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二宮政府委員 お答え申し上げます。
まず、地球温暖化に関します実態の把握という
意味で、観測の実情と今後の課題について
お答え申し上げます。
温室効果気体の増加に伴う温暖化につきましては、これも国際的な連携のもとに観測、監視を
実施することが重要でございます。このために世界
気象機関では、各国の
気象機関の協力を得つつ、温室効果気体等の観測に関しまして大気バックグランド汚染観測網を推進いたしております。
このような
状況の中におきまして
気象庁は、この国際的観測網と連携をいたしまして、二酸化炭素等の温室効果気体の観測を岩手県三陸可及び南鳥島において
実施いたしております。また、西太平洋域及び
日本周辺海域での洋上の大気及び海水中の温室効果気体の観測を
実施いたしております。また、
気象庁内に世界
気象機関の温室効果気体世界資料
センターの役割を兼ね備えております温暖化
情報センターを平成二年度に設置いたしまして、地球温暖化に係ります温室効果気体の
動向及び気候変動の実態把握に努めているところでございます。
温室効果気体の観測につきましては、海洋を含めました全地球的な観測体制を一層充実いたしまして、長期的なかっ高精度の観測を
実施する必要がございます。このため
気象庁といたしましては、大気、海洋中の温室効果気体の観測を引き続き定常的に
実施いたしますとともに、平成五年度には、南鳥島でメタン、一酸化炭素などの観測を、また海洋
気象観測船によりまして有機炭素及び有機窒素の観測を開始いたしておりまして、このような手だてによりまして
情報の収集及び観測の強化に努めているわけでございます。
今申しましたようなことを踏まえまして、地球温暖化に関します科学的評価について御報告申し上げます。
国内外の
関係機関が積極的な取り組みを行っておるわけでございますが、
気象庁の気候問題懇談会の中の温室効果
検討部会によりまして一九八九年に報告書を公表いたしております。これも今申し上げました活動成果の一つでございます。
国際的に申しますと、世界
気象機関及び国連環境計画が気候変動に関する政府間パネル、IPCCを設置いたしておりまして、一九九〇年に最初の評価報告書を取りまとめていたわけでございます。このパネルと
気象庁の温室効果
検討部会の報告におきます温暖化の将来見通しは、科学的に本質的な違いはなく、ほぼ同一の結論を得ているというふうに
考えておるわけでございます。温室効果気体の排出に対しまして特段の対策を講じない場合、つまり現在のようなままで推移した場合でございますが、その場合には、地球全体の平均地上気温が現在よりも二〇二五年まで約一度C、来世紀末までには約三度C上昇いたしまして、また、海面水位については来世紀末までに約六十五センチ上昇する
可能性があるとこれらの報告書におきまして報告されているわけでございます。
一方、全世界の平均気温でございますが、過去百年間に摂氏○・三から○・六度上昇いたしております。これはいろいろな
データの解析等によりまして見積もりに若干の誤差があるからでございます。地球全体の海面の水位は十ないし二十センチメートル上昇したというふうに現在のところ見積もられているわけでございます。この温度上昇は、気候モデルによります、計算機によりますシミュレーションでございますが、気候モデルによって推定されました二酸化炭素等の温室効果気体の増加による昇温率と大まかに一致いたしているわけでございます。
なお、地球温暖化の研究につきましては、
気象庁の
気象研究所におきまして気候変動のメカニズムの解明に向けた研究を促進いたしますとともに、地球温暖化
予測技術の高度化に向けて大気・海洋総合モデルの開発を平成三年度から開始しているところでございます。
気象庁といたしましては、これらのモデルによります
予測結果の提供などをいたしまして、IPCCによります一九九五年度の報告書の再評価に大きく貢献することができるというふうに
考えているわけでございます。