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国務大臣(
近藤鉄雄君) 先ほどもお話を申し上げているわけでありますが、今私
たちが取り組むべき
最大の
課題は、この景気がいかにしたら回復して再び活性化するか、こういうことでございま
す。これができませんと、先ほどこれもお話ししてございますが、雇用調整が進んで雇用調整助成金で何とか支えていますけれども、さらにこれが支え切れなくなって失業が町に出てくる、こういうようなことはぜひ避けたいと、こういうことが私
たちが取り組むべき、
政府としても取り組むべき
最大の
課題である。だから、補正予算もぜひひとつ早目に御
審議をいただいて、何とか通していただきたいとお願いしているわけでございます。
ただ、国民総需要を見てまいりますと、国、地方を通ずる
政府の公共事業のウエートが七%前後であります。したがって、これを拡大することは非常に大事でありますけれども、これは全体の景気に対する旗振り役という
効果もあるわけでありまして、量からいうと限られたものであるということでございまして、結局経済を活性化するためには民間需要をどうしたら活性化するかということでありますが、それはそのうちの八割のうちの二割が民間設備投資で残りが消費であると、こういうことであります。
そこで、さあ民間設備投資はどうかといいますと、これはバブルの時代に相当な設備投資をやり、まさに我が国の先端産業と言われている自動車とかコンピューターとか半導体とか素材産業の鉄とか、そういったものがもう相当な設備投資をして、これが景気のいわば下降の今度は主役になっているわけでございますから、民間設備投資というのはそうきょうあすに拡大するということは期待できない。そう考えてまいりますと、結局残りは国民総需要の六割を占める民間消費をどうこれから拡大するかということであって、そのことを
政府はもちろん先頭に立って考えなければなりません。
しかし同時に、民間需要を拡大するためのメジャープレーヤーがそれは
企業であり、
労働組合であり、そしてその他の
勤労者ということであります。そういう民間消費を拡大するためのメジャープレーヤー
たちがすべては国の責任だよとおっしゃらないで、やはり民間のプレーヤーはプレーヤーでやるべき役割があるんじゃないでしょうかということを私は申し上げたのです。その場合に、いや、今厳しいからすべて抑制だなどというそういうムードが先行しちゃいますと、もうただでさえバブル時代にたんすの中はいっぱいになっている。それから自動車も買った、テレビも買った、コンピューターも買ったという
家庭も多いわけでありますから、そういった方々が、厳しいなら何も今買わなくたっていいんだからしばらく待とうかと、こうなってくるとますますもって景気が下降するのじゃないでしょうか。こういうことを実は申し上げたわけでございます。
ただ、そうはいったって、国が何と言おうが、
労働大臣が何と言おうが、賃金というのはまさに
企業レベルで、各
企業で
労使の方々がそれこそ真剣に話し合って毎年お決めになっていることでありますから、それをとやかくする気は全くないわけでございます。そういう点では民間の賃金の決定、ボーナスも含めて、それはもう我々はあくまでも厳正中立てあって、それは経営者の方に旗を振るわけでもなければ、組合の皆さんの方に旗を振っているわけでもない。
ただ、私が今申し上げたことはもう極めて客観的な事実ですからね。もう国の総需要の八割は民間でありますと、二割は設備投資、六割は民間消費だ、これは客観的事実ですから。そして、この二割の設備投資が急に期待できないとすれば、六割の民間消費がふえなければ来年度の景気は余りよくならないのじゃないでしょうかというのは、これはイデオロギーの左右、
内容を問わず、極めて単純な論理でございますから、そのことを申し上げて、そして個々の御判断は個々の御判断でそれぞれの
労使がきちっとお考えいただいてお決めいただきたい。しかし、私は
国務大臣としてというか、政治家としてマクロの話を申し上げているということでございますから、あくまでも厳正中立てございます。