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1992-11-30 第125回国会 衆議院 予算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年十一月三十日(月曜日)      午前九時一分開議 出席委員   委員長 高鳥  修君    理事 中山 正暉君 理事 原田昇左右君    理事 町村 信孝君 理事 村岡 兼造君    理事 村上誠一郎君 理事 串原 義直君    理事 野坂 浩賢君 理事 松浦 利尚君    理事 草川 昭三君       相沢 英之君    愛野興一郎君       浅野 勝人君    粟屋 敏信君       池田 行彦君    内海 英男君       小澤  潔君    越智 伊平君       越智 通雄君    狩野  勝君       亀井 静香君    唐沢俊二郎君       倉成  正君    後藤田正晴君       志賀  節君    戸井田三郎君       萩山 教嚴君    浜田 幸一君       原田  憲君    原田 義昭君       松永  光君    松本 十郎君       村田敬次郎君    村山 達雄君       柳沢 伯夫君    柳本 卓治君       山口 俊一君    井上 普方君       伊東 秀子君    加藤 万吉君       小岩井 清君    新盛 辰雄君       関  晴正君    筒井 信隆君       戸田 菊雄君    楢崎弥之助君       日野 市朗君    水田  稔君       和田 静夫君    東  祥三君       石田 祝稔君    日笠 勝之君       冬柴 鐵三君    木島日出夫君       児玉 健次君    中野 寛成君  出席国務大臣         内閣総理大臣  宮澤 喜一君         法 務 大 臣 田原  隆君         外 務 大 臣 渡辺美智雄君         大 蔵 大 臣 羽田  孜君         厚 生 大 臣 山下 徳夫君         農林水産大臣  田名部匡省君         運 輸 大 臣 奥田 敬和君         郵 政 大 臣 渡辺 秀央君         労 働 大 臣 近藤 鉄雄君         建 設 大 臣 山崎  拓君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     塩川正十郎君         国 務 大 臣         (内閣官房長官         )       加藤 紘一君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 宮下 創平君  出席政府委員         内閣法制局長官 工藤 敦夫君         内閣法制局第一         部長      大森 政輔君         人事院事務総局         任用局長    吉川 共治君         内閣総理大臣官         房管理室長   石倉 寛治君         公正取引委員会         委員長     小粥 正巳君         公正取引委員会         事務局審査部長 糸田 省吾君         警察庁長官官房         長       垣見  隆君         警察庁刑事局長 國松 孝次君         警察庁刑事局保         安部長     津和 孝亮君         警察庁刑事局暴         力団対策部長  廣瀬  權君         警察庁交通局長 関根 謙一君         警察庁警備局長 菅沼 清高君         総務庁行政管理         局長      増島 俊之君         防衛庁経理局長 宝珠山 昇君         防衛施設庁総務         部長      竹下  昭君         法務大臣官房長 則定  衛君         法務省民事局長 清水  湛君         法務省刑事局長 濱  邦久君         法務省入国管理         局長      高橋 雅二君         公安調査庁次長 関場 大資君         外務大臣官房外         務報道官    英  正道君         外務大臣官房審         議官      橋本  宏君         外務大臣官房領         事移住部長   荒  義尚君         外務省条約局長 丹波  實君         大蔵省主計局長 斎藤 次郎君         大蔵省主税局長 濱本 英輔君         大蔵省銀行局長 寺村 信行君         国税庁次長   瀧川 哲男君         社会保険庁次長         兼社会保険庁総         務部長     奥村 明雄君         農林水産大臣官         房長      上野 博史君         農林水産省経済         局長      眞鍋 武紀君         運輸大臣官房長 豊田  実君         運輸省自動車交         通局長     土坂 泰敏君         労働大臣官房長 七瀬 時雄君         労働省労働基準         局長      石岡慎太郎君         労働省職業安定         局長      齋藤 邦彦君         建設省建設経済         局長      伴   襄君         自治大臣官房総         務審議官    滝   実君         自治大臣官房審         議官      遠藤 安彦君         自治省行政局長 紀内 隆宏君         自治省行政局選         挙部長     吉田 弘正君         自治省財政局長 湯浅 利夫君  委員外出席者         会計検査院長  中島  隆君         会計検査院事務         総局次長    白川  健君         会計検査院事務         総局第二局長  小川 幸作君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月三十日  辞任         補欠選任   小澤  潔君     萩山 教嚴君   越智 伊平君     柳本 卓治君   越智 通雄君     狩野  勝君   鹿野 道彦君     亀井 静香君   倉成  正君     原田 義昭君   松永  光君     山口 俊一君   柳沢 伯夫君     浅野 勝人君   市川 雄一君     石田 祝稔君   日笠 勝之君     東  祥三君 同日  辞任         補欠選任   浅野 勝人君     柳沢 伯夫君   狩野  勝君     越智 通雄君   亀井 静香君     鹿野 道彦君   萩山 教嚴君     小澤  潔君   原田 義昭君     倉成  正君   柳本 卓治君     越智 伊平君   山口 俊一君     松永  光君   東  祥三君     日笠 勝之君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成四年度一般会計補正予算(第1号)  平成四年度特別会計補正予算(特第1号)  平成四年度政府関係機関補正予算(機第1号)  議院外証言についての報告聴取      ――――◇―――――
  2. 高鳥修

    高鳥委員長 これより会議を開きます。  平成四年度一般会計補正予算(第1号)、平成四年度特別会計補正予算(特第1号)、平成四年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。  この際、委員長より御報告申し上げます。  去る二十五日、本委員会において、議院証言法第一条の二により、委員を派遣して、入院加療中である金丸信君を証人として証言を求めることに決定いたしておりましたが、去る二十七日、小田原市立病院において、午後三時から午後五時四分まで、委員長たる私のほか、自由民主党の村岡理事日本社会党護憲民主連合松浦理事日野委員、公明党・国民会議草川理事日本共産党児玉委員、民社党の中野委員の以上七名が同証人証言を求めてまいりました。  当日の速記録は、去る二十八日、理事会協議により、各委員議員会館議員事務室等へ配付いたしました。  本速記録は、本日の委員会議録に掲載いたします     ―――――――――――――     〔速記録は本号(その二)に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 高鳥修

    高鳥委員長 ただいま議題となっております平成四年度補正予算三案について、本日は、東京佐川問題についての集中審議を行います。  この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。田原法務大臣
  4. 田原隆

    田原国務大臣 東京佐川急便事件捜査処理に関する中間報告をさせていただきます。  いわゆる東京佐川急便事件についてはなお捜査継続中でありますが、前衆議院議員金丸信及び前新潟県知事金子清ほか二名に対する政治資金規正法違反事件捜査処理が終了し、このうち金丸議員に係る同法違反事件の有罪が確定するに至ったところ、今回、本委員会より、東京佐川急便事件のこれまでの捜査処理等について中間報告をされたい旨の御要請を受けたので、法令の許す範囲内で、その経緯等を御報告する次第であります。  本件に関しましては、種々の疑惑が連日のように報道されたところでありますが、申すまでもなく、検察は、刑事事件について、その真相を解明して刑事責任を確定するため、法の定めるところにのっとって必要な捜査を行い、証拠により犯罪嫌疑が十分認められたものについて、罰則法定刑の枠内で、その犯情に応じ、公訴を提起するか否かを決定する職責権限を有するものであります。  本件捜査処理に携わった検察官は、検察官独立の原則を基本に置き、与えられた職責権限範囲内で、厳正公平、不偏不党の立場を堅持しつつ、真相の解明のため必要な捜査を行い、法と証拠に照らして適正な事件処理を行ったものであります。  この間、法務当局としては、検察権が準司法的性格を持ち、具体的事件捜査処理については、検察独立性政治的中立性が保持されなければならないことを尊重し、検察当局捜査処理には一切の政治的介入を排し、検察当局の厳正な処置にゆだねました。法務大臣としても、検察当局の厳正公平な捜査処理を信頼し、いわゆる指揮権発動のごとき措置は絶対にとらないという基本的態度を堅持してまいりました。  以下、刑事局長から具体的に報告をいたさせます。
  5. 高鳥修

  6. 濱邦久

    濱政府委員 引き続きまして、捜査処理及び公判状況具体的内容等について御説明いたします。  第一は、本件捜査処理の概況についてであります。  東京佐川急便事件については、東京地検において、昨年八月一日、東京佐川急便渡邉社長らに対する特別背任罪による告訴を受けて捜査に着手し、本年二月十四日に同人らを逮捕するとともに、多数回にわたる関係箇所捜索差し押さえを実施して、本格的な捜査を開始しました。  検察当局では、以後警視庁とも連携をとりつつ所要捜査を行い、三月から六月にかけて、渡邉社長東京佐川急便常務取締役早乙女潤市原観光開発社員大内美知夫平和堂不動産代表取締役松沢泰生及び北祥産業代表取締役庄司宗信特別背任罪等により東京地裁公判請求したほか、九月二十八日には、金子知事医療法人役員南雲達衛及び佐渡汽船代表取締役鶴田寛政治資金規正法収支報告書虚偽記入罪により新潟地裁公判請求し、同日、金丸議員につき同法の量的制限違反寄附受領罪により東京簡裁公訴を提起し略式命令を請求するなどしました。  この間、東京地検では、全国高等検察庁管内地検から、検事十名、検察事務官十名の応援を求めるなど捜査体制を充実し、検事二十六名、副検事二名、検察事務官三十名を本件捜査に専従させました。  東京地検がこの間に取り調べ本件関係者は実数で三百二十二名であり、捜索箇所は二百四カ所、押収物は約二万八千三百点となっております。  第二に、具体的な捜査処理状況についてであります。  まず、特別背任罪関係について説明します。  特別背任罪関係は、東京佐川急便による巨額な債務保証及び融資に係る資金流れを解明する過程で判明したもので、資金流れに従って、いわゆる市原観光開発ルート平和堂ルート稲川会ルートの三つに分かれます。  その一は、市原観光開発ルートであります。  東京地検は、告訴事件を契機として東京佐川急便が行った一連債務保証等について関係者取り調べを行うなどの捜査を行った結果、東京佐川急便早乙女の経営する市原観光開発に対して行った債務保証及び融資のうち、東京佐川急便が行った六十八億円の融資特別背任罪に該当する嫌疑が濃厚となったので、本年二月十四日、早乙女大内を逮捕しました。その後、捜査を続けた結果、市原観光開発金融機関等から借り入れをするに当たり東京佐川急便の行った合計約四百億円に上る債務保証同罪に該当すると判明したので、当該債務保証に係る特別背任の事実により、三月六日、両名を東京地裁公判請求し、さらに、東京佐川急便が同じく早乙女の経営するリバスター音産に対してした百五十億円の貸し付け同罪に該当すると判明したので、当該貸し付けに係る特別背任の事実により、三月三十一日、両名を同裁判所公判請求しました。  その二は、平和堂ルートであります。  東京地検は、前同様の捜査を行った結果、東京佐川急便において、平和堂不動産等松沢の経営する平和堂グループ企業金融機関から借り入れをするに当たり、多額債務保証を行っている事実を把握し、本年二月十四日、五十八億円の債務保証に係る特別背任の事実により、渡邉社長及び松沢を逮捕し、引き続き捜査をしたところ、新たな債務保証融資に係る特別背任の事実も判明し、結局、債務保証額百八十五億円、貸付額六十億円の合計約二百四十五億円に上る特別背任の事実により、三月六日、両名を同裁判所公判請求しました。  なお、松沢については、捜査過程において、そのほかに、自己名義借り入れた十八億円の債務担保として根抵当権を設定した平和堂不動産所有不動産につき、根抵当権設定登記が未了であることを奇貨として、これをさらに他の者に担保に供し、所有権移転登記を完了したとの背任罪の事実も判明したので、同事実により、三月三十一日、同裁判所公判請求しました。  その三は、稲川会ルートであります。  東京地検は、前同様の捜査を行った結果、東京佐川急便が、北東開発及び北祥産業に対して融資を行い、あるいは両会社のために債務保証を行っている事実を把握しましたが、両会社暴力団稲川会関連企業であり、これまで警視庁も内偵を行ってきたことにより共同捜査を行うこととし、警視庁において、本年五月十一日、渡邉社長早乙女及び庄司の三名を特別背任罪により逮捕し、その後必要な捜査をして、債務保証額百二十二億円、貸付額三十五億円の合計約百五十七億円に上る特別背任の事実により、六月一日、右三名を東京地裁公判請求しました。  次に、政界関係について説明します。  その一は、金子知事らに係る政治資金規正法違反事件であります。  東京地検は、渡邉社長らに対する一連特別背任事件捜査過程において、渡邉社長平成元年六月施行の新潟県知事選挙に際し、選挙に立候補した金子知事陣営等に対して、三億円の選挙運動資金を提供していた事実を把握し、同資金の調達及び提供状況等について捜査したところ、このうち、金子知事陣営に提供された一億円に関連して、金子知事のほか、金子知事選挙運動を推進していた南雲及び鶴田につき、金子知事後援政治団体である「清新で活力ある県政をすすめる会」の収支報告書への虚偽記入罪嫌疑が濃厚となったので、同人ら関係者取り調べ関係箇所捜索差し押さえを実施して捜査を進めた結果、右三名につき、他と共謀して、新潟選挙管理委員会提出する同政治団体平成元年分収支報告書虚偽記入をした事実が判明したので、新潟地検事件を移送し、同地検において、同事実により、九月二十八日、右三名を新潟地裁公判請求しました。  なお、残り二億円についても、必要な捜査を行いましたが、政治資金規正法違反等嫌疑ありとして訴追するに足る事実は確認できませんでした。  その二は、金丸議員に係る政治資金規正法違反事件であります。  東京地検は、平和堂ルート捜査過程において、渡邉社長松沢から、巨額な債務保証等の見返りに多額裏金を受けている事実を突きとめ、その使途先捜査により、渡邉社長から金丸議員に対して五億円の献金がなされた事実を把握し、その真相を解明するため、金丸議員秘書生原正久等関係者多数の取り調べを行うなど、必要な捜査を進めるとともに、金丸議員に対して出頭の上取り調べに応じるよう求めたところ、金丸議員から同法第二十二条の二第三項に違反して寄附を受けたことを認める上申書提出され、それまでに収集された証拠とあわせると、違反の事実を認定するに十分であると思料されたことから、金丸議員については、東京区検事件を移送し、同区検において、量的制限違反寄附受領罪により、九月二十八日、東京簡裁公訴を提起し略式命令を請求するとともに、その共犯者である生原秘書及び寄附者である渡邉社長については、起訴猶予処分に付しました。  なお、渡邉社長が、平成元年四月ころから同二年十二月ころまでの間、松沢から約十七億五千万円の裏金受領していた事実が判明し、その使途先につき必要な捜査を尽くしたものの、この関係では、これまでのところ、金丸議員に係るもの以外には、政治資金規正法違反等嫌疑ありとして訴追するに足る事実は確認できませんでした。  第三に、金丸議員上申書提出を受け、金丸議員取り調べをしないで起訴した経緯について説明します。  前述のとおり、東京地検においては、金丸議員に対する五億円献金の事実を把握し、刑事事件として取り上げるべき犯罪嫌疑が認められるか否かの観点から、所要捜査を行っていたところ、八月二十七日、金丸議員記者会見により五億円の授受の概要を説明したことから、さらにその真相を解明するため、生原秘書取り調べる一方、渡邉社長松沢のほか、金丸議員指定団体会計責任者等関係者多数の取り調べを行い、本件違反事実の立証のための裏づけ捜査を進めました。  このような捜査過程において、東京地検は、金丸議員に対する本件違反嫌疑が極めて濃厚であって、その刑事責任は免れ得ないと思料したことから、刑事訴訟法百九十八条一項に基づき、金丸議員出頭を求めて取り調べを行う必要があると判断し、九月十日以降、弁護人を通じて、金丸議員に対し、出頭の上取り調べに応じるように求めました。  九月二十四日になり、同弁護人から、金丸議員においては、本件違反事実を認める内容上申書提出し、略式手続による処罰を受ける意向である旨の連絡があり、九月二十五日、上申書提出されました。  そこで、東京地検は、金丸議員上申書等を受理し、それまでに収集された証拠とあわせると、本件違反事実を認定するに十分と思料されたことから、本件違反に係る法定刑が二十万円以下の罰金とされていることに伴う捜査処理上の制約があること等をも考慮し、あえて金丸議員取り調べる必要はなく、捜査の目的を達したものと判断し、本件違反につき、九月二十八日、東京簡裁公訴を提起し略式命令を請求しました。  なお、略式手続説明告知は、金丸議員弁護人から、金丸議員の自宅が日夜報道陣に取り囲まれていることなどにかんがみ書面による略式手続説明告知をされたい旨の上申を受け、検察官において検討した結果、略式手続説明及び通常手続に従って審判を受けることができる旨を記載した「略式手続告知」と題する書面を作成し、弁護人を介してこれを金丸議員に示したところ、金丸議員右書面によって検察官から略式手続説明を受け、通常手続に従って審判を受けることができることを告げられた旨の上申書を作成し、弁護人を介して略式手続によることについて異議がない旨の書面とともに右上申書提出したことから、検察官においては、電話により、金丸議員に対し、提出した右各書面を、その真意により作成したことを確認し、さらに念のため、右「略式手続告知」と題する書面内容を読み上げた上、金丸議員から略式手続によることについて異議がない旨を再度確認する方法により行われました。  ところで、東京地検が、金丸議員本件違反事実を認める上申書提出を受けて略式手続により本件処理するに当たっては、本件五億円の収支に関して、それまで収集された証拠関係を踏まえ、想定される犯罪とその罰則適用可能性につき必要な検討を行いましたが、本件処理の段階では、金丸議員受領した本件五億円は、その後指定団体に対する寄附として取り扱われたものと見られるなど、金丸議員の余罪として訴追すべき犯罪嫌疑が認められるものは確認できませんでした。  この点をも考慮し、東京地検は、適正かつ迅速な刑罰法令適用実現という観点から、前述のような取り扱いを行ったものであります。  第四に、東京佐川急便事件の現在の捜査状況について説明します。  東京佐川急便事件については、東京佐川急便の巨額な債務保証等関係する資金流れ、その使途等のほぼ全容が解明され、その過程において判明した金子知事及び金丸議員らに係る政治資金規正法違反事件を含め、犯罪嫌疑が十分認められたものについて前述のとおりそれぞれ公訴を提起しました。  しかし、金丸議員に対する政治資金規正法違反事件処理後、同事件に係る五億円の使途に関連して、金丸議員及びその使途先と取りざたされている約六十名の国会議員に対する量的制限違反寄附の供与または受領の事実、金丸議員及び約六十名の国会議員に対する所得税法違反の事実、金丸議員及び約六十名の国会議員に対する収支報告書の不記載または虚偽記入の事実等により告発がなされたことを受け、東京地検においては、これまでの捜査結果を踏まえつつ、引き続き捜査を行っているところであります。  第五に、公判関係について説明します。  まず、渡邉社長早乙女及び庄司に対する特別背任事件については、東京地裁において、併合の上、九月二十二日及び十一月二日の二回にわたり公判が開かれ、その後各被告人公判手続が分離され、渡邉社長については、十一月十九日までの間に合計三回の公判が、早乙女については、十一月十三日までの間に合計四回の公判が、庄司については、十一月二十六日までの間に合計四回の公判が、それぞれ開かれております。  公判において、渡邉社長及び早乙女犯意等を否認し、一方、庄司公訴事実を認める旨の陳述を行い、現在、検察官による立証が行われております。  次に、大内に対する市原観光開発ルートに係る特別背任事件については、同裁判所において、六月十六日以降十一月二十四日までの間に十二回の公判が行われております。  公判において、同人犯意等を否認し、現在、検察官による立証が行われております。  また、松沢に対する平和堂ルートに係る特別背任及び背任事件については、同裁判所において、六月二十五日以降十一月二十七日までの間に六回の公判が開かれております。  公判において、同人は、特別背任罪の事実は認める一方、背任罪の事実については犯意を否認しており、現在、検察官による立証が行われております。  なお、金子知事南雲鶴田に対する政治資金規正法違反事件については、現在までのところ公判は開かれていませんが、第一回公判期日は十二月二十一日と指定されております。  以上が、東京佐川急便事件のこれまでの捜査処理及び公判状況についての報告であります。     ―――――――――――――
  7. 高鳥修

    高鳥委員長 質疑の申し出がありますので、次これを許します。町村信孝君。
  8. 町村信孝

    ○町村委員 自民党の町村でございます。  きょうは佐川急便の集中審議ということでございますが、その前に、私は、この臨時国会の目的というものを考えてみたときに二つあった、こう思っております。一つは、佐川問題の解明、そしてそこから学んだ教訓というものをどう政治改革に生かしていくかという点が第一点。第二点は、非常に今悩んでおります日本の不況、経済の不況をどう立て直していくのかということで、大型の補正予算を早期に成立させる、この二点にあったと私は考えております。しかしながら、この予算委員会、二週間ほどの空転もございましたけれども、ほとんどの時間が佐川問題の議論に終始をしておりまして、それから先の抜本改革の議論というのは全く行われていないという実情にございます。また、補正予算も成立が大幅におくれておりまして、ようやく、順調にいけば明日衆議院で成立をするという見通しが立っているわけでございますけれども、しかし、例えばもう私の地元の北海道などはかなり雪が降り始めておりまして、どうやってこの補正予算を執行するのかという大変困った状況になっている、こういう状況をまず冒頭指摘をさせていただきたいと思います。  きょうは佐川問題の集中審議ということですからその問題を取り上げますけれども、まずこれはイントロダクションとして運輸省に伺いますけれども、この佐川グループ、なぜこんなに大きな利益を上げ、そして膨大な、これは何というんでしょうか、裏金というのか、政治献金というのか、そういうことができるようになったのか。普通、私ども地元で聞いておりますと、運輸業界というのは大変過当競争でありますし、料金の一〇%ぐらいのダンピングとか過積みの問題とか労働時間のオーバーの問題いろいろあって、そんなに利益が多く上がる業界だとは余り思えないのでありますけれども、どうしてこのグループだけが特殊にこれだけの利益を上げることができるようになったのか、運輸省に簡単に御説明をしていただきたいと思います。
  9. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 トラック事業は、先生今仰せになりましたように大変競争の激しい業界でございます。しかしながら、その中でやはり経営努力をいたしまして、その提供するサービスが利用者であるユーザーに評価されればある程度の利益を上げていくことはできるわけでございます。しかしながら、いわゆる東京佐川が先般やったと言われております巨額の債務保証、こういったものはやはり通常のトラック事業で上げる利益の範囲を超えているものであるというふうに私どもは思います。その結果、やはり東京佐川は経営危機に陥りまして、これを救済するために、いわゆる中核六社による合併が行われました。今金融機関の御協力のもとに、全社を挙げて懸命にその再建に努めることになった、こういうことではないかというふうに思います。
  10. 町村信孝

    ○町村委員 余りなぜそんなにもうかったのかという説明になっていないので、まあいいですわ、これはイントロダクションですから。  そこで、まず右翼、暴力団に関することについて伺いたいと思います。  皇民党の街宣活動の中止に関連をいたしまして、金丸前副総裁が渡邉、石井両氏のお世話になった、これは証言でも明らかでありますし、確かに自民党の総裁選挙の周辺で政治家と右翼、暴力団が接触したということは、これは法治国家のもと、許されることではございません。これは幾ら、金丸前副総裁の人生哲学かもしれませんけれども、暴力団に助けてもらってお礼をする、こういうことは政治家として認められるものでないことは明らかだと思います。したがって議員辞職をされた、こういうことだと私は理解をいたしますし、そういうふうに証言でも述べておられます。  ただ、私が強調いたしたいのは、この右翼、暴力団が確かに総裁選挙の周辺では動いていた、しかし、自民党の総裁選びそのものには直接関与したことはないという事実を私は強調したいわけでございます。  先日、同僚の中山議員が発言された中に、元総理の中曽根総理とお会いになって、この総裁指名をされたわけでございますけれども、皇民党と竹下総裁指名は全く関係なかったと中曽根元総理は述べておられる。同様に当時の後藤田官房長官も、まさにそうだ、こういう発言を新聞紙上でしておられました。竹下元総理の証言でも、石井稲川会会長に会ったことはない、また皇民党に脅迫されておびえていたことはなかった、こう述べておられるのでありまして、私は、あたかも自民党の総裁選びそのものに暴力団が関与したかの言われ方をするわけでございますが、そうではなくて、確かに周辺でうごめいていたことは事実かもしれませんが、直接これに暴力団等が関与したことはない、なかったんだということを、我が党の名誉のためにもまず冒頭強調しておきたいと思います。  その上で、この関連で二点、法務省にお伺いをしておきますが、まず第一点目は、六十二年の十月五日の夜、東京プリンスホテルの会談の席で、田中元総理邸訪問が日本皇民党の街宣活動中止の条件であるという話が出た、こう言われているわけでありますが、この点、竹下元総理はそういう話はなかったと証言をしておられます。この点、渡邉社長検事調書はどうなっておりますか。その点をお伺いいたします。
  11. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  東京佐川急便事件公判取り調べられました渡邉社長検事調書には、いわゆる四者会談の話し合いの中で、今委員が御指摘のような話が出たという記載はないものと聞いております。
  12. 町村信孝

    ○町村委員 そういう条件であるということはなかったということは、証言でも、また検事調書でもはっきりしたということだと思います。  第二点は、六十二年の十月、あるいはこれは十一月という竹下証言ございましたが、料亭での渡邉・竹下会談で、竹下元総理が皇民党問題を解決してくれてありがとう、こういうふうにお礼を言ったと巷間言われているわけでございます。この点、竹下元総理は、総理になり、総裁に選ばれ、一般的なお礼のごあいさつをしただけである、こう証言をしておられます。皇民党問題ということに触れられなかった、こう言われたわけでございますが、この点につきまして渡邉社長検事調書ではどのように触れられているか、お答えをいただきたいと思います。
  13. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  竹下元総理が、このたびはありがとうございましたと言って頭を下げたという記載はございますが、お尋ねのように日本皇民党問題を解決してくれたことについてお礼をしたというような記載はないものというふうに承知しております。
  14. 町村信孝

    ○町村委員 この点も先般の竹下証言検事調書は一致している、このように理解をいたします。  それにいたしましても、私は、褒め殺しといいましょうか、右翼、暴力団の音による威嚇行為、嫌がらせ、これは政治家だけではなくて、結構一般の方々も随分経験をしておられるわけでありまして、大変な被害に遭っています。一体、当時の状況でどう対応すればよかったか。今になってみれば、ただ無視すればよかったではないか、こう言うのでありますが、これはやられた本人はたまったものではない、こう思っております。  そこで、警察庁の方にお伺いをいたしますけれども、当時の法律では本当にこの褒め殺しというか街宣活動をとめさせることができなかったのかどうなのか、そして現在は、その後法令の改正あるいは条例の制定などがあって取り締まることができるようになったとは聞いておりますが、この点について明確な御説明をいただきたいと思います。
  15. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えいたします。  お尋ねの日本皇民党の街頭宣伝活動に対しましては、当時、その騒音について苦情や要望が寄せられましたこともありまして、法令に従い、可能な取り締まりを行ったところでありまして、この街頭宣伝期間中に公務執行妨害罪、傷害罪、道路交通法違反等で十三件、十四人を検挙いたしております。  しかしながら、当時の日本皇民党の街頭宣伝そのものを名誉棄損罪や侮辱罪あるいは脅迫罪をもって問擬することは、当時その内容に照らしていろいろ検討いたしましたけれども、その内容からいたしまして困難と判断されました。  また、街頭宣伝活動に伴います騒音につきましても、当時は現在と異なりましていわゆる静穏保持法や暴騒音取り締まり条例が制定、施行されておらず、軽犯罪法による取り締まりも罰則が軽微なため、刑事訴訟法の規定上現行犯逮捕が制約されるなどの問題点がございました。  今後の問題でございますけれども、今後とも警察は、右翼の街頭宣伝活動に伴う違法行為に対しましては、静穏保持法、暴騒音規制条例など各種の法令を積極的に適用していくことはもとよりでございますけれども、いわゆる褒め殺し街宣なるものにつきましても、これが表面的には政治活動の形をとっていること、また表にあらわれていない意図等を立証しなければならないというような点で、捜査上大変難しい問題はありますけれども、こうした褒め殺しなる街宣活動が表面にあらわれない形で、嫌がらせや困惑目的のもとに繰り返されるというおそれも考慮いたしまして、何らかの法的な措置がとれないかどうか、関係向きとも協議しながら積極的に検討してまいりたい、このように考えております。
  16. 町村信孝

    ○町村委員 いずれにいたしましても、我が国で大変に暴力団がさまざまな形で、いろいろな分野で進出をしてくるということは大変にゆゆしき事態だ、こう考えますから、これは政府を挙げて暴力団対策というものはしっかりとやっていただきたい。総理に要望しておきます。  次に、五億円の献金問題の方に移らせていただきます。  確かに、金丸前副総裁は政治資金規正法違反して罰金、有罪ということになったこと、これはもう事実でございますし、法律違反は許されることではございません。したがって、前副総裁は、先ほどの暴力団の関連及び違法な政治献金を受け取った、こういう理由から議員を辞職されたわけでございます。これも証言で明らかなとおりであります。  ただ、私は、この五億円の政治献金につきまして、目的とか時期とか配付先とか、確かにいろいろいまだに議論があるところでありますが、先ほどの法務省の捜査中間報告を伺いましても、これは既に、配付先の方はまた別にいたしましても、その目的については、例えば贈収賄でないかとかいろいろな議論があるわけでありますが、これはもう既に裁判所が、検察庁ではなくて裁判所が、既に渡邉社長個人から金丸議員に対して平成二年一月に政治献金として五億円が供与されたと事実を確定をしておるのでございます。一方の当事者である検察庁の主張ではなくて、まさに三権の一方であります、一極であります裁判所証拠を調べて判断を下しているということでありまして、この点について、私は、国会がそれはおかしいということを言うことは、それは個人で言うのは自由でありますけれども、国会がその裁判、確定した裁判についてこれはおかしいと言うことは、司法権の独立を国会が侵すことになるのではないかということを懸念をするものでございまして、これをちょっと法務省にお聞きするのもおかしいんですが、法務省、どうお考えでしょうか。
  17. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  政治資金規正法量的制限違反寄附受領罪におきましては、これは裁判所が有罪とするためには、いつ、どこで、だれからだれに対して、幾らの財産上の利益が供与されたのか、その供与の趣旨は同法に言う政治活動に関する寄附に該当するものであるのかということを裁判所において認定することが必要不可欠なわけであります。  このような確定裁判が認定した事実につきましては、今委員も御指摘になられましたように、国会が国政調査権に基づいて調査することにつきましては、昭和五十一年五月八日の参議院予算委員会におきまして、当時の内閣法制局長官が、裁判が確定した後にありましても、調査の方法あるいはその内容が司法権の独立を侵害するおそれがある場合には、国政調査は許されず、裁判の内容の当否を審査するようなことは許されないと考えておりますという答弁をされているところであります。  法務当局といたしましても、この見解を尊重いたしまして、本件におきましても、裁判所が認定した事実に関して、例えば供与の日時や趣旨あるいは献金の供与先が異なるのではないかなどにつきまして論評を申し上げたり、あるいは確定裁判における証拠の作成経緯等について詳細に論議することは、裁判所の事実認定の当否を論ずるということにつながることになりますことから、そのようなお尋ねに対する答弁は差し控えさせていただいているわけでございます。その点は御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  18. 町村信孝

    ○町村委員 この点は、私は、やはりこの民主主義の根幹であります三権分立ということにかかわる問題として、極めて重要なポイントだ、こう思っております。私ども国会に身を置く者として、そこはひとつ十分に配慮した上で、こうした実態解明等につきましても、その点を念頭に置いて進める必要があるという指摘をしたいと思います。  しかし、その上でもなお、庶民感情といたしましては、やはり五億円で罰金二十万というのはおかしい、こういう気持ちがあることは、これはいまだに多くの方々がそう思っておられるわけであります。これは、幾ら法律で当時それが最高の量刑であったといっても、なおかつおかしい、こういう気持ちがある。  しかし、このおかしいなということは、実は我々国会議員も認識をしていたところでございまして、実は去る六月の通常国会で、大多数の政党の合意のもとで、違法な献金は全額没収するという合意ができ、法律改正ももう印刷までできていた、こういう状況にあったわけでございます。しかしながら、御記憶にあるとおりに、六月ごろの国会の終盤におきまして、一部野党の牛歩戦術であるとか社会党の総辞職戦術で国会が大混乱をした。この結果としてこの法律は日の目を見なかった、法律案は日の目を見なかった。本当にこれは残念なことでありまして、もしあの当時法律改正ができていれば、少なくとも今回の五億円、違法な献金は全額没収できていたということを私は国民の前に明らかにしておきたい、かように思っております。そして、この国会で現在緊急二十一項目の政治改革が、きょうからですか、公選特などで議論が始まっているということでございますから、可及的速やかにこの緊急二十一項目に関する政治改革が成立をいたしまして、そして違法な献金は全額没収できるという法律に早急に改められることを強く望んでいるところであります。  それから、もう一つの問題は、検察金丸前副総裁を特別扱いをした、法のもとの平等に反しているという、このように多くの人が実は思っておりますし、非常にこの点に関して国民の不満が強いのも事実であります。  そこで、法務省にお伺いをいたしますが、先ほど中間報告の終わりの方で述べておられましたけれども、ひとつ、ちょっと言葉が難しいので、わかりやすく説明をしていただきたいのでありますが、第一に、なぜ金丸前副総裁の出頭を求めて取り調べを行わずに、上申書提出を受けて略式起訴をしたのか、なぜ直接呼んで取り調べなかったのかということにつきまして、法務省のお考えをひとつわかりやすく説明をしていただきたいと思います。
  19. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  金丸議員に対する五億円献金事件における検察当局捜査処理経緯は、先ほど御報告したとおりでございます。  検察当局といたしましては、提出された上申書とそれまでに収集された証拠とをあわせ勘案すると、本件違反事実を認めるに十分であり、また、金丸議員の余罪として訴追すべき犯罪嫌疑が認められるものは確認できなかったということ、本件は起訴しても罰金二十万円の、最高二十万円の罰金でしか処罰できず、金丸議員が希望する以上は、略式手続によることが相当と認められる事案であることなどを考慮いたしまして、御指摘のような捜査処理をしたものと承知しているわけであります。  なお、この捜査過程で、先ほどの御報告でも申し上げた本件五億円の収支に関する想定される犯罪について若干付言をさせていただきたいと思うわけでございますが、検察当局は、例えば五億円の支出に係る量的制限違反寄附の供与罪、五億円の寄附を受けたことによる所得税法違反、五億円を金丸議員指定団体寄附した場合における指定団体収支報告書の不記載罪等につきましても検討を加えたところでございます。  これらの犯罪罰則適用について、これは法律論の観点から一般論を若干申し上げたいと思うわけでございますが、一つは、まず量的制限違反寄附の供与罪について申しますと、特定公職の候補者である国会議員が自分の受領した寄附金を指定団体に取り扱わせるために寄附した場合、これは政治資金規正法上は指定団体に対する寄附ということで定義してございますが、その場合や、政治団体である指定団体がこれをさらに他に寄附した場合、いわゆる政治団体がする寄附につきましては、いずれも罰則の適用が除外されているわけでございます。  また、所得税法違反に関しましては、これは既に国会におきまして国税当局からお答えがございましたので私から申し上げる必要はないと思いますが、政治資金規正法収支報告書不記載罪は、会計責任者について成立する犯罪でございます。したがって、会計責任者が収支報告書の記載に全く関与していない場合には犯罪は成立しないものというふうに解されているわけでございます。  検察当局といたしましては、以上のような犯罪罰則適用関係を念頭に置きながら、所要捜査、検討を行ったわけでございます。その段階では、金丸議員受領した本件五億円は、その後金丸議員指定団体に対する寄附として取り扱われたものと見られるなどの理由によりまして、余罪として訴追すべき犯罪嫌疑が認められるものは確認できなかったということを聞いているわけでございます。
  20. 町村信孝

    ○町村委員 ちょっと答弁が長いので必ずしも理解しづらいのでありますけれども、例えば今お話しのように幾つかの条件がそろう、例えば十分な証拠があるとか、あるいは本人も認めるとか、あるいは量刑が二十万円という形でかなり軽い方にあるということであれば、本人が希望すれば略式でも構わない。この本人が希望すれば構わないというと、これは我も我もみんな希望してしまう。もちろん、他の条件が満たされた場合ということなんでしょうけれども。したがって、出頭を求めて調べる場合というのはどういう場合なのか、念のためにもう一回伺っておきます。
  21. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  被疑者の取り調べという手続は、これは被疑者に対して質問を発し、被疑事件に対する弁解やその認識しているところを聴取するということでございますが、刑事訴訟法百九十八条一項によりますと、検察担当の捜査機関は、「犯罪捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。」というふうに規定されていることからも明らかなように、あくまで捜査の一環といたしまして被疑者の刑事責任の有無等を解明するのに必要な証拠を収集することを目的とする手続でございます。それを超えて国民が知りたいと思うこと一般についてその解明を行うというようなことを目的とするものでないことは、もちろん言うまでもないところかと思うわけでございます。
  22. 町村信孝

    ○町村委員 要するに、必要な証拠が既に十分集まっていたということなんだと私は思います。  もう一点、これも先ほどの中間報告にございましたけれども、金丸前副総裁に対する略式手続告知経緯、そしてその適法性ということについても種々議論が出されておるわけでございまして、この点につきましてもわかりやすく御答弁を願います。
  23. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  金丸議員に対する略式手続告知経緯は、先ほど御報告申し上げたとおりでございますが、まずもって本件では、被疑者の利益を擁護する立場にある弁護人が終始関与しておられたわけでございまして、金丸議員において略式手続の意味ないし趣旨を十分理解した上、その意思に基づいてこれに異議がないことを確認できることが担保されていたという状況があるわけでございます。  刑事訴訟法四百六十一条の二で要求されております略式手続説明告知と申します手続は、検察官が被疑者に対して、略式手続とは、簡易裁判所検察官の請求により、通常公判手続によらずに、検察官提出した証拠に基づいて、五十万円以下の罰金刑等を科することのできる手続であるということ、及び一定の期間内に正式裁判を請求することができる、この場合には通常公判手続に従って審判を受けることができることを説明する手続であること。検察官は、被疑者に対してそのような趣旨を理解させるものである限り、必ずしも面接の有無等は問わないものというふうに理解しているわけでございます。  過日、最高裁当局からも同様に、略式手続説明告知については、その手続の趣旨ないし意味が検察官から直接被疑者に説明告知されたと同等に評価できるような実質が大事であるとの御答弁があったものと理解しているわけでございますが、今回の金丸議員に対する略式手続告知も、そのような実質が満たされた一つの例であるというふうに考えているわけでございます。
  24. 町村信孝

    ○町村委員 要するに金丸前副総裁を特別扱いしたわけではない、すべてきちんと法令にのっとって一定の要件を備えたものに従ってすべて処理が行われたということであろうと私は理解をいたします。  次に、法務大臣、そしてもし必要あらば総理からも御見解を伺いたいと思いますけれども、この東京佐川急便捜査処理につきまして、今申し上げましたように法のもとの平等に反するとか、あるいは生原調書とか渡邉調書は捏造ではないかという、私は国会議員に、私としてはちょっと信じられないような御発言も先般あったわけでありますが、そういう話とか、あるいは後ほど亀井議員が触れられると思いますけれども、政治家の名誉棄損をしたのではないか、こうした種々の検察批判があるわけでありまして、これにどうこたえていかれるのか。  また、今後の捜査の中で東京佐川急便政治資金規正法違反等がもしあれば、これは厳正に対処するということは当然なことですけれども、その点につきましても法務大臣の見解と、そして強い決意を伺いたいと思いますし、もし総理がおっしゃることがあればその後にお願いいたします。
  25. 田原隆

    田原国務大臣 今までの町村議員の御質問を伺っておりますと、特定の議員に特定の扱いをしたのではないかということと、それから今度は調書の朗読等に関して、関係のない人のことをしゃべって迷惑をかけたのではないかという、平たい言葉で言えばそういうことだと思うのですが、私は、最初の第一点については刑事局長がお答えしましたように、法のもとに、法に従ってやったことであるというふうに認識しておりますし、それから調書の朗読については、これも普通は要旨でやる場合も多いようでありますが、朗読するように法には定められておるわけでありますから、そのこと自体は違法性はない。要するに、冒頭陳述と起訴状は裏づけがあるけれども、それ以外の証拠として出されたものは、例えば被疑者が法廷でしゃべったことと同じようなことでありますから、裁判所がどうするかという問題になるわけでありますので、そういう点では検察官側に何ら落ち度はないわけでありますけれども、ただ、あのときああいうふうに少しいろいろな議論が出ましたが、確かに裏づけされてないものが朗読されたとした場合に、一般の、全く一般の庶民の方がもしそうされた場合にどうするかというふうなことを振り返ってみると、人権擁護等の立場から何とか第三者の名誉棄損を回復するような方法がないかとか、どうしたらいいかとかいうことは、謙虚に反省して、冷静に考えていかなければいかぬ問題であると考えております。
  26. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 ただいま法務大臣からお答えを申し上げたとおりでございます。
  27. 町村信孝

    ○町村委員 もう一度法務大臣に伺いますが、名誉棄損の問題は後ほど亀井静香議員がゆっくり伺うということでありますから、要するに今後いろいろ捜査をしていく、そしてまだ再捜査をしているあるいは捜査を継続しているという先ほどの中間報告がございました。当然のことでありますが、もし各種の法令違反があれば、これはもう厳正に対処をするという強い決意がおありになるのか、ちょっとその点だけをもう一点追加いたします。
  28. 田原隆

    田原国務大臣 検察はそういう被疑の、疑われるようなことがあれば厳正に捜査するわけでありまして、これはいわゆる指揮権という言葉がありますけれども、通常、指揮権というのは捜査するなというようなことをして干渉するようなふうにとられておりますけれども、私は、厳正、公平、中立、不偏不党であるためには、法務大臣が関与しないことの方が一番大事であって、プラスの指揮権もマイナス指揮権も発動してはならないという決意でおります。
  29. 町村信孝

    ○町村委員 最後に、政治改革について若干触れさせていただきます。  ちょうど私は十一月二十六日の日本経済新聞の夕刊を見ておりましたところ、上坂冬子さんのコメントが載っておりました。ちょっと読ませていただきます。ちょうど二十六日ですから喚問のあった日の夕刊でございますが、「こんな喚問を繰り返しても仕方がない」「そもそも喚問は、もう一歩突っ込んで聞いてほしいところも見解の相違で片付いてしまい決め手がないもの。このような喚問よりは、選挙制度の見直しなど土台を作り直す方に力を入れた方がいいのではないか」、こういうコメントを載せておられます。私は、この証人喚問の重要性、また実態解明の必要性、その努力の必要性は認めるものでございます。  しかし、しょせんこれは強力な捜査権を持っていない国会のやる実態解明でございますから、これにはどうしたっておのずと限界があるのは自明の理でありますし、また裁判所と同じようなことをやろうとしたって、これはそもそも国会の機能ではないわけでございます。国政調査権はありますけれども、裁判のように犯罪を確定するといったようなことをやることはそもそも国会に期待をされていないことでありますから、私はこうしたことを考えたときに、むしろこの際、立法府の一員として、国民の政治不信は極めて重い、極めて深刻なものがある、これを私どもは重く受けとめまして、国会議員の一人一人が政治家として持つべきモラルというものを改めて再確認をする、そして襟を正した上で信頼回復に向けての最大限の努力を今こそ行わなければならない、こんなふうに考えるわけでございまして、その第一歩として、自民党ではほとんど取りまとめ完了でございますが、抜本的な政治改革の諸案の作業が続いているわけでございます。大体もうまとまったものと私は聞いております。  特に今回の事件は、政治資金のあり方とか派閥の弊害除去というものを強く示唆した事件であると私は思っております。特に政治資金につきましては、十一月末ごろの自民党の政治資金部会の案によりましても、資金調達団体の数を制限する、私は地元一つ、東京一つの二つで十分だと思っておりますが、この問題とか、個人への献金を禁止するとか、寄附の公開基準の引き下げでありますとか、あるいは国会議員間の資金の提供、授受の禁止、こうしたこと、あるいは公的助成の拡大の検討、罰則の強化、こうした例えば政治資金の入りの面についてだけでも相当やらなければならないことがたくさんあると私は思うわけであります。  そこで、総理大臣に伺いますけれども、私はこの際、総理のリーダーシップということが強く各方面から言われております。まず率先して、私は派閥の解消を断行なさってはいかがかと思います。また、抜本改革の答申が近々全部まとめられるわけでありますけれども、これを完全に実行するという意思をお持ちであるかどうか。特に政治資金のあり方を中心といたしまして、総理の政治改革の実行に対する所見と御決意を承らせていただきます。
  30. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 先ほど町村委員が言われましたように、いわゆる緊急改革分につきましては、先般の国会において事実上、共産党は別でございましたけれども、各党間の御協議がほとんど調っておった状況でございましたので、諸般の事情によりこれが成立いたさなかったことは残念なことに存じておりますが、この国会におきましていわゆる十八項目に加えまして御協議がほぼ調いつつございますので、この国会においてぜひとも成立をさせていただいて、長年のこの懸案を実現をいたしたいと考えております。  残りました問題は、ただいま御指摘のような抜本改革の問題でございまして、これにつきましては、私どもの党内におきまして、政治改革本部が既に総裁に対する答申をほぼまとめかかったところでございます。答申がまとまりましたら、党内のコンセンサスを得て、ひとつこれを私どもの党の方針として決定をいたし、その上で立法を要するものは国会にお願いを申し上げたいと思いますし、一方、要しないものは私どもの党自身において実行いたしてまいりたいと思います。  その最後の問題の中に、御指摘の派閥関連のことがございます。これは私どもの党内の問題でございますので、実は私は、この政治改革本部の部会の討議におきまして、派閥の問題についての三つの具体的な問題についての結論をまとめてほしいということを申しました。一つは金の問題でございますし、一つは人事の問題でございますし、さらに一つは公認候補の決定等々、党内におけるいわば民主主義の問題と申しますか、いずれにしても党の公正な運営を危うくするような諸問題はこの際除去をいたしたい、こういうことで答申をまとめておるところでございまして、ほぼそういう線に沿っての答申ができるものと期待をいたしております。  御指摘の問題は、何と申しましても、先般来今回に及ぶ一連の問題の国民の不信にこたえる最も大切な、私どもの個々の倫理とともに制度の改革につながる問題でありまして、この際何としてもやり抜いてまいりたいという決心をいたしております。
  31. 町村信孝

    ○町村委員 ただいまの総理の御答弁のように、もう政治改革は待ったなしだ、こう思いますので、どうかひとつ、宮澤内閣は政治改革をなし遂げた内閣である、宮澤総裁のもとで自民党が大きく生まれ変わった、こう言われるようなリーダーシップを発揮していただくことを強く期待をいたしまして、残余の時間は同僚の亀井議員に譲りたいと思います。どうもありがとうございました。
  32. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、亀井静香君から関連質疑の申し出があります。町村君の持ち時間の範囲内でこれを許します。亀井静香君。
  33. 亀井静香

    亀井(静)委員 町村議員の質問に関連をいたしまして、一、二お伺いをいたしたいと思います。  東京佐川の渡邉被告の特別背任事件に関しまして開示をされました検事調書の中で、総裁選に絡む我が党所属議員七名に関する供述がさらされ、これによりまして我が党初め関係議員の名誉が著しく棄損をされたということにつきまして、過日同僚議員が既にお伺いをしたわけでありますけれども、このときは刑事局長から傾聴いたしますというような御答弁をいただいておりますが、傾聴していただけでは名誉は回復をいたしませんので、あえてしつこく再質問をさせていただくということでございますので、御了解をいただきたいと思います。  これにつきまして党といたしましては、幹事長指揮のもとで徹底的な調査を開始をしたわけでございますけれども、その調査結果では二点、重大なことがはっきりしてきたわけでございます。  その第一点は、これは、検事調書に記載をされている内容について、事実無根を含めて重大な誤りがあるということが第一点であります。  第二点は、捜査、司法手続上、大変に問題がある。先ほど法務大臣からも答弁もございましたけれども、私どもとしては大変な問題がある、このように認識をいたしておるわけでございます。  なお、調書の中に出ております、まず浜田、魚住、浦田議員に関することでございますが、このことにつきましては、一部事実もそれに合っておる点も確かにございます。ただ問題は、このことがマスコミ等に報じられましたそのときの、もちろんこれは検察にこの点については責任があるわけではございませんが、いわば皇民党の事件に関して、褒め殺しをやめさせる、そうした行為があたかも政治家としてこれをやってはならぬことをやっておるかのごとき、そうした報道がなされた。そういう中で、まことに国民の間では遺憾な誤解をされた、そうした状況が生まれてきたという面があろうかと思います。  皇民党事件は、申し上げるまでもなくこれは皇民党が加害者であり、被害者は竹下登であるということは、これははっきりしておることであります。ただ、先ほどから警備局長も答弁をしておりますけれども、当時の状況のもとにおいては、直ちにこれを検挙をするとかあるいは制止をするということが警察当局においてできなかったという状況が確かにあったということであります。  しかしながら、そうしたいわば民主主義の根底を揺るがしかねないそうした行為が行われておる場合、これを制止をするということは、政治家であろうと国民であろうと当然の義務だと私は思うわけでありまして、そういう意味では、三議員のなされた行動というのは、むしろ総理・総裁が表彰されてまたしかるべきことではないか、それ自体については。私はこのように思うわけでありますが、しかし、残念ながら、一部のマスコミ等があたかもそれが間違った行動だというような報道をしておる中で、著しく実質的な名誉が棄損されているという問題があろうかと思います。  あと、小渕、森、梶山、金丸議員につきましてでございますが、これは徹底した関係者についての調査をいたしました。その結果、まさにこれは事実無根であるというように私どもは確信を持っておるわけであります。  私もかつて捜査二課長時代、多くのいろいろな事件をやりましたけれども、被疑者あるいは参考人あるいは一般市民のまことしやかなうそに大変に悩んだという経験があります。裏に裏をとってもなお誤対応しかねないような状況に陥った場合も、経験としてございます。こうした捜査を遂行する過程において、これは、検事調書というのは供述録取書ではございません。捜査の一環として、公訴維持を前提としてこれをやっていることでありますから、当然供述の裏についてはきっちりととっていくというのが私は当然なことだと、これは調書でありますから。残念ながら我々の調査等からも、検察当局はそうしたことを全然行っておらないということは明白であります。  また、これは、御承知のように公判廷に証拠として調書を提出して朗読をされたわけでありますけれども、強姦事件等でございますと、これは被害者の名誉には関することでありますけれども、そうした実名等を調書に記載せざるを得ません。これは当然のことであります。しかしながら本件のように、特別背任罪立証する上において、渡邉被告の犯行に至った動機を証明しようとしてこれを提出したわけでありますが、こうした場合は、従来の検察の実務としては、実名の入ったのと実名を外したのと二通作成をして、実名の入っておらないのをもって証拠提出をする、これをもって足りるというのが従来の例だと私は思うのですね。ところが今回は、先ほど申し上げましたように、裏づけもしない、しかもその実名の入ったのを証拠申請をしたという、まことに不可解なことが行われておるわけでございますけれども、私はこの点については、捜査当局というのは本当に厳しく反省をしていただきたいと思うわけであります。  犯人を逮捕するためにはパトカーが幾ら通行人をはねていいということにはならないわけであります。しかも、我が国の憲法下においては、御案内のように、被疑者であっても確定判決が出るまでは無罪の推定を受けておるわけでありますから、そういう観点から刑事訴訟法でも、被疑者の人権を守るために細かい配慮をしておることは御承知のとおりであります。ましてや参考人あるいは事件関係ない一般国民の名誉を、捜査手続、司法手続の中において最大限これを尊重していくということは、捜査において、また司法のあり方において一番重要なことだ、このように私は思うわけです。自民党の代議士であれば名誉は関係ないというわけにはいかないと私は思うわけでありまして、こういうことにつきまして、私はマスコミなり野党の皆さん方にもぜひひとつ御理解をいただきたいと思うわけでありますが、このたびのことのやはり間違いを、検察当局だけじゃなくて、それに対しての我々国民、政治家がその対応を誤りますと、我が国の民主主義の将来にとって取り返しのつかない結果になるのではないか、私はこういうことを大変に恐れるわけであります。  そういうことで刑事局長にお伺いをしたいわけでありますが、我々の捜査におきましては――失礼いたしました、言葉を間違えました、我々の徹底いたしました調査によりますと、森、小渕、それから梶山、金丸議員につきましては完全に事実無根であります。これはもう、これにつきましては一部、他の三名の議員につきましては交渉に行った事実があるとか、一部については調書の内容と合致をしておる点もあるわけでありますが、他の部分についてこれが違っておる点は多々あるわけであります。こういうことについて刑事局長、私はしっかりとお答えを願いたいと思うわけであります。私が今申し上げていることに対して、それは違うというように自信を持って反論されるのかどうかということを、ぜひひとつ簡単明瞭にお聞かせを願いたいと思います。
  34. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  委員が今御指摘の検察官調書は、委員も十分もう御案内のとおり、当時の日本皇民党総裁が、たとえ政治家が金銭による解決を申し入れても街宣活動を中止しないとの強い意向を示していたこと等の事実を立証いたしまして、渡邉社長に係る特別背任罪の動機を明らかにすることを目的として証拠調べ請求されたものでございます。そこに記載された特定の政治家等が関与したという事実を立証し、あるいはそのような事実を確定するものではないわけでございます。したがって、そこに記載された政治家のうち、今御指摘になられた四名の方が関与の事実を否定されたということとこの調書の存在と、必ずしも対立矛盾するものではないわけでございます。  ところで、捜査内容につきまして具体的に明らかにすることはできないわけでございますが、一般的に供述調書の内容についての裏づけ捜査の必要性は、その調書がどのような事実を立証する目的で作成されたかによって決まるものでございます。さきに述べたような本件調書の作成目的からいたしますれば、その裏づけ捜査の必要性もおのずからそのような範囲にとどまるものと御理解をいただきたいわけであります。  本件調書に関しまして、今委員の御指摘によりますと、関係する政治家が検察官による事情聴取を受けていないということでございますれば、これはあえて否定するものではないわけでございます。  なお、刑事裁判におきましては、実体的真実の解明のため、捜査公判過程で虚実を取りまぜて第三者の実名その他種々の事実が述べられるということは、これは事柄の性質上やむを得ないところかと思うわけでございますが、こうした刑事手続の場を離れて見た場合に、世間一般に無用の誤解を与えたり、その関係でその第三者の名誉にかかわってくるというようなこともあり得るわけでございますので、第三者の名誉や人権にも配慮して捜査公判活動を行うべきであるという声には、これは謙虚に耳を傾けるべきものがあるというふうに考えているわけでございます。
  35. 亀井静香

    亀井(静)委員 ただいま刑事局長からの答弁、型にはまった答弁がございましたけれども、私が申し上げているのは、検事証拠として公判廷に出したこと自体が違法だということを私は言っておるのじゃないのです。  しかし、捜査のあり方として、従来やっておらないようなそうした処理をしたということについて、それによって具体的に関係者の名誉が棄損をされているという実態がある以上は、これについて補充捜査を遂げて、今不規則発言の中にもございましたが、調書の中にはそういう記載はありませんが、マスコミ等のあるいは野党の間違った対応の中で尾ひれがついて、ありもしないことでこれについて大変な名誉を棄損されているという議員もおるわけでありますから、補充捜査をして、それを公判廷に証拠として提出をするということは、私は法律上禁じられていることではないと思うのです。  立証目的の範囲内でやるべきだとおっしゃるわけでありますが、それは法律上義務的なことでありまして、そうじゃなくて、さらにそうした捜査全体をにらんで、今私が申し上げましたような観点から補充捜査をするということは、私は法律の趣旨に反するものでも何でもない。検察当局が、事実上こうした公党に対する、あるいは個々の議員に対する重大な名誉棄損という事態が起きておるということに対して、何ら信用回復、名誉回復の措置をやるべきにもかかわらずやらない。過去の行為というのを、それは違法ではないのでありますということを言っていることによって、検察の信頼というのが回復できるのか。私は、この点をぜひ検察庁として十分反省をしていただきたい。  ただ、ただいまの御答弁で、私が申し上げました我が党の調査に対して、それは間違っておるという反論がなかったということは、これははっきりしておきたいと思うわけでありまして、これは事実上私どもの調査が正しいということを認められたということと同意義である。もしそれに御異議があれば、この場で反論を私はしていただきたいと思うわけであります。  今後の名誉回復の方法といたしまして、今申し上げました、公判廷に再度そうした補充捜査の調書を提出をされ、朗読をしていただくということ。  あるいはもう一つ、これは今刑事局長の答弁の中にもございますが、これは、七名の議員に関する供述については、特別背任そのものを立証するというその挙証活動として使われるわけでもありませんし、犯行の動機に関することであります以上は、それが関係がないということが明々白々になった以上は、七氏について関係がないということが明らかになった以上は、公訴維持とは関係ないはずでありますから、補充捜査した結果を記者会見をして、私は名誉回復する措置をとっても何ら公訴維持上の支障は起きないと思います、これは関係ないわけでありますから。これが二番目のとるべき手であろうと私は思います。  もう一つは、国家賠償法に基づく提訴をするという方法であります。これは平成二年七月二十日の最高裁の判決の、国賠に関する判決の趣旨からいたしましても、このたびの検察官手続というのは、それは刑事手続としては違法ではなかったかもしれないけれども、国賠上は明らかなこれは違法行為だと私は断定をするわけであります。森政調会長にも私は提訴したらどうかと言うのでありますが、あの方は私と違いましてああいう人柄でございますから、政権与党の三役が法務大臣を相手に提訴することに対してのそうしたちゅうちょのお気持ちがあることも事実であります。しかしながら、今後、公党または個々の議員の名誉を守るということは、私はまさに議会制民主主義を守るという観点からも極めて重要なことだ、このように認識をいたしておるわけであります。  先ほど申し上げましたように、今後検察当局としてどういう措置をおとりになるおつもりなのか。過去のことは、もうこれは別に違法じゃないんだから、手続自体は違法じゃないんだから、名誉を棄損したかもしらぬけれども、それの回復はおれたちの知ったことじゃないというのは、私は極めてむちゃなことだと思うのですね。やはり過ちを改むるにはばかることなかれということがありますが、この際、私はそういうことをなさることが、今いろいろと検察に対しての批判がありますけれども、それを回復される具体的な道だ、このように考えますので、しかと御答弁を賜わりたい。
  36. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  今回の問題につきましては、東京地検次席検事が直ちに記者会見を行いまして、先ほど御説明したこの検事調書の立証趣旨等を明らかにして、誤解を解く努力をしたことは事実でございます。  ただ、その後、十一月十三日に小渕議員から東京地検検事正あてに質問書が提出されました。またさらに、同月十九日には森議員から検事総長及び東京地検検事正あてに要望書が出されております。  検察当局としましては、御指摘の要望書等をも受けまして、検察当局職責権限範囲内でどのようなことができるかということを含めて検討しているところと聞いているわけでございます。
  37. 亀井静香

    亀井(静)委員 ぜひ、私が先ほど申し上げましたことを含めて、検討するだけではなくて、早急にこれについては措置をおとりをいただきたい、このことを要望いたしまして質問を終わりたいと思います。
  38. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて町村君、亀井君の質疑は終了いたしました。  次に、加藤万吉君。
  39. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私は、まず総理に、今回の事件に対する所見をお聞きをいたしたいと思うのです。  特に、金丸氏の五億円の政治献金授受については、私ども政治家が政治献金を受ける際には、仮にそれが法律的に許されるといたしましても、道義的に倫理的に許されない場合がしばしばあろうかと思うのであります。政治家をその背景に持つだけでも既に問題があるところでありまして、いわんや政治的影響力に対して、その対価として金が動くとすれば、これは明らかに贈収賄であります。したがいまして、政治家が金を受け取るというときにはすべからくこのようなみずから置かれている地位、条件、社会的背景というものをみずからに戒めながら受け取るべきである、かように思いますが、総理の御見解をまずお聞きをしておきたいと思います。
  40. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 一般に政治家としての心構えについてただいま加藤議員の言われましたことは、私もまことに同様に考えます。すなわち、お互い政治にある者は政治家としてのモラル、倫理を持っていなければならない、そのことは法律上許される、許されないということとは別の次元の問題として政治家の倫理に従って行動をしなければならない、そういう重い責任を持っておるものと考えます。
  41. 加藤万吉

    加藤(万)委員 法務大臣にお聞きをしますが――それでは、法務大臣いませんから困ったですね、それでは総理にお聞きをいたしておきたいと思うのです。  事件の背景は、今度の佐川渡邉廣康に関する特別背任事件であります。先ほど刑事局長は、お金を受け取った生原については起訴猶予にした、こういう報告がございました。私は、今度の五億円問題は、いわば特別背任罪という極めて重科に科すべき条件の中でお金を授受したという問題でありますから、それだけに単なる背任罪ではない、いわば特別背任罪という社会的影響力を持つ中での事件であります。それだけに国民は、単に個人が背任をしたとかなんとかというだけではなくして、それに対する疑惑の解明は徹底的に行ってほしい、こういう要素があることは当然なことであります。  法務大臣、今私のお聞きしているのは、ちょっと中座をされましたから略して言いますと、今度の五億円金丸氏の授受の問題は、特別背任罪というその罪状の中で行われた一つの事件であります。それだけに社会的影響力というものを配慮すれば、事件は極めて慎重にしかも厳格に取り扱うべきである、かように私は思うのですが、法務大臣の見解、お聞きをしたいと思います。
  42. 田原隆

    田原国務大臣 お答えします。  いろいろな事件がありました場合に、事件に対して厳格、厳正に取り組むのは検察の務めでございますので、当然この問題についても、厳正、公平、中立、不偏、厳重に取り組んでおるものと私は信じております。
  43. 加藤万吉

    加藤(万)委員 ところが、この捜査の段階、そして最終的には二十万円の罰金という決裁、略式命令という過程は、国民から見ますと厳格に、しかも国民の疑問に答える結論として出ていない、素朴な感情として私はそういう面を国民は持っていると思うのです。  この捜査を対象としたと思われる、札幌高検の佐藤検事長がこの問題に関してと思われるような論文を発表されています。すなわち、被疑者に対する取り調べ権の放棄があったのではないか、あるいは真相解明にはどんな疑問も残してはならない、さらには安易な現状との妥協、そして真相の究明に特別な配慮を検察がとるとするならば、検察という公益の代表者として重大な任務違反であるという論文を掲げられました。私は、この論文は極めて傾聴すべき論文ではないかと思うのでありますが、本事件に関してこのような佐藤論文、いわば検察と国民との公益性の一体化という側面から見る提起について法務大臣はどのようにお考えでございましょうか。
  44. 田原隆

    田原国務大臣 お答えします。  札幌高検の佐藤さんの論文を私も読ませていただきました。検察官一体性の原理というのはありますが、これはある事件について捜査しているグループ、グループと申しますか現場の組織がございまして、順番にずっと上がっていっておりますが、その間で指揮を受けたり相談したりすることはもちろんあるでありましょうけれども、その組織の外の人としてはわからない面があったのではないかという印象も多少受けました。そういう意味で、この今度の問題について、検察は決して厳正、公平な立場を離れた捜査をしているものとは私は考えておりません。
  45. 加藤万吉

    加藤(万)委員 今法務大臣検察一体化という話をされました。東京地検捜査の段階と札幌で見る目とは事実関係について認識の差があるのではないか、したがって云々というお言葉ですが、私は、佐藤検事長は、検察の一体化ではなくして、国民と検察との一体化を言っていると思うのです。大変重要なことだと思うのですよ。検察に対する信頼というものは、常に国民の疑惑、国民の疑問、そういうものに答えて、不正義に対して正義の捜査を行い、結論を得る。まさに検察と国民の一体化、ここに私は佐藤さんが提起をしている、我々に対しても提起をしている問題点があるのではないか、かように考えます。検察の一体化は行政上の一体化でしょう。しかし、国民との一体化という問題は、まさに検察の信頼を保つ国民的基盤の一体化ですよ。私は、そういう意味では今法務大臣がおっしゃったこと、さらに検察の一体化よりもむしろ国民との一体化に重点を置くこれからの司法のあり方というものを示唆しているものとして評価をしなければならない、かように思います。  さて、時間がありませんから次に進みますが、そういうことが今度の五億円事件捜査として行われたんだろうか、このことについて極めて大きな疑問を持ちます。  第一の疑問は上申書提出についてであります。この上申書提出について、金丸尋問はさまざまな点で皆さんの今までおっしゃったこととは違った証言をなされています。  刑事局長、過日、我が党の山花書記長が法務当局に対して次のようなことを伺っております。「法務当局にお伺いいたしたいと思いますが、五億円を受けた趣旨について、秘書の生原さんは、政治団体の方に入れて、それで配ったということだった。でも、結局は金丸前副総裁個人として受け取った、配った、こういう格好になりましたね。それによって政治資金規正法の二十五条、二十六条」、これは極めて、いわゆる二十万円の罰金では済む問題ではない、禁錮刑五年以下の刑、三十万円以下の罰金ということになるわけですが、「取り扱いが違ってくるわけでありまして、したがって罰金だけで済んだ、こういう説明だと思うのですけれども、その五億円というものは、だれが渡してだれが受け取ったと認定したんでしょうか。」これに対して刑事局長は、「今お尋ねの五億円は、東京佐川急便株式会社社長渡邉廣康個人から金丸議員個人に対して渡されたものというふうに理解しております。」こう答弁をいたしております。  ところが、今度金丸さんの臨床尋問を行いまして、この金丸さんはこのように述べているのであります。これはそれぞれの議員に配られた金丸尋問の調書によって見ていただきたいと思いますが、金丸さんは団体に入れたと自分は思っている、こう言っております。すなわち、個人から個人ではないのであります。金丸さんの調書の二十二ページであります。さらに金丸氏は、このお金は、別な質問に答えて、「政治団体に入れたということだけは確かだと思います。」とこう言っているのであります。  刑事局長、あなたの答弁では、個人から支払って個人が受けたとこう言っていますが、金丸さんは明らかに政治団体に入れたと、こう言って証言をしているのです。この間に捜査に食い違いがあったのか、あるいはこの証言とあなたのこの国会における答弁とは全く違っておるのですが、いかがでしょうか。
  46. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  まず、委員がご指摘になっておられます金丸証言の二十二ページのところは私も承知いたしております。この部分は、正確を期するためにもう一度私、読ませていただきますが、日野委員の質問として、「それでは、このお金は個人でお受け取りになったか、それから政治団体に入れたかということも、これはもう生原さんしかわからないと。」という質問になっているのです。で、金丸証人の答えが、「そうだと思いますよ。私は政治団体に入れたんじゃねえかと思いますよ。」こういう答えになっております。この質問と答えの趣旨から、特に質問は、「個人でお受け取りになったか、それから」ということで、一たん個人に入って、それから政治団体に入れたかという趣旨の質問のように、まあ私が読んだ限りではそういうふうに理解したわけでございます。したがいまして、この二十二ページの証言の御趣旨は、今委員が御理解になっておられるところとは私は違った理解ができるというふうに読んだわけでございます。  それから、既に、前にもお答えしたわけでございますが、この生原秘書の供述内容やその変遷の有無等につきましては、確定記録に関係するということで答弁を差し控えさせていただきたいわけでございますが、御指摘のようなことにつきましては、これは金丸証言で明らかになっている事実でもございますので、若干補足して説明をさせていただきたいと思うわけでございます。  まず、本件五億円が金丸議員の政治活動に関する寄附として供与を受けたものであることは、裁判所証拠により認定して確定されている事実であります。次に、この生原の取り調べにつきましても、生原から、事実ありのままを本人から任意に供述するところを聞いたわけでございまして、生原の供述するところもそのとおり供述録取書として録取されているわけでございます。  いずれにいたしましても、現在、供述調書の生原の供述、あるいは渡邉の供述等供述調書の内容捜査の経過等につきましては、公にできない法律上の制約がありまして詳しい答弁を差し控えているわけでございますが、いずれにいたしましても、委員が御疑念を持っておられるような検察の取り扱いに不都合があるということは絶対にないということだけ明確にさせていただきたいと思うわけでございます。
  47. 加藤万吉

    加藤(万)委員 あなたは私の質問のいま一カ所の箇所、四十一ページについて全然触れてないのですよ。ここでは、金丸証人は、「入ったのか入らぬのか、何しろ金丸信政治団体に入れたということだけは確かだと思います。」と言っているんですよ。個人の問題で、前の証言の段階では、二十二ページの段階では少し私の理解とあなたの理解と違うと言うけれども、明らかにここでは「政治団体に入れたということだけは確かだと思います。」と言っているんじゃないですか。なぜ個人にすりかわったんですか。いま一度。
  48. 濱邦久

    濱政府委員 先ほどお答えいたしましたように、これは確定判決で認定された事実でございますので、余り立ち入ってお答えすることはいかがかと思いますけれども、あえて申し上げますると、先ほど金丸証言の中で、日野委員の質問に対して金丸証言が答えておられる趣旨、それから今委員が御指摘になっておられます四十一ページにつきましても、これは金丸議員に一度入って、その後金丸信政治団体に入れたということで証言しておられるのかどうか、そこは必ずしもこの証言の趣旨では明らかではないんじゃないかと思いますが。
  49. 加藤万吉

    加藤(万)委員 この上申書提出するに当たって、さらに金丸さんはこのように言っているのです。我が党の日野委員の質問に対して、「ちょうど安部先生が私の弁護士を引き受けてくれるというとき判をついた、そのときの上申書が初め。そ、れで、そうなったのは、私の次男が、検察の一階級か二階級上の人が別室へ呼んで、お父さんを説得してくれという話があった。」こう言っています。そして日野議員が、「そうすると、検察庁の方からこういう書類、上申書という書類だったわけですが、それを書いて出してくれという話になったということは御記憶ございますか。」「それは、だからお父さん」、すなわち説得の上でございましょうけれども、「だからお父さんを督促してくれという事態で、それはちょうど私が上申書を、安部弁護士さんに会って、そこで相談して上申書を出すという段取り。」こう言っているのです。  前段の話とあわせてこの尋問調書の内容を、記録をそのまま連動してまいりますと、この上申書提出するに当たっては、あなたは裁判所が最終的にその上申書の記録に基づいて略式命令を出したと、こう言っておりますが、上申書そのものに対して、私ども法曹界にはおりませんから難しい言葉はわかりませんけれども、誘導ないしは介入されたんじゃないですか。
  50. 濱邦久

    濱政府委員 委員の今の御指摘は、この金丸議員証言調書の十七ページに記載されているところを踏まえての御質問かと思うわけでございます。  従来から、具体的事件の詳細な捜査経緯につきましてはお答えを差し控えさせていただいているわけでございますけれども、今回この金丸議員の臨床尋問におきまして、検察官が同議員の次男の方と接触したことを証言しておるわけでございまして、これに関連して検察の対応について誤解を招くおそれもあるかと思いますので、その経緯を若干申し上げたいと思うわけでございます。  東京地検は、既に先ほど報告で申し上げましたとおり、金丸議員の弁護士を通じて、出頭の上取り調べに応ずるよう求めていたわけでございますが、その後、その回答がないまま時を経過していたところ、たまたま本件五億円が地元の政治団体関係のないことの裏づけ捜査等のため、地元の政治団体の事実上の事務責任者となっていた金丸議員の次男の方を東京地検において事情聴取をしたわけでございます。その際に、その事情聴取の終了した機会に、取り調べ担当の検事より先輩に当たる主任検事が次男の方に部屋に来てもらいまして、その部屋で、既に弁護人を通じて出頭を求めているので、金丸議員本人において弁護人ともよく相談して対処してほしいという話を伝えたものでございます。このときの経緯はこれ以上のものでもこれ以下のものでもないわけでございまして、同人を通じて金丸議員取り調べのかわりに上申書提出方を求めたというようなものでは絶対にないわけでございます。金丸議員上申書提出を受けて同人取り調べをしないで起訴したのは、先ほども御報告申し上げたとおり、その後九月二十四日、弁護人から金丸議員の意向が示されて、上申書提出を受けた後に検討した結果、最終的に決まったものでございます。
  51. 加藤万吉

    加藤(万)委員 これは法曹界でも言われていることでありますが、せんだって我が山花質問の中でこう言っています。略式命令に対する本人への取り調べ権の問題について、佐藤検事長もそう言っているのでありますが、本人の事情聴取もないまま略式命令ということが可能か。今のお話でもありましたが、次男の人を二階に呼んで、そしてあなたの説明では恐らく出頭命令の要請のいかんかと思いますけれども、しかし、出頭命令のいかんにかかわらず、この金丸発言で見る限りには、やはり上申書に対して金丸氏の意識の外に上申書をいかに書くべきか、その相談がなされた、こう見るのが至当なこの調書の内容ではなかろうかと私は思いますよ。なぜ本人の意思ではないのでしょうか。  今、私はここに過日山花書記長が引用しました裁判所書記官研修所の研修の内容についての書類を持っていますが、こう書いてありますね。したがって、検察官が被疑者を取り調べもせず、単に説明書を「被疑者に送付して略式手続きの趣旨を告知し、略式によることについて異議がない旨の書面提出させることは、許されないものと解したい。」すなわち書面によって略式命令を出すことは許されないものと。ですからこういう食い違いが起きるのか、ないしはあなたの方で、検察庁の方で上申書に対する指示ないしは指図をしたという疑問が生まれるんじゃないですか。  私は、この問題については生原秘書をどうしても国会の場に呼んで、この事実関係を確かめなければ、上申書内容が、結果的に二十万円の罰金でいいのか、それとも二十五条違反に適応するのかという問題に発展いたしますがゆえに、ぜひともこれは委員長、我が党からも要求していますが、生原秘書をこの委員会にぜひ証人として喚問するように要請をしておきたい、こう思いますよ。
  52. 高鳥修

    高鳥委員長 ただいま理事会において協議中でございます。
  53. 加藤万吉

    加藤(万)委員 次に、略式命令についてでありますが、略式命令は、先ほど刑事局長報告にもありましたように、いわば犯罪内容が極めて軽微であった、さらにその事実関係が調査、取り調べの結果認定するに値する条件が整った、捜査としてはすべてが条件が整備をされているので略式裁判によって判決を得ることができる、この場合に取り調べの必要性もないというお話をされました。  どうでしょうか、一般的に、我々交通違反取り調べを受け、罰金刑を受ける場合に、交通違反の事情聴取を受けるために出頭せよという要請があります。この出頭要請というものは、例えば金丸さんのような条件が整った場合には、出頭要請に対して、みずからその罪を認めれば要請に応じて出頭しなくてもいいのでしょうか。庶民の素朴な質問として私はお聞きしておきたいと思います。
  54. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  捜査当局が被疑者の出頭を求めて取り調べをするということには、大きく分けて二つの意味合いがあると思うわけでございます。  一つは、出頭を求めて取り調べをし、被疑事実について被疑者本人から弁解を聞き、弁明の機会を与えて必要な証拠を収集する。要するに、委員が先ほど前段で御指摘になられました証拠の収集として被疑者の取り調べをする必要があるかどうかという観点が一つあるわけでございます。  それから、二つ目の被疑者の出頭を求める理由としては、本人に検察官から略式手続について詳細な説明をして、被疑者に正確な理解をしてもらって、略式手続によることについて異議がないかどうかということを確認するという観点からの要請があるわけでございます。  したがって、被疑者の出頭を求めることが必要かどうかということは、今申しました二つの観点からその必要があるかどうかということを考えなければならないと思うわけでございます。  それで、特に被疑者の金丸議員に対する政治資金規正法違反事件捜査過程において最終的に金丸議員取り調べる必要がないと判断したということは、先ほど報告等で申し上げたとおりでございます。  委員の後の方のお尋ねは、略式手続関係で特にお尋ねかと思うわけでございます。略式手続とは、これも申し上げるまでもないわけでございますが、適用される罰則法定刑や事犯の犯情に照らしまして五十万円以下の罰金をもって処理するのが相当と判断される事件について行われる一種の書面審理の手続でありますから、このような簡易迅速な裁判は被告人にとっても利益になるわけでございますので、被疑者において異議がない場合には略式手続によって事件処理されるのが通例であるわけであります。略式手続により事件処理されるのが、今申しましたように略式手続制度が設けられている趣旨から、本人に異議がない場合にはこれによるというのが相当であるというふうに考えているわけでございます。  したがいまして、今るる私御説明いたしました二つの観点から、被疑者の出頭を求める必要がないことになりますれば、それは一般の交通事犯の場合にも同じような取り扱いが行われ得るということを申し上げたいと思うわけでございます。
  55. 加藤万吉

    加藤(万)委員 五億円の授受の問題は、量的規制違反ということで二十万円の罰金ということでございました。先ほど私は冒頭、法務大臣に、この事件特別背任事件関係のある事件だけに、先ほどの金丸証言などに照らし合わせてみて、政治資金二十五条に違反する可能性が非常に極めて強い。しかも二十六条違反ですと、刑事局長の答弁にありましたように、会計責任者がその主たる、まあ被疑者として取り調べを受ける。だがしかし、もし本人がそれに関与した場合には、ちょうど新潟金子知事に対する事件と同じように二十五条違反として本訴になり、それが国民の目の前に明らかになることによって、五億円のその財源の性格が一体何であったのかということまで明らかにすることができる。残念ながら今回の場合には略式手続、略式裁判ということで決着をつけようと今いたしているのであります。私は、特別背任事件にかかわる問題だけに、むしろ慎重に、厳格にこの処理を今日でも行うべきであるというふうに思います。私ども今、本件に関して所得税違反あるいは政治資金規正法違反として告発をいたしております。したがって、この告発の条件に基づいて厳しく、しかも国民のわかりやすい状況検察当局が強くつくられることを期待をしておきたい、このように思います。  さて、佐川急便という会社が一体どうしてこのような政治献金と、あるいは世上言われる急成長のために脱法、違法という行為が行われたのであろうか。私は、この佐川急便が急成長する背景には、それを補うだけの行政的なさまざまな要請にこたえた指導というものがあったのではないかとも思うのであります。  昭和三十七年ですが、佐川急便や日本の区域運送運輸会社は、それぞれ路線業者との積み合い問題について通達が出されました。当時、路線業者と区域業者の間には、運送を行う上において大変な業務的な力といいましょうか、あるいはエリアといいましょうか、その違いがあったことは御案内のとおりであります。そこで、昭和三十七年に、当時の物流の拡大とともに新たな積み合いをできる状況をつくり上げた通達が出されました。これは運輸大臣、どういう通達でございましょうか。概要的に御説明をいただきたいと思います。
  56. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 答弁に不備があるといけませんので政府委員から詳しく説明させますけれども、私の聞いておる限りにおきましては、複数の荷物を一台のトラックに積み合わせてよろしいというのが、大手路線業者は当然そういう権利を持っているわけでありますけれども、区域業者においてはその積み合わせの規制が非常に厳しい。したがって、この物流事情の変化の中でできるだけそういった区域業者に関しても制限を緩和していこうという動きが、時代の変化とともにそういった動きになってきたんだと聞いております。  なお、私のこういった答弁では御不満でございましょうから、政府委員から答弁させます。
  57. 加藤万吉

    加藤(万)委員 いいです。  そういう概況の中で、いわゆる区域業者とそれから路線業者とが、新たな競合関係を時には生み、時には合併し、時には業務提携をし、こういう状況として発展をしたわけです。この佐川急便は、その路線業者と業務提携をし、ないしは吸収をし、そして営業権の拡大という方向に進んだことは、経過として見られています。そこでさまざまなトラブルが起きたわけです。時には路線業者に対する領域の侵害という問題で事件が起きました。どうしてもこれを解決しなきゃならぬというので暴力団をこの際に介入をさせる、こういう状況が起きたわけですね。一方ではそういう路線業者と提携をする、そして荷扱い量が非常に大量にふえる、そのためにターミナルであるとか営業所であるとか、さまざまな施設をつくらなきゃなりません。その施設の中で起きたのが違法行為であり、時には脱法行為であったわけですね。新潟県に見られる黒埼ターミナルがそうであります。あるいは同じような中条町のターミナルがそうであります。これに地方政治が大きくかかわり合いを持ちました。特に新潟県のこのターミナル建設については、農振地域の解除であるとか、あるいは新たなできる道路への接点、インターチェンジとの近隣地域に営業所を設ける、ターミナルを設ける、この中に新潟県政と佐川急便との癒着の構造が生まれてきたことは、各委員会でも議論があったところであります。  さて、そういう中で新潟知事選挙が行われました。当時、金子知事は、この地域開発のさまざまな調整会議を行う議長でもございました。したがって、金子知事は、いわば新潟県の佐川急便が要請する施設に対する県の決定を行うその位置にあったわけであります。四人の候補者がございまして、知事選挙で調整工作が行われました。そして、その中で金子知事知事の候補としてなっていくわけでありますが、この際に佐川急便から三億円とも言われ、五億円とも言われる政治資金流れたということも、これまた今裁判で行れている、先ほどの刑事局長報告の中でありました、一億円についてはその事実を確認しているということからも明らかであります。今度の金丸証言の中に、五億円の金は衆議院のときの前にもらったのか、あるいは参議院の選挙の前にもらったのか明らかでない、こう言っています。もし参議院選挙前と言えば、この新潟知事選挙と全く重なり合うわけです。刑事局長、この辺についてはどのような捜査の結果があり、また結論を得たのでしょうか。
  58. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  先ほどから御説明申し上げましたように、金丸議員に対する五億円の寄附の時期につきましては、確定判決におきまして、衆議院選挙前の平成二年一月というふうに認定されているというふうに理解しているわけでございます。
  59. 加藤万吉

    加藤(万)委員 今度の金丸証言によりますと、この五億円については参議院選挙前であったかもしれぬ、こう言っていますよね。となると、このお金は半年間ないしは七カ月間ぐらいになりましょうか、平成二年の一月に受け取った、こういうわけでありますから、この間寝かしていたということになりますね。しかも、先ほどの私のやりとりでおわかりいただいたように、この金については金丸氏は受け取ってないわけですね。いわゆる生原氏が受け取って、生原氏が政治団体に入れた、こう言われているわけですよ。  話が少しく前に戻りますが、しかもそれを配分したのも生原氏ということになりますと、明らかにこれは政治資金ではないですか。そしてまた、もし特定した日にちが平成二年の一月ということになりますと、新潟知事選挙のいわば一本化工作のための謝礼として受けたと言われている五億円はこの時期に金丸氏の手元に来た、こういうことになるんじゃないでしょうか。この辺の捜査はしっかりとおやりになったんでしょうか。そしてまた、前段の政治資金として受け取ったか否かという問題については、さらにいま一度御答弁をいただきたい、かように思います。
  60. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  今委員のお尋ねは、さきに略式命令で確定いたしました裁判の事実認定とは異なる事実を前提にしてお尋ねになっているかと思うわけでございまして、その点についてはお答えはいたしかねるわけでございます。したがいまして、この確定した裁判で認定された事実を前提にお尋ねいただくことでありましても、この事実認定自体をここで御論議いただくことは差し控えさせていただきたいというふうに思うわけでございます。
  61. 加藤万吉

    加藤(万)委員 金丸氏の五億円授受という問題が時期的にも極めて不明確であります、これは証言によって。さらに、今お話にありましたように、このお金が起訴事実の中にある個人から個人へという問題ではなくして、証言にもありましたように、生原がそれを受け、あるいはそれを六十人余に配った、それも生原だ、こう言っているわけですから、そうだとするならば、まさに政治資金規正法上の団体への寄附。起訴自身が誤りということになるんじゃないですか。
  62. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  まず、一般的に申し上げまして、贈収賄事件政治資金規正法上の寄附制限違反など、金銭の授受の日時の特定につきましては、裁判でアリバイ主張がなされることがあるなどの理由によりまして、捜査上極めて重要な事柄であることは申すまでもないわけでございまして、捜査当局においてもその辺のところは十分認識しておるわけでございます。単に金銭の授受に関係した当事者の供述だけではなくて、その当時の関係者の行動を調べたり、関係物証による裏づけ等慎重な捜査を行っているところでございます。  今委員お尋ねになっておられる事件捜査におきましても、この点は、五億円の授受の時期の確定ということは公訴時効との関係でも重要な問題でございますので、検察当局としては、当然のことながら、以上のような慎重な捜査を行ったものと承知しているわけでございます。  本件五億円の授受の時期の確定のために行った捜査内容につきましては、余り詳しく立ち入ることはできませんけれども、誤解を解く必要もございますし、既に明らかにされた金丸証言との関係で問われていることでもございますので、許される範囲で少し具体的に説明したいと思うわけでございます。  この五億円の授受の時期の確定のためには、金丸議員生原秘書渡邉被告人、各関係者の行動記録、例えば使用車両の行動記録、あるいは平成二年一月に会った人物の取り調べ、裏づけ、会合出席記録とその裏づけ、その他の物証、関係者捜査等を行っておるわけでございまして、また原資の裏づけにつきましても同様、いろいろな角度から慎重な捜査を行っていると承知しているわけでございます。  それ以上の詳細につきましては、これはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  63. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私が非常に疑問に思いましたのは、一体この金はどういう性格とどういう位置、いつお金が授受されたものか、いわゆる確約をされたものなのかということが非常に不明だったのです。金丸さんの証言によりまして、いや、それは参議院の前かあるいは衆議院の前かわからない、こう言っているのですよ。本人でなければわからないですね。しかも、起訴事実の中にはこの問題に対する内容が出てこない。略式な手続でありますから、私ども、上申書内容について知ることはできないのです。まあ一部は私ども拝見をいたしましたけれども、その全文の、上申書提出したと言われる内容については、私どもも承知をしておりません。金丸さんは、その上申書は、確かに政治団体寄附した、こう言っているわけでありますから、政治団体で受け入れた、こう言っているわけでありますから、恐らく上申書にはそう書こうとしたのではないでしょうか。ところが、九月の二十三日に地検の方からその上申書では困ると言われて、九月の二十五日、上申書の書き直しが行われたんじゃないですか。もし上申書が、前に言う、生原さんが言うような形で、それは政治献金です、金丸さんが証言するようなお金です、こういうことになれば、これはそのとおり上申書として提出をされてこなけりゃならぬですね。そういうこと、いわばその事実がわからない限り、この問題の最終的な国民の疑問、いわゆる略式裁判で二十万円でいいのかという問題に対する答えが出てこないんですよ。  私は、新潟知事選挙に関連をして、一体、五億円の金が新潟知事選挙のときにももし約束をされたとするならば、明らかに候補者の調整工作の中で金丸氏に約束したお金ではないか、こう思います。そうではない、平成二年の一月の十六日に受理したものだとすれば、これは明らかに公職選挙違反の問題として起訴されていかなければならない事実関係ではなかったか、こういうふうに認識をいたします。これは少しくお互いに議論のある、論争のかみ合わない点でもありますから、やがて同僚議員がさらに突っ込んだこの点の質問はいたしたい、かように思っております。  次に、竹下元総理と佐川との関係。大変広範にわたって、竹下さんは佐川急便とのかかわり合いを持ちました。特に渡邉被告との関係は、各所に、随所に出てくるわけであります。  そこで、これは大蔵省、お聞きをしますが、今度の渡邉被告に対する冒頭陳述で、かねてから交際のあった政治家が右翼団体云々と、こうあります。私は、かねてから親交のあった政治家、まあだれでも会社の人に対してお互いに友人関係を持つことはあるでしょう。しかし、佐川の渡邉社長と竹下元総理とのかねてからの親交というのはそんな易しいものではない。  佐川急便がかつて大きな脱税事件を起こしました。これは昭和四十九年の脱税、それから昭和六十年の脱税事件があります。昭和四十九年のときに、どういう脱税で、最終的にはどういう結果を、量刑を得ましたか。大蔵省、答弁していただきたいと思います。
  64. 瀧川哲男

    ○瀧川政府委員 佐川急便グループで、刑事裁判となったものについてお答え申し上げます。  まず、佐川急便グループのうち、九州佐川急便株式会社について福岡国税局が、それから株式会社佐川急便につきまして高松国税局が、それから佐川急便株式会社及び大阪佐川急便株式会社について大阪国税局が、それから東京佐川急便株式会社、これは元渡辺運輸株式会社です、について東京国税局が、それぞれ法人税法違反の疑いにより、国税犯則取締法に基づいて強制調査を行いまして、昭和五十二年でございます、四十九年とおっしゃいましたが、昭和五十二年にそれぞれ告発いたしまして、いずれも有罪が確定しております。また、その後、昭和六十一年になりますけれども、佐川印刷株式会社という関連会社がございます。これにつきまして大阪国税局が、同じく法人税法違反の疑いによりまして、同様に強制調査を行いまして告発し、これも有罪が確定しております心
  65. 加藤万吉

    加藤(万)委員 六十年の量刑は、どういう量刑だったのですか。
  66. 瀧川哲男

    ○瀧川政府委員 お待ちください。量刑ですか。判決の内容てございますか。――昭和五十二年に告発した五社のうち、大阪地方裁判所に起訴された四社に罰金合計一億六百万円、佐川清に懲役二年、執行猶予二年、境保に懲役一年二月、執行猶予二年、梅木清に懲役十カ月、執行猶予二年、小森英太郎に懲役一年二月、執行猶予二年、それから東京地方裁判所に起訴された一社にも罰金三千二百万円、渡邉廣康に懲役一年六カ月、執行猶予三年でございます。それから、昭和六十一年に告発して京都地方裁判所に起訴された佐川印刷につきましては、罰金計五千万円でございます。
  67. 加藤万吉

    加藤(万)委員 今お聞きのように、昭和五十二年度における事件では懲役刑を受けているわけです、懲役刑も執行猶予がついていますが。昭和六十年度の段階では、今度は刑がついていませんね。罰金だけです。罰金だけですね。追徴あるいは重加算税等は納めているようでありますが、内容的には本人は受けていない。そのときの大蔵大臣は竹下大蔵大臣ですね。当時政界の方は、御案内のように田中角栄さんが倒れるという、そういう時代でございました。そして、創政会が旗上げをするというときでございました。六十年度の、この国税庁の全国八国税局を総動員をして脱税を調べた、その内容にもかかわらず、このときの量刑がないわけです。一説には、当時、青木伊平という秘書官がこの佐川脱税問題を抑え込むために、あるいは量刑にしないために奔走したという話を聞いております。そして、成功報酬として相当の資金が竹下側に流れておるのではないかと言われているわけであります。私は、竹下さんと佐川急便とはこんな関係でつながっていくのかなというふうに実は思っているのであります。  これは過日の当委員会でも、佐川急便が大変企業的な危機に陥りまして、その危機を救うために四者会談が行われたと言われています。渡邉さんとそれから金丸さん、竹下さん、さらには渡辺郵政大臣がこれに参加をして、六月の十三日に行われたと言われています。さらに、六月の十六日に渡邉社長と今度は竹下さんが単独で会っています。証言によれば、そのときには私はサポートしただけですよという竹下さんの証言でございました。しかし、どうでしょうか。元総理、元副総裁がこの佐川という一会社の再建に二度も会うということは不自然じゃありませんか。十三日に会って、さらに十六日に竹下元大蔵大臣がその再建のために会議に参加をするというのは極めて不自然と言わなければならないと思うのです。どうも証人証言に、内容に間違いがあるのではないか、ないしはそれ以上に踏み込んだことに対する質問に対しては答えていない、こんな感じを強く持ちます。「かねて親交のあった政治家」とはこういう関係の親交と見るべきだと私は冒頭陳述から拝聴するわけであります。  さて問題は、こういう中で皇民党事件が起きてくるのであります。そのほか、竹下さんにまつわるさまざまな疑惑の事件は枚挙にいとまがないほどであります。例えば平和相互銀行もそうでしょう。平和相互銀行といえば、金びょうぶ問題がございました。四十億円の金びょうぶが当時の平和相互銀行実権派に売り渡される経過を含めて、政治資金としてキックバックをやったのではないか、それに青木伊平がかかわったのではないかという実は問題であります。  この問題、私は奇異に感じたのでありますが、せんだっての金丸さんの証言の中に金びょうぶ問題が出てくるのですね。なぜあのときに、関係のない質問の中に、金丸さんがびょうぶのあの件について、竹下君に見せろ見せろとこう言ったがなかなか見せないとかいう話が出てくるのでしょうか。あるいは五億円の授受の際に、私の生原に対して再び青木伊平のようなことになってはいけないので、こういうような話がなぜ出てくるのか、率直に言って不思議であります。いずれにしましても、竹下さんと佐川急便との関係はこういう親交の中にあったということだけは事実として私は認めざるを得ないと思います。  さて、そういう中で皇民党事件が発生をいたしました。焦点であります九月末の金丸さんと渡邉社長との日商岩井のレストランにおける会談が一体何を指したのか。そして、十月の五日にどういう形でこの問題が議論をされたのか。それぞれ証人は、この場では否認をしています。  さて、今度の証言をずっと見ておりまして、一体、十月の五日の会談では皇民党問題が出なかったのだろうか、私は大変疑問を持ちます。例えば金丸証言によりますと、十月の五日の会談の内容については、本人は、おれは少しく酒が強いのでということで、内容について、皇民党問題が出たか否かについては言及をしておりません。ところが、それよりも前に金丸氏は、この問題については中尾君と青木伊平君が奔走しておったんだろう、さまざま動いておったんだろうということを証言をいたしています。  また、我が党の伊東議員が現場に参りまして、拘置所に参りましていろいろ渡邉証人に対する尋問を行いました。その際に、こう言っているのであります。伊東議員は、この際にお聞きをするということで、日商岩井ビルで渡邉金丸会談が持たれました。このときあなた――いや、ごめんなさい、十月の五日です、十月の五日の会談に、あなたはその席におられましたかという質問に対しまして、この席にその話は、その質問は、「ただいまの質問の、やはり皇民党の問題だと思いますが、」と答えて証言を拒否しています。伊東議員は、十月の五日、東京プリンスホテルで会ったと竹下さんは証言をしているがということだけを聞いただけであります。ところが、渡邉証言は直ちにそれを補佐人と相談をして、ただいまの質問はやはり皇民党との問題と関係があるので証言を拒否しますと、こう言っているのです。意識の中に、皇民党問題をそのときに話をしたということがこの証言からうかがわれるのではないでしょうか。  そうなりますと、この席上で竹下証人が言った、丁寧な言葉で話があり、話を聞きながら街頭宣伝活動の問題とかかわり合いがあるのではないかという印象を抱いたのは事実だ、それだと、条件だからそれを、その務めを果たしたというわけにはまいらないというので、心の中の葛藤があったとこの席で証言をいたしました。  前段の金丸さんの証言では、青木伊平と中尾がこの問題について盛んにやっていただろう。後段の拘置所における渡邉発言で、単にそういう話がありましたがという質問に対して、皇民党についての話ですから証言を拒否します、この二つの間を点で結んでまいりますと、十月の五日の会合にも明らかに皇民党問題が話題に出、そして田中邸訪問という問題が話題に出たことは間違いないと私は断ぜざるを得ない。  委員長、私は、証人尋問の結果、こういう疑問、さらにそういう問題が、断定してもいいくらいの両立するべき質問があったわけですから、ぜひ竹下氏をいま一度当委員会証人として喚問する必要がある、かように思いますが、ぜひ取り計らいについて御協議をいただきたい、かように思います。
  68. 高鳥修

    高鳥委員長 理事会で協議いたします。
  69. 加藤万吉

    加藤(万)委員 これは総理にお聞きをしておきたいと思うのですが、六十三年の十二月の二十三日に金丸さんは石井進稲川会会長と会食をされました。これも証言で明らかであります。「まあこれは私の性格で、暴力団と話し合いをした。一年くらいたった後だと思うのですが、」と答えております。金丸さんは、私は義理人情に非常にかたい男だ、そういう意味では、今まで厄介になった方にそういう会談を持つ、いわゆる暴力団と会うことも、いいとは言っていませんが、やむを得ないことではないか、私はそういう性格なんだからということをおっしゃっているわけであります。そういう政治哲学という言葉はどうかと思いますが、思っている、こう言っていますね。  どうでしょう、総理。仮にさまざまな条件があろうとも、義理人情という社会、まあ下町でいう義理人情とは違ったあの世界の、あの世界なりの義理人情という問題があるわけですね。それと私は下町でいう義理人情とは違う資質のものだというふうに思えるのです。もし総理でしたら、この場合に、私はあれに義理があるから暴力団と一緒に会食をします、こんなことがあり得るでしょうか。総理の見解をお聞きしておきたいと思います。
  70. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 金丸証言について判断をするしか方法がございませんが、御本人自身、個人としての人生哲学を述べられましたが、しかし、自分のしたことは適当なことではなかった、政治家としては適当なことではなかったと言っておられるように私読みましたし、また御本人は、そのことをその後の行動によって表明されたものと思います。
  71. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私は、もし宮澤総理だったらどうされますかということをお聞きをしているのです。金丸さんはそういう態度をおとりになったと証言でも言っておりますが、総理だったらどうされますか。
  72. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 金丸さんは、政治家としての立場からいえば、自分のしたことは適当でなかったと言っておられたとたしか記憶いたしますが、私もその金丸さんの御判断に同意であります。
  73. 加藤万吉

    加藤(万)委員 右翼とのかかわり合い、暴力団のかかわり合いを知ったのは、竹下総理は六十三年の暮れ、こう言っております。私どもは、当然のことでありますが、十月の五日の会談の際には既にそういう状況を知って渡邉から石井に頼み、石井から荒虎千本組の組長に頼み、それがさらに稲本に通じていった、こう見ているわけですが、しかし、六十三年の仮に十二月に本人が知ったとしても、当時総理大臣であります。私は、当時の総理として結果的な責任は問われなければならない位置にあったと思うのです。  奥田大臣ね、十一月の二十七日にあなたは記者会見をされていますね。その際に、今度の問題について、国民的な批判について、あなたどう思いますか、金丸さんの問題についてどう思いますか、こう言いましたら、ようやくに解ける問題ではないだろう、結果としての問題は残るなあ、こういう発言をされています。結果として残るということは一体どういうことですか。そのときの心境をお聞かせいただきたいと思うのです。
  74. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 どうも私は社会人としてのスタートが新聞記者でございまして、やはりすぐ評論家的、新聞記者的形の発言をして問題を醸し出して御迷惑をかけておるわけでありますが、私は、竹下証言についての感想を求められたときに、淡々と冷静に真実を話しておられたと思う。それに対して記者側から、じゃ、これであなたは国民の疑惑というのがすっきりしたと思うのかという質問が出たように聞きました。それに対して私は、今回の証言で真実を吐露されたと思うけれども、国民の疑惑が、いわゆる褒め殺しに関して暴力団介在があったかなかったかというこの疑惑、不信が一件落着という形で果たしていくものだろうかな、大変心配しているという意味のことを発言したような記憶がございます。したがって、この竹下証言は、真実を語られたとしても、国民のこれに対する不信、疑惑がこれによって完全解消されたとは、私はそういう見方はできないのじゃなかろうかなという気持ちを話したわけでございます。  今後の推移に関しては、私にとっては長い間私の兄貴のように指導していただいた元総理であるがゆえに大変心配しておる、そういう楽観したものではなかろうという心情を述べたわけでありますけれども、そっちの前段の形だけをとらえられて、一部、小さい記事ではございましたけれども、報道されたということでございます。
  75. 加藤万吉

    加藤(万)委員 総理、先ほど金丸さんと石井進稲川会会長との食事の問題について、あるべき姿ではないというお話をいただきました。さて、こういう状況の中で竹下元総理は、六十三年の暮れに暴力団とのかかわり合いは知った、こう言っているわけであります。私は、大変出処進退についてお考えになったのではないか。もし宮澤総理だとするならば、この時期に、私の総裁選、総理の誕生に当たっては暴力団がかかわり合いを持っていたのか、そういうことを認識したときの心境は恐らく極めて複雑ではないか、こう思うのです。  私は、先ほどからも申し上げておりますように、十月の五日の会談を経、そして十月の六日、田中邸に赴き、その足で中曽根邸に赴いたという、総理にお会いしたという竹下証言でありますが、この時期にはもう既に知っていたということは前後の事情をあわせて間違いがないというふうに思いますが、仮に今言いましたように、事後でそのことを知ったとしても、それは事後責任を問われるべき性格のものではないか、政治的な問題ではないか、かように思いますが、総理はこの点についてはどうお考えになりますか。
  76. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 この問題につきましては、当委員会におきまして、先週以来、竹下元総理も証人としてお出になりまして、各委員との間で国会の御調査が行われました。また、今、それにつきましてこうやって御調査をなさっていらっしゃる、そういうこの時点でございますから、行政府の長としての私の意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。     ―――――――――――――
  77. 高鳥修

    高鳥委員長 加藤さん、ちょっと済みません。  質疑の途中ではありますが、ただいまシェイク・ラザック・アリ・バングラデシュ人民共和国国民議会議長御一行が本委員会の傍聴にお見えになって、後ろの席にお見えになっておられます。歓迎の拍手をお願いいたします。     〔拍手〕     ―――――――――――――
  78. 高鳥修

    高鳥委員長 それじゃ、どうぞ加藤さんお続けください。
  79. 加藤万吉

    加藤(万)委員 バングラデシュの代表がお見えになった席で、我が国の首班指名、総理の誕生が右翼とやくざがかかわり合いを持ち、やくざが介在をしてという議論をするのは、率直に言って恥ずかしいと思いますよ。――今、認識が違うというお話もございましたが、従来の経過を見てまいりますれば、明らかに総理誕生に対して右翼とやくざが介在をし、そしてやくざがその仲を取り持ち、結果的に総理誕生に向かっていくというプロセスは否定のしようがないじゃありませんか。非常に残念なことだと私は思います。  そこで、これはきょう急な話でございますが、総理官邸で右翼の団体が、あるいは代表が総理とお会いになったということはございましょうか。もしわからなければ後で調査をしていただいても結構ですが、いかがでしょうか。
  80. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 歴代という意味でございますね。ちょっと御質問の御趣旨をそれでは後ほど政府委員が伺いまして、調べられるだけのことを調査いたします。
  81. 加藤万吉

    加藤(万)委員 竹下総理が就任をした、総理に就任をいたしまして二週間後に大東塾の代表と総理官邸でお会いになっているんですね。これは藤尾元文部大臣の紹介でお会いになったということです。私は、本来警戒の対象にあるべき右翼団体とこのような形で総理官邸で総理がお会いになるということはよいことではないと思いますよ。そういう関係が右翼の介在を余計この問題に色濃く反映してきたのではないでしょうか。  国家公安委員長として塩川大臣にお聞きをいたしますが、今度の褒め殺し事件は、いわば竹下さんだけではなくして、森政調会長にもありました。一体、こういう形で行われる街頭宣伝活動、どのような取り締まり、どのような対応というものが今の状況の中で考えられていくんでしょうか。国家公安委員長として御答弁いただきたいと思います
  82. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 そういう街頭宣伝に対しましては、御承知のように、静穏保持法でございますとか暴騒音取り締まり条例というようなものがございまして、それに基づくところの規制と取り締まりを行っておるところであります。
  83. 加藤万吉

    加藤(万)委員 やくざの介在に対しては、今厳しく国民があらゆる分野でその暴力追放のために対応しているわけです。今度の皇民党事件の背景には、やくざ組織との関係があったことはもう今までの経過でも明らかであります。でありますから、右翼の暴音という活動に対して、単に右翼団体の騒音取り締まりという関係だけではなくして、当然背景にあるやくざ組織、暴力団関係との関係というものも当然考慮しなければならないと私は思うんです。  どうでしょう、塩川大臣、この右翼の単なる取り締まり、騒音取り締まりだけではなくして、右翼とやくざとの関係を、どこでどういう形で治安として対応するのか、御意見ございますか。
  84. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 実際問題といたしまして、右翼と暴力団とどこで境界を引くかということの線引きはなかなか難しいと思うのでありますけれども、一応の現象的な面を見てまいりますと、右翼団体と規定されておる、少なくとも右翼として見ておりますものは、国家主義なりあるいは民族主義という一つの政治的な主張を出しましてそれを世間にアピールしておるという、こういう行動をしておるものを一応右翼とし、そしてただ暴力のみによって自分の私利私欲を他人に強要して、自分の利益を図っておるというのを暴力団体、暴力団、こういうふうに見て対処しておるところであります。
  85. 加藤万吉

    加藤(万)委員 今度の皇民党事件にかかわる石井の介在については、稲本総裁とそして会津小鉄の関係を含めて石井とのつながりが極めて強いことはもう御指摘があったとおりであります。しかも、稲本総裁は元山口組の中でつながっていたという人脈があるわけであります。一説には兄弟分の杯を交わした会津小鉄の諸君を通してという話もあるわけであります。こういうことになってまいりますと、右翼の取り締まり、騒音の取り締まりは即政治的にはあるいは暴力団との関係というものを抜きにしては語ることができないというように私は思うんです。  さて、時間が参りましたから最後の質問に入りますが、金丸副総裁がおやめになりました。そして衆議院を辞任をされました。その際に出しました地元の有権者に対する文書があります。少しく読んでみますと、「又、暴力団との関わりについては、右翼の宣伝カーがその威力をかりて、時の総裁選に介入しようとすること、又、それ以上に、陰でそれをやらせている勢力があることこそ重大な問題であり、関係者が、理不尽な行為を排除しようとした結果が、このような事態になった次第です。」こう書いてあります。  右翼の宣伝カーによる妨害もさることながら、陰でそれをやらせている勢力があることは重大な問題である、こう言っています。一体陰の勢力とは何を指しているのでしょうか。  私は今までの経過を振り返ってみますと、この陰でやらしているというのは時の、例えば田中角栄元首相に対して皇民党が掲げているような事態、その反対側の人かなとも思われます。あるいは、先ほど私は脱税問題で佐川急便との関係を申し上げましたが、そのほか平和相互銀行あるいはイトマン事件などを背景に持った勢力がこの陰の勢力だろうかな、こうも考えてみました。しかし、よく考えてみると、この陰の勢力とは実は竹下氏自身ではなかったかと実は思っているのであります。なぜならば、そういう状況を生み出した、いわゆる右翼が政治家の弱点をとらえてそういうことを展開でき得る状況を生み出したところに竹下氏が陰の勢力におびえたという原因があるのではないか、かように実は思っているわけであります。といたしますと、この陰の勢力というものを今私たちは政治家としてきっちりと、その位置をしっかりと改革をしなければならない。すなわち、政治に金がかかるという問題から発展する事態というものを何としてでも改革をしなければならない、こんな気がしてなりません。  総理、お伺いをいたしたいと思うんですが、どうでしょう、私は今度のこの事件を、一連のものを通しまして、陰の勢力とは政治に金がかかるという状況をつくり上げているその金と企業との癒着、政治家との癒着、その構造にあるというようにも思いますが、いかがでしょうか。
  86. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 ただいまのお尋ねを、このたびの事件あるいはここしばらくの一連事件の背景をどう考えるか、政治的社会的な背景をどう考えるかという意味のお尋ねとしてお答えをいたしますが、やはり問われているものは政治家一人一人の倫理の問題であり、そしてまた政治家と金の問題あるいは政治家のあり方、姿勢の問題等々であると思います。そして、それらの問題を抜本的に改めるためになされなければならないもろもろの制度の改革、それが今日なお言われながら十分に行われていないというそういう事実、そのようなことに対しての国民の強い批判があることはよく承知をしておるところでございますが、やはりそういったようなことがこのたびのような、あるいは先般来一連の政治に対する国民の不信を生んだ根本的な原因であるという意味におきまして、御指摘の点は私も同様に考えます。
  87. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私は、今総理がおっしゃったさまざまな政治改革の論点もそうですが、それ以上に、それ以前に問題の、いわゆる日本の保守政治のあり方そのものを改革をしなければならないのではないか、実はそう思っているのです。保守政治というものが、一方では右翼との関係を持ち、一方では資金的な需要にこたえるための企業との癒着の関係を持ち、一方ではその弱点を持つがゆえに起きるさまざまな条件、すなわち保守政治そのもの、体質そのものを変えなければもはや政治改革への道がない、こう見てよろしいんじゃないでしょうか。私は、総理がこの際思い切ってそこまで踏み切る決意を示されなければ、私は政権の、日本の政治のあり方というものについて大変憂うる条件が生まれてくるのではないかとさえ実は思うのですが、いかがでしょうか。
  88. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 いわゆる保守政治ということをおっしゃいましたが、保守政治と言われるものには保守政治の政治哲学がございます。そのことについての御批判ではなかろうと思いますが、一つの政権が長いこと、非常に長いこと続いてきたということはそれなりの弊害を生みやすいことは事実でございます。それであればこそなおさらにそのような間違いが起こりませんような一人一人の倫理の問題、あるいはそれを担保する制度の改革の問題等が非常に緊急の必要性を持っているというふうに考えております。
  89. 加藤万吉

    加藤(万)委員 最後に申し上げておきたいと思います。  今度のこの佐川急便事件と言われる政界に波及した問題は、今までのリクルート、さかのぼって言えばロッキード事件、そして証券、そして共和と続く一連事件であります。いずれも、長い年月をかけて、政治改革を行うべきだという主張をしながらもなお解決を見ない問題であります。私は、かつて三木総理がロッキード事件に示された対応は、当時の政治状況としては一定の政治改革の前進を求めた、こう思っています。ところが総理、今度の事件が起きまして以来、総理のサイドからこの問題はそれではこう対処しようという、いわば国民に向けての指導性というものが見えてまいりません。  例えば、先ほど自民党の諸君が自民党内において調査会を設けていろいろ検討している、こうおっしゃいました。しかしそれは身内の中の検討だけでありまして、外に向かって佐川事件がこういう状況、背景を持っているという調査までは及んでいないというふうに私はお聞きをいたしました。  とするならば、総理が、まさに議会制度、政治というもののがけっ縁に立っているという意味も込めて、国民的な指導性、アピールをなさるべきではないか。でなければ、それは宮澤政権を維持するための党内的な協調としか国民の目の前には映ってこない。私は、この際、総理が思い切っていわゆる国民的な批判にこたえる本件究明のための態度を表明をすべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  90. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 この問題につきましては、当院におきましても今日に至りますまで事態の解明について国政調査を行っておられますことはよく承知をいたしております。また、政府といたしましては、関係当局がそれぞれ捜査、調査をいたしておりますし、また一部は裁判所において公判係属中でございます。  行政の責任者としての私に課せられました一つの責任は、本件についての行政の立場からの調査、捜査が何ら外からの妨害なく、文字どおり公平に、また法令に従いまして徹底的に行われるということを確保しなければならない。これについて、いかなる意味でも、消極的にも積極的にも干渉をしてはならないということが行政府の長としての私に課された務めであるというふうに思っております。  なお、党内の問題につきましては、先般も申し上げましたが、私どもの党内において、党員の倫理としての問題としてこれにつきましてのいろいろな調査あるいは事実関係を解明するようにということは、私から執行部に既に申してあるところでございます。  なお、最後に、しかしながら、いずれにしても、先ほどから御指摘のように、抜本的な政治改革というものがどうしてもこの際なされなければ国民の信頼をもう一度回復することはできない、難しいと思いますので、それにつきましては、私としては、所信表明で申しましたように、不退転の決意で取り組みたいと考えております。
  91. 加藤万吉

    加藤(万)委員 あと二、三分ありますから、この際、議員の皆さんにぜひ検討していただきたい問題がございます。  それは、今回の証人喚問に当たりまして、拘置中の被告人に対する証人尋問についてであります。  これは、今回、拘置中の証人について尋問をするという道を開いたことは国政史上画期的なことだろうと私は高く評価をしたいと思っているのであります。ところが、現実に対応して見ますと、三権分立という中で、極めて立法府と司法との関係で難しい壁に幾つかぶち当たりました。  例えば、証人が留置をされているという中で、制限をされる司法の立場との問題であります。例えば立法府が求める調査活動に、補佐人を加えて、司法の側から一定の制限が生まれてまいります。一体この制限の調整というものはどこで行うべきでしょうか、これが一つ残りました。  被告人の供述について補佐人が極めて厳しく制限をいたします、拒否のアピールを行います。しかし、国政調査権というものと、その被告人の拒否権というものがどこでまた調和されるべきかという課題も残しました。  証人の定められた時間との関係であります、質問の時間との関係であります。これは、今回はありませんでしたが、もし金丸証人が、仮に臨床における段階でドクターストップがかかったときどうすべきかという問題も残りました。しかしこれは、拘置所内において仮に証人と、そして我々質問する、尋問する側との間で、もし時間的な経過を待たなければならないという事態が起きたときに、一体証言の時間はどう確保する、証人に対する尋問の時間はどう確保されるべきかという問題も残りました。  さらに、証人喚問に対する指揮についてであります。  拘置所内における質問あるいはやりとりでありますから、だれか裁判官のような方がいなければなかなか指揮ができないという、今回は予算委員長がおやりになったわけでありますが、この予算委員長がやるということは、いわば衆議院の側からの指揮であります。もしそれに対する拒否があった場合に、だれがその指揮が、妥当な指揮ができるのかということは、これまた問題として残ったところであります。ぜひこれは、私は現地に立ち会っておりませんから、もうより以上詳しいことは申し述べることはできませんが、私が考えてみただけでもこのような幾つか、いわゆる拘置中の被告に対する尋問の中で今後考えていかなければならないという課題を残したことは事実であります。  これは委員長、お願いします。ぜひ院内に、初めて先鞭を開いたことでもありますから、今後こうあるべきという姿について、ぜひ委員長から院に対して申し出をしていただいて、検討する委員会を、機関を、何らかの形での機関をつくっていただきたい、かように思いますが、いかがでしょうか。
  92. 高鳥修

    高鳥委員長 ただいまの御意見につきましては、十分理事会で相談して善処したいと存じます。
  93. 加藤万吉

    加藤(万)委員 以上で終わります。
  94. 高鳥修

    高鳥委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  95. 高鳥修

    高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  この際、楢崎弥之助君から関連質疑の申し出があります。加藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。楢崎弥之助君。
  96. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これまでの佐川スキャンダルの証人喚問なりあるいは審議を聞いておりまして、ちょっと私は錯覚を抱きそうになったのは、国会というところは司法と違って、真相を解明する、そして政治家としての政治的道義的責任を明らかにしながら、再発防止をいかにするか、これが国会の任務であって、決して犯人なり罪人をつくるところではない。ところが、質疑応答を聞いておりまして、法に触れなかったら差し支えないんだという、どうもそういう、これは私だけの印象かもしれませんが、そういう感じがしてしようがないのです。  私は、ロッキード事件のときの筆頭理事も務めました。あのときに灰色高官という言葉が初めて出てきました。つまり、法律的には問題がなくても、政治家としては一般の方々よりも責任が重いんだ、それが政治的道義的責任。じゃ、その基準は一体何か、ロッキード事件のときにいろいろ論議をして、そして三木内閣の手によってその基準が明らかにされました。それは、具体的に、金銭の授受はあったけれども職務権限がなかった、それでいわゆる犯罪の構成要件も満たさなかった。もう一つは、犯罪の構成要件は満たしておったけれども時効にかかっておった。その二つをあのときはたしか私は灰色高官の基準だとして、このように学んだのであります。  したがって私は、一定の段階になったら、まだ捜査中ということでございますから、そういう意味でいわゆる政治的道義的責任のある議員、ただいま申し上げたロッキードのときの基準に適合する政治家がはっきりすれば、ロッキードのときのように公表をされる御意思がおありかどうか、まず総理にそれをお伺いしておきます。
  97. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 お尋ねの意味が必ずしもはっきりいたしませんが、ロッキードのときのことに御言及がございました。私の記憶では、いわゆる灰色高官というものについての御議論がこの委員会でいろいろございまして、楢崎委員の言われますように、法律的な問題であれば、これは物差しというものは法律で明らかでございますが、倫理とか道義とか政治的とかいうことになれば、その物差しというのは客観的には明らかではない。だれかが決めなければならない。本当を言えば、倫理というようなものはおのおの人間が自分で自分の倫理を持つべきものでございましょうけれども、いずれにしても、しかし政治的道義的というようなことを言おうとすれば、その基準をどうするかということはその目的のために決めなければならないということにならざるを得ず、あのときもいろいろ御議論がありまして、たしか私の記憶では、結局委員会委員長が御発言になって、こういうものについてこれを灰色と呼ぼう、そういう御決定がありまして、そしてその後、たしか秘密会のようなところで、仮にこういうふうに言葉を決めたらどういう人がそれに該当するかということについて法務当局にお尋ねがあって、それでその秘密会で、そういう基準であればこれこれというお話になったのではなかったかと、こういう記憶をいたしております。
  98. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あれは昭和五十一年二月四日、太平洋を渡ってSECから来たわけですね。総理はお覚えでしょうが、その三カ月前、昭和五十年十月二十三日、予算委員会で私は既にそのことを当時の外務大臣にお伺いしているはずです。そのときは、アメリカの上院の銀行委員会、プロキシマイヤー委員長委員会、ここにそのときのホートンというロッキードの会長が証人として呼ばれている。そして、世界各国売り込みについてわいろが、上乗せがある、日本も例外ではないと。そのとき私は議事録を持っておりました。しかし、外務大臣に、政府から出していただいた方が権威があるからお願いした。お覚えだと思います。政府から少し時間がたって参りました。だから、あのときは非常にみんな真剣にやりました。今も真剣でございましょうけれども、あのときの三木内閣というのは、やはり私が見た限りでは非常に真剣だった感じがいたします。  で、証人喚問、テレビがとまったまんまである。大変国民の皆さんがそれに対して不満を言っておられます。ちょうど竹下さんの喚問された夜、私の宿舎に、その明くる日の朝早くもそうです、心理学者という人が、名前もわかっております、電話をかけてこられた。テレビ、映像が映らない。しかし、私どもは声を聞いておってよくわかります。あの竹下さんの宣言のところは、言葉は、あれはうそはありません。それはそうでしょう、宣言ですから。質疑応答に入った途端、声が変わりました。うそ発見器にかけるならば全部うそです。私の専門的な知識を電話で長々言えませんけれども、そうです。ただ、あの質疑応答の中で一カ所だけ本当のことを言われました。その声は、いや、私は竹ちゃんとは呼ばれない、竹さんと呼ばれます、あのくだりの声は本当の声だそうです。まず、そういうことを御披露をいたしておきたいと思います。  渡辺副総理に毎度お伺いして申しわけないんですけれども、どうもひっかかるものがあるものですからね。  昭和六十四年の四月一日、あなたは埼玉県の川口市市民会館で講演をなさいました。ちょうどリクルート事件、さなかであります。そこで、リクルート事件をきっかけとした政治不信の声が、やはり今と同じように国民の間で高まった。あなたはこう言われた。数ある自民党議員の中には、汚職事件があるのも仕方がない、時々大掃除をしたらいい、野党は番犬と同じだ、時々ほえてもらわないといけないが、ほえるだけでは困る。これ、どういう意味ですか、番犬とは。
  99. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 言ったかもしらぬし言わなかったかもしらぬし、よく記憶にありませんが、一介の野人政治家としてあるいは言ったと言われれば言ったのかなという程度で、余り品のいい発言じゃないので、もっと上手な言い回しがあったものをと、今になれば反省をいたしております。
  100. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あなた、一言多いんですよね、失礼ながら。本当に多いんですよ。  昭和六十一年の三月には、我が福岡県に来て例のも針論をやられました。野党支持者に、投票する人は毛針にかかる魚、知能指数が高くない。こんなばかにした話がありますか。  次はあれでしょう、六十三年二月、大阪市の街頭演説。中国の山西省あたりには、まだ穴を掘ってその中に住んでいる人がいっぱいいる、これは政治がよくないことと関係があると発言されて、あなたは陳謝をされました。  次は六十三年七月、自民党の軽井沢のセミナーです。ここでは、日本人は破産というと夜逃げとか一家心中とか重大に考えるが、向こう、つまり米国では黒人とかがいて、破産したら何も払わなくていいとアッケラカのカーだ。そこで黒人の議員連盟から抗議が来ましたね。あなたは陳謝されました。  ことしの春は、あなたの書かれた国会議員七十歳定年論。永年議員の場合は六十五歳定年。あなたはもう大体定年しておかなきゃいかぬ。だから、政治家というのはできもせぬことを言わぬことですよ。それが毛針というのですよ。私は、あなたがこれからの、ひょっとしたら、ひょっとしたら総理になられるかもしれぬから、やはり注意をされた方がいい。  そこで、まあこれは、私は小沢さんのような失礼なことはしませんけれども、口頭試問はしません。もし総理たる者が、知る時期はいつであっても、自分の政権誕生に暴力団が介在したということがはっきりしたならば、あなただったらどう責任とられますか。
  101. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 余りにも大胆な仮定な問題については、お答えできません。
  102. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 総理大臣になられたときは大変ですな。  私は、今回の佐川スキャンダルについて真相を解明するに当たり、非常に残念なことがございます。それは、これから私が一人一人触れていく人物でございますけれども、事件の節目節目にとって解明のために重要なキーマンとなる人がおられますが、その人たちが物故者になっておるということです。例えば竹下氏元秘書の青木伊平さん、六十四年四月二十六日死亡。皇民党前総裁稲本虎翁氏、これは去年の四月死亡。元衆議院議員、鹿児島二区ですが、四十七年に一期だけ出られた中尾宏、これはことしの七月死亡。それから長谷川信参議院議員さん、これは九〇年の十月死亡。元稲川会会長石井進氏、九一年九月死亡。元一和会常任顧問白神英雄氏、八七年二月二日死亡。仁義社の社長安藤三蔵氏、八五年九月死亡。全部私が今から取り上げていく中へ出てくる人物であります。事件関係者は、死人に口なしということで胸をなでおろされておるかもしれませんが、どっこいそうはいかないのであります。現場を目撃した人、現場を証言し得る人、あるいは現場の写真、そういうものが残っておる可能性があります。  私は、宮澤総理は、かつてホテルで暴漢に襲われましたね、しかも刃物を持った、密室で。大胆に抵抗された。大変勇気のある方だなと私はそのとき思いました。それに比べて、まあその当時は名もない、たかが一田舎の右翼と称する人から街頭宣伝されて、褒め殺しですか、それで何であんなにおびえられるのか不思議に思われませんか。私は、もうこれは聞きませんけれども、宮澤総理だったら不思議に思われると思いますよ、別に命の心配もないんだから。なぜなのか。私は、この佐川スキャンダルの中心点はそこにある、このように思っておるわけであります。  それで、この前の証人喚問を聞いておりました。何におびえたのか、いろいろな人が聞かれました。しかし、これは本人の心のうちの問題ですから、本人が語る以外にないんでしょう。竹下さんはこう言われました、永遠に突きとめることができない問題だと思う。そうかもしれません。  しかし、客観的に表に出たら困る内容、これはいろいろあるでしょう。例えば金銭にまつわるスキャンダル、あるいは女性問題その他プライバシーにかかわるスキャンダル、三番目に、公になったら総裁指名を受け得ない客観的な事実が明らかになったとき、こういう三つが考えられますけれども、今回竹下さんが最もおびえ、恐れたのは、私は、これは推測になりますが、三ではなかろうか。あることが公になったら総理・総裁の指名を受け得ない、そういう事柄を押さえられておったのではないか。  それで、小渕恵三さんは、十一月一日の午前の民放テレビに出演をされて、竹下元首相の証人喚問問題に関連をして、皇民党事件の原因まで解明できれば実態が明らかになり、国民に姿が鮮明になる、こう述べられました。私も全く同感であります。つまり、褒め殺し街宣の原因や背景の解明が同時に行われるべきであると小渕さんは訴えられたはずです。  総理は、どうすればその原因や解明が同時に行われ得るとお考えでしょうか。
  103. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 政府におきましては、いやしくも犯罪等々の疑いがあるものにつきましては、おのおの司直の手によって捜査、調査をいたしておりますし、また既に公判に付したものもございます。これは行政府としての任務でございますが、また国会におかれましては、当委員会がそうでありますように、この真相究明についていろいろ国政の調査をしていらっしゃる、こういう中から真相というものが明らかになってまいるというのが民主主義のいわば機能であろうというふうに考えております。
  104. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ことしの八月六日、九回目になるのですが、第九回自由と平和を守る行進、これが行われました。これは自由と平和を守る会の主催であります。長崎から広島まで右翼団体がずらっと車を並べて行進をいたしました。この行進のパンフレットがここにあります。この第一ページ目、「名誉総裁竹下登」とある。「平成四年六月吉日」と書いてあります、ことし。これは広島原爆の日でしょう。  今度は、その五ページ目にこの自由と平和を守る会の役員名簿が載っておる。さっき言ったとおり、冒頭に名誉総裁竹下登、そしてずっと役員が書いてある。相談役のところに日本皇民党大島竜珉氏の名前があります。これにはずっと右翼の大物が出てきます、後にちょっと触れますけれども。例えば、民論社社長の畑時夫さん、あるいは長崎市長を襲った正気塾の塾長若島征四郎さんなどが名誉顧問あるいは平顧問でこれに名前を連ねておる。  ところで、これをどうして竹下さんはほっておかれるのですか。なぜほっておかれるのでしょうか。知っていても抗議したり取り消しを要求することができない、抜き差しのならない理由が竹下さんの方にあるんじゃないですか。これはことしだけじゃないのですよ。去年もですよ、竹下さんが宣言文に名前を連ねておるのは。第八回もそうです。平成三年六月吉日、やはり同じ。なぜ抗議したり取り消したりしないのですか。何か弱みを握られておるのじゃないか。だから、これは深層心理の問題ですからわかりません。客観的な事実を私は今から皆さんと一緒に考えてみたいと思うのであります。  二十年も前になりますけれども、ここに「山口組対一和会」、溝口という人が書かれた本があります。これは、「山口組五代目」という本も書かれたりして溝口さんは何か襲われたそうであります。ミンボーという映画をつくった伊丹十三さんも襲われました。楢崎弥之助も襲われるかもしれぬ。まあいいでしょう。  それで、この中に大変興味深いことを溝口さんは書いておるのですね。佐々木という一和会の幹事長、これは昭和四十七年、日本国粋会などが主催した湯河原の会合に参加した一和会の幹事長の佐々木道雄という人がそこでお話をしまして、次のような政治的な攻撃的な発言をされておる、この中に。何と言っておるか。「これからの極道は、時の政界の弱点を知らねばならない。」すなわち、意味するところは、このときは田中金脈問題です。それでこの佐々木さんは、田中金脈問題の全容を初めてつかんだのは自分である、それを最初福田赳夫に教え、回り回ってバーナード・クリスチャーに伝わったとしていると溝口さんは書かれております。ところが、この二十年前の佐々木氏の指摘、まさに今竹下さんにそれが当てはまるんじゃありませんか。  その前にちょっと私は一言確かめておきたい問題があります。つまり、稲本氏は、毒には毒をもって制する、よくこう言われている。竹下さんはどのような毒を持った人なんでしょうかと私は思った。それで、私はちょっとその前に一つ確かめておきますが、高松市の田町に大日本公正会という結社があるはずであります。どういう結社ですか。
  105. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えいたします。  大日本公正会は、昭和五十三年十一月ころに、共産主義撲滅、日教組解体などを掲げまして結成された右翼団体でありまして、事務所を香川県高松市に置いておりまして、若林幸雄という人物が会長であります。一人一党的な団体ではないかというように見ております。
  106. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私がこれをまず聞いたのは、この大日本公正会の家の新築のとき、そしてまた、庭園を造園して披露目をやられたときに、当時の小佐野賢治さんが大変な祝儀を出された。つまり、その後ろには田中角栄さんがおられたと思うのですね。そういう関係でこの公正会からも、皇民党はその傘下に入っておる。そして、この公正会の上部には山口組が君臨をしておる。地元の方では、この稲本氏自身にも公正会からある程度の資金が渡っているという話があります。まず、それを背景として私は明らかにしておきたい。  そこで、皇民党の問題に入る前に、この前、民社党の中野寛成委員が竹下証人に質問をされた。その部分を読んでみます。  中野さんの質問、   そこでまず第一点。長い間の確執がなかったかどうかに関連してお尋ねをいたしたいと思いますが、例えば大阪の、暴力団といいますかそういう世界の中からこういううわさが流れているということで我々に聞こえてきますのは、竹下さんと、そして皇民党をつくりました稲本総裁が若頭をしておった昔、山口組系白神組、この白神組の組長との関係があったのではないか。すなわち、白神英雄組長、これはサイパンで変死を遂げておりますが、そして皇民党をつくった稲本総裁と御面識があったのではないかという話がよく聞かれるのでございますが、いかがですか。 これが中野さんの質問です。  竹下証人、「私も、その種の怪文書とでも申しましょうか、見たことがございますが、私の全く知らない方々のお話ばかりでございます。」語るに落ちられておるですね。中野さんは怪文書なんて一遍も言ってないのですよ、質問の中で。ところが、竹下さんの方は、怪文書。ここにありますこれですよ。私、竹下さんがおったら、これでしようと、あなたのあれはと見せてやりたいですよ。このことだと思いますよ。ここへ出てくる方々、全く知らない方々の話でございます、ここに出てくる人全部ですね。  まず、それは完全に私は偽証の疑いがあると思う。なぜならば、竹下さんは昭和三十年代に東京都かの料亭で、当時大阪ミナミにあったこの山口組系南道会の白神組長英雄さんという、昔は一朝と言っていた。この白神組長と竹下さんは五分と五分の兄弟の杯を正式に交わされておるはずであります。五分と五分というのは、これはいわゆる兄弟と呼び合う仲であります。五寸というような隠語もあるそうでございますけれども。  それで、これは正式に交わしておるから、ちゃんと見届けなければならない人がおる。五人いたと言われている。そのうち二人は亡くなられて、三人は健在であります。私が察するに、亡くなられた二人、私の推測であります、立ち会った。一人は白神組の若頭をしておった稲本虎翁氏、もう一人は竹下さんの秘書をしておった青木伊平氏ではないか、そういう言い方をいたしておきます。それで、私は、この白神英雄という人は、後に一和会の常任顧問になって、さっき言ったとおり、八七年の二月二日、サイパン島のバンザイ岬の沖で射殺死体で発見された。犯人はまだわかっておりません。  私が申し上げたいのは、もしそうであれば、竹下さんと白神組長はいわゆる兄弟である、若頭の稲本さんと竹下さんは義兄弟というのですか、そういう関係になるんじゃないでしょうか。舎弟と言うんでしょうか。あの世界では親戚同士と言うそうであります。つまり、これをもって竹下さんは完全に極道の世界に入ったんじゃないですか。  もしこれが明らかになったとき、総裁指名の前に明らかになったとき、世に、竹下さんを指名するについて条件がある、中曽根さんはあのくらいの褒め殺しやめさせろと言われたやに聞いておりますが、ここにおられる後藤田さんはそれを否定される。それは別問題といたしまして、もし総裁指名の前にこの事実が明らかになっておったら、中曽根さんは指名したでしょうかね。後藤田先生に、私、尊敬する後藤田先生ですから、後で私は聞きたいと思う。恐らく指名はなかったのではないでしょうか。これです、問題は、客観的に。  そうして、まだありますよ。この中にいろいろ出てくる。全然知らないなんていうのはおかしいんじゃないかと思うのですよ。内藤武宣というのが出てくる。内藤武宣という人は、私の福岡の中学、修猷館の後輩です。それで帰って、福岡一区から選挙に出た。残念ながら落ちられました。だから、経歴書はちゃんとみんな知っている。竹下さんの次女の御主人です。知らないはずないでしょう、竹下さんが。全然知らない、何言っているのですか。  次に許永中、ここに出てくるのですよ。これは、山口組系古川組組長の舎弟であります。あるいは酒梅組、その下の高見組を許永中さんは世話している。この許永中さんは、平成二年七月十八日、日にちを指定しておきます、銀座の吉兆で、竹下さんと、竹下さんの弟でしょう、竹下亘という人は。それとイトマンの伊藤寿永光、有名な福本邦雄さんと会食をされている。許永中さん、出てくるんですよ、この中に。知らないはずないでしょう、会食しておるのですから。  それから、まだあります。これは金丸さんの臨床尋問のとき、草川委員がこういう質問をされております。「竹下さんが皇民党のおどしを受けていた真のねらいは何だったんでしょう。何であんなことをやられたんでしょう。」これが草川委員の質問です。「○金丸証人 私の聞くところによると、そのシンミン党」、これは皇民党の誤りですね。この皇民党「の子分、子方だな、それが島根県に一人おったんだ。それが死んだそうだ。死んだとき、それに対する何の対策も何の見舞いもしなかったというようなことを、竹下でなくてだれか島根県の人から聞いたよ。それが原因じゃないですかねと。竹下はそんなことは私に何にも言わない。」これが金丸さんの答えです。  地元の島根県の人が言っていることを、金丸さんはそれは聞いているのに竹下さんが聞かないはずないでしょうが。これは一体だれか。はっきりしているんですよ、これは。はっきりしている。これがいわゆるさっき言いました仁義社の安藤三蔵さんです。これは交通事故で両足をなくされて、そして日教組に紙包み爆弾を入れてそれを爆発させて、爆弾テロで幹部ら二人捕まえられた。そして御本人はピストル自殺を事務所でなさった。この人が竹下さんと大変親しい。そして稲本氏は、この安藤さんの舎弟みたいな関係にあった。ところが、安藤さんが亡くなった。援助を打ち切った、竹下さんが。そこでさっき出てきたいわゆる正気塾の若島征四郎さんが文句を言った、おかしいじゃないかと。こういうことが金丸さんが指摘したこの事実なんですよ。  だから、この中へ出てくるあれを、「見たことがございますが、私の全く知らない方々のお話ばかりでございます。」こんなそらぞらしいことを竹下さんは言っちゃだめですよ。もし異議があるなら私は対決してもよろしゅうございます。もう一度、委員長、竹下さんを呼んでください。これが事実かどうか、私も性根を決めてやりますから。  それでもう一つ、私は、今度の喚問で非常に得点を野党が挙げられたのは、八七年でしたね、八七年九月末、それから十月五日、二つの会談に――そうです、その二つの会談に青木さんと中尾さんが出ておったという事実は実に重大である。私はこれを知っておった。九月末の会談は中尾さんがセットしたんですよ。そして、いいですか、金丸さん、こういうことを言っていますね。皇民党対策を暴力団に依頼することについては、亡くなった人で恐縮だが、そういうことは青木、中尾さんたちが知恵を出したのではないか、こう言ったそうですね、私は行っていないけれども。  この知恵とは一体何か。いいですか。これは本当ならそこで、渡邉さんがおる、渡邉さんがここにおる、中尾さんがここにおる、ここに金丸さんがおる。本当ならば、中尾さん、あなたが仲介で石井さんに話ししてくれ、こういう話になっておったのです。ところが、いや、それじゃやっぱりあれだろう、ぐあい悪いだろう、渡邉さんがじかに石井さんに頼まれたらいいんじゃないか。私はこの話は特捜部長に話をしました。どうしてか。これが中尾さんを通じておれば渡邉氏の石井進氏に対する借りは、半分まではどうか知らぬけれども、大分少なくなっておるはずですよ。中に仲介者がおるから、中尾という。だから、この知恵を出したというのは非常に意味がある。  あれもそうでしょう、田中邸に行けと。大体、十月五日の日ですか、余り知らぬと本人はおっしゃったが、余り知らぬ人から行ったらどうかと頼まれたら、普通だったら、いや、だめですよ、私はことし元日にも行きましたけれども断られた、だからだめですよと言うのが普通じゃないですか。とにかく本当に説得力がないんじゃございませんか。  それから、――いや、私はその証言を、偽証の可能性を今明らかに皆さんの前にいたしておる。  それで、金丸さんは有名な言葉があります。私もリクルートのときやりましたが、こういうことを言われておりますね。悪いことをしてやめればいいということなら、監獄も牢屋も要らない。大変立派なことをおっしゃった。これはやめられた方ですから、もういいですよね。  それで今度は金丸氏と石井氏の関係です。これも私は、偽証の疑いがある。はっきり名前を申し上げます。富士吉田、これは金丸さんの選挙区ですよ。木村信一という方がおられる。韓国の方で、韓国名は方位浩という人。電話もありますが、やめておきます。この人は木村組の三代目であって、石井進氏はこの木村信一さんの舎弟であります。そして、この故石井さんの跡目を継いだ今の稲川会三代目の現理事長の、理事長は山川修身、身を修めるという字です。韓国名は鄭という方。だから、この木村信一という人は現稲川会三代目の兄貴分の兄貴分ということになる。ところが、金丸さんはこの木村信一さんと猛烈にじっこんなんだ。じっこんなんだ。何でも相談している。だから石井さんを知らないはずはない。多分、これは有名な司法ジャーナリストの鷲見さんも証言をいたしております。  金丸さんと石井さんの接触は昭和三十七年ごろではなかったか。石井さんの配下が甲府市で地元の暴力団と抗争事件を起こした。いわゆる甲府事件と言われるやつである。甲府市では当時土建業者と暴力団のつながりが大変深かった。で、金丸さんは土建業界の大ボスであったわけです。だから、そのとき以来石井さんと知り合われたはずです。これはさっき申し上げたとおり、鷲見さんが証言をしておられます。しかも、この金丸氏と東京佐川の渡邉被告をつないだ人は故中尾宏さんだ、このように言われている。だから、中尾宏さんは非常に重大な位置づけが、スタンスを持っておられるんですね。  もう一つ、これも重大で、このためには私は証人を喚問しなけりゃなりません。それは、既にことしの春の予算委員会で、ここにございますけれども、平和堂グループ、四社あります。これに全部役員に名前を連ねておられる方がある。平尾久太郎。一つの会社では鯨岡久太郎になっておる。監査役とか取締役。この人は何もかも知っている。それで、現に、この平尾さんは渡邉被告からいわゆる松沢さんが融資を受けて、そして渡邉さんにキックバックした。そのうちの二十二億何がしが流れた。そうでしょう。松沢のキックバックした金。そのうちの、二十二億のうちの五億が金丸さんに。十二名と言われている。あと十二名は一体だれか。これはまだ不解明のまま残っておる。これは別として、私はこの平尾さんをぜひ証人として喚問してもらいたい。  なぜか。これは、私はもう本当に自分で驚いたんですけれども、それは私もマージャンをしますよ。マージャンが悪いとは言いませんよ。しかし、賭博というか、本当の賭博しちゃいけぬのじゃないですか。刑法に触れるんじゃないですか。竹下さんは本当の賭博場に行っておった可能性がある。開帳場所は東京都港区南青山一の二六の一三「乃木坂ナショナルコート」二百四号室。開帳者はUという女の方です。もうこれ以上多くを言いません。そして、歌い手のNという人、このNという人の奥さんが料理を運んだり、広いからサロンがあって、マージャンする人はマージャンする人、飲む人は飲む人、マッサージする人はマッサージする人、そういう非常に豪華な賭博場ですよね。  それで、その芸能人、もうここで言うたらびっくりするような方です。女性ではKという人、Hという人、Mという人、Mは男性です。それからNジムの連中。野球の、私は野球は余りわかりませんが、Tという、監督さんをされておる。それから、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━このHさんもそこに行っておった。暴力団の方ももちろん行っておられた。聞くところによると、田岡親分のお子さんも行っておられた。  証言者は、竹下さんは、来られるときにはネクタイを締めずに革のジャンパーを着て来られた。これを目撃した証人が、いわゆる今言った平尾久太郎さんです。だから私は、ぜひ、これも重大な問題だから明らかにしたい、そのように思います。ちゃんとここへ、部屋の見取り図もちゃんと持ってます。  それで、委員長のことにも触れたいんですけれども、もう時間がなくなりましたから理事会でやってもらいます。  台湾から電話がかかったでしょうが。事務所に十八人ぐらいおられて、台湾から金丸さんの電話ですよと、大きな声で言ってあなたを探しに行ったはずだ。みんなそれを知っているんだ。そういうことです。だから、そういうことは――いや、知らぬと言っている。今、そうしたら、もうああいう田舎だから、わかるから、犯人捜しをしているんじゃないですか、高鳥さん、だれがその電話がかかったことを言ったか。  そして、例の私信ですね、先生。私信、あれも私のところへ来た。しかしどうも、本文がワープロで、署名だけが毛筆になっておるでしょう。だから、これは私は怪しいなと思って、地元で先生のも筆の筆跡を取り寄せた。これがそうです。全く同じ字だから、ああ、これはやろうと思うとったら、その前に新聞に出た。これが経過であります。だから、あれは事実でありましょう。  その中にもう一枚入っておった文章がある。あなたは御存じないかもしれません。これはだれが出したかあなたはわかっていらっしゃるでしょう。佐川に身近に仕えておった人ですよ。・わかっておるでしょうが。佐川さんのところへ手紙をやってそれを扱うことのできる候補者はだれですか。もう言いませんけれども、あなたはわかっていらっしゃる。Mという人と思います。それで、その中にも一本化のためにいろいろなことが書いてあります、それは次の機会に譲りますが。  それで、もう一つ私は申し上げておきたいことがございます。  それは、猪木さん、猪木参議院議員がバグダッドへ行かれた。私もあのころバグダッドに行っておりました。それで、猪木さんのスケジュールは、三回行かれておって、第一回がおととしの九月十八日から二十三日まで、第二回が十月二十四日から二十九日まで、第三回が十二月一日から八日まで。問題はこの第三回目であります。行きは、日本からアンマンまでトルコ航空をチャーターして行かれた。アンマンからバグダッドは、もう行った人は全部わかりますけれども、イラク航空。帰りは、バグダッドからアンマンはイラク、アンマンから日本へはJALをチャーターされておる。この中の同乗者の中に、「平和の声協会」という名のもとに五人の人が行っておる。その中に稲本虎翁というのが入っておる、そして漕野通雄という方が入っていらっしゃる。この漕野通雄さんは本名である、大島竜ミンさんは偽名ですよ、これは。大島竜ミンさんですよ。それから、山口組のナンバーツーの宅見勝さんも行っている。何で行ったか、どこから金持っていったか。しかも、十二月ですから、年明ければ東京都知事選挙だ。東京佐川急便から金が出ていることは間違いない。そうすると、これは東京都知事選挙に連動する。参議院の方ですから、あとは私は参議院にやってもらう、資料も何もかもやって。  以上で終わります。ありがとうございました。
  107. 高鳥修

    高鳥委員長 楢崎さん、答弁は要りますか。答弁はよろしゅうございますか。
  108. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 よろしゅうございます。
  109. 高鳥修

    高鳥委員長 それでは、この際、和田静夫君から関連質疑の申し出があります。加藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。和田静夫君。
  110. 和田静夫

    ○和田(静)委員 私は、二月の十九日、三月の三日、三月七日、三月三十日の本予算委員会、さらに本院の四月二十二日の決算委員会、続けて佐川事件の核心を指摘をしたつもりであります。ところが、政府側からは、当時は満足な回答が得られないままに終始をいたしました。答弁する方が真摯に自己改革をする気持ちを持って臨まないのでは実りのある議論ができるはずがないということを当時考えました。その後、佐川急便の事態は私が指摘したとおりに実は進んでまいりました。  私は、佐川事件で考えるべきは、従来のロッキード、リクルートなどの事件より一層深刻な政治不信を引き起こしている、そのことが政治と暴力団あるいは右翼との関係が浮かび上がっている点であると思います。私は、これまでに明らかになったことだけでも戦後日本政治の重大な汚点であると考えます。国民の政治不信を決定的にしたものとして見逃すことができないと考えているのでありますが、総理の見解をまず伺います。
  111. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 それは、以前にもお答えを申し上げましたが、政治と金の関係あるいは政治家の姿勢の問題等々、非常な不信を国民が政治に対して持つに至りました。しかも、政治改革が思うように進んでおりませんこともありまして、国民が今政治に対して異常な不信を抱くに至っておるということは、和田委員と同様に私も痛感をいたしております。
  112. 和田静夫

    ○和田(静)委員 竹下氏は、問題の日、一九八七年十月五日夜に渡邉廣康元東京佐川社長と会って話した印象として、この話の中でこの問題が街宣活動中止につながっておるのではないかという印象を持ったことは事実と証言をされました。結果として、竹下氏はそういう印象を持ちながらも、右翼の街宣活動中止につながる政治行動の、まあ政治パフォーマンスという程度の田中邸訪問をいたしました。私は、この政治責任、国民に政治不信を招いた政治責任がある。それはひとり竹下さんにかかわるだけではなくて、自民党にもかかわると考えるのでありますが、総理・総裁としての政治的見解を求めます。
  113. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 ただいまお尋ねの前段のところはちょっと御発言の意味をしっかり把握いたしかねましたけれども、このような政治不信につきましては、もとより私どもの党におきましても、政治倫理の問題として解明すべきは解明しなければならないと考えておりますが、もとより全体の問題は、おのおのの捜査、調査等々の当局において、またあるものは公判廷において、またこうやって国会におかれましても真相究明が行われておるというところだと考えております。
  114. 和田静夫

    ○和田(静)委員 私はこれまで、自民党と暴力団の関係について、この予算委員会でも指摘をしましたが、私の認識では、二月の十九日も述べましたとおり、自民党は六〇年安保のころから暴力団とのかかわりを持つようになっています。きょうは時間がありませんので詳しくは述べませんが、警察が暴対法をつくる、第一線のお巡りさんたちが努力をしている、警察官が努力をしているときに、権力のトップの方で暴力団と関係するという、これはどういう姿勢なんだろうかということを疑わざるを得ません。これはもう、総理、暴力団や右翼とのかかわりをどのようにつけるのか、けじめを明らかにしてもらいたいと思います。
  115. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 何か自民党が暴力団とかかわり合いを持っているというふうな前提でおっしゃったといたしますと、そのようなことは私は承知いたしておりません。  次に、暴力団につきましては、これは、先般の法律におきまして取り締まるべき暴力団というものの定義が明快になりました。そういう人々とかかわり合いを持つということはもとより政治家としてあるべきことでないと思います。  右翼につきましては、右翼というものの定義が法律上は与えられておりません。おりませんが、いずれにしても、民主主義、健全な民主主義の運営を妨げるようなあるいは破壊するような活動を目的とする人々であれば、そういう人々とかかわり合いを持つことはもとより慎むべきであると思います。     〔委員長退席、中山(正)委員長代理着席〕
  116. 和田静夫

    ○和田(静)委員 竹下証言で、竹下元総理は、証人喚問の際に、浦田参議院議員が保有するといういわゆる念書ですね、これについてはこのように述べられました。「この署名は、念書は、私のきょう署名した字よりもはるかに崩しなど立派で、とても私の書いたものだというふうには思っておりません。」この念書は、浦田さんは、確かに目の前で竹下さんが書いたと言っている。一方、小沢辰男衆議院議員は、本文は私が書いたものであり、署名も竹下氏のものではないと言っています。  私たちは、どちらの言い分が正しいのか実は国民としてわからない。これは国民も同じであろうと思う。少なくとも、この署名が竹下氏本人のものであるのか、それとも他人が書いたものであるのかはっきりさせることは、この念書が持つ意味、ひいては竹下氏の田中邸訪問の動機とも私は関連をしてくるであろうと実は考えます。その意味で大変重要でありますので、この委員会として、この署名が一体竹下氏本人のものなのかどうかの筆跡鑑定をすることを委員長に私は求めたいと思います。
  117. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 理事会で協議をいたしておりますので、御了承願いたいと思います。
  118. 和田静夫

    ○和田(静)委員 竹下氏は、皇民党の街頭宣伝に関して警察に相談をした、こう証言をされました。報道によりますと、警察庁長官はそのような事実を把握していないということを何回か言われています。これは竹下氏の証言が偽証であったということであるということになりますが、偽証罪で告発をするべきであるのかどうか。これはまあ、警察庁、真偽のほどをまず警察庁に伺います。
  119. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えいたします。  お尋ねのことにつきましては、当時もしそうした相談があったとすれば、これを受けていたであろうと思われる関係部署や関係者について調査をいたしましたが、つまびらかでなく、確認はできませんでした。  なお、証言では、最寄りの警察署に相談した動きがあるようだ云々とのくだりがあったと承知しておりますが、当時警察に対しまして寄せられましたいろんな方面からの苦情や要望の中にそのようなものがあった可能性は排除できませんので、ただ、何分にも格別な記録もなく、そういう意味でも確認はできないと、こういうことでございます。
  120. 和田静夫

    ○和田(静)委員 私は、ここのところを正確に理事会として把握をしていただいて、偽証の疑いがあるのならばしっかりした処理をしていただく、そのことを求めたいと思います。
  121. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 本委員会の閉会後の理事会で協議をさせていただきたいと思います。
  122. 和田静夫

    ○和田(静)委員 竹下さんや金丸さんの証言からも明らかになったことは、八七年の総裁選に際しての皇民党対策についての会合、また竹下さんの田中邸訪問、そのすべてに小沢一郎元自由民主党幹事長が同席、同行をされています。すなわち、小沢さんはこれらのすべての事実を知っているということでありましょう。  宮澤総理は、昨年の総裁選の折に、国民の非難を浴びた小沢氏の面接に合格して現在総理の地位についておられると一般的には理解をされているのでありますが、当時国民や世界の受けた印象、これは、日本が一体民主主義の国なのであろうかという疑問、これに私は答えなきゃならぬ。したがって、総理は、今度は、国民の要請にこたえるという民主政治の真価を発揮するためにも、小沢さんから事情を聴取をして、そして国民の前に総理自身事態を明らかにすべきであろうと私は考えます。いかがでしょう。
  123. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 一般的に申しまして、このたびの問題につきましては、警察も検察も、その与えられました職責を尽くしつつあると考えております。また、全く別の意味におきまして、国会におかれましても、国政調査の立場から真相の解明に当たっておられる。それにつきましては、政府もできる限りの御協力をいたさなければならないことは当然でございますが、また私どもの党におきましても、党員として問題にすべき行為があれば、それは党としても調査をいたさなければならない。ただいま、そういう意味ではあちこちの調査、捜査が行われておりますので、並行してというわけではございませんけれども、いずれにしても、もしそういう問題があれば、これは党としても真相をいずれ明らかにしなければならないと思いますが、今御指摘の具体的な問題について申し上げたわけではありませんが、一般論としてはそういうふうに思っております。     〔中山(正)委員長代理退席、委員長着席〕
  124. 和田静夫

    ○和田(静)委員 今御答弁に一般論としてあったように、総理として事態をやはり内外に明らかにする、そのためには私は、小沢一郎さんの存在というのはどう考えてみても大変重要であると思いますので、しっかりとその調査を完了し、国民の前に明らかにしていただきたいと思います。再度お約束願います。
  125. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 小沢一郎氏の問題について、そういうことがありますかどうか、ただいま私存じません。一般論としては、先ほど申しましたとおりです。
  126. 和田静夫

    ○和田(静)委員 竹下氏はみずから、総裁選に暴力団が関与したことを総現在任中の八八年十二月以降知っていたと証言をされています。本来ならば、私は、その場で結果責任をとって総辞職すべきであっただろうと思うのでありますが、そうされませんでした。今になっても、議員辞職はすべてを認めることだからしないと言っていらっしゃいます。  宮澤総理は、中曽根氏とともに竹下氏を自由民主党最高顧問に迎えた責任が私はあると思うのでありますが、自由民主党総裁として、竹下氏に議員辞職を私は勧告をすべきだろう、そのような行動を起こさないことへの国民の不満が、残念ながら内閣支持率の、竹下内閣末期並みの低さにだんだんだんだんなってきていることに具現をしているのではないかと思うのですが、総理の見解を承ります。
  127. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 この問題につきましては、先週も当委員会証人としての御質問があり、応答があったわけでございますし、また、ただいまもこのように御審議が行われておるわけでございますから、今の段階で私がどうこうすべき問題ではないと考えております。
  128. 和田静夫

    ○和田(静)委員 どうも総理の姿勢が非常に消極的であることに私は残念に思います。  渡辺郵政大臣、先日本会議で、東京佐川急便再建のための会合に一度出席をしたと答弁をされています。この会合というのは、昨年六月十三日、場所は小針暦二福島交通会長の東京知人宅であって、あなたは、当時は、東京佐川急便が経営危機に陥っていたことは知らなかったとおっしゃった。その前の六月三日に、東京佐川問題について大変だと聞いたといって東京佐川急便渡邉廣康社長を訪ねられた。そのときに渡邉社長が、竹下、金丸両氏に銀行への取り次ぎを頼んでいるということを仄聞をされて、お世話になっているし同郷だから力になる、こうおっしゃった。  六月十三日はなぜ小針氏の知人宅での会合にあなたが出席されたのか、大変疑問なのでありますが、六月三日の件を考えてみれば、これは至極当然のことということになろうと思うのです。あなたがそこでの話し合いを否定されれば、なぜその場にあなたがいたかということが私は問題になるだろうと思うのです。  金丸さんは、再建策についての会合として出席したことを認められています。竹下さんも同様の証言をされています。そうすると、あなただけが会合の内容も知らずにその場に出席したということは、私はあり得ないと思うのであります。すなわち、あなたは本会議での答弁というのはどうも虚偽であったのではないだろうか、そう考えざるを得ません。いかがでしょう。
  129. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 お答え申し上げますが、私は、本会議で御答弁さしていただきましたように、実際に経営危機に陥っているというような事態は実は把握しておりませんでした。しかし、大変だ、何かこう、ちょっと大変のようだということは聞いておりました。これはうわさの範囲です。  それから、今和田先生おっしゃいました三日ですか、私が訪ねたという一部報道ございましたが、実は私も、本当に訪ねたんだろうかと、前の話ですから、日程を繰ってみましたが、その近辺、実は私の方の日程には、これ本当にうそ偽りなく、実は載ってないんです。あるいはその前後なのかもわかりませんが、しかし、その日付というのが定かでないということだけ御答弁さしておいていただきたいと思います。
  130. 和田静夫

    ○和田(静)委員 その前後なら前後にお訪ねになっていることを言外にお認めになったんだろうと思うのですが、これは渡邉社長検事調書に述べられていることであります。これを否定される。  私も、検事調書がすべて正しいなどと思って言っているわけじゃありません。しかし、供述調書が検事による作文であるということを述べられているということになると思うのでありまして、この調書のくだりについては、その後の六月十三日と十六日について、会合の事実と再建策を話し合った事実を、竹下、金丸両氏が認められておりますね。あなたの出てくる部分だけが検事の作文であるというふうには私にはどうも考えられないのであります。  したがって、あなたがどうもうそをつかれたのか、あるいは竹下、金丸両氏が偽証をされているのか、これはどちらかということになろうと思うのです。あなたがあくまでも自分は知らないと言い張られるのならば、竹下、金丸両氏の偽証罪での告発という意味と受け取られることになると思いますがね。ここのところはそう受けとめておいてよろしいでしょうか。
  131. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 お答え申し上げますが、私は、本会議場で答弁をさせていただきましたのは、経営の実情、状況についての話は出たように思いますというところまでは申し上げているのですね。ですから、その再建策というのはどこまでの範囲を指して申し上げるのか、そこはそれぞれの解釈だろうと思うのでありますが、しかし、私の申し上げたかったことは、具体的に一部報道されましたように、だれが何をするみたいな、何か役割を担ったみたいなふうに報道が一部ありましたから、私は、そういうことはありませんよということを申し上げて、また、事実そういうような行為もしておりませんし行動もしていないということを申し上げたわけでありまして、その集まったこと、私は出席したことの事実も認めておりますし、それから話も、極めて抽象的だったけれどもそういう話は出たことも認めているわけです。  しかし、一回だけお伺いをしたその会合で、そんな具体的な話でなくて、極めて抽象的な話であったようにしか私は記憶していないのです。そのことはひとつ御理解をいただきたいと思っております。
  132. 和田静夫

    ○和田(静)委員 とにかく六月三日にしてもあるいは六月十三日にしても、この時期は既に稲川会に佐川資金が流入していたことが公になっている時期であります。  すなわち、石井進稲川会前会長がオーナーの岩間カントリークラブの会員資格保証金預かり証を八十億円と最も多く引き受けていた、そういう企業の再建会議に出席することそのものが、国民の神経を逆なでにする。暴力団との関係について鈍感であって企業活動のあり方に疑いのある企業と平気でつき合うという、政治家として疑問のある行動ではないだろうか。私は、その政治家としての姿勢、政治家としての責任を郵政大臣に問いたい。
  133. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 今日の段階では、私はもちろん反省をいたしております。しかし、その六月の時点で私がそういう具体的なことを承知して、そしてそこにのこのこ出かけていったということではないのでありまして、いわゆる、どなただったかは定かな記憶はございませんが、どうかねということで、食事でもという軽い気持ちで実は私は、その小針社長の知人宅というところも初めてでございます、伺ったのも。  そういう意味で私は、全くそれは不用心だと言えば不用心でしょう。しかし、当時物すごく大きな社会的問題になっていたことを承知して出かけたという意識は、私は実はないのでございます。大変恐縮なんですが、私の幼稚な、あるいはあさはかなところかもわかりません。しかし今日は、和田先生おっしゃるように、それは当時たとえ、党の一つの役職をいただいている人間として、国会議員としての立場からいたしますと、先生のおっしゃられるとおり反省をしなければならないことであったか、非常に軽はずみなことだったのかなということは、私も感じております。
  134. 和田静夫

    ○和田(静)委員 郵政大臣は、二月十九日のこの委員会で私が質問したときには、選挙区内の方でして何回かお目にかかったことがあると言われ生じた。しかし、実は何回かお目にかかった程度のものではなく、深く立ち入っての関係であったわけであることは、平和研究所の資金の問題その他を考えてみれば明らかであります。  総理大臣にここで伺いたいのでありますが、こういう暴力団とのつき合い、そして、その後に判明したことではありますが、政治的疑惑を持たれる東京佐川急便とのつき合いを今の大臣がやっていたことについて、これはどういう見解をお持ちなのでしょう。特に、暴力団との関係が明るみに出てから東京佐川の会議、恐らくは再建会議に出たということになるわけでありますが、これは総理としてどういうけじめをおつけになりますか。
  135. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 私も、今渡辺郵政大臣が答えられましたとおりのことを聞いておりまして、その限りにおいて私から何かを申し上げなければならないとは思っておりません。
  136. 和田静夫

    ○和田(静)委員 私の見解は、恐らく多くの国民が考えている見解だろうと思います。同時に今のことは、ひとり郵政大臣の渡辺さんだけではなくして、竹下さん、金丸さんあるいは小沢さんについても私は言えると思うのであります。  すなわち、六十三年十二月以降には、東京佐川急便渡邉社長が稲川会石井前会長とつき合いがあって皇民党事件に関与していたことを知っていたわけであります。それなのにその後もつき合いがずっと続いて、平成三年六月の東京佐川再建会議に出て再建に手をかし、あるいは協力するという会話をされている。渡辺郵政大臣を含めて、私はこれは政治的に実は許すことはできないと考えてよいと思うのであります。  自民党総裁として、総理大臣として、党規に照らしてということを前の委員会で公明党質問に対して述べられましたが、私はここでやはり離党勧告等を含む明確な処分をすべきだと考えますが、いかがでしょう。
  137. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 このことにつきましては、検察当局、警察当局においてもそれぞれ与えられた職責で調査、捜査をいたしておりますし、あるいは公判に付せられている部分もございます。また国会でもこのように御審議をしておられる問題でありまして、事実真相がまだ明らかになったとは申せない。党といたしまして、党員として適当でないあるいは党規を乱ることであるということになりますれば、その際にそれなりの処置をいたさなければなりませんけれども、ただいまそういうことをいたす段階ではないと思います。
  138. 和田静夫

    ○和田(静)委員 私は強くそのことを総理・総裁に求めておきたいと思います。  そこで、先ほど楢崎委員が触れたこととの関連があるのでありますが、一九九一年三月四日、すなわち東京都知事選挙の前のことでありますけれども、金丸さん、小沢一郎当時の幹事長、渡邉廣康東京佐川急便社長、猪木参議院議員、この方は都知事立候補を当時表明していた方であります、この四人が会合をしております。このときの会合で金丸さんが猪木さんに都知事選挙について、出るなとは言えないが検討してほしいと要請をしています。そのことを金丸さん自身が、副総裁であったことし二月二十五日、山梨のみずからのテレビに出られてインタビューに答えていらっしゃいます。  私は細かいことは言いませんが、ここで私が問題にしたいのは、その後猪木さんは、絶対おりないと言っていたのに三月十一日に突然出馬断念を表明をいたします。まず何よりも政治的に見て疑惑の持たれる会談であったことは、私は否定のしようがないだろうと思うのです。  ここで私は問題にしたいのは、金丸さんという自由民主党の領袖、小沢一郎幹事長と渡邉廣康東京佐川急便社長が同席をしたことであります。それは、渡邉社長がたくさんの資金を実は猪木さん関係会社に貸しているか、あるいは債務保証をされている。このことは、二月十九日、私はすべて数字を挙げて明らかにしてあります。そういう方が同席をされているということは、明確に圧力をかけることのほかに意味がないと思うのであります。これは公職選挙法第二百二十一条に言う直接の利害関係を利用して誘導したと認めざるを得ないのではないでしょうか。したがって、公職選挙法第二百二十三条第一項第一号に規定された「公職の候補者となろうとすることを止めさせる目的」で行った行為に該当する疑いが私は濃厚であると思うのであります。法務省はどういう見解をお持ちですか。
  139. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  これは申すまでもないことでございますけれども、具体的事実につきまして、今委員御指摘の公職選挙違反の罪が成立するかどうかということは、これは捜査当局が法に定められたところに従って収集した証拠に基づいて事実を確定した上で初めて判断されることでございますので、この場でお答えすることはいたしかねるわけでございます。
  140. 和田静夫

    ○和田(静)委員 警察庁、具体的にこの件については当時多く話題になったことでありますが、捜査をされましたか。
  141. 濱邦久

    濱政府委員 いわゆる東京佐川急便事件関係につきましては、その捜査処理の結果については先ほど御報告したとおりでございます。  それ以外の事実関係につきましては、検察当局がどういう事実を把握したか、捜査過程でどういう事実を捜査したかということにつきましては、お答えはいたしかねるわけでございます。
  142. 和田静夫

    ○和田(静)委員 私は今具体的に法条を挙げて質問をいたしました。したがって、これは警察当局あるいは検察当局、具体的に私の指摘に対して調査をされて、引き続いた委員会の中で、どうせ佐川急便問題は継続をされていきますから、御答弁を願いたいと思います。  私は、猪木さんが不出馬を表明されたとき、実は意外な感を持ちました。それは、絶対おりないと言われていたからであります。国民の多くもそう思われたに違いありません。その裏に、今私が言ったような事実、自由民主党の工作と東京佐川からの資金援助による見返りがもしあったとすれば、許されるものではありません。きょうは時間がありませんから、どれだけのお金がその前後に猪木さん関係会社に動いたかということはあえて触れません。したがって、事実関係を必ず国民の前に私は明らかにすべきだと思うのです。  公職選挙違反の疑問について調査、捜査をして、その結果を明らかにすることを私はこの機会に求めておきますが、総理の見解を承ります。
  143. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 政府委員からお答えいたします。
  144. 濱邦久

    濱政府委員 これはもう一般論としてお答えさせていただくわけでございますが、この国会で御議論のあるところは検察当局も十分承知しているところと思うわけでございます。検察当局におきましても、今委員御指摘になられました公職選挙違反の罪を含めまして、刑事罰則に触れる事実があるといたしますれば、厳正に捜査をするものと考えておるわけでございます。
  145. 和田静夫

    ○和田(静)委員 外務大臣、お急ぎのようですから、ちょっと外務大臣の関係だけ終わらせてしまいます。いいですか。  大臣、外務省所管の海外広報協会という団体があります。この団体は一時期七年間にわたって東京佐川の渡邉さんが理事長を務められてきたところであります。そのときに東京佐川から多額資金が提供されています。外務大臣官房のお話によれば、昭和五十八年に一億、その後毎年数万円から数億単位の協賛金が出まして、そして平成二年は五億円が出ている。それで、渡邉在任、あなたじゃなくて、元社長在任期間中、計十五億円の協賛金が出ている。そういう公益法人であります。  ここに私は一通の手紙を持っているのでありますが、この手紙の出し主は、当時の外務省官房長の佐藤さんであります。平成元年十月二十八日。この佐藤官房長から朝吹さんという協会の専務理事にあてられているのであります。内容は会食のお礼状のようでありますし、この中に実は政府の規制の見直しに絡んだ文面があるのでちょっと奇異に思ったのでありますが、「佐川急便の渡邉社長を貴協会の指導者に有しておられることはまことに時宜を得たものと思います。政府の規制が問題であるとの御所見をいただきましたが、小生はそのとおりと申し上げました。」云々というふうにずっといって、「そして、党の方へも働きかけていきたいと考えております、」こういう手紙になっているのであります。  私はあえてこの理事長と外務省の官房長が同席をされたから云々などというようなやぼなことを言うつもりは一つもないのでありまして、ただ、この時期に外務公務員が今言ったように規制問題等についての話し合いで一つの約束をされるということ、これは当時、運輸省にしろ建設省にしろあるいは自治省にしろ、佐川との関係において、通達の問題であるとかあるいは路線の問題であるとか、いろいろの問題があった。その時期に外務省の官房長もこういうようなことで話題を提供される。そして、その手をかりて与党、政権党に対していろいろなことを依頼を受ける。そういうことを考えてみますと、どうも渡邉廣康元社長の広範な政界、官界にいろいろの手が及んでいたことを立証するに足る書簡の一つではないだろうか、そういうふうに考えますが、外務大臣はいかがにお考えですか。
  146. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 事実関係、事務当局から説明させます。
  147. 英正道

    ○英政府委員 突然の書簡の話でございますので、私、どういう書簡であるかちょっとわかりませんので、御答弁を差し控えさせていただきます。
  148. 和田静夫

    ○和田(静)委員 いや、これはそうはいきませんよ。ちゃんと四日も前に通告をしてありますし、外務省はその当事者の協会に対してちゃんと調査されているんですからね。しかも、英国大使は、この書簡は自筆であることをお認めになっていますから、そんな答弁はとても解せません。
  149. 英正道

    ○英政府委員 この海外広報協会の朝吹理事長、現理事長から、書簡について報道関係者からの照会があったということは聞いております。ただ、その書簡を、私は伺いましたけれども、まだその書簡について確認をしておりませんし、ちょっと今の段階で述べるとすれば、仮定に基づいてお答えする以外にはないと思うのです。
  150. 和田静夫

    ○和田(静)委員 私はこれは、こんなところでつまずくなんて一つも思っていなくて、御本人もお認めになっている書簡を何のためにそんなに否定をされるんですか。私は、当時のいわゆる渡邉廣康社長の広範な行動について各省にいろいろなことがあったという、そういう政治状況についてどう考えるかと尋ねているのに、そんなものあなた、ここで一生懸命に否定する必要、全然ないんじゃないですか。通告してないのなら話は別ですよ。ちゃんと通告してあるんだし。
  151. 高鳥修

    高鳥委員長 あらかじめ通告があったのであれば、きちんと答弁してください。
  152. 英正道

    ○英政府委員 ちょっと行き違いがあるかもしれませんが、通告はちょうだいしておりません、この書簡の話につきましては。
  153. 和田静夫

    ○和田(静)委員 冗談じゃないよ。それじゃ、あなたは質問とりに来た人に責任転嫁するつもり。そんなことはないでしょう。そんなあなた、この協会のことに関してちゃんとやると言ったじゃないの。
  154. 高鳥修

    高鳥委員長 和田委員に申し上げますが、ただいまの問題については、事実関係を外務省側においてよく調査していただくこととして、保留をしていただいて、質問を進めていただきたいと思います。
  155. 和田静夫

    ○和田(静)委員 外務大臣、結構です。保留になったから、後でまた、  新潟県知事選挙の際の二億円の問題について、けさほど中間報告がずっとあったんですが、佐川グループが三億円を出した、ここは中間報告に載っていますね。そのうちの一億円に関しては前知事政治資金規正法違反に問われています。しかし、他の二億円については立件されていない、されなかった、こう言っているんですが、では、この二億円の流れはどこまで明らかになって立件されなかったんですか。
  156. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  けさほど法務当局から御報告申し上げましたように、「残り二億円についても、必要な捜査を行いましたが、政治資金規正法違反等嫌疑ありとして訴追するに足る事実は確認できませんでした。」と、こういうことでございます。そのほか、捜査当局がその捜査過程でどのような事実を把握したかということについては、これはお答えをいたしかねるわけでございます。
  157. 和田静夫

    ○和田(静)委員 どうも、お答えできない、お答えできないという答弁がずっと続くんですが、私は、この国会が持っている意味というもの、東京佐川を中心として、佐川全体、私は四千九百八億ということを二月十九日のこの委員会でも申し上げていますが、その全貌が明らかになることを国民は期待をしているわけですね。ところが、その糸口でもってあなたの方はすべて逃れてしまおうとする。月並みな答弁で終わらせようとする。そこに私は、きょうの冒頭申し上げた、真摯な態度で答弁をしない、それが日本の政治改革全体に大変悪い影響を及ぼしている、そのことにやはり気づかなきゃならぬと私は思うんですよ。  私は、時間があれしていますから、今保留になったこともありますので。  五月の連休後に、あのときの五月の連休後に自民党新潟県連、当時の県連会長は渡辺郵政大臣でありますが、県連サイドに二億が渡ったはずだと言われている、そういうふうに言われている。これはもう少し時間がたちますとしっかり証言をする人が出てきますが、と思いますが、渡辺郵政大臣個人を今云々するのではなくて、県連会長としての立場にあったあなた、あなたは五月十五日に渡邉社長と会っていらっしゃいますね。五月二十日には近藤元次現官房副長官が県連会長に交代して就任をされているわけであります。近藤さんは、あちらこちら報道によれば、二億円という問題について、私は受け取ったことは一切ない、こう明言をされていますね。  一説には、亡くなった、私は参議院で同僚議員でありましたから親しくつき合わせていただいておりましたが、長谷川信さんが五月二十四日に東京佐川急便に行っている。そのときに受け取ったのではないかというふうに言われて、遺族の方々、大変迷惑している。墓場まで二億を持っていってしまったんだろうかという言い方で激怒をされていますね。これは、遺族の方々が当時の長谷川さんの日程を繰ってみて、公用車でもって五月二十四日には東京佐川急便に行っている。公用車でもって二億円といういかがわしい金を運ぶはずがない。そうすると、三億円のうちの残りの一億円の方は金子知事が五月の十日に受け取っていますね。  そうすると、どうも私は疑念に思うのは、ここのところが疑念に思うから解明をしてもらいたいんですが、県連会長の任期がずっと先に来ていたあなたが、五月をずっと越えて、そして近藤さんに引き継がれるのが五月二十日、こういうことでありますので、どうも二億円は県連を代表されて当時の会長であるあなたが受け取られたのではないだろうかという疑念が浮かびます。ほかの問題で幾つかのことを指摘をしたのは、実は渡邉社長とあなたはかなりのつながりがあったということを知ってもらうためでありましたが、本当にこの二億円は県連会長は全然関与されていませんか。
  158. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 これは、和田先生ともあろうお方が、ここで私にそういうような意味での質問は、私は非常に心外です。それは私は、以前も、参議院でしたか、あるいは記者会見で私ははっきりこの問題も否定をしているわけですね。県連会長であったということは事実ですよ。事実ですが、しかも、どうも私のところにそれが来ているという週刊誌やそういうような報道と同じように私に質問をされていることは、私は非常に心外であります。  ちなみに、そういう報道をしたところに対して私は法律的に措置をとらせていただいておりますということを一つ申し上げておきます。  それから、今おっしゃておられる東京佐川の元社長渡邉さんと私とのことは、非常に親しい、こうおっしゃっておられる。なるほど親しくはなくはありません。しかも、その親しさは、現実に田中角栄先生引退後に私はごく、お話し合いをするようなことが頻繁になるのでありまして、その以前というのは、まあ何回かどこかでお会いをしたということはあるかもわかりませんけれども、そういう関係でないんです。私は、田中先生の関係者というのは非常に大事にしてきた一人です。私の方からモーションを起こすようなこと、一切しておりません。ですから、その県連会長のときには、私が言われてきたような関係における東京の佐川社長渡邉さんとの関係は一切ないということを、このことだけははっきり申し上げておか左きゃいかぬというふうに思います。  私は私で記者会見ではっきり否定をしているということを先生、私が何にも否定していないで、何かそうなんじゃないかというような言い方ですけれども、記者会見で否定しているものはそれ以上の公の場はないんじゃないでしょうか。あっちこっちで私は言いまくらなきゃならないような、言いわけしなきゃならないようなことは何一つありませんよ。このことは先生、私の名誉に関する問題ですから、それはぜひひとつ、疑惑を持たれているなどということを国会の場で私言われたら、選挙民にも申し開き立ちませんから、そのことだけははっきりしておいてください。
  159. 和田静夫

    ○和田(静)委員 私は、この質問はきょう初めてやっているわけじゃありませんよ。二月十九日にあなたに対してこのことは指摘をしています、ここで。それで九カ月たっています。これならば、当然そういう事実関係がないのだという、その県連の会長の立場におありになったのでありますから、そしてきょうの中間報告が認めていますように、三億行ったことは間違いないのでありますから、二億について党の立場でどういうふうに調査されたのですか、あなた、県連会長として。そのことを問うているのに、何もあなたに高飛車に出られる必要は全然ないんですよ。
  160. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 先生も政治家ですから御存じだと思うのですけれども、県連会長というのは全部取り仕切るんじゃないんですね。選挙に関しては選対本部長というのがその前に置かれまして、私は、御存じのように、あれは四月ぐらいだったでしょう、リクルート問題が出てきまして、そして既に、言うならば四月の二十日の君元知事の死亡による選挙が明確になったために、私はむしろ辞任をしたわけなんです。これは私がリクルート問題を抱えて、県連会長という肩書で保守系の候補を擁立し選挙をする責任者としてふさわしくないとみずから考え、また指摘もされ、新潟県の自民党の県会議員の先輩の皆さんや同僚の皆さん、皆お集まりいただいて、そこで私は県連の大会までは一応引き継ぎながら、かつまた候補者の調整は次の県連会長と二人で作業するということによって、そして選対本部長は次の県連会長が当然なるわけですから、県連会長が選対本部長をやるのは当然のことです。そこでそういうふうに運ばれたことでありまして、私はすべて責任ないとは言いません。それは選挙は入り口はお手伝いをしながら一緒にやってまいりましたし、後もまたそういう立場ながら県連会長前任者としてこれは県下じゅうを私は回りました。  ですから、それは当然のことですけれども、しかし、であるがために私がこの金のことをすべて掌握をして、そしてそのことについて私が弁明をしなきゃならぬということではないと思うのです。事実、金銭のことについては県連の内部において事務的にすべて私はいろいろな調査あるいはまたそれに対する回答等々は行われているはずでございます。  私は県連会長をもう辞しておりましたから、政治資金規正法による知事選挙あるいは参議院選挙における報告書にも、私としての責任は全くそこに関与すべきものはなかったという実態は御理解をいただきたい。
  161. 和田静夫

    ○和田(静)委員 これは私は、とにかくこの二億円の流れというのは、きょうの中間報告を受けてどうしてもお互いが明らかにしなきゃならぬことだと思いますよ。その一端の責任は、当時県連会長であったあなたにもありますし、今の官房副長官が県連会長におなりになったわけでありますから、仕切られた責任というのがあるわけでありますから、我々の方も調査を進めますが、それはあなたの方でもやっぱり調査をされて、そしてこの二億円の行方というものをお互いが明らかにする、そのことが必要だと思いますから、そのことを求めておきます。  けさ来論議がありました金丸さんの五億円の問題でありますが、金丸さんの受け取った五億円について、加藤委員も触れましたように、当初、渡邉社長証言と受け渡しの期日が半年近く食い違っていた。これは生原秘書が衆議院選挙前と必死に言ったからそのとおりにしてやったのだという意味の金丸さんの証言があります。  では、なぜ生原秘書は衆議院選挙前にこだわったのだろうか。どんなに考えてみても、私のつたない頭脳では、検察との間に何らかの申し合わせのようなものがあったのではないかという疑問がこれはわかざるを得ません。先に罪があった、先に刑罰があった、こういう感じがどうも強いのであります。多くの人が抱いている疑念であります。検察はなぜ衆議院選挙前と断定されたのですか。けさはどのような答弁では私は納得いたしません。
  162. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  先ほどもお答えしたかと思いますけれども、既に確定裁判によって判断された事実認定自体について、ここで御意見を申し上げることはいたしかねるわけでございます。  それから、先ほど、今のお尋ねの件も含めまして、午前中に御報告した以外のことについてどうして報告できないんだという趣旨のお尋ねがあったかと思うわけでございます。この点については十分御理解をいただかなければならないと思うわけでございますが、申すまでもなく、検察当局刑事責任の有無及びその程度を明らかにするために証拠を収集するわけでございます。また、それゆえにこそ、刑事訴訟法に定められた強大な権限を行使して、人の秘密にわたる事項に立ち入るという性質のものでございます。したがいまして、検察当局捜査の結果得られた資料あるいは捜査過程で把握した事実等がほかの目的に、刑事手続以外の目的に利用される、あるいはこれが公になるということになりますると、これは関係者の人権の保護はもちろんのこと、国民の信頼と協力のもとに円滑に遂行していかなければならない今後の捜査公判に重大な支障を生じてくるわけでございます。そういう意味で、従来から起訴されていない事実関係につきましてはお答えを差し控えさせていただいているわけでございますので、その点はひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  163. 和田静夫

    ○和田(静)委員 どうもこの五億円の件については、裁判で終わってしまっているからという言い方で逃れられるのでありますが、問題は、そこに至るまでの、略式で終わらせたという検察の行為そのものが、今日世に問われているのですよ。そこが問題でありまして、贈収賄罪が一体成り立たないのだろうかという疑問を相変わらず私は持っていますよ。あるいは金丸さん個人の所得税法違反がないのだろうか。あるいはそのことがないのなら、金丸さんと生原さんの政治資金規正法違反の共犯、いわゆる不記載罪がないのだろうか。そして、四番目にあえて言えば、皆さん方が先取りした政治資金規正法の量的制限の違反、こういうふうになる。  そうすれば、当然被疑者本人が調べられることが必要であるにもかかわらず、最も軽い量刑のものが先に決められて上申書処理がされる。ところが、その上申書も、すべて秘書任せであったということでありますから、個人で受け取ったということになっていない。そういう金丸証言を考えてみれば、上申書との間には整合性がなくなってきていますね。これらをやはりこの機会に私は明らかに国会の場がすべきだろうと思うのであります。  たくさんのことを申し上げる時間がありませんが、例えば刑法百九十七条ノ四、特別公務員である国会議員が請託を受けて、そして他の者に対して「相当ノ行為ヲ為サザラシム可ク斡旋ヲ為スコト又ハ為シタルコトノ報酬トシテ賄賂ヲ収受」したとき、これは五年以下の懲役ですね。請託というのは暗黙の了解でもよいということにコメンタールによればなっています。わいろ性ありという認識が金丸さんの証言の中では明確にあったがゆえに、十億の話があったときにはこれを断った。ところが、それを持ってきて、もらってしまった、これを右から左に政治団体に入れて、それを配ってしまった、後の祭りと考えた、こういうある意味では虚心な表現になっているのじゃないですか。
  164. 濱邦久

    濱政府委員 先ほどからお答え申し上げておりますとおり、確定裁判によって認知された事実は、渡邉廣康から公職の候補者である被告人金丸の政治活動に関する寄附として現金五億円の供与を受け、もって同年中において同一の者に対してなされる百五十万円を超える政治活動に関する寄附を受けたものであるという政治資金規正法違反の事実を認定し、これが確定しているわけでございます。
  165. 和田静夫

    ○和田(静)委員 委員長、逃げの答弁ばかりされておっては困ると思うのですね。これはもう少し政府の中でしっかりした答弁ができるように、ちょっと統一的な見解を出してもらいたいと思うのです。後のテレビの関係があるものだから、私はこれ以上時間を引っ張るわけにはいかぬものだから急いでいるのでありますが、こういうやりとりというのは、それはもう話にならぬですよ。  例えば、道路調査会の会長という職務が自由民主党の中にありますね。道路調査会の会長として便宜を図る行為、これは後ほど、そういうようなこともあって五億円持ってきたのではないか、うっかり受け取ってしまったという金丸さんらしい証言になっているわけでありますが、贈収賄罪の可能性というのは明確に私はここに出てきていると思うのですよ。それらについてなぜお調べにならなかったのだろう。第一線の検察官をしっかり招致して、もっとこの辺は詰めた答弁の用意をされた方がいいのじゃないですか。あなたはここで逃げの答弁ばかり考えている、そういうようなことでは済まされない問題だと私は思います。
  166. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  午前中の捜査処理結果の報告の中でも申し上げましたように、今委員が御指摘になっておられます刑法上の受託収賄罪あるいは贈収賄罪等の罪も含めまして、想定される犯罪とその可能性について検討した結果、訴追をした以外に訴追するに足る犯罪嫌疑を確認できるものはなかったという結果だったと聞いているわけでございます。
  167. 和田静夫

    ○和田(静)委員  聞いておりま。聞いておりますの答弁では、もうこの問題はらちが明かないと思うのです。私は。検事総長にこの席にお出まし願って、そして明確に答弁することを求めます。これは理事会に預けます。
  168. 高鳥修

    高鳥委員長 ただいまの要求につきましては理事会で協議をいたします。
  169. 和田静夫

    ○和田(静)委員 もう一つ、六十数人に配ったという話がずっとあるわけですね。この六十数人の配り先に大臣、政務次官がどうも、金丸さんでは大臣やったって貧乏人はいるのだよというお話があるのでありまして、大臣や政務次官がもしいれば、これはもう百九十七条ノ四のあっせん収賄罪の疑いが当然出てくると思うのですね。金丸証言に基づいてぜひ略式起訴の前にこのことは調べなければならなかったのですが、今の答弁にあるような形でありますから、私は、検事総長がお出ましになるときにはこの答弁もしっかり用意をして出てきていただきたい、そのように求めておきます。よろしいですか。
  170. 高鳥修

    高鳥委員長 はい、和田君。
  171. 和田静夫

    ○和田(静)委員 ところで、私は、あと残されたわずかな時間で補正予算そのものにちょっと触れておきたいのであります。  PKOカンボジア派遣経費は約八十三億円と言われますね。平成四年度の防衛庁予算のどこに一体PKOの経費が計上されているんですか。防衛庁の四年度の給与費積算の中にカンボジア派遣隊員の五段階手当金が入っているはずはこれはありませんよね。カンボジアヘの輸送船の油代、航空自衛隊の揮発油代、四年度予算の積算にあるはずがこれはありませんよね。もちろん、私は通常の予想の範囲内で主務大臣に予算執行が任されることぐらいは、衆参通じて予算委員長くやっていますから知っています。知っているつもりです。  しかし、国の防衛、領土、領海、領空内で使うことが前提であって、外国の領土で使うことを含んではいないでしょう。当初予算の説明の防衛庁設置法の定める云々で、国会が予算審議した時点で外国で防衛費が使われることが含まれていたかといえば、ノーでしょう。  そうすれば、国会が予算を審議するときは、その時点での法律、制度、予算執行の仕組み等が前提で、その上に立って国民の税金が使われることになっているはずであります。したがって、予算関連法案が年度初めに重要になって日切れだ、日切れだと言われるのはそこにあるわけでしょう。平成四年度予算審議当時なかったPKOを自衛隊経費で賄えるというのは、一体これはどういうことでしょう。
  172. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 カンボジアヘの派遣経費は、これは約七十五億円防衛庁で、これは細かいことはまた政府委員の方から申し上げますが、これは原則的に既存の経費で賄いました。しかし、先生が今御指摘のように、これは当初予算で予定されてなかったものではないか、そのとおりでございます。しかし、その後、特別委員会で審議され、そして法律によりましていわゆる平和協力法が成立して、授権が与えられたわけでございますから、これは既存経費で賄うことができなければ予備費もしくは今回の補正予算ということに相なりましょう。権限は法律によって与えられたわけでございますから。  しかしながら、既存経費の中でも、これは大蔵大臣の方の所管でございますが、一般的に経費の留保等をいたしておりましたから、その留保の財源の中で、大蔵省と接触いたしまして、その中でこの経費を賄うことにいたしましたので、補正計上はいたさなかったわけでございますし、予備費にも要求をいたさなかった、このような次第でございます。
  173. 和田静夫

    ○和田(静)委員 大蔵出身の防衛庁長官にしては非常に無理な答弁をされていますが、あなたと論議をするつもりは一つもなかったのです。大蔵大臣とちょっとやりたかったのですが、私は、憲法八十五条に違反をする行為が今行われている、そういうふうに思いますし、後ほど触れますが、財政法三十二条に明確にこれは違反をしている。  そういう観点でもって論議をちょっとしておきたいのでありますが、これは血税の使い方を予算、決算を通じて審議、議決する、そういう議会制民主主義というのは私はやはり無視されているんだと思うのですよ。PKO経費は議会は関係ありませんとあなたは言われませんが、法律と予算は、法律ができたからといって予算がないものを無理やり防衛費の中から捻出する、これは憲法八十七条によるところの予備費というなら少しはうなずけますけれども、うなずけるというのはおかしいけれども、もともと私は反対だけれども、まあとにかく考える余地はありますけれども、どうも八十五条には明確に違反をしている。私はどんなふうに抗弁されてもそうだと思うのですよ。補正を論議をする機会がある、しかもこの国会は佐川の問題にしろ、あるいはきょうは私が触れるあれがありませんけれども、十兆七千億を裏づける予算の問題にしろ、早期の臨時国会の召集というのは私たちの声であったし、国民的な声でもあったわけですね。その時期が早まっておれば、補正で組んでちゃんと執行できたはずですよね。そういう機会を宮澤総理は逃されたわけですね。召集をされずに逃されたわけです。  私は、そういう意味では、PKOの八十余億円というこの予算の執行は本来補正予算に計上する、事前に議会の承認を得て支出をする、それが当たり前のことであって、これが補正予算に組まれないということは、どんなに言われてみたところで、今の執行状態というのはこれは違法の状態であるということを言わざるを得ません。これは、憲法八十五条は、「国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。」ということは、釈迦に説法でありますが、よく御存じのとおりでありまして、カンボジアのPKO経費というのは、国会の議決は、法律は別ですが、行われていないのですよ、これは。  したがって、四年度の防衛予算にPKO予算を含めることは、これは根拠法なしでできないわけですね。防衛庁設置法の範囲外ですよ、これは。我が国の憲法、財政法は、国会の事前承認が血税を使う場合の絶対必要条件と位置づけているわけです。今あなたの答弁にありました八十七条の予備費を私は知らぬわけじゃありませんよ。PKOなら事前承認なしに国費が使える理由。PKO経費は国会の事前承認がない、したがって、正確には予算がない。それにもかかわらず八十億円余が支出できるとしたら、議会の予算審議権と財政コントロール機能は、私はないに等しい、こう思うのですよ。これは大変めちゃくちゃな話じゃないかと思っています。大蔵大臣、いかがですか。
  174. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 ちょっと先生、恐縮でございますが、今の成立した予算が、領海、領空、領土の内というようにもおっしゃられましたが、必ずしもそうではございませんで、ペルシャ湾における機雷掃海の経費等も既存の予算で処置したわけでございます。また、今回のこのPKOの予算も、結局は新しい、全く新しいものをこの国会の承認を経て創設するという意味ではございませんで、すべて既存の経費で賄い得るという予算上のそういう制約の中での処置でございまして、これは法律によってその権限が与えられました以上、私の方としては、まあ財源がなければ予備費でお願いするし、また補正でもお願いするわけでございますが、留保経費等々もございましたので、その費用の中から支出したわけでございまして、決して私ども違法だと考えておるわけではないことをちょっと申し添えさせていただきます。
  175. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 この問題につきましては、たしか本予算の御審議の際にも、今度PKOが実際に動くとしたときの経費をどうするんだというお話があったわけでございますけれども、計画ですとか調査、こういったものの基本的なものにつきましては総理府の予算の中で対応し、また実際に動くときの経常的な経費につきましては防衛庁の既定経費の中で実施されるものと思いますということを、実は私どももたしか御答弁を申し上げてまいったわけでございまして、今度の防衛庁の支出については、これは妥当なものであろうというふうに申し上げたいと思います。
  176. 和田静夫

    ○和田(静)委員 いや、もう時間がありませんからあれですが、私は、いずれにしても政府答弁というのは、憲法、財政法等の規定、精神から、これは認められません。これは統一見解を私は出してもらいたいと思う。私、きょう時間を残しますから、後のテレビの関係がありまして、さきの外務省の保留もありますから。この補正を撤回をして、せめて八十数億円の防衛庁予算の組み替え補正を私は提出すべきだと思う。  例えば、別の視点から考えてみましても、いろいろなことを言われましたけれども、既にPKO派遣に支出された金は、国会で議決した予算からすると目的外支出となる危険が私はあると思うのです。財政法三十二条はもう読み上げませんが、これは、「各項に定める目的の外にこれを使用することができない。」こうなっているわけですからね。  そうすると、項を見てみても、あるいは防衛庁予算を見てみても、そんなものはあなた、ないですよ。あるわけがないんだ。私は、隊員に対する給与に関して、当初予算で基本給や諸手当、超過勤務手当がどのように査定、計上されたんだろうかと非常に疑問ですよ。そんなもの、やられていませんよ。あるいは被服はどうですかと言ったら、そんなものもやられていませんよ。そういう状態ですからね、完全に目的外支出ですよ。私は、国会の予算承認と違ったその点で違法、不当な支出である、そういうふうにこれは言わざるを得ません。したがって、明日、統一見解を求めます。  先ほどの保留の時間を残しておきますが、よろしいですか。
  177. 高鳥修

    高鳥委員長 速記とめてください。     〔速記中止〕
  178. 高鳥修

    高鳥委員長 それじゃ、速記つけてください。  これにて加藤君、楢崎君、和田君の質疑は、留保部分を除き終了いたしました。  次に草川昭三君。
  179. 草川昭三

    草川委員 公明党・国民会議草川であります。  まず、検察庁に質問をしたいわけでありますから法務省の刑事局長に答弁をお願いをしたいわけですが、私どもは先週の二十六、二十七の両日、東京佐川急便事件の疑惑解明のために、竹下登元首相の証人喚問、渡邉廣康元東京佐川急便社長、この方は東京拘置所に出張尋問、それから金丸信自民党前副総裁を臨床尋問をいたしました。しかし、疑惑の解明からはほど遠くて、疑問は一層深まっておるわけでありますし、この証人喚問は、あくまでも解明の端緒をつかむ第一歩だと思っております。  特に、金丸氏は、東京佐川急便から五億円の政治資金を受け取り、政治資金規正法量的制限違反として罰金二十万円の刑が確定されておるわけでありますが、そのときに二通の上申書というものを提出をしておるわけであります。一通は事実関係を認めたものと言われているわけでありますし、もう一通は、私どもも閲覧をいたしておりますが、略式手続告知に関するものであります。  問題は、私どもが閲覧をしましたのは手続上の一通にすぎないわけでありまして、事実関係を認めたものについては閲覧が現在までのところできておりません。去る二十四日の本予算委員会におきまして、公明党の市川書記長がこのことを要求をいたしましたが、刑事局長は、確定事件の記録については、閲覧制度があるけれども、制約があって要望には応じられないという答弁をしておるわけであります。  そこで、私はこのことを念頭に置きまして、真相究明のためには、開示されていない上申書というものをどうしても明らかにしていただきたいというので、十一月二十七日に行われました、金曜日でございますけれども、金丸氏の臨床尋問の冒頭に、金丸証人に私は尋問をさしていただいたわけであります。どういう言い方をしたかといいますと、金丸証人に、「上申書の写しを国会に出していただくわけにはまいりませんでしょうか」、こういうことを尋問したわけであります。金丸証人は「これは出してもいいんじゃないですか。どうなんですか」と、傍らに見えました補佐人、弁護士でございますが、安部さんに聞かれたわけであります。そのときに安部補佐人は、この議事録というのですか記録にも出ておりますけれども、「これは検察庁の方に……」ということで、「……」ということになっておりまして言葉が不明でございますけれども、こういう口を挟まれました。そのときに高鳥委員長は「こういう状態ですので、今補佐人からのお答えをお聞き取りおき願います。」と発言をされたわけであります。  問題は、金丸氏本人が上申書の写しを国会に提出してもいいという気持ちを持ってみえる。ならば、私は法的には何ら問題がないと思うのです。  そこで、法務省刑事局長にお尋ねをしたいわけでありますが、金丸氏が持っている上申書の控えを国会にもし提出をすることができるならば、提出をされるならば、それを検察庁は阻止しませんでしょうね、そこだけお伺いをしたいと思います。
  180. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  今の委員のお尋ねにつきましては、法務当局としては特段の意見はございません。  ただ、念のために申し上げておきたいわけでございますが、今委員が御指摘になっておられます上申書は、金丸議員に対する政治資金規正法違反事件の確定記録中にあるわけでございまして、いまだ公開されていないものでございます。確定記録中にある訴訟記録それ自体を国会に提出することはできないことはたびたび申し上げているわけでございますが、仮にその写しと称されるものが国会に提出されたといたしましても、それが原本と相違ないかどうかということについてはこれを確認する立場にはないということだけ、念のため申し添えさせていただきます。
  181. 草川昭三

    草川委員 それは当たり前の話で、法務省のものを出せと言っても、断っておるわけですから。  問題は、その写しなり控えがあるはずでございますから、それを我々がいただきたい。いいですよとおっしゃるならば、これは我々は、この真相究明のためにも、あるいはまたその経過がどのような形でなされたのか、大変参考になるわけでありますから、今の刑事局長の答弁にありますように特段意見を挟まぬとおっしゃるわけですから、せっかく金丸さんが出してもいいんじゃないのと、こう言ってみえるわけですから、改めて私どもは、委員長を通じてぜひ金丸さんにその意思を伝えていただきたい、この旨をまず冒頭に申し上げたいと思うのですが、どうでしょうか。
  182. 高鳥修

    高鳥委員長 後刻理事会において協議の上、措置したいと思います。
  183. 草川昭三

    草川委員 ぜひ私は、各理事の方々にも御協力を願って、その控えを出ささしていただくことができるよう申し入れをしたいと思うわけであります。  では、第二問に入りますが、今回の竹下、それから渡邉被告、それから金丸各氏の証人喚問で幾つかの重要なポイントというものが明らかになりました。特に午前中、中間報告が発表されましたけれども、ことし行われました共和問題の際の中間報告に比べますと、私は、法務省から出たこの報告というのは一歩踏み込んだ内容だと思います。  そういう前提で法務省にお伺いをしたいわけでありますが、まず、渡邉東京佐川急便社長より金丸氏が受け取ったとされる五億円は、東京佐川急便事件松沢被告から裏金として渡邉被告が受け取った十七億五千万円から出たと思うのですが、改めてお伺いをしますが、間違いあるかないかお伺いします。
  184. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  そのとおりというふうに承知しております。
  185. 草川昭三

    草川委員 そこで、総理にお伺いをしたいんでございますけれども、という今の刑事局長の答弁は、総理、特別背任事件の中から出た裏金を政治家が受け取ったということになりますね。総理、このような事実をどのように御評価なされるか、お伺いをします。
  186. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 御質問の意味をはっきりとらえかねますが、受領した人がその金の性質を知っておったかどうかということを知る由がございませんので、明確にはお答えいたしかねると思います。
  187. 草川昭三

    草川委員 わかりました。ではまた、その点は後で総理の見解を聞きたいと思うので、今からの私の質問をちょっとよく聞いておっていただきたいと思うのです。  十一月二十七日の金丸証言、皆さんもうお手元に持っておりますが、この七十一ページに、「五億という金は多分、いろいろ大きな負債もある、背任罪もあるというような問題が、私をして何とか利用しようとしたんじゃないかというように私は解釈しています」と言っておみえになるわけですね。要するに、東京佐川が金丸氏のところへ持ってきた五億というものは、何か意図があったというように今金丸さんは解釈をしてみえるわけです。いわゆるこの金のダーティーさというのですか、暗い金だということを述べてみえるわけであります。  自民党の総裁としてお伺いをしたいわけですが、こういう性質の金が政治活動に使われていた、入っていたということについて、総裁としてどのような考え方を持っておみえになるのか、お伺いをしたいと思います。
  188. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 それも、もう少し問題がはっきり限定されませんとお答えが申し上げにくいと思うのです。つまり、何にも理由がなしにお金を持ってきたわけじゃないんでしょう、そういう設問に対して、うん、それはまあいろいろ厄介になりたいこともあったんだろうな、例えばそのような種類のお答えだと思うのですが、それは法律問題であるよりは、恐らく草川委員のお尋ねは倫理の問題としてどうなのかという、どちらかといえばそういうお尋ねだと思いますが、それは政治家一人一人の倫理観によることであろう。もうちょっと問題が具体的でございませんので、一般的にはそうお答えを申し上げます。
  189. 草川昭三

    草川委員 そこで総理、きょうは中間報告が出たわけですね。法務省から中間報告が出ましたから、当然総理も読んでおみえになると思うのですね。  私が問いたいのは、政権政党の総裁として意見を聞きたいわけでありますが、金丸さんは御存じのとおり副総裁でありますね、であったわけですよ。この金丸さんが受けられた五億円というのは違法な献金だった。この献金の金の出所も、犯罪によって生まれたところの汚れた金であるということが明らかになってきた。しかも、それが六十数人の政治家に配られたというようなことを記者会見で天下に公表されてみえる。もちろんもらった方は、先ほどお話があったように汚れた金の意識はなかったでしょう。そういうことがついていればだれも取りませんから。しかし、この中間報告によって汚れた金であるということがわかった以上、総理は手をこまぬいて今のような御答弁をずっと続けられるわけにはまいらぬと思うのですよ。政権政党の総裁として、この中間報告を、これは大変なことだ、さあ緊急に党の幹部会でも開いて厳重に調査しようじゃないかというような行動があってしかるべきだと思うのですが、どうでしょう。
  190. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 まず一言申し上げておきたいのは、この事件は、事件としては今公判係属中の事件であって、最終的に司法上の、裁判上の決定が行われたわけではございません。このことをまず申し上げておかなければなりません。  そして、私どもの党としましては、これについてはそういう公判が一方で係属中であり、他方でまだ司法当局によって、検察当局によって取り調べ中のものもある。また、国会でこのようにいろいろ国政の立場から御審査もあるということでございますから、そういうものの進行を見ながら私どもの党としても、ある段階で、党規に反しあるいは党員の倫理に問題があるというようなことについては調査をいたしてみたいと思います。
  191. 草川昭三

    草川委員 これはまた私どもの市川書記長の議論のところに戻るのですが、調査をしてみたいと思うのですが、これを見て、改めて速やかに行うというような意識があるかないか、従来の延長線で何か問題になっているから党の方でひとつ調べなさいよという程度なのか、決意を聞きたいわけですよ。
  192. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 これを見てとおっしゃいますが、これというのはいわば進行中のことであって、最終的にどういう判断が司法的になされるかということはまだでございますし、また、本院における御審査もこうやってまだ継続中である。いろいろなことを考えますと、決していつまでもほうっておいていいとは申し上げませんけれども、党としてもある段階でやはり事態の究明をする必要があり得る、こういう考えでございます。
  193. 草川昭三

    草川委員 じゃ、もう少し具体的に問題を進めていきたいと思うのですけれども、五億円の違法献金に関する金丸氏の証言は、献金の背景あるいは受領した時期、金丸氏の記憶はあいまいというよりも、私の感想を申し上げますと、非常に意図的な意思が十分加わった答弁ではなかったかと私は思っております。  金丸氏は、生原秘書が悲壮な気持ちで訴えるから総選挙前の一九九〇年一月ということにしたと言ってみえるわけであります。しかも、青木伊平さんという竹下さんの秘書が自殺したことも引き合いに出されまして、その二の舞をされては困ると考えるほど、実はその時期の確定については重要な背景を述べてみえるわけであります。私は、この時期の背景については隠された何かがあると思っておるのです。特にこの配付先については、生原秘書に聞いてくれというようなことを言っておみえになります。  私は、この生原秘書証人喚問については既に社公民一体になって要求をしておりますから、ぜひ今国会で生原証言の実現を、私はこれは院としても決めていただきたいし、予算委員会としても決めてもらわなければいかぬと思っております。  そこで、総理は、この我々の決意とは別に、先ほど来から申し上げておりますように、与党みずから真相究明の先頭に立つ決意を国民の前に明らかにしていただきたい。そのためにも、この五億円の配付先については、かつての副総裁である金丸さんが生原秘書に聞いてくれと、少なくとも金曜日の段階でおっしゃったわけですから、あれから土、日、月、こうきておるわけですから、総理としては公ではなくても内輪のいろいろな指示の中で、生原さんを一体どうなっているんだ、おい、だれか聞いておきなさいよというような行動があってしかるべきだと私は思うのですが、どうでしょう。
  194. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 立法府が国政調査のお立場から証人を喚問せられて、その証言につきましてただいま御指摘があったわけでございます。これはいわば捜査当局は当然関心を持つべきことであろうと思いますけれども、私は行政府の長として、それに対して指揮をするというような立場をとっておりませんので、したがいまして、そのこと自身について行政府としての意見を言えとおっしゃいますことは、これはお答えがしにくうございますが、私どもの党としてこういうことがあった、そういういわゆる金丸証言というものがあったということについては、当然党としては関心を持ちます。  ただ、先ほどから申し上げておりますように、全体の問題が国会において、あるいは検察当局において調査中でございますから、党としてどの段階にそういうことについての真相究明に入るかということは、ただいま申し上げることができません。
  195. 草川昭三

    草川委員 じゃ、今総理の答弁の中に、検察というのは一応は、金丸さんの方については量的規制違反で確定をしております。ただ、その配分先についてはいろいろな告訴がされておるわけですから、今のような答弁が一応あると認めて、国会においても調査をされてみえるのでという言葉を私ども引き受けて、総理も、ここは委員長よく聞いておってください、今総理も国会において審議をしておみえになるとおっしゃっているわけですから、ぜひ生原証人の喚問は衆議院のこの予算委員会で実現をするよう、強く総理の意向を受けて私はこれを処理をしていただきたいということを申し上げたいと思うのですが、その点どうでしょう。
  196. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 私は、ただいま草川委員が現実に私に御質問していらっしゃる状態について申し上げたのでありまして、もとより、立法府がこれについてどうなさるべきである、なさるべきでないというようなことを一切申し上げたつもりはございません。
  197. 草川昭三

    草川委員 それは、だから、私は念を押して質問をしておりますのは、自由民主党の総裁、政権政党の総裁としての見解を私は問うておるのですよ。いいですか、野党の党首の見解を聞いておるのじゃないですよ。政権政党ですから、日本国の政権をつかさどる与党の最高責任者として、国民の皆さんにも事態解決を、我々ももちろんそういう立場から物を申し上げておるわけですから、私は、これは後刻予算委員会理事会で、しかと真相究明のために生原証言については強く実現をするよう求めていきたいと思います。  では次に、東京佐川から金丸氏に渡された五億円について、金丸証言では、入ったのか入らぬか、金丸信政治団体に入れたことだけは確かと思う、それから先は彼がやったからわからないとあります。これは私の質問に答えられたことであります。また、別の証言では、それを「右から左に、いわゆる政治団体に入れて、それを配っちゃった」と証言をされてみえるわけであります。  そこで、自治省にお伺いをいたしますけれども、金丸氏の指定団体は新国土開発研究会だけでありますけれども、新国土開発研究会の平成二年分の収支報告には、金丸氏本人から新国土開発研究会に対してした寄附の記載はありますか。金丸氏本人から新国土開発研究会に対して寄附が記載をされておるかどうか、まずお伺いをしたいと思います。
  198. 吉田弘正

    ○吉田(弘)政府委員 お答え申し上げます。  自治大臣に提出されております新国土開発研究会の平成二年分の収支報告書によりますと、金丸信議員指定団体に対する寄附は三千二百八十万円と記載されております。
  199. 草川昭三

    草川委員 ですから、三千二百八十万の、個人からの寄附という欄に書いてあるわけでありますから、当然のことながら五億円というのは入っていないわけでありますね。そこで、金丸氏からの五億円というのが入金されてないということがわかったわけですから、今度は支出の方を聞いてみましょう。  新国土開発研究会の平成二年分の収支報告の支出のうち、寄附・交付金の総額は幾らになっているか、お伺いをしたいと思います。
  200. 吉田弘正

    ○吉田(弘)政府委員 お尋ねの、新国土開発研究会の平成二年分の収支報告書の支出の欄の寄附・交付金の額は、五千九百八十万四百十二円と記載されております。
  201. 草川昭三

    草川委員 今皆さんもお聞きになったとおりに、金丸さんの政治団体の支出の方は、トータルで五千九百八十万四百十二円という数字になっておるわけであります。  このことは、例えば記者会見で述べられました六十何人の同士諸君に配ったという五億円の支出が記載をされていないということが、今報告で明らかになったわけであります。いわゆる五億円というのは、どういう金の性質かわかりませんけれども、政治団体に入れて配ったという形跡はないわけですから、証言とこの事実というのはこれで食い違うわけであります。  そこで、証言とのこの食い違いは一体どういうようになっていくのかということでございますが、記載をされていないということは、虚偽収支報告書を作成したということになるわけであります。ここはひとつ明確にしておいていただかなきゃいかぬわけであります。  そこで、もう一度自治省にお伺いをしますが、政治団体収支報告書を作成するに当たり虚偽報告を行った場合、政治資金規正法上その罰則の規定はどうなっているか、読み上げていただきたいと思います。
  202. 吉田弘正

    ○吉田(弘)政府委員 具体的な事実が法律に違反をするかどうかということは、事実関係に即して判断をしなければなりませんので、私どもとして事実関係を承知しておりませんから、この問題についてどうこうということはお答えはできないわけでございます。  ただ、政治資金規正法上どういう規定があるかというお尋ねでございますれば、それについてお答えを申し上げたいと存じます。  政治資金規正法の規定につきましては第十二条で政治団体の会計責任者の報告書の提出に関する規定が設けられておりまして、また第二十五条で、第十二条の収支報告書提出の規定に違反して報告書等の提出を怠り、または報告書等に記載すべき事項の記載をせず、もしくはこれらに虚偽記入をした者について五年以下の禁錮または三十万円以下の罰金に処するものとされているという規定がございます。
  203. 草川昭三

    草川委員 かなり厳しい規定ですよ。お互いに政治家ですから、皆さんも御存じのとおりであります。  そこで、金丸氏の政治団体、新国土開発研究会は、先ほど明らかになったように、金丸氏が証言をしました五億円の入金、支出が記載されていません。  そこで法務省にお伺いをいたしますけれども、会計責任者は処罰をされるべきではないかと私は思うんですが、どうでしょう。
  204. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  委員が御指摘の件につきましては、午前中の御報告でも申し上げたとおり、現在検察当局捜査中でございまして、その犯罪の成否は、捜査機関が法の定めるところに従って収集した証拠によって判断すべき事柄でございますので、この場でお答えはいたしかねるわけでございます。  なお、一般論として申し上げますると、政治資金規正法収支報告書所要の事項を書かない、すなわち不記載罪について申し上げますれば、仮に収支報告書所要の事項の記載がなされていないといたしましても、この罪は政治団体の会計責任者について成立する罪であるということはもう御案内のとおりでございまして、会計責任者が現実には収支報告書の記載等に関与していない場合には犯罪は成立しないものというふうに理解しているわけでございます。
  205. 草川昭三

    草川委員 後段の説明は不必要な説明で、私の質問以外のことですから、私の質問の範囲内で答えていただかないと検察の公正さというのが疑われると思うんですよ。もう少し私の質疑に対してきちっと答えていただきたいと思います。  そこで、どうでしょう、国税局にちょっとお伺いをいたしますけれども、五億円という金額は大変大きな金額であります。仮に所得のない一般の人が他人から五億円をもらったらどのような課税をされるのか、また、どれだけの税金を納めなければならないのか、お伺いをしたいと思うんです。
  206. 瀧川哲男

    ○瀧川政府委員 一般論として、ほかに申告する所得とかあるいは贈与のない人がほかの人から五億円をいただいた、そういった場合の課税関係を申し上げますと、若干ちょっと複雑になりますが、まず、対価性を有するものあるいは継続性を有するものであるときには、これは原則としてまず雑所得として所得税の課税の対象となります。それ以外のとき、つまり対価性を有するものでなく、かつ継続性を有するものでないとき、こういったときには、まず、法人から受けるものにつきましては一時所得として所得税の課税の対象となる、それからまた、個人から受けるものにつきましてはこれは贈与税の課税の対象となる、こういう仕組みになります。  そこで、先ほど申しました雑所得として課税される場合でございますが、収入金額から必要経費を差し引いた全額が課税の対象となりますけれども、現行の税制のもとで、仮に必要経費がゼロでかつ所得控除が基礎控除のみと仮定しまして計算いたしますと、所得税額は二億四千五百九十三万円となります。  次に、一時所得として課税される場合でございますけれども、これは、収入金額から収入を得るために支出した金額、それから五十万円の特別控除額を差し引いた残額の、その二分の一が課税の対象となりますので、仮にその支出がゼロでかつ所得控除が基礎控除のみとまた仮定しますと、所得税額は一億二千八十万円となります。  なお、最後の贈与税として課税される場合には、贈与税額は三億三千八百六十八万円となります。
  207. 草川昭三

    草川委員 今国税局の方が答弁をされましたように、例えば五億の収入があったとするならば、二億六千あるいはまた一億二千等々の税というものは負担をする、当たり前な話ですね。しかし、この五億というものが右から左へ、しかも犯罪性を帯びた金が少なくとも政治家と名のつく方々に配付をされた、しかも税というのはかかっていない。一体、こういうことを国民の皆さんが承知をするわけはないわけであります。当然そういうことがあったからこそ、我々も本日このような集中審議をしておるわけであります。  改めて総理の見解を問いたいと思いますが、どうでしょう。
  208. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 見解とおっしゃいましても、事実関係が明確ではございませんから、特に私の見解というものはございません。
  209. 草川昭三

    草川委員 国民の皆さんが税というものの負担というものを非常に重く受けとめておみえになる。ところが、政治家だけについてはその課税を免れるようなことが行われているということを国民が怒っておるわけでしょう。だからこそ総理は、今までの国会答弁の中では、痛いほどそういうようなことはわかるというような趣旨のことを言っておみえになるのじゃないですか。こういう事実に対して、やはり税というものは公平でなければならないというような答弁はできないものでしょうか。
  210. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 もとより税というものは公平でなければなりません。ただ、その所得が政治資金に使われるか使われないかというようなことは、これは別の問題と思います。
  211. 草川昭三

    草川委員 私、これはやはりテレビで国民の皆さん見ていると思うのですよ。だから、こういう我々の問題については、総理というのは自分の生の声で、やはり税というものは国民の皆さんだけに負担をさせるべきではなくて政治家も所得として入るならかけなければだめですよと、国税局を指揮するぐらいの態度があってしかるべきだと私は思う。  こういうことだけ申し上げて、次に移ります。
  212. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 それはしかし、国税庁、課税当局は恣意的に行政をしておるわけではもちろんありませんで、法令に基づいて課税すべきものは課税をする、それから政治目的に支出されたものについてはそれは課税をされない、そういう規則に従って行政をやっている。そのことはもう御承知のとおりでございます。
  213. 草川昭三

    草川委員 私が言っているのはそういうことを言っておるのではなくて、先ほど来から、背任罪として告訴をされている、いわゆる犯罪性を帯びた金が政治家のところへ入っていってしまった。もちろんここには課税をされていない。庶民の方には、一般的な所得の場合には非常に税の負担が重い。この対比を今総理に私は求めておるのですよ。それに対する見解がないから、先ほどのようなことを申し上げたわけであります。  時間がございませんので次に行きますが、今度は暴力団の関係についてお伺いをします。  これは法務省に聞きます。十一月六日の東京地裁公判検察側が朗読をしました渡邉被告の調書についてお伺いします。  六十二年十月五日、東京プリンスホテルにおいて、竹下氏、金丸氏、小沢一郎氏と渡邉被告の四人が集まり、打ち合わせが行われたことが明らかにされておりますけれども、その際、朗読された渡邉調書の中で、「私から三先生に」、私というのは東京佐川の渡邉社長のことです。「石井会長からの話を伝えたところ、竹下先生が」云々、「面会自体を拒否された。もう一回出向いても同じことになろう。そうなると全くぶざまだ。おれはどうせだめなんだということを言いました。」というのがありますけれども、調書の中にこのような記載があるかないか、お伺いをしたいと思います。
  214. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  そのような記載があることは事実でございます。
  215. 草川昭三

    草川委員 今確認をされました答弁は、非常に私は重要なことだと思っておるのです。もう一博ちょっと触れますよ。  「私」、すなわち東京佐川急便渡邉被告です。「私から三先生に」、竹下、金丸、小沢の三氏に、「石井会長からの話を伝えた」というのが渡邉供述にあるわけです。いいですか、竹下氏に対し渡邉被告から石井稲川会前会長のことが伝えられたということなんです。  実は私は、十一月二十六日の証人喚問の際に竹下証人にこのことを質問をいたしました。尋問をいたしました。このときの十月五日の四者会談の席上、石井会長の名は一切出ませんでしたかという尋問をしたところ、出なかったと思っていると証言をされました。私が再度、絶対かと尋問をしたところ、今度は、記憶にないと答えられたわけであります。その席上で石井の名前が出たと一方では供述がある。ここで私は、渡邉被告との供述に食い違いがあるわけで、ここはどうしても聞きたいところなんです。  この会合で、竹下さんは知らないと、こう言っておるわけですね、暴力団の介入があったのは、一年後だと言ってみえるわけですよ。しかし、今の供述調書の中には、供述調書の信用性の問題についてはまた議論がありますよ、ありますけれども、少なくとも三人は、せんだって金丸さんもその会合ありましたよということを認めてみえるわけですよ。  だから、こういう点については食い違いがありますので、委員長、これは委員長に申し上げたいのですが、竹下氏の証人喚問の再喚問を私は要求をしたいと思うのです。これはぜひ取り扱うよう諮っていただきたいと思います。
  216. 高鳥修

    高鳥委員長 理事会において協議いたします。
  217. 草川昭三

    草川委員 ぜひ、稲川会石井の関与が少なくともこの席上で出たということは私は重大な問題だと思いますので、真相究明のためにこの点についての御協力をお願いを申し上げたいと思うわけであります。  そこで、先ほど、これは午前中の亀井委員の質問に対する刑事局長の答弁のことで、ちょっと確認をしておきたいことがありますのでお伺いをしたいと思うのですが、これは刑事局長です。  亀井委員は、検事調書に政治家の実名が出たということについての御質問をしてみえるわけです。刑事局長は、御指摘の調書は、検事調書のことですが、皇民党総裁が政治家が金銭解決を申し入れても街宣活動を中止しないという意思を持っていたことを明らかにするものであるような趣旨の答弁をされております。要するに、政治家が金銭解決を申し入れても街宣活動を中止しないという意思を持っていたことを明らかにするためのものだというように我々は聞いておるわけですが、この答弁は政治家から金銭解決の申し入れの事実があったと受けとめられるのですが、念のためにお伺いをしておきたいと思います。
  218. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  今の委員のお尋ねの前提として、私の答弁についての若干誤解があるのではないかと思いますので、もう少し正確に申し上げますが、御指摘の検事調書は、日本皇民党総裁がたとえ政治家が金銭による解決を申し入れても街宣活動を中止しないとの強い意向を示していたことなどの事実を立証して、渡邉社長に係る特別背任罪の動機を明らかにすることを目的として証拠調べ請求したものでございます。そこに記載された特定の政治家等が関与したという事実を立証したり、あるいはそのような事実を確定するものではないということを申し上げたわけでございます。
  219. 草川昭三

    草川委員 はい、わかりました。今の刑事局長の答弁にもありますように、政治家が金銭による解決を申し入れても街宣活動を中止しないとの強い意向を示した等の事実を立証、あと云々ということであります。  そこで、私が改めて申し上げたいのは、検察官調書はもう我々も十分その性格を知っておりますけれども、「政治家が金銭による解決を申し入れても」というこのくだりについては非常に、「政治家が金銭」をというところに我々は今後の調査を進めていかなければいけない問題もあるわけであります。その点を十分政府側の方も承知をしていただいて、我々に資料の公示、開示等々に協力を求めたいと思うわけであります。  そこで今度は、青木伊平さんが関与をしておるという話が、実はこの竹下証言でも金丸証言でも出てきたわけであります。青木伊平さんというのは、皆さんも御存じのとおり、竹下元総理大臣の分身とも言うべき政治秘書であります。  竹下氏は、昭和六十二年当時、皇民党対策に暴力団の関与したことを知らなかったと一貫してお述べになっておみえになります。  しかし、まず第一、三つ申し上げますから。第一、暴力団が皇民党対策にかかわったいきさつについての私の尋問に対し、金丸証人はこう証言しています。「その問題」、石井会長への依頼のことを言っておみえになるのですが、「その問題はいわゆる中尾宏と、いわゆる青木君との話の中で話が決まったんじゃないですか。」と述べています。このことは、竹下証人の青木秘書が暴力団の関与にかかわっていたということを明らかにするものです。まず、これは入り口です。一番。  二番目。先日、十一月二十七日の金丸証人への尋問の際、昭和六十二年十月五日の東京プリンスホテルにおける会合の出席について、金丸証人は、ここから証言ですが、「何しろ私の強く印象に残っておるのは、竹下、私」、「私」というのは金丸さん、「小沢、青木」とこうくるわけですね。「青木」そして「渡邉」、東京佐川急便渡邉社長、「こう私は理解しておるのですがね。」と証言してみえます。このことは、皇民党の褒め殺し対策として竹下氏に田中角栄邸訪問を説得をした席だと我々は理解をしております。その場にも青木伊平秘書がいたということがこれで明らかになったのです。これは二番目です。  三番目、申し上げます。先日、竹下証人は、私の尋問に対しまして次のように証言をしました。昭和六十二年の総裁選後、料亭吉兆において、渡邉被告と、渡邉被告というのは東京佐川急便渡邉被告と、金丸証人と竹下証人が会った席上、青木伊平氏もいたということを認めているわけであります。  青木伊平さんは全部にいるのです。皇民党褒め殺し中止要請の工作に全部立ち会ってみえるわけです。  ここで総理にお伺いをします。  総理、お聞きのとおり一連証人喚問を通じて、竹下氏の秘書青木伊平氏の関与がこれで明らかになってきたわけです。青木秘書は、一番最初に申し上げましたように竹下さんの分身なんです。青木秘書の行動は竹下氏と一体と見るべきが常識だと思うのです。青木氏が亡き今日、今はお見えになりませんが、青木氏が亡き今日、宮澤総理はこの喚問を通じて明らかになったことについては、私は、重要な事柄ですから竹下氏に真相を聞くべきだと思うのですが、そういう御行動はなされませんか。
  220. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 金丸証人のそのような御発言については、私も記録で承知をいたしました。青木という人がその三つの場所におったということでございます。しかし、それが例えば竹下氏と一体であるとか、あるいはそのことをすべて、話されたこと、考えられたことを竹下氏が御存じであったかどうかということについては、その証言は別に何も触れておりません。したがいまして、ただいまこのことについては、当委員会において御審査中のことでもありますので、私として意見を申し上げることは差し控えたいと思います。
  221. 草川昭三

    草川委員 私は、今このことについての意見を直接聞くというのでなくて、竹下さんに宮澤さんは電話の一つでもいいから、どうなっているんですかと、青木さんが全部にかかわっているということがわかったんだが、これは一年間たたなければ、一年後でなければ知らないということではちょっとおかしいのじゃないですか、本当のところどうなんでしようと言うぐらいの行動があってしかるべきだと私は思うのですが、どうでしょう。
  222. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 それは先ほどのお話に返りまして、党として、党員の仮に党規違反等々、あるいは倫理にもとる行為があるかどうかということについていずれ解明をしなければならない時期がございましたら、そういうことはいたしたいと思います。
  223. 草川昭三

    草川委員 大変恐縮な言い方ですが、えらいのんびりしておみえになるのではないでしょうか。事の重大さということを宮澤総理は御認識にならぬのじゃないかと思うのですが、一体今まで何のために各党の代表が本会議でもこの予算委員会でも、この政治家と金の問題、あるいはまた六十二年の自由民主党総裁選に当たって、右翼皇民党の攻撃、それを抑えるために、中止要請をするために広域暴力団稲川会の前会長の関与を許したという、もう国際的にも批判されているこの問題についての解明の先頭に立つべき総理の言葉だと私は思われませんが、どうでしょう。
  224. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 何度も申し上げることでございますけれども、このことは国会におきましてもこうやって国政調査の立場からいろいろ御議論になっておる、現にこの時点でそういうふうになっておることでございまして、それには竹下元首相もつい先週も証人としてお出になったようなお立場の方でございますから、そういう場合に、党としての党規違反等々の問題は、これは忘れることはできません、しかし、今の段階で並行して行うという種類のことではないだろうと思います。
  225. 草川昭三

    草川委員 では、こういう質問をしましょう。  金丸さんは議員辞職について、これも私の尋問でございますけれども、政治資金規正法違反の量的だけの責任ですか、あるいは暴力団関与の責任も含んでいるのか、こういう質問に対して、「自民党の副総裁という、自民党にとっては非常な重要なポイントの地位におる人間が、そのような問題が世の批判の対象になるということであれば、それも責任とらなければならない。」と証言してみえるわけであります。  副総裁はこのような責任をとったわけですが、副総裁を任命した総理には一体責任がないのかあるのか、お伺いしたいと思うのです。
  226. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 金丸さんが御自身の判断において、そういう副総裁をやめられることはもちろんでしたが議員を辞職されたということは、御自身の、今御紹介になられましたような立場について十分責任のあるいわば進退をされた、そういうことと私は考えます。
  227. 草川昭三

    草川委員 いや、だから私は、金丸さんの行動はそれでいいのですよ。総裁としてどのような見解かと言っているのです。総裁は関係ないのかと言っているのです。
  228. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 副総裁をやめられ、議員をやめられるに至りましたようなことは、私としてもまことに残念なことだったと思っております。
  229. 草川昭三

    草川委員 残念だというのは、自民党の副総裁をやめたことが残念なのか。それから、金丸さんがやめざるを得なかったその暴力団の関与についても、総裁として残念だったと言ってみえるのか、ちょっとこれは重要ですからね、繰り返して質問します。
  230. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 こういう結果になりましたことを残念に思っています。
  231. 草川昭三

    草川委員 その結果の中には暴力団関与も含まれるわけですね。
  232. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 そのことは金丸さん御自身が、自分の人生のいわば哲学であるけれども、自分としてもまあいわばよくないことをしたと言われればそう思うと御自身で言っておられるので、私は十分と思います。
  233. 草川昭三

    草川委員 要するに、今初めて私はわかったんですが、宮澤さんは、金丸さんが暴力団の関与、いろんな関与があったということを認められた、それは金丸さん個人の問題だ、私は関係ない、こういうような趣旨にとられるんですが、間違いありませんか。
  234. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 さようなことは申しておりません。
  235. 草川昭三

    草川委員 多分それは申したと言ったらえらいことですからね、これは。だから申したのではないと言うならば、金丸さん、副総裁が暴力団と関与したということを認められてやめた、副総裁を任命した宮澤総理としては極めて残念だったとか遺憾だったとか、今後こういうことが二度とないようにしなきゃいかぬとかという決意の表明があってしかるべきじゃないですか。
  236. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 これは外で聞いていらっしゃる方もいらっしゃいますので正確に申し上げるべきだと思いますが、関与と言っておられる部分は、金丸さんの言っておられる部分は、つまり、一緒に飯を食って自分としてのいわば謝意でございますかそういうことを表したことは、自分の人生哲学であるけれどもこれはまずかったと、こういうことを言っていらっしゃるその部分、それは金丸さんがそう言っていらっしゃるんですから、私もそのことについて別に、別の意見を持っているわけではございません。
  237. 草川昭三

    草川委員 要するに、私が今お伺いをした範囲内では、自由民主党総裁の宮澤さんとしては今のようないわゆる考え方を持っておるということがわかりました。要するに、これはえらいことだと、自由民主党としても大変なことだと、それで金丸副総裁が暴力団の関与のことを含めてやめられた、私も総理・総裁として金丸さんを副総裁に任命した、私もこれは一端の責任がある、直ちに全党挙げて政治家というものはしかじかかくかく、こういうような私はアクションがあってしかるべきだと思いましたが、そういうことをやられないという宮澤さんだということがこれでよくわかりましたので、次に移ります。  じゃ、今度はローカルな話をしましょう、今中央の話ばかりしましたから。  最近、平成二年の話でございますが、愛媛県内の右翼団体が起こした町会議員の恐喝事件がございますが、その経緯を問います。警察庁。
  238. 廣瀬權

    ○廣瀬政府委員 お答えいたします。  お尋ねの件につきましては、愛媛県警察におきまして、本年五月十一日、いわゆる右翼団体愛国誠友会会長等四名を、土木建設業者、この方は町議でもあられますが、この土木建設業者に対する恐喝容疑で逮捕しておりまして、五月二十九日に起訴され、現在公判中でございます。  本事件の概要は、被疑者らは、土木建設業者が免許で許容された水面を越えて公有水面を埋め立て、その上に住宅を建築したことに因縁をつけ、平成二年九月中旬ころから連日街宣活動を行い、同街宣活動を停止することの解決金名下に、同年十月八日ごろ現金九百万円を喝取したというものでございます。
  239. 草川昭三

    草川委員 総理にこれはよく聞いていただきたいのですが、今は事件の概要でございますけれども、この問題は地元でも随分報道をされておりますから、既に総理の耳にも入っておると思いますが、現職の衆議院議員がこの右翼のかかわり合いについて仲立ちをしてみえるわけであります。しかも、この方は大臣経験者であるわけであります。一方では、右翼が土木業であったところの町会議員にいろんな意味での嫌がらせ活動をして街宣活動をした、参ったというわけで、まあ何とか話をしてやろうということで仲介をとられているわけでありますが、しかも、この恐喝をしたところの金額というのは、暴力団の方に上納をされているという、こういう事件であります。  私は、全くこれは残念なことだと思うのです。これが今の与党の体質ですか。総理が毅然とした態度をとりませんから、ローカルでもこういう話が出てくるわけです。今やまさしく社会問題です。右翼と暴力団と政治家との関係が一体どうなるのか、一つの例でございますけれども、きょうはこれが本筋でございませんから一々詳しいことは言いませんけれども、極めて残念なことだと思うのです。  国家公安委員長、一体今の右翼の行動、そしてまた暴力団との関係、本来の右翼というのは、戦前からのそれなりの理論家の人たちが多かったわけですよ。そしてそれなりのいろんな意見を表明していた。私はそれが右翼だと思っておりました。しかし最近は、今ありましたように、恐喝事件をやるような事例すら出てきました。どこで線を引くのかわからない。一体、こういうものが蔓延をするということ、しかもそこの中に政治家が介入をするということは私は極めて残念なことだと思うのですが、現状はどうなっておるのか。右翼関係の問題について、国家公安委員長としての見解と、それからあわせてこの事件についての総理の見解を賜っておきたいと思うのです。     〔委員長退席、原田(昇)委員長代理着席〕
  240. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 暴力団と右翼との関係というものは、截然と区分するということは実態上なかなか難しいところがございますが、しかし、それぞれの団体として行動しております行動の中身に上りまして、すなわち、右翼団体というものは国家主義あるいは民族主義を、これは極端なものは中にはございますが、それを標榜し、いわば政治活動、社会活動に重点を置いて活動しておる、この団体を私たちは右翼と見ておりますし、暴力団は、暴力、この威力を行使して私利私欲を満足さすために他人に迷惑をかけておる、こういう行動をする団体を暴力団と見ておるのでございますが、その間に、同一人であった場合もございますし、いろいろございますので、截然と、これが右翼でありこれが暴力団であるという截然とした区分を持って臨んでおるというものではございません。
  241. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 先ほど政府委員から事件について御報告があったのですが、その間に国会議員の関与がある云々ということはなかったように思いますし、また、この事件そのものが現在公判中でもございます。したがいまして、これにつきまして私から所見を申し述べることは差し控えるべきでございます。  もちろん、一般論として申し上げて、政治家が暴力団など集団とのかかわりを持つことはあるべきことでないということは、以前から申し上げておるところであります。
  242. 草川昭三

    草川委員 まあ現実の問題は、そういう方々がそれなりに関与しておるということも事実のようでございますし、コメントも出しておみえになるわけでありますから、私は、党の総裁としてかかる問題はきちっと処理をされることが望ましいのではないかと思います。  時間が来ておりますので、東京佐川急便と世界平和研究所との関係についてお伺いをしたいと思います。  財団法人世界平和研究所の設立経過については国会でもいろいろと議論になっておりますし、昭和六十三年六月二十八日の閣議了解で関係行政機関が協力をする、こういうことまで決めておるわけであります。現在、大蔵省からあるいは外務、防衛、経済企画庁、通産省等から政府職員も出向をしておるわけであります。私は大変重要な世界平和研究所だと思うのですが、ここに東京佐川急便からの寄附が行われているわけでありますし、かかわり合いというのが非常に重要な問題でございます。  ひとつ人事院に、世界平和研究所のような複数省庁から出向をしているような例は他にたくさんあるのかどうか、お伺いをします。
  243. 吉川共治

    ○吉川政府委員 お答え申し上げます。  現在研究休職の対象となっている研究所というのは六十八ございますけれども、そのうちで複数の省庁から職員を派遣している研究所の数というのは、私ども正確にはつかんでおりませんけれども、数件程度でございます。
  244. 草川昭三

    草川委員 六十八のうちの数件というのですから、この世界平和研究所というのは非常に特殊な例だと思うのですね。  この世界平和研究所の基金の総額は約四十五億円だと私どもの調査した数字が出ておりますが、どのようでございますか、答弁を願いたいと思います。
  245. 石倉寛治

    ○石倉政府委員 そのとおりだと承知いたしております。
  246. 草川昭三

    草川委員 四十五億というわけですから、相当大きくなってまいりましたね。当初は非常に小さい金額だったのですが。  そこで、そのうちの五億円は東京佐川急便、東京というよりは佐川から出ていますね。お伺いします。
  247. 石倉寛治

    ○石倉政府委員 仰せの数字のとおりと事務当局から聞いております。
  248. 草川昭三

    草川委員 なぜ世界平和研究所に対して東京佐川から五億円の金が出ているのかというのが、これは非常に重要な位置づけになってくるわけであります。  私は、金丸さんにも私なりの念頭に一つの想像をいたしているわけでございますが、中曽根さんと東京佐川の渡邉さんとそれから金丸先生と、小針という人がお見えになりますが、「小針さんと一緒の席で会われたことはありませんか。渡邉が後から来るんですが。」という質問をしているわけであります。それに対して金丸証人は、「それは、私はあったかなかったか、しかと記憶にないが、まあ小針という人は」云々で、いろいろな人を知っていて、「小さな政商みたいな人じゃないですか。」と言われて、私は時間が終わりまして終わっておるわけであります。  なぜ冒頭にこんなことを言うのかといいますと、中曽根さんが引退をされて竹下さんに後継指名が行われる、そして中曽根さんは世界平和研究所の理事長なり会長になっていかれるわけでありますし、今は四十五億という基金の機関になりました。しかも政府側からも複数の省庁から支援を受けて、ここを中心に今後の、引退されてからの外交活動をやられる、こういうことになるんでしょう。そういう意味では、世界平和研究所の位置づけというのは東京佐川急便と非常に大きなかかわり合いがあるのですよ、一番最初に五億円出ておるわけですから。  そこで、渡辺郵政大臣にお伺いをしますが、ことしの二月の二十日、この予算委員会で、中曽根元首相が会長を務める世界平和研究所の資金東京佐川急便から受け取ったことを認めました。認めましたね、そのときに、二月の二十日の予算委員会で。そこで、あなたはこのときに、平和研の設立に協力をしたという旨の答弁をしております。中曽根さんと大変近いあなたは、この設立について中曽根さんと相談もしくは指示を受けて私は東京佐川に資金をもらいに行かれたのではないだろうか、こういうように思うのですが、その間の経緯説明していただきたいと思います。     〔原田(昇)委員長代理退席、委員長着席〕
  249. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 お答えいたします。  私が、まず最初に、平和研において東京佐川から資金を受けたという確信の答弁はたしかしてなかったのではないかと思うのですが、それはそれとして、今現実に事務当局から、政府委員の方から資金が入っているということは答弁されましたので、その当時のことと別に大きな差異があるわけじゃありません。ただ、その平和研に対して、私が善意の協力者として基金の御協力にいろいろなお願いをした、これはもう事実のことでございまして、しかも、大変恐縮ですが、やみ献金的ないわゆるお願いをしたということではないのでありまして、税制上、言うならばきちんと表に出る、しかもまた合法的な税制控除のある基金をお願いを当初からいたしておったということです。  なぜ一体私がお願いに行ったのか、中曽根先生から指示があったのではないかと、こういうことでありますが、私自身の自主的な考え、すなわち、当時非常に実はリクルート問題等が世上で大きくクローズアップされてまいりました。したがいまして、草川先生もあるいはお聞きだと思うんですが、当時は本当はもう少し規模の大きい基金の目標であったことだけは事実なんです。これは一般的にこの構想が出たときにはそうであったように記憶しております。しかし、このリクルート問題が大きくなってまいりますにつれまして、非常に基金の収集が難しくなってまいりました。  そういう中で、設立協力者の皆さん方と話し合っている間に、なかなか思うに任せませんので、私はいわゆる平成二年の選挙以後具体的に、その前後だったと思うんですが、先ほども若干御答弁申し上げましたけれども、田中先生が御勇退されたということを契機にして、この佐川急便の東京の渡邉社長に、国家的にこれからの外交活動を研修し、あるいはまた国全体としての外交政策というものをどこにも拘束されずに研究していこうとするこの研究所に御協力をいただけないかということを、同じ郷里、そしてまた同じ世代ということを背景にして、私実は何回か、同時にその基金の集まりぐあい等も報告をしながら、正直に言って苦しい状況というか思うに任せないことも話しながら、御協力にお願いに行ったということでありまして、そこには中曽根先生からの特別の指示、あるいはまた中曽根先生が佐川のどなたかと話をしたことに沿って私が行動したという事実は全くございません。  若干私答弁が出過ぎているかもわかりませんが、真相をこの機会にはっきりと申し上げさしていただいた方がいいのではないかと思いましたので、答弁をさしていただきました。
  250. 草川昭三

    草川委員 今中曽根元総理の指示ではないと言っておられますけれども、当初からこの問題についてかかわっておったということが今一つ明らかになりました。二番目に、田中元総理が勇退をする、そして云々というお話がございました。ですから、田中さんから直接中曽根さんではございませんけれども、この間の経緯はございますけれども、当時田中元総理の影響力も重要でございました。私は、東京佐川急便渡邉廣康さんもその当時から田中邸に出入りをしておったというようなお話も、この証言等々の中では聞いてきておるわけでございます。  ですから、今不用意に渡辺郵政大臣はお答えになっておられますけれども、実は歴史の背景を今語ってみえるわけですよ。いいですか。そういう背景の中からいわゆる世界平和研究所というものが設立をされた。ただ、中曽根さんからは言われていなかった。しかし、当然のことながら、会長の中曽根元総理は、東京佐川からの資金援助を受けたことは知ってみえるわけでしょう。報告をされたんでしょう。お伺いをします。
  251. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 ちょっと何か聞き取りが、草川先生、勘違いされているように思いますが、私と東京佐川の渡邉社長との関係、その上で私がお願いに行ったという背景を申し上げたんでありまして、その田中先生の引退というくだりは。私は、先ほども田中先生の支持者というのは非常に大事にしてきたということを申し上げたわけでして、そういう意味で申し上げているわけです。あとは私自身の先ほど申し上げた同郷のよしみ、それからいろんなところに寄附の、寄金のお願いに行った、そういう中のお一人であった。非常にそのときは気持ちよく御理解をいただいて、最後は協力をしていただいたというふうに思っております。
  252. 草川昭三

    草川委員 だから、それは五億円もらえば気持ちよくつき合ってみえると思うのですよ、それは。  そこで、東京佐川と渡辺さんとの関係についてもう一問ありますが、郵政大臣は東京佐川急便を含めた佐川グループ、または渡邉社長を初めとする佐川グループ関係者から、あなた個人、もしくはあなたの後援会、またはあなたの事務所やあなたの関係する企業やあなたの親族が資金提供を受けたことがあるのではないでしょうか。お伺いします。
  253. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 今、草川先生おっしゃられましたすべて、全くございません。
  254. 草川昭三

    草川委員 もうここで明確にすべて全くないというお話でございますから、その全くないということだけは、私ども、明確にひとつここでお答えになったわけでございますから、それは当然責任を持ってお答えになっておられると思うので、承知をしておきたいと思います。  そこで、東京佐川の渡邉被告の調書によりますと、渡辺郵政大臣は、先ほどの社会党さんの質問で、和田先生の質問で、六月三日にという日付は特定されませんでした。その六月三日ということについては調書には記載をされておりますが、特定されませんから、それは前後だというふうに理解をしますが、「東京佐川の経営が大変だと聞きつけて、東京佐川を訪問し、金丸、竹下両先生と連絡をとり、協力をすると話した。」とありますが、その点を明確にお答え願いたいと思います。
  255. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 私は、その記憶が実はないんです。お伺いをしてそういうことを申し上げたという記録もございませんし、記憶もないんです。日程上の記録も全くないんです。
  256. 草川昭三

    草川委員 もう記録がない、記憶はないということになりますと、これは幾ら言ってもしようがないことでございますから、これは認められると思うのですが、渡邉被告の調書によれば、郵政大臣は平成三年六月三日に、この三日は別として、直後の六月十三日、竹下、金丸両氏と渡辺郵政大臣の三人が福島交通の小針会長の知人宅に集まり、渡邉社長と東京佐川の再建について相談をしたということは認められるわけでしょう。
  257. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 お答えしますが、これはお伺いしたことは本会議でも認めさせていただいております。ただ、その再建策、先ほども申し上げましたが、再建策についてという範疇に入るのかどうかというのは私の自覚症状にはないのです。
  258. 草川昭三

    草川委員 自覚症状という言葉はどういうように理解していいのかちょっとわかりませんけれども、この席で郵政大臣は同席した竹下氏から大蔵省幹部への根回しを持ちかけられ、「私は官房副長官のときから面識がある、根回しさせていただきますと答え、渡邉社長とは、同県人、世界平和研究所の件で大変世話になったので、ぜひ立ち直ってほしい。」と語ったとありますが、その点はどうでしょう。
  259. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 お答え申し上げますが、私、そういうふうに具体的な話が全く出なかったと思っております。したがって、私もそういうようなことを申し上げたこともございません。しかもまた、竹下先生から特別にそういう話があったという事実は全くございません。
  260. 草川昭三

    草川委員 金丸元副総裁は、実は証人尋問のときに、渡邉被告の検事調書で私どもは質問したわけですが、金丸氏が三和銀行の頭取に話を通しておくと語ったという調書をもとにして、銀行の件についてはどうですかという趣旨の質問をしましたら、三和銀行のことはあっさり認められましたよ、金丸さんは。そういうことも御記憶ございませんか。金丸さんよりはしっかりしてみえると思うのですが、どうでしょう。
  261. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 いや、とんでもない話で、至って幼稚でございますが、全く記憶にございません。また、そんな話は出なかったように思います。いろんな、私が例えば平和研でもお世話になったり、同県人のよしみであるからということ、恐らくそういう気持ちが相手の方にあり、私の気持ちにもあったということが通じたのではないかという感じが私はいたします。それは決して私も否定するものではありません、気持ちの上では。それは同じ、全く山一つ越えた、ただそれだけの地域で生まれ育った人間同士として、しかもまた自分に何か、どういう事態であったのかということは当時全くわからないわけです。それは本当に先ほどお話がありましたけれども、私は暴力団との関係も全く知っておりませんし、存じておりませんでした。  ですから、言うならば、同県人で、しかも当時は大成功者のお一人です、新潟県内においては。そういう人から話あるいはまた相談ということの、大変恐縮ですけれども、一人としてその話をもし聞くというようなことで私が呼ばれたのだとすれば、これは私は人間としてそこに行かないというわけにもいきませんし、あるいはまたそこに行ってしばらくの時間は過ごす。しかし、だけれども、そこでは全く具体的な話ではなくて、抽象的なことに終わっていたということだけは事実でございますので、そのことは本会議場で私は答弁させていただいたとおりでございます。
  262. 草川昭三

    草川委員 ちょっと重要なことを言われたのでお聞きしますが、だれに呼ばれて行かれたのですか。
  263. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 さっきちょっと定かでないように思いましたが、小針さんからの電話だったと思います。
  264. 草川昭三

    草川委員 もちろん、ですからこの小針さんというのが非常に大きなポイントになってくるんで、我々も小針さんの証人喚問、あらゆる面で裏方として事情を承知をしておみえになるので、証人喚問の要求をしておるわけであります。  私がなぜ渡辺郵政大臣にしつこく聞くかといいますと、ことしの二月の二十日の予算委員会で私、質問しているんですよ。そのときに、東京佐川の渡邉社長と何回ぐらい会いましたかという質問を私がしました。そうしたら、渡邉社長とは「大勢の中で会ったこともございますし、あるいはまた、ちょっと何回かはよく覚えておりません。済みません。」という答弁だったのです。そのときの答弁ぶりでは、そんな再建策というのですか、大変だといって呼ばれるような仲だというのは隠してみえるわけですよ。  しかも郵政大臣は、もう時間が来ましたのではしょりますが、郵政大臣は東京佐川の渡邉社長のことを兄貴、兄貴と呼んでおるじゃないですか。そういう仲だということは昔からわかっておりながら、ちょっと会った程度だと言うのは、私は国会の答弁としては非常にふまじめだと思うのですが、どうですか。
  265. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 これは、人間いろいろな口癖がありますが、これは本当に私とつき合いのある人に聞いてもらえばわかりますが、例えば同じ渡辺の姓だったら、ああこれは先祖昔一緒だね、親類だねと言ったり、これは国会議員の仲間でも私は申し上げている、国会議員仲間でも。あるいはまた生年月日が同じ昭和九年だ、私ども九年の、飯食ったり、遊んだりする、遊んだりというか話し合う会もありますが、昭和九年の会で例えば何月生まれだ、じゃあなた兄貴だね、それは話の中として申し上げることでして、そんなに委員がおっしゃられる背景の中でのことではない。まあちょっとくだらない口癖で大変誤解を招いて、汗顔の至りであります。
  266. 草川昭三

    草川委員 大体、法務省がきょうのこの中間報告出してから、あなたの態度は変わっているんだよ。法務省が、いいですか、「政界関係について説明します。」いわゆる新潟県知事選挙の話ですよ。三億出ているのですよ、東京佐川からは三億新潟知事選挙に。「なお、残り二億円についても、必要な捜査を行いましたが、」二億円というのは今宙に浮いているんですよ。さっき社会党の和田さんが質問をしたとおりですよ。「必要な捜査を行いましたが、政治資金規正法違反等嫌疑ありとして訴追するに足る事実は確認できませんでした。」というこの中間報告から、あんたの態度は変わっているんだよ。そういう、今我々はまじめな態度でやっているんだから、兄貴、兄貴というのは、あなたの態度が前の国会の答弁と違っているから、私はそういう議論を言ったんです。そしたら、同じ名前だから言いますよなんというのは全く、この中間報告が出る前はあんたはこんな態度じゃなかったんだよ。おとなしかったんだよ。  じゃ、そのことを言いましょう。いいですか。私どもの調査でも、佐川の当時の関係者から、新潟知事選挙で東京佐川から提供された資金合計三億円で、一億と二億に分けて渡されたとの証言を得ています、我々は。起訴状によると、金子知事らは平成元年六月の新潟知事選挙の告示前の五月十日ごろ、東京佐川の渡邉社長から選挙資金として一億円を受け取ったとあります。いいですか、ここまでの経過は皆さん御存じのとおりです。  そこで、郵政大臣、平成元年の五月七日と八日と九日に東京佐川を訪問しておみえになります、七、八、九のいずれか。またこの間、東京佐川の関係者と接触をしてみえるんです。あわせてこの間についての経過を明らかにしてください。
  267. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 私の答弁がふまじめな印象を与えたらおわびいたします。私は自分の癖をわかっていただくために申し上げたんでして、それは言葉が足りなかったことをおわび申し上げますが。  今の日にちは、私は恐らく当時県内あるいはまた東京の方でもこの調整の中で動いていたころではないかというふうに思います。ただ、今いきなりの御質問でございますので定かでありませんが、私も一回その辺のところを、何か新聞にも一時出たことがございますので、実は調べてみました。だけど、ほとんどその時期に東京佐川の会社に伺ったというような記録は実はございませんのです。それから、県内におったという記録もあったり、実は何でそういうところで言われているのかというところがはっきりしてないということでございます。あるいは、予定をしていてやめたということも入っているかもわかりません。大変恐縮ですが、当時は県連会長でまだありましたので、その任に当たっていた。したがって、日にちは、予定は、全くそのまま実行されない予定というのは数多くあったように思いますが、しかし、その時期に行ってないことだけは事実ではないかと思いますので、今の段階でその答弁しかできないので、恐縮でございます。
  268. 草川昭三

    草川委員 これは新潟県の自民党の方々も大変迷惑をしてみえる話だと私は推察をします、二億円という金がとにかく宙に浮いておるわけですから。しかも、その真相を知るところの東京佐川急便渡邉社長というのは拘置をされておるわけでありますし、その点については明確な供述をしていないやに我々は受け取っております。それだけにこの問題は非常に私は重要だと思うのです。しかも、一億を受け取ったとされる当時の知事選挙については、金子知事は辞職をし、それなりの訴追を今受けて公判を受けておるわけですから。  私は、国会というものは検察とは違う、永田町裁判所とは違うということは十分承知をしております。国会と検察というのは、両輪のごとくこういう真相解明に協力をしながら、国会は政治的あるいは道義的あるいは改善策をその中で打ち出さなければいけない。みんな真剣にこの問題に取り組んでおるつもりであります。  どうか郵政大臣に私は求めたいと思うのですが、確かに即答できないと思います。では、五月の五日から五月の十五日間、少し幅を広げますが、この日程の中で東京佐川との接触はなかったのかどうか。確かに東京の佐川急便の本社には行かなかったけれども、渡邉氏とどこかで会ったのか、向こうの当時の社長と。あるいはまた関係者とお会いになったのかどうか。あるいはまた新潟県知事選挙の問題についていろいろと話し合われたことがあったのかないのか、そういう日程をぜひ私どもにお示しを願いたい。あすの審議がどういうことになるかは私どもわかりません。私どもは非常に強く証人喚問の要求を政府側にもあるいは与党の方にも求めておりますから、今のような態度が続くと、私どもはあすの予算委員会の採決については担保できません。真相究明というのが目的ですから、よくその点は御了解を願いたいと思います。  そこで、もう時間があと二分ぐらいしかありませんので、どうでしょう、宮澤総理。政治家と金、あるいはまたかかる企業、特定企業に、政治家が群がるように東京佐川に集中をしていた、こういうことについての反省はどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  269. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 それは前々申し上げておりますとおり、政治家と金の関係あるいは政治家の政治姿勢というものについては、そもそも一人一人の倫理としてももちろんでございますけれども、また制度上のいわゆる政治改革も行いまして、こういうことが二度と起こらないようにしていかなければならないと考えております。
  270. 草川昭三

    草川委員 法務省刑事局にお伺いしますが、我々の証人喚問の要求あるいはまた資料の公開、こういうことについて法務省といろいろと対立をする点もございます。しかし、私は、政治家等に絡む疑惑が生じた場合、検察と国会というものはそれぞれ目的と職務を異にするものの、その疑惑を解明するという意味ではいわば車の両輪であるので、国政調査権の行使に関し検察捜査資料ないし公判で開示をされた証拠提出するなど、可能な範囲で協力をすべきではないかと思います。  もう一問。最近の報道関係の取材というのを見ておりますと、いわゆる調査報道と言われる非常に日本独特のすぐれた調査報道もございます。捜査の進展状況関係をすると思いますけれども、被疑者を初め捜査対象の関係者に直接に取材するとか、いろいろな状況があります。日本におけるこの調査報道というものを私どもは一定の評価をしておるわけでありますが、検察側の方として、とかくリーク説とかいろいろなものもあるわけでございますが、見解をこの際問うて私の質問を終わりたい、こういうように思います。
  271. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  まず、委員が前段に仰せになりましたとおり、国会は政治的道義的責任の所在を明確にするという観点を中心に国政調査権を行使するものであり、他方、検察当局刑事責任を明らかにするため刑事訴訟法に基づき捜査権を行使するものでありまして、国政調査権と捜査権とは対立するものでないことはもう委員御指摘のとおりでございます。そして、国会の国政調査権の行使につきましては、法務当局といたしましても法令の許す限り協力すべきものと考えているわけでございます。  ただ、公判取り調べられたものでないいわゆる捜査資料の国会への提出につきましては、一般論として申し上げれば、捜査資料の公表につきましては、捜査公判に対する不当な影響が及ぶことを防止するとともに、関係者の人権の保護を全うするという趣旨で設けられておりますところの刑事訴訟法四十七条等の制約があるところでございまして、そういう意味で慎重に配慮することが必要であると考えるわけでございます。  また、公判取り調べられた証拠書類、これにつきましては、訴訟に関する書類として裁判所が保管することになるわけでございまして、その閲覧、謄写は訴訟当事者である検察官及び弁護人公判審理のために必要な限度で許されるものでございまして、訴訟当事者以外の者はもちろんのこと、検察官及び弁護人においてもこれ以外の目的で閲覧、謄写することは許されていないわけでございます。したがいまして、これを国会に提出することはできないということで御説明申し上げているわけでございます。  ただ、国会の国政調査権に御協力しなければならないという立場から、公判廷で取り調べられ、例えば調書が朗読され、要旨の告知がなされて、法廷で明らかになった範囲のものにつきましては、御質疑の過程で特定の事項について御指摘をいただきますれば、公判担当検察官報告を求めて、確認してお答えをするということはさせていただきたいというふうに思っているわけでございます。  それから、委員のお尋ねの後段の御質問でございますが、マスコミの取材手法や報道内容等について法務当局が論評するような意見を述べることは差し控えさせていただきますけれども、近時、その報道機関各社は熾烈な取材競争のもとに多数の記者を動員されて関係各方面に広くかつ深く独自の取材活動を展開しておられるわけであります。御指摘のような状況もあるように聞いているところでございます。ただ、関係者の人権保護や捜査公判の円滑な遂行という観点から、捜査密行の原則のもとで捜査に臨んでいる検察当局の立場からいたしますれば、そのような報道によって関係者の名誉や人権が害されるばかりでなくて、罪証隠滅工作や被疑者等の逃亡を誘発したり、あるいは関係者の供述を得にくくすることになりますれば、捜査公判の遂行上支障になりかねないわけでございまして、マスコミにおかれましても、関係者の名誉、人権の保護や捜査公判の適正な遂行等の観点に配慮しながら、取材、報道されますことを期待しているというふうに思うわけでございます。
  272. 草川昭三

    草川委員 以上で終わります。
  273. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて草川君の質疑は終了いたしました。  次に、木島日出夫君。
  274. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党木島日出夫でございます。  当委員会に午前中、法務省刑事局から東京佐川急便事件中間報告がなされました。法務大臣はその中で、本件捜査処理に携わった検察官は、真相の解明のために必要な捜査を行い、法と証拠に照らして適正な事件処理を行ったものである、こう述べられました。しかし私は、佐川急便事件の中で少なくとも政治家にかかわる部分についてはとてもこの法務省の中間報告を承服するわけにはまいりません。恐らく多くの国民もこのような報告で納得するものではないと私は考えます。  そこで私は、最初に金丸氏に対する五億円違法献金問題について質問をしたいと思います。  金丸前代議士に対する五億円献金事件につきましては、当局は金丸氏本人からの事情聴取もしないで罰金二十万円の略式命令で決着させてしまったわけであります。これによって法のもとの平等という憲法上の大原則が破壊されただけではありません。検察当局はそうした不当な処理によってこの事件真相解明を放棄する。そして、それだけではありません。事実を殊さらにねじ曲げて、この重大な事件真相解明にふたをかぶせてしまったのではないかと私は思うわけであります。去る二十五日の当委員会における我が党の正森議員のこの指摘がいかに的を射たものであるかは、去る二十七日に行われた金丸信氏に対する臨床尋問によってますます明白になってきたのではないかと私は考えます。  そこで私は、この問題について金丸証言を基礎にしながら、五億円授受の時期の問題、二つ目には五億円の配分の問題、三つ目には五億円の受け入れた者、受け手の問題、この三つの角度からまず質問をしてみたいと思うわけであります。  第一は、五億円の受領の時期の問題であります。既に先ほど来同僚委員から再三質問がなされました。さきの金丸臨床尋問の結果によりますと、金丸氏は明確にこの五億円の受領の時期についてわからないということを述べております。重要でありますから、臨床尋問の結果を記載した報告書を引用してみたいと思います。二十一ページから二十二ページであります。  日野委員からの質問で、「五億円を渡邉社長から受け取られたわけですね。それは参議院選挙の前だったですか、衆議院選挙の前だったでしょうか。」「○金丸証人 彼が衆議院選挙前だと言うから、そうかな、それじゃそうだろうと。彼は悲壮な状況で私に訴えた。」彼というのは生原さんのことであります。「彼が悲壮な気持ちで訴えるから、これは竹下の秘書の青木の二の舞をされたんじゃ、金より人間の方が大切だと、これは本人の言うとおりにしてやった。それでいろいろ言うから、」云々とあります。そしてさらに日野委員から「今先生のお考えとしては、先生の今の御記憶としては、実は参議院選挙の前だったとお考えになっておられるんじゃありませんか。」という質問に対して、金丸証言は、「それはわからぬですよ、そんなことはもう私には。本人が、私は不精者だから任せて、それがまた今まで間違いなくやってきてくれているという判断をしているものですから、私は参議院選挙の前であるか、衆議院選挙の前であるか、それはわかりません。」こう明確に述べているわけであります。  ところで、金丸五億円献金事件略式命令の中核は、この五億円の授受を総選挙前の九〇年一月としたいわゆる上申書であります。  そこで、最初に法務当局に質問をいたします。質問するに当たって、私は東京簡易裁判所の五億円略式判決の当否を全く論じようとしているものではありません。検察当局捜査そして略式請求、公訴提起、これが適切であったかどうかに絞って質問するわけでありますから、裁判云々のことについては答弁を時間のむだでありますから差し控えていただきたいということを前提にして、まず、この上申書で明確に述べられている五億円授受の時期が九〇年の総選挙の前であったという事実とこの金丸臨床尋問の証言結果との明確な食い違いについて、法務当局はどのように認識をされるのか、答弁を求めたいと思います。
  275. 濱邦久

    濱政府委員 まず、委員がお尋ねの中で確定裁判の事実認定について論議するものではないというおっしゃり方をしておられますけれども、五億円の授受の時期についての事実認定は確定裁判で、先ほどお答え申し上げておりますとおり、判断が示され確定しているわけでございます。したがいまして、確定裁判で認定された、事実認定として判断されました平成二年一月という時期の認定については、国会で御論議いただくものではないというふうに思っておるわけでございます。  また、委員がおっしゃっておられますように、検察官公訴提起の適否ということは、これはまさに裁判所が判断することであろうと思うわけでございまして、国会が国政調査権の行使として御論議されることではないのではないかというふうに思うわけでございます。  ところで、先ほどもお答え申し上げましたように、一般的に申し上げて、贈収賄事件政治資金規正法上の寄附制限違反など、金銭の授受の日時の特定ということは、これは裁判でアリバイ主張がなされることがあるなどの理由によりまして、捜査上極めて重要な事柄であるということは認識されておるわけでございまして、単に金銭の授受に関係した当事者の供述のみならず、その当時の関係者の行動を調べたり、関係物証による裏づけ等、慎重な捜査を行っているところでございます。一般論としてのお答えでお許しをいただきたいというふうに思うわけでございます。
  276. 木島日出夫

    ○木島委員 上申書がこの事件においてどんなに中核的な重要なものであったかは、実は午前中の刑事局長のこの委員会に対する報告で書かれているわけです。「金丸議員から同法第二十二条の二第三項に違反して寄附を受けたことを認める上申書提出され、それまでに収集された証拠と併せると、違反の事実を認定するに十分であると思料された」上申書が出された。これで検察当局量的制限違反で略式公訴提起をしたわけであります。それぐらい重要な上申書であります。しかも、あの事件において被告人である金丸氏本人から語られた文書、唯一の文書がこの上申書なんです。この上申書が九〇年の総選挙の前に五億円を受領したということを書かれているがために、そういう略式の罰金が得られたわけであります。  しかし、金丸氏はさきの臨床尋問でそんなのはわからぬと言っているのです。事件の中核がもう崩れたのです。金丸氏のさきの臨床尋問はうそをついているということを検察は考えているんですか、明確に答弁を求めます。
  277. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  金丸証言自体について法務当局が御意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。金丸証言にうそがあるかどうかということは、これは国会が御判断されることであろうというふうに思うわけでございます。  また、委員の最初のお話の部分で、上申書でこの公訴提起にかかわる事実を認定したようにおっしゃられた点は、これはそうではないわけでございまして、報告にございますように、それまでに収集された証拠を総合して判断したということでございます。
  278. 木島日出夫

    ○木島委員 実は、その上申書内容そのものがまことに、正確性をいかに欠くものであったかは、さきの二十五日の我が党の正森委員からの質問によっても明らかにされたところであります。金丸氏の弁護人である安部昌博氏がその旨を公の週刊誌に明らかにいたしました。私自身は、非常に重大なことであるということで安部弁護人に直接お会いをいたしまして、そしてこの事実を正確だと、安部氏が週刊誌に書かれた事実は正確であるということを確認をしてきているわけであります。  それによりましても、上申書が書かれる前までの渡邉廣康供述調書などは、九〇年の総選挙前の五億円の授受なんということは言ってない。八九年参議院選挙前に五億円が授受されたんだ、そういう供述ではなかったか。それがこの上申書によってもう一度供述をとられて、九〇年の一月の総選挙前にもらったような供述調書がつくり直された、そういうことを私は確認をしているわけであります。大変重要な事実であります。しかも、安部弁護人は、自分がワープロで上申書を作文をいたしました。そして最後にもう一度金丸氏本人から、先生、これでいいですかと念を押しました。その上申書の中核は、五億円の授受が九〇年総選挙の前だということ、そしてもらったのは金丸氏個人であるということ、そして同志に配ったというこの三点が中核の上申書であります。安部弁護人は確認をしているようであります。そして、その安部弁護人の確認に対して、そうだったかな、やっぱり八九年の参議院選挙前でなかったかな、しかし、それはいいや、あんたにお任せするという、そういう経過の中であの上申書がつくられたということを安部弁護人は公表しているわけであります。そして、私は、その事実についても、安部弁護人と直接お会いをして、それが真実であったということを確認をしているわけであります。  法務当局は私の質問に真正面から全く答えようとしておりません。しかし、私は、客観的にあの上申書の中身が真実性を欠くということはもう明らかになっているというふうに思います。そして、それにもかかわらず、金丸氏本人から事情聴取をしないでこの事件を決着させたことがいかに不当なものであったかは、それはまさに裏づけられたのではないかと思うわけであります。  次の質問に移りたいと思います。  実は、金丸氏の臨床尋問調書は大変重要なことを明らかにしております。なぜ五億円授受の時期が八九年の参議院選挙前じゃなくて九〇年の総選挙前になったかにかかわる非常に重要な証言をしております。十六ページであります。実は、この証人調書は日野先生が一貫して上申書作成について質問しているわけであります。しかし、金丸前代議士は上申書の作成について答えずに、違うことをずっと答えております。質問と答弁が食い違っております。しかし、だからといって、金丸氏のこの供述がうそだということではないと思います。日野委員から上申書のことを聞かれているのですが、金丸氏は上申書のことについて答えているのじゃなくて、十六ページにこうあります。  「それは、私が新聞記者会見をする前に、私の秘書である生原が竹下ともよく相談し、それから小沢とも相談してこういうものをつくりましたと。そのとき私が、あれは衆議院の選挙前かな、これは何ともわからぬ、いや、衆議院選挙前だったと思う。」こういう証言の部分があります。  これは決して上申書の問題ではありません。金丸氏がこの問題で新聞記者会見をしたのはたった一回、ことしの八月二十七日の例の自民党副総裁をおやめになる見解を表明したときだけであります。あのとき、佐藤守良経世会事務総長から金丸氏にかわって事実がるる述べられたわけであります。その文書の中に、平成二年の総選挙の事前に渡邉廣康東京佐川前社長から五億円届けられたということが書かれているわけであります。これを金丸氏はさきの臨床尋問の答えとして、質問には真正面からの証言ではありませんでしたが、答えているわけであります。この調書を読んでみますと、一メートルぐらいの巻紙であったなどとも答えております。これは決して上申書でないことを物語っているわけであります。まさに上申書によってこの五億円の授受の時期を八九年参議院選挙前から九〇年の一月に殊さらに事実を八カ月おくらせてしまった、そのルーツが今年八月二十七日の金丸氏の記者会見の佐藤守良氏の発表文にあったということをこの金丸証言は物語っているのではないかと思うわけであります。  しかも私は、それほど重要な事実に対して、直接金の授受に携わったのは、渡し手は東京佐川の渡邉廣康前社長であります。直接のもらい手は牛原秘書であります。金丸氏は、自分は金はさわってないとも言っておるわけであります。全然五億円の授受にかかわりのない竹下氏と小沢氏が、何で、五億円の授受の時期を参議院選挙の前にしたらいいのか総選挙の前にしたのがいいのか、そんな論議にかかわってくることができるんでしょうか。本当にこれは重大な事実だと思います。しかも金丸証言は、生原が竹下ともよく相談したと書いてあります。  法務省、これでも法務省はあの上申書内容が真実だと言い張るんですか。
  279. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  重ねてのお尋ねでございますけれども、検察官金丸議員上申書等を受理いたしまして、それまでに収集された証拠等総合検討した結果、先ほどお答え申し上げておりますとおり公訴提起した公訴事実を認定したわけでございますし、確宗裁判においてもその公訴事実がそのとおり裁判所の判断として認定され、確定されたということでございます。
  280. 木島日出夫

    ○木島委員 真っ正面から答弁いたしません。私は、次の配分の問題に移りたいと思います。  五億円の配分について金丸氏は臨床尋問に答えて、明確に自分はわからないと証言をしております。五億円という巨額なお金の配分を全く知らたいという金丸氏の証言については、私はにわかに信用できるものではありません。これだけの巨額なお金の配分について、いかに自民党の副総裁であろうと、秘書任せ、我関せずというのは、いかに金丸氏がアバウトな性格だったとしても、日本社会の通年に反することではないかとも考えられます。  しかし、それはともかくとして、けさ出された法務省からの当委員会に対する報告書の中を読んでみますと、こういう記載があります。「ところで、東京地検が、金丸議員本件違反事実を認める上申書提出を受けて略式手続により本件処理するに当たっては、本件五億円の収支に関して、それまで収集された証拠関係を踏まえ、想定される犯罪とその罰則」云々について検討したが、「金丸議員受領した本件五億円は、その後指定団体に対する寄附として取り扱われたものとみられるなど、金丸議員の余罪として訴追すべき犯罪嫌疑が認められるものは確認できませんでした。」要するに、五億円の収入、そして支出についても捜査したというのですね。要するに、支出というのは五億円の配分の問題であります。  本当に金丸本人から五億円の支出について捜査したんですか。呼び出しもしないで捜査できたんですか。上申書だけで捜査したんですか。答えてください。
  281. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  先ほど来お答え申し上げておりますとおり、検察官事件処理をいたしましたのは、金丸議員上申書だけではなくて、それまでに収集いたしましたすべての証拠を総合勘案して事実を認定し、公訴を提起したということを申し上げているわけでございます。  それから、この捜査過程で五億円の収支について捜査をしたのかという御趣旨のお尋ねかと思うわけでございますが、この五億円の収支に関しましては、想定される犯罪とその成立可能性について、それまでに収集いたしました証拠を検討し吟味した結果、午前中報告申し上げましたように、金丸議員の余罪として訴追すべき犯罪嫌疑が認められるものは確認できなかったという結論に達したということでございます。
  282. 木島日出夫

    ○木島委員  本当に出口、支出について捜査したんでしょうか。捜査していなかった、そして略式で確定させてしまった、それに対して全国民からの怒りが集中した結果、ようやく今になって出口について再捜査が始まったんじゃないんでしょうか、どうでしょう。  時間がまことにありませんから、三つ目の受け手の問題について質問をいたします。  五億円の受け手が金丸氏個人であったのか金丸氏の政治団体であったのかは、この政治資金規正法違反が成立するかどうかに決定的に重要な事実であります。上申書によって受け手を金丸氏個人とされました。しかし、さきの金丸氏の臨床尋問の結果によりますと、明確に金丸氏本人は受け手はおれの政治団体であると答えているわけであります。そしてまた、この受け手の問題については、九月の上旬から十日ほど余り連日東京地検によって捜査をされた生原氏自身が、受け手は金丸氏の政治団体であるとずっと言い続けて、そのような供述調書がとられていたわけであります。私は、このことを安部弁護人からしかと確認をしているわけであります。  ところが、上申書によって受け手を個人とされた。そして、その上申書が九月二十五日に東京地検提出された。そうしたら、途端に検察庁は、生原氏をもう一度呼び出して、受け手を金丸氏個人とする、そういう供述調書をとり直した。私は明確に安部弁護人から聞いているわけであります。  法務省、何たることをするんでしょうか。これは本当でしょうか。明確に答えていただきたい。
  283. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  検察当局におきましては、本件寄附に関与した渡邉社長生原秘書関係者の供述や金丸議員上申書など、収集された全証拠を総合勘案しまして、本件五億円を金丸議員個人に対する政治活動に関する寄附と認定したものでございます。  また、これが略式命令を発した東京簡易裁判所にも認められたものでございまして、現在、その裁判は確定して、確定した判断とされているわけでございます。
  284. 木島日出夫

    ○木島委員 なぜ九月の二十五日に金丸氏個人が受け手というようなことが書かれた上申書検察当局に安部弁護人から出されたかのいきさつを、安部弁護人ははっきり語っているわけですよ。二日前の二十三日午後四時ごろ、検察庁から前の日に呼ばれていて、特捜部長に会いに行った。そこでいきなり特捜部長から、最終決定が出ました、上申書を書いてもらいたい、そうすれば事情聴取はしないと言われた。しかも、その上申書の中には個人献金だったことを認める上申書にしてくれと安部弁護人は特捜部長から言われたと書いているんですよ。私は、本当にこんなことが日本の検察にあったら大変なことだということで、私は、今から二十二年前、司法修習生のときの直接の検察教官が安部弁護人なんですよ、だから安部さんに会いに行けたんですよ。この事実を安部さんは、そのとおりだと言ったんです。  きょうの法務省の当委員会に対する報告書によりますと、「九月十日以降、弁護人を通じて、金丸議員に対し、出頭の上取調べに応じるように求めました。」そして時間がぽんと飛んでしまって、「九月二十四日になり、同弁護人から、金丸議員においては、本件違反事実を認める内容上申書提出し、略式手続による処罰を受ける意向である旨の連絡があり、九月二十五日、上申書提出されました。」と書いてあります。一番大事な九月二十三日に安部弁護人東京地検特捜部長の間でどのようなやりとりがあったのか、この前我が党の正森議員から厳しく追及されたところの報告が全然抜けているじゃないですか。  九月二十三日に何があったか、報告してください。
  285. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  先般の正森委員の御質疑に対してもお答えいたしましたけれども、捜査過程で、被疑者に弁護人がついております場合に、弁護人捜査当局との間で、例えば被疑者の出頭を求める、あるいは捜査の手順等についていろいろ交渉することはございますが、それはあくまでも公表しないという信義則のもとで行っていると思うわけでございます。したがいまして、その安部弁護人との間の交渉経緯捜査過程でどういうことがあったかということはお答えいたしかねますけれども、今委員が御指摘になっておられますように、安部弁護人との間で今委員が御指摘になられたような取引があったなどということは全くありません。  また、この九月十日以降九月二十四日までどういうことがあったかということでございますけれども、これは、今申し上げました捜査の経過についてお答えすることになるわけでございますから、法令の制約もございますし、お答えはいたしかねますけれども、ここに書いてございますように、報告いたしましたように、九月十日以降、弁護人を通じて金丸議員出頭の上取り調べに応じるように求めておったということでございます。
  286. 木島日出夫

    ○木島委員 この事実を安部弁護人が世間に公表したのは十月の中旬であります。週刊文春であります。十月の二十二日付でありますが、実際に発売されたのはもっと前であります。早速私は十月十九日に安部弁護士に会っているんです。この事実を確認しているのです。こんな重要なことを、もし虚偽の事実を安部弁護人が公表したら、到底金丸信前代議士から信任されるはずがありません。ところが、安部弁護人はさきの金丸氏に対する臨床尋問の補佐人として信任されているんですよ。ということは、この安部弁護人の公表した事実がいかに真実であったかということを物語っているわけであります。それは、どんなに検察庁が今回ひどいことをやったかを裏書きしているんではないかと私は思います。  もう本当に時間がなくなりましたから、思いますけれども、宮澤総理、本当に疑惑がまだまだ何一つ解明されていないのが事実であります。疑惑が解明されないまま、相変わらず検察当局は、公正な捜査をやったなどという答弁を繰り返すだけでは、宮澤内閣に対する国民の批判はますます高まってくるということを私は申し述べ、そして、この事実を本当に明らかにするためにも、最低限当委員会生原秘書を喚問することが避けて通れない、証人喚問を求めて、私は質問を終わります。
  287. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて木島君の質疑は終了いたしました。  次に、中野寛成君。
  288. 中野寛成

    中野委員 ただいまも同僚委員から質疑が展開をされましたが、私も、やっぱり今国民が最大の検察不信を持つに至ったその原因は、たった今指摘されたこの上申書そして略式起訴、これで済ませた、このことであろうと思うのであります。  ちなみに、私もまた先般、金丸証人に尋問をさせていただきました。その中で、やっぱり五億円の授受の時期については、本人ははっきりわからない、決して一月とか六月とかということを明確には言われない。そしてまた今日までの、先ほど来も言われておりますような経緯を経て一月十六日ということに一応されている。  しかし、どうしてもその過程の中で私が疑問を持ちますのは、こういうことです。政治資金規正法量的制限違反による最高刑二十万円という軽い罪で罰金刑を受けることによって、一九八九年、平成元年六月の新潟知事選の際の候補者一本化調整、四月ごろでありますが、これによる受領によって公職選挙違反として実刑となることを免れるため、あえて一九九〇年、平成二年の政治資金規正法違反を選択したのではないかという疑問、これは繰り返されているとおりであります。  しかも、政治資金規正法二十六条に係る罪は、もう既に御承知のように最高で罰金二十万円で、その不備が指摘をされております。ところが、公職選挙法の買収に関する罪によれば、候補者を一本化する過程で金品の受領があれば懲役刑もあり得るわけでありまして、そうなると、当然事情聴取の対象となります。うがった見方をすれば、政治資金規正法違反で刑を確定させ、二重処罰を避けようとした周到な手だてではなかったのかという疑問が生じ、この過程検察庁が金丸氏側に協力したのではないかと疑われているわけであります。  そういうことを考えますときに、例えば上申書で済ます、略式起訴で済ますということになりますと、比較的罰金刑で済む軽微な犯罪で、しかもその中では想定される一番重い刑に係るような罪を容疑者が認めた場合には、上申書やまた略式起訴で済まされるということであろうと思うのです。  しかしながら、今回の場合には、公職選挙違反ということを想定した疑問を検察が持っておったとするならば、あのような処置は最後までとらなかったであろうと思うのであります。そういう公職選挙違反に係る罪を想定しなかったのか、明確に捜査をしてそうではないという確信を得るに至ったのか、もし確信を得るに至らなかったのであれば、これは当然本人から事情聴取をしてしかるべきであったと思うのでありますが、そういう確信に至った根拠を教えていただきたい。
  289. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  まず、五億円の授受の時期についてのお話でございますが、これは先ほど来お答え申し上げておりますとおり、既に確定裁判によって判断され、確定されているわけでございますので、立ち入ったお答えを申し上げることは差し控えますけれども、これは一般論としてお聞きいただきたいと思うわけでございます。  捜査当局、検察当局といたしましては、五億円の授受の時期につきましても、ほかの増収賄事件あるいは政治資金規正法上の、政治資金規正法違反等捜査をする際と同じように、金銭の授受の日時の特定については、裁判でアリバイ主張がなされることがあることも十分想定されるわけでございますから、捜査上極めて重要なことであるということを念頭に置いて、単に金銭の授受に関係した当事者の供述のみではなくて、その当時の関係者の行動を綿密に捜査したり、関係物証による裏づけ等慎重な捜査を行っているということで御理解をいただきたいと思うわけでございます。  それから、公職選挙違反嫌疑はなかったのかというお尋ねかと思うわけでございますが、午前中の報告で申し上げましたように、この金丸議員受領した五億円の収支に関しまして想定される犯罪とその罰則適用可能性について必要な検討を尽くしたわけでございますけれども、本件処理をした段階では、金丸議員の余罪として訴追すべき犯罪嫌疑が認められるものは確認できなかったという結論であったわけでございます。
  290. 中野寛成

    中野委員 この五億円の受領と公職選挙違反に係る調停工作との関連については、これが全く無関係であるという確認ができたのではなくて、関係があることが確認できなかった、こういうふうに答弁をされているわけであります。  言うならば、疑問を持った場合にはこれを徹底して捜査をする、そしてそれが関係がないということをやはり徹底して確認をするということが必要であります。もちろん、完璧に一〇〇%その証明をすることはできないまでも、少なくともその疑問が残っている、つまり関係がないということが確認できなかったというのならば、少なくとも本人からの事情聴取は当然されてしかるべきであった。すなわち、疑問は残りながら、その関係を証明する確認ができなかったということのみで終わっている、そのことにやはり国民の疑念と怒りが残っている、こう申さざるを得ないのでありまして、私は、時間が少ないですからそのことだけを申し上げて、次の質問に入りたいと思います。  さて、東京佐川急便特別背任裁判となっております政界へ渡ったとされる二十数億円、この実態は、政治家が対象となっているのか、それとも、これはその他の用途にも使われた部分があるように報告はされておりますけれども、少なくともこのきょうの中間報告で示されました「渡邉社長が、平成元年四月ころから同二年十二月ころまでの間、前記松沢から約十七億五千万円の裏金受領していた事実が判明し、」となっております。  この使い道について、これは当然政界への資金もこの中から生まれたものと思われますけれども、その配った意図。これは会社の営業の方向に違反しておれば特別背任の意図を持ったものとなるでありましょうし、また、金丸氏へ渡った五億円もその目的が解明されなければこの特別背任の意図が明確にならないと思うのでありますが、この意図についてどのようにお考えでしょうか。
  291. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  渡邉廣康被告人らに対する特別背任罪関係で申しますと、今委員が御指摘になっておられます例えば松沢から約十七億五千万円の裏金受領していたという関係の事実は、特別背任の行為の後の使途ということになるわけでございます。したがいまして、さらにその十七億五千万円の裏金がどこへ行ったかということは、渡邉被告人らに対する特別背任事件関係では、公訴事実とは関係ない事実になるわけでございます。  ただ、午前中の報告でも申し上げましたように、この約十七億五千万円の裏金渡邉社長松沢から受領していた事実が判明しましたから、その使途先につきましても必要な捜査を尽くした。その関係では、報告で申し上げましたように、これまでのところ政治資金規正法違反等嫌疑ありとして訴追するに足る事実は確認できなかったという結論だったわけでございます。
  292. 中野寛成

    中野委員 着服する意図であったのか、政治家対策であったのか。この特別背任という行為、単に金銭を自分の勝手に使ったということだけではなくて、その意図が正しい意図に使われておれば特別背任と必ずしも言われない、これは言うならば常識としてこれらのことが言えるであろうと思うのであります。ゆえに、その使途についても明確に調べるということが当然であろうと思うのでありますが、その意識は持たれないのでしょうか。
  293. 濱邦久

    濱政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、この約十七億五千万円の裏金受領した、その裏金使途先を調べることは、この渡邉被告人らに対する特別背任事件の事実を立証する上では必ずしも必要でないわけでございます。
  294. 中野寛成

    中野委員 なぜこのことをしつこく聞くかといいますと、これらの裏金を政界工作に使うことによって、言うならば佐川急便の急成長というものが、例えばいろいろな違法行為をやった、脱法行為をやった、そのための工作として使われるということにもつながり得るわけでありまして、これは極めて政界の立場からすると重要な問題であります。これらについてもむしろ明確にされることが必要であった、こう思いますが、これ以上質問いたしましても今の答弁を出ないと思いますから、ここで金丸氏へ渡った五億円、その行く先について、くどいようですが、私からもやはり総理にお尋ねをしたいと思います。  これは金丸氏は、生原秘書が受け取りかつ配付をした、自分は見てもさわってもいない、こう言われる。そして、生原氏に聞いてくれ、こういうことでありますから、後の理事会で生原氏の証人喚問については私も強く要求をしたいと思っております。  しかしながら、たとえ捜査中であろうとも、経世会のメンバーは、経世会のメンバー六十数人に配られたとこう言われているわけでありますが、経世会のメンバーは、言うまでもなくほとんど自民党員であるはずであります。ならば、自民党員の行った行為について、党首として、総裁として宮澤総理が指揮をされ、自主的な調査でその解明をされ、そして発表をされるということが、自民党にかぶせられた汚名を晴らす上においても、また、国民に真実を知ってもらうためにも必要であろう、こう思うのであります。積極的に総理が、これらの事態解明に党の自浄作用を機能させるという意味から、先頭に立たれることを強く要求したいと思いますが、いかがでしょうか。
  295. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 それはよく理解のできる御主張でございますけれども、たまたまその部分は今捜査の対象になっておるわけでございますから、私が党内のそのような調査を並行していたしますことは、恐らく捜査に対して何らかの影響を与える、そういう可能性はなしといたしません。ですから私は、おっしゃる問題意識は持っておりますけれども、そのことをいつ、どのようなふうにして行うかということは、やはり慎重に時期をはからなければならないと思っているわけです。
  296. 中野寛成

    中野委員 私は、総理が行政権を発揮して調査をしろと申し上げているのではなくて、自民党としての自浄作用を機能させるために党独自で調査をすることをお命じになるということは、決して捜査等に何らかの影響を与えるということにはつながらない、こう思うのであります。  例えば、我々野党側の中にそういうことがあったとして党が調査をしたら、これは何らかの影響を公判その他に与えるとして、これは批判されるべきことになってしまいますか。たとえ与党であろうと野党であろうと、政党の義務として、使命として、そのことをやるのは当然であろう、こう思うのでありますが、いかがですか。
  297. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 捜査に支障がないように、関係者の人権を害することがないように、そのような時期と方法を選ばなければならないと思います。
  298. 中野寛成

    中野委員 総理のまさに政治家としての使命感の上に立って、その捜査が急がれることを要望を強くして、次の質問に移りたいと思います。  さて、私はここで一つだけ検察の方にもう一度お伺いをいたします。  我々もそれなりの承知はしているのでありますが、検察から、裁判における冒頭に陳述されるいわゆる冒頭陳述、これの性格と、それから先般来話題になっております検事調書の性格について、お尋ねをいたしたいと思います。  私の認識では、冒頭陳述は、検察がいろいろな視点に立って捜査をされ、これが真実であると検察が確信するに至ったものを裁判において主張される、これが冒頭陳述であろうと思うのであります。もちろん、その黒白は裁判の判決を待たなければなりません。しかし、この冒頭陳述を述べた段階において、検察はこれが真実であると確信をしてその陳述をされるはずであります。  また、その裏づけとなる検事調書、これもまた、いいかげんなものでは決してないはずだと思います。それぞれ綿密な捜査をされ、これはその冒頭陳述を裏づける、その根拠となるものだという、その根拠として検事調書もまた検察の誇りにかけてお出しになったものであろうと確信するのでありますが、そう認識してよろしいですか。
  299. 濱邦久

    濱政府委員 お答えいたします。  検察官の冒頭陳述は、証拠調べ手続の冒頭において、検察官証拠によって証明しようとする事実を陳述するものでございます。検察官の証明の主題と申しますか、証明の主題を具体的に明らかにすることによりまして、その後行われる証拠調べ手続を円滑に進めるとともに、被告人弁護人に十分な防御の機会を保障しようとするものでございます。  冒頭陳述で検察官が陳述いたしました事実は、検察官証拠によって証明しようとする事実でございますから、これが存するかどうか、その事実があるかどうかということは、これは裁判官が自由心証主義に基づいて判断するものでございます。その意味で、裁判で確定された事実そのものではないというふうに承知しているわけでございます。
  300. 中野寛成

    中野委員 そのことは、最初に私は念を押して、黒白の結論は判決が下します、しかし、少なくとも裁判に入るに当たって冒頭陳述で述べられることは、検察段階においては明確に詳細に調査をして、これが真実だと検察が確信するからこそ出すものなのではないんですか。それが有罪であるか無罪であるか、また真実であるか否かは最終的には判決が下すことはよく承知をいたしております。検察としてのその段階における立場をお聞きしているのであります。
  301. 濱邦久

    濱政府委員 検察官証拠により証明すべき事実というのは、まさに検察官が主張している事実ということになるわけでございます。
  302. 中野寛成

    中野委員 検察官が主張するということは、それは真実であると確信するがゆえに主張をする、このことを今の答弁で言われたものと確信をいたします。  ゆえに、私は、ましてやその裁判を受ける立場からすれば、これほど重要なものはありません。いいかげんな検察の主張によって、その人生を狂わされることはあってはならないわけでありますから、それだけ、出された検事調書、冒頭陳述、これらは私はまさに検察の権威において出されたものと確信し、今後とも、その今後の真相解明のために我々はこれを使わせていただきたい、こう思うわけであります。  同時に、それだけのものであるからこそ、検察は決していいかげんなことがあってはならないということもまた、これは言うまでもないことであります。  さて次に、今話題となっております佐川問題についてお尋ねをいたしますが、今日まで佐川急便グループとしては随分と急成長をしてまいりました。ここで、大蔵、運輸、労働三省に、佐川急便グループに対していろいろな法律違反、脱税等々の調査を今日までしてこられました。どういう会社であったか、そのことについて三省から御説明いただきたいと思います。簡潔にお願いします。
  303. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 まず私からトップバッターで、運輸行政の所管責任者として報告させていただきます。  先生御指摘のように、これは常識を超えた急成長を遂げてきた会社であります。昭和三十二年には大阪-京都間のいわゆる便利屋さんというか飛脚稼業で始まって、四十年に初めていわゆる道路運送法の許可の業者としてスタートして、わずか二十年余、わずかの間に全国第二位の売上高を誇るいわゆる大手にの上がってきたということであります。  私も、運輸大臣拝命以来、これは超優良企業だという印象から、逆に、その担当責任者として入って実態を勉強させていただいて、実はびっくりしたわけでありますけれども、これほど営業本位、売り上げ本位で急成長した会社は例を見ない。しかしまた、行儀の悪さにおいても例を見ないという実態でございました、それは労働管理の問題も含めましてでございますけれども。これだけ抜き打ち監査、いわゆる特別監査等々をここ五、六年の実態だけでも受けてきた会社は少なかろうと思っております。六十一年から二年にかけて、そしてまた平成二年にかけて、そしてまた合併後の今日は、諸先生からの適正な指導を求められるそういった声にこたえまして十月からまたやっておる、グループ六十社に関してやっておるといったような実態でございます。  一口に言いまして、はっきり言って遵法精神に欠ける。売り上げ、営業本位でともかくの上がってきたという点において、私たちは今までいい面だけを見てまいりましたけれども、実態においては、そういった意味では、いわゆる今日問題を起こしたような形でやはり責められるべき、反省さるべき面があったな、また行政の監督側としても、これらに関しては本当に厳しく適正な指導を行ってきたということに報告を受けておりますけれども、厳正適正な指導を行ってきたかどうかということに対しても、厳粛に反省すべきであろうと今感じております。
  304. 近藤鉄雄

    ○近藤国務大臣 ただいま運輸大臣からもお話がありましたが、佐川急便グループが急成長したわけでありますけれども、その過程で労働基準法、また労働安全衛生法に違反するようなことがなかったか、そういう危惧もございましたので、労働省といたしましては昭和六十二年から平成三年までに四回にわたり同グループの主管店を中心に全国一斉監督を実施したわけでございますが、特に平成三年実施した全国一斉監督指導結果によりますと、監督を実施いたしました五十一事業場のうち四十六事業場において、労働基準法等関係法令に照らして何らかの法違反が認められた次第でございます。  そこで、この結果を踏まえまして、ことし五月に佐川急便株式会社代表取締役を本省に招致いたしまして、労働省労働基準局長から、労働者の労働条件の改善に関し要請を行い、本年六月、同社から改善について報告がなされたところでございます。  ことし下期におきましても、実は佐川急便グループ所属事業場のうち主管店及び主要な事業場を中心に、十一月四日から六日にかけ全国一斉の監督指導を実施いたしました。今後につきましては、この実施した監督指導結果を見た上で的確に処置してまいりたいと考えております。
  305. 瀧川哲男

    ○瀧川政府委員 佐川急便グループに対して、私どもの世界からの判定ということになりましょうか、昭和五十二年に五社、それから昭和六十一年に一社について告発をし、そして起訴をされ、有罪判決があった、こういうグループであるというように認識しております。
  306. 中野寛成

    中野委員 遵法精神に欠ける、言うなら前代未聞の企業。そういう企業から、例えば今日まで、世界平和戦略研の寄附を要請をしたり、そしてまたいろいろな政治献金を受けたり、またいろいろな親密なおつき合いをしたりする政治家がたくさんいるということがここに明らかになっているわけです。  例えば六十二年の十月五日、東京プリンスホテル十六階において竹下、金丸、小沢三氏がその社長と同席をし、そしてまたその夜、長谷川氏が、長谷川参議院議員が竹下氏に電話をしたこと、翌朝それを受けて竹下氏が田中邸を訪問したこと、これらは一連証人喚問、とりわけ竹下氏御本人の証言によっても明らかになっているわけであります。その十月五日の夜の出来事は、ほかに中尾代議士や、そしてまた竹下氏秘書の青木氏が同席をしておられた。言うならば、その中尾氏や青木氏の工作のために、またその具体的な絵をかかれている、知恵を出し合っている、そこに東京佐川の渡邉社長や、そして三人の政治家が同席をしておった。  その中で何も知らなかった、水割り二、三杯飲んでおったからわからなかった、単に丁寧な言葉で渡邉社長から田中邸に行ったらどうですかとアドバイスを受けたなどということで、果たしてだれが信用できるのでしょうか。当然このような悪らつな経営者、またそういう会社とのつき合いがあるということは、そこに当然後ろめたい行為が行われる。また、せっぱ詰まったどうにもならない状況を打開しようとする画策の中でそれらの人たちが集まったということは、今日までの証人喚問による証言ですべて明らかになったと言っても過言ではないのではないでしょうか。  まだ不明なのは、五億円がどこに行ったか、また十七億円がどこに行ったかということはわからないにしても、それ以外のことはほとんど全部が解明されたと言っても過言ではないと私は思うのであります。ならば、それに基づいて、当然関係者が政治責任を負うのは当たり前であります。  ただ、まだ不明な部分があるとするならば、それは生原氏に証人喚問に応じてもらって、五億円の行き先を明確にする以外にありません。  また、十月五日、当事者である、またはウイスキーの水割りを飲んでおったということでわからないと言う証人があるが、ならばもう一人、ここに名前が今日まで出てこなかった小沢一郎氏という証人がいるはずであります。そう考えますときに、この小沢氏のまた証人喚問も国民は当然要求をしている、我々もまたそのことを要求しなければならない、こう思うのであります。  全容を解明し、そしてこのような悪らつな企業との癒着の中で今日まで日本の政治が動かされていたことを、我々は怒りを持って改めて告発しなければならない、こう思うのでありまして、それらの証人喚問の要求をいたしまして、私の質問を終わります。
  307. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて中野君の質疑は終了いたしました。  この際、和田静夫君の保留分について政府から発言を求められておりますので、これを許します。羽田大蔵大臣。
  308. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 先ほどの御質問の関連につきまして御答弁申し上げたいと思います。  PKOに係る経費を既定予算で賄うことは、憲法八十五条及び財政法三十二条に反するのではないかという御指摘があったわけでございますけれども、今回の国連平和維持活動に要します経費は、自衛隊の維持運営等に必要な経費でございまして、国際平和協力法の規定によりまして国連平和維持活動が自衛隊の業務とされたことから、既定予算の項目から支出を行うことは問題はないものというふうに考えておることを申し上げさせていただきます。
  309. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、渡辺外務大臣。
  310. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 お答えをいたします。  先ほど御質問がありましたことは、渡邉社長は、一時期外務省の所管する公益法人である海外広報協会の理事長をしており、同協会に対して賛助金を出しておった。そのような時期に外務省の官房長から朝吹専務理事に送られた手紙があると。その手紙の中で、「政府の規制が問題であるとの所見をいただきましたが、小生、そのとおりと申し上げました。」と。「党の方へも働きかけたいと考えております。」云々と。こういうような文面があったんだそうです。  で、全然これは知りませんし、今初めて見せてもらって聞いてみたのですが、これは御承知のとおり、当時はまだ平成元年の十月のころでございまして、佐川急便についていろいろ問題があるというようには外務省としてはもちろんわかっておりません。いろいろ御協力を願っておったことは事実でございます。そういうようなことで、たまたまこの協会ですな、海外広報協会、協会が休業状態にあったんだが復活されて、そこで渡邉社長がそこの理事長になった、こういうことで、そこの専務理事ですね、専務理事が外務省の官房長を呼んで会食をしたときに紹介をしてくれたということだそうです。  そこでいろいろ話があったんでしょうが、夕飯ごちそうになったから専務理事に礼状を書いたんですね、後で礼状。その礼状が問題に今されておるのですけれども、しかし、私は、これを最後まで読んでみるとわかりますように、「国会議員も規制にかかわる法律の見直しをしていただけると市場の開放は相当に進むと思います。」と。「自民党にも構造問題に関する委員会ができたこともあり、党の方へも働きかけていきたいと考えております。」こう言っているのですが、これは当時、アメリカとの間で市場開放問題は非常に大きな問題点でありますから、まあ外務省の経済局長を二年ばかりやっておって官房長になったばかりですからね、佐藤さんは。だから、アメリカなんかとの対応で市場開放、市場開放で頭がいっぱいなんですよ。ですから、そういうところで規制緩和という問題は非常に大事なことだというようなことで、特別の案件というのではなくて、一般的な規制緩和というものが日米摩擦を避けられるし、市場の開放に役立つ、こういう意味で出されたものであると考えております。
  311. 和田静夫

    ○和田(静)委員 後段の問題は市場開放だけではなくて、前段の規制が路線問題にかかわることであるということを読むことができるし、私はその手紙そのものを問題にしているのではなくて、先ほども申し上げましたように、そういうような形でもって渡邉社長がいわゆる官側にいろいろの影響を持とうと努力をした、外務官僚の上にもそれがあらわれている、こういう状態についてどういう見解をお持ちかというふうに尋ねたのに、問題にならないと思っておったところが、手紙そのものが問題になったものだから質問した方がびっくりしているわけでありまして、私が今申し上げた方が実は問題なのであります。  さて、もうわずかの時間しかありませんが、今の大蔵大臣の御答弁はやはりそのまま私は受けとめるわけにはまいりません。国会が無視をされているという感じは、どうしても法律があって予算がないのにという観点に立てば、私はそういうふうに受け取らざるを得ません。何となれば、今のような論理でいけば防衛庁経費の積算がPKO分だけ水増しになる、こういう形になるでありましょう。  で、あくまでも国会が今、開会中でありますから、しかも四年度の補正予算の審議中であるわけでありますから、なぜ補正予算に計上して国会の審議を得ないのか。そういう意味では国会軽視であるし、私は八十数億円については明確に防衛庁予算の組み替え補正を提出すべきだろうということを強調をしておきたいと思います。  なぜこの問題を申し上げるかといえば、やはり非常に危惧をいたしますのは、戦前の軍事費が国会コントロールをかいくぐってぐんぐんふえていったという私たちは事実を知っています。そういう苦い経験を繰り返さない。骨抜きにしていったという苦い経験を私たちは持っているわけでありますから、私は、海外で自衛隊が活動するPKOについて、きっちりした財政面からの歯どめが必要であろうと考えます。  その意味で、今後は事前承認を守るという約束をぜひしてもらいたいと思うのであります。こういう悪例を残さない、そのことが必要ではないかと考えていますが、大蔵大臣、何か所見があれば承っておきます。
  312. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 この問題につきましては、通常国会で予算を御審議をいただきましたときにも、実は今度こういう法律が通ったときに一体どのように対応するのかということがそれぞれの委員の皆様から御質問があったわけでありますけれども、その計画ですとか調査ですとかそういった問題については、総理府が持ちますこの経費、本部がつくられるということでその本部経費を使いますということ。あと、実際に隊が動いたりする場合に、それは自衛隊の既定経費の中で使われる、それを使ってまいります。また、不足する部分については予備費をということを実は御答弁申し上げてまいったと思っておりまして、私どもといたしましては、当然今後新しく予算を、また平成五年度なら五年度ということで、計画がきちんとしているものにつきましては、当然防衛庁の予算の中にも必要なものについてはきちんと方向づけされてくるものであろうというふうに考えておることを申し上げます。
  313. 和田静夫

    ○和田(静)委員 ありがとうございました。
  314. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて和田君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして東京佐川問題についての集中審議は終了いたしました。  次回は、明十二月一日午前九時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十三分散会   〔本号(その一)参照〕     ―――――――――――――    証人金丸信議院外証言速記録 日時 平成四年十一月二十七日 場所 神奈川県小田原市久野四六 小田原市立病    院 案件 平成四年度一般会計補正予算(第1号)、    平成四年度特別会計補正予算(特第1号)    及び平成四年度政府関係機関補正予算(機    第1号)に関し、東京佐川問題について  派遣委員  委員長 高鳥  修君  理事 村岡 兼造君   理事 松浦 利尚君  理事 草川 昭三君   委員 日野 市朗君  委員 児玉 健次君   委員 中野 寛成君  証人  金丸  信君  補佐人 安部 昌博君     ―――――――――――――     午後三時開始
  315. 高鳥修

    高鳥委員長 それでは、これより平成四年度補正予算三案の審査に関し、東京佐川問題について、金丸信君より証言を求めることにいたします。  この際、証言を求める前に証人に一言申し上げておきます。  昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によって、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことになっております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、まず、証人証人の配偶者、三親等内の血族もしくは二親等内の姻族または証人とこれらの親族関係があった者及び証人の後見人後見監督人または保佐人並びに証人を後見人後見監督人または保佐人とする者が、刑事訴追を受け、または有罪判決を受けるおそれのあるときであります。また、医師、歯科医師、助産婦、看護婦、弁護士、弁理士、公証人、宗教の職にある者またはこれらの職にあった者は、業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについても、本人が承諾した場合を除き、宣誓または証言を拒むことができることになっております。  証人が宣誓または証言を拒むときは、その理由を示さなければならないこととなっております。  証人が正当な理由がなく宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または十万円以下の罰金に処せられ、また、宣誓した証人虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることになっております。  一応このことを御承知おき願いたいと存じます。  次に、証人が補佐人に助言を求めることが許される場合について申し上げます。  すなわち、証人は、宣誓及び証言の拒絶に関する事項に関し、補佐人に助言を求めることができることになっております。  助言は、その都度証人委員長にその旨を申し立て、その許可が得られた後に認められるものであります。  なお、補佐人は、みずから発言すること及びみずから証人に対して助言することはできないことになっております。  次に、今回の証人喚問についての理事会の申し合わせについて申し上げます。  その第一は、資料についてであります。  証人は、証言を行うに際し、資料を用いることは差し支えありませんが、委員長の許可が必要であります。また、これらの資料は、いずれも当委員会提出していただくことになっております。  その第二は、証人がメモをとることについてでありますが、尋問の項目程度は結構でございます。  なお、補佐人がメモをとることは構いません。  以上の点を御承知おきください。  それでは、法律の定めるところによりまして、証人に宣誓を求めることにいたします。  証人御自身が宣誓書をお読みになれないと思いますので、どういう手続にしますか。――全員起立を求めます。     〔総員起立〕
  316. 高鳥修

    高鳥委員長 証人に宣誓書の朗読を願うのですが、御病気中なので、私がかわって朗読してもよろしいでしょうか。
  317. 金丸信

    金丸証人 どうぞ。
  318. 高鳥修

    高鳥委員長 同意されましたので、私が証人にかわって宣誓書の朗読をいたします。     宣 誓 書  良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。   平成四年十一月二十七日  よろしゅうございますね。  証人に宣誓書への署名捺印を願うわけでありますが、署名は参事がかわって行うことでよろしゅうございましょうか。
  319. 金丸信

    金丸証人 はい、結構です。
  320. 高鳥修

    高鳥委員長 御同意が得られましたので、参事が代署してください。     〔参事、宣誓書に代署〕
  321. 高鳥修

    高鳥委員長 捺印は、証人本人にお願いいたします。     〔証人、宣誓書に捺印〕
  322. 高鳥修

    高鳥委員長 御着席を願います。  それでは申し上げますが、証人証言を求められた場合の御発言は、その求められた範囲を超えないこと、また、御発言の際には、その都度委員長の許可を得てなされるようお願い申し上げます。  なお、委員各位に申し上げます。  本日は、申し合わせの時間内で重要な問題について証言を求めるのでありますから、特に御協力をお願い申し上げます。     ―――――――――――――
  323. 高鳥修

    高鳥委員長 これより証人に対して証言を求めます。  まず、委員長より委員会を代表して総括的にお尋ねをして、その後、委員各位の御発言を願うことといたします。  それでは、私からまずお尋ねいたします。  最初にお尋ねすることは、佐川急便からの五億円献金の問題であります。  平成二年の総選挙の前に、渡邉廣康元東京佐川急便社長から献金の申し出があって、辞退したけれども、数週間たって秘書から五億円が事務所に届けられたと報告を受けた、そして、その五億円は我が同志への陣中見舞いと認識したというふうに自民党副総裁辞任の表明の際にお話しになっておられますが、そこで、この五億円について、だれからどのような方法で届けられ、お受け取りになったのか、お話しいただきたいと思います。
  324. 金丸信

    金丸証人 たまたま私が事務所におりましたら、渡邉さんという方から電話が来ることはほとんどなかったんですが、そのときは渡邉さんから、また私もおったものですから、直接電話がつながった。そのとき渡邉さんが私に、十億献金をしたいが、会社に取りに来てほしいというお話がありましたから、それには及びません、それはいただくわけにいかないと言ってお断りをした。ところが、数週間後に御本人が現在の事務所の地下に来て五億円を生原秘書に渡したという話を、二、三日たってから、私も選挙であっちへ飛びこっちへ飛びしてるものですから、そういう話を生原秘書から承った、そういう状況であります。
  325. 高鳥修

    高鳥委員長 それでは、もう一点私から承りたいと思います。  次は、日本皇民党の問題でございます。  ちょうど昭和六十二年の自民党総裁選挙のときに、右翼の日本皇民党がいわゆる褒め殺しということであちこち日本国じゅう街宣活動をやって歩いたことを私どもも承知をしておるところでありますが、この右翼団体の活動を何とかしてとめようということで、渡邉廣康、佐川急便の元社長でありますが、この人が、あなたが大変このことで頭を痛めているということを聞いて、それじゃ自分が何とか解決の道を見出してやろうということから、稲川会の石井前会長に依頼をし、石井会長の奔走で十月上旬に街頭宣伝活動が中止されたというようなことが報じられておるところであります。  そこでお伺いしたいのは、竹下元首相からあなたに、日本皇民党が行っている街宣活動について、困ったものだとか、何か御相談があったのでしょうか。  それからまた、あなたは街宣活動の中止について、渡邉社長にどのような御相談をなさったのでしょうか、御存じのことがありましたらお話しいただきたいと思います。
  326. 金丸信

    金丸証人 私はその問題については、私自体が、えらく周りでいろいろ心配した人がおるようでございますが、私は全然心配はしなかった。たまたま田原現在の法務大臣の。パーティーか何かあった。そのとき私も行ってあいさつをした。そうしたらその十六階かどこかのちょっと広場のようなところへ集まれということで集まった。その集まったとき、竹下、小沢、私、死んだ青木、死んだ中尾宏と、中尾宏と青木君が非常にこの問題について心配をしたようであります。時に私の事務所に来てもその話が中尾君からあった。しかし、私はそういういろいろの事情があるということで、経世会の代議士の若い人やあるいは全国の国民の一人一人が、右翼まで使って総理大臣になりたいのかしらというようなうわさもあるという話もあった。私も全然それは気にとめてはおらなかったけれども、ああいうものは周りがだんだんだんだん競ってくるものですから、その競りがだんだんだんだん我が経世会の派閥の中にも高じてきた。それが、宮澤さんが指名されるとか、安倍さんが指名されるとか、最後に夜の十時ごろになったら安倍さんが指名される、そこで赤坂の料亭で祝賀会の用意までしたというような話があって、たまたま私はきょうは決まらぬだろう、きょうはうちへ帰って寝るかと思ったけれども、それも無責任だ、ひとまずプリンスの事務所へ行こうというので十時半ごろ行ったら、先生方や秘書が二百人もおって、みんな青菜に塩のような格好をして下を向いちゃっている。何だと言ったら、実は安倍さんが指名されて赤坂で戦勝祝いのもう準備ができ上がっているという話を承っておる、そういう話をしておる。何をばか言っているか、冗談言っちゃいかぬぞ、そんなことあるか、あんなのにいくはずがない、私がそういう話を皆に強く、ばかなことを言うなということまで言って、その理由は、私が幹事長で衆参両院の選挙をやった、そのとき自民党創設以来かつてない議席を衆参両院でとった、そういうこともあって中曽根さんの任期も一年延びたといういきさつもありますが、私は御案内のように、議長をやれとか何かやれとかいろいろ言われましたが、今までかつてそういうものは受けたことがない。ですから、一兵卒でも国家のためになればいいという考え方できょうまで過ごしてきたんですが、たまたま中曽根さんがあらゆる方法で、私の家内を人を通して口説いてみたり、私を口説いてみたり、一週間ぐらいそのやりとりが続いたと思います。  一番最後に私が中曽根さんの一言で副総理を引き受けた。その引き受けた理由は、中曽根さんが、金丸さん、私一人だけでは次の時代はつくれない、あなた一人でもつくれぬでしょう、二人で手を握って次の時代をつくろうじゃありませんか。それは私は以心伝心、まさに竹下を指名してくれるという考え方が私にそれを言わしめておると私は私の勘で判断した。わかりました、そこまで心配してくれるのでは引き受けます。それは私は役に立たぬけれどもやりましょうと言って引き受けたというのが副総理を受けた要因であります。  ですから私は、中曽根総理を総理大臣にするとき、いわゆる自由民主党の顧問、総理大臣あるいは議長をやった人たちが集まって、中曽根はだめだと言ったとき、私はあなた方が言うように中曽根さんが悪い人だとは思っていない、ぜひ中曽根さんを再度総理にしてくれと。そうしたら福田さんが、金丸君、もしそれが間違ったらどうすると言うから、そのときは私は中曽根さんと刺し違えをしますよと。金丸君がそこまで言うようじゃ、皆さんどうでしょう、中曽根君を総理に指名しようじゃないかというような話もあったという状況からして、私は本当に人間の信用というか信頼というか、そういうような話というか、勘というかはそういう中から生まれてきて、たまたま今度総理大臣の宮澤さんを決めるとき、我が派閥は、大体ほとんどの大勢は宮澤代議士じゃなかった。だけれども、私はつらつら考えてみて、これは私情や感情によって決めるべきものじゃない。経世会の判断によって総理大臣が決まる状況に、国会の議席の状況から言えばそんなような状況があるわけですから、慎重にも慎重を期さなければならぬ。永田町ではまことに信頼が薄いが、全国民の信頼というものはまさに逆転して、非常に立派な成績ができ上がってきておる。これを無視することは、政治が国家国民のためだということであるならばおかしくなる。あえて金丸信に指名の一任を決めたということですから、二日三晩私は寝ずに考えて、その結果が宮澤さんという、私は宮澤さんとは何の関係もない、何のつながりもない。話も、一杯も飲んだこともないという関係の中で宮澤さんを決めた。私が朝鮮へ行ってみたり、中国へ行ってみたり、そういったびに、右翼から火炎瓶を投げつけられたり、あるいはピストルで弾が飛んできてみたりしたけれども、何かあれば電話が一晩じゅう鳴りっ放し、あるいは非常に厳しい投書が出てくる、こういうような状況であったが、宮澤さんを決めたときには国民から一言の反論がなかったということを考えてみても、私の判断は間違っておらなかったなと、こういうような考え方が出たわけでありますから、そういうようなことを考えていただいて、まあ私の、何て言えばいい、あとは何て言えばいいかしら。
  327. 高鳥修

    高鳥委員長 今の皇民党の活動についてどのようなお考え方で対処しておられたかということが一番御質問申し上げたことでありますが、もしお疲れでしたら……
  328. 金丸信

    金丸証人 いや、大丈夫、大丈夫です。そういう状況でございますから、私が皇民党を頼る必要が絶対ないという考え方の中で、皆さんがいろいろ、我が経世会の先生方が慌てたが、私は全然慌ててはおらなかった。ですから、私は皇民党も何も全然知らない、会ったこともない、話したこともないというのが実際の姿です。必ず私は竹下総理大臣が生まれるという判断をしておったわけであります。
  329. 高鳥修

    高鳥委員長 それじゃ、村岡さん。
  330. 村岡兼造

    村岡委員 村岡でございます。  療養中でございますから、短く質問をさしていただきます。  先ほどちょっと出たようでございますが、昭和六十二年の十月五日、東京プリンスホテルにおいて会合を持たれたと聞いておりますが、どなたが出席されていたかというその氏名を述べていただきたい。  確認になりますけれども、田原現在の大臣の励ます会に出席されたのは、金丸さん、竹下さん、そして小沢さん、渡邉さん、中尾さん、青木秘書さん、この六名でございますでしょうか。
  331. 金丸信

    金丸証人 あのとき渡邉さんがいたのかな、いなかったのかな。  何しろ私の強く印象に残っておるのは、竹下、私、小沢、青木、渡邉、こう私は理解しておるのですがね。たまたまそのときは。パーティーで下で、私も酒は強い方ですから、水割り三杯ぐらい飲んだと思うよ。それから十六階か何かに行って、そこでも水割りが出た。そこで二、三杯飲んだ。そういう状況で、またその問題は、私はこんな話は何度聞いたって大事な話じゃねえやと、えらい関心がなかったということで、そのときの状況は余り詳しく覚えていないのですよ、実際は。酒に酔ってという意味でもないが、その程度では私は酒は酔わないんだ。
  332. 村岡兼造

    村岡委員 はい、わかりました。  じゃ、もう一点だけ。  先ほどももう既に御答弁なすっているようでございますけれども、皇民党は知らないし、会ったこともない、こういうお話でございましたので、街頭宣伝でがあがあやっているときに、金丸さんはその街頭宣伝の人方と直接、活動したことについて話し合ったことはあったかどうか。もちろんないと思いますが、これをひとつお答え願いたい。皇民党の街頭の宣伝の、あの一緒にいる人方と話し合ったことがあるかどうかということだけです。
  333. 金丸信

    金丸証人 全然、私は一回もないのですが、たまたまリニアモーターカーのいわゆる試験線のトンネルを山梨県の都留市で前田建設が隧道を掘る、そのときの着工式に出席して、帰りに私の自動車がその間につかまって、後ろにつけられて、それでようやく初台でぐっとおりて横道へ入っちゃって、でかい自動車ですから向こうもなかなかついてこられぬでということはありましたが、会ったことも話をしたこともありません。
  334. 村岡兼造

    村岡委員 以上で質問を終わりますけれども、金丸先生、ひとつお体を早くお治しいただくようにお願いしまして、終わりたいと思います。
  335. 金丸信

    金丸証人 ありがとうございます。
  336. 高鳥修

    高鳥委員長 それじゃ、あと社会党の日野さん、どうぞ。
  337. 日野市朗

    日野委員 社会党の日野でございます。  どうも入院先まで押しかけまして恐縮でございます。
  338. 金丸信

    金丸証人 いや、とんでもないです。
  339. 日野市朗

    日野委員 まあ仕事柄でございますから伺わせていただきます。よろしかったらどうぞお楽になすっていただいて……
  340. 金丸信

    金丸証人 いえ、大丈夫です。
  341. 日野市朗

    日野委員 先生は検察庁に上申書をお出しになりましたね。この上申書ですが、これは何枚ぐらいの紙、紙数でした。
  342. 金丸信

    金丸証人 このぐらいの紙、このぐらいかな、一枚。
  343. 日野市朗

    日野委員 巻紙でございますか。
  344. 金丸信

    金丸証人 まあ巻けば巻ける。
  345. 日野市朗

    日野委員 長さは一メートルぐらいですか。
  346. 金丸信

    金丸証人 一メートルまではいかないな。
  347. 日野市朗

    日野委員 一枚ですか。
  348. 金丸信

    金丸証人 一枚です。
  349. 日野市朗

    日野委員 どなたがお書きになったものでしょう。
  350. 金丸信

    金丸証人 これは検事さんが最後に、私は検事さんに一回会ったですから、検事さんがワープロをそばに置いていろいろしゃべる、私も聞く、うなづけるものはうなづくというようなことででき上がったものです。
  351. 日野市朗

    日野委員 いや、その前に、先生が御自宅におられて略式命令を受けるかどうかということでいろいろ御相談が弁護士の先生なんかとあったと思うのですが、そのときにおつくりになった上申書
  352. 金丸信

    金丸証人 それは、私が新聞記者会見をする前に、私の秘書である生原が竹下ともよく相談し、それから小沢とも相談してこういうものをつくりましたと。そのとき私が、あれは衆議院の選挙前かな、これは何ともわからぬ、いや、衆議院選挙前だったと思う。
  353. 日野市朗

    日野委員 いや、ごく最近のことだと思いますが、もっとずっと……
  354. 金丸信

    金丸証人 何が最近ですか。
  355. 日野市朗

    日野委員 その上申書をおつくりになって、検察庁にそれを提出して、そして略式命令で罰金二十万円ということになりましたですね。そのときにお出しになった上申書
  356. 金丸信

    金丸証人 その問題でいろいろ新聞に書かれておりましたが、実はこの問題については、皆さん御案内のように、私のうちの前には七十人も、カメラマンだ、新聞社だ、マスコミがいて、私が出たくも、検察が私を調べて、私のうちへ来たいとしても、どこへ私が出かけるにしても、オートバイまで各社が持ってきておって、私の行き場所をつかまえることは当然だということとあわせて、私が年をとっているものですから、弁護士さんとそれから生原がそれを抑えておったという点はあったと思いますよ。私が検察を面会するのを拒否しておったというような新聞記事が出ておるが、拒否なんて全然。  ちょうど安部先生が私の弁護士を引き受けてくれるというとき判をついた、そのときの上申書が初め。それで、そうなったのは、私の次男が、検察の一階級か二階級上の人が別室へ呼んで、お父さんを説得してくれという話があった。私は何で説得されるのか、何にも今まで話も電話もないのに、何でそんなことをされるんだろうと思っていろいろ調べてみたら、私に心配させちゃいかぬという配慮がそこにあったということだと私は理解しております。
  357. 日野市朗

    日野委員 そうすると、検察庁の方からこういう書類、上申書という書類だったわけですが、それを書いて出してくれという話になったということは御記憶ございますか。
  358. 金丸信

    金丸証人 それは、だからお父さんを督促してくれという事態で、それはちょうど私が上申書を、安部弁護士さんに会って、そこで相談して上申書を出すという段取り。
  359. 日野市朗

    日野委員 ああそうですか。
  360. 金丸信

    金丸証人 はい。
  361. 日野市朗

    日野委員 その上申書内容については、先生よく安部先生と相談をしておつくりになりましたか、それとも、もう任せるから適当にやってくれという形だったんですか。
  362. 金丸信

    金丸証人 まあ任せるという気持ちもあったかなかったか、その辺ははっきりしませんが、大体私は不精者だから、そういう意味でその問題については、どういうか、何しろ私は、督促というか、お父さんを説得してくれという問題で初めて気がついて、それじゃ、電話ぐらい、一本ぐらいかけてくれたっていいじゃないかという感じが私はした。しかし、その電話もかけたくも、私のうちでは毎晩寝られぬから電話番号を変えちゃったんです。だから、電話かけたくも、かけることができなかったという点はあったと思うのですよ。
  363. 日野市朗

    日野委員 では、ちょっと別のことで伺いますが、検事総長をやられた筧栄一さんという方、御存じですか。
  364. 金丸信

    金丸証人 知らぬな。会ったこともない。
  365. 日野市朗

    日野委員 御存じない。そうですか。  岡村泰孝さん、現在の検事総長ですが、御存じありませんか。
  366. 金丸信

    金丸証人 知らない。
  367. 日野市朗

    日野委員 根來泰周さん、法務省の今次官ですが。
  368. 金丸信

    金丸証人 ああ、これは私が委員長か何かやったときの、次官になる前の階級は何だったですか。(安部補佐人「刑事局長です」と呼ぶ)刑事局長。そういう中で、非常に答弁もうまいし、なかなか筋の通った話をするなという、立派な刑事局長だと私は思いましたよ。
  369. 日野市朗

    日野委員 この根來さんとか第さん、それから岡村さんなんかと竹下さんのおつき合いというのは御存じないですか。
  370. 金丸信

    金丸証人 全然。
  371. 日野市朗

    日野委員 おわかりになりません。
  372. 金丸信

    金丸証人 竹下はそういう人と私は一緒に飲ましたことはないんですよ。
  373. 日野市朗

    日野委員 ああそうですか。わかりました。  派閥のリーダーということで随分御苦労をなすったのだと思いますが、今度五億円を渡邉社長から持ってこられて、結果的にはそれをお受け取りになったわけですね。結果的にはお受け取りになった。今までもやはり派閥の運営のためにはいろいろな政治献金を受け取るということは、これはやむを得なかったんでしょうかね。率直にひとつ。
  374. 金丸信

    金丸証人 それは、そういうこともあると思いますね。あると思うが、まあいろいろ、大体あの法律はざる法だから、ざる法という中で脱法行為のようなことが行われておったかもしらぬ。しかし、私はそういうことは全くわからないんですよ。みんな生原秘書生原秘書というのは、私が会社社長をやっていたとき、そのおじさんが私の下で常務をやったという縁もあるし、また、元厚生大臣をやったり、東京都のいわば知事みたいな、広瀬久忠という人がおったのですよ、緑風会の幹事長をやったりしてね。その人はみんな親戚筋なんです。おじいさんも代議士でした。そういういきさつですから、私は人間的には絶対、一〇〇%以上に信用していた。
  375. 日野市朗

    日野委員 ああ、さようでございますか。  では、五億円を渡邉社長から受け取られたわけですね。それは参議院選挙の前だったですか、衆議院選挙の前だったでしょうか。
  376. 金丸信

    金丸証人 彼が衆議院選挙前だと言うから、そうかな、それじゃそうだろうと。彼は悲壮な状況で私に訴えた。私も……
  377. 日野市朗

    日野委員 彼というのは生原さんですか。
  378. 金丸信

    金丸証人 はい、そうです。  それで、彼が悲壮な気持ちで訴えるから、これは竹下の秘書の青木の二の舞をされたんじゃ、金より人間の方が大切だと、これは本人の言うとおりにしてやった。それでいろいろ言うから、同じ穴のムジナだと。同じ穴のムジナであれば、でかい親の方が責任をしようことが当然じゃないか、こういうようなことを私は言った覚えはあります。
  379. 日野市朗

    日野委員 それでは、今先生のお考えとしては、先生の今の御記憶としては、実は参議院選挙の前だったとお考えになっておられるんじゃありませんか。
  380. 金丸信

    金丸証人 それはわからぬですよ、そんなことはもう私には。本人が、私は不精者だから任せて、それがまた今まで間違いなくやってきてくれているという判断をしているものですから、私は参議院選挙の前であるか、衆議院選挙の前であるか、それはわかりません。
  381. 日野市朗

    日野委員 今、御記憶はない。
  382. 金丸信

    金丸証人 はい。
  383. 日野市朗

    日野委員 それでは、このお金は個人でお受け取りになったか、それから政治団体に入れたかということも、これはもう生原さんしかわからないと。
  384. 金丸信

    金丸証人 そうだと思いますよ。私は政治団体に入れたんじゃねえかと思いますよ。
  385. 日野市朗

    日野委員 そうですか。団体に入れた。
  386. 金丸信

    金丸証人 団体を扱っているのは彼ですから。
  387. 日野市朗

    日野委員 そうしたら、先生としては今そうお考えになっていると。
  388. 金丸信

    金丸証人 はい。
  389. 日野市朗

    日野委員 これもそうすると詳しいことは生原に聞いてみないとわからないということでございますね。
  390. 金丸信

    金丸証人 はい。
  391. 日野市朗

    日野委員 それから、五億円ですね、先生、六十数人に配ったと、こうおっしゃったことがおありなんですが、これは間違いありませんかね。
  392. 金丸信

    金丸証人 いや、私はそんなことを言った覚えは、六十人も二十人も言ったことはないですよ。それは生原がしかるべくその政治団体の中で、自分がしかるべく配慮したと、こういうことでしょう。それを本人に聞いてみてください。私にはわからない。
  393. 日野市朗

    日野委員 先生にはおわかりにならない。
  394. 金丸信

    金丸証人 はい。
  395. 日野市朗

    日野委員 こういうお金を、ちょうど衆議院選挙がありましたので、配るときには、いろいろだれに配るかというふうに、具体的に決めるについては、これは生原がやったんだと思いますが、先生、大体どんなところに配れよという指図はなさらないものですか。
  396. 金丸信

    金丸証人 私はしません。
  397. 日野市朗

    日野委員 そうですか。そうすると、あれにはやらなくたっていいよと、いろいろな形のですね。
  398. 金丸信

    金丸証人 金があって困っているからあそこはやらぬでもいいと。例えて言えば、鳩山さんなんぞはブリヂストンから遺産相続をもらって、八十億ももらってるから……
  399. 日野市朗

    日野委員 あれはいいよとなるわけですか。
  400. 金丸信

    金丸証人 それはいいということになるのかな。それはそこまで口をきいたことはありません。
  401. 日野市朗

    日野委員 そうですか。  それから、こういうお金を配るとき、どうなんでしょう。大臣経験者なんかは配らなくたっていいよと、こういうふうになったりするものでございましょうか。
  402. 金丸信

    金丸証人 あなたの党だとどういうことになってる。あなたの党じゃどういうことになっているのですか。
  403. 日野市朗

    日野委員 いや、うちの方ではこういうことをしてもらったことはありませんので。
  404. 金丸信

    金丸証人 大臣やった者にはくれぬでもいいというけれども、大臣した者の中にも貧乏している者もいるから、それはやらなければならぬというのもあるかもしらぬ。
  405. 日野市朗

    日野委員 こういうことも知っているのは、そうすると生原さんが全部をやっていたんで、生原さんならわかっていると。
  406. 金丸信

    金丸証人 と思いますよ、それは。そうだと思います。それは私は何しろその金さすりもしないんだから、わかりっこねえじゃないですか。
  407. 日野市朗

    日野委員 普通、選挙の前なんかにお金を配るときも、大体そうすると先生は、この金はもうだれにやれとか、だれにはやらなくたっていいということはおっしゃらないで、生原にお任せになっていたんですか。
  408. 金丸信

    金丸証人 生原に任せるということでしょうね。
  409. 日野市朗

    日野委員 ああ、そうですか。  では、次の質問にちょっと移らしていただきます。  東京佐川の渡邉社長、この方とは今まで何回ぐらい会ったという御記憶ですか。
  410. 金丸信

    金丸証人 何を何回。
  411. 日野市朗

    日野委員 何回くらいお会いになったか。
  412. 金丸信

    金丸証人 それは、飲み食いは何回かしましたね。それは竹下君からも話があったと思いますが、私のめいが福島交通の小針の兄さんの子供に嫁に行っているのですよ。そういういきさつの中で、小針さんも相当利用したんでしょう、佐川急便を。したかしないかそれはわからぬが、そんな関係で私を近づけた、あるいは中尾宏が国会議員で出てきて、これは選挙に負けてやめちゃって、よく私のところに来たというようないきさつも会わせた理由になっていると思いますよ。
  413. 日野市朗

    日野委員 ああそうですか。  それで、竹下さんと渡邉社長というのは先生の目の前でお会いになったのは何度くらいございましたか。
  414. 金丸信

    金丸証人 そんなにないですね。そんなにないですよ。
  415. 日野市朗

    日野委員 大体何回くらいですか。
  416. 金丸信

    金丸証人 二回か、じゃないですか。
  417. 日野市朗

    日野委員 ああそうですか。  昭和六十二年の割りと早い時期からの褒め殺し、いわゆる皇民党の褒め殺しが始まりまして、これ随分嫌なものでございますよね、褒め殺しなんというのは。
  418. 金丸信

    金丸証人 しかし、利口なやつがいたもんだね。
  419. 日野市朗

    日野委員 そうですね。  それで、この褒め殺しですが、やはり先生は気になったですか。
  420. 金丸信

    金丸証人 いや、私は中曽根さんと以心伝心、私の勘で必ず竹下が総理大臣に指名されるという判断を私がしているから、こんなばかな。だから、私が先ほど話したように、いわゆる経世会の代議士や秘書が、二百人もが、プリンスでみんな青菜に塩のような顔をしているから、ばかどもが何だ、何で赤坂で、この話が祝賀会につながるぞと、見てろ、必ず総理大臣になるぞと、こう私が言った。そういうふうに言って三十分ぐらいたったら中曽根さんが竹下を指名した。その後私は中曽根さんの官邸に電話して、いろいろ御配慮を感謝しますと。金丸さん、約束守りましたよということがありましたね。
  421. 日野市朗

    日野委員 それで、もっと前に実は褒め殺しはとまっているわけですね。褒め殺しがとまったのは……
  422. 金丸信

    金丸証人 その中曽根さんとの話は、私が副総理を受けるときですから、褒め殺しの前の話ですよ。
  423. 日野市朗

    日野委員 この褒め殺しが始まってからの話を伺いたいのですけれども、これについて先生は、これは褒め殺しをやはりとめないといけないとお思いになった時期がおありでしょう。
  424. 金丸信

    金丸証人 それは周りが、何かこう、熱っ気がだんだん出て、だんだんわっとくるから、こんなものをやられることもゴメイな話じゃない、できることならとめた方がいいな、みんながそう言っているからそれも一つの方法かなという感じはしましたね。
  425. 日野市朗

    日野委員 随分皆さん心配なすったようでございますね。
  426. 金丸信

    金丸証人 そのようですね。私ほどのんびりしてはいなかった。みんなは心配していたと思いますよ。
  427. 日野市朗

    日野委員 これは皇民党というところ、右翼がやっていたわけですが、そのことは御存じですね、皇民党という。
  428. 金丸信

    金丸証人 うん。
  429. 日野市朗

    日野委員 この皇民党には、随分多くの自民党の国会議員の方々が何とかならぬのかというようなことで行っておられた。皇民党の方に話を持ちかけたということはご承知でしょうか。
  430. 金丸信

    金丸証人 いやいや、三十万円なり二十万円なりという話は聞いていますよ。
  431. 日野市朗

    日野委員 そうすると、これはかなり竹下さんも気に病んでおられたんじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
  432. 金丸信

    金丸証人 それは人のことだからわからない。
  433. 日野市朗

    日野委員 そうですか。
  434. 金丸信

    金丸証人 はい。
  435. 日野市朗

    日野委員 先生としては、先ほどお話しになったように……
  436. 金丸信

    金丸証人 いや、私はそんなに皆さんが心配するほど心配じゃない。間違いなく来ると。来ぬときは刺し違えだと私は思っていました。
  437. 日野市朗

    日野委員 それでも一応渡邉社長、先ほどから名前が出ておりますが、渡邉社長とお会いになって、そして、これをとめる方法ないかということを御相談になったことございますね。
  438. 金丸信

    金丸証人 私がしたわけでなくて、いわゆる周りの人たちがそういう話をしたんじゃないですか。私は、ぜひお願いしますなんて言ったことはないですよ。
  439. 日野市朗

    日野委員 これは昭和六十二年の話でございますけれども、九月の末に、秋、もうそろそろ涼しくなるかというころですが、このとき、渡邉社長とお会いになって、これ何とかとめる方法ないかということで御相談なさいませんでしたか。
  440. 金丸信

    金丸証人 私はした覚えはありません。
  441. 日野市朗

    日野委員 した御記憶はない。
  442. 金丸信

    金丸証人 はい。
  443. 日野市朗

    日野委員 実は、これは渡邉社長の方が先生とそういう相談をしたというふうに……
  444. 金丸信

    金丸証人 私は、そういう推測はいろいろ出ておりますが、それは私は、中尾宏という人がそういうような、いわゆるあっち行ったりこっち行ったり、使い走りをしてというような意味を含めて、この人からそういう知恵が出ているんじゃないかという感じがしますね。
  445. 日野市朗

    日野委員 皇民党の褒め殺しをとめようとする知恵ですか。
  446. 金丸信

    金丸証人 知恵を。
  447. 日野市朗

    日野委員 中尾宏から出ていると。  それで、先生よく日商岩井のビルにあるレストランにおいでになりますね。
  448. 金丸信

    金丸証人 はい。
  449. 日野市朗

    日野委員 ここで渡邉社長と先生とお二人で、そのころお会いになったということはありましたでしょうか。
  450. 金丸信

    金丸証人 それはあったかもしらぬ。しかし、それはえらいサゴがあって食べているんじゃないと思いますよ。
  451. 日野市朗

    日野委員 大体先生は何回ぐらいこの渡邉社長とお会いになっておられますか。
  452. 金丸信

    金丸証人 それはもう私は、小針ちゅうのがいたり中尾がいたりして、例えば私も行ったことのない、柳橋のちょっとこっちの方に万惣という果物屋がある。果物屋の二階にフルーツパーラーがある。そこで夕飯を食ったら、えらい上品なところで食べるなんちゅうような感じがしたこともありますよ。それからホテル・オータニのフランス料理でキジの料理を出す何とかちゅう、フランスでは前の昭和天皇、皇后陛下がお寄りになってそこで昼食をとったというようなところの出張がホテル・オータニにあるのですね。そういうところとか、あるいはフグ屋へ行って食べるとか、いろ一いろ……
  453. 日野市朗

    日野委員 はい、わかりました。  褒め殺しがとまったのはいつごろかということは、御記憶ございますか。
  454. 金丸信

    金丸証人 全然そういうことはこの頭じゃだめですよ。みんなわからぬ。
  455. 日野市朗

    日野委員 十月の二日なんですがね。
  456. 金丸信

    金丸証人 ああ、そうですか。
  457. 日野市朗

    日野委員 先生は、褒め殺しがとまるについては、やはり先生御尽力なすった、そのかいがあったとお思いになりませんか。
  458. 金丸信

    金丸証人 ない。全然ない。
  459. 日野市朗

    日野委員 そうですか。  十月の五日と思いますけれども、渡邉社長と先生と、それから小沢さん、小沢一郎さんですね、それから竹下さんとお会いになったことございますか。
  460. 金丸信

    金丸証人 あったかもしらぬし、なかったかもしらぬ。そんなこととても覚えているようじゃ代議士なんかやってませんよ。東大の博士だ。
  461. 日野市朗

    日野委員 その十月五日に、これは東京プリンスだと思いますけれども、褒め殺しをとめるために皆さんで御相談なすったことはなかったでしょうかね。多分ありたんじゃないかと思いますが、ひとつ記憶を……
  462. 金丸信

    金丸証人 それは、あったかもしれぬし、なかったかもしれぬ。だから、私はそういうときは、私は夜は酒飲むものですからね。酒飲むといったって人並み以上に飲むのですよ。例えていえば、サントリーのボトルを水割りで一本飲んじまうちゅうようなことを、御機嫌であって、二人で討論でもすればあしたの朝まででも飲みながら話をするというような性格で、そんなことで酒を飲んでいれば、とても褒め殺しも総理大臣候補もハチの頭もないんでね。ですから、その辺は酔っぱらっていればわからぬ、
  463. 日野市朗

    日野委員 竹下さんですね、田中元総理と非常にこれは疎遠になってしまったわけでございますね。それで、何か私の聞いたところによると、田中総理にスリッパでたたかれたなんということもあったというふうな話も聞くんですが、まあこれは本当ですかうそですかわかりませんが、非常に疎遠になった。それで、今度は竹下さんが総裁に立候補をされるということで田中元総理のところにごあいさつに伺ったというようなことはございましたですね。
  464. 金丸信

    金丸証人 聞いてます。聞いたが、それは私は後から聞いた。そうしたところが、それをプリンスの十六階か十七階で話をしたろうと、こう言うが、そこんところは私は全然聞いてもいないからわからない。だけど、その話は後で聞いた。聞いて、私も少しは知恵があるということでしょう。どういうことでこういうことになったか、長谷川信さんがあそこで写真まで撮ったというのはどういう理由だか、私今もって脇に落ちないのですよ。
  465. 日野市朗

    日野委員 実はきのうも、きのうですね、竹下さんが国会においでになって証人尋問ありまして、ここに行かれた、五日に東京プリンスに行かれて、そして先生と小沢一郎さん、それから渡邉社長とお会いになったということははっきり言っておられるのですがね。御記憶ありませんか。
  466. 金丸信

    金丸証人 いや、私は行ってないとは申し上げませんが、行ったか行かぬか、飲んだか飲まぬか、それも私にはもう相当さきの話でしょう、わかりっこないじゃないですか。それがわかるようじゃ代議士はやっていませんよ。
  467. 日野市朗

    日野委員 これは、そうすると記憶がないということですね。
  468. 金丸信

    金丸証人 ない。ないですね。
  469. 日野市朗

    日野委員 そういうことがなかったという記憶もない。
  470. 金丸信

    金丸証人 いや、そういうことはなかったとも言い切れぬ。わからぬのだ。
  471. 日野市朗

    日野委員 そうですか。  それから、十一月に入ってから、渡邉さんと先生が会食をしておられる席に竹下さんが来られて、それで渡邉社長に、どうもお世話になったということでお礼をしたというようなことはございましたでしょうか。
  472. 金丸信

    金丸証人 そんなとこまで、あんたが私の立場になったときに見ている。とてもそんなもの見ちゃいられませんよ。隣に美人でもいればそっちを見ているよ。竹下の顔よりこっちの美人の顔を見ている方が少しは薬だわ。そんなことは、あったかなかったか、わからない。
  473. 高鳥修

    高鳥委員長 松浦さんからさらにお尋ねがありますが、よろしくお願いします。
  474. 松浦利尚

    松浦(利)委員 先生、一日も早い御全快をお祈りしておりますが、最後にちょっとお聞かせいただきたいのですが、先生のお気持ちで結構です。  竹下元総理がリクルートに関連をして総理をおやめになりまして、そして今御承知のように佐川急便事件の中心におられるわけですね。それで、国民世論は大変竹下元総理に厳しい状況にあることは事実だと思います。  それで先生は、今のお話によりますと、細かいことは御存じありませんけれども、国会の証言等を通じても、御本人も自覚はしておらないけれども、そういう皇民党との関係あるいは暴力団との関係が、何といいますか、後から考えてみればといいますか、そういう状況があったような気もするというような、言葉はちょっと違いますけれども、そういうことを証人として証言されております、内容的には正確ではありませんけれども。  ですから、政治家のとり方として、頂点をきわめた金丸先生は、みずからさっと政界を去り、引退されましたけれども、御本人はこの事件が解明されるまでは断じて政治家としてみずからの手で解明したい、こう言っておられるのです。先生は、こうした竹下さんについて個人的にどういうふうに思われますか。また、竹下さんのとるべき政治家としての道はどうあるべきだとお思いになるでしょうかね。
  475. 金丸信

    金丸証人 私は、この問題については自分の私情とかなんとかちゅうことでなくて、竹下君が一つのやめない理由ということを言っておる。これは一つの理由だと私は思ってはおりますが、私は、竹下君は五億ちゅう問題はないし、あるいは暴力団との話し合いもないし、右翼との話し合いもない。金丸信は暴力団とも会い、五億もいただき、これだけの日本全国を騒がしたという罪は、それはもうとても竹下さんと比べ物にはならない。  そういう状況の中では、先ほどからまだ暴力団の話は出ないけれども、私はもう新聞発表するときは衆議院までやめるという決意でいたが、自分一人で衆議院になったわけじゃないんだから、地元の大勢の了承をとらなければやめるわけにいかぬということですから、経世会の会長まではやめたが、衆議院はすぱっとやめられなかったことは残念ですが、おくれてやめた。しかし、まあこれは私の性格で、暴力団と話し合いをした。一年くらいたった後だと思うのですが、この問題が、私は人間として義理人情というものはあってしかるべきだと。これは自民党であろうと、社会党であろうと、公明党、民社であろうと、人間関係があったらこの人間関係は大切にしなければいかぬ、これが私の、まあわけのわからぬ政治哲学です。そういう意味で、何しろ子供が橋の上からおっこって川に流されてあっぷあっぷしながら、それを助けてくれた。後で聞いたら、これが暴力団だ。私は、その暴力団に助けてもらって、あいさつして、それはおまえが悪いという判断は当然今の状況じゃあると思います。それはおまえは罪だ、おまえはそれは罪悪だということであれば、甘んじてそれは受ける。それが私の人生観だ、こういうようにとっていただけばいい。金丸信という男は、あれはちょっと頭がのろいとか、いろいろな問題があると思いますが、きょうここにいらっしゃる国会議員でも知らぬ人ばかりじゃない。いろいろ人間関係の中で私はおつき合いをしてきている人もいる。だからそういうことを考えていただいて、金丸信は自分が全部それは承知して国会議員をやめたことですから、それは了としていただいて、ぜひ竹下の問題は竹下、金丸信の問題は金丸信で、金丸信の問題は竹下と関連されてこれをいろいろ推察されることは私は非常に迷惑だ。また、竹下の方もそれは迷惑だろうと私は思っています。  何しろこの問題でいろいろあっちからもこっちからもやられる。いわばうちっきりですよ。共同の孫も持っている。その共同の孫が共同の孫でなくなっちゃどうなるだろう。それの方が大切か、それとも政治の方が大切か。竹下はどうであるか知らぬが、私は人間関係の血のつながりの方が強いと思っている。だから甘んじてそれは受ける。また、私がこれをあえて受けたのは、悪いことをしたら受けることは当然だ。  なお、これを返そうという気持ちはあったけれども返せなかったというところにも問題があった。だからぜひ、私の意のあるところを十分御理解いただいて、今後問題に対処していただきたい。私はどんなお仕置きを受けても一悪いことをしたことは間違いない。ですからぜひ、悪いのは金丸信だということで御理解いただければ非常に幸いだと思います。
  476. 高鳥修

    高鳥委員長 ありがとうございました。  ちょうど今社会党の持ち時間の方が終了しましたので、ここで十分ほど休ませていただいて、あともう少しお尋ねをさせていただきます。     午後四時三分休憩     午後四時十七分再開
  477. 高鳥修

    高鳥委員長 それでは、休憩前に引き続きまして証言をお願いいたします。  最初に、公明党の草川さんからお願いします。
  478. 草川昭三

    草川委員 草川です。お体の悪いところをお伺いをして大変恐縮でございます。  一番最初に、金丸先生は上申書を出しておみえになりますが、その写しを国会に出していただくわけにはまいりませんでしまうか、お伺いをします。
  479. 金丸信

    金丸証人 これは出してもいいんじゃないですか。どうなんですか、先生。(安部補佐人「これは検察庁の方に……」と呼ぶ)
  480. 高鳥修

    高鳥委員長 こういう状態ですので、今補佐人からのお答えをお聞き取りおき願います。
  481. 草川昭三

    草川委員 五億円を東京佐川から金丸先生は受け取られたわけですけれども、それは一たん経世会に入ったのでしょうか。
  482. 金丸信

    金丸証人 入ったのか入らぬのか、何しろ金丸信政治団体に入れたということだけは確かだと思います。それから先は彼がやったことですから、私にはわからない。
  483. 草川昭三

    草川委員 それから、佐川から五億円をもらっていますが、それ以外に受け取ったものはありますか。
  484. 金丸信

    金丸証人 一文もない。
  485. 草川昭三

    草川委員 一文もない。
  486. 金丸信

    金丸証人 はい。どんなに掘ってもありません。
  487. 草川昭三

    草川委員 先生は、平成二年の十二月に北朝鮮に渡航をされていますが、その費用の一部を佐川急便に提供してもらったということはございませんか。
  488. 金丸信

    金丸証人 絶対ありません。
  489. 草川昭三

    草川委員 皇民党の稲本とは会ったことはございますか。
  490. 金丸信

    金丸証人 会ったことも話したこともありません。
  491. 草川昭三

    草川委員 それから、佐川清さん、オーナーですけれども、会ったことはございますか。
  492. 金丸信

    金丸証人 この人は、私が幹事長のとき私の事務所へ来たかな、来たことないのか。そこの辺は、来たような来ぬような感じがします。
  493. 草川昭三

    草川委員 それから、石井稲川会の前の会長と知り合ったのはいつごろですか。
  494. 金丸信

    金丸証人 それは、私が知り合ったのは、藍亭で夕飯を食ったときが、お礼の、感謝の気持ちで会ったという、そのときが初めて。
  495. 草川昭三

    草川委員 それから後は何回ぐらい会われておりますか。
  496. 金丸信

    金丸証人 一回も会ったことはない、それ以後。
  497. 草川昭三

    草川委員 藍亭では二回石井さんと会ってみえるという話がありますが。
  498. 金丸信

    金丸証人 とんでもない、一回。よく調べてください。
  499. 草川昭三

    草川委員 石井さんが慶応病院に入院されたときに、渡邉さんとお見舞いに行こうという話がありましたか。
  500. 金丸信

    金丸証人 いや、聞かない。私は行きませんから。そんな話は聞いていません。私は、大体、入院したり病気をしたり死んだということを知らなかったわけです。
  501. 草川昭三

    草川委員 きのう私は渡邉被告と会ってきたのですけれども、渡邉さんは稲本との面会を認めました。稲本を知っているということを渡邉さんは認めました。皇民党の稲本に自民党の代議士が何人か行きましたが、金丸先生の代理人も行ったということになっておりますが、その代理人は渡邉被告ではございませんか。
  502. 金丸信

    金丸証人 知らない。私は全然頼みもせぬし、代理人をつくったこともありません。正真正銘ない。
  503. 草川昭三

    草川委員 皇民党へだれかそのほかの方々も行かれたことがないわけですね。
  504. 金丸信

    金丸証人 それはわからぬ、私は。金丸信が代理人をつくって三十億出すとかなんとかという話、うそも万八もよく言ったものだと思いますよ。そんなことは関係ありません。
  505. 草川昭三

    草川委員 その次に、先生は先ほど議員を辞職をするという決意のことを言われましたが、これは五億円の政治資金規正法違反の責任と、それから暴力団関与の責任も含まれているのですか。
  506. 金丸信

    金丸証人 それも含まれていますし、自民党の副総裁という、自民党にとっては非常な重要なポイントの地位におる人間が、そのような問題が世の批判の対象になるということであれば、それも責任とらなければならない。ですから、暴力団の問題とあわせて、全部足して、全部やめる、こういうことです。
  507. 草川昭三

    草川委員 それから、きのう竹下さんが国会に来て、田中邸の訪問は右翼絡みだと証言をしました。右翼の絡みもあったということを言われましたが、その点について先生の御意見はどうでしょうか。
  508. 金丸信

    金丸証人 私はどういうわけでこういうことになったのか、また右翼が、右翼だか暴力団だか知らぬが、田中邸へ行って頭を下げろとこういうこと、何で頭を下げに行かなきゃならぬのかというような、私もまだその結論は出ておりませんが、そういう疑問は私も持ちました。
  509. 草川昭三

    草川委員 疑問が。
  510. 金丸信

    金丸証人 疑問を持った。
  511. 草川昭三

    草川委員 やはり残念だと思っておみえになりますか。
  512. 金丸信

    金丸証人 その問題を。
  513. 草川昭三

    草川委員 はい。
  514. 金丸信

    金丸証人 どっちが。
  515. 草川昭三

    草川委員 先生が。そういう話があったということは。
  516. 金丸信

    金丸証人 暴力団の話。
  517. 草川昭三

    草川委員 介入をしたということは。
  518. 金丸信

    金丸証人 それは私は、だから、それがあったということは、これは自由社会ですからしゃべることは勝手です。口に戸は立たぬということですから、言うことは勝手だとは思うが、余り、本当であるか本当でないか、私は、本当であることは本当で発表すればいいと思う。最近の新聞は本当でないことをどんどん書いてしまう。いかに自由社会でもちょっとそれは無理だなという感じがしますね。
  519. 草川昭三

    草川委員 六十二年の総裁選挙のときですが、十月の五日に東京プリンスで竹下、金丸、小沢、渡邉さんとの話があったのですが、そのときに渡邉さんが、稲川会の石井氏がこの世話をしておるということを言わなかったでしょうか。
  520. 金丸信

    金丸証人 私は聞いちゃいない。
  521. 草川昭三

    草川委員 聞いていない。もし竹下さんが田中邸へ行って断られたらぶざまだと竹下さんが言ったと言われていますが、御記憶はありますか。
  522. 金丸信

    金丸証人 私はその問題は、先ほど申し上げましたように、たしか田原君の。パーティーのとき、それから十六階へ上ったという話のときですから、一杯飲んでいるから、行ったか行かぬか私はわからない。また、私はその問題について、えらい重大な関心は持っておらぬということです。
  523. 草川昭三

    草川委員 はい、わかりました。  今度は、六十二年の九月の末、日商岩井の十二階のレストランで……
  524. 金丸信

    金丸証人 十九階。
  525. 草川昭三

    草川委員 十九階ですか。レストランで、渡邉氏と食事をされたときに、渡邉氏から稲川会の石井会長に頼もうと思うがいいかと。頼んでほしいと言われたのですか。
  526. 金丸信

    金丸証人 いや、それは私が言う前に、死んだ人間を持ち出すことはちょっと非礼だと思うが、その問題はいわゆる中尾宏と、いわゆる青木君との話の中で話が決まったんじゃないですか。
  527. 草川昭三

    草川委員 先生はその際、お見えになったことは、いたんですか。
  528. 金丸信

    金丸証人 やはりいたかもしれません。そんなことは、日時は私には全然わからぬですよ、私は日記をつけないんだから。
  529. 草川昭三

    草川委員 わかりました。  竹下さんは、褒め殺し対策で石井だとか暴力団が関与しているということを当時知っていましたでしょうか。
  530. 金丸信

    金丸証人 これはわからぬね。
  531. 草川昭三

    草川委員 わからぬ。今のお話だと、中尾さんとか青木さんの段階で話が進んだということですが、竹下さんも随分心配をしてみえたわけですから、渡邉に頼んだよということは言われたわけですか。
  532. 金丸信

    金丸証人 竹下が私に。
  533. 草川昭三

    草川委員 いや、金丸先生が竹下さんに、渡邉に頼んだから心配するなというようなことは言われたのですか。
  534. 金丸信

    金丸証人 言ったことはない。
  535. 草川昭三

    草川委員 言ったことはない。
  536. 金丸信

    金丸証人 渡邉に頼めば絶対心配ないと言い切れぬ状況が当時あったんじゃないですかね。しかし、私はもうそんなことは問題にしてなかったです。竹下は絶対総理大臣になるという絶対の気持ちを持っておりましたから。
  537. 草川昭三

    草川委員 竹下さんは、一年おくれの六十三年の十二月に皇民党抑え、いわゆる中止工作を石井さんがやっているということを聞いた、こういうことを言われていますけれども、一体だれが竹下さんにそれを伝えたんでしょうか。
  538. 金丸信

    金丸証人 さあ。竹下は私には細かいことは話さぬですよ。あんな頭の悪いのに話をしたってどうせ忘れるだろうから、話をしない方がいい、し損だから。褒め殺しじゃない、こっちはばか殺しにされている。
  539. 草川昭三

    草川委員 ああ、なるほど。  竹下さんが皇民党のおどしを受けていた真のねらいは何だったんでしょう。何であんなことをやられたんでしょう。
  540. 金丸信

    金丸証人 私の聞くところによると、そのシンミン党の子分、子方だな、それが島根県に一人おったんだ。それが死んだそうだ。死んだとき、それに対する何の対策も何の見舞いもしなかったというようなことを、竹下でなくてだれか島根県の人から聞いたよ。それが原因じゃないですかねと。竹下はそんなことは私に何にも言わない。
  541. 草川昭三

    草川委員 いずれにしても、反対運動が十カ月、一年近く続いたということについては、お話は聞いてみえましたか。
  542. 金丸信

    金丸証人 私は、一年も続いたとは思わなかった。二、三カ月続いたろうかなという、私はたまたま増上寺のところにあるプリンス、あそこの何か。パーティーから帰るとき、十台だか、そろってプリンスの前を通るから、これは何だと聞いたときに初めて褒め殺しということを知ったのですよ。
  543. 草川昭三

    草川委員 それはいつごろの話ですか。
  544. 金丸信

    金丸証人 やめる三、四カ月前じゃないですかね。それは何カ月だか、うまくわからぬ。
  545. 草川昭三

    草川委員 東京にある小針さんの知人宅で東京佐川の再建策の相談がありましたが、呼びかけ人は金丸先生ですか。
  546. 金丸信

    金丸証人 小針です。
  547. 草川昭三

    草川委員 小針さん自身ですか。
  548. 金丸信

    金丸証人 はい。小針は渡邉と利用されたり利用したりしたんじゃないですか。だから私のところに来て、当然そういうことは漏れてちょうどだと思うのだが。小針がいわゆるこの告訴を取り下げてくれると、その取り下げる条件としては再建計画ができたら話に乗ってくれるかという話があったから、私は県内からの陳情でも何でも、来れば、これはいける、いけないと自分自体で判断して、いけるという話であれば電話で直接話をするのです。ですから、小針からそんな話があったから、した。そうしたら、それが下から漏れたということでしょう。頭取が下に命令したのでしょう。調べさせた。そういうことですから、私は何も、こうだからやったということじゃないと、こう思いますね。
  549. 草川昭三

    草川委員 それは三和銀行のことですか。
  550. 金丸信

    金丸証人 そうそう。
  551. 草川昭三

    草川委員 そのときに竹下さんも銀行のことをおっしゃいましたか。
  552. 金丸信

    金丸証人 竹下はそのときは言わない。私の事務所へ小針が来た。そのとき、あと、飯を一緒に食ったのが渡辺秀央かな、郵政大臣。そのとき竹下はいわゆる大蔵大臣らしいことを言っていたね。
  553. 草川昭三

    草川委員 どういうことを言ったのですか。
  554. 金丸信

    金丸証人 今の、いわゆる再建計画が出てということがまず第一に必要欠くべからざることでしようと、そういうものがそろわなければ話は始まらぬと、こういうようなことを言っていたね。
  555. 草川昭三

    草川委員 その際、住友銀行に電話をするというようなことは言ってませんでしたか。
  556. 金丸信

    金丸証人 言ってないね。住友銀行という問題については、竹下は私に一言も話をしてくれぬ。私がびょうぶの話をするもんだから、こんな男に何ぼ話をしたって協力はしないと。びょうぶはどんなびょうぶだ、見せろと言ってるんだけれども、見たごとないね。
  557. 草川昭三

    草川委員 一年後、六十三年の十二月ですが、藍亭で金丸さんと石井前会長との話し合いがありましたが、そのときに竹下さんを誘いましたか。
  558. 金丸信

    金丸証人 誘わない。誘ったって来る人じゃない。これは私の義理人情という関係の中でやったもので、これは確かに悪いということは承知でやりました。
  559. 草川昭三

    草川委員 そのときには先生と石井と渡邉さんもいたわけですか。
  560. 金丸信

    金丸証人 いた。三人。だけれども、私は酒を飲む。渡邉氏も飲む。石井さんはたばこも酒も飲まないで紅茶を飲んでいたな。私が上へどうぞお座りくださいと言ったら、とんでもないことを言う、じゃ私はこれで失礼させて、帰らせていただきますなんて言うもんですから、私が上席に座った、こういう状況です。
  561. 草川昭三

    草川委員 それで、そのときに金丸先生は、石井さんは本当の任侠の人だということを言ったという話が伝わっていますが、どうですか。
  562. 金丸信

    金丸証人 それは言ったか言わぬか、そんなことは言わぬと思うが。しかし私は、そういうたぐいの人でたばこものまない、酒も飲まない、そして、どうぞ上へ座ってくださいと言ったら、それじゃ私は帰らせていただきますというようなことは、ああ、この社会、こんなことを言う人がいるのかなというような感じはしましたね。
  563. 草川昭三

    草川委員 平成二年の夏に石井前会長の快気祝いを藍亭で行われたのではないでしょうか。
  564. 金丸信

    金丸証人 知らない。私はあの人に会ったのはその一回しかないですから。二度もない。葬式は、いつ葬式があったのかも知らない。お見舞いにも行きません、これは。
  565. 草川昭三

    草川委員 それで先生は、渡邉さんと中曽根さんとそれから金丸先生と小針さんと一緒の席で会われたことはありませんか。渡邉が後から来るんですが。
  566. 金丸信

    金丸証人 それは、私はあったかなかったか、しかと記憶にないが、まあ小針という人はそういう、私がこの人は変わった人種だと。例えて言えば、田中角栄ともおつき合いし、福田赴夫ともおつき合いし、それから中曽根ともおつき合いし、河本さんともおつき合いし、こういう人はちょっと世の中にいないと、あるパーティーで私が本人を前に置いてあいさつしたことがあるのですが、いわゆる、まあまあ言えば、でかくはねえが小さい政商みたいな人じゃないですか。
  567. 草川昭三

    草川委員 はい、わかりました。  時間が来ましたので、終わります。
  568. 高鳥修

    高鳥委員長 じゃ次、共産党の児玉さんにお願いします。
  569. 児玉健次

    児玉委員 児玉健次でございます。  手短にお聞きいたしますので、事実の有無を中心にしてお答えいただきたいと思います。  最初に、今皆さんがお話しになった自民党総裁選を前にした街頭宣伝、褒め殺しが始まったころ、浜田幸一さんや魚住さん、浦田議員などが皇民党と接触なさったこと、御本人認めておりますが、金丸先生はこのことを御存じでしょうか。
  570. 金丸信

    金丸証人 全然頼んだこともありません。あり二人で対決して話し合いをしても結構です。ありません。
  571. 児玉健次

    児玉委員 重ねてお聞きしますが、大島さんの出している調書によれば、金丸さんが稲本氏のところに代理人を送ったという記述がございますが、この点いかがでしょう。
  572. 金丸信

    金丸証人 それは代理人自体が、おれは代理人といって話をしたりしたか、私は代理人なんて一人も頼んだことはありません。
  573. 児玉健次

    児玉委員 頼んでいらっしゃらない。
  574. 金丸信

    金丸証人 はい。
  575. 児玉健次

    児玉委員 昭和六十二年の九月の末、今のお話の中で、日商岩井ビルの十九階のレストランにおいでになった。青木さん、中尾宏さんのお話も出ておりますが、もう一遍お聞きしますが、そのとき金丸さんがそばにいらっしゃって、渡邉さんが褒め殺しをやめさせるということを石井会長に頼もうと思うと言ったことを覚えていらっしゃるでしょうか。
  576. 金丸信

    金丸証人 その話は聞いてないな。それは彼の周りについておる、例えて言えばですね、周りについておる中尾宏とか、ただ彼から、渡邉さんから聞いた、渡邉さんの側近というような人たちが言っているんじゃないですか。
  577. 児玉健次

    児玉委員 金丸さんが副総裁をおやめになるときの記者会見、ことしの八月二十七日ですが、そのときあなたは、我が同志への陣中見舞いだと認識したと五億円のことをおっしゃいました。同志というのは大体何十人ぐらいとお考えになったでしょう。
  578. 金丸信

    金丸証人 何十人と考えたか、私にはわからぬ。
  579. 児玉健次

    児玉委員 そうですか。それの配分については。
  580. 金丸信

    金丸証人 それは、書いたのは、まず私は、先ほど言ったように、新聞でもたたかれたりして、検察の呼び出しにも応じない、私のうちに六十日も閉ざされて、外へ出られない、散歩にも出ないというような状況の中で、私は……
  581. 児玉健次

    児玉委員 そのことを伺ってはおりませんから。  それで、生原さんのお話では、五百万円から二千万円ぐらいの額で届けたとおっしゃっているようですが、あなたはそのことを御存じですか。
  582. 金丸信

    金丸証人 全然知らない。
  583. 児玉健次

    児玉委員 その金額は経世会以外の政治家にも届いたでしょうか。
  584. 金丸信

    金丸証人 知らない。
  585. 児玉健次

    児玉委員 自民党以外の政治家にはいかがですか。
  586. 金丸信

    金丸証人 知らない。私が配ったんじゃないですから。
  587. 児玉健次

    児玉委員 そうですか。金丸さんは渡邉さんから、平成元年参議院選挙新潟知事選挙のときの六月と総選挙の直前、平成二年の一月、それぞれ五億円をお受け取りになっていたのではありませんか。
  588. 金丸信

    金丸証人 五億、五億と十億ということですか。
  589. 児玉健次

    児玉委員 そうです。
  590. 金丸信

    金丸証人 とんでもないと私は思いますよ。確かに私に十億くれると言った。十億くれると言って五億持ってきたという、その生原の言う五億を信用せずして、私がきょうまで信用して彼を使うわけにいかぬじゃないですか。
  591. 児玉健次

    児玉委員 先ほどからお話しになっている十月の五日の夜のことなんですが、この日は午後、経世会の総会で竹下さんが総裁選出馬の演説をなさいました。そして、夜は経団連との会合も予定しておりました。そのとき、田原さんを励ます会もあったようです。当時、金丸さんは副総理でいらっしゃって、竹下さんは自民党の幹事長です。小沢さんは経世会の総務局長だと承知しております。そういういわば自民党のトップレベルの方たちの集まりに渡邉さんという一運送会社社長がなぜ出席したのでしょうか。その点、端的にお伺いします。
  592. 金丸信

    金丸証人 どこへ出席したのですか。
  593. 児玉健次

    児玉委員 十月の五日の夜、東京プリンスホテル。その日の昼は……
  594. 金丸信

    金丸証人 十六階というところですか。
  595. 児玉健次

    児玉委員 東京プリンスホテルです。
  596. 金丸信

    金丸証人 では、田原君の後、上へ上ったというやつですね。
  597. 児玉健次

    児玉委員 そうです。
  598. 金丸信

    金丸証人 先ほど話したように、私はちょうど田原君のところで二、三杯水割りを飲んで、上に行って、それでいわゆる褒め殺しというような問題があるので、私はその問題については全然無関心でもないが、関心がなかった。というのは、酒を飲んで皆さんの話し合いを聞きながらというような話もあって、聞きながらといっているが、実際は聞いちゃいなくて、多分その目うちへ帰ったときは、水割りは六、七杯飲んでいたと思いますよ。
  599. 児玉健次

    児玉委員 翌日はお酒もさめたと思うのですが、雨の中を竹下さんが目白の田中邸に行かれた。そして、長谷川信さんとちょっとささやかれてお帰りになった。その結果をあなたはいつ、だれからお聞きになりましたか、田中さんのお屋敷の中には入れなかったという結果を。
  600. 金丸信

    金丸証人 それは小沢君かな。だれか、何しろ長谷川さんじゃなくて、小沢君じゃないですか。
  601. 児玉健次

    児玉委員 そうですか。  総裁の指名が行われたのが昭和六十二年の十月の二十日だと思いますが、その二十日前、十月の一日のことです。都内の料理屋に金丸さん、竹下さん、そして竹下派の二、三人の幹部、東京佐川急便渡邉さん、皇民党の稲本さん、大島行動隊長、石井会長の代理、こういう人たちが同席して皇民党の街頭宣伝を中止させるための話し合いが行われたと私は承知しておるのですが、この点、どうでしょうか。
  602. 金丸信

    金丸証人 全然。あなたの承知は間違っています。
  603. 児玉健次

    児玉委員 こういう事実はありませんか。
  604. 金丸信

    金丸証人 絶対ない。
  605. 児玉健次

    児玉委員 昭和六十三年の十二月二十三日、先ほど藍亭にいらっしゃって石井会長と会ったということはお聞きいたしました。そのときの石井会長とのお話し合いの中で、どんなお話し合いがあったのでしょうか。
  606. 金丸信

    金丸証人 さあ、その話はどんな話をしたか。あんた、酒も飲まない、たばこものまない、私はそういう人だとは思わなかったと言ったら、全然飲めないのですと。まことに私はえらく謙遜した言葉を言ったように記憶しておりますね。
  607. 児玉健次

    児玉委員 わかりました。  そのときあなたは、石井さんには何度もお世話になりましたとお礼をおっしゃいませんでしたか。
  608. 金丸信

    金丸証人 お世話になりましたというより、ありがとうございましたぐらいのことは言ったでしょうね。お世話も、ありがとうございましたも、同じことだよね。
  609. 児玉健次

    児玉委員 何に対する感謝の気持ちをおっしゃったんでしょう。褒め殺しをやめてくれたことへの感謝の気持ちでしょうか。
  610. 金丸信

    金丸証人 それは、みんなの総意がそこにあった。その一語じゃないですかな。多分そうだと思いますよ、想像するに。
  611. 児玉健次

    児玉委員 もう一遍、繰り返すようで恐縮なんですが、その前の年の十月の一日なんですね。渡邉さんや稲本総裁、竹下さん、竹下派の二、三人、そういう人たちが都内の料理屋で会っているという出版もあるのですが、御記憶にないですか。
  612. 金丸信

    金丸証人 そういうでたらめな出版があるから全く世の中がおかしくなっちまう。正しいことは正しく書いてもらいたいと思う。稲本さんには私は一回も会ったことありません。
  613. 児玉健次

    児玉委員 新潟知事選挙の問題ですが、平成元年の四月から五月にかけてあなたは台湾にいらっしゃったと承知しております。そのとき台湾から電話で、ここにおいでの自民党の高鳥代議士に知事立候補を取りやめるよう要請されませんでしたか。
  614. 金丸信

    金丸証人 そんなことない、全然。私は、埼玉県の知事選だの新潟知事選にえらく関与したようなことを言われるが、一言も言ったことはないですよ。この人ここにいるからよく聞いてください。
  615. 児玉健次

    児玉委員 石井会長とお会いになって、お世話になったとおっしゃったと承知しておるのですが、石井会長の力をかりたために、東京佐川急便は結果としてむちゃな融資債務保証で莫大な負担を背負い込んでしまいました。結果的に暴力団に巨額の資金源を提供することになりました。このことについて今あなたはどうお考えでしょうか。
  616. 金丸信

    金丸証人 いや、私はそれはですね、石井さんが佐川急便から金を引き出す手だてだと解釈するということについては、ちょっと早急じゃないかと思う。いま少し調べてもらって。それが最大の原因だとは私は思ってはおりません。
  617. 児玉健次

    児玉委員 それでは、何か大体一千億を超える債務保証などが残ったんですが、佐川急便の場合、稲川会に対する債務保証など。バブルがはじけた後、それが一斉に表に出たわけですが、稲川会の石井会長の力をかりたために、結局東京佐川急便はそういう結果になったと考えざるを得ません。この点どうでしょうか。
  618. 金丸信

    金丸証人 そういう見方をする人もいるでしょうね。いろいろ見方はあると思うが、私はそればかりじゃないと思う。それも一部の中にはあったかもしらぬが、それが全部一〇〇%そうだと認定することができるかどうかということについては、今後の検察の調べた結果を見なければわかりません。
  619. 児玉健次

    児玉委員 終わります。
  620. 高鳥修

    高鳥委員長 では、民社党の中野寛成さん。
  621. 中野寛成

    中野委員 中野でございます。きょうはありがとうございます。  三点ほどお伺いしたいと思いますが、先ほど来、東京佐川からまず十億円献金したいがというお申し入れがあり、先生がお断りになった、しかるに、後に五億円、生原秘書に渡されていた、こういうことでございますが、東京佐川がどうして先生に十億円政治献金をしようというような申し入れをする関係があったのでしょうか。
  622. 金丸信

    金丸証人 私はそのとき考えました、何でそんな金をくれるんだろうかと。しかし、いろいろ労働条件が何だかんだというようなことで国会で問題になったというような問題もあるし、しかし私は、えらいあのような負債があるなんということは考えてもおらなかったが、しかし、何かあってこういうことを私のところへ来られたんだというような感じもしますし、私もお断りをした。会社に取りに来てくださいと、こう言っているが、それを断って行かなかったということは、最初はもらいたくないという考え方だったが、持ってきてくれちゃった。それを右から左に、いわゆる政治団体に入れて、それを配っちゃったと。後の祭りと考えたが、私はそのとき金を借金しても返すべきであったという考え方を、今になれば指示が弱い、そういうことを思っております。
  623. 中野寛成

    中野委員 それまで先生の方で、東京佐川の依頼を受けたり何か頼まれ事があったりしてお世話をしたというふうなことはないのでしょうか。
  624. 金丸信

    金丸証人 何かあったかもしらぬですね。私も道路調査会の会長をしているころ、何かそんなことで頼んで、一応こういう状況だから、聞けば、なるほどな、理屈は合うなというようなことで相談に乗ってやったか、結果はどうなったか知らぬが、話をしてやったことはあるやに思うんですね。
  625. 中野寛成

    中野委員 何か、だれかが先生のところへそのぐらい献金しておいた方がいいよと、何かこうアドバイスしたような形跡はないのでしょうか。
  626. 金丸信

    金丸証人 それは私は、いわゆる小針なんという人といろいろ関係があるから、そこら辺が何の相談したか私にはわからぬが、そこら辺じゃねえかなという感じはしますがね。
  627. 中野寛成

    中野委員 それから、次にお伺いしたいんですが、別の話で、さっきからたびたび出てきますが、今の田原法務大臣の。パーティーの後、十六階に上られたということですが、そのときに、先ほど来のお話を聞いておりますと、東京佐川の渡邉さんや、それから青木秘書さん、それから中尾代議士などがいろいろと心配をして相談をしているところに、金丸先生と竹下さんとが。パーティーに出席しているというので呼ばれて、ちょっと立ち会われたといいますか、せっかく渡邉さんが心配して来てくれているんだから、ちょっと顔を出してもらえればということで行ったのかなあというふうにも、先ほど来聞いていると思われるのですが、その行かれた雰囲気といいますか、きっかけはどういうことだったんでしょうか。
  628. 金丸信

    金丸証人 それはだれかが呼びに来ましたね。ここへきょうは来ることは当然だと、来たら呼ぼうじゃないかということで呼んだんじゃないかと思いますよ。しかし、私はそこへ呼ばれるなんということは知らぬものですから、私も上戸だけれども、ごちそうになろうと思って、たしか三杯ぐらい飲んだと思いますよ。そこのところでお呼びがかかったから、そっちの方の部屋へ行って三、四杯飲んだと、こういうことですね。
  629. 中野寛成

    中野委員 そうすると、そのときにいろいろと、そういう渡邉さんや青木さんや中尾さんが相談をしておったのを、まあ聞くともなく聞かぬともなくという感じで飲んでおられたということですね。
  630. 金丸信

    金丸証人 まあそんなものでしょうな。
  631. 中野寛成

    中野委員 そんなものですか。  そのときに、翌朝といいますか、その日の夜中に長谷川信さんが竹下さんのところへ電話をして、朝、田中さんのところで待っているよということで、その配慮がなされたということなんですが、先生が飲みながら聞いておられた中で、そういう長谷川さんを探したりとかなんとかということはなかったんでしょうか。
  632. 金丸信

    金丸証人 そんな話は全然私は聞いていません。聞いていないということは、酔っているから聞いておらなかったのか、その話は極秘で竹下と青木と長谷川との関係の中での話なのか、その辺、私はしかとわかりません。なかなかあの人は微妙な才能を持っているから、金丸信のようなぼうっとしたやつには話をしてもわからぬから話をしないということじゃないですか。
  633. 中野寛成

    中野委員 それでは、まあ渡邉さんも来ていることだから、金丸先生にもお立ち寄りいただいたらという感じだったのですか。
  634. 金丸信

    金丸証人 まあそうでしょうね。
  635. 中野寛成

    中野委員 次に、もう一つだけお尋ねさせていただきますが、竹下さんの今日までのいろいろな経歴の中で、例えば大阪でイトマン事件というのがありました。このイトマンが買収した近畿放送という京都の放送会社がありました。そこの役員に内藤さんがなっておられる、常務でしたか。それから、平和相銀についても竹下さんのお名前が出てくる。また、今回の佐川事件というふうに。そして、それぞれに例えば、イトマン事件の主犯は許永中という人で山口組の系列の人ですが、そういうふうに必ず右翼とか暴力団とか住友銀行とかが絡むのですね。このことについては先生はどうお感じでしょうか。
  636. 金丸信

    金丸証人 私は、それは人の問題だからあんまり、批判は避けたいね。人を批判する前に自分も批判されるということを考えにやならぬ。ですから、人の批判は避けたいな。あんまりそんなのにさわらぬ方がいいでしょうね。
  637. 中野寛成

    中野委員 批判というよりも、先生の方からアドバイスをされたとか、何か二人の御関係ですから、ありませんですか。
  638. 金丸信

    金丸証人 そういうことは御注意申し上げる筋合いじゃないんですよ、あれは。向こうの方が利・口ですから。
  639. 中野寛成

    中野委員 さわらぬ方がいいというお感じは持っておられた。ただアドバイスしたわけではない。
  640. 金丸信

    金丸証人 佐川の方がいいとはどういうことですか。
  641. 中野寛成

    中野委員 いやいや、さわらぬ方がいい。
  642. 金丸信

    金丸証人 ああ、さわらぬ神にたたりなし。
  643. 中野寛成

    中野委員 それからもう一つ教えていただきたいのですが、今度のこの金丸先生の今日までの御経歴の中でいろいろと話が出てくる中に、いわゆる清濁あわせのむタイプの先生だと今日までお見受けしていたのですが、例えば皇民党とか、今回の佐川事件とか、それから浜田幸一、当時の予算委員長やめてもらうときのこととか、北朝鮮に関連をして暴力団、右翼が先生の批判をして街宣活動をやったとか、それから山梨の知事選挙で騒がせたとか、また、先ほど出ましたが、リニアモーターカーのときに右翼がまた騒いだとか、いろいろあるのですが、その都度先生の方からどなたかに頼んで抑えていったといいますか、対策を講じていったという話がよく聞かれるのですが、この辺はどうなんでしょうか。
  644. 金丸信

    金丸証人 私は、そういうことはえらくあちこち頼んだことはないですね。
  645. 中野寛成

    中野委員 今日まで言われておりますのは、渡邉社長を通じて石井会長にとか、そういうルートで頼んだのではないか、こう言われているのですが。
  646. 金丸信

    金丸証人 石井さんという問題が出たのは、私は後で知った話で、先ほど話をしたように、橋の上から子供が川へおっこった、それを助けてもらった、それに感謝の気持ちがあってもいいじゃないか。それが暴力団とのおつき合いということになるならば、それはそれでいかようなおとがめを受けてもやむを得ぬ。これが私の人生観だ、こういう考え方で対処して、きょうこれが私の政治、まあこれが言えば頭の悪い政治家の政治哲学だな。そういうふうに御理解いただければ幸いだと思います。
  647. 中野寛成

    中野委員 そうですか。  東京佐川、いわゆる佐川事件というのは、もともと佐川清さんはどっちかというと立身出世型のタイプですよね。いろいろ苦労をして会社を大きくされた。そしてまた、東京佐川との関係もそういう確執の中でいろいろなことがあった。先生が東京佐川の渡邉さんの立場で京都佐川に対してもいろいろな配慮をされた、もしくは対策をされたというふうな話もありますが、佐川に関連して先生が関与された部分というのはどのくらいあるのでしょうか。
  648. 金丸信

    金丸証人 ほとんどないよ。例えて言えば、新聞で、山梨県の石和の小学校の跡があった、そこを佐川急便が自動車のターミナルにする。小学校ですから、これは町会の了承をとらにやならぬ、あるいは町長の了承をとらにやならぬ。それが今の山梨県の知事なんですよね、天野建という。天野建のお父さんがその前の前に、二代前に知事をやっているのですよね。三期。この次男に私の家内の妹が嫁に行っているのですよ。そういう仲で、県連会長という仲で、私は親戚の天野を担ぐわけにいかないという立場で選挙をやった。そういう状況で、だから新聞だ、なんだ、あの学校の敷地も金丸信が世話したと。私は全然、そんなものさわったことも見たこともない。それは町長と町議会で決めた、それであそこをターミナルに売ったんですね。そんなような問題をみんな引き出してくるが、ほとんど佐川は、私の問題は、五億という金は多分、いろいろ大きな負債もある、背任罪もあるというような問題が、私をして何とか利用しようとしたんじゃないかというように私は解釈していますよ。
  649. 高鳥修

    高鳥委員長 どうもありがとうございました。  時間でございますので、これにて中野君の発言及び各委員からの証言を求める発言は全部終わりました。  どうも御病気中伺いまして、いろいろと御証言いただき、ありがとうございました。  以上をもちまして金丸証人に対する尋問は終了いたしました。     午後五時四分終了