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大塚清次郎君 私は、
質問通告をいたしておりましたが、順序をひっくり返しましてガット・ウルグアイ・ラウンドの
農業交渉に関連して簡単にお聞きをいたしたいと
思います。
実は、ただいままで
委員会の中でこの問題は集中的に
質問があり、
議論を聞いておりました。かなり重複
部分がございますので、
質問通告事項とは少々かけ離れますが、このガット・ウルグアイ・ラウンドに対して我々がなぜ三度の
国会決議に裏打ちされた米の
自由化阻止を一生懸命やっているかというと、今度の
例外なき
関税化というのは、私は非常に将来不安で、そして大きな禍根を残す、どうかすると
日本の
農業が安楽死するという結果をもたらすと
思います。
これは決して私の
思い過ごしでもないと
思います。先ほど林さんから出ましたあのわけのわからないいわゆる
政府の内部文書、これを見てみますとよく解説してあると思うんです。こういうことは、私は外務省のさっきの本よりも、これはやっぱり私
どもがよくPRしなきゃならぬ。
我が国のいわゆる米を中心にしたそういう農産物を守るという
立場から、私は褒めてさしあげたい。
そしてまた、農水省の事務方は、塩飽さんにしましても事務次官初め農水省にしましても、このスタンスはしっかりしておると思うんです。非常に御苦労なさっておるということに私は本当に感銘してずっと見詰めておるわけでございますが、
一つ、
渡辺外務大臣の
発言、これが非常に波紋を呼んでおるようでございます。また、どうも確信犯じゃないかと思われる節がある。こういうのは一粒も入れないではいかぬじゃないか。一粒もという言葉を
外務大臣が使っておるが、我々は使っていないんです。もう五万トンぐらい入っているでしょう。そんなものはみんな承知なんですよ。それを殊さらに強調するのは何か意図があるのかということ、
条件闘争への。こういうことが考えられます。
それから、関税の壁をつくればいいじゃないか、ミニマムアクセスだって三%から五%でなだらかにやっていけばいいじゃないかという
議論が非常に世論形勢になっているというようなことがあるわけでございます。そういう意味では五項目に要約してありますこの
政府の内部文書というのは非常に正鵠を射ておる、こう
思います。ですから、そういうスタンスであくまでも貫いていくべきだと
思います。
外務省があればいいんですが、逃げたのか帰ったのか今おりませんけれ
ども、実はそういう
政府部内が意思統一をしてありますと言いながらなかなかそうは見えない。いろいろな
発言なり、いろいろなそういったような漏れ出てくることからいたしますと、特に外務省にしっかりしてもらわなきゃならない。貿易のインバランスがあるから、それによって米を開放しないと今後報復を受けるんじゃないかとか、そういったようなバランス感覚があり過ぎて非常に困る。それがあり過ぎると米を私は守れないと
思います。
そういう意味で、そこまではいいんですが、私は非常に不安がそのほかにあるということを申し上げたい。これは農林省はお気づきであるかどうか。恐らく知っておられると
思いますが、この内部文書の要旨のほかに、
日本人の食生活に向く好適米は割合カリフォルニアの一部とどことかに限られておる。あとは全部長粒米だ、東南アジアとか。それからもう
一つ、ミシシッピ湾岸は長粒米であって、これはなかなか余計はできぬ、マイナーな
食料だ。だからそう恐れることはないというようなことが喧伝されておりますが、これはすぐできるんですね、好適米は。戸を
日本があけたらすぐできるということでございます。
というのは、欧州の
日本食はほとんどスペイン米、スペインにいいのができる、
日本米とちっとも変わらぬのが。
日本より以上のものも場合によってはできる。そういうのが世界
各国につくられている。
アメリカだけじゃない、これが問題。ここの非常な懸念というものを我々はよく持ち続けなきゃならぬという問題。
それからもう
一つは、先ほど触れられましたが、これにも書いてあります低品位米、低品位米は化け物の材料として、調製品としてこれは入ってくるおそれがある。これはもう早急に入ってくるおそれがある。もう開放すればすぐに入ってくる。これは今ありますのは数は知れておりますけれ
ども、まずモチ米二十五万トン、それから他用途利用米等でつくっておる五十五万トンですか、恐らく百万トンぐらいすぐこれは入ってくる。これは関税を高くしても関税では防ぎ切れないという問題がある。
関税払ったらいいわけでしょう。そして、結局内外価格差もフレートで操作できる。いろいろ為替相場も変わるから非常に不安定ということがあるわけでございます。C&FでCIF価格で入ってくるのと
日本の卸価格の対比ですから、これがどうなるかという問題。これには触れてもありますが、もっと潜んでおるのは、私は今度の
ECと
アメリカの間の
油糧種子を中心にした秘密
交渉、これがまだどういうところが隠れておるか出てきません。出そうともしません。恐らくこれは外に出せないいろいろな何かがあるんじゃなかろうかと。
そういう点もあわせ考えますと、公正なるべき、公平なるべき、ガラス張りであるべきマルチ
交渉の中に秘密
交渉とはこれは何事ぞ。そういうウルグアイ・ラウンドを、世界の自由貿易を表に出して非常にきれいごとに見えるわけでございますけれ
ども、実際は
アメリカの穀物メジャーの世界穀物市場支配の意図がこの秘密
交渉の中に見えてきている。私はそう考えます。
私も外国にもしょっちゅう行きまして食品取引等にも携わっております。これは今
思い出すと
日本にも
関係があることが過去にやられておる。昭和三十八年のレモンの
自由化で瀬戸内のレモンは全部だめになった。これはレモンをコストを無視してディスカウントして一遍に持ってきた。そして
日本のミカン産地を、レモンの産地をつぶしておいて、だんだんだんだん価格を調整していったという、いわゆる生産者から中間業者そしてメジャーと、この垂直の体系なんですね、
向こうは。こっちのように家族経営じゃございませんから。そういう面から言うと今度の
例外なき
関税化、これは非常に危険だ。あれ、しまった、あら、しまったということになりかねぬという非常に不安が残るわけでございます。
そういったようなことで、私はこの際内部文書なるものもしっかり表に出して、そしてしっかり
国会議員にもみんな知らせ、そして今のような隠れた懸念、そういうものもよく分析しながらこれには対応しないといかぬのじゃないか、こう
思います。
外務大臣はそういうことを恐らくおわかりだと
思いますが、どうして
条件闘争なんて言われるのか腑に落ちません。農水省は
条件闘争じゃない、あくまでも初志を貫くという
立場で、
例外なき
関税化反対を本当に固く武装して構えてもらっておりますので、
最後までひとつやっていただきたい。
時間がないので
答弁を求めません。私の言うことにもし違うことがあればひとつ官
房長答えてください。