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下稲葉耕吉君 去る九月十六日から九月十八日までの三日間、
片上委員長、
真島理事、
竹村理事、
猪熊理事、
鈴木委員、
深田委員、
紀平委員と私、下稲葉は、
検察及び
裁判に関する
調査の一環として、最近における司法行政及び法務行政に関する
調査のため北海道に行ってまいりました。
第一日は、札幌高等
裁判所において、札幌高等
裁判所、札幌地方
裁判所、札幌家庭
裁判所、札幌高等
検察庁、札幌地方
検察庁、札幌法務局、札幌矯正管区、北海道地方更生保護
委員会及び札幌入国管理局の各機関から管内概況について説明を聞きました。
第二日は、釧路地方・家庭
裁判所網走支部、網走刑務所の実情を視察いたしました。
第一に、司法行政及び法務行政に関する概況について申し上げます。
まず、
裁判所関係の概況について申し述べます。
平成元年から
平成三年度までの三年間における各
裁判所の
事件処理の概要について申しますと、民事
事件におきましては、近年減少傾向にありましたが、このうち訴訟
事件及び調停
事件は、
平成二年度を底に
平成三年度から漸増の傾向に転じております。刑事
事件におきましては、
平成三年度はほぼ減少傾向にあります。家事
事件及び少年
事件については、家事
事件の新受件数はほぼ横ばい状態であり、少年
事件は漸減傾向にあります。
なお、いずれの
裁判所におきましても、
事件処理の
状況は順調に進んでいるということであります。
次に、
法務省関係の概況について申し述べます。
まず、
検察当局の刑事
事件処理の
状況について申し上げますと、最近の犯罪
動向は、全般的には平穏に
推移しており、受理
状況はほぼ横ばい状態にありますが、依然として凶悪
事件が後を絶っておりません。また、覚せい剤・少年犯罪は減少傾向にあるものの、覚せい剤の所持、使用が
一般人にまで浸透してきたこと、暴走族による非行が続いていることなど、その
動向は注目されるところであります。
次に、法務局
関係について申し上げますが、札幌法務局管内における登記
事件数は、
昭和四十年代後半から、不動産取引が特に活発となって急増し、その
事務量は現在も高水準を維持しております。また、登記
事務のコンピューター化を順次進めてまいっておりますが、その移行作業等に正規
職員の
確保が必要不可欠であり、当面の重要課題となっております。
次に、矯正管区
関係でありますが、当管内の行刑施設においては、受刑者の約三五%が管外から移入した受刑者であり、暴力団
関係受刑者は全体の六割前後を占めております。また、網走刑務所を視察してまいりましたが、ここはB級施設として犯罪傾向の進んだ者が主体を占めており、
職員は厳正な規律のもとに、その更生改善のため、日夜御苦労を重ねておられます。なお、網走刑務所の旧建物を移築した博物館網走監獄も視察してまいりました。
次に、北海道地方更生保護
委員会の
関係について申し述べますが、保護観察では、シンナー乱用少年、暴走族等、保護観察
事件の八〇%を少年
事件が占めております。処遇が特に困難である暴力団
関係者については、本年三月からいわゆる暴力団対策法が施行されたことに伴い、警察との連携を強化し、暴力団からの離脱の促進に努めているところであります。
次に、入国管理局
関係について申し述べますが、札幌入国管理局管内においては、出入国者数が新千歳空港における国際定期便の増便等により激増しており、審査
関係諸申請件数も増加しております。当管内は、地方入管局の中でも最も広い管轄地域を有しているため、本局、出張所間で相互に応援態勢をとっておりますが、遠距離の応援も多く、相当な時間と経費を要しております。
第二に、庁舎施設及び宿舎の営繕
状況について申し上げます。まず、庁舎施設でありますが、札幌第三地方合同庁舎が、新営中でありまして、
平成六年一月に完成後、札幌家庭
裁判所、札幌高等
検察庁などが入居する予定になっております。法務局におきましては、老朽した庁舎について、登記
事件の急増によって
事務室、書庫ともに極度の狭隘となっていることに加え、登記簿のコンピューター化に対応した庁舎設備が必要となってきております。矯正施設におきましては、網走刑務所の全面改築が
平成二年に完成しております。宿舎につきましては、一部老朽住宅、狭隘住宅があり、寒冷地である北海道の特殊事情等に照らし、改善が必要と見受けられます。
第三に、
関係諸機関から管内
状況等を伺った際、
派遣委員の方からも熱心に
質問その他がなされましたが、その項目の概要について申し上げます。カード破産の増加に対する
事件処理態勢、暴力団対策、北方領土の不動産登記台帳の保管
状況、人権擁護
委員の活動、行刑施設の収容定員、女性
裁判官の数、
裁判所と
弁護士会との連絡態勢等の問題が取り上げられました。
第四に、本
委員会に対する要望
事項について申し上げます。特に、札幌法務局から、増員、施設の
整備等について強い要望がございました。その
状況については既に触れたところであり、相当の要望ではなかろうかと存ずる次第であります。
以上で概要の報告を終わりますが、私
ども直接に現地の
関係部局の方々にお目にかかり、種々勉強させていただきました。特に、人を収容して処遇するという困難なお
仕事などは御心労もひとしおかと存じ、皆様の御健勝を祈念いたします。
また、
調査に当たっては、現地
関係機関から御懇篤な御協力をいただきましたこと、並びに最高
裁判所及び
法務省当局から手厚い御便宜をお図りいただきましたことを、この席をおかりして厚く御礼申し上げます。
以上でございます。