○及川一夫君 私は、
日本社会党・護憲民主連合を代表し、さきに行われました
総理の
所信表明及び我が党の田邊委員長を初め各
議員の質問に対する
総理の御答弁につきまして質問をいたします。
昨日の
東京地裁
東京佐川急便事件の公判で、いわゆる褒め殺し街頭宣伝をやめさせるために
自民党の現職
国会議員が少なくとも七人は関与していたという検事調書が明らかになりました。
国民はあきれて物が言えないほどのショックを受けております。
竹下元総現実現にまつわる
暴力団あるいは
右翼団体とのかかわりについて、
総理はこれまで一貫して、あってはならないこと、
関係を持つべきではないという一般論的な表現にとどめてこられました。もはや、
国民の多くはこんな言い方では納得しないと思います。
検事調書によれば、
一つ、
金丸氏の代理人という表現になっていますが、解決のために三十億円の金額を提示したこと。二つ、
竹下氏を後継者として指名する条件として、中曽根氏が褒め殺しを解決するよう示唆したこと。三つ、稲川会の石井会長に解決、仲介を頼んだ結果、渡辺広康
東京佐川急便社長はむちゃな融資や連帯保証などの対価を要求されると覚悟したこと。四つ、その結果経営危機に陥った
東京佐川にてこ入れするため、
金丸氏、
竹下元首相、渡辺秀央郵政大臣らがかかわったことなどが明らかになったわけであります。
総理、極めて信憑性の高い検事調書でこのような事実が次々と明らかになった以上、
総理として、
竹下氏と
暴力団との間にかかわりがあったことを前提としてあってはならないことと批判されたのかどうか、はっきりさせていただきたいのであります。これだけ事実解明に通ずるかぎが明らかになったわけですから、
国会の御審議に協力しますなどという他人事のような言い方をやめて、事実解明のためにどうすればいいか、あるいはどうすべきかを
考え、
真相解明のためには
証人喚問は絶対必要という認識を表明すべきであります。
総理、いかがですか。
総理は、先ほど、昨日の公判廷において朗読された
供述調書は信憑性に問題があるかのごとき答弁をされました。しかし、
検察官に対する
供述調書は、弁護側が同意したものであり、証拠能力を持っております。だからこそ裁判長が全文の朗読を
検察官に命じたのであります。したがって、
総理が
供述調書の信憑性を疑うかのような答弁をされたことは、みずから行政庁たる
検察庁に重大な不信の表明をしたことであるばかりか、裁判に対しても影響を与えかねないと断ぜざるを得ないのでございます。
見解を求めたいと思います。
同時に、
金丸、
竹下両氏と
暴力団、特に稲川会との
関係については、このほかにも
疑惑が
指摘されております。
一つの例を挙げれば、昭和六十三年、浜田幸一当時の衆議院予算委員長を事実上解任するに当たって口添えを依頼したという件であります。もう
一つは、
平成二年、朝鮮民主主義人民共和国から帰国した
金丸信氏に対し
右翼の攻撃が高まったときにも、これをやめてもらうよう助力を依頼したというものであります。ここまでくると
事態は余りにも深刻であります。
自民党総裁として何らかのけじめをつけるべきではございませんか。我が党であれば、こうした行為は除名、
議員辞職の対象となるはずであります。何もしないということになれば、
暴力団との
関係が今後も続く可能性があるということになりますが、それでよいのでしょうか。
ところで、
総理の
所信表明及び答弁内容に対する
国民の皆さんの評価は厳しいものがあります。マスコミ等の論調は、
総理の反省、おわびの姿勢はわかった、不退転とか一身を挺するとかの
決意の表明も確かに聞いた、しかし、
疑惑解明のために何をしようとしているのか、
政治改革の具体的内容はいわゆる十八
項目程度で十分だと思っているのか、これらの課題を実行するために
日本の最高権力者としていかなるリーダーシップを発揮しようとしているのかそれがさっぱり見えてこないという点に尽きるのであります。私も同感であります。
国民も私も、一体
総理の本音はどうなのかということを聞きたいのであります。
国民のいら立ち、欲求不満は限界にきていると思いますが、
総理はそのように認識しておられますか、お聞きしたいのであります。
ただいま、私は
国民の声と申しました。
国民の
政治不信がかってない高まりを見せ、
議会制民主主義に対する絶望感さえ出ております。野党に属している私としても、この
政治不信に対する責任の一端は担わねばならないと反省し自覚しているところですが、
我が国の
政治の現状は、国内のみでなく外国においても批判あるいは憂慮の対象になっていることを
指摘せざるを得ないのであります。
総理はふだんから英米の新聞を読んでおられるようですから余り多くは引用しませんが、例えば、
アメリカの代表的なクオリティーペーパーであるニューヨーク・タイムズ国際版の十月十六日付社説には次のようなことが書かれているのであります。記事は、
金丸氏への裏
献金や
竹下氏の首相就任直前の
暴力団とのかかわりなどを説明した後、結論部分で、
日本国民は
政治に対し長い間受け身であったが、今や、より清潔で公正な競争、政権交代が可能な
政治を要求して立ち上がった。
アメリカもその一員であるが、
日本の同盟国は
日本国民の願いが成功することを望んでもよいはずであると言っています。
これは、間接的な表現ながら、
日本の
政治の
あり方、特に、
自民党の一党支配とその中で続発する
政治腐敗に対する
アメリカ人あるいは
アメリカ政府の違和感または不快感の表明だと言えるのであります。
日本政府は、国連の常任理事国になりたい、経済大国にふさわしい国際貢献が必要などと強調していますが、
日本政治の現状がこのように低い評価しかされていないことをどう受けとめられますか。また、最近、欧米のマスコミは、やくざとか
暴力団という
日本語をそのまま使っているのであります。悪いイメージの
日本語が外国でも通用している現状について、
総理の所見を伺いたいのであります。
昨年の十月、あなたは
自民党総裁を目指すレースの渦中にいたわけですが、最大
派閥である
竹下派の当時の会長代行小沢一郎氏の個人事務所に行かれ、巷間、まるで小沢氏による口頭試問ではないかと失笑を買った面接を受けられました。あなたにとっても生涯忘れることのできぬ屈辱的な出来事であったと思います。
これには大きく分けて二つの問題点がありました。
一つは、
日本の最高権力者となるはずの人物に対し、その裏でこれを操る陰の権力の存在が明らかになったこと、つまり二重権力または三重権力の問題であります。もう
一つは、
国民の手の届かない
派閥の論理が
日本の政権を聖断しているという問題であります。現実に、
竹下派の会長ポストをめぐる抗争はその裏権力を持ち続けようとする行動であり、
国民の激しい怒りを買っています。
しかも、宮澤内閣の主要閣僚である羽田
大蔵大臣、奥田運輸大臣、渡部通産大臣は公然とこの抗争に参加し、
派閥活動をしています。さすがの
総理も、官房長官を通じて、あるいはみずから電話でも注意されたようですが、中でも
大蔵大臣は、公務はおろそかにしていないと語り全く反省の色を見せず、
派閥活動を中止しませんでした。
総理、これは明らかな任命権者に対する命令違反であり、職務怠慢と言うほかなく、特に
大蔵大臣については、
補正予算編成の責任者でもあり、解任に値すると思いますが、いかがですか。
羽田
大蔵大臣、公務と
派閥活動の
関係について、
国民の素朴な疑問に率直に答えてください。
総理は、
政治と金にまつわる問題で
国民にわび、
政治改革に関する与野党
協議が、
政治資金の入りと出を透明にし、違反者には罰則の適用を
拡大するとの方向を出していることに期待感を表明されました。その言やよしです。しかし、それを実現するには現在の
政治と金の
関係を相当程度明らかにしなければ、まともな
政治改革ができるとは思いません。
総理は、
国民の
政治不信をとらえ、かつて経験したことのない深刻なものとの態度も表明されました。同感であります。では、どのようにしてこの深刻な
政治不信を払拭されようとするのですか。
繰り返すようですが、
金丸氏の五億円問題や
政治と
暴力団の
関係について、その
真相を明らかにすることから始めなければならないと思うのであります。これまでの代表質問に対する
総理の御答弁は抽象論に過ぎるのであります。
国民がどうしても知りたい、明らかにしてほしいと強く望んでいることを私は
指摘しながら、もう一度整理してみたいと思うのであります。
まず第一は、五億円の性格であります。
政治献金としての
陣中見舞いなのか、それとも
新潟県知事候補一本化に努力をした
金丸氏への謝礼なのか、それとも
佐川急便の事業
拡大のための先行投資、つまり許認可の推進や法違反発生時における問題処理を期待してのいわばわいろなのか、はっきりさせるべきであります。
第二には、五億円の使途の明確化と、
政治資金ではないとすれば
所得税や贈与税の関連も明らかにすべきではありませんか。
第三に、
検察当局に対しては、
金丸氏の出頭拒否をなぜ許したのか。略式起訴から罰金支払いまでわずか四日間しかかかっていないのは特別扱いであり、法のもとの平等が守られたとは言えないのではないか。
上申書のみの略式起訴で五億円をめぐる
事件が終了したというなら、拒否することなく一連の裁定文書などを閲覧させるべきではないか。
第四に、
政治と
暴力団のかかわりでは、
竹下政権誕生の際の経過や、
暴力団工作を
協議したメンバー、皇民党の褒め殺しという街頭宣伝を恐れた理由な
ども明らかにならない限り
国民の気持ちはおさまらないと思うのであります。
総理、私が
指摘をした事項について、その徹底究明の
必要性をお認めになりますか、そして、
総理・
総裁としてその解明に努力をなされますか、お答えいただきたいのであります。法務省の官僚の作文を棒読みするだけの
総理に
国民は失望しています。どうか肉声を聞かせてください。
私は、ここで、
企業献金について
総理に
お尋ねいたします。
財界のある有力者が、
企業経営者が何の見返りも期待せずに
政治献金をするとすればそれは背任行為となる、もちろん、何らかの見返りを期待していればそれは贈賄行為と言われてもやむを得ないという意味のことを言っています。私は、まじめな経営者の苦悩がよく理解できます。
総理はこの言葉をどのようにお聞きになりましたか、率直な感想をお聞きいたしたいと思うのであります。
去る九月、
平成三年度の
政治資金収支報告書が発表されました。これはもちろん自治省届け出分のみであり、いわゆる裏
献金や報告されないパーティー収入な
どもありますから全貌ではないわけでありますが、それによると、
自民党の総収入は二百九十二億円余、宏池会
関係は計十二億円余となっています。これだけの大金が入っていながらどの
企業から入ったかわからないのが実態であります。この
企業名隠しは
政治資金規正法の不備につけ込んでいることは天下周知の事実であります。
また、ここに
一つのデータがあります。
平成元年三月に、
自民党若手の
政治改革グループ、ユートピア
政治研究会が、その二年前、昭和六十二年の
政治資金収支を正直にまとめて発表された数字であります。メンバー十人の平均で、一人当たりの年間収入が一億二千余万円、内訳は、大ざっぱに言って歳費など国からの分が二千万円弱、党や
派閥からの分が一千万円、残りの九千万円強は何らかの自己努力による集金の累積となっています。一方、使途の方は、人件費、交通通信費、事務所費など運営経費的なものが七千万円強、
政治活動費四千五百万円となっており、これをさらに細かく見ると、政策活動費はわずか九百二十万円で、他はすべて冠婚葬祭費と後援会活動費に消えているのであります。
問題は大きく言って二つあります。
一つは、一億二千万円強も
政治資金を集めていながら、政策活動費と言うべきものはその一割にも満たないということ。
政治資金と言われるものの大部分は、後援会という
我が国独特の活動に使われているわけであります。もう
一つの問題は、一
議員が九千万円ほどを独自に一年で集金しているとすれば、
自民党国会議員を四百人として三百六十億円が動いていることになります。
自民党本部が集めた二百九十億円とごく一部ではダブっているでしょうが、それでも六百億円以上が動いており、その大部分は
企業や
団体からの
献金ではないかと思うのであります。
いかがでしょうか。
企業献金は
企業としての
政治参加のあかしであり、
献金禁止は
企業の
政治参加を拒むものだとする意見もありますが、論理的に成り立つでしょうか。なぜ
献金をしなければ
政治に参加できないのでしょうか。我が党は
企業及び
団体献金の廃止を提唱しています。
政治と金の問題をすっきりさせるためにも廃止すべきだと
考えますが、この点に絞って
総理の所見をお聞かせいただきたいと思います。
次に、
景気対策についてであります。
このたびの
総合経済対策については、
政府は
事業規模が十兆七千億円と史上最大であるとして自画自賛しておりますが、果たしてこれが実体経済に即応した措置と言えるのでありましょうか。特に、豊かさを実感するといいますか、
個人消費を
拡大して
景気を浮揚させようとする視点が欠けている点が極めて私は不満であります。
公共投資中心の今回の
対策について、
政府は経済への波及効果は大きいと主張していますが、果たしてそうでしょうか。確かに建設業を中心とする業種についての直接効果はあるでしょうが、手当てをしなければならないと言われている業種にまで波及するかどうかは大いに疑問と言わざるを得ません。また、
自民党内に地価税の税率見直しや居住用財産の買いかえ特例の復活を主張する向きがあることを
考え合わせると、今まさに問われている
政治と金の問題を連想せざるを得ないのであります。
生活大国を標榜する
宮澤総理としては、今回の
公共投資の追加のどこに特色があるのか、これまでの
資金配分とどこが違うのか、そして来年度予算での公共事業についての基本的スタンスはどこにあるのか、明確にしていただきたいのであります。
また、
大蔵大臣には、不動産業界を初め一部業界に配慮したと判断せざるを得ないようなバブル復活につながる税制改正が行われないことを確約していただきたいのであります。
さらに、今回の
総合経済対策のうち、とりわけ土地の買い上げ機関の措置は、
総理の言う
生活大国構想とどう整合性があるのか理解に苦しむところであります。土地の担保つき買い上げ機関を制度として設けるということは土地の流動化を促すものであることは間違いないし、流動化を期待するということは、需要と供給の
関係があるとはいえ、土地の価格は上昇することがあっても下がることはないと
考えるのが
日本の常識であります。ということは、現状でも首都圏などでは年収の五倍でも持ち家を持つことができないのに、せっかく下がりかけた地価が再上昇に転ずることは
生活大国実現に逆行するものではありませんか。地価の一層の引き下げ策を実施することはもとより、この買い上げ機関に公的
資金の投入をしてはならないと思いますが、
総理の御所見を求めるものであります。
次に、減税についてであります。
消費税導入後四年が経過し、さきの税制改正の本当の姿が明らかになってきております。
政府は
消費税の導入を中心とした税制改正の目的を、中堅
サラリーマン中心の税
負担軽減と
消費税の実施により差し引き二兆六千億円の減税を行ったと主張してまいりました。しかし、給与所得者の税額の割合は六・三四%と高水準になっており、
税負担は増加しています。まさに、我々が主張したとおり、先般の税制改正は結果から見ても法人税の減税であり、そしてその財源
対策として
消費税創設が主眼であったことは明らかであり、
サラリーマンの
所得税の重税感は何ら解消されるどころか募るばかりなのであります。
消費税を導入した
竹下内閣は
暴力団との約束は守っても
国民との公約は破ったのであります。
総理は、減税の財源がないと言われますが、それは政策の優先順位を変えることによって捻出できないものではないはずであります。まず
所得税減税の
必要性を認めるかどうかです。公約を果たすためにも
サラリーマンに対する相当
規模の減税を行うべきであると
考えますが、御
見解をお聞かせください。
また、
大蔵大臣は、
消費税の見直しを中長期的課題だとしておりますが、具体的に何が課題であり、どの程度の期間を言うのかお答え願いたいのであります。
ところで、
消費者の立場に立った
不況対策の
一つとして、私は、個人の住宅ローンの元本返済を二年間程度一律に猶予すべきだということを主張したいのであります。
平成三年の銀行扱い住宅ローン返済額は約八兆円と言われています。そして国が所管をしている住宅金融公庫の分が五兆円近くあり、合わせて十三兆円ということになります一が、そのうち利子分は五兆円、元本分が八兆円ということになります。私はこの元本分について二年間返済を繰り延べできるように
政府は指導すべきだと
考えるのですが、いかがでしょうか。
なぜなら、住宅ローンを抱えている人は、可
処分所得の目減りによって耐久
消費財はもとより食費まで切り詰めた生活をしており、
個人消費の伸び悩みの要因となっているからであります。二年間でも返済が猶予されることは、すべてが可
処分所得の
拡大につながらないまでも、毎日の生活にいささかなりとも余裕が持てることになると思うのであります。
大蔵大臣の所見を求めたいと思います。
次に、金融問題についてであります。
我が国の金融政策は、八四年の日米円・ドル委員会
協議以来、金融の国際化と利用者の利便の向上を掲げ、金融の自由化を推進してきております。そして、この路線の総仕上げとして、さきの
国会において金融制度
改革法が成立し新たな金融制度がスタートすることになったのであります。しかし、この間、銀行は何を行っていたのでしょうか。先を争って土地融資にのめり込み、バブル経済をつくり出し、そのバブル崩壊後は十兆とも三十兆とも言われる不良債権の山を築いているのであります。銀行業界は
政府に対して、保有する不良債権を
処分した際に生ずる損失についてその償却を無税で行えるように税制の優遇策を要望しております。
大蔵大臣はこの要求にこたえるつもりでしょうか。明確な答弁を求めます。
さらに、今回の
対策では、郵便貯金、厚生年金、
国民年金あるいは簡易保険という
国民の零細な、かつ貴重な
資金を使って証券市場の活性化を図ろうとしておりますが、このようなことを果たして
国民は望んでいるのでありましょうか。郵貯など公的
資金は将来にわたって安全確実な運用が最も求められ、株価
対策のために市場に持ち込まれることは本当に適切なのか疑念を持つものであります。現状において株式組み入れ比率に制限を設けない総額二兆八千二百億円もの公的
資金を投入することは、銀行の土地買い上げ機関構想と同様、機関投資家がもてあましている株式を肩がわりする性格のものとなることは容易に
考えられ、この点について、
大蔵大臣、そして郵政大臣の
見解をただしたいのであります。
また、NTT株の四年度及び五年度の売却凍結、JR東
日本株、JT株の四年度売却凍結を打ち出しましたが、これは明らかに、
政府にとって保有株式を財テクの手段に使おうとしていることを如実に示しております。株価が高いときは売り出し、低いときは中止するという手法では、あたかも
政府が株価を保証するかのような印象を与え、いわゆる
政府の御用相場をつくり出すおそれがあります。昭和六十二年、第一次NTT株の売り出しにおいて、市場はまさに国策に売りなしの状況となり、その後の株式市場をあおり立てる一因となったことを改めて思い起こさなければなりません。時の
大蔵大臣は首相である
宮澤総理でありました。
政府としては、市場の動向を見つつ、より多くの売却収入を得ようとする方針を改め、冷静かつ計画的な売却を行うべきだと思うのでありますが、いかがでしょうか。
次に、労働時間の短縮がなかなか進んでいない問題であります。
ことし六月に閣議決定された新経済五カ年計画でも冒頭に時短の目標が掲げられ、いわゆる
生活大国実現への目玉政策として位置づけられているように見えますが、実態はどうでしょうか。
日本の経営者は、
景気がよいときは人手不足のため時短などできないと言い、むしろ残業をふやしてくる。
景気が悪くなったらなったで、西欧諸国のようにワークシェアリングをするのではなく強引な人減らしに走り、残業や土曜、日曜出勤が減るぐらいで、年間一千八百時間の達成はいつのことかと思われます。これでは貿易摩擦、国際摩擦もなくならず、
日本に対する批判は厳しくなるばかりであります。
したがって、
日本の場合は、新経済計画の目標を確実に実現できるような法的措置が必要であります。経営者の意識を変革させるという観点も含め、労働基準法改正や、
中小企業、特定業種については時短助成金などの支援措置を強化する必要があると思いますが、労働大臣の所見を伺います。
最後に、私は、ぜひ
総理にお
考えをいただきたいことがあります。それは、
我が国民主主義の根本をなす三権分立制度の危機の問題であります。
一つは、司法権の独立の危機であります。報道されているような
自民党権力と司法権の癒着は、健全な民主
政治にとって自殺行為であることは論をまちません。
二つは、立法権の形骸化であります。この問題については、私も立法機関の一員ですから自戒を込めて申し上げるのですが、立法権の
具体化とも言うべき
議員立法が全く振るわないなど枚挙にいとまがありません。
さらに、議院内閣制の危機の問題であります。
総理の執行権は議会を通じて
国民から負託されたものであるはずですが、あなたの
政治行動を見ておりますと、
国民の目に見えない幕の向こう側にもう
一つの権力があって、どうもそちらの方が本当の権力ではないかと思われる点であります。