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竹山裕君 北海道への
委員派遣について、その概要を御報告申し上げます。
去る九月九日から十一日までの三日間にわたり、
野末委員長、
藤田理事、
鈴木理事、
前畑理事、
及川理事、
北澤委員、
楢崎委員、
山田委員、
吉岡委員、
島袋委員及び私、
竹山裕の十一名は、北海道財務局、札幌国税局、札幌国税不服審判所、函館税関及び日本たばこ産業株式会社札幌支店から、それぞれ管内の概況
説明を聴取するとともに、
金融機関との意見交換を行ったほか、ニッカウヰスキー北海道工場等を視察いたしました。
以下、
調査の概要について申し上げます。
北海道は、全国土の約二二%を占める広大な面積に対し、人口は全国の約五%で人口密度が低く、その中にあって全道の人口の約三割が札幌市に一極集中しております。また、総生産額は全国の三・九%と人口のシェアを下回っており、一人当たりの道民所得も全国水準の約九割にとどまっております。
産業構造の特色としては、全国に比べて、第一次、第三次産業の割合が高いのに対し、第二次産業の割合は低く、特に
製造業は全国水準の二分の一以下となっております。さらに、総
固定資本形成のうち、公的
固定資本形成の割合は全国水準の約二倍と、公共事業への依存度がかなり高いほか、貿易面では輸入額が輸出額の約六倍と大幅な輸入超過となっております。
最近の経済動向を見ますと、公共投資の前倒し執行は順調であり、住宅建設にも回復の兆しが見られますが、個人消費や
設備投資に慎重さが見られ、こうした
状況を背景に企業の生産活動は停滞傾向にあるなど、道内
景気は減速感を強めている
状況にあります。また、
景気の先行きにつきましては、各種アンケート
調査の結果、経済のリード役である個人消費に力強さが見られないこともあり、回復は来年の春以降になるとの見方が強くなっております。
次に、金融面についてであります。
広大な地域をくまなくカバーする上で、信用金庫、漁協など中小
金融機関及び郵便局の店舗数が多く、これら機関の預貯金のウエートも高くなっております。一方、
貸し出しは
政府系金融機関など公的
資金のウエートが高く、全国水準の約二倍となっております。金融自由化の流れの中で、道内金融において重要な地位を占める信用金庫も収益環境の変化に
対応すべく体質強化を図っており、その一環として、昨年九月に道内の
金融機関としては実に三十五年ぶりに、北海信用金庫と長万部信用金庫の合併が実現しております。
金融機関との意見交換におきましては、資産デフレに伴う
不良債権問題の解決は
金融機関自身の自助努力が大前提であること、
金利の自由化による
資金調達コストの上昇については経営の合理化に努力を傾注していること、
金利低下局面での郵貯への
資金シフトについては定額貯金の商品性見直しが必要であることなどの意見、要望が出されました。このほか、最近特に問題となっております企業の
資金需要と
金融機関の信用供与の実態については、
派遣委員の関心も高く、活発な
質疑が行われましたが、北海道においては
資金需要が停滞しており、いわゆる貸し渋りはないとのことでありました。
次に、税務行政についてであります。
管内の
平成二
年度の徴収決定済額は、一兆五千六百四十一億円と全国に占める割合は二・四%であり、対前年比で一七・一%の
伸び率となっております。これを税目別に見ますと、源泉所得税、申告所得税及び消費税の増加が大きく寄与しております。また、税目別構成比では、道内に納税地を有する大規模法人が少ないことから、全国に比べて源泉所得税の割合が高く、法人税の割合が低いのが特色となっております。
一方、
平成三
年度の国税不服審査請求の発生件数は百十八件、前
年度からの繰り越しが五十七件あり、このうち百十件を
処理し、その約九割が所得税に関するものでありました。とりわけ、給与所得事案につきましては、逐年発生件数は減少傾向にあり、最近三カ年の平均発生件数は四十七件となっております。
次に、税関行政についてであります。
函館税関は、北海道、青森県、秋田県及び岩手県の一道三県を管轄しており、管轄面積では全国の約三〇%、海岸線距離でも全国の約二五%と広大な地域に及んでおります。管内は石油精製、製紙など素材加工産業が多いこともあり、原材料の輸入を主とする輸入主導型の貿易構造となっております。また、
平成三
年度の犯則摘発件数は二百
六件であり、対前年比で約二倍となっておりますが、これは近年、対ロシア貿易が増加しており、これら乗組員等による密輸入事犯が多発したためであります。
以上、各行政
分野について申し上げましたが、共通して言えますことは、それぞれの機関ともに行政
需要が多様化、高度化する中で、業務量が増大する一方、定員は横ばいないし減少傾向にあり、これに
対応するため効率的な業務運営に努めているところであります。なお、全財務労働組合北海道地区本部から定員の確保に関する陳情書が手交されております。
次に、たばこ事業についてでありますが、
平成三
年度の販売数量は百三十九億本、販売代金は千五百十四億円と、全国に占める割合はいずれも約五%となっております。また、特色としては喫煙率が全国のトップであるほか、外国たばことの競争が北海道では激化しております。
一方、
平成三
年度の塩の販売数量は、かずのこの生産調整などが影響し、対前年比三・七%減の十三万トンとなっております。
最後に、視察先について簡単に紹介いたしますと、まずサッポロビールは、明治九年に開拓使麦酒醸造所として創業以来、百十五年の
歴史を誇る我が国最古のビール会社であり、最近では東京恵比寿工場跡地に大規模再開発計画を進めるなど、業務の多様化に努めております。
雪印乳業は、大正十四年に乳製品の生産、販売の一貫化を目指し北海道製酪販売組合として出発したもので、近年、市場の成熟化や食
生活の
ニーズの多様化に加えて、世界の自由貿易確立の流れの中で、食
生活と健康に関する
分野を
中心に事業展開をしております。
さらに、ニッカウヰスキーは、
昭和九年に大日本果汁株式会社として発足したもので、先般の酒税法
改正による旧二級酒の価格高騰や輸入ウイスキーとの価格競争によって経営環境が悪化している中で、水割りウイスキーの商品化など新たな顧客の開拓を目指しております。
以上、概略を申し述べましたが、今回の派遣におきまして
調査に御協力いただきました
関係行政機関、団体及び事業所の方々に対し、この席をかりまして厚く御礼を申し上げ、派遣報告を終わります。