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1992-12-08 第125回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年十二月八日(火曜日)     午前十一時二十分開議 出席委員   委員長 桜井  新君    理事 浅野 勝人君 理事 井上 喜一君    理事 片岡 武司君 理事 御法川英文君    理事 山口 俊一君 理事 上田 卓三君    理事 田口 健二君 理事 山田 英介君       大塚 雄司君    中島洋次郎君       葉梨 信行君    渡瀬 憲明君       大出  俊君    佐藤 敬治君       佐藤 徳雄君    嶋崎  譲君       山中 邦紀君    山元  勉君       北側 一雄君    竹内 勝彦君       三浦  久君    和田 一仁君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長官         )       加藤 紘一君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 宮下 創平君  出席政府委員         国際平和協力本         部事務局長   柳井 俊二君         防衛庁長官官房         長       村田 直昭君         防衛庁防衛局長 畠山  蕃君         防衛庁教育訓練         局長      諸冨 増夫君         防衛庁人事局長 秋山 昌廣君         外務省アジア局         長       池田  維君         外務省中近東ア         フリカ局長   小原  武君         外務省国際連合         局長      澁谷 治彦君  委員外出席者         内閣委員会調査         室長      富成 敏夫君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月四日  辞任         補欠選任   中尾 栄一君     倉成  正君   渡瀬 憲明君     原田  憲君   北側 一雄君     市川 雄一君 同日  辞任         補欠選任   倉成  正君     中尾 栄一君   市川 雄一君     北側 一雄君 同月七日  辞任         補欠選任   原田  憲君     渡瀬 憲明君     ――――――――――――― 十二月二日  従軍慰安婦問題等に関する請願三浦久紹介  )(第一三九二号)  従軍慰安婦などの戦後補償等に関する請願(阿  部昭吾紹介)(第一三九三号)  同(伊東秀子紹介)(第一三九四号)  同(宇都宮真由美紹介)(第一三九五号)  同(上原康助紹介)(第一三九六号)  同外一件(岡崎トミ子紹介)(第一三九七号  )  同(岡崎宏美紹介)(第一三九八号)  同(小林守紹介)(第一三九九号)  同(佐々木秀典紹介)(第一四〇〇号)  同(斉藤一雄紹介)(第一四〇一号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第一四〇二号)  同(鈴木喜久子紹介)(第一四〇三号)  同(仙谷由人紹介)(第一四〇四号)  同(筒井信隆紹介)(第一四〇五号)  同外一件(土井たか子紹介)(第一四〇六号  )  同外一件(外口玉子紹介)(第一四〇七号)  同(楢崎弥之助紹介)(第一四〇八号)  同(長谷百合子紹介)(第一四〇九号)  同(早川勝紹介)(第一四一〇号)  同(吉田和子紹介)(第一四一一号)  旧満州航空株式会社職員恩給法令外国特殊  機関職員として追加規定に関する請願大野由  利子君紹介)(第一四一二号)  同(近江巳記夫紹介)(第一四一三号)  同(鳥居一雄紹介)(第一四一四号)  同(中島洋次郎紹介)(第一四一五号)  同(中谷元紹介)(第一四一六号)  同(山口那津男紹介)(第一四一七号)  同外一件(山田英介紹介)(第一四一八号)  調整手当京浜地区一律引き上げに関する請願  (三浦久紹介)(第一四一九号)  PKO協力法の廃止に関する請願児玉健次君  紹介)(第一四二〇号)  同(外口玉子紹介)(第一四二一号)  自衛隊カンボジア派兵中止に関する請願(寺  前巖君紹介)(第一四二二号)  同(不破哲三紹介)(第一四二三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月二日  人事院勧告早期完全実施等に関する陳情書外十  七件  (第一号)  国家公務員等生活給保障育児休業に関する  陳情書  (第二号)  アジア太平洋地域の人々への戦後補償等に関  する陳情書外五件  (第三号)  国民祝日海の日制定に関する陳情書外二十八  件  (第四号)  障害者の日の祝日に関する陳情書  (第五  号)  部落解放基本法制定等に関する陳情書外三件  (第六号)  アイヌ民族に関する法律早期制定に関する陳  情書  (第七号)  千歳川放水路計画反対に関する陳情書  (第八号)  我が国国際平和貢献推進に関する陳情書  (第九号)  国民の総意によるPKO参加に関する陳情書  (第  一〇号)  PKO協力法廃棄等に関する陳情書外三十六  件  (第一一号)  行政改革推進に関する陳情書  (第一二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  行政機構並びにその運営に関する件(国際平和  協力業務実施状況)      ――――◇―――――
  2. 桜井新

    桜井委員長 これより会議を開きます。  行政機構並びにその運営に関する件について調査を進めます。  この際、内閣官房長官より国際平和協力業務実施状況について説明を聴取いたします。加藤内閣官房長官。     〔委員長退席井上(喜)委員長代理着席
  3. 加藤紘一

    加藤国務大臣 さきの国会成立した国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律に基づく国際平和協力業務実施状況について御説明申し上げます。  国際平和協力法は、本年八月十日、施行され、同日、総理府に内閣総理大臣本部長とする国際平和協力本部が設置されました。  政府は、同法に基づく国際平和協力業務として、七月九日に国際連合から要請のあった第二次国連アンゴラ監視団UNAVEM正への選挙監視要員派遣並びに国際連合から非公式に打診のあった国連カンボジア暫定機構UNTACへの停戦監視要員文民警察要員及び道路橋等修理等後方支援を行う施設部隊等派遣について、応分の貢献が可能かどうか検討し、派遣に係る準備を開始いたしました。  その結果、国際連合から九月三日にUNTACへの我が国要員等派遣正式要請を受けた後、国際平和協力法に基づく初めての国際平和協力業務実施するため、同月八日、アンゴラ人民共和国及びカンボジアに係る実施計画を閣議決定し、同日国会に御報告いたしました。  アンゴラ国際平和協力業務実施計画は、UNAVEMⅡが行う、同国の議会の議員及び大統領の選挙監視業務協力するため、我が国から三名の選挙監視要員派遣することを内容とするものであります。  この計画に基づき、我が国派遣要員三名は、本部研修等を経て、九月十六日、本邦を出発し、同月十八日から十月五日までの間、UNAVEMⅡの選挙監視要員として九月二十九日及び三十日に行われた前述選挙監視業務に従事し、十月七日帰国いたしました。その国際平和協力業務実施結果については、既に十月二十三日に国会に御報告したとおりであり、若干の不規則なことがあったものの、選挙そのものは、全体として公正かつ自由に行われたと認められます。なお、最大野党たるUNITAは、選挙における劣勢が明らかとなるや、態度を硬化させ、その後政府との間で再び武力衝突が発生したので、目下国際連合を中心に事態収拾努力が行われております。  カンボジア国際平和協力業務実施計画は、国際連合から要請のあったUNTACへの我が国要員等派遣、すなわち停戦監視要員八名、施設部隊六百名、文民警察要員七十五名の派遣実施すること等を内容とするものであります。この計画に基づき、我が国の各要員及び施設部隊は、本部研修等を経て、九月二十日以降逐次カンボジア入りし、各地に展開いたしております。  まず、停戦監視要員八名は、九月二十日プノンペンに到着し、現在、武装解除兵士を収容するカントンメントやベトナム国境チェックポイント等六カ所の勤務地域に配置されており、各国停戦監視要員とともに、武装解除兵士監視停戦状況監視等を行っております。  また、文民警察要員七十五名は、十月十四日にプノンペンに到着し、現在、九つの地域に配置され、各地警察署等において、各国文民警察要員とともに、パトロールを実施し、現地警察指導監督等を行っております。  施設部隊六百名は、十月十四日までに全員がカンボジア入りし、タケオを宿営地とし、現在、宿営地建設シアヌークビルに陸揚げした資器材のタケオヘの輸送等を行うとともに、十月二十八日からはカンボジア国道三号線の道路補修等を行っております。  なお、施設部隊輸送補給等のため、現在、海上自衛隊輸送艦等シアヌークビルに停泊しており、また、週一便程度航空自衛隊輸送機連絡便としてポチェントン空港まで補給品等航空輸送を行っているところであります。  なお、去る十二月四日、国際連合からの要請を踏まえ、カンボジア国際平和協力業務実施計画を変更し、UNTACのため、航空自衛隊連絡便による物資等輸送及び施設部隊による日常用水浄化等実施することができるようにしたところであります。これについても、同日国会に御報告いたしました。  カンボジアにおいては、局地的あるいは散発的な停戦違反事件が発生していると伝えられており、また、カンボジアにおける民主的政府樹立のため、来年五月までに実施される予定の選挙に向けて準備が進む中、武装解除拒否の姿勢を崩さないポル・ポト派を非難するとともに、一定の措置をとることを主な内容とする安保理決議が十二月一日に行われたところでありますが、現在の状況としては、パリ和平協定に基づく和平プロセス基本的枠組みは維持されており、また、紛争当事者間の停戦合意も保たれていると考えられます。いずれにせよ、我が国要員等派遣国際平和協力法規定されている、いわゆる五原則にのっとって行われるべきことは言うまでもありません。今後とも政府としては、国際平和協力業務の適切な実施に努めてまいる考えであります。  また、前述カンボジアにおける選挙については、国際連合各国選挙監視要員派遣を求めることが想定されるところであり、政府としては、国際の平和と安定のための国際連合努力に対し我が国としても人的な側面において積極的に協力を行っていく必要があるとの立場から、今後とも国際連合からの要請に対して、国際平和協力法に基づき、適切に対応してまいる考えであります。  各位の御理解と御協力をお願いする次第であります。     ―――――――――――――
  4. 井上喜一

    井上(喜)委員長代理 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。まず、山中邦紀君。
  5. 山中邦紀

    山中(邦)委員 ただいま国際平和協力本部長官房長官から業務についての御報告がございました。私どもも、カンボジアのインフラの再建は大事なことだと思っております。また、参加した皆さん方も大体無事でおられる、交通事故にかかわったとか近くで銃撃があったということは聞いておりますけれども。これも結構なことだと思っております。  お聞きをいたしておりまして、問題は、なぜ自衛隊施設部隊がこのように多数行かなければならないのかという点が一点でございます。昨年の十二月に、カンボジア最高国民評議会、SNCが日本政府に対して、ODAによる国道整備要請を行ったという事実が最近報道をされております。そして、これによりまして国際協力事業団現地調査を行い、大手の建設会社意欲といいますか、来年の入札に各社意欲を示しているということが伝えられているわけであります。各社幹部は、カンボジアを特別視する必要はない、アジア・アフリカで積んだノウハウで仕事ができる、このように申しております。この点で一つの問題があろうというふうに思います。  もう一つは、PKO法によります初めての業務でございます我が国PKO参加が、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律、その特にいわゆる参加原則に従ってなされているか、これは非常に関心の持たれるところでございます。以下、この点についてまずお伺いをしてまいります。  今回のカンボジアPKO参加に当たりまして、本年の八月中旬ごろには政府国連本部との間で、撤退する場合の条件派遣計画についての協定文書をつくる、こういう構想を持っておられたようでありますが、実際にこういう申し入れをし、文書ができたという事実がございますか。
  6. 澁谷治彦

    澁谷政府委員 我が国といたしましては、国連が発表しておりますいわゆるモデル協定に従った包括的な協定の締結の可能性を検討いたしまして、これが望ましいということで国連側申し入れをいたしました。しかしながら、国連側は、こういう包括的な協定を結ぶということは国連側としても望ましいと考えているけれども、現在のところそれを行うための事務体制国連側に整っていない、したがって従来どおり、ほかの国とやっている慣行に従いまして、口上書交換によってこれを行うという強い希望がございましたので、国連側の意向に沿って口上書交換を行った次第でございます。
  7. 山中邦紀

    山中(邦)委員 ただいまおっしゃった口上書でございますけれども、これが慣行であるということであればそれなりと思いますけれども、その中身ですね。これは国連の方からも口上書をもって正式に要請があったと承知をいたしておりますけれども当方から差し出した口上書、これには我が国国内法との関係でどういう記載があるのか、簡単に施設大隊を何名出せということに応ずるということだけであったのか、その点をはっきりしていただきたいと思います。
  8. 澁谷治彦

    澁谷政府委員 我が方が発出いたしました口上書内容につきましては、我が国といたしまして、関係国内法令、なかんずくいわゆる五原則を盛り込んだ国際平和協力法に従って国連平和維持活動参加するため、UNTACに対し、停戦監視要員八名、施設部隊六百名、文民警察七十五名を、またアンゴラの第二次国連アンゴラ監視団につきまして三名の選挙監視員派遣する旨述べております。
  9. 山中邦紀

    山中(邦)委員 五原則関係した部分口上書の表現ですね、そのとおりでなくても、趣旨でも結構ですから教えていただきたい。  また、先ほど触れられましたモデル協定ですが、その内容に従うということも口上書で触れているのか。口上書で触れていなければ、日本の場合はそのモデル協定中身については応ずるという了解を与えているのか。この点はいかがですか。
  10. 澁谷治彦

    澁谷政府委員 口上書の問題の部分でございますけれども我が国要員参加は、関係法令、特に国際連合平和維持活動への日本国参加を規律する基本的な原則規定する国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律に従って行われるというぐあいに明確に述べております。  それから、御指摘モデル協定については特に言及はございません。
  11. 山中邦紀

    山中(邦)委員 特に言及しなくても、前後の態度からあのモデル協定内容趣旨に従うということではあろうかと思いますが、これはそのとおりでしょうね。  それから、ただいまの口上書要旨は、PKO法を引用して、これに従ってということでありますけれども我が国の五原則の中には独特のものがあるはずでございまして、これは明確に説明しているのかどうか、これをお尋ねをしたいと思います。  と申しますのは、この法律審議の経過を我が国国連側説明をしたということで、九一年の八月十四日、河村審議官国連グールディング事務次長説明をしたということで、外務省要旨をまとめておられます。その際、特に撤収部分を引用いたしますけれども、「当方より、第四原則」これは中断を指すだろうと思いますけれども、「において第一原則から第三原則が満たされない状況が生じる場合というのは、国連平和維持隊自体がその活動を継続する基本的前提が崩れた場合であり、この様な場合、国連隊司令官とも連絡をとりつつ、」ここが私は一つポイントだろうと思いますが、「状況によっては一時他に移動するといった事態考えており、更に、」「満たされない状況が短期間に回復されないような場合には、日本部隊が」「撤収することも可能であると認識している旨説明した」。これに対して国連側は、「日本政府の方針として基本的前提が崩れたことを理由に撤収を決定する権利は当然有すると述べた」。これは日本の場合だけでなしに、参加国全般についての考え方を述べているのではないかと思われるわけであります。「又、当方より、我が国としては、PKO参加するに際して過去のPKOの経験を通じて確立した通常の慣行に反するような形で行動することは意図していないこと、」これも第二のポイントではないかと私は思います。「更にPKOについて確立している国連コマンドの下におかれる旨述べたのに対し、先方は右が確認できれば問題はない旨述べた。」こういうわけであります。  このまとめを見ますと、本当に国会でいろいろ議論をした中身がそのまま相手に伝わっているか、大変疑念を持つわけであります。根拠法国内法を引用するだけで足りるというのは、私は少し念の入れ方が足りないというふうに思うのですけれども、今申し上げた前後の経緯、どのように思っておられるか、お聞きをしたいと思います。
  12. 澁谷治彦

    澁谷政府委員 まず第一の点、モデル協定内容に従うのかどうかという点でございますけれども国連側が出しましたモデル協定自体は過去のPKO慣行を集大成したものでございますので、私どもとしてはそれに従うということでございます。  それから、国連側に対する説明でございますけれども、御指摘のように河村審議官説明いたしました。さらに、国際平和協力法国会において成立いたしました翌日の六月十六日及び十七日の両日、野村内閣法案準備室長がニューヨークの国連本部に直ちに赴きまして、平和維持活動担当グールディング事務次長そのほかの関係者に対し法律内容説明いたしました。その際にも法律英文の仮訳及び英文説明資料先方に手渡しております。なお、指揮権につきましては、国連の確立した慣行、すなわち国連コマンドを尊重する旨説明し、また、武器使用についても、我が国要員法律第二十四条の規定に従って行うという説明を行うなど、法律内容については十分説明したつもりでございます。  これに対し、先方からは、我が方の説明を多とするとともに、法律成立に対する祝意の表明がございました。さらに、日本国連平和維持活動への参加を歓迎するという発言がございました。
  13. 山中邦紀

    山中(邦)委員 九一年八月十四日、九二年六月十六、十七日の二回にわたる事務次長との会議内容説明されましたけれども、これは、報道されるときには非公式な会談というふうに説明がされております。きちんと文書交換をするというようなことでなければならないのではないのかというふうに思います。  武器使用についてはある程度我が国法律に従った説明のように思いますけれども指揮権の問題あるいは撤収の問題については前来のPKO慣行に従うということが表に出ておりました。特に、我が国が独特の立場で法条を設けているというふうにはなかなか読みにくいというふうに思うのであります。国連側モデル協定に従った協定をつくるいとまもないということがあるにしても、文書できちっとこういうものを残す、将来とも担当者がかわっても拘束をするような形でとっておくというのが本当ではないのかというふうに思うわけであります。  今回のカンボジアの場合に、我が国法律に従ってというような程度で本当に相手方に確固とした理解をしてもらっているのか。これからでもこういう点は文書で明確にすべきだ。いかがでしょうか。
  14. 澁谷治彦

    澁谷政府委員 国連側には、法律の英訳及び我が方の説明英文にして手渡しておりますので、先方はそれで我が方の立場理解してくれたものというぐあいに判断しております。
  15. 山中邦紀

    山中(邦)委員 この関係では最後に一点だけ伺いますけれども、例えばカンボジア現地サンダーソン軍司令官などは、我が国法律の五原則その他についてはよく承知をして配下の施設大隊等指揮をしているのか、この点は確認をしておられますか。
  16. 柳井俊二

    柳井政府委員 お答え申し上げます。  私も十月にカンボジア現地へ参りまして、明石特別代表、それからサンダーソン司令官を初めとする国連UNTAC幹部の方々といろいろ意見交換もしてまいりました。私が参りましたのはむしろ現地での業務状況の視察ということでございましたけれども、そのような幹部との意見交換機会にいろいろ我が国法律にも触れる機会がございました。そのときの私の印象は、非常によく明石さんあるいはサンダーソン司令官我が国法律条件等承知しておられるということでございました。特にサンダーソン司令官は、我が国国会での議論を非常に詳細に自分自身フォローしたというふうにおっしゃっておられました。
  17. 山中邦紀

    山中(邦)委員 今の点は、念を入れるという意味では、国連とどういう了解に達しているかを文書で作成をし、国連側にも我が国国民の側にも明示をすべきだというふうに思います。  次に、カンボジア関係では一番関心の高いのは停戦合意の問題であります。きょうの官房長官の御説明によりますと、局地的あるいは散発的な停戦違反事件が発生しているというふうにお述べになっておられます。大体政府側はそのようにおっしゃって、和平協定枠組みは壊れていないから停戦合意が継続をしている、こういう御認識のようでありますけれども、そういうことですか。また、パリ協定大枠というのは何を指しておっしゃっておられるか。長官お尋ねをいたします。
  18. 加藤紘一

    加藤国務大臣 パリ協定大枠停戦合意は守られておると考えております。  それから、パリ協定は、大枠と申しますと、詳細は政府委員からお答えさせますけれども停戦合意し、そしてまた、新たな政府UNTAC支援を得ながらあそこに樹立していく、そして選挙に持っていくという基本的な方向についての合意理解されている、守られていると思っております。
  19. 山中邦紀

    山中(邦)委員 UNTACの使命は、現地武装解除を大幅に行い、そして選挙実施する、こういう点にあるわけであります。今おっしゃったパリ協定の九条には停戦記載がありますから、その段階、一九九一年十月二十三日段階停戦合意があったということを言うのはそういうことであろうというふうに思いますけれども、その後の状況というのは、我が国の五原則一つに照らして停戦合意は破棄をされているというのが実際ではないかというふうに思います。  PKO法成立をした段階で既に皆さんはそういうふうに考えられておったのではないのかというふうに思います。六月十六日に防衛庁長官が、ポル・ポト派武装解除に応じないということは法律趣旨から見て注目していかなければならない、法律枠組みに適合していなければ派遣できない、こういうことをおっしゃったようであります。また、宮澤総理も当時は、いわゆる六月十三日に始まる第二段階武装解除、この成り行きを見て、そして実際にPKO法に基づく自衛隊派遣考えなければならない、こういうふうにおっしゃっておられたようであります。  こういうところを見ておりますと、法律成立した段階で既に武装解除ポル・ポト派拒否をしておったということは、停戦合意が破壊をされておったということを政府の方でも認識をしておったのではないかというふうに思うわけですが、宮下長官もおられますし、いかがですか。
  20. 宮下創平

    宮下国務大臣 法律趣旨によりまして、停戦合意が守られていること、これが派遣条件であるということは当然なことで、あの過般の御論議の中でも申し上げたところでございます。  しかし、現在の状況はどうか、あるいは派遣する時点の状況はどうかと申しますと、確かにポル・ポト派がまだ武装解除の第二段階に応じていないという実態はございましたけれども、今官房長官の報告にもございましたように、パリの包括的な和平協定の基本的な枠組みポル・ポト派が破棄するという状況ではございませんでしたし、また、多少の散発的なあるいは非継続の紛争があり得ることは、これは私どももあってはならないことなんでしょうけれども、現実の問題としてあった場合に、全然なければ派遣する必要はございませんから、あるということもある程度の想定をしながら派遣をいたしております。  私も過般カンボジアを訪問いたしまして、そういった点について明石代表あるいはサンダーソン司令官等とも時間をかけていろいろ情勢報告等を承りましたが、私の受ける印象では、今後とも、乾季に入りまして、多少散発的な、地域的な紛争といいますか、そういうものが生起する可能性を否定しておられませんでした。しかし、UNTACとしては、あくまでパリの和平協定に基づく五月の選挙をやる、そしてこの選挙のための準備をいたします、そして同時にポル・ポト派に対しても民主的なカンボジア政府をつくるための選挙への門戸はあくまで最後まで開放して、そしてその目的を達していきたいということを申しておられました。私は現地の実感として、多少報道されているようなことが今後あるいはあるかもしれませんが、今申しましたような停戦合意を破るような全面的なかつ継続的な紛争の生起の可能性は少ないということを現地での視察を終えて判断をして帰ったわけでございまして、その感想も申し上げさせていただきます。     〔井上(喜)委員長代理退席、委員長着席〕
  21. 山中邦紀

    山中(邦)委員 そうおっしゃいますけれども、なかなか承服はいたしかねます。  現地武装解除程度、これはどのように進行しておりますか。また武装解除が中断をしている、こういうことがあるようですけれども、事実関係を簡単にお知らせを願いたい。
  22. 柳井俊二

    柳井政府委員 武装解除につきましては、これまで約五万五千人がこれに応じたというふうに聞いております。これは九月のUNTACに関する国連事務総長の報告に基づくものでございますが、その後は遺憾ながら武装解除は余り進んでいないということでございます。  これまでに武装解除に応じましたのは、プノンペン政府軍、それからラナリット派の軍、これは御承知のとおりシアヌークさんの御子息でございますが、ラナリット派の軍、それからソン・サン派の軍ということで、ポル・ポト派につきましては、遺憾ながら武装解除には応じていないということでございます。ただ、ポル・ポト派の軍の中から、いわば自発的に軍を離れて投降と申しますか、武器を捨てた兵も若干はいるというふうに聞いております。
  23. 山中邦紀

    山中(邦)委員 選挙を行い、正常な議会制民主主義を樹立をするという一番大事な前提は、武装解除、そして有権者の登録、こういうことでありましょう。その第一段階武装解除ポル・ポト派については行われていないということでありますから、これは大変なここであろうというふうに思います。単に武装解除に応じていないという以上に、武力をもって停戦違反の事実が散発的ということは、私は当たらないというふうに思うのであります。  国連の安保理事会が決議を三つ上げておりますね。最初は七月二十一日、特にポル・ポト派という名前は挙げておりませんけれども停戦違反が続いていることを遺憾とし、こうあります。それから、ある党派がUNTACの自派支配地域への展開を拒否し続けていることを遺憾とするということで、是正を求めております。そして次が十月十三日の決議、これははっきり、民主カンボジアポル・ポト派はことし七月の安保理決議を無視し義務を履行していないことの事実を遺憾とする、こういうことであります。そして三回目が、つい先日の十一月三十日、ポル・ポト派協定不履行を非難をし経済的な制裁を加える、そしてポル・ポト派参加をしなくても、抜いても、来年五月の総選挙実施するというような態度を明示をいたしております。  また、国連事務総長が安保理に提出した報告書の中には、七月中旬のものでありますけれどもポル・ポト派はいまだに協定に従っておらず、同派軍隊への宿営入りを一切拒否をしている、協定の厳密な実施のための義務であるその他一連の措置をとっていない、こういうことを指摘をいたしております。  協定枠組みを、大枠において従っているということは言えないのではないか。これから先一ポル・ポト派武装解除に応じる、そして自分の支配地域UNTACが出入りするのを認め、そしてその地域の住民の有権者としての登録に応ずるという見込みがあるのか。外務省局長はいろいろ苦労されてポル・ポト派とそういうことについてお話をなさったようでありますけれども、いかがですか。
  24. 池田維

    ○池田政府委員 お答え申し上げます。  ポル・ポト派との話し合い、私ども日本とタイと協力してやったわけでございますが、本年の七月から十月にかけまして四回行いました。このうち最初の三回につきましては、関係諸国とも十分な打ち合わせをいたしましたけれども、基本的に日本とタイのイニシアチブでやったわけでございます。そして第四回目につきましては、これは安全保障理事会の要請を受けた形で行いました。  この四回につきまして共通いたしますことは、いずれにしましても、日本とタイが、ポル・ポト派がどうすれば武装解除条件に応ずることができるのかということで、ぎりぎりの条件を話し合ったわけでございます。現在のところ、ポル・ポト派が主張しております点は主として二つでございまして、一つは、SNCの機能を強化するということ。それからもう一つは、いわゆるベトナム勢力のカンボジアにおける存在、そういうことでございます。私どもとしましては、ポル・ポト派が正当な主張をしているのであれば、それにつきましてはできるだけ手当てをしたいということで、パリ協定規定に従ってぎりぎりのところを追求したわけでございます。しかしながら、残念ながら、ポル・ポト派はその話し合いには応じなかったわけでございます。  そして現在のところ、ポル・ポト派は依然として停戦の第二段階拒否しておりますが、それに基づいて、先生御指摘のように十一月三十日に安全保障理事会が決議を行いました。しかしながら、この決議もまだ基本的にはポル・ポト派に対して門戸を開いております。したがいまして、話し合いによって本件を解決するという道を常にあけているわけでございまして、日本としましても、引き続いて関係諸国とも十分に話し合いをしながら、粘り強い外交努力をやっていきたいというように考えているわけでございます。
  25. 山中邦紀

    山中(邦)委員 せっかく国連カンボジアPKO活動をやっている、したがって実らせたいという気持ちがあるというのはそれなりでございます。第三回目の安保理の決議も、道をあけているということもそうでありましょうが、しかし、我が国PKO法により、停戦合意、これはPKO活動参加する要件でもありますけれども、継続をする要件でもあるわけでありまして、やはり正確に事態を把握して、継続して停戦合意があるのかどうか確かめておく必要があるのではないかというふうに思います。  現地の今川大使は、一日平均約三件の停戦違反がある、こういうお話でございます。十二月に入りまして、国連停戦監視員が六名拉致をされているということもございます。あるいはカンボジアの首都が砲撃を受けるというようなこと、その他UNTACのヘリコプターが約十機ぐらい銃撃を受けている。こういうことは散発的にと考えることができるでありましょうか。やはりポル・ポト派一つ態度というのがここにあらわれているというふうに思われるわけであります。ベトナム軍がまだカンボジアの領域にいるというようなことも言っているようであります。また、SNCのあり方についての批判もしているようであります。最近になりましては、UNTACを批判し、あるいは明石代表は敵だというようなポル・ポト派のラジオ放送も伝えられているところであります。  単に散発的だということだけでなしに、この全体を流れるポル・ポト派態度和平協定に関し、どういう態度をとっているのか。正面から協定は破棄をすると言わなければずっと停戦状態が続いている、こういう見方に立つのか。この辺、担当の方の所見を伺いたい。
  26. 柳井俊二

    柳井政府委員 ただいま御指摘のごとく、ポル・ポト派武装解除に応じていないというのは遺憾でございます。  ただ、武装解除の問題と停戦合意の問題とは同じではございませんで、もとより停戦合意があり、また各派の武装の水準が下がっていくということが平和と安定のために望ましいということは確かでございますし、そういう考え方に立ってパリ協定ができていることも事実でございます。しかしながら、武装解除が進まないということをもって停戦合意が崩れたというふうには考えられないわけでございまして、先ほど来官房長官防衛庁長官からもお答えございましたけれども、現在のカンボジアにおきましては、武装解除は進んでいないかもしれませんが、停戦合意は保たれているというふうに判断している次第でございます。  他方、停戦違反があることもこれまた事実でございますが、これも先ほど御答弁ございましたように、散発的あるいは局地的なものでございまして、停戦枠組み全体を危うくするようなものではないというふうに考えております。カンボジアの場合には、二十年にわたって戦乱が続いていたわけでございますので、その後にやっと成立した停戦にいわば脆弱な側面があるということは現実問題としてやむを得ないところでございまして、まさに、こういう停戦国際的な努力によりましてより確固たる平和に導くというのが国連平和維持活動の役目だというふうに考えております。  いずれにいたしましても、ポル・ポト派は全面的に戦闘を再開するといった行動に出ているわけではございませんで、パリ協定に基づく和平プロセスの基本的な枠組みは維持されており、紛争当事者間の停戦合意も保たれているというふうに判断いたしております。  なお、現在UNTACには、我が国を含めまして軍事部門で三十一カ国、また文民部門あるいはUNVというようなボランティアを出している国を含めますと約百カ国の国が参加をしておりますけれども、これはUNTAC活動が典型的な国連平和維持活動として広く国際的に認められていることを示していると考えられますし、また、各国カンボジアにおいて停戦合意が存在しているというふうに認識している証左であるというふうに考えております。
  27. 山中邦紀

    山中(邦)委員 停戦合意成立したままの状態であれば散発的というのは当たらないと思いますが、どうしてこのように頻繁に停戦違反というのが行われるのか、納得がいかないと思うのですね。ポル・ポト派が自分の勢力圏内で統制がとれないということであれば停戦の当事者としての能力を失っておって、こういう違反を繰り返す者を改めて停戦に引っ張り込むといいますか、合意をとらなきゃいかんのじゃないかというふうに思うわけであります。  和平協定大枠が生きているということで、停戦協定違反、停戦合意の消滅といいますか、消滅がないということを説明することは無理であろうというふうに私は思います。和平協定大枠自体が、UNTACにより七月から行政を国連が管理することになったわけでありますけれどもポル・ポト派はこれに協力をしていない、そうして自分の勢力圏には立ち入りを認めていない、こういう状況にあるわけであります。  また、SNCで選挙を目的として選挙法をつくる場合においても、結局、明石特別代表が最終決定権をもって選挙法をつくった、こういうことであります。さらに、選挙に関しましては、先ほどの三回目の安保理決議趣旨からも読み取れますように、ポル・ポト派が同意をしなくても強行する、こういう態度UNTACに見えるわけであります。そして、和平協定には大統領の選挙ということは見当たらないわけでありますけれどもUNTACは、現状にかんがみ大統領の選挙も行う、こういうような方向があるようであります。  四十数年の国連の歴史の中で、一国の行政を短期間といえ管理をするというような強い態度に出ているわけでありまして、にもかかわらず、その有力な一派が武装解除に応じない、立ち入りを拒む、選挙についても協力をしない。そして、伝えられるところによりますと、本年の初頭、会議を開き、秘密文書において、武力をもって現在の政権を転覆させる、こういうような方針も打ち出されているようであります。  停戦合意の有無というのを、国連の見方に一方的に頼らずに我が国独自の根拠法に基づいて注視をし、確認をすべきであるというふうに思います。国連の最近の傾向の中には、必ずしも停戦合意というのを重視しないという傾向もあるようでありますから、これはぜひ散発的ということでなしに、情報を収集して、そして我が国の隊員のいるところ以外にも目を向けて確認をすべきことだというふうに思います。いかがですか。
  28. 澁谷治彦

    澁谷政府委員 まず、ポル・ポト派態度についての私ども認識でございますけれども、確かに、散発的な衝突に加担しているとか、あるいは武装解除に応じないという点については、私どもは遺憾としております。これは私ども認識のみならず、国際社会一般の認識であると思います。こういった認識ポル・ポト派に正確に伝えるとともに、ポル・ポト派に対しては常に門戸は開かれているという態度を私どもはとっております。先般の安保理決議を貫く趣旨はそのようなものであると思います。  したがって、今後とも私どもといたしましては、関係諸国あるいは国連協力しながら、ポル・ポト派パリ和平協定を遵守するように積極的に働きかけていくつもりでございます。
  29. 山中邦紀

    山中(邦)委員 問題を変えまして、我が国PKO参加におきます紛争当事者の受け入れの同意であります。この点につきましてはどういう形で同意の確認をしているのか、紛争当事者としてどういう当事者を考え合意の確認をしているか、これをお尋ねいたします。
  30. 柳井俊二

    柳井政府委員 お答え申し上げます。  カンボジアにおきまして、現在カンボジアの主権を具現しておりますのはSNC、カンボジア最高国民評議会でございます。また、SNCは四派を代表する機能も持っているわけでございます。SNCはUNTAC活動についての規定を含むパリ協定に署名しておりまして、また、パリ協定には、シアヌーク殿下のほか、各派を代表いたしまして、プノンペン政府のフン・セン首相、それからポル・ポト派のキュー・サムファン氏、それからソン・サン氏、ラナリット殿下等が署名をしております。  このようなことから、UNTAC活動につきましては受け入れ国としてのカンボジアの同意、これはSNCの同意ということになりますが、それが示されておりますし、また、紛争当事者各派の総意としてのSNCの同意というものも存在しているわけでございます。  我が国要員UNTACへの派遣につきましては、ことしの七月に明石特別代表国連本部の訓令に基づきましてSNC議長たるシアヌーク殿下に通報いたしましたところ、同殿下はこれを歓迎するといたしまして、これはSNCの総意であるとしていたというふうに国連側から連絡を受けているところでございます。  なお、これとは別に、本年八月五日でございますが、カンボジアにおります今川大使がキュー・サムファン・ポル・ポト派議長と会談した際に、同議長は、いかなる国がUNTAC参加するかは国連が決めることであると言っておったそうでございますが、今川大使の質問に答えまして、日本UNTACへの参加については先ほど申し上げましたシアヌーク殿下と同じ考えであるというふうに述べておりまして、このような点からいたしましても、ポル・ポト派立場は明確になっているというふうに理解しております。
  31. 山中邦紀

    山中(邦)委員 SNCは「当該活動が行われる地域の属する国」というのに当たるというふうに考えられます。しかしながら法律は、「及び紛争当事者の」受け入れ同意、こういうふうになっているわけでありまして、実際に争って、その上ででき上がっているSNC、この態度だけをもちまして紛争当事者の同意があるというのは余りにこれは形式的であろうかと思います。「及び」というふうになっているのでありますから、我が国が実際に現地に行くに当たりましては、実情に従って紛争当事者を確定し、そしてその代表者から同意を得、これを後日疑いのないように文書にしておくということがどうしてできないのか。実際にポル・ポト派が同意をしているというのであれば、これは簡単な手続問題ではないのか。どうしてそのようにならないのか、お伺いをいたします。
  32. 澁谷治彦

    澁谷政府委員 国連の平和維持活動参加国に関する紛争当事国の同意につきましては、過去の国連加盟国の参加の例を見ても、国連側がこれを取りつけているものと私ども理解しております。我が国UNTACへの参加に当たりましても、国連側においても同意を取りつけた上で我が国に対し要員派遣要請してきたものと理解しております。我が国自身が紛争当事者から文書をもって同意を取りつけるということはやりませんでしたし、その必要はないというぐあいに考えております。
  33. 山中邦紀

    山中(邦)委員 やらなかったというのはわかります。しかし、必要がないというのはわかりません。明石さんは、自衛隊PKO参加についてはポル・ポト派の同意は必要がないということを述べておられるようですね。しかし、我が国法律立場からいえば、これはとるべきです。同意が必要である。法律に明文で書いてあるではありませんか。国連を経由をして、あるいはSNCを経由をして合意があるものとみなしてしまうというのは法律趣旨に反するというふうに思うわけであります。特に最近のガリ事務総長の改革案、「平和への課題」などにおきましては、当事者の同意については一定の場合に緩める方向が出ているわけであります。国連側の同意に関する見方と我が国協力に関する法律における同意のあり方とはまた、重なるところがあっても別個独立のものである。ぜひこれはその点を明確にすべきではないかというふうに思うのです。  加藤官房長官は、自衛隊派遣に当たりましては政治的な判断としてポル・ポト派の意思確認が必要だ、こういうことを以前おっしゃっておったようであります。これはどういう観点でおっしゃっておられたのか。法律上の意味合いがあってむしろそういうふうにお考えになったのではないかというふうに思います。ポル・ポト派の同意が必要だというお考えに立って、なお派遣することを決断をされた、これはどういう経緯があったのでしょうか。
  34. 加藤紘一

    加藤国務大臣 今澁谷国連局長から御答弁申しましたように、我が国PKO派遣につきましては、法規的に、また国連との取り決めなどから見て、国連の方で我が国参加についての判断をするということで十分であろうと思っております。  ただ、今度のPKO派遣は、我が国にとりましてアンゴラ派遣とともにある意味では非常に国民関心を集めております新たな体験であり、新たな試みでありますので、そういったときにより国民の安心感を得るために、当然国民関心を持っておりました点、つまり、ポル・ポト派というものが日本PKO派遣をどう見るんだろうという点は当時大きな関心であったと思います。それに対して、先ほど答弁いたしましたように、今川大使の方からキュー・サムファン氏に会ったときに、ごく参考までの話として聞いたところ、ポル・ポト派としても日本自衛隊派遣というものに対して同意をするという意思が表明されたということでありまして、政治的にもそれは一つのいいファクターであったと思っております。  また、それ以外に、ポル・ポト派は、日本の新聞記者の人々、特派員の人たちに何度かこの意向を表明しておったということも当時の事実でございます。
  35. 山中邦紀

    山中(邦)委員 同意の問題については国連の認定にまてばよいというお話がございました。これは私は大いに異論のあるところであります。国連の認定を尊重するという段階まではまだしもでありますけれども、やはりさっき言いましたように、国連の最近の傾向を見ますと、同意の問題は緩やかに解される傾向があるわけで、これは国連としての立場がありますから、それなりのことでありますが、我が国我が国でこの法律に基づく独自の立場停戦の同意の点は厳格に認定をしていくべきだ、このように考えます。来年の八月までに任務を終えて十月には帰るという予定で組まれているはずの派遣も、こういうことであれば延々と繰り返されていくというようなことも考えられるわけでありまして、その上武力闘争が激しくなった場合、国連の認定だけに追従をしているということは非常に問題があるというふうに思うわけであります。  その次に、シビリアンコントロールの関係一つお伺いをしておきたいわけでありますけれども、八月十一日に防衛庁長官準備命令を出されたというふうに思います。そしてその後、計画の閣議決定があり、編成命令がありというような経緯だと思いますけれども、この八月十一日の準備命令というのは何を根拠にどういう内容の命令が出されたのでありましょうか。
  36. 宮下創平

    宮下国務大臣 御案内のように八月十日に法律が施行になりまして、翌日、内閣の代表意見として官房長官から諸般の準備を整えるようにという御指示もございました。  もちろん、正式には実施計画の確定を待って自衛隊派遣の規模その他確定するわけでございますけれども、何分にも大変諸般の準備をいろいろ要しますから、私ども法律の施行の段階官房長官からの御指示に基づきまして、あとう限りいろいろ諸準備、これは諸準備といってもまだ国連から正式に規模その他が来ておるわけではございませんが、私どもいろいろ予測もいたしまして諸準備を整えることが必要であるということで、私の準備命令を陸海空の幕僚長を通じて発出したということでございまして、その内容がその後の実施計画で確定されていくわけでございまして、これ自体は実施計画そのものではございません。実施計画は御案内のように九月八日に決定をしておるわけでございますから、それによって確定したわけであります。
  37. 山中邦紀

    山中(邦)委員 何カ月か先に予想される事態考えていろいろ諸準備をする、調査をするというようなことはあり得ることだというふうに思います。しかしながら、まず閣議で計画が決められて、それからその実行に当たる命令がいろいろ出てくるはずだ、このように思います。官房長官からの指示、これを防衛庁の長官が受けて準備命令を出す、まだ計画が確定をしていないというあり方は、私は問題があるのではないかというふうに思います。  凍結をされておりますPKFの場合も同様なことをなさるのでありましょうか。もしそうであれば、これはかなり重要な問題だというふうに思います。官房長官の指示でいずれPKFに参加をする諸手続をとる、その前に準備命令を発するというような次第になるのか、いかがでしょうか。
  38. 宮下創平

    宮下国務大臣 御指摘のPKFの問題につきましては、国会審議の過程で修正を受けまして、三年後の見直しということでございますから、これはあくまで法律事項でございますので、内閣として法律を、きちっとした方針を決めるまでは、そしてなおかつ国会の議決を得るまでは、そのようなことが行われてはならないのが建前でございます。
  39. 山中邦紀

    山中(邦)委員 国会承認事項でなくても、その前段の閣議決定までは同じことではないのかと私は思います。内閣の閣議で準備命令を発したというわけでもないようであります。やはり計画の策定を待ってというのが筋ではないか。準備命令の中身はかなり具体的であったのではないかというふうに思います。隊員の人選、編成、必要な物資の用意、こういうことを計画の策定がないままにやるということは問題ではないのかというふうに思います。  同じやれるという理屈を使うならば、国会の承認という段階を踏まなければならないとしても、準備であるから先行してやれるというようなことにもなりかねない。既成事実を先行させるというような嫌いがあるのではないかというふうに思います。いかがですか。
  40. 宮下創平

    宮下国務大臣 PKO法律案の審議の過程でも私も申し上げましたが、私としては、防衛庁がこうした法案を政府の意思として提出している以上、一般的な調査その他は準備して構わないのではないかと思いますが、ただし、これだけの論議が真剣に行われている重要な課題でございますから、法律成立後に準備をしたいということを申し上げておりました。  したがいまして、これはその連続線上とまで私は言い切りませんけれども、おおよそ法律が施行になり、そして実際問題として国連要請が発出されるまでには、いろいろのやりとりがあるのは、これはもう現実問題として当然でございます。しかし、そこで確定するわけではございません。そういうようなことを背景にいたしまして、私としては、ある日突然に何名どうだ、こういうことを言われても、それは対応できるものではございません。法律が施行になった以上、官房長官と私は申し上げましたが、あえて言うならば国際平和協力本部の副本部長である官房長官でありますし、本部長たる総理の意思を十分踏まえての声明に基づくものでございますから、私はこれを適法なものとして準備をさせていただいたわけであります。
  41. 山中邦紀

    山中(邦)委員 ただいまのお話でありますけれども調査とかそういうことであればわかりますが、この準備命令の中身は、計画に盛られるべき事項に大分立ち入っているというふうに考えます。調査など本当の意味の準備を超えているというふうに私は思うのであります。こういうことがあってはならないというふうに考えます。  その他、武器使用とかいうような点についてお伺いをしたいのでありますが、その前に、このたびカンボジア国際平和協力業務実施計画の変更、こういう決定がなされたようであります。これはいろいろなことが言われております。フィリピンとかその他の国からの要望、具体的には国連の要望によってと書いてありますけれども、そういうことでこういう計画の変更に至ったと聞いております。この変更によりまして、さしあたってどういう業務を行うというふうに考えておられるのか、これが一点。  それから、変更の範囲に入るという意味で、根拠法規を問題にしなければならないというふうに思いますけれども協力に関する法律あるいは自衛隊法のそれぞれどの法条が該当するか、御説明を願いたいと思います。
  42. 柳井俊二

    柳井政府委員 今回の実施計画の変更の内容、背景等について御説明申し上げます。  UNTAC等から要請がございましたことは三つございました。  一つは、UNTACから現在航空自衛隊連絡便が飛んでおりますが、これに余裕があれば、カンボジアのポチェントンからタイのウタパオ空港までの間でUNTACの物資または人を輸送してもらえないだろうかというような非公式な要請があったのが一つでございます。  それから別途、時間的にはこれの方が先でございますけれども、フィリピン側から、現在航空自衛隊連絡便が給油のためにマニラに立ち寄っておりますが、マニラからカンボジアまで物資を運んでもらえないだろうかというような打診があったわけでございます。マニラから運んでほしいとフィリピン側が言っておりました物資と申しますのは、フィリピンのUNTAC参加している要員が使っております車両のためのタイヤだということでございました。これが第二点でございます。  それから、もう一つ要請と申しますのは、これはUNTACの工兵部の方からあったわけでございますけれども、現在タケオに宿営しております施設大隊に対しまして、このタケオ周辺の選挙監視部門で働いている要員皆さんに給水及び給油をしてもらえないだろうかという要請があったわけでございます。  初めの二つの要請は、いずれも航空自衛隊連絡便に余裕があれば物あるいは人を乗せてほしいということでございまして、同じ性格の問題でございます。それから後の方は、給油、給水ということでございますので、この方は輸送とは別のことでございます。  そこで、輸送につきましては、国連側要請がございますれば、国際平和協力法第三条三号タというところに「輸送」という業務がございますので、これは法律上可能であるという判断をいたしました。  それから、給油につきましては、UNTACの指図を前提とすることはもちろんでございますが、このような業務輸送及び保管という形で実施が可能である。保管と申しますのは、油、燃料自体はUNTACが提供するものでございますので、それを一時預かって選挙監視部門の皆さんに届けるということでございます。  それから、給水につきましては、基本的に給油と同じようなものではございますけれども一つの違いは、給水に関しましては、これはくみ上げた水を飲用その他に使えるように浄水をしなければならないという、浄水という行為がございます。これは、法律の三条三号に、イ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、ト云々と具体的に列挙されている業務の中に浄水というような業務はございません。そこで、これらに類するものとして、政令で定めるというものがレというところに挙がっているわけでございますが、この浄水というものをこのレに基づく政令によりまして今回業務としてつけ加えました上で、実施計画を変更いたしまして、浄水を含めた給水というものができるようにした次第でございます。  なお、輸送につきましてUNTACから要請がありましたことは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、具体的にどういうものあるいはどういう人を運んでほしいというような要請までは今のところ来ておりません。
  43. 山中邦紀

    山中(邦)委員 十一月に入ってUNTACから、休暇などのためバンコクに行く兵士を乗せてもらえないかという打診もあったということでありますけれども、PKFに参加している、あるいは停戦監視団に参加をしている他国の軍人を輸送するということは今回の計画の変更の範囲外であると思いますけれども、その点と、計画の変更を重ねていった場合、そういう他国の軍人あるいは武器弾薬を輸送するという依頼が来た場合に、変更してそれに応ずるということが可能だと考えておられるかどうか、この点はいかがですか。
  44. 柳井俊二

    柳井政府委員 先ほど申し上げましたとおり、まだ具体的にどういうものを運んでほしいという要請には接しておりません。  ただ、先ほど御指摘がございましたいわゆるPKFとの関係でございますけれども、もとよりこの輸送業務と申しますのは、我が国法律の附則で当分の間凍結されましたPKFの本隊の業務ではないわけでございます。輸送はあくまでも輸送でございまして、これはPKFの本隊業務をやるということではないわけでございます。したがいまして、他国のPKFの要員等を運んだからと申しましても、何も我が国自衛隊がPKFの本隊の業務を行うということにはならないわけでございます。  それからもう一つ指摘の、武器等を輸送するのかという点でございますけれども、これは法律案の審議の過程でも政府側から御答弁申し上げた点でございますけれども、いわゆるPKOの実態といたしまして、武器等の輸送を特に他の国にゆだねる必要が生じるというようなことは通常想定されないわけでございますので、そのような業務というのは想定しがたいところでございます。申すまでもございませんけれども、このPKOの実態と申しますのは、いわゆる湾岸戦争のときの多国籍軍のようなことをやっているわけではございませんで、自衛のために必要最小限度の武器を持っている部隊はございますけれども、だからと申しまして、ほかの国の部隊にそのようなものを輸送してもらうというような実態はないわけでございます。
  45. 山中邦紀

    山中(邦)委員 今のお話はちょっと大ざっぱに過ぎるのではないかと思います。他国のPKF参加の兵士を輸送する、これはやってもいいという立場であれば、こそこそとやるわけではないわけでありまして、やはりそういう情報が広く周知をされるということがあるであろうと思われます。そういう場合に、それに特に敵意を持っているゲリラとか紛争当事者が攻撃を加えてくるということの中から、武力行使、武力紛争に関与していくということが大いにあり得ると私は思うのです。後方支援だからいいという前々の議論はございました。これはそういうことではないと思います。前方も後方もない、むしろ弱いところをねらって、補給をたたくという観点があるわけでありますから、この点は大いに考えていかなければならないというふうに思っております。  もっとたくさんお伺いしたいこと、意見を述べたいこともございますけれども、この程度で終わらせていただきます。
  46. 桜井新

    桜井委員長 次に、山田英介君。
  47. 山田英介

    山田委員 山中委員の質問に関連をして冒頭ちょっとお伺いをしたいのですが、実施計画の変更で外国のUNTAC要員輸送我が国PKO業務としてできるようにしたわけでありますが、御答弁伺っておりまして、武器弾薬というものを輸送する、実態的にそういうことはない、これはわかります。  それからもう一つ、外国のPKF要員輸送を提供してあげるということ自体はPKFの本体業務ではありません。むしろ後方支援的な分野に位置づけられるわけでありますから、特段に私としては問題はないと思っておりますが、問題は護身のための小型武器、小型武器であってもそれは武器ということには変わりはないわけでありましょうから、けん銃等の小型武器を携帯した形の外国のPKO要員輸送することを依頼された場合に我が国としてはどう対応するのか、ここをちょっと明確にお知らせをいただきたいと思います。
  48. 柳井俊二

    柳井政府委員 ただいま輸送の点につきまして重ねての御指摘でございますので、もう一点だけ補足させていただきたいと存じます。  今度の実施計画の変更に当たりまして、輸送等業務をつけ加えたわけでございますが、この実施計画の中におきまして、今回のものを含めまして実施計画によって我が国参加部隊業務を行うに当たりましては、「国際平和協力法第二条第二項及び附則第二条の規定趣旨を損なわない範囲内において行う。」という規定をつけ加えたわけでございます。これは御承知のとおり、国際平和協力法第二条二項と申しますのは、国際平和協力業務は武力による威嚇あるいは武力の行使に当たるものであってはならないという点でございます。それから、附則の第二条は、これも御承知のとおり、いわゆるPKFの本体業務は凍結するというあの規定でございます。したがいまして、輸送というようなことでございましても、これらの法律枠組みの範囲内で行うという原則を今回念のため実施計画の中で確認したわけでございます。  それから、武器等を輸送するような、その自体を輸送するような実態は想定されないということを先ほども申し上げた次第でございますが、また現在護身用の小型武器を持った要員を運んでほしいというような要請に接しているわけではございませんが、この法律上あるいは実施計画上は、仮に例えばそういうような要員を運んでほしいということがございました場合に、それを運ぶことは可能でございます。  ただ、繰り返しになりますけれども、これは他国のPKFの本体業務を行うということではもちろんございませんし、またいわゆる武力の行使といったこととも関係、かかわりはないことでございます。
  49. 山田英介

    山田委員 昨年の今ごろだったかと思いますが、PKO特別委員会で当時の国連局長の丹波局長とこの点、私もやりとりをさせていただいた記憶があるのですが、たしかそのときは、要員、兵員、武器弾薬、これらにつきましては、PKO活動業務の実態からいって、各国要員部隊が自前でやることが通例でありまして、そういう要請があることは想定しにくいという趣旨の御答弁をいただいたと思います。それから、重ねて次の段で、武器弾薬については運べません、運びません、これは明確にされたわけであります。そこのところも、当時の答弁と、護身用といえども武器武器ですから、それを携行した外国の要員輸送してあげるということがいま一つちょっとわかりにくいですね。  ですから、そういう法案成立のプロセスで議論等がなされた、答弁もあったということを考えますと、どうなんでしょうか、国連から要請が将来そういう形で具体的に、武器を携行した者を運んでくれというようなことがあった場合には、国連あるいは要望しておる外国に対して、我が国PKO協力法枠組みというのは、要するに重要なポイント一つにかかわる問題であるから、携行しないで搭乗していただきたいというようなことを事前に我が国として話し合う、あるいは我が国立場を明確にする、そういうお考えはございませんのでしょうか。
  50. 柳井俊二

    柳井政府委員 法案の審議の際の山田先生と当時の丹波国連局長との間のやりとり、私もおりましたのでよく覚えております。そのときの答弁にもございましたように、他国の武器弾薬を運ぶというようなことは通常想定されないということを申しておったわけでございまして、この点、私も先ほど同じ趣旨で申し上げた次第でございます。  それから、兵員の輸送、軍事要員輸送でございますが、これにつきましても、通常、小型武器等を持った要員輸送ということにつきましては、現在UNTACのやり方といたしましては、UNTAC輸送部隊というのがございます。この輸送部隊の有しております輸送機、C130でございますとかC160というのがございますが、これをもって輸送しているわけでございまして、我が国自衛隊機に乗せてほしいという打診は、あくまでもこれは何と申しますか一種の便乗と申しますか、余裕があれば乗せてもらいたいということでございまして、UNTACの実情にかんがみますれば、そういう武装した兵員、要員を運んでほしいというような要請があるというふうには予想しておりません。
  51. 山田英介

    山田委員 今明らかになりましたことは、外国のPKO要員が護身用の小型武器を携行している場合であっても、要請があれば我が国政府としてはそれを受け入れるというふうに確認をいたしました。伺っておきます。  それから、官房長官にお伺いしたいのですが、参議院選挙をやっておりましたさなか、官房長官はいろいろな記者会見とかそういうところで、ポル・ポト派パリ和平協定の全部放棄あるいは停戦放棄ということであっては我が国からPKO派遣することは困難である、こういう御発言を何度か繰り返されていたと思います。言わずもがなと言われればそれまでなんですが、もうちょっとわかりやすく、パリ協定の言葉による全部放棄あるいは停戦放棄ということの具体的な形は官房長官はどういう形をイメージされているのか、裏返しになるかと思うのですけれども、そこを具体的にちょっと明らかにしていただければと思います。
  52. 加藤紘一

    加藤国務大臣 それは総合的に幾つかの要因を判断しなければならぬと思います。例えば、私たちはパリ協定を破棄しますといって、それで全面的な戦争展開みたいなことになれば、当然それは停戦合意という前提が崩れたことになります。
  53. 山田英介

    山田委員 それはまさに撤収の基準になるという御答弁であります。  問題は、もう一つ伺いたいのですが、仮に脱退すると表明した、そうあってほしくないのですけれども、仮にポル・ポト派パリ協定から脱退するということを表明をし脱退をした、しかし、いわゆる組織的あるいは全面的といいますか、継続、反復した武器による攻撃等がまだなされておらない、要するに脱退をした、そういう事実が明らかになった、この場合はいかがでございましょうか。それも撤収一つの基準になるのかどうかという御判断を示されたい。
  54. 加藤紘一

    加藤国務大臣 その辺は総合的にその場で判断しませんといかぬと思います。いろいろなタクティクスでいろいろなグループがいろいろ発言をする場合がありますので、総合的に、その場面、それぞれの発言の真意、状況等を含めて判断しなければいけないことだと思います。
  55. 山田英介

    山田委員 先ほど官房長官の、PKOカンボジアにおける活動等のあるいは経緯につきましての御報告をいただきました。その最終部分で触れられておりました選挙についてなんですけれども、御報告にもありますように、やがて国連から具体的に要請されるであろうということを想定して準備されていると思うわけであります。  ただ、時期的に見ますと、既に来年の五月には予定どおりいけば総選挙実施するという段取りであります。来年の一月末には政党の届け出の一つの期限が切られておる、あるいは登録の期限が切られておるというような状況の中で、あの広大なカンボジア全体で総選挙実施するということになりますと、UNTAC全体としては、この選挙監視要員、いわゆる総選挙実施にかかわる要員というのはトータルで大体どのくらいの人数規模になりますのか、現在までの情報のもとでお知らせをいただきたい。
  56. 柳井俊二

    柳井政府委員 これまで非公式に我が国にどうかと打診してまいりました数は五十人程度ということでございますが、トータルにつきましてはただいま調査の上お答え申し上げます。ートータルでは一応千四百名を予定しているようでございます。
  57. 桜井新

    桜井委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十五分休憩      ――――◇―――――     午後一時十二分開議
  58. 桜井新

    桜井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山田英介君。
  59. 山田英介

    山田委員 先ほど、選挙監視要員全体で千四百名ほど、我が国要請されるであろう人数が大体五十人ほどという御答弁がありました。全体の四%ぐらいですか、五十人といいますと。アジア我が国立場関係からいくとちょっと少ないのかなという嫌いもあります。もうちょっと、百名とか百五十名とかということで追加で要請されることもあるのかなという感じがいたしておりますが、それはそれとして、五十名といっても、この五十名を養成する、あるいはいろいろな危険対処とかその他もろもろの準備というのは、それなりのやはり周到なものがなければならないだろうと思うのです。  しかも、今自衛隊部隊として施設整備に当たっておられますのは、比較的ポト派と接触しないで済むような、あるいは比較的安全なところにまとまって部隊としておりますから、それと比べますと選挙監視要員というのは、恐らくはぼ全域に散らばって他国の要員と一緒に仕事をするんだろうというふうに思います。全土的に散らばるということは、それだけまたためにする妨害あるいは危害等をある意味では受けやすい、そういう状況にある。  そういう選挙監視要員五十名なら五十名、現時点においてその養成といいますか準備はどういうことになっておりますのでしょうか。例えば自治省それから都道府県の選挙関係の職員の方々とか、あるいは民間からもボランティアを募って総理府の職員に採用して五十名の中に組み込むのか。その辺関心が非常に高いものですから、具体的に簡潔にお知らせいただきたいと思います。
  60. 柳井俊二

    柳井政府委員 ただいま御指摘のとおり、選挙監視員の場合には全国的に散らばって仕事をするということになりますので、私どもといたしましては、実際に派遣する段になりました場合に、この安全の確保ということは最重要課題だというふうに考えております。  現在の準備状況でございますけれども、まだ実は関係省庁の間で御相談をしているところでございまして、結論は得ておりませんけれども、前回、大変規模が小そうございましたけれどもアンゴラ選挙監視要員を出しましたときには三名ということでございまして、一人が国家公務員、一人が地方公務員、一人が民間人、こういうことで派遣をいたしました。今回につきましても、その割合につきましてはまだ結論を得ておりませんけれども選挙に経験の深い地方公務員の方に御参加いただければ非常に助かると思っておりますし、また、民間の方々の中でこういうことをやってみたいという方がおられれば、これも歓迎すべきことでございますので、そういうことも考えております。また、国家公務員にも適当な人がいるのではないかということで、現在、募集の要領等につきまして関係省庁、特に自治省、外務省等と御相談をしている段階でございます。  それから、私どもといたしましては、やはり先ほども指摘がございましたとおり地方に散らばって仕事をするということにもかんがみまして、特に選挙監視要員につきましては、派遣をする前に研修の中で安全確保の点についていろいろ講義あるいは訓練というものをしていきたいというふうに考えております。  それから、安全確保という点につきましては、基本的にはUNTAC等におきまして有効な対応措置がとられるものと考えております。既にUNTACにおきましては、歩兵部隊選挙監視要員の方のために使うということも検討しているというふうに聞いておりますし、また、御承知のとおり、国連安全保障理事会におきましては、UNTAC要員の安全確保措置をとるよう各派に要請するということが決議されているところでございます。
  61. 山田英介

    山田委員 十分安全確保には力を入れなければならないと思います。  一月末時点でUNTAC要員が立ち入り自由な地域において予定どおり五月総選挙実施する、これは先般の国連決議でも確認をされて我が国も賛成をされているわけでありますから、ポル・ポト派抜きで総選挙実施ということを想定されているわけでありますから、安全確保の面は、これはもう十分の上にも十分な対応をしていかなければならないというふうに私も存じます。  それで、一点だけちょっと。ポル・ポト派の要するに頭目ですね、ポル・ポトはどこにいるのか、ちょっと外務省から。中国にいるのですか、山の中にいるのですか、どこにいるのですか。
  62. 池田維

    ○池田政府委員 カンボジア各派の支配地域というのは若干流動的な面がございますけれども、一般的にポル・ポト派の拠点になっておりますところはカンボジアの中で二つでございまして、一つが西部でタイとの国境の地域、その近くの大きな町はパイリンでございます。それからもう一つは北部でございまして、北部のタイとの国境の地域、コンポントムのあたりでございます。それで、地形からいいますと、いずれも山岳、それから森林、ジャングル、それから沼地等がある地域でございます。
  63. 山田英介

    山田委員 そういうところにいるだろうという御答弁でございますね。  防衛庁長官お尋ねをしたいわけでありますが、例えば実施計画等で派遣の期間が定められておるわけですね。施設部隊六百名ほどの方々がカンボジアというふなれな地で国際貢献協力を鋭意されているわけであります。交代は半年交代と聞いておりますが、本年間国を離れ、遠く異国の地で家族とも離れということであります。それでも士気は非常に高いと伺っておりますので、安心をしたり、また敬意を表しているわけであります。  そういう士気を維持するためにも、どうなんでしょうか、C130輸送機などを利用して、活用して、バンコクとかプノンペンとか、そこで希望する隊員の家族の方々に面会をする、そういう機会をつくってあげたらどうなのかな。これは御提案でございますが、面会用の定期便といいますか、普通の国の普通の国際貢献と私は理解しておりますので、そこまでやってあげる必要があるのかという一方に意見があることは十分承知しておりますが、しかし、我が国が初めて人的な本格的な貢献国際貢献に踏み出した、その記念すべき、ある意味では包括的なカンボジア復興というPKOに携わるのは初めてであります、ということも考えて、その辺を防衛庁長官、いろいろと配慮してあげていいんじゃないかと思いますけれども、お考えがありましたらお聞かせをいただきたい。
  64. 宮下創平

    宮下国務大臣 私が過日カンボジアを訪問いたしまして、タケオで隊員諸君とフリーな意見を述べていただきたいということで、何でも思っていることを言いなさいよということで意見を求めたところ、正月前後に休暇を与えてもらえませんかということですね。私は、当然だ、これは戦争をしに来ているわけではなくて、平和協力業務に来ておりますから、勤務が苛酷な条件にあるだけに、国内でも休暇をとらせるわけですから、業務の支障のない限りそれはいいんじゃないかということを申し上げて、そしてなおかつ家族の方々が、今先生のおっしゃられたようにプノンペンあるいはお隣のタイ、バンコク、またシンガポール等に、プノンペンの話はございませんでしたが、そういうところに家族が出向いた際に、隊員がそこへ行って家族と合流して休暇の範囲内で交流を深めるといいますか、そういうことが可能かと言いますから、私はちょっと外国でもそういうことをやっているということも仄聞しておりましたから、結構だ、なるべく協力をしたいと。  しかし、今先生のおっしゃられたように、C130でというわけには私はまいらぬと思います。これは、C130は足が短うございまして、輸送機ですから、フィリピンにまず寄港して、そしてまた行かなくちゃなりません。行くときはやはり本来一週間の物資その他を積んで行かなくちゃなりません。このために運航しているわけでありますから、これは今のところ私は考えておりませんけれども、チャーター便等であとう限り航空機会社等の利便も得て、そしてそういうことが可能であればやっていいのではないかということで、今タイの方でもそんなことで希望者を募っておるようでございますが、私は結構なことだ、こう思っております。
  65. 山田英介

    山田委員 終わります。
  66. 桜井新

    桜井委員長 御苦労さまでした。  次に、三浦久君。
  67. 三浦久

    三浦委員 官房長官、私は一貫して、当委員会自衛隊の海外派兵というのは国連平和協力法のいわゆる五条件に違反をしている、したがってカンボジアからの自衛隊の即時撤退を要求してまいりました。しかし、政府はこれを拒否し続けてきました。  ところが、十一月の三十日ですけれども、安全保障理事会が開かれまして、カンボジアの総選挙を来年の五月に実施するということを決めました。そしてその対象地域は、来年一月三十一日の時点でUNTACが自由に出入りできる地域でやる、いわゆる事実上ポト派抜きの総選挙に踏み切ったわけであります。現在のポト派の対応からいたしまして、ポル・ポト派やその支配地域、これを除いて総選挙が行われる、そういう可能性は非常に高いと私は思います。例えばポト派は、十一月三十日に自派の新しい政党をつくっております。それはカンボジア民族統一党という政党です。この結成に当たって、彼らは今までと同じことを繰り返している。あらゆる種類のベトナム侵略勢力がカンボジアから撤退したときにのみ選挙参加する、こう言って、いわゆるパリ和平協定に基づく総選挙、これを拒否しているのであります。  こういう事態が予想される、現実にもう迫っている、一月三十一日でもう対象地域が決まってしまう、そういう状況の中で選挙が行われるということになれば、これはパリ和平協定の、自由で公正な選挙、いわゆるカンボジア全土を対象にしたそういう自由で公正な選挙というものとほど遠いものになると私は思うのです。こういう選挙実施された場合でも、政府自衛隊カンボジアから引き揚げないのですか。どうですか。
  68. 加藤紘一

    加藤国務大臣 五条件に合致している限り我々はUNTAC参加し、カンボジアに真の意味の和平とそしてカンボジア人による政府が樹立されるように努力を続けていきたいと思います。
  69. 三浦久

    三浦委員 このいわゆる派遣原則ですね、特にその中立性の問題について大きな疑問を抱かざるを得ないのではないでしょうか。どうでしょう。
  70. 加藤紘一

    加藤国務大臣 中立性の原則とおっしゃいましたけれども、我々としては、パリ協定が締結され、その包括的な和平合意を実現するために国連が力をかし、そして政権が樹立されるよう努力する、この努力をしているUNTACの行為は、しっかりとしたパリ協定に基づく路線に基づき中立的に仕事をしていると思っております。
  71. 三浦久

    三浦委員 ポト派を除いてしまうのですよ。紛争当事者というのは、ポト派であり、プノンペン政府派であり、そしてシアヌーク派であり、ソン・サン派でしょう。その四派のうちの一派を除いてしまって、その一派が支配している地域、これも除外する、そういうことはパリ和平協定では予想していないことであります。もしかそういうことを実行するのであれば、それはいわゆるUNTACの中立性ということが問題になるじゃありませんか。ならないのですか。どうなんですか。おかしいじゃありませんか。――いやいや、官房長官に聞いているんで、これは事務局長の出る幕じゃない。副本部長に答弁してもらう。
  72. 加藤紘一

    加藤国務大臣 余り大きなお声で議論なさらなくてもいい問題で、冷静に御議論いただいて結構なことと思っております。  これはポト派といっても、パリ協定の総枠から外れるとは言っておりません。そして、我々はそのパリ協定に基づくスケジュールに従って国連努力しているのに協力をする、一緒になって参加するというのが我が方の立場でございまして、今あえて言うならば、ポル・ポト派がそのパリ協定の精神に従って、スケジュールに従って約束どおりやっていただきたい。それに対しての厳しい世論がございます。国連の決議もそうです。  ただ同時に、余り追いやってもいけませんから、対話の窓口はポル・ポト派の間にちゃんとオープンにしておく、それが今国連がやり、我々もそれに一緒になって参加している努力の姿でございます。
  73. 三浦久

    三浦委員 私は前回の委員会のときにも申し上げましたけれどもポル・ポト派和平協定の第一段階も第二段階も何も守ってないのですよ。守っているというか、妨害していないのは難民や避難民の帰還の問題だけでしょう。  例えば、第一段階では兵力、装備、武器、この数とか量、こういうものを申告しなければいけないことになっている。また例えば、地雷をどこに埋めたのか、そういうことも正確に申告しなきゃならぬということになっているのですよ。それは第一段階。第一段階で何もやってないじゃないですか、ポル・ポト派は。そしてまた、ポト派地域へのUNTACの立ち入りを拒否しているでしょう。停戦違反も散発的、部分的などというものじゃない。連続して繰りかえし繰り返し行われている。そしてそれはプノンペン政府に対してだけではなくて、UNTACに対してまで行われているじゃありませんか。そして第二段階では武装解除拒否している。そして同じように停戦違反を繰り返す。UNTACへの攻撃もやっている。これで何がパリ和平協定大枠が守られているなんて言えるのですか。  そして、彼ら自身が総選挙には参加しないと言っているのです。ベトナム勢力が全部出ていかなきやという口実を設けて、言いがかりをつけて参加拒否しているのですよ。窓口をあけているからそれでいいのだ、参加してこないのはカラスの勝手でしようと、そんな理屈が通りますか。パリ和平協定というのは全カンボジアを平和にするのだということなのです。そしてまた、総選挙実施してしまえばポト派が参加をするという機会は完全に奪われてしまうじゃありませんか。それがもう一月の三十一日に目前に迫ってきているのですよ。こういう事態について、私は、五条件というものをそういう実態に合わせて正確に満たしているのかどうかということを検討する、そしてその五原則に外れておれば中断をし撤兵をさせるということは当然のことだというふうに思います。  これはそうだとは言わないでしょうから次に進みますけれどもUNTACは来年の八月まで活動することになっておりますね。ところが、今度の実施計画によると、自衛隊は十月の三十一日までカンボジア活動するようになっている。何でUNTAC活動期間と合わさないのですか。すると二カ月あいてしまう。二カ月はどういう法的根拠でカンボジアにおるわけなんですか、お尋ねしたい。
  74. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 国際平和協力業務といいますのは、我が国が国外において行う部分も含みますので、これが撤収をいたしますときに海外にまだいる可能性があるわけでございます。業務としては八月で終わったとして、それが引き揚げる間、これは国外におるわけでございますから、これは国際平和協力業務という位置づけに法律上なっておるものですから、その期間を考慮して余裕を設けたということでございます。
  75. 三浦久

    三浦委員 余裕を持つということは問題じゃないですか。これだけ派兵について国論を二分している問題について、UNTAC協力すると言いながら、UNTAC活動期間が過ぎているのになお自衛隊が二カ月間も残存するなどというのは全く無謀じゃないですか、そんなことは。  防衛庁長官お尋ねいたしますけれども、総選挙後もカンボジアでの紛争は私は続くと思いますよ、今の状態のままであれば。すると、自衛隊が来年の十月以降もカンボジアに残留するという、いわゆる長期駐留化への対応計画というものが陸上自衛隊内部で検討されているということが報道されておりますけれども、いかがですか。
  76. 宮下創平

    宮下国務大臣 そのようなことはございません。今の実施計画が許容し得る限度であるというように存じております。
  77. 桜井新

    桜井委員長 三浦君にお伝えしますが、そろそろ時間になりますから終結をするようにしてください。
  78. 三浦久

    三浦委員 官房長官お尋ねをします。  官房長官は先ほどは、やはり小規模で局地的で散発的なそういう紛争だからいいのだ、停戦合意大枠は守られているのだ、こういうことを繰り返し言われているわけですけれども、それでは政府はどのような事態になったら停戦合意が存在しなくなったというふうにお考えになっていらっしゃるのか、お尋ねしたい。
  79. 加藤紘一

    加藤国務大臣 総合的に判断いたします。パリ協定を総括的に破棄するとか全面的な戦争になるとか戦闘を開始するとか、そういった場合には停戦合意というものはなくなったものと考えるわけですが、その時点、時点で総合的に判断いたします。
  80. 桜井新

    桜井委員長 三浦君に伝えます。この質問で終わりにしてください。
  81. 三浦久

    三浦委員 総合的に判断するということは答弁になっていないですよ。  あなたたち、実施要領をつくっておるでしょう。実施計画に基づいて実施要領をつくっているじゃありませんか。その実施要領の全文は公表していない。けしからぬ話だ。だけれども実施要領の概要を出しておりますね。私、読んでみました。そうすると、中断をする場合について規定があります。そのうちの停戦合意に限定しましょう。一つは、停戦合意を撤回する旨の意思表示を行った場合、これは明示の意思表示をした場合です。もう一つは「大規模な武力紛争の発生等により、もはや前記の合意又は同意が存在しないと認められる場合」、こう書いてあるのです。  何で大規模の紛争だけに限定するのですか。総合的に判断するというのなら、もっと総合的に判断しなきゃならないじゃないですか。明示の意思表示があったときと、あとは大規模な紛争があったとき、それ以外は合意は存在するんだというのがあなたたちの考え方だ。こんな大事な問題を公表もしない。この中身はどうなんですか。大規模な紛争、これに限定することは間違いである。いかがですか。
  82. 柳井俊二

    柳井政府委員 今お読み上げになりましたのは、まさに実施要領の概要の一部でございます。ただいまお読みになりましたことのほかに、この実施要領の中には、以上の二つの場合のほか、「前記の合意又は同意が存在しないと認められる場合」というのがもう一つ挙げてございます。つまり、その他の場合ということでございます。これは、それによってこのような場合になったら自動的に終了するとか中断するとかいうことではございませんで、「次に掲げる場合にはその状況等を防衛庁長官を通じて本部長に報告し、指示を受ける。」というふうになっているわけでございまして、官房長官がおっしゃっているのは、そういう指示の要請現地からあった場合には日本政府としては総合的に判断して指示をする、こういうことでございます。
  83. 桜井新

    桜井委員長 これにて三浦君の質問は終わりにさせていただきます。ルールに基づきますから、冷静にやってください、冷静に。
  84. 三浦久

    三浦委員 いやいやちょっと委員長、ちょっと待ってください。今のはちょっと重要な問題ですから。  二つの問題ではなくて、ほかにウで、「ア、イに掲げる場合のほか、前記の合意又は同意が存在しないと認められる場合」と書いていますね。書いていますよ。しかし、これは法律に書いてあることをただ言っただけじゃないですか。あってもなくても同じことじゃないですか。法律に書いてあるそのままを書いてあるだけじゃないですか。だから、その法律をもっと具体的に、どういうふうにした場合に中断をするのかということについてはアとイにしかないのです。明示の意思表示があった場合と、あとは大規模の紛争があった場合としかないのです。中規模や小規模の紛争の場合でも停戦合意が破られたと認定せざるを得ない状況というのはあるはずでしょう。それを何で明示の意思表示とかまたは大規模な紛争が発生した場合だけに停戦合意が破られたんだというふうに認めなければならないのですか。総合的にならもっといろいろ事態を分析をしてここに書ぐべきじゃないですか。そして何よりもこの実施要領を公表するべきです。
  85. 桜井新

    桜井委員長 もう同じ質問を何回も繰り返しているようですから、意見の対立は後日またお尋ねをするとして、これで終わります。
  86. 三浦久

    三浦委員 質問をしています。質問をしています。委員長、何で私の質問を制限するのですか。まだ十五分しかたっていません。
  87. 桜井新

    桜井委員長 次の時間がございますから、次の質問者にかわっていただきます。――速記をとめてください。     〔速記中止〕
  88. 桜井新

    桜井委員長 速記をお願いします。  和田一仁君。
  89. 和田一仁

    ○和田(一)委員 私も大変制約された時間の中で、伺いたいことはたくさんございます。したがいまして、冒頭にまとめて質問するようになるかもしれませんので、よろしくお願いしたいと思います。  六月十五日にPKO協力法案が成立をしましてから、もう半年たっております。この半年の間にも、アンゴラであるとかあるいはカンボジアヘの派遣など、我が国PKO協力についてのいろいろな動きがございました。また、国連の中にありましても、PKOを初め安全保障面での新しい提言等が出てきておるわけでございます。今私どもが持っておりますPKO協力法、これは初めてのことでございまして、法律が制定をされまして、実際に適用して現地派遣された、こういう動きの中で、実際に活動していく中で改めてこの法律のあり方を見直して、よりよいものにしていこう、これは半年前のこの法案審議のときの合意であった、こう私は思っております。  そこで、この半年の間の実際の動きを見て、これでいいかどうかの反省も含めて、これからのPKO協力のあり方、そして考え方について官房長官に幾つかのことをお尋ねしていきたいと思っております。  まず第一がソマリア。現在、ソマリアにはアメリカを中心とする多国籍軍が展開されつつあります。御案内のように、ソマリアは内戦と飢餓によって死者はもう三十万人を超え、現在二百万人からの人が本当にあすをも知れない飢餓線上にある。これは人類共通の非常に厳しい問題である、こう私は考えております。  この援助をしようというので物資を集めて送ってはおりますけれども、現在は途中で略奪されたりして届かない。それで国連は、やむを得ず援助物資供給のために必要ならば武力行使の容認をしてもよろしい、容認が国連で決議されたわけですね。これはやむを得ない選択ではなかったか、こう私は思います。  そこで官房長官、この世界最大の、今人類共通の課題であるこのソマリアに対して、我が国は一体どういう対応をしようとしておるか、まず初めに簡単にお答えいただきたい。
  90. 加藤紘一

    加藤国務大臣 人道的に大変心痛む状況が今ソマリアにございます。国連の決議もありました。  我々としては、軍事的な行動に参加することはできませんけれども我が国の憲法で許す範囲において、国際社会の一員としての最大限の努力をしなければならない。特に経済的な、資金面での援助につきましては、国連の事務総長の呼びかけに応じて貢献をしていくべく努力をしてまいりたいと思います。
  91. 和田一仁

    ○和田(一)委員 物資的な援助、これはもう当然でございますけれども、法の許される範囲内での協力という中で、先般防衛庁の高官が、C130を使っての輸送協力も可能であるというような発言がありましたが、防衛庁長官、大丈夫でしょうか。
  92. 宮下創平

    宮下国務大臣 今の国際平和協力法によりますと、類型としてはPKOの方ではございませんで人道的な援助になると思いますけれども、これもやはり停戦合意、相手方の受け入れ同意という条件がございますから、私どもは、この法律のもとでは自衛隊の航空機なりなんなりを派遣することはできないというように思っております。
  93. 和田一仁

    ○和田(一)委員 物資面での援助以外は何もできないということになりますと、これだけ日本国連の中の重要な立場にありながら、果たしてそれでいいのかどうか、日本立場が問われてくる、私はこう思うのですね。  そこで官房長官お尋ねしますけれども、多国籍軍に参加はできない、これは当然ではないかと思いますが、前回、湾岸戦争のときに提出された法案、国連平和協力法案というのがありました。あれはいわゆる多国籍軍への協力の法案でありましたが、あの法案そのものは不備な点があって廃案になりました。そして、その後湾岸戦争は終わりました。終わったから、そういうケースをもう念頭に置いていないのかどうか。今のPKO協力法ではできない、しかし国際情勢というものは刻々と変化して、そういうような対応を迫られる、そういうケースがふえてきていると思うのですね。  私が官房長官にお伺いしたいのは、多国籍軍への後方支援の是非、あり方について、この前やった議論はあれであのままペンディングになっているのかどうか。それとも、あれはあれでもうおしまいなんだ、ああいうことはできないから考えないんだ、こういう姿勢でいるのかどうか。私は、この辺は非常に大事なときになったと思うので、あえてお伺いいたしますけれども、多国籍軍への後方支援のための法律制定は、政府としては断念して、今後行うべきでないと判断したと理解してよろしいのか、それともそうではないとお考えになっているのかをお答えいただきたい。
  94. 加藤紘一

    加藤国務大臣 この点については、憲法上可能であるかどうかの御議論、それから、それを前提としたものとして法案を出すのかという御議論、いろいろな観点があろうかと存じます。しかし、我々としては、現在PKO法案が成立し、その最初のテストケースとしてのアンゴラ、そしてUNTAC協力活動をしておるわけでございます。その分野においてしっかりとした仕事をまずするということが重要であろうと思っております。
  95. 和田一仁

    ○和田(一)委員 緊急に世界が手を出してこういった悲惨な状態を解消したい、こういうときに、お金なら出せる、物は送れるというそれだけの姿勢で果たしていいかどうか。九月二十二日に国連総会で外務大臣が演説をされて、安全保障理事会の中のP5、常任理事国入りを考慮している、こういう堂々たる演説をしておきながら、対応できていない、そういうことも考えていないというような姿勢では、私は、こういう演説は空演説である、どこの国からも支援されない、そう思う次第なんで、私はきょうの答弁は不満足であります。私は、もっともっと積極的に政府はこれに取り組むんだというそういう前向きのお答えが聞けるものと思っておりましたが、いかがでしょう。もう一回お聞きします。
  96. 加藤紘一

    加藤国務大臣 同じ答弁になりますけれども、我々としては、現在のPKO法案に基づく協力をしっかりやっていくということ、そしてそこで国民の判断をまたいただくということが重要であろうと思っています。  ただ、先生の御指摘の中で、資金を供給することが余り意味がないというような御趣旨のことをおっしゃっておりますけれども、資金協力ができるということは今非常に重要な観点であって、またそれが求められているということにもう少し自信を持つべきではないかと思います。
  97. 和田一仁

    ○和田(一)委員 もう時間なのでやめようと思いましたが、資金協力が無意味だなどとは毛頭申しておりません。これからの国連活動の中で、現在各国が負担している負担率の中で日本の負担率が高いのも承知しておりますし、これから国連中心でいろいろな国際紛争を解決していこう、国連中心の世の中をつくろうというときに、国連を維持していくためにもお金がなくちゃできないことぐらいはわかっております。そういう活動の中の一環として出てくるPKO活動、それぞれ予算が必要であり、だれが支えるかというのは非常に大事ですよ。したがって、そういう意味での貢献をやるのを無意味だなどと全然思っていません。非常に大事です。  しかしそれだけでは済まないときが来ているよ、こういうことを私は申し上げたいわけでありまして、国連が決議をして、そして人道的な目的を持って行っていこうという活動について、これから参加するかしないかは、これは政治判断もあろうかと思いますけれども、もし参加しようと政治判断をしたときにできるような、そういうような国民合意形成と法制の整備を進める必要があるのではないか、これを私は言っておるのです。いかがでしょう。
  98. 加藤紘一

    加藤国務大臣 いろいろ御議論がありますが、ソマリアのケースは相対立するところに停戦合意がないというような部分がございます。状況はひとつそれぞれのケースでまた論じられなければならないところがあるのではないかと思っております。
  99. 和田一仁

    ○和田(一)委員 それでは、時間が来たようなので終わりますけれども、ぜひ、私きょう申し上げたことを契機にいたしまして、私は、我が国としてもこういった対応を真剣に論議できるそういう雰囲気をつくっていきたい、こう思っております。よろしくお願いいたします。終わります。
  100. 桜井新

    桜井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十四分散会