤字が膨らんでくるということで、その利子のために経営が困難になってしまうわけです。  これは国の問題として、本当に大臣政府の問題として、一番最初に申し上げましたように、清算事業団の問題は、ただできるだけと言って過ごせる問題ではない重要な問題だろうと思うのです。この点、私は運輸委員会委員として長年務めてまいりましたけれども、清算事業団の抱えている課題というのはそう軽いものではない。非常に我が国にとって重要な課題であり、政府にとってもこの問題については真剣に取り組まなければならない課題であって、このままでいけば将来国民負担が膨大になってしまって、いわゆる政府の失政ということで大きな問題に発展するだろうということで、警告の意味を込めて私は今申し上げているわけです。この点は、本格的な取り組みをぜひともしてもらいたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  168. 越智伊平

    越智国務大臣 先生が国民立場でいろいろ御議論をされる、そのことはよくわかります。私もそのことを痛いほど感じるのであります。  しかし、土地の売却にいたしましても、一番いいとき、まあ一番いいときということで選ばれたかどうかは別といたしまして、例えば今の汐留にいたしましても、高いときに売却をする、またその時分には各方面から欲しいという声も上がっておった、これは事実であります。しかし、国全般の政策として、土地がこれ以上値上がりする、このことは決して国民の幸せには通じない、であるから、ほかの方法がないかということの発想のもとに行われたのであります。それは御了承いただける、かように思う次第であります。清算事業団のみの考え方でこの借金を少なくするという意味ですと、高いときに売ればよかった、こういうことでございますけれども政府全般の政策として行われた中であります。  でございますから、今の時点において最善を尽くしていく、そうしてできるだけ土地の売却あるいは株の売却をいたしまして借金の償還に努めていく、こういうことを考えざるを得ない、こういうふうに思う次第であります。  それから、補助金の問題につきましては、毎年八百五十億の補助金をいただいておる、こういうことでございます。先ほど来お話しの職員二千五百人、この職員の皆さんにできるだけの努力をしていただいて、現時点で最善を尽くすこと、しかもそれをできるだけ早くやっていく、こういうことに努めてまいりたい、かように思う次第であります。
  169. 浅井美幸

    浅井委員 越智運輸大臣もそういう御答弁しかできないだろうと思いますけれども、非常にむなしい思いがするわけです。もう少しこの問題を、ただ単に問題点を指摘しているというだけではなくて、この清算事業ということについて、非常に大事な問題だから国も本気になって取り組んでもらいたい、これからの国の課題として取り上げてもらいたい、清算事業団だけの問題ではないということで、利子の問題についても何かいい知恵はないか、こういうことを御発想いただいて、これについての努力お願いしておきたいと思います。  この問題、時間も余りございませんのですけれども、最後に理事長、私がきょうここでわざわざ皆さん方に出てきていただいてこうやってお聞きしているのは、清算業務が非常に大事な仕事であるから、皆さん方を激励するつもりで、また皆さん方に頑張ってもらいたいし、そしてまた、国民注視の中でやっておることなので、その使命感に燃えて頑張ってもらいたい、こういうことできょう来てもらったわけですが、一言抱負だけをお述べになって、もうきょうはお帰りいただいて結構でございます。
  170. 西村康雄

    西村参考人 先生から、私ども事業団の仕事につきまして、非常に深い御理解をいただいて、いろいろときょう問題を出していただきましたことを感謝申し上げる次第でございます。私ども事業団といたしましては、先ほどから申し上げました事業団の使命の達成に全力を挙げて努力してまいりたいということをまず申し上げたいと思います。  御指摘のように、毎年私ども事業団の長期債務というものが徐々にふえているという現実を前にしまして、従来以上に事業団の取り組みを一層やっていかなければならぬということでございます。ただ、私どもが置かれております現実の経済情勢というのは、従来以上に厳しいということもまた事実でございます。この中で、今までと同じ調子ではなく、さらにいろいろな意味での工夫をしたい、土地の売り方についても、現在の状況に応じてそれぞれいろいろな工夫をしていきたい。これまで売却困難であったというところについても非常に細かい注意をしていきたいし、私どもの管理している土地についても、できるだけこの期間に売れるような状態をつくっていくということで、また経済情勢がこれから変化していくときに、それに即応できるような体制もとっていきたいということでございます。  困難な中にも、ただ難しいからといって手をつかねているつもりは毛頭ございません。それなりの工夫をしてこれからの将来、私どもの目標に向かってぜひとも全力を挙げて進んでいくということを、ここで改めて決意を申し上げさせていただきます。
  171. 浅井美幸

    浅井委員 大変なことだろうと思います。どうぞ頑張っていただきたいと思います。  それでは、時間も余りございませんけれども大臣整備新幹線の見直しの問題について伺います。  総理もこのことについて、財源、順位、規格、こういうことについて見直すべきだということで、それで自民党の中でだんだんこの動きができ上がってきておるわけでございますけれども、この見直しについて、本来運輸省はスキーム、基本計画というのは変えない、こういうことだったわけです。これを今、自民党が論議をしておる中で変えようという話が出ております。この点について、国が六割負担等いろいろなことが出てきておりますけれども、それについて御答弁願えますか。
  172. 越智伊平

    越智国務大臣 整備新幹線の見直しの問題につきましては、今検討委員会でいろいろ論議をいただいております。その中に小委員会をつくりまして、ここで現実の問題をいろいろ論議されております。一方、各地域からは非常な要望、陳情、私も今運輸大臣の職務でこの陳情をお受けするのが六〇%も七〇%もというようなことであります。  今いろいろ論議をいたしておりますが、これまた私は財源の問題で、長期は長期でもいいですけれども、財源の問題をきちっとしないとなかなか論議が前に向いていかない。もとの財源のままでございますと、もとのとおりの基本スキームでいかざるを得ないということであります。今からいろいろ論議がどういうふうに出ますか、これは論議が出ましても結局財源の問題だと私は思います。各地域からは強い要望がございます。  それからもう一点は、この整備新幹線の問題もございますけれども、これに伴って在来線をどうするか、今までのように第三セクターというようなことでやっていいものであろうかどうであろうか。この問題についてもひとつ論議をいただかないと、やはり我々の仕事の安全、快適という点からいいまして、この問題も論議の中に入れてもらいたい、こういうふうに考えている次第であります。検討委員会、発足したばかりでございまして、まだ今からいろいろ折衝が重なる、かように思っておる次第であります。
  173. 浅井美幸

    浅井委員 時間がなくなりましたので、このことについて私の意見を申し上げておきたいと思うのです。  自民党の議連、整備新幹線建設促進議員連盟ですか、この中でJR株の売却益を活用しようじゃないか、こういう話が出たそうなんですけれども、とんでもない話で、先ほどから申し上げておるように、清算業務というのは大変なんで、これは大臣、絶対反対してもらいたいと思います。  それから、整備新幹線に限って払いつも不快に思うことは、政府・与党申し合わせということで自民党の議員だけがやっているみたいで、整備新幹線になりますと地元の陳情で地元の知事さんやいろいろな有力者から頼まれてということで、政府・与党だけでお決めになる、これは議会制民主主義の上から余り好ましいことではないと思うのであります。  野党もございまして、野党の意見も入れて整備新幹線のいわゆる計画を引かれるべきであろうと思うのでありまして、与党、野党というふうに区別をなさるということは私は問題だろうと思うのであります。ただ、自民党の中に、この国会が終われば夏は選挙区に張りつくんだ、だから地元の陳情を国会で何とか実現して帰るんだという意気込みはわからないでもありませんけれども、いわゆる国の財産といいますか、政府支出でやっていく事業でございますので、野党、与党という分け方は余り好ましいことではないということだけ私は申し上げておきたいと思うのです。  いずれにせよ、整備新幹線五線の建設、これから十五年後を目指して何とかやろうというムードが今上がっておるようでございますけれども、これもまた慎重に、日本の国全体の交通体系の上から必要なものであれば金がかかってもやるという英断といいますか、そういう基本的な考え方の上に立ってこの整備新幹線建設あるいは新線建設というものについて取り組んでいただきたいことを要望しておきたいと思います。  何か大臣、御答弁があればお聞きしたいと思います。
  174. 越智伊平

    越智国務大臣 清算事業団の持っております今の土地なり株なり、これの売却をいたしました金は、先ほど来申し上げておりますように今の借金の返済にこれは決まっておるわけであります。これはいろいろ言っておる方もございますけれども、決してそういうことにはならない。これは負債の償還であります。これはもうはっきりしておる、こう思うのであります。  それから次に、確かに与党の方、自民党の方がいろいろ言われますが、私のところへ見えますのは自民党だけでなしに、野党の皆さんも随分おいでになっております。このことも私は十分お話を聞き、御意見を聞いてやっていきたい、こういうふうに思っておりますのでございますから、自民党の言うとおり、あるいはその決定どおり、こういうことではございませんので、また地方公共団体の方、あるいは財界の方も見えます。いろいろの方の御意見を聞いて前進してまいりたい、論議してまいりたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  175. 浅井美幸

    浅井委員 ありがとうございました。
  176. 森田一

  177. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 きょうは「のぞみ」の問題でお聞きをしたいと思います。  三月十八日からの東京−博多間直通運転開始以来、大変トラブルが多発している。窓ガラスの破損とかパンタグラフの底板のビスの緩みでありますとかいろいろなことが起きている。何しろ時速二百七十キロという高速で走るわけですから、当然いろいろ不安もあるわけですね。  そういう中でJR東海、西日本は四月十四日からですか、総点検をされた。二十六日にこういう発表をされたのですね。今までの故障やふぐあいなどはいわゆる初期故障である、手当ても行った、だから安全運行上は問題ない、こういうことが発表されました。しかし、安全宣言のあった後もトラブルは引き続いているわけですね。  運輸省からいただいた資料によりましても、これは六月一日付の資料ですけれども、例えば窓ガラスの破損は、四月二十日の発表では九十四件だったのが六月一日の発表では二百五十一件、莫大な数ですね、それが起きていますし、あるいは床下側ふさぎ板に亀裂が発生したものが四十三件、これは新たに発見されている。いわゆる安全宣言後、新たにこういうトラブルが発見もされておるという実態です。  そこで私は、こういうこと、日時の経過を見てまいりますと、事前のいろいろなチェックが不十分だったのではないかと考えざるを得ないわけですね。受け取りの時点、あるいは走行試験、三十二万キロを二年間にわたって東海の場合はやったと聞いておりますけれども、それがやはり十分ではなかったのではないかという点が一点です。  それから、JRの方は初期故障という発表をしているのですが、運輸省もそういうとらえ方かどうか、まずこの二点をお聞きしたい。
  178. 秦野裕

    ○秦野政府委員 まず第一点の「のぞみ」のトラブルが多いのは走行試験が余り十分ではなかったのではないかという御指摘についてでございますけれども、「のぞみ」の運行開始に際しましては、まずJR東海につきましては、平成二年四月から平成四年三月までの間に、いわゆる先行試作車両を使用いたしまして三十二万六千キロの走行試験を行っております。また、その後量産車両につきましても、平均しまして約七千キロの走行試験を行っておるところであります。  また、西日本におきましては、平成四年六月から平成四年九月までの間に、JR東海所有の先行試作車両を用いまして約二万七千キロの走行試験を行いました。また、量産車両につきましても、一万キロから四万五千キロの走行試験を行っておるわけであります。  したがいまして、両社とも試験走行につきましては必要なデータが十分収集され、その検討結果を踏まえた上で営業運転を開始したというふうに考えておるところでございます。  それから、二番目の初期故障の点でございますけれども、御指摘のとおり、四月二十四日までにJR西日本と東海が総点検を実施いたしました。その後で新たな箇所でトラブルが発生しておりますけれども、これらにつきましては、いずれもそれぞれに応じまして対策を施すことによりまして、現在のところ、窓ガラスを除きまして同種のトラブルは発生していないということから、いわゆる初期的な故障ではないかというふうに私どもとしても考えておるところでございます。
  179. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 何万キロ試験走行をやったというのは知っているのですよ。だから、それを前提にして、それだけ一応やっていながらこれだけいろいろなことが起きている、やはりそれはさかのぼって、振り返って問題がなかったかどうか、抜けがなかったかどうか、そういう視点で見直すことが必要ではないかということを聞いているわけです。何万キロやりましたから大丈夫ということではないのですね。何万キロやったけれども起きている、これはどうかという問題なんです。的確に答えてもらいたい。  それから、初期故障と見ているという答弁でしたが、これは正確でないと私は思うのですね。いろいろな場合に初期故障というものはあります。それは承知していますが、初期故障といいますと、何かやむを得ないものといいますか、不可避なものというような印象もある。しかし、具体的にこれを見てみますと、例えばマスコンハンドル取りつけビスの緩み、脱落によるものとか、現にそういうものがあるわけですね。こういうものはチェックさえやっておれば防げたはずのものなんですよ。防がなければならぬ性質のものだと私は思うのですね。初期故障などという言い方で、余り大したことないんだという印象を振りまくようなことは正しくない。大体、初期故障と言われるものも、具体的に見ていきますと、それは丁寧に検査、点検をしていれば防げるものが圧倒的に多いのです。  大臣自身も、この前の四月二十三日の決算委員会で、我が党の寺前の質問に対しての答弁で、ねじの緩みの問題について言えば、製造当時の締めつけが余り適当でなかったとかあるいはアルミの溶接は難しさもあるのだけれども、これも十分でなかったとか、窓ガラスの問題とか、こういうことを指摘しておられます。確かにそういう問題もあると思うのですね。ですから、やはりそういうことを事実に即してきちんと見ていくことが大事だ。特に鉄道というものは、国民の生命を乗せて運ぶわけですから大変なものですよね。ほかの機械と違って、公共交通機関としては事前のチェックを念には念を入れる、そういう姿勢が必要だし、初期故障とかいうような言葉で済ませるのではなくて、具体的に運輸省としてもチェックしていく、そういう姿勢に立つべきだと思いますが、いかがですか。
  180. 秦野裕

    ○秦野政府委員 誤解のないように申し上げておきますが、私ども、決して初期故障だから不可避的なもので、やむを得ないということを申し上げているつもりはございません。  初期故障というのは、一応私ども考えております概念としては、一般的に使用を開始して間もない時期に発生した故障で、それが適切な対策を講ずることによって時間の経過とともになくなっていくというものを一応初期的な故障という概念で申し上げたわけでありまして、事実、先ほど来いろいろなトラブルがございましたけれども、窓ガラスを除きまして今のところ再発をしていないということから、初期的な故障ではないかというふうに申し上げたわけであります。  ただ、もちろんそういうことがあってよいというわけではございません。いろいろヒューマンエラーによるものもございましょうし、いろいろな原因があろうと思いますけれども、その点については、それぞれについて十分原因を究明し、対策を講ずるということは当然必要なことと考えておりますし、その趣旨で会社の方を指導しているところであります。
  181. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 それで、先日のこの運輸省からいただいた六月一日の発表、これでさっき例えばガラスの枚数で二百五十一枚と言いました。これは一日に三・三枚の割合で割れているということですね。破損している、びっと割れたわけではなくて、だぼんとかいろいろなケースがあるのですが、一日に三・三ですね。大変な数なんです。  しかも、そこでもう一つ特徴的なことは、「ひかり」「こだま」も割れているのですね。「ひかり」でも割れていましたからという言い方をよくされるのですよ。しかし、それはちょっと問題だと私は思うのです。この数字を丁寧に調べてみますと、「のぞみ」の割れ方、ガラスの破損の仕方は、「ひかり」「こだま」を合わせたものの約七倍ですね、比率でいいますと。これはそのとおりですね。  それから、続けて申し上げておきますが、この発表以降も私たちが調査をいたしました。国鉄の労働組合の西日本本部などの協力も得て調べたのですが、六月一日に発表された五月三十一日までの件数、これ以降も、一日にもガラスのひびが起きています。それから六月三日には「のぞみ」で三件、西日本の「ひかり」で一件、やはり起きているのですね。それからその後も、これは九日までの調査をしたのですが、七日を除いて毎日一件、二件、三件と、依然起きているのですね。だから、バラストのすかしをやったとか乳剤をまいたとか、いろいろな対策をとられているというのは聞きましたけれども、そういうことをやってなおかつ数的には減少傾向は出ていないのですよ。ですから、これは相当抜本的といいますか対策を立てていかないと減少しない、こういう事態になると思うのです。  さっきちょっと言いましたが、「のぞみ」のガラス破損、「ひかり」「こだま」の七倍に当たる、それは間違いないですか。
  182. 秦野裕

    ○秦野政府委員 「ひかり」と「のぞみ」のガラスの破損の比率がほぼ七倍というのは、そのとおりでございます。
  183. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 ですから、これはやはり「ひかり」でもありましたからということで済ませてはならぬと私は思うのです。それで、さっき大臣の答弁も引用して申し上げたのですが、やはり重大事故を絶対に起こさない。例えば側面のスカートの亀裂なんというのも、もしあれが割れてどこかに絡むと大事故になりかねぬわけですから、そういう点では本当に高速「のぞみ」については点検体制を事前、事後とも強化していく必要があると私は思うのです。  それで具体的に申し上げたいのは、まず、事前の問題としては、一つはメーカ−からの車両を受け取る時点、この受け取り検査の問題ですね。これをぜひ制度化する必要があると申し上げたいのです。  この前の去年の五月に最初に「のぞみ」のボルトの脱落事故が起きましたね。あのときに、運輸委員会で私も申し上げたのですが、他の民鉄では今でも受け取り検査というのをやっているのですね。メーカーのところへ私鉄の社員が出かけて点検をして引き取る。ところが、JRになってからはそれがやられていない。最近は何か行政指導、通達で受け取り検査をやるようにというふうな指導をしておられるとも聞いておるのですけれども、これは制度化をきちんとする必要があるのではないかというのが一点です。  それからもう一つは、走行試験のマニュアルといいますかチェックポイントの問題です。専ら二百七十キロで走っても大丈夫かというところを中心にやられたようですけれども、もっといろいろな影響が環境問題を含めて起きるわけですから、試験走行のマニュアル、これをやはりぜひ定める必要があるのではないか。この二点、いかがですか。
  184. 秦野裕

    ○秦野政府委員 まず第一点の受け取り検査の点でございます。これはメーカーと鉄道事業者との間の契約になるわけでございますが、受け取りの際に、メーカーと鉄道事業者が共同で車両の検査なり試運転を行って、所要の機能があるかどうかを確認をした上で受け取るというのが通常でございます。先ほど先生も御指摘のとおり、JRでは当初はそういうルールはなかったわけでございますが、モーターのボルトの破損以来、昨年の五月以来そのルールをつくりまして現在運用しております。これを厳重に守るように今後とも指導していきたいというふうに考えております。  それから二番目の二百七十キロの走行のマニュアルでございますが、これは既に各事業者ともそういうマニュアルを持っておりまして、それに従って走行試験を行っているという状態でございます。
  185. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 各事業者が持っているのは承知しているのです。運輸省として、そのマニュアルの方ですよ、前の方の受け取り検査については通達とかいろいろ指導で実際的にはやられているということですが、きちっと制度化する必要があるということをもう一度重ねて申し上げておきたいし、マニュアルの方は、運輸省としてそういうものを持って各事業者も指導していくといいますか、ここにこういうのがあるのです。これは運輸省鉄道局がことしの三月に出されたものなんです。これは「在来鉄道運転速度向上試験マニュアル」というものです。こういうものを在来線では運輸省みずからがつくっているんですよ。詳細なものですよ、中身。  それよりも高速で、風圧の問題、トンネル内のすれ違いの問題、さまざまなまだ未知の要素も含めた問題点が「のぞみ」にはあるわけなんですね。だから新幹線についてもこういうマニュアルを運輸省定めるべきだ。在来線定めているんですから、それより当然いろいろな問題が起き得るであろう高速鉄道についてマニュアルを定めて当然じゃないですか。いかがですか。
  186. 秦野裕

    ○秦野政府委員 現在のルールを十分チェックいたしまして、必要があれば適切な措置をとりたいと思います。
  187. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 これは決算委員会の答弁でも検討するということを言っておられるので、今もそういう答弁があったのですが、本当に具体化を進めてもらいたい、重ねて要望しておきます。  それで、今言いましたのは事前段階ですね。今度は事後検査の問題、事後の検査体制の問題もこれはやはり大事だと思うんですね。これもこれまでの定められたルールがあります。通常の車両の場合はどうかとか気動車の場合はどういう検査をするかとかあります。新幹線の場合はどうかというのもあるのです。  それで私は、西日本のダイヤをいただいてきてずっと調べたのです。これでずっと見ますと、西日本の「のぞみ」の走行をずっとたどっていきますと、一運行で五回「のぞみ」同士がすれ違うのです。五回すれ違う。それがほとんどトンネルの中ですれ違う。これと道程表と合わせていきますとこういう結果が出るんですね。この前、走行うストをやったかどうかというような話もありましたが、一月十三日、西日本も一応やっています。しかし私は、それは極めて不十分だという感じを持たざるを得ないんですね。一運行で五回すれ違って、ほとんどがトンネルの内部ですよ、すれ違うのは。これは予測しないような問題も起きるんじゃないかと心配が募るわけですね。  そこで、この関係で提案したいのは、営業運転開始後の検査体制の問題ですね。現在は、新幹線については仕業検査四十八時間というのは当然ありますが、交番検査というのを三十日あるいは三万キロの少ない方でやる。二番目は、台車検査というのを十二カ月、三十万キロでやるということになっているのですが、これは、在来「ひかり」「こだま」はいいですよ、これでやってきて一定の安定度を保っているわけですから。しかし「のぞみ」の場合には、新しい要素があるわけですから、この期間ではなくてもっと期間を短縮してやる必要があるんじゃないかという問題なんです。  実は調べましたら、新幹線の当初の営業開始当時、一九六四年、あの後の時期には、一応こういうものはあったけれども、実際には三万キロのところを二万キロ、それから三十万キロのところを二十一万キロで検査をやっていたという事実があるのです。ですからこういう教訓にも学んで、検査制度をもっと短くして万全を期すというようにやる必要があると思うのですが、いかがですか。
  188. 秦野裕

    ○秦野政府委員 いわゆるのぞみ型の車両の定期検査につきましては、従来の新幹線の車両、今あるゼロ系あるいは一〇〇系というのと同様に、各部品の耐久性などを十分考慮いたしまして、安全上の十分な余裕を持って実施しておるわけでございます。したがいまして、基本的には従来どおりの周期、方法で対応可能であるというふうに考えておるわけでありますが、先ほど来お話もございましたようないろいろな初期的なトラブルが頻発しておりますので、私ども総点検も実施いたしましたけれども、その後も引き続きまして、通常の検査に加えまして、トラブルの発生箇所についての十分なチェックを行うといった意味での点検を行うように、現在西日本と東海を指導しておるところでございます。
  189. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 いや、だから指導を強化して、検査の周期そのものについても、ずっと永遠にということは言っていないのですよ、「のぞみ」の安定度、不安定な状態がまだあるわけだから、当面もっと期間を短くしてやるとかそういう措置をとらないと、運輸省国民から信頼されないということにもなるということを申し上げておきたい。  それから、時間が迫ってまいりましたのでもう一点、ぜひこれはお聞きしたいことがあるのですが、運行に伴うそういう問題と同時に、沿線の問題ですね。環境問題というふうに運輸省では言っておられるようですが、特に西日本で今相当問題になっています。トンネルが西日本は多いんですね。五〇・五%と聞いています。全走行、新大阪から博多の距離の半分強がトンネルなんです。  トンネルに出入りするときに、トンネルに「のぞみ」が入りますね、そうすると出口の方でドカンという音がする。衝撃音ですね。これは新聞のいろいろな報道なんかもたくさん持ってきていますが、こういう図解も持っている。これは一つ備後トンネルの例なんです。実はきのう地元の広島から地方議員の皆さんが来られて、運輸省の環境対策室長さんにこの対策を十分やってもらいたいというお願いをしたところなんです。  地元の人の訴えによりますと、JRはなかなか現場に来てくれない。やはり来て、機器でここは何ホンだからどうとかというだけではなくて、ドンドンという衝撃音というのは何か記録されないというんだよね、それから振動が起きて、私ここでその人たちにいただいたアンケートも、周辺の町村の住民の方のアンケートも持ってきたのですが、とにかく家の建具がガタガタ振動するとか壁と柱の間がずれたとか、病人の人は大変だとか、振動でいろいろなことが起きているようなんです。それから、出口でドカンというだけじゃなくて、直接聞きましたら、トンネルに入りますと何か後ろの方で、入ってきた方でドンドンドンと三回連続して衝撃音が走るとかいうことなんかもあるそうなんです。  だから、これは本当に詳細に事実を調査して対策を立ててもらいたい、こう思いますが、いかがですか。
  190. 秦野裕

    ○秦野政府委員 トンネル出口の衝撃音につきましては、あらかじめある程度予想されておりましたので、いわゆる緩衝工という工事を必要な箇所に行っておったわけでございますが、実際に運行が始まりました段階で、当初西日本が予想しておりました以上の箇所でそういう苦情と申しますか御意見が出てきたということでございます。そこで、JRでは現在その調査を行っておりまして、約五十数カ所と聞いておりますが、その箇所について調査を行い、現在その結果を取りまとめておる段階でございまして、取りまとめ次第適切に対応してまいりたいというふうに考えております。  なお、先生先ほど御指摘にございました備後トンネルでございますかの西口の件でございますが、ちょっとまだ私どもには、具体的なことをまだ調査しておりませんけれども、これは一応トンネル緩衝工ができておるところでございますので、そこでなおそういう振動なり騒音があるということでありましたらば、これはまたさらに対策を講じなければならないということで対応してまいりたいというふうに考えております。
  191. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 最後に一言。緩衝工があるのも知っているのです。片っ方にしかないのです。片一方にしかなくて、依然直っていないのです。「ひかり」のときにつけたフードはそれなりに役割を果たしたそうです。今後の「のぞみ」の場合には効き目がないというのです。写真も持っていますが、そういうことです。  時間がなくなって、大臣にお聞きしたいと思っておったのですが、大臣、今お聞きのようにいろいろな問題がある。特にトンネル周辺の、これもまた本当に深刻ですからね、夜の十一時ころまでドンドン鳴るわけですから。ですから、大きな政治的な立場大臣に御判断いただきたいのだけれども、そういう面での安全運転といいますか、そういうものを本当に確保されるまではトンネルの部分とかそういうところでは速度制限をする。あるいはまた、これはちょっと大がかりなことになりますが、一九七四年の暮れから翌年の二月にかけて、新幹線が午前中全面運休をしまして、総点検するということをやったこともあるのですね。そういう経験もあるのです。  今すぐやれという話ではないのですが、やられても結構ですけれども、要するにそういうことも含めて、本当に人命を預かる大事な公共交通機関ですから、安全に万全の対策をとるように大臣に指導していただきたい、私はそう思いますが、いかがですか。
  192. 越智伊平

    越智国務大臣 いろいろ御意見を賜りました。私も、先般広島から福岡まで乗ってまいりました。確かに安全、快適からいいますと、もうちょっとやらなければいけないのかな、こういうふうに思いました。  今窓ガラスの問題も聞きまして、ほかのトラブルはほぼ落ちついております。ガラスの方はやはりときどき破損をいたしております。これも実際に乗りましていろいろ聞いたのですが、あれは二重のガラスになっておりまして、外が割れたからいいというものではございませんけれども、安全の面では心配は要らないようであります。いろいろ原因があるでしょうが、ガラス等の飛散によるトンネル内でのはね返り等もあるようでございますのでございますから、これも今後十分考えてやらなければならない、かように思います。  それから、今のビス等の緩み、これは確かによく点検して、よく締めて、どうしてもいけないところはピンでも入れてまた緩まないようにしていかなければならないのではなかろうか、かように思います。  そこで、お説の環境の問題でございますけれども、衝撃音の問題、これは、今鉄道局長から御答弁申し上げましたように早急に処置をしていく、たくさんトンネルがありますからなかなか一度にできないのであろうと思いますが、なるべく早く施工するようにいたしたい、かように思います。その他いろいろ、先般も申し上げたのですが、電波の問題とかテレビの映りが悪いというような問題、これはもう共同アンテナとかそういうものにしなければならない、これも早急に進めてまいりたい。  いずれにしても、安全で快適で、また沿線の皆さんの環境問題、御迷惑をかけないように早急に実施をしていきたい、かように思っておる次第であります。
  193. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 終わります。
  194. 森田一

    森田委員長 高木義明君。
  195. 高木義明

    ○高木委員 私は、整備新幹線初め地方鉄道整備についてお尋ねします。  その前に、先般からの花巻空港ほか一連の航空機事故については、せんだっても羽田の方に調査に出向きましたが、私は、徹底的な原因の究明と分析を行っていただき、その上でこれらの教訓が十分フォローされ、今後に生かされるように強く願うものでございます。航空機は今や国民の重要な交通機関として暮らしに欠かせないものでございます。したがいまして、航空機の整備、乗員あるいは整備士の健康管理あるいは訓練、研修、これらにつきましては、不断の努力で万全を期していただくとともに、関係者に対しまして改めて綱紀の粛正と、そして安全管理の充実に努められるように政府におかれましても対処されますように、この際、私は強く御要請を申し上げておきます。  さて、整備新幹線の問題でありますが、政府・自民党は去る六月四日、整備新幹線見直し検討委員会を開きまして、今後の新幹線整備について本格的な議論をすることにいたしております。せんだっては顔合わせ的な内容と言われておりましたが、運輸、大蔵、自治等々、かなり激しいつばぜり合いがあったとも聞いております。  この問題につきましては、昭和六十三年八月の政府・自民党の申し合わせで、北陸、東北、九州、これは鹿児島ルートでございますが、この三線は工事着工区間などが決められまして、北海道、これは青森から札幌、九州、これは長崎ルートでございますが、この二線は着工が先送りされたのでございます。その際、五年後にこの計画を見直すという項目が盛り込まれ、これに基づいてことし八月を見直しの時期にしておりましたが、いち早くこういう段取りがとられておるのでございます。  新幹線の整備に当たりましては、一つの理念が大切にされなければならないと私は思っております。それは、単なる需要の動向とか企業の採算ベース、これを超えた大所高所から、我が国の幹線交通ネットワークの形成や国土の均衡ある発展、こういう観点から、いわば狭い国土を広く使う、そして、地域振興はもとよりでありますけれども、今時に言われております暮らしの中にゆとり、豊かさを実現させる、そういう政治課題にこたえる大切な要件だと思っております。  そういう意味では、与党とか野党とか、あるいはまた陳情の度合いが多いとか少ないとか、勢いが強いとか弱いとか、そういうことにとらわれず、それを超えた、二十一世紀に向けての広範な国民コンセンサスを得ながら、この問題については表の舞台で堂々と議論をし、そして建設に向けて努力がなされるべき問題であろう、このように私は確信をするわけでございます。  そういう意味におきまして、越智運輸大臣におかれましては、この問題についてはかなり積極的で、非常に御熱意を持って取り組まれておると聞いております。まず初めに、新幹線の意義、そして必要性についていかにお考えであるのか、お聞きしておきたいと思います。
  196. 越智伊平

    越智国務大臣 整備新幹線の問題は、昭和六十三年の八月、その五年後の見直し、まずそこの認識の問題からであります。財政当局は、見直しというのは現在の基本スキームの中の見直し、こういう解釈をいたしております。私が言っておりますのは、高速鉄道、これで日本国内のネットワーク、すなわち今の三線も大事でありますが、それでは北海道をどうするのか、また日本海沿線をどうするのか、また、例えば日本海から大阪に通ずるこれをどうするのか、九州も、今の線は結構でありますけれども、東九州をどうするのか、一番しまいに申し上げますけれども、四国はどうなるのか、こういうネットワークのことも頭に入れております。そういうことで、いろいろ議論をいたしておるのであります。  先般、検討委員会を開きまして、小委員会を決定いたしました。そうして、率直に申し上げますと、やはり長期的な財政投資の見込みがないとなかなかこれはうまくいかない、こういうふうに私は思っております。もちろん大蔵あるいは自治省にいたしましても、地方自治体の負担の問題もございますから、意見が初めから一致するということはなかなかできない、率直にそう思っておる次第であります。  しかし、やはり長期的な面から見まして、今申し上げました高速鉄道ネットワーク、このことを将来は考えていかなければならない、これが第一点であります。それからもう一つは、それでは例えば長崎本線にいたしましてもあるいは佐世保にいたしましても、残った部分をどうするか、ルートが変わったら、変わった前のところをどうするかという問題もございます。したがって、そういう在来線の問題も考慮に入れなければいけない、こういうふうに考えております。  今からいろいろ議論があると思います。もちろん陳情で左右されるとかそういう問題でない、日本全国の問題を考えて構想を練っていかないといけないことであろう、こう思います。  しかし、どの線にいたしましても、どの地区にいたしましても、非常に地元が熱心なことだけはもう想像以上のものがございます。先ほどもお答えさせていただきましたが、これは与党・政府だけの問題でございませんので、野党の方々もたびたび陳情あるいは意見を申し述べにおいでいただいております。それにも十分耳を傾けてお聞きはいたしております。しかし、最終的にはやはり財源の問題だ、かように思います。  私は、運輸省の中で飛行場の費用とか港湾の建設費をちょっとこちらへ回せぐらいのことではこ の物事は解決しない、飛行場も本当に皆さん熱心でありますし、港湾についても非常に熱心、今まで以上にシェアを獲得したい、その上の鉄道でございますから、皆さんの御協力をいただいて、できるだけの財源を確保して、皆さんの御要望また日本の均衡ある発展のためにも努力を続けていきたい、こういうふうに思っておる次第であります。     〔委員長退席、佐藤(敬夫)委員長代理着席〕
  197. 高木義明

    ○高木委員 時間も限られておりますので、いわゆる三線五区間の工事の進捗状況につきましては割愛させていただきます。  私たち、いわば新幹線三法については、平成三年に国会審議をしたところでございますが、その目的の主なものは、いわゆる整備新幹線の基本スキームに沿って三線五区間をおおむね十年以内で建設することが一つ、それから負担割合については、国が三五%、地方が一五%、JRが五〇%、こういうことでございました。  そこで、今から見直し作業が進められるであろうという前提に立ちまして、その見直し作業の検討課題、いわゆる負担割合について、あるいは優先着工順位について、これは一体どういうふうなことになっていくのであろうか、またその結論のめどはどの時期に置いておられるのか、この辺についてこの際明らかにしていただきたい。
  198. 秦野裕

    ○秦野政府委員 検討委員会がつい先日発足し、また小委員会が昨日第一回目の会合を行ったという段階でございまして、先ほど大臣が申しましたように、これから財源問題を初めといたしまして、並行在来線なり収支採算性なり、いろいろな面で検討を進めていかなければならないわけでございます。  したがいまして、かなりそれなりの時間がかかるのではないかというふうにも思いますけれども、できるだけ結論を急ぐべきだという御意見もございますので、なるべく早く結論が得られるように誠心誠意努力してまいりたいと思います。ただ、いつまでというのは、ちょっと現時点でまだ御説明する段階でないということを御理解いただきたいと思います。
  199. 高木義明

    ○高木委員 不満足でございますが、時期的にいたし方ない面がございます。  そこで、この問題については最後になりますけれども、運輸大臣もこれまで、沿線各自治体等を含めて、熱心な要望も受けておられると思います。また、先ほどの御意見にもありましたように、自民党さん、政権与党の皆さん方の御意見を聞くのはもう当然でございますが、ぜひこの際、野党の意見もお聞きいただいて、まじめな意味で私たちはもうこの必要性については十分感じておりますので、そういう意味で、いましばらくという気持ちはわかりますけれども、やはり早急に一つの展望を切り開いていく、そしてまた見直しの議論についても早く結論を出すということが必要ではないかと私は思っております。整備新幹線建設についての決意をお述べいただきたいと思います。
  200. 越智伊平

    越智国務大臣 先ほど申し上げましたが、高速鉄道網ネットワークの必要性、これは私も十分承知をいたしております。そして、六十三年の八月に決定いたしまして、五年後の見直しということであります。  なぜ早く議論をしておるかといいますと、八月の、前に決まったときも概算要求の時期であった、でございますから、でき得れば今度の概算要求に問に合うようにと思って私もお願いもいたしますし、皆さんとよく相談をしておるのであります。しかし、まだ入り口でございますので、今何とも言えないというのは鉄道局長お話のとおりでございます。余り厳しいやりとりはしておりませんけれども、秘めておりますものは財源問題で、なかなか皆さん本音でやり合うというところまでいっておりません。しかし、なるべく早く決定をいたしたいと思います。  また、先ほども申し上げましたが、野党の皆さんあるいは各都道府県、市町村等の方にも私の方はもちろん同じような気持ちで接しております。決して与党と政府だけでこれを決めよう、そういうつもりはございません。皆さんの御意見も十分反映した決定の方法を進めてまいりたい、こういうふうに思っておる次第であります。
  201. 高木義明

    ○高木委員 ひとつ大臣の政治的な御決断を私はこの際、特にお願いをしておきたいと思います。予算の編成時期でもありますので、一つのタイミングというのも重要でございますので、十分御留意いただきまして善処方をお願いしたいと思います。  あと五分でございますので、まとめてお尋ねをしておきます。  地方鉄道の件でありますが、一つは長崎県の島原鉄道の問題であります。これは去る四月二十九日から五月二日にかけまして、土石流で軌道埋没あるいは路盤が流失といった被害が出ていまして、もう既に数回にわたりましてこのようなことが繰り返されておるわけでございます。私は、一地方鉄道、一企業でございますけれども、地元の公共交通機関という役割は十分なものがございまして、この先行きに非常に心配しておるわけであります。  小さな企業がこういったたび重なる天災のためにいわゆる交通が遮断される、もちろん収益も閉ざされてくる、こういう中で膨大な復旧費用がかかる、これについて私は、国の立場からできるだけの御支援をお願いしたい、そして地域の交通を守っていただきたいと思うわけでございますが、復旧の状況と今後の国の支援について、国の助成策についてどのようなお考えを持っておられるのか、お伺いをしたいと思います。  あと一つは、島根県の一畑電車の欠損補助の継続が既に関係者から運輸省にも要望されておると聞いております。この電車は、松江温泉から出雲大社前、そして出雲市を結ぶ路線でございまして、これまで昭和四十二年、年間五百八十九万人をピークに年々利用者は減少し続けておりまして、昭和四十七年には電車の存続問題が起こりまして、電車を残そう、こういう地域の広がりの中で、国、自治体による欠損補助が実現をしたいきさつがございます。今回また、改めでこのような乗客不足によってこの電車がなくなるのではないかという危機感で、関係者は自助努力といたしまして、利用の呼びかけとかイベントとか、あるいは県民のノーカーデーあるいは車内のサービス向上運動、こういうことに努めておるわけでございます。  私は、経営状況についてつぶさには承知いたしておりませんけれども、地元としてもこのような努力をしておりますときに、国としましてもできるだけの助成をしていただきまして、電車が今後地域に根差すように、そういうことを願っておるわけでございます。そういう立場から当局の方にお尋ねをしておきたいと思います。
  202. 秦野裕

    ○秦野政府委員 まず雲仙・普賢岳の方でございますが、たび重なる災害に遭われまして、大変私どもとしましても同情を禁じ得ないわけであります。  島原鉄道につきましては、まだ被害の詳細を現在会社で調査中でございまして、はっきりした答えが出ておりません。ただ、これは単に鉄道のみではなくて、その地域全体の防災事業を今後どういうふうに復興していくのかという復旧計画との関係もございますので、どのようになっていくか、それを見きわめた上で会社としても復旧作業に取りかかりたいというふうに申しておりますし、また、私どもとしましてもそうしたことを見きわめた上で、いわゆる補助についての検討を行いたいというふうに考えておるわけでございます。  補助率につきましては、御案内のとおり鉄道軌道整備法で昨年補助率をアップしておりまして、国としてもできる限りの援助をするという体制になっておりますので、今後の進捗状況に合わせまして対応をしてまいりたいというふうに考えております。  それからもう一つお尋ねの一畑電気鉄道でございますが、いわゆる欠損補助につきましては御案内のとおりでありまして、一定の基準を設けまして、要するにバスヘの転換が困難で、いわゆる生活路線というような鉄道についてその欠損を補助するというものでございます。またこの制度ができましてからかなり長い年月がたっておりまして、一部対象事業者の中に、その欠損補助の基準から大きく外れる事業者、あるいは逆に経営状況がよくなって基準に該当しなくなる、いろいろなケースが出てまいったわけでございますので、ここで一度見直しをしてみる必要があるということで見直しを始めたわけでございます。  御指摘のように、一畑につきましては輸送需要が基準から若干下がっておるわけでございますが、直ちに現在補助の対象から外すという気持ちは持っておりません。ただ、国鉄から転換しました第三セクター等の補助も五年というようなことになっておりますし、また輸送の状況も将来的にかなり厳しいものがあるということもございますので、やはりこの際、会社に対しましてはぜひ一段の経営努力お願いしたいというふうに考えておるわけでございます。  ただいま先生お話ございましたように、地元で大変御熱心に、対策協議会でいろいろなアイデアを出しておられるということは私ども承知しております。そういう意味で、長期にわたって需要がうまく喚起できるような方策というものをぜひ地元でも御検討いただきたいし、私どももそれに対応して見直しをしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  203. 高木義明

    ○高木委員 私の質問の趣旨につきましては十分お含みおきをいただきまして、よろしくお取り計らいいただきますように御要望申し上げまして、終わります。
  204. 佐藤敬夫

    佐藤(敬夫)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十七分散会