○高崎裕子君 ぜひ厳しい態度で臨んで、期待にこたえていただきたいと思います。
次に、
環境庁にお尋ねいたします。
すばらしい自然の宝庫と言われている大雪山国立公園の特別地域を通過すると幌高原道路をめぐって、二十年前の四十八年に中止していた工事がまた動き出し、今大きな問題となっています。四十年当時、厚生省はこの建設に承認を与えていますが、その当時は
環境影響調査は行いませんでした。
日本における最大かつ最も豊かな原始的
自然環境を持つ大雪山国立公園の、しかも特別地域、これは当時は制度はなかったとしても、調査がなかった、これは大きな問題だと思います。
北海道の自然保護協会やさまざまな
分野の学者、
先生、研究者等が
指摘しているのは、植物ではハイマツ、コケモモ、動物では生きた化石と呼ばれるナキウサギ、天然記念物のクマゲラなどなど、絶対に壊してはならない宝庫と、こうおっしゃっています。
まず長官に、貴重な
環境地域としてのこの地域について、どのように認識されていらっしゃるかということが
一つです。
それからもう
一つ、二十年前に今の前の知事が自然保護の観点から工事を中断してきておりますが、ここにきて工事再開の動きが出てきているわけです。実は、横路知事さんが衆議院議員の当時、四十八年三月五日、衆議院予算
委員会で、この道路ではないんですが、別の大雪を通る道路について
質問し、
環境庁は何で大雪山に道路を通さなければならない義理があるのか、一たん破壊してし
まうともとに戻すのは不可能だ、現実につくられている道路、つくりつつある道路、自然を破壊している道路について
環境庁としてきちんと
指導すべきだと。これに当時の
局長は、自然の破壊されやすい山岳道路は既に
計画路線としてありますものも、全体として見直し、不必要なものは廃止していく方向だと。そして当時の三木
大臣は、大雪山については現地調査等についても
考えていきたいという、こういうやりとりがあったわけですね。
この工事再開の動きの大きな根拠は、北海道が行った六十三年の
環境アセスの調査報告なんですが、この調査には自然保護協会の学者、研究者も参加しています。ところが問題なのは、調査に基づく正当な
意見が評価されないまま作成されたということなんです。そして、この評価をめぐってつい二週間前に重大なことが明らかになりました。
この図面を見てください。(図面掲示)この図面は、緑のところが道路建設の影響が大きいというところ。そしてオレンジ色が道路建設の影響が小さいというところです。そして白いところは、道路建設の影響が比較的大きいということになって、比較的道路建設の影響が大きいという部分。この白い部分、そして影響が小さいという部分にルートを変更してやろうじゃないかという総合評価図なんですね。しかし、この図面ですけれ
ども、驚くことに植物の評価とそれから動物の評価が全く異なって、動物の評価は植物の十分の一と低く見られているわけなんです。それを合わせての評価なんです。
具体的にどういう問題が起きるかというと、例えば貴重なナキウサギが植物のササの葉っぱと同じ評価だということになるので、本来道路建設の影響が大きいものが、ここでは植物の影響を受けて、比較的大きいというふうに下がっちゃうということになって、この調査報告の
計画路線の選定という項目に、総合評価図などを参考にルートを
検討した結果、わずか十分程度しかルートとしては既にある路線より短くならないのに、必要だという結論を出しているわけです。しかも北海道の土木部は、動物と植物の最高点をそろえると道路建設の影響の大きい場所ばかりになると述べて、故意に評価をねじ曲げだということを
認めていらっしゃるわけですね。
こういうずさんなアセスというのは、もう一回やり直さなきゃならないほど私は致命的な欠陥だと思うんですが、
環境庁としては正式に聞いていないということのようですけれ
ども、直ちに調査していただきたいし、こんなずさんなまま工事再開というのは
認められないと思いますから、ゆめゆめ強行突破ということはあってはならないということで、地元だけではなく、広く道民の合意を得られるということで、
環境庁は
環境を守る、生きとし生けるもの、命を大切にする
環境行政ということで
大臣所信も述べられました。その立場で現地もぜひ見ていただきたいですし、そういう立場で今言ったことについて
お答えいただきたいと思います。