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1992-11-26 第125回国会 衆議院 文教委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
本
国会召集日
(
平成
四年十月三十日)(金曜日) (午前零時現在)における本
委員
は、次のとおり である。
委員長
伊藤
公介
君
理事
木村
義雄
君
理事
佐田玄一郎
君
理事
中山
成彬
君
理事
真鍋
光広
君
理事
渡瀬
憲明
君
理事
沢藤礼次郎
君
理事
吉田
正雄
君
理事
鍛冶
清君
逢沢
一郎
君
井上
喜一
君
岩屋
毅君
狩野
勝君
河村
建夫
君
小坂
憲次
君
小宮山重四郎
君
塩谷
立君
原田
義昭
君
船田
元君
村田
吉隆
君
宇都宮真由美
君
輿石
東君
佐藤
泰介
君
中西
績介
君
松前
仰君
山元
勉君
平田
米男
君 矢追 秀彦君
山原健二郎
君
永末
英一
君
—————————————
平成
四年十一月二十六日(木曜日) 午前十時一分
開議
出席委員
委員長
伊藤
公介
君
理事
木村
義雄
君
理事
佐田玄一郎
君
理事
中山
成彬
君
理事
真鍋
光広
君
理事
渡瀬
憲明
君
理事
沢藤礼次郎
君
理事
吉田
正雄
君
理事
鍛冶
清君
逢沢
一郎
君
井上
喜一
君
岩屋
毅君
狩野
勝君
河村
建夫
君
小坂
憲次
君
塩谷
立君
原田
義昭
君
船田
元君
村田
吉隆
君
宇都宮真由美
君
輿石
東君
佐藤
泰介
君
中西
績介
君
松前
仰君
山元
勉君
平田
米男
君
山原健二郎
君
和田
一仁
君
出席国務大臣
文 部 大 臣
鳩山
邦夫君
出席政府委員
文部大臣官房長
吉田
茂君
文化庁次長
佐藤
禎一君
委員外
の
出席者
参 考 人 (
筑波大学教授
) (
著作権審議会
委員
)
斉藤
博君 参 考 人 (
社団法人日本
音楽著作権協会
理事長
)
石本美由起
君
文教委員会調査
室長 福田
昭昌
君
—————————————
委員
の異動 十一月二十六日
辞任
補欠選任
永末英一
君
和田
一仁
君 同日
辞任
補欠選任
和田
一仁
君
永末
英一
君
—————————————
十月三十日
学校教育法等
の一部を改正する
法律案
(
中西績
介君外一名
提出
、第百十八回
国会衆法
第九号)
公立幼稚園
の
学級編制
及び
教職員定数
の
標準
に 関する
法律案
(
吉田正雄
君外一名
提出
、第百十 八回
国会衆法
第一〇号)
公立
の
障害児教育
諸
学校
の
学級編制
及び
教職員
定数
の
標準等
に関する
法律案
(
馬場昇
君外一名
提出
、第百十八回
国会衆法
第一一号) 十一月六日
著作権法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第 五号) 同月二十四日
義務教育
諸
学校
の
学校事務職員
に対する
義務教
育費国庫負担制度
の
維持
に関する
請願
(
石井智
君
紹介
)(第一二七号) 同(
岩田順介
君
紹介
)(第一二八号)
公立小中学校事務職員
及び
栄養職員
の
義務教育
費国庫負担法適用除外
に関する
請願
(
古賀誠
君
紹介
)(第一二九号) 同月二十五日
都立高校
に
特殊学級設置
に関する
請願
(
東祥三
君
紹介
)(第二三四号) 同(
不破哲三
君
紹介
)(第三一六号)
義務教育
諸
学校
の
学校事務職員
に対する
義務教
育費国庫負担制度
の
維持
に関する
請願
(
伊東秀
子君
紹介
)(第二三五号) 同(
石橋大吉
君
紹介
)(第二三六号) 同(
江田五月
君
紹介
)(第二三七号) 同(
小川信
君
紹介
)(第二三八号) 同(
岡崎宏美
君
紹介
)(第二三九号) 同(
北川昌典
君
紹介
)(第二四〇号) 同(
五島正規
君
紹介
)(第二四一号) 同(
筒井信隆
君
紹介
)(第二四二号) 同(
細川律夫
君
紹介
)(第二四三号) 同(
細谷治通
君
紹介
)(第二四四号) 同(
山中邦紀
君
紹介
)(第二四五号) 同(
和田貞夫
君
紹介
)(第二四六号) 同(
池田元久
君
紹介
)(第三〇九号) 同(
渋谷修
君
紹介
)(第三一〇号) 同(
谷村啓介
君
紹介
)(第三一一号) 同(
松本龍
君
紹介
)(第三一二号) 同(
村山富市
君
紹介
)(第三一三号) 同(
元信堯君紹介
)(第三一四号) 同(
吉田和子
君
紹介
)(第三一五号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
国政調査承認要求
に関する件
参考人出頭要求
に関する件
著作権法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第 五号) ————◇—————
伊藤公介
1
○
伊藤委員長
これより
会議
を開きます。
国政調査承認要求
に関する件についてお諮りいたします。
文教行政
の
基本施策
に関する
事項
学校教育
に関する
事項
社会教育
に関する
事項
体育に関する
事項
学術研究
及び宗教に関する
事項
国際文化交流
に関する
事項
文化財保護
に関する
事項
以上の各
事項
につきまして、
本会期
中、
国政
に関する
調査
を行うため、議長に対し、
国政調査承認要求
を行うこととし、その手続につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤公介
2
○
伊藤委員長
御
異議
なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
伊藤公介
3
○
伊藤委員長
次に、
内閣提出
、
著作権法
の一部を改正する
法律案
を議題といたします。
趣旨
の
説明
を聴取いたします。
鳩山文部大臣
。
—————————————
著作権法
の一部を改正する
法律案
〔
本号末尾
に掲載〕
—————————————
鳩山邦夫
4
○
鳩山
国務大臣 このたび
政府
から
提出
いたしました
著作権法
の一部を改正する
法律案
について、その提案の
理由
及び
内容
の
概要
を御
説明
申し上げます。
現行著作権法
では、私的に使用する
目的
で行われる
録音
または
録画
は、無償で、自由に行い得ることとされております。 しかし、近年における
録音
・
録画機器
の目覚ましい
開発普及
に伴って、
録音
や
録画
が
家庭
内において、容易に、かつ頻繁に行われるようになり、大量の
録音物
や
録画物
が作成されております。さらに、
ディジタル機器
の
開発
によって高品質の
録音
・
録画
が可能となり、
著作権者等
の
経済的利益
に大きな影響を及ぼすことが心配されるに至りました。 このような
状況
は、立法当時想定していなかったものでありますが、
対応措置
を講ずることが国際的な潮流であり、
権利者
の
保護
のための早急な
措置
が必要となったところであります。 次に本
法律案
の
内容
について申し上げます。 第一は、
私的使用
を
目的
とし、
政令
で定める
ディジタル方式
の
特定機器
及び
特定記録媒体
を用いて行われる
録音
または
録画
に関して、
著作権者
、
実演家
及び
レコード製作者
に
補償金
を受ける
権利
を創設することであります。 この
補償金
を受ける
権利
は、
録音
または
録画
に関しそれぞれ
文化庁長官
が指定する
権利者
の
団体
を通じて行使することとするとともに、その場合に
指定管理団体
が
請求
する
補償金
の額については、
文化庁長官
の認可に係らしめることとしております。 第二は、
権利保護
の
実効性
及び
利用者
の
支払い
の便宜にかんがみ、
特定機器
または
特定記録媒体
の
購入者
は、
指定管理団体
から
請求
があったときは、
購入
に当たり
一括
の
補償金
を支払わなければならないこととするとともに、
特定機器
または
特定記録媒体
の
製造業者
または
輸入業者
は
補償金
の
請求
及び受領に関し
協力
しなければならないこととすることであります。なお、
購入
時に
補償金
を支払った者で
購入
した
特定機器
または
特定記録媒体
を
私的使用
の
目的
に使用しない者は、
指定管理団体
に対し、その事実を証明して、
補償金
の返還を
請求
することができることとしております。 第三は、
指定管理団体
は、
補償金
の二割以内で
政令
で定める割合に相当する額を、
著作権
及び
著作隣接権
の
保護
に関する
事業
並びに
著作物
の創作の振興及び
普及
に資する
事業
のために用いなければならないこととすることであります。
最後
に、
施行期日等
についてであります。 この
法律
は、
指定管理団体等
に関する
規定
については、
公布
の日から施行し、この
制度
の
準備
を進めることといたしますが、
具体
の
権利行使
に関する
規定
は、
国民
への
周知期間
や
準備
の
状況
を考慮して、
公布
の日から六月以内で
政令
で定める日から施行することとしております。 以上が、この
法律案
を提案いたしました
理由
及びその
内容
の
概要
であります。 何とぞ、十分御
審議
の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
伊藤公介
5
○
伊藤委員長
これにて
趣旨
の
説明
は終わりました。
—————————————
伊藤公介
6
○
伊藤委員長
この際、
参考人出頭要求
に関する件についてお諮りいたします。 ただいま
趣旨
の
説明
を聴取いたしました
法律案審査
のため、本日、
参考人
として
筑波大学教授
、
著作権審議会委員斉藤博
君及び
社団法人日本音楽著作権協会理事長石本美由起
君の御
出席
を願い、御
意見
を聴取することにいたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤公介
7
○
伊藤委員長
御
異議
なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
伊藤公介
8
○
伊藤委員長
この際、ただいま御
出席
になられました
参考人各位
に対し、一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、大変御多用中のところ、本
委員会
に御
出席
をいただきまして、大変ありがとうございました。
参考人各位
におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御
意見
をお聞かせをいただき、
審査
の
参考
にいたしたいと存じます。 次に、議事の順序について申し上げます。
斉藤参考人
、
石本参考人
の順にお一人二十分程度の御
意見
をお述べをいただき、その後、
委員
の
質疑
に対しお答えをいただきたいと存じます。 なお、念のため申し上げますけれども、発言の際は
委員長
の許可を得ることになっております。また、
参考人
は
委員
に対し
質疑
をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承を願いたいと存じます。 それでは、
斉藤参考人
にお願いをいたします。 〔
委員長退席
、
中山
(成)
委員長代理着席
〕
斉藤博
9
○
斉藤参考人
ただいま御
紹介
いただきました
筑波大学
の
斉藤
でございます。 日ごろより
我が国
の
著作権法制
につきまして熱心に取り組んでいらっしゃいます
先生方
の前で
お話
しできますことは、まことに光栄でございます。 本日は、
私的録音
・
録画
問題につきまして、私見を申し上げたいと存じます。 この際、
三つ
の点に分けまして
お話
しさせていただきます。第一点は、
複製技術
の
拡散
、広がるという
意味
でございます。第二点としまして、
国際的動向
。第三点目としまして、
我が国
の
対応
。このように
三つ
に分けまして
お話
をさせていただきます。 まず第一点でございますが、
著作物
や
実演
、
レコード
を
複製
する
技術
は目覚ましい
勢い
で
開発
され、
普及
しつつございます。今や
録音機器
、
録画機器
、
文献複写機器
などさまざまな
機器
に接することができるようになったのでございます。しかも、
音声情報
にいたしましても映像や
文字情報
にいたしましても、
オリジナル
をそのまま
複製
できる度合いと申しましょうか、コピーの忠実度というものもますます高くなってきたのでございます。その上、
複製機器
の
小型化
、
低廉化
も達成されつつございます。かつてでございますと、
個人
では到底手の届きませんでした
機器
も、今や容易に
購入
することができるようになりました。
機器
のみではございません。
テープ
などの
機材
につきましても、今回の
法案
におきましては
記録媒体
という用語にいたしてございますが、この
媒体
の
性能
もますますすぐれたものになっております。それに応じまして、
家庭
など私的な領域におきましても、他人の
著作物
を
複製
する
機会
が急速にふえてきたのでございます。 このような動きは、従来ございました
玄人
と
素人
の区分を徐々にあいまいなものにしてきているのでございます。かつてでございますと、
レコード
などの
ソフト
は
玄人
が提供しまして、
素人
はその
製品
なり
ソフト
を
購入
し
音楽等
を鑑賞していたわけでございます。ところが、今や
素人
であります
一般
の
ユーザー
も
性能
のすぐれた
複製機器
をみずから保有いたしまして、
玄人
の
製品
に匹敵する
複製物
をつくり出すようになったのでございます。その限りにおきまして、今や
玄人
と
素人
が混在する
時代
と申すことができるように思います。 確かに
複製技術
の
拡散
は
個人
の
文化生活
を豊かにしつつございます。しかしその一方、その豊かさが
著作者
や
実演家
、
レコード製作者
への配慮を欠いたまま享受されるということになりますと、それは妥当とは申せないのでございます。そこで、
拡散
されました
複製技術
の活用を抑えることなく
著作者等
の
利益
の
保護
にも意をいたす道を模索することになるのでございます。 第二点としまして、国際的な
動向
でございます。そのうち、まず諸
外国
の
状況
につきまして簡単に
お話
しさせていただきます。
複製技術
の
拡散
にいち早く
対応
いたしましたのが
ドイツ
でございます。既に一九六五年法におきまして、
著作者等
の
権利者
は
録音
または
録画機器
の
製造者
なり
輸入者
に対しまして
報酬
を
請求
できる
制度
を
導入
しております。その後、やや間を置きましてオーストリアが、
複製機器
ではございませんで、今度は
録音用テープ
、
録画用テープ
につきまして同様に
報酬
を
請求
できる
制度
を設けております。さらにハンガリー、アイスランド、フィンランド、ポルトガル、フランス、イタリア、スペイン、オランダなど、
制度
の
具体
的な
内容
はさまざまではございますが、
報酬請求権制度
がヨーロッパの
諸国
を中心に
導入
されつつあるのでございます。アメリカも本年十月、
法案
の可決、成立を見まして、過日大統領の署名もなされています。今や
諸国
が
問題解決
のために大きく動き始めていると申すことができるように思うのでございます。 次に、
著作権法
の国際的な規範でございます
ベルヌ条約
との
関係
で若干
お話
を申し上げます。 この
私的録音
・
録画
問題につきまして、
国際著作権界
の支柱でございます、柱でございます
ベルヌ条約
は直接の
規定
を設けているわけではございません。しかしながら、同
条約
の九条二項によりますと、
複製権
を
国内法
で制限することは認めますものの、
著作物
の通常の
利用
を妨げ、
著作者
の正当な
利益
を不当に害しないことを求めるただし書きをも設けているのでございます。今の
時代
のように、
性能
のすぐれました
複製機器
が
一般
の
家庭等
に
普及
いたしてきますと、
条約
の面からも
利益
の
調整
、すなわち
ユーザー
、
権利者両者
の
利益
を
調整
します
報酬請求権
のような
制度
が必要となるように思うのでございます。 さらにWIPO、
世界知的所有権機関
と訳しておりますが、このジュネーブにあります
機関
におきましても
著作権法
の
モデル規定
の案が
検討
されました。まだ成案を見ておりませんが、その案によりますと、
視聴覚著作物
、オーディオ・ビジュアル・ワークスでございますが、この
視聴覚著作物
、それに
録音物
、これを
私的使用
のために
複製
することを認めますと同時に、相当なる
報酬
の
支払い
が必要である、このように記されております。 第三に、
我が国
の
対応
でございます。
私的録音
・
録画
問題に関する
我が国
の
検討
は非常に長うございます。
著作権審議会
が第五小
委員会
を設けまして、この問題を
検討
し始めましたのが
昭和
五十二年十月でございます。その後、一
たん著作権資料協会
に設けられました
懇談会
で自由な討議を行いまして、再び
著作権審議会
第十小
委員会
におきましてこの問題を
検討
したのでございます。そうしまして、同第十小
委員会
が結論を出しましたのが
平成
三年十一月、
著作権審議会
の総会がこれを承認しましたのがその翌月でございます。 このように見ていきますと、
我が国
は既に長きにわたりましてこの問題の
検討
を重ねてきたのでございます。その間、御
委員会
からも、
機会
がありますごとに
報酬請求権制度
の
導入
など
抜本的検討
を進めるよう
附帯決議
をいただいてきたところでございます。 このような長い
年月
の間には、
複製
に関する
技術
も一段と
開発
されまして、新しい
技術
も徐々に
普及
しつつございます。とりわけ
コンピューター時代
に
対応
いたしまして、さまざまな
情報
が急速な
勢い
でディジタル化されつつあるのでございます。一たび
情報
がディジタル化されますと、その
情報
の
複製
は極めて容易、迅速に行うことができます。これまでの何百倍、何千倍あるいはそれをはるかに上回る
情報量
でございましても、簡易な
方法
で極めて短い時間に
複製
することができる
時代
に至ったのでございます。
複製物
の質の面におきましても、
オリジナル
との間に差異が認められないのでございます。違いが認められないのでございます。加えて、
複製物
の質が劣化しない点、さらにはその
複製物
からさらに第二の
複製物
を作成することもできるわけでございます。そして、この第二の
複製物
の方も質が高く、これまた劣化しないということでございます。このように
考え
ますと、従来に比べ数段も飛躍しました
技術
を用いる
時代
に入っていると申すことができるように思うのでございます。 そのようにすぐれた
技術
であれば、当然活用する必要がございましょう。しかし、その一方におきまして、
著作者等
の
権利者
の
利益
を不当に害することにならないよう配慮しなければならないところでございます。
ユーザー
と
権利者
の間の
利益
をどのように
調整
するのか、その
調整
の
方法
にはさまざまな道がございましょうが、
我が国
におきましても、このたび
一つ
の
具体
的な案が示されるに至りました。 その案を見させていただきますと、長い
年月
をかけただけのことはあるというのでございましょうか、
ディジタル時代
にふさわしい、国際的にも新しい
規定
を見ることもできます。あるいは
国際著作権界
に誇り得る
考え
も盛り込まれているように思います。
一つ例
を申し上げますと、この
法律案
の三十条の二項、新たに加えられます二項によりますと、「
録音
又は
録画
を行う者は、相当な額の
補償金
を
著作権者
に支払わなければならない。」このように、
録音
または
録画
を行う者が何がしかの
金銭
を支払うように、このように書いてございます。これは他の
先進諸国
がなそうとしてできなかった
規定
でございます。 大分古い話でございますが、
ドイツ
が一九六五年法を制定するに際しまして、その前に
政府草案
が出されました。これによりますと、やはり
ユーザー
が
報酬
を支払う、こういう
規定
になっていたのでございます。しかしその後、果たしてその
ユーザー
が直接任意に支払うだろうか、さらには
家庭
に
法律
が介入するのはプライバシーの
保護
の点でもいかがなものか、こういう
消極論
が出まして、結局のところは
製造者
または
輸入者
がその種の
報酬
を支払う、こういう
規定
に落ちついたところでございます。 これは、
アナログ時代
におきましては、確かにこの種の
規定
、実行するに難しいところかもしれません。しかし、ただいまのような
ディジタル時代
に入りますと、
状況
は一変してくるように思います。
情報
がディジタル化されているということになりますと、今度それに
対応
しまして、ただいま
研究段階
でございますけれども、プリペイド
カード
とか
デビットカード
、こういう
カード
をハードに挿入しまして、そしてどの曲を
録音
したかあるいはどの絵を
録画
したか、こういうことが
カード
で読み取ることができます。その
カード
を集計しますと、
具体
的に個々の
ユーザー
がどういう曲をあるいはどういう絵を
複製
したか、これが
記録
として残るわけでございます。これに応じまして
ユーザー
が
報酬
を支払うということになりますと、
具体
的な、個別的な
利用
に応じました
報酬
を支払うという、ある
意味
では理想的な形になるわけでございます。ただいまは
研究段階
でございます。しかし、
ディジタル技術
の
開発
を
考え
ていきますと、その種の
技術
の
実用化
もそう遠い先のことではないと思うのでございます。この
規定
の
起草者
はそこまで見越してお書きになったのであろうか、その辺は定かでございませんが、しかし、この種の
規定
、
ディジタル化時代
には最も先端を行く
規定
になるのではないか、このように思います。 当面は第二
段階
としまして、特例としまして、
機器
それから
記録媒体
の
メーカー
に
協力義務
を課しまして
一括
処理する、
一括補償金
を徴収する、こういう仕組みにいたしているようでございます。こういう二段構えの非常に現実的な
規定
を設けましたということは、極めて敬服に値することであろうかと存じます。 それから、もう
一つ
、
国際著作権界
にも誇り得る
考え
が盛り込まれているということを申し上げましたが、これは内
国民待遇
を当然の
前提
としてこのような案をおつくりになったということでございます。
外国
の
権利者
も
我が国
民と同様に
保護
していこうということでございます。
外国
の
権利者
の中にはかなり手前勝手な
考え
をお持ちの方もいらっしゃるかと存じますが、
我が国
は
外国人
もひとしく
保護
していこう、こういうことでございます。これはやはり
国際著作権界
における
我が国
の
地位
をさらに高くするものであろうかと存じます。 なお、付言させていただきますが、
ディジタル方式
による
録音
・
録画
につきまして、
ユーザー
と
著作者等
の間の
利益調整
を
金銭
によって行う今回の案でございますが、これは
ディジタル複製
を一世代に限るとする
技術的制限
を
前提
にしていると申すことができるように思います。
最後
に、
我が国
がこの私的
録画
問題を解決できますと、
国際著作権界
におきまして、テクノロジーの面、
文化
の面、両面におきまして
先進諸国
としての
地位
をますます高くすることは確かでございます。 簡単でございますが、
説明
とさせていただきます。(拍手)
中山成彬
10
○
中山
(成)
委員長代理
どうもありがとうございました。 次に、
石本参考人
にお願いいたします。
石本美由起
11
○
石本参考人
ただいま御
紹介
をいただきました
日本音楽著作権協会
の
理事長
をいたしております
石本
でございます。
先生方
には常日ごろ私
ども著作権者
や
著作隣接権者
の
権利保護
に御理解と御尽力を賜っておりますことを心よりお礼を申し上げたいと思います。 さて、本日の
委員会
は、私
ども権利者団体
が長年の悲願としております
私的録音
・
録画
問題についての
著作権法
の一部改正の御
審議
をいただく場と承っておりますが、この場に
参考人
として招かれましたことは大変光栄でございます。また同時に、このことは数多くの
関係者
の方々の御
協力
のたまものと深く感謝をする次第でございます。 振り返りますと、
昭和
五十一年に、
日本音楽著作権協会
、
日本芸能実演家団体協議会
及び
日本レコード協会
の三
団体
で、
個人録音
・
録画
の
実態調査
を行いました。その
調査
結果をもとに、翌五十二年、既に早くから
制度化
をしておりました西
ドイツ
と同じような
録音
・
録画
の
機器
・
機材
に対して
報酬
を課す
制度
の
導入
を
文化庁長官
に要望いたしましたが、それから既に十五年を経過してまいりました。
文化庁
では、その要望以来、この問題を大きな
制度
上の課題として、まず最初に
著作権審議会
第五小
委員会
で、次いで
著作権
問題に関する
懇談会
、そして再び
著作権審議会
第十小
委員会
で
審議
を繰り返しましたが、昨年末、
制度化
の
必要性
をうたった第十小
委員会
の報告が出されました。これを受けて、ことし初めから
権利者
、
メーカー
、
消費者
、
学識者
の各代表を含む
私的録音
・
録画問題協議会
において、その
具体化
のために
懸案事項
について
協議
を積み重ね、おおむね合意を得ました結果として今日この
法案
の
提出
の運びになったわけでございます。 この間、
録音
・
録画
の
機器
・
機材
に関する
技術
は日々に進歩を重ね、
アナログ方式
の
機器
や
機材
はほとんど
一般
の
家庭
に
普及
し尽くすところまできておりまして、これからの
録音
・
録画
の
機器
・
機材
は
ディジタル方式
が中心になる
時代
となってまいりました。
ディジタル方式
と申しますのは、CD、コンパクトディスクで御存じのとおりでありまして、現在はDAT、DCC、MD等という
製品
が既に発売されております。こうなりますと、従来工場で製造をいたしましたものと全く同じ
製品
が
家庭
においても無料で手軽につくることができるようになり、私たち音楽・芸能
文化
の創造に携わっている
権利者
にとってはまさに重大な危機を迎えることになります。 私
ども権利者団体
におきましても、最初はアナログ、ディジタルを問わず、すべての
録音
・
録画機器
・
機材
を対象とする
補償金
制度
の
導入
を希望したわけでございますが、この新しい
制度
の円滑な
導入
のためには、
一般
国民
の理解を必要とすることを
考え
ました場合、既に
普及
し尽くした
アナログ方式
のものを除く方が賢明であり、またいずれ近い将来ほとんどディジタルの
時代
になるであろうことが推測されますので、
ディジタル方式
の
録音
・
録画機器
・
機材
に限って対象としていくということについて
関係
権利者
団体
間で
協議
をし、決定をいたしたものでございます。 国際的な視野から見ますと、私
ども権利者団体
がかねてから目標としておりました西
ドイツ
、次いでオーストリア、フランス、オランダ等のほか米国でもこの十月に
補償金
制度
を
導入
いたしまして、現在では世界十七カ国の国々が同じような
制度
を
導入
済みでございます。
我が国
の
制度
導入
がこのように立ちおくれ、また今日の国際的
状況
の中での
我が国
の立場を
考え
ました場合、本日のこの
委員会
の御
審議
は極めて重要な意義を持つものでありまして、ぜひとも
先生方
の御理解のもとに速やかな御
審議
と御決断をいただきたいと強く希望するものでございます。 また、今回の
法案
は世界各国の
著作権
をも同等に
保護
する内
国民待遇
の
制度
であり、この
法案
を可決していただきますならば、
制度
導入
済みの諸
外国
の
著作権
管理
団体
に対しましても初めて顔向けができるようになるという次第でございます。 次に、実際に
制度
を実施することになりますと、受け皿となる
権利者
団体
についての
検討
が必要となってまいりますので、それもいろいろと研究をしております。当面、私
ども権利者団体
間では、
著作権者
の
団体
、
実演家
の
団体
、
レコード製作者
の
団体
を網羅いたしまして単一の
団体
をつくり、そこに
メーカー
の
団体
から御
協力
をいただいて
補償金
を支払っていただく
考え
でおりますが、この場合、
私的録音
の分野では、
著作権者
については
日本音楽著作権協会
、また
実演家
については芸団協が、また
レコード製作者
につきましては
レコード
協会がそれぞれ
権利者
を代表して個々の分配について責任を負うというシステムを
準備
中でございます。 徴収する
補償金
について申し上げますと、冒頭に述べました
私的録音
・
録画問題協議会
におきまして、
メーカー
の
団体
、
消費者
の
団体
と私
ども権利者団体
、さらに学識経験者の方々が加わり、そこで
補償金
額の合意が調っております。
機器
については、初年度、次年度は蔵出し価格の一%、三年目が二%、
機材
につきましては、初年度、次年度が蔵出し価格の一%また三年目が三%という料率であります。この料率に従いまして、
メーカー
の御
協力
のもとに
補償金
を受け取ることを予定しているわけでございますが、本当の
意味
の
支払い
者は、
私的録音
の行為者である
一般
国民
、
一般
の方々になるわけでございますので、徴収の実施
段階
に際しましては、それなりの啓蒙運動も予定しながら、来るべき
制度
の実施に備えているという
状況
でございます。 なお、国際的に見ました場合、
補償金
額につきましては、国によって方式が違い、また額の違いなどもございますが、
我が国
が現在合意をしております料率は、十分とは言えないまでも、それほどの遜色はないものと判断をしております。
権利者
団体
間では、
著作権者
三六%、
実演家
三二%、
レコード製作者
三二%の割合で分配するということを決めており、またその分配金をそれぞれの
団体
が個々の
著作権者
、
実演家
、
レコード製作者
に分配をいたします。
日本音楽著作権協会
の場合で申しますと、このように
一括
で徴収しました使用料の分配に際しましては、統計学者の
意見
を取り入れまして、極めて細かいサンプル
調査
を実施し、ほぼ九〇%を超える精度をもって分配を行っているところでございまして、お預かりしております数百万の楽曲の
著作権者
からは厚い信頼をいただいているところでございます。 今回の
補償金
の分配につきましても、随時
実態調査
を行いながら、適正な分配ができるよう
実演家
、
レコード製作者
とともに早くから
検討
をいたしているわけでございます。 〔
中山
(成)
委員長代理
退席、
委員長
着席〕
私的録音
を行わない例外的な
機器
また
機材
の
購入者
に対しての
補償金
の返還につきましては、
事業
上の専用
機器
・
機材
、
個人
事業
者の
購入
機器
・
機材
、
一般
個人
の場合の
購入
機器
・
機材
と
録音
状態などをつぶさに考慮し、そうして
検討
を加えながら、返還に際しての明確な基準づくりを外部の御専門の方々のお知恵も拝借をしながら行っております。いずれにいたしましても、はっきりとしたものにつきましては、きちっと
補償金
をお返しする方針で現在その基準を
準備
中でございます。 今回の
制度
の中には、
著作権
及び
著作隣接権
の
保護
に関する
事業
並びに
著作物
の創作の振興及び
普及
に資する
事業
のための支出についての定めがございます。私
ども権利者団体
の間では、この支出金を俗に共通
目的
基金と呼んでおりますが、これは、言いかえますと、
関係
権利者
と社会を結ぶ共通の
目的
のために設けられるものでございます。 御承知のように、この
法案
が予定する
制度
は、実際に
録音
に使用した場合に対して設けられるものではなく、
私的録音
の可能性に対して
補償金
を求める
制度
でありまして、部分的には抽象的な性格を含んでおります。したがって、
補償金
の一部を
権利者
共通の
事業
に支出することを定めるとともに、これによって
制度
の円滑な
導入
を意図するものでございます。諸
外国
におきましても、この支出金に関する数多くの立法例が認められているところでありまして、私どもこの支出については積極的に取り組んでいく
考え
でございます。 今後、実際に
制度
の円滑な実施をするためには、その啓蒙運動が
権利者
の義務として求められるところであり、
制度
実施後当分の間は
著作権
制度
の
普及
のために優先してこの支出金を充てる予定でございます。 従来、
著作物
の使用料は
権利者
と
利用者
との直接の
関係
において処理されてまいりました。しかし、最近の
複製技術
の進歩は著しいものがあり、いわゆる業者の
利用
から
家庭
内における
個人
の
利用
へと変化してまいりました。このような状態になりますと、個々の
著作物
の
利用
の実態を把握することは極めて困難になり、使用料の徴収も不可能になります。そうなれば、そのあり方がその国の
文化
のバロメーターであると言われております
著作権
制度
が事実上崩壊することにもなりかねません。今や
著作権
制度
を守るためには、
著作権者
と
利用者
との
関係
だけでなく、広く
一般
の御理解と第三者の御
協力
とが必要になっております。 この点、今回の
法案
は、
支払い
の義務者は実際の
利用者
である
一般
消費者
と
規定
した上で、直接
著作物
を
利用
するわけではなく、その道具を生産するだけの
メーカー
に
協力義務
を課したという点で画期的な
制度
であると存じます。この
制度
実施に御理解をいただいた
録音
・
録画
の
機器
・
機材
の
メーカー
の方々、そして
関係者
の方々の御努力に対しまして、心から敬意と感謝の意を表する次第でございます。 以上、長々と
意見
を述べさせていただきましたが、既に申し上げましたとおり、今回
文化庁
でおまとめをいただきました
法案
は、
関係者
一同の全般的な了解のもとに提案されるものであり、また国際的にもその成り行きが注目をされているところでございます。 今国会がいろいろな問題の山積している国会であることは重々承知しておりますが、御多忙な御
審議
日程の中で、この
法案
に
審議
の時間を割いていただきましたことをまことに恐縮に存じますが、先ほど申し上げましたとおり、ディジタルの
録音機器
・
機材
は既に発売をされております。何とぞこの事態に
対応
できるよう、私どもの長年の悲願でありましたこの
法案
の成立のために、
先生方
の御理解と御尽力を賜りたく、切に切にお願いを申し上げる次第でございます。 以上で私の
意見
陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
伊藤公介
12
○
伊藤委員長
ありがとうございました。 以上で
参考人
からの御
意見
の開陳は終わりました。
—————————————
伊藤公介
13
○
伊藤委員長
これより
質疑
に入ります。 まず、
参考人
に対します
質疑
を行います。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
真鍋
光広
君。
真鍋光広
14
○
真鍋
委員
斉藤参考人
、そしてまた
石本参考人
、それぞれに、この
私的録音
・
録画
の問題の解決のために、長年にわたって大変先頭に立って御尽力をいただいた方々でございまして、今日、
著作権法
の一部改正
法案
ということで上程をされたわけでございますが、
お話
を深い感銘を持って伺った次第でございます。 最初に、
斉藤参考人
にお伺いを申し上げたいわけでございます。 この
私的録音
・
録画
に関してどのように
権利者
の
権利
を守っていくか、やり方がいろいろあると思うわけでございます。
外国
の例を見ておりますと、その多くは、これから我々が採用しようという
報酬請求権
ということでやっておるわけでございますが、中には、例えばノルウェーであるとかスウェーデンであるとか、これは税金という形で徴求をしておるわけですが、これはどういう思想で税にしたものか、そしてまた、その税金をどういう形で、どういうふうな仕組みで
権利者
に返していく、流していく、こうなっておるか、ちょっとそのあたり、もしも御存じでしたら御
説明
賜りたいと思います。
斉藤博
15
○
斉藤参考人
お答え申し上げます。 ただいま御指摘のように、
報酬請求権制度
、これと並ぶ形で、タックスシステムといいましょうか、税方式というものがございます。 結論を先に申し上げますと、これはやはり
著作権法
による解決ではないと思います。私権を制限し、それに対しまして何らかの補償をするという
報酬請求権制度
と、それから税でそれを
調整
するということは、やはりそのもとのところの
考え
方が違うように思います。 それならば、その税
制度
、税方式というのはどういう思想で組み立てられたのかという御質問でございますが、これはどうも、どちらかといいますと、社会保障とかそういうあたりに非常に御関心の強い国におきまして、作家の老後の保障とか、それから若手の作家、まだ十分な収入を得られない作家、将来性のある作家、これを何らかの形で補助していく、こういうような
考え
方があったのではないかと存じます。しかし、これはやはりただいま私どもが
考え
ております
報酬請求権制度
、私権を
保護
するという
制度
とは全く違うものであると
個人
的には思います。
真鍋光広
16
○
真鍋
委員
要するに、おっしゃっておられることは、
権利者
自身に、
個人
に返っていくものではなくて、若い方々、将来性のある方を養成といいますか育成していく、そういったふうに資源を、
権利者
から次の世代といいますか、そういった者の育成に回していく、こういうことで思想が少し違う、こういうことと理解してよろしいと思いますが、そうだとするとよく理解ができました。 次に、こうやって
ユーザー
が
補償金
を払っていくということになります。そうしますと、一方でこれまで既に
導入
された、あるいは過渡的な
制度
なのかもわかりませんけれども、
制度
がございます。例えば貸し
レコード
の話でございます。これについては、貸し
レコード
店から借りた方、
ユーザー
といいますか
消費者
といいますか、その方々が
録音
するだろうということを
前提
にして貸し
レコード
店では一回貸すごとに五十円でしたか何円でしたか、
著作権
使用料ということで徴しておるわけですね。それとのかかわりというのは、
考え
てみると、ある
意味
では同じ
ユーザー
に対して二度取りをしておる、
段階
を違えて二度取りをしておる、こういう物の
考え
方もできるかと思うのですが、そのあたりについてはどう
考え
ておられるのか、どう整理しておられるのか、少しお伺いしたいと思います。
斉藤博
17
○
斉藤参考人
お答え申し上げます。 非常に鋭い御指摘でございます。確かに、貸し
レコード
業が出現しまして、これに法的な
対応
をいたしたわけでございますが、その際、貸し
レコード
業の実態を見ますと、ただいま御指摘ございましたように、借り出した
ユーザー
が
家庭等
で
録音
をして返してくる、これがこういう御商売の、例外もございましょうが、
一つ
の
前提
であったと思います。当時の音盤でございますと、やはり音楽の愛好者ですから、一晩借りたら何度でも聞こう。何度でも針を通しますと、返された物を再び他の
ユーザー
に貸し出すことができないわけでございます。ところが、幸いなことに非常に
性能
のすぐれた
複製機器
が
家庭等
に
普及
してございますので、一回だけ針を通して返してくれる。したがいまして、同じ音盤を何回も貸し出すことができる。したがいまして、こういう
複製機器
が
普及
した国であるからこそこういう貸し
レコード
業が出現し、御商売になるのではないかと思います。 こういうときに法的な
対応
ということになりますと、建前としましては、貸与に対する使用料ということでございますが、どうも当時の
状況
を
考え
ますと、私的な
複製
とセットになった行為、何らかの形でこれに対しまして
権利者
を
保護
する、
保護
の道を
考え
る、こういうことであったかと思います。貸し
レコード
への
対応
というのは、実際的なことを申し上げますと、
私的録音
・
録画
問題の一部を解決したのではないか、このように
個人
的には思っております。
真鍋光広
18
○
真鍋
委員
次に
石本参考人
にお伺いいたしたいと思いますけれども、先ほどの御
説明
の中で、
昭和
五十二年ごろからとにかく
報酬請求権
を
導入
してほしい、こういうことで十五年かかって今日までやってこられた、こういう
お話
でございました。その中で、五十一年当時から
実態調査
をしておった、それをベースにいろいろやってきたのだということでございます。 この十五年間でその実態は随分さま変わりだろうと思うのですけれども、どのように変わったか。十五年前でも
報酬請求権
を
導入
してほしいと言っておられたわけですけれども、それから十五年たった今日、どのようにその
必要性
が増してきたと認識しておられるか、
実態調査
といいますか、実態に関して御認識があれば伺いたいと思います。
石本美由起
19
○
石本参考人
十五年前と現在とを比較してみますと、
機器
・
機材
も随分と新しいものが発達して販売をされました。だから、もちろん
録音
の
技術
というものも進歩いたしました。そうして
録音
される量も膨大なものになってまいりました。だから、我々作家として、こういう将来が来るのではないかということも憶測もしながら、この問題には十五年前から取り組んできたわけでございます。その間に大変な変化があったわけでございますが、その変化というのは、本当に
録音機器
・
機材
の進歩、そして
ユーザー
の人たちのコピー行為ですか、それがもう十五年前には想像のできないくらい現在は多くなっているわけでございますが、その多くなっている過程というのが、十五年前から三年、五年、十年というふうに多くなっていったというわけでございます。
真鍋光広
20
○
真鍋
委員
このたびの
制度
というのは、先ほど御
説明
もありましたように、例えば
著作権者
の
団体
、その他の
団体
もありますけれども、それが
権利
を
指定管理団体
に委任をして、そこで
一括
して
権利
を行使する、こういうことになるわけでございます。 そこで、分配に際しても、
指定管理団体
からそれぞれの分配率において例えば
著作権者
の
団体
に返ってくるということでございますから、例えば例を
著作権者
の
団体
ということに限りますと、その組織率といいますか、そこのところが網羅的でなければ、これは大変大きな問題が起こってくるだろう、こう思うわけでございます。そこの例えば
著作権者
の
団体
という中には一体幾つぐらいの
団体
があり、その
団体
全体の組織率と申しますか、それはどういう
状況
になっているか、そこらをちょっと伺いたいと思うのです。
石本美由起
21
○
石本参考人
実際には
日本音楽著作権協会
、芸団協、それから
日本レコード協会
、この三
団体
が組織して
一つ
の
団体
となるということですし、また、そのために新しい受け皿をつくろうということで今その
準備
をしているわけでございます。だから、一たん
一括
したものをいただきまして、そして受け皿になる
団体
からそれぞれの三
団体
に配分するということでございます。
真鍋光広
22
○
真鍋
委員
ちょっと私理解ができない。
著作権者
の
団体
というのは、
日本音楽著作権協会
というものだけですか。
石本美由起
23
○
石本参考人
著作権
というのは、例えば作家だけでなくて
レコード
協会、
レコード
会社も
著作権
というものを持っておりますし、それから
一般
の芸能人の所属している芸団協という
団体
もそれぞれ
著作隣接権
というものを持っておりますので、その三
団体
が
一つ
の組織をつくりまして、受け皿になって、そうしてそれぞれの
団体
に分配するというわけでございます。
真鍋光広
24
○
真鍋
委員
私の質問が不十分だったんでわからなかったと思います。 私が申し上げておるのは、
著作権者
の
団体
、
実演家
の
団体
、
レコード製作者
の
団体
、それがあることはわかっておるのです。その中の
著作権者
の
団体
というのは、
日本音楽著作権協会
一本ですか、こういう御質問でございます。
石本美由起
25
○
石本参考人
ほかに文芸
団体
というのがあります。その文芸の
団体
もJASRACが代理するということになっております。
真鍋光広
26
○
真鍋
委員
そこの作曲家であるとか、皆さんの組織率というものが——
個人
個人
でございますね。その組織率というのが非常にしっかりしてないと、分配に、その入ってない方に当たりにくいという問題がありますから、そこのところは、
文化庁長官
が指定する
指定管理団体
という公的なものがいよいよ加わってまいりますので、そこをひとつしっかりやっていただかなければいかぬかな、そんな気持ちを持ちまして御質問をいたしておりました。 時間がなくなってまいりましたので、
最後
にお伺いいたします。 この問題は、国内の法制はこれでひとつ形がついてくると思うわけでございますが、これまで日本の国内であったと同じようなことが海外、とりわけアジアの国々で起こっておる、いわゆる海賊版ということでございますが。このあたりについての御認識はどうなっておるのか、あるいはこれについてどうやっていかなければいかぬという気持ちを持っておられるか、お聞かせいただければと思います。
石本美由起
27
○
石本参考人
このアジア地区の問題というのは我々が一番関心を持っておりまして、日本の楽曲が使われておりますのも、世界を見渡しましても、一番アジア地区が使用されております。ただ、使用されているわけですけれども、それぞれの国の中にまだ
制度化
というものがはっきりされてない、そのために海賊行為がすごくなされているということでございます。そのことに対しましても、今
日本音楽著作権協会
としては、アジアそれぞれの国に対しまして、アジアのそれぞれの
団体
の育成指導というものを心がけておりますし、そのことに対しては、これから我々はより
協力
的に取り組んでまいりたいと思っております。日本の歌の市場というのは、アジアを
考え
なくて、日本の音楽市場というものの世界に対する発展は
考え
ることができませんし、まずアジアのこれからの充実というものを
考え
なければいけないと思いますし、それがまた我々
日本音楽著作権協会
に課せられた
一つ
の責任だと思っております。
真鍋光広
28
○
真鍋
委員
終わります。
伊藤公介
29
○
伊藤委員長
御苦労さまでした。 次に、
宇都宮真由美
君。
宇都宮真由美
30
○宇都宮
委員
まず
斉藤
さんにお伺いしたいと思いますけれども、この今回の改正、先ほどから
お話
に出ていますように、十五年間ずっと実現しようと努力してこられたということで、その十五年もの長い間実現しなかったその
理由
、そして、今ここに至って実現したその
理由
はどういうところにあるとお
考え
でしょうか。そのあたりの背景をちょっと教えていただきたいのです。
石本美由起
31
○
石本参考人
そのことについて私から申し上げたいと思います。 実は、十五年前に我々が
著作権
の問題を云々して、この
報酬請求権制度
のスタートを切りました当時は、まず
一般
の
ユーザー
の方々、
一般
の人々に
著作権
というものの思想の理解、認識というのが全然と言っていいほどなかったと思います。最近は、日本の至るところにカラオケを歌う会場ができまして、皆さん盛んにカラオケなどを歌っておりますけれども、そういうことによりまして、
一般
の人たちも、
著作権
というものが存在するんだということ、それから
著作権
というものはやはり守らなければいけないんだということ、そういうものの理解、認識がだんだんとついてきたというのが一番大きな要素になっているのではないかと思います。 そうして、私たち作家の
権利
というものに対しても、
一般
の人たちが、はっきり申しますと、作詞・作曲家、我々作家というのは月給もなければ退職金もなければ、すべて収入というのはなくて、言うなれば、作詞・作曲の作品が稼働し、使われることにおいて初めて
権利
というものが認められ、その
権利
の中から
一つ
の使用料を徴収し、その徴収を分配することにおいて作家というのは生活しているわけです。そういう作家というものに対する理解も
一般
の
ユーザー
の人たちにも持っていただけるようになったのではないかという気がいたします。 だから、
著作権
に対する理解、認識というのは、この四、五年といいますか、五、六年といいますか、その間にすごく
一般
の人たちも目覚めたと思いますし、それからマスコミとかなんとか、そういうものもいろいろと取り上げて記事にしていただける、そういうふうになったということですね。これも
一般
の人たちが
著作権
というものに対する理解、認識をいただける要因になったと思います。だから、こういうものは五年間ぐらいではなかなか実現しないものでして、十五年たってここまで来たというのは、私は、結果的には、そのぐらいの時間をかけてここまで来られたということは結構なことではなかったかという気がいたします。
宇都宮真由美
32
○宇都宮
委員
確かに、要するに
国民
といいますか皆さんの
著作権
に対する理解度が深まっていっているところに大きな原因があるんだろうと思うのですけれども、今回対象が
ディジタル機器
ということになっておりますことから
考え
ますと、ディジタルの
機器
の
開発
ということが今回この
制度
を改革するに至った大きな
理由
になっていると思うのですけれども、アナログの場合とディジタルの場合と比較しまして、
私的使用
というのがどのくらいディジタルの場合が多くなろうか、そのあたりをどのくらい多くなるとお
考え
になっていらっしゃるのか、そのあたりを
斉藤
さんにお伺いしたいと思います。
斉藤博
33
○
斉藤参考人
お答え申し上げます。 将来の予測という点になりますと、これは率直に申し上げまして、アナログからディジタルの
時代
に移行するであろう、このように予測してございます。ただいまはアナログ、ディジタル混在の
時代
でございますが、徐々にディジタル主流の
時代
に移っていくかと思います。したがいまして、将来的にはほとんど九〇%あるいはそれ以上ディジタルによる
複製
が行われてくるのではないかと思っております。 それから、先ほど、その前に御質問がございました点もあわせて触れてよろしゅうございますか。——十五年前との違い、その間どう変化したかという点でございますが、四つの点があろうかと思います。
一つ
は、ただいま御指摘がございました、ディジタルの
時代
を迎えつつある。この
ディジタル複製
が行われるようになりますと、そしてその
技術
が
普及
してからでございますと手おくれになる可能性がございます。
著作権
制度
に与える影響が極めて大きいということで
対応
を急いだという点がございます。 それから、あと三点ございまして、既に御
説明
がありましたように、
著作権
制度
への理解がこの長い十五年の間に深まってきた。先ほど
真鍋
先生から実態についての御質問もございましたが、
著作権
に対する意識、あるいはホームテーピングに対する
ユーザー
の意識、これも徐々に変わってきたということを申し上げることができるかと思います。 それから、
国際的動向
の変化もございます。 それから、
最後
にもう一点でございますが、西洋と違いまして、西洋の場合でございますと、
権利者
がみずからの
利益
を
保護
するためにまず裁判所で争うというステップがございますが、
我が国
の場合、メンタリティーが違いまして、
関係者
の間でじっくり話し合う、こういうことをいたしてまいりました。極めてマイルドな
方法
でございます。結果としましては、これは時間がかかることになろうかと存じます。 簡単でございますが、
説明
させていただきます。
宇都宮真由美
34
○宇都宮
委員
斉藤
先生は
著作権審議会
の
委員
もなさっていたということなんですけれども、いわゆるこの
補償金
を受ける
権利
ですね。その
権利
の主体として、
著作権者
と
実演家
と
レコード製作者
ということが上がっているのですけれども、そのほかに、例えば映画監督とか演出家とか、そういう
補償金
を受ける主体について何か
審議
会の中で問題になったことはございませんか。あれば教えていただきたいのです。
斉藤博
35
○
斉藤参考人
お答え申し上げます。 ただいまのところは
権利者
三者を
考え
てございますが、これは
具体
的に討議をしたかどうかはっきり記憶してございませんが、放送
事業
者をどう位置づけるかという問題がございます。放送を
家庭等
で
複製
されるということになります。しかし他面、放送はやはり
複製
を助ける側でもあるという微妙な立場にございます。国によりまして、この放送
事業
者の位置づけ、やはり結構苦労しているところかと思います。 それから、ただいま御指摘がございました映画の場合でございますね。これは非常に特殊な問題があるのではないかと思います。御存じのように、
著作権法
の二十九条によりますと、
著作権
は映画製作者に帰属する、こういう
制度
になっております。したがいまして、監督等は
著作者
ではございますけれども、
著作権
がないということで、将来
録画
等につきまして積極的に
補償金
の
支払い
を求めていく場合につきましても、やはり
権利者
の中には監督が加われないという問題がございます。これは
具体
的な運用でその辺はカバーしていく、あるいは前
段階
の監督等の
著作者
と映画製作者との間の契約によってきめ細かな
対応
をしていく、こういうことが必要であろうかと存じます。
宇都宮真由美
36
○宇都宮
委員
石本
先生にお聞きしたいのですけれども、先ほど
真鍋
さんもちょっとお聞きになっていたと思うのですけれども、いわゆる
著作権者
の
団体
というのは強制加入じゃなくて任意加入だと思うのですね。そういう
団体
に加入しなくても著作活動というのはできると思うのです。加入していないそういう方も、本来は
補償金
の分配に、今回の
制度
のシステムからいえばあずかってしかるべきだと思うのですけれども、
著作権者
の
団体
に
著作者
が加入している
状況
、そのあたりはどうなっているのか、ちょっとお聞きしたいのです。
石本美由起
37
○
石本参考人
いろいろ物を書いている人で、
著作権
協会なら
著作権
協会、
著作者
の
団体
に加盟してなくても、その人たちも分配の対象になるのではないかなということですけれども、やはりそういう人たちには、じゃその人が、どこにどういう人がいらっしゃるかということ、そういう人に名のり出ていただくというか見つけ出すというか、そういうことができれば、それは
一つ
の
考え
方としてまた
検討
もしてみたいと思いますけれども、今のところほとんど、作詞とか作曲とか、そういうのをやっている方々というのは
日本音楽著作権協会
の会員になっていますので、例えば
著作権
協会の会員でなくて、それに該当する物を書く人がどこにいらっしゃるかといってもなかなか難しいのではないかなという気がします。ただ、詞を書く人も曲を書く人も、
著作権
協会の会員ではないけれども、
著作権
協会の会員である出版社がありますね、その出版社と契約を結んで仕事をしていて、
著作権
協会の会員にはなってないという方はいらっしゃいます。その人には、やはり
著作権
協会から分配したものが出版社に行って、出版社からその人へ渡すということはあり得ると思います。
宇都宮真由美
38
○宇都宮
委員
著作権者
の
団体
というのは出版社も加入しているのですか。(
石本参考人
「はい」と呼ぶ) では、
最後
に
斉藤
先生にお伺いしたいと思うのですけれども、日本の
著作権法
、これは
外国
と比較して遜色ないところまで今来ているというふうに多分おっしゃられたと思うのですけれども、今後
著作権法
の問題で私たちが
考え
ていくべき点、
検討
課題といいますか、そういうのが今ございましたらちょっと教えていただきたいのです。
斉藤博
39
○
斉藤参考人
お答え申し上げます。 非常に大きな、しかし重要な御質問でございます。
我が国
の法制は、
著作権法
に限りませず大陸法系の立法をいたしていると存じます。ただいま
国際著作権界
におきましては大きな動揺がございます。それは、
一つ
は、英米法系
諸国
のとりますコモンローアプローチ、それからもう
一つ
は、日本も含めましたヨーロッパ大陸法系
諸国
がとりますコンチネンタルアプローチ、この二つが大きく激しく対立している
状況
でございます。
先進諸国
の間におきましても対立してございます。これはどういう効果が出るかと申し上げますと、
一つ
は、
我が国
のような大陸法系
諸国
におきましては、オーサーズライト、クリエーティブな精神作業をなしました
著作者
を
保護
するというところに力点があるのでございますが、コモンローの国々、イギリスやアメリカにおきましては、プロデューサーの
保護
にも力点を置くということで、その力点の置き方が違ってまいります。 これは将来どういう形に影響を与えていくかといいますと、例えばサウンドレコーディングズ、
レコード
の製作者をどう位置づけるのか、そういった製作物を
著作権法
の中にどう位置づけるのか、こういう問題が立場によりまして変わってまいります。
国際著作権界
におきましては、
著作物
につきましては
ベルヌ条約
によって
保護
する、
レコード
等につきましてはローマ
条約
によって
保護
する、こういう区分けがあるのでございますが、ただいまのような二つのアプローチが
一つ
のコンプロマイズをいたしますと、どうも場合によりましては、
ベルヌ条約
とかそういう大きな
条約
の中に、ただいま
我が国
等におきまして隣接権者として
保護
している方々も含めてしまうのじゃないか。これは全く
個人
的な予測でございますが、それほどの動揺がございます。その縮図といいましょうかひな形が、既にECのハーモナイズの作業の中で行われております。ECが一九九二年、本年の末をめどにさまざまな側面で
著作権法
のハーモナイズをいたしておりますが、この成り行きが将来の
国際著作権界
の行方にも大きな影響を与えますし、
我が国
の
著作権法
にも影響を与えてくるのではないかと思います。 簡単でございますが、
説明
させていただきました。
石本美由起
40
○
石本参考人
ちょっと追加させていただきたいのですが、先ほどの未加入者についてのことですけれども、そういう人がいたらどうするかという御質問をいただいたのですけれども、今後
指定管理団体
という受け皿の組織というものをつくりますけれども、その中で、もし未加入者がいまして、そしてその人たちが例えば
権利
を主張する、そういうことがあった場合は、そういう人たちがもしあると仮定してクレーム基金というものもその組織の中に設けて、もしそういうことがあった場合は、そういうふうな
対応
をしていきたいというふうに
考え
ておりますので、一言つけ加えさせていただきたいと思います。
伊藤公介
41
○
伊藤委員長
ありがとうございました。 次に、
平田
米男
君。
平田米男
42
○
平田
(米)
委員
お二人の
参考人
には大変お忙しい中おいでをいただきまして、ありがとうございます。 まず、
斉藤参考人
からお伺いをさせていただきたいと思いますが、今回の改正によりますと、三十条に二項を追加して
ディジタル方式
の
録音
・
録画
については、
録音
・
録画
を行う者が相当な額の
補償金
を
著作権者
に支払わなければならないということになるわけでございますが、これまでの三十条の原則は、
私的録音
・
録画
は自由かつ無償である、こういうことになっていたわけでございますが、この二項を追加することによって原則が変わったというふうに理解をしていいのかどうか、まずこの点についてお伺いをいたします。
斉藤博
43
○
斉藤参考人
お答え申し上げます。 結論は、原則は変わっていないと存じます。これは
複製権
を制限することの補償として二項を設けたということではないかと私は理解してございます。いずれにしても、
複製権
を制限することにおきましては変わりがないところでございます。
平田米男
44
○
平田
(米)
委員
もう少し御
説明
をいただきたいと思うのですが、確かに条文の体裁は原則は自由であるというふうには書いてあるわけでございますが、今後ディジタルの方式による
録音
・
録画
が一〇〇%を占めることを予測して、今回アナログは捨ててディジタルに対してだけ
補償金
を要求する
制度
を設けたという御
説明
があったわけでございますが、そうなりますと、
私的録音
・
録画
は全部ディジタルで行われるということになれば、それに対して
補償金
を払うということは、原則が変わったというふうに理解もできるのではないかというふうに思うわけでございますが、そうではない、原則はどこまでも自由かつ無償であって、例外的に有償になるんだ、こういう
お話
かと思うのですが、その辺もう少しわかりやすく御
説明
をいただければと思います。
斉藤博
45
○
斉藤参考人
お答え申し上げます。
著作権
、特に今回の場合は
複製権
の制限という問題でございますが、制限の仕方には複数のものがございます。ただいま御指摘のように、無許諾、無償という制限の仕方がございます。これは一番厳しい制限の仕方でございます。それから、もう
一つ
は、無許諾で自由に
複製
することは差し支えない、しかし何らかの
金銭
の
支払い
が必要である。ですから、
複製権
の中で非常に重要な部分であります許諾権の行使が
権利者
はできないわけでございますね。しかし、今回の三十条の二項は、そういう点では
利益調整
規範として
考え
ていくことができるんではないかと思っております。無断で無許諾で
複製
することができる、これは変わりがないわけでございますね。しかし、やはり一方にどうもしわ寄せが出る可能性があるということでございますと、それは
金銭
によって
利益
を
調整
していく必要があろう、
家庭等
での
複製
でございますから、そう大きな額ではございませんが、何がしかの
金銭
を支払って
利益調整
をしよう、こういうことではないかと存じます。
平田米男
46
○
平田
(米)
委員
録音
・
録画
するについて許諾を要しないという点では原則は変わらない、自由という
意味
では変わらないということはわかりましたが、ただ、無償であるということについては変わったというふうに今の御
説明
ですと理解をするわけでございますが、違うのでしょうか。
斉藤博
47
○
斉藤参考人
お答え申し上げます。 この無許諾、無償が無許諾のみになったという限りにおきましては、変更があった、このように
考え
てよろしいかと思います。 以上でございます。
平田米男
48
○
平田
(米)
委員
それから、この
補償金
は、三十条の二項によりますと、
録音
・
録画
を行う者が
著作権者
に払う、これが本来の
補償金
の
支払い
義務者と
支払い
請求
権者ということになるわけでございますが、しかし、実際上はその当事者が
請求
することは許さなくて、
指定管理団体
がすべての
権利
を集めて、そしてまた
録音
・
録画
を行う者に直接
請求
するのではなくて、
録音
・
録画
に関する
機器
及び
機材
でございますか、それを製作する者に
請求
をする、こういう格好になるわけでございますが、これは
技術
的にこういう
方法
をとらないと回収ができないといいますか、取り立てができないということではよくわかるわけでございます。しかし、三十条二項の
権利
関係
の建前からすると大変変わったやり方になっているわけでございますが、これは
補償金
請求
権という
個人
の
権利
、
著作権者
の
権利
というものをこのように
法律
によって強制をして、全国で単一の
指定管理団体
に集めさせてしまって、そしてその
権利
の行使について全く
権利者
本人の意思にかかわらしめない、こういうような法的構成を行うことあるいは
技術
的
措置
を行うということは、この
著作権
という私的
権利
に何らかの変質をさせるのではないか、さまざま法的な問題点があるのではないかというふうに思うのですが、その点について
斉藤
先生はどのようにお
考え
でございましょうか。
斉藤博
49
○
斉藤参考人
お答え申し上げます。 非常に重要な御指摘でございます。
一つ
考え
られますのは、やはり新しいテクノロジーの
時代
におきましては、こういう
方法
も
一つ
の解決策ではないのかな、このように思うわけでございます。
家庭
など私的領域に高度の
技術
、
複製技術
もそうでございますが、こういうものが入り込めば入り込むほど法的次元では画一的に処理する方が妥当ではないか、こういう
考え
方も出てまいります。個々の
利用者
に
権利者
が
請求
するという、これがまず大
前提
で、三十条の二項にございますけれども、これは
権利者
が
利用者
の私的領域に介入することを認めることでもあるわけでございますね、個々に
請求
するということでございますと。
利用者
の
家庭
を訪ねまして、あなたはこの絵を
録画
していたではないか、あるいは
録音
していたではないか、こういうようなことをするということは甚だ妥当ではない。やはりどうも新しい
時代
に入りますと、
家庭
に余り介入しないで処理する
方法
としましては、
一括
、包括処理というのでございましょうか、画一的な処理も、不正確な部分が残りますけれども、せざるを得ない、こういうことではないかと思います。 先ほども触れさせていただきましたが、かつて
ドイツ
におきまして
利用者
に
支払い
を求める、こういう案をつくった
段階
がございます。これは理想的ではあるけれども、やはり好ましくないのではないか、こういう指摘がございました。そして、次善の策としまして、
製造者
とか
輸入業者
が支払う、こういう仕組みに変えてございます。これは確かに
一つ
の
考え
方であろうかと思います。 以上でございます。
平田米男
50
○
平田
(米)
委員
必要性
については十分わかりました。このような
技術
的な
措置
をとらないと
補償金
の
請求
はできないということはよくわかるのですが、このような取り立ての
方法
を
法律
によって強制をする、そういうことによって現在の
著作権
というものが変質をするのではないか、さまざまな法的問題点が出てくるのではないか、私もまだよくわからないものですからお伺いをしているわけでございますが、その点についての先生の御指摘をいただければというふうに思うのでございます。
斉藤博
51
○
斉藤参考人
お答え申し上げます。 私は、ただいま
法律案
に出ております特例の方でございますが、これはやはり過渡的な
措置
と
考え
ることができるような気がいたします。将来的には、
技術
的手段を用いまして、三十条の二項、これが
実効性
のあるものに変わっていくのではないか、このように思います。特に、ディジタルを
前提
といたしますと、先ほどちょっと御
紹介
申し上げましたように、
デビットカード
とかこういう新しい
技術
を使いますと、個別的な
利用
も、しかも秘密を保持しながら把握できる、こういうことでございますから、将来的には、私の勝手な理想かもしれませんけれども、三十条の二項そのものが生きてくるのではないか。したがいまして、ただいまちょっと変質したのではないかという御指摘がございましたが、やはりオーソドックスな形に戻っていくのではないか、このように期待しております。
平田米男
52
○
平田
(米)
委員
先ほど
真鍋
先生が聞かれた点でございますが、ちょっとよくわからなかったので確認をさせていただきたいと思いますが、貸し
レコード
の点については、今後ディジタルで
録音
をする場合は、
補償金
といいますか、著作料の二重取りになるのではないかという御指摘があったのですが、もう一度それについてお答えをいただければと思うのです。
斉藤博
53
○
斉藤参考人
お答え申し上げます。 実質的には重なる部分があり得るかと存じます。しかし、実際に今回の
制度
を運用するに際しまして、
補償金
の額をどうセットするか、こういう問題がやはり絡まってくるわけでございまして、ただいま示されているような案でございますと、かなり低く抑えています。こういうところで
具体
的に
調整
していくのではないか、このように思っております。
平田米男
54
○
平田
(米)
委員
最後
に
石本参考人
にお伺いをさせていただきたいと思いますが、
補償金
の額を
機材
については三%、
媒体
でございますね、それから
機器
については二%、三年後にはそうなるということでございますけれども、これはアメリカと同じということに恐らくなるんだろうと思うのですが、この辺の、アメリカと同じという根拠ではちょっと薄弱でございまして、このパーセントが適切なのかどうかということが疑問になるわけでございます。また、諸
外国
の例によりましては、
機器
にはかけないという例もございますが、
機器
にも
我が国
はかけた、またそのパーセントの根拠。 どうも資料によりますと、
著作権
協会の方は定率じゃなくて定額方式を求めておいでになったということもございまして、その辺の経過とそれから
理由
について御
説明
をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
石本美由起
55
○
石本参考人
この問題は、
権利者
側とそれから
メーカー
側とで大変いろいろと交渉を重ねまして、互いの主張が相入れないというところもあったわけでございますが、これはやはり我々は、この
制度化
というものに対してお互いが、
権利者
もそれから
メーカー
も同じ方向を見詰めて、そして
一つ
のものをつくり上げていかなくてはいけないということでございまして、やはりそれはお互いの歩み寄り、お互いの妥協、そういうものもあったことは事実でございまして、最終的に、初年度、次年度の卸売価格が一%、三年度が同二%というような
一つ
のパーセンテージにおさまったということなんでございます。
平田米男
56
○
平田
(米)
委員
どうもありがとうございました。
伊藤公介
57
○
伊藤委員長
御苦労さまでした。 次に、
山原健二郎
君。
山原健二郎
58
○山原
委員
今回の
報酬請求権制度
の創設、十五年来の
関係者
の皆さんの懸案であったもので、本当に大きな意義を持っておると思います。また、お二人の
参考人
の御
説明
を聞きましても、大変苦労された経過がありますから非常に迫力のある御
意見
を陳述していただいたと思っております。敬意を表明します。 日本共産党としましても、今回の法改正に賛意を表明する立場で、以下幾つか質問をいたしたいと思います。 第一は、
斉藤参考人
にお願いしたいのですが、
補償金
がかかる対象が
ディジタル方式
の
録音
・
録画機器
・
機材
に限られて、
アナログ方式
は対象外となった点であります。
著作権審議会
第十小
委員会
報告の中にも、
アナログ方式
による
録音
・
録画
と
ディジタル方式
による
録音
・
録画
とは
著作物
の
利用
という観点からは理論上区別すべき
理由
はないと述べております。
著作者等
の
利益
を害している状態というものは現にあるわけでございまして、そのほとんどすべてが、現在
一般
的に
普及
している
アナログ方式
によって
利益
が損なわれているのですから、
アナログ方式
の
録音
・
録画機器
・
機材
を対象外とするというのは、こうした実態論からいっても納得いかないという面が残るわけでございますが、この点はどんな議論が行われたのでしょうか。簡明に御
説明
いただきたいのです。
斉藤博
59
○
斉藤参考人
お答え申し上げます。 結論は、やはり現
段階
におきまして現実的な
対応
が必要であろうかということで、まずはディジタルから
対応
していくということであったかと存じます。アメリカを除きまして、これまで
先進諸国
が
私的録音
・
録画
問題を
検討
してきたわけでございますが、いずれもアナログ
段階
での
複製
でございました。
我が国
は、御指摘のように、
ディジタル方式
の
複製
に焦点を合わせているわけでございます。しかし、これは
報酬請求権制度
から必然的に導き出されることではない、このように思っております。したがいまして、先ほどアナログは捨てたという御指摘がございましたが、必ずしもそういうことではない、このように思っております。
山原健二郎
60
○山原
委員
石本参考人
に。
録音
の場合、最近の
ディジタル方式
の
機器
・
機材
が
一般
民生用として商品化されていますが、広く
普及
するには時間がかかると思います。そうなると、当面の
補償金
徴収額はわずかな水準にとどまってしまう。圧倒的量のアナログ
機器
・
機材
での
私的録音
による
利益
侵害の大きさに対しまして
補償金
の配分額がとても見合わないということになりはしないかという懸念の声もあったと思います。この点を
日本音楽著作権協会
はどうお
考え
になり主張されてきたか、お伺いしたいのです。先ほど、除くことがより賢明であるという
お話
もありましたので一応わかりますけれども、なお御
説明
いただければと思います。
石本美由起
61
○
石本参考人
この
私的録音
・
録画
問題、
報酬請求権
の問題に対しまして作家の立場から申しますと、やはりアナログはぜひ入れてほしいということを我々側としては持っていたわけでございます。ただ、交渉の過程におきまして、我々がアナログというものを強く余り主張してまいりますと、これにこだわり過ぎまして、そしてこの
制度化
というものがもっともっと時間が先に延びてしまうのではないかということも
考え
ました。そういうことを
考え
ますと、やはり我々も
メーカー
との接点というものを求めることが賢明な策だというふうにも
考え
まして、そしてアナログに対する主張は放棄しまして、このディジタルに対しての
考え
方というものをまとめていったわけでございます。だから、ディジタルというものですので確かに
補償金
的な額というものは少なくなるということですが、これはこの
制度
を発足するためには
一つ
の試練のときだと思いまして、ディジタルだけにということで、今回の交渉というものをまとめてきたわけでございます。 この新しい
制度
を円滑に
導入
するに当たりましては、本当に最終的な負担をする
一般
の
消費者
の御理解を得ることが最も大事なことでして、
メーカー
はもちろんのこと、やはり
ユーザー
の方々も、そこまで
権利者
が主張するということに対しての理解といいますか、そういうものもいただけなかったということもつけ加えて御報告をさせていただきたいと思います。理想というものと現実というものがありましたら、理想というものは大切なものですけれども、やはり現実をとらえて、現実の処理をせざるを得ないという場合は、やはり現実に比重を置いて
対応
をするということが大切だということで、結果的にはこういうことになってしまったわけでございます。これも今度の
報酬請求権制度
の
制度化
に対して我々が苦慮し、また結果的にはこの道というものを選んだわけでございます。
山原健二郎
62
○山原
委員
もう
一つ
斉藤参考人
の方に伺いたいのですが、特に
録画機器
の場合、まだ
ディジタル方式
の
一般
民生用商品は発売しておりませんし、当面は
補償金
は配分されない事態が続くことになります。たとえ商品化されましても、急速に市場占有率を高めるかどうかということは不透明でございますし、私的
録画
によって
利益
を害されている
関係者
の懸念は一層強いのではないかと思います。この点で、私的
録画
にかかわる
団体
代表などからは
著作権審議会
の場でどのような
意見
が開陳されたのでございましょうか。この点も伺っておきます。
斉藤博
63
○
斉藤参考人
お答え申し上げます。 アナログかディジタルかということにつきましては、第十小
委員会
では截然と区別しないで
審議
をしてまいりました。これは先ほど申し上げましたように、
報酬請求権制度
の本質から
考え
ますと、アナログとかディジタル、これは区別する
理由
がないわけでございます。しかし、ただいま
石本参考人
からも
お話
ございましたが、やはり現実的な
対応
としまして、まずディジタルから何らかの
制度
を設ける必要があるだろう、こういうことでディジタルの方に傾斜して踏み切ったところでございます。当面はそういう形になろうかと思います。 それから、もう
一つ
御指摘がございました
録画
の方でございますが、確かにディジタルに限定いたしますと、いまだ動画のメモリーの
開発
が十分にはなされていない。特に民生用の
機器
につきましていまだ
開発
がなされていない、こういうことでございます。しかし、この種の
技術
も急速に
開発
されつつあるわけでございます。そう遠い先ではない
段階
で動画のメモリーも民生用のものができてくるはずでございます。当面も、さしあたっては
録画
につきましては御指摘のような状態になるかもしれませんが、これはそう長い間ではない、このように思っております。
山原健二郎
64
○山原
委員
現実的
対応
は、また理想の問題と関連しますから質問をしにくい面もあるわけですが、私としましては、理論的にも実態論から見ましても、
補償金
をかげる対象として
アナログ方式
の
機器
・
機材
も含めるのが筋だと思うのです。この点につきましては、今後の
録音
・
録画機器
の
普及
動向
、それから
権利者
の意向なども踏まえまして、ぜひ適切な見直しについて引き続き
検討
をお願いしたい、こういうふうに思うわけでございますが、この点についてお二人から、簡単で結構ですが、御
意見
を伺っておきたいのです。
石本美由起
65
○
石本参考人
ただいま貴重な御
意見
を伺いましたけれども、私たちもそのように
考え
ておりますし、これからもより努力いたしまして、
権利者
の立場というものを
考え
ながらこの問題に
対応
してまいりたいというふうに思っております。
斉藤博
66
○
斉藤参考人
お答え申し上げます。
録画
につきましての
対応
でございます。これは現
段階
におきまして
権利者
への配慮、これは十分でないことは確かでございます。しかし、この
報酬請求権制度
自体から
考え
ますと、やはりディジタル、アナログを区別せず
一つ
の
制度
をつくり上げる、こういうことが理想でございますので、
機会
がありますごとに
関係者
でこの点は
協議
をしていく必要があろうかと思います。 それから、もう
一つ
は、
録画
につきましても、ディジタルに移行します
段階
、これが比較的早い
段階
に来るといたしますと、アナログにつきまして多くの精力を注ぐよりも、場合によりましては、かえって新しい
技術
への
対応
を積極的に
考え
る必要があろうか、両面あろうかと存じます。
山原健二郎
67
○山原
委員
あと二、三分時間がありますので、
一つ
は
斉藤参考人
に、世界の十六あるいは十七カ国ほどで
報酬請求権制度
あるいはそれに類した
制度
、税制が
導入
されておりますが、先ほど、今回の法改正は他国の
制度
にもないすぐれた点もある、一例として三十条二項の
規定
を挙げられましたが、そのほかにどういう特徴点がありますか。この点も伺っておきたいと思います。 それから、
石本参考人
には、今日まで随分長く御苦労されてきたわけですが、これからまだ何が残っているかという点について御報告いだだければと思います。
斉藤博
68
○
斉藤参考人
お答え申し上げます。 先ほどもちょっと触れた点と重なりますが、
一つ
は、ただいま御指摘のように、案の三十条二項にございますような、直接
ユーザー
が支払うという仕組み、これは世界的にも全く新しい
規定
でございます。しかし、それにとどめませんで、やはり現
段階
の
技術
を
考え
ますと、もう一
段階
、もう
一つ
第二
段階
を設けまして、特例として
製造者
または
輸入業者
の
協力
を得て包括的な徴収をする、
一つ
の
法律
の中にこういう二つの
制度
を盛り込んでいるという点は、これもまた非常にユニークなことであろうかと思います。 それから、その第二
段階
における
協力義務
、
メーカー
等、
製造者
等の
協力義務
でございますが、固有の義務としないで
協力義務
とした点、これもやはり特殊な
規定
の仕方であろうかと存じます。 それから、国際的にやはり誇れますのは、何といいましても内
国民待遇
を
前提
にしているということで、
外国人
の
権利者
もひとしく
保護
していこう、こういうことであろうかと思います。 そのほかあろうかと存じますが、ひとまずそのくらいにさせていただきます。
石本美由起
69
○
石本参考人
今後のことでございますが、本当にこれから始まる、これからスタートをするというわけでございまして、いろいろと懸案もございますし、これから充実させていかなくてはいけない、そういう問題もたくさんございます。 まず最初に、指定の管理
団体
、言うなれば受け皿になる
団体
をつくりまして、その
団体
をしっかりとした
団体
にしていきたいと思っております。また、近い将来ですけれども、
録画
等の問題に対しましても、これからより真剣に取り組んでまいりたいと思いますし、とにかく何から何まですべてこれからスタートすることでございますので、我々
権利者
間でいろいろな
意見
の交換をし、そうして我々の将来のために力強い足並みといいますか、それをそろえていきたいというふうに思っております。
山原健二郎
70
○山原
委員
どうもありがとうございました。終わります。
伊藤公介
71
○
伊藤委員長
御苦労さまでした。 以上で
参考人
に対する
質疑
は終了いたしました。 この際、
参考人各位
に一言お礼を申し上げたいと存じます。 本日は、大変お忙しいところを本
委員会
に御
出席
をいただきまして、大変貴重な御
意見
をお述べをいただきまして、大変ありがとうございました。
委員会
を代表して厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手) 午後零時四十五分から
委員会
を再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時五十三分休憩 ————◇————— 午後零時四十七分
開議
伊藤公介
72
○
伊藤委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 これより
政府
に対する
質疑
を行います。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
真鍋
光広
君。
真鍋光広
73
○
真鍋
委員
本日は
著作権法
の一部改正
法案
を
審議
いたすわけでございますけれども、
文化
、芸術というのはスポンサーがあって初めてその花が開くわけでございまして、昔は大富豪がおり、なにがおったわけでございますけれども、今日の
時代
では、税制公平なゆえをもってなかなか大富豪というのはできませんし、また存在しにくい。こういう
状況
のもとで、しかし我々が豊かな生活、人生を送っていくためには、やはり
文化
、文芸の花が咲かなければならないということでございまして、そういった
意味
合いにおきましては、
著作権法
をこのように順次整備していくということは、この
著作権法
がいわば現代のスポンサーという役割を果たすわけでございます。そういった
意味
合いにおきまして、長い間御苦労されました御
検討
の結果が今日の
私的録音
・
録画
に関する
一つ
の解決に向かっての大きな一歩を進めるわけでございまして、
関係者
の皆様方に対しまして心から敬意を表するわけでございます。 そこで、今回の改正の
趣旨
というのは、累次の本院の
附帯決議
の
趣旨
に沿うものでございます。そういった
意味
合いでも、本当に結構なことだと思うわけでございます。 そこで、
内容
の質問にわたってまいりたいと思いますけれども、これまで
著作権法
第三十条というところで、およそ「
著作物
は、
個人
的に又は
家庭
内その他これに準ずる限られた範囲内において使用する」、つまり、
私的使用
に関しては自由であり無償だ、こういう大原則でやってまいったわけでございますが、それに対しまして、一定の条件のもとではございますけれども、この際、
補償金
という形で
ユーザー
に対して、
利用者
に対して負担を求めていく、こういう
制度
に変わっていくということでございます。その場合に、やはり何といいましても
ユーザー
の
権利
、そういったものも十分に
考え
ていかなければいかぬわけでございます。 そこで、お伺いいたしたいわけでございますけれども、果たして現在の
私的録音
・
録画
の実態というものは
著作権者
などの
経済的利益
を害するというところまでいっておるのかどうか、そこの実態認識というものを少ししっかり教えていただきたいと思うのですが、いかがですか。
佐藤禎一
74
○
佐藤
(禎)
政府
委員
お尋ねの実態でございますけれども、これにつきましては、昨年、それからことしにわたりまして
関係者
による
調査
が行われているわけでございます。その
調査
は、
録音物
と
録画物
それぞれに分けて
調査
をいたしているわけでございますけれども、まず使用の実態という前に全体の
著作権
問題についての認知
状況
というようなものも
調査
をいたしております。
著作権
という問題の認知
状況
というものは累次の
調査
を通じまして逐次上昇してまいりまして、
平成
三年の
調査
におきましては八四%の人々が
著作権
問題というものを認知をしている。さらに、
私的録音
・
録画
問題について知っているかというようなことを尋ねましたところ、六四%の人々がそのことを知っているというような
状況
であるわけでございます。 なお、この
調査
におきましては、
録音物
と
録画物
等々につきまして実際にどのような
利用
をしているかという
調査
をしておりまして、
録音物
と
録画物
では多少
状況
が異なりますけれども、
録音物
につきましては、おおむね借りてきたCD等をコピーをしているというようなことが大きな実態としてあらわれているという
状況
にあるわけでございます。
真鍋光広
75
○
真鍋
委員
今の
お話
でまだ
説明
がないのですけれども、
著作権者
などの
経済的利益
を侵害している、こういう実態があるということが
一つ
前提
ではないかと思うのですが、そこはどう
考え
られますか。
佐藤禎一
76
○
佐藤
(禎)
政府
委員
これは一義的には判断をいたしかねるわけでございますけれども、先ほど御指摘のとおり、
現行著作権法
ができました
昭和
四十五年に、現在の自由かつ無償という三十条が設けられたわけでございます。そのときの議論として、国際的な基準であります
ベルヌ条約
九条二項で
権利者
の
利益
を不当に害することがないということを条件としてそういった
権利
の制限をしてもよい、そういう基準にのっとって立法をされたわけでありまして、当時の認識としては不当な侵害には当たらないであろうという判断でございましたけれども、逐次の実態を見るに従いまして、そのことについてはやはり疑念を感じている。
権利者
の経済的な
利益
を侵害するような実態が、特に今回のような
ディジタル技術
を駆使した
機器
の
開発普及
に伴って生じてくるのではないかということが今回の御提案の
一つ
の基礎になっているわけでございます。
真鍋光広
77
○
真鍋
委員
それは要するに、今度ディジタルということになるといよいよ侵害する、そういった分野に入ろうか、こういう認識だろうと思うのです。それがいわばアナログに対してはタッチしませんよ、踏み込みませんよ、こういう理屈だろうと思うわけでございます。 ただ、こうやって
ユーザー
に対して原則を変えて、課税といいますか、負担を求める、
法律
をもって負担を求めるということに進む以上は、そこのところで現状既にこうなんだ、もういっぱいまでいっておるんだ、こういう認識はやはりきちんと示されなければ、ディジタルはといったってまだほとんど見たこともないような話を、だからあらかじめ、これはちょっといかがなものかな。現にずっと侵害されるおそれがある、経済的に侵害されるおそれがあるということで、これまで
著作権
協会とかなんとかは十数年にわたって要望してきたわけだろうと思うのでございますから、そのあたりについてやはり一言示していただかなければいかぬと思うのであります。
佐藤禎一
78
○
佐藤
(禎)
政府
委員
先ほどから触れております
平成
三年の
調査
というものがございます。これは
権利者
の
団体
並びに
機器
の
メーカー
が共同して
調査
をしたものでございます。この
調査
によりますと、今日
録音
機能を持っております
機器
を保有しておる者が
調査
者全体の九〇%以上に達している。それから
録画機器
を持っている者も八三%に上っているというような数字がございます。その中で、
録音
・
録画
の頻度というものも
調査
をしているわけでございますけれども、これもある程度、
録音
経験については五割に近い者、これは若い人ほど実は多くなっておりまして、年齢別によって随分違いますけれども、多くの人たちが
録音
をしております。
録画
の方はそれに比べると若干頻度が低くなっているわけでございます。それからソース別に見ますと、
録音
等につきましては、
録音
源は自分で持っておるCD、あるいは
レコード
店から借りたCD、友人から借りたCD等といったものが多くなっております。一方、
録画
につきましては、どちらかと申しますとテレビの放送を別の時間に見るというようなことの
利用
が多い。ただ、実態の中でも、やはり貸しビデオ店等から借りたビデオ
テープ
等の
録画
もかなりに上っているという
状況
でございます。 そこで、これを総括してみます場合に、現行三十条というものが全く
権利者
の経済的な
利益
を侵害し違法
状況
になっているかということになりますと、現在の認識では必ずしもそこまでは到達をしていないのではないか。しかし、今回発売をされますディジタル機能を持った
機器
等による
録音
・
録画
を
考え
てみますと、これはもともとのソースの品質を劣化することなく
録音
し、かつ再生をすることができるという機能が高いわけでございますので、このことによって恐らくは格段に経済的な
利益
を侵害するおそれが高まるであろう、こういうふうに
考え
る次第でございます。
真鍋光広
79
○
真鍋
委員
そこで、このたびの
補償金
の対象として
機器
と
機材
と両方を対象にしておるわけですが、
外国
の例を見てみますと、例えばフランスであるとかオーストリアなんかは
機材
だけということになっておりますが、
外国
の事情を全部知っておかなければいかぬというわけじゃないですが、
機材
だけとしたのは何か
理由
でお知りおきのところがあるかどうか、そしてまた、この
法律
において
機器
と
機材
と両方取り込もう、これはどういう
理由
によるものか、そのあたりをお聞かせ願いたいと思います。
佐藤禎一
80
○
佐藤
(禎)
政府
委員
御指摘のとおり、
外国
の
状況
を眺めてみますと、国によって
状況
が随分異なるわけでございますけれども、オーストリアでありますとかフランスにおきましては
機材
のみ、つまり
テープ
だけに
補償金
の対象を課しているわけでございます。それに対しまして、
ドイツ
でありますとか、ごく最近立法されましたアメリカ等におきましては、
機器
と
機材
の両方に
補償金
を賦課するというようなシステムを設けているわけでございます。恐らく、
テープ
だけをその対象にするという
考え
方は、
録音
・
録画
の頻度の反映というものが
テープ
を押さえれば十分にわかるのではないかというようなことがその実質的な
理由
になっているのではないかと想像しているわけでございますけれども、私どもの今回御提案しております
考え
方によりますと、
録音
をする
機器
それから
機材
の両方があって初めて
録音
・
録画
が可能になるわけでございますし、また
補償金
を支払う
利用者
の立場ということを
考え
ますと、
機器
と
記録媒体
、
テープ
の両方にそれぞれ薄く負担を求める、そういう
補償金
制度
とする方が適当であろうというふうに
考え
た次第でございます。
真鍋光広
81
○
真鍋
委員
現在のアナログでの話でございますけれども、
機器
・
機材
両方の売上高というのは年間どのくらいになっておるわけですか。
佐藤禎一
82
○
佐藤
(禎)
政府
委員
恐れ入ります。ちょっと今手元に資料がございません。アナログの売り上げはわからないわけでございます。
真鍋光広
83
○
真鍋
委員
それでは後でまた伺わせていただいてもいいですけれども、要するに一体どのくらいの上がりになるのだろうか。これは要するに
権利者
の、
著作権者等
の
権利
を救済していこう、こういうことですから、それが微々たるものであったらこれはまた
意味
のないことになる、多額に過ぎたらこれはやはり
ユーザー
の立場も
考え
てやらなければいけない。重要な話であろうと思いますので、わかればまた教えていただきたいと思うのです。 そこで、少し教えていただきたいのですけれども、
補償金
という名のもとで
報酬請求権
というものをこれで実現していくわけでございますけれども、これの法的性格というのは一体どうなっておるのでしょうか。つまり、
補償金
というと何か損害賠償金でもないし、かといってまともな
請求
権のような色合いでもない。
補償金
、どこか何か中間的な色合いが出てよくわからない。法的性格について少し明確に教えていただきたいと思います。
佐藤禎一
84
○
佐藤
(禎)
政府
委員
御承知のように、現在
著作権
の一種類であります
複製権
というものがございます。この
複製権
の中身には、許諾をする
権利
、つまり、裏からいえば差しとめをする
権利
とそれから許諾をした場合に
報酬
を
請求
をする債権的な
権利
、この二種類のものを包含しているわけでございます。それに対しまして、三十条が定めておりますのは、そのいずれについても
私的録音
については制限をする。つまり許諾を差しとめる
権利
もない。自由に
録音
・
録画
できますし、また、それに伴って
報酬請求権
を行使することもできないということになっているわけでございます。 今回の
報酬請求権
は、それに対しまして、そのうちの債権的な部分、つまり、自由に
録音
・
録画
をする、差しとめをする
権利
は復元をいたしませんけれども、それに伴って生ずる損害についての
報酬
を
請求
をする、そういう債権的な
権利
を盛り込んだもの、こういうふうに理解しているわけでございます。
真鍋光広
85
○
真鍋
委員
つまり、許諾権をここで放棄するかわりに、債権的
請求
権を発生させる、こういう
意味
合いでございますか。
佐藤禎一
86
○
佐藤
(禎)
政府
委員
そのように理解をしていただいても結構かと思います。 私の理解では、一たん
著作権法
上、
複製権
というものが認められており、それが制限をされて、そのうちの一部分が復活をしたような形になるわけでございますけれども、整理としては、
委員
仰せのとおりだと存じます。
真鍋光広
87
○
真鍋
委員
そこで、この
補償金
の
制度
の仕組みでございますけれども、ちょっと伺いますが、これは
著作権者
の
団体
、
実演家
の
団体
、
レコード製作者
の
団体
、この
三つ
の
団体
が
指定管理団体
というものを
録音
及び
録画
に関してそれぞれ全国一本で
一つ
つくる。そしてこの
三つ
の
団体
がその
指定管理団体
に
請求
権の委託をするということでございまして、その委託を受けた
指定管理団体
が要するに
機器
・
機材
の
メーカー
などから蔵出しで徴収をするのでしょうか、どうでしょうか。
ユーザー
から取る前に
製品
が工場から出る蔵出しの
段階
で徴収されるのかどうか。
佐藤禎一
88
○
佐藤
(禎)
政府
委員
最初の御指摘の中で、
指定管理団体
はそれぞれの
著作権者
から
権利
の委託を受けてそれを行使をするのかということにつきましては、整理としてはそういうことで結構だと存じますけれども、通常の委託と異なりまして、個々の
権利者
が個別に委託をするのではなくて、
法律
上当然委託をされていく、こういうシステムをつくっていくということでございます。 後段お尋ねの実際の取り方のルールというのは、これから細部は詰めなければいけませんけれども、私どもの理解といたしましては、仰せのように、蔵出しのところでそれを押さえていくということで確実であろうというふうに
考え
ているところでございます。
真鍋光広
89
○
真鍋
委員
そこで、百四条の五をつけ加えて、
製造業者
等の徴収
協力義務
というものが
規定
をされているわけでございますが、これについて一体
製造業者
というのは幾つくらい
団体
があり、どうなっておるのか。つまり、これもアウトサイダーみたいなのができると変になりますので、そのあたりはうまく整理されておるのか。つまり、業界が幾つあって、その業界にはちゃんと
製造業者
が全部入っておるのでしょうね。ディジタルですからこれからのことですけれども、アナログの類推で結構ですが、そうでしょうね。その
製造業者
に了解を得ておるのでしょうか。 それから、もう
一つ
は、この
製造業者
がもしもずるをしまして、数字を間違えて、本当は一万台売ったのに、出したのに、八千台と出したときに、一体そのあたりの不正に対してはどういう罰則というのか、どういう追及の手段があり得るのか、そのあたりちょっと教えてください。
佐藤禎一
90
○
佐藤
(禎)
政府
委員
現在、この問題に
対応
するに当たりまして私どもが
協議
をしております
製造業者
の
団体
は二つの大きな
団体
がございます。
一つ
は
社団法人日本
電子機械工業会、EIAJと略称されている
団体
であります。いま
一つ
は日本磁気メディア工業会、MIAJと略称されている
団体
でございます。私どもこれらの
団体
とこの問題の初めからこの整理の仕方について御
意見
を伺いつつ、また御
協力
を得られるという、そういう御
意見
をいただきながら進めさせていただいているわけでございます。そのうち、これからディジタルの
機器
に相当するものを発売するであろうというものの社の数というものについては一応の
調査
がございます。 既に六十二年から発売をされておりますDATにつきましては、
録音機器
の会社が十七社、
記録媒体
の会社が十一社ございます。それから、ことしから発売になりましたDCCにつきましては、
録音機器
が三社、
記録媒体
が四社となっております。また、MDにつきましては、
録音機器
が二社、
記録媒体
が二社というような
状況
でございまして、いずれも先ほど申しました
団体
に加盟をいたしておりますし、またその中で、こういう取り扱いをするということについてはるる御相談をしながら進めさせていただいておりますので、
協力
をしていただけるものというふうに
考え
ている次第でございます。 なお、
最後
にお尋ねのように、何らかの形でその義務が履行されないという場合にどうなるかということでございますけれども、これは基本的には私権同士のことでございますので、罰則をもって強制するということではなく、義務違反があれば通常の民事上の手続によってその実現を求めるということになるのでございます。
真鍋光広
91
○
真鍋
委員
不正をどうやって——信頼でやっていくのでしょうけれども、そのあたりちょっと気になったものですからお尋ねしたわけでございます。 それで、最終的に
ユーザー
に来たとき、
機器
を買う人たちに来たときに、これは内税になるのですか。税といったらあれですけれども、要するに込められて、込みですよというのか、それともこれには九百八十円かかってますよというのを表示をされるのか、そこはどうなんでしょうか。 それから、もう
一つ
は、
ユーザー
というか
購入者
が、私は絶対そういった
録音
をしないんだからといいますか、これに当たるようなことはやりませんということ。つまり返還の
規定
がございますけれども、しかし、返還の
規定
というのはまず払った後で返還
請求
、こういう理屈ですから、その場で、店頭でもめごとが起こるということをどうやって回避するのか。そこのところはちょっと気になるものですから、ある程度の答えがいただければいいと思うのですが、いかがですか。
佐藤禎一
92
○
佐藤
(禎)
政府
委員
最初の表示の件でございますけれども、今回
法律
の附則におきまして、六月以内で
政令
で定める期日からというふうに若干余裕をちょうだいいたしておりますのは、その辺についての
製造業者
等の
準備
の必要があるからでございます。
具体
的には、各
製造業者
はパッケージにおきまして、この中に
私的録音
・
録画
の
補償金
が含まれているという旨の表示をすることを現在
考え
ているわけでございまして、小売においてそれぞれ買ったものにはそのものが含まれています……(
真鍋
委員
「金額は明示しない」と呼ぶ)金額は明示をいたしませんけれども、その旨を表示するということが現在
考え
られているわけでございます。 いま
一つ
は、クレームのことでございますけれども、これはもともと
一括
した補償を求めるという
趣旨
は、それぞれの
ユーザー
から個々の
権利者
が取り立てていくということは実現不可能であるということから統一的な処理が必要である、したがって、
指定管理団体
を設けて処理をするわけでございますけれども、本
法案
の中におきましても、こういった事務処理はすべて
指定管理団体
において行うということにいたしておりまして、個々の小売店頭でそのようなもめごとが発生をしないようにしているわけでございます。
真鍋光広
93
○
真鍋
委員
論理上は発生しないようになっていますが、実際は発生する可能性はあると思います。 それはそれとしまして、そこで、とにかく今のアナログの
普及
状況
というのは、
録音
に関しても
録画
に関しても八割、九割という
普及
状況
であるわけでございます。これがディジタルがいよいよ出たわけですけれども、出て、どんどん何年かのうちにすぐもう変わってしまうのだ、こういうことならよくわかるのですけれども、そこはやはり並行して残っていくんだということになりましたら、一部商品についてだけ負担を課する、競争上の制限を片一方にだけは課していく、こういうことになってくる可能性があるわけでして、そこのところはよほどよく
考え
ておかないと、この自由競争社会、自由経済の観点からいきまして問題が生ずると思うわけでございますが、そこはどう見ておられるのですか。もうアナログからすぐディジタルに、これは質的、つまり能力が全然違うのだからどんどん変わっていくのです、数年のうちに変わっていくのです、こんなことでしょうか、どうでしょうか。
佐藤禎一
94
○
佐藤
(禎)
政府
委員
これは見方でございますので、私といたしましても確定的なことはなかなか申し上げにくうございますけれども、
関係者
の
お話
を伺っている限りにおきましては、今後、従来のアナログ
機器
にかわって
ディジタル機器
の
普及
というものが急速に進むのではないかということが
関係者
の間では見通されておりまして、将来的にはディジタルの
機器
が主流になるというふうに予想する向きが多いわけでございます。そしてまた、今御指摘のように、従来
機器
との競争ということを
考え
ます場合に、
性能
という点におきましては、従来のアナログ
機器
とは格段に異なっておりますところから、
ディジタル機器
の
製造者
が今回の賦課金のゆえをもって特別の負担を強いられるものではないだろうというふうに見ているわけでございます。
真鍋光広
95
○
真鍋
委員
さて、それで
補償金
の額というのは、これは
指定管理団体
が原案をつくるというか、つくってくるのですけれども、それを
文化庁長官
が認可する、こういう
規定
になっておるわけですね。この場合に「
録音
又は
録画
に係る通常の使用料の額その他の事情を考慮した適正な額であると認める」、こういうことを書いてあるのですが、これはどういうふうに、適正というのは何から見るのでしょうか。
ユーザー
、払う側からいって適正というあれなのか、それとも
権利者
である
著作権者
からいって適正なのか。両方の適正は大きく離れておるから真ん中が適正なのか、ちょっとそのあたりをどんな感じで見ておられるのでしょうか。
佐藤禎一
96
○
佐藤
(禎)
政府
委員
補償金
の額の認可につきましては、今回の
法案
百四条の六の第四項に一応の考慮
事項
が掲げてございます。三種類のものがございまして、
一つ
は「三十条第一項の
規定
の
趣旨
」、二つ目には「百四条の四第一項の
規定
の
趣旨
」、そして
三つ
目には「
録音
又は
録画
に係る通常の使用料の額その他の事情」、こういうふうになっているわけでございます。 最初の「三十条第一項の
規定
の
趣旨
」ということにつきましては、これは
権利者
の許諾を得ることなく自由に行うことができる
私的録音
・
録画
というものが広く
国民
の間に
普及
をしている、今までそういう秩序の中でやってきたということから、それぞれの
購入者
の理解を得られるようなものでなければいけないという要素を掲げているというふうに理解をいたしております。 それから、「百四条の四第一項の
規定
の
趣旨
」ということにつきましては、
請求
の額というものが
権利者
の
権利保護
の
実効性
あるいはその
利用者
の利便ということを
考え
て、
補償金
の
支払い
の特例を
一括
の
支払い
という形で認めたという事情があるわけでございますので、
権利者
と
購入者
の双方にとって妥当な額になるようにという観点が示されているものと
考え
るわけでございます。 そして、
三つ
目の「通常の使用料の額その他の事情」ということの読み方でございますけれども、これは通常支払われます使用料の額とのバランスということと、それから加えて、
ディジタル方式
に限定をしたというような事情がございますので、さらには
外国
の事情その他を考慮して、少なくとも通常の使用料を上回るものであってはおかしいと思います。そういったことを総合的に勘案をすべしというふうに理解をしているわけでございます。
真鍋光広
97
○
真鍋
委員
なかなか総合勘案、難しいな、微妙なところであるなというふうなことを感じました。いずれにせよ、
製造業者
の立場、
ユーザー
の立場、そしてまた
権利者
団体
の立場、いろいろあるわけですから、ひとつ遺漏なき運用を今後においてお願いしたいなと思うわけでございます。 時間がだんだん迫ってまいりましたので、質問になるかどうかわかりませんが、
一つ
お願いをしておきたいのは、この
補償金
を受領する
団体
でございます。これの組織というのは、しっかり組織率を高めていただいて、クレーム基金をつくるらしいですけれども、いやしくも被害をこうむる
権利者
が出てこないようにひとつよろしくお願いしたいし、また、各
団体
への配分比率につきましても、私はよくわかりませんけれども、ひとつよく
考え
ていただかなければいかぬのかな、これは
時代
時代
で変わっていくものですから、そういう気がいたすわけでございます。 そこで、日本国内でこうやってだんだん
権利者
を
保護
していく法制が整備されて結構なことなんですが、海外において、特に東南アジアで、いわゆる海賊版ということで
著作権者等
の
権利
が侵害されていく、こういうことがあるわけでございますけれども、その点について少し伺いたい。 時間が来たので、今のはまた後で質問が出るかもわかりませんから、またこれは私の質問の
趣旨
というふうに受けとめていただきまして、
最後
に大臣にお尋ねを申し上げたいのですが、この
法案
が成立をすれば
権利者
の
権利
が一層保障されることになりますし、また
一般
の
利用者
との利害の
調整
もより適切に行われることになると思います。その差配ぶりは大変難しいことにはなると思いますけれども、今後、
著作権
制度
のさらなる改善に向けて、大臣の取り組み姿勢というものをこの際お伺いさせていただきたいと思います。
鳩山邦夫
98
○
鳩山
国務大臣 今先生の御質問と
佐藤
次長とのやりとりを承っておりまして、
著作権
をめぐる法改正を今お願いをいたしておりますが、実際にはその運用、例えば
団体
はどうなっておるかとか、あるいは適正な額というのはどういう概念であるか、今後のそういう運用も大きな課題であると思いますし、あるいは東南アジア、海賊版等の
お話
がありましたが、これは
我が国
がいわば
著作権
の、知的所有権の先進国となっていくことによって、いわば国際貢献の一環として、全地球的に
著作権
思想を
普及
する側の国になっていくというのが
我が国
に求められているところではないかと思うわけであります。 正直申し上げて、
著作権法
と科学
技術
の発達、あるいは
著作物
の
利用
形態、社会の
状況
等の変化、これが追いかけっこのような形になってきていると思いますし、こういうことが起きてきたからこういうふうに
著作権法
を変えましたということで、もう私が知っているだけでも六回も七回も改正をお願いしてきているわけでありまして、これからもまさに科学
技術
の発達のぐあい一社会経済事情の変化等を見まして、適宜適切な改善に努めていきたいと思っております。
著作権審議会
の
先生方
にいろいろと御
審議
をお願いをしているという点、あるいは当然
関係
団体
、
著作権
や
著作隣接権
をお持ちの
団体
の皆様方からの御要望、例えば、きょうも後で質問が予想されますが、映画の二次的な
利用
などという問題があって、かつてはそういうことはなかったのですが、今、昔の映画がいろいろな形で放映されるようになってくると、二次的な
利用
をするときに自分たちにも何らかの
経済的利益
をという声が強まっておりますが、そういう
関係
団体
からの要望というのもありましょうし、あるいは国際的な
動向
、こうしたものを見きわめながらやっていきたい。今後予想されるのは、例えばマルチメディアが発達した場合どうなるかとか、あるいは
レコード
の再生演奏の場合、あるいは写真の
著作物
の
保護
期間、あるいはコンピューターを用いて作製される創作物をどう見るか、あるいは版面権と前から問題になっておりますが、出版物の複写にかかわる
権利
の問題あるいは衛星放送など多様な通信手段の発達に伴って出てくる問題等いろいろありますので、当然、追われて改正をするということではありましょうが、できるだけ我々も
法律
の方も先へ行くように努力をしたいと思っております。
真鍋光広
99
○
真鍋
委員
終わります。
伊藤公介
100
○
伊藤委員長
御苦労さまでした。 次に、
宇都宮真由美
君。
宇都宮真由美
101
○宇都宮
委員
まず大臣に、今回のこの改正につきましては、
関係者
作権者等にとりましては十五年来の悲願といいますか、ずっと要望してきたことがやっと実現しそうであるということなんでございますけれども、今回のそういう背景から見まして、今回の改正案につきまして、できというか満足度、そういう
著作権者
の皆さんの声に十分こたえることができるものになっているかどうか、そのあたりの感想をちょっとお聞きしたいのでございますが。
鳩山邦夫
102
○
鳩山
国務大臣 先ほどのやりとりにもありましたように、これは今後の運用の問題、
報酬
金の額の設定は
文化庁長官
の権限に係らしめているのかと思いますが、あるいは
真鍋
先生から
お話
があったように、
団体
の組織率の
お話
もありました。それは
著作権者
側、隣接権者側の
お話
もありましょうし、また、
機器
・
機材
を作製する方で
技術
が発達していって、今ではどことどこがつくっているとはっきりわかっていますが、簡単にそういうものがつくれるようになれば、潜りの業者があらわれてきたらどうするかとか、そういう運用の問題等も含めて、今先生の
お話
に照らして言えば、できるだけ
著作権者
や隣接権者の方々に御満足いただけるようなハイレベルの特典を得られるような運用を目指していきたいというふうに
考え
るわけであります。 先生
お話
しのように、十年来、十五年来、二十年来の悲願という面があろうかと思っておりまして、そもそもが
著作権法
三十条というものを私も初めて読みましたときに、私的な
録音
・
録画
等、私的な
複製
というものは自由かつ無償だということが書かれてあって、私的というのはどういう概念でくくることができるのかなこと、非常にこれは難しい条文、問題の起きやすい条文だなというふうに私も最初から、初めて国
会議
員になったときから思っておったわけでありまして、例えば、そのときに起きた問題として貸し
レコード
という問題がありました。今、ガットのウルグアイ・ラウンド、昨年、一年前からいろいろなペーパーが出回って、これがどうなるかは農業交渉の推移によるのではないかと思われますけれども、私は、現在貸し
レコード
というような業態を
一つ
の若者
文化
としてこれを認めている立場にはありますが、実は、私は、衆議院の商工
委員会
に商工
委員
として、当時の安倍通産大臣に対して、貸し
レコード
という業は、
著作権法
三十条を巧みに
利用
した脱法行為というか、人の
権利
を侵害する行為であるからして、これを取り締まるべきであるという質問をいたしたことがございます。それも結局、この
著作権法
三十条というものをうまく解釈して、うまく手玉にとるような形でいきますと、ああいう貸し
レコード
が一時ぐんと伸びたような実態が生じるわけですね。そこで、いわゆる貸与権を一年間の許諾権と四十九年間の
報酬請求権
という構成をして現在に至っておるわけでございまして、あのときにも
著作権者
や
著作隣接権者
の方々とはしばしばお会いをいたしまして、この三十条という条文は非常に問題が起きやすいなどと
お話
をしておったわけでありますが、今回もこの三十条にいわば手を加えて、
文化
の再生産のためには
著作権者
や
著作隣接権者
がきちんと経済的に潤うことが必要でございますので、そういう観点から今回の改正をお願いをしておるということでございます。
宇都宮真由美
103
○宇都宮
委員
ただ、今回の改正がディジタルに限ったということですね、アナログは対象外ということ。その点は、
技術
的なものとして仕方がないという立場からそうなったのでしょうか、それともディジタルの場合だけに限って決めておけばそれで十分だという観点からそうなったのでしょうか。その点、いかがお
考え
でしょうか。
鳩山邦夫
104
○
鳩山
国務大臣 先ほどの与党質問の中で、どれくらいの上がりになるかというのは問題ですよという話がありましたが、ヨーロッパの例として百億とか百数十億というような数字を私は散見いたしましたが、それはどうもディジタルとアナログを区別していないケースかなというふうに思ったわけでございますが、しかし、
我が国
については、またアメリカもそうだったと思いますが、アメリカも立法したばかりだと思いますが、いろいろな事情があって今回アナログは含めないという形にしたと思いますが、その点については
佐藤
次長が詳しく御
説明
申し上げます。
佐藤禎一
105
○
佐藤
(禎)
政府
委員
今回の御提案の経緯については、先ほどお聞き取りをいただいたわけでございますけれども、現行法の秩序が
ベルヌ条約
で定めております国際基準、すなわち
ベルヌ条約
、パリ改正
条約
の九条二項に照らして、
機器
の発達の状態というものが
権利者
の
利益
を脅かすに至ったのではないかという事情が根底にあるわけでございます。殊に、
ディジタル機器
というものが出現をいたしてきますと、アナログに比べて高品質の
録音
・
録画
が可能でございまして、
複製
をしても劣化がないということから、
権利者
のこうむる不
利益
は大きいというふうに予想されるわけでございます。 この点は、
委員
御指摘のように、理論的に仕方がないのかということになりますと、実はこの問題を
検討
いたしました
著作権審議会
の第十小
委員会
の報告の中では、
著作物
の
利用
という観点から眺めてみれば、アナログとディジタルを区別すべき理論上の
理由
はないと
考え
ております。ただ、
ユーザー
や
メーカー
等の理解や
協力
を得てこの
制度
を円滑に
導入
をするということを
考え
ますならば、
ディジタル方式
のものに限定することが望ましいだろうというのが
著作権審議会
の結論でございます。 また、こういう
検討
結果を受けまして、
私的録音
・
録画
の
協議
会が
関係者
の間で持たれてきたわけでございますけれども、昨年の十二月来行われてまいりましたこの
協議
におきましても、
制度
の
導入
に当たっては、
補償金
の対象は
ディジタル方式
のものに限った方がよいということで
意見
が一致をしている、こういう事情があるわけでございます。
宇都宮真由美
106
○宇都宮
委員
ディジタル方式
の方に限った方が望ましいという根拠はどういうところにあるのでしょうか。
佐藤禎一
107
○
佐藤
(禎)
政府
委員
ただいま申しましたように、
一つ
はこういった
ディジタル機器
の
開発
発展に伴って
権利者
の受ける経済的な
利益
の損失というものが大きくなると想定をされるということ、いま
一つ
は
著作権審議会
が申しておりますように、
ユーザー
や
メーカー
の
協力
や理解を得ながらこの
制度
を円滑に進めていくというためには、
ディジタル方式
に限定をして進める方が望ましいということを根拠にしているわけでございます。 なお、十月の末にアメリカで類似の
補償金
制度
ができてございます。立法化されてございますけれども、今回のアメリカの
制度
の中におきましても、
ディジタル方式
の
録音機器
等に限ってこの
制度
を
導入
をしている、こういう潮流にもなっているわけでございます。
宇都宮真由美
108
○宇都宮
委員
今までのアナログに比べてディジタルの方が
権利者
の損失が大きいと予想されるということがディジタルに限る
一つ
の
理由
になっていると思うのですけれども、アナログと比べてディジタルの方がどの程度損失が大きいというそういう試算というのは
検討
なさいましたか。
佐藤禎一
109
○
佐藤
(禎)
政府
委員
数量的な
検討
といいますか、定量的にこれをつかまえるということは大変難しいことでございまして、そのことは基礎に置かれてございません。 ただ、
性能
面から見まして、定性的な比較になりますけれども、
アナログ方式
の
録音
・
録画
というものが再生、
録音
を繰り返すたびに劣化をしていくというそういう性質が大きいわけでございますけれども、
ディジタル方式
におきましては、原音を忠実に
録音
、再生できるという機能が大きいことから、その品質上の差異が格段に違っているということが議論されたわけでございます。
宇都宮真由美
110
○宇都宮
委員
ちょっとこの点また後で、ちょっと後のところに関連しますので後の方に回していただきまして、まず、今回三十条二項で
補償金
の
制度
が
導入
されるわけなんですけれども、この
補償金
請求
権といいますか、この
権利
についてお聞きしたいと思います。
著作権者
、そして
実演家
、
レコード製作者
に
補償金
請求
権というものを与えることになるのですけれども、この
補償金
請求
権と
著作権者
の
権利
、
著作権
だろうと思います。そして
実演家
の
権利
、
レコード製作者
の
権利
、それぞれの
権利
関係
について、ちょっと先ほどの質問もあったかとは思いますけれども、それぞれについてちょっと
関係
を教えていただきたいのですけれども。
佐藤禎一
111
○
佐藤
(禎)
政府
委員
著作権法
上の
権利
は、大別をいたしまして
著作権
と
著作隣接権
というものに分かれているわけでございます。そして
著作権
はこれまた
著作者
人格権と狭義の
著作権
に分かれているわけでございます。今回問題になっております
複製権
は、この狭義の
著作権
の一種の代表選手であるわけでございます。 この
複製権
の中身には、
一つ
には、許諾をすることができる、裏返して言えば差しとめをすることができるというような物権的な性格を持っているわけでございます。いま
一つ
は、許諾をした場合に相当の
報酬
額を得るという債権的な性質もあわせて持っているわけでございます。この
複製権
につきましては、三十条に該当する
私的録音
・
録画
の場合にはこれが制限をされている、つまり許諾権も
報酬請求権
もない、自由にかつ無償で行えるというのが現行のシステムでございます。
著作隣接権
についてもこのことは準用されているわけでございます。 今回のシステムにおきましては、この秩序を見直しまして、許諾権については現在のままである。つまり、自由に
録音
・
録画
できるわけではございますけれども、それに伴って生ずるであろう
利益
を
一括
の
支払い
として
請求
をすることができる。つまり、債権的な部分については、これを一種復元をしたというような形になっているというのが今回の
権利
の構造だろうというふうに理解をいたしているわけでございます。
宇都宮真由美
112
○宇都宮
委員
では、
著作権者
の場合と
実演家
の場合、
レコード製作者
の場合、それぞれ同じように、
著作権
あるいは
著作隣接権
との
関係
においては同じように
考え
てよろしいわけですか。
佐藤禎一
113
○
佐藤
(禎)
政府
委員
ただいま申しましたように、
著作権
についての制限というものは隣接権についても準用され、同じようなシステムになっておりますので、
委員
御指摘のとおり、同じようなシステムを働かせようとしている、こういうふうに御理解をいただいて結構かと存じます。
宇都宮真由美
114
○宇都宮
委員
そして次に、
補償金
請求
権を有する者として
著作権者
と
実演家
と
レコード製作者
が挙がっているのですけれども、この
権利
を有する主体としてほかに問題になった点はなかったか。 例えば、これは映画監督など問題になると思うのですけれども、このことは
著作者
が
著作権者
と認めていない、映画監督については、映画については。そのあたりに問題があろうかとは思いますけれども、
補償金
請求
権を有する者としてこの三者だけで十分とお
考え
かどうか。そのあたりの点をちょっとお聞きしたいと思います。
佐藤禎一
115
○
佐藤
(禎)
政府
委員
今回、このシステムを
考え
ます場合の
権利者
の範囲の
考え
方でございますけれども、これは
権利
が制限をされているということによって生ずる損失の補償というそういう
制度
導入
の
趣旨
からかんがみまして、もともと
録音
・
録画
権、つまり
複製権
を持っているということが
一つ
。それから、いま
一つ
は、
私的録音
・
録画
によってその経済的な
利益
が害されている、そういう二つの要素を考慮して決められるというふうに
考え
るわけでございます。 こういった観点から
考え
ます場合に、直接の対象となりますものは、御提案申し上げておりますように、原
著作権者
とそれから
実演家
、
レコード製作者
とすることが適当だと
考え
たわけでございます。 そのときに、そのほかにだれかいなかったのかという御質問でございますけれども、類似の
権利者
という立場に立ち得る者としては、放送
事業
者ないしは有線放送
事業
者というものが想定をできるわけでございます。 ただ、これらの
権利者
につきましては、放送というものはそもそも放送番組が放送され受信をされたことによって
目的
を達しておりまして、それ以後の放送に対する影響ということを
考え
てみました場合に、固有の
権利
が害されるという程度は極めて少ないというふうに
一般
的には
考え
られているわけでございまして、放送
事業
者等は今回対象としなくてもよいであろうということが結論として出されたわけでございます。
宇都宮真由美
116
○宇都宮
委員
放送
事業
者等はわかりましたけれども、映画監督とか演出家とか、映画の場合は
著作権法
自体がちょっと特殊に扱っていると思うのですけれども、そのあたりの点は問題になりませんでしたか。
佐藤禎一
117
○
佐藤
(禎)
政府
委員
映画の場合は、
現行著作権法
上、第二十九条によりまして、映画製作に参加をしたときには、それぞれの人々の原
著作権
の
著作権
は消えまして、映画の製作者に全部吸収されることになっているわけでございます。つまり製作に参加をしたときには映画の製作者が
著作権
を持つことになるわけでございます。したがって、今回
制度
を
考え
ます場合に、映画監督その他の参加をした人々はもともと
権利
が消滅をしておりますので、その対象とすることは
考え
にくいわけでございます。 むしろこの問題は、それより以前に、現在の
著作権
制度
上における映画製作についての
著作権
の取り扱いがどうかという別の次元の問題であろうかと
考え
ております。
宇都宮真由美
118
○宇都宮
委員
それはおっしゃるとおりでよくわかるのですけれども、では、もとに、一歩原点に返りまして、大体
著作権
というのは、そもそもが人間の精神的な労働といいますか、知的な作業に対して、その結果を
保護
しようというのが
著作権
の本来の
趣旨
だろうと思うのです。そういうふうに見れば、むしろ映画の場合は監督の方に
著作権
を残す方が本来の
趣旨
からいえば妥当ではないかと思うのですけれども、そのあたりは全く議論にはなっておりませんか、現在。
佐藤禎一
119
○
佐藤
(禎)
政府
委員
仰せのとおり、このことは
一つ
の課題にはなっているわけでございます。
著作権審議会
の中におきましても、このことの議論を行っていただいておりまして、本年三月に
著作権審議会
の第一小
委員会
で一応のまとめが行われております。 そのまとめの中身は、
一つ
は、映画の
利用
についての広範な影響を及ぼす可能性がある。この秩序の見直しということについては、映画の
利用
についての広範な影響ということを
考え
なければいけないということが
一つ
。 いま
一つ
は、映画の製作に当たって多くの
権利者
が参画をするわけでございますので、この多くの人々の
権利
関係
をスムーズに処理をするためのシステムという観点からこの問題を
考え
ていかなければいけない。
三つ
目には、
先進諸国
との
権利
のハーモナイゼーション、調和ということが問題になります。おおむね映画につきましては、諸
外国
も
我が国
の法制と同じように映画の製作者に
著作権
が帰属をするというシステムになっているものが
一般
的でございますので、それとの調和ということをかたがた
考え
ますと、現在の
著作権審議会
の認識によれば、直ちに
制度
改正を行うことは困難であるというふうな結論に立っているわけでございます。 ただ、これに派生をして、その映画の二次
利用
ということについては別の問題がまた派生をしてきておりまして、
著作権
が全部消滅をすることに伴い、最近の衛星放送その他の進歩に伴って映画が二次的に
利用
されるようになる、その
利用
についての補償が十分に与えられていないのではないかという観点が、特に映画監督等の
関係者
から述べられているわけでございますので、この点について
関係者
の
協議
会を持って
検討
するようにということが言われておりまして、現にこの
協議
会を発足をさせ、御
協議
をいただいている、そういう
状況
にあるわけでございます。
鳩山邦夫
120
○
鳩山
国務大臣 私は詳しいことはわかりませんから間違いがあるかもしれませんが、先ほどから
お話
をしておりますように、
著作権
という知的所有権は、人間の
文化
的活動の歴史とともに始まってまいりましたから、当然その
文化
の発達あるいはさまざまな科学や
技術
の発達に伴っていろいろ変化してきていると思うわけでございます。 したがって、今先生から映画の
お話
がありまして、私は詳しくありませんから本当細かい知識では間違っているかと思いますが、少なくとも、今私どもはテレビでいろいろなドラマを見ることができますし、またビデオ屋さんに行くといろいろなものが置いてあるわけですが、当初映画というものができたときには、これは映画館に見に行くものであったわけでございまして、そうした映画をつくって、これをだれが上映していいか悪いかということで、映画については頒布権という
考え
方があったはずです。今でもあるわけでございまして、たしか上映していいかどうかというのを
最後
の
最後
まで追いかけていく
権利
が映画にはある、こう言われているのですね。これは要するに、映画というものがいつごろの
時代
にどうやってできてきたかという、その沿革によっていろいろな
権利
構成が微妙に変わってきている部分があるわけでございます。ですから、今後その辺を
調整
をして
時代
に合わせていくのが
文化庁
の仕事になってくるという認識をいたしております。
宇都宮真由美
121
○宇都宮
委員
ありがとうございます。 じゃ次に、
補償金
請求
権の額ですね。これも先ほどから出ていると思うのですけれども、この額を決めるに当たりまして
協議
した当事者といいますか、これは本質的には
指定管理団体
が定めて
文化庁長官
が認可するということになっていますけれども、それまでにその額を定めるに当たりまして
協議
した当事者、そしてまた、どういうところからその額をはじき出したかという算定
方法
をちょっとお聞きしたいのですけれども。
佐藤禎一
122
○
佐藤
(禎)
政府
委員
今回御提案を申しております
制度
の基本は、昨年の十二月に
著作権審議会
第十
委員会
で示されたわけでございますけれども、この報告を受けまして、
関係者
による
私的録音
・
録画
問題の
協議
会というものが設けられまして、実際にどのような運用をしていくかということの
協議
がなされてきたわけでございます。この
協議
会には、
著作権者
あるいは隣接権者、それから
関係
の
機器
メーカー
の代表、さらには学識経験者、それから地婦連等の
消費者
の代表者も加えて、ここで細かい実行上のことが議論をされてまいったわけでございます。今回予定をされます金額につきましても、この場におきまして皆様で御
協議
をしていただき、それぞれ了解を得るに至った金額というもので当初スタートをしようというわけでございます。 理論的には、先ほど私から
お話
申し上げましたように、法文上
一つ
のクライテリアがあるわけでございますけれども、実際の金額というものは、そういう
関係者
の場で、間で
協議
をし、円滑に実施が進められるようにという観点から
考え
、
検討
されてきているわけでございます。実際の金額としてこの場で現在了承を得られておりますのは、
機器
につきましては、一年目、二年目は一%、三年目は二%に、
機材
については、一年目、二年目は一%に、三年目は三%にというような金額が合意に達している、こういう
状況
でございます。
宇都宮真由美
123
○宇都宮
委員
著作権
あるいは
著作隣接権
の評価というのは難しいと思うのですけれども、
著作権
の評価といいますか、そちらの方からはじき出した額ではないのでしょうか。
佐藤禎一
124
○
佐藤
(禎)
政府
委員
こういう
制度
がもしなくて、かつ
権利
の制限がないとした場合に
複製権
の侵害に対してどういう金額を
請求
できるかということが
一つ
問題になるわけでございます。この算定は個々のケースに即してやらなければなりませんので大変難しゅうございますけれども、
一般
的には、それによって
利益
を得た場合には、それは損害額とみなすというような
規定
がございまして、それはかなりの金額に恐らく上るだろうと思います。しかし、これは確定できる金額ではありません。 一方、この
制度
では、今回
機器
と
機材
に広く薄く
一括
した
補償金
をかけるということによって
権利者
の
権利
を保障しよう、そういう
趣旨
を
考え
、かつまた、
利用者
側の立場を
考え
ますと、そういった通常の金額というような金額に上ってはならないだろうという配慮が働くわけでございます。その金額が定量的に幾らであるかということはちょっとお答えすることはできませんけれども、これは経験もあり、いろいろ各国の実情ということも見ながらおおむね妥当なところへ定まっていくもの、このように
考え
るわけでございます。(「
委員長
」と呼ぶ者あり)
伊藤公介
125
○
伊藤委員長
ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
伊藤公介
126
○
伊藤委員長
それでは速記を起こしてください。 質問を続行してください。宇都宮君。
宇都宮真由美
127
○宇都宮
委員
多分
補償金
の額のことを聞いていたと思うのですけれども、両方とも一年目は一%でしたかと定めた場合に、初年度に
指定管理団体
に入ってくる額の試算はどの程度とお
考え
になっていらっしゃいますか。そして、その将来の見通しにつきまして、もししていらっしゃれば教えていただきたいと思います。
佐藤禎一
128
○
佐藤
(禎)
政府
委員
これは見通してございますので、これもなかなか確定的に申し上げることができませんけれども、
関係者
の見通しによりますれば、
平成
五年度での市場規模は、
機器
と
記録媒体
を合わせまして約四百億円というふうに推計をされているわけでございます。そのことから計算をいたしますと、
補償金
総額は恐らく二億五千万円程度になるのではないかというふうに推定をされているわけでございます。 その後の推定はなかなか難しゅうございますけれども、
平成
七年度の売上総額というのはおよそ一千億程度になろうか、そういうような推計もございます。
宇都宮真由美
129
○宇都宮
委員
七年で一千億というのは、
機器
、
媒体
の売り上げですよね。
機器
、
媒体
の売り上げからその
指定管理団体
に入ってくる額というのは、どういうふうにして計算するんですか。
佐藤禎一
130
○
佐藤
(禎)
政府
委員
これは、売上額はそのものが推計であります上に、その中で
機器
のお金と
機材
のお金をどのように割り振って計算をするかというのは大変難しいところがございます。先ほど申しました
平成
五年度の
補償金
の額を計算をいたしました場合には、およそ
機器
が八割、
記録媒体
が二割というような割合で計算をして二億五千万というような推計を申し上げたわけでございますけれども、それを延ばしてまいりますと、
平成
七年に一千億の市場規模が達成をしたというふうに想定をいたしますと、
補償金
額、その総額は約十三億四千万円というふうに推定をしているわけでございます。
宇都宮真由美
131
○宇都宮
委員
それから、ちょっと飛ぶのですけれども、
私的録音
とか
録画
以外に
利用
するということを証明した場合に
補償金
を返してもらう、還付を求められるというのがありますね。その
制度
についてちょっとお聞きしたいのですけれども、むしろ私、なかなか一遍支払ったものを、例えば
個人
なんかだったら額も少ないし、一々還付の手続をするのは面倒くさいということで、むしろその
機材
・
機器
を買うときに、こういう
目的
に使いますということを証明して、その
補償金
を払わない、払わなくてもいいような、そういう
制度
にした方が
消費者
にとっては便利じゃないかと思うのですけれども、そういうふうにはできないという
理由
がありましたら、どうしてそうならなかったのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
佐藤禎一
132
○
佐藤
(禎)
政府
委員
この
制度
の成り立ちそのものが、
補償金
の
支払い
の義務の対象になります特定の
機器
あるいは
記録媒体
が、
購入
後においてそれらを用いて
私的録音
・
録画
行為が行われる可能性の高い民生用の
機器
や
記録媒体
に限ってスタートしておりますので、もともとそれ以外に
利用
されるというケースというものは極めて少ないだろうというのが
一つ
ございます。それとは別に、
購入
時にそういった
機器
や
テープ
といったものを私的に用いないという証明を個々の小売業者が確認をするということは大変難しいことでございます。全体として、この
指定管理団体
が統一的な処理をするという
趣旨
から
考え
ますと、それぞれの小売店に負担を課すというシステムということを想定することは適当ではなかろうということが基本になっているわけでございます。
宇都宮真由美
133
○宇都宮
委員
還付を求める先は
指定管理団体
ですよね。その場合にもやはり証明をして、
私的録音
・
録画
以外の用に供するということを証明して返してもらうわけでしょう。そういう証明というのは、例えば、ではどういうことあるいはどういう書類、どういう事情があれば証明したことになるんですか。
佐藤禎一
134
○
佐藤
(禎)
政府
委員
ここで定められております
補償金
の返還の対象となるケースというものがどういうものがあるかということからまず
考え
なければいけないわけでございますが、およそ
三つ
ぐらいあるだろうと思っております。 一番典型的なケースは、もともと
権利
の制限が働いている、つまり
学校
において教育
目的
に使うというものは
著作権法
上
権利
の制限が働いているわけでございますけれども、
学校
において教育に使う、図書館で図書館の業務に使う、そういったケースについては当然返還をする対象になるということは大変わかりやすいわけでございます。 これは典型的なケースでございますけれども、例外的にあと二つのケースがあるだろうと思っております。
一つ
は、その
権利
の
目的
となっている
著作物
は一切
録音
・
録画
いたしませんということをそれこそ証明をしなければいけないわけで、これは
一般
論としてそのことの証明は難しかろうと思っております。しかし、理論としてはそういったケースも想定できないわけではないというのが第二番目でございます。 それから、
三つ
目は、もともとその
著作権
が働くケースであります。もともと
私的録音
・
録画
ではない、会社が業務のために
著作権
を侵して、その
録音
・
録画
の
機材
を使っているというケースがありますれば、これは
私的録音
・
録画
ではありませんから補償の対象にはなりません。しかし、それは
著作権
料を払わなければいけない、もっと高額なお金を払わなければいけないという
関係
になりますので、こういう還付の
請求
をするというケースは実務的にはあり得ないだろうと思っております。 いずれにいたしましても、理論的にはその
三つ
のケースがございますが、実務としてこういったものをできるだけスムーズに行っていくにはどうしたらよいかということについては、若干その実際上の積み重ね、経験の積み重ねということも必要でございますけれども、私どももできるだけ簡便な形で
指定管理団体
が円滑にその返還事務を実施できるようなルールをつくるということについてお手伝いをしていきたい、こういうふうに
考え
ております。
宇都宮真由美
135
○宇都宮
委員
その
三つ
のケースの場合なんですけれども、例えば
学校
において使うとか図書館で使うんだというのは別に小売店で買うときにでもすぐ証明できると思いますが、個々の場合で絶対に私的
録画
・
録音
には使いませんという証明をすることは難しい、そういう証明は難しいと言われるのであれば、小売業者に対して証明するのも小売業者が認定するのも難しいし、
指定管理団体
が認定するのも結局難しいわけで、あえて
指定管理団体
に還付を求めるという
理由
には特にはならないと思うんですけれども。
佐藤禎一
136
○
佐藤
(禎)
政府
委員
この
制度
全体が
一括
した
支払い
等々という全体的な、統一的な処理ということを
前提
といたしておりますので、私どもとしてはできる限り店頭でトラブルを起こすというようなことは避けたい。したがって、
指定管理団体
で全部の整理をする、そのかわり今
お話
しのような
学校
で教育
目的
に使うというものについてはできるだけスムーズな形で返還ができるよう、そういうようなルールをつくってさしあげたい、こういうふうに
考え
るわけでございます。 理屈を申しますと、
学校
が使うからといって全部
学校教育
の用途に使うとは限りません。福利厚生
目的
で使うということもございまして、これは還付の対象にならないわけでございます。ではございますけれども、そういった大数的な処理をするルールをできるだけ決めまして、円滑な形で、かつ店頭で負担をかけない形でスムーズに実施をさせていただきたい、こういうふうに
考え
る次第でございます。
宇都宮真由美
137
○宇都宮
委員
こだわるようですけれども、例えば鳥の声を
録音
するとかいう場合は、こういう
著作権
の問題はないですよね。例えば
個人
がそういう
目的
のためだけに使う、カメラマンが写真を撮ったりとかだけに使うという場合には、
個人
だから還付の額というのはすごく少額になると思うのですよ。それも一々
指定管理団体
のところへ行って
請求
しないといけないというのはすごく面倒くさいなという気がするのと、大体
一括
処理とか、そういう能率性みたいなもので、大きな
制度
の中でいつも
消費者
が何か
保護
されていないという
状況
があると思うのですけれども、そのあたりをむしろ
消費者
の方に目を当てて、視線を当てて、どうすれば
消費者
に便利か、少々の不便は
メーカー
なりむしろ大きいところにかぶってもらったらどうかという気が正直言ってするのですけれども、これが
最後
ですが、そのあたりどうでしょうか。
佐藤禎一
138
○
佐藤
(禎)
政府
委員
仰せのように、この
制度
を
考え
ます場合に、個々の
利用者
の利便ということは
一つ
の大きな視点になっているわけでございます。したがいまして、
法律
本則によれば個々の
利用者
がそれぞれ
請求
関係
、
支払い
関係
に立たなければいけないものを、
メーカー
にその
利用
義務、
協力義務
を課すことによって大数的な処理をするわけでございます。確かに店頭の方が手近であるという論はあると思いますけれども、逆に、店頭での扱いが統一的な取り扱いではない、ばらばらな扱いであるということになりますと、むしろそれぞれの
利用者
にとっての利便ということからは問題が出てまいるわけで、むしろ
一括
的な処理をすることによって全体の
補償金
額も安くなり、そして統一的な処理ができるということに価値を置いて
考え
ているわけでございます。
宇都宮真由美
139
○宇都宮
委員
ちょっと変えますけれども、先ほどからずっと言われていますが、大体
著作物
の
複製
というのは、原則は
著作権者
の許諾が要る、なければできないというのが原則ですよね。それが
私的使用
の
目的
の場合には許可もなくかつ無償でできる。ただ「公衆の使用に供することを
目的
として設置されている自動
複製機器
を用いて
複製
するときを除き、」そういう
規定
はありますけれども、
私的使用
の場合には
複製
できるというのが今までの三十条だったと思うのです。それを今回
ディジタル方式
の
機器
を使う場合には、
私的使用
の
目的
の場合にも
補償金
を支払わなければならない、そういうことですよね。だから今回のディジタル、
補償金
を支払わなくてはならないという場合は、やはり
私的使用
の場合だけに限っているわけですよね。
私的使用
ではない場合は今までと同じ扱いというふうに
考え
てよろしいのでしょうか。
佐藤禎一
140
○
佐藤
(禎)
政府
委員
そのとおりでございます。
宇都宮真由美
141
○宇都宮
委員
そうしますと、やはり
私的使用
外の場合にはアナログであろうとディジタルであろうと、どちらの場合にも
著作権者
の許諾なしてはできないし、許諾なしでした場合には、差しとめとかあるいは損害賠償の対象になるということですよね。
佐藤禎一
142
○
佐藤
(禎)
政府
委員
少しさかのぼったところから
お話
をして恐縮でありますけれども、
著作権法
の中では、第三十条から第五十条にわたりまして
著作権
の制限の
規定
を数多く置いているわけでございます。それはいろいろな立法
趣旨
から出ておりますけれども、おおむね四つくらいのものがその中に含まれてございます。
一つ
は、その
著作物
の
利用
の性質から見て
著作権
が及ぶことが妥当ではないだろうというようなケース、二つ目には、公益上の
理由
から見て
著作権
を制限することが必要な場合、それから
三つ
目には、他の
権利
との
調整
のために
著作権
を制限する必要がある場合、それから四つ目には、社会慣行として行われており、
著作権
の制限をしても
著作権者
の
経済的利益
を不当に害さないと認められる場合、こういった四種類のものが
考え
られるわけでございます。これは
著作権法
第一条に定めております「
文化
的所産の公正な
利用
」という点に考慮をしてそれぞれ定められたものというふうに基本的には理解をしているわけでございます。 三十条に定めております私的
利用
というものは、まさにその
著作物
の通常の
利用
と衝突をいたしません。
著作権者
の経済的な
利益
を害するおそれがないと認められるケースとしてそのような制限が設けられたわけでございますけれども、そういった
利用
という観点から見れば、私的
利用
の範囲というものは、アナログであれディジタルであれ、御指摘のように変わらないわけでございますけれども、その制限ないしはその制限を外す
理由
の基本になっております
私的録音
・
録画
による
権利者
の不
利益
の度合いでありますとか、円滑な
制度
の
導入
といったような観点から、今回はその補償の対象を
ディジタル方式
に限っている、こういうふうに御
説明
をしているわけでございます。
宇都宮真由美
143
○宇都宮
委員
ちょっと私の言っているのがおかしいのかもしれませんけれども、要するに
私的使用
ではない、例えば、
私的使用
と言われる限りは、やはり余り多くの人数じゃだめだと思うし、そういう制限があるわけでしょう、
個人
とか、何か
家庭
、家族的なといいますか。要するに、その制限を超えた
複製
、
私的使用
の
目的
を超えた
複製
と認められる場合には、
著作権者等
の許諾がなければ、やはりそれは差しとめの対象とか損害賠償の対象になると思うのですよ。その点まずどうでしょう。
佐藤禎一
144
○
佐藤
(禎)
政府
委員
今
お話
しのとおり、この三十条の
規定
は、「
個人
的に又は
家庭
内その他これに準ずる限られた範囲内において」の使用というふうに
規定
をしておりますので、自分自身が使ったり、自分の家族に使わせたりといったごく少人数の閉鎖的なグループの中での使用に限定をされて制限が設けられているわけでございます。したがって、御質問のように、それを超えて使用するということになりますと、これはまさに
著作権法
に定めます
複製権
の侵害ということになるわけでございます。
宇都宮真由美
145
○宇都宮
委員
その場合に、
著作権
の侵害という点においてはアナログであろうとディジタルであろうと同じだと思うのですけれども、ディジタルの場合には、一応
機器
とか
機材
を買うときに
補償金
というのを納めていますよね。そういうことは
著作権者等
の損害賠償の額を算定する場合に
関係
はないのでしょうか。
佐藤禎一
146
○
佐藤
(禎)
政府
委員
結論的に申しますと、納めた額が損害賠償の金額に影響を及ぼすことはないだろうと
考え
ております。と申しますのは、
著作権法
違反ということで
複製権
を侵害した場合の損害は、個々のケースに応じてそれぞれ算定をするものでありまして、それぞれの
個人
とそれから
権利者
との
関係
で整理をされるべきものでございます。したがいまして、もしその
利用者
が自分は
著作権法
を犯して
複製
をしていて専らそれを
利用
しているということがあるならば、そのことを証してむしろ
補償金
の返還を求める、そういう
関係
に立つわけでありまして、当該
複製権
を侵害された人と侵害した人との
関係
には直接の影響を及ぼさないというふうに
考え
てございます。すなわち、通常の形で損害賠償の
請求
ができる、こういうふうに
考え
るわけでございます。
宇都宮真由美
147
○宇都宮
委員
今回のこの
法律案
の提案
理由
の中に、結局ディジタルの場合には、今までのアナログと違って高品質の
録音
・
録画
ができるという点もありますけれども、何回してもそれが変わらないというふうなところが言われていると思うのですよ。そういうことは結局
複製
を何回でもするということで、
一つ
のものを
私的使用
を超えて
利用
されるおそれがある。そのあたりがディジタルの場合に今回特にこの改正をしなくちゃならないという
理由
があるのではないでしょうか。やはり
私的使用
の範囲内ということで、要するに
私的使用
の
機会
がふえる、
私的使用
をする人がふえるというところもあると思うのですけれども、その一人の人が
私的使用
の範囲を超えてこれを使う、そういうところもあるのじゃないかと思うのですけれども。
佐藤禎一
148
○
佐藤
(禎)
政府
委員
そのお尋ねは、
私的使用
の範囲に限っている場合と
私的使用
の範囲を超えてその
複製物
がばらまかれた場合というふうに分けて
考え
ますと、ばらまかれた場合はまさに
複製権
違反ということになるわけでございます。私的な、つまり小グループ、閉鎖的なグループの中で使っている限り、それは
私的使用
という点では問題がありません。しかし、原音に忠実な
録音
と再生ができることによって、例えば反射的にその他の
著作物
が売り上げが伸び悩むとか、そういったような経済的な不
利益
を生ずるということが心配をされるわけでございます。 冒頭の質問で、数字は必ずしも正確に挙げてございませんけれども、
録音物
については、レンタルをしてまいりましたCDを
録音
をして、それを楽しんでおるということが実態としてかなり多くあるわけでございますけれども、そのようなことによって逆に
レコード
の売り上げ等々に影響を及ぼすというようなことも想定をされるわけでございます。
鳩山邦夫
149
○
鳩山
国務大臣 ただいまの先生の御質問は、私横で聞いておりまして、ディジタル式ですと、半永久的だかどうかわかりませんが、何回でも聞けるようなもの、使えるようなものができるので、その時間の経過の中には
私的使用
の限界を超えて出ていくようなものがありはしまいか、その辺がディジタルだけに
補償金
の
制度
を設ける
意味
に含まれてはいないか、こういう御質問だったのではないかと思いますが、そういう観点から申し上げれば、それはそういうケースを想定して
法律
を構成をしているわけではないと申し上げるしかありません。
宇都宮真由美
150
○宇都宮
委員
そうしますと、ちょっと質問を変えますけれども、ディジタルの場合に限って今回の
制度
を
導入
したということは、ディジタルの場合だと、要するに今までのアナログに比べて
複製
されることが多くなるから、だから
権利者
の
権利
侵害が多くなるということでしょう。だからこれを
導入
したのか、あるいは別にディジタルでもアナログでも
権利者
の侵害ということについては変わりないけれども、将来はディジタルに移行するだろう、だからディジタルについてこういう
制度
を設けておれば、極端な話、いずれアナログはなくなるわけだから、すべての場合にこの
補償金
の
制度
が適用されるのだ、そういう観点からこの
制度
は
導入
されているんですか、どっちですか。
佐藤禎一
151
○
佐藤
(禎)
政府
委員
ディジタル機器
を使用することによって
録音
・
録画
の
機会
が多くなることを直接の根拠にしているわけではございません。そういったことが
一つ
の誘因になることは言えるかと思いますけれども、むしろ私が先ほどから強調いたしておりますのは、高品質な
録音
・
録画
ができる、つまり原音に忠実な
録音
と再生ができるということが一番大きな原因になっております。そのことは、ひいてはそのような形で
録音
・
録画
されたものをそれぞれライブラリーとして所蔵をするというようなことも実態としてはついてまいりますけれども、出発点としてありますのは、高品質の
録音
・
録画
ができるということがあるわけでございます。 なお、後段でおっしゃいました
意味
を必ずしも私正確に受けとめなかったかもしれませんけれども、全体の見通しとしましては、先ほど申しましたように、こういった形で高品質の
録音
・
録画
ができるというものが出回りますと、それは従来のものに比べて格段に品質が違いますので、従来のものは次第に駆逐されるであろう、そういう見通しは持ってございます。
宇都宮真由美
152
○宇都宮
委員
録音
・
録画
が高品質であるかどうかという点を言われるのであれば、高品質であろうと低品質であろうと、
権利者
の
権利
の侵害というところから見れば大して差はないような気がするのですけれども、むしろ何回ダビングしても品質が変わらないというようなところにディジタルの特性もあって、ということは、結局
複製
の
機会
が、例えば今までだったら五回しか
複製
しなかったのを十回
複製
するだろうとか、そういうことがあるわけではないのですか。私は今までそういうふうに
考え
ていたのですけれども。
佐藤禎一
153
○
佐藤
(禎)
政府
委員
ただいま御指摘のような要素を否定する気持ちを持っているわけではございません。おっしゃるように、今回の
ディジタル機器
を使用することによりますれば、御指摘のような形で繰り返し
録音
・
録画
されるというようなことは当然
考え
られるわけでありまして、その要素が全くないと申し上げるつもりはございません。
宇都宮真由美
154
○宇都宮
委員
だから、
複製
される
機会
が多くなるということは、ディジタルの場合、
私的使用
のために
複製
する人もふえるかわりに
私的使用
を超えた
複製
がなされる場合が多くなるということじゃないかと思うのですよ。そうだとすれば、ディジタルの場合とアナログの場合とを今までと同じような扱いにしたのでは
権利者
の
保護
に薄くなるんじゃないかなという気がするのですけれども。
佐藤禎一
155
○
佐藤
(禎)
政府
委員
ちょっと私の
説明
が不行き届きで申しわけございませんけれども、今のような
お話
で
私的使用
の範囲を超えて
利用
されるという実態があるならば、これは今回問題にしていることのらち外というか、むしろ
著作権
に違反をする問題として取り上げるべき問題でありまして、今回はあくまでも
私的使用
について制限
規定
がある、その一部を
補償金
という形で解除しよう、こういう範囲の
お話
でございますので、
目的
を超えて
利用
された場合とは話が違ってくるのではないかと存じます。
宇都宮真由美
156
○宇都宮
委員
それはわかるのですけれども、今までよりもディジタルが出てきたことによって
私的使用
の範囲を超えた
機会
が多くなるとすれば、その手当てもしなければならないのではないかということを申し上げたいのですけれども。
佐藤禎一
157
○
佐藤
(禎)
政府
委員
御指摘のようなことになりますれば、むしろ今回の三十条二項で
対応
する話ではなくて、まさに
複製権
違反という形で真正面から
著作権
に違反をするという形で対処すべき問題であるというふうに
考え
ております。それについてもその集中処理機構をつくれという立法論があるかもしれませんけれども、今回の
制度
では、もちろんそこまでは御提案は申し上げていないわけでございます。
宇都宮真由美
158
○宇都宮
委員
どういう
指定管理団体
をつくれ云々ということを直接申し上げているわけではないのですけれども、
著作権
の
保護
というところから見れば、ディジタルができることによって
複製権
が侵害される
機会
が多くなるのであれば、
著作権者
を
保護
するためには、それに対する手当ても当然
考え
ていいと思うのですよ。だから、その手当てについては、この三十条二項の問題ではないですけれども、その点はどういうふうに
文化庁
としては—今後の問題としてでもいいのですよ。ディジタルが出たことによって
複製
される
機会
がふえるのじゃないかと私は思うのですよ。それを今までと同じように差しとめと損害賠償だと、
著作権
の
保護
に薄くなるのではないかと申し上げているのですけれども。
佐藤禎一
159
○
佐藤
(禎)
政府
委員
まさに三十条に定めた許容の範囲を超えて
目的
外使用した場合については、
現行著作権法
四十九条に
規定
がありまして、この場合には二十一条に定める
複製権
を侵害した、ないしは
複製
を行ったものとみなすという
規定
がございまして、この差については
制度
上はその限りでは整理がついているわけでございます。しかし、それはあくまでも個々の侵害者と
権利者
との
関係
でございますので、今回のような統一的な処理の対象とはならない問題でございますけれども、そういった個々の
権利
侵害について今後どのような救済
措置
が
考え
られるだろうかということについては、御指摘の点も私ども頭に置いて今後の研究課題にさせていただきたいと存じます。
宇都宮真由美
160
○宇都宮
委員
質問を変えます。
指定管理団体
のことなんですけれども、一応、これは社団法人ということで
録音
・
録画
について
一つ
ずつつくると思うのですけれども、その
具体
的な構想、例えば事務所をどこに置いて、規模をどのくらいにして、
理事
をどのくらい置いて、職員をどのくらい置いてとか、運営費は幾らでとか、
準備
の
段階
にもよろうかと思いますけれども、もしわかっていればそのあたりを教えていただきたいと思います。
佐藤禎一
161
○
佐藤
(禎)
政府
委員
今回予定されております
指定管理団体
は、
録音
にかかるものと
録画
にかかるものとあるわけでございます。それぞれ
関係者
の間でその設立の
準備
が進められている
段階
でございますけれども、
録音
に関する
指定管理団体
といたしましては、社団法人
日本音楽著作権協会
、社団法人
日本芸能実演家団体協議会
、社団法人
日本レコード協会
を構成員として
団体
を設立するということが
関係者
の間で合意をされ、この
法律
が成立をいたしますれば、私どもも認可、指定等が行えるわけでございますけれども、そのための
準備
活動に入りかけているところでございます。 また、
録画
につきましては、
指定管理団体
に参画をいたします
団体
はもう少し数が多いかと存じますけれども、こちらの方はいまだ
関係者
の間での
協議
を取り進めている
段階
にございます。
指定管理団体
の業務
内容
はすべて
法律
に書いてあるわけでございますけれども、
補償金
を受ける
権利
を
権利者
のために行使をするということと、徴収した
補償金
を個々の
権利者
に分配をすること、それから徴収した
補償金
の一部を
著作権
等の
保護
に関する
事業
などに支出をする、こういったことが業務
内容
として定められてございます。しかしながら、その先、事務所をどうする、
理事
は何人にするというような、そういった
具体
的なことまではまだ詰められている
段階
にはございません。ただ、この
指定管理団体
の役員は、
権利者
の
団体
であるという基本的な性格を
考え
まして、
著作権者
、
実演家
、
レコード製作者
の代表が基本となると思いますけれども、それだけではなくて、
製造業者
の代表でありますとか、学識経験者でありますとか、
消費者
の代表、そういったものを加えて構成をするということが
関係者
の間でも話し合われている、こういう
団体
になるわけでございます。 これは、この
法律
上
文化庁
に与えられました関与の権限のほか、公益法人であることを要件としておりますので、公益法人としての民法上の監督権限もございます。そういった観点から、適切な運営ができますように私どもも見守っていきたい、こういうふうに思っているわけでございます。
宇都宮真由美
162
○宇都宮
委員
この運営費というのは
補償金
の中から出すということになるのでしょうか。
佐藤禎一
163
○
佐藤
(禎)
政府
委員
このことにつきましては、私ども
補償金
関係
業務とそれ以外の管理的な業務というものは分けて
考え
ていただくことが適切であろうと
考え
ておりまして、
関係者
の間でも想定されておりますのは、例えば法人としての基本的な管理費、そういったものにつきましては、その会員となりますそれぞれの
団体
から納められた会費によって賄われるべき性質のものではないかと
考え
ているわけでございます。 一方、
補償金
関係
業務、すなわち
補償金
の受領に関して
協力
をしてくださる各
メーカー
等との契約事務でありますとか、あるいは分配のための資料を収集する、そういった仕事が徴収、分配に伴って当然必要になるわけでございますが、これは
補償金
関係
業務の経費として、受領した
補償金
の中から手数料という形で控除をしていくということになるのではないかと
考え
ている次第でございます。
宇都宮真由美
164
○宇都宮
委員
そういうことは、これに加入する
著作権者
の
団体
等との契約によって決まるということになるのでしょうか。
佐藤禎一
165
○
佐藤
(禎)
政府
委員
おっしゃるとおり、その法人の中で決められるわけでございますけれども、ただ、業務
規定
等については、私ども届け出をいただくようになっておりますし、民法上の
一般
的な監督権もございますので、そういった形の中で確認をさせていただきたいと思っております。
宇都宮真由美
166
○宇都宮
委員
この
指定管理団体
は
団体
加入ですよね。加入者は
団体
ですよね。いわゆる
団体
に加入していない
著作権者
あるいは
実演家
——
レコード製作者
はないのかな、等がいる場合、問題になるのじゃないかと思うのですけれども、そういう場合はないのでしょうか。
佐藤禎一
167
○
佐藤
(禎)
政府
委員
これは当然想定されるわけでございます。 分配に関する資料を収集いたすわけでございますけれども、その中で実態が上がってまいりますが、例えば
音楽著作権協会
に加入をしていない、これはわずかではありますけれどもございます。そういう方々の
利用
実績というものが上がってくれば、それは配分することになるわけでございます。
宇都宮真由美
168
○宇都宮
委員
ちょっとよくわからなかったのですけれども、そういう
団体
に加入していない人は
指定管理団体
には入れませんよね、
個人
の場合には。入れないけれども、
補償金
を受ける
権利
というのはあるわけですか。
佐藤禎一
169
○
佐藤
(禎)
政府
委員
これはこの
制度
の基本的な成り立ちにかかわると存じますけれども、さきの御質問でもお答えいたしましたように、個々の
権利者
がそれぞれ
権利
の委任をするわけではなくて、いわば法定委任という形で、本人の同意もなくすべて委任をされて執行するわけでございますので、その基礎となります
団体
に加入しているかどうかということと配分とはかかわらない。つまり、配分は、一定のルールに従って
利用
実績を
調査
し、その
調査
の中で実績が上がってくれば一既存の
団体
に加入をしていなくても配分するということになるわけでございます。
宇都宮真由美
170
○宇都宮
委員
指定管理団体
は、
著作権者
の
団体
に三六%、
実演家
の
団体
に三二%、
レコード製作者
の
団体
に三二%という形で配分する。それが
指定管理団体
の加入者であり、その配分の割合だと思うのですけれども、そうしたら、それよりほかにそういう
団体
に入っていない
著作権者
というものがいるわけですか。
佐藤禎一
171
○
佐藤
(禎)
政府
委員
そうではありませんで、ただいま配分の割合というのは、
指定管理団体
が受け取った
補償金
を、
著作権者
とそれから
著作隣接権者
であります二つのそれぞれの
団体
にどれだけ還付をするかという割合の取り決めてございます。その中で、例えば
著作権
団体
は、
音楽著作権協会
がこれを行うわけでございますけれども、そこに配分をされました三六%の
補償金
総額を、その次にその
団体
が個々の人に配付をしなければいけない。その
段階
で使用実績を
調査
いたしまして、それは例えば
音楽著作権協会
に入っていない人であっても、実績が上がってくれば配分をいたします、こういうことでございます。
宇都宮真由美
172
○宇都宮
委員
そうしたら、
著作権者
の
団体
が、その
団体
に加入していない
著作権者
に対しても配分をする。
指定管理団体
とは
関係
ないわけですね、そういうことですか。
佐藤禎一
173
○
佐藤
(禎)
政府
委員
実務的には、
指定管理団体
はそれぞれの
著作権者
の
団体
あるいは隣接権者の
団体
へ配付をするという形でありまして、配付を受けた金額をそれぞれの下部の
団体
、
音楽著作権協会
等が個々の
権利者
に配付する、そういう仕事を行っていくというふうに
考え
ているわけでございます。
宇都宮真由美
174
○宇都宮
委員
ちょっと
音楽著作権協会
とのあれがよくわからないのですけれども、
音楽著作権協会
は、それに加入していない人にもこの
補償金
を配分する。それは
著作権者
と
音楽著作権協会
との契約で決まるのですか。それとも、そういうものが何もなくても、今までもそういうふうになっているのですか。
佐藤禎一
175
○
佐藤
(禎)
政府
委員
このシステムにおきましては、いわば強制的な委任
関係
にございますので、当然配分をすべきものだというふうに
考え
るわけでございますけれども、現在の
音楽著作権協会
、例えばカラオケバー等から
著作権
料を徴収してまいります。それを配分するに当たりましても、実は
著作権
協会に入っていない人々についても、実績
調査
の結果実績が上がってくれば、それに応じて配分をしているという実態は既にあるわけでございます。
宇都宮真由美
176
○宇都宮
委員
わかりました。 次に、共通
目的
事業
への支出の点についてお伺いしたいと思うのです。
指定管理団体
は、受け取った
補償金
の中から二割以内の範囲で共通
目的
事業
へ支出するというふうになっていますけれども、これは本来、
補償金
というのは、最終的には
著作権者等
にすべて帰属するのが筋ではないかと思うのですけれども、それを特に共通
目的
事業
への支出を定めた
理由
はどういうところにあるのでしょうか。
佐藤禎一
177
○
佐藤
(禎)
政府
委員
私的録音
・
録画
の
補償金
は、御指摘のように、基本的にはそれぞれ
私的録音
・
録画
されたすべての
権利者
に分配をされるというのがその性格であろうかと
考え
ております。しかし、今回のような特例の
請求
と
一括
の
支払い
、こういった形をとります場合に、通常のように個別の
利用
行為ごとに支払うというシステムと違いまして、その
著作物
をどれだけ
録音
・
録画
したのかということとかかわりなく徴収をし、分配をしていくわけでございます。その
関係
で、個々の
権利者
と個々の義務者との
関係
を完全に明確にするということは実務的には難しいことでございます。
具体
的には、多額の費用をかけて
調査
の精度を上げていけばできないわけではないと思いますけれども、それは費用、効果との
関係
である程度の限界がございます。一定の精度の
調査
資料しか得られないであろう。そういたしますと、大変零細な実績によって分配し切れない
権利者
、あるいは分配資料にたまたま出てこない
権利者
、そういったものが当然上がってくるということが回避できないわけでございます。したがって、こういった
権利者
に対する配慮ということから、
権利者
全体の
利益
となるような支出を
考え
ることによって一定の間接的な分配というような効果を求めようというのがこの
制度
の基本的な
考え
方でございます。諸
外国
におきましても、このような共通
目的
というものは想定をされている場合が多うございまして、おおむね一五%から、多いところでは六七%に至る共通
目的
用の経費をリザーブしているという実態がございます。
宇都宮真由美
178
○宇都宮
委員
その場合の支出先、どういうところに支出するか、あるいはその手続はどういうふうにお
考え
になっていらっしゃるのですか。
佐藤禎一
179
○
佐藤
(禎)
政府
委員
この共通
目的
事業
への支出の
目的
につきましては、
法案
の上では「
著作権
及び
著作隣接権
の
保護
に関する
事業
並びに
著作物
の創作の振興及び
普及
に資する
事業
」、こういう
規定
がなされているわけでありまして、その
規定
の範囲の中で
指定管理団体
が判断をしていくということになるわけでございます。 こういうものとして、それでは一体
具体
的にどういうものが
考え
られるかということでございますけれども、現在想定できますことは、まず最初の
著作権
、
著作隣接権
の
保護
に関する
事業
としては、
著作権
思想の
普及
啓発
事業
を行っていただく、あるいは
著作権
保護
に関する法制面の研究でありますとか、あるいは
技術
面の
調査
研究といったことも
考え
られるのではないかと
考え
るわけでございます。 それから、
著作物
の創作の振興及び
普及
に資する
事業
という観点から
考え
ますと、例えばでありますけれども、非商業ベースのコンクールの実施でありますとか、若手芸術家の養成といったような創作の援助活動ということも
考え
られるのではないかと思っているところでございます。
宇都宮真由美
180
○宇都宮
委員
具体
的には、例えば今ある
団体
とかではどういう
団体
に、この共通
目的
事業
への支出として
具体
的にはどういうところが
考え
られるか、あるいはそれは支出してもらう方から支出してくれと言われてするのか、それとも
指定管理団体
の方で、その活動等を
団体
とか、
個人
でもいいんですか、
団体
とか
個人
とかの活動を見ながら決めるのか、そのあたりはどういうふうになっているのでしょうか。
佐藤禎一
181
○
佐藤
(禎)
政府
委員
現在の想定では、おおむね先ほど御答弁を申し上げましたような
事業
が想定をされているわけでございますので、その支出の相手方は区々であろうと思います。この
事業
の性格から
考え
ますと、支出の相手方については
法律
にはもちろん特段の制限はございませんが、
制度
の
趣旨
から見て、通常公益的な
事業
を行う
団体
を中心に行われるものと思います。ただ、
普及
啓発活動などというものは、要するに相手方がない話で、この
指定管理団体
が自分から行ってもいいわけでございますし、若手の芸術家の養成などということになれば
個人
をお相手にするということも
考え
られるわけでございます。ただ、性質上、公益的な
団体
というものを中心に据えて
考え
ていくであろうということは想定をされるわけでございます。
宇都宮真由美
182
○宇都宮
委員
先ほどの試算だと、一年目が四百億からして二億五千万ぐらいの
補償金
が入るだろうというところから想定しますと、その二割とすれば五千万ぐらいがこの共通
目的
事業
へ使われるということになると思うのですけれども、その点は、額としたらどういうふうにお
考え
でしょうか。
佐藤禎一
183
○
佐藤
(禎)
政府
委員
先ほどの御答弁とあわせますとそういうことになります。四百億というのが
平成
五年度の売り上げと想定をされておりまして、
補償金
総額が二億五千万という想定をいたしますと、共通
目的
事業
への支出額は約五千万というふうに想定をされるわけでございます。 ただ、これは実務上は若干タイムラグがございます。つまり、
製造業者
等から
指定管理団体
へお金を支払っていくというものは、通常年払いによって精算をされていくと思いますので、そういった
事業
に対するお金が使えるようになるのは、五年度中は実務的にはなかなか難しいというようなタイムラグがあるとは思いますけれども、先ほどの二億五千万を
前提
にいたしますと、およそ五千万という規模が
考え
られるわけでございます。
宇都宮真由美
184
○宇都宮
委員
先ほどお聞きするのを忘れたのでお聞きしたいと思うのですけれども、三十条一項の場合には、
私的使用
の
目的
で
複製
した場合でも、公衆の使用に供することを
目的
として設置されている自動
複製機器
を用いた場合にはできないことになっていますよね。三十条二項の場合も、やはりこういう公衆の使用に供することを
目的
として設置されている自動
複製機器
を用いて
複製
した場合には、
私的使用
の
目的
の範囲外になるのですか。
佐藤禎一
185
○
佐藤
(禎)
政府
委員
三十条で例外を設けております
複製
という概念は
著作権法
上定義がございまして、これは「印刷、写真、複写、
録音
、
録画
その他の
方法
により有形的に再製する」というふうに定義をされております。したがって、三十条の対象になっておりますのは、
録音
・
録画
に限らず、今
お話
がありました複写の問題でありますとか、その他の問題も含んでいるわけでございますけれども、今回はいわゆる
私的録音
・
録画
問題として、
録音
・
録画
に限ってこの
制度
を行っているわけでございます。したがって、御指摘の括弧書きの
規定
は複写のケースでございますので、直接の
関係
はございません。
宇都宮真由美
186
○宇都宮
委員
そうしたら、こういう
個人
的なそういう
機器
じゃなくて、どこか店に設定されているような
機器
を用いてした場合にも
私的使用
の
目的
の範囲内というふうに
考え
てよろしいのでしょうか。
佐藤禎一
187
○
佐藤
(禎)
政府
委員
先ほどの御答弁は若干不適切でしたので訂正をさせていただきますが、御指摘のように、店頭においていわゆるダビング機というようなものを置いてそれを
複製
をせしめる場合には、三十条に言う
私的録音
・
録画
には該当しないのでございます。
宇都宮真由美
188
○宇都宮
委員
そうしましたら、一項の公衆の使用に供することを
目的
として設置されている自動
複製機器
を用いて
複製
することを除くというのは、二項の場合もそうだというふうに
考え
ていいわけですか。
佐藤禎一
189
○
佐藤
(禎)
政府
委員
当然二項に尾を引くわけでありまして、三十条一項でその部分が除かれており、いわゆる
私的録音
・
録画
として許容されておりませんので、二項で言う補償の対象とは無
関係
ということになります。
宇都宮真由美
190
○宇都宮
委員
さっき
お話
の出ましたいわゆるコピー、文献の方もちょっと関連してお聞きしたいと思うのですけれども、いわゆるコピーがはんらんしていまして、文献等の
著作権者
の
権利
が侵害されているという
状況
は広く今認められるのですけれども、それを
保護
するためといいますか、
著作権
を集中的に管理して処理しようということで、ここに言う
指定管理団体
と同じような位置づけになるんではないかと思うのですけれども、日本複写権センターの設置が
考え
られていますよね。去年の四月ですか、
著作者
、出版者、複写権集中処理センターというのが発足していると思うのですけれども、その
状況
をちょっと教えていただきまして、文献等の
著作権者
の
権利保護
についてちょっとお聞きしたいと思うのです。
佐藤禎一
191
○
佐藤
(禎)
政府
委員
文献の複写
機器
の発達、
普及
というものがございまして、そのために
著作物
が出版物から容易にかつ頻繁に複写をされるという問題がございます。これは
私的使用
とは無
関係
に、むしろ企業等において業務上の
利用
のためにそういったものがしばしば行われている。その場合に、
著作物
を複写する側から見れば、事前に
権利者
の許諾を一々得るということも煩雑でなかなか実行しにくいことでございます。したがって、結果的には無許諾でそういったことが行われておりますし、
権利者
もそれぞれそれを追及をしていくということは実務的にも不可能である、こういうことがございます。 したがって、この問題にどう対処するかということで、幾つかの
協議
会が持たれたわけでございますけれども、長年
検討
の末に、昨年の九月に
著作者
団体
、学協会、それから出版者
団体
の
関係者
の
協議
がまとまりまして、
関係
十三
団体
によって構成される日本複写権センターというものが設立をされたわけでございます。この複写権センターでは、それぞれの
権利者
から
権利
の委託、信託等を受けまして、つまり
権利
を集めてきて、それぞれの企業等と契約を結んで
権利
の実現を図るということを目指すわけでございますが、企業との間の複写許諾契約のひな形というものにつきまして同センターと経済
団体
連合会との間で合意を得ることができまして、その合意に基づいて、現在各企業に
説明
をし、理解を求め、そして契約を進めるということを行っているわけでございます。本年十月末現在の数字でございますが、同センターと複写許諾契約を締結をしました企業は百十社、使用料総額は一千六百万円というような規模でございます。
鳩山邦夫
192
○
鳩山
国務大臣 以前、もう大分前でありますが、
著作権法
の改正を何度もやっておりますから、やはり
著作権法
の一部改正がこの文教
委員会
で話題になったころ、もう数年前でございますが、ある議員の方が一生懸命質問をして
著作権
を守らなくちゃいかぬということをやっているわけで、それをその
政府
委員
に
説明
するのに、ほらこんな事例もあるんだと言って、見てみると新聞のコピーを振りかざしてやっておられるわけですね。
考え
てみると、新聞のコピーをとるということも、これは少なくとも三十条の
私的使用
ではなくて衆議院の文教
委員会
でやっているわけですから、その新聞のコピーを振りかざして
著作権法
の
審議
をするという非常に妙な光景もあったわけですが、私は率直に申し上げて、確定的な私の信念とか
意見
を持っているわけではありませんが、いずれこの問題については版面権ということを国会でも御議論をいただきたいと希望いたしております。
宇都宮真由美
193
○宇都宮
委員
衆議院議員が新聞を一部コピーをとると、やはり
私的使用
の範囲を超えますかね、超えるんですか。
佐藤禎一
194
○
佐藤
(禎)
政府
委員
これはケースによりますけれども、典型的に
考え
ますれば、
著作権法
四十二条で「
著作物
は、裁判手続のために必要と認められる場合及び立法又は行政の
目的
のために内部資料として必要と認められる場合には、その必要と認められる限度において、
複製
することができる。」という制限
規定
がございますので、それによって
利用
できるのではないかと思っております
鳩山邦夫
195
○
鳩山
国務大臣 私が申し上げたのは
一つ
の笑い話として申し上げたわけで、実際コピーはんらんということがここまで起きておりますから、それは今の
佐藤
次長が読み上げたことでどこまで追えるかどうかとか、あるいは教育の世界の問題とか、そういう制限
規定
はさまざまありましょうが、それぐらいコピーは例えば役所の中でも相当はんらんをしているというのは事実だと思うわけです。
宇都宮真由美
196
○宇都宮
委員
ちょっと戻りますけれども、日本複写権センター、企業が百十社と言われましたか、その発足をした日本複写権センターの
状況
、それは期待どおりの
状況
でしょうか、それとも何かちょっと
考え
るところがある、そういう
状況
でしょうか。
佐藤禎一
197
○
佐藤
(禎)
政府
委員
これは、実はそういったひな形、契約のひな形についての合意もことしの三月に成立をしたばかりでございます。最近これは、先ほど申しましたのは十月末の数字でございますけれども、最近に至って徐々にそのような契約を結ぶケースがふえてきていると思います。概括的に見まして、現在の契約
状況
が十分であるとはとても思えませんけれども、引き続き御努力をいただくことによって
目的
を徐々に達していくことができるのではないか、こういうふうに
考え
る次第でございます。
宇都宮真由美
198
○宇都宮
委員
最後
に大臣に、先ほど版面権の問題等今後の課題として
考え
ているとおっしゃられましたけれども、
著作権法
の今後の課題、そのあたりを諸
外国
等の法
制度
と比べましてどういうふうにお
考え
か、ちょっとお聞かせいただいて、終わりにしたいと思います。
鳩山邦夫
199
○
鳩山
国務大臣 これは先ほど与党質問のときにもお答えをしたわけですが、
著作権法
の問題というのは、科学
技術
の発達とか国際的な
動向
とか社会情勢の変化とか、あるいは
文化
的なさまざまな
著作物
のできようとか、いろいろな事柄に影響をされていくと思っております。とりわけ
文化
が変遷をし、それに伴って新しい
機器
・
機材
というのか道具というのか、そうしたものが登場することによって
著作権
が侵されるようなケースが目立ってきたし、これからもそうなっていく可能性があると思いますので、やや抽象的な言い方になるかと思いますが、
我が国
が
著作権
という世界でこの地球上の先進国と見られるような活動をしなければならないだろう、
著作権
先進国と思われるような立法もしていかなければならないだろうと
考え
ておりまして、先ほど申し上げましたように、例えばマルチメディアの発達とかコンピューターによってつくられる創作物の問題とか版面権の問題とか、あるいは写真の
著作物
の
保護
期間をどう
考え
るとか、
レコード
の再生演奏の及ぶ範囲をどう
考え
るとか、いろいろな問題が出てくると思いますが、実際、ガット・ウルグアイ・ラウンドの
動向
も見きわめてまいらなければならないと思っておりますし、いわゆるWIPO、
世界知的所有権機関
によって
ベルヌ条約
を今後どういうふうに
考え
ていくかという議定書の問題もあろうと思いますので、それらすべての
動向
をにらみながら、できる限り先へ行ける
著作権法
をつくっていきたい。後から追いかけていくのがなかなか大変でございますので、少しでも先へ行けるということが大事だし、東南アジアの海賊版等のことを
考え
れば、そうした
意味
では、世界に向けて、地球全体に向けて、
著作権
思想の
普及
発展という
意味
で発信をする国になりたいと願っております。
宇都宮真由美
200
○宇都宮
委員
ありがとうございました。
伊藤公介
201
○
伊藤委員長
御苦労さまでした。 次に、
鍛冶
清君。
鍛冶清
202
○
鍛冶
委員
著作権法
の一部を改正する
法律案
に対して若干質問をさせていただきます。 本
法案
は、もう過去衆参の文教
委員会
でこの数年にわたって何回も、早くやれ、早くやれという各党合意の
附帯決議
案が出されておる
内容
のものでございますので、質問もだんだん限られた
内容
になってまいりますし、後になりますと、やった後で非常にやりにくいというところで今質問をさせていただくわけですが、多少重複等することがありましても、ひとつご容赦を願いまして、くだくだした
お話
は抜きにして簡潔に御質問をさせていただきますので、御答弁もよろしくお願いを申し上げたいと思います。 最初に、本
法案
の背景となる基本的な
事項
についてお伺いしたいのですが、今回の
法案
については、
私的録音
・
録画
問題という、
権利者
の皆さんが長年悲願としておったものがいよいよ実施されるという
段階
になってきたわけです。これは今も申し上げたとおりでございますが、この問題は随分と各
関係者
の間でも課題となって話し合われてきたというようなことも聞いておりますし、そういったことを含めて、この
私的録音
・
録画
問題の
概要
、それから従来の
検討
のいきさつ、こういったことについて簡潔にお答えをいただきたいと思います。
佐藤禎一
203
○
佐藤
(禎)
政府
委員
現行の
著作権法
三十条という
規定
にこの問題は由来をするわけでございますけれども、それ以前の旧
著作権法
におきましては、「発行スルノ意思ナク且器械的又ハ化学的
方法
ニ依ラスシテ
複製
スルコト」は偽作となさずという極めて限定的な制限
規定
を設けていたわけでございます。それが
昭和
四十五年当時の実情にかんがみ、現在のような制限
規定
を設けるに至ったわけでございますが、その当初から
ベルヌ条約
で定めております
著作権者
の「通常の
利用
を妨げず、かつ、その
著作者
の正当な
利益
を不当に害しない」という条件に果たして当たるのかどうかということが議論をされ、当時の認識としては、大丈夫だけれども、今後の
機器
の発達によってそのことをよく
考え
るようにということが、この衆議院の文教
委員会
でも議決されておりますし、各方面から御指摘を受けたわけでございます。 こういったことを受けまして、私ども
著作権審議会
の中でも
昭和
五十二年から第五小
委員会
というものを設け
検討
いたしました。この小
委員会
では必ずしも明確な結論を得るに至りませんで、なお
関係者
の間で
協議
をせよというようなことで途中で
関係者
による
協議
会を設けましたけれども、さらに
昭和
六十二年、改めて
著作権審議会
に第十小
委員会
を設置し
検討
をお願いして、昨年の十二月に結論をちょうだいをした、こういう経緯をたどっているものでございます。
鍛冶清
204
○
鍛冶
委員
国際的な観点からちょっとお伺いをしたいのですが、多少重複することもあるかもわかりませんけれども、
我が国
の国際的な
地位
というものはまさに年々向上をしてきているわけですけれども、知的所有権の分野、特に
著作権
制度
の分野についても、
我が国
の国際的
地位
にふさわしい充実したものでなければならない、こう
考え
ております。 これは、先ほどの大臣答弁でもそういうふうな
お話
をされておりましたけれども、しかしながら、知的所有権の分野というのは、どうも
我が国
は従来、やはり姿かたちの見えないものに対する
権利
ということについては空気のような感じで使って、その補償という
考え
方が少なかったようなことも感じておりますが、もう日本の国もここまで参っておるわけでございますので、今申し上げたように、国際的
地位
にふさわしい充実したものにすべきである、こういう
考え
方を持つものでございます。 そこで、国際的に見て、
我が国
の
著作権
制度
というのは大体どのような水準にまで来ておるのか、その見解をお伺いしたいと思います。
佐藤禎一
205
○
佐藤
(禎)
政府
委員
著作権
等に関連をいたします主要
条約
というものは、大きく分けて四つございます。
著作権
に関しましては、
ベルヌ条約
というものがございまして、これは一八八六年に創設をされたものでありますけれども、
我が国
は早く、一八九九年に加入をいたしてございます。この当時の加入は、国際的な潮流というものを見て世界におくれない
著作権
制度
をつくろうということを目指したものと思われまして、逆に言えば、余り
国民
の間での
著作権
思想の
普及
という実態がないまま
制度化
をした嫌いはございますけれども、それ以後この
ベルヌ条約
の改正
条約
にその都度加入をしてきてございます あわせまして万国
著作権
条約
という一九五二年に創設をした
条約
もございますが、この
条約
にも
我が国
は一九五六年に加入をいたしているわけでございます。 隣接権に関しましては、
実演家
等
保護
条約
というものが一九六一年に創設をされておりまして、
我が国
は一九八九年に加入をいたしました。先ごろ
関係
法律
の改正をお願いしたわけでございます。もう
一つ
は、
レコード
保護
条約
という海賊版の
レコード
を防止する
目的
の
条約
がございます。これは一九七一年に創設をいたしたものでございますが、一九七八年に
我が国
は加入をいたしてございます。 このように、
著作権
、
著作隣接権
に関する主要な
条約
のすべてを
我が国
は締結をいたしているわけでございますが、そのほかに世界に先駆けて有線放送
事業
者の
保護
でありますとか、貸与権、あるいはコンピュータープログラムの
保護
の明確化、そういったものを
規定
をしていただいてきておりまして、そういった
意味
では世界的に見ても高い水準にある、こういうふうに
考え
るわけでございます。
鍛冶清
206
○
鍛冶
委員
この問題については諸
外国
でも積極的に
制度
的な
対応
が図られていることを聞いておりますけれども、そこで、世界各国の
対応
状況
、これをこの際ちょっとお聞きをしておきたいと思います。また、この問題について
世界知的所有権機関
を初めとする国際
機関
等で
検討
が進められているということも聞いておりますけれども、その
概要
についてもお伺いをいたしたいと思います。 〔
委員長退席
、
中山
(成)
委員長代理着席
〕
佐藤禎一
207
○
佐藤
(禎)
政府
委員
本件で御提案申し上げておりますような
報酬請求権制度
は、早く、一九六五年に
ドイツ
、旧西
ドイツ
において
導入
をされたものでございます。その後、一九八〇年代に入りましてからこの
制度
を採用する国がヨーロッパ
諸国
を中心に急激に増加をいたしてございまして、現在では
ドイツ
のほかオーストリア、フランス、オランダ等十七カ国がこのような
制度
をとっている
状況
にございます。諸
外国
のこの
私的録音
・
録画
等に関連した
補償金
制度
の中身は、基本的にはこの
法案
と同様に、私的
複製
を認める
権利
制限の代償として補償
制度
をつくるということでございまして、
機器
または
記録媒体
の
購入
時に
補償金
を支払うことといたしておるわけでございます。 もう少し
具体
的に申しますと、おおむねの点では、
補償金
を受ける
権利
を有する人は主に
著作権者
と
実演家
、
レコード製作者
とされている。それから
補償金
の
支払い
義務を負う者は、それぞれの実定法上、
機器
または
記録媒体
の
製造業者
とされているケースが多うございます。最終的に
補償金
を負担する者は
私的録音
・
録画
を行う
利用者
たる
購入者
と
考え
られている。それから
権利
の行使
方法
については、
一般
的に単一の
権利者
団体
によって
権利
が行使をされている。それから共通
目的
については、支出を
権利者
団体
の意思にゆだねている国と
法律
で定めている国がございますけれども、まあ相応のパーセントをこれに投じているというところが多いというような
状況
になっているわけでございます。 これがそれぞれの国の
状況
でございますけれども、国際
機関
における
検討
といたしましては、一九七五年、
昭和
五十年にジュネーブで開催をされました万国
著作権
条約
の
政府
間の
委員会
及び
ベルヌ条約
の同盟
委員会
というものがございまして、この時点でこの問題を解決する唯一の
方法
として包括的
補償金
を
制度化
するということが提言をされまして、以後
検討
が重ねられているわけでございます。一九七八年にも同様のことが述べられてございます。 昨年から
世界知的所有権機関
、WIPOで
検討
中の
ベルヌ条約
の議定書におきましても、この問題が
検討
に挙げられ、さらにEC
諸国
におきましては、EC
委員会
から各国に指示を出しますディレクティブの中においても同様の
制度
をとるということが
検討
されているというふうに伺っている次第でございます。
鍛冶清
208
○
鍛冶
委員
次に、国際的な観点から
考え
ますと、このような
制度
については
外国
の
権利者
についても差別なく
補償金
を受ける
権利
を認めることが必要である、こういうふうに
考え
るわけですが、この点について、またこれに関連しまして、第九十六条第二項を廃止する
趣旨
というものは、
レコード
保護
条約
の締結国の
権利者
にも
私的録音
・
録画
に係る
補償金
を受ける
権利
を認める、こういうふうにしたんだというふうに解釈をしていいのかどうか、この点についてお伺いをいたします。
佐藤禎一
209
○
佐藤
(禎)
政府
委員
今回の御提言の基礎になっております
著作権審議会
の第十小
委員会
の報告書の中におきましては、
私的録音
・
録画
に関する
報酬請求権制度
についても、
ベルヌ条約
等が定めております内
国民待遇
の原則の適用があるかどうかということについては、実は既に類似の
制度
を
導入
している国々においても取り扱いが違っている、したがって、現時点で各国の
条約
上の見解は一致しておりませんで、これが果たして
条約
上の義務かどうかということは確定した
考え
がないわけでございます。 しかし、
条約
上の内
国民待遇
の原則に照らして
考え
れば、これは積極的に
考え
た方がいいのではないかという御提言をちょうだいしたわけでございます。こういった第十小
委員会
の報告書、並びに
我が国
の置かれております国際的な
地位
ということを
考え
ますと、
著作権者
、
実演家
及び
レコード製作者
について、それぞれ
関係
をする
条約
の
規定
に基づき内
国民待遇
を適用して、これらの
条約
に基づいて
保護
の義務を負う
外国
の
権利者
についても同様の
権利
を認めるということにすることが適当であろうということで、今回、この案文の中に盛り込んであるわけでございます。 そしてまた、後段で御指摘のように、これは大変専門的なことになりますけれども、
レコード
保護
条約
の締結国の
レコード製作者
に対しては、もし現行法のままでありますならば、その
複製権
というものが限定的にしか認められておりません。したがって、今回の
補償金
制度
というものを適用することができなくなる、こういう結論になるわけでございますけれども、あえて先ほど申したような
考え
方に基づき
補償金
を受ける
権利
が与えられますよう九十六条の二項を廃止して内
国民待遇
の
考え
方を徹底しているわけでございます。
鍛冶清
210
○
鍛冶
委員
私的録音
・
録画
の
補償金
について、
ドイツ
やフランス等の諸
外国
の
制度
の実態、それから国際的な
動向
を見ながら、
ディジタル方式
以外の
記録
方式による
私的録音
・
録画
についても対象にすべきだと思うのです。この点についてお伺いしたいのですが、これは朝からずっと何回も話が出ております。私は、率直に言って
理由
づけができるのかできないのか知りませんけれども、恐らく妥協の産物でそうなったのだろうという気がするのです。むしろ私がお伺いしたいのは、
ディジタル方式
以外の
記録
方式による私的な
録音
・
録画
についても対象に入れる方が至当であろう、私はこう思うのですけれども、その点についての
考え
方をお伺いしたいと思います。
佐藤禎一
211
○
佐藤
(禎)
政府
委員
このことは先ほどからるる御答弁申し上げたことでございますけれども、
ディジタル方式
によりますものが高品質の
録音
・
録画
が可能であり
複製
をしても劣化がないということから
権利者
のこうむる不
利益
が大きいという事実が
一つ
ございます。 そこで、第十小
委員会
の報告書の中では、
著作物
の
利用
という観点から見れば、御
意見
がございましたように、アナログとディジタルを区別すべき理論上の
理由
はないけれども、
ユーザー
や
メーカー
等の理解や
協力
を得て、この
制度
を円滑に
導入
するというためには、
ディジタル方式
のものに限定してこの
制度
を
導入
するということが適当であろう、こういう結論をいただいておりますので、この御結論を引き継いだわけでございます。なお、現実に昨年十二月以来行われてまいりました
関係者
間の
協議
におきましても、この
導入
に当たって
ディジタル方式
のものに限るというような形で
協議
が調ったということも事実としてはあるわけでございます。
鍛冶清
212
○
鍛冶
委員
この問題は、この
法案
の採決の際に
附帯決議
の中で各党合意でつけられて注文がつくような感じにどうも流れがなっておりますが、ひとつその取り組みについてはしっかりやっていただきたい、こういうふうに御要望申し上げておきます。 これは先ほど大臣もちょっと言われておったのですが、改めてお尋ねをいたします。
我が国
が世界で
著作権
制度
の充実、改善の点で積極的なリーダーシップを発揮する、こういうことは
我が国
の国際貢献の上で非常に意義深いものだと私は思うのでございますが、改めてまた大臣にこの見解をお伺いしたいと思います。
鳩山邦夫
213
○
鳩山
国務大臣 率直に申し上げて、
鍛冶
先生が冒頭に
お話
をされたように、日本の国内において
著作権
の思想というものが十二分に
普及
しているかということを
考え
れば、まだまだというところもあろうかと思うわけであります。現にいわゆるカラオケというようなところで歌を歌えば当然JASRAC等に幾分かのものを払わなければならないわけでございますが、そうしたことがいまだになぜなんだと十二分に理解されていないようにも思われるわけでございまして、まして文部省、教育の世界の仕事をいたさせていただいておりますから、国内的に見ても
著作権
思想の
普及
というものについては、これから相当力を入れていきたいと思いますが、また先生御指摘のとおり、世界に貢献する日本という観点では、
著作権
思想の全地球的な
普及
のために貢献をするというのはとても大切なことと思っております。
平成
五年度の概算要求、これは新規予算でございますが、アジア地域
著作権
制度
普及
促進
事業
として二千二百七十五万円ではございますが、これはWIPO、世界知的所有
機関
に対して継続的に拠出金を供出して、同
機関
と
協力
して主としてアジア地域
諸国
を対象とした
著作権
制度
の整備や
普及
事業
を行う、こういうことで概算要求をいたしておるところでございまして、このような形で世界に貢献できるように努力をしたいと思います。
鍛冶清
214
○
鍛冶
委員
いみじくも今大臣が啓発活動といいますか広報活動のことについてお触れになったのですが、次にその件でお尋ねしたいのです。確かに
著作権
とか知的所有権の問題というのは従来は日本人に非常になじまなかった感じがいたしますが、だんだん今理解が進んできたとは思いますけれども、こういう
国民
の皆さんに対する広報活動ないしは啓発活動、これは私はむしろもっと積極的にやっていいのではないかなという思いがいたしております。 特に、今回の
補償金
制度
の
導入
というのは、
利用者
の側から見ますと、当然
録音
・
録画
は皆やるのでしょうから、それに対して補償しなければならぬという
考え
方もあるかもしれませんけれども、一方ではむしろ端的に値上げになってしまうという受け取り方をする方の方がひょっとしたら多いのではないかという気もするのです。したがって、一定の
機器
及び
テープ
等の
記録媒体
を使用する場合には、こういう新たな支出というか補償というものはちゃんとしなければならないし、また今回こういう法改正がありましたよということを含めて
国民
の皆さんに対する広報活動というものをしっかりやるべきだと思いますが、今回のこの
制度
に対する
国民
への広報活動といいますか啓蒙活動、どういうふうになさっていらっしゃるか、お伺いをしたいと思います。
佐藤禎一
215
○
佐藤
(禎)
政府
委員
仰せのとおり、今回の
制度
改正等については積極的に広報活動を展開することが必要であろうと
考え
ているわけでございます。この第十小
委員会
の報告が出た直後から、その
内容
等につきましては適時私ども広報活動を行ってまいりましたけれども、また
関係者
に対しましても、このような
制度
の
導入
について一緒に広報活動をしていただきたいということを呼びかけてございます。その結果、
権利者
と
メーカー
では、特にことしの春から秋にかけまして
一般
の新聞紙あるいは週刊誌ないしは音楽
情報
誌等に広告を出しまして、この
制度
の周知徹底というものに努めてきているわけでございます。この結果、世論
調査
等によりましても、この問題についての認識とあるいは賛成
意見
というものが若干ふえてきているという結果を得ているわけでございます。今後とも、この
制度
の円滑な
導入
と定着のためには、御
意見
のとおり、広報活動に努めることが大切だろうと
考え
ておりまして、私どもも努力をしてまいりたい、このように
考え
ております。
鍛冶清
216
○
鍛冶
委員
これはもうしっかりひとつやっていただきたいと思います。 これも重ねてのようなお尋ねになりますけれども、今回の
法律
の
制度
の実施に当たっての広報活動だけではなくて、
著作権
思想自体をやはり大いに、これはふだんから啓発活動はもっともっとやっていいんじゃないかというふうに思います。 今私が余り新聞を読んでないのか、大分読んでいるつもりだけれども、広告のところを読んでないせいですかね、今答弁のありましたようなそういうのが、広告が出ていたというのはちょっと全く記憶にないのでね。私にないから皆さんなおさらないのかなという気がしますが、確かに読まない方もよくないのかもわかりませんけれども、とにかく、そういうのがどこかで必ず頭に引っかかるような形での広報活動をやれるぐらいまで、これは
著作権
の問題も含めてぜひお取り組みをいただきたい。
著作権
思想が
普及
していない国というのは一流国とは言えないというふうに言われているわけでございまして、この今回の
制度
だけではなくて、
著作権
思想に関しては一層の
普及
啓発、こういった点をやっていただきたい、こういうふうに思うわけですが、この件について、多少重複をいたしますが、再度お答えをいただきたいと思います。
佐藤禎一
217
○
佐藤
(禎)
政府
委員
御指摘のとおり、今回の
制度
に限らず、
著作権
思想
一般
についてこれを
普及
啓発をするということは大切な課題であるというふうに
考え
る次第でございます。私ども、従来から、実は講習会の開催でありますとか資料の発行等を通じてそういった活動に努めているつもりではございます。
具体
的には、講習会といたしましては、
一般
を対象とした
著作権
セミナーというものを全国七カ所で行っておりますほか、都道府県職員を対象といたしました専門的な講習会、あるいは図書館や視聴覚ライブラリー等の職員を対象としたこれまた専門的な講習会を行っておりまして、こういった自分で行う講習会を持っているわけでございますけれども、このほかに、地方公共
団体
の
機関
が開催をする各種の講習会等へも講師を派遣をして参画をさせていただいている、こういう
状況
でございます。 また、別途資料といたしましては、
著作権法
テキストといった資料を出しますとか、あるいはビデオで資料をつくりまして、そのビデオ教材を教育
委員会
や視聴覚ライブラリーなどにも配付をするというような活動もあわせてやっているわけでございます。 予算の額が微々たるものでありまして、私ども今後力を入れなければいけない、こういうふうに思いますけれども、引き続き努力をさせていただきたいと存じております。
鍛冶清
218
○
鍛冶
委員
これも質問がありましたから重複するわけですが、ちょっと今の広報活動と重ね合わせてお尋ねをしたいのですけれども、
指定管理団体
が受け取った
補償金
は
権利者
に分配するけれども、二割以内で、
政令
で定める一定額について
著作権
及び
著作隣接権
の
保護
に関する
事業
並びに
著作物
の創作の振興及び
普及
に資する
事業
に支出するということにしているわけですけれども、その
理由
、また、この
事業
も、これは先ほどからもいろいろ
お話
がありましたけれども、この
補償金
制度
、この
事業
についての
補償金
制度
についても、
国民
の皆さんに対するやはり
普及
活動、啓発活動というものが必要である、こういうふうに思いますが、この点についての御
意見
をお伺いしたいと思います。
佐藤禎一
219
○
佐藤
(禎)
政府
委員
今回の
私的録音
録画
補償金
は、御指摘のように、基本的にはそれぞれの
権利者
に分配をされるべき性格のものでございます。 ただ、先ほども御答弁を申し上げましたけれども、百四条の四の特例によって
請求
をし
支払い
をするというこの行為は、通常のような形で個別の
利用
行為ごとに支払われる場合と違っておりまして、どのような
著作物
をどれだけ
録音
・
録画
したということにかかわりなく
補償金
が支払われることになりますし、個々の
権利者
と個々の
録音
・
録画
行為との
関係
は明確に確定をするということが難しいという事情があるわけでございます。 その上に、実際の配分資料、分配資料を作成する場合にも、費用との
関係
からどうしても一定の
制度
というふうな限界があるわけでございまして、その場合、零細で分配し切れない
権利者
あるいは分配資料に今たまたま挙がってこない潜在的な
権利者
、こういったものが出てくることを回避できないわけでございます。 したがって、こういった
権利者
への配慮として、
権利者
全体の
利益
となるような
事業
へ支出をするという
制度
を設けることによりまして、一種の間接的な分配を行うというような仕組みを
考え
ているわけでございます。諸
外国
でもこれと類似のシステムが設けられているケースが多いわけでございます。 この
事業
の中で、ただいま特に御指摘がございましたように、この
補償金
制度
についての
国民
の一層の理解を得るために
普及
啓発活動ということを行うことが必要なことだと私どもも
考え
ておりまして、今後
指定管理団体
が設立をされました場合には、このような
普及
啓発活動に力を入れるように、こういうものについては十分指導を行ってまいりたい、このように
考え
る次第でございます。
鍛冶清
220
○
鍛冶
委員
これも朝からの論議の中で触れておられましたことですが、映画に関する
実演家
、監督、それからメーンスタッフについての
権利
の問題ですけれども、映画の概念が広がって映画の
利用
が多様化してきている現在、このあり方について見直しが行われるべきである、こういうように思うのですが、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
佐藤禎一
221
○
佐藤
(禎)
政府
委員
現行
制度
におきましては、隣接権と
著作権者
の書き方が若干異なっておりますけれども、映画に出演の許諾をした場合には、
実演家
には、その映画を二次的
利用
する場合には、当然には
法律
上の
権利
は発生をしないことになっております。
著作権法
の九十一条でございます。 また、映画監督でありますとか撮影、美術等の映画の
著作物
の
著作者
という者につきましては、映画製作に参加をしたときには、映画製作者に
著作権
が帰属をするというものが現行法二十九条で定められているわけでございます。 したがいまして、
実演家
につきましても映画監督等につきましても、その後の映画の二次的
利用
において
利益
の配分を受けようといたしますと、出演契約あるいは参加契約を結ぶ際に、この点について特に契約を結んでみずからの
権利
なり
利益
を確保しておかなければいけない、こういうことになるわけでございまして、こういう
状況
というものは世界を通じておおむね同様の
状況
にあるわけでございます。 ところが、御指摘のように.近年の
技術
の発達によりまして、ビデオでありますとかあるいは衛星放送あるいはCATV、そういったものが登場をしてまいりまして、従来予想しなかった映画の二次的
利用
の形態というものが広がってきているわけでございます。したがいまして、
実演家
においてこのような二次的
利用
についての
権利
を確保するという必要を感じたといたしましても、実は、
制度
上は先ほどのように契約を事前に結ばなければいけない、そしてその契約はほとんど結ばれていない、こういう
状況
にございますので、今のところ
実演家
等の
団体
は、結局この契約というものをもう少しルール化し、より適切に結んでいけることができるようなそういう運動を展開をしていらっしゃるというふうに理解をするわけでございます。 こういった
状況
を受けまして、
著作権審議会
ではことしの三月に第一小
委員会
の
審議
のまとめが出されておりますけれども、
文化庁
といたしましては、映画の二次的な
利用
に伴う
実演家
や映画監督等とそれから映画製作者との
関係
のあり方の問題を
検討
するために、この五月に改めて映画の二次的
利用
に関する
調査
研究
協議
会というものを発足をさしているわけでございます。現在この
協議
会は比較的積極的に開かれておりまして、
関係者
の共通理解を得るためにヒアリングを行うなど議論を進めているわけでございますけれども、こういった
関係者
のお集まりの場で共通理解が得られ、適正な
関係
というものが形成をされていくということを大いに期待をしているという
状況
にあるわけでございます。 〔
中山
(成)
委員長代理
退席、
委員長
着席〕
鍛冶清
222
○
鍛冶
委員
今次長が答弁されたことは、まさにそのとおりだと思います。ただ、確かに
著作権法
をつくりましたときには想定されなかったようないろいろなものが発達をしてきて
利用
されるということになってきておりますし、そういう
協議
会をつくっておるということは、恐らくそれをいい形で変えていこうという思いもおありである、こういうふうに思いますので、早くこれが実現できますようにひとつ御努力をお願いしたいと御要望を申し上げておきます。 次に、
著作権法
上、
著作者
については死後に至るまでその人格権というものは
保護
されているわけですけれども、
実演家
の人格権の
保護
は
著作権法
上は顧みられていない。そういう
意味
では、法的均衡を欠いているんではないかというふうにも思うわけです。そして、
実演
のゆがめられた
利用
とか伝達、改変、こういったことによって
実演家
の皆さんの名誉とか声望というものを侵害されるということも間々起こってくる。時には致命的なことも起こるというようなこともあるわけですから、
著作権法
上何らかの人格権の
保護
を明記する必要があるんではないか、こういうふうに思うわけですが、この件についてお尋ねを申し上げます。
佐藤禎一
223
○
佐藤
(禎)
政府
委員
御指摘のとおり、
著作権者
の
著作者
人格権というものは現在法定をされておりますけれども、隣接権者についての人格権、特に
実演家
の人格権は
現行著作権法
上は特に認められていないわけでございます。これは恐らく、
実演家
等
保護
条約
にもこのような明文
規定
はございませんし、世界を通じてそのような立法例が少ないということにも起因をしておろうかと思います。ただ、少数ではございましたが立法例はございまして、例えば
ドイツ
では、その
実演家
はその
実演
の改変その他の侵害で
実演家
としての名誉または声望を害するおそれがあるものを禁止する
権利
を有するというような
規定
を持っておりますし、フランスにおきましても、
実演家
は、その名、その資格及びその
実演
の尊重を要求する
権利
を有するというような
規定
を持っている。そういう立法例もないわけではございません。しかし、世界を通じてそのような形が共通の理解というところまで立ち至っていないということが
一つ
あろうかと存じております。 他方、
我が国
におきましては、
実演家
の人格的な
利益
が侵害をされた場合につき、これまで判例の積み重ねによりましていわゆる肖像権というものが少しずつ形成されつつあるように感ずるわけでございます。淵源は民法上の不法行為に由来をするというふうに思うわけでございますけれども、判例の積み重ねによって、そのような肖像権といった一種の形が形成をされますならば、それはそれとして大いに有効に機能するものでもございます。 したがいまして、こういった
一般
的な不法行為からくる肖像権の動きがどうなるか、あるいは世界がどうなるかというようなことを頭に置きながら、今後の
検討
課題というふうに受けとめさせていただきたいと
考え
ております。
鍛冶清
224
○
鍛冶
委員
これで
最後
の質問にいたしたいと思いますが、今までの私の質問を含めて大臣に
最後
にお尋ねでございますが、
著作権法
の改正については、今後とも
技術
の
普及
発達に伴って積極的に行っていくべきである。ここ数年、もう毎年といっていいぐらいいろいろ
著作権法
改正が出てきているわけですが、この件について大臣に
最後
に
一つ
お尋ねをいたしまして、私の質問は終わりたいと思います。
鳩山邦夫
225
○
鳩山
国務大臣 冒頭
鍛冶
先生が、
著作権
、あるいは知的所有権とおっしゃったかとも思いますが、
著作権
とか知的所有権のようなものがきちんと
保護
できなければ一流国ではない、先進国ではないというような御
趣旨
のことをおっしゃいましたが、私は全くそのとおりだと思っておりまして、
著作権法
の改正については、これからの国際的な
動向
とか新しい
技術
の発達とかいろいろな問題があろうと思いますし、先ほど先生が
お話
をされた
実演家
の人格権とか、既に提起されているさまざまの問題もございますが、できる限り先へ先へ進んでいくことができまして、日本の国は
著作権
思想も
普及
をしておるし、いわば
著作権
の先進国だなと評価されるような、そんな行政をやり、そんな
法律
をつくっていきたいと存じます。
鍛冶清
226
○
鍛冶
委員
ありがとうございました。以上で終わります。
伊藤公介
227
○
伊藤委員長
御苦労さまでした。 次に、
山原健二郎
君。
山原健二郎
228
○山原
委員
今回の法改正、これは十五年にわたると言われましたが、年来の懸案でありますし、
報酬請求権制度
を法的に確立するという点で大きな意義を持っておると思います。そういう
意味
で私どもも賛成の立場です。ただ、
制度
創設の画期性に対しまして、ディジタル
録画
・
録音機器
・
機材
に限定するなどという、
実効性
という点で不十分な点があるのではないかと思われますので、この点について、さきの質問者の皆さんと重複するかもしれませんが、基本的な点について幾つかお伺いをしておきます。 まず第一番に、これは
文化庁
の方へ伺いますが、
現行著作権法
第三十条は、
私的録音
・
録画
は自由かつ無償、こう
規定
しております。この立法当時は、
録音
・
録画機器
・
機材
の
普及
も
一般
的ではなくて、
家庭
内などの
私的録音
・
録画
もごく限られていたため、
著作者
の
利益
を不当に害するとは
考え
られなかったという事情があることは、もう先ほど来論議しておるところです。ところが、その後の
録音
・
録画機器
・
機材
の急速な
普及
発展と相まって、現在では
私的録音
・
録画
が広く大量に行われるようになっている。昨年十二月の
著作権審議会
第十小
委員会
報告でも、「これらの実態を踏まえれば、
私的録音
・
録画
は、総体として、その量的な側面からも、質的な側面からも、立法当時予定していたような実態を超えて
著作者等
の
利益
を害している状態に至っている」と指摘しています。今度のこの実態認識ですね、これが今回の法改正を根拠づける背景になっておるのではないかと思いますが、そのように理解してよろしいですか。
佐藤禎一
229
○
佐藤
(禎)
政府
委員
ただいまの
お話
は恐らくは
著作権審議会
の第十小
委員会
の報告の中から援用なさったと存じます。この
著作権審議会
第十小
委員会
の報告の中におきましても、このあり方につきましては、おおむねただいま
お話
のございましたような、
機器
の発達によって立法当時想定されていなかったような経済的な不
利益
を招く事態というものが徐々に生じてきているのではないかという認識を持っているというふうに理解をいたしております。
山原健二郎
230
○山原
委員
実態調査
について次に伺っておきたいのですが、
私的録音
・
録画
に関する
実態調査
の最近のものとしては、昨年三月から四月にかけて
関係
団体
の
協力
で実施されたものがあって、その
概要
は第十小
委員会
報告書に
紹介
されておりますね。この昨年三月、四月にディジタル
録音機器
・
機材
として発売されていたのはわずかにDATだけで、その販売実績も微々たる
状況
で、
録画機器
は今も
一般
家庭
用のものは発売されるに至っておりません。したがって、今日の
著作者等
の
利益
を害している状態、これは
ディジタル機器
・
機材
によって生じているのではないわけですね。今
一般
に広く
普及
している
アナログ方式
の
録音
・
録画機器
・
機材
によって引き起こされたものでございます。したがって、
報酬請求権制度
の適用対象からアナログ
機器
・
機材
を外す
理由
というのは、理論上も実態上もないのではないかと思いますが、この点についてお答えいただきたいのです。
佐藤禎一
231
○
佐藤
(禎)
政府
委員
実態という点に関して申し上げますならば、先ほど来申し上げましたように、
ディジタル方式
によります
録音
・
録画
は、
アナログ方式
に比べまして各段に高品質の
録音
・
録画
が可能になるわけでございます。そしてまた、
複製
をしても劣化がないというような性質を持っておりますので、そういった
意味
では大きな違いを持っているのではなかろうかと
考え
ている次第でございます。 理屈の上で申しますと、
著作権
の
利用
という観点だけから見ますれば、第十小
委員会
におきましても、その両者を区別すべき理論上の
理由
はない、しかし、実際にこの
制度
を円滑に実施をしていかなければならないわけで、本来直ちに義務を負うわけではない
メーカー
等に対しても
協力義務
等を課していくわけでございますので、そういった
関係者
の理解や
協力
を得て円滑に
導入
をするということを
考え
ますならば、
ディジタル方式
のものに限定をすることが望ましいということが第十小
委員会
での結論となっているわけでございます。
山原健二郎
232
○山原
委員
円滑に
導入
する、それから望ましいと判断するということですね。 これは、例えば
一般
家庭
向けの
ディジタル方式
録画機器
・
機材
の商品化は数年先とも言われておるわけです。私的
録画
で
権利
侵害されている
権利者
への
補償金
配分は当分実現しないことになります。たとえディジタル商品が
一般
向けに売り出されたとしても、急速に大きな市場を獲得するかどうか不透明なところがございます。しかも、ハイビジョン方式の高品位テレビやビデオ
テープ
レコーダーの
開発
も進められておりますが、この方式による
一般
民生用の
機器
は当面
アナログ方式
になる見通しではないでしょうか。現に昨年七月に発表されたハイビジョン
録画機器
は
アナログ方式
でございます。こうした方式が
録画機器
・
機材
の主流をなせば、
アナログ方式
で高品位の私的
録画
が
補償金
の
支払い
なしにできることになるわけです。どういう
録画機器
が市場の大勢を占めるかはもちろんまだわかりませんけれども、ハイビジョンも有力な方式であって、仮にそういう
状況
が生まれるとするならば、私的
録画
で
権利
侵害されている
権利者
の方はいつまでたっても満足な
補償金
の分配さえ受けられないということになりかねません。したがって、少なくとも
報酬
請求
の対象から
アナログ方式
の
録音
・
録画機器
・
機材
を外すという今回の
規定
については、今後の
録音
・
録画機器
の商品化
動向
などの実態をも踏まえまして、見直すことを含め、適切に対処すべきであると
考え
ますが、その点はどうお
考え
でしょうか。
佐藤禎一
233
○
佐藤
(禎)
政府
委員
この問題は、一方で
権利者
がどこまで
権利
を確保するかということがございますが、他方でそれぞれの
ユーザー
、
一般
の
家庭
がどういう負担をするかという問題とも結びつくわけでございます。そういった
意味
では、先ほど来
お話
ししてございませんが、一面で、現在
家庭
に大いに
普及
をしておりますアナログの
機器
に広くこの
補償金
制度
をかけていくということに伴う問題点というものも頭に入れておく必要があるのではないかというふうに思うわけでございます。 ところで、
ディジタル方式
の
録画機器
についてのお尋ねでございますが、この
制度
につきまして
補償金
の対象と
考え
ておりますのは、
ディジタル方式
によって
記録
が可能になる
録音
と
録画
の
機器
と
記録媒体
でございます。御質問のように、現在まで
録画
については民生用の
ディジタル方式
の
機器
、
記録媒体
は発売をされておりません。したがって、この
制度
が
導入
をされても、当分の間
録画
については、このシステムは動かないわけでございます。 しかしながら、従来から
録音
・
録画
問題としてこの問題は
録音
と
録画
がセットにして
考え
られてきたという経緯があり、その
制度化
に当たってもセットで
考え
ていくという
関係者
の合意もあるということが
一つ
ございます。いま
一つ
は、放送局など業務用の
ディジタル方式
の
機器
というものはかなり発展をしてきております。これのコストダウンが行われますなれば、直ちに民生用の
ディジタル機器
の発売というものも見込まれるわけでございまして、そういったものがいつから発売できるか特定できませんが、逆に特定できませんだけに、こういったシステムをつくり、備えておくということも必要になるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。 なお、
補償金
の対象というものは、適宜
技術
の発達
状況
等見ながら、
権利者
の
権利
の
保護
という観点を大切にし、適時見直しを行うというその気持ちはございますけれども、
具体
的にどういうふうな変更を行うかということについては、現在
具体
案は持ち合わせていないわけでございます。
山原健二郎
234
○山原
委員
大変苦労されたこの
法案
ですから、判断をされた基準、あるいはまた円滑に実施をしていくという立場はわからぬわけでもありませんし、先ほども
参考人
の方にもお聞きしたわけですけれども、
参考人
の方も、
一つ
は、理想と現実という問題という言葉も出ましたように、苦労された結果の作品であるということをおっしゃっておりましたね。その点はわかるのですけれども、実態として、やはり今後の商品化
動向
などの実態を十分把握して、さらにこれに適切に対処する、あるいは見直しをするということは当然のことだと思いますので、この点については、私は一定の問題として提起しておきたいと思います。 それから、先ほども出ておりましたが、次の問題は映画の二次的
利用
の問題です。 昨年三月の
著作権法
の改正案の
審議
のときにも私はこの問題を取り上げたわけでございますけれども、衛星放送を含めたテレビでの頻繁な再放送、ビデオ化による市販など、おびただしい量で映画の二次的
利用
が繰り返され、これに伴う監督、
実演家
に対する追加
報酬
はごく一部を除いてほとんどなされていない、そういう実態を昨年もこの
委員会
でお示しをしたわけです。 この問題で、
著作権審議会
第一小
委員会
はことしの三月のまとめで、映画の二次的
利用
に伴う
実演家
及び映画監督等の
権利
について
著作権審議会
において
検討
を継続しつつ、
文化庁
において
関係者
の
協議
を積極的に支援することが適当との見解を明らかにされました。これを受けて、五月に
文化庁
に
関係者
から成る映画の二次的
利用
に関する
調査
研究
協議
会が設けられました。この
協議
の場については、
法律
上の
検討
とあわせて、当面契約等による解決の方向で
検討
を進めることも適切な方策との指摘も踏まえたもので、この点での
文化庁
の積極的な支援が望まれております。当事者間の
協議
、契約による不
利益
の是正といういわゆるルールづくりのできるだけ速やかな実現のために
文化庁
の指導性の発揮を強く要望したいのでございますが、この
協議
が何年もかかるということにならないように、打開のめども含めまして、これは
文化庁
の決意をお伺いしておきたいのです。
佐藤禎一
235
○
佐藤
(禎)
政府
委員
この問題につきましては、先ほど来お答えをしてまいりましたように、なかなか難しい問題を多く包含をしているわけでございます。
制度
的な問題もございますし、さらにはこの問題の焦点となっておりますのは、
一つ
は、事前の契約
段階
においてきちんとしたルールをつくるということができれば
制度
的な改正を伴わずして問題を整理していくということも可能な要素を持っているわけでございます。そういった
意味
では、
関係者
による
協議
、共通理解というものが何よりも大切であろうと私ども
考え
るわけでございます。
著作権
制度
全体が私権同士のぶつかり合いでございますので、私どもがどんどん前へ出ていくということが果たしてよいかどうか、そういう基本的なスタンスもございまして、私どもといたしましては、せっかくこの第一小
委員会
の報告、
審議
のまとめを受けてできました
検討
の場がより積極的に機能するように支援をしてまいりたい、こういうふうに
考え
る次第でございます。
山原健二郎
236
○山原
委員
もう
一つ
、時間の
関係
でもう二つになるかもしれませんが、これは文部大臣も含めてお伺いしたいんです。 大臣は先ほど、
著作権法
の先進国になりたい、非常に積極的な御発言だと思っております。これは前にも取り上げられた問題ですが、例えば、写真
著作権
の
保護
期間の延長の問題でございます。第一小
委員会
のまとめでは「写真の
著作物
の
保護
期間については、国際的な流れは、長期化の傾向があり、死後五十年以上とするのが先進国の大勢となっている。このような
国際的動向
を踏まえれば、将来的には、写真の
著作物
の
保護
期間についても、文芸、美術等の
著作物
と同様の取扱いとするのが適当であると
考え
られる。」としております。 このように大筋ははっきりしているわけですね。いわば方向性ははっきりしているわけでございますので、この問題についての法制化を急ぐ必要があると思いますが、この点については大臣の御見解を伺っておきたいのです。
鳩山邦夫
237
○
鳩山
国務大臣 従来から写真については、ただの写真とか芸術性のある写真とかいろいろ分けている国もあるようでございますし、また旧
著作権法
では比較的短目の
保護
期間になっておったことも承知いたしておりますし、
ベルヌ条約
や万国
著作権
条約
でも
一般
の
著作物
よりは
保護
期間が短いという傾向があったと思います。 ただ、山原先生御指摘のように、今後
著作権
というものは、その思想を
普及
をしていく
必要性
があるし、
保護
期間も写真だけ短いというのもいかがなものかというふうに基本的には私も
考え
ております。
著作権審議会
が報告をしておりますように、
我が国
でも写真の
著作物
に
著作者
名をつけるという習慣がかつては乏しかったわけでございましょうが、その辺の
普及
を
前提
にしまして、今は死後ということではなくて公表後五十年というような
考え
方がとられているようでございますが、これを他の
著作物
と同じように死後五十年という形に持っていくのも
一つ
の
考え
方だろうと思っておりまして、決して我々消極的に物事を
考え
ているわけではありません。幾つかの
検討
段階
を経て、いずれ立法
措置
を
考え
なければならないというふうには基本方向をとらえてはおります。
山原健二郎
238
○山原
委員
最後
に、
著作権
についてこれだけの認識が高まり、そういう機運が起こっているときでございますから、先ほど文部大臣が言われたように、
著作権法
についての先進国になりたいという、この御
意見
は大変積極的でありますし、そういう
意味
で今後とも対処していただきたいと思います。
最後
に、これは
文化庁
ですが、いわゆる
権利者
の
団体
、
指定管理団体
が受け取った
補償金
の一部が個々の
権利者
に配分されず、共通
目的
事業
のため支出しなければならない、こう
規定
されています。先ほども問題が出ましたが、
著作権
は私権でありますから、この点について、少なくとも私権に属することであるから
権利者
間の
協議
によって決めるなどの仕組みにすべきではないかという
意見
や、将来的には上限の二割をもっと低くしてもらいたい等の
意見
も聞かれるわけでございますが、これについてどういうふうにお
考え
になっているか、これを
最後
に伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
佐藤禎一
239
○
佐藤
(禎)
政府
委員
基本的には、
お話
しのようにそれぞれの私権を集めたものでございますので、分配をするということが望ましいわけでございます。しかしながら、どうしても捕捉をすることができない人、その他の
理由
によってこういった共通
目的
で間接的に配分をするということがこの
制度
の
趣旨
でございます。 この中身につきまして、あるいはその支出割合につきましては、今後の全体の実行
状況
を見ながら適時
関係者
間でも
協議
をするということになっておりまして、固定的に永劫に二〇%ということで実行していくわけではないわけでございます。
山原健二郎
240
○山原
委員
終わります。
伊藤公介
241
○
伊藤委員長
御苦労さまでした。 これにて本案に対する
質疑
は終了いたしました。
—————————————
伊藤公介
242
○
伊藤委員長
これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出
、
著作権法
の一部を改正する
法律案
について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
伊藤公介
243
○
伊藤委員長
起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————
伊藤公介
244
○
伊藤委員長
ただいま議決いたしました
法律案
に対し、
中山
成彬
君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・
国民
会議
、日本共産党及び民社党の五党共同提案による
附帯決議
を付すべしとの動議が
提出
されております。
提出
者から
趣旨
の
説明
を求めます。
吉田正雄
君。
吉田正雄
245
○
吉田
(正)
委員
私は、
提出
者を代表いたしまして、ただいまの
法律案
に対する
附帯決議
案について御
説明
申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。
著作権法
の一部を改正する
法律案
に対する
附帯決議
(案)
政府
及び
関係者
は、
文化
の発展に寄与する
著作権
保護
の重要性にかんがみ、
著作権
思想の一層の
普及
に努めるとともに、次の
事項
について適切な
措置
を講ずべきである。 一
私的録音
・
録画
に関する
補償金
制度
が、
ユーザー
等の信頼を得て円滑に運用されるため、
指定管理団体
が行う
権利者
への
補償金
の分配、
私的録音
・
録画
以外の用に供するための
特定機器
及び
特定記録媒体
を
購入
する者への
補償金
の返還及び
著作権
等の
保護
に関する
事業
等のための支出が適切に行われるよう努めること。 二
録音
・
録画
された
実演
の
利用
が多様化している等の実態を勘案して、映画監督、
実演家
等の
権利
の適切な
保護
等について
検討
すること。 三 視聴覚障害等の障害者が、公表された
著作物
を適切公正に
利用
することができる方途を
検討
すること。 四
レコード
による音楽の演奏権の及ぶ範囲及び写真の
著作物
の
保護
期間については、
関係者
による条件整備の
状況
等に留意しつつ、
制度
的
対応
について
検討
を進めること。 以上でございます。 その
趣旨
につきましては、本案の
質疑
応答を通じて明らかであると存じますので、案文の朗読をもって
趣旨
説明
にかえさせていただきます。 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
伊藤公介
246
○
伊藤委員長
これにて
趣旨
の
説明
は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
伊藤公介
247
○
伊藤委員長
起立総員。よって、本動議のごとく
附帯決議
を付することに決しました。 この際、本
附帯決議
に対し、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
鳩山文部大臣
。
鳩山邦夫
248
○
鳩山
国務大臣 ただいまの御決議につきましては、御
趣旨
を体しまして、今後努力をいたしたいと
考え
ております。
—————————————
伊藤公介
249
○
伊藤委員長
お諮りいたします。 ただいま議決いたしました
法律案
に関する
委員会
報告書の作成につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤公介
250
○
伊藤委員長
御
異議
なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
—————————————
伊藤公介
251
○
伊藤委員長
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時五十九分散会 ————◇—————