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1992-12-08 第125回国会 衆議院 文教委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年十二月八日(火曜日)     午前十時三十分開議 出席委員   委員長 伊藤 公介君    理事 木村 義雄君 理事 佐田玄一郎君    理事 中山 成彬君 理事 真鍋 光広君    理事 渡瀬 憲明君 理事 沢藤礼次郎君    理事 吉田 正雄君 理事 鍛冶  清君       逢沢 一郎君    井上 喜一君       狩野  勝君    河村 建夫君       小坂 憲次君   小宮山重四郎君       塩谷  立君    原田 義昭君       村田 吉隆君    輿石  東君       佐藤 泰介君    中西 績介君       馬場  昇君    松前  仰君       山元  勉君    平田 米男君       矢追 秀彦君    山原健二郎君       柳田  稔君  出席国務大臣         文 部 大 臣 鳩山 邦夫君  出席政府委員         文部大臣官房長 吉田  茂君         文部大臣官房総         務審議官    岡村  豊君         文部省初等中等         教育局長    野崎  弘君         文部省教育助成         局長      井上 孝美君         文部省高等教育          局長      遠山 敦子君         文部省高等教育         局私学部長   中林 勝男君         文部省学術国際         局長      長谷川善一君  委員外出席者         厚生省社会・援         護局施設人材課         長       大田  晋君         文教委員会調査         室長      福田 昭昌君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月八日  辞任         補欠選任   宇都宮真由美君    馬場  昇君   永末  英一君    柳田  稔君 同日  辞任         補欠選任   馬場  昇君     宇都宮真由美君   柳田  稔君     永末 英一君     ――――――――――――― 十一月二十七日  教育条件整備充実に関する請願井上一成君  紹介)(第四二七号)  同(原田憲紹介)(第四二八号)  義務教育学校学校事務職員に対する義務教  育費国庫負担制度維持に関する請願加藤繁  秋君紹介)(第四七七号)  同(小松定男紹介)(第四七八号)  同(佐々木秀典紹介)(第四七九号)  同(斉藤一雄紹介)(第四八〇号)  同(渋谷修紹介)(第四八一号)  同(鉢呂吉雄紹介)(第四八二号)  同(吉田和子紹介)(第四八三号)  同(渋谷修紹介)(第五七六号) 同月三十日  義務教育学校学校事務職員に対する義務教  育費国庫負担制度維持に関する請願青木正  久君紹介)(第六八六号)  同(水田稔紹介)(第六八七号)  同(吉岡賢治紹介)(第六八八号)  同(鈴木喜久子紹介)(第七八六号)  同(田口健二紹介)(第八六一号)  同(堀込征雄紹介)(第八六二号)  教育条件整備充実に関する請願近江巳記夫  君紹介)(第六八九号)  同(遠藤和良紹介)(第七八七号)  同(倉田栄喜紹介)(第七八八号)  同(春田重昭紹介)(第七八九号)  同(森本晃司紹介)(第七九〇号)  同(北側一雄紹介)(第八九一号) 十二月一日  義務教育学校学校事務職員に対する義務教  育費国庫負担制度維持に関する請願松原脩  雄君紹介)(第九六二号)  同(宇都宮真由美紹介)(第一一〇七号)  同(田並胤明君紹介)(第一三二五号)  同(外口玉子紹介)(第一三二六号)  同(和田静夫紹介)(第一三二七号)  教育条件整備充実に関する請願菅野悦子君  紹介)(第一一〇八号)  行き届いた教育充実に関する請願原田憲君  紹介)(第一一七九号)  義務教育費国庫負担制度堅持教職員配置改  善計画実施教員給与改善に関する請願外  一件(神田厚紹介)(第一一八〇号)  同(鍛冶清紹介)(第一一八一号)  同外一件(柳田稔紹介)(第一一八二号)  学費値下げ大学予算増額私学助成増額に関  する請願山原健二郎紹介)(第一一八三号)  教育大学予算私大助成大幅増額学生・  父母経済的負担軽減に関する請願竹内勝彦  君紹介)(第一一八四号)  同(竹村幸雄紹介)(第一三二八号)  同(寺前巖紹介)(第一三二九号)  同(山原健二郎紹介)(第一三三〇号)  学校五日制実施に伴い、障害児生活と発達を  保障するための社会教育障害児福祉充実に  関する請願山原健二郎紹介)  (第一一八五号)  学校事務職員栄養職員給与費半額国庫負担  堅持に関する請願吉田正雄紹介)  (第一三一〇号)  義務教育費国庫負担制度堅持に関する請願  (網岡雄紹介)(第一三一一号)  同(宇都宮真由美紹介)(第一三一二号)  同(佐藤泰介紹介)(第一三一三号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第一三一四号)  同(山原健二郎紹介)(第一三一五号)  義務教育費国庫負担制度から削減・除外された  費用復元に関する請願網岡雄紹介)  (第一三一六号)  同(宇都宮真由美紹介)(第一三一七号)  同(佐藤泰介紹介)(第一三一八号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第一三一九号)  同(山原健二郎紹介)(第一三二〇号)  大学院生研究生経済的負担軽減に関する  請願川俣健二郎紹介)(第一三二一号)  大学院教育研究充実させ、大学院生の研  究と生活保障に関する請願沢藤礼次郎君紹  介)(第一三二二号)  大学院教育研究充実大学院生研究と  生活保障に関する請願山原健二郎紹介)  (第一三二三号)  豊かな私学教育実現のための私学助成に関する  請願吉田正雄紹介)(第一三二四号) 同月二日  公立小中学校事務職員栄養職員に対する義  務教育費国庫負担制度維持に関する請願(山  下八洲夫君紹介)(第一五五六号)  子どもが安心して過ごせる放課後・学校休業日  のため、学童保育制度化地域条件整備に  関する請願小沢和秋紹介)  (第一五五七号)  同(金子満広紹介)(第一五五八号)  同(木島日出夫紹介)(第一五五九号)  同(児玉健次紹介)(第一五六〇号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一五六一号)  同(菅野悦子紹介)(第一五六二号)  同(辻第一君紹介)(第一五六三号)  同(寺前巖紹介)(第一五六四号)  同(東中光雄紹介)(第一五六五号)  同(不破哲三紹介)(第一五六六号)  同(藤田スミ紹介)(第一五六七号)  同(古堅実吉紹介)(第一五六八号)  同(正森成二君紹介)(第一五六九号)  同(三浦久紹介)(第一五七〇号)  同(山原健二郎紹介)(第一五七一号)  同(吉井英勝紹介)(第一五七二号)  幼稚園の学級定数改善に関する請願  (鍛冶清紹介)(第一五七三号)  同(永井孝信紹介)(第一五七四号)  同(小沢和秋紹介)(第一五七五号)  同(金子満広紹介)(第一五七六号)  同(木島日出夫紹介)(第一五七七号)  同(児玉健次紹介)(第一五七八号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一五七九号)  同(菅野悦子紹介)(第一五八〇号)  同(辻第一君紹介)(第一五八一号)  同(寺前巖紹介)(第一五八二号)  同(東中光雄紹介)(第一五八三号)  同(不破哲三紹介)(第一五八四号)  同(藤田スミ紹介)(第一五八五号)  同(古堅実吉紹介)(第一五八六号)  同(正森成二君紹介)(第一五八七号)  同(三浦久紹介)(第一五八八号)  同(山原健二郎紹介)(第一五八九号)  同(吉井英勝紹介)(第一五九〇号)  義務教育学校学校事務職員に対する義務教  育費国庫負担制度維持に関する請願木間章  君紹介)(第一五九一号)  同(仙谷由人君紹介)(第一五九二号)  教育条件整備充実に関する請願中野寛成君  紹介)(第一五九三号)  義務教育費国庫負担制度堅持教職員配置改  善計画実施教員給与改善に関する請願  (平田米男紹介)(第一五九四号)  教育大学予算私大助成大幅増額学生・  父母経済的負担軽減に関する請願伊吹文明  君紹介)(第一五九五号)  同(永末英一紹介)(第一五九六号)  学校事務職員栄養職員給与費半額国庫負担  堅持に関する請願鍛冶清紹介)  (第一五九七号)  義務教育費国庫負担制度堅持に関する請願  (鍛冶清紹介)(第一五九八号)  同(平田米男紹介)(第一五九九号)  義務教育費国庫負担制度から削減・除外された  費用復元に関する請願鍛冶清紹介)  (第一六〇〇号)  同(平田米男紹介)(第一六〇一号)  大学院教育研究充実大学院生研究と  生活保障に関する請願柳田稔紹介)  (第一六〇二号)  豊かな私学教育実現のための私学助成に関する  請願外一件(秋葉忠利紹介)(第一六〇三号)  同(伊藤茂紹介)(第一六〇四号)  同(池田元久紹介)(第一六〇五号)  同外三件(池端清一紹介)(第一六〇六号)  同(岩田順介紹介)(第一六〇七号)  同(宇都宮真由美紹介)(第一六〇八号)  同(上田卓三紹介)(第一六〇九号)  同(上田哲紹介)(第一六一〇号)  同(小川国彦紹介)(第一六一一号)  同(大出俊紹介)(第一六一二号)  同(大内啓伍紹介)(第一六一三号)  同(岡崎トミ子紹介)(第一六一四号)  同(岡崎宏美紹介)(第一六一五号)  同(岡田利春紹介)(第一六一六号)  同(沖田正人紹介)(第一六一七号)  同(加藤繁秋紹介)(第一六一八号)  同(加藤万吉紹介)(第一六一九号)  同(川崎寛治紹介)(第一六二〇号)  同(川俣健二郎紹介)(第一六二一号)  同(木間章紹介)(第一六二二号)  同(貴志八郎紹介)(第一六二三号)  同(北沢清功紹介)(第一六二四号)  同(串原義直紹介)(第一六二五号)  同(小岩井清紹介)(第一六二六号)  同(小平忠正紹介)(第一六二七号)  同(小林恒人紹介)(第一六二八号)  同(小松定男紹介)(第一六二九号)  同(小森龍邦紹介)(第一六三〇号)  同(輿石東紹介)(第一六三一号)  同(左近正男紹介)(第一六三二号)  同(佐々木秀典紹介)(第一六三三号)  同(佐藤泰介紹介)(第一六三四号)  同(佐藤徳雄紹介)(第一六三五号)  同外一件(沢藤礼次郎紹介)  (第一六三六号)  同(斉藤一雄紹介)(第一六三七号)  同(沢田広紹介)(第一六三八号)  同(渋沢利久紹介)(第一六三九号)  同(渋谷修紹介)(第一六四〇号)  同(嶋崎譲紹介)(第一六四一号)  同(関晴正紹介)(第一六四二号)  同(田並胤明君紹介)(第一六四三号)  同(高沢寅男紹介)(第一六四四号)  同(常松裕志紹介)(第一六四五号)  同(土井たか子紹介)(第一六四六号)  同(土肥隆一紹介)(第一六四七号)  同(外口玉子紹介)(第一六四八号)  同(富塚三夫紹介)(第一六四九号)  同(中沢健次紹介)(第一六五〇号)  同(中西績介紹介)(第一六五一号)  同(楢崎弥之助紹介)(第一六五二号)  同(馬場昇紹介)(第一六五三号)  同(長谷百合子紹介)(第一六五四号)  同(鉢呂吉雄紹介)(第一六五五号)  同(細川律夫紹介)(第一六五六号)  同(細谷治通紹介)(第一六五七号)  同(松前仰君紹介)(第一六五八号)  同(松本龍紹介)(第一六五九号)  同(水田稔紹介)(第一六六〇号)  同外一件(森井忠良紹介)(第一六六一号)  同(柳田稔紹介)(第一六六二号)  同(山口鶴男紹介)(第一六六三号)  同(山中邦紀紹介)(第一六六四号)  同(山花貞夫紹介)(第一六六五号)  同(山元勉紹介)(第一六六六号)  同(吉田和子紹介)(第一六六七号)  同外一件(吉田正雄紹介)(第一六六八号)  は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月二日  公立文教施設等整備促進に関する陳情書 (第四八号)  私立高等学校に対する生徒急減対策に関する陳  情書  (第四九号)  国立一関工業高等専門学校の学科の拡充に関す  る陳情書  (第五〇号)  国立福島大学自然科学系学部増設早期実現  に関する陳情書  (第五一号)  複式学級学級編制基準の緩和に関する陳情書  (第五二号)  中学校語学指導等を行う外国青年招致事業へ  の助成措置に関する陳情書  (第五三号)  就学援助制度拡充に関する陳情書  (第  五四号)  福祉養護施設子ども達への後期中等教育保  障助成に関する陳情書外二件  (第五五号)  次期学級編制及び教職員定数改善計画早期策  定に関する陳情書外十一件  (第五六号)  私学助成充実強化に関する陳情書外四件  (第五七号)  完全学校五日制の早期実現等に関する陳情書外  十二件  (第五八号)  学校事務職員栄養職員給与費等義務教育費  国庫負担制度堅持に関する陳情書外五十七件  (第五九号)  名古屋ボストン美術館設立推進に関する陳情  書  (第六〇号)  大分県宇佐市川部地区内の遺跡保存に関する陳  情書  (第六一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件   文教行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 伊藤公介

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小坂憲次君。
  3. 小坂憲次

    小坂委員 おはようございます。  きょうは、お時間をいただきましたので若干の質問をさせていただきたいと存じますが、まずもって鳩山文部大臣には、最近の業者テストの問題に関する大臣指導力と御見識に対しまして心から賛意を持って激励をさせていただきたいと存じます。  後ほどこの問題についても若干時間をとらせていただきたいと存じますけれども、まずは義務教育学校における教職員定数改善についてお伺いをいたしたいと存じます。  この課題につきましては、それぞれの時代子供を取り巻く環境社会状況を踏まえつつ、学校における児童生徒学習内容学級の規模の適正化に配慮をされまして、昭和三十四年以来過去五回にわたって改善がなされてきているところであります。  少子時代と言われる今日、児童生徒数は毎年大幅に減少していくことが今後予想されるわけでありますが、このような状況の中で、今回第六次の教職員配置改善計画を策定されました。まず、今回の改善計画の概要と、具体的にはどのような改善を行おうとしていらっしゃるのか、お伺いいたしたいと存じます。
  4. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 義務教育に関する第五次の、前回の改善計画では、さまざまな改善増もありましたが、とりわけ四十人学級実現するということに主眼が置かれておりました。  四十人学級をやろうというのは、もちろん与野党の合意のもとでありますが、これも一つは、生徒の数が五十人であるのと四十人であるのとどこが違うかといえば、それだけ一人ずつの生徒に目が行き届くということではないか。すなわち、臨教審による教育改革に必ずしも賛成をしていただけなかった方々もおられますけれども、しかしこの臨教審の出した結論である個性尊重という考え方は、今やだれもが認める路線ではないだろうか。  四十人学級も一人一人の子供のことをもっと個別個別に見詰めるためにやろうということであったし、臨教審路線個性尊重人間みんな顔が違うと同じように性格も能力もすべて違うんだから、一人一人の能力を最大限引っ張り出せるような教育をやろうということでございまして、小坂先生のただいまの御質問に対する私の答えは、第六次公立義務教育学校教職員配置改善計画というものは、いわば個性尊重のために改善増先生の数をふやしていこうということでございまして、児童生徒一人一人の個に応じた多様な教育、これは新学習指導要領を貫く理念でもございまして、そういうような形で平成五年度から十年度までの六年間に約三万五千人の改善増を行っていこうということでございます。  これは財政当局との御相談あるいは現在の景気情勢財政収入の問題と密接に絡んでまいりますので、予算折衝ではなかなか厳しい場面もあろうかと思いますが、与野党こぞっての御支援をお願いをしたいと思っております。
  5. 小坂憲次

    小坂委員 ありがとうございました。個に応じた教育実施していきたい。確かに、自然減を踏まえましても、なおかつ厳しい環境が出てくるのかもしれませんけれども、私が聞くところによりますと、複数教員による授業、あるいは選択履修を幅を広げる、こういうようなこともその中に含まれている。いわゆるチームティーチングというものを推進していきたいというものもこの内容に含まれているというふうに聞いておりますけれども、その目指すところは、基礎・基本をしっかりと重視して教育をする、そして個性を生かす教育を推進していく、またこれからの時代人間として、人間像として、文化と伝統を理解し、それを尊重する心豊かな人間の育成を図るということだと思うわけでございます。  そういう中で、私はひとつ最近の登校拒否児童あるいは不登校の問題、これにも若干触れてみたいと思うわけでございますけれども、最近、教員がそういう形で、少子化傾向の中で児童生徒数が減ってまいりますと、若干厳しいながらも余裕の出る部分がある。そういった経験豊かな先生方お願いして、各都道府県では不登校児童の対応というものを真剣に考えていると思うわけでございます。私の長野県におきましても、新規の事業といたしまして、地元の小中学校等空き教室あるいは公共施設を利用いたしまして、退職教員等方々お願いをしていわゆる教育センターのような不登校児童の受け入れの機関といったものを充実させようといういわゆる中間教育の設置を考えておるわけでございます。  その点につきまして、まずこの不登校児童の問題について、大臣として何かお考えがありましたら、一言お伺いしたいと思います。
  6. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 小坂先生御指摘の登校拒否児童の問題あるいは生徒の問題、四万八千人くらいの方が年間五十日以上登校できないということで、そういう資料がありましたが、新しく調べ直してみますと、これが五万三千人に増加をしておる。若干年齢的にも低年齢化傾向があるのかもしれません。三十日以上の不登校ですと、六万七千という数字であったかと記憶をいたしておりますが、これは増加傾向にあるわけです。そういう何万という方が学校へ行きたくない、学校へ行かなければと思いながら行けなくなってしまうというのですから、これはもはや社会問題に近いと私は思います。これはさまざまなストレスが原因していると思いますし、少子化傾向とかそういう中で、兄弟げんかもしてない、そういうお子さん学校に行って人間関係がうまくいかないということもあるんだろうと思います。もちろんいじめとかそうした問題も消えてはいない。  いずれにいたしましても、そういう不登校お子さんたちを救う手だてを考えなければならないのと同時に、登校拒否にならないような、それこそ個人個人に温かい目を注いだ教育をやっていくべきだ。いわば未然防止として、そういう温かい教育をやるべきだというふうに考えておりまして、これも個性を尊重する教育実現によって、私は登校拒否を非常に高い割合で防ぐことができるようになるのではないだろうか。すなわち、余りに画一的に、しかも一人一人の子供の特徴を見分けないで教育をする中からストレスが高じていくというケースが多いというふうに想像をするわけであります。したがって、今チームティーチングとかグループ指導とか、いろいろ今回の第六次の改善計画のお話をいたしましたが、同時に、いわゆる生徒指導困難校への教員配置充実あるいはきめ細かい生徒指導ができるための教職員配置という一項を入れておりまして、そうした問題にも対処できるような教職員配置、また、それ一それというのは登校拒否を減らすとか防ぐための教職員配置増ということをねらっているところでございます。
  7. 小坂憲次

    小坂委員 登校拒否というのは、大臣おっしゃるように、今本当に大きな社会問題だと思うわけでございます。  これは私の私見ではございますけれども、最近の子供たちがなぜ学校に行きたくなくなってしまうのか、不適応であるかということなんですが、一つは、家庭でお父さんお母さんの働いている姿を見ても、これが自分の将来かと思ったときに、朝早くお父さんは出ていってしまう、お母さんも朝食を慌ててつくってすぐに忙しい、忙しいと言って出ていく。帰ってくれば、お父さんは疲れた、疲れたと言っておるし、お母さんも家事に追われている。これが自分の将来なのか、自分が目指していることというのはこういうことなんだろうか。学校では勉強しろ、勉強しろ、次から次へとテストの問題が出てまいりますけれども、そういうテストに追われる。そういう中で、子供たちが夢をなくしている、自分の将来に対しての指針というものを自分として持ち得ない、そこに根本的な問題があるんではないかと思うのです。  私も、会社に勤務しておるときに、イギリスに四年ほど駐在をいたしておりましたけれども、最初の一年は、イギリスは何と不便なところか、何しろ日曜日になりますと、お店は全部お休み、デパートもお休み、そこで家族連れデパート買い物でも行こうかと思っても全く買い物に行くチャンスがない、不便なところだな、こう思ったわけでございますが、一年経過するその過程において、近所の外人、まあ外人というよりは向こうの方ですけれども、誘われて近郊のナショナルトラストのお城へ行ってみんなでピクニックをする。また、その後近くの、昔は領主が住んでいた大きなマナーハウス、こういうところに泊まって、たまたま隣り合わせたほかの家族たちと夕食をともにして、また暖炉の周りでいろいろなその地域の話を語り合う。こういうことを繰り返していきますと、なるほどな、これが人間的な生活かもしれないな。そして日本を見直したときに、どうも私どもは自転車を必死にこいでおって、どんどんスピードを増せば安定をしまして倒れません。しかしながら、速度を緩めると、何か倒れてしまいそうな不安に駆られて必死にこいでいる。しかし、やはり我々も一度は自転車からおりて自分の来た道を見ながら、そしてまた新たなる目標を持ってそっちへこいでいく。そういったリズム、休んで、また自分を取り戻して将来をしっかりと見据えて、そしてまた元気を出して頑張っていく、こういう生活リズム日本に取り戻されない限り、日本の中で豊かな人間性を持った人を育てるのはなかなか難しそうだな、こう思っております。  そんな観点からも、この不登校児童というのは、自分として一体何をしていいかわからない、自分自身に勉強しろと言い聞かせても、それは何のためと自分で聞いてしまう、こういうところからストレスがどんどんたまってきているんだと思うのです。  そういうことで、これからもっとその個性を生かして、あなたはこういうところがすばらしいじゃないか、これをもっと伸ばしなさい、試験勉強ばかりじゃありません、君の考えているとおりでいいんだよ、どんどんやりなさいと言って指導してくれるような経験豊かな先生が身近にいて指導してくださることは大変重要なことだと思います。  そういった点で、最初の話に戻りますが、教育センターをこれから各地で充実をしていただくということは、この社会問題解決の一つの大きな手段であろうと思います。それについては、そこに配置をする人が、今私どもの県では臨時行政嘱託貝というようなタイトルで、そういう身分でそこに人を配置しておるわけでございますが、できればこういったところに派遣する人間も、現職の教員であれば一番いいわけでございます。また、こういった人間を措置できるような配慮も文部省として考えていただければ、問題解決に少しでも役に立って推進ができると思いますので、そういった点について、関係の御専門の方の御意見を例えればと思っております。
  8. 井上孝美

    井上(孝)政府委員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘いただきました点につきましては、文部省といたしましては、平成二年度から、登校拒否児に対する指導を行う教育委員会の取り組みを支援するため、適応指導教室実践研究委託事業を行っているところでございまして、登校拒否児の適応指導のあり方を調査研究する都道府県及び市町村教育委員会に対して委託費を支出しているところであり、また従来より都道府県の教育研修センターにおきます教育相談員の給与費を地方交付税で措置しているところでございます。  義務教育費国庫負担制度は、教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、義務教育学校教職員につきまして、その給与費等を二分の一国庫負担する制度でございますので、学校教職員以外の者につきまして、その趣旨から国庫負担の対象とすることは予定をされていないところでございます。  また、義務教育学校の標準法は、学校に置かれるべき教職員について、その配置についての標準を定めているものでございます。したがいまして、今回の改善計画では、登校拒否児が一定数以上在籍する学校につきまして、その指導に当たる専任の教員を配置することといたしておりますが、御指摘のように、学校以外の場における適応指導教室の指導員につきましては、各教育委員会の実情に即しまして、来年度新たに、適応指導教室における指導員、非常勤でございますが、その報酬等の財政措置を現在自治省に対して要望いたしておるところでございます。
  9. 小坂憲次

    小坂委員 ありがとうございました。若干の前進だと思いますので、交付税措置並びに一定数の不登校児童のいる学校に対する教職員配置等、今後とも充実をさせていただきますよう要望申し上げておきます。  それから次に、学術研究の推進と国立大学の整備充実について簡単にお願いをいたしておきたいと思います。  よく外国から、日本は基礎研究ただ乗りばかりしておって、どうも基礎研究に力を入れぬのではないか、日本の学者はどんどん外国へ出てくるじゃないか、日本はそんなに研究しづらいところなのか、こういう声も聞かれるわけでございまして、古くは野口英世博士もデンマークへ行かれて勉強をされ、それからアメリカで研究を重ねられた。ノーベル物理学賞の江崎玲於奈博士もIBMの主任研究員として御活躍であったわけでございますし、またノーベル医学・生理学賞の利根川進博士もマサチューセッツ工科大学へ行かれて研究を進められる。広中平祐教授も、ハーバード大学で研究をされて、数学のノーベル賞とも言われるフィールズ賞を取得された。こういう活躍をされる方はみんな外国へ行ってしまう、こういう状況にあるわけでございます。そういう点で、日本の国立大学における教育研究の条件が非常に危機的な状況にあるという声も聞かれます。  こういう中で、先般学術審議会から「二十一世紀を展望した学術研究の総合的推進方策について」という答申が出されたと聞いております。この推進方策についての大臣のお考え方、また特に研究者の期待の大きい科学研究費の補助金の充実等についてお伺いをいたしたいと存じます。
  10. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 前段の小坂先生の持たれておられる憂慮あるいは現状認識は私も全く同じでございまして、我が国が世界の超一流の経済大国になりながら、いわゆる研究施設や大学の老朽化が進んで、国立大学しかり、私学の方は恐らく国立以上に厳しい研究条件のもとに置かれているという中で、日本から超一流の基礎研究の成果等が生まれていかないがために基礎研究ただ乗り論などという、やはり私は一つの汚名だろうと思いますが、これを着せられてしまうことがしばしばあるわけでございます。まして、これから国際貢献の時代ということでございますから、日本人は頭がいいと言われて、また知識集約型産業で生きていくしかない国でございますから、我が国は学術あるいは科学技術で国際貢献をしていかなければならない宿命を負っている。私はこれは我が国の運命だとも思っているのでありますが、現状が御承知のようなことであります。  学術審議会からのただいまの答申というものは大変貴重なものでございまして、我が国の学術研究基盤を国際的水準まで引き上げることを目標とするわけですから、本当に残念なことで、国際的な水準より今低いから、これを国際的水準まで引き上げるということが目標になって、これは当然追いっき追い越せということでやらなければいかぬ、こういうことでございます。そして世界に開かれた学術研究体制の整備を進めていきたいという内容でございまして、これを文部省としては重く受けとめて懸命に取り組んでいきたいと存じます。  なお、科学研究費補助金につきましては、もう理念等は申し上げませんが、この学術審議会の答申でいよいよ四けたの億、一千億への早期拡充の必要性が指摘をされておりまして、この平成五年度の概算要求は七百五十億円ということで、前年度プラス百四億円増という、財政事情の非常に厳しい中で、またシーリングの厳しい中で百四億円増を要求しておりまして、科研費というのは人文・社会科学から自然科学まですべての学術研究のインセンティブというか、大変な後押しにもなるわけでございますから、そういった意味で一千億への早期拡充を目指していきたいと思っております。  なお、総理大臣を長とする政府の科学技術会議におきましても、ほぼ同様の見解が示されまして、また新しい諮問がつい先般なされたのは、今後の人材養成をどうやっていくかということでございますので、この点も学術審議会の答申とあわせて重く受けとめていきたいと思っております。
  11. 小坂憲次

    小坂委員 ありがとうございました。全く同感でございます。ぜひとも日本研究が開発途上国のためにも提供されて、世界的な貢献ができるように、予算の拡充、この点につきましては、私ども全面的に支援をしてまいりたいと存じます。先ほどの義務教育の、また高等学校教職員配置改善計画というのも聞いておるわけですが、これらの予算もあわせて、ぜひとも平成五年度から大幅な充実ができるように全面的な支援を申し上げたいと思うわけでございます。  そして、この研究については、これは全くの私見でございますけれども、今の学術研究というのは、根っこになる基礎研究、それから応用分野というのは、基礎研究は大学で、そして応用関係は民間の研究所等あるいは科学技術庁の関係とかそういったほかの省庁の関係でやられることが多い、こういう分担になっているわけでございますけれども、大学の教授も、やはり応用分野の実態を見て、民間の研究所に出向して、そこで研究しながらまた自分研究室へ戻って基礎研究にいそしむ、前と後ろと、根っこと応用という部分はある意味で一線上にあるわけでして、その応用の先にまた基礎研究があるとも言えるわけでございます。そういう意味で、この問題は文部省である、この問題は科学技術庁である、例えば遺伝子の医学的な応用に関しては厚生省が担当するけれども、バイオの絡んだイネ・ゲノムの解析のようなものについては農林省がやっているとか、ある意味で予算がそれぞれの省庁で分割して管理をされているという状況に今あるわけです。大学の教授が大学にいただいた助成金を持って研究所へ入って研究をするというような体制もとれれば、より日本におけるそういうものの研究充実をしてくると考えますので、今後の課題としてひとつ御研究をいただきますよう要望をいたしたいと存じます。  最後の質問でございます。  先ほど申し上げました文部大臣業者テストについての御意見、私も大変に興味を持って毎日、新聞等拝見をいたしているわけでございまして、確かに高校入学者の選抜において、これが九、十、十一月ごろの三カ月間ぐらいのテストの結果、偏差値によってすべてが決定されてしまう、それでは一体三年間の学校の勉強というのは何なんだ、こういうことにもつながってまいります。この点について大臣の所見、お伺いできれば幸いでございます。
  12. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 各所でいろいろ申し上げておりますから繰り返しは避けたいと思いますが、例えばこの間の新聞に出ていたお子さんの意見としては、自分はスポーツが大好きで、多分そのスポーツの関係で自分の行きたい高校を決めていたんだと思うのですが、部活を一生懸命やって、試合もあった、それが終わってみたらもう十月ぐらいだった、したがってこれから受験勉強をして高校入試を目指そうとしたら、もう九、十、まあ十一月もあったのでしょうか、そのころはまだ勉強しておらなかったから業者テストの成績がいいのがとれないで、君、そこは受けるのをやめなさいと言われたというふうな話がありました。あるいは私が地元を歩いておって聞きましたのは、うちの子が業者テストを受けたときに、学校であったときに体調を崩しておった、その関係で偏差値が幾つだから志望するここは受けるな、みんないろいろ割り振りをやっているからと言われて、うちの子は受けなかったが、その後、都立高校等いろいろ受けたときの試験の結果からいえば十分にそこへ入れる実力がついておった。しかし、九月か十月に体調を壊したときの結果がこんなことになるので、それが正式の試験ならいいですよ、それは業者のやった試験じゃないですか、何で業者でやった試験の結果でうちの子の志望先が変えられてしまうんだ、こういう大変な不満があるわけでございます。  私は、それらを考えて、本当に今の中学校教育に最大の害悪を与えているのは業者テストだなとつくづく思うわけで、この業者テストは必要悪だということでみんなが妥協してきたのかもしれないけれども、悪いものは悪いので、悪いものは取り除かなければいけないわけであります。  ただ、私が悪い、悪いと申し上げているのは、しつこいようですが、業者テストそのものが悪いというのではなくて、業者テストを利用して実際の裏相談だか、事前相談だか、事実上の推薦入試だか、何だかわかりませんが、いろいろな手段で、場合によっては塾まで絡んで、その偏差値で子供が予約、青田買いする方からいえば予約されていくという、この実態はとにかく打ち破らなければいけないんだ、私はこれを打ち破らなければ教育改革の第一歩を踏み出すことができないというふうに考えております。  学歴偏重社会とか、偏差値偏重社会とか、これを完全に壊すというのは大変難しいことだと思います。日本はこの学歴偏重や偏差値偏重の風潮が非常に強い。それはいわば個性を無視して一本の物差しにみんな人間を並べてしまおうということでございます。先ほど小坂先生がまさに外国と日本の比較あるいは何のために教職員をふやすかということで話されたことと同じなんで、とにかくいろいろな物差しで子供個性というのを見詰めていこうというときに、一本の物差しの上に全部乗っけて、偏差値五十一の子と五十二の子とはもう運命が違うんだ、まるで子供に背番号を五十一と張りつけたり五十二と張りつけたらもう二度ととれない、その九、十、十一月か何かの偏差値は。こういうような制度はとにかくやめさせていきたいと思います。
  13. 小坂憲次

    小坂委員 文部大臣の並み並みならぬ教育改革に対する御熱意、信念というものをお伺いをいたしました。ぜひとも長く文部大臣を続けていただきまして、今後ともこの教育改革に取り組んでいただきたい、心から期待を申し上げて、時間が参りましたので、質問を終えさせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  14. 伊藤公介

    伊藤委員長 次に、輿石東君。
  15. 輿石東

    輿石委員 今小坂委員の最後の質問業者テストの問題であったわけですが、私もきょうは業者テストの問題に絞って質問をさせていただきたいと思います。  先ほども文部大臣の方からも既に触れられていますが、まず、この業者テストのこれだけ大きな問題になった発端は、埼玉方式と言われる業者テストを使っての私立高校への事前相談という形での青田買い、いわゆる青田買いにまつわる問題だということは、今も触れていただいたわけですけれども、この間、二カ月にわたってこの問題は大きく国民の世論を喚起し、最大な教育の問題として取り上げられるようになってきたわけであります。先ほど大臣は、小坂委員質問に答えて、中学校教育の最大の害悪をなしているこの問題に手をつけない限り、教育改革の第一歩もあり得ない。私はそれをお聞きしてほっとしていますし、その信念でこれからも文部行政をやってほしい、こう思うわけです。  十一月十三日に、もう御案内のように、文部大臣自身、閣議の後の記者会見で、この状態を本来教育の常識では基本的にあってはならないことであり許すまじき不正義だとも言われ、厳しく批判をされているわけですけれども、大臣のこれだけの決意を改めて知りながら、ここまで来たこの実態に対する分析をどうされているのか、そしてその背景や今後どうしていくのかということについて、まずもって大臣の御所見をお伺いしたいというふうに思います。
  16. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 私は、本当に国民の皆様に率直におわびをしなければいけないと思って、テレビカメラの前で頭も下げました。というのは、業者テストの存在は知っておりましたし、青田買いというようなことが行われていることも知らないわけではなかったのですが、このようにいわば統一された形で、ほとんど一社というような業者が一つの県を制覇して、その偏差値が選抜のために試験を受けたときの内申書とともに点数に加わるとかなんとかということだっておかしいと思うのに、そうではない、試験の前に事実上それで合否を決めてしまう、単願とその単願確約と業者テストの結果で。この恐ろしい実態がここまでひどいということを私はこの夏過ぎまで知らなかった。知っておればもっと早く行動を起こせたのになと思うと、みずからの不勉強や不明を恥じる気持ちでございます。  ただ、こうしたことで火がついて次々といろいろな実態が明らかになってきておりますので、これからも新しい情報を寄せられると思いますし、これからが正念場だなと思っておりますが、私のこの職におるのもあと二日半ぐらいしかないという気もしますので……。いずれにしろ、どういう場に身を置いても、内閣であれ党であれ、この問題は私は命がけで取り組んでいきたいと思うし、幸い、固有名詞を出していいかどうかは別にして、日教組の先生方も大変横山委員長以下御理解があるというような報道にも接しておりますから、各党がほとんどそろって御支援をいただけるならば、これは御支援という問題じゃなくて、当文教委員会挙げて解決に取り組むべき問題ではないかというふうに基本的に思っております。  こうした問題が起きた原因については、もう先生御承知のとおりで、私よりはるかにお詳しいわけでしょうから、いわゆるフィクションというのでしょうか、こういう物差しを使うことによって十五の春を泣かさないために便利だというのでみんなが使い始めた。これは偏差値を持っていく方も受け入れる方もみんなそういう気持ちで始めていったんだろうと思いますが、私は、考えてみれば本当に情けないことで、これは教育の世界にあってはならないことだと何度も申し上げているわけであります。  すなわち、白昼堂々業者テストを授業時間をつぶして行うべきではないと私は断言いたしますし、そのように指導ができたらというふうに願っておりますが、どういう方法か知らないが、学校で一回か二回業者テストをやってみたと。例えば何々君はこういう点数であった。偏差値でいえばこういう偏差値ではある。科目別に見ると、こういう科目は得意でこういう科目は不得意だというのもわかるな。しかし、ふだんの学校の試験の成績から見ると、これはちょっとずれているな、これはどこが違うんだろう。運動はどの程度得意なんだろう。ボランティア活動とかいろいろやっているんだろうか。興味は、例えば自然が好きだとか絵が好きだとか、そういうのはどうなっているんだろう。そういうことを総合的に勘案をして進路指導というのはなされるべきだと思うわけであります。  もし今私どもが理想として追い求めている個性化の部分を仮に除いたとしても、これは私どもの子供のころによくありましたが、あなた、模擬試験受けてこの程度だったら、この辺ちょっと高望みかもしれないけれども、ここ一発勝負かけてみい、滑りどめはここだな、こういうのが進路指導だと私は思うし、そういう進路指導のために腕試しというのか何らかのちょっとした目安に業者テストが使われるというならば、その白昼堂々授業をつぶして行うのではない、と言うと、日曜日に子供を来させるのか自由参加でやるのかわかりませんけれども、何らかのそういう資料を中学側がそういうふうに使うんだったら私はまだ許せる話だと思うわけで、その偏差値が私立の高等学校の合否の決め手というか、その偏差値を背中にくっつけた子供のいわば売り買いみたいな状態になっているというところに私は大変怖いものを見出しますので、これはとにかく徹底して闘わなくてはいけないと思っております。  なお、例えば一つでも偏差値が高い子供を高等学校側が採ろうとするのは当たり前だという考え方があります。私のことを新聞とか週刊誌等で、あれは大体温室育ちのお坊ちゃんで世の中のこと何にもわかってねえからあんなあほなこと言うんだとか、そういうようなことで私に対する批判が時々出ますが、概してそういうものを読んでいますと、偏差値の高い子供を高等学校側がそろえて集めようとするのは当然だということから始まっているのですね。私はそれは当然ではないと思う。野球のドラフトだったら、少しでも戦力に、少しでもホームランを高校時代いっぱい打った者を採ろうとして、いろいろあるけれども、それでもドラフトはくじを引かなくてはならぬでしょう。スポーツのスカウト活動だったらまだしも、あるいは会社が売り上げを上げて、経済的な効率をアップさせるために優秀な社員を求める、あるいは技術者を求めようとするのは、経済のためにはこれは当然のことかもしれないけれども、学校という公的な機関は、私立の高等学校だって、これは公教育を担っているわけですから、建学の精神を持って自由にやっていただくが、あくまでも公の、パブリックな存在であるということを忘れてはいけない。パブリックな存在だから私学助成だって出るわけでありまして、そういうところが、そういうパブリックな存在である教育機関というのは、本来、とにかくどんな子供でも教育しなくてはならない責任と義務があるわけです。だからいろいろな目盛りで、いろいろな物差しでいろいろ集めて、集まってきた人間教育するというのが公教育を担う学校の使命であって、一点でも多い、一点でも偏差値の高い人間をがさがさ集める権利がそうした公教育を担う学校にあるとは私は実は思っていないので、本当はそこまで考えないとこの問題はできないのではないかと私は思っております。
  17. 輿石東

    輿石委員 大臣の言われる、送る方と受け入れ側、ともに責任がある、こういう言い方をされているわけですけれども、この八月までこれほどひどいとは思わなかったと大臣みずから言わしめるようなこの実態、大臣は知らなかったということですが、文部省としてこの実態をきょうまで本当に知らなかったのかどうか、その点が一点。もし知っていたとすれば、その手だてはなかったのか。  それから、その受け入れ側の方の中学校で白昼堂々と、または日曜日に業者テストという物差しで子供の選別をやっている、これは許されるべきことではないと大臣も強調されているわけですけれども、それでは中学校でこういう進路指導なり、そういう受験体制の中で、これをやらざるを得ない、必要悪という言葉もありましたけれども、その背景や原因をどうとらえているのか、文部省の方からお答えいただきたいと思います。
  18. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 これは事務当局からお答えすべき問題で、先生質問もそういう趣旨ですが、私がただ一つだけ申し上げさせていただければ、これは私は本当に文部大臣でありながらこういうことを言ってはいけないのですが、議院内閣制のもとでは、昨年の十一月の五日に文部大臣になってちょうどきようで四百日目でございますが、その最初の三百日くらいはこれほどまでひどい実態を知らなかったということで、これはおわびをしなければならないと思っております。もちろん文部省のお役人さんにしてみれば、私よりはいろいろな実態についても知っている方は多かったとは思うわけですが、実際どういう手のつけ方があるかということで非常に悩んでいた。いろいろ通知も出して、過度に依存してはならぬとか、いろいろな通知も出したり、指導もしてきたでしょうが、なかなか敵が1敵というのは別に個別の学校人間を指しているのではなくて、この問題、大きな難敵を前にして、どこから手をつけたらいいか、非常に悩むところがあったのだろう。いわばこれは猫の首に鈴をつけに行くのはだれかということで、私、あえて偏差値偏重社会という、この猫の首に今鈴をつけようと思って、私、ネズミ年でございますから、今走り寄っていっているわけで、猫に食われないように諸先生方にも御支援を賜りたいと思っております。
  19. 野崎弘

    ○野崎政府委員 お答え申し上げます。  文部省に大変厳しい指摘があったわけでございますが、大臣お話ございましたように、文部省は既に昭和五十一年、初等中等教育局長の通知を出し、また昭和五十八年には事務次官通知を出しまして、進路指導に当たっては安易に業者資料に依存することのないよう指導してきております。また、今回の中央教育審議会におきましても、この議論がたくさん出まして、答申の中では、業者テストによる偏差値等に過度に依存した進路指導が行われているということにつきまして大変憂慮した答申等も出されているわけでございまして、私どもとしては、この問題につきましてはいろいろな会議の場等を通じまして継続的に指導はしてきてまいったわけでございますけれども、大臣の今お話があったような事情の中でなかなか十分進んでまいらなかった、どういうのが実情なわけでございます。
  20. 輿石東

    輿石委員 ただいま初中局長の方から、五十一年、六十一年、それぞれに調査を行ったということですが、その調査の結果と、今回四十二県で何らかの形で業者テストが行われているということが報道されておりますけれども、前回の調査の様子はどんな状況だったですか。
  21. 野崎弘

    ○野崎政府委員 お答え申し上げます。  六十一年の現状の調査というのは、業者テストの有無あるいは業者テストと偏差値、テスト業者数とか、いろいろなものを調べたわけでございます。当時は学校が関与している業者テストが行われているところが三十七都道府県あった、そして業者テストの結果を志望校決定の資料として利用しているというのが三十五都道府県、それから業者テストと偏差値の関係では、業者が偏差値を出している都道府県数が二十九、そういうような当時の実態を調べたところでございます。
  22. 輿石東

    輿石委員 前回の調査で三十七県、そして今回が四十二県、五県ほど多くなっているという実態にあるわけですが、先ほど大臣にもお尋ねしたわけですけれども、その間文部省は、この六年間にわたって、それ以外の実態把握なりなんなり、そういう手だてはしてこなかったということですか、それが一点。  それからもう一つ、先ほど初中局長の方からも答えられました、この間中央教育審議会の答申等でも指摘をされている、こうあるわけですが、昨年の四月十九日に第十四期の中教審の答申も出されました。その中でもこの問題は明確に、端的に提唱されているわけであります。「学校教育における偏差値偏重、受験競争の激化、その前提となる高校間「格差」、大学の「序列」は、今日、日本教育のいかなる問題にも顔をのぞかせる最大の病理である。」こういうふうに位置づけているわけであります。冒頭の文部大臣の発言の中にも、この改革なくして教育改革の第一歩はあり得ない、こう言われているわけですから、今後この問題については相当のエネルギーを費やして文部省もやってくれる、こう思うわけですけれども、その辺の、これまで、きょうまで来た経過を再度お聞きし、次へ向けてどうされていくのか、若干お伺いをしたいというふうに思います。
  23. 野崎弘

    ○野崎政府委員 お答え申し上げます。  六十一年の調査以来何もしていないのかということでございますが、いろいろな指導は機会を見ましてやっておったわけでございますけれども、全国的な調査としては確かにしていなかったということで、今回とりあえずは電話で聞き取り調査を行った。それから、さらに詳細を調べるということで、この七日から各県呼びまして、担当課長からのヒアリング調査を行っているわけでございまして,そういう中でさらに実態を明らかにし、そして現在高等学校教育改革推進会議というのが動いているわけでございまして、その中でもこの問題についての御議論をいただき、まとめをお願いしたい、このように思っておる次第でございます。
  24. 輿石東

    輿石委員 この問題は大変根の深い問題で簡単に片づく問題だとは私自身も考えていないわけでありますけれども、この業者テストによる偏差値利用の弊害が、もうきように始まったことではなくて、以前から繰り返し指摘されていながら徹底した指導がなされなかったその理由については、文部省はどのようにとらえられていますか。
  25. 野崎弘

    ○野崎政府委員 これは確かに、文部省としてはいろいろな通知を出しながら指導もし、また中教審等の答申もいただいて問題指摘がされておったわけでございますが、やはり先ほど大臣からお話がありましたように、業者テストというものが、特にコンピューター等で処理をされて一律に並ぶというようなことで、一般的には便利な指標であった。そしてまた、できるだけ早く志望校、進学校を決めたいというような、そういう一般的な社会的風潮の中で、これがなかなかなくならなかったというのが実情ではないか、このように思っておるわけでございます。
  26. 輿石東

    輿石委員 指導の徹底を欠いた理由が余り明確に私自身には見えてこないわけです。  それはそれとして、文部大臣もこの二カ月間に、十一月に入って頻繁に私学の団体とのトップ会談や、それから都道府県の教育長協議会の市川幹事長あたりとも会談を、十一月の二十四日、二十七日と連続的にやられたわけですけれども、この文部大臣発言に国民の多くは共感をし、ある場合には反発もしたという事実もあるわけであります。そして特に、東京私立中高協会の酒井津会長は、この問題について、業者テストの利用は理由があってふえたものだ、中学校が利用をやめたら塾が私立への単願誓約に進出してくるだけだ、業者テストの偏差値は高校入試と同じく大学入試でも使われているのに、どうして大学には文部大臣は言わないのか、大臣と会う機会があればこうした実情をはっきり申し上げたい、こう言明しておるわけですね。この酒井会長とはお会いにはならなかったわけですか。     〔委員長退席、中山(成)委員長代理着席〕
  27. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 酒井さんとは毎年予算のことではしょっちゅう、年に五回も六回もお会いをしてまいりましたが、今回はお会いをしておりません。この間、私学の中高連の堀越会長にお声をかけたときにも、全国団体の長として自分と人見さんと二人で行くよということでお見えになったものですから、お会いをしておりませんが、酒井さんの発言は新聞報道等で承知いたしております。
  28. 輿石東

    輿石委員 この酒井会長の言われたことがもう端的にあらわれているという事実があるわけであります。これは中学でやめてみても塾が中学の肩がわりをしてくる、そうなったら大変だという状況は、この一昨日、昨日の新聞を見れば明らかじゃないですか。都内の、埼玉の一部の私立高校は塾から生徒を青田買いしているとか、青田買いで私立校が塾関係者にも接待攻撃をかけているという事実がもうあらわれてきているわけですね。だから、塾が肩がわりをしていくという、この危険。中学校でやらなければ、そういう現実も出てくる。このことはもう待ったなしで、みんな置かれた立場の違いを超えて、私立も公立も、教師も親も行政も、すべてが取りかかる問題だというふうに理解ができるわけですけれども、その点はいかがでしょう。
  29. 野崎弘

    ○野崎政府委員 お答え申し上げます。  塾の関与の問題につきましては、新聞等の報道に出されていることは私も承知しておりますが、具体的にどういうものであるかというようなことについては、県の教育委員会等からも聞いていない、このように報告を受けておるわけでございます。  基本的には、この塾の問題というのは、やはり伸び盛りの子供の健康、体力面とか人格形成面あるいは学習活動面等の弊害が指摘されているわけでございます。これは一般的なお答えになりますけれども、私どもは、やはり学校で適切な進路指導を行う、そして学校教育充実していくという中でこの問題の解決を図っていかなければいかぬ、このように思っている次第でございます。
  30. 輿石東

    輿石委員 今初中局長は、これからの問題として進路指導という立場の中で、この進路指導も見直すという方向も文部省は出されたようでありますけれども、そういう形でこの問題を解決していこうとしているようでありますけれども、大体業者テストの問題の本質をどのようにとらえているのか。仮に偏差値を使わない、追放していくということになったときの問題点はどう考えられているのか。偏差値利用そのものを否定しているのではないと思いますけれども、その辺の問題と公立学校における進路指導の今後のあり方について文部省の考え方をただしておきたいと思います。
  31. 野崎弘

    ○野崎政府委員 業者テストによる偏差値の問題でございますけれども、これは先ほど大臣からお話がございましたように、業者テストの結果がまさに入試選抜そのものに使われている、これがやはり私どもも大変大きな問題だと思っているわけでございまして、この問題につきまして平成六年度の高等学校入試から改善をしていきたいということで、また指導もしていかなければいかぬと思っているわけでございます。  進路指導の問題につきましては、学校におきます進路指導というのは、これはやはり生徒がみずからの生き方について考え、将来に対する目的意識を持って、またその能力、適性、進路希望等に応じまして、主体的に自己の進路を選択、決定する、そして将来にわたる自己実現を図っていく、そういうことができる能力と態度を育てるもの、私どもこのように進路指導を考えておるわけでございまして、こういう基本の考え方に立ってこれからの進路指導を進めていかなければならない、このように思っておるわけでございます。
  32. 輿石東

    輿石委員 進路指導のあるべき方法とか、そんなことに若干触れたわけですが、この業者テストが入試選抜そのものに使われているところに問題がある、こうも言われたと思うわけですけれども、だとすれば、この業者テストの問題の本質は、やはり入試制度にあると考えてよろしいわけですか。
  33. 野崎弘

    ○野崎政府委員 高等学校の入試制度の問題につきましては、中央教育審議会の中でも、まさにこの業者テストのいろいろな弊害面についての指摘がなされ、そして入試方法の多様化、選抜尺度の多元化というようなことも指摘を受けているわけでございまして、私どもは、そういう答申を受けまして、現在、高等学校教育改革推進会議の中に入試部会というのを設けまして、そこで議論をいただいて、既に中間まとめも出ております。例えば入試機会を多元化していくとか、あるいは学科ごと、コースごと、そういう中で特色ある入試を実施していく。あるいは定員を一部署って、その定員については学力検査と調査書の比重を変えていく。私どもとしては、そういういろいろな入試制度を実施する中で、特色ある、そしてまた学校の特色に合った子供を選抜させていく、こういうことが大事なことだ、このように思っておる次第でございます。
  34. 輿石東

    輿石委員 私の質問に簡単に端的に答えていただきたいと思います。この業者テストの問題の本質は入試制度にあるのではないかと私は尋ねているわけですけれども、その点もう一度。
  35. 野崎弘

    ○野崎政府委員 入試制度にも十分関連する問題だ、このように思っておるわけでございます。
  36. 輿石東

    輿石委員 やはり私もこの本質は入試制度にあるととらえているわけであります。  そこで、公立学校の入学者選抜について、その歴史にかかわって御質問をしてみたいと思うわけであります。  昭和二十三年に新制高校が発足をし、それ以来何回か入学者選抜制度についても手が加えられ、改善がされてきた。私はこの長い歴史の中で幾つか大きく変わった節目があると思いますけれども、入学者選抜制度の改善の歴史について簡単に触れていただき、文部省はどの辺が一つの節目であったととらえているか、その辺についてお伺いをしたいと思います。
  37. 野崎弘

    ○野崎政府委員 お答えを申し上げます。  高等学校入学者選抜の経緯でございますが、昭和二十三年から三十八年までは、志願者数が定員を超過する場合に限って選抜を実施する、こういうことでずっと来ておるわけでございます。三十八年から五十九年にかけましては、高等学校教育を受けるに足る資質と能力の判定を行ういわゆる適格者主義というものを明確化するということで、志願者数が定員を超過するかどうかにかかわらず入学者選抜を実施する、こういうことでございます。ただその間、昭和四十一年にも通達が出まして、それまで全国一律的な指導をしておったわけでございますけれども、この四十一年通達におきましては、選抜に関する基本方針を文部省としては示して、具体的な方策は各都道府県にゆだねる、こういうようなことを趣旨として載せておるわけでございます。  また、昭和五十九年以降、これは各高等学校、学科の行う教育のレベルに達しているかどうかを入学者選抜で判定をするという考え方で、従来は公立高等学校の学力検査というのは同一時期に同一問題によって各都道府県内一斉に実施する、こういうことにされておったわけでございますが、必ずしもその必要がないということにしたわけでございまして、例えば複数の受験機会を設けるというようなことも可能にするとともに、各高等学校の特色に応じた多様な学力検査の実施を可能にする、こういうようなことで従未来ておるわけでございます。
  38. 輿石東

    輿石委員 局長が言われましたように、昭和二十三年から三十八年までは定員を超えたときに選抜をするということが主体であったのが、三十八年に適格者主義を入れた背景というのは、ベビーブームで受験生が多くなった当然の結果だろうと一面では思うわけですけれども、ここへ来て、高等学校教育を受けるに足る資質、能力を判断して入学者選抜を行うという入学者選抜制度の必要性を昭和三十八年、一九六三年に明確にし、さらに五十九年には、初中局長今言われたように、当時の高石初中局長通知で、「各高等学校、学科等の特色に配慮しつつ、その教育を受けるに足る能力・適性を」判断をし、選抜を行うというように、ここで大きく戦後の選抜制度が変わってきた。これは志願者が増加したとか学習者の適性、能力が多様化したとかいう理由をつけてこのように変わってきているわけですけれども、この適格者主義というのは新制高校の発足した精神と違うのかどうか。変質してきているというような批判もあるわけですけれども、その辺についてはどうお考えでありますか。
  39. 野崎弘

    ○野崎政府委員 今先生の御指摘ございましたように、大変進学率が上がってきておりまして、現在ですと九五%を超える進学率という中で、やはり進学率の上昇に応じて入試のことにつきましても考え方の変遷があった。特に現代はまさに九五%を超えているという中で、青少年の能力、適性が多様化している。こういう中で能力、適性に応じた効果的な教育を施していく、こういうことの中では、五十九年に出しました、それぞれの学校の特色に応じた入試制度をやっていただくということは、やはり大変大事なことだ、このように思っておるわけでございます。
  40. 輿石東

    輿石委員 その五十九年の改正を受けまして、多様な選抜方法が取り入れられるようになった。その一つとして、受験機会の複数化とかそういうようなものも幾つか出てきているわけですが、推薦入学も一つの目玉として入ってきたというふうに理解をしておるわけですが、それでよろしいですか。
  41. 野崎弘

    ○野崎政府委員 推薦入学につきましても、その工夫の一つとしてそのときに入ったわけでございます。
  42. 輿石東

    輿石委員 昨日、初中局長は参議院の文教委員会で、推薦入学の問題について問題があるので文部省は直ちに実態調査に入りたい、こう言明をされたようですが、推薦入学について問題があるから実態調査をするという理由は何でしょうか。
  43. 野崎弘

    ○野崎政府委員 推薦入学の問題につきましては、いわゆる公立高等学校の関係につきましては、いろいろ入試をどういう形でやっているかということにつきましては調査をしておるわけでございますけれども、私立学校につきましては、そういう統一的な全国調査というのは行っていないわけでございます。それで、きのうの御質問は、実態を把握しておるのか、こういうお話がございました。私といたしましては、私立学校でどういうことが行われているか、事例などをよく調べてみたいというようなことをお答えしたわけでございまして、それが新聞記事としてはああいう形で出された、こういうことでございます。
  44. 輿石東

    輿石委員 実態がわからないからそれを調べてみるだけだというふうにも聞こえるわけですけれども、私はそうではなくて、業者テストを使っての私立の青田買い、これは許せないと文部大臣が再三強調されていますけれども、そのことは、推薦入学をめぐって、公立にも推薦入学という名のもとに、この青田買いが行われているという背景があるととらえられますけれども、その点いかがですか。
  45. 野崎弘

    ○野崎政府委員 公立高校につきまして、どういう入試方法をとっているかということは調査をいたしましたが、具体的にそれが中身としてどういうものを利用したか、そこまではちょっと詳しいデータは調査をしていない、こういうことでございます。
  46. 輿石東

    輿石委員 推薦入学の方法もわかってないということですか。そして推薦入学を発足さしたその趣旨は何であったのか、今その趣旨に沿った推薦入学が行われているかどうか、その程度のことは文部省としてその実態を把握しておくべきだと考えますけれども、その点についてもお伺いをしたいと思います。
  47. 野崎弘

    ○野崎政府委員 推薦入試につきましては、私どもは、やはり生徒の多面的な能力、適性等、こういうものを評価いたしまして、その生徒個性とかすぐれた点に着目して行われるということが大事だ、このように思っておるわけでございます。  具体的にはスポーツ推薦とかいろいろな形が行われておると思うわけでございますが、まだ実態としては、そこまで私どもは把握していないという状況でございます。
  48. 輿石東

    輿石委員 私がお聞きしたいのは、推薦入学の時期、普通公立高校の入試は年が明けてからになるわけですが、推薦入学の許可される次第は年内に決まる、そう理解をしているわけですが、その点いかがですか。
  49. 野崎弘

    ○野崎政府委員 公立高等学校につきましても、現時点におきましては、まだそこまでの調査が行っていないというのが実情でございます。
  50. 輿石東

    輿石委員 調査をしていないということですから、それ以上お聞きしてもむだだと思いますが、その辺実態をきちんと把握していただいて、この業者テストの問題は、私がここまでお尋ねをしてきたように、公立、私立を問わず、まさに受験体制、学歴社会の中で子供たちは大変悲鳴を上げているということであります。だからこそ、大臣もこの改革なくして教育改革はあり得ないと、こう言われたんだと思うのでありますが、大臣もこの八月の五日にワシントンでの教育会議の中で、三人の子を持つ親として、二人はアメリカの学校へ留学をさせた、その経験から、お二人のお子さん日本へ帰ってきたどきに、もう一度アメリカの学校へ戻りたいと。日本の画一的な教育の病理的現象として、先ほど文部大臣自身言われました中退者十二万時代を迎えてしまった。ここの背景、受験体制で苦しめられている子供たちを何とか解放してやろう、このことが五日制の意義でもあろうと思うわけであります。そうした画一的な教育をなくすために、入試制度、大学入試制度に手をつけなければと、こう思いますけれども、その点、大臣いかがですか。
  51. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 先生、今最後、大学入試制度とおっしゃった……(輿石委員「高校入試制度、大学入試制度、両方」と呼ぶ一そうですね、私の認識も同じでございまして、これは高校入試だけ論ずればいいということではありませんで、当然大学入試ということも考えなければいけない。もともと学歴偏重社会というものから、それが下がってきて子供たちを苦しめているという要素が非常に強いと思うからでございます。  私は、およそ入学選抜というものは、これは例えば大学の場合、入りたい者は全部入れてしまって出る方で考えればいいという立派な思想もありますが、今直ちに日本の高等教育がそういう制度に移行するのは設備的にも財政的にも難しいであろうかと思うわけであります。高校入試も大学入試も、およそ選抜というものである限り、選抜というものの持つ一定限の厳しさというものは、残念ながらこれは避けて通ることができないだろうと思うわけでありますが、そうした中で余りにおかしなこと、余りに不合理なこと、余りに正しいと思えない、不正というと何か不正入学という響きがありますので、不正義と思われるようなこと、こうしたことを徹底して排除していくことが一番大切ではないか。そして子供さんたちがそれぞれの、自分個性に目覚めて、その個性に合った学校を選択することができれば、それにこしたことがないという考え方を私は基本的に持っております。  したがって、輿石先生が御指摘のとおり、これはもちろん大学入試も同じだろうと思いますが、今のこの高校入試をめぐる業者テストの問題を考えた場合には、公立、私立を問わず、高校の一般の選抜試験以外の推薦入試というものにどうしても触れなくちゃいけないわけであります。それが表向きの推薦入試であって、実際には裏で九割まで決めてしまうというような、そういう推薦というのか、事前相談というのか、確約というのか、そういうところにきちんとメスを入れなければいけないわけで、本来、高等学校教育の多様化、個性化というものは、あの中教審の出した答申というのも、これは何といってもできるだけ個性を認めようということですから、個性のある人間がその個性ゆえに、特別な能力のゆえに推薦になるというならいいわけですが、これが偏差値の目盛りで、これが幾つだから推薦というような推薦入学だっならない方がいい。あるいはまさにそれが裏相談、事前相談、実質上の推薦入学という形で子供を細かく目盛りで振り分けていくような、そういう推薦入学だったら、そんなものは本当は正しくない。正々堂々と、一月あるいは二月になるのでしょうか、そういう時期のそれぞれの高校の入学試験を受けてもらいたい。そしてできれば受験機会を複数化して、最終的には皆さんが、望むところに行ける方と行けない方がいるでしょうが、おさまるようにしていきたい。今子供の数が減っていますから、それは十二分にできると思うわけであります。  なお、公立についてどういう推薦の仕組みがあるかという先生のお尋ねについては、これは調べる必要のあることだなと思って答弁とのやりとりを聞いておりました。     〔中山(成)委員長代理退席、委員長着席〕
  52. 輿石東

    輿石委員 もう与えられた時間になりますので、質問を終わるわけですけれども、この受験体制がもたらす状況は、公私立を問わず大変な状況であることをぜひ御理解いただきたいと思います。  例えば、これはある公立の中学校学校案内でありますけれども、中身を見ると、大学案内のようなすばらしいカラーの案内であります。そして最後に中学でありながら進学状況まで掲載をされておる。こちらは「競争の時代から共存の時代へ一か。いよいよ「都立」の出番だな。」、こんなポスターが電車の中にぶら下がり、四千万円もかけて宣伝をする。そうしないと、公立さえも子供が来てくれない。青田買い、公私を問わず必死の状況であります。この実態を一日も早く知っていただいて、文部省の対応をお願いしたいと思うわけであります。  最後に、宮沢りえちゃんは、貴花田との婚約に当たって、偏差値、一本の物差しということが言われているわけですけれども、十九歳で婚約は早過ぎないかという記者の質問に対して、自分の人生は普通の定規、物差しではかってこなかったので、そういう心配はしない、こう言っているわけであります。十九歳の宮沢りえさんに我々は多くを教えられていると思います。それに比べて、宮澤、同じミヤザワですが、宮澤首相は、このことに対して、これも十一月十九日ですが、偏差値、専門家でないから僕はよくわからない。そして、総理の大学のころは偏差値というものがあったか。なかったなあ、大体偏差値の偏なんていう文字は頭痛、頭が痛くなるときにしか使わなかった、こう言うわけです。頭が変ではないかと思うような、これだけの教育問題——ぜひ文部大臣、宮澤総理にそのきょうの論議の実態を伝えていただいて、子供が解放され、学校へ来てよかったという、日本教育を取り戻していただくことをお願いし、私の質問を終わります。
  53. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 その点はしっかり総理にお伝えしようと思います。その点というのは、きょうの議論の、最後の部分だけではなくて、前半の部分もお伝えします。
  54. 伊藤公介

    伊藤委員長 次に、馬場昇君。
  55. 馬場昇

    馬場委員 鳩山文部大臣が、今ずっと聞いておったり、また新聞でも見ておるわけですけれども、業者テストに依存した中学の進路指導、偏差値教育問題に熱心に取り組まれて、業者テストを段階的に追放すると強い決意で頑張っておられますことにつきまして、私も深く応援をしたいと思っております。  きょうの質問は、受験戦争、今のも受験戦争の一つのあらわれですけれども、受験戦争の過熱が学校教育、そして特に教育課程の編成、こういうものを非常にゆがめております。また、もう一つの側面として、このごろ学校が、教職員が物を言わなくなった、暗い学校になったとか、暗い職員室になったとか、こういう管理体制の強化というのが言われておるわけですけれども、そういうものが校長の独善を許して、教育課程の編成をゆがめておる、こういう事実があるわけでございまして、きょうはそういう点について大臣質問をしたいと思うのですが、大臣は非常に熱心でございまして答弁が長いから、二十分しか私はないものですから、質問をイエス・ノーと言われるような質問の仕方をしますから、答弁はそういうぐあいに答弁してもらいたいと思います。  まず第一に、教育課程編成の基本方針ですけれども、これは方針として書いてあることですから、大臣も御存じと思いますけれども、憲法、教育基本法、学校教育法、こういう法令の示すところに従って、まず第一に、児童生徒人間として調和のとれた育成を目指して教育課程を編成しなければならぬ、もう一つとして、地域学校の実態や、児童生徒の発達段階や経験に即応して、適切な教育課程を編成しなければならない、こうなっておるわけでございますし、教育基本法の教育の目的というのは、人格の完成を目指しておるわけでございまして、教育課程も当然その人格の完成を目指していかなければならないと思う。  そこで、教育課程を編成するに当たっては、人間として調和のとれた育成、人格の完成、こういうものを目指して教育課程を編成しなければならないと思うのですが、大臣の所見を聞きます。
  56. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 それはまさに人間人間としてどれだけ立派に幸せに成長していくかということを考えて、教育課程審議会の先生方が真剣な議論をして学習指導要領をつくって、そして標準的にはこういうような教育課程をつくってくださいということになっているわけですから、当然のことだと思います。
  57. 馬場昇

    馬場委員 次に、具体的に入りますけれども、教育課程の中に、家庭科、家庭一般という教科があるわけでございますが、この家庭科という教科、これは、人間の生きる営みといいますか、生命を産み出す営みだとかあるいは生命を維持する営み、具体的に言うと衣食住、そういう問題、もう一つは、生きる営みをめぐる社会の仕組み、こういうものについて学ぶ非常に重要な教科である、こういうぐあいに私は思います。  また、もう一つの教科、例えて言いますと芸術科の問題ですけれども、芸術科は、芸術的能力を伸ばし、情操を豊かにするとともに創造性に富む個性豊かな人間を形成するための教科である、こういうぐあいに思うわけでございまして、端的に、この家庭科の必須教科の重要性、芸術科の必須教科の重要性、私が今こういったことを得る教科だから重要性があるんだと言いましたが、大臣の見解はどうですか。
  58. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 よく英数国とか英数国理社五教科というようなことが言われますが、実際に人間が全人的に発展をする、あるいはこれからの社会生活、家庭生活を営んでいく上でどういう効果があるかということを考えますと、芸術そして家庭、芸術科も家庭科もとても大切な教科でございまして、私自身、小学校の五年生の家庭科の授業で目玉焼きと粉吹き芋をつくらされまして、それが高じて、今ではほとんどの料理をみずからつくり、包丁を握らない日がないぐらいですが、それくらい大事な教科だと思っております。
  59. 馬場昇

    馬場委員 もう一つ原則的なことをお尋ねしますけれども、憲法には、国民は「ひとしく教育を受ける権利を有する。」、こう規定されておるわけでございまして、教育課程を編成するに当たって、この生徒とか児童の教育を受ける権利、こういうものは絶対に奪ってはならないわけでございます。今大臣も、家庭科とか芸術科というのは非常に大切だ。必須教科であるわけでございますが、こういう家庭科とか芸術科とかという大切な必須教科、こういう教科を受けなくてもよろしいというような教育課程は、子供教育を受ける権利を奪うわけですから、絶対にしてはならぬと私は思うのですが、いかがですか。
  60. 野崎弘

    ○野崎政府委員 学習指導要領で必修教科というのは決まっているわけでございますので、やはりこれはそういう意味で必ず受けなければならないもの、このように思っております。
  61. 馬場昇

    馬場委員 そこで、実は私の熊本県で県立第一高等学校という学校がございますが、ここで校長が、家庭科と芸術科、これは今言ったように必ず受けなければならぬ必須教科でございますけれども、これを自習という、これは教科にはないわけですよね、家庭科と芸術科と自習を選択してよろしい、こういう教育課程を組んだわけです。これは絶対にあってはならないことだと思うのですが、どうですか。
  62. 野崎弘

    ○野崎政府委員 必修教科の科目と自習との選択制ということは、私ども望ましくないことと思っております。ただ、県からの報告によりますと、本年九月から必修教科である家庭科と芸術科、これを自習との選択をする、ただその不足する授業時間を冬季休業期間中など集中講義方式により補おう、こういうようなことをしたということでございますから、学習指導要領云々という議論になりますとなんでございますけれども、教育課程の組み方としては、やはり学習指導要領の趣旨から望ましくないもの、どのように思っているわけでございまして、県教育委員会はこの事実が判明した後速やかに改善指導を行って、十一月から通常の教育課程に戻された、このように報告を受けております。
  63. 馬場昇

    馬場委員 はっきり家庭科という必須教科と自習を選択しなさいと言うのだから。それで自習を選択した者は受験準備をしておるわけですよ。そうして、それで実は授業をしているのです。今あなたが言われたのは、これは生徒の通報ではれたわけです。ばれたら泡食って、いや、やらなかった分は冬季休業中にまとめてやります、こういうことを後で言っているわけです。  そういう事実があるわけですが、今のところきちんと、絶対にそういう必須教科の家庭科と自習なんかの選択はあってはいけないことだ、こういうことを言われたわけでございます。こういうことをする校長というのは、校長にそういうことを任せられていないわけですから、自習と家庭科を選択するということは任せられていない、そういう任せられていないことをやった校長というのは、自分の裁量権を逸脱しておると私は思うのですが、これはどうですか。
  64. 野崎弘

    ○野崎政府委員 今の点につきましては、今お答えいたしましたように、熊本県の教育委員会改善措置を行い、学校もそれに従って今やっているところなわけでございます。  校長の裁量権というお話が出たわけでございますが、私どもとしては、明確に学習指導要領の違反というようなことになってきますと、それはまさに法令違反というふうに思っておりますけれども、本件の場合が学習指導要領の逐一の文言に反しているかどうかということは即断できないのではないか、こう思っておるわけでございます。そういう意味で、先ほど私は望ましくない、このようにお答えしたわけでございます。
  65. 馬場昇

    馬場委員 必須教科の家庭科と自習を選択するということは法令違反ですか。それだけはっきり言ってください。教育委員会がどうしたとか、ばれてから後どうしたということは後でまた質問しますから、そこだけを言ってください。
  66. 野崎弘

    ○野崎政府委員 必修教科である授業を行わないということであれば学習指導要領違反でございます。
  67. 馬場昇

    馬場委員 それからもう一つ生徒は家庭科を受けるという権利を持っておるわけですよね。家庭科を受けるという権利を生徒が持っている。それを受験戦争、受験準備、受験競争というのがあるものだから、自習を選んだ方が受験準備をやれるから、そういう形で自習の方を選んだ。そうなってきますと、だれも国民が、さっき大臣が言いましたように、非常に大切な家庭科を受ける権利というのを奪ったという校長の態度は、これはまさに責任重大だと思うのですが、どうですか。
  68. 野崎弘

    ○野崎政府委員 校長の責任云々あるいは校長を今後どう指導していくのかというようなことにつきましては、これは任命権者である県の教育委員会が考えることでありまして、国としてそれについて関与するということは考えておりません。
  69. 馬場昇

    馬場委員 法令違反をやった校長が責任がないのかというのに、そんなのは教育委員会が判断しますと。では、文部省の見解というのはないのですか。どんなことをしても全部教育委員会が判断します、どんなに憲法違反、教育基本法違反、学校教育法違反を校長が現場でやっても、法令違反だということで、そういうような責任があるとかないとかという見解を文部省は持たぬのですか。
  70. 野崎弘

    ○野崎政府委員 県立学校でございますと、その教育課程は、すべて県の教育委員会の管理のもとに各学校教育課程を組み、実施をしておるわけでございまして、文部省が教育課程の管理をしているわけではないわけでございます。そういう意味で、いろいろ実際上行われていることにつきましては、県の教育委員会の方で事実を確定し、どういう事実があったのか、そういうことに基づいて県の教育委員会で対処するもの、このように思っております。
  71. 馬場昇

    馬場委員 責任問題は後で言いますが、もう一つ質問します。  例えば、先ほど言いましたが、二時間の家庭科の授業をしなかったわけです。自習を選択をしておったから、自習をやった人は受験勉強ばかりして家庭科をしなかった。ばれたところが、いや、それは冬季休業中にまとめて家庭科をやるんだ、こういう弁解をした。冬季休業中にまとめて授業をして単位の認定ができるのですか。
  72. 野崎弘

    ○野崎政府委員 学習指導要領の規定だけでいきますと、「特に必要がある場合には、各教科・科目の授業を特定の学期又は期間に行うことができる。」という規定がございますから、あるいはこれをそういう形で学校において読んだのかもしれません。私ども、学校がどういうことをしたかということは、これはまさに県の教育委員会の管理のもとでございますから、それ以上はわかりませんけれども、学習指導要領にはそういう規定がございます。しかし、私どもとしては、やはりそういう形でやることは好ましくないということで県の方も改善措置を講じた、このように思っているわけでございます。
  73. 馬場昇

    馬場委員 時間がないのですが、例えば必須科目を全然正規の授業をせぬでおいて、じゃ冬休みにまとめてやります。英語でもそうしていいのですか、数学でもそうしていいのですか。みんなそうですよ、家庭科もさっきの芸術科も。普通授業時間にはせぬで受験準備をさせておいて、休業中にそういう授業をして単位がやれるのですか、はっきり言ってください。それはそういう法律になっているのか、規定になっているのか。
  74. 野崎弘

    ○野崎政府委員 極端な議論をされますと私どもも困るわけでございますけれども、本件の場合には、そういうことで好ましくないということで県が改善措置を講じたわけでございますから、私どもとしては県の判断を見守りたいと思います。
  75. 馬場昇

    馬場委員 本件の第二局校の場合を聞いているのじゃないのです。具体的に、必須教科を正規の授業をせぬで休業中に授業をして単位がやれるのかやれないのかということを聞いているのです。原則論を聞いているのです。
  76. 野崎弘

    ○野崎政府委員 一般論で申し上げますと、授業をどういう形でやるかというものは、私どもは、やはり学習指導要領にのっとって授業を実施していただきたいと思っておるわけでございまして、もし学習指導要領にのっとらない授業がやられれば、それはやはり学習指導要領違反である、このように思っております。
  77. 馬場昇

    馬場委員 それから、例えばこの家庭科は四単位なんですね。大体一年で二単位、二年で二単位、四単位ですけれども、この家庭科の四単位をとらずに高等学校の課程の修了を認められますか。
  78. 野崎弘

    ○野崎政府委員 四単位修得することが必要でございます。
  79. 馬場昇

    馬場委員 大体二単位ありますと、五十分授業で二時間やって二単位がとれるわけです。ところがこの学校では、一般でもいいですけれども、五十分を二時間やらなくて、例えば六十分を一時間やって二単位とれますか。
  80. 野崎弘

    ○野崎政府委員 一般論でそういう授業でいいのかということになりますと、確かに難しいわけでございますが、ここは標準五十分のところ、今お話にございましたように、六十分授業をやっているということで、第一学年、第二学年合わせて四単位相当の授業時数を確保した、こういうことでございますけれども、やはり私どもとしては、学習指導要領の趣旨からは望ましくないというようなことで、この十一月から通常の教育課程に戻された、このように報告を受けております。
  81. 馬場昇

    馬場委員 望ましくないというのと学習指導要領違反というのは違うんですか、一緒ですか。
  82. 野崎弘

    ○野崎政府委員 学習指導要領違反ということになりますと、学習指導要領に明確に違反をしている、こういう場合が私どもは違反している、こう思っておるわけでございます。望ましくないと今申しましたのは、今のようなことで実質確保しているとかそういうようなことがあるわけでございますから、直ちに明確に違反しているというようなことを私どもとして即断する話ではない、このように思っているわけでございます。
  83. 馬場昇

    馬場委員 じゃ、二単位の授業、五十分で二時間ずつやって二単位取るんですよ、普通の学校は。ところが六十分で一時間しかやらずに二単位取れますかということを聞いているんです。これは一般的に言って取れますか。
  84. 野崎弘

    ○野崎政府委員 これは年間の授業が実際にどう行われたかということにもよるわけでございますけれども、私どもとしては、やはりそういう措置というものは望ましくないもの、このように思っておるわけでございまして、そういう意味で県の教育委員会も是正措置を講じた、このように思っておるわけでございます。
  85. 馬場昇

    馬場委員 あなた、何か学校の何かを守ろう守ろうとして、あなたが言ったようなことを今から全国の高等学校、やりますよ。二単位やるのを、六十分の一時間で全部二単位やってしまう。全国の高等学校でやるということはいいんですか。
  86. 野崎弘

    ○野崎政府委員 私どもは、今お答えしていますように、そのことを絶対推奨すべきものとして御答弁しているわけではございません。しかし、実際にそういう授業が行われた子供たちがおるわけでございますから、その子供たちについては県としてはそういう改善措置を講じた、こういうことでございます。
  87. 馬場昇

    馬場委員 一般論で六十分で二単位やっていいのかというふうに聞いているんですよ。
  88. 野崎弘

    ○野崎政府委員 一般論としてお答えすれば、そういうことは望ましくない。そういうことはやはり普通は五十分授業で四単位を確保するというのが通常の姿だと思っております。
  89. 馬場昇

    馬場委員 大臣、ちょっと時間が過ぎるんですけれども、例えばこの校長でいいますと、この校長は、例えば必須教科の家庭科と自習を、選択してはならないものを選択をしたわけですよ。それが第一。第二は、教育委員会には、ここにありますけれども、ちゃんと五十分ずつ二時間するという教育課程の報告をして県教委から許可を受けているんです。教育委員会には五十分二時間するとやっておいて、実際は自分学校では選択してやらなかった。もう一つは、六十分でごまかして五十分二時間やったというような虚偽の授業をしておる。そしてさらに、生徒は、今卒業しておる者は実は単位が足らないのに卒業させているんです。それで、今の三年生も一年、二年でやりますから単位が足らない。それでも単位を認めているんです。まさに大変な過ちを犯しておる校長なんですけれども、こういう校長というのは、やはり県教委が処分すると言いますけれども、こういうことは絶対やっちゃならぬ、責任は重い、厳正に対処すべきだということを教育委員会を指導しますか。
  90. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 野崎局長からいろいろお答えをしたとおりだと思っておりますが……(馬場委員業者テストと全然歯切れが悪いじゃないの」と呼ぶ)いえ、これから元気に物を申しますが、実は、私立学校に対しての総務庁の行政監察の結果について、先生も御承知と思いますが、やはり同様の問題があるわけですね。学習指導要領に基づいた教育課程になっていないケースがあるのではないか、実際に必修である教科が行われていないんじゃないか、場合によっては虚偽の報告がされているのではないかという問題があるわけです。  私自身がみずから学んだ学校で、今にして思うと、ある教科がなかったんです。私は高校を受験しようと思ったら、そんな教科聞いたことない、私の中学ではなかったから。それで高校受験でえらく苦労した経験もあります。  したがって、先ほど申し上げたように、教育課程審議会で学習指導要領を決めて、それに基づいて標準授業時数等、学校教育法施行規則できちんと定めているというのは、非常に意味のある、価値のあることでございまして、よく教育課程の自主編成などというようなお考えもしばしばいろいろなところから寄せられたことがありますが、その点に関しますと、この学習指導要領を非常に厳しく守れとおっしゃっていただいている馬場先生には心から敬意を表したいと思うわけであります。  この個別の件について私もよく先生からも若干のお話を承りましたが、基本的にこういうことはあってはならないことだと思うわけです。ただ、まとめ取りというのか、冬休みにやるということであれば、これはこれで何とかぎりぎり事なきを得るものなのかなという感想を持ちますし、六十分授業掛ける三ですか、五十分授業掛ける四、そうすると二百と百八十の差があって若干足りないわけですね。こういうことも、実際これは学習指導要領に合っていないことでございますから、もっと学習指導要領学校教育法施行規則をきちんと全国のすべての学校が守ってもらうように指導しなければならぬと思います。
  91. 馬場昇

    馬場委員 質問時間が来ましたから、これで終わりますけれども、今大臣ちょっと、非常に業者テストと歯切れが悪いのですよ。そしてまた言われたのも、何か意地の悪いような言い方もしておりますが、教育課程というのは本当は自主編成すべきなんですよ。だから、それを規定で法的拘束力を持たせるのはおかしいと私は思う。ただし、自主編成であれ法的拘束力であれ、学習指導要領の中で受験準備のための時間をとつちゃいかぬ、そういうことを私は今言っているわけですから。この学校はまさにそうでしょう。受験競争の過熱がこういう間違った受験準備をするための時間を学習指導要領の中に入れた。こういうことがおかしい。それで、教育委員会をだました。校長がうそをつくような校長はおかしい。生徒教育権を奪ったような教育課程編成をした校長はおかしい。だから、これは教育委員会に、そういう校長は資格がないから厳正に処分せい、処置せよということを指導しなさいと言っているのです。  時間がございませんが、最後に、やはりこういうことが起きたのは、学校教育課程を組むときに、教科の先生の意見を聞くとか、教務というのがありますが、そこの意見を聞くとか、あるいは職員会議に諮るとか、地域の実情とかなんとか考えなければいかぬわけですから、そういう皆さんの意見を聞いて民主的に教育課程は決めなければならぬというのに、この校長は独断でやっているわけですよ。そういうのはいけないと私は思うのですが、学習指導要領を決める段取りも民主的であるべきだし、常日ごろの学校運営も民主的であるべきだと思うのですが、それについて大臣最後に答えてください。
  92. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 それはおっしゃるとおりでございまして、学校は明るく民主的であってほしいというふうに私は思っております。ただ、教育課程は学習指導要領並びに学校教育法施行規則にのっとって、それに合致した形で民主的に定めてもらいたいものと思います。
  93. 吉田正雄

    吉田(正)委員 先ほど来の質疑答弁を聞いて、答弁になっていないのですよ。いいですか、一番よく御存じなんですよ。望ましくないということと。それは望ましくないけれども、それで認められるということと、それから明確にこれは法違反なりいろいろな点でそれは認めることのできない内容だということとは全然意味が違うのですよ。望ましくないということならば、やってもいいということで、どこでもやっていいのですか、そういうことを。そこを明確に答えてくださいと言っているのです。責任問題は別ですよ。あるいは、虚偽の報告をした、あらかじめ県教委に出して承認されたものと実態は全然違うことをやった。これはまさに虚偽の報告なんですよ。そして取りまとめてやる、冬休みにやる。また、その中身が全然違っているわけでしょう。基準に合っていない、標準に合っていない。それを望ましくないという一言で片づけていいのかどうなのか。これは全国にこれから及ぼしていく問題ですから、非常に重要な問題ですよ。そういう点で今答弁ができないのなら、文書で明確にその点を答弁してください。
  94. 野崎弘

    ○野崎政府委員 これは熊本県の教育委員会の管理下の学校なわけでございまして、私どもが把握している事実の中で、学習指導要領に明確に違反しているということまでは言い切れないということで御答弁をさせていただいたわけでございます。しかし、今実際にこれをやっていることが全国に流布するようなそういう制度のものではない、私どももこのように思っているわけでございますので、その辺のところは御理解をいただきたいと思います。
  95. 馬場昇

    馬場委員 学習指導要領に違反していないと今おっしゃったから、それは大臣確認していいですね。そういうことをみんな全国でやらせていいわけですから。  終わります。
  96. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 私は先ほどから申し上げておりますように、処分だとかなんとかという件は全然別問題です、吉田先生おっしゃるとおり。学習指導要領というものは、もちろん個性化、多様化の時代ですから、例えばいろいろなコースを用意する、あるいは大学設置基準も大綱化しましたし、これは今後の例えば中等教育においてもいろいろなコースを用意して、子供が望むいろいろな選択ができるように選択の幅を広げていく。少し広げましたけれども、それをさらに広げていくとかいうような配慮は個性化の時代のために必要だと思いますが、現にある学習指導要領はすべての学校で守っていただく、守らなければならないものと考えます。
  97. 伊藤公介

    伊藤委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十二分休憩      ————◇—————午後一時十二分開議
  98. 伊藤公介

    伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、政府より発言を求められておりますので、これを許します。野崎初等中等教育局長
  99. 野崎弘

    ○野崎政府委員 午前中の質問に関連しまして、私からお答えをさせていただきたいと思います。  一般論として言えば、六十分授業を三単位分実施して四単位として認定することは認められないということでございます。
  100. 伊藤公介

    伊藤委員長 質疑を続行いたします。中西績介君。
  101. 中西績介

    中西(績)委員 私は、平成五年度文部省所管の概算要求について、二、三の点を質問申し上げたいと思います。  まず第一に、来年度予算は大変厳しい状況だと取りざたされておりますけれども、来年度予算要求の柱、俗に目玉などと言いますけれども、何を強調しておるのかをまず御説明いただきたいと存じます。
  102. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 平成五年度文部省所管一般会計概算要求額は、対前年度比千五百九十二億円、三・〇%増で、総額五兆四千七百八十七億円を計上いたしておりまして、これから年末にかけての予算編成において、政府案決定まで努力を続けてまいりたいと思っております。  中西先生のような大ベテランから目玉は何であるかという御質問でございますと、一つは午前中にも話題になりましたが、小中学校の第六次の義務教育学校教職員配置改善計画、六年計画で、これがきちんとスタートできるようにしたいというのが一つであります。それから大学の施設整備、本年は施設整備資金というようなものも創設をしていただいて、財務センターもつくり、法律改正をいたしたわけでありますが、高等教育の施設設備の整備充実を図るための予算をどの程度とることができるかということ。それから、これも午前中の質疑にありましたが、一千億を目指しております科学研究費、百五億円増の要求であったかと思いますが、これを獲得したい。それから御承知のように、例年どおりでありますが、今財政当局からしばしば切り込みを予告されております私学助成を、これは概算要求時には一定の伸びを確保いたしておりますので、概算要求どおり、できればそれ以上と言いたいところですが、私学助成の予算を獲得したいということでございます。  そのほか、公立文教が、かつて六千億近い金額にあったものが平成三年度には二千二百八十八億まで落ちてしまっておるわけで、これは平成四年度予算では少し復活しかけてきているわけなので、公立文教の予算はきちんととりたいと思いますし、長野冬季オリンピック競技大会の準備にも入りますし、もちろん、日本が名実ともに文化大国と言えるように、文化庁関係の予算についても充実を図っていきたい、こういうふうに思っております。  強いて中西先生のおっしゃる目玉ということにお答えするとすれば、教職員の配置改善計画、それから大学の施設設備一科研費等学術研究、そして私学助成というところになるでしょうか、そう思います。
  103. 中西績介

    中西(績)委員 今大臣が言われました主要な柱について、できればすべてにわたりたいのですけれども、時間の関係がございますので、時間の許す限りお聞きしたいと思います。  まず第一に、第六次公立義務教育学校教職員配置改善計画案なるものが提示されまして、概算要求でこれを要求してありますけれども、第五次の計画のときには、御存じのように改善増の合計が七万九千三百八十人、自然減の数が五万七千九百三十二名、差し引き計二万一千四百四十八人になっていました。今回の第六次案、十三年かかって第五次は実現して四十人学級実現されたわけでありますけれども、第六次計画を見ますと、改善増三万五千二百九人、自然減の数が六万四百人、差し引き計二万五千百九十一人。第五次は上積みをしたのですけれども、今回の場合にはこれを減少させるという中身になっておるわけです。なぜこうなったかが私は問題だろうと思います。  少なくとも私は、今度の場合当然これだけの数があるわけでありますから、三十五人学級を目指すという計画案をなぜ作成しなかったのか。諸外国、先進諸国等の調査等もいたしまして、先進諸国に行った場合には我々もう話ができないくらいに恥ずかしい話なんです。こうしたことを考えてまいりますと、この状況からいたしますとまさに最初からあきらめてかかったという感じがしてならないわけですね。この点、どうなんですか。     〔委員長退席、中山(成)委員長代理着席〕
  104. 井上孝美

    井上(孝)政府委員 お答え申し上げます。  今回の改善案を検討するに際しましては、従来から行っております教職員定数についての調査研究の成果、あるいは本年四月から七月までの教職員定数の在り方に関する調査研究協力者会議におきまして、教育関係者からの積極的な御参加をいただいての積極的な御審議、また教育関係団体からのいろいろな御意見というものを踏まえまして、小中学校の普通学級の標準につきましては、その中間まとめにおきまして、一学級当たりの児童生徒数平成三年度の実態調査を見てみますと、小学校が二十九・一人、中学校が三十三・九人という、そういう現状を踏まえまして、教育関係者からは、学級編制の標準は現行のままとして、多様で柔軟な指導方法が工夫できる教職員配置を要望する声が強いことなどを総合的に勘案しまして、さらに、今後児童生徒数が大幅に減少することに伴い学級規模もある程度減少していくということなども踏まえまして、現時点において一律に学級編制の標準を引き下げるよりも、実際の学習指導集団を弾力的に編制することによりまして、より効果的な教育指導を行うことが適切であるという観点から、今回の改善計画案におきまして、普通学級学級編制の標準を変更することとはしなかったところでございます。
  105. 中西績介

    中西(績)委員 二十九・一人、あるいは中学は三十三名が平均ということを言っておりますけれども、地方の過疎地域だとか、こういうところにおいては、もう既に三十五人学級あるいはそれ以下になりまして、今あなたが言われるような数になっておると思いますよ。問題は、これを超え、四十人を超えるような状況にあるという地域がたくさんあって、そういうところに、知的面の追求だけに今陥っておる学校教育というものが非常に問題視されておるということが言われておるわけでしょう。そうすると、そういう四十人をはるかに超える学級、しかもその学級数が幾つもあるような地域、こういう地域は、まず目指すべきは、やはり三十五人なら三十五人を目指していくべきではないかと思いますよ。というのが、これから後またいろいろ質問しますけれども、そういう基本的な構えというものが今我々の中に欠けるとしますと、過密地域における子供たち登校拒否だとかいろいろ多くの問題というのは、特にそういうところに出てきておるわけですから、こうした点で、やはり三十五人学級を追求し、しかも専科教員だとかいろいろなものを、配置率の改善をどう遂げていくかという、ただ私は、三十五人で済ますと言っておるわけじゃない、あくまでもやはり配置改善をどのように遂げていくかという、これとあわせ考えていく必要があるんではないか、こう考えておるわけです。この点、どうです。
  106. 井上孝美

    井上(孝)政府委員 先生ただいま御指摘のように、私どもとしても、学級編制の標準あるいは教職員の配置改善、それらを総合的に教職員配置改善計画の中において検討し、学校において生き生きとした教育活動が展開できるような教職員配置を今回もこの改善計画の案に含めているわけでございます。  改善計画案の内容の中でも、教育指導の展開において適宜、個別指導、グループ指導等を取り入れたチームティーチングなどの新しい指導方法を積極的に実施できるような教職員配置、あるいは中学校におきます新しい学習指導要領を円滑に実施できるように選択履修の拡大に対応できる教職員配置などを行うことを最重点といたしまして、さらに、近年増加しております登校拒否に対応するためのきめ細かい生徒指導ができるような教職員配置、外国人児童生徒、帰国児童生徒への対応等効果的な教育指導を実施できるような教職員配置を行うこととしているわけでございますし、そのほか、養護教諭、学校栄養職員事務職員の配置の改善、あるいは特殊教育学校学級編制と教職員配置等の改善を図ることとしているわけでございます。これらは、臨教審答申の個性尊重の必要性、あるいは新学習指導要領の趣旨でございます個に応じた多様な教育を展開する、そういう趣旨から今回の改善計画について策定をさせていただいているところでございます。
  107. 中西績介

    中西(績)委員 私どうも、この第六次計画、差し引き二万五千百九十一人というこの問題を、減少することによって生じた金額が、今私、計算はしていませんけれども、二万五千あれば、少なくとも二百億から二百五十億程度は軽くなるのじゃないかと思うのですけれども、そうなってくると、この分を文部省予算が厳しいから他の分野に充当したい、こういうことが先に私は走っておるのではないかというふうな感じがしてならないわけです。あなたが今おっしゃるようなことをずっとやるとするなら、なぜこれに近い、いわゆる六万四百入減になるわけですから、それを超えろとは言いませんよ、これに近い数を充当するということに、それならなぜならなかったのか、そこの理由をお聞かせください。
  108. 井上孝美

    井上(孝)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、今回の改善計画を策定するに当たりましては、臨教審答申あるいは中教審答申等の趣旨を十分踏まえながら、そしてまた教職員定数の在り方に関する調査研究協力者会議における大変御熱心な論議、そういうものを中間まとめとしてちょうだいしているわけでございまして、そういう教育界全体のコンセンサスというものを踏まえて、その学校における教育活動が生き生きと個に応じた多様な教育、まさに児童生徒一人一人の個性なり能力を適切に把握し、それを伸ばすような教育にしていきたいということで、今回の教職員配置計画を策定したわけでございまして、ある意味では、明治五年に学制発布されて以来、近代学校制度において教室の中では一斉指導が中心であったわけでございますが、今回の改善計画で、個に応じた多様な教育ができるようにという観点からの配置改善計画でございまして、そのためには、全体といたしまして六年間で三万五千人の教職員配置改善数を計上すれば、一応そういう目的を達成することができるというように判断して、私どもとしては今回の第六次の教職員配置改善計画を策定した次第でございます。
  109. 中西績介

    中西(績)委員 それが問題なんですよ。何とか調査会だとかいろいろなコンセンサスを得て、そして三万五千二百九人というこの配置改善をすることによって、その目的を達成できるとその人たちは言ったのですね、それでは。今度私、参考人でこの次来てもらっていろいろ細かく聞きますけれども、これで十分だということを言ったわけですね。私が言っているのは、三万五千二百九人というこれであなたたちがもうあきらめてしまっておるということを指摘をしているんですよ。それより以上に、三十五人学級プラスのあれしていくことによって、この二万五千百九十一人を使うことによって、さらに充実した体制をとるべきではないかということを私は言っているんだけれども、そういう審議会だとか調査会の皆さんの場合には、この三万五千二百九人でもう結構だ、こういうふうに言ったんですか。
  110. 井上孝美

    井上(孝)政府委員 私どもは、先ほど申し上げましたように、審議会の答申あるいは調査研究協力者会議の中間まとめ等を踏まえて、この改善計画自体は文部省が策定したものでございまして、文部省が概算要求する場合には、現在の国の財政事情が非常に厳しいという事情もございますし、文部省全体の中で、先ほど大臣からも御答弁をいただきましたように、第六次の公立義務教育学校教職員配置改善計画案は、まさに来年度の概算要求の大きな柱として私どもも全力を挙げてその実現を目指しているわけでございますが、そういう意味では、国の財政事情等も一方では勘案しながらも、なおかつ、この改善計画において学校における個に応じた多様な教育が展開できるような教職員配置は一応確保できるという判断のもとにこの計画を策定させていただいた、こういうことでございます。
  111. 中西績介

    中西(績)委員 それは文部省の机上の空論ですね。机上の空論ですよ、それは。あなたたちは勝手に、調査会なりの答申を得て、あるいは中間発表を得て、これによって作業をしたわけですね。あなたたちは三万五千二百九人でもう十分だという認識をしたわけでしょう。だから、私が言っておるように、むしろ二万五千百九十一人というこの数、これによって浮いてくる財政をどう他に回すかということを先に頭に入れておいて、この程度だったら何とかごまかしがきくんではないかというような、こういう考え方でしょうが。あなたちょろっとさっきそういうことを言ったわ。私最初からそのことを言ったんだけれども、そのことはあなたは肯定しなかった。  ですから、いずれにしても、諸外国、先進諸国をずっと調査したと言われるけれども、これは後で資料提供を求めますが、どういうふうな結論を導き出し、それによって最大限の努力をした、その結果がこうなんだということであれば、私は余りこうした点についての論議はいたしませんけれども、二万五千というこれだけの数、少なくともこれがベースアップしていきますから、これだけの経費、今までの経費プラスアルファしなくちゃならぬから、第五次案のように、それより以上ということを私は言わないにいたしましても、第六次案はやはりそれに近いものを充当すべきではなかったか、こう思っておるからこのことを主張しておるのですよ。したがって、いずれにしても、そうした論議をされた基礎資料になるものの提出を求めたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  112. 井上孝美

    井上(孝)政府委員 お答えいたします。  今回の改善計画の策定に当たりましては、今後の児童生徒数の推移とそれに伴います教職員配置の見込み等について一応実態調査等もしておりますので、必要な資料については提出させていただきたい、このように考えております。
  113. 中西績介

    中西(績)委員 本来ならこれで時間を費やすつもりはなかったのですけれども、もう既に概算要求出されていますので、この点についてお聞きをしたいと思います。  この第六次計画案を見ますと、六年間にわたる計画だということを示しておるわけでありますけれども、これには何か特別な理由ございますか。
  114. 井上孝美

    井上(孝)政府委員 お答え申し上げます。  今回の改善計画は、新しい学習指導要領の目指す目標を実現し、個に応じた多様な教育を推進しようとするものでありまして、このために必要な約三万五千人の改善を行おうとするものであります。前回の第五次改善計画は、四十人学級実施を含む計画であったために十二年という長期の計画となったわけでございますが、今回は、児童生徒数の減少に伴い今後毎年教職員定数が減少していくことが予想されておりますことから、現時点でその減少傾向がある程度正確に予測できる範囲内の期間といたしまして、前回の十二年計画の半分の六年計画と設定したものでございます。
  115. 中西績介

    中西(績)委員 これを見ますと、ちょうど改善増の合計が約八万、その約半数に近い三万五千、こういうことで六年、だから従来のペースに近いもので推移をしていくということで理解してよろしいですね。  そこで、問題はこの改善数、この案を表にしていただいておりますけれども、これを見ると、三万五千二百九名をそれぞれの特徴あるものとしてということで、先ほど説明のあったようにされておりますが、例えば「指導方法の工夫など個に応じた教育の展開」というのがございますが、二万一千三百八十人ということになっています。「ティームティーチングの導入等」一万八千二百八十九、こういうふうになっております。あとずっとみんな細かくありますね、それぞれ。これを全部単純に六等分ずつ毎年配当していくということになるんですか。これはどのようになっていますか。
  116. 井上孝美

    井上(孝)政府委員 今回の改善計画については、先ほども申し上げましたような新しい学習指導要領の目指す目標を実現して、個に応じた多様な教育を推進しようとするものでありますから、全体としては約三万五千人の改善計画でございますが六年計画であるということから、平成五年度については三万五千人の六分の一に当たります五千八百六十八人を概算要求したものでございまして、一応現在のところ、それぞれの年度につきまして六分の一ずつの教職員の配置改善をしていきたい、このように考えているところでございます。
  117. 中西績介

    中西(績)委員 時間がありませんから途中省きまして、最後に、義務教育費国庫負担法に基づく事務職員あるいは栄養職員、これにも入っておるわけでありますけれども、従来どおり基幹職員として除外しないということを今まで言い続けてきたわけでありますが、大蔵省の態度の中にはいろいろな変化があるやに聞いておりますけれども、この点はどうなんですか。
  118. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 いまだに財政当局から私に具体的な話は全くありません。これは毎年のように騒がれる問題でもありましょうし、定例的にまたいろいろなことがマスコミ等の字面をにぎわしておりますが、少なくとも非常に真剣な話としてあるいは深刻な話題として財政当局から私に話し合いを申し込まれたとか、説明に来たということは一切ありませんし、事務職員栄養職員学校の基幹的職員であるという観点から、教職員ともどもにみんなで一つ学校を運営していくという事柄から、これを義務教育費国庫負担制度から外すという気持ちは全く私は持っておりませんし、あと何日ここにいるかわかりませんが、いる限り私は一歩も引かぬ構えでいきます。
  119. 中西績介

    中西(績)委員 そこで、大変失礼なんですけれども、今大臣言われましたように、あと何日かということになれば、予算が確定する段階になりますと交代する可能性だってあるということのようですから、引き継ぎ事項の中の重要な案件としてこれを引き継いでいただくということを確約できますか。
  120. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 ええ、もちろん確約をいたします。私としては、次にやってくる文部大臣と引き継ぎをいたすわけでありますから、そのときに私はこのことを説明いたしますし、もしそれに異論を唱えるような新文部大臣であれば、そこで一戦交えなければならぬと思います。
  121. 中西績介

    中西(績)委員 それでは高等学校教職員配置についてお聞きしたいと思います。  第五次の高等学校教職員配置ということになると思いますけれども、第六次義務教育学校教職員配置改善計画、これに全く準じてやるのか、それからこの年数についても、そうした六年計画の中に入るのか、あるいは学級編制の標準は普通高校で四十五人を四十人、職業高校で四十人を三十五人とするのかどうか、その他配置改善について特別のものがあればお答えいただきたいと思います。
  122. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 政府委員から御答弁申し上げますが、先生御指摘のとおり、今度の高校の第五次の改善計画では、四十人学級実現するというのが最大の目玉になるわけでありまして、もちろんその他のいろいろな改善計画については井上助成局長から御答弁申し上げます。  先ほど、先生井上局長とのやりとりで、私はあえて手を挙げませんでしたが、個に応じた指導、あるいは個性重視というか、あるいは一人一人の子供児童生徒学生学生はどうかわかりませんが、少なくとも幼稚園から初等教育、前期中等教育、後期中等教育に至るまでの間は、それは適正規模というのがあろうと思いますが、それは少なければ少ないほどいいわけです。  個性重視という意味でいえば、それは小中学校がいずれ三十五人学級を目指すべきであろう、私はそう思っております。現在の平均が三十三・幾つというようなお話ですが、これは実際、大規模校で四十人の学級がずらっと並んでいるところと、過疎地域の物すごく少ないところの平均が三十三・幾つでございますから、実際には四十人の学級が非常に多いということは御承知のことと思います。しかし、これは財政との相談とか、そういうもののバランスでございますので、先ほどは申し上げませんでしたが、目指すべきものはあるけれども、今回はちょっと財政との絡みで第六次の定数改善計画では三十五人学級は見送ったということで御理解いただきたいと存じます。
  123. 中西績介

    中西(績)委員 特別、何かございますか。
  124. 井上孝美

    井上(孝)政府委員 ただいま大臣から御答弁があったとおりでございますが、若干具体的な問題について先生から御質問がございましたので、その点について補足……(中西(績)委員「もういい、それは」と呼ぶ)よろしゅうございますか。
  125. 中西績介

    中西(績)委員 はい。だから、配置改善で特別なものがあれはということです。——それでは六年という中でやられるわけでありますけれども、この計画は各県の実態に即して立案、実施計画案なるものを独自に作成をするということになるのではないかと思いますが、具体的な作業日程等をお聞きしたいと思うわけであります。  特に、各県の実態というのは地域ごとに過疎過密、いろいろな地域があるわけですから、その地域によって、この削減をしていく年次についても異なる部分だって、一様にやるのではなしに、いろいろな具体的な問題が出てくると思いますが、こうした点は確認をしてよろしいかどうか。それともう一つは、先ほど申し上げましたように、これからの具体的な日程等についてお答えください。
  126. 井上孝美

    井上(孝)政府委員 お答え申し上げます。  各都道府県の高等学校教職員配置改善計画への具体的な実施計画をどのようにするのかというお尋ねでございますが、その点につきましては、公立高等学校の普通科等の四十人学級実施につきましては、平成五年度から平成十年度までの六年間に各都道府県の、先生からお話がございましたように、生徒数の減少割合や、あるいは地域の実情に即して実施することといたしているわけでございます。  具体的には、各都道府県ごとに三ないし六年の間に四十人学級が完全実施できるような実施計画を策定していただく、あるいは一学級当たりの定員につきましては、各県の事情に応じて学年進行方式によりまして四十五人から四十人としたり、段階的に四十四人から四十二人あるいは四十人というふうに実施する方法を自由に選択できるようにしているところでございます。そして四十人学級実施に際しましては、学校施設の状況や中学校卒業者数、進学希望者数等の動向を十分考慮すること等、そういうことを総合的に勘案して実施することを考えているところでございます。目下、この点を踏まえまして、各都道府県の実施計画案に基づきまして自治省と折衝を重ねているところでございます。
  127. 中西績介

    中西(績)委員 そうしますと、六年間ですから、六年計画と言わずとも五年計画でもいいわけですか。
  128. 井上孝美

    井上(孝)政府委員 都道府県によりましては、四十人学級実施につきましては、三年計画で完成するところもあれば、六年計画全体を通じて完成するところもあるかと思います。ただ、そのほかの配置改善等もございますので、そういう点を勘案して、全体としては六年計画で実施をしていきたい、このように考えております。
  129. 中西績介

    中西(績)委員 じゃ、自治省との関係については、これからずっと継続して折衝を続けていくと思いますので省きますが、私立高等学校学級編制の標準等は同様に処置をするのですか。
  130. 中林勝男

    ○中林政府委員 私立高等学校におきます一学級当たりの生徒数のあり方でございますけれども、基本的には公立高校と変わらないところであると考えております。実態的にも、平成三年度の私立中学高等学校連合会の調査がございまして、それによりますと、一学級当たりの生徒数が全国平均で四十三・五人ということになって、改善を見ておるところでございます。公立高校の学級編制の標準が改善されますれば、私立高校においても学級編制を改善する方向での努力が求められていくというふうに考えております。  私どもとしましては、私学振興助成法の趣旨に、教育条件維持向上というのが一本入ってございますので、この法の趣旨に照らしまして、高校の経常費助成充実につきまして努力をいたしたいと思っているところでございます。
  131. 中西績介

    中西(績)委員 この点はやはり経営的な問題等もあると思いますけれども、ぜひ指導していただくようお願いをしておきたいと思います。  次が私学の予算でありますけれども、経常経費に国の補助金の占める割合というのは減少の傾向をずっとたどっておるわけであります。そこで、経済企画庁国民生活白書を見ますと、私立の場合、下宿で大学卒まで千五百十二万五千円ということになっています。この額はますます、今のような傾向であると、たとえ九十一億程度引き上げたといたしましても、率は下がりっ放しでありますから、負担しなくてはならない金額というのは押し上げることになっていくわけであります。これが上がると、今度は国公立もまた引き上げるというイタチごっこみたいな格好で今引き上げておるわけでありますから、もう限界に達しておりますけれども、この点について、本当にこれらの問題についてもう少し手を入れる必要があると思うのですが、この点どうお考えですか。
  132. 中林勝男

    ○中林政府委員 保護者の学費負担の増加の問題でございますけれども、まずその就学上の経済的負担をできるだけ軽減するという趣旨からも私学助成を進めてきておりますことは御案内のとおりでございます。私学側に対しましては、学生納付金を、これはいろいろ私学の経営の実情はございますけれども、できるだけ抑制をお願いいたしてきておるところでございます。  私学の自助努力もございまして、ここ近年消費者物価が三%以上の上昇ということで推移しておりますけれども、大学等の学生納付金の上昇率はここ三年一%から二%台で推移をいたしておるわけであります。必ずしも十分ではございませんけれども、この就学上の経済的負担軽減ということを図るためにも、私学の助成の推進に精いっぱい、厳しい財政環境ではございますけれども、努力しなければならないと思っているわけでございます。
  133. 中西績介

    中西(績)委員 そこで、過去最高の助成額というのが八〇年に二九・五%まで達したことがあります。したがって、少なくとも五〇%を目標にして出発をしたわけでありますから、三〇%程度にまで何とかその率を復活させていくということが計画化されないと、もう到底これらの問題については、むしろ文部省が手をつけることはできなくなってしまうのじゃないかというような気がしてなりません。したがって、五年間で三〇%台に回復するということになると、このままいきますと一二%台になるわけでありますから、これを九三年度は一六・六%台ぐらいに引き上げていく必要があったのではないか。そして将来に向けてこれだけのものが必要だということをやはり強く主張していくことが、これから後の財政問題を論議する際にも極めて重要ではないか。先ほど私が指摘をしましたように、もう限界に達しておるという状況であるわけでありますから、この点をぜひお考えいただきたいということ。  それと同時に、今度は私立高等学校の場合になりますと、これはもうその開きがますます、先ほどの答弁の中でございましたけれども、大学の国公私立間の格差というのは五年前が最高二・二倍であったものが一・八倍までに縮小されてきておるのですけれども、高校の場合は、むしろ昨年などは五・九倍、そして本年度は五・七倍という大変な倍率で開いてきています。全く縮まっておらないわけであります。特に生徒はこれから減少して四十人学級実施になったり、あるいは大変な生活状況からいたしましても、納付金はさらに増額必至であろうと私は考えるわけであります。特に東京などでは三分の一、地方におきましては財政負担に耐えられるごく限られた人のみが私立高校進学希望者になっておるわけでありまして、あと大部分の人たちというのは、むしろ保護者収入というのが低い階層が私学の高等学校の場合には多いと言われております。こうした構造というものを何とか変えるためには、教育の機会均等の大原則をどう守り抜いていくかということからいたしましても、この五・九倍、五・七倍という格差、この点をどう圧縮をしていくかという観点からいたしますと、今交付税それから国の補助金合わせて三〇%ちょっと切れていますけれども、これをさらに五〇%程度に引き上げていくという考え方がないと、これはもうまさに限界に来ておるという言い方しかないのではないか、こう考えるわけであります。ぜひこの点を追求していただきたいと思いますが、簡単に答えてください。
  134. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 これはいつも申し上げておりますように、人づくりなくして国づくりなしで、人づくりという教育の予算を国民全体が、あるいは国会全体がどういうふうにとらえていくのかという問題でございまして、先生おっしゃるとおりでございまして、今のようなこういう格差を残し続けていくということは教育の機会均等に反することと思っております。  それから前段の部分、私学助成、大学分でございますが、例えば私の今持っている資料では、経常経費に対する助成割合が平成三年が一三・三%で本年が一二・七%見当だろう。これは分母分子で、分母は推定していく以外にないわけですが、この平成五年度においてもし一二・七%のままでいこうとするならば、百九十五億円ふえなければいけない。例えば一五%台に、ちょうど平成元年は一五%でしたが、平成元年の数字に戻そうとしますと七百二十四億円も上積みしなければならないということで、これは今までのような予算のやり方ですと、私こう言われましたよ、鳩山君、私学助成よく頑張ったね、前の大臣のときよりあなたが大臣の方がふえた金額は多いんだよ、と言うけれども、ふえた金額が多くても、助成率はずつと下がり続けてきてしまっていますから、相当計画的に考えませんと、私学に野たれ死にせよというような結果になると思いますので、これはそれこそ計画的な考え方が必要になってまいったと思います。     〔中山(成)委員長代理退席、委員長着席〕
  135. 中西績介

    中西(績)委員 ぜひそうした計画をやはり十年先なりを考えて立てていただいて、それに近づける努力は、財源をどう求めていくかということとあわせてやらなければならぬと思いますね。  いよいよ時間が迫ってきたわけでありますけれども、この点だけお聞きしておきたいと思います。特別補助、これから増額する分については全部ここにぶち込むということになっておるようでありますけれども、私は、大規模大学だとか資金力の強い大学に、やはりどうしても八項目の、特に七項目までのあれを見ていきますと集中する傾向がありはしないか、こう考えます。したがって、地方の小規模校などにおける教育機関整備、こうした点で、地方活性化推進特別経費というこの項目をもう少し重視していく必要があるだろうと思います。この点についての回答と、もう一つは、私立大学の大学院教育研究装置の充実研究設備等の充実、それからこれらについて二分の一から三分の二補助をするということになっておりますけれども、この選定の方法はどういう方法になっておるのか。  それから、私立高校の情報教育施設の整備でありますけれども、来年度予定は何校に、そして一校当たり幾らになっておるのか、この点についてお答えください。
  136. 中林勝男

    ○中林政府委員 特別補助の考え方につきましては、先生の御指摘のとおり全く同感でございまして、短大や小規模校の大学においてもできるだけ特色ある教育研究が行われるようにということで充実を図ってまいりたいと思っております。なお、小規模校であるからといって差をつけていないということは御理解をいただきたいと思います。今後ともこれはそのような考え方で充実をさせていただきたいと思っております。  次に、大学院等の教育研究装置補助でございますが、一個または一組の価額が、大学にあっては四千万以上、短大、高専にあっては三千万以上、私立大学研究設備等補助は、一個または一組の価額が五百万以上四千万未満の研究設備等の整備に要する経費に対して補助を行うものでございます。補助希望のある学校法人から申請を受け付けまして、選定委員会等において公平な審査を行って交付決定をいたしているというものでございます。  それから最後に、高等学校等の情報教育施設の整備でありますが、これは高校普通科、中学、小学校の普通教室等をコンピューター教室へ改造する工事を行った上でコンピューターを購入する事業に対して補助を行うというものでございまして、平成四年度においては四十校、一校当たりの補助金額はおおよそ一千百万円でございます。  以上でございます。
  137. 中西績介

    中西(績)委員 最後になりますけれども、国立学校特別会計についてお聞きしたいと思います。  私は何年も前から特別会計については破産状況にあるということを指摘してまいりました。二兆三千四百三十二億五千三百万、前年比千二百五十九億増となっておりますけれども、これの来年度の特徴は何かということをお答えいただきたいと存じます。  ただ、私は、この際、「我が国の文教施策」平成四年度分として出されておる中に、二百九十四ページに「世界的水準の教育研究の推進」とあるけれども、あそこに書かれておる中身は随分落ち込んでおると思うのです。これらについての拡充策についてはどうお考えか。この二つ。
  138. 遠山敦子

    ○遠山(敦)政府委員 国立大学の現在の教育研究条件が緊急な手当てを要する状況につきましては、先生の御指摘のとおりでございます。御存じのように、厳しい財政状況下でございますけれども、文部省といたしましては、さまざまな工夫を行いまして、平成五年度の国立学校特別会計概算要求につきましても、次のような特徴を持って要求をいたしております。  一つは、教育研究経費にかかわるものでございますけれども、基幹的な教育研究経費として、学生当たり、教官当たり積算校費がございますが、これについての単価アップ、それから高度化推進特別経費と称しますが、これはすぐれた教育研究実績を上げている大学院を中心とする研究条件の整備、あるいはティーチングアシスタントについての整備でございますけれども、これも十三億円余増の五十三億七千万円でお願いをしております。  また、設備費につきましても、大変老朽化、陳腐化が進んでおります。そのことから、新規に教育設備特別整備費といたしまして、これはカリキュラムの再編、あるいは教育改革の推進に伴う設備の整備を新たに措置しようとするものでございまして、二十二億円の増を要求いたしております。  さらには、大学院最先端設備あるいはその他の研究設備、例えば研究分野別の重点整備ということで四十億円の新規増等を含めまして、設備についてもかなりの努力をして要求しているわけでございます。  また、施設も老朽化を見ておりますので、特別施設整備事業を来年度も継続するとともに、四億円の増を図るということで、二百四億円の増をお願いしているところでございます。  これらのことをすべて達成いたしましても、先生おっしゃいますように、世界の教育水準のトップを行くというようなことをバックアップするのに十分かとなりますと、必ずしもまだそうではないと思われます。しかしながら、全体の財政状況の中で最善を尽くして少しずつながら研究条件の整備改善充実に努めたいと考えております。
  139. 中西績介

    中西(績)委員 時間が参りましたので終わりますが、何としても、この国立学校特別会計等につきましても相当厳しいと思いますので、ぜひ拡大策を昨年より以上に頑張っていただきたいと思います。  大臣は就任以来四百日ということを聞きましたけれども、特に文部省という行政組織に入られたその感想ですね、この点についてお聞かせいただきたい。そして、来年に向けての継承すべき重点施策についても、これはぜひ次期大臣に申し継ぎを強くしていただくようお願いを申し上げたいと思います。  以上です。
  140. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 文部省にちょうど四百日おりまして、皆さん一生懸命人づくりの仕事に打ち込んでおられますし、教育だけでなくて、学術、文化、スポーツ等、範囲が広うございますので、それぞれ力を尽くして努力をしている姿に私も感銘を覚えましたし、また助けてもらったことも毎日のようであったわけであります。  ただ、私が申し上げたいことは、新しい時代に向かってみんなで教育改革をやろうということで、これは野党の先生方にも御理解をいただいて教育改革の道を歩んでいかなければならない。そこにはいろいろな批判も生ずると思うし、産みの苦しみということで摩擦が生じることもあるだろうと思いますし、文部省という役所は、立場上というのか仕事の内容上、余り突っ走るよりもがっちり守っていかないと、日本のとりわけ義務教育等は全体のバランスが崩れる。そういう観点で、守りの立場をとるということも文部省にとっては必要なことが多くあるわけでございます。  しかし、これからは文部省も、教育改革という意味では、攻めの姿勢を持って、勇気を持って、新しいことをどんどんやってもらいたいなというふうにつくづく思います。とりわけ業者テスト等の問題については、これは相当な前向きの姿勢を持ちませんと成就しないことと思っておりますので、そんなふうに文部官僚の皆さんに対しては感想を持ちます。
  141. 中西績介

    中西(績)委員 ありがとうございました。
  142. 伊藤公介

    伊藤委員長 次に、平田米男君。
  143. 平田米男

    平田(米)委員 私はきょうは高校の福祉科及び介護福祉士に関して質問をさせていただきたいと思います。  御承知のように、介護福祉士になるコースというのは幾つかあるわけでございますが、一つは、養成施設を出ますと、そのまま資格をもら、えます。もう一つは、実務を経験した人、もしくは高校の福祉科を卒業して、介護福祉士の試験に合格をして介護福祉士になる。大まかにこういう流れになっておるわけでございます。  高齢化社会が目の前に来ておるわけでございまして、それに対してきちっとしたマンパワーを養成しよう、そういうことで介護福祉士の制度ができまして約四年でございますが、果たして介護福祉士をどれだけ養成をする必要があるのか。平成三年三月十八日に出されました保健医療・福祉マンパワー対策本部中間報告、これを拝見いたしますと、今後は毎年一万人ぐらいは介護福祉士を養成したいという話になっておるわけでありますが、そもそもなぜ一万人なのかということになるのではないかと思うわけでございます。  まずこの辺、厚生省の方から、介護福祉士の養成目標とその根拠について御説明をいただきたいと思います。
  144. 大田晋

    ○大田説明員 ただいまの先生の御質問、私どもが去る平成三年にまとめましたマンパワー養成計画あるいは中間報告と俗に呼ばれておりますが、この中身で、御承知のとおり、福祉という広い分野にかかわるマンパワー、人材の総数につきまして、二〇〇〇年、つまり今世紀いっぱいで百十万人という大まかな数字を掲げております。実は、この細かい内訳は私ども持っておりませんで、御承知のとおり、ゴールドプランというふうなものを中心にいたしまして、現在の数、例えばホームヘルパーさんでございますと三万人から十万人に伸ばす、こういった現時点からこの二〇〇〇年時点におきます高齢者率、そういったものを見通しまして掲げた目標でございまして、残念ながらなぜ一万人なのかということは、この場で詳細なる積算根拠をお示しすることができません。御了承いただければありがたいと思います。
  145. 平田米男

    平田(米)委員 ないというふうにはっきり言われるとこちらは困ってしまうのですが、私は本来きちっと予測をして科学的に根拠を示さないとならないと思うのですね。これから労働力人口も減っていく、高齢者あるいは女性ももっと活用してという話をしておるわけでございますが、その中でいかに人材を配分するかということは極めて重要な政策課題になっているのではないかというふうに思うのです。  これは何も厚生省だけの問題ではなくて、マンパワーを一番養成しなければならないのはまさに文部省なわけでございまして、これは厚生省ひとりがやることではなくて、文部省も力を合わせて、労働省も当然入ってくるのかもしれませんが、もう少しシミュレーション等をきちっとやった上での計画というのを立てなければならないと思うのですが、その辺大臣いかがお考えでございますか。
  146. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 私が勉強している範囲では、今の平田先生の御質問に対してきちっとお答えできる材料が実はないので、政府委員の方からはお答えできるのかと思いますが、介護福祉士等を中心とするそういうマンパワーをこれからも養成するために福祉科を高等学校に設置することに大いなる意義を認めておりますので、これを推進させていただきたい。これからの人口の高齢化、そして福祉サービスに対する需要、とりわけマンパワーという形であらわれてくると思いますので、看護婦さんのこともいつも問題になりますが、それを育てる文部省として全力を挙げていきたいというふうに考えております。ただ、私のところにはまだ具体的な計画上の数値のようなものは届いていないことは率直に認めます。
  147. 平田米男

    平田(米)委員 やはり将来の必要予測、それに対する養成計画というものをきちっとお立てになる必要があるのではないかというふうに私は思うのですが、どなたでも結構ですが、厚生省、文部省、大臣ばかり攻めてもあれでございますから、まずそういう計画を立てる必要性をお感じになるのかどうか。また、お感じになるならば、前向きに進められるのかどうか、答弁いただければと思います。
  148. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 介護福祉士さんの場合はちょっとわかりませんが、この間法律までつくって看護婦不足に対応するという大課題がございますが、たしか参議院の本会議で答弁をいたしたことがあったような気がいたします。ただ、その看護婦を養成するために、あるいはその看護婦さんをつくる先生をまた養成するために、そのまた先生を教えるような高度な知識を持った大先生をつくるというようなことが課題になっていることはよくわかって、これは国立大学だけでなくて私学でも急減に入っていきますけれども、これは増設をどんどん認めていこうというふうにやっているのですが、それぞれ各地域の事情、この大学にこういうものがいつできるか、看護学校ができるかというのはなかなかとらえにくいところがあって、とにかく全力でとか一生懸命という形でやってきましたが、今の先生のお話を体して、できるだけ計画的な数字を文部省でもはじき出せるような努力をしなければいけないなと今お話を承って痛感しました。
  149. 大田晋

    ○大田説明員 先生の御質問に対しまして、先ほどの質問に対して少し補足をさせていただきたいと思います。  一万人の内訳というものは、残念ながら現在積算ということを示すまでに精度は高まっておらないということでございますが、全体の平成十二年、すなわち二〇〇〇年におきます百十一万人は、私どもの積算、考え方でいきますと、昭和六十三年、すなわちゴールドプランをつくりましたころですが、約七十万人社会福祉関係者がおられます。この社会福祉関係者の数が平成十二年には高齢化の伸びに沿ってどこまで伸びるべきであろうか、こういうふうな単純と言われれば単純でございますが、トレンド、すなわちこれからのマンパワーのニーズの主な要素といたしましては、人口の高齢化がある、この高齢化の伸びにいわば比例をするという仮定を置きまして、昭和六十三年に七十万人おられます社会福祉関係者を百十万人に二〇〇〇年に持ち込む必要がある、こういうことでございます。  それから、後半の質問でございますが、実は、御承知のとおり平成三年の福祉マンパワーの中間報告におきましても、私どもも介護福祉士の年間一万人以上の養成を目指すこととして「高齢者保健福祉推進十か年戦略」、すなわちゴールドプランに見合った養成計画を策定するというふうに対外的には述べております。これに沿いまして、現在私ども、まだ厚生省の内部でございますが、そういった計画づくりのいわば基礎的な作業に取りかかっているところでございます。
  150. 平田米男

    平田(米)委員 いつごろできるのか、明らかにできれば明らかにしていただけますか。
  151. 大田晋

    ○大田説明員 現在、関係局、私ども社会局あるいはさらに老人保健福祉局、そういった関係局との事務的な作業に入っておりますが、できるだけ早くという気持ちは持っておりますが、いついつまでにという終着点を御明示できないことをお許しいただきたいと思います。
  152. 平田米男

    平田(米)委員 そういう計画がはっきりしない中で、今介護福祉士の養成が行われているわけでございますが、冒頭で申し上げたように、高校の福祉科というのも介護福祉士になる一つの重要な道になっておるわけでございますが、この福祉科の設置の目的というのは、介護福祉士の資格取得を目指して福祉関係業務に携わる人材を養成する、これが主たる目的であるというふうに伺ってよろしいかどうか、文部省にお伺いいたします。
  153. 野崎弘

    ○野崎政府委員 福祉科を設置する意義といたしましては、一つは、福祉業務従事者として必要な専門的な知識と技術を習得させて、介護福祉士等の福祉業務に従事できる人材を養成するということが一つと、それからもう一つ、卒業後社会福祉関係の大学等に進学しまして、将来福祉に関する指導的、専門的業務に従事しようとする生徒に対しまして基礎的な社会福祉教育を行い、あるいは生徒の社会福祉への関、心と理解を深めさせる、こういう二点があろうかと思っております。
  154. 平田米男

    平田(米)委員 今おっしゃったようなことは、昭和六十二年六月十五日に出されました「産業教育改善に関する調査研究福祉科について」という初等中等局から出された文書にもなっておるわけでございます。  ところで、実際福祉科を介護福祉士養成の中でどう位置づけるかということが私は重要じゃないかと思うのです。今御承知のように、福祉科を持った高校は全国で二十校あるわけでございまして、定員が約二千六百名、一学年にいたしますと、八百数十名ということになりまして、実数は一学年一千人くらいおいでになるようでございますが、しかし、どうも介護福祉士の試験の合格率は非常に低くて、三百人にいっていないのではないか。どうも実数は文部省もつかんでおいでにならないようでございますが、ただ、平成四年に行われました介護福祉士の国家試験の合格者は五千三百七十九名だそうでございまして、三百人にもいっていないということは一割にもいっていない。すると、高校の福祉科というのは介護福祉士の養成のためには一体どういう位置づけになっているのか、こういうことになってくるわけでございまして、厚生省は今後一万人を養成をしたいということを漠然とおっしゃっておるわけでございますが、この一万人養成の中でこの高校の福祉科というのをいかに位置づけるかということを私は考えなければいけないのじゃないかというふうに思うのですが、これはきちっと位置づけていきたいというお考えなのかどうか。これは文部省、お答えいただけますでしょうか。
  155. 野崎弘

    ○野崎政府委員 今先生御指摘ございましたように、介護福祉士の国家試験があるものでございますから、確かに卒業をしてすぐ介護福祉士というわけにはいきません。国家試験の内容の問題あるいは実務経験等いろいろやはりあるわけでございますので、私どもとして厚生省と連絡をとりながら適切な対応をしてまいりたいと思っております。
  156. 平田米男

    平田(米)委員 私の質問のお答えではないような気がするのですが、要するに介護福祉士の養成の中で福祉科というのをきちっと位置づけていくお考えかどうかというふうに伺っておるわけで、これの文部省の考え方でございます。  要するに、高校を出てから入る養成施設というのがあるわけでございますが、これも文部省と厚生省の所管になっておるわけで、両方あるわけでございます。両方とも文部省の所管になるわけでございます、言うなれば。そこの中で高校の福祉科というのは、今数からいったらほんのわずかな、毎年三百人にもならないかどうかというこういう状況になっておるわけでございますので、一体この現状に対しての認識、すなわちもっとこれをきちっと充実させるつもりなのかどうかということをお伺いをしたい、こういうことでございます。
  157. 野崎弘

    ○野崎政府委員 介護福祉士を養成する場所としては私どもは大変重要な意義を持っていると思っておるわけでございます。ただ、御存じのように、今国家試験が確かにあるわけでございますから、自動的にというわけにはまいりませんけれども、その位置づけにつきましては、私どもは重要なものだと思っております。  それから、数につきましても、今先生平成三年度の数字を言われたと思いますが、平成四年度では福祉科を置く学校数が二十三校になっておるわけでございまして、年々この数もふえてきております。  私どもとしては、こういう特色ある学科というものをこれからも十分推進をしてまいりたい、このように思っております。
  158. 平田米男

    平田(米)委員 先ほどの質問の中で、大臣は高等学校教育個性化、多様化ということをおっしゃいました。まさにそのとおりでございまして、福祉科というのは、そういう意味で今後一つの大きな柱になっていくものだろうと思いますので、ぜひこれに対して温かい目を、大きな目を持っていただきたいと思うのです。  そこの中で幾つか問題点が今あるわけでございますが、まず教科書がないという話があるわけですね。御承知のように、これは学習指導要領がございません。したがって検定教科書がない。学生の数も少ないので、一冊二千円ぐらいする、大変高額である、こういう現状があるわけでございまして、副読本等も出ておるわけでございますが、非常に内容も難しい。こういうことで、適正な教科書がないということで現場の教師の方々は非常に悩んでいる、苦労しておるという現実がございます。こういう現実について認識をしておいでになるのかどうか。その上でどのような方策をおとりになるお考えなのか。御答弁お願いいたします。
  159. 野崎弘

    ○野崎政府委員 これは先生御指摘ございましたように、福祉科が、大変現在の学習指導要領と申しますか、平成六年度から実施になります高等学校学習指導要領、これが昭和六十年の当初に改定の審議がされておったわけでございますけれども、そのときには、この福祉科の設置数が少なかったというようなこともございまして、新しい学習指導要領には、それが例えば福祉科というような形でこれが書かれておるというようなことであるわけでございます。それで、検定教科書というのは学習指導要領に示された標準的な科目について発行する、こういう考え方でずっと来ているわけでございますので、学習指導要領でいいますと、「例えば」というような形では例示されていますけれども、いわゆる「その他の科目」というようなことになるものでございますから、各学校が創意工夫によって弾力的に行っていただきたい、こういう考え方で今進めておるわけでございます。したがって、この福祉関係の科目につきましても、各学校におきまして必要に応じまして副読本等で対応しているところなわけでございます。  この副読本の充実につきましては、福祉科の整備状況等を考えながら、その内容充実等について努力をする必要があると私ども考えておるわけでございます。具体的には、いい副読本がございましたら、そういうものを紹介をしていくとか、あるいはそういう副読本の研究へいろいろな形で助言をしていくとか、そういうような形で対応していきたい、このように思っております。
  160. 平田米男

    平田(米)委員 大臣、今おっしゃったように、学習指導要領がないものですから教科書がないわけですね。今回の学習指導要領作成に間に合わなくて、学習指導要領の改正というのは十年置きぐらいに行われるわけでございまして、今度行われるのは十二年ぐらい先の話になる、こういう状況になっておるわけでございます、実際実施されるのは。こんなことをやっておりますと、福祉科というのは一体何なんだということになります。  確かに、六十二年に調査研究というのが行われて、ある程度学習指導要領にかわるものとしてのガイドラインは出されておいでになるわけでございますけれども、どうも時代のテンポに合わない状況になっているのではないか。これはやはり今までのやり方ではなくて少し考え直していただかないと、それは毎年高校ができているにしても、もっと文部省が、福祉科というのをきちっと位置づけるという先ほどの御答弁のとおりだとするならば、考えていただかなければいけないんではないかと思いますが、どうでしょうか。
  161. 野崎弘

    ○野崎政府委員 経緯は、先ほど答弁したような経緯があるわけでございまして、新しい学習指導要領もこの平成六年から学年進行で動き出すというような状況でございます。さらに、その後の学習指導要領というのは、まだ現在の段階におきまして検討に入っていないわけでございますけれども、先生のお話はこれからのやはり課題という形で受けとめさせていただきたいと思います。
  162. 平田米男

    平田(米)委員 もう時間がありませんが、さらにもっと困っているのは、教科書がないだけではなくて、まず教員がいない。教員の資格としては社会科、看護科、家庭科だそうでございます。実際教えてほしいのは、看護の技術、介護の技術、これが一番重要なわけでございまして、実際上は長年看護婦さんをやってこられた方、こういう方々が実際に実習を教える教師としては一番能力のある人なわけでございますが、しかし、なかなかその教員免状を与えるということが現在の法律の中では難しい状況になっておるわけでございます。福祉科の教員資格というのはないわけでございまして、この辺もきちっと対応をしないと、福祉科というのを単に名前をつくっただけで、教科書もない、教員の養成の環境もない、こういう状況では福祉科の発展というのは私はないのではないか。高校ができたとしても現場の先生が非常に苦しむということになってしまう。ぜひともこの辺について改善をしていただきたい。これも簡単にお答えをしていただきたいと思います。
  163. 野崎弘

    ○野崎政府委員 現在、福祉に関する科目につきましては、看護、あるいは家庭、社会の免許状を所有する教員が担当しているわけでございますけれども、そういう者に対しましては、社会福祉に関する必要な研修を受けさせるというようなことも講じてございます。また、社会福祉の専門家等を非常勤講師として招いたり、そういう形で対応しているわけでございます。先生がおっしゃるとおり、教員の問題、大変私どもも重要だと思っておるわけでございまして、そういう研修制度の充実に努めるということと社会人を非常勤講師として活用する制度、これが既ににあるわけでございますので、それが活用されるよう引き続き指導の徹底を図ってまいりたいと思っております。
  164. 平田米男

    平田(米)委員 時間がありませんから突っ込みませんけれども、要するに、非常勤講師というのは一年で任期は終わりでございまして、非常に身分も不安定なわけでございます。やはり現実に対応した新しい制度を考えていくのが発展なわけで、進歩なわけでございまして、旧来の制度をそのまま使っていけばいいという発想に固執をしておったならば、それは先ほども文部省は若干保守的なところも必要かもしれませんが、同時に新しいものを取り入れていくという姿勢もぜひ持っていただきたいというふうに思います。  これをやっていますと時間がありませんので、厚生省の方に少し質問しますが、介護福祉士の国家試験、これについてはまず内容が難しい、非常に難し過ぎる、こういう意見があります。特に、実務を相当経験した人でないと解けない問題が多い。十四科目、百間で、長文の問題があって、マークシート方式で答えるそうでありますが、非常に難しいということが言われております。  それから、試験日でございますが、これが転々と変わっておりまして、平成元年には一月末、平成二年には十二月上旬、平成三年には二月中旬、平成四年は三月初旬、そして平成五年、来年は三月上旬を予定しておる、こういうことで、二次試験はその二、三カ月後に行われている、こういう状況にございます。  高校の福祉科の先生方のお話を伺いますと、三月の初めに子供たちは卒業してしまいます。三月上旬以降に一次試験あるいは二次試験があるということは、もう子供たち学校から離れてしまって、それから試験があるということで、いろいろな問題点があると言っております。まず一つは、きちっとした指導が、もう卒業してしまったのでできない。また、なかなか合格率が低いわけでありますが、落ちた子に対してやはりカウンセリングができない。それから進路の問題に大きくかかわってまいりまして、介護福祉士という資格を持って就職をするかしないかということが重要になるわけでございますが、しかし試験が三月、二次試験が五月というようなことになってしまったならば、資格のないまま就職せざるを得ない、こういう問題がございまして、一次試験、二次試験とも二月までにやっていただきたい、卒業までにやっていただきたい、こういうふうにおっしゃっておいでになります。この点について、今のやり方、いろいろ年次によって変わっておりますが、もとに戻してもっと早くやるというようなことが考えられないのかどうか。いかがですか。
  165. 大田晋

    ○大田説明員 一点目の試験の中身、とりわけ実務試験が非常に難しいのではないかという御指摘があったと思います。そのような声、私どもにも全く届かないわけじゃございませんけれども、ぜひ御理解いただきたいのは、この介護福祉士の非常な特徴は、あくまでも実戦的な知識と技術というものがいわば生命線になっておる。他方、御承知のように、社会福祉士というのは理論と指導ということが生命線になっておる。この両輪相まった制度の中での試験につきましては、その介護福祉士にぜひとも実務経験のレベルの高いものをお願い、要求いたしたい、こういう気持ちがございまして、現在のところ、先生のそういったお考え、私どもも耳にしないわけではございませんけれども、一応レベルといたしましては、高卒後二年の養成施設で実務を四百五十時間あたりもやっていただく、そこから出る非常にレベルの高い実務についての知識、経験を要求、お願いいたしたいということでございまして、今のところぜひ御理解をいただきたいと思っております。  二問目の、試験日の、あるいは合格発表の日にちでございます。御指摘のように、非常に現実的な大きな問題があろうと私どもまず認識しております。  ただ、説明をさせていただきますならば、現在の日程が御指摘のように動いてきております。この動いてきております中身は、一つは試験組の多くの方の属しておられます、施設におられまして三年以上の実務を経て、それから試験を受けるという方が多くの受験者の数でございます。この方々の勤務実態、正月から含めまして、そういった方々の現実の勤務状況から見ますと、単に高校の生徒さんに合わせることがなかなか難しいなという面が一つございます。  それからもう一つは、今度は高校の生徒さんの方を見ましたときに、私どもがお聞きしております話、やはり卒業というところまで授業を一応終えて、それの成果として受験をするというのが正しいのではないかという意見もいただいております。  他方、現実的な問題といたしましては、会場の問題がございます。おかげさまで現在一万人ぐらいが受験総数になっておりますけれども、この一万人に上ります受験者を一堂といいますか、会場はそれぞればらけますけれども、この会場探しがちょうど受験期とぶつかりまして非常に難しいという現実もございます。このようなさまざまな現実的あるいは理論的なことから現在のような状況になってきておりますけれども、いずれにしましても、私ども、まさに先生の御指摘のとおりだと思いますが、優秀な人材をいただきたいということが最終目的でございますので、この試験の日程あるいは合格発表、こういったものについてはぜひもう一度検討してみたい。現実の問題、いろいろありますので、うまくいくかどうかということよりも、もう少しもとに近い姿になれないかどうかということをぜひ考えていきたいと思います。  なお、参考でございますが、他の国家試験の典型でございます医療関係者の試験の日程が大体三月の下旬、そして合格発表が月を越しまして四月の下旬という、一つのまた近い世界がございますことをつけ加えておきます。
  166. 平田米男

    平田(米)委員 ぜひ再検討していただきたいと思います。  もう時間が来ましたので、一言言っておきますが、高校の福祉科でも大体四百五十時間ぐらいの実務実習そして演習をやっております。ですから、今おっしゃったような資格は、経験というものはそれなりに積んでおるわけでございまして、この子たちが三割以下の合格しかできないというのでは、これは僕は問題ではないかというふうに思います。文部省も福祉科はきちっと介護福祉士の養成の中で位置づけをしていきたいというふうにお考えになっておるそうでございますので、文部省の方ももう少し厚生省の方へ行っていただいて、この辺の合格しやすいような流れというものを文部省、厚生省の話し合いの中でつくっていただきたい、こんなふうに申し上げまして、質問を終わります。
  167. 伊藤公介

  168. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 与えられた時間が大変短うございますので、絞って御質問申し上げます。御答弁の方も言語明瞭、意味明瞭ということでよろしくお願いいたしたいと思います。  三つありますが、一つは先ほど中西委員の方から御質問ありました第六次公立義務教育学校教職員配置改善計画について、その中の、特に日の当たらないと言われております複式学級あるいは障害児学校の部分について御質問申し上げたいと思います。  昨年の九月二十五日の文教委員会でこの問題、特に複式学級の問題を取り上げまして、当時の井上大臣から御答弁をいただいております。過疎過密の進行によって過疎地帯の小規模校に複式学級がたくさん存在している、これは教育的にも非常に困難性を与えていることであるから速やかに解消してほしいということに対して、当時の答弁は「複式学級の扱いについては、今後における教職員定数のあり方を検討する中で十分念頭に置いて検討してまいりたい、」という御答弁がありました。  さて、今度の改善計画でどのようにそれが配慮されているか、それをまずお聞きします。
  169. 井上孝美

    井上(孝)政府委員 お答え申し上げます。  学校教育充実を図るために教育条件の整備を図ることは極めて重要でございます。文部省としても、厳しい財政状況のもと、その充実にできる限り努めてきたところでございますが、公立小学校及び中学校複式学級につきましては、昭和三十三年の公立義務教育学校学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の制定以来、改善を図ってきたところでございます。平成三年度に完成した第五次学級編制及び教職員定数改善計画におきましても、学級編制の標準を、小学校の第一学年を含む複式学級については十二人から十人に、その他の複式学級につきましては二十人から十八人に、中学校につきましては十二人を十人に改善をいたしまして、これによって千三百七十八人の教員増を図ったところでございます。  今回策定をいたしました第六次教職員配置改善計画案におきましても、小学校は、第一学年を含むものにつきましては十人から八人に、その他につきましては十八人から十六人に、中学校につきましては十人から八人へと、おのおの二名の改善を図るとともに、いわゆる飛び複式学級につきましては、複式学級を構成するいずれか一方の学年が、小学校は、第一学年を含むものは四人以上、その他につきましては八人以上の場合、また中学校は八人以上の場合に飛び複式学級を解消することといたしておりまして、文部省といたしましては、先生の御指摘等もございまして、複式学級改善について十分意を用いているところでございます。
  170. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 この内容を現在の状況に当てはめて計算したとしますと、どの程度の複式学級の解消になると思われますか。概数で結構です。
  171. 井上孝美

    井上(孝)政府委員 ただいまの第六次の教職員配置改善計画におきましても、平成五年度から十年度までの六年計画で、先ほど申し上げましたような複式学級改善に係る定数につきまして千百七十一人を計上しているところでございます。その内容といたしましては、小学校の第一学年を含むものについては改善数が四百三十二人、その他の十八人から十六人に標準を変えるものについては五百六十六人、中学校の、十人から八人に標準を変えますが、これに要する改善数が百二十人、飛び複式学級の解消は五十三人、合計で千百七十一人というような改善数になります。
  172. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 数の上では二名の基準が縮まったということですが、これはやはり最前線の先生方からいいますと、これによって少しはよくなるという希望はあったようです。この前文教委員会で、佐渡、それからさらに小さい粟島というところへ行って小規模校を回ってきたのですが、あと二名基準が、十八名にならないと二つの学級に分かれられない、十八名までは一つ学級で複式だというこのボーダーラインが、すごく貴重なといいますか、大きくのしかかってくる。これが二人減ることによって、実は私たちの学校はもう一人学校先生がふえるのだがということで、これらの改善にはすごく大きな期待が寄せられているなという感じがしました。  さてそこで、六年計画ということになるわけですが、どうなんでしょう。私はチームティーチングもそれなりのお考えで打ち出されたと思いますが、この六年計画の優先されるべきものとしては複式学級の解消と障害児学級改善ではなかろうか、そう思いますが、どうでしょう。これはむしろ大臣からお聞きした方がいいのかな。とにかく一番困っているところですよ。チームティーチングというのは一つ学級に複数できめ細かくやろうということでしょう。ところが片っ方は二つの学級一つにしてやっているということですから、これはかなり内容が違う。したがって、六年計画の中で今触れた複式あるいは障害児改善の方が優先されるべきであると思いますが、大臣どうですか。
  173. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 事務当局と打ち合わせをいたしておるわけではありませんが、こうした事柄、六年計画全部が均等にすべて六で割ればいいというものではないだろう。したがって、改善像のあり方も、やはり一番気の毒と思われるところに優先的に年次の配分をするとしても、それは政治の理にかなったことになるであろうと私は思っております。
  174. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 その御答弁を聞いて安心をしました。  これは答弁は要りませんが、関係者の団体等から、例えば特殊教育の場合の教員配置改善計画平成五年度からの実施お願いしたいというのが強く出ているはずです。そういった、つまり非常に困難な状況で頑張っている複式の分野、それから障害児の分野、この点については今大臣御答弁いただいたとおりひとつ手厚く御配慮をお願いしたいと思います。  ちなみに、全体計画の三万五千二百九人の中の複式学級改善千百七十一名というのは全体の三・三%なんですよ。六分の一、六年間でやるというその一年間、六分の一はパーセントに直せば一七%でしょう。こういう実態。それから特殊教育学校学級編制の改善の八百九十一人という予定は、全体の改善計画の二%台なんですね。そういう実態からしてもぜひこれは手厚い御配慮をお願いしたいということで、次の問題に進ませていただきます。  次は、これはことしの四月二十二日に鳩山文部大臣とやりとりしたことに関係するのですが、特殊教育、特殊学校という、特殊という言葉を使った用語が、明治以来でしょうか、随分長く続いているわけです。このことについてどうなんでしょうかという問いかけをいたしました。そのときは「現代社会福祉事典」のノーマライゼーションという項目を取り上げまして、どのような児童、障害者であっても特別視しない、基本的に普通の人間として接する、つまり特殊なものとして見ないというのがノーマライゼーションだということを申し上げまして、このことに対して鳩山文部大臣は、私たちの言っている特殊というのは決して特殊な人間というふうな意味ではないけれども、やはりこの表現はみんながそのことを理解してくれているとは限らないわけだから、「したがって、私どもは特殊教育という用語には必ずしも固執するつもりはないわけでございまして、他に適当な言葉が、国民的な合意を得られるような適当な言葉があればというふうな気持ちを持っております。」という御答弁を願っております。  そこで、その後もし何か大臣考えられたことがございましたらということをお聞きしたいのですが、実はこの問題はかなり根が深うございまして、諸外国でもこの問題については随分長い模索、論議が続いてきたようであります。  きょうの質問に備えていろいろ調べさせていただいたのですが、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、それぞれの該当する言葉の訳語を拾ってみますと、特殊教育障害児教育という言葉が大体半々くらいになっているのかなという感じがします。ただ、そのほかにえんきょく語、つまりえんきょくに表現するという意味で、えんきょく語というところで探してみますと、学習障害、学習困難、ラーニング・ディスアビリティー、LDという言葉が使われておったり、先ごろ精神薄弱者と言われる方の通勤寮の落成式等がございまして行ったときに関係者から訴えられたのですが、精神薄弱という言葉も何とかしてくれないかと言われた。ではどういう言葉がありますかと聞いたら、いや、私たちは今さしあたって知的障害という言葉を使っているというふうなことで、どれがどうかという評価はなかなか難しいのですけれども、ただ、もう一つつけ加えていきたいのは、これは一九四六年ころから、メンタルハンディキャップ、精神的なハンディということで、メンタルのメンとハンディキャップのキャップを合わせまして、メンキャップという言葉がかなり使われてきたといういきさつもありますが、これもすとんとこないとみえてなかなか論議がおさまっていないのです。  そこで、きょうの御答弁としてお願いしたいのは、例えば障害という表現は一体どうなのか。障害という言葉自体がやはり問題あるんじゃないかという指摘もありますけれども、例えば障害児教育あるいは障害福祉教育、あるいは本当は——きこえの教室とかことばの教室というふうないい言葉を使っていますよね。ああいうのを考えた方がおられると思うのだけれども、そういうことを配慮していただきまして、今後に向けて御検討をぜひお願いしたいと思うのですが、大臣いかがでしょうか。
  175. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 六月三日、沢藤先生の御質問に対してお答えをいたしましたときにも、何かもっといい言葉が見つからないだろうかということ、しかも国民的に合意を得られるような言葉が得られたならばということを申しました。インテグレーションとかノーマライゼーションとか、いろいろないわゆる障害児教育のための幾つもの理念も英語でも語られているわけでございますし、先生が先ほどLD、ラーニング・ディスアビリティーズとおっしゃったのは、またちょっと違ったジャンルの方々を指すような研究になっているというふうにも聞いておりますが、そういう英語等に照らし合わせても、何かいい言葉がないだろうか、いろいろ私も頭をめぐらせておりますが、今のところまだ見つかっていないという段階にあります。確かに、特殊教育学校とかあるいは特殊学級とか特殊教育というような言葉が、何となくこれらの方々は特別、違うんだということを殊さら強調するような表現になっていることについては、私も先生と同じような感覚、感性を持っているものでございますので、これからも探し続けていきたいというふうに感じます。  例えば、障害者教育とか障害者学級というふうな言い方をした場合にどうなのかな、特殊よりもいいのかなというふうに思いますが、しかしまた、障害者の方々がそのことを、そういうふうに呼ばれることをどう思うかという彼らの感性の問題もありましょうし、しかしながら、結論から申し上げれば、いい言葉があれば特殊という言葉は全面変更したいものだと思っております。
  176. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 ある文書に、この問題は、つまり表現の問題ではあるけれども消極的イメージの問題でもある、したがって、呼び名を変えることによって一般の人々の考えなり態度を変えるという一歩にもなり得るんじゃないかという指摘もあるわけでございます。それからラベルは瓶に張るものであって人間につけるものではないというような言葉もあったのですが、ここはえんきょく語、つまりえんきょくという言葉を辞書で引いてみますと、物の言い方がやわらかである、角が立たないさま、露骨でなく云々というふうな、ここにはやはり思いやりみたいなものがあるわけですよ。したがって、日本だけじゃなくて、先ほどちょっと駆け足で御紹介した、外国でもこの表現についてはかなり長い間問題になって模索しているということもありますから、文部行政、ぜひこの辺で、新しい時代、そしてまたノーマライゼーションの時代にふさわしい呼称ということについて、組織的に、継続的に御検討をお願いしたいと思いますが、大臣どうでしょうか。
  177. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 私は先生と感覚を同じくしているものと思っております。先ほど申し忘れましたが、この特殊教育という物の言い方は、もちろん特殊な人たちという意味ではなくて、特殊な配慮を加えたあるいは特殊な愛情を持って教育をしなければいけないという意味で、普通よりも特殊な、特別な力を注いで教育をしようという意味で生まれている言葉だというふうに私は思ってはおるんですけれども、ただ、この間も御答弁申し上げましたように、熟語としてこれを受け取るときにはなかなかそういう裏の意味までは聞き取れないものですから、したがって、沢藤先生と同じように、他にいい言葉があればと私は思います。
  178. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 これでこの問題は終わりますが、確かに特殊という言葉の感じ方もいろいろあると思います。ただ、特殊ということに対する反対語は普遍ということになるんでしょうかね。障害という言葉も差別用語だからだめじゃないかという論もありますが、これは障害を持っている人も持っていない人も一つの社会として一緒に暮らすんだよというのがノーマライゼーションなわけですから、障害を持っているという指摘はノーマライゼーションという大きな枠の中ではすとんと位置づけられるわけです。それが特殊となると、我々の社会とは違う特殊なものだよというふうな感じで、これは大臣は御存じないかもしれませんが、特殊という言葉には余りイメージがよくないのもあるのですよ。特殊部隊とか特殊部落とか、大臣の御存じない特殊飲食店、特飲店というのもございました。そういったこともありますので、どうぞひとつ、くどいようですが、ノーマライゼーションということを念頭に置いて御検討をお願いしたい。  それで、学校教育法の第六章「特殊教育」、第七十一条を見ますと、「盲者、聾者」という言葉がありますね。めしいた方、盲の者、ジャと読めばモウジャです。シャと読めばモウシャです。聾者。これもかなり温かみのない、ストレートな表現だなという感じがします。そういったことも含めて、ひとつ今後御検討をお願いしたいということをお願いしておきたいと思います。  時間がもう十分ちょっとしかありませんので、最後、三つ目の問題に入りたいと思います。学校五日制の問題であります。  これは九月からスタートをし、試行している学校はその前から始まっているわけですが、月一回あるいは実験校では月二回ということでスタートをしました。いろいろな考え、問題があるだろうということで、私ども大臣にもこの前交渉に参ったときに申し上げたんですが、全国三カ所調査をしてまいりました。社会党シャドーとしての調査でありますが、農村地帯岩手の前沢町、そして中間都市といいますか、地方都市の石川の金沢市、それから大都市の大阪と、三カ所視察研究させていただきました。共通して言えることは、月一つまり月一回の五日制であれば現行の指導要領あるいは標準時間数というふうなものをある程度工夫しながらやれそうだが、月二となったら、これはもうアウトだ。これはもうすべての学校共通です。私ども小学校も中学校も高等学校も養護学校も十数校回ってきたんですけれども、やはり月二、しかも一年間通せば月二回掛ける十回くらいということになりますかね。そういう回数を、結局は他の曜日に持っていって上乗せをしてしまうということになる。そして、もう現に上乗せしているところもあるのですよ、土曜日の分を。そのときに、それじゃそうしない学校はどうなっているのかといいますと、土曜日に、さっきから話題になっております美術とか音楽とか体育あるいは学校行事、こういったものを結局は犠牲にしながら数字を合わせているという実態がありました。特にこれは年少の幼稚園よりも小学校、小学校よりも中学校、中学校よりも高校、高校の中でもさらに進学校と言われる普通高校というふうにその度合いは強まってきております。これは本来的な五日制の趣旨には合致しないと私は思うんで、原則は上積みなし、つまり他の曜日の上積みなし。もう上積みされたら七時間日集中力がなくなるということを高校生も言っていました。これはやはり無理があると思う。とすれば、問題提起をまたもとに戻しますが、いずれは完全実施あるいはその中間として月二回というステップも想定されますけれども、いずれにしても、一回、月一までが、現行の標準授業時間数、現行の学習指導要領、これの限度だ。したがって私は、学習指導要領というのは、今の進行中のものは、学校五日制を想定しないときにつくったものですから、これは当然手直しがあってしかるべきだろうと思うのですが、これはどうでしょうか。
  179. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 先生の視察の御報告は、これはこの間も承ったところで、大変興味深く聞かせていただきました。現在、六百四十二校の調査研究協力校で月二回の学校五日制を実験していただいておりますから、その結果報告を受けることが一番大事であって、学校五日制は、いつも申し上げておりますように、あくまでも毎週全部土曜日が休みになるという完全なる学校五日制を目指して、少なくともそれを近い将来の視野に入れて、月一回で九月十二日から開始をしたところでございます。  したがって、もちろん昨年いろいろ実験をしていただいた学校もあるわけですが、これは月一回から月二回にいくためにどういう工夫が必要であるかという、そこに出てくる問題点をクリアしながら次の段階に進んでいきたいと思っておりますが、私の率直な気持ちからいえば、善は急げということで、月一回の導入を来年を待たず、本年の二学期から取り入れたところでもありますので、できる限り早い時期に月二回へ移行をしたいものだ、そしていろいろなタイムスケジュール等を考えて、少なくとも十年以内には完全な週五日制にしたいというふうに考えております。これは、学習指導要領の周期とか、場合によっては教科書の検定周期とか、本当はそういうことまで視野に入れて計算をしなければいけないところだと思っておりますが、全体的なもくろみとしてはそんなふうに考えているわけであります。  ですから、この六百四十二校の調査研究協力校の結果待ちでございますが、何とか今の学習指導要領のままで月二回ができないだろうかというのが、正直言って、これは希望的観測をいたしているわけでございまして、その辺がどうなるか。学習指導要領、御承知のように、これはある程度の安定性が必要でございますから、大体十年に一回の改定ということになっておりまして、何しろ中学は来年、高校は再来年からということで、まだ新学習指導要領実施されているのは小学校だけでございますから、そういった意味では、まだ実施していないところもあるのに、さらに改定を考えるというのはいかがかなというふうにも思いながら、何とか今の学習指導要領で月二回クリアできないだろうか。ただ、沢藤先生御指摘のとおり、学校五日制は全く予定しないでつくった学習指導要領でございますから、その辺、工夫等で何とかいければというふうに考えております。  もしこれ以上必要であれば、詳しくは初中局長から御答弁を申し上げますが、例えば公立の中学校の場合、業者テストをやめますと、大分その辺は変わってくるのではないか。業者テストの問題点を考える場合に、年に五回も六回も、一番多い学校は八回、九回だとか十回だとか、それだけでほとんど丸一日つぶしているというのは大変なことでございますから、そういう絡みだって私は考えております。
  180. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 もうあと五分という連絡がありましたので、たくさん申し上げたいことがあるのですが。  人間大体八十年と言われていますよね、寿命が。その間、どういう生き方をするか、人間としてどう暮らすかということを我々は学校教育時代にある程度責任を持って準備してあげなきゃならないと思うのです。ところが、私も教師でありましたから、その反省を込めて申し上げるわけですけれども、どうしても教師の目あるいは父母の目は、受験に合格してほしい、受験科目を重視してほしいという方に走りがちなんです。ですから、犠牲にするときは美術、音楽その他だということになってしまう。だが、これは考えてみたら人間にとってすごく不幸だと思うのです。音楽、美術、美しいものを美しいと感ずる、その感性というものを抜きにして、受験競争に打ちかつテクニックあるいは記憶力、それでもって人生が決まっていくんだというふうな、人生観、価値観までそういうふうに走らせてしまうということはどうしても避けなければならないと思うのです。  そういう意味で、私は本当に、今で言えばいじめられつ子がおりまして、これは分校でしたけれども、この子供が、学校行事で文化祭をやった、いろいろな紙を集めてきて、それでステンドグラス風に、教会風のものをつくった。みんな感心しましたね、この子供にこういう能力が、力があったのかと。そういった意味では、人間というのは非常に幅広い存在ですから、音楽や美術やその他の、あるいは学校行事等を軽んずるという方向には走っていただきたくない。そうであれば、やはり全体の時間数、全体の学習内容というものをむしろ根本から検討し直す、そのくらいの腹を持ってほしい。私は、さっき中西委員がおっしゃったけれども、大臣は留任されることを期待していますし、確信していますから、引き続いて頑張っていただきたいと思うのですが、このことについて一言大臣の決意をお聞きしておきたいと思います。
  181. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 先生のただいまの非常に人生というか人の一生あるいは人の幸せというものについての哲学的なお話、よく今味わわせていただいて、これからもかみしめていきたいと思うわけでございます。  確かに、受験に目が行く、そしてそのことが、業者テストの問題のように、一つの物差しの上に何でも並べてしまおうという風潮を生む、そのことが、今先生ステンドグラスのお話をされましたが、結局は人間の伸びるべき個性を殺し、最終的には幸せな人生を思う存分楽しむことができないで一生を終わる、そういう結果になっていることが極めて多くのケースに上っているのではなかろうかと考えておりますので、この教育改革の本旨である個性を重視しようということは、まさに教育改革というよりも、人間の幸せの、個々の人生の幸せの増進のためにやらなければいけないことであり、一つの物差しでなくていろいろな物差しで人間を多面的に評価しようというのも、私は人の幸不幸に直結する問題だと思って認識をさせていただいているところでございます。  また、今の五日制関連で言えば、音楽とか芸術というような人間の感性に直接訴えるようなすばらしい科目が軽視されないように、これはよく見ていかなければいけないと思っております。
  182. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 要望を一つ申し上げて終わらせていただきます。  今お答えにあったとおりなんですけれども、やはり私、今度回ってみて、すばらしい芽も生えているなという感じはしたのです。それは、先ほど申し上げたように、数字合わせだけじゃなくて、一体学科とは何だ、学習内容はいかにあるべきか、教育とはどうかということの根本の問題が話し合われ始めてきているということですね。これは大事にしていかなければならない。養護学校の五日制を含めますと、地域としてのノーマライゼーションの体制が必要だということが地域にわかってきている、これもすばらしい芽だと思います。どうぞひとつ学校五日制というものをただ単なる数字合わせに終わらせないように、教育全体のこれからの方向性をみんな一緒になって考えるという方向に御指導をお願いしたいということを申し上げて、終わらせていただきます。
  183. 伊藤公介

    伊藤委員長 次に、山原健二郎君。
  184. 山原健二郎

    ○山原委員 久しぶりの一般質問ですから、私は、歴史教科書の動きの問題あるいは明治憲法の賛美の問題など、教科書検定の問題についてお尋ねしたいと思っておりましたけれども、二十分の時間でございますから、当面する二つの問題について、主として文部大臣に伺いたいと思います。  まず第一番に、業者テストの問題ですが、偏差値の弊害をなくするという意味でこの問題を提起され、また積極的な発言をされておることは極めて重要な問題だと考えております。文部省としては、私学に対してこれを利用しないようにという要請をしているわけですが、これは業者テストの利用を廃止するという方向のお考えであるかどうか、その点を最初に伺っておきたいのです。
  185. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 これは理想からいえば、業者テストのようなものが全く世の中で使われなくなる、そうしたものが存在しなくなることが理想だとは思っておりますけれども、要はこの業者テストの使い道の問題であって、それは腕試しというようなことで、一般に模擬試験というのは腕試しという意味があるわけでしょうから、そういうことで、そういう業者がつくった問題を子供たちがやるということがあってもそれは否定できない。しかし、それは授業時間中に授業をつぶしてやるようなことは決してやってほしくない、できればもうやめてもらうというような方針で臨んでいきたいと私は思っております。  利用方法というのは、何度も申し上げましたように、業者テストですからあくまでも腕試しであるか、あるいは業者テストの結果というのは、中学校側がその子供を多面的に判断する一助にすぎないものであるべきものが、まるで子供の背中に張りついた背番号のように、秋の九、十、十一月あたりの業者テストの結果が、偏差値幾つ、この子は幾つ、あの子は幾つといって、その偏差値によって私立の高校との間で振り分けが行われる。しかも、これは場合によっては本当に事前相談とか事実上の推薦入学とか、私よくわかりませんが、塾が介在するケースもあるというし、抱き合わせ合格などもあるというわけですから、もはやこれは一種の不正に近いことが相当蔓延していると思わなければならない。しかも、その根拠がすべて一本の物差しではかった偏差値だというのであれば、これはまことに困ったことで、教育界にはあってはならないことというふうに考えておる次第であります。
  186. 山原健二郎

    ○山原委員 偏差値の弊害是正というならば、やはり業者テストについては廃止するところまでいかないといかぬのではないかという気がするのですね。例えば、今度、埼玉の場合ですが、これは私立学校業者テストの結果を提出しないという方針を出しておられるわけですが、ここでは今塾が介在して業者テストの結果を私立に提供し、私立高校の合否判定の材料とされていることなどが報告をされております。学校にかわって塾が進路指導の主導権を握るということになりますと、これは全くゆゆしい話でございまして、ここに業者テストが存在すればそういうことになるのではないか、こういう点についても指導されるお考えがあるのかどうか、その点伺いたいのです。
  187. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 私が少なくとも全国に訴えたいこと、もちろん都道府県教育委員会を通じてということでありましょうが、これはまず第一に、公立の中学校で行われているとしたら、業者テストが行われているとしても、その結果を絶対に私立高等学校に渡すことがあってはならないということ、これはもう平成六年度からは必ず守ってもらいたいということであります。そして、その業者テストと言われるものは授業中に行うようなことはやってはもらいたくない。つまり、授業中に強制的、強制参加でやるようなことは当然やめてもらいたい。ということになりますと、例えばどういうことになるんでしょうか、夏休みなんでしょうか、あるいは日曜日なんでしょうか、そういうときに自由参加で、一応学校の教室を使うことぐらいは否定はできないのかなという程度に考えておるわけでございまして、白昼堂々と授業時間をつぶしてやるような業者テストはやめてもらいたいと思っております。
  188. 山原健二郎

    ○山原委員 もう一つ、一方、例えば業者テストにかわる全国統一テストあるいは県内の独自統一テストあるいはアチーブメントテスト、こういうものが現在浮上しつつあるわけですが、統一テストでは業者テストにかわる偏差値教育の継続になりかねません。いわゆる画一教育の押しつけになるものであって、事は序列化を一層厳しくするものである。そういうふうに考えますと、偏差値教育是正を掲げるのであるならば、全国統一テストあるいは県内統一テストも行わないということを打ち出すべきではないかと思いますが、文部省はどうお考えですか。
  189. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 けさ記者会見で私はセンター試験もさらなる見直しが必要ではないかということを実は申し上げたわけですが、大学入試センターを視察いたしますと、問題が絶対に漏れないようにするためにまことに厳重な問題作成の手続やその管理をやっておるわけですね。例えば先生が部屋に入って、問題作成を頼まれた方たちが部屋に入ったら、それこそ出るときには何も、手荷物検査をやるかどうかわかりませんけれども、少なくとも問題に関連のものを持って出てはならぬというぐらいのことまできちんとやって、多分、私正確に覚えておりませんが、もし何か間違いがあったときに予備の問題までつくってあってセンター試験というのは行われているわけですね。業者テストなんというものは、なんというものと言っていいと思うのですが、業者テストというのは本来模擬試験、腕試しのものであったわけですから、これは管理などというものはそれほど大した管理ができるわけがない。だから、試験日がばらばらだなんという、本当にばかばかしいというか、もう泣きたくなるほど悲しい、大阪弁で言えばあほな事態ということかもしれませんが、そういうようなことが平気で行われているわけですね。だから、それに比べれば、財団法人か、社団法人か、あるいは学校の集まりか、校長会かわかりませんが、そういう公的な団体が県内の統一テストをやるとか、一定の市町村の範囲内でやるということについては、業者テストでないというメリットはあるでしょうが、いずれにいたしましても、そういうものの成績順位とか偏差値が、あくまでもそれは模擬テストでなければいけないわけですから、腕試しのものでなければいけないわけですから、そうしたものが高校入試の合否判定に使われることがあってはならないと私は考えます。
  190. 山原健二郎

    ○山原委員 時間の関係で先へ進みますけれども、これまでの文部省のとってきた姿勢にも問題があるんですね。結果について大臣は厳しくおっしゃっておりますけれども、例えば業者テストに安易に依存することなくという通知を出してこられたわけですけれども、同時に学校間の格差を放置するとか、あるいは学校の学区制ですか、それを広げるとかいうような、実際には逆なことをやって、そしてそれがますますこういう偏差値教育へ追い込んでいく状態が出てきたんではないか。  ここへ持ってきておりますけれども、これは新教育研究協会の出した「私立高校偏差値段階別一覧表」というのですが、これまた物すごいもので、これは御承知のとおりでございますけれども、その中に、トップは筑波大学附属高校、それから筑波大学附属駒場、東京学芸大学附属、こういうふうに国立大学の附属が第一位にずらっと並んで、その下に公立高校あるいは私学がずっと序列がつけられているんですね。もともと附属高校というのはどういう性格のものを持っているか。これは国立学校設置法施行規則二十七条で、附属学校は学部の教育と保育に関する研究に協力する、こういうふうになっておるわけですね。だから、まさに頂点にこれが今出てきているということを考えますと、国立学校を所管する文部大臣としては、こういう附属学校を偏差値の頂点に上らすような状態ではなくて、やはり実験校的な性格に戻して、入試も抽せん制にするとか、偏差値体制を解く手段を講ずべきではないかと思いますが、これでよろしいとお考えでしょうか。
  191. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 私は今先生からお話があった筑波大学附属高校の出身でございまして、昔は、私のころは東京教育大学附属高校であったわけであります。それほどレベルが高い学校であったかどうか私にはよくわかりませんが、実は夏休みに宮澤総理の軽井沢の別荘を夜遅くお訪ねしたことがあります。宮澤総理と私の父は、いわゆる昔で言う高師附属、要するに今で言う筑波の附属小学校で、私の父の方が一年上であったのかと思います。そのときに、一組、二組、三組、四組と言わないで、あそこは一部、二部、三部、四部と言うんだ、君のお父さんは何部だった、私は何部だった、一部、二部、三部、四部すべて教育の実験の理念が違っておって、一部はこういう実験、二部はこういう実験、三部はこういう実験、四部はこういう実験と、まことに正確、明確な記憶をもとに総理から御説明を受けまして、ははあ、やはりと。まして教育大学ですから、その附属というものは、そういう実験校で昔はあったんだな、しかし、またあるべきだなとつくづく思ったのは事実でございまして、それが本来のあるべき姿だとは思っております。
  192. 山原健二郎

    ○山原委員 今度の場合は、総務庁の方から出てきた行政監察の問題に端を発した面もあると思いますけれども、とにかく業者テストの利用問題だけでなくて、やはり受験体制、偏差値を呼び起こしているこの基本に触れるかどうかということが、今この文教委員会で十分論議されなければならぬ問題だと私は思っています。  例えば、高等学校間の格差をなくするとか学区制の縮小とか、それから今九五%、九四%という進学率ですから、そうなりますと希望者の全員入学制度、これを打ち立てていく。実際に今十五歳年齢が急減期にありますから、この希望者全員入学制度というものを当然考えていいのではないか。これは本当に偏差値をなくするという意味ではそこまで文部省も踏み込んでいいのではないか。大胆に、文部大臣が今度の問題で提起されているわけですから、そこまでお考えならば、この根本に迫るという意味で、この希望者全員入学制度にまで思いを寄せていいのではないかと思いますが、これについての見解を伺っておきたいのです。
  193. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 確かに準義務化しているというぐらいに、九五%、六%という高校の進学率にはなっておりますけれども、他面、高校中退などというような悲しい現象も十万人以上の数字を示している。いろいろ総合的に考えますと、義務教育を小中の九年に決めているというのはなかなか正しい方法ではないだろうか。十五歳という、あるいは十六歳という年齢になりますと、いろいろ人生等も考えますし、能力、適性等も非常に多様化していく時期でございますので、高等学校、いろいろ多様な高等学校をつくって、見合った学校を選んで、そこに子供たちが入っていくというのが理想だろうというふうに考えるわけでございまして、私は、今の中学校みたいに、押しなべていわゆる普通科的なものを全部そろえて高等学校義務教育化するのは、まだそういう時期ではない、適当ではないと考えます。
  194. 山原健二郎

    ○山原委員 戦後、各県で希望者全員入学制度をとったときもあるんです。私もそういうときに教育委員をしておったのでございますけれども、これは今考えていい問題だと私は思います。きょう文部大臣の回答を、私と同意見の回答をいただくことはできないと思いますけれども、これは当然考えていい問題だと思っております。  もう時間がありませんから、最後に、予算問題が目の前に迫っております。先ほども中西委員質問に対してお答えになりましたが、義務教育費国庫負担法の問題ですけれども、大臣は先ほども、意を決して、例えば事務職、栄養職は絶対に守るということをおっしゃいました。また、前の国会のときも、私も質問したわけですが、本当に未来永劫に守るんだという決意を表明されました。今もされたんですが、しかし、今猛烈な大蔵からの攻撃もかかっている情勢の中で、どうしてもこれは守り抜いていただきたい。また国会の決議もあります。この前の附帯決議もそうですし、大臣もそれに対して同意を表明されている。言うならば、国会側も政府側もこの点では一致した見解ですから、この点については守り抜いていただくという決意を改めて表明していただきたいのです。
  195. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 二十年とか、もっとでしょうか、三十年、四十年たって、あるいはそうたたなくても、十年でもいいのですが、例えば都道府県制度というものを抜本的に見直して道州制にして、日本を六つか七つぐらいの道州制にするとか、あるいは非常に独立した権限をそれぞれの自治体に与えるとか、あるいは伊藤委員長が熱心な、総理大臣を公選制、国民投票で選ぶとか、それこそ日本の行政組織全体が大きく変わっていくときには、例えば日本が六つの、別にロシアみたいに独立するわけではないですが、六つの州か何かからでき上がって、その州に相当な権限を与えるというようなときになれば、今の制度は変わるかもしれませんが、そうでない限り、今のような都道府県制度をとっている限り、この義務教育費国庫負担制度では、私は、もちろん教職員事務職員栄養職員も、これはもう絶対に譲ることはできない聖域だと思っております。
  196. 山原健二郎

    ○山原委員 最後にもう一つ私学助成問題です。これも大蔵省は、いわゆる民間法人に対して国庫補助をしておる例はないんだ。これもおかしな話で、社会福祉法人だってみんな、これは単に経常費だけじゃなくて施設費まで措置費として出ていますから、おかしい論理であります。また高等学校以下に対しては許認可権を持っておる都道府県がやるべきだ。これも今まで何遍も論議されて、論破し尽くされてあの法律ができたわけですから、そういう攻撃に対して、文部省としても全力を挙げてこれをはね返すということが今必要だろうと思います。我々もその点では一致した見解を持っているわけでございまして、私学助成についてのこのような蚕食は許さない、こういう決意で予算編成に当たってほしいと思いますが、この点について見解を伺っておきます。
  197. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 私学助成というような大変重要なことに関しても、財政当局からいろいろなジャブが出てきているわけでございまして、私も、あと数日間は指揮官を務めますし、こちら側には文部省の私学助成を守るための戦士がそろっておりますが、どうぞ国会の応援が一番強力でございますので、自民党席は随分すいておりますが、自民党の文教関係の皆様方にも、野党の皆様方にも、委員長にも、みんなで闘えば必ず私学助成は取れるという、こういう気持ちで頑張っていきたいと思いますし、よろしくお願いいたします。
  198. 山原健二郎

    ○山原委員 遠山局長、えらい済みませんでした。  最後に、この受験問題、入試問題、これは共通一次のときに、この委員会では随分長期にわたって論議をしまして、特別委員会までつくって論議をしたことがあります。今度、この業者テストの問題に絡んで随分十五の春を泣かせているわけでございますから、やはりこれについての抜本的な検討を今すべきときだと私は考えております。国会の役職のかわる時期でございますけれども、委員長、ぜひこの問題については、例えば小委員会を開くなどして、この論議を集中してやるべき問題だということを私は申し上げたいので、その認識をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  199. 伊藤公介

    伊藤委員長 委員会挙げてしっかり受けとめて努力をしてまいりたいと思います。
  200. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  201. 伊藤公介

    伊藤委員長 次に、柳田稔君。
  202. 柳田稔

    柳田委員 まず、予算についてお願い、御要望させていただきたいと存じます。  先ほど来から各党から出ておりますけれども、学校の事務職、栄養職の給与を国庫補助から除外しようというふうな報道もあるわけでありますが、これは従来どおり教育水準の維持向上を図るという観点からも引き続き行っていただきたいと思うことと、さらには第六次教職員配置改善計画平成五年度概算要求に計上されておりますが、これも推進をしていただきたいし、人材確保を考えた場合には教員の給与の改善も必要だろうというふうに思いますので、先ほどの御決意どおり、我々も一生懸命頑張りますから、文部省としても頑張っていただきたいと存じます。  与えられた時間、二十分でありますから、次に移らせていただきます。  ちまたのお話を聞きますと、そろそろ組閣というお話もありますが、また引き続き任を任せられるのであれば、まだまだ鳩山文部大臣質問ができるわけでありますが、またどこかに栄転されればこれが最後になるかもわかりませんので、ぜひ御協力を、いい簡潔な御答弁をお願いしたいと思います。  先ほど来からの話に出ております業者テストのことでありますけれども、文部大臣業者テストの利用の中止を要請した、その理由についてはいろいろとお話を賜りました。簡単に言いますと、なぜ利用されたか。高校や中学校の段階で業者テストがなぜ利用をされたのか。その辺についてはどういうふうな御見解をお持ちでしょうか。
  203. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 先生はお幾つでしたか。(柳田委員「三十八です」と呼ぶ)三十八ですか。もっと若いかと思いましたが。私みずからの経験をごく簡単に申しますと、今三十歳弱ぐらいの若い人たちが三、四人で話をしているのを聞いたことがある。ちょっと一杯こっちはお酒を飲んでいるような席で、隣の若い客が話をしていて、おまえ、中学のときの偏差値幾つだった、おれ幾つだ、おまえ幾つだ、みんなが数字を言うのです。私がおかしいなと思ったのは、だって偏差値というのは試験を受けるたびに変動するでしょう。何月は幾つ、何月は幾つ、偏差値というのはしょっちゅう変わるわけですね、好不調によって。ところがみんな一つしか数字を言わぬ。おれは五十三だったんだ、ああ、それであそこの高校だったのか、こういう話をする。  私は、本当はそのときにもつときちんと気がついていればよかったのだが、なぜ偏差値は一人一個しか持っていないんだろうと思ったら、それがこれだったんですね。すなわち学校振り分けに使われる、背番号のように張りつけられる秋の業者テストの偏差値。私はそのときに、一つの便法、必要悪と言う人もいますけれども、こういうもので人間を振り分けるというのは、それが何かの公式のテストだったらいいですよ。そうじゃない。先ほどから申し上げているような業者がつくったテストですから、問題が漏れる可能性もあるし、試験期日が違っていることもざらでしょうし、そういう試験問題が塾を媒介にして伝えられるなんという話も出ているぐらいですからね。それで人間が振り分けられるとしたら、これはもう教育の世界に絶対にあってはいけないこと、こういう認識をいたしております。  もし先生、あえてその原因はなぜか、こうおつしゃられたら、まあ本当はよくないんだけれども、その便利なものを使って、中学側は浪人を出さないようにうまく高校と話をつけていく。高校の方も、偏差値というものを信用して、同じような偏差値、一定以上の偏差値の者を青田買いというか、仕入れるために使う。こういうところから出てきたのだろうというふうに思うのです。しかも、これは本当に近年ひどくなったことで、恐らく今から十五年前だとこれほどひどいことはなかったのだろう。この十年ぐらいで本当にひどくなった現象で、まさに子供たちを商品のように、物のように扱う。その取引をやるわけですから、絶対許すことはできないわけです。
  204. 柳田稔

    柳田委員 不正があるという問題もありますけれども、要するになぜ導入したかというと、今大臣が御答弁になったことだろうと思うのです。ただ、それが、いびつな教育と私は言いたいのですけれども、その辺がゆがめられてしまって今の現状に立ち至ったのではないか。  しかし、観点を変えてみますと、不正がないという問題もありますけれども、レベルを考えていく点では中学にとっては便利だ、高校にとっても入試の際には便利だということを考えますと、公的なものですね、神奈川県のアチーブメントテスト一つの例がありますけれども、これも現在はどういうふうに扱われているかというと、大臣が今おっしゃったように取り扱われておるのです、不正はないでしょうけれども。となれば、業者テストで不正がないようにできるのだったら、公のアチーブメントテストがよくてなぜ業者のテストが悪いのか、理由がちょっとわからないのですけれども、いかがでしょうか。
  205. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 ですから、私は公的な試験の使われ方については新聞報道で知っている程度で、今文部省が各都道府県と綿密な聞き取りをきのうから開始しておりますので、その結果を待ちたいと思います。その結果が出る前に、私は文部省を去るのだろうとは思いますけれども、しかし、その結果が出るのは非常に重要だと私は思っておりまして、そのアチーブメントテストの結果が、その高校の入試、しかも、地域によっては公立高校まで絡むのかなといううわさも耳にしたことがありますが、そういう進学の合否の決定にそれが利用されることがあっては私はいけないと思うわけであります。  ですからこうなりますと、推薦入試の議論にどうしてもなってこざるを得ないのかもしれませんが、本来、幾ら十五歳であっても入学試験という試験を受けるのであれば、中学三年生の最後の学力、堂々と試験を受けて、そこで最後の学力を示して学校にお入りになるべきだと私は基本的に思うわけです。推薦入学というのは、特別の個性のあるような方々に注目して行ってもらいたい、こういうふうに考えます。  ですから、仮に業者テストが同一期目に行われて、問題が漏れるというようなことが全くないとしても、それが進路指導の材料に、腕試しの結果として、先生たちがこの子はこの点数だからここを受けたらどうかという材料に使われるならばいいのですよ。しかし、それが私立の高校に渡されて、偏差値幾つの子供をおたくに入れさせてください、じゃ、ちょうだいしますということは絶対あってはならない。そういうことがあってはならないという点では、私は業者テストも公的なテスト基本は変わらないと思います。
  206. 柳田稔

    柳田委員 今文部省が調査をされている、その報告を聞いてということでありましたけれども、余り言い過ぎると問題があるかもわかりませんが、業者テストと取り扱いが一緒でしたよという結論が出たら、じゃ、公的なものも廃止しろという議論にもなりかねないわけですね。現実に私も学生時代、アルバイトで家庭教師をやっていまして、神奈川県の親戚の子を教えていましたけれども、余り変わりがないと私自信も教えながらそう思っていましたので、この成績をよくしなければ高校の入学に大変影響する、だから力を入れていろいろなことを教えておった記憶がございます。  もう余り時間がないのですけれども、私自身はいい意味の競争はあってしかるべきだと思うのですよ。競争のない社会は私はだめだと思っているのです。  もう一つは、今偏差値というとすべてが悪みたいに聞こえるのですね。偏差値というと悪だと。しかし、純粋に偏差値というのを考えてみますと、その子が今現在到達しているレベルを示す単なる数値なんですよね。ところが、これが余りにもひど過ぎるというふうに我々が受けるというのは、子供が悪いのではなくて、この偏差値を使う立場の人が悪い。先ほど大臣が御答弁になったとおりであります。なぜ学校先生方が偏差値をそれほどこよなく愛するのか、頼り過ぎるのか、その大きな原因というのは一体どこにあるのだろうかという気がするのですけれども、大臣は何かお考えがありますでしょうか。
  207. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 今の先生の、世の中には競争がある、これは当たり前で、競争社会がある、偏差値というものすべてが全部が悪というわけじゃないんだ、それは競争した結果が示されれば偏差値だって出てくるだろうという点では、私は先生基本的な考え方は違わないわけです。ですから、競争というものは、十五歳であってもしていただかなければならないので、それはできるだけ中学三年生の最後の時期に、それは部活動なんかで一生懸命夏ぐらいまで頑張っている子供たちもいるわけですから、中学教育をできるだけ全うするためには、もう最後まで頑張ってもらって、最後の段階で試験を受けて、そこで堂々と合否を決めたらいいだろうというふうに考えております。  あと、何かはかに御質問ありましたか。
  208. 柳田稔

    柳田委員 ですから、なぜそれほどまでに学校先生方が偏差値に頼り過ぎるのか。
  209. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 結局それは最終的には学歴偏重社会からやってくるわけでして、だから私が平成六年の入試には公立の中学校は絶対に業者テストの偏差値を私立の高校に渡してはなりません、私立の方もこれは要求しないようにしてくださいということを相当大声で言いながら、確かにいろいろ向こうにおられるマスコミの方々も報道してくださいますけれども、私はこれはアリの一穴になればという気持ちがあるんですよというのは、私は、それをやってもアリが入れたぐらいのもので、アリが入れて崩れるのは山だか堤防だかわかりませんが、やはりそこには巨大な偏差値社会、巨大な学歴偏重社会というものがあるわけですね。そこから下ってきて、だがそうなってくると、高校の先生たちももうそういう名誉でしか物を考えなくなって、この子が幸せになるかとか、この子の個性がどうだということではなくて、うちはこの偏差値というものを十分に利用させてもらって、この何年間で東大に入る人数が大幅にふえたんだ、文句あるか、だから鳩山が言っている偏差値追放なんていうのはあほやなんというようなことがよく週刊誌なんかに出るわけであります。だから、学歴偏重社会というか、絶対的な学歴社会、銘柄社会みたいなことから下って、もう高校がそういうふうに毒されてきているというふうに私には見えてしようがないのです。
  210. 柳田稔

    柳田委員 大学の進学率というのは約三割でしたか。高校の進学率というと九割近いわけですね。(鳩山国務大臣「九割を超しています、九六%」と呼ぶ)九割を超しているわけですね。その差が約六割あるのですよ。その六割の人まで学歴偏重といいますか、学歴社会に導入されておるとは言いがたい問題もあると思うのです。行く人は別です、これは。競争はするわけだと思うのです。しかし、高校に行く九割の人はすべて何かでひっかかるわけです。その際に、学校先生が偏差値でいろいろと指導をされる。何でこういう問題が起きてくるのか。これは学歴社会もあると思うのですよ、ないとは言いません。三割から四割の人はあります。でも、残った半分の人は余り大学のことは関係ないわけですから、という理屈も成り立つのではないかなと思うのですよ。  ちょっと細かい話ですけれども、アチーブメントテストありますよね。中には、試験科目は音楽や美術や保健体育や技術・家庭の試験もあるのですね。例えば美術。線を一本かきますね。きれいな線をかく人と、我々みたいにミミズがはったような線しかかけない人がいる。きれいな線をかく人は芸術に向いているわけですね。ところが、この辺は試験では判定できないですね。何をやっているかというと、記憶力だけ。どういうものを記憶したかということで取り計らっているでしょう、このアチーブメントテストについても。この辺を考えてみますと、何か変じゃないかな。数学なりそういうものは答えが出るからいいわけですけれども、全然答えの出ない問題だ。要するに、今言った美術とかですね。この辺の評価のことも相当考えていかなければならないのではないかと思うのです。  なぜここまで偏差値がおかしくなってきたか、偏差値教育とまで言われるようになってきたかと私はいろいろ考えるのですけれども、余りにも教育というのは許認可行政の最たるものじゃないか。つまり自由競争がない。ほかの世の中の会社にしろ企業にしろ、それなりの決まりはありますけれども、自由な面がある程度ある。しかし、その社会に比べると、教育というのは大変きちっと決まっている。その範囲の中でやらなければならない。そしてある平均点まで教育をしなければならない。それ以上にやりたい人は押さえつける、追いつけない人はドロップアウトしてしまう。そして、皆さんをだんだん上げていく。ところが一方では、大学入試、高校入試という大変厳しい競争があるのですよ。自由競争。競争があって勝たなければ入れない。小学校、中学校では押さえつけてここまでよ。一方、出口では過激な競争がある。どうするのだ、塾に通うしかない。そして、偏差値を求めながら、自分のレベルはどこだろうか、学校先生と相談しながら行ける範囲を調べていく。どうしたらいいのだろうかと思うのです。  民社党の中でもいろいろと議論をしておるのですが、最近は、うちの党、会派にも参議院の方では江本先生も入ってまいりまして、さらには森田健作さんもいらっしゃって、大変自由な議論ができるようになりました。それでいろいろな話をしておりますと、大分子供たちも変わってきたのじゃないか、多様化してきたのじゃないか、いろいろな選択肢を子供たちも望んでおるのじゃないか。そうしたときに、その選択肢に合うような学校が果たして高校にあるだろうか。そしてまた、その選択肢、自分がしたいと思ったことを伸ばしてくれるような教育環境に今小学校、中学校があるだろうかというと、大変大きな疑問点をつけざるを得ないと思う。  一つのざっくばらんな話なのですけれども、例えば最近芸能人になりたいという若い子が多いですね、中学生くらいが。では、高校でも芸能人へのコースとか、今ぼろくそに言われていますけれども、政治家ですよね、政治家志望の子もいるかもわからない。私は今の政治家を全部落としてでも私が政治家になりたいという人がいるかもしれない、子供で。しかし、その政治の道を勉強するのは一切ない。スポーツの道にしろ、ほかを一生懸命勉強しながら、そのちょっとしたすき間でクラブ活動でスポーツをせざるを得ない、高校に入って。スポーツで身を立てたいという人は、一心にスポーツをやって必要な学力だけつけてスポーツを頑張っていけばいいのではないか、そういうふうな選択肢も高校からあってもいいのじゃないかな。  そうしますと、いろいろな点、ある程度の面は変えられてくるのではないか。例えば私は音楽が好きだけれども、学校では余り評価もされない。だから、学校に行かずにどこかの先生のところへ行って習う。しかし、高校に行ってもまたその道が少ない。学力がなければ入れませんから、そういう学校へ。だから、その辺の道を広げるというのも一つの道ではないかなと私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
  211. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 先生のおっしゃることは、私ども今高校の改革に取り組んでいる中で中教審の答申があったわけですが、理念としてはやや極論ですけれども、先生のおっしゃることには大いにうなずく点があるわけです。ただ、これは教育基本法にどういうふうな書き方になっていたかわかりませんが、教育というのは人間全体を、調和のとれた人間全体を発展させていくというかつくり上げていくという部分があります。だから、個性はうんと伸ばしてやりたいんだけれども、しかし最低限のいろいろな常識も身につけてもらわなくてはいけないという要請がありますから、うんと多様化していろいろなメニュー、こんな高校がありますよ、こんな高校の中にこんなコースがありますよといういろいろなメニューを数多く用意することは必要なんですが、かといって、では歌だけ歌っていてABCも読めなくていいというわけにもいかぬだろう。その辺の調和、バランスは大事だと思いますが、基本的に先生がおっしゃっている方向というのは私も間違っていないと思います。
  212. 柳田稔

    柳田委員 外国に行きますと、中学校で習った英語を使えれば十分会話できるというふうに教えられていますし、私も高校へ行きまして微積分とか集合とか難しいのを習いましたけれども、今ほとんど役に立っていないという面もありますので、いろいろと文部省でもお考えになっていい方向を導き出していただきたいと思います。  最後になりますが、今回の業者テストに文部大臣一つ針でぐすっと刺したことは私は大変評価をしたい。また、これが一つの起点になっていろいろな改革に結びつければいいなというふうに思っておる一人でございます。文部大臣もこれからいろいろと大きな仕事をなさると思いますけれども、これからも頑張っていただきたいと思います。  本当にどうもありがとうございました。
  213. 伊藤公介

    伊藤委員長 御苦労さまでした。  次回は、来る十日木曜日午前十時三十分理事会、午前十一時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十二分散会