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1992-12-09 第125回国会 参議院 商工委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
平成
四年十二月九日(水曜日) 午前十時四分開会
—————————————
委員
の異動 十二月九日 辞任
補欠選任
村田
誠醇
君
西野
康雄
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
斎藤
文夫
君 理 事 合馬 敬君 松尾 官平君 吉田 達男君 井上 計君 委 員 倉田 寛之君
下条進一郎
君 前田 勲男君
松谷蒼一郎
君
吉村剛太郎
君 谷畑 孝君
西野
康雄
君
峰崎
直樹君
村田
誠醇
君
藁科
滿治
君
浜四津敏子
君
和田
教美
君 市川 正一君
古川太三郎
君
小池百合子
君 発 議 者
和田
教美
君
国務大臣
国 務 大 臣
加藤
紘一
君 (
内閣官房長官
)
政府委員
公正取引委員会
小粥
正巳
君
委員長
公正取引委員会
地頭所五男
君
事務局長
公正取引委員会
事務局官房審議
塩田
薫範
君 官
公正取引委員会
矢部丈太郎
君
事務局経済部長
公正取引委員会
植松 勲君
事務局取引部長
公正取引委員会
糸田
省吾
君
事務局審査部長
法務大臣官房審
山本 和昭君
議官
中小企業庁次長
土居 征夫君
事務局側
常任委員会専門
小野 博行君 員
説明員
社会部保険庁総務
池田 登君
部経理課長
建設省建設経済
風岡 典之君
局建設業課長
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
私的独占
の
禁止
及び
公正取引
の
確保
に関する法 律の一部を
改正
する
法律案
(第百二十三回
国会
内閣提出
、第百二十五回
国会衆議院送付
) ○
高度医療福祉機器
の
研究開発等
の促進に関する
法律案
(
和田教美
君外二名発議) ○「不況」打開のための
中小業者対策
に関する請 願(第一九四
号外
二二件) ○
商店街
の
活性化
に関する
請願
(第八三一
号外
二 件) ○
古紙回収業界
の存続と
リサイクル社会実現
のだ めの「
古紙リサイクル基金制度
」等の確立に関 する
請願
(第八五一
号外
一件) ○
継続審査要求
に関する件 ○
継続調査要求
に関する件 ○
委員派遣
に関する件
—————————————
斎藤文夫
1
○
委員長
(
斎藤文夫
君) ただいまから
商工委員会
を開会いたします。
私的独占
の
禁止
及び
公正取引
の
確保
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
を議題といたします。 これより
質疑
に入ります。
質疑
のある方は順次御
発言
を願います。
藁科滿治
2
○
藁科滿治
君 おはようございます。私、初めての
発言
の機会でございまして、多少緊張しておりますが、よろしく
お願い
いたします。 私は、
本件
につきまして若干の
意見
を提起しながら幾つかの御
質問
をさせていただきます。 率直に申し上げまして、今日まで
公正取引委員会
は、国民、
格別一般消費者
の側から見た場合、必ずしも信頼されその負託に十分こたえ得る存在とは言えなかった、私はそのように
考え
ております。しかし今、
公取委
は
内外情勢変化
の中で改めて注目を集めております。言うまでもなく、その
情勢変化
の
一つ
は
日米
構造協議に象徴される
国際摩擦圧力
であり、もう
一つ
は国内における
経済力
と
生活実感
とのギャップからくる
不信感
であります。そのような
情勢
の中での
公正取引委員会
の今後の動向に私は
期待
を寄せながら、以下数項目の御
質問
をいたします。 まず
最初
に、昨日来熱心な討議が行われておりますが、
違法行為
に対する
抑止力
の向上について御
質問
いたします。 これまで
我が国
の場合、
独禁法違反行為
に対しては寛容さが目立つように思います。刑事告発されることは非常にまれであったように思います。しかし今、
内外
の
情勢
はそれを許さない
状況
となっているわけでありますが、この
改正案
をもって
違法行為
に対する
抑止力
はどのように変わっていくのかまずこのことについて
公取委員長
から御
答弁
をいただきたいと思います。
小粥正巳
3
○
政府委員
(小
粥正巳
君) ただいま
藁科委員
から御
指摘
をいただきましたように、
内外
の諸
情勢
の
変化
を
背景
といたしまして、
独占禁止法遵守
の
重要性
、この
法律
の
運用
、
執行
に当たる
公正取引委員会
の
役割
が極めて注目されているところでございまして、私
ども
も任務の遂行に当たりまして御
指摘
の点は強く心に銘じて
仕事
をしているつもりでございます。 そこで、今の
お尋ね
でございますけれ
ども
、今回
お願い
をしてございます
政府提案
の
独禁法改正
、
内容
は御
案内
のとおり、
制裁
としての
刑事罰
の
罰金刑
の
大幅引き上げ
でございます。これは
現行
の
個人行為者
との
連動規定
による五百万円という
罰金額
の
上限
を、その
連動
を切り離しまして二十倍の一億円にするという大幅な
引き上げ
を
内容
としているわけでございます。 あわせまして、
我が国独禁法
の特色でもございますが、
独占禁止法違反行為
に対する
課徴金制度
が併置されているところは御
案内
のとおりでございます。この
課徴金
の
性格
は、再三申し上げておりますけれ
ども
、
カルテル
による
企業
の不当に得た
利益
を徴求する、こういう
性格
のものでありますけれ
ども
、
企業
に対して
金銭的不利益
、
負担
を課するという
意味
では
制裁
としての
刑事罰
と
性格
は異なるものではありますけれ
ども
、
企業
にとって
負担
であることは当然でございます。 この
課徴金制度
につきましては、御高承のように昨年
法律改正
を
お願い
いたしまして、この
課徴金
の
算定率
を
原則
四倍という、これも大変大幅な
引き上げ
をお認めいただいたばかりでございます。したがいまして、ことしこの
政府案
を
国会
で御成立を認めていただければ、
刑事罰
の大幅な
引き上げ
、それから昨年行ったばかりの
課徴金
の大幅な
引き上げ
、両々相まちまして総合的な
抑止力
という
観点
からは格段にその
強化
が行われるものと
考え
ているわけでございます。 この
独占禁止法違反行為
に対しましては、
先進国
を初めこの
独占禁止法制
を有しております諸
外国
では、それぞれの国の特有な
制度
によりましてこれに対して
制裁
を加える
制度
を持っておりますけれ
ども
、
我が国
のように
制裁
としての
刑事罰
と、それから
カルテル
による不当な
利得
を徴収するという
性格
を持つ
課徴金
、これを併置しているという
制度
は恐らく
我が国
だけの特有な
制度
であろうかと思います。その
意味
ではやはりこの両者が相まちまして総合的な
抑止力
、しかも昨年、ことしと引き続きましてその大幅な
引き上げ
を図っているというところに、申し上げました格段の
強化
という
内容
が込められているわけでございます。 その点は、これは定量的な御
説明
はなかなか難しゅうございますけれ
ども
、
我が国
の
現状
あるいは諸
外国
の
法制
との
比較等
を
考え
ましても大変大幅な
引き上げ
であり、このことがもし
独占禁止法違反行為
を行えば極めて厳しい
負担
、
制裁
を受けざるを得ない
企業
に対して
大変感銘力
と申しますか、
違法行為
を思いとどまらせるような
抑止力
、これは非常に強まるものと私
ども
考え
ているわけでございます。
藁科滿治
4
○
藁科滿治
君 あわせて重要なことは、
公正取引委員会自体
の
執行力
の
活性化
、こういうことが非常に重要であるというように
考え
ておりますが、その
機能強化
に向けての決意について、後ほど私が具体的な問題でさらに
委員長
に伺いたいと思っております。 せっかく
加藤官房長官
お見えになっておりますので、私は
内外
の
環境変化
の中で
公取委
の使命、
役割
というのは非常に重くなっていると思っておりますが、ここでは特に
体制強化
の一環として
要員強化
、これからどのように
考え
ていくのか、それは量的な問題だけではなく
決断
あるいは勇気、
行動力
というような問題を含めまして私は強力な
体制強化
が必要ではないかというように思っておりますが、そういう面についてのお
考え
があれば、ぜひ伺いたいと思います。
加藤紘一
5
○
国務大臣
(
加藤紘一
君) 従来から
公正取引委員会
は、公正な
経済活動
のためにしっかりとした
運営
をやってきたと思っておりますが、最近に至って
日本
の
公正取引委員会
はある
意味
では世界を意識した
公正取引委員会
にならなきゃならなくなってきたというような
情勢
に来たのではないかと思っております。
日本
の
GNP
がこれだけ大きくなって、特に
日米
の
GNP
を足しますと四割というようなところになりますと、この
日米
の
経済関係
、そしてそれからくるいろいろな
摩擦
を
考え
るときも、
日本
の市場それから
経済活動
がいかに公正であるかということは、単に
日本
だけではなく、単に
日米
だけではなく、
アジア諸国
も
ヨーロッパ諸国
も含めて
経済活動
を一生懸命やっておる
諸国
の非常に強い
関心事
になってきたと思います。ある
意味
で監視のもとに置かれるようになってきたと思います。 その
意味
で、今
藁科委員
御
指摘
のように、
公正取引委員会
の
活動
が従来にも増して国際的な視野を持ち、なおかつ
決断力
を持たなければならない時期になってきたということは、御
指摘
のとおりだと思います。その点を
公正取引委員会
の現場では十分自覚して
仕事
をしていってくれるものと
期待
いたしております。
藁科滿治
6
○
藁科滿治
君 次に、具体的なことで御
質問
をいたします。 昨日来、
罰金上限
一億円をめぐってあるいは数億円をめぐって、かなり踏み込んだ
論議
がございました。昨日は、
参考人
の両
先生
のお話も聞かしていただきました。 私は、
参考人
両
先生
の御
意見
を聞き、改めて
罰金
の
上限
を数億円、我が党が
提案
の五億円にすることの方がより
説得力
があるんではないかということをかみしめながら実は話を聞いておりました。 この
改正案
の、旧来の
制度
、仕組みから脱却していこうという、その意欲と
方向性
については我々も
十分理解
をしております。また、
参考人
が
指摘
されたように、今回の
改正
は画期的なものであるという、そういう意義もわかります。しかし、今この
法改正
をめぐって留意すべきチェックポイントが三つあると私は
考え
ております。 その第一は、
内外
の
期待
とニーズにこたえる
内容
かどうかということであります。今
政治資金規正法
をここで引用するまでもなく、
法律
や
制度
の
制度疲労
ということが厳しく問われております。この
改正
をめぐっては、何はともあれ私は
一般
の
消費者
の
立場
に立ってこの
改正
が適当かどうかということが第一のポイントではないかというふうに
考え
ております。 それから第二は、この
改正
がこの先、来年、再来年じゃなくてある面で中長期的に有効な作用を及ぼすかどうかということだろうと思います。特に、
我が国
の今の改定は他の国よりもテンポがおくれているわけでありますから、それよりはこの先を見ていかなき
ゃいかぬいう意味
で、私はその面の着眼というものは非常に重要な
視点
ではないかというふうに
考え
ております。 それから第三は、まさに
国際化時代
、国際的な
尺度
で見た場合にどうか。これはもう
論議
の余地はないと私は思っているわけでございまして、この
法案
の
改正
は過去に比べて画期的かよりも、今私が申し上げたような
観点
こそ重要ではないか、このように
考え
ているわけでございまして、そういう私の主張も含めてこの
上限
一億円というものについて再度御
答弁
をいただきたいと思います。
小粥正巳
7
○
政府委員
(小
粥正巳
君) ただいま
藁科委員
から御
指摘
をいただきましたように、
独占禁止法違反行為
、特にその中でも
競争秩序
に対する侵害の
程度
が極めて大きいと
考え
られる法八十九条に
違反
する罪に対する
刑事罰
の
引き上げ
でございますが、この
引き上げ
がただいま御
指摘
のように、
一つ
は
消費者
の
利益
につながるということ、それから中長期的な
視点
から行われているか、そして三番目に国際的な
尺度
から見てその批判にたえられるか、この三点の御
指摘
をいただきましたけれ
ども
、私
ども
も私
ども
なりにただいま御
指摘
いただきました三点について十分に考慮いたしまして、これにたえ得るものと、このように
考え
ているわけでございます。
お尋ね
のこの
刑事罰研究会
の
報告書
、これは今回の
改正案
のいわば
ベース
に、あるいはその基本的な
方針
を示されたものとして私
ども
大変大事に
考え
ているわけでございますが、大幅な
引き上げ
の
基本的方向
を示していただいた、そしてその具体的な
結論
として数億円の
水準
というお示しをいただいたことは、ただいま
藁科委員
がおっしゃられたとおりでございます。 それで、私
ども
この
報告書
の基本的な
方向
を踏まえて大幅な
引き上げ
をという前提で
政府部
内で
法案
の
取りまとめ作業
にかかったわけでございますけれ
ども
、申すまでもなく
独占禁止法
は
経済社会
の基本的なルールを定めた
法律
でございます。したがいまして、この
法律
の
内容
を、しかもその重要な
内容
を大きく変更するという
改正
につきましては、当然のことながら
経済秩序
あるいは
企業行動
を規制する
基本法
であります
独占禁止法
の
対象
である
経済社会
あるいはそれを構成する
企業
、そして
業界
によりましてはそれぞれ監督の
所管官庁
もございます、広い
意味
でのこれら
関係者
にも今回の重要な
改正
の
内容
、趣旨を十分に
理解
していただき、そしてこれは端的に
違反
を行った
企業
に厳しい
負担
あるいは
制裁
を科する
内容
でございますから、
企業
にとって結構であるという反応をなかなか得られる代物ではございませんけれ
ども
、先ほ
ども
委員
からも御
指摘
がありました現在の
我が国経済
が置かれている国際的な
状況
を踏まえましても、今回のような
改正
が避けて通れない、
制裁
を受ける
立場
にあります
企業側
としても少なくともやむを得ないという、その
程度
の
理解
は最小限必要である。そのようなことで、
政府案
として
改正案
をまとめます
調整過程
でいろいろな議論を重ね、あるいは
関係方面
の
意見
を十分伺ってきたわけでございます。 やはりこの
改正
が何といいましても
現行
の
制度
に比べて大変大きな
改正
であるということ、何度も申し上げましたけれ
ども
、特にこの
違反企業
と、その
違反
を直接行った
行為者個人
それぞれについての刑罰はいわゆる
連動規定
によって運動しております。これは
我が国
の
企業刑事法制
におきまして、恐らく昭和の初期から六十年以上にわたって定着してきた
行為者個人
と
事業者等
の
処罰規定
の
連動制
を打ち破りまして、それを切り離して
事業主
についてのみ
個人
と区別をして、切り離して
罰金額
の
上限
を大幅に
引き上げ
るという、こういう
内容
でございます。 その
意味
では新たな
制度
を導入するということになりますから、その
引き上げ
の大幅であるということだけではなくて、
企業刑事
に関する
法制
の
枠組み
を基本的に変えるという
意味
で大変大きな
改正
だということでございます。その点については、やはり先ほど申し上げました最小限の
理解
を得ることがどうしても必要であると
考え
たわけでございます。 それから、
最初
の御
質問
にお答えしましたように、
我が国
には
カルテル行為
を行った
企業
に対して、その
カルテル
によって不法に得られた
利得
を徴収するという
課徴金
の
制度
があるということを申し上げました。この
課徴金
の
算定率
を
原則
四倍という、これも大変大幅な
引き上げ
でございますが、それを昨年
国会
でお認めいただいたばかりでございます。いわばその直後の今度は
刑事罰
の
大幅引き上げ
、こういう
事情
がございます。 それから、もう
一つ
つけ加えさせていただきますれば、今回の
罰金額
の
引き上げ
はもとより
上限
の
引き上げ
でございます。したがいまして、具体的に
違法行為
を行った
企業
に対してどのような
刑事罰
を求めるかということにつきましては、それぞれ検察庁の起訴、そして最終的には裁判所の
量刑
の
段階
におきまして、この
引き上げ
が認められたといたしましても、その
上限
の範囲内で求刑ないしは
量刑
が個別の
事情
に応じて検討されることは申すまでもございませんけれ
ども
、やはり
我が国企業
の中で、数から申しますと大部分を占める
中小企業
の方々にとりますと、
罰金額
の大幅な
引き上げ
というのは非常に過酷な
罰金
が科せられはしないかという不安をお持ちの向きが多く見られる、この点も事実でございますし、その点についても
政府案
を詰めていきます場合に、やはり考慮すべき
事情
であると
考え
たわけでございます。 このような
事情
を総合的に考慮いたしまして、
現状
において
社会
の
大方
の
理解
を得られるいわばぎりぎりの線といたしまして、
政府案
として一億円という
水準
を決定いたしまして御
審議
をいただいている、このような
事情
でございます。 したがいまして、昨日、
研究会
の
構成メンバー
である
参考人
のお二人の学者の方から御
意見
もお聞きいただけたと存じます。私
ども
もその
研究会
の御
報告
の
結論
が数億円ということはもちろん
十分意識
をしておりましたから、今申し上げましたような
事情
も含めまして
政府案
を決定いたします
最終段階
におきまして、この
刑事罰研究会
に、このような
事情
、
背景
のもとに数億円という
報告
をいただきましたけれ
ども
、
政府案
としてはぎりぎりの
水準
として一億円でまとめさせていただきますと、御
了承
をいただけますでしょうかということを実はお諮りをいたしました。 これに対しまして、
研究会
のお
考え
としては、これは数億円でないことは端的に申しまして必ずしも満足ではないけれ
ども
、しかし何よりも
連動規定
を切り離して大幅な
罰金刑
の
引き上げ
を図るということがどうしても急がれる喫緊の急務である、したがって
政府案取りまとめ
の
状況
がそのようなことであれば、
現状
において
大方
の
理解
を得るために一億円という
水準
がぎりぎりであるということであればそれはやむを得ないであろう、そのような御
了承
も最終的にはいただけたわけでございます。 少し長くなって恐縮でございますけれ
ども
、そのようなことで一億円ということで
政府案
を提出させていただきました。 しかしこの点は、先ほど三つの
視点
、
消費者
の
利益
、中長期的な
観点
、それから国際的な
尺度
、この三点から今回の
内容
、そして再三申し上げております
課徴金
の昨年の
大幅引き上げ
とあわせて、総合的な
判断
といたしまして
独占禁止法違反行為
に対する
抑止力
がこれによって格段に高まるものと思っておりますし、それから先ほど
官房長官
からもお答えをいただきましたように、単に
制度
の
枠組み
だけを充実させたということではなくて、
執行
に当たります私
ども公正取引委員会
、これは機構、定員の最近の充実ということももちろん含めてでございますけれ
ども
、何よりも私
ども
の
法運営
の基本的な
方針
が今、
藁科委員
からも御
指摘
をいただきましたように、
内外
の最近の
情勢
を踏まえ、
独占禁止法遵守
というこのことが
我が国
の
政府
の
政策
といたしましても非常に
優先順位
の高い重要な
政策
になっているということを十分に認識して、法の
運用
、
執行
に当たっているつもりでございます。その点は何とぞ御
理解
をいただきたいと思います。
藁科滿治
8
○
藁科滿治
君 次に、
水道メーター
の
談合疑惑事件
について
質問
いたします。 十二月六日、七日の
新聞等
で
水道メーター疑惑
について一斉に報道されております。つきましては、この
疑惑
の
内容
と
対策
、展望について
質問
をいたします。また、報道の解説によりますと、
入札
の
形式自体
にも問題ありというようなことが言われております。これらの問題について、
公正取引委員会
としてはどのような分析をされておるか、ちょっとあとの
質問
もありますので簡潔に
お願い
をいたします。
糸田省吾
9
○
政府委員
(
糸田省吾
君) ただいま
お尋ね
の、
水道メーター
の
製造業者
が、地方自治体が
水道メーター
を発注する際にいわゆる
入札談合
を行っていたのではないか、そういう疑いで現在
公正取引委員会
において
調査
を行っている
段階
でございます。この
調査
の方はほとんど大詰めでございまして、間もなく
結論
が出る
段階
でございますが、ただ何分にも
結論
が出ていないこの
段階
で
調査
の詳細についてお答えすることは何とぞ差し控えさせていただきたいと存じますが、近々
結論
を出す予定でございます。 それから、今
委員
御
指摘
の、例えば
入札方式
の問題もございますが、これは
本件
に限った話じゃなくて
一般論
で申し上げさせていただきますけれ
ども
、私
ども
、こういう
競争入札
において例えば
談合行為
が行われた、それが
独占禁止法
に
違反
するものであるということで
措置
をとると、そういった場合にはその
措置
とあわせまして、そういう
入札
を行っておりました
発注官庁
に対しまして今回こういったような
違反
の事実が認められたということを絶えず御連絡しているところであります。それで
発注官庁
の方は、恐らく私
ども
から申し上げた御連絡を受けて、今後そういう
談合行為
が行われることのないよう十分な配慮が行われるものというように
考え
ているところでございます。
藁科滿治
10
○
藁科滿治
君 次に、再販売価格問題について
質問
いたします。
消費者
の
立場
からいえば、こういった
制度
は
禁止
されるべきであるというふうに
判断
をしておりますけれ
ども
、現在その
適用除外
となっている
指定販売品目
、
一般医薬品
であるとか
大衆化粧品
、CD、レコードなど、こういった
品目
の
見直し
がなぜ進まないのかということについて御
質問
いたします。
小粥正巳
11
○
政府委員
(小
粥正巳
君) ただいま御
質問
いただきました
再販適用除外制度
でございますが、この点は御
案内
のように、最近
見直し
の
方針
を発表いたしまして、私
ども
としましてはかなり思い切った
見直し
を行いつつあるところでございます。 申すまでもなく、
消費者
の
利益
にもつながる
政策
でございますし、公正自由な
競争
を促進するという
見地
から
再販指定商品
、これは
現行制度
として存在するわけでございますけれ
ども
、できるだけこれを縮小していくという
方向
で
見直し
を行うべきと私
ども
考え
まして、その
見直し作業
に取りかかってきているところでございます。ただ、
再販適用除外制度
にいわばかなり長い間なれてきた
関係業界
、特に
対象品目
が御
案内
のように比較的価格の低い
化粧品
、それとかなり
一般
になじみの深い
医薬品
と、こういう種類の
商品
でございますから、これを取り扱っておられる
小売業者
の方が非常に数が多いわけでございます。この
小売段階
の
流通秩序
に、これを一挙に取り消すということになりますと、率直に申しまして不測の混乱を招くおそれもあろうかと
考え
ました。したがいまして、私
ども
が現在行ってきておりますこの
再販指定
の
見直し
につきまして、いわば
段階
的に
自由化
を図っていく、こういう
方向
を打ち出したわけでございます。 そこで具体的には、
一つ
は
メーカー段階
における寡占の
程度
が極めて高く、かつ
再販契約
の
対象
となっております
商品
の
出荷額
の割合が高い
品目
につきまして、これは
指定
で認められてきておりますけれ
ども
、率直に申しまして
独禁法
の
見地
からすれば弊害が大きいではないかということ。それから、もう
一つ
の部類といたしましては、
再販契約
の
対象
となっております
商品
の
出荷額
が比較的小さいものであれば、今度は先ほど申し上げました
指定取り消し
の影響も軽微であろう。この両面から
取り消し
の
対象
をチェックしてまいりまして、これらの条件に該当する
品目
、具体的には詳細にわたりますので省略をいたしますけれ
ども
指定
を
取り消し
まして、具体的には
平成
五年の四月一日から実施することにいたしました。 では、どの
程度
取り消すことにしたのかということでございますが、
平成
二年度の
メーカー出荷額ベース
で見ますと、これまで
指定
の
対象
となっておりました
化粧品
につきましては量的に約四割、
一般用医薬品
につきましては七割、合わせましても半分以上の
指定
対象
商品
がその
指定
を取り消されることになるわけでございます。また、これを
品目
数で見ましても、大体現在
指定
されておりますものの半分はこれで取り消される。今申しましたように、来年の四月一日からこれが実施される。 ただし、
一般用医薬品
のうち混合ビタミン剤と二種類のものにつきましては、先ほど申しました特に中小零細な小売店に対する影響をやや
段階
的に緩和する必要も大きいと
考え
まして、この点は一年半ばかり延ばしまして
平成
六年末まで認める、これで完全に取り消す、そういうことでございます。 しかし、
品目
数でも約半分と今申し上げたわけでありますが、残っておりますものが約半分あるということになります。この点につきましては、今回の
再販指定商品
の縮小をいたしましてその後の
状況
がどうか、あるいは流通実態がどのように変わってくるかこの辺を勘案しながら
平成
十年中に
見直し
を行う、そういう
方針
を既に明らかにしているところでございます。この
平成
十年中の
見直し
は、私
ども
といたしましては、先ほど
自由化
を
段階
的に進めると申し上げましたが、
自由化
を進め縮小していく、そういう
方向
で
見直し
を当然行ってまいりたいと
考え
ております。
藁科滿治
12
○
藁科滿治
君 次に、いわゆる系列取引について
質問
いたします。 今、諸
外国
から下請系列取引について大変注目を集めているわけでありますけれ
ども
、例えば八九年からの
日米
構造協議において
日本
の系列問題が大きな構造障壁として取り上げられました。アメリカの議会でもいわゆる系列問題というものが大変浮上しております。 そこで、
日米
構造協議の中では
日本
側の二つの対応策について
提案
されておりますが、
一つ
は簡単に言って公正な監視を
強化
する、二つ目は二年ごとに系列グループに関する
調査
を行うということだったと思うんですが、その
調査
と
独禁法
の適用実態について、
報告
できれば簡単に
報告
をしていただきたいと思います。
矢部丈太郎
13
○
政府委員
(
矢部丈太郎
君)
日本
の系列問題につきましては、
日米
構造協議で大きな問題になったということは今
委員
御
指摘
のとおりでございまして、その中で
公正取引委員会
の取り組みとして二つの点が取り上げられているわけでございます。
一つ
は系列内における事業者間の取引を監視するということと、それからもう
一つ
は系列の実態を明らかにしてその
調査
結果を公表するという二点でございます。 まず、その
調査
につきましては、
日本
の
企業
の間でのいろいろな取引の慣行につきまして、継続的な取引であるとか、あるいは取引先を選定するに当たってどういう基準で把握しているかというようなことを中心にいたしまして
調査
しております。 それで、これは昨年でございますけれ
ども
、四業種ほど取り上げまして、これは家庭用電気製品、造船業、合成繊維、それから都市ガスでございますけれ
ども
、その
調査
結果を昨年六月に公表しております。この
調査
におきましては、
調査
対象
のほとんどの取引関係を見ますと、五年以上にわたって継続的な取引が行われているという実態がございます。 ただ、なぜそういう継続的な取引が行われているかということでございますけれ
ども
、やはり
日本
の
企業
は価格、品質ということだけでなく、デリバリーですとか供給の安定ということを重視しているためにこういう継続的な取引が行われているということで、むしろ取引先
企業
全体としての能力な
ども
勘案いたしますとそれなりの理由があるわけでございます。 それから、もう
一つ
は、取引先との間で株式を持ち合っているという関係もあるわけでございますが、この点につきましては株式所有比率というのはほとんど一%未満であって、それほど影響はしていない。ただ、もちろん、その株式所有を
背景
にいたしまして、取引の開始や拡大を求めるとかあるいは株式を持っているかいないかでその取引条件に差をつけるとか、あるいは株式所有がない事業者の取引の機会を妨げる、こういう問題があれば
独禁法
上の問題になるわけでございますが、これまでの
調査
ではこういう事実は認められておりませんで、特に
独禁法
上問題になる事項ということは認められておりませんでした。 それからもう
一つ
、事業者間の取引の監視の点でございますが、これにつきましては系列取引を
背景
とする事業者間取引が公正な
競争
あるいは透明性を阻害することのないように、昨年七月、
独禁法
のガイドラインというのを示しまして、この中で事業者間の取引についてどういう行為が
独禁法
違反
になるのかということを明らかにいたしまして、この指針に基づきまして事業者間取引における
独禁法違反行為
の未然防止に努め、さらに
独禁法
の厳正な
運用
を図っていく、こういうことで事業者間の取引の監視を進めているところでございます。
藁科滿治
14
○
藁科滿治
君
内外
価格差の問題について御
質問
いたします。
日本
の
消費者
は輸入品の自由な流入を妨げる構造的な壁によって不
利益
をこうむっているんだ、この
発言
は、九一年五月二十日、
日米
構造協議のフォローアップ会議の直後に行われた記者会見でのアメリカの代表の
発言
であります。 しかも、その
論議
は
日米
の共同
調査
による
内外
価格差
調査
結果に基づくものでありまして、我々も重大な関心を持っているわけでございますが、その
調査
によりますと、
日本
の価格は米国に比べ平均で三七%高、酒類では六七・一、食品では四六・六というほどに高いわけでございます。
日本
政府
はこれを受けて、豊かな国民生活の実現の
観点
からこういう
状況
は望ましくない、こういう見解を表明しながら規制緩和と
独禁法
の
運用
強化
を打ち出しました。 その後、当
委員
会の御努力もあって
独禁法
ガイドラインというようなものが打ち出されて今実際に入っているわけでありますが、
内外
価格差は一向改善されてない、私はそういうふうに思うわけでございます。また、時あたかもクリントン政権が誕生するわけでございまして、この問題は内、外両面から大変重大な問題として再浮上しつつある、このように思っているわけでございます。
官房長官
、もしか今の問題について何かお
考え
があれば短い時間でも結構ですから一言、もしか時間がなければ
委員長
の方から言ってください。
小粥正巳
15
○
政府委員
(小
粥正巳
君)
内外
価格差について御
指摘
をいただきました。確かに、
内外
価格差につきましては既に
政府
による
調査
も行われておりますが、いずれにしましても
内外
価格差の存在は、御
指摘
のとおり私
ども
もこの問題は十分に意識をしております。 そして、なぜこの
内外
価格差が発生をするかという要因といたしましては、私
ども
考え
ますのに、やはりいろいろな
意味
の公的な規制、それから流通機構が零細で大変
段階
が多いということ、この問題もあろうかと思います。それから、各種の取引慣行、さらには地価等のコスト上の要因。また、あえてつけ加えますと、
我が国
の
消費者
の購買態度、購買行動、このようなものもいろいろ原因があろうかと思います。しかし、少なくとも
公正取引委員会
といたしまして、
内外
価格差が生ずる
背景
にもし公正かつ自由な
競争
を妨げる何かの要因があるということであれば、当然のことながらそれを排除することが
競争
政策
上大変重要であると
考え
ております。 実は、御
案内
の、
政府
が本年策定いたしました生活大国五カ年計画の中でもこの
内外
価格差問題に触れまして、特に流通についての規制緩和、そして
独禁法
の厳正な
運用
による
競争
条件の整備、こういうものをその一項目として掲げているところでもございます。さらに具体的には、価格についての
カルテル
、それから先ほど
お尋ね
のございました再販売価格の維持行為、あるいは並行輸入の不当阻害等、これはいずれも端的な
独禁法違反行為
でございます。 そこで、私
ども
これに対して従来から厳正に対処をしているところでございますけれ
ども
、この
違反
行為に対する
抑止力
を高めるために、今回の
刑事罰
引き上げ
もこの
抑止力
を高める一環でございますが、先ほど
お尋ね
もございました審査体制の
強化
、あるいは既に行われました
課徴金
の
引き上げ
、さらに
消費者
サイドからの損害賠償請求
制度
、この活用等、およそ
独禁法
に関する
考え
られるあらゆる
措置
を動員していかなければならない、こんなふうに
考え
ているところでございます。そのようなことで、
公正取引委員会
としては本来の自由かつ公正な
競争
を促進する、それを阻害する行為に対して厳しく対応する、このことが端的にこの
内外
価格差要因というものを取り除いていく、そういうことであろうと
理解
をしております。
藁科滿治
16
○
藁科滿治
君 いずれにしましても、この
内外
価格差の問題は今までかけ声先行でなかなか実効が上がらない。私も経済
審議
会で八年ほどこの問題に参加いたしまして、私の記憶では、八八年から
政府
は「世界とともに生きる
日本
」ということで、その他重要項目幾つかありますけれ
ども
、
一つ
の重要項目として提起してその圧縮に努力をしてきたはずなんですが、なかなか効果が上がらない。ぜひ、今
答弁
がありましたけれ
ども
、実効を上げるように最善の努力を改めて要請したい、このように思っております。 時間が迫ってまいりましたので、私は最後に
公正取引委員会
の
体制強化
に向けて個々に
質問
したかったんですが、時間の関係で総括的に御
質問
し、具体的に三つの点に触れたいと思っておりますから、ぜひ御
答弁
をいただきたいと思っております。 既に触れてまいりましたように、客観
情勢
、
内外
の
情勢
は
公取委
の占める
役割
というものをますます重くしている、このように
考え
ております。加えて、本臨時
国会
の冒頭における総理の所信表明におきましても生活大国ということが強調されてきたわけであります。 そして、さらに加えて、最近、
社会
経済国民会議が実施いたしました
企業行動
調査
によりますと、九三年の、ということは来年のということでありますが、
日本
の
企業
の経営課題は何かという設問に対しまして、後ほどゆっくり資料を御参照いただきたいと思うんですが、環境問題への対応五二・五%、これをトップに国際化への取り組み三八・九、
企業
倫理の確立三三・四、貿易
摩擦
への対応二七・四、
社会
的責任の具体化二四・九というように、今までの
状況
に比べますと国
内外
に対する
企業
責任といった理念が高揚しつつある、大変結構なことだと私は
判断
をしております。こういうような
事情
からいえば、繰り返し
指摘
しておりますように、
公正取引委員会
の
活動
を推進する客観的
情勢
はまさに成熟しているというふうに
考え
ているわけでございます。 しかし一方で、埼玉談合や先ほど
指摘
いたしました
水道メーター
談合の
疑惑
発生など、国民の目からすれば依然として
日本
の商取引に対する疑念が非常に強い、こういうふうに
考え
るわけでありまして、そこで法の
改正
は一方で極めて重要ですが、もう一方でやはり取引
委員
会の
体制強化
ということが改めて求められているのではないかというふうに
考え
ております。 そこで、冒頭の御
質問
に関連して幾つかの
答弁
はいただいておりますが、最近の
状況
では審決件数も非常に少数にとどまっている。多いのがいいという
意味
ではありません。
違反
行為に対する審決も必ずしも迅速とは言えない。こういうような
状況
で、要員の増加と
委員
会の
活性化
、
執行力
の
強化
について、先ほど
答弁
は一応伺っておりますが、新
委員長
の意欲も含めて何か大胆な改革を進めたいというような発想、アイデアがあればぜひ伺いたいというのが第一です。 それから第二は、
消費者
の不信不満などの声を反映させる
制度
機能の
強化
について。ちょっと古くなりますが、
日本
弁護士連合会の
意見
書の中では、独占
禁止
懇話会の構成について余りにも
消費者
の代表が少ないんではないかと。私もこの連合会の顧問を四年やっておりまして、そういう討論に参加した記憶がございます。その後どういう
状況
になっているのか改善されていると思いますけれ
ども
、ぜひ
報告
をいただきたいと思っております。 それから三つ目の
質問
は、情報システムの確立について。圧倒的な情報を持っている事業者、経営者というような
状況
に対しまして、
一般
消費者
に対する情報サービスの提供というのは非常に質、量ともにおくれている、このように私は
判断
しているわけでございます。その面から
消費者
へのサービス提供という面、それから加えて
公取委
の使命、
役割
が非常に重くなっているわけでありますから、
公取委
の主体的な
活動
展開の面からも迅速かつ的確な情報をつかむということが非常に重要になっていると思うんですが、そういう面からどのような
考え
方をお持ちになっているかぜひ伺いたい、このように思っております。
小粥正巳
17
○
政府委員
(小
粥正巳
君) 具体的に三つの点について
お尋ね
がございました。
最初
の
お尋ね
は、現在のように
独禁法
遵守意識が
日本
の
企業
社会
にも醸成をされてきた、
消費者
の
期待
が特に高まってきた。その中で
独禁法
の
執行
運用
に当たる
公正取引委員会
が単にこの法
制度
の改革だけではなくて、
委員
会の体制自体の
強化
充実、それにどのような意を用いているかこういう
お尋ね
と承ったわけでございます。 先ほど来申し上げております
課徴金
あるいは今回
お願い
しております
刑事罰
の
引き上げ
というのは、もとよりこの
制度
面での画期的な
強化
と
抑止力
の向上につながっているわけでございますけれ
ども
、これを
運用
いたします主体は私
ども公正取引委員会
、これを構成している事務局の人員でございます。現在、実は総数四百八十四人という、これは中央官庁といたしますとむしろ大変小規模であるかもしれませんが、私
ども
限られた陣容で精いっぱい充実した
仕事
に取り組んでいる、意欲に燃えているわけでございます。 今四百八十四人と申し上げましたが、実は国家公務員の定員につきましては特に厳しい定員の抑制が行われていることは御
案内
のとおりでございますけれ
ども
、
公正取引委員会
につきましては、特に近年
公正取引委員会
の
役割
についての
内外
の要請の高まりを格別に
関係方面
に御
理解
をいただきまして、例えば
平成
元年から
平成
三年度の三年間に公取の中でも特に
違反
行為の審査に当たる審査部門の人員につきましてはほぼ四割増という、これは他の官庁の最近の例を見ましても大変例外的な人員増を実は認めていただいております。 人員増だけではございません。審査部門の機構の充実もあわせまして、これは格段に実は配慮をしていただいているところでありまして、私
ども
この近年の人員、機構の拡充ということ、これが私
ども
の
仕事
に対する
期待
の大きさでもあり、またそれだけに私
ども
余計心してこの与えられた機構、人員の中で精いっぱいの努力をいたさなければいけないという思いを新たにしているわけでございます。 なお、
平成
五年度予算も間もなくその編成が行われる時期でございますけれ
ども
、私
ども
来年度につきましても引き続き審査部門の充実を中心にさらに一層の拡充を要求しているところでございます。 それから、二つ目の
お尋ね
は、独禁懇話会についての
お尋ね
でございます。この独占
禁止
懇話会は実はかなり設置は古うございまして、昭和四十三年からございます。ただ、これは通常官庁にある問題について諮問をしてお答えをいただく諮問機関の例がございますけれ
ども
、これはその諮問機関ではございませんで、有識者の御
意見
を求め、
意見
交換を行う場でございまして、いわば私的懇談会と申す
性格
のものでございます。しかし、私
ども
の
独占禁止法
の
運用
あるいは立法問題も含めまして広くこの懇話会にいろいろ自由に御議論していただきまして、大変有益な御
意見
をいただいているわけでございます。 そこで、この
独占禁止法
懇話会のメンバーが、今の御
指摘
は
消費者
代表の人数が少ないのではないか、こういう御
指摘
でございます。実は、ちょうど本年四月にこの懇話会のメンバーの方々を一部改選させていただきました。それで実は、
消費者
代表と目されるメンバーの方はそれまで全体の中でお二人でございましたが、この四月の改選のときに一人ふやしていただきまして、お二人から三人にこの
消費者
代表をふやして
お願い
をいたしました。全体では実は三十三人のメンバーの方がいらっしゃいまして、会長は館龍一郎東京大学名誉教授でございます。メンバーの中には学者の方、それからエコノミスト、評論家の方あるいは言論界の方がそのシェアとしては大変大きな割合を占めておりまして、もちろん産
業界
の方もいらっしゃいますけれ
ども
、
消費者
代表の方につきましては、先ほどの
委員
の御
指摘
と
一般
的に
消費者
の声をより反映するようにという御
意見
も十分念頭に置きまして、そのように対応させていただいたところでございます。 それから、三番目の
お尋ね
は情報の問題、特に公取の
仕事
の中で
消費者
に対するサービス機能、これをもっと充実させるべきだ、こういう御
指摘
でございまして、その点も私
ども
公取の
仕事
というのは最終的には
消費者
の
利益
につながるものという認識を持っておりますので、
消費者
に対するサービスの提供ということにはそれなりに意を用いているつもりでございます。特に、私
ども
心しておりますのは、
消費者
の方からの広い
意味
の
公正取引委員会
への申告と申しておりますけれ
ども
、
消費者
の方からの情報の提供に対して非常に私
ども
これを大事に、しかもフィードバックを十分に行うように心がけております。 したがいまして、本日も
お尋ね
の中にいろいろと
独占禁止法違反行為
に対する審査なり、あるいは私
ども
の対応のあり方について御
指摘
もいただきましたけれ
ども
、
違反
行為を私
ども
が知り得る端緒、これも実は
消費者
の方からの例えば電話なりあるいはお手紙なり、あるいは直接役所をお訪ねいただきましての口頭でのお話等、そういう
一般
消費者
の方からの申告が手がかり、端緒になることがいろいろございます。私
ども
は、このような申告がどのような形であれ、それを大変大事に受けとめまして、またそれに対するフィードバックも非常に心がけているつもりでございます。 それからまた、もう時間もございませんのであとは簡潔にさせていただきますけれ
ども
、
独占禁止法
というものは大変実はわかりにくい
法律
ということをよく御
指摘
を受けます。その
意味
もありまして、
消費者
にとってできるだけわかりやすい
制度
、
法律
内容
の解説なり、あるいは先ほ
ども
御
答弁
申し上げましたけれ
ども
、
独占禁止法
がどういう場合にどんな
考え
方で適用されているかということをなるべくわかりやすく示すためのガイドラインのようなものを、これをできるだけ
独占禁止法
の
運用
、適用に関しましてガイドラインという形で取りまとめ公表していく、そういう努力も近年特に心しているところでございます。しかし、まだまだ十分ではない面がいろいろあろうかと思いますので、よく御
指摘
を踏まえて対応させていただきます。
藁科滿治
18
○
藁科滿治
君 いずれにいたしましても、
内外
の
公正取引委員会
に対する
期待
は非常に高まっておりますので、ぜひ勇気を持って前向きに
活動
を展開されますように要望いたしまして、私の
質問
を終わります。 ありがとうございました。
村田誠醇
19
○
村田
誠醇
君
官房長官
が公用でお帰りだということなんで、
官房長官
にかわって副長官なりどなたかがお答えいただけるのかと思うんですけれ
ども
、どなたか来ておられるんでしょうか。
斎藤文夫
20
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 先ほ
ども
理事会で御了解をいただいておりますが、御本人が十一時半にはこの席にお戻りになりますので、御
質問
に御協力をいただきたいと思います。
村田誠醇
21
○
村田
誠醇
君 だから、それは了解しておりますが、
官房長官
が出れないときには官房副長官が出るという
原則
だということ、私
ども
が九月の決算
委員
会の理事会で官房副長官の出席を要求したときの官房側からの返事でございました。このことをきょう聞こうと思っておりましたので、
官房長官
が御出席いただけないのであれば、私は公務があるからそれをサボって出てこいとは言いませんが、かわって副長官が当然おいでになるものだと思って
質問
の準備をしてきたんですけれ
ども
、官房の方はどなたもいらっしゃらないのですか。
斎藤文夫
22
○
委員長
(
斎藤文夫
君) はい。
村田誠醇
23
○
村田
誠醇
君 この問題は、じゃ来てから
官房長官
に直接お聞きするようにいたします。
斎藤文夫
24
○
委員長
(
斎藤文夫
君)
お願い
いたします。
村田誠醇
25
○
村田
誠醇
君 まず、いろいろ
論議
されておりまして、
一つ
お聞きをしたいのでございますが、これは各
委員
の方から
質問
がされておると思うんですけれ
ども
、
刑事罰研究会
の
報告書
の公表についていっとき待ったがかかったということに対してお聞きをしたいと思うんです。 この
刑事罰研究会
なるものの
性格
について、先ほどちょっと
公取委員長
の御
答弁
がありましたように、これは私的な
審議
会なのか公的な
性格
を持った
審議
会なのか、なおかつどこに答申というんでしょうか
報告
をする義務があるのか。つまり、
公正取引委員会
の直属の
研究会
なのか、
公正取引委員会
委員長
の諮問機関なのか、あるいはこれは全然別の法務省の方の所管なのがこの
研究会
なるものの
性格
についてお聞きをしたいと思います。
小粥正巳
26
○
政府委員
(小
粥正巳
君)
刑事罰研究会
につきましては、先ほど来御
答弁
申し上げております昨年の
課徴金
の
引き上げ
に関連いたしまして、
課徴金
の
引き上げ
にとどまらず総合的な
抑止力
を向上させるという
意味
では
刑事罰
の
引き上げ
もあわせて検討すべきである、そのような御
意見
が
国会
においても出されました。 そのようなことを
背景
に、
刑事罰
について
引き上げ
を行う場合にどのような
方向
で行うべきか、これについて
独占禁止法
及び刑事
政策
に関する有識者の方々にお集まりをいただきまして、これは例えば法令に基礎を置くという
意味
の
公正取引委員会
の公的な
審議
機関ではございません、その
意味
ではあえて申せば私的な
研究会
と申しますか、そのような
性格
であろうと
考え
ておりますけれ
ども
、いずれにいたしましても
刑事罰
の
引き上げ
に関して
政府部
内で
法案
を取りまとめる前提といたしまして、その
刑事罰
引き上げ
の
内容
について
考え
方、
方向
をお示しいただくために有識者の方に
お願い
をして設けたものでございます。
村田誠醇
27
○
村田
誠醇
君 公取の中に法的根拠を持たないけれ
ども
つくられたというのであれば、行政上の施策を
考え
るに際していろんなアドバイスをもらう、ただ単なるそういう
性格
を持った
委員
会ですよね。極端に言えば、ここの答申をそのまますべて、実際は別といたしまして行政上にすべて採用するというような
性格
のものではないはずでございます。そういった
研究会
の
報告書
が、中身において都合が悪いからといって特定の政党がクレームをつけて公表を延ばすというのは、これはちょっと
性格
としては
理解
できない。 それは翻って言えば、例えば何らかの
審議
会で答申を出す、それが我が
日本
社会
党にとって都合の悪いようなことが書いてあるなら、その公表を待ったと言ったときに果たして皆さん方はその公表を待ってくれるのかどうかということを問題を変えて
考え
てみればおわかりだと思うんです。
法案
をつくるときにこういうふうにしてもらっては困るというのは、それは
提案
される方の
政府
・与党の方で
論議
されるのは結構だと思うんですけれ
ども
、
研究会
の
報告書
そのものが公表しては困るというクレームがついて、前
委員長
がじゃしばらく待ちましょうとか、根回しが足りなかったから
意見
の公表を差し控えるとかという決定をするのは私は非常に不可解だと思うんですけれ
ども
、その点について
委員長
はどのようにお
考え
なんでしょうか。
小粥正巳
28
○
政府委員
(小
粥正巳
君) ただいま
お尋ね
の
刑事罰研究会
の
報告
が、昨年の暮れであったと存じますけれ
ども公正取引委員会
に行われましたが、そのとき、これは率直に申しまして前
委員長
の時代でございますけれ
ども
、私が前
委員長
からその引き継ぎを受けて、この件もその限りで承知をしているわけでありますが、
独占禁止法違反行為
についての
刑事罰
の
引き上げ
について、当然
政府部
内でもこの
報告
の
内容
を受けながら検討をする時期でございました。しかし、先ほ
ども
申し上げましたように、
企業
法制
の
枠組み
を変え、かつ
罰金刑
の
上限
を大幅に
引き上げ
るという
方向
でございますから、その点について
法制
の
枠組み
を大きく変える、そして大幅な
罰金刑
の
上限
の
引き上げ
を行うということについて、まだ
大方
の
理解
がその
段階
でなかなか得られない、当時はそのような
状況
であったと承知をしております。 そこで、
公正取引委員会
といたしまして、その
段階
でその
研究会
の
報告書
の
内容
をすぐ公表することがこの問題についての議論に一定の予断と申しますか
方向
を与えることになりかねない、その点を懸念して
報告
をしばらく見合わせる、このような
判断
を
公取委
員会としてした、こういうふうに承知をしているわけでございます。
村田誠醇
29
○
村田
誠醇
君 だから、
審議
会の答申案の中身に沿って行政の施策をする、そのために
法改正
をする。その
法律
の中身についていろいろ異議があるというなら、それはクレームがついたって何したって私はわかりますよというんです。しかし、答申書そのものの公表を全部しちゃいけない、あるいは前
公取委員長
が記者会見で、自民党側からこの
報告
の
内容
について異議があり、公表を見送らざるを得ないとはっきり言っているわけですよね。
法律案
の提出を見送らざるを得ないとかというんなら話はまだわかるというんです。
報告書
そのものは別に公表されちゃ困るような中身では僕はないと思うんですけれ
ども
ね。いろいろ
論議
した結果、五億となっていたやつを一億にしましたとかというのは別にどうってことない話ですけれ
ども
、その点について私
ども
は大変疑義を感じざるを得ない。そのことだけを申し述べておきます。 もう
一つ
、
罰金
の金額について一応お聞きをしておかなきゃいけないのは、
日米
構造協議のところで、
独禁法
の
改正
の問題あるいは
運用
の問題、いろいろ
論議
されていると思うわけでございますが、法人の
罰金刑
の金額について、アメリカ側から一定の
水準
というんでしょうか、金額というんでしょうかあるいは意向といっていいのか要請というんでしょうか、これは提示されているんでしょうか。アメリカ側としては大体このくらいの金額を
考え
ているんですけれ
ども
というような
意味
のやりとりがあるのかないのか、まずそのことをお聞きしておきたいと思います。
小粥正巳
30
○
政府委員
(小
粥正巳
君) ただいまの
お尋ね
は、
日米
構造問題協議におきまして
我が国
の
独占禁止法違反行為
に対する
刑事罰
の
引き上げ
について具体的な先方からの要請のようなものがあったかこういう
お尋ね
でございますが、私の承知しております限りで、それは全くございません。ただ、この
独占禁止法違反行為
に対する
制裁
あるいはその
違反
行為に対する防止
措置
のあり方についていろいろ議論があったことは、これは事実であります。 それからまた、アメリカ側から、これは御
案内
のようにアメリカは専ら刑罰だけでございますけれ
ども
、自分の国ではこのような刑罰を伴う法的
措置
で対応している、そのような
説明
があり、
日本
側からはまた、申し上げましたように
課徴金
との併置
制度
を持っている、こういう
説明
があり、アメリカ側からは、自国の
状況
も
説明
をしながら
独占禁止法違反行為
を有効に阻止するためには
日本
の現在の罰則あるいは
課徴金
、そういうもので十分だろうか、そういうアメリカ側の
意見
が述べられたことは、これはあったように承知をしております。しかし、具体的にそれが幾らでなければいけない、あるいは幾らであるべきだという、そういう
指摘
あるいは要請のようなものは、これは私の知っております限りで一切なかったと存じます。 それから、もう
一つ
つけ加えさせていただきますれば、今回一億円という
水準
で
罰金額
の
上限
の
引き上げ
の
法改正
を
お願い
しておりますが、これは申すまでもなく、もとより
内外
の国際的な
視点
も踏まえまして、
内外
の最近の
情勢
からいいまして
競争
政策
の一層の推進というものが、これは大変重要な
政策
課題となっております。したがいまして、先ほど来
消費者
の
利益
につながるということもしばしば申し上げてまいりましたが、そのような展望も持ちながら、
独占禁止法違反行為
に対する
抑止力
の総合的な
強化
ということがどうしても
我が国
として避けて通れない、そういう
観点
から、昨年の
課徴金
の
大幅引き上げ
にさらに続きまして、ただいまのような
内容
で
罰金刑
の
大幅引き上げ
の
法改正
を
お願い
しておるわけでございます。これは米国がどういうふうに
考え
ているかということとは、私はそれは全く別だと
考え
ております。
我が国
の物の
考え
方として避けて通れない課題である、そういうことをつけ加えさせていただきます。
村田誠醇
31
○
村田
誠醇
君 さきの
独禁法
の
改正
のときに
課徴金
が大幅に
引き上げ
られましたね。そのときも今回の
罰金刑
と同じように、
中小企業
に厳し過ぎるんではないかとかいろいろな
論議
があったことは既に御存じのとおりだと思うんですが、その
課徴金制度
を大幅に
引き上げ
たときに、業種別
負担
率と規模別の
負担
率という二つの
制度
を、業種別と
企業
別によって二つに分類ができているわけでございますが、今回の法人の
罰金刑
にこの
考え
方を導入しなかった、つまり規模別に大中小というんでしょうか、分けて
罰金刑
をかけるという
考え
方をとらなかった理由はどこら辺にあるのかお教え願いたいと思います。
小粥正巳
32
○
政府委員
(小
粥正巳
君) 昨年の
課徴金
の
算定率
の
大幅引き上げ
に際しましては、確かに御
指摘
のような
算定率
適用についての区分をいたしております。 しかし、今回御
提案
申し上げております
事業主
に対する
罰金刑
上限
の
引き上げ
については、これは御
指摘
の例えば
中小企業
について、つまり
企業
の規模に応じた区別は特にしていないわけでございます。確かに、
企業
の規模なり資力と申しますのは、これは通常、
違法行為
に対して
制裁
としての
罰金刑
を科す場合に
一つ
の考慮要素にはなり得ると思いますけれ
ども
、この
罰金刑
についての
連動規定
を切り離し、かつ
引き上げ
を行うべきであるという議論をしていただきました
法制
審議
会の刑事法部会での御議論、あるいは先ほど来問題になっております
刑事罰研究会
の御議論におきましても、この点はやはり
一つ
の考慮要素であるとしても、この点について
企業
の規模、資力、つまり例えば
中小企業
であるからこの
罰金刑
の
引き上げ
についてその点を区分して規定すべきである、そういう
考え
方はとられていなかったわけでございます。 そこで、
政府案
につきましても規模、資力による区分をしないで一律に
上限
を
引き上げ
たわけでございますが、その点は再三申し上げておりますように、これはあくまでも
罰金額
の
上限
の
引き上げ
でございます。したがいまして、仮に
中小企業
者が
独禁法違反行為
に問われた場合を
考え
てみますと、この
法律
が成立をいたしますと、その
上限
額は
企業
に対しては一億円という
上限
額でございますけれ
ども
、仮に検察官が求刑をいたします場合、それからまた裁判の結果、いかなる
罰金額
が具体的に適用されるべきか、裁判官が
量刑
を
考え
ます場合には、これはいろいろな要素を総合的に勘案するわけでございます。その勘案する要素の
一つ
として、その
違法行為
を行った
企業
の規模でありますとか、あるいは資力でありますとか、そういうものは当然に考慮されるべき
一つ
の大きな要素になるであろうと思います。
我が国
の刑事
法制
の
執行
面におきましては、ただいま申し上げましたような
量刑
手続における総合勘案、その中で
お尋ね
の
企業
の規模、資力についての配慮は当然なされている、私
ども
そういう了解をしているわけでございます。したがいまして、この
上限
額の
引き上げ
につきましては、特に
企業
の規模、資力に着目をして区別をするということをいたしませんでした。 なおつけ加えますと、その
課徴金
につきましては、このように
上限
であってその中で総合勘案するというそういう仕組みではございませんで、
課徴金
はそれぞれに定められた
算定率
をいわばそのまま適用する、徴収しなければならないというそういう
性格
のものでもありますので、その点も区別される
一つ
の理由であろうかと思っております。
村田誠醇
33
○
村田
誠醇
君 今の御
説明
を聞いていると、実際に検察なり裁判所が一億円の範囲内で資力、規模を考慮して適用されるはずだからいいんだと。それであれば、大
企業
に対して
上限
額をもっと
引き上げ
ておいても、大中小の区別をして上の方を
引き上げ
ておいても、裁判所は同じ行為に全部それを一律適用するわけじゃないんで、
中小企業
の
負担
を軽減するというのであれば規模別の
上限
額を決めてもおかしくはないし、その方がベターではないかと思うんです。ただし、それはここで
論議
していてもしようがありませんので、別のやつに入らせていただきます。 これは、私だけじゃなく同僚の谷畑議員も一緒に陳情を受けたやってございまして、一体どこの行政官庁が担当なさっているのかよくわからないものでございますからお聞きをしたいんです。 コンクリートの二次加工製品でありますヒューム管を製造している会社が、これはJISのマークをくっつけて売っているんですけれ
ども
、販売先の会社の工場で生産をしたという表示をして、これは具体的には栃木県にある葛生という工場でつくりましたよという表示をしてある製品が実は新潟県の長岡市で生産されていた。そこにJISのマークがぴしゃんと打たれていた、これは一体通産省の管轄で
違反
行為を取り締まるんでしょうか、それとも建設省の方でこれは公共工事に使うものですから取り締まるんですか、それともこういう表示そのものが違法なので公取なんでしょうかと聞いても、どこの省庁も私のところなのかどうかということはよくわからない。 一体、こういう行為は私的な行為として、例えばOEMでうちの会社のブランドの販売元としてこういう名前をくっつけますよということはあり得るとしても、製造した現場のところまで、工場のところまで表示をされたものが全然違う表示になっていたということについては、これは公取の方から見たときに公取の取り締まりの権限の範囲に入っているんでしょうか。それとも、これはもう全然違う分野の、つまり通産省や建設省の問題なんでしょうか。その点について少しお聞かせをいただきたいと思います。
植松勲
34
○
政府委員
(植松勲君) お答えいたします。 今、
先生
御
指摘
の事例でございますけれ
ども
、
一般
的に不当表示ということでありますと、
一般
消費者
向けの
商品
につきまして誤認されるような表示を行った場合には景品表示法で取り締まることになるわけでございますけれ
ども
、今
お尋ね
の件は恐らく
一般
消費者
向けではなくて事業者向けの
商品
に係る表示であろうかと思われます。その場合におきましては景品表示法の規定は適用されないわけでございますけれ
ども
、その
商品
の
内容
について実際のものよりも著しく優良であると顧客に誤認させることによって
競争
者の顧客を自己と取引するように不当に誘引しているものと認められる場合には、不公正な取引方法に関する
一般
指定
の第八項というのがございまして、「ぎまん的顧客誘引」ということに当たろうかと思います。そういたしますと
独占禁止法
第十九条の規定に反するということになるわけでございます。
お尋ね
は、JIS規格の表示を付すことができない
商品
にJIS表示が付されていたということだろうと思いますけれ
ども
、規格については実際のものよりも著しく優良であると誤認されるということで不当表示となるおそれがあるわけであります。
一般
的にはそういうことでございますけれ
ども
、このような場合にはJISにつきましては工業標準化法で第一義的には対応すべきではないかというふうに
考え
ております。
村田誠醇
35
○
村田
誠醇
君 私も、言っている
意味
はわからないわけじゃないんです。JISマークというのはこれは
公正取引委員会
の直接の所管じゃありませんけれ
ども
、工場ごとにあるいは製品ごとに出しているものですよね。ところが、ここの工場でつくりましたよという表示がされていてJISマークが打たれているのに、全然違うところで実際につくってその表示をしていたということについては、公取としてはこの
商品
がコンクリートのヒューム管ということであるから
一般
消費者
を
対象
としていないので自分ところの所管じゃない、権限が及ばない、こういうふうな
理解
でよろしいんですか。
植松勲
36
○
政府委員
(植松勲君)
一般
消費者
向けではありませんので景品表示法の規定は適用されないけれ
ども
、
一般
法である
独占禁止法
に戻って不公正な取引方法に該当する場合として取り締まりの
対象
になり得るというわけでございます。ただ、JISの問題でありますれば工業標準化法で第一義的には対応された方がより効果的な規制が行われるのではないかというふうに
考え
ております。
村田誠醇
37
○
村田
誠醇
君 問題だけ
指摘
しておきます。ここに写真もあるし現場でこういうことが行われている。 それで、我々が
指摘
しましたので今はこの取引が中止されていますから別に実害が出ているわけじゃないんでいいんですけれ
ども
、しかし翻ってみれば、不当に表示されたものですよ。確かに、相手が
消費者
か特定の事業者かというその違いはあるとしても、こういうことがもし仮に許されるんだとすれば、これからいろいろ問題になってくるであろうPL法の問題にしても、こんな行為を取り締まれないということになれば非常に僕は問題がいろんなところへ出てくるんだろうと思います。そこで、そういう点についても
独禁法
、
一般
法で厳しく取り締まっていただきたい、あるいは
法律
違反
があれば厳しく対処していただきたい、そのことだけをまず
お願い
をしておきます。 それと、これは昨日も同僚の谷畑議員が
指摘
されておりましたけれ
ども
、
社会
保険庁のシール談合、それからその前に起こりました高速道路公団の
独禁法
違反
、この二つのうちダブっている会社があるというふうに聞いておるわけでございますが、ダブっている会社はどこなのか実名を挙げて教えていただけますか。
糸田省吾
38
○
政府委員
(
糸田省吾
君) 私
ども
、ことしの四月に勧告をいたしました
日本
道路公団及び首都高速道路公団の
入札談合
事件について勧告を命じた相手方の中に、御
指摘
のように今回
社会
保険庁のシールにつきます刑法
違反
で取り上げられている
企業
が幾つかございます。それを具体的に会社名を申し上げますと、小林記録紙株式会社、それから大
日本
印刷株式会社、トッパン・ムーア株式会社、それと株式会社ビーエフでございます。
村田誠醇
39
○
村田
誠醇
君
社会
保険庁の方は刑法の
違反
の方で、高速道路の方は
独禁法
違反
ということですから概念が少し違うんだろうと思うわけで、そこでお聞きをしたいんですけれ
ども
、今挙げた会社の社内の組織として、大体こういう大きい会社というのは第一営業部から始まって第何営業部までずっとあるわけでございますけれ
ども
、高速道路の
違反
事件を起こした営業担当本部と今回シール談合を起こしたところとはセクションが違うんですかこの会社の中のセクションが。それとも会社の中のセクションは、公共事業発注本部というのでしょうか、受注本部というのか知りませんけれ
ども
、そういう形で同じところなんですか。そこら辺はおわかりでございましょうか。
糸田省吾
40
○
政府委員
(
糸田省吾
君)
社会
保険庁関係につきましては、私
ども
まだその詳細をつまびらかにいたしておりませんので具体的なことを申し上げられませんが、社によってもいろいろと組織の違いがあろうかと思っております。具体的には現時点で把握していないということでございます。
村田誠醇
41
○
村田
誠醇
君 それでは、高速道路公団の方の関係についてお聞きしたい。 勧告をして直した、これはわかるわけです。その勧告の中身はいいです。特に、ここのところだけお聞かせください。重要なことは、もとへ戻したということと、ほかに
独禁法
違反
の事件を再び起こさないために再発防止にどのような
措置
をとったのかということを公取の方からも要求してあるはずですし、この会社からも返答が来ているはずだと思うんですね。いかなる再発防止に関する施策をこの会社が行ったのか。四つ全部言うのは大変でございましょうから、一番でかいところの大
日本
印刷についてだけ言っていただければ結構です。
糸田省吾
42
○
政府委員
(
糸田省吾
君) 私
ども
、この春に勧告をいたしました際に、
入札談合
を行っていた、全部で十五社あるわけでございますけれ
ども
、これらの
企業
に対しまして、今後
日本
道路公団または首都高速道路公団によります
競争入札
におきましてこういったいわゆる
談合行為
を行わないようにということの、私
ども
不作為命令というふうに呼んでおりますけれ
ども
、こういった命令を課したところでございます。 御承知のように、こういった命令が出て、その後にもし仮に
日本
道路公団あるいは首都高速道路公団の
入札
に際してまた同じような
談合行為
が行われたということになりますと、これは審決
違反
ということで罰則の
対象
にもなることでもございますが、そういう重い
意味
での不作為命令を課したところでございます。 これに対して、会社側から二度とこういったことは行いませんということ、あるいは社内で社員に対して
独占禁止法
をきちんと守るようにといったような指導をしているという趣旨の反応が返ってきているところでございます。
村田誠醇
43
○
村田
誠醇
君 抽象的で極めてわかりづらいんですよね。具体的にそれじゃお聞きします。 埼玉の
入札談合
について、再発防止のために各社にそれぞれ具体的に公取がいろいろ再発防止の施策をしてますね。その中には
独禁法
遵守の社内通達を出して全社員の署名捺印をとりなさいというのも入っておるわけです。あるいは再発防止のために服務規定を改善しなさいとか、具体的に取締役会で
独禁法
に
違反
するような行為をしないという決議や議事録を残すことというのが、埼玉の事件に関して公取が
対象
六十六社にやった行為ですよね。 道路公団の
違反
の事件のときにこれと同じような要求を相手方にしたんでしょうか。相手方というのは大
日本
印刷以下各社にしたんでしょうか。その辺はどうでしょうか。
糸田省吾
44
○
政府委員
(
糸田省吾
君) ただいま御
指摘
のありました埼玉県の
入札談合
事件に関しましては、その審決で私
ども
が取り上げました行為が
独占禁止法
に
違反
するものであるということを社全体にくまなく周知徹底するようにということを命じたところでございます。その周知徹底の仕方については各社によって若干の違いはあろうかと思いますが、そういう周知徹底を命じたというわけでございます。 それから、道路公団関係につきましても、先ほど申し上げましたように、今後二度とこういったことを行ってはならないということを命じているところでもございますから、それを受けまして各社がそれぞれ上から下に至るまでその趣旨をくまなく徹底させたというように
考え
ております。
村田誠醇
45
○
村田
誠醇
君 だから、上から下まで趣旨を厳しく徹底させたという
意味
は、
関係者
の署名を求める行為も入っているわけでしょう。それを高速道路の案件のときには
対象
となった会社に要求したんですかということなんです。これが要求して出ている、あるいは守りますということであれば、今回の
社会
保険庁のシールの事件は、その徹底をしたにもかかわらず、あるいは本人が署名捺印したのか知りませんが、確認をしている行為を明白に
違反
したというもう一方の
違反
行為も出てくると思うんですね。していればという話ですよ。この点について公取の方としては明確に答えてほしいんです。 高速道路の
違反
のときに排除勧告をしただけじゃなくて、再発防止をするために社内に徹底させた方法についてどういうふうに
理解
をしているんですか。つまり、埼玉県のように全社員の署名捺印を求めたんですかということです。求めていて今回の
社会
保険庁の事件が起こったとすれば、これは実はえらい問題が出るはずだという
意味
で聞いているんですよ。埼玉と同じような全社員の署名捺印を、高速道路の
違反
事件のときには相手方の会社に対して再発防止の要求をし、その点について返事があったんですか。表現を変えれば、具体的にどういう再発防止のための全社員に徹底するやり方をとったのか。全社員に徹底しましたというだけじゃわからないんですよ。 これは具体的な名前を出して申しわけございませんが、おたくの今はかわられているのかどうか知りませんが、植松総務担当審
議官
が、こういうやり方はこれまでもしょっちゅうとっている、つまり全社員に署名捺印を求めて確認をするというやり方は
公正取引委員会
が従来とってきた方式であると、全部をとってきたかどうか知りませんが、談話で発表していることなんです。そうすると、このやり方を高速道路の場合は適用したんですかというのが私の
質問
です。だから、具体的に答えていただければ結構です。
糸田省吾
46
○
政府委員
(
糸田省吾
君) 道路公団関係の事件につきましては、先ほど来申し上げているように、社内における再発の防止についての周知徹底ということは強く申し伝えてありますけれ
ども
、具体的に、例えば全従業員の署名をとるといったようなことまでは申し渡してはおりません。
村田誠醇
47
○
村田
誠醇
君 それじゃ埼玉の
入札談合
、これは刑事告発も何も受けてない。この排除勧告と再発防止の施策、今私が言いましたこれは新聞で報道されているんだから間違いはないと思うんですけれ
ども
、各社別に取締役会で議決しろとか社長名で
独禁法
遵守の社内通達を出しなさい、全社員の署名捺印をとりなさい、再発防止のための服務規定を
改正
しなさい。しかも、なおかつ三カ月以内、九月十日までにこれは実施しなさいということの指示を埼玉談合に関してはしているんじゃないですか。その点はどうですか。
糸田省吾
48
○
政府委員
(
糸田省吾
君) 埼玉の建設工事の
入札談合
事件につきましては同様に、先ほ
ども
申し上げましたように、その審決で取り上げられている事柄が
独占禁止法
に
違反
するものであるということを社内で十分に周知徹底するようにということを命令してございます。この命令を受けまして、各社がそれぞれ例えば取締役会においてそれの確認のための議決を行ったとか、あるいは社員一人一人に対して具体的に伝え、またそれを伝えたということについての署名をとっているとかあるいは会社として
独占禁止法遵守
マニュアルをつくるとか、そういった会社によって対応ぶりに若干の違いはありますが、徹底した
独占禁止法
の周知
措置
が講じられているというところでございます。
村田誠醇
49
○
村田
誠醇
君 それじゃ、高速道路の
違反
のやつも全社員に周知徹底するように要求したんですね。そのことだけは確認したい。
糸田省吾
50
○
政府委員
(
糸田省吾
君) 私
ども
不作為命令を審決においてかけているわけでございますから、その趣旨は十分に社全体に通じているというように
考え
ております。
村田誠醇
51
○
村田
誠醇
君 のれんに腕押しみたいなのでやっていてもしようがありませんので、お忙しいところ
官房長官
済みません、二点ほどお聞きしたいんです。 一点目は極めて事務的に、簡単なことでございますが、先般の九月の決算
委員
会で、私
ども
理事の中で出席要求大臣をだれにするかということの
論議
をしているところで、どうしても
答弁
が必要だからということで官房副長官の出席を要求いたしました。そのときに、そこにいらした官房の参事官室の方が言うには、長官が出ればすべて物事は解決するのでありまして、長官がいないときは副長官がかわりに出るんです、これが
原則
ですという
答弁
といいましょうか
説明
を一生懸命なさったんですけれ
ども
、我々はおかしいじゃないかと、こういうことで決算
委員
会理事会で大分もめまして、
論議
をした経過がございます。
官房長官
、大変お忙しい方でございますから、常にいろというわけには言えませんので、
原則
として確認をしたいのは、
官房長官
がいらっしゃらないときには副長官がかわって出席もしくは
答弁
をなさる、こういう役所内のシステムになっているということは確認していただけるのか。その所掌の問題については我々わかりませんけれ
ども
、そういうふうになっているのかどうかが一点目でございます。 それから二点目は、ちょっとこれは大変問題は大きな話で、長官でしかお答えできないんだろうと思うんですけれ
ども
、この
独禁法
にしても、それからそれ以外の
法律
にいたしましても、
我が国
で基準をつくってそれを国内で適用する。
独禁法
で言いますと、要するに海外の業者が
カルテル
を結んで、
日本
の市場でこういうものを売るときには高くつり上げてやりましょう、特にブランド
商品
なんか高く高く売りましょうと。その方がもうかるからといって海外の業者が全部
カルテル
を結んじゃった場合は、
日本
の
法律
は今の
段階
でいくとなかなか適用しにくい。 それと同じケースが、例えばこれは一九九〇年に起こった事件ですけれ
ども
、アメリカがメキシコ産のマグロの輸入を
禁止
した。その
禁止
した理由は、マグロをとるときにイルカも一緒に混獲しちゃうので、そういう漁法をとっているからけしからぬということでこれは輸入
禁止
をした。こういうケースは実はいろいろ出ています。
我が国
においても同じような問題が出ている。それは、大臣御存じのとおり輸入かんきつ類に対する防カビ剤、アメリカが使っているやつの基準と
日本
の基準が違う。ポストハーベストの農薬、残留農薬の基準についても同じなんです。こういうように国際的に複雑になってくればなってくるほど、その国の基準ですべて世の中が、海外の場合もそうですけれ
ども
、通らなくなる。 一体こういった問題について、
政府
として国際
摩擦
あるいはガットの自由な貿易を取り扱うという
原則
と、その国がその国独自に決めた基準、
独禁法
なら
独禁法
が、国内だけで適用していたんではだめだ、国際的にも交流しなきゃいかぬということになりますと、国際的な基準が国内の基準と合わなくなってきたときに、一体どういうふうな基本的な対応をするのが
政府
の
方針
なんでしょうか。 これはアメリカから言わせれば、食管法も輸入障壁の
一つ
だという
指摘
を受けていることを逆に裏返していったときに、こういった問題が多数発生してくることが今後
考え
られるわけでございますので、一体
政府
としてこういった国内法の適用範囲とあるいはガットの
一般
的な貿易のルール、こういうものをどうやって調整していったらいいのか。 ちょっと問題が大き過ぎるのかもしれませんし、逆に言えば
官房長官
でなきゃお答えができないということで、先ほどのと二つ、ちょっとお聞かせを願いたいと思います。
加藤紘一
52
○
国務大臣
(
加藤紘一
君)
政府委員
とかそれから所管の大臣だとか、それから
質疑
通告大臣の出席の問題というのは、そのときどきの立法府の御
意見
で決まるわけでございますけれ
ども
、通常内閣官房についての御
質問
であれば私が出席いたします。そして、私が出席できない場合には政務次官という場合もございますけれ
ども
、つまり官房副長官というのは政務次官の
一つ
でございますけれ
ども
、そういう場合もございますし、通常大抵の場合には、各役所は大臣がだめならば局長とか
政府委員
ということで御対応いただいているのではないかと思っておりますので、その辺は理事会で御協議いただければと思っております。 それから第二段の御
質問
は、非常に基本的な、重要なところでございまして、実は
政府
の統一見解としてお答えするには、三日か四日ぐらい勉強してからでないとお答えできないほど大きな問題でございますが、
一般
的に
独禁法
にいたしましても、その他の
法律
にいたしましても、
我が国
がつくります
法律
というのは
我が国
に居住する
個人
ないし法人等に対する規制力を持つものと
考え
ております。 ですから、
外国
で仮に
日本
に物を売ろうとしている種々のメーカーが談合いたしまして、そして
日本
市場における価格についての取り決めでも行った場合は、これは
日本
の国民に対して大変影響があることですから、何か
考え
なければならないことのようにすぐ思いますけれ
ども
、それは
外国
の法人を規制するわけにはいかないから、同時に恐らくそれを輸入している代理店それぞれの間の問題をどう
考え
るかというような技術的な話になっていくんではないかと思います。その点につきましては、
政府委員
から今お答え申し上げたいと思っております。 それから第二点の、いわゆる貿易に関する国境における障壁または認証・基準、検疫、こういったものについての各国間の調整、基準が違う場合の交渉はどうするのかという問題は、まさに今ガットのウルグアイ・ラウンドでみんなで国際会議で話し合われているところであって、そしてその話し合いがうまくいかなければうまくいかない部分についてはそれぞれの独立国がその主権を主張するということで、最終的にはそれぞれの国の主張が通るべきことなんであろうと思っております。しかし、これだけ密接な国際
社会
ですから、できるならばその基準というのは
一つ
であった方がいいわけですから、その辺も含めてウルグアイ・ラウンドの交渉もありますし、それ以外のバイラテラルの
日米
だとか英仏だとかまた最近では時にはECとNAFTAだとかそういった地域間の交渉なんかも行われていくのだろうと思いますが、基本的には話のつかないものは独立国がその主権を主張するということでないかと思います。
村田誠醇
53
○
村田
誠醇
君 大変漠たる
質問
で申しわけないんですけれ
ども
、本当はこれは特定有害廃棄物の方で
質問
しようかと思っておりましたんですが、そっちではできなかったもので、ちょっと官房の方にお聞きいたしました。それでもう私の
質問
は終わりましたので、お忙しいでございましょうからどうぞ退席をしていただいて結構でございます。 それで、続けて公取の方にお聞きしたいんですけれ
ども
、
独禁法
違反
事件、
入札談合
を一番起こしておりますところが建設の
業界
関係だというのが定説でございます。ここに対していろんなところから、
入札談合
が繰り返し起きている原因の
一つ
として、公共工事に係る建設業事業者団体の諸
活動
に関する
独禁法
の指針という公取がつくったこの基準がどうもあいまいである。つまり、事業者団体が官公庁から発注予定工事に関する情報だとかあるいは建設資材価格などの
入札
価格決定の基礎となる情報、こういったものを収集することを認めている、この指針は。それとともに、事業者間で各社の受注計画や営業実績を交換することをこの
独禁法
の指針、ガイドラインの中で認めていることが
入札談合
が繰り返し起こる原因であると
関係者
から
指摘
されておる。 当然これを直そうという動きなり検討が公取の中で進められているというふうにお聞きしておりますが、どのように直すのか、どこを直すのか、あるいはいつまでに直すのか、あるいは直す意思がないのかも含めてちょっと御
説明
をいただきたい。
矢部丈太郎
54
○
政府委員
(
矢部丈太郎
君)
競争入札
におきましてその受注予定者あるいはその
入札
価格を話し合いで決める、いわゆる
入札談合
が
独占禁止法
違反
になるということは、
公正取引委員会
が昭和五十四年に公表いたしました「事業者団体の
活動
に関する
独占禁止法
上の指針」、これは
一般
ガイドラインと呼んでおりますが、この中ではっきり示しているところでございます。 それで、一方建設業のガイドラインでございますが、これは建設業に
中小企業
が非常に多いというようなことから、公共工事における
競争入札
に際しましてどういった行為が
独占禁止法
違反
となるか、あるいはどういった行為が
独占禁止法
違反
とはならないのかということを具体的にわかりやすく示す必要があるということで、先ほどの
一般
ガイドラインを踏まえましてわかりやすくまとめたものでございます。この建設業のガイドラインにおきましても、
競争入札
において受注予定者あるいは
入札
価格を決定する場合は
独占禁止法
違反
になるということを明示しておるわけでございまして、
入札談合
の防止には役立っていると
考え
ているわけでございます。
公正取引委員会
は、従来から建設
業界
の
入札談合
事件につきましては厳しく対処してきておるわけでございますし、あわせて
一般
ガイドラインと建設業ガイドラインの周知徹底を図りまして
独禁法
の正しい
理解
を求めて
独禁法違反行為
の未然防止に努めているわけでございまして、今後もこういう努力を続けていきたいと
考え
ております。 それで、この建設業ガイドラインの
見直し
のことでございますけれ
ども
、私
ども
といたしましては、
一般
ガイドラインと建設業ガイドラインということの中身を正しく
理解
していただくことが重要であるということから、今のところ建設業ガイドラインについて
見直し
をするということは
考え
ておりません。
村田誠醇
55
○
村田
誠醇
君 それじゃ、この八四年に公取が作成された建設業のガイドラインですね、この中で
一つ
確認をしたいんですけれ
ども
、事業者間で各社の受注計画や営業実績を交換することもこれは
独禁法
の
違反
ではないということが書かれておるんですが、その中身についてお聞きしたいと思います。
矢部丈太郎
56
○
政府委員
(
矢部丈太郎
君) 情報交換にとどまる限りは
原則
として
独禁法
違反
とはならないと確かに書いてございますが、その前の方に、
競争入札
において一定のルールを定めるというようなことによって受注予定者を決めたりあるいは
入札
価格を決めるということは
独占禁止法
違反
になる、ですからそういうことのない限り、そういう情報交換があっても
独禁法
違反
ではないというのがこのガイドラインの中身でございます。
村田誠醇
57
○
村田
誠醇
君 あと残り時間も少なくなりましたので最後にお聞きしたいんですけれ
ども
、かみつかぬ番犬とかいろいろ言われておりましたけれ
ども
、何か最近は狂ったようにかみついているようでございまして、ただかみつかれた相手が極めて小さいところといいましょうか、弱いところといいましょうか、印刷用インキの製造だとか、業務用ラップだとか、粘着テープだとか、
業界
として極めて小さいと思われるようなところにしかかみついていない。そういう
意味
では、何か強きを助け弱きをくじくような感じもするので、一番強いと言われております金融証券のところについて一体公取の態度はどうなのか、ひとつお聞きをしたいと思うんです。 これは、九一年の十二月二十四日、公取が
調査
した拘束預金の実態
調査
ということについて発表なさっておるわけでございますが、歩積み両建てを強制した優越的地位の乱用による取引という、あるいは拘束預金が総借入件数の四分の一を占めているという発表を公取がなさっているわけです。これは今の不況下でいくとあるいはもっと厳しく拘束預金というんですか、歩積み両建てがやられている可能性も
考え
られるわけでございますけれ
ども
、この
調査
をした結果、公取としては改善策を当然対応なさったと思うんですけれ
ども
、どのくらい改善されたのか、あるいは
調査
しただけなのかひとつお聞きをしたいのが一点目。 それから二点目として、これは
消費者
なりあるいは
独禁法
を一生懸命勉強なさっている弁護士さんの方からいろいろ訴えがあると思うんですけれ
ども
、変動型の長期プライムレートの金利の決定方式がこれは疑似
カルテル
ではないかという疑いがある、金利の決め方についてですね。あるいは
消費者
から、変動金利で契約したのに市場金利が下がってもなかなか契約金利を下げてくれないという、こういう優越的地位の乱用が訴えられていると思うんですけれ
ども
、こういったケースに対して実態の把握、あるいは先ほど言ったように把握した後改善策はどういうふうになされているのか、公取の方から御
説明
をいただきたい。
植松勲
58
○
政府委員
(植松勲君)
最初
の拘束預金の問題につきまして、私からお答えさせていただきます。 拘束預金の問題、かつて三十年代、四十年代初め非常に大きな問題になりまして、
公正取引委員会
としてこの問題に取り組んできたわけでございます。毎年かなり定期的に
調査
も行ってきたわけでございまして、今
先生
御
指摘
の昨年の公表データを私今手元に持ち合わせておりませんので記憶で申し上げるほかないわけですけれ
ども
、そのときの比率は、いわゆる狭義の拘束預金比率というのは数%に下がっていたんだろうと思います。かつて、四十年代のころはかなりの比率で拘束されていた。今は非常にある
意味
ではこういう金融
自由化
の時代でございますので拘束預金の比率は非常に下がってきている、
一般
的にはある
意味
で非常な改善がされてきているということで、かつては大蔵省と
公正取引委員会
が共同でこの問題に取り組んできたわけでございますけれ
ども
、大蔵省の方では既に定期的な
調査
はやめているというふうに聞き及んでおります。
公正取引委員会
がこの
調査
を通じて、
一般
的に拘束預金の問題について注意を喚起するということで対応してきておりますし、個別具体的に
中小企業
者から拘束預金で困っているというような相談がございました場合には、その問題につきまして適切な対応をしているところでございます。
矢部丈太郎
59
○
政府委員
(
矢部丈太郎
君) 銀行のプライムレートの件でございますけれ
ども
、銀行にとりましてそこの金利を幾らにするかというのは、今
一般
の
商品
における価格と同じようなものでございますので、そのプライムレートの決め方について銀行間の話し合いで決めるというようなことがあれば、これはもちろん
独占禁止法
違反
ということになるわけでございます。ただ、こういう非常に同質的な
商品
でございますので、どこかの銀行が
最初
にプライムレートを決めてほかの銀行がそれに追随して決めるというようなことで結果的に同じような
水準
になるということであれば、直ちに
独禁法
の
カルテル
ということは難しいのではないかと
考え
ております。
村田誠醇
60
○
村田
誠醇
君 時間も大分なくなってきましたし、私も準備する時間が大変少なかったので、たしか前に資料をもらっておったのですけれ
ども
、それを一生懸命捜したのですが整理が悪くてどこに隠しちゃったのかわからないのでお聞きしたいのですが、金融証券不祥事件が起こったときに、損失補てんなのか、それとも子会社の持ち株制限
違反
なのか、たしか
公正取引委員会
が大手四社に対して勧告書を出したはずでございます。その原文は、たしか私前にもらったのですけれ
ども
、いろんな資料の中に紛れ込んじゃってよくわからないんですが、それは今言ったように、子会社の持ち株制限
違反
、要するに
独禁法
十一条の五%ルール
違反
による排除なのか、損失補てんをしたことが要するに不公正な
競争
をしたという
意味
での
違反
だったのか、ちょっとその辺記憶が定かでないものですから、この辺について教えていただけますか。
糸田省吾
61
○
政府委員
(
糸田省吾
君) 実は
委員
御
指摘
の話は二種類の審決がございます。 まず、
最初
の株式の問題でございますけれ
ども
、御承知のように証券会社が他の会社の株式を
原則
五%を超えて持ってはならないという規定がございますし、またこの脱法を
禁止
する規定もあるわけでございます。昨年、ある証券会社が具体的に申し上げればその制限を脱法する行為を行ったということで
独占禁止法
違反
ということで審決を行いました。それから、損失補てんの方につきましては四大証券会社に対しまして、取引の維持または拡大のために損失補てんを行っていたということが、これは
独占禁止法
上の不公正な取引方法に該当するということで四社それぞれに対しまして審決を行ったということでございます。
村田誠醇
62
○
村田
誠醇
君 そうすると、その持ち株制限
違反
の方はこれはある
意味
では形式的な部分でございますから一件処理でわかるんですけれ
ども
、損失の補てんについては大手四社だけじゃなく、その後にもどんどん出ているわけでございますね。それから、つい最近も証券業協会の
調査
でも出てきている。これに対して公取は大手四社だけの勧告で済ませている。やった行為形態は全部同じだと思うんですけれ
ども
、大手四社とそれ以外の会社とを区別する理由がどこにあるのか。そのことについてちょっとお聞きしたいと思います。
糸田省吾
63
○
政府委員
(
糸田省吾
君) 昨年、大手四社に対しましてこの損失補てんにつきまして、これももう少し詳しく申し上げれば、単に損失補てんが
独占禁止法
に反するということを言ったわけではありませんで、取引の維持または拡大のためにこの損失補てんが行われているということをつかまえて
独占禁止法
に
違反
したということを言っているわけでございますけれ
ども
、当時この四大証券につきまして勧告を行いました。それから、いわゆる中堅の証券会社十数社も損失補てんを行っていたというように伝えられておりましたが、この中堅の証券会社に対しましては、証券業協会を通じまして
独占禁止法
違反
が行われることのないように厳正に指導監督されたいということを申し渡してございます。 私
ども
、当時この損失補てんが、先ほど申し上げたような条件つきではありますけれ
ども
、
独占禁止法
でも問題となるんだということを審決の形で世の中に伝えたところでもございますので、当時この損失補てんが
独占禁止法
でどうなのかというような議論もあったところでもございますが、それに対して
一つ
の明快な回答を出したということによって、この損失補てんが
独占禁止法
の
観点
からこの
法律
に
違反
することのないようにという形に改善されたというように
考え
ておりますので、この四社に対する勧告が非常に意義のあったものであるというように
考え
ております。 もとより、それから後におきまして証券取引法が損失補てんその他に対する規制を一層
強化
するという
観点
で
改正
が行われているわけでもございますので、もう私
ども
、この損失補てんの問題につきましては証券取引法に基づいて適正的確な規制が行われるということによって本来解決されるべきものであり、またその解決の緒についているというように
考え
ているところでございます。
斎藤文夫
64
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 恐れ入ります。時間です。
村田誠醇
65
○
村田
誠醇
君 最後に、公取の
委員長
にお聞きしたいんです。 これは私、物の本で読んだのでわかりませんが、
独禁法
の
違反
事件第一号というのが昭和二十二年の帝国銀行などによる貸出金利、預金金利の協定が第一号だったということが言われているわけでございます。これは私、ちょっと真実かどうかわかりませんけれ
ども
。金融関係と
独禁法
というのは今まで余り関係がないものというふうに言われてきたわけでございますが、前
委員長
のときから金融に関しても
独禁法
の適用があるんだということがかなり強調されるようになってきたわけでございます。 そこで、いやしくもそういうことはないと思うんですけれ
ども
、金融関係を統括なさっておりました大蔵省の方から横滑りをなさってこられた
委員長
でございますので、決して手心を加えているとかなんとかいうことではございませんけれ
ども
、金融の分野、今の部長さんの御
説明
でいけば、
改正
証取法ができたのでもうそっちに任せたから
独禁法
はここの適用外ですよみたいな解説をなされますと、この部分だけは聖域で
独禁法
の適用の
対象
にはなっていないんですというような
説明
をされてしまうと極めて困る。そういう
意味
で、金融の部門と
独禁法
の適用についての
委員長
の基本的な
考え
方をお聞きして、もう時間が来ましたのでこれで最後にさせていただきます。
斎藤文夫
66
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 時間がオーバーしていますから簡潔に
答弁
を願います。」
小粥正巳
67
○
政府委員
(小
粥正巳
君) 簡潔に御
答弁
申し上げます。 証券を含む金融の市場におきましても、自由かつ公正な
競争
が
企業行動
、金融機関行動の
原則
であることには何ら変わりがございません。 したがいまして、これは前からそうでございますけれ
ども
、特に金融の世界に
自由化
の進展が極めて急速になってまいりました現在、従来ございました法的な規制も非常なスピードで取り払われ、自由な金融市場が実現しつつあるわけでございますから、私
ども
は従来同様、あるいは従来にも増して金融市場におきましても
独占禁止法
が当然のことながら誠実に遵守され、自由かつ公正な
競争
が貫徹されるように
公正取引委員会
としても十分意を用いて法の
運用
、
執行
に当たっていきたいと存じます。 なお、御
指摘
でございますけれ
ども
、私が大蔵省で
仕事
をしていたということは事実でございますが、たまたま命を受けましてこの
仕事
をお引き受けいたしました以上、
公正取引委員会
の誠実な一員として職務を遂行するということを改めて申し上げたいと思います。
斎藤文夫
68
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 午前の
質疑
はこの
程度
にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午後零時十分休憩 ————◇————— 午後一時三分開会
斎藤文夫
69
○
委員長
(
斎藤文夫
君) ただいまから
商工委員会
を再開いたします。 まず、
委員
の異動について御
報告
いたします。 本日、
村田
誠醇
君が
委員
を辞任され、その補欠として
西野
康雄
君が選任されました。
斎藤文夫
70
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 休憩前に引き続き、
私的独占
の
禁止
及び
公正取引
の
確保
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
を議題とし、
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御
発言
願います。
和田教美
71
○
和田教美
君
官房長官
がいらっしゃいましたから、早速
官房長官
に二、三お伺いします。 まず、市場経済、自由貿易の恩恵をこうむってきた
我が国
は、今や世界でも有数な
経済力
を有する国となっております。それだけにいろんな形での国際的な
摩擦
が多くなっておるわけでございます。そこで、公正かつ自由な
競争
を促進し、それによって
一般
消費者
の
利益
の
確保
、国民経済の民主的かつ健全な発展を促進しようという
独占禁止法
の存在意義は今後国際的にもますます重要な
意味
を持ってくるというふうに思います。つまり、
国際化時代
における
独禁法
という
視点
が重要になってくるというふうに思うわけです。 そこで、そういう点についての
政府
の認識、どういう点が足りないかどういう点について注意していかなければいけないかというふうなことについて国際問題にお詳しい
官房長官
の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
加藤紘一
72
○
国務大臣
(
加藤紘一
君) 先ほど
藁科委員
との
質疑
の点でもこの問題は
考え
させられたところでございますけれ
ども
、確かに
日本
の経済の力が世界の
GNP
の中で占めるシェアがこれほど大きくなりますと、私たちの国の経済の
運営
は単に
我が国
だけでなく世界経済全般に影響を及ぼすことになります。私たち
日本
人は、戦後極めて長い期間自分たちはまだ小さいんだ、まだ弱いんだというメンタリティーを持っておりましたので、
我が国
の予算
審議
が、また
我が国
の総合経済
対策
が世界にこれだけ注目されて影響を及ぼすということはなかなか認識できなかった、胸にずんとすぐ落ちてこなかったところはありますけれ
ども
、実体的にはもう大変な
役割
を果たすようになってきたと思います。 その
意味
で
我が国
の独禁
政策
、つまり
我が国
が公正な市場であるのか、世界につながった市場であるのか、そしてその市場が公正に
運営
されているのかという点は、ますます
日本
だけの問題ではなく、世界の多くの国、人々が関心を持つものになってきたと思っております。
公正取引
委員
の中に外交関係の股野
委員
を今度、去年ですか、任命をお許しいただいたわけですけれ
ども
、そういうような
委員
の構成にしなければならないような時代にもうなってきたというふうに思っております。そして、これからまた
我が国
の
公正取引委員会
が扱う
一つ
一つ
の問題がニューヨーク・タイムズに載ったりファイナンシャル・タイムズに載ったりするような時代になるんだと、もうなっているんだという認識を
政府
の方で十分持ちながら
運営
していかなければならぬと思っております。
和田教美
73
○
和田教美
君 国内では、
カルテル
、談合などの悪質な
独禁法違反行為
が世界に冠たる大
企業
においてさえ相変わらず行われているという
現状
でございます。こういう
状況
について、
日米
構造問題協議等でもわかるように、諸
外国
からは
我が国
独特の閉鎖的、なれ合い的経済システムにその原因があると
指摘
されております。既に世界的な経済大国となった
我が国
の
企業
活動
がアンフェアであるというふうなことを
指摘
されるということは、大変残念なことであります。
我が国
は、事あるごとに
我が国
の市場は閉鎖的ではなくて経済システムも公正であるというふうに諸
外国
にPRをしておりますけれ
ども
、しかし現実には談合、
カルテル
などが引き続き相変わらず行われておるというふうな
現状
を目の前にいたしますと、諸
外国
からなかなか
理解
されにくいのではないかというふうにも
考え
るわけでございます。 この点について
官房長官
の御見解をお伺いしたいと思います。
加藤紘一
74
○
国務大臣
(
加藤紘一
君) 確かに、
我が国
は人間関係を大切にする
社会
でありまして、従来古い商慣行でありますと若干高くても知り合いの人から買うとか、それからグループ同士での
経済活動
をし合うとかということはございます。しかし、最近の世界の経済に関する機関、例えばOECDやガットなどの審査や
報告
なんかで、
日本
はかなり自由で公正な市場になってきているという認識は最近いただけるようになってきたのではないかと思っております。 詳細につきましては、
政府委員
よりお答えいたします。
小粥正巳
75
○
政府委員
(小
粥正巳
君) ただいま
官房長官
から御
答弁
がございましたけれ
ども
、例えばOECDの経済開発検討
委員
会におきましては、特に
我が国
の
独占禁止法違反行為
に対して
公正取引委員会
が従来に比べて積極的により多くの法的
措置
をとり始めた、あるいは刑事告発を積極的に行っていく
方針
を公表した、さらに昨年のその
カルテル
に対する
課徴金
の
算定率
を大幅に
引き上げ
た等々大変具体的な摘示をいたしまして、今
官房長官
からお答えのように、
我が国
の
独禁法
適用
状況
が従来に比べて格段に推進されておるということを随所に、あるいはその会議の場その他で認められているところでございます。
和田教美
76
○
和田教美
君 現実には、談合の問題だとか、特に最近は不況のもとで
政府
の総合経済
対策
などを見ても公共投資などをこれから大いに盛んにやっていくということになったわけでございますが、そうすると、この建設事業費というふうなことについて不況下だけに工事の取り合いだとか、あるいは談合、不正行為というふうな
方向
を招かないとも限らないと私は思うわけでございます。 そのような懸念があるわけでございまして、そういう点についてはそれに対応する監視体制をぜひ
政府
も
考え
てもらわなければならないというふうに思いますが、
官房長官
の御見解を聞きたいと思います。
加藤紘一
77
○
国務大臣
(
加藤紘一
君) 不況下で建設工事が少なくなった場合に、いわゆる談合がそれによって多くなるのか少なくなるのか経済
状況
等いろいろなことで変わってくるんだろうと思いますが、いずれにしてもいわゆる談合というものがあってはならないことでありますし、それに対して
政府
もいろいろな監視の仕組み等を、また改善のメカニズムを
考え
ておる次第でございます。詳細につきましては、
政府委員
よりお答えさせていただきます。
小粥正巳
78
○
政府委員
(小
粥正巳
君) ただいま
官房長官
から御
答弁
がございました。もとより、
公正取引委員会自体
は、御
指摘
のようなおよそ
談合行為
が行われるということであれば、これは当然に
独禁法
に抵触をする重大な
違反
行為でありますから、これに対して厳しく対応してきておることは当然でございますし、今後ともこの法の厳正、適正な
運用
、
執行
に努めたいと
考え
ております。 それから、実は
公正取引委員会
が監視をする、
違反
行為に対して厳しく対応するということだけでは御
指摘
のようにいわゆる
談合行為
あるいは談合体質なるものが的確に改善をされるというわけにはなかなかまいらない向きもございます。そこで、
一つ
の具体的な例としては、公共建設工事の世界におきまして、これは
公正取引委員会
も御相談を受けてもおりますけれ
ども
、
独禁法
に対する研修会、
関係者
、社員等の教育
活動
な
ども
大変積極的に行われております。建設
業界
自体の動きといたしましては、本年の十月、つい最近でございますけれ
ども
、建設業適正取引推進機構という財団法人が設立をされまして、この機構の事業といたしまして
独占禁止法違反行為
の未然防止に積極的にその啓蒙なり研修
活動
に努めるということがうたわれておりますし、また当然のことながら談合がいかに現在の
経済社会
について重大な
違反
行為であるかということの啓蒙には特に意を用いていただくつもりでおります。 それからさらに、
入札
制度
そのものにつきましては根本的な改善、改革が必要であるとの
見地
から、本年の十一月でございますけれ
ども
、これは建設大臣の諮問機関であります中央建設業
審議
会から詳細な答申が出されているところでありまして、私
ども
、このような動きと相まって御
指摘
のような談合について、これが
経済社会
で行われなくなるような地盤の形成、涵養に
政府
全体として努めていかれるものと
考え
ております。
和田教美
79
○
和田教美
君
官房長官
、もう結構でございます。 それでは、通産省に
お尋ね
いたします。 今回のこの
改正案
にあります
刑事罰
の
強化
について、
日米
構造問題協議フォローアップの第一回年次
報告
でも
独占禁止法
に関する
刑事罰研究会
の検討
状況
が示されております。USTRのヒルズ代表が四月の末に通産大臣と会談した際に、アメリカ側が本
法案
による
罰金
の
引き上げ
が一億円にとどまったということに対して不満を表明したとも伝えられております。さらに、七月の末に第二回年次
報告
がまとめられた際に、
日本
側は本
改正案
の
内容
と
審議
状況
を米国に対して
説明
したということでございますけれ
ども
、米国側の完全な納得を得られたのかどうか。今後は国際関係上この
罰金刑
の問題、あり方の問題について何も問題は起きないというふうにお
考え
なのかどうか、その辺について通産省のお
考え
をお聞きしたい。——通産省、いませんか。
斎藤文夫
80
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 通産省は今現在来ておりません。済みません。
和田教美
81
○
和田教美
君 通告したのに来ないな。 それじゃ、この問題、
公正取引委員会
で答えてくれますか。
小粥正巳
82
○
政府委員
(小
粥正巳
君) ただいまの
お尋ね
でございますけれ
ども
、ただいま御
提案
申し上げております
罰金刑
の
上限
の一億円への
引き上げ
、これにつきまして国内でいろいろな御
意見
があることは承知しておりますし、また海外からこれについてどのような評価が行われているか、これは私
ども
必ずしも十分に存じませんけれ
ども
、ただいま御
指摘
のように
日米
構造協議の過程ではこれは米国側から、
現行
の
日本
の
独禁法
の罰則の
水準
は低きに失する、そういう
指摘
が議論のさなかであったということは承知をしております。 しかし、再三申し上げておりますように、
現行
の五百万円という
水準
から二十倍の一億円への
引き上げ
でございますから私
ども
は大幅な
引き上げ
ということで、これは当然に成立をいたしますればアメリカを含めて
外国
の
競争
当局にも十分その結果を
説明
するつもりでおりますし、しかも
我が国
独自の
制度
でございます
課徴金
が昨年大幅に
引き上げ
られたこととあわせて、
抑止力
の格段の
強化
という点は私
ども
十分自信を持って
説明
できると思っておりますし、またその点はアメリカを初め海外からもそれなりの評価を得られるものと
考え
ております。
和田教美
83
○
和田教美
君
公正取引委員会
は、昭和五十二年の
独禁法改正
以来、
平成
三年十一月六日にいわゆるストレッチフィルム事件、食品包装用のラップフィルムのメーカー八社による価格
カルテル
容疑で会社の担当部長クラス八人を告発したという事件ですけれ
ども
、ここで価格
カルテル
容疑で告発を行うまでは一度も刑事告発は行っていません。その理由は主として、昭和五十二年に創設された
課徴金制度
で対応することで独禁
制度
の定着を図ってきたからであると
公取委
では
説明
をいたしておりました。 ところで、昨年七月に
課徴金
の
引き上げ
が行われましたが、その効果はあるのかどうか。まだ時間がたっていないからわからないということかもしれませんけれ
ども
、見通しとしてこの
課徴金制度
による抑止的効果というのがあるのかないのか。あるとしてもどの
程度
なのかと、いうふうな点について
公取委
の評価をお聞きしたいわけでございます。
小粥正巳
84
○
政府委員
(小
粥正巳
君) 御
指摘
のように、
課徴金
は昨年
国会
で
法律
を成立させていただきまして、施行は昨年の七月からでございます。したがいまして、施行されましてからまだ一年半はたっておりません。したがいまして、
課徴金
引き上げ
の効果について、これは例えば定量的な評価というのは大変難しゅうございますけれ
ども
、ただこの
課徴金
の
引き上げ
が、再三申し上げておりますように、その
算定率
を
原則
として四倍に
引き上げ
たという大変大幅な
引き上げ
でございますし、
課徴金
自体はもちろん
カルテル
による不法な
利得
を吐き出させるという
性格
でございますから、原状回復以上に
制裁
を加えるというものではございませんけれ
ども
、しかしこれも御承知のように、昭和五十二年に導入されますまではこの
制度
は存在しておりませんでしたから、やはりこれが
抑止力
としてそれなりに大変重みを持っておる。特に、その
算定率
が昨年四倍に
引き上げ
られたということは、これはもう申すまでもなく、
カルテル
違反
行為を意図する
企業
に対しても、もしこれが摘発をされれば極めて厳しい
課徴金
による経済的
負担
をこうむるという
意味
では、未然防止につながる非常に強い
抑止力
を持っているはずと私
ども
考え
ております。 何分、昨年七月からの施行でございますから、ごく最近勧告審決をいたしまして、そして
課徴金
納付命令を発したその事件にしか昨年七月以降の
課徴金
の適用はまだ例がございませんけれ
ども
、これはやはり
引き上げ
前に比べて格段の
抑止力
強化
であると私
ども
は確信をしております。
和田教美
85
○
和田教美
君 私は、この
課徴金
はあくまでも不正行為による不当
利得
を解消させるだけのものにすぎない、実損は生じない、その
意味
ではやはり
抑止力
は
刑事罰
で達成するのが筋であるというふうに
考え
るわけでございます。 実際、昭和五十二年以降の
状況
を見ると、今言ったように、
課徴金制度
の定着が図られているようであるけれ
ども
、
違反
行為の発生数、
違反
を繰り返す事業者の存在等が相変わらず続いておるわけでございまして、
課徴金制度
だけでは
独禁法違反行為
に対する
抑止力
はまだ不十分だというふうに
考え
ております。
公取委
自身が刑事告発の体制整備をこれからの課題とすると言っておりますし、現に
平成
二年六月には既に「
独占禁止法
違反
に対する刑事告発に関する
公正取引委員会
の
方針
」な
ども
出まして、それによって告発を積極的に行うと、その態度を今までよりはかなり変えたように思います。 それで、なぜそういうふうな態度に変わったのか。その点について、
日米
構造問題協議でアメリカ側からその必要性をいろいろ言われるから、だから外圧といいますか、そういうことで刑事告発をもう少し真剣に
考え
るというふうなことになったのか
独禁法
の
抑止力
がまだ足らないという認識のもとにやったのか、その辺の
事情
をひとつお聞かせ願いたいと思います。
小粥正巳
86
○
政府委員
(小
粥正巳
君) ただいま
和田
委員
の御
指摘
のとおり、
課徴金
だけでは
独占禁止法違反行為
に対する
抑止力
は十分ではない、やはり
刑事罰
の
引き上げ
という
措置
が必要であるという点は、私も全く同じ
考え
方を持っているものでございます。ただ、
課徴金
それ自体がそれなりの
抑止力
あるいは
抑止力
の一環を担うものとして重要な、あるいは
我が国
に特有の
制度
であるということを先ほど強調させていただきました。 ところで、ただいまの
お尋ね
でございますけれ
ども
、
課徴金制度
が昭和五十二年の
法改正
で導入をされましてから、私
ども
はこの
課徴金制度
の定着に
公正取引委員会
として当面全力を尽くしてまいりました。以来十五年という時間がたっているわけでございますけれ
ども
、
課徴金制度
は
我が国
の
独占禁止法
の
運用
、
執行
面でこれはほぼ完全に定着をした、
企業側
にとっても
課徴金
の存在というものが常に念頭にあって
企業行動
が行われている、私
ども
はこういうふうに定着を評価をしているわけでございます。 さて、これも先ほど来御
指摘
をいただいておりますように、特に近年
内外
の
情勢
の
変化
のもとで独占
禁止
政策
の一層の推進が求められているわけでございまして、私
ども
、
カルテル
に典型的に示されますような、
独禁法違反行為
の中でも特に国民生活に広範な影響を与え悪質かつ重大である、一昨年の告発
方針
に明示されましたそのような
違反
の性質が重大悪質であるというものについては、
課徴金
だけでは
違反
行為の是正が必ずしも十分にまいらないのではないか。あるいは、既に
公正取引委員会
が行政処分として排除
措置
を行い、あるいは
カルテル
であれば
課徴金
を徴求したにもかかわらずなお
違反
行為が重ねられるというようなことも間々ございます。この点につきましても、
課徴金制度
だけでは対応しかねる。さすれば、やはりこれはある
意味
で
独禁法違反行為
に対する
制裁
のいわば最終的な手段であります刑事告発をあえてしても、この行為の是正をどうしても基本的に求めざるを得ない、あるいはそうすることが今後の
違反
行為を未然に防止するゆえんでもある。 そういう
意味
合いにおきまして、
課徴金制度
導入以来、事実上行っておりませんでした告発をケースによっては積極的に行っていくという
方針
を二年前に明示し、現に昨年末でございますけれ
ども
、お示しのいわゆる業務用ストレッチフィルム関連の
カルテル
について告発を行ったところでございますし、今後ともこの
方針
に基づいて、事案によりましては積極的に告発を行っていくという
方針
を守ってまいりたいと思います。 そこで、もう
一つ
の
お尋ね
でございますが、このような
方針
、あるいは今回の
刑事罰
の
引き上げ
について、
日米
構造協議等でアメリカあるいは海外からの要請にこたえてそういう
方針
の転換を行ったのか、そういう
お尋ね
であろうかと思いますけれ
ども
、もちろん、例えば
日米
構造協議における独占
禁止
政策
のあり方をめぐる議論も
一つ
の契機ではございましたけれ
ども
、これはあくまでも
我が国
の
競争
政策
、独占
禁止
政策
のあり方として、
日本
政府
の
考え
方としてただいま申し上げましたような
独禁法
の
運用
の
強化
、一層の推進ということを策定いたし、その一環として今回の
法改正
を
お願い
している次第でございます。
和田教美
87
○
和田教美
君 次に、
入札談合
の問題について
お尋ね
したいと思います。
独禁法違反行為
には種々の態様のものがあるわけですけれ
ども
、中でも
入札談合
というものは、単に
独禁法
に
違反
するというだけではなくて、国民の税金をだまし取るというふうな行為と言ってもよいわけでございまして、
独禁法違反行為
の中でも特に悪質なものであると私は
考え
ます。
公取委
員会は
入札談合
を重点的に取り締まるべきであるというふうに思うんですけれ
ども
、この
入札談合
事件に対する取り組みの基本的な
方針
、最近の
入札談合
事件の摘発
状況
などを御
説明
いただきたいと思います。
糸田省吾
88
○
政府委員
(
糸田省吾
君) いわゆる
入札談合
事件と申しますのは、
独占禁止法
で
禁止
しております
カルテル
、不当な取引制限の一態様のものであります。ただいま
委員
御
指摘
の面もございまして、
独占禁止法
違反
の中でも特に悪質なものの
一つ
であるというふうに
考え
ておりまして、従来からこういったものに対する厳正な対処、規制をしてきているところでございます。 ちなみに、最近の
違反
事件に対する規制のうちで、
入札談合
事件のウエートと申しますか、その割合を御紹介申し上げたいと思います。例えば昨年度、
平成
三年度でございますが、
平成
三年度におきまして法的
措置
をとった件数、いわゆる勧告の件数でございますが、これは全部で三十件ございました。このうち
入札談合
事件、これは決して建設工事に限らないんですけれ
ども
、各種の
入札談合
事件に対して勧告を行った件数は三件でございました。それが本年になりまして、きょう現在で
考え
てみますと、
平成
四年度につきましてはこれまで二十二件の勧告を行いました。そのうち十三件が
入札談合
事件でございます。こういった数字の推移から見ましても、私
ども
独占禁止法
違反
事件として
入札談合
事件に精力を大きく注いでおるということをおわかりいただけるかと思っております。
和田教美
89
○
和田教美
君 建設
業界
初の刑事告発になると見られておりました埼玉県の建設談合の刑事告発が結局見送られて、建設会社六十六社に対する排除勧告にとどまりました。この事件の告発を断念した理由はどういうことなのか。行為者等の特定が困難だということで見送ったというふうに解釈していいのか。その辺の実情をひとつ御
説明
願いたい。
糸田省吾
90
○
政府委員
(
糸田省吾
君) 埼玉県における建設工事の
入札談合
事件でございますが、これにつきましては、ことしの五月に
独占禁止法
違反
ということで勧告をし、また翌月その審決を行ったところでもありますし、またこの秋にはこの事件に関しまして総額で約十億円余りの
課徴金
の納付命令を発出したところでもございます。 一方、この事件につきまして告発はいたさなかったわけでありますけれ
ども
、その理由ということでございますが、先ほ
ども
委員
からも御
指摘
もございましたが、私
ども
平成
二年の六月に告発に関する
方針
を発表しているところでもございますが、この
方針
を発表した以降におけるこの埼玉県
入札談合
事件に関する事実について検討を行った結果、同日以降において
独占禁止法
の規定に
違反
する、犯罪ありと思料しまして告発を相当とするという具体的事実を認めるに至らなかったために告発は行わなかったということでございます。 もとより、これは犯罪と思料して告発をするという問題でございますから、例えば
入札談合
に対しまして刑事責任の追及を含めて告発を行うということでございますから、例えば
個人
レベルでの事実関係についてもある
程度
明らかにするというような面もあるわけでございますが、そういった面も含めて検討した結果、犯罪あると思料し告発を相当とするという具体的な事実が認められなかったということでございます。
和田教美
91
○
和田教美
君 次に、
社会
保険庁のシール
入札談合
事件、これはさっきから議論になっておりますけれ
ども
、この事件については
公取委
は結局これまた告発をしなかったわけでございますけれ
ども
、それにもかかわらず検察庁は独自に刑法の談合罪で起訴したところであります。談合罪というのは刑法にも
独禁法
にもあると思うんですけれ
ども
、検察庁が独自に
判断
をして起訴したということの理由はどういうことかということを法務省にお聞きしたいのと、それからそういう検察の動きを見て
公正取引委員会
としてこの問題にこれからどういうふうに対応していくのか、お答えを願いたいと思います。
山本和昭
92
○
政府委員
(山本和昭君) いわゆる
社会
保険庁発注の印刷物調達に関する
入札談合
事件につきましては、東京地検がことしの十月十三日に強制捜査に着手しまして、以後所要の捜査を遂げ、十一月二日に小林記録紙株式会社東京支店の営業部長ら五名を競売
入札
妨害罪により公判請求し、さらに十一月二十五日に同営業部長ら八名を競売
入札
妨害罪により公判請求したものでございます。 刑法におきます談合罪というのは、刑法九十六条の三第二項に定められておりまして、その構成要件は「公正ナル価格ヲ書シ又ハ不正ノ
利益
ヲ得ル目的ヲ以テ談合シタ」というものでございます。 そこで、先ほど申しました所要の捜査を遂げた上で収集しました証拠関係に基づき、話し合いによって落札業者をあらかじめ決め、各指名業者の
入札
金額を連絡し合い、そのとおりに
入札
し、落札予定業者に高額で落札させ、それによって得た
利益
の一部を分配したという事実関係を認定し、先ほど申しました談合罪の構成要件に該当するものと
判断
して同条項を適用して処理したものと承知しております。
小粥正巳
93
○
政府委員
(小
粥正巳
君) ただいま法務省御当局から御
説明
がありましたようないわゆるシール談合の問題が検察側から起訴されたというところまでは私
ども
承知をしております。もとより、刑法上の談合罪と
独占禁止法違反行為
とはその構成要件も異なるわけでございますが、これらの行為が
独占禁止法
上問題となり得る行為であるか否か、私
ども公正取引委員会
といたしましても重大な関心を有しているところでございます。 したがいまして、今後、法令の許す範囲で検察当局と密接な連絡をとりながら、
本件
の処理については適切に対応してまいりたいと
考え
ております。
和田教美
94
○
和田教美
君 私の
質問
、まだちょっとお答えいただいてないわけですけれ
ども
、法務省にお聞きしたいんですけれ
ども
、法域が違うから、公取は別として、要するに検察庁で独自にやれるというふうに
考え
ていいんですか、談合の問題について。
山本和昭
95
○
政府委員
(山本和昭君)
独占禁止法
違反
につきましては、御承知のように
公正取引委員会
に専属する告発権限というものがございまして、その告発が訴訟条件になっておるという関係で、
公正取引委員会
の告発がなければ起訴しあるいは処罰するということはできないことになっております。
和田教美
96
○
和田教美
君 ですから、刑法で起訴したというのは、それとの関係はどういうふうに
説明
されるわけですか。全く関係のないことだということですか。
山本和昭
97
○
政府委員
(山本和昭君) 刑法上の談合罪は、先ほど私が申しました構成要件でございます。
独禁法
の八十九条に定めます構成要件とは若干ずれがございます。そういうことで、犯罪としては別であるというぐあいに
理解
しております。
独禁法
についてどうするかということでございますけれ
ども
、
公正取引委員会
の告発を待って検察庁は動くという仕組みになっております。その点について、
公正取引委員会
との間で
平成
二年十二月に通報の場を設けるという取り決めができておりまして、そのことにつきましては各検察庁に対しまして周知徹底しております。 事実関係につきましては、捜査処理を行っている当該検察庁、この場合ですと東京地方検察庁でございますけれ
ども
、私
ども
が周知徹底していることに基づきまして、一番事実関係をよく周知している同地検におきまして通報するかどうかという検討を行うものと、そして適切に処理するものというぐあいに
理解
しております。
和田教美
98
○
和田教美
君 次に、厚生省に
お尋ね
します。
社会
保険庁のシール
入札談合
事件ですけれ
ども
、談合に参加した印刷会社は、十五億円とも二十億円とも言われる不正な
利益
を上げたと言われております。この不正な
利益
は国民の税金を盗み取ったというふうにも言えるわけでございますから、
社会
保険庁は談合に参加した印刷会社に対して損害賠償請求をすべきではないかと思うんですけれ
ども
、きのうの御
答弁
ではどうもその辺のところがはっきりしなかった。するようなしないような
答弁
でございましたけれ
ども
、それを明確に答えていただきたいということが
一つ
と、それからシール
入札
について再び談合が行われることのないよう、どんなこれからの防止
措置
をとっておるのか、その辺もあわせてお答え願いたいと思います。
池田登
99
○
説明員
(池田登君) お答えいたします。 まず第一点目でございますが、損害賠償の請求の件でございますが、私
ども
は現在のところ、契約の当事者間の関係としてこの問題が解決できるのではないかというふうに
考え
ておりまして、現
段階
におきましてはそういう
考え
方で契約の当事者、つまり関係の三業者でございますけれ
ども
、その業者との間で協議に入ったところでございます。 なお、もしこの協議が整わないというような事態が生じますれば、所定の法に基づきまして損害賠償の請求というようなことを検討して進めてまいりたい、かように
考え
ております。 第二点目の今後の防止策についてでございますが、今回のシール事件の反省を踏まえまして、今後このようなことが起きないように私
ども
といたしましてもできる限りの
措置
を講じてまいりたいと
考え
ております。そのため現在、
社会
保険庁内にシールに限らず物品の調達の契約につきまして
入札
方法等改善
委員
会というものを設置いたしました。発注者側として何ができるかあるいは何をすべきかという
観点
から契約事務の処理体制の全面的な
見直し
を進めておるところでございます。 具体的に現在検討を進めておる項目を若干申し上げますと、第一に指名
対象
業者、これにつきましてはその実情に応じてできる限り拡大をしていきたい。それから、今回の事件では特にそうでございましたが、
入札
の予定価格の設定方法、特に見積書の徴収、これがやや狭さに失したというものがございましたので、そういう
対象
業者の拡大あるいは見積もりの算定根拠を明確に出していただくというようなことを
考え
ていきたい。それから、広くその
業界
の実情を情報収集いたしまして事前のチェックを図ること、並びに事後の監視を厳格にすること。第四点目といたしまして、今回特に俗に丸投げと言われておりますが一括下請ということが行われておりましたので、こういった点については契約上これを
禁止
する
方向
が望ましいのではないか。 こういうように私
ども
も常に
考え
ておりまして、今申し上げましたようなことを中心にして検討を進めておるところでございます。
和田教美
100
○
和田教美
君
水道メーター
を自治体が発注するに当たって、受注をめぐって談合が行われていた疑いがあるということで
公正取引委員会
が一部のメーター製造会社に立入検査をする、それから三十数社に対して近く
独禁法
三条
違反
の疑いで排除勧告をする
方針
だというふうな報道がなされております。 ことし五月の埼玉県公共事業
入札談合
事件あるいは今取り上げました最近の
社会
保険庁のシール談合事件、さらに今申しました水道のメーター談合事件と、たび重なる談合事件の原因として公共工事の
入札
制度
そのものに問題があるのではないか指名停止などの事後的な
制裁
措置
では防止することはなかなかできないのではないか、
入札
制度
にかわる何かコンペ方式といいますか、そういうような新しい
制度
が必要ではないかというふうなことも言われておるわけですけれ
ども
、いろんな役所にこれ関係があることでございますから、代表して建設省の御見解をひとつお伺いしたいわけでございます。
風岡典之
101
○
説明員
(風岡典之君) お答えさせていただきたいと思います。 私
ども
中央建設業
審議
会におきましては、去る十一月二十五日に建設大臣に対しまして
入札
・契約
制度
の基本的なあり方についての答申が出ました。 この答申の
内容
でございますけれ
ども
、
入札
・契約
制度
につきましてより一層
競争
性、透明性を高めるというような
観点
から御検討をいただいたわけでございまして、例えば
現行
の指名
競争入札
制度
につきましても指名基準の改善等々の御
指摘
をいただくとともに、さらに
現行
の指名
競争入札
の方式だけではなくて、民間の技術力とかあるいは民間の業者の参加意欲というもの、さらには価格だけではなくていろんな技術
提案
の
内容
を徴しまして、そういうものを総合的に評価して落札者を決定するような、いわゆる多様な
入札
発注方式というものの
提案
もいただいたわけでございます。 今
先生
の方からコンペ方式の活用等につきましてお話がありました。私
ども
は、ただいま申し上げましたような中央建設業
審議
会におきましてさような
入札
発注方式の
提案
がございましたので、まずこれに基づいてできましたら来年度から、できるものから新しい
入札方式
というものを実施してまいりたいというふうに
考え
ております。 いずれにしましても、できるだけ技術力とかあるいは民間の業者の参加意欲というものをよく見まして、そういったことを中心に適正な
競争
が行われるような、そういう
入札
・契約方式の実施ということに努めてまいりたいと思っております。
和田教美
102
○
和田教美
君 これまで
公取委
が告発したり勧告を出したりしている
対象
は、どうも製造業に偏っているんではないかというふうにも思います。先ほどからも議論に出ておりますけれ
ども
、製造業だけでなくて、今の建設だとかあるいは金融、運輸といったサービス業にも積極的な対応をすることが
独禁法
の秩序を維持する上でも大変必要なことになってきているんではないかと思います。その
意味
で、去年のいわゆる証券スキャンダルで示された
公取委
の対応は、世論のバックアップというものがあったにしても一応評価できるものではないかというふうに私は思います。 そうした
政府
規制が絡んだ分野及びサービス分野、こういったところに今後憶することなく積極的に
独禁法
の
運用
を行っていくという決意がおありなのかどうか、その辺についてのお
考え
をお聞かせ願いたいと思います。
小粥正巳
103
○
政府委員
(小
粥正巳
君)
公正取引委員会
は、
独占禁止法
違反
の疑いがあるとの情報、端緒に接しました場合には、当然のことながら必要な
調査
を行い、
違反
する事実であると認められる場合には適切な排除
措置
を講じているところでございます。 広く
政府
規制分野あるいはサービス分野についてどうか、こういう
お尋ね
でございますけれ
ども
、最近の実例を見ておりますと、製造業における価格
カルテル
事件以外にもサービス業、通信業における
カルテル
事件あるいは建設、印刷、さらに広い
意味
でのサービス業における
入札談合
事件、御
指摘
がありました金融業における損失補てん事件など、製造業以外の分野における
競争
制限行為に対しても、当然のところながらひとしく厳正に対処しているところでございます。 経済のサービス化ということも言われておりますけれ
ども
、私
ども
もさらにこの複雑なあるいは広がりを持つ経済分野のあらゆる市場につきまして目を配りながら、法の厳正な
執行
に心がけていきたいと思っております。
和田教美
104
○
和田教美
君 もう私に割り当てられた時間はなくなりましたので、最後にひとつ
独禁法
執行
体制の
強化
の問題について
お尋ね
いたします。 去年の
課徴金
の
引き上げ
や違法な
カルテル
などに関する事業者の今回の
罰金刑
の
引き上げ
など、
独禁法
の
法制
自体はかなり整備されるようになるんではないかと思います。問題は、これから
法制
の実効を
確保
するための法の
執行
に重点が移っていくんではないかというふうに思います。 そこで、まず必要なのは
公取委
の体制の
強化
であります。先ほどからも
質問
に出ておりましたけれ
ども
、確かに
平成
五年度予算要求では審査部門の人員を十一名増加するなど
強化
の
方向
にあることは事実だとしても、なお
現状
は業務
内容
や権限から見てまだまだ不十分と言えるのではないかというふうに思います。 そこで、この問題について
公取委員長
としてどういう御決意で臨むのか。それから、例えば的確な公正な審査のために審判官に裁判官出身者を入れるというふうな思い切ったそういう取り組み方もする必要があるんではないかというふうに
考え
るのですが、この辺のところをお答えを願って、私の
質問
を終わりたいと思います。
小粥正巳
105
○
政府委員
(小
粥正巳
君) ただいま御
指摘
のように、この
法改正
をお認めいただければ、
制度
、
法制
面における法
執行
体制の
強化
拡充はひとまずその体制が整ったと言えると思いますが、これを運肝するのはもとより
委員
会及び事務局でございまして、その定員、機構の充実
強化
あるいは人材の育成についてさらに意を用いていかなければいけないことは全く御
指摘
のとおりでございます。
政府
全体としては極めて厳しい定員管理が行われている中で、幸い公取の
活動
についての強い要請を認められまして、特に近年、審査部門の機構、定員の充実を中心といたします
公正取引委員会
の陣容の着実な整備が図られてきたわけでございます。しかし、
現状
で十分かという
お尋ね
でございますけれ
ども
、もちろんこれは私
ども
現に来年度に向けて機構、定員の要求を精いっぱい行っているところでございますし、また人材の育成、研修についてもさらに意を用いていかなければならないことは当然でございます。 そこで、その人材面でいま
一つ
具体的な
お尋ね
がございました。裁判官出身者を登用する意図はないか、こういうことでございますが実は、たまたま昨年四月付でございますけれ
ども
、
公正取引委員会
といたしましては二十数年ぶりに現職の裁判官幹部一名を審判官に配置するという人事を最近行っているところでございます。これはより的確、公正な審査、審判を行うためにも、私
ども
としましても裁判所御当局の御
理解
をいただいてこういう人事が実現したわけでございまして、これはまた裁判官に限りません、公取全体の人材の育成、能力の向上を目指しまして、さらに他分野とも積極的な交流その他を図ってまいりたいと
考え
ております。
井上計
106
○井上計君
官房長官
がまだお見えじゃありませんから、
委員長
に先に
お尋ね
をいたします。今回の
独禁法
の
改正
でありますが、
罰金
の一億円が低いのか、あるいは五億円ならさらに抑止効果があるのか
論議
もありましたけれ
ども
、
現状
からすると一億円でも十分抑止効果がある、私はそういう認識を持っております。といいますことは、罰することが法の目的ではありませんでやはり
違反
行為を起こさないようにするため、これが法の目的であるわけでありますから、そういう
意味
では一億円という
罰金
に
改正
することが現
段階
では妥当である、このように
考え
ておりますから、特にこの
法案
についての
質疑
は省略をいたします。 そこで、
官房長官
がお帰りになりましたので、順序として先に
官房長官
、早速で恐れ入りますけれ
ども
お尋ね
をいたしたい、かように思います。ただ、私の都合で事前の
質問
通告を十分いたしておりませんから、適当にと言うと語弊がありますけれ
ども
、私の意のあるところをひとつ御
了承
いただきまして、
官房長官
に御
答弁
いただければ結構でございます。 実は、
独禁法
の問題等々いろいろと若干勉強してまいりますと、いずれ
委員
会でやりますけれ
ども
、私はこの際、予算決算会計令、これの
見直し
が必要ではなかろうかな、こんなふうに思っておるわけであります。現在の物価
水準
あるいは経済
状況
から
考え
ますと、予算決算会計令の中にかなり今の
情勢
、時代に適合しないというふうな面がたくさんあるわけであります。 時間がありませんから、もう詳しい
質問
は省略をいたしますけれ
ども
、例えて申し上げますと、第八十四条の「最低価格の
入札
者を落札者としないことができる契約」等々の中にも一千万円云々という金額があります。それから、「契約
内容
に適合した履行がされないおそれがあるため最低価格の
入札
者を落札者としない場合の手続」だとかというふうな項目があります。さらには、八十九条でありますけれ
ども
、「公正な取引の秩序を乱すこととなるおそれがあるため最低価格の
入札
者を落札者としない場合の手続」というものがずっとあるわけであります。それから、第九十四条でありますが、「指名
競争
契約」の中に「予定価格が五百万円を超えない工事又は製造をさせるとき。」には云々というふうないろんな条文があるわけであります。さらに、「随意契約」の項目の中にも三十万とか八十万とかというふうな金額が明示されております。 今実際の問題として、特に官公庁の
入札
の場合、建築あるいは土木等々の公共事業以外の物品の納入
入札
等々の場合に、要するに最低価格
入札
が
原則
でありますから、甚だしい場合には時価八十万円ぐらいのものを百円で
入札
するとかあるいはもっと極端な場合も最近随分とあるわけですね。それはもう
競争
のために、あるいは大
企業
がシェアを獲得するために拡充するためにまず
競争入札
者を全部排除してしまう、特に
中小企業
を排除するためにそのような戦略的ないわば無謀な
入札
をするというのがもう随所にあるわけですね。 それが不公正な取引という面で大変問題になっているという状態がありますが、これらのことをやはり改善をしていかないと、ただ単に談合によってあるいは協定によって高い価格を
入札
云々じゃなくて、不公正な取引を排除するためにはそういうシェア争いだとか、戦略的ないわばダンピング
入札
ということも排除していかないと、正常なやはり商行為、経済行為はできないし、市場は守れないんじゃなかろうか、こんなふうなことも
考え
ております。 したがって、予決令等々の
見直し
もやはりこの際検討すべき時期に来ておるんではなかろうかな、こんなふうに
考え
ておりますが、
官房長官
どういうふうなお
考え
でありますか。もし御見解があればお答えをいただきたい、こう思います。
加藤紘一
107
○
国務大臣
(
加藤紘一
君) 今、井上
先生
が御
指摘
の問題点は、現場の実情に立脚してかなり専門的な
観点
も含めての御
質問
でございます。 井上
先生
の
観点
は、
中小企業
に対してどうやったら活躍する場所を与えられるかということを、空理空論じゃなくて現場のいろんな手続面で
考え
てみたらどうか、こういう御
指摘
だろうと思います。それは単に、いかなる人をも公平に扱うという単純な話ではなくて、実質的に公平に公正になるようにできないか。あるときには、力を持っている者が公平と称して実は正常でない、不公正なことをやる可能性もあるじゃないかというような御
指摘
であろうと思います。 その点につきましては、本当に
中小企業
が活躍できるようなことを
考え
ていくということは大変重要なことであると認識しておりますが、今御
指摘
いただきました点は、私にとりましても大変専門的で、もっとよくよく勉強していかなければならない具体的な問題も幅広く含まれておりますので、若干検討を要する問題でございますので、ここですぐ具体的な
答弁
をさせていただくことは控えさせていただいて、御
指摘
の点をよく勉強してまいりたいと思っております。
井上計
108
○井上計君 先ほどお断りしたように事前の
質問
通告をいたしておりませんから、今の
官房長官
のお答えでやむを得ない、こう思っておりますが、ぜひ御検討いただきますように
お願い
いたします。 それで、今の問題と若干関連いたしますけれ
ども
、先ほどの
和田
委員
の
質問
に関連しますが、実は大
企業
がもうわずかな金額のものでもどんどん応札をしておる、だからここである
程度
中小企業
の分野を
確保
するためにも、一定金額以上のもの、一定金額以下のものあるいは中間のものというふうに、一定金額以上については大
企業
のいわば優先
入札
を認めるとか、あるいは中間では共通の土俵のものを認めるとか、あるいはこれ以下のものについては
中小企業
専門の
入札
分野であるとかというような、そういう指導も私は
中小企業
を育成するためにも、また正常な商行為を行っていくためにも必要ではなかろうかな、こんなことも思いますので、あわせてひとつまた御検討を
お願い
をいたしたい、こう思うんです。これは御
答弁
要りません。 それから、先ほど
社会
保険庁のシールの問題について
和田
委員
からの御
質問
がありました。私は御存じのように印刷
業界
の出身でありますから、大変お恥ずかしい頭の痛い問題だということで私も苦慮しておるわけでありますが、これらのことを
個人
的にそういう
立場
でずっと実情を調べますと、
入札
参加
企業
の条件が明確でないんですね。これは所管庁みんなそうだと思うんです。だから、ある官庁はそれがオープンになっていない点がありますので、むしろ
入札
の参加条件、これらのものをもっとオープンにしていただいて、そうしてだれもが参加できる、しかし資格のない者は
最初
から参加しないとか、というふうなことも
考え
る必要があるんではなかろうかと思います。 先ほど
社会
保険庁の経理課長の御
答弁
の中に見積もりの云々とかいろんな勉強云々とかありましたけれ
ども
、やはり業者団体をもっと利用したい、それで
業界
団体というものがいろんなことを研究、
調査
しているわけでありますから、そういうものを十分活用して適正な予定価格ができるように、その辺についても
官房長官
として御指導を
お願い
をいたしたい、こう思います。時間の関係で御
答弁
要りません。要望だけにしておきます。 そこで、あと一問、これは
公取委員長
に
お願い
でありますが、
中小企業
団体の主たる任務というのは、組合員、業者に対する経営改善指導、これが主たる任務であることは当然であります。したがって、団体法による商工組合にしても、あるいは
中小企業
等事業協同組合にしても、経営改善指導が主たる組合の業務であるわけですが、経営改善指導といいますと、そこに多分原価管理、原価計算というものが当然あるわけであります。ところが、標準価格等々を想定するとすると、そこに価格協定だというふうなこととこんがらがってくることがあるんですね。それらの区分がなかなかできませんので、
中小企業
団体においてはかなり戸惑いがあるわけです。 十三年前であったと思いますけれ
ども
、橋口
委員長
時代私がこのことを
お願い
して、
中小企業
のガイドラインを設定していただいたことがあるんですが、ところが当時と現在とは特に製造業のいろんな原価構成の構造がかなり変わっておりますし、今の
情勢
に合ったような、ひとつガイドラインを
公正取引委員会
としてお
考え
いただく必要があるんではなかろうかと思いますが、これについてはどうお
考え
でありましょうか。これはお答えを
お願い
します。
小粥正巳
109
○
政府委員
(小
粥正巳
君) ただいまの井上
委員
の
お尋ね
でございますけれ
ども
、昭和五十四年の
公正取引委員会
からのいわゆるガイドラインでございますが、「事業者団体の
活動
に関する
独占禁止法
上の指針」というものを出しております。このガイドラインにつきまして、今具体的にその
中小企業
の実情から、特に現在の実情から見てどうか、こういうことでございますが、私
ども
基本的な
考え
方はこの五十四年の指針にそれなりに尽くされていると
考え
ております。 あくまで基本的な指針でございますから、具体的な
中小企業
の方々の行為、行動に対してそれをどう適用するのかという点で、確かに時におわかりにくいようなこともあるいはあろうかと思います。私
ども
積極的に何かなさる前に御相談をいただくということはもう大変歓迎をしておりますから、その点はぜひひとつお気軽に
公正取引委員会
を活用していただくように御指導いただければと存じます。また、実情につきましては、指針は基本的なものでございますからこれは動かせないものといたしまして、私
ども
その適用なりあるいはその適用についての御
説明
なりには十分意を尽くしてまいる所存でございます。
井上計
110
○井上計君 ぜひ
お願い
をしたいと思うんですが、十五年前、二十年前と比べますと、現在では製造業の物品製造のいわば原価のメカニズムといいますか構成が大幅に変わっているんですね。以前は製造業というのは、製造原価等出す場合には原材料プラス工賃プラス諸経費というふうなことで簡単に出しておったんですが、現在では、まあ印刷を例に挙げますと、企画からいろんなことがずっとなにして無形の原価構成要因がたくさん出ておるわけですね。したがって、その付加価値面での原価構成というのは非常に複雑でありますから、どうしてもお互いがそういうふうな共同研究等々せざるを得ないというふうなことが多いわけですから、それらの点を御勘案いただきまして、ぜひそういう面の御指導を十分していただきたい。 そして、これ最後またもう
一つ
お願い
でありますが、
公正取引委員会
というのは
中小企業
団体から見ますと大変怖いとかうるさいとか、できるだけ近寄らないように、こういうふうな
考え
があるわけですが、そうではなくして積極的に
中小企業
団体との交流をしたり十分御指導をしていただくように、最後にひとつ要請をして私の
質問
を終わります。
市川正一
111
○市川正一君 昨日は
法案
に即して
質問
させていただきました。きょうは公取行政についてお伺いをいたしたいと思います。 今、戦後最大の不況の中で、それを口実にした下請の再編、切り捨てが起きております。特に単価切り下げについては、我が党
国会
議員団の全国
調査
でその深刻な実態が明らかになってまいりました。それによりますと、一〇ないし二〇%の切り下げは普通のこと、少なくないところで三〇%、四〇%削減されております。 例えばクボタのVA方式、バリューアナリシスといって価値分析方式だそうですが、これは外注の部品の単価をすべてそこに表示して会議室に並べます。そして一週間かけて下請を個別に呼び出す。その単価の一〇%以上コストダウンできれば発注してやる、こう言って、一〇%以上の削減を
提案
すれば即決でその場で採用する、こういう手口で下請にコスト削減
競争
をさせておるんですね。下請は何とか
仕事
を
確保
したいものですから、自分の納品部分を一〇%、二〇%コストダウン、括弧つきですがそういう自主的値引きをさせられている。下請のこういう自主的な形態を装った単価切り下げ、買いたたきを巧妙に押しつけております。これは下請代金法
違反
の脱法行為であろう、こう思いますが、いかがでしょうか。
植松勲
112
○
政府委員
(植松勲君)
先生
御
指摘
のような事例は、下請法上いわゆる下請代金の買いただきに該当するかどうかという問題になろうかと思います。下請法第四条第一項第五号では、親事業者が「下請事業者の給付の
内容
と同種又は類似の
内容
の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めること。」を
禁止
しております。したがいまして、類似品または市価に比べて著しく低い下請代金を不当に定めるいわゆる買いただきを
禁止
しているわけでございますが、下請法に
違反
するかどうかは事実を
調査
して個々に
判断
することになるわけでございますが、今申されましたように、一〇%から二〇%あるいは三〇%というお話ありましたが、そういうことで一方的に親事業者が単価を引き下げ、その結果として通常の対価を著しく下回ることとなる場合には下請法上問題となろうかと思います。
市川正一
113
○市川正一君 今、植松さんの一番最後におっしゃったところが大事だし、また実態はそうなんです。 これは大阪での松下電器の関係の下請の例でありますが、松下の一次下請である親
企業
から一方的に単価引き下げ、この場合一〇ないし二〇%を言ってきておりますのできないと言うと、ほかでやるとこはぎょうさんあると。そういうことでほかの社に回すかあるいは内製化する、いわば自分のところでやってしまうと言って引き揚げていきよるんです。 見積もり合わせが頻繁に来るが、不況で
仕事
がないために単価を引き下げなければ受注できない。見積もり合わせで業者間のコストダウン
競争
をさせている。どうしても
仕事
が欲しいときは、赤字覚悟で引き受けざるを得ぬというのが業者の切実な声なんです。あげくの果ては、
仕事
が欲しければ韓国並みの単価、大体韓国並みという
意味
は今の半額です、それでやってくれるなら
仕事
は何ぼでもあると言って押しつけられる。
中小企業
庁もお見えでございますが、
中小企業
庁並びに
公取委
員会がこういう手口を御承知なんだろうか、またこれにどう対処なさるんか、簡潔に伺いたいと思います。
植松勲
114
○
政府委員
(植松勲君) 私
ども
で下請法の
運用
基準というものを出しておりまして、そこでまさに
先生
御
指摘
のような買いたたきにつきまして具体的に事例としまして、「一律に一定比率で単価を引き下げて下請代金の額を定めること。」、こういう場合にはその買いただきに該当するおそれがあるというふうにいたしております。 それから、その
違反
の具体的な事例もそこには紹介しておりますけれ
ども
、例えば四—二というところがございますが、「親事業者は、国際
競争
力を
強化
するためにはコストダウンをする必要があるとして主要な部品について一律に一定率引き下げた額を下請単価と定めたため、
対象
部品の一部の単価は通常の対価を大幅に下回るものとなった。」と。こういうふうな具体的な過去における
違反
事例な
ども
掲げて、こういうようなことをしないようにというふうに
運用
基準で具体化しております。 こういうふうなことは親事業者に対して周知徹底しておりますし、またこういうような
違反
が起こらないように毎年定期的に親事業者の
調査
、さらには下請事業者の
調査
をやって、
違反
の事例がありました場合にはさらに検査をするというようなことでこういう問題に対応しているところでございます。
土居征夫
115
○
政府委員
(土居征夫君) 具体的な取り締まりの基準につきましては、
公正取引委員会
と十分協議をして統一の基準で実施しておりますので、今
公正取引委員会
からお話ししたとおりでございます。
市川正一
116
○市川正一君 これは大阪の松下電器関係の金属加工下請の問題です。 さらにまた愛知にもありまして、トヨタ自動車関係の下請で実際に起きていることなんですが、単価は発注のときにも納品のときにも決めよらぬのです。そして、代金の支払いのときに一方的に決めてくる。代金をもらう段になって初めて単価が決まる。これは明白に下請代金法の
違反
になると思いますが、いかがでしょうか。
植松勲
117
○
政府委員
(植松勲君) 下請法の適用
対象
となる下請取引につきましては、発注の都度、下請事業者の給付の
内容
、下請代金の額、支払い期日及び支払い方法など、
公正取引委員会
規則で定めた記載事項をすべて記載した書面を交付しなければならないという規定になっております。この辺は、親事業者に対して発注
内容
などを明確に記載した書面を発注の都度下請事業者に交付するよう義務づけ、そのことによって取引条件を明確化し、下請取引にかかわるトラブルの未然防止を図るために設けられたものでございます。 したがいまして、下請代金の額につきまして発注時点では算定不可能なため、やむを得ず仮単価として定める場合を除きまして、発注書面で確定額が記載されているべきでありますから、そうでない場合は下請法上問題となると思います。
市川正一
118
○市川正一君 ところが、現実にはこういう問題が続出しているのに、下請業者は下請代金法で申告いたしますと親事業所から
仕事
を打ち切られてしまう、そのために申告ができないというのが現実であります。
公取委
員会のことし十月に発表なさった文書がここにございますが、この三十八ページにもこう書いてあります。「下請取引の
性格
から下請事業者が親事業者の
違反
行為を
公正取引委員会
又は
中小企業
庁に申告することは余り
期待
できない」、こう述べております。 そこで伺いますが、
中小企業
庁、
公正取引委員会
は毎年下請代金法の
運用
状況
を発表なすっておるんですが、下請業者からの申告件数及び処理や
措置
した全体の件数がどうなっているのかお聞かせ願いたい。
植松勲
119
○
政府委員
(植松勲君)
平成
三年度におきまして、親事業者一万二千六百八十社及びこれらの事業者と取引している下請事業者七万一千六百三社を
対象
に書面
調査
を行いまして、その書面
調査
に基づきまして事件としたものは千五百三十四件でございました。また、申告は少のうございますが、申告に基づいて事件としたものは
平成
三年度におきまして十五件でございました。一方、この
平成
三年度において
違反
被疑事件として
措置
した件数は千四百九十二件でございました。 これら
違反
事実が認められた親事業者に対しては、当該
違反
行為を取りやめさせるとともに、下請代金の減額事件については減額分を返還させるなどの原状回復
措置
を講じてきておるところでございます。 なお、
平成
三年度におきまして下請代金の減額を行っていた親事業者二十五社に対しては、総額四千五百三万円を延べ九十社の下請事業者に返還するよう指導を行ったところでありますし、また下請代金の支払い遅延事件につきまして、親事業者二十九社に対して遅延利息支払い総額二千二百九十七万円を延べ百五十一社の下請事業者に支払うよう指導を行ったところでございます。
土居征夫
120
○
政府委員
(土居征夫君)
中小企業
庁の場合、下請事業者からの申告にかかわります親事業者の検査というのは
平成
三年度は十二件でございます。こういう形でなかなか申告の数は少ないわけでございますので、行政機関が積極的に
違反
行為を探すということで、書面
調査
では
中小企業
庁の場合は
平成
三年度七万七百三十七
企業
について書面
調査
をいたしました。これは親
企業
、下請
企業
も含めた数字でございますが、その中から約三千
企業
、
平成
三年度は二千八百十二
企業
、これにつきまして立入検査等で具体的な問題点を探ったわけでございますが、その結果、即時改善等の
措置
を行った件数が千七百五十三件でございます。
市川正一
121
○市川正一君 ありがとうございました。
公取委
の場合千四百九十二件、申告は十五件。
中小企業
庁の場合は十二件の申告ということで、結局
違反
件数の一%そこそこなんですね。ですから、具体的に申告したとしてもなかなか解決しないというのも事実です。 これは中部通産局の話なんですが、一万五千個の発注が何の予告もなしににわかに千個に減少したんで中部通産局に訴えたら、親
企業
に
仕事
を出すように言えば本当に
仕事
を切られますよと、こう言われたというんですね。その業者は、
中小企業
庁はだれの
立場
に立っているんかと、こう憤激いたしておりますが、よし仮に善意でそう言ったとしても、これではいわば恫喝になると言わざるを得ません。 私は、下請代金法で
中小企業
、下請を守る
中小企業
庁の姿勢としてこういう事態でいいんだろうかという問題を問いかけたいんですが、いかがでしょうか。
土居征夫
122
○
政府委員
(土居征夫君) 下請
対策
につきましては、
公正取引委員会
と一緒になって実施しております、下請代金支払遅延等防止法に基づきますいわゆる規制
措置
というものもあるわけでございますが、この規制
措置
にのります
違反
というのはやはり
法律
上非常に要件が厳格になっているわけでございます。 今お話がありましたような下請取引契約の変更については、その
法律
の範囲を超えている面もございますので、別途下請
中小企業
振興法ということで振興基準というものを定めまして具体的に親
企業
を指導しているわけでございますが、できるだけそういう下請発注
内容
の変更とか条件の変更につきましては、予告期間を長くとってやるようにという指導を行っておりますので、具体的にそういう
方向
で通産局にも趣旨を徹底して指導に万全を期してまいりたいと思っております。
市川正一
123
○市川正一君 下請代金法に基づく下請業者へのアンケート
調査
で、毎年実施する件数は下請
中小企業
者の四分の一です。つまり、各業者への
調査
は四年に一回しか実施されていません。御承知のとおりです。それでは今戦後最大の不況と言われている今回の不況下の下請の実態を正確につかむことはできないと思うんです。 公取は、八六年のあの円高不況の際には、毎年の
調査
以外に独自の特別の
調査
をなさいました。そのときの八六年五月二十一日付の文書をここに私持ってまいりました。今回のこの事態についてこういう独自の特別の
調査
を実施なさるべきであると思いますが、いかがでしょうか。
植松勲
124
○
政府委員
(植松勲君)
先生
御
指摘
の円高不況の際の
調査
でございますけれ
ども
、これは当時の
状況
にかんがみまして、
一般
調査
の中にその円高
調査
も含めて
調査
をしたわけでございます。今の
状況
でございますけれ
ども
、現在の景気
情勢
下におきましては、下請法の厳正な
運用
ということに力を注いでおりまして、今のところ
違反
行為の有無にかかわる
調査
とは別に特別
調査
といいますか、一種のアンケート
調査
のような実態
調査
といったものをすることは
考え
ておりません。
違反
行為の有無につきましては、電機、自動車などを含む下請法に規定する業種につきまして、親事業者の義務、遵守事項全般につきまして書面
調査
を行ってきておりますが、これに基づき厳正に対処しておりますし、今後とも各業種の
状況
も注目しつつ、厳正に対処していきたいというふうに
考え
ております。
市川正一
125
○市川正一君 公取ともあろうものがそういう必要を認めないというのは、私は
現状
の認識がいかに実態と遊離しているかということの証左だと思うんです。あなたはおっしゃいますけれ
ども
、この円高のときには「円高の下請取引に及ぼす影響に関する特別
調査
結果について」と、ちゃんと文書出ています。僕は今の
状況
はそれに匹敵する、否それより以上に深刻な事態を特別に
調査
なさるべきだ。
公取委員長
、ぜひこの点は検討していただきたいということを私は申し添えて、前へ進みます。 最近、自動車会社はデザイン・インに取り組んで、設計
段階
から一次下請を交えて先ほど申しましたVA、バリューアナリシス、それからVE、バリューエンジニアリング、これは技術分析と称しておりますが、これらを実施しております。その結果、これを口実にした下請の再編や二次下請以降の切り捨てが起きております。 トヨタのある幹部は、我が党の議員団との交渉の中で、一次下請の協力会社、協農会、協栄会と言っておりますが、これについては面倒は見る、しかし二次から四次下請の実態はつかんでいないし、協力会社の下請の
仕事
についてはその会社の
社会
的責任で対応されたい、こう答えております。下請代金法で言うならば、確かに直接の発注者が親事業者になるために二次以降の下請に対する、この場合トヨタでありますがその法的な責任を問うことはできませんけれ
ども
、発注元の大
企業
者に対しても親事業者と同様に遵守事項を守らせるようにする必要があると思いますが、いかがでしょうか。
植松勲
126
○
政府委員
(植松勲君) 下請法の
法律
の適用
対象
にならないものにつきましても、下請法の精神にのっとってできるだけ遵守をしていく
方向
で対応したいと思っております。
市川正一
127
○市川正一君 今度は植松さん、なかなか前向きの御
答弁
だったんですが、実際そうなんですね。私も十一月十八日付の通達持ってまいりました。通産大臣、
公取委員長
、その名において親事業者や団体に要請をなすっています。ですから、今植松さん御
答弁
になったような積極的姿勢で、いわば発注元の大
企業
に対してもしかるべき指導をぜひ強めていただきたいということを重ねて要請いたします。 そこで、トヨタの協力会員の
日本
電装、アイシン精機というのがございますが、ここでは一次下請までは
仕事
を出すが二次下請以降の
仕事
は知らない、二次下請以降に
仕事
を発注すればその分だけ
仕事
を引き揚げる、こう言って、トヨタから見れば二次下請になりますが一次下請をおどかしております。先ほど紹介いたしましたトヨタの言う、協力会の下請の
仕事
についてはその会社の
社会
的責任で対応されたいとするその実態なるものは、まさにこれであります。再度私は、こういう発注元大
企業
に下請を保護する本当の
意味
での
社会
的責任を果たさせる必要があるということを重ねて強調いたしておきたいと思います。 次に伺いますのは、建設業法では元請責任を明確にしておりますが、下請代金法では発注元大
企業
の責任が免罪されている欠陥があります。今、系列の解消を大義名分にして下請の切り捨てが進行している中で、系列問題での
調査
をしていらっしゃいますが、家電などを
対象
にした第一次の
調査
では二次下請以下の実態が
調査
の
対象
になっておりません。発注元大
企業
の責任を明確にするためにも、自動車などを
対象
とした第二次
調査
ではこの分野もきちんと
調査
すべきであると思いますが、
委員長
いかがでしょうか。
矢部丈太郎
128
○
政府委員
(
矢部丈太郎
君) 今
お尋ね
の系列に関する
調査
でございますが、けさほど
藁科委員
にもお答えしましたように、第一次では四業種やりまして、今年度は自動車、自動車部品をつくる四業種を現在
調査
しております。 この
調査
は、
日本
におけるそういう下請取引のような系列取引が
外国
企業
の
我が国
市場への参入を排除する効果を持つかどうか、こういう
観点
から
調査
いたしておりまして、そのうち自動車部品につきましては部品の数が大変多いものですから、現在
調査
しておりますのは自動車メーカーと一次部品メーカーとの取引を中心にして
調査
しておるわけでございます。一応今年度末を目途に現在
取りまとめ作業
を行っているわけでございますが、下請法の定義によります親事業者と下請事業者との取引そのものは
対象
としておりませんけれ
ども
、この
調査
の過程で下請法上問題となる問題が出てくれば下請法に基づいて厳正に対処したい、こう思います。
市川正一
129
○市川正一君 そういう問題を遂行していく体制の問題なんですが、下請検査官が何人いらっしゃるか、資料をちょうだいいたしました。公取が二十八名、
中小企業
庁が四十一名であります。そうしますと、この人数で三十八万に上る下請
中小企業
の相談に乗ることは事実上不可能であります。 そこで、我が党はかねてより増員を提起しておるんですが、増員はもとよりのこと、下請
中小企業
と日常的に接している地方自治体に下請代金法の監督権を与えていく、そしてきめ細かく対応できる。私、先日、大阪府当局と懇談いたしました際にも、下請代金法での
調査
、指導、監督権限を都道府県知事に与えてほしいという要望を受けました。これは広い世論になっておると思いますが、まさにこの
方向
での検討をなさるべきときであると思いますが、
公取委員長
の見解を求めたいと思います。
小粥正巳
130
○
政府委員
(小
粥正巳
君) ただいま御
指摘
でございますけれ
ども
、下請法に基づきます個々の法的権限につきましては、現在のところすべての都道府県がこれを適切に行使できる体制には必ずしもないと
考え
られまして、現
段階
での問題といたしますと、この下請法の権限を都道府県に移譲と申しますか、付与することは率直に言いまして難しい
状況
にあると
考え
られます。 ただし、ただいま大阪府の例も御
指摘
になりましたけれ
ども
、かなり多くの都道府県におかれましては、それぞれの地域の
中小企業
対策
として下請取引の適正化についての関心は大変深く、私
ども公正取引委員会
とも十分御協力をいただきまして下請法の普及啓発に関する
活動
を行い、下請取引の適正化を図ってきておられるわけでございますから、私
ども
今後とも実践的にこのような協力関係を通じまして、ただいま御
指摘
もいろいろいただきましたけれ
ども
、今後とも下請法の厳正、効率的な
運用
に努めてまいりたいと
考え
ております。
市川正一
131
○市川正一君 時間が参りましたので、
官房長官
には大変お待たせいたしまして申しわけございません。 今の問題なんですが、五月二十日付の公取の文書で都道府県との相互協力体制について言及しております。そして、
委員長
、誤解なすったらいかぬのやけれ
ども
、あなたところの権限を召し上げるいうんと違います。権限は権限で残しておくんですよ、ちょうど
中小企業
庁がそうであるように。都道府県の知事にも権限を与えるということであれば、私は本当に実効ある対応ができると思うんです。私は、そういう
方向
に向かって
政府
としても検討をしていただきたいということで最後に
官房長官
の御見解を承って、
質問
を終わります。
加藤紘一
132
○
国務大臣
(
加藤紘一
君) ただいま
公取委員長
が御
答弁
申し上げましたように、多くの自治体はこの下請法の効率的な
運用
というものに非常に強い関心を持っております。特に、不景気のときになりますと、またその関心は強くなるんではないかと思います。したがって、今
委員
御
指摘
のように、その権限をどこに置くかの議論もございますけれ
ども
、中央の方とそれから地方の方でこの問題について相互に緊密な連絡をとりながら本当に効率的な
運用
ができるように、
委員
の御
指摘
も含めて十分努力してまいりたいと思っております。
古川太三郎
133
○
古川太三郎
君 せっかく
官房長官
がおいでのようですから
官房長官
にちょっとお聞きしたいんですが、きのうからの
参考人
の御
意見
も、一億円ならば大体満足できるというようなお話もございました。しかし、書かれている論文なんかには五億円が妥当だという
参考人
もいらっしゃいました。また、数億という
結論
が出たものですから、それが一億になってしまったということには、学者としては確かに両罰規定が入ったからそれでいいんだと満足されたんだろうというような印象も受けたんですけれ
ども
、そしてまた
委員
に対する公取の
答弁
はとにかく今までから見て
課徴金
が四倍に修正されたんだし、また
罰金
も二十倍に上がったんだと、要するに過去を基準として物を
考え
ていらっしやる。 そういう中で、本来ならばこれは国際的に通用するものであるべきだということと、
日本
の現在の
経済力
、こういったものとを見合わせて
考え
ていかなきゃならない。なおまた、
日本
の
企業
の大きな力、これが世界でどのくらいのランクになっているか、そういったことも
考え
合わせてみますと、一億円というのはやはり低いんじゃないか。 初めに出たときには、国民の皆さんは、数億円というんだから大体五億円ぐらいだろうというように感じた人もたくさんいらっしゃったと思うんです。また新聞でも、数億円だから三億以上というような感じを持った人もたくさんいると思います。それが
政府
の案として出てきたときに一億円になってしまった。そこの落差といいますか、そういったことが本当に国民の皆さんにはわからないんですね。どうしてそんなに一億円というものになってしまったのか。この
委員
会でそういったことの議論があるのかと思いますと、自民党さんは
政府
と一緒ですが、五億円という
意見
と一億円という
意見
がもしあったとすればなぜ一億円が正しいのかそういう議論というのはこの
委員
会では全然ないんです。 そういう
意味
から、
政府
がどうして一億円が正しいんだというように決められたのかを、本当に政治的な素人の
質問
かもしれませんけれ
ども
、
官房長官
の御
意見
を伺いたい。そしてまた、
政府
がどのような筋道を立てて一億円に到達したのか、このことを詳しくお聞きしたいと思います。
加藤紘一
134
○
国務大臣
(
加藤紘一
君) その辺の経緯の詳しいところにつきましては、またそこの
結論
に至ります過程につきましては
公取委員長
の方から詳しくお答えさせていただきたいと思います。 しかし、いずれにしましても
政府
といたしましては、現時点の
社会
の
大方
の賛成を得られる金額という
意味
でこれまでの五百万から二十倍、一億円というのはかなりの重い金額でございますし、またそれが
理解
を得られるものなのではないかなと思っております。
古川太三郎
135
○
古川太三郎
君 先ほ
ども
ちょっと申しましたが、
日本
の
経済力
、
日本
の
企業
の体力の強大さといいますか、ならばアメリカとやっぱり匹敵するぐらいの大きなものであるだろうと私は思うんです、
企業
一つ
一つ
を見てみても。問題は、国民の意識がどこまで来たかどうかというようなこともございますけれ
ども
、それよりも何よりも
抑止力
が働くというのならば、少なくとも国際
水準
、トップレベルに行っていいんではないかこのように
考え
ますけれ
ども
、
日本
の
経済力
との比較で御
答弁
を願いたいと思います。 〔
委員長
退席、理事松尾官平君着席〕 いや、もう
公取委員長
のはさんざん皆さんもお聞きになって、
公取委員長
は言いたいこともなかなか言いにくいところがあるだろうと思いますし、なぜ一億円になったのか、一億円がなぜ正しいのか、そのことはやっぱり
官房長官
でなければ国民の皆さん納得しないと思うのでよろしく
お願い
します。
加藤紘一
136
○
国務大臣
(
加藤紘一
君) 私の
答弁
も同じだと思います。
政府
としてそこに至った経緯と、
考え
るに至った経緯につきまして、私と
公取委員長
が違ったらこれはまた大変なことでございますので同じ
答弁
になろうかと思いますが、先ほど言いましたようなキーワードはやはり現時点での
社会
の
大方
の
理解
を得られるところということかと思います。 一億円という金額は、
中小企業
にとっては大変大きな金額でございます。しかし、
日本
の
社会
を構成している経済主体、特に大
企業
にとって一億というものは大した痛痒を感じない金額ではないか国際
社会
の中の横並び、特に米国の大
企業
なんかに対する
負担
等から
考え
ればもっと重くてもいいんではないかというのが今
先生
の御
指摘
なんだろうと思いますが、これまでの経緯からいいまして五百万から一億という飛び方もかなりのものであろうと思います。それから、
日本
社会
の構造の中で、
企業
全体の大きさから見れば一億というのはその年商から見れば大した金額ではないというふうに思われるかもしれませんが、それぞれ担当したセクションにとりましては、その一億というものを出すきっかけになったセクションにとりましては、これは大変な、責任者の処罰にも関係する大事件になる金額であろうというふうに思います。 そういう
意味
で現時点では、この一億というのがまず
社会
的な重さと厳しさと、そして
理解
を得られるというバランスのとれたところでないだろうかと思います。
古川太三郎
137
○
古川太三郎
君
社会
的にバランスのとれたということになれば議論がなかなかしにくいんで、数億というものが
研究会
でも発表された、これが一億になったという政治的な配慮、これは何と何を配慮されたか、どういったことを配慮されたかそのことをお聞きしたいんです。 そしてまた今、
中小企業
なんかでは一億は高いですよ、こういう言い方もされましたけれ
ども
、
課徴金
とかそういったものならば、それはそれでいいんですけれ
ども
、これは
罰金
のことですからね。
罰金
というのは
公取委
員会で決めるわけじゃないんで、これはもう第三者である裁判所が決めることなんですね。一億が最高額だといえば、裁判で出てくるものというのは大体が五千万、六千万ぐらいなんです。一億の最高の判決をするというのは、これ以上悪い犯罪はないというときにするかもしれませんけれ
ども
、まずそれはないと思います。一億というのはないんです。 ということであれば、これは刑罰なんですから、やっぱり真剣にやっているなという気持ちを出すためにもこれは大きくしたって別にどうということないんですけれ
ども
、なぜそれが一億だということに理屈が通ったのかどうか
政府
でどういう議論をされたのか。要するに、
研究会
とかそういった学者の発表でも大体五億円が基準だと言われていながら、
政府
でどうして一億にされたのか、その過程を聞きたいだけです。
小粥正巳
138
○
政府委員
(小
粥正巳
君) 実際に
政府部
内で
法案
作成の調整
段階
を担当いたしましたのは主として私
ども公正取引委員会
でございますから、
官房長官
への
お尋ね
でございますけれ
ども
、なぜこの
研究会
報告
では数億円であったものが
政府案
では一億円になったのか、そこの点の
お尋ね
でございますのであえて私から御
答弁
をさせていただきます。 そもそも
研究会
報告
で数億円
程度
とこういう表現をいただいておりまして、これは具体的に確定金額でのお示してはないわけでございます。その点は私
ども
の
理解
といたしましても、
研究会
では理論的な
大幅引き上げ
の根拠を整理され、そして
連動制
の切り離しの前提の上で
大幅引き上げ
が必要であるという基本的な
方向
をお示しいただいた。そして、その
程度
は数億円
程度
という表現で、必ずしも確定金額で
研究会
がお決めいただくまでもない、あるいは確定金額ではむしろ示しにくい、そういう
意味
で数億円という
程度
を、そして
方向
として
大幅引き上げ
という
方向
を示されて、あとは
政府部
内で十分調整をして
法律案
に仕立ててほしい、こういう御意向ということでこの
報告
を承った次第でございます。 そこで、
政府案
の調整の過程でございますけれ
ども
、大変繰り返しのようで恐縮でございますが、大づかみに三点のポイントがございます。
一つ
は、恐らく半世紀以上にわたって
我が国
の
企業刑事法制
で定着をしておりました両罰規定で刑罰を定めております場合には、
違法行為
を行った行為者本人とその
行為者個人
の帰属する
企業
は、よく御存じのとおりこの両者は
連動
していたわけでございますけれ
ども
、この
連動
を切り離して、結果的に
企業
に対してより重い刑罰、
罰金額
の
上限
を
引き上げ
てより重い刑罰を問うという、
我が国
刑事
法制
に定着したこの
制度
を大きく変更するという点が第一点でございます。 それから第二点は、たまたま
我が国
の
独禁法
制に特有の
制度
、他の国には見られない
制度
として違法
カルテル
の不当
利得
を徴求するという
課徴金制度
がございますが、この
制度
をつい昨年
算定率
を四倍という大幅な
引き上げ
を行ったばかりである、そういうある
意味
で現
段階
での特別の
事情
も直前にございました。 そして、このような
制度
あるいは全体としての
抑止力
の大幅な格段の
強化
について、これが
対象
となる
企業
、
経済社会
にとりましてはいろいろな
意味
で非常に大きな変革である。これについて少なくとも、
内外
の
情勢
の
変化
に対応して国際
社会
に生きる
日本
の
企業
、
経済社会
としては、これを受け入れるのはどうしてもやむを得ないではないか、そういう最小限ぎりぎりのいわばコンセンサスを得る必要が、
法律改正
案作成の過程、
政府案
作成の過程ではやはりどうしても必要だったわけであります。 加えまして、三点目をつけ加えますれば、ただいま
委員
御
指摘
のとおり、これはあくまで
罰金額
の
上限
でございます、したがいまして具体的な求刑、
量刑
に当たっては必ずしも
上限
額が適用されるわけではないわけでありますけれ
ども
、しかし
我が国企業
の大部分を占める
中小企業
におかれては、ただいま
官房長官
からもお答えがありましたように、この
上限
の
大幅引き上げ
についてはやはり相当な不安というものが現実に私
ども
にも大変多数寄せられた、こういう
状況
もございました。その点についてもやはりそれなりの配慮が必要である。 そのような
状況
を総合勘案いたしまして、しかし
大幅引き上げ
であるというためには、これはもう端的に申しましてやはりどうしても億円という、一億円以上というこの線はどんなことをしても譲れない、少なくとも一億円以上でまとめたい、担当をしておりました私
ども
としてはあえて申せばそのような
考え
方で
結論
として一億円が現
段階
では、先ほど
官房長官
が申されましたように、
大方
の
理解
を得られるぎりぎりの
水準
ということで
政府案
で決めさせていただいたわけでございます。その点を何とぞ御
理解
を賜りたいと存じます。
古川太三郎
139
○
古川太三郎
君 私は、人が話しているところをもうそれでいいとか、それは聞いたとかいうのはなかなか気が弱いものだからよう言わぬですけれ
ども
、だから黙って聞いておればもう十分ぐらいになってしまうから本当に困るんですけれ
ども
。 それはそれとして、
日本
の
企業
というのは非常に特殊だ、こう言われておりますし、
日本
人も
企業
人といいますか、もう
企業
に帰属しているような形で本当によく働く。こういったのが経済もよくしたんだろうと思いますけれ
ども
、事この
企業
の
罰金
、刑罰について
考え
てみますと
独禁法
違反
、これはもう社長なんかみずからやらないんで、やっぱり従業員がやるんですね。そして、出世したいとかあるいは上司によく見てもらいたいというような形でやる場合と、上司から命令されてやる場合とあると思います。命令されなくても暗黙の了解を得ている場合もある。 こういった中で今までは大体
罰金
も、従事者に
罰金
がかかっても、これは大体会社が払っていたんです。そういうような
状況
も十分あったわけですね。これが本来ならば、
企業
にぼんと大きな
罰金
がかかるんだったら、従業員の方も社長あるいは部長にそういったことをもししたらこれは会社自体が大変ですよと、こういう
意見
も具申できるんです。そうでない限り
日本
の
社会
は、今までに基本的には市民革命もございませんから、本当に会社に帰属して会社が一番大事だというようなことで来ていますから、私は、従事者の
罰金
とそして事業者の
罰金
と、この両罰規定を切り離したことについては非常に評価をします。 しますけれ
ども
、それがたまたま二十倍ぐらいでは余り価値がないんじゃないかというような気もしているので、今申し上げましたように
日本
の特殊
社会
、
企業
社会
、この方から見て、いやそんなものを払ってもええからやるよという
企業
が本当に皆無になるかどうかそういったことがない限り
抑止力
が働かないというふうに思うんですけれ
ども
、その点についての
判断
はいかがでしょうか。
小粥正巳
140
○
政府委員
(小
粥正巳
君) ただいま、
日本
の
企業
社会
と申しますか、
企業
に属する社員のビヘービアにまで及んで御
指摘
をいただきました。確かに、御
指摘
のような面も従来はあったかもしれません。ただ、これも先ほど来申し上げているところでございますけれ
ども
、昨今の個々の
企業
あるいは
業界
におきましては、
独占禁止法
を守らなければこれからのビジネスはこれは
日本
国内でも
外国
でもなかなかうまくできないという、そういう
意味
での
独占禁止法
についての認識が最近とみに高まってきたように私
ども
も感じております。 それは、詳しいことは省略をさせていただきますけれ
ども
、最近における
調査
でも、
独占禁止法遵守
マニュアルの作成を初めとして、
独占禁止法
の遵守体制に社内で本気で取り組んでいこうという動きが具体的に見られますし、また私
ども
も日豊かなり頻繁に真剣な御相談に応じているところでございます。 〔理事松尾官平君退席、
委員長
着席〕 これは例えばアメリカの
企業
の例でございますけれ
ども
、
独禁法
遵守マニュアルによれば、
企業
の寄り合いでもし価格等取引条件についての、たとえそれが雑談であっても何か話が出るようなときにはそれは危ないから、
独禁法
違反
に抵触しかねないのでもうすぐにその会合の席を立ってしまう、そういうような具体的なマニュアル。これはアメリカでの話でありますが、
我が国
においても最近はそのように大変詳細にわたって、個々の社員のビヘービアについても具体的な
判断
基準になるようなマニュアルが作成をされつつあるのが
現状
でございます。こういうことがさらに浸透していけば、またそのために我々も努力をしているつもりでございますけれ
ども
、今御
指摘
の
日本
の
企業
社会
の従来の慣行でありますとかあるいは意識でありますとか、そういうものは現に変わりつつある、そういう
意味
では私は決して悲観をしていないのでございます。 それから、先ほど
抑止力
ということで刑罰の
引き上げ
、
課徴金
の
引き上げ
ということを繰り返して申しておりましたが、もう
一つ
あえてつけ加えますれば、これは御存じのように
独禁法
の二十五条にも規定がございますけれ
ども
、
独占禁止法違反行為
によって損害をこうむった者は損害賠償請求を行うことができるという規定がございまして、それに関連をいたしまして
公正取引委員会
としても、裁判所あるいは原告からの請求があった場合には、これに対して、原告側の立証
負担
の軽減という趣旨でできるだけの協力をするというその趣旨の規定がございます。我々は、これを活用するためにも特に昨年来基準を設けまして、あるいはそれについての
方針
を明らかにいたしまして、損害賠償請求
制度
の活用ということにも意を用いているわけでございまして、このことはもうアメリカ
社会
の例を引くまでもございませんけれ
ども
、やはりこの
制度
上の刑罰、
課徴金
等と相まちまして、別の
意味
で
独禁法違反行為
に対する非常に強い
抑止力
の一環にもなり得る、そんなふうにも
考え
ております。
古川太三郎
141
○
古川太三郎
君 もう時間も来たようですから、最後に、決して私は
公正取引委員会
をどうのこうのと言うんじゃなくて、むしろ本当に気張ってやってほしい、こう思っているんですよ。それだけに
政府
なりあるいは
国会
なりに
公取委員長
から、こういう
制度
をもし変えてもらえばいいんだとかいうような御希望があったら言ってもらえばそれで結構です。その御希望を聞いて終わります。
小粥正巳
142
○
政府委員
(小
粥正巳
君) 例えば、
政府
として
提案
をさせていただいておりますけれ
ども
、現在御
審議
をいただいておりますこの
刑事罰
の
引き上げ
もまさに私
ども
の真摯な要望、希望でございますし、
課徴金制度
の昨年の
引き上げ
と相まちまして、先ほ
ども
申し上げましたけれ
ども
、
制度
面、
法律
面での体制整備は、私は今回の
引き上げ
をお認めいただければひとまず当面は整ったと
考え
ております。 それからまた、
官房長官
がいらっしゃいますけれ
ども
、
政府部
内で極めて厳しい定員抑制の中で
公正取引委員会
につきましてはそれなりのその機構、定員の拡充
強化
も認められてきているところでございます。予算編成はこれからでございますから、この点も
官房長官
がいらっしゃるのを幸いに改めて
お願い
をする次第でございますが、いずれにいたしましても本当に大事なのは
制度
、
法制
の整備あるいは人員、機構の
強化
だけではございません。やはりそれを担当いたします私
ども
自身の、この
委員
会で繰り返し強調されました
競争
政策
、独禁
政策
の一層の推進に、私
ども
任務の
重要性
に改めて心して業務を推進してまいりたい、こんなふうに
考え
ております。
小池百合子
143
○
小池百合子
君 せっかくですから、議員として初めてここで
官房長官
の方から伺いたいと思います。 先ほど古川議員が御
質問
になりました例の数億円から一億円ということなんですが、
罰金
が数億円か一億円かというのがこの
法案
の最大のイシューだというふうに思っております。そして、連日これについて議論がされているわけなんですが、どうも発想のスタンスが違うなというのがこの二日間
考え
たことなんですね。 つまり、これまで
課徴金
などの
引き上げ
もあった、それから五百万から一気に一億ではないか二十倍ではないか、大幅な
引き上げ
ではないかというふうにおっしゃるわけでございますけれ
ども
、もともとパイの小さかったところの二十倍であり、また国際的に見ましてそれを
考え
ますと、まだまだ低いといったようなのが
現状
じゃないかというふうに思います。 それから、一億円だったら払えるか払えないかというのは、罪を犯したときにはどうなのかというその議論といいますかその
考え
がまず先にあるということであって、この辺のところの発想がまずすれ違っていてなかなか議論の方が進んでこなかったなというふうにこの二日間思ったわけでございます。 そこで、払えるか払えないかの問題ではなくて、むしろこれまでの
日本
的な
企業
構造をいかに改めるかというそのための
抑止力
でございますので、その辺のところの議論というのが一番見えなくなっているわけでございまして、このあたり、
日本
の
企業
の体質などにつきましてどういうふうに
官房長官
はお
考え
になっているのか、それについて伺います。
加藤紘一
144
○
国務大臣
(
加藤紘一
君) 大変大きな御
質問
でございますけれ
ども
、
日本
の
企業
といいましても、いわゆる
中小企業
、特に
個人
が指導力を発揮している
中小企業
のケースと、それから大きな
企業
と二つあると思います。 やはり、こういういわゆる公取法
違反
のようなことをやったらいけないんだよという意識をみんなに持ってもらわなければならないし、それからまずそれに対して
抑止力
を持たなければならないという
意味
では、払える払えないの問題ではなくて
抑止力
が効くような、もうほぼ払えなくなるような金額を設定すべきではないか会社がつぶれてしまうような金額を設定しないといけないんじゃないか、そのアプローチから
考え
なさいというのが小池議員の
一つ
の御
意見
のように思いますけれ
ども
、
中小企業
の場合には、私はこれは十分なる
抑止力
があると思います。 それからもう
一つ
、大
企業
の場合には先ほどちょっと申しましたけれ
ども
、
一つ
は金額の問題もあって、それぞれ担当しているセクション、セクションが自分のやった行為によって会社全体に一定の、数千万から一億の金額のものを払わなければならないとしたならば、社内的にまず立ち行かなくなるし、それからもう
一つ
は、大
企業
の場合には名誉といいますか、会社の名が汚れるという部分を非常に気にしますので、そういった双方から私は
抑止力
が働くのではないかなというふうに思っております。 したがって、確かに
研究会
の言っている数字と若干離れておりますけれ
ども
、私はこれをまず一回やらせてみていただいて、それで
日本
の
社会
の流れを少し見ていかせていただきたい、そんな
観点
でぜひ皆さんの御賛同を得たいと思っております。
小池百合子
145
○
小池百合子
君 そうしますと、その流れを見た上で
引き上げ
ということ自体も
考え
られるということでございますね。
加藤紘一
146
○
国務大臣
(
加藤紘一
君)
引き上げ
を今
考え
るということではなくて、とにかく
大方
の御
理解
を得られるようなこの案でやって、そして
日本
の独禁
政策
が定着するように頑張ってみたいと思っております。
小池百合子
147
○
小池百合子
君 それではもう
一つ
伺わせていただきたいと思います。 この
独禁法
の
刑事罰
強化
の問題でございますけれ
ども
、アメリカを含めまして諸
外国
からも大変注目されているということで、先ほど来幾つかそれについて御
質問
もあったと思います。 そして、アメリカのクリントン新政権とのこれからの関係なんでございますけれ
ども
、陣容がいまだ明らかではないということでお答えにくいかもしれませんが、これまでのさまざまな民主党の
政策
など見ておりますと、またクリントン氏のこれまでの
発言
などを見ておりますと、極めて理念的な
政策
を言ってくるのではないかというふうに思うわけでございます。かつ、これまで以上の対日要求であるとか、
日本
への公正な
競争
をさらに求めてくるという可能性が非常に大きいんじゃないかというふうに見ております。その辺についての御見解。 さらには、大統領選挙中でしたでしょうか、政権の中にブッシュ支持というそういうような
発言
もあったかと思うんでございますけれ
ども
……
加藤紘一
148
○
国務大臣
(
加藤紘一
君) どちらにですか。
小池百合子
149
○
小池百合子
君 いえ、
官房長官
御自身の言葉ではございませんけれ
ども
、そういった形でブッシュ寄りに余りかけ過ぎてリスク分散してなかったんじゃないかというふうなことを感じます。 それから、とにかく
日本
に対しましてはこれまでアンフェアだというアメリカからの一方的と言えば一方的なことがございましたけれ
ども
、これからの新しいこの政権との関係というのはどのように構築し、もしまた新たなアンフェアであるという、例えばこの一億円の
刑事罰
の
引き上げ
というのがまだまだ不十分だというふうなときにはどのように対処なさるのか、お教えいただきたいと思います。
加藤紘一
150
○
国務大臣
(
加藤紘一
君) クリントン政権がどのような
政策
を打ち出すかということは、私たちも今模索中でございまして、よく十分なものをつかめておりません。またある
意味
では、クリントンチームといいますか、そのグループの人たちも今
政策
の形成過程の中にあって、まだはっきりとしたみずからの
政策
像をつくり上げていないとも言えるんではないかと思います。 それから二番目に、選挙のときにいろいろ御
発言
になる、主張するということは、現政権とは比較的離れた
政策
を打ち出すというのが選挙の常道でありますが、それが現実に政権についたときに、じゃ本当にブッシュ政権と違った
政策
を打ち出すのかという点について
考え
るならば往々にして、世界どこの国でもそうですけれ
ども
、政権についてみると案外前の政権と似たようなことをするということはよくあるケースであります。 ただ、今度クリントン政権の中枢に入るだろうという人たちの主張などをよく見てみますと、やはりアメリカの
競争
力
強化
ということを非常に強く言っております。今、小池
委員
は
日本
に対する非難、特に
日本
はアンフェアであるという非難が強くなるのではないかということをおっしゃいましたけれ
ども
、同時にあの陣営の方の中には、
日本
に対してアンフェアと言う前に、自分たちのコンペティティブネスをもう一回見直すべきではないかというような主張も大分強いように思われます。 ですから、単に
日本
に対して厳しくなるだろうという
観点
だけではなく、アメリカが真の
競争
力
強化
をみずからに課題として課してだんだん強くなってきたときに、
日本
がそれに対してどう対応していくかということの
観点
で
日本
も
考え
ておかなきゃいかぬのじゃないか。そうした場合には向こうもフェアな
競争
、フェアな市場という
観点
を国内でも強調してくると思いますから、それを
日本
に対してもより強調してくる可能性は十分あるだろう。 そういう
意味
でも我々は、今後の独禁
政策
の
運用
に当たっては、
日米
関係のアングルも含めて
運営
する
視点
を持つようにしていかなきゃならぬのではないだろうかと思います。
小池百合子
151
○
小池百合子
君
官房長官
、ありがとうございました。 続きまして、先ほど来
官房長官
の方から、会社がつぶれるほどの威力、
抑止力
を持たなくてはいけないというのが私の認識ではないかというふうにおっしゃったわけなんですけれ
ども
、別に私は会社をつぶそうと、そういうふうなことを申し上げているわけではなくて、その前にそれをいかに引きとめてフェアな
競争
をするかどうか、それが最大の問題であろうというふうに思っております。 そして、
委員長
の方にお伺いしたいんですけれ
ども
、先ほどからも
企業
からの見た目であるとか、そういったことがこの
刑事罰
の
引き上げ
にとりましてのいろんなブレーキになったように私は受けとめているんですが、けさほ
ども
ほかの
委員
が
指摘
なさいましたように、やはり
消費者
からの
観点
ということ、これをより強めていただきたいというふうに思っております。 きのうも
参考人
の
先生
方に私
一つ
のアイデアとして申し上げたんでございますけれ
ども
、
独禁法
につきましては皆さん毎日かかわっていらっしゃいますし、また大
企業
ですと、
独禁法
のチームなどをお持ちになって毎日それに取りかかっておられますのでよく御存じだと思います。また、
中小企業
の団体などについては、
独禁法
のそういったシステムであるとかその怖さであるとか、そういったことを周知なさっておられると思いますけれ
ども
、まだまだ
一般
の人の
独禁法
に対するイメージといいますのが定まっていないのではないかというふうに思います。それを妨げているのが非常にわかりにくい
法律
的な専門用語ではないかというふうに思います。 その一番いい例が、例えばよく使われております排除勧告という言葉でございますけれ
ども
、これは
一般
の人々にとりましてどういうものなのか。排除命令といった言葉が、例えば駐車
違反
とかスピード
違反
とか、そういった形ですとみんなよくわかるわけでございますけれ
ども
、この言葉は非常にわかりにくいところがございます。新聞記事もこれがわかって当然ということで書かれているというふうに思います。 ですから、皆さんは中にいらっしゃるとこの言葉は当たり前だというふうに思っていらっしゃるかもしれませんが、ちょうど永田町用語がなかなかわかりにくくなっているのと同じように、こういった専門用語、特に
法律
の用語、さらにはこれから
独禁法
についての認識を広く
一般
に広めようとするならば、こういった用語などの検討もぜひ
お願い
したいと思っておりますが、その点いかがでしょうか。
小粥正巳
152
○
政府委員
(小
粥正巳
君) ただいま小池
委員
から御
指摘
をいただきました。
独占禁止法
が大変難しい
法律
であるということも、私
ども
それに携わっております身として痛感をしております。 したがいまして、例えば先ほど来ガイドラインというような言葉がいろいろ
答弁
の中にも出てまいっておりますけれ
ども
、このガイドラインなるものも、
独占禁止法
を具体的にどう
運用
していくのか、どういう行為が
独占禁止法
に抵触し、あるいはこういう行為なら問題にならないかというような、例えばそういうことをそれぞれの分野について私
ども
としてはできるだけわかりやすく公表したものがガイドラインでございます。 これもささやかながら、今、小池
委員
御
指摘
のように、わかりにくい
独占禁止法
あるいは法
制度
というものを、
運用
の透明性というような言葉でも言っておりますけれ
ども
、少しでもわかりやすくするための努力の一端でございますし、それからまた特に
一般
消費者
にわかりにくいというお話でございますが、これもささやかな試みではありますけれ
ども
、毎年各地方ごとに、ミニ懇談会というような名称を付しまして、私
ども公正取引委員会
が手分けをして各地方を巡回いたしまして、いろいろな場所で懇談会、
独禁法
について何でもお聞きくださいというそういう催しな
ども
、これまたささやかでありますが、そんな努力も少しずつは重ねているつもりでございます。 しかし、行政官庁の豊かもしれませんが、特に小池
委員
のお
立場
からごらんになりますとそれにしても言葉は難し過ぎるし、余りにもPRが下手である、こういう御
指摘
かと思いますが、その点は十分今の御
指摘
も承りましてこれから一層努力をしていきたいと思います。 例えば、排除勧告という言葉がわかりにくいという御
指摘
がございました。これは、
独禁法
の中に規定をされております文字どおり
法律
上の用語でございます。公取が行います行政処分としたら最も重いものでございますけれ
ども
、もちろん小池
委員
はおわかりでお聞きになっていらっしゃると思いますけれ
ども
、要するに例えば
違法行為
、
カルテル行為
があれば、それをやめさせるというそういう処分でございまして、勧告という表現の持つ感触よりも実はずっと厳しい処分でございます。もし、この勧告が審決という形をとりまして、これに従わなければ審決
違反
ということで罰則の適用もあるようなそういう処分でございます。 ただ、この排除勧告という言葉をもう少しおかりやすくその都度解説をするような努力もしたいと思いますけれ
ども
、この言葉自体を改めますというのは実は
法律
そのものをまた変えることでございますから、すぐにはなかなか対応できないということは御
理解
いただきたいと思いますが、少なくとも私
ども
の日常の
活動
、特に
消費者
との接点におきまして、御
指摘
のように、私
ども
の努力で少しでもわかりやすく私
ども
の
活動
を御
理解
いただけますようになお努力をしてまいりたいと思います。
小池百合子
153
○
小池百合子
君 最後に
一つ
伺わせていただきます。
委員長
に
お願い
いたします。 今、二番底を探るような、そういう景気の低迷が続いているわけでございますけれ
ども
、国際的な認識として、不況は
カルテル
の温床であるという言葉がよく使われております。ということを
考え
ますと、こういった時期というのは
カルテル
が横行するということも
考え
られます。いろいろ景気とのバランスはございますけれ
ども
、しかしこれは
企業
犯罪ということでございますので、その辺のところ、こういった不景気の中での
公取委員長
としての取り組み、御決意のほどを伺わせていただきます。
小粥正巳
154
○
政府委員
(小
粥正巳
君) ただいま現在のような不況下において
カルテル
が行われやすいのではないかという
お尋ね
でございますけれ
ども
、私
ども
仮に
カルテル行為
が行われているという何か情報、端緒に接しますれば、当然のことでございますけれ
ども
、これに対して必要な
調査
、審査を行って厳正な処分をいたすつもりでございますし、またこれは景気の好不況にかかわらずそのように対処してまいった、あるいはこれからもまいるつもりでございます。 なおつけ加えますと、本来違法な
カルテル
とは別に、不況下に特別の厳しい条件をつけて
法律
上認められた、つまり
独禁法
適用除外
としてのいわゆる不況
カルテル
という
制度
はございますが、かつての不況下には、不況
カルテル
が申請されそれが厳しい条件のもとに認可されたという例もございました。しかし、現在言われております不況下では、実は不況
カルテル
の申請には私
ども
まだ接しておりませんし、もちろん認可された
カルテル
は現在ございません。そのこともつけ加えさせていただきます。
小池百合子
155
○
小池百合子
君 ありがとうございました。
斎藤文夫
156
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 他に御
発言
もないようですから、
質疑
は終局したものと認めます。 本案の修正について吉田達男君から
発言
を求められておりますので、この際、これを許します。吉田君。
吉田達男
157
○吉田達男君 私は、
日本
社会
党・護憲民主連合を代表して、本案に対し修正の動議を提出いたします。その
内容
は、お手元に配付されております案文のとおりであります。 これより、その趣旨について
説明
申し上げます。 近年、
我が国経済
の国際化に伴い、独占
禁止
政策
の果たす
役割
は従来より一層増してきております。このような
情勢
下、
独占禁止法違反行為
に対する厳正な対処及び
抑止力
の
強化
を通じて、生活者、
消費者
の擁護と同時に、国際的に十分通用する独占
禁止
政策
を確立することが求められております。 今回
政府
が提出いたしております
独占禁止法
改正案
は、事業者に対する
罰金
の最高限度額を余りに過少な
現行
の五百万円から一億円に
引き上げ
ようとするものでありますが、これでは国際的批判にこたえ得る
水準
にも達しておりませんし、特に巨悪をただすことを求められております
独占禁止法違反行為
に対する
抑止力
の効果という点でまことに不十分であります。 したがいまして、我が党は、
刑事罰研究会
報告
に示されております法人と
個人
の資力格差に関する試算結果及び主要
先進国
の
罰金
の
水準
等々を根拠として勘案し、
罰金
の最高限度額を一億円から五億円に
引き上げ
る旨の修正案を提出する次第であります。 何とぞ慎重な御
審議
の上、御賛同を賜りますよう
お願い
いたします。
斎藤文夫
158
○
委員長
(
斎藤文夫
君) それでは、修正案について
質疑
のある方は御
発言
を願います。——別に御
発言
もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。 御
意見
のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。谷畑孝君。
谷畑孝
159
○谷畑孝君 私は、
日本
社会
党・護憲民主連合を代表して、
内閣提出
に係る
私的独占
の
禁止
及び
公正取引
の
確保
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
に反対し、
日本
社会
党・護憲民主連合の
提案
する修正案に賛成する
立場
から討論を行うものであります。 十一月二十七日の衆議院
商工委員会
での
内閣提出
の
改正
法案
の可決、成立及び十二月一日の衆議院本会議での可決、成立を受けて、本
委員
会では十二月八日、九日の両日、集中的かつ精力的に
審議
を重ねてきたところであります。特に、衆議院で行われた附帯決議の趣旨を踏まえて、活発な
審議
がなされていると思います。 さて、周知のように、
独占禁止法
は第一義的には
経済活動
における
競争秩序
を維持するためのものでありますが、同時にまた公正かつ自由な
競争
政策
を通じて、
消費者
利益
をも擁護するという国民的に大きな使命を担っています。さらに、
経済活動
や
企業
活動
のすべてを法の
対象
としている点から見ましても、まさしく経済の憲法と呼ぶにふさわしい
性格
のものであります。 ところが、振り返って見ますならば、残念ながらこの経済憲法の歴史は、
日本
国憲法、特に九条の歴史と同様に、戦後の復興、高度経済成長の中で骨抜きにされていった歴史であると言わざるを得ません。一九四九年の
改正
や一九五三年の
改正
を経る中で、
日本
の独占
禁止
政策
は次々と後退を重ねていったわけであります。 しかし、最近になってようやく
日本
の独占
禁止
政策
にも明るい兆候が見えてまいりました。昨年十一月の、石油
カルテル
以来十七年ぶりに行われた業務用ラップメーカー数社に対する刑事告発の実施など、
日米
構造協議の追い風を受けて、
公正取引委員会
の
活動
も活発になってきているようであります。 そのような中にあって、昨年の
カルテル
に係る
課徴金
の
引き上げ
改正
に続き、今回の
法改正
が提起されたわけであります。もとより、私たち
日本
社会
党・護憲民主連合は、
違反
行為に対する
抑止力
強化
のための
法改正
を求め、独占
禁止
政策
の推進に力を注いできたところでありますしかるに、今回の
内閣提出
の
改正
法案
を見まするに、当初予想されていたものより極めて不十分な
内容
に後退しており、より一層の
強化
改正
を求める
立場
から、本
委員
会に対して修正案を提起しておるところでございます。 さて、
内閣提出
の
改正
法案
に反対する理由を具体的に申し上げます。 まず第一に、法人等に対する
罰金
の
上限
額の
引き上げ
が、何の合理的根拠もなく
現行
の二十倍、一億円に圧縮されたことであります。
公正取引委員会
の
独禁法
に関する
刑事罰研究会
はその
報告書
で、「その金額は、
事業者等
に対し
違反
行為を思いとどまらせるに十分な金銭的苦痛を与えるに足り、また犯罪の重大性、犯情等に見合った
制裁
である必要がある。」として、「
罰金刑
の法定刑である五百万円を数億円
程度
の
水準
に
引き上げ
ることが必要である。」と
結論
づけています。内閣は、この
結論
を受け入れがたいというのであれば、その理由を明確にしなければなりません。そして、国民の納得する
説明
がなされなければなりません。 本
委員
会の
審議
の中で、
公正取引
委員長
自身、この一億円が
刑事罰研究会
の
結論
である数億円の
水準
にいまだ到達していないことを認めつつも、経済界や
社会
の
大方
の
理解
を得られる
水準
としては一億円が適当だと述べています。
違反
行為に対する
罰金
の額を
理解
してもらうとか、納得してもらうとの
立場
は一体どういうことなのでしょうか。
理解
や納得してもらうのは、
独禁法
の
違反
行為をしないという
考え
方なのではないでしょうか。 私は、
内閣提出
の
改正
法案
の
内容
は不十分であり、
社会
党・護憲民主連合
提案
の修正案の方が、
独禁法違反行為
に対する
抑止力
強化
という
法律改正
の目的に沿っているものだと
考え
ます。 第二に、
社会
保険庁発注の年金通知用シールに係る印刷談合事件に対する
公正取引委員会
の姿勢の問題であります。この事件は、同じ業者が、談合事件で
公正取引委員会
より行政処分を受けた後も、並行して別の談合事件を行っていたという
意味
で、極めて悪質な事件であります。東京地検特捜部による刑法の談合罪を適用しての
関係者
の逮捕及び起訴、
社会
保険庁の損害賠償請求への積極的取り組みの中で、まさに
公正取引委員会
の姿勢そのものが鋭く問われています。 私たちは、いかに
刑事罰
の
罰金
を
引き上げ
ようとも、
公正取引委員会
が告発しない限り、何の
抑止力
にもならないということは再三にわたり申し上げてきました。もし今回、
公正取引委員会
が
企業
犯罪を問う刑事告発を見送るようなことになれば、
罰金刑
の
引き上げ
は全く絵にかいたもちになり、
公正取引委員会
に対する国民の信頼は一挙に崩れ去ることになります。今後の
公正取引委員会
の迅速な対応が
期待
されています。 そのほかにも、損害賠償
制度
や
公正取引委員会
の
委員長
及び
委員
の選任のあり方などさまざまな問題がありますが、いずれにしても
罰金刑
の一億円への
引き上げ
という
政府
の
改正案
では、
独禁法
の
抑止力
強化
につながらないことは明白であります。以上の理由から、
社会
党・護憲民主連合の修正案への賛成、
政府
の
改正案
の
見直し
を要求したいと思います。 これで私の討論を終わります。
斎藤文夫
160
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 他に御
意見
もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより、
私的独占
の
禁止
及び
公正取引
の
確保
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
について採決に入ります。 まず、吉田君提出の修正案の採決を行います。 本修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
斎藤文夫
161
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 少数と認めます。よって、吉田君提出の修正案は否決されました。 次に、原案全部の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
斎藤文夫
162
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 合馬敬君から
発言
を求められておりますので、これを許します。合馬君。
合馬敬
163
○合馬敬君 私は、ただいま可決されました
私的独占
の
禁止
及び
公正取引
の
確保
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
に対し、自由民主党、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合、
日本
新党の各派共同
提案
による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。
私的独占
の
禁止
及び
公正取引
の
確保
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
に対する附帯決議(案)
政府
は、本法施行に当たり、
独占禁止法
違反
防止の徹底を図る
見地
から、次の諸点について特段の配慮を払うべきである。 一
カルテル
等の
違反
行為に対する抑止については、事業者及び事業者団体に対する
罰金刑
強化
の主旨を踏まえ、
違反
行為の動向、今後の
運用
状況
等を十分見極めながら慎重に検討すること。 二 刑事告発の権限がもっぱら
公正取引委員会
に属していることにかんがみ、
独占禁止法
違反
の疑いのある事案に対し厳正かつ十分な事実関係の
調査
を行う一方、検察当局との間で一層の連携
強化
を図るとともに審査方法等の検討を行い、この権限の的確な行使に遺漏のないよう努めること。 三
罰金刑
の適用に当たっては、事案の
性格
、
違反
事業者の事業規模等諸般の情状を適切に勘案し、事案に応じた妥当な
運用
を行うよう努力すること。 四
公正取引委員会
の
期待
される
役割
が的確に遂行されるよう、引き続き、適切な
委員長
及び
委員
の人選を行うとともに、事務局の機構の拡充及び定員の増加を図ること。 五
カルテル
、
入札談合
等の
独占禁止法違反行為
を防止し、
独占禁止法遵守
精神の醸成を図るため、
公正取引委員会
を中心として、
独占禁止法
の啓蒙・普及を行うとともに、
企業
による
独占禁止法遵守
体制の確立を支援していくこと。 右、決議する。 以上であります。 何とぞ
委員
各位の御賛同を
お願い
申し上げます。
斎藤文夫
164
○
委員長
(
斎藤文夫
君) ただいま合馬君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
斎藤文夫
165
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 全会一致と認めます。よって、合馬君提出の附帯決議案は全会一致をもって本
委員
会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、
加藤
内閣官房長官
から
発言
を求められておりますので、この際、これを許します。
加藤
内閣官房長官
。
加藤紘一
166
○
国務大臣
(
加藤紘一
君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、本
法案
の適切な実施に努めてまいる所存であります。
斎藤文夫
167
○
委員長
(
斎藤文夫
君) なお、審査
報告書
の作成につきましては、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
斎藤文夫
168
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————
斎藤文夫
169
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 次に、
高度医療福祉機器
の
研究開発等
の促進に関する
法律案
を議題といたします。 発議者
和田教美
君から趣旨
説明
を聴取いたします。
和田
君。
和田教美
170
○
和田教美
君 私は、ただいま議題となりました公明党・国民会議
提案
の
高度医療福祉機器
の
研究開発等
の促進に関する
法律案
につきまして、
提案
者を代表しまして、その
提案
理由及び
内容
の概要について御
説明
申し上げます。 人生八十年時代を迎え、急速に高齢化
社会
に進みつつある
我が国
において、今後ますます医療・福祉サービスの需要は増大するものと
考え
られます。そのような中で、近年、目覚ましい進展を続ける先端技術は、産業分野のみならず医療福祉分野においても少なからずその活用が
期待
されているところであります。 中でも、先端的高度技術を活用した
高度医療福祉機器
の開発は、深刻化するがんや心臓病等の慢性疾患の診断、治療あるいは予防などに画期的な
役割
を果たすことが
期待
されておりますし、また、高齢者や障害者の低下し、喪失した機能を補い、これらの人々の
社会
参加や自立への道を開くことにつながるだけでなく、今後、増大する高齢者等の介護
負担
を大幅に軽減するものと
期待
されているのであります。 しかしながら、
高度医療福祉機器
の開発は、需要が多品種、少量であるという特殊性に加え、先端的高度技術を
内容
とするものであるだけに、製品化までに長期の期間を要し、リスクも相当大きいものと
考え
られます。そのため、採算を重視する民間
企業
に研究開発をゆだぬていては
高度医療福祉機器
の開発の大幅な進展を
期待
することはほとんど不可能だと言わざるを得ません。 現在、国としては、通産省工業技術院を中心にして研究開発を進めておりますが、研究テーマも少なく、その上、予算はここ数年ほぼ横ばいになっているというのが
現状
であります。このままでは、増大する
高度医療福祉機器
に対する需要に対応できないのみならず、財政難を理由に研究開発が先細りになるおそれすら十分に
考え
られるのであります。 そこで、この際、国の施策として先端的高度技術を活用した
高度医療福祉機器
の研究開発を明確に位置づけ、その推進を強力に図らなければならないのであります。 また、それとあわせて、
高度医療福祉機器
が広く普及されることも重要なことであります。先端的高度技術を活用した
高度医療福祉機器
は、製品価格も必然的に高額にならざるを得ません。これらの
高度医療福祉機器
を必要とする多くの人々が容易にこれらの機器を利用できるよう、国及び地方公共団体は、公共施設等における導入やその利用の促進を積極的に図ることがぜひとも必要とされるのであります。 以上が本
法律案
を
提案
する理由であります。 次に、本
法律案
の
内容
の概要を御
説明
申し上げます。 第一に、民間による研究開発に
期待
することが困難である
高度医療福祉機器
の研究開発について、国が研究開発計画を作成し、それに基づき研究開発を総合的かつ効率的に実施しなければならないこととしております。 第二に、国及び地方公共団体は、
高度医療福祉機器
の製造を促進するため、
高度医療福祉機器
の製造の事業を行う者に対し、必要な金融上及び税制上の
措置
等を講ずるように努めなければならないこととしております。 第三に、国及び地方公共団体は、その設置する医療・福祉施設等における
高度医療福祉機器
の導入に努めるとともに、国及び地方公共団体以外の者の設置する医療・福祉施設等における
高度医療福祉機器
の導入を促進し、傷病者及び障害者等の利用を容易にするために必要な財政上、金融上、税制上その他の
措置
を講ずるよう努めなければならないこととしております。 第四に、通商産業大臣及び厚生大臣の諮問に応じ、
高度医療福祉機器
に係る重要事項を
調査
審議
させるため、通商産業省に
高度医療福祉機器
研究開発
審議
会を置くこととしております。 その他、必要な規定の整備を行うこととしております。 なお、この
法律
の施行は
平成
五年四月一日からとしております。 以上がこの
法律案
の
提案
理由及び
内容
の概要であります。 何とぞ慎重御
審議
の上、速やかに御賛同くださいますよう
お願い
申し上げます。
斎藤文夫
171
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 以上で趣旨
説明
の聴取は終わりました。
—————————————
斎藤文夫
172
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 次に、
請願
の審査を行います。 第一九四号「不況」打開のための
中小業者対策
に関する
請願
外二十七件を議題といたします。 これらの
請願
につきましては、理事会において協議の結果、第八三一号
商店街
の
活性化
に関する
請願
外二件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第一九四号「不況」打開のための
中小業者対策
に関する
請願
外二十四件は保留とすることに
意見
が一致しました。 以上、理事会の申し合わせのとおり決定することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
斎藤文夫
173
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。 つきましては、審査
報告書
の作成は、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
斎藤文夫
174
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————
斎藤文夫
175
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 次に、
継続審査要求
に関する件についてお諮りいたします。
高度医療福祉機器
の
研究開発等
の促進に関する
法律案
につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本案の
継続審査要求
書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
斎藤文夫
176
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
斎藤文夫
177
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————
斎藤文夫
178
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 次に、
継続調査要求
に関する件についてお諮りいたします。 産業貿易及び経済計画等に関する
調査
につきましては、閉会中もなお
調査
を継続することとし、
本件
の
継続調査要求
書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
斎藤文夫
179
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
斎藤文夫
180
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————
斎藤文夫
181
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 次に、
委員派遣
に関する件についてお諮りいたします。 閉会中の
委員派遣
につきましては、その取り扱いを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
斎藤文夫
182
○
委員長
(
斎藤文夫
君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十六分散会 ————◇—————