○
松永委員長 この際、
公職選挙法の一部を
改正する
法律案起草の件及び
政治資金規正法の一部を
改正する
法律案起草の件について議事を進めます。
両件につきましては、先般来の
政治改革協議会における
合意に基づき、
理事会におきまして御協議をいただいたところでありますが、お手元に配付いたしましたとおり起草案を
委員長から御
提案いたしたいと存じます。
両起草案の
趣旨及び
内容につきまして、御
説明申し上げます。
まず、
公職選挙法の一部を
改正する
法律案について申し上げます。
本案は、最近における
選挙運動等の実情にかんがみ、適正な
選挙制度の実現を図るため、公職にある間に収賄罪を犯し刑に処せられた者に係る公民権の停止、
選挙運動期間の短縮、供託金の額の引き上げ、
選挙公営の拡大、
政治活動のために使用される文書図画の掲示に関する規制、報酬支給の対象となる
選挙運動従事者の増員、当選人等に係る刑事裁判の迅速化等所要の
改正を行おうとするものであります。
次に、その
内容について御
説明申し上げます。
第一は、収賄罪を犯し刑に処せられた者に係る公民権の停止であります。
公職にある間に犯した収賄罪により刑に処せられその刑の執行猶予中の者は、
選挙権及び被
選挙権を有しないことといたしております。
第二は、
選挙運動期間の短縮であります。
各
選挙の
選挙運動期間につきましては、
衆議院議員の
選挙については十五日間を十四日間に、参議院
議員の
選挙については十八日間を十七日間に、都道府県知事の
選挙については二十日間を十七日間に、指定都市の長の
選挙については十五日間を十四日間にそれぞれ短縮することといたしております。
第三は、供託金の額の引き上げであります。
各
選挙の供託金の額につきましては、実態に合わせてそれぞれ引き上げることといたしております。
第四は、
選挙公営の拡大であります。
まず、国政
選挙につきましては、
衆議院議員及び参議院
選挙区選出
議員の
選挙において、公職の候補者は、その者に係る供託物が国庫に帰属することとならない場合に限り、一定の額の範囲内で、
選挙運動用通常はがき、
選挙事務所表示用立て札・看板等を無料で作成することができることといたしております。
また、地方
選挙につきましても、都道府県の
議会の
議員並びに市町村の
議会の
議員及び長の
選挙においては、
選挙運動用通常はがきは無料とすることとし、都道府県及び市の
議会の
議員及び長の
選挙においては、当該地方公共団体は、当該公職の候補者の
選挙運動用自動車の使用及び
選挙運動用ポスター等の作成について、その者に係る供託物が当該地方公共団体に帰属することとならない場合に限り、国政
選挙の場合に準じて、条例で定めるところにより、これを無料とすることができることといたしております。
第五は、
政治活動のために使用される文書図画の掲示に関する規制であります。
公職の候補者等の
政治活動のために使用される当該公職の候補者等の氏名または氏名が類推されるような事項を表示するポスター及び後援団体の
政治活動のために使用される当該後援団体の名称を表示するポスターについては、その表面に掲示
責任者及び印刷者の氏名及び住所を記載しなければ、これを掲示することができないことといたしております。
第六は、報酬支給の対象となる
選挙運動従事者の増員であります。
報酬支給の対象となる
選挙運動のために使用する事務員及び車上運動員の数の上限を五十人とすることといたしております。
第七は、当選人等に係る刑事裁判の迅速化であります。
いわゆる百日裁判の対象となる刑事訴訟については、裁判長は、第一回の公判期日前に、審理に必要と見込まれる公判期日を一括して定めることといたしております。
なお、この法律は、公布の日から施行することとし、
政治活動のために使用される文書図画の掲示に関する
改正規定は、平成五年三月一日から施行することといたしております。
次に、
政治資金規正法の一部を
改正する
法律案について申し上げます。
本案は、
政党その他の
政治団体及び公職の候補者の
政治活動の公明と公正を確保するため、
政治資金パーティーについての規制、
政治資金の運用の規制、
政治団体が有する資産等の公開、
政治活動に関する寄附等への公務員の関与等の制限、寄附の量的制限
違反に対する罰則の強化、違法な寄附の没収等所要の
改正を行おうとするものであります。
次に、その
内容について御
説明申し上げます。
第一は、
政治資金パーティーについての規制であります。
政治資金パーティーの開催は
政治団体によることを原則とし、
政治資金パーティーごとの収入金額等の会計帳簿への記載や一定規模以上の
政治資金パーティーごとの収入金額等の報告を義務づけることにより収支の明確化を図るとともに、
政治団体以外の者が一定規模以上の
政治資金パーティーを開催する場合には、その者を
政治団体とみなして、事前の届け出、その収支の報告等を義務づけることといたしております。また、
政治資金パーティーの対価の支払いに関する制限及び
政治資金パーティーの対価の一定額を超える支払いをした者の氏名の公開をすることといたしております。
第二は、
政治資金の運用の規制であります。
政治団体が有する金銭等あるいは公職の候補者が有する
政治資金に係る金銭等の運用は、預貯金、国債の取得等の確実な方法に限定することといたしております。
第三は、
政治団体が有する資産等の公開であります。
政治団体の資産等の
状況を明らかにするため、
政治団体が有する土地、建物等の不動産、取得価額が一定金額以上の動産その他有価証券等の資産等を公開しなければならないことといたしております。
第四は、匿名寄附の
禁止の特例であります。
匿名寄附につきましては、
政治資金の公正さや透明性を確保する見地から
禁止していますが、その特例として、街頭または一般に公開される演説会もしくは集会の会場において
政党または
政治資金団体に対してする寄附でその金額が千円以下のものに限り、これを適用しないことといたしております。
第五は、
政治活動に関する寄附等への公務員の関与等の制限であります。
国及び地方公共団体の一般職に属する公務員等は、その地位を利用して、
政治活動に関する寄附または
政治資金パーティーの対価の支払いに関与してはならないこととするとともに、何人も、公務員に対し、これらの行為をすることを求めてはならないことといたしております。
第六は、寄附の量的制限
違反に対する罰則の強化であります。
寄附の量的制限
違反に対する罰則について、その法定刑に禁錮刑を加え、一年以下の禁錮または二十万円以下の罰金とすることといたしております。
第七は、違法な寄附の没収であります。
寄附に関する制限等の規定に
違反して受けた寄附に係る財産上の利益は、これを没収し、またはその価額を追徴することとするとともに、あわせてその実効性を確保するため、
政治団体に対する処罰規定等所要の規定の整備を行うことといたしております。
なお、この法律は、平成五年一月一日から施行することといたしております。ただし、
政治資金パーティーに関する
改正規定は、同年四月一日から施行することといたしております。
以上が両起草案の
趣旨及び
内容であります。
—————————————公職選挙法の一部を
改正する
法律案政治資金規正法の一部を
改正する
法律案
〔
本号末尾に掲載〕
—————————————