○武部(文)
委員 それは話をそらすやり方ですよ。そんなこと私は言ってないのですよ。あなたの
発言に対して
質問をしたのですよ。ないことを言って、あと
自分の
発言をしたって、それは
意味がない。私みたいなおとなしい者があなたに文句を言うのは本当に珍しいことですよ。
もう
一つ僕は申し上げなければいかぬ。経営
形態です。
さっき話の中に出ましたね、
自分はそんなことは言ってない、
貯金のことはちょっと言ったと。ところが、あなたの新聞記事は全部とっていますよ、あなたは認証式の前の日にそれを言っているのですよ。認証式は十二日でしょう。あなたは十一日の夜に
郵政省へ行って記者会見してしゃべっているんじゃないですか。
貯金のほかに
保険も
考えなきゃいかぬ。次の日になったら、今度は
郵便も民営に対して検討しなきゃいかぬ、こういうことを言いましたよ。間違いなく言っているのですよ。三
事業をこれから
民営化しよう、まず第一歩は
貯金から、こういう話のようでした。だから、それならそれでちょっと申し上げてみたい。
郵便は御承知のように明治四年ですから百二十二年たっていますよ。そういう歴史を持っているのですよ。
貯金は八年ですから百十八年。簡保は七十七年間、
貯金は百十八年、
郵便百二十二年という長い長い歴史を持っているのですよ。その中にいろいろなことがありました。我々の知らないところでいろいろなことがあって今日の
郵便事業が成り立っているのですよ。
郵政事業が三
事業一緒になってようやく運営しているのですよ。そういう歴史を持っているのですよ。当
委員会でもそういうことを振り返りながら、悪い点は直さなきゃいかぬというのでいろいろなことをやりながら、法律を改正したりつくったり、附帯決議をつけたり、いろいろなことをしながら今日まで来たのですよ。そうして曲がりなりにも三
事業がようやく黒字になって、
国民の
皆さんには迷惑かけないような
事業になってきておるのですよ。その中であなたが
一つだけ、
貯金だけ外したらどういうことになるかということを想定して御
発言になっておるでしょうか。
私は
一つあなたに聞いてもらわなきゃいかぬのです。あなたが御承知ないから言わなきゃいかぬ。
私は先年万国
郵便連合、スイスのベルンにあります百六十九の国が加盟しておる世界最大の組織ですが、そこへ行って
郵政事業というものを調べてみました。三
事業が一本というのは実に理想的な
形態だということをそこの事務局の次長は、ポルトガルの人だったと思いますが、しきりに褒めていましたよ。ほかの国のことも、ほかの局のことも聞きました。いろいろ聞いたけれども、
郵便単独の国は非常に経営がまずくなってみんな
料金をどんどん
値上げしなきゃならぬようになっておる、そういう中で日本の三
事業といろものは大変評価できるということを去年、今明けておととしになりますか、
調査して帰った一人です。
そこでもう
一つあなたに聞いてもらいたいことがあります。
五年前にニュージーランドが
一つのことをやったのです。あなたの言うようなことをやったのですよ。
郵便と
貯金の両
事業の分割と
民営化がニュージーランドで実施された。その後、
貯金事業はオーストラリア・ニュージーランドバンクに売却され、完全な民営
企業になったその結果、利益を追求する民営
企業としては当然なこととはいえ、このバンクは経済力の低い僻地などから一斉に
店舗を撤収した。このため、こうしたところに住む人の年金の受け取りができなくなった、こういう事態がニュージーランドで起きたのです。また、
郵便と
貯金の双方を取り扱うことで採算的に成り立っていた
郵便局が、
郵便だけとなったために採算が合わなくなって、
郵便局は廃局、そのために
郵便の配達が請け負いになって慢性的な遅配が起こって住民の不安が高まり、一部では
民営化に
反対する人の座り込み、警官の出動、こういう事態がニュージーランドで起きておる。これは調べていただければわかるとおりです。こういう事態が四、五年前にニュージーランドで発生しておるのです。
私どもは、経営
形態の
あり方というものは長い長い歴史の中で、今三つの
形態の中で、お互いが人件費も
局舎費もそして
事業費も出し合いながら、三つでもってようやく特定
郵便局というものが成り立っておるのですよ。
全国で二万四千の
ネットワークの中で収支率一〇〇%以下が四一%あるのですよ。四一%は採算がとれないのですよ。それでも三
事業がお互いにそういうことで助け合って今日三
事業でも黒字を出しながら運営しておるのですよ。その中の
一つの
貯金を外したらどういうことになりますか。とりあえず特定
郵便局、局長を含めて、ここには現在一万八千三百五十六局
特定局がありますよ。集配局、無集配局、これは成り立ちませんよ。成り立たぬということを局長や
職員は十分知っておるのです。ですから、あなたがはしなくも
貯金事業は
民営化だ、
民営化すべきだということをおっしゃったときに、一番動揺したのはどこでしょうか。特定
郵便局なんですよ。あそこの諸君は、そうなったら局が存続しなくなるよということを肌で知っておるのですよ。
そういうことを、たった一日や二日で、
郵政大臣になったあなたがインタビューやなんかに答えて堂々とそういうことをおっしゃったということは、三十万の従業員に対する冒涜ですよ。不安と混乱と動揺を与えたのですよ、あたなは。この責任は私は大きいと思う。何でも知っておった上であなたがおっしゃっておるならなおさら悪いが、そこまであなたは御承知でおっしゃっておるのですか。ちょっとお聞かせください。