○佐々木
委員 先ほど辻
委員からも、昨日の
予算委員会で渡辺
外務大臣が我が党の
水田委員の質問にお答えになっている、その中で田名部農林
大臣のお答えとややニュアンスが違うのじゃないかという御
指摘がありました。私もそれを大変懸念するのですけれ
ども、速記録を見せていただいて検
討させていただいたのですが、とにかく渡辺
外務大臣、この
ガット・
ウルグアイ・ラウンドの問題に対してよくしゃべっているんですね。
農水大臣がお話しになっておるよりも三倍ぐらい、いるいろいろいろしゃべっておられる。
〔
委員長退席、
簗瀬委員長代理着席〕
この間の
予算委員会のときには、これは我が党の山花書記長の質問に対してですけれ
ども、これは閣内一致して事に当たるんだというようなお答えがあったんだけれ
ども、それにしてはきのうの渡辺
外務大臣の答弁では、どうも閣内統一というか、田名部
農林水産大臣のお答えになっている閣内統一という範囲から飛び出しているような、初めに
ウルグアイ・ラウンドありき、どうしてもこれの決着が何よりも
日本の経済にとっては大事なんだ、こういうニュアンスの
発言が非常に強いものですから、だから皆心配するわけですよ。
例えば、
ウルグアイ・ラウンドを早期にまとめることによって最も恩恵を受けている国は
日本である、こういうような
発言もあるのですね。こういうような論調というのは、これはいろいろなところで最近あるわけですね。何しろ、
アメリカと
ECとの間の
合意ができたということをめぐって、新聞論調なんかも百家争鳴の感があって、いろいろな
主張がにわかに出てきている。
例えば、十一月二十二日の読売新聞の社説、これは、もう「「コメ」開放へ決断する時だ」ということをはっきり言っている。しかも、その中で私は大変問題だと思うのは、「
日本は
関税化の受け入れを表明し、
関税・
貿易一般協定(
ガット)の新
ラウンド成功に貢献しなければならない。
ガット体制の受益者として当然の国際的義務」であるというだけではなくて、その後が問題だと思うのですが、「稲作の体質を強化し、生き残りを図っていくうえでも必要だ。」というような論調があるのですね。この論調はさらに続いて、もしも「
日本の
反対が原因で新
ラウンドの
合意が遅れたり、失敗したら、どうなるか。国際的に孤立するのは無論、稲作も深刻な打撃を受けるに違いない。」つまり、
ガットがまとまらなければ
日本の稲作がだめになるという、僕はこれは大変短絡だと思うのです。そして三段論法としてもどこか間違っているように思えてならない。
それからまた、同じ日の日経新聞の社説でもそうなんですね。「工業製品の輸出でさんざんかせいでいる国が農産物についてだけこう言っても、味方が少ないのは当然だろう。」なんということを言っている。これもおかしな話で、これは私も前にこの
委員会で質問したときに言ったのだけれ
ども、米の市場開放を求められている、これが
貿易などでもうけている
日本、この
日本としては当然だというような言い方というのは、言ってみれば、承知もしていないのに隣のうちのサインを、おまえ、隣に住んでいるからというだけで保証しろと言われるようなものだ。保証するからには、保証人になる者の同意がなければならない。同意の上での捺印がなければならない。それもないのに、隣に住んでいるからだけで押しつけるような理論ではないか。これを大新聞、日経ともあろうものが堂々と書いているわけですね。
工業製品の輸出でさんざん稼いでいるということで非難をされるんだとすれば、これは工業製品の
貿易分野で何とか対策を考えていけばいい。もちろん、このことについては渡辺
外務大臣も、
日本はこの工業製品の
分野でも今度の
国別表、リストを出した中で大変大きな譲歩をしているというようなことも言っておられるわけだけれ
ども、しかし、
先ほど辻
委員も御
指摘のように、全体的な経済、自由経済の恩恵なくして
農業の発展ということもあり得ないんだというような言い方をされたり、それからまた、
マルチの場に出ると、今度は
アメリカと
日本の一対一という
交渉ではないから、
世界相手の
交渉ということになればこれは多勢に無勢みたいな話ですよ、先が見えた話だ、そんな中で本当に命がけで抵抗していくということをやるのか、非常に厳しい選択を迫られるという御
指摘があるのですね。
これは、
農林水産大臣が閣内統一、一致しているということで
外務大臣の御見解をかばうというか、それからまた、さっき外務省の林次長も、それは我が親分の話ですから一生懸命かばう気持ちはわかるんだけれ
ども、しかし、次長や事務次官あたりが言っても、ああいう
大臣のことだから、なかなかこうと思い込んだらそうは簡単に、事務方の話なんというのはそっちのけにしてというような心配があるわけですよ。だからこそ、この所管はしかし
農林水産大臣なので、
農林水産大臣が頑張っているということは渡辺
外務大臣も言っておられるわけだから、田名部農林
大臣にここのところはひとつ本当に頑張ってもらいたいし、大いに自信を持ってやっていただかなければならない。このことは私
どもとしても、これは与野党を超えて応援団のつもりですから、そんなつもりで自信を持って、ああいう
発言力が大きいというか、声の大きい
外務大臣に負けないようにひとつやってもらいたいと思うので、改めてその辺の決意を示してもらいたいと思うのですが、どうですか。