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1992-12-08 第125回国会 衆議院 科学技術委員会 第1号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    国会召集日平成四年十月三十日)(金曜日) (午前零時現在)における本委員は、次のとおり である。  委員長 近岡理一郎君   理事 斉藤斗志二君  理事 光武  顕君   理事 宮路 和明君  理事 山本 有二君   理事 与謝野 馨君  理事 川島  實君   理事 関  晴正君  理事 近江巳記夫君      今井  勇君     小沢 一郎君      河野 洋平君     中馬 弘毅君      塚原 俊平君     渡海紀三朗君      簗瀬  進君     秋葉 忠利君      竹内  猛君     辻  一彦君      馬場  昇君     渡部 行雄君      長田 武士君     吉井 英勝君      菅原喜重郎君 ――――――――――――――――――――― 平成四年十二月八日(火曜日)     午前九時五十分開議 出席委員   委員長 近岡理一郎君    理事 斉藤斗志二君 理事 光武  顕君    理事 宮路 和明君 理事 山本 有二君    理事 川島  實君 理事 関  晴正君    理事 近江巳記夫君       中馬 弘毅君    塚原 俊平君       渡海紀三朗君    簗瀬  進君       竹内  猛君    辻  一彦君       馬場  昇君    長田 武士君       吉井 英勝君    菅原喜重郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      谷川 寛三君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     井田 勝久君         科学技術庁科学         技術政策局長  長田 英機君         科学技術庁科学         技術振興局長  島  弘志君         科学技術庁研究         開発局長    石井 敏弘君         科学技術庁原子         力局長     石田 寛人君         科学技術庁原子         力安全局長   佐竹 宏文君         科学技術庁原子         力安全局次長  工藤 尚武君  委員外出席者         科学技術庁原子         力局核燃料課長 坂田 東一君         環境庁大気保全         局企画課交通公         害対策室長   斉藤 照夫君         文部省高等教育         局大学課長   工藤 智規君         通商産業省基礎         産業局化学品安         全課オゾン層保         護対策室長   西出 徹雄君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全管         理課長     藤富 正晴君         参 考 人         (動力炉・核燃         料開発事業団理         事長)     石渡 鷹雄君         参  考  人         (日本輸出入銀         行理事)    江澤 雄一君         科学技術委員会         調査室長    松尾 光芳君     ――――――――――――― 十二月一日  原子力発電に関する請願内海英男紹介)(  第一一二〇号)  同(平泉渉紹介)(第一一二一号)  同(細田博之紹介)(第一一二二号)  同(保利耕輔君紹介)(第一二〇三号) 同月二日  原子力発電に関する請願坂本剛二君紹介)(  第一七六二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月二日  航空宇宙産業振興への支援に関する陳情書  (第二  〇六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 近岡委員長(近岡理一郎)

    近岡委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  科学技術振興基本施策に関する事項  原子力開発利用とその安全確保に関する事項  宇宙開発に関する事項  海洋開発に関する事項  生命科学に関する事項  新エネルギー研究開発に関する事項 以上の各事項につきまして、本会期調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 近岡委員長(近岡理一郎)

    近岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ――――◇―――――
  4. 近岡委員長(近岡理一郎)

    近岡委員長 科学技術振興基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として動力炉・核燃料開発事業団理事長石渡鷹雄君及び日本輸出入銀行理事江澤雄一君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 近岡委員長(近岡理一郎)

    近岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  6. 近岡委員長(近岡理一郎)

    近岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤斗志二君。
  7. 斉藤(斗)委員(斉藤斗志二)

    斉藤(斗)委員 現在、フランスより日本に向けてプルトニウム輸送船航行中でございます。この問題は、日本エネルギー政策にとりまして大変大きな課題といいますか、大きな問題として国民大変注目をしているさなかでございまして、この件を中心にきょう質問をさせていただきたいというふうに思います。  エネルギー安定供給は、社会経済発展には不可欠な課題でございまして、特にエネルギー資源に乏しい我が国におきましては、今後とも安定的に発展していくためには、脆弱な供給構造を有する石油にかわってのエネルギー源、その開発導入に一層の努力を傾注していかなければならないと考えます。このため、我が国においては従来より、厳に平和目的に限る、この平和目的に限ることを国是として原子力開発利用を進めてきたわけでありますが、私も、供給安定性経済面でもすぐれている、そういった原子力は最も重要なエネルギー源として認識しておるわけでございます。  現に、本年七月のサミットにおける経済宣言の中でも、「我々は、世界エネルギー供給において原子力発電が果たす重要な役割を認識する」ということが表明されております。また、本年六月にはブラジルにおける地球環境サミットが開催されるなど、地球環境問題の解決が求められているわけでございますが、原子力二酸化炭素等を発生しないエネルギー源としてこの分野にも貢献できるものでありますし、今後ますます原子力重要性は高まるものと認識しているわけでございます。また、従来、エネルギー環境トレードオフ関係にあると言われてまいりましたが、これからはこのトレードオフ解消クリーンエネルギー推進が肝要でもあるというふうに考えるわけでございます。  原子力エネルギー源としての平和利用は、究極的にはプルトニウム高速増殖炉で燃やすことによってエネルギーを得、消費した以上のプルトニウムを生成することを目的としているわけでございます。このプルトニウム利用する体系が確立すれば、資源量的には石油の約十五倍、石炭の三倍にもなると言われております。単純に言えば、可採埋蔵量が現状は数十年と言われる石油ベースに換算してみれば、プルトニウムを使用することによれば千年以上もエネルギーが安心だということが言えるかと思うわけでございます。  このように原子力は、少量の資源から技術によって大量のエネルギーを生み出すものであることから技術エネルギーとも呼ばれており、また環境保全のためのリサイクルエネルギーとも理解されるわけでございまして、その経済性資源よりむしろ技術によって決められる点に特徴があるわけでございます。したがって、エネルギー源に乏しい一方で高い技術水準を有する我が国といたしましては、技術を駆使してエネルギー資源の徹底した有効利用を目指すべきであり、プルトニウム利用はこの考え方に沿ったものだと考えているわけでございます。  しかし、最近のプルトニウム利用につきましては疑問視する向きもある、そのような意見も多々見受けられるわけでございます。ここで科学技術庁長官に御質問させていただきたいと思いますが、まず最初に、我が国プルトニウム利用基本方針についていかにお考えか、お聞きしたいと思います。
  8. 谷川国務大臣(谷川寛三)

    谷川国務大臣 お答えいたします。  ただいま先生からお話がありましたように、我が国原子力発電によりまして総電力需要量の三割までを賄っておる、こういう状況でございます。ところがウラン資源がございませんので、燃料ウランは全量が輸入でございます。一方、電力需要は申し上げるまでもございませんが、経済発展、したがって国民生活の向上に伴いまして年々増大していっておる。今ウランは、世界ウラン資源の二割を使っておりますが、だんだんこれはふえていく。世界が今のウラン使用状況でいきますと、ウラン資源は四十年で枯渇すると言われておりますが、そういう貴重な資源をこれから日本がひとり占めするわけにはいかぬ。こういった長期的な視点から、また今お話がありましたように、エネルギー安定的供給という観点からいたしまして、使用済み燃料を再処理しまして回収されるプルトニウム核燃料として積極的に利用していこうじゃないかというのが、日本プルトニウム利用基本方針でございます。  その利用につきましては、高速増殖炉での利用基本としておりまして、その実用化を目指しまして開発推進しておるところでございます。また、高速増殖炉実用化までの間におきましても、一九九〇年代の半ばごろから軽水炉におきまして徐々に規模を拡大しつつプルトニウム利用を進めていく。そうしていきますとともに、核燃料利用面融通性に富んだ新型転換炉での利用も図っていきたい、こういう方針でございます。
  9. 斉藤(斗)委員(斉藤斗志二)

    斉藤(斗)委員 今長官の御説明ではございますが、近年石油ウラン需給緩和基調にある。そして、以前から高速増殖炉建設を中止していたアメリカに加えまして、昨年ドイツ建設がほぼ終わっていた高速増殖炉原型炉運転を放棄ということ、さらにフランスではことしもスーパーフエニックスがトラブルでとまったままだということ、また最近イギリスでも高速増殖炉開発の出資の中止が決定されているというようなことで、世界的に高速増殖炉開発が困難な時期を迎えてきていると私も見受けるわけでございます。  また、世界的には冷戦が終了し核軍縮が進展する中で、イラクや北朝鮮の問題に見られるような核拡散への懸念も高まりつつある。なぜこういう状況下日本のみが方針を変えることなくプルトニウム利用する高速増殖炉開発を進めるのか、国際的にも大変注目を集めているところでございます。  一方、スーパーフェニックス建設運転してきたフランスは、スーパーフェニックス半減期の長い放射性廃棄物の処分に用いる旨の報道がございます。これはマスコミ用語で言えば、核のごみ専焼炉にするのではないかということでもあるわけでございますが、我が国でも「もんじゅ」をプルトニウムをふやさないように使うこともあり得るといった旨の報道がなされています。  ここで長官にお伺いしたいわけでございますが、高速増殖炉、この開発をめぐる欧米の動向と我が国開発方針について、そしてそこに乖離が生じていないかどうか、こういったことについてお伺いしたいと思います。
  10. 谷川国務大臣(谷川寛三)

    谷川国務大臣 申し上げるまでもございませんが、高速増殖炉は発電しながら消費した以上の核燃料を生成していくという画期的な原子炉でございまして、軽水炉利用する場合に比べましてウラン資源を数十倍も効率よく利用することができる、核燃料資源問題を基本的に解決し得るものであると考えられますことから、先ほども申し上げましたように我が国におきましては将来の原子力発電の主流にすべきものであると考えまして、その開発推進しておるところでございます。  海外におきましては、今お話がありましたが、アメリカドイツでは原型炉建設計画が中止されております。フランスではことしの六月に、今お話がありましたスーパーフェニックスにつきましてまだまだ検討の必要があるということで、運転再開が延期されております。  こういったふうに、高速増殖炉開発スローダウンしておることは確かでございます。しかし、スーパーフェニックスにつきましては、私は八月と十一月、十一月は特に日本に来られたのでありますが、フランスキュリアンという研究宇宙大臣と会談をしまして、その間のことを質問いたしましたが、決してこれはやめたわけではありません。フランス総理大臣から安全性につきましてもっとひとつ再検討しなさいという指示もございまして、再開を延ばしておるだけでございます。お会いする前に、七月にキュリアンさんから手紙も参りまして、同様の趣旨の報告がございました。それから総理大臣からは、そういう検討左する機会に、スーパーフェニックスが高度の廃棄物を燃やしまして、なるべく廃棄物が余り出ないようにする効能も持っておるのではないかと思うので、その点も研究しなさいという指示を受けて、研究しているところでございます。そういうことで、あわせまして再開がおくれているんですが、今の、後で申しました高レベル廃棄物が出ないようにする措置につきましては、日本専門家にもひとつ研究に応援をしてもらえぬだろうかという要請がありまして、三名せんだってフランスヘ、スーパーフェニックスへ送ったところでございます。  そういうことでありまして、決して高速増殖炉計画フランスにおきましてもやめたのではない。開発という基本方針が残っておるわけでございまして、我が国もそういうことも考えながら、冒頭申しましたように推進をしていく、こういうふうに考えておるところでございます。
  11. 斉藤(斗)委員(斉藤斗志二)

    斉藤(斗)委員 今長官から、フランスにも行かれましてフランスの首相並びに担当大臣キュリアン氏とも議論を、会合の場を持って、そしてFBRの開発維持方針というのを確認をされたというお答えをいただいたわけでありますけれども、さらに日本からの協力国際協力も相待っているんだということでございます。  私は、今のお答えについて、スローダウンということでございまして、これからも着実に進めるんだというふうに理解いたしたわけでありますが、現実問題として、今「もんじゅ」という言葉を触れたのでありますけれども、三月に臨界という当初計画が十月に延期されたということが報道でなされているわけでありますが、何か問題があったんじゃないかというようなことも危惧をいたしておるのでございまして、その点についてお伺いしたいというふうに思います。  「もんじゅ」につきましては、第二のコンコルド、そして第二の原子力船「むつ」になるのではないかというような危惧をする一部もございまして、ぜひこの点につきましてそうじゃないんだということのお答えをいただきたいわけでございますが、この臨界の延期について、どなたか担当お答えいただきたいと思います。
  12. 谷川国務大臣(谷川寛三)

    谷川国務大臣  「もんじゅ」、これはちゃがまったわけではございません。当初は来年三月臨界を目標にしておりましたが、初装荷の燃料製造が手間取りまして、燃料製造の見込みが予定より約四カ月おくれることが明らかになりましたために、輸送実施計画を考慮しながら今後のスケジュールを見直しまして、来年十月に臨界ということに変更した次第でございます。私も、実はせんだって参りましたが、もうモーターの方なんか試運転を始めまして、いろいろ臨界に向けて進んでおるところでございます。  燃料製造がおくれました理由は、ついでに申し上げますと、平成四年三月に増強した燃料ペレット密度検査設備の調整に予想以上の時間がかかったということのようでございます。科学技術庁といたしましては、動燃臨界スケジュールにつきまして詳細な検討を行っていたことはもちろん承知しておりましたが、十一月二十六日に正式に動燃から臨界時期を来年十月に変更したいという連絡を受けました。その結果、今のようにお答えしたわけでございます。いずれにしましても、安全性確保を第一にいたしまして「もんじゅ」の計画を進めるように、動燃事業団指示をしておるところでございます。
  13. 斉藤(斗)委員(斉藤斗志二)

    斉藤(斗)委員 次に、プルトニウム海上輸送についてお伺いしたいというふうに思います。  フランスからプルトニウム海上輸送について、現在航行中でございますが、全世界注目の的でございまして、一部の国々では本プルトニウム輸送に対して懸念を表明しているとの報道もございますが、このプルトニウム海上輸送の背景及び必要性についてお伺いしたいと思います。
  14. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  使用済み燃料の再処理によりまして回収されますプルトニウムは、今ほどもお話しのございましたように、我が国の貴重なエネルギー資源でございまして、それを核燃料といたしまして積極的に利用していくということは、我が国の重要な課題でございます。  我が国におきましては、新型原子炉といたしまして開発中の高速増殖炉原型炉もんじゅ」の燃料用プルトニウムにつきましては、東海再処理工場からの供給だけでは不足いたしますので、我が国電気事業者イギリスフランスに委託いたしました再処理によって回収されましたプルトニウムを現在輸送しておるというところでございます。  また、「もんじゅ」の臨界のおくれに伴う取りかえ燃料製造スケジュールの見直しによりまして、返還プルトニウムによる燃料製造の開始時期は数カ月ほどおくれるということになり、その分はプルトニウム需給に若干の余裕が生ずることになるわけではございますが、「もんじゅ」用のプルトニウム不足ぎみであるという状況に根本的な変化はあるわけではございませんので、今回の返還輸送必要性は変わらないところでございます。  なお、高速増殖炉開発、それから軽水炉でのプルトニウム利用等によりますプルトニウム需要はこれからもふえてくるということでございまして、今後ともプルトニウム輸送は不可欠になると考えておるところでございます。
  15. 斉藤(斗)委員(斉藤斗志二)

    斉藤(斗)委員 このプルトニウム輸送を円滑に実施するために、本輸送に関する懸念や不安を持つ国、幾つかあったかというふうに記憶いたしておりますが、理解を得るよう努力することが私は大変大事だと思っております。  そこで、政府はどのような努力をもってその対応をなされたか、また正式に政府として反対した国があったのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  16. 谷川国務大臣(谷川寛三)

    谷川国務大臣 今回のプルトニウム輸送に関しましては、基本的には在外公館を通じまして、輸送必要性とか安全対策核物質防護対策等々につきまして、関係資料を提供いたしまして説明を行ってきたところでございます。そうして、本件につきまして今お話がありましたように、御質問がありましたように、疑問や懸念を示しました国々に対しましては、すべて誠実に対応してまいったところでございます。さらに必要に応じましては、科学技術庁それから動燃事業団専門家を現地に派遣いたしまして、プルトニウム平和利用計画輸送安全性など、特に技術的事項中心にいたしまして詳細な説明を行ってきたところでございます。その結果、各国政府レベルでは、おおむね本件輸送に係る理解が進んだものと認識をしております。  実は、私も九月にウィーンにおけるIAEAの総会へ参りまして、こういった点につきまして演説をいたしまして、各国理解を求めたところでございます。来ておいでになっている方が上の方々でございましたから、新聞紙上では反対の表明をしておられる国々でも、私の話に対しまして何らの疑問等が出なかったことを申し添えておきたいと思います。  なお、輸送ルートにつきましては、当初から、いずれの国の領海にも入る考えはない、領海外をできるだけ陸地から離れまして航行する旨を各国説明をしてきたところでございます。その機会に、具体的な輸送ルートとか、どこをいつ通るなんということは、核物質防護上慎重に扱わなければならぬので、お知らせできない旨を御了解を求めてきたところでございます。
  17. 斉藤(斗)委員(斉藤斗志二)

    斉藤(斗)委員 今長官より、政府として正式に反対を表明した国はないんだということ、それから理解が大幅に進んだというようなことを御報告いただきまして、また、あかつき丸領海外を通過するというような配慮の中での輸送中だということでございますが、この輸送安全性我が国原子力平和利用政策について御説明いただいたということでございますが、輸送ルートの沿岸の人々にとってみますれば、輸送容器安全性輸送船の安全、そして事故が起きたときの影響等々さまざまな問題があるだろうと私も理解するわけでございます。ここで、プルトニウム海上輸送安全確保対策及び核物質防護対策について、長官からお伺いしたいと思います。
  18. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおりに、プルトニウム海上輸送に際しましての安全確保対策あるいは核物質防護対策は極めて重要でございまして、これまで種々対策を講じてきておるところでございます。それについて申し上げまするならば、プルトニウム海上輸送安全性につきましては、多重防護考え方によりまして種々対策を講じておるところでございます。  第一には、今ほども大臣から御説明がありましたように、注意深い輸送ルートを選定することによりまして海難事故への遭遇を回避することといたしておりまして、そのような安全航行確保するために輸送船衝突防止用レーダー等設備を装備しておるところでございます。また護衛船も、その周辺監視能力を使いまして輸送船安全航行を支援するということにいたしておるところでございます。  それからその次には、輸送船は二重船殻構造という強固な構造になっておりまして、衝突とかあるいは座礁等に対しましても極めて沈没をしにくい構造になっております。火災対策といたしましても、国際基準に従いまして火災探知器、あるいは消火ポンプ、それから炭酸ガス消火装置、あるいは非常時には貨物倉貨物の倉に水を張るための装置を持っておる等々の設備を有しておるわけでございまして、安全性十分意を用いておるということを御理解賜りたいと存じます。  第三に、プルトニウム輸送容器でございますけれども、これは日仏及び国際的な安全基準を上回ります密封能力等を持つものでございまして、これまで長年にわたる安全輸送の実績を持っておるものでございます。このようないろいろの措置を総合いたしまして、プルトニウム海上輸送安全性確保されているものと考えておるところでございます。  次に、核物質防護措置でございますが、これにつきましては、巡視船による護衛に加えまして、輸送船における種々核物質防護のための措置を講じておるところでございまして、また広範な通信体制を構築しておるところでございます。このように今回の輸送にかかわります防護体制は万全なものであると考えておるところでございます。  なお、我が国米国政府及びフランス政府との輸送に関します協議におきまして、アメリカフランス政府は今回の輸送に関しまして十分な防護能力がある旨確認しておるところでございます。
  19. 斉藤(斗)委員(斉藤斗志二)

    斉藤(斗)委員 多重防護基本哲学、理念を持って対応しているということでございますが、ここで二点お伺いしたい。  一点は、報道によりますと、この輸送反対するグリーンピースの船が途中まで追跡をした、その後追跡し切れなくなったというような報道に接しておるわけでありますが、あのグリーンピースの船とは特に問題を生じていないというようなことを確認させていただきたいということと、もう一点は、その安全基準が八百度三十分ということになっているわけでございますが、一部懸念を表明する人たちは、タンカー事故になぞらえまして、タンカー事故だと千度以上になるじゃないかというようなことで安全基準は不安だということも言っておるわけでありますが、この点についてはいかがでございますか。
  20. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  グリーンピース等の船とは何の支障も問題も起こしていないと存じております。  それから、先生御指摘の輸送容器、八百度C三十分に耐える容器が千度を超えたような場合はどうなるかという御質問でございますが、先ほど同僚が答えましたように、船とのかかわり合いで考えております。すなわち、船は特別な船でございますし、二重船殻というようなことで底もボディーも二重になっております。また、万が一の際にはその船倉に水を張るというふうなことをしております。それから、燃える物は何も積んでおりません。自分の燃料以外は燃える物は積んでおりません。荷物はプルトニウムだけというようなことでございますので、この船、特別な安全性を備えた船と容器とのかかわり合いで、そういった八百度C三十分を満たす容器であれば十分と判断しているものでございます。
  21. 斉藤(斗)委員(斉藤斗志二)

    斉藤(斗)委員 そうするとお答えでは、タンカー事故の例えがあるけれども、それは判断する基準が違う、全然土俵が違うところでの議論だということで理解をさせていただきたいと思います。  次に、平和国家である我が国にとって全くあり得ないこと、当初申し上げましたが、平和目的に限るんだということでございますが、一部には、我が国プルトニウムを備蓄し、これを核兵器に転用するのではないかという懸念も表明されております。政府はこうした懸念に対しまして、原子力平和利用に徹するとともに、世界の核不拡散体制の維持強化のために貢献している我が国方針、姿勢を明確に示すべきではないかと思うわけでありますが、長官いかがでございますか。
  22. 谷川国務大臣(谷川寛三)

    谷川国務大臣 これは今さら申し上げるまでもないと思いますが、原子力基本法によりまして平和利用、これはもう憲法になっております。そして、核の三原則によりまして国是であることも一方におきまして宣言されておる。そういうことでございまして、核兵器に使うなどということは、絶対想像もできない。先ほど申しましたウィーンでの会議でも、そのことはよくわかるように強調してまいったところでございます。  それから、そういうことを引き出すものとしましては、余分なプルトニウムをため込むのではないかというようなことをよく言われるのでございますが、これも動燃の工場をごらんいただきますとわかりますように、毎日数人のIAEAの査察要員が来て写真機で工場内をずっと監視しておりまして、そういうような運営ができるような状態ではございません。厳重なIAEAの査察体制の中に組み込まれております。そういうことでございまして、今後とも各国に対しましてよく御理解いただくように話をしていきたい、PRをしていきたいと考えておるところでございます。
  23. 斉藤(斗)委員(斉藤斗志二)

    斉藤(斗)委員 今そのような懸念はないというお答えをいただいたわけでありますが、従来より、原子力基本法に基づき、日本は厳に平和目的に限り原子力開発利用推進しているということでございまして、これを担保するために日本は国内保障措置制度というのが整備されておるわけでございます。しかしながら、この保障措置ということは非常にわかりにくいことでございまして、実際どのような保障措置がとられているのか等々わからないというのが国民の偽らざる声でございます。  これに関連して、先月二十九日の報道によりますと、保障措置の実施結果を詳しく説明していくために、科学技術庁は保障措置白書というものを作成する方針を固めたという報道がございましたけれども、この点について政府考え方をお聞書いたしたいと思います。新聞報道によりますと、保障措置白書ということでありますが、核査察白書というような名前にもなっておりまして、核査察の方がわかりやすいのかなという感じがしないでもございません。なお、その点について政府考え方をお聞きいたしたいと思います。
  24. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答えいたします。  我が国では、原子力基本法に基づきまして、我が国原子力利用を厳に平和利用に限っているところでございます。それを国内外に担保いたしますために、核不拡散条約あるいは米国、フランスなどとの二国間協定によってIAEAの保障措置を義務づけられております。また国内におきましては、原子炉等規制法に基づきまして、国内保障措置を実施しております。このようなIAEAの保障措置、それから我が国独自の保障措置によりまして、国内外に我が国平和利用を固持しているところでございます。したがいまして、我が国におきましては、核物質が核兵器に転用されるようなことは絶対にございません。  また一方、我が国プルトニウム利用に対します内外の懸念を払拭いたしますためには、我が国がどのような保障措置を行っているかということを周知いたしまして理解を深めていくことが重要かと考えております。従来から保障措置につきましては、核物質の保有量ですとか、国内での移動量あるいはその査察業務などを原子力白書あるいはセミナー、パンフレットなどで既に公開してきておりますが、さらにもっとわかりやすい方法で広く知っていただくということが重要になってきたかと考えております。まだ、白書とかあるいは先生おっしゃいましたような名前については決めておりませんけれども、何らかの方法で我が国の保障措置業務をわかりやすくしていきたいと考えております。今後とも、こういたしまして内外の理解が深まるように努力してまいる所存でございます。
  25. 斉藤(斗)委員(斉藤斗志二)

    斉藤(斗)委員 この白書に関しましては、私が知る限り世界で初めての試みではないかと思いますし、他に例を見ない試みだということで、科学技術庁国民への理解を求める努力、これからもさらに続けていっていただきたいと思います。  さて、次に情報の開示制限についてお伺いしたいと思います。  今回のプルトニウム輸送につきましては、政府輸送ルート等について公表していない、こういったことから一部の国民の間には、不必要な情報管理をしているのではないか、またはそれによって輸送ルート沿いの国々懸念を高めているのではないかという不満の声があると聞いております。一般的に言って、輸送中の核燃料物質については、施設の中で管理している場合よりも不法行為等に対する防護がどうしても弱くなってしまうということを考えるべきですから、それに応じた適切な措置が当然に必要であり、その一環として、公開すると核物質防護のための措置の効果が損なわれてしまうような情報については慎重な取り扱いがなされるものと私自身認識はいたしております。仮に我が国核燃料物質が盗取されたり、何らかの妨害、破壊行為の対象となることがあれば、それこそ我が国に対する国際的な信頼の失墜につながるわけでございます。  しかしながら、先ほど述べましたように、一部の国民の間に輸送ルート等を公表していないことについて若干の誤解があるように推察される、また政府の本輸送に関する情報の取り扱いについての考え方質問していく必要があるということで、このプルトニウム輸送に関する情報の開示制限についての理由等についてお伺いしたいと思います。
  26. 谷川国務大臣(谷川寛三)

    谷川国務大臣 今先生の御説にありましたように、輸送中の核物質につきましては、施設内のときよりも危ない状態にありますので、情報につきましては必要最小限の範囲で慎重に取り扱うということにしておるわけでございます。でございますから、核物質防護に名をかりまして必要以上に情報の管理をやるということは絶対にいたしません。原子力対策に御理解と御協力を得るためにも、核物質防護上問題のない安全性、それから研究開発に関する情報等でございますが、それは今後とも積極的に公示してまいる方針に変わりはございません。御理解を賜りたいと思います。
  27. 斉藤(斗)委員(斉藤斗志二)

    斉藤(斗)委員 ただいま御説明いただいたのでありますけれども、輸送ルート等の輸送情報の詳細については国際的にも公表されていないという状況がございますし、我が国にとりましても、国際社会の一員である以上、防護措置の一環として、輸送情報の一部について慎重に取り扱うことも当然だと私も理解をするわけであります。また、良識ある国民の多くはこのような認識を持っているということでお話ししたいと思いますが、銀行の現金輸送ルートとか犯罪の詳細な手口等は知る権利の対象から外されているはずだ、こういうような意見もございまして、私は、銀行の現金輸送ルートと同列、それ以上のものがこのプルトニウム輸送の性質だと考えるわけでございます。  ただ、政府基本的な考え方理解できるわけでございますが、今回のプルトニウム輸送に関しましては、フランス出港時、従来公表できないとしてきた輸送船名のあかつき丸等を公表したと聞いておるわけでございますし、それを日本としては追認したということになっております。政府における方針が軽々に変更されるようでは国民は戸惑いを禁じ得ないところでありまして、特段の理由がない限り、そのようなことは厳に慎むべきだと思っておるわけでございます。  そこで、この四月にも核燃料物質の輸送にかかわる情報の取り扱いにつきまして、政府考え方を明確にするために関係事業者には指導、また関係自治体には協力を依頼する文書が送付されています。当該文書との関係で、今回の輸送船名等の公表により関係の方々の間には政府方針に変更があったのではないかというような疑念を生じかねないわけでございまして、この件で政府考え方をお伺いしたいと思います。
  28. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  一般的に、特に輸送船の名前などはそれが特定されますと、船に対してあるいは乗組員に対して危害が加えられるというようなことから、核物質防護上公表することは適当でない情報であると考えております。政府といたしましても、これまでこうした考え方に従ってこの情報を確認できないという立場をとってまいりました。  しかしながら、今回のプルトニウム輸送に際しまして、フランスからの出港に当たりまして、同国内における核物質防護に責任を有し、また本件輸送の一方の当事者であります、そして正確な情報を知り得る立場にありますフランス政府が、これらの情報を公表したわけでございます。そして、これが各種報道機関を通じ、これら情報が実質的に公知の事実とみなされるに至ったわけでございます。これは核物質防護の原則から申しますと好ましくないことではございますが、他方この結果、輸送船名等を公開しないということの核物質防護上の意義が薄れてしまったと判断されるに至りました。  一方、本件輸送につきましては、特別な核物質防護措置がとられていることなどがございます。このような特殊な事情を踏まえまして、政府としても出港後にこれらの情報を確認することとしたところでございます。  いずれにいたしましても、今回の輸送船名などの確認は、こうした今回輸送についての特有の特殊事情を総合的に考えて判断したものでございまして、政府といたしましては従来、特に先生御指摘の、この四月十八日に出しました通達に盛り込まれました核物質防護基本考えを変更することは考えておりません。
  29. 斉藤(斗)委員(斉藤斗志二)

    斉藤(斗)委員 フランスでの発表、これは特殊な事情だということで理解はいたします。  輸送安全性につきまして、国際的な安全基準を十分満たして万全な対策がとられており、また海上保安庁の巡視船護衛しているので、無事に日本に帰ってくるものと私も確信はいたしておるわけでありますが、実施責任者であります長官におかれましては、安全確保を第一に、そして社ムー的混乱のなきようこのプロジェクトをなし遂げていただきたいというふうに思います。  ここでもう一つ実は確認をさせていただきたいのですが、長官、航路、日程、入港地、入港先、こういうのはもう公表しないわけですね。
  30. 谷川国務大臣(谷川寛三)

    谷川国務大臣 当初申しましたように、公表いたしません。かつ、今御指摘がありましたように、絶対安全に日本まで持って帰りますように今後とも一生懸命頑張る、努力する、そういうことです。
  31. 斉藤(斗)委員(斉藤斗志二)

    斉藤(斗)委員 といいましても、地元民の、国民といいますか協力も必要でございまして、関係者の協力も必要だと私は思うのでありますが、日本へ近づきますとマスコミもまたかなりの時間を割いて、またかなりの情報の確度をもって追うというようなことも考えられるわけでございまして、この点マスコミが発達した今日ではいろいろな展開が予想されるのかなということも一方考えるわけでございますので、ぜひ地元民の反発を買わないような、また協力を得られるような体制の中での今回のプロジェクトをなし遂げていただきたい、私から強くお願いを申し上げておきます。  次に、旧ソ連及び中東諸国の原子力安全問題につきましてお伺いしたいというふうに思います。  昨年七月のロンドン・サミットで取り上げられ、さらに本年七月のミュンヘン・サミット経済宣言では、ソ連製の原子力発電所の安全性は重大な懸念材料であると指摘されているわけであります。私も、これらの原子力発電所の安全に対しましては、全く心もとなく、心配をいたしておる者の一人でございます。  原子力発電所の安全確保は、まず第一に設置国がみずからの責任で行うべきでありますが、チェルノブイル原子力発電所の事故の例にも見られますように、この問題は世界共通の課題でもあるわけであります。現在、ソ連型の原子炉安全確保について国際的な取り組みが進められている。我が国といたしましても、旧ソ連及び中東諸国の原子力発電所の安全確保については積極的に貢献していくことが重要であるというふうに考えますが、今申し上げた地域の原子力発電所の現状及び安全性向上に対する我が国考え方と支援方策についてお伺いをいたしたいと思います。
  32. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  まず旧ソ連、中東諸国におきます原子力発電所の現状でございますが、御承知のとおり、これらの国々におきましてはRBMK型、すなわちチェルノブイル原子力発電所と同型のソ連型黒鉛減速軽水冷却炉でございますが、このRBMK炉が全部で十五基、それから西側の軽水炉に比較的近いと言われておりますVVER、これはいろいろございますが、VVER四四〇・二三〇が十基、それからVVER四四〇・二一二が十四基、それからVVER一〇〇・三二〇が十八基、合計五十七基の原子力発電所が運転中と承知しておるところでございます。  そのうち、特にRBMK型とVVER四四〇・二三〇でございますが、この二つのタイプに属します二十五基につきましては、西側原子炉に備わっております格納容器がございません。それから緊急炉心冷却装置、ECCSが不十分である等の安全性に関します不安があることは、御承知のとおりでございます。  我が国といたしましては、平成四年度から専門家の派遣あるいは資金的な援助などを通じまして、国際原子力機関のソ連製原子炉安全性に対する評価活動への貢献を行うとともに、旧ソ連等の原子力技術者に対する研修事業を開始したところでございます。さらにミュンヘン・サミットにおきましては、二国間協力といたしまして、当面二千五百万ドルの協力を行うという方針を明らかにしたところでございまして、科学技術庁といたしましても、運転中の異常検知システムの設置等によります支援を行っていくということを予定しておるところでございます。  今後とも、これらの国々におきます原子力発電所の安全対策確保安全対策がうまくいくということにつきましては、関係各国とも十分協力いたしまして積極的に支援していきたい、かように考えておるところでございます。
  33. 斉藤(斗)委員(斉藤斗志二)

    斉藤(斗)委員 今、支援状況等々お話しいただいたわけでありますが、私は、これらの特に御説明ありました二十五基、チェルノブイル型並びに古いタイプの二三〇型の合計二十五基については、本来閉鎖すべきものではないかというふうに考えています。これは西側の基準から見ますと危険きわまりない第二、第三のチェルノブイル事故を起こす可能性が非常に高いのだということで、マスコミ用語でいえば非常識のレベルにあるのだということだと思います。私は、ぜひ科学技術庁におかれましても、それらの国々に対しまして注意を喚起いたしまして、反省を促すべく、そういったことを日本国民も強く主張しているということを申し入れていただければ大変ありがたいというふうに思うわけでございます。  そもそも原子力開発利用は、まず国民理解協力を得た上で、計画的に、かつ総合的に遂行していく必要があるかと思います。しかし国民の一部には、原子力政策の策定に際しましては、原子力開発理解の深い学者、研究者、電力原子力産業界、そういった代表の方々、原子力関係者のみ、こういった方々によってのみなされているということで、国民の声が十分に伝わっていない、また反映されていないのではないかという批判がございます。  折しも現在、原子力委員会におきましては、原子力をめぐる、原子力開発利用に関する指針の大綱と基本的な施策の推進方策を記した原子力開発利用長期計画検討中であるというふうに聞いておりますが、その検討に当たっては、このような批判を十分に踏まえ、幅広い分野の国民の声を反映していくことが重要だと考えますが、この新しい原子力開発利用長期計画の策定の進捗状況について質問をいたします。
  34. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  現行の原子力開発利用長期計画でございますが、これは昭和六十二年の六月に策定されたものでございまして、それ以降五年以上が経過しておるわけでございます。この間、我が国原子力開発利用は、青森県六ケ所村におきます核燃料サイクル事業を初めといたしましていろいろな展開を見せておるということがございますし、さらに今後の各種の展開につきまして検討すべき時期に来ておるということもあるわけでございます。  一方では、東西の冷戦の終了、あるいは核兵器の拡散に対する懸念の高まりということもあるわけでございますし、地球環境問題に対しますいろいろな意識の向上等、原子力をめぐります内外の情勢は大きく変化してきておるところと認識した次第でございます。  このような内外の情勢の展開を踏まえまして、本年七月二十八日に原子力委員会は、二十一世紀を見据えて我が国がとるべき原子力開発利用基本方針と具体的な推進方策を明らかにするため、原子力開発利用長期計画の見直しを行うことを決定いたしまして、原子力委員会のもとに長期計画専門部会というグループを設置したところでございます。また、この専門部会の調査審議を円滑に行うために、軽水炉利用、それから核燃料のリサイクル、それから核不拡散と国際貢献、それから技術開発等に関する分科会、サブグループを設置するとともに、広く学識経験者等から原子力開発利用に関しましての意見を求め、長期計画の策定に反映させるために長期計画懇談会というものを設置するということに決めたところでございます。  現在、新しい長期計画を来年の秋以降に策定することを目途に――と申しましても、ターゲットをいたずらに決めましてそれにぜひ間に合うようにということではなくて、専門部会の先生方には御審議を尽くしていただくということが極めて大事であると思っておりますが、一応そういう目標を置きまして、来世紀を展望いたしました長期的かつ整合性のある原子力開発利用体系を構築していくということ、それから東西冷戦後の新たな世界秩序におきます核不拡散と原子力平和利用との両立、さらには原子力技術先進国の一員としての国際貢献、科学技術立国にふさわしい先導的プロジェクト、基礎研究、基盤技術推進、あるいはエネルギー問題、地球環境問題等の世界課題に取り組む上での原子力必要性に対する国民理解の増進等々に関しまして、鋭意調査審議を進めていきたいというところでございます。
  35. 斉藤(斗)委員(斉藤斗志二)

    斉藤(斗)委員 次に、時間の関係もございまして、宇宙開発についてお伺いしたいというふうに思います。  ことしは国際宇宙年であります。この九月に宇宙飛行士毛利さんが日本人で初めてスペースシャトルに搭乗して、種々の宇宙実験を行いまして大きな成果をおさめました。私どもは、快挙だと思って大変誇りに思うわけでございます。また、今世紀終わりには、日米欧加の国際協力。プロジェクトであります宇宙ステーションが完成して、宇宙環境利用等々ますます活発に行われると思いますが、このような宇宙開発は人類の発展に極めて重要な役割を持っております。  しかしながら、我が国宇宙開発予算は平成四年度で一千八百九十五億円ほどでありまして、米国の約十分の一、欧州宇宙機構の約半分でしかないということでございまして、欧米諸国が意欲的に宇宙開発を進めている状況におきまして、科学技術立国を目指す我が国にとりましても一層の資金確保を図り、宇宙空間の特殊な環境利用した活動の活発化を初め、宇宙開発利用に一層強力な取り組みが必要であると私思っておりますが、この点につきまして大臣の所感をお伺いしたいと思います。
  36. 谷川国務大臣(谷川寛三)

    谷川国務大臣 宇宙は、人類の夢と希望の源でございます。そして、今委員お話しがありましたように、ことしは毛利宇宙飛行士の宇宙実験の成功によりまして、国民宇宙開発についての関心が非常に高まったと考えております。その開発は、国民生活の向上に大変役立つばかりでなく、我が国の科学技術発展の牽引力となるものでもございまして、広範かつ多様な宇宙開発活動を一層強力に推進していかなければならぬと考えているところでございます。  こういった観点からいたしまして、新素材開発等に大きく貢献する宇宙環境利用を初めといたしまして、地球的規模の環境問題の解決に向けた地球観測の充実、それから通信放送衛星技術の向上など、多様化し高度化する社会や国民のニーズに的確に対応していかなければならぬと考えております。  それからまた、ただいま種子島で実験中でございますが、二トン級の静止衛星打ち上げ能力を持っておりますHⅡロケットの平成五年度打ち上げを目指しまして開発を強力に進めていく、そういったこと等国際的水準の技術基盤の確立を図っていきたい、こう考えております。  それからまた宇宙ステーション計画等、我が国の国際的地位にふさわしい国際協力推進していかなければならぬ。こういったことなどを基本考えといたしまして、積極的に宇宙開発に取り組んでまいる所存でございます。  また、今お話がありましたように、国際宇宙年でもある本年を宇宙開発元年といたしまして、我が国宇宙開発事業が飛躍的に発展を遂げていくように、今後一層努力をしていく所存でございます。
  37. 斉藤(斗)委員(斉藤斗志二)

    斉藤(斗)委員 今、宇宙開発というようなことでお話しいただきましたけれども、人類の知的公共財というべき基礎的、先導的分野での知識の拡大に対する我が国の貢献は、自然科学分野のノーベル賞受賞者の数を見ましても明らかなとおり、まだまだ不十分だと私考えざるを得ないわけでございます。こういった現状、状況を打破したいということもございまして、基礎研究の強化にもっともっと本腰を入れて取り組む必要があると私考えるわけであります。  ここで大臣に、科学技術庁科学技術振興調整費、これはこれに適した代表的予算として特段の充実を図っていくべきではないかと思うわけでありますが、この科学技術振興関係の予算について大臣はいかにお考えか、お答えいただきたいと思います。
  38. 谷川国務大臣(谷川寛三)

    谷川国務大臣 今お話がありました科学技術振興調整費は、各省庁を初めといたします産学官の力を結集いたしまして、基礎研究等の総合的推進を図っていくための経費でございます。基礎研究分野におきまして、近年特に重要となってきております学際境界領域の研究推進する上で、関係省庁のポテンシャルを効果的に糾合できる科学技術振興調整費の意義は、仰せがありましたように極めて大きいと認識をしておるところでございます。  平成五年度におきましては、新規制度、これは中核的研究拠点育成制度を創設したいと思っておりますが、そういったこと等の創設を含めまして、大幅な拡充要求を行っておるところでございます。また、いろいろ先生方の御支援もいただかなければならぬと思っております。うんとふやしていきたいと考えております。  科学技術行政の総合調整を行う任にあります科学技術庁といたしましては、基礎研究の強化に取り組んでいくためのこれは最重点施策でございまして、今申しましたように、今後とも一生懸命この充実に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  39. 斉藤(斗)委員(斉藤斗志二)

    斉藤(斗)委員 そのお答えの延長線上にいわゆるセンター・オブ・エクセレンス、世界に誇り得る卓越した研究所を育て上げるための方策に強力に取り組むべきだということもあるかと思います。  私は、日本で期待される、そして世界から期待される、そして日本がその最先端にあって、その最先端をもって世界に貢献をしている、日本がその科学技術分野のメッカになっているというような評価というのは、これからの日本に期待されるべきところだと思うわけでございます。例えばエイズ対策等々、これはもう日本が一番だと言われるような、そういった国づくりであってほしいと思うわけでございますが、このCOE、センター・オブ・エクセレンスについて、長官のお考えをお伺いしたいと思います。
  40. 長田政府委員(長田英機)

    長田政府委員 センター・オブ・エクセレンスとは、一般的に言いまして、世界的に高く評価され、優秀な頭脳を全世界から引きつけるとともに、すぐれた成果を世界に発信している中核的研究拠点というふうに言えることができると思いますが、先生御指摘のように、我が国が今後基礎的、先導的研究を充実し強化していくためには、こういうセンター・オブ・エクセレンスを国内に育成していくことが極めて重要であると思います。こういう点から科学技術庁といたしましては、先ほども議論がございました調整費によりまして、平成五年度の新規施策としてこういうセンター・オブ・エクセレンスの育成制度を要求しているわけでございます。したがいまして、この要求の実現に努めまして、これからセンター・オブ・エクセレンスの形成に積極的に取り組んでまいりたいと思います。
  41. 斉藤(斗)委員(斉藤斗志二)

    斉藤(斗)委員 時間もなくなりましたので、最後の質問大臣にさせていただきたいと思います。  大臣は、一年余にわたりましてこの長官の職をお務めになられ、そして諸外国にも多く出られまして、国際協力それから先端技術の交流等々をされてきたわけでございます。そこで、一年間を振り返りまして、科学技術庁におかれまして今後の科学技術の振興、それから日本のあるべき姿、そして感想を含めて大臣のお考え、決意をお伺いしたいと思います。
  42. 谷川国務大臣(谷川寛三)

    谷川国務大臣 御承知のとおり、ことし四月二十四日に政府におきましては、今後の我が国の科学技術政策の基本を示す科学技術会議の第十八号答申を踏まえまして、新しい科学技術政策大綱ル閣議決定いたしました。この大綱では、科学技術によりまして国際社会と人類社会のために貢献していくことを基本的な考え方としながら、地球環境問題等人類共通の課題の解決、開発途上国等への積極的な科学技術協力等を通じた地球と調和した人類の共存、それから基礎研究の強化等を通じた人類全体の利用に供される知的ストックの拡大、さらに健康の維持増進、防災や安全確保等に必要な研究開発等の推進を通じた安心して暮ら仕る潤いのある社会の構築、この三つの目標を掲げまして、積極的かつ総合的な科学技術政策を展開していくべきことを指摘しております。  このためには、基礎研究を初めといたしまして研究活動を強化し、その成果を世界に向けて発信することによりまして、人類全体の知的な財産の蓄積に貢献することが重要であると考えております。さらに、近年科学技術離れが進展しておる状況にかんがみまして、科学技術系人材の養成、確保等の施策の展開を進めることが大変重要なことだと考えておるところでございます。今後、科学技術政策大綱の内容を実現しますために、最大限の努力をしていかなければならぬと思っておりさす。  さっき、振興調整費の大幅要求のお話もしましたが、私が最後まで残りまして来年度の予算を決めていければ大変よかったのでございますが、そうもいかぬようでございまして、後を継ぐ方に今申しました私の決心もよくお伝えしまして、先生方の御支援も得まして、基礎研究推進して日本科学技術振興を一層図っていかなければならぬと考えておるところでございます。
  43. 斉藤(斗)委員(斉藤斗志二)

    斉藤(斗)委員 以上で終わります。
  44. 近岡委員長(近岡理一郎)

    近岡委員長 辻一彦君。
  45. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 きょうは、私、主としてプルトニウム輸送の情報公開の問題それから我が国原子力政策、特にその基本であるプルトニウムの長期利用計画等について若干質問したいと思います。  まず第一に、フランスのシェルブール港を日本へ返還されるプルトニウムが出発をして今海上を輸送中でありますが、この日仏間の対応が今回の場合に非常にずれが目立った。フランスの方は情報をできる限り公開するという姿勢を示したし、我が国の方はひたすら隠していくというような感じを世界の人々や国民に与えたのではないかと思うのです。そこらの点を伺いたいのです。  まず、何年もかかって計画をしておったのですから、日本フランスそれからイギリスを含めて、日仏あるいは英の間にプルトニウム輸送する、返還をすることについていろいろな打ち合わせがあったと思うのですが、どういう打ち合わせを今までやっておったのか、。ポイントを伺いたい。
  46. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  過去二、三年にわたりまして、日米聞及び日仏間におきましてそれぞれの協定等々に基づき、今回のフランス使用済み燃料処理施設で分離されましたプルトニウムを安全に、かつ適正妥当な核物質防護措置のもとに輸送するということにつきまして協議を重ねてきたところでございまして、その協議の結果を踏まえまして今回の輸送を行っておる、かように御理解賜りたいと存ずる次第でございます。
  47. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 それにしては、港を出るときにフランスの示した情報公開と日本政府の姿勢は余りにも食い違いが大きいわけです。どうしてそういう食い違いが出たのか、お伺いしたい。
  48. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  今ほど御説明申し上げましたように、日仏間におきましては、この輸送計画の作成のための協議を通じまして、関係情報の取り扱い等につきまして話し合いを行ったところでございまして、核物質防護の観点からこの輸送に関しまして日本フランスの両国政府間には基本的な意見の違いがあったというわけではないと思っておるところでございます。  ただ、フランス側は、本件をめぐるいろいろな事情から、あかつき丸フランスヘの入港を控えまして、シェルブールにおけるコジェマによりますプレスセンターの設置とか各種の措置をとることによりまして、従来のヨーロッパの域内におきますプルトニウム輸送の際の取り扱いとは全く異なる対応をしたというふうに承知しておるわけでございます。フランスのこのような対応につきましては、フランスとしての国内のいろいろな事情があったものと推察しておるところでございますけれども、核物質防護上の基本的な考え方に照らしますれば、必ずしも妥当であるとは言えない面もあったやに思料するところでございます。  ただ、いずれにいたしましても、今日におきましては日仏間でこの輸送をめぐります情報公開の程度につきまして基本的な食い違いがあるわけではございませんで、今後とも本件につきましては、核物質防護基本的な考え方を踏まえまして、その実効性が損なわれない範囲で無用な不信感を招くことのないように対処してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  49. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 日本の方は、初めに船の船名にも幕か何かをかけて名前もわからぬ、こうしておった。フランスの方は、今お話しのようにプレスセンターをつくってテントを張って、時間が余ったときにはゲームまでやるような準備をして、随分と情報の公開に努力をした、こういうような違い方が非常に、テレビを見ている範囲で、新聞報道を見ている範囲でありますが、目立って感じる。こんな中でフランスは恐らく、情報の公開が後手に回ればかえって原子力政策に対する不信感を国民の間に招くのじゃないか、こういうような判断から、従来の欧州の対応とは違った形だと言いますが、この情報をかなりな公開に踏み切ったのじゃなかろうかと思うのですが、情報を非公開にして制限すれば、それに対して知りたいという多くの国民世界の人は逆に不信感をますます重ねていくのではないか。我が国の場合は、防護の名によって情報非公開をやったのですが、逆に不信感を世界の人に、そして輸送路に当たる沿岸諸国、また我が国国民の皆さんから不信感を買ったことになったのではないか、こう思いますが、原子力政策に対する基盤は、国民や住民の信頼ということがまず一番基本であるので、それを崩すようなあり方については非常に問題ありと思いますが、いかがですか。
  50. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおりに、国民の皆様方から原子力行政に対して信頼をいただくためには、原子力の諸活動が透明であって、非常によくわかるということになっておることが極めて大事であることは、よく認識しておるところでございます。その意味では、本件輸送のもろもろのことにつきましても、なるべく多くの皆様方に知っていただくということが極めて大事であるということは、先ほどからの大臣の御答弁等々でお答えになっておられるところでございまして、私ども事務的にも全くそう思っておるところでございます。  他方、核物質防護の実をおさめていくということも極めて大事でございまして、核物質防護はきちっと行われることが、かえって長い目で見て我が国のもろもろの原子力活動に対する信頼をいただくゆえんでもあるということでございます。その意味では、核物質防護とそれから国民の皆様の目から見た透明性、トランスペアレンシーということは、非常にその辺の兼ね合いが難しいところであろうかとは思いますけれども、私どもその間にありまして、最大限皆様方の信頼をいただける原子力の活動ということを目指しまして今回の措置を講じてきておるということを御理解賜りたいと存ずる次第でございます。
  51. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 フランスの港を出発するときからテレビがあれだけ報道し、グリーンピースの追跡船が跡をついて、それを通して、インド洋に至るところまでは世界じゅうにどこに船が走っているかということはわかったわけですから、そういう意味では、船の名前を出さずに、あるいはどこを通るかわからない、そういうことを非公開にしてきた意味というのは、大変意味が薄いというか、意味がないのじゃないか、こう思いますが、この輸送路であるとか、最小限の心配を与えない範囲の情報はもっと公開するのが大事じゃないかと思いますが、いかがですか。
  52. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  輸送経路などの輸送情報の詳細につきましては、国際的に見ても公開すべき情報でないということが国際原子力機関のガイドラインなどで決まっております。また、フランスにおきましても、「公衆と行政府との関係の改善に関する措置等の法律」のもとでの工業省令の中に、核物質輸送計画などは公表すべきでないというようにカテゴラィズされております。
  53. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 詳細を知らすのは別として、どこを通るかというおよそのことぐらいは知らした方が、かえって沿岸諸国も安心をする、こうじゃないかと思うのです。同じ問題が、例えば敦賀の「もんじゅ」に燃料を東海の加工所から運んでいる。これも、東海のあの門の外に番をしておれば、トラックが何台もそろって出かけるのならすぐわかるわけですね。跡をずっとついて、敦賀さでついていけば、当然どこを走ったかわかる。これも非公開というけれども、公開しないことによって、じゃわからなかったかというと、そらじゃない。全部テレビ、マスコミに、今まで公開しておったときよりも余計皆さんにわかったわけですが、残ったものは何かというと、自治体が長年築き上げた情報公開の原則事を崩してしまつかということで、非常な不信感を同様に買っている。私は、同じ問題があると思うのですね。  共通する問題でありますが、敦賀における、これはほかの核燃料輸送について陸路でも言えすすが、そういうものもこの間出したような通達による情報制限は余り意味がない。もう少しわかって、沿岸の人に、沿線の人に逆に安心をして古らった方がいいと思うのですが、そこらはどう考えますか。
  54. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  何度も繰り返し申し上げるようでございますが、輸送中の核物質というのは、施設の中にありますときょりも不法行為等に対しまして脆弱性を有するということから、国際的にも適切な防護対策をとれというようなことになっております。  また、我が国の陸上輸送におきましては、交通を遮断したりするようなことは事実上不可能でございまして、第三者が輸送の隊列に割り込んでくるというような状況輸送を行っているような状況でございます。このような状況では、やはり日時、経路などにつきましては事前に公表することは差し控えるという立場で臨んでまいりたいと考えております。
  55. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 港もそうだし、それから陸路でも、番をして待っておれば出てくるのはわかるわけだから、それを非公開をしてやったってわかるのです。それは逆に言うと、不信を増幅することになるのじゃないか。こういう点で、情報公開のあり方については検討をする必要があると思うのですが、検討の余地はないのですか。これは大臣、いかがですか。
  56. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  現在のような状況では、核物質輸送にかかわります日時、経路などは、やはり核物質防護上非常に重要な情報と考えておりまして、事前に公表することは差し控えさせていただきたいと考えます。
  57. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 同じ答えになりますからこれ以上は言いませんが、国内においても、同じことを繰り返していると逆に不信感が重なって、原子力政策の基本であるべき信頼に大きなひびがいくということを強く申し上げておきたいと思う。なおひとつ検討を求めておきたいと思います。  そこで、今度、年末かあるいは一月に、いずれこのあかつき丸日本のどこかに入ると思いますが、その際に、少なくもフランスがやったぐらいの情報を公開して理解を深めるということは必要でないかと思いますが、フランス並みぐらいの努力をする用意があるのかどうか、いかがですか。
  58. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、この輸送にかかわりますフランス側の情報公開への対応には、フランスにおきます特別な事情、特殊事情が影響したということも推察されるわけでございまして、我が国フランスと全く同様の対応をなし得ると考えることは、どうも現実的であるとは言いがたいと思うわけでございます。  ただ、情報の公開は、先ほども申しましたように、核物質防護の実効性が損なわれない範囲で行っていくことが基本でございまして、かかる考え方に立ちまして本件に対処してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  59. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 参考のために伺いたいのだけれども、フランスにおける情報を公開せざるを得なかった特殊事情をどういうふうに推定をしておるのですか。
  60. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  私どもといたしましては、フランス政府部内の意思決定について確たる情報は有しておりません。しかし、フランス側としてはフランス国内の核物質防護体制、その他の事情を総合的に勘案して対応したものと考えております。
  61. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 いや、それはあなた、推定であって、何もこういう特殊事情があったからやむを得なかったということにはならないですね。私は、冒頭申し上げたが、フランス政府はこの情報を無理に抑えておるとかえって信頼感を失うのじゃないか、そういう意味でかなり情報を公開するに至ったのじゃないかと思う。その点で、この信頼の醸成が非常に原子力政策の基本であるということは、フランス日本も変わらない問題であるので、ぜひフランス並みの、少なくも入港に際しての情報公開を実現することを強く要求をいたしておきます。検討をひとつまたいただきたいと思う。  情報の問題があったので、ちょっと私は理事長にもお伺いしたいのですが、敦賀のFBR、高速増殖炉原型炉の「もんじゅ」ですね、これの臨界がいろいろな事情でおくれておって、先日それがおくれたということが公にされたのですが、福井県の方、知事の方にはおくれて通達がされた。こういうことで、報道で初めて地元の知事がそういう重要なことを知らされたということはまことに遺憾ということで、テレビをちょっと見ておったのですが、大分気色ばんだような様子で、大変残念だ、こういうことを言っていました。まあ動燃理事長は後で県の方にも行かれたようでありますが、ひとつそれらの経緯、一番地元で大事な県の方になぜそういう連絡が届かなかったのか、遅くなったのかということ、それからまた今後そういう状況を踏まえてどういうように対応する考えか、この二点をお尋ねしておきたい。
  62. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 お答え申し上げます。  「もんじゅ」の臨界の延期の問題につきまして、福井県御当局への連絡あるいは報告がおくれまして、地元の皆様、県知事を初め皆様に不信の念を抱くという残念な結果を生じまして、大変申しわけなく思っております。  実は、「もんじゅ」の臨界につきまして非常にネックになっておりましたのは、東海工場で我々製造しております初装荷燃料製造が我々の希望どおりにいきませんで、どうしてもおくれぎみであったという事情が基本にございます。余り細かいことは省略させていただきますけれども、我々が期待した設備増強は予定どおり進んだのでございますが、その設備の調整に手間取りまして、どうしても来年の春ごろと県にも御報告しておりました状況がおくれそうだという事態が、この夏ごろからその兆候が見えてきたということでございました。私ども何とか最善を尽くしてそれを挽回したいということで、特に現場の技術者たちが最善を尽くしていたわけでございますけれども、とうとうこの十一月ごろになって最終的に臨界を再度おくらせなければならないだろうという判断に至りました。  この間の経緯の御報告が、実は私どもの手落ちの結果落ちておりまして、御報告申し上げたのがタイミングを逸しておった、こういうことでございます。先日県にお伺いいたしまして、県知事さんにその辺の事情を御説明申し上げたわけでございますが、とにかくその連絡が遅かったということで大変おしかりをちょうだいしたということでございます。私ども深く反省をいたしまして、その間動燃の中の連絡体制、特に東海における状況が福井に十分適切にあるいはタイミングよく伝わっていなかったという体制上の問題が一つある。それから、その辺に対してだれかが気づいて適切な対応をするという気構えにやや欠けるところがあったのではないか。すなわち組織的な問題と責任者の気の緩みといいますか気配りの欠如ということ、二点に原因があると判断いたしまして、その体制を強化するということと、それから特に非常に大事な地元との関係ということに対して常々気配りをするという責任体制をきちんとする、この二点について県御当局に対応策として御報告申し上げ、一応御了解をいただいた、こういう事情でございます。  今後こういう事態が生じないように十分な対応を図っていく所存でございますので、先生もひとつ何とか御理解を賜りたいと存じます。
  63. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 御存じのように去年の二月に敦賀のすぐ隣の、半島の反対側の美浜二号で細管の破断事故があった。そのときにもこの地元の方に連絡がおくれたということで、あそこの市町村周辺は非常に批判しておったのですね。そういう点でこの地元への連絡ということは科学技術庁としても非常に論議をして努力をしておったはずですが、どうもこの情報非公開という名のもとに、ともすると安全にもかかわる情報面においても気の緩みというか、あるいはそれを安易にしてしまう、こういうことが起こりがちであると思いますが、これは行政の責任者として大臣、この敦賀に限らず、こういうこと全般についてどうお考えになるか、お伺いしたい。
  64. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 大臣の御答弁の前に、一言事務的に御説明申し上げます。  今先生御指摘のように、原子力施設のトラブル等にかかわりますことにつきましては、速やかに関係の方々に御連絡申し上げるというのが基本でございまして、これは情報の公開、非公開とは別の問題であろうと認識しておるわけでございます。  それで、いろいろな原子力発電所におきますトラブル等々、あるいは動燃事業団計画変更、あるいはトラブル等につきましては、その都度機会をとらえましては、例えば大臣あるいは私どもから事業者に対しまして迅速、適正に関係の方々に連絡するように要請しておるところでございます。これをずっと繰り返してきておるわけでございますけれども、この件につきましてはただいま理事長から御報告のあったようなことでありまして、私どもは極めて残念だと思っておりますが、動燃はこれからさらに体制も改めて努力していくということを申しておるわけでございまして、ぜひその成果をお見守りいただければ幸いと存ずる次第でございます。
  65. 谷川国務大臣(谷川寛三)

    谷川国務大臣 今局長からも御答弁いたしましたが、先生の御趣旨等も体しまして、厳重に指示、注意してまいりたいと思っております。
  66. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 これも信頼を維持していく上において非常に大事なことですから、ぜひひとつ留意をして努力をいただきたいと思います。  そこで、先ほどもちょっと御論議があったようでありますが、このプルトニウム輸送安全性にかかわる問題ですが、何か日本フランスで何年間も論議をやっておったはずなのに、十月の二十八日に安全にかかわるいろいろな日本の報告書が向こうから出されたりしておりますが、この安全の評価についてぎりぎりまで日仏間に意見の違いがあったような感じがしますが、これは一体どういう状況であったか 簡単に伺いたい。
  67. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  核物質輸送安全性に関する情報は広く公表していくということが、基本的には輸送に対する内外の理解を得ていく上で極めて重要であると考えております。したがいまして、輸送安全性に関します情報につきましては、核物質防護あるいは核不拡散あるいは商業機密上問題のある必要最小限のものを除きまして、これを積極的に公表していく所存でございます。
  68. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 それはよくわかりますが、何年もかかって論議をしていたことが、出港間際までぎりぎりああいう日仏間で論議が続いた。そして次にフランスの方は、十月二十八日ですか、安全にかかわる資料をかなり広範に発表していますね。それで日本の方は、慌てて後を追従して幾らかを発表した。こういうことがなぜ起こっているのか、その点いかがですか。
  69. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  私どもとフランスの方で、その情報の公開についてもめていたというふうなことはございません。ただ、フランスが公表いたしました輸送容器にかかわります情報の中には、やはり核物質防護上公表するのは好ましくないのではないかという情報があったのは事実でございます。
  70. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 ちょっと後の問題に触れたいからこの問題はこれ以上時間をかけませんが、三万メーターのところでどうなるとか、あるいは仮に海中に容器が放棄をされた場合にどれぐらい拡散をするとか、今まで国会でそういう問題についての質問は、ほとんど答えは国際基準を満たしているというところで過ぎておったのですね。しかし、実際はこの内容の検討をいろいろやっておった。それはフランスの方が発表する、その原典、もとはどこかと言えば、日本の提供した資料によって向こうが発表して、その後をまた政府が幾らか小出しに出している。これは非常にギャップがあるように思うのですよ。こういうことをやっていると、やはり不信感が高まる。これからひとついろいろの場合に十分留意をしてもらいたいと思います。これはその程度にします。  そこで、今日本に返還されているフランスから出たプルトニウムの組成は、いわゆる同位体元素の割合はどういうふうになっているか、簡単にちょっと伺いたい。
  71. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  今回フランスから日本に返還されますプルトニウムの同位体組成比でございますが、これはプルトニウム238が一・二%、プルトニウム239が六三・三%、プルトニウム240が二三・六%、プルトニウム脇が八・〇%、それからプルトニウム242が三・九%、こういう組成になっておるものと承知しておるところでございます。
  72. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 その組成を持つ。プルトニウムは、日本のどこの原発からどの程度の燃焼度を通して処理されたものかわかりますか。
  73. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  輸送中のプルトニウムでございますが、これは動燃事業団日本電力会社七社から購入したものでございまして、これらの各電力会社からコジェマに送られました使用済み燃料のうち、一九九一年十二月までに再処理されました使用済み燃料から回収されたものと承知しておるところでございます。
  74. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 この使用済み燃料プルトニウム239の組成六三・三%から見た場合に、一般的な基準としてどれぐらいの燃焼度といいますか、メガワットでトン当たりになっているか、数字はいか、がですか。
  75. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 先生御承知のようにプルトニウムの組成比というのは、御指摘のように燃焼度によって変わってくるわけでございますが、今私がこの数字からもともとの使用済み燃料の推定燃焼度を申し上げることはできないことを御了解賜りたいと思います。
  76. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 なぜできないのだ、一体。例えばフランス政府の核防護安全研究所、IPSN等の資料も、これはある面では日本の提供した資料に基づいておると思いますが、なぜその燃焼度が答えられないのか、その理由はどうなんですか。
  77. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  今、お答え申し上げられないと言いましたのは、別に言わないとかなんとかそういう意味では全くございませんで、突然のお尋ねでございましたので、組成比からすぐバーンアップが割り戻せるというものではないということを申し上げた次第でございまして、御承知のようにフランスで再処理いたしました使用済み燃料は、いずれも典型的な軽水炉から取り出されました使用済み燃料であることは御承知のとおりでございます。よって、ごく普通の軽水炉の燃焼度を達成することによって得られる。プルトニウムというふうに私どもは理解しているということを申し上げさせていただきたいと存ずる次第でございます。
  78. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 一九九一年十二月までの再処理とおっしゃいますが、それまでに我が国核燃料の燃焼度は、メガワットでトン当たり大体どうなりますか。
  79. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  今ほども申しましたように、燃焼度につきましては突然のお問い合わせでありますので、手元にデータを持っておりませんけれども、繰り返し申しますように、普通の典型的な軽水炉の燃焼度ということであることをぜひ御理解賜りたいと存ずる次第でございます。
  80. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 こんな数字は、専門家がそこに来ておるなら、課長あたりすぐわかりそうなものだけれども、どうなんですか。担当課長、専門家が来ておるなら、ちょっと説明しなさいよ。
  81. 坂田説明員(坂田東一)

    ○坂田説明員 ただいま局長から御答弁申し上げましたとおり、今回持って帰ってまいります輸送中のプルトニウムの組成につきましては、これは動燃事業団あるいは電気事業連合会にも確認をして今御説明したとおりでございます。  他方、先生が御質問なさいました、もとになった使用済み燃料の燃焼度、これにつきましては、率直に申し上げまして、きょう現在私自身もデータを入手しておりませんので、別途確認をさしていただきたいと思います。
  82. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 まあデータが今ないと言うのから、それはひとつ確認して、後で出していただ勇たい。これはちょっと委員長から諮ってくだ弐い。資料はきちっと提出をいただきたい。
  83. 近岡委員長(近岡理一郎)

    近岡委員長 理事会で相談します。
  84. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 それでは、私も組成の問題を出せば、これは皆さん勉強しているのだから燃焼度ぐらいはちゃんと調べているだろうと思ったのですが、それを予告していなかったのですから、今資料がないと言われればこれはやむを得ないと思うのです。  IPSNというのはフランス政府の核防護安全研究所、ここがこの間発表したわけですね、いろいろな日本のデータを。その中で、大体基準としてプルトニウム239の割合によって、いわゆる燃焼度によってプルトニウム239がいろいろ数字が変わる。若い燃焼度、燃焼する時間が短ければプルトニウム239はたくさんあるし、それからこれが長時間燃焼すれば当然プルトニウム239は少なくなっていく、大筋はそういうことですね。  そこで、この一覧表があるのですが、239の割合、二万五千メガワットデーで七一%、三万メガワットで六八%、三万五千で六五、四万で六二と大体修正、これはある程度八年とか十年ぐらいキャスクが向こうに置かれておるんじゃないかという点も修正した数字だと思うのですね。これは、私もラアーグは三年ほど前に見に行って、日本の原発の東海あるいは大飯であるとか美浜であるとか敦賀とか、そういうのは名前がついたキャスクがずらっと外に並んでいるのを見てきました。だから、何年間か放置されてある、そこらを若干修正した数字がこれは出ておりますが、これからすると、この六二ないし三というのは三万五千から四万メガワットデーぐらいに該当することになるのですね、この燃焼度を逆算すると。日本の一般的な今までの燃焼度というのはもう少し若い、早目にやっておったと思うのですが、こんな数字なのか。私は大体三万以下、二万五千から三万というところに燃焼度はあると思うのですが、日本の今までの燃焼度はこれは大体わかるのでしょうか、どうなんですか。
  85. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  日本の燃焼度もさまざまでございますけれども、今先生が組成比との関係でおっしゃいました燃焼度よりも、基本的に我が国におきます典型的なものの燃焼度は若干少ないことが多いというふうに認識しておるところでございます。ただ、我が国の燃焼度の場合、いろいろ確かにございます。二万数千あるいは三万、それぞれ燃やし方によって違うわけでございますけれども、我が国の燃焼度はどちらかといいますとそれより少な目ということであるかもしれないと思っておるところでございます。
  86. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 三万以上の燃焼度は、私は聞いた範囲ではまだ聞いていないのですが、二万五千から三万メガワットデー・トン当たりというのが大体日本の燃焼度と思われる。そうすれば、プルトニウム239の組成は大体六八%前後ですね。六八から七〇前後の数字が当然考えられるのですが、どうも今運ばれている。プルトニウムは、日本使用済み燃料処理したものならばもっとこの数字が違うはずですね。この数値から推すと、これは必ずしも日本の発電所で使った使用済み燃料とは言いがたいという推理が成り立つのですが、これについていかがですか。
  87. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  コジェマの再処理工場、これはUP3等でございますが、ここにおきましては、我が国以外の国の使用済み燃料処理しておるところでございまして、実際再処理の操業の様子を見ますに、物理的に我が国プルトニウムが他の国、または他の電力会社の使用済み燃料から回収されますプルトニウムとまさに工程の都合上まざるということはあり得ると承知しておるところでございます。したがいまして、今回輸送中のプルトニウムも、実際は日本以外の国を含む複数の電力会社の使用済み燃料から回収されたプルトニウムがまざっておることも考えられるわけでございます。  ただ、このような場合でも、回収されましたプルトニウムは再処理依頼分と等量のものが配分されるということになっておるわけでございまして、この点は我が国を初めといたします各国の顧客、これは電力会社、電気事業者であるわけでございますが、顧客とコジェマの間で合意されておりまして、また、このようなやり方は国際原子力機関によります保障措置上も問題ないものというふうに理解しておるところでございます。
  88. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 今まで我が国処理は、海外でやる場合にキャスクごとにちゃんと処理をされておるというふうに聞いておったのですが、今の御答弁ではそうではない。もうどんぶり勘定になつて、どこのかわからぬ、一定量だけは持ち帰る、端的にはこういうことですか。
  89. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  私も、ラアーグにおきます具体的な再処理の工程のあり方につきましてはつまびらかにはいたしておりません。ただ、各国使用済み燃料を全部一緒にごつたまぜにしてどんぶり勘定でやっておるかというと、そういうものでもないと思いますが、ただ全体、再処理の工程が流れていくというそういう工程もあるわけでございますので、そういう工程の姿から見まして、ほかのものとまぜることはあり得るということを申し上げたわけでございます。
  90. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 アメリカのCIAの文書「フランス原子炉燃料処理計画、情報の分析」というのが一九八四年の九月に出ておるのですが、このアメリカのCIAの資料によると、「(アメリカの)国務省の報告の示すところでは、フランスは民事用の天然ウラン燃料原子炉ないし高速増殖炉を核兵器級のプルトニウム需要を満たすために用いるというオプションを保持している」。該当する天然ウラン燃料原子炉は過去数年停止しているが、一方、高速増殖炉は、そのブランケット部分で高純度の核兵器級プルトニウムをつくり出す。CIA文書はさらに続けて次のように述べている。「フランスは、すでに高速増殖原型炉フェニックスを用いて核兵器級。プルトニウム製造している。」こういうように述べられておるのですが、今のお話を聞くと、日本のは日本として必ずしも処理されてない、どんぶり勘定といいますか、まざっている。  こうなると高速増殖炉は、特にフェニックス等は、ブランケット部分でかなり高いプルトニウムが生成される。そういう意味で純度は割と高い、こう言われておるのですが、そのいわゆるフェニックス等に使われるところの核燃料というものが、もし日本から持ち出した固形使用済み燃料がどんぶりの中で処理をされて、そういうものがフランスのフェニックス等に使われて、それが核兵器の原料に使われるとするならば、我が国の非核三原則との関係において抵触するところはないのかどうか、この見解をちょっと伺いたい。
  91. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答えを申し上げます。  我が国使用済み燃料を再処理いたします、その再処理の近傍で再処理されました使用済み燃料から出ましたプルトニウムがフェニックスに使われておるかどうかにつきましては、これまたつまびらかにしないところであるわけでございます。  ただし、我が国電気事業者フランスの再処理事業者との再処理役務契約でございますが、これは日本フランスとの間の原子力協定第一条第一項(b)でございますが、これに基づいて締結されているものでございまして、この協定の二条に従いまして、我が国使用済み燃料から回収されますプルトニウムは、平和の目的で、非爆発の目的にのみ使用されることになっておることは御承知のとおりでございます。この点はまさにフランス政府我が国に対する国際約束であるわけでございます。  また、我が国からフランスに移転されます使用済み燃料に含まれますプルトニウム等につきましては、国際原子力機関の保障措置が適用されておるわけでございまして、平和利用が担保されているということでございまして、国際的にも問題ないものというふうに理解しておるところでございます。
  92. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 いろいろな保障措置は当然あろうし、我が国が持ち帰ったプルトニウム平和利用に限定される、これは当然そうなくてはならないと思いますが、ただ日本使用済み燃料もほかから、例えばドイツから入ったものも一緒になって、あの状況の中では大きな溶解槽で溶かして分離をする、こうすれば日本の持ち込んだものが、それはプールされた中でフランスのフェニックス等、今言った軍事的な用途にも使われているという懸念があるのですね。こういう点はここでひとつ指摘をしておいて、もう少し私も勉強した上でさらに論議をしたいと思います。大事な問題であるということを指摘をしておきたいと思いますが、ちょっと長官、感想はいかがですか。
  93. 谷川国務大臣(谷川寛三)

    谷川国務大臣 今局長からもお答え申し上げましたが、日本からフランスに移転されました使用済み燃料に含まれるプルトニウムにつきましては、IAEAの保障措置が適用されておりまして、平和利用が担保されておることなどによりまして国際的には問題ないと考えております。
  94. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 非常に大事な問題であるということを重ねて指摘をしておきたいと思います。  それから、先ほど私が何点か申し上げましたが、今回のプルトニウム安全輸送にかかわる資料について、当委員会に資料を全部提出をいただきたい。いかがですか。
  95. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  安全性に関します資料につきましては、先生先ほど出し方がいろいろとおっしゃいましたけれども、これにつきましては、私どもフランスが出して出したものとおっしゃるものにつきましては、これはごく内々にいろいろな見当をつけるためのケーススタディー等をやっておったものがたまたま出たということで対応させていただいた、我が国でも対応させていただいたというものもあることを御理解賜りたいと思うわけでございます。  それで、現に今先生おっしゃいました今回輸送安全性に関します資料につきましては、これまでも出させていただいておるところでございまして、必要に応じまして先生の御指示により提出させていただきたいと存ずるわけでございます。
  96. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 いや、必要に応じてじゃなしに、それは今必要なんだ、これだけ言っているのですから。だから、現在ある安全輸送にかかわる資料を提出していただきたい。委員長、これは政府答弁ができなければ、理事会で検討いただきたいのです。いずれか。
  97. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  今回のプルトニウム輸送にかかわります安全情報というのは非常に広範囲でありますので、ここでひとつ断らせていただきたいと思います。  輸送容器の安全審査にかかわります資料につきましては、先ほども申し上げましたが、商業機密にかかわるようなもの、あるいは核不拡散にかかわるようなもの、核物質防護にかかわりますようなものを除きまして、公開させていただきたいと思います。ただ、御承知のようにこの容器はフランスのコジェマのものでございますので、そういった部分を除く作業を今進めているところでございますので、その点も御理解いただきたいと思います。これは容器についてでございます。
  98. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 それならば、深海に容器が投棄をされた、放棄といいますか、今沈んで引き上げることができないというときに拡散するというような資料が出ていますね。そういうものも含めて公開されるのですね。念のために聞きたい。
  99. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  深海に沈んだ場合、これは現実に沈むと私ども認識しているわけではございません。全く仮定の問題として、その場合にどうなるかということをやりましたケース・スタディーにつきましては、今の先生のお言葉に従い、提出させていただく用意はあることを申し上げさせていただきます。
  100. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 きょうは理事長に出席をいただいたので、このプルトニウムの長期利用計画について論議をしたいと思ったのですが、余り時間がなくなってしまったので、はしょって少しお尋ねをして、そしてまた機会を改めて時間をかけたいと思います。  あと十分ほどの時間でありますが、FBRについてはアメリカイギリスフランスドイツと皆撤退をしております。それからイギリスの、いわゆる欧州のFBRも過日撤退声明をして、来年三月からはもう予算を凍結する、出さない、このようにしております。そうしますと、ソ連の方はどうかはまだ定かではないのですが、FBR、高速増殖炉は全部撤退の声明をやっている。こういう中で、我が国はなお従来の原子力政策、言うならばプルトニウム中心にした政策を進めようとしているのですね。その中で、動燃の場合は「もんじゅ」を将来、高速増殖をやめて燃焼専用に二〇〇〇年以降は切りかえることを考えている、こういうことは過去、福井の方の記者会見でも新聞にも出ておるのでありますが、それについてどういうふうに考えていらっしゃるのか、なぜそうお考えなのか、そこらを理事長にお尋ねしたい。
  101. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 お答え申し上げます。  各国の事情につきましては、ただいま先生から要点を御紹介いただきまして、そういうことを踏まえて、特に「もんじゅ」を中心日本の路線をどう考えているのか、こういう御質問かと存じます。  まず、各国ともいろいろな判断をされたわけでありますが、その基本になっている問題というのは、高速増殖炉実用化時期の判断が基本であると思っております。現在、二〇三〇年ごろの実用化ということが一応定着しているわけでございますが、約四十年先ということになります。そうしますと、その期間をどういう路線を歩むのかということが、各国の判断の大きな基準になっているように思うわけでございます。それで、ある国は今いろいろな事情でしばらく休んで、また必要なときに起き上がるかというようなことも考えているやにも思えるわけでございますが、基本的には、二〇三〇年であるかどうかは別にして、いずれ高速炉というものが現在の軽水炉路線のその先にあるべきだという考え方は変わっていないように思うわけであります。もちろん、日本はそうでございます。また米国においても、新型の液体金属冷却高速炉といった開発を、まだ基礎的な段階でございますが進めているということがございます。フランスは、現在いろいろ問題を抱えておりますが、この路線をできれば守っていきたいという考えをとっているわけでございます。  そういうことでございますので、私ども「もんじゅ」は、フランスのフェニックスに比べまして二十年おくれてやっと設備が完成したということでございますけれども、この二十年間遅々として歩んできて今日に至った、今後も一歩一歩進めでまいりたい、何も突出したとかなんとかいうことではなしに、きちんと開発の歩みを進めてまいりたいと思っております。現在、おかげさまで完成いたしました「もんじゅ」は高速増殖炉原型炉として建設を進めてきたわけでございますので、まず増殖路線というその技術の習得に努めたい。それが我々の計画では、大体平成十二年度までで一応第一段階が終わるということでございま一て、ちょうど紀元二〇〇〇年になるわけであります。  一方、昨年八月に原子力委員会がお取りまとめになりました日本プルトニウムのバランスと申しますか、大体二〇一〇年ぐらいまでの数字を取りまとめてみると、そこで大体バランスしておるということでございまして、日本としては、対校的な配慮も含めて、余分なプルトニウムを国内に持つことはしないようにするという基本路線が二こにうたわれているわけでございます。そうしますと、二〇〇〇年時点で、「もんじゅ」はまだ高油炉でございますから、そういう大きな役割は果たさないにしろ、プルトニウムをふやしていくということに専念する必要はなさそうだというふうに判断しているわけでございます。  一方、高速炉というのは、非常に幅の広い技知的な可能性を持った炉でございますので、二〇〇〇年ぐらいまでに大体増殖をする技術は習得できるであろう。その先は、そのときの情勢によって研究の焦点が変わるかもしれないということを私考えておりまして、ふやさないでこの高速炉の特徴を十分生かす方法はあるか、あるいは場合によっては少し減らす方向でそれを運転していく技術的な研究が必要ではないのかというようなことを考えまして、二〇〇〇年以降は増殖ということにこだわらずに、より広いテーマを設定して、せっかくつくっていただきましたこの「もんじゅ」という原型炉を十二分に活用してまいりたい、こういう考え方を申し上げている次第でございます。  先日福井で、非常に短時間でございまして意を尽くさなかったのでございますが、そういう趣旨のこともお話ししたということは事実でございます。
  102. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 五分間で論議するには余りにも時間がないので、まず要点をちょっと伺っておきたいのですが、私はFBRには賛成ではありませんが、FBRを、高速炉を動かすとすれば、これはプルトニウムを使って増殖するというところに意味がある。日本エネルギー自前論もそこに基づいていますね。ところが、そういう観点からいえば、貴重な資源であるプルトニウムを増殖してこそ意味があるのであって、それを余って困るから、これは余分を持っておってはいかぬというので早々と専用で燃やしてしまうというのは、本来のプルトニウム考えていくFBRの路線からいえば極めて矛盾した流れになるのではないかと思うのですね。  それから、プルサーマルも同じであって、これは政府の方から答弁いただきますが、五十トンというプルトニウムを、それは純軍事用に比べれば純度は低いですね。しかし、アメリカの方でも、八キロのプルトニウムがあれば一発の原爆ができる、十二キロか最大限十五キロあれば発電所から出るのだって可能である、こういうようなデータも示している。そんな中で五十トンという膨大なプルトニウムを、再処理して出てくるから、これを余分を持っておると批判を受けるからどこかに使うことがないか、こういうことでプルサーマルに、軽水炉に、プルトニウムがまじれば扱いにくくなるし、コストが高くなるというのは明らかですね。そんな中に五十トンもの膨大なプルトニウムを使っていく。  これもプルトニウムを本当にFBRで生かしていこうという観点からすれば、ある意味ではむだな使い方というか無理な使い方になるのですね。そんなことを、無理にプルトニウムを専用炉で燃やしたり、あるいはプルサーマルで批判を受けながら無理なことをしなくても、最小限に再処理を抑えて、それが資源であるならば水のプールにソ連やアメリカのようにつけておいて、三十年後ぐらいに、将来資源として生かし得る道があるならば活用するということを考えてもいいのではないか。また今動燃が、この間も新聞で見ましたが、プルトニウムと再処理過程でTRU、いわゆる超ウラン元素ですね、これを一緒にまぜて取り出すというようなことも十五年、二十年かかれば開発したい、こう言っておるのですね。そういうものがもし将来開発されるとすれば、違った形になっていくのじゃないか。  ちょっとこの前も申し上げたが、私もウィーンでローゼン原子力部長なんかとも何回か会ったときに、各国には二つの大きな再処理の道があって、一つはフランスイギリス日本のように再処理をする道、もう一つはアメリカやソ連のように水につけて長期、三十年ぐらい様子を見る。それからどうするか。ある意味では将来の資源のためにそれを保管しておく、こういう考え方もあるということを聞きましたが、そういう点で三十年もすればまたプルトニウムの取り出し方、今言った超ウラン元素をずっと組み合わせてやれば軍事的に転用できないというような可能性も生まれてくる。そういう時間をかけてもいいのであって、そんな無理な再処理をやってそれでもてあます、ウランは非常に貴重な将来の資源であると言いながら、むざむざとどんどん専用で燃やす、こういうことは非常に矛盾があるのではないか。  そういう点で、この原子力政策の基本であるプルトニウム長期利用計画は再検討の余地があると思いますが、ちょうど今長期計画を論議されている過程でありますから、十分私は考えてもらいたいと思うのですが、これを数字を挙げていろいろ論議を詰める時間的余裕はありませんから、ひとつ理事長とそれから長官政府の方から二点伺って、終わりたいと思います。以上です。
  103. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 簡潔にお答えさせていただきます。  FBRとして建設したんだから、ふやさないあるいは減らすというのは矛盾ではないかということを御指摘でございます。我々、研究開発の機械として「もんじゅ」を考えておりますので、やはり幅広いいろいろなケースに対応できる技術開発しておきたいという考え方でおりますということをぜひ御理解賜りたいと存じます。もちろん、FBR、本来のふやす技術は今世紀をかけてきちんと習得をしたいと思っております。  それから二番目の点でございますが、これは政策に係りますことなので発言を差し控えさせていただきたいと存じますが、恐らく今度の長計の議論で全体のバランスというのも現実に従って見直されていくのではないかと思っております。
  104. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 大臣お答えに先立ちまして、若干整理させていただきます。  今理事長からお話のございましたように、現在の長期計画でどうするかということでございます。これは先ほども申し上げましたように、長期計画の専門部会の各委員に鋭意審議をお願いしているところでございまして、審議はいろいろなことについて尽くしていただくということであるわけでございます。したがいまして、より現実を見据えた格好のバランスということも当然議論にはなろうかと思うわけでございます。  なお、先ほどおっしゃいましたワンススルー路線、サイクル路線ということもあるわけでございますけれども、恐らくこれも長期計画での御議論ということになるわけではございますけれども、恐らく我が国エネルギー資源の実態等から見まして、我が国は再処理路線を堅持していくという方向が、恐らく今の長期計画の議論でも既にそれを堅持していく、そういう方向であろうかと思うわけでございます。  ただ、全体、我が国の長期的なあり方につきすしては、関係の学識経験者に十分御審議を尽くしていただく、そういうつもりで準備的にはおるわけでございます。
  105. 谷川国務大臣(谷川寛三)

    谷川国務大臣 先ほど来私もお答え申し上げ、また理事長からもお答えしておりますが、ウラン資源の効率的利用を図ることによりまして、原子力発電供給安定性を高めていく、長期的な電力安定供給を確たるものにする、そういうこととともに幅広く技術開発を進めまして、世界エネルギー供給にも貢献してまいる。こういうことでただいまのところ、今のプルトニウム利用基本方針を変えるつもりはありませんが、今局長からお答えしましたように、来年の秋ごろになりましようか、六十二年に策定されました原子力平和利用の長期計画を改定しなければならぬと思って、専門家、それから学識経験者、それから電気関係の事業者等も入れまして検討してもらっております。そういう意見も伺いまして、長期的な基本方針を決めることになろうかと思っております。  ただいまのところは、申し上げたような方針でまいりたいと思います。
  106. 辻(一)委員(辻一彦)

    ○辻(一)委員 これで終わりますが、なお長期計画等についてはまた別の機会に十分論議をしたいと思います。終わります。
  107. 近岡委員長(近岡理一郎)

    近岡委員長 川島實君。
  108. 川島委員(川島實)

    川島委員 現在までにプルトニウム問題についてはいろいろと議論がされてきたわけでございますが、お話を聞いておりましてまだ幾つかの点で私の理解が得られない点がございますので、その辺のところを踏まえて御質問をしていきたいと思うわけでございます。  まず一つは、今回のプルトニウム輸送について、なぜこれほどまでに世界各国反対意見か出してきておるのか。過去においても、一九七〇年代の五年間二百キロほどのプルトニウムを英国から空輸されておりますし、一九八四年にはフランスから約二百五十キロが海上輸送されているわけでございますが、こうした世界各国反対の世論について政府はどのように受けとめておるのか、まずもってお伺いをしておきたいと思います。
  109. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  今回の輸送安全性につきましては、今おっしゃいましたように関係各国懸念を表明した国があるということは、私ども十分承知しておるわけでございます。これにつきましては、確かに非常に不正確な情報が流布されておったり、あるいは必ずしも事実に基づかない、そういう資料をもとに輸送の危険性が過大に言われるということもかような結果になったものと思っておるわけでございます。したがいまして、各国の疑問や懸念あるいは関係国々のメディアの報道等につきましては、この輸送目的とか安全性とかあるいは核不拡散の問題、ひいては日本プルトニウム平和利用計画等につきまして多くの誤解等が見受けられる場合もございましたので、私どもといたしましては、在外公館を通じ、また必要に応じまして専門家を派遣するということなどをいたしまして、今回の輸送の実態につきまして御説明の意を尽くしてきたところでございます。
  110. 川島委員(川島實)

    川島委員 それでは、各国が各ルートで反対しているわけでございますが、何カ国がこの問題について反対の表明をし、日本政府はそれらの反対意見についてどのような形で各国理解を得るように努力をしてきたのか、具体的にひとつお答えをいただきたいと思います。
  111. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  何カ国がどういう格好で反対したか、あるいは懸念の意を表明したかということにつきまして、具体的な数字を挙げて今お答え申し上げますのは極めて難しいことであることは御了解賜れるところであろうかと思うわけでございます。  ただ、例えば南太平洋の国々等の集まりにおきましても、私どもからいろいろな専門家が行くとか、あるいはブラジル、アルゼンチン、チリ等に対しましては、そこに控えております私どもの核燃料課長、坂田課長が行きまして説明を申し上げるとか、あるいは基本的にはそれぞれの国にございます在外公館を通じまして、各種の資料で、先ほど申しましたように今般の輸送計画の意義、必要性、特に一番大事なことは安全性でございますが、それにつきまして懸命に説明してきたところでございます。もちろん、このような懸念はなかなか払拭しがたいところもあろうかと思いますけれども、私ども説明の実も上がったもの、かように認識しておるところでございます。
  112. 川島委員(川島實)

    川島委員 時代が私は非常に変化をしてきている。それは各国とも今地球規模の環境問題が問われておりまして、これほどまでに各国反対の意向を表明しているわけですが、我が国各国理解をさせた、こういう認識が誤っているんじゃないかと私は思うわけですが、おのおのの反対した国で認識を見直した、反対意見を引っ込めたという国は何カ国あるわけですか。
  113. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 これにつきましても、具体的な国数を申し上げるのは極めて難しいところがございますけれども、先ほど申しましたように坂田核燃料課長が、例えば南アメリカ諸国に今ほど申しましたように行きましていろいろな御説明を申し上げ、それにもいろいろなリアクションがあるわけですので、坂田課長の方から具体的に申し上げさせていただきます。
  114. 坂田説明員(坂田東一)

    ○坂田説明員 私が直接参りました範囲でまずお答え申し上げますならば、私は南米の三カ国、ブラジル、アルゼンチンそれからチリに参りまして、先ほど局長から説明がございましたとおり、その時点で作成をいたしましたいろいろな英文資料をもとに、我が国のこの輸送計画目的、経緯あるいは安全対策等々について説明したわけでございます。  例えばアルゼンチンでございますけれども、アルゼンチンにつきましては、同国の外務大臣がこの輸送船については領海の中に入ってきてもらいたぐないということを公にしたことは事実でございますけれども、一方で私が説明に参りましたアルゼンチン原子力委員会は、技術的観点からこの輸送は完全に安全である旨十月末に公にしているところでございます。この点も、私どもが説明に参った成果であろうかと存じております。  また、南太平洋の島々でございますけれども、ここは十五カ国から成ります南太平洋フォーラムというものが形成されてございますけれども、ここに対しましても私どもの担当官あるいは動燃事業団専門家が参りまして、本件について御議論があったときにいろいろ技術的な観点から御説明を申し上げました。その結果、私どもの理解では、南太平洋フォーラム十五カ国のコンセンサスといたしましては、決してこの輸送反対ではない。十五カ国のコンセンサスは、まず第一点としては、この輸送について国際的に最も高い安全性輸送をしていただきたいという御注文がございます。この点は、まさにそのとおり現在実施をしている段階でございます。  さらにもう一点は、この輸送について追加的な情報を適宜もらいたいということでございましたが、これにつきましても、先ほど担当官が参りました後、私自身もさらに改めて参りまして、追加的な技術的な説明等を申し上げたところでございまして、その後本件についての御照会もなく、私どもといたしましてはそれなりの御理解を進めていただいているというぐあいに考えております。  その他の事例もございますが、とりあえず私どもが各国説明、情報提供の努力をした点について、二つの事例を申し上げたところでございます。
  115. 川島委員(川島實)

    川島委員 努力の事柄については一部わかりましたけれども、それでは通過をする沿岸各国がこれほどまでに反対をしている理由というのは、今まで過去にもずっと輸送をしてきてこういう声は上がってなかったわけですから、この理由はどういうふうに、なぜ反対をしているのかと受けとめて、その対策はこうやったから解決したんだ、こういうふうなひとつわかりやすい言葉でおっしゃっていただけませんか。
  116. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  いろいろな方々が、あるいはいろいろな国の方々が本件輸送に関しまして懸念の意を表明されておられるということにつきましては、その理由とするものは、まずこの輸送安全性ということにあろうと思うわけでございます。そのプルトニウム輸送安全性につきましては、この席でもこれまでに申し上げてきましたように、安全性に万全の配慮を払いながら輸送するものであるということを今坂田核燃料課長が申し上げましたようないろいろな機会をつかまえて御説明申し上げまして、その結果御理解が進んでおるというところと認識しておるわけでございます。  しかし、先生、これまでもいろいろな輸送が行われておるけれども、それとの対比においてどうかという御質問もございました。これまでプルトニウムは昭和五十九年の二百キログラム弱という輸送もあるわけでございますけれども、今回の輸送は一トンという、量としては確かに多いということもあるわけでございます。  そういう多い量のプルトニウムを安全に運べるかということであるわけでございますが、これにつきましてはそうできるということ。それからあと、これまで同様の船で運んでおります使用済み燃料につきましては、これは分離されておるプルトニウムでないわけでございます。そういうところから、今回非常に多量のプルトニウム輸送する、国際輸送する、海上輸送するというところから安全性に関する御懸念がまず生じ、それからもちろん核物質盗取に対します防護という観点からもいろいろ御懸念があったわけでございますが、これにつきましても私どもはアメリカあるいはフランスと万全の協議を進めてきて、それに基づき実施しているところでございます。そういう内応を懇切丁寧に御説明申し上げまして、御理解を賜りつつある、かように認識しておるところでございます。
  117. 川島委員(川島實)

    川島委員 今までの話を聞いておりますと、アメリカフランスの領海だけで従来の五年間での二百キロの輸送、今まで行ってきた輸送、それから一九八四年のフランス関係の二百五十キロですか、こういうような形から大幅に一トンもの量が大量に運ばれるということについて、今までは地球環境の問題がそれほどまでに関心が各国になかったものが、これほどまでに大量に日本が運ぶ、そういう国際世論の理解を得ぬままに四倍にもわたる量を一気に運ぶ。なぜ従来のように小分けにして何回も各国理解を得られる範囲で運ぶことができなかったのかという疑問もわくわけでございますが、その辺のことについてはどうですか。
  118. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  確かに、今ほど御説明申し上げましたように、大量のプルトニウムということはそういう御懸念を発生する一つのもとになったことはあるかもしれませんけれども、しからば二百数十キロであれば全く懸念がなく、一トンであれば懸念が発生するかというと、そうでもないと思われるわけでございます。特に輸送の姿を見た場合、核物質防護の観点等々も踏まえまして、少量輸送を何回もやるのがいいのか、量をまとめてやるのがいいのか、どの程度の量をどうまとめるかということにつきましては、全体これまた最も核物質防護の実を上げながら、なおかつ安全性確保していくという観点でどれがいいかということを考えるべきであろうかと思うわけでございます。そういう観点から今回は一トンの輸送になったということにつきまして、御理解を賜りたいと存ずる次第でございます。
  119. 川島委員(川島實)

    川島委員 我々が考えてみましても、これはやはり四倍もの変化をすることというのは大変な理解を求めてから行わなければいけないこと、それが我が国の秘密主義がこういう形になったのではなかろうか、こう思うわけでございまして、特に反対をする、各国プルトニウム反対の中の声で、私どもこれはやはり耳を傾けなければならないなという声が実はあるわけでございます。  それはハワイ州の知事の言葉でございますけれども、例えばアメリカの国の中で輸送がされる場合でも、多くの対策について関係の州に事前の打ち合わせがある。日本は一切打ち合わせをしてくれない。だから次の点について議会できちっと述べているわけでございますが、一つは、今回の輸送に関して、人間、動物、環境一般の保護をするための安全の配慮が少ない、こういうふうに知事は言っているわけでございまして、日本はデロリストの行動に対処する形での注意に向けられておる余りに、関係諸国の我々の海が島に住むすべての人々を結びつける場所であり、食糧を提供し生活を支えてくれるものだということを理解していない。この輸送は秘密に包まれ、ハワイが緊急寄港に利用されるかもしれない、こういう気持ちがあるにもかかわらず、そういうことについてもきちっと理解を求めてきていない。我が国の放射性物質がアメリカ大陸を輸送される場合でも、きちっと情報提供もあるし、事前の指導だとか手続だとかそういうものはきちっとなされておるわけでございますから、そういう常識の線に沿ってきちっとやってもらいたい、こういうふうに実は言っているわけでございます。  そこで、五つの問題を具体的にハワイ州知事が言っております。一つは、輸送計画環境影響評価が不十分である。二つ目は、輸送容器安全性を第三者の機関でテストを受けていない。三つ目が、船がハワイ州の領海を通過する場合でもハワイやほかの地区管区に通知をする、そういう規定がない。四つ目は、ハワイやほかの太平洋の島々が緊急避難場所、緊急寄港として指定されているのかどうかもわかりませんし、どんな条件でこれらの場所が求められているのか、それも明確でない。五つ目は、何か起きたとき通知するというつもりではなく、あらかじめそのための地元の要員の訓練は、アメリカ合衆国が行っている、そういう並みにきちっとやってもらいたい。こういうふうなことを実は述べているわけでございますが、これに対してどのような見解をお持ちか、お伺いをしておきたいと思います。
  120. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  先生の五つの質問、多岐にわたりますが、そのうちの第三者機関によるテストの件につきましてお答えさせていただきます。  核燃料物質の輸送に関しましては、国際基準といたしまして、国際原子力機関において世界からの専門家を集めまして、放射性物質安全輸送規則というのが定められております。この基準の妥当性は広く世界じゅうに認識されております。各国ともこの規則に基づきまして輸送の安全規制を実施しておりまして、今回のプルトニウム輸送輸送容器につきましても、発送国及び受け入れ国による設計の承認が必要とされているところでございます。これを受けまして日仏両国の規制当局、日本の場合は私ども科学技術庁でございますが、ここにおきまして当該容器について厳正に審査し、設計の承認をしたところであります。またこれに加えまして、両国規制当局が輸送に際しまして、実際に輸送される輸送物が基準に適合していることについて確認しております。  このように日仏両国の規制当局によります規制によりまして、輸送容器安全性は十分確保されております。先生御指摘の第三者によるテストと申しますのは、輸送容器安全性を十分確認しろということであるかと思いますが、この目的はこのようなことで十分達成されていると考えております。
  121. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 残余の点につきまして、整理しながらお答えさせていただきたいと思います。  今先生御指摘の、単にテロリスト対策だけではなくて、海に生活する人たちあるいは生物等々につきまして当然十分な安全性を確立しながらやるべきこと、これはもう本当にそのとおりでございまして、私どもも本件輸送に際しましては、まさにそれに十分意を用いてきたつもりであるわけでございます。  それで、先生おっしゃいましたようにハワイの州知事さん、いろいろそういうことをおっしゃっておられたということもあるわけでございますので、それに対応いたしまして、ことしの九月と記憶いたすわけでございますが、外務省の科学技術審議官と動燃専門家等がハワイに参りまして、いろいろな御説明をじかに申し上げたところであるわけでございます。それでハワイの方々の御理解も増進したというぐあいに認識しておるわけでございます。  環境に対する影響の調査でございますけれども、これにつきましては先ほどるる御説明申し上げましたようなことで、基本的には船が沈むことのないような、そういう方法で輸送しようということでやっておるということにつきましては申し上げたとおりでございます。ただし、別にこれは全くケーススタディーとしてではございますけれども、環境影響のケーススタディーを、これはかなり安全サイドに寄った格好でやった結果を見すしても、少なくとも放射線ということでは人体に全く有意な影響を与えないということを我々としましては確認、認識しておるところであるわけでございます。  それから、ハワイ州の領海を通過する場合、州に通知する義務が必ずしもはっきりしないということであるわけでございますが、これにつきましては、これはあくまで一般論でございますけれども、一般論といたしまして、仮にハワイを含む米国の領海を通過するような場合は、米国政府への事前連絡等はこれは必要であると考えるわけでございますけれども、我々が米政府とコンタクトし、それから米政府アメリカ国内の各州とはどういうふうに関係するかということは、むしろアメリカの中の問題というふうに認識しておるわけでございます。ただ、これにつきましては、今回の輸送では原則として、これは前に申しましたように、いずれの国の領海にも入ることは考えていないということでございまして、領海外をできろだけ離れて航行するということにいたしておるところは、御承知のとおりであるわけでございます。  それから、ハワイかほかの太平洋諸国が緊急時に寄港先として指定されているかどうか判明していないという、そういう御指摘ということであるわけでございますが、これも御承知のとおりに、今回のフランスからの日本への返還輸送につきましては、原則として無寄港ということで考えておりまして、あらかじめどこかの港に寄港するということは想定していないところでございます。また今回の輸送に当たりまして、何らかの原因による緊急の入港の場合を想定し、その一般的手続は私ども内々決めておるわけでございますが、具体的な寄港先は一切指定していないということも御了解賜りたいと思うわけでございます。  それから、万が一の事故発生に備えて、州に対する通知あるいは州の適切な部署の訓練が計画されていないという御指摘ということでございますが、この輸送につきましては、先ほど申しましたようなそういう格好で、基本的にはいかなる第三国にも御迷惑をおかけしないということで準備を進めてきておるということでございまして、なおかつ、その内容がそれだけのものになっておるということも、アメリカ政府も確認しておるというものであると認識しておるわけでございます。したがいまして、この州知事が御指摘になっておるようなことが必要であるとは私ども考えていないところであるわけでございます。  それからさらに、ハワイ州知事さんが、米国の本土内におきまして放射性物資の搬出につきまして情報の提供とかガイドラインとか手続等が決まっておるのに対して、今回のことについては同じようなことを日本も行うべきだという御見解ということでございますが、今回のフランスから我が国への返還輸送に関しますこの計画は、アメリカ政府との間で二年間余りにわたって協議を行ってつくってきたものでございます。この計画の遂行に関連いたしまして、日本政府アメリカ政府との間で一定の、これはしかるべき関係をもちろん維持していくわけでございますけれども、もしも米国内で、州政府との間で何らかの手続等が必要だということになりますれば、それはアメリカの国内問題ということであろうかと思っているわけでございます。  以上含めまして、ハワイの州知事さんに対しましては、繰り返しになりますけれども、外務省の科学技術審議官と動燃専門家が参りましてお目にかかり、御説明申し上げ、私どもも人間生活にもあるいは生物環境にも十分配慮しながら今回の輸送計画しておるということを申し上げ、御理解を賜ったというふうに認識しておるところでございます。
  122. 川島委員(川島實)

    川島委員 日本の認識と情報公開の問題では、フランスが非常に高く評価をされておりまして、我が国の閉鎖性について各国とも非常に不快感を持っている、こういうように私どもは理解をしておるわけでございます。政府が言うように、安全性が求められる中で今回のように安全な輸送船を六十億かけてつくった、こういうふうに報道されているわけですが、これが一回こっきりで廃船にしてしまうというその理由は一体どういうふうなところにあるのかということをまずお伺いをしておきたいと思いますし、さらに、このように他国から批判を受けるような輸送を続けなくて済むような、日本の独自のそういう再処理計画というのはどういうふうに審議されているのかということについても、お伺いをしておきたいと思います。
  123. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  今回の輸送、約六十億という御指摘でございまして、一回で六十億は高過ぎるのではないかということであるわけでございます。ただ、今回のプルトニウム輸送費用でございますが、これは輸送船の運航に要する費用等々含まれておりまして、現段階では輸送が完了しておりませんので、輸送にかかります費用を正確に算出することは極めて困難であることも御認識いただきたいと思うわけでございます。  動燃の予算におきましては、今回の輸送に直接この実施にかかわるということでは、経費といたしまして約十二億円、それから輸送に必要な設備準備費として約五十一億円を計上しておるところでございます。ただ、この約五十一億円は、輸送容器とかコンテナ製作費というようないわば設備のための投資でございまして、動燃が行うであろう次回以降の輸送におきましても繰り返し使用されるというものと考えておるところであるわけでございます。  しからば、いつまでこのような輸送を続けるのかということであるわけでございますが、これまた御承知のように、我が国電気事業者イギリス及びフランスの再処理事業者と再処理契約を締結しておるわけでございます。したがいまして、イギリスフランスの再処理工場で分離されますプルトニウムは、これはまさに我が国プルトニウムであるわけでございます。まさに我が国エネルギー源としてのプルトニウム輸送してくるということであるわけでございまして、これはまさに我が国の仕事として遂行すべきものと思うわけでございます。  しからば、最後の御質問になりますが、こういう外国への再処理委託、これは再処理委託をするからプルトニウム海上輸送があるということになるかとも思うわけでございますが、一体いつまでこういうことをやるのかということであるわけでございます。  それに関する国内の措置でございますが、これにつきましては、動力炉核燃料開発事業団は茨城県の東海村におきまして再処理工場運転しておることは、御承知のとおりでございます。それに続きまして、民間事業者が青森県の六ケ所村におきまして年間処理量八百トンの再処理工場を現在計画中であるわけでございまして、安全審査中であるわけでございます。こうすることによりまして、我が国の国内におきます核燃料サイクルの確立に一歩さらに大きな歩みをしるしていきたいと思うわけでございますが、同時に英仏におきます再処理も無事行われ、なおかつ輸送も安全に遂行していきたい、かように考えておるところでございます。
  124. 川島委員(川島實)

    川島委員 今の答弁では、まだ自給自足が見通しがない、こういうふうに受けとめてもいいわけですか。
  125. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  それぞれの電気事業者イギリスのBNFL、フランスのコジェマと締結いたしました再処理契約の契約、まだございますので、これからも我が国電気事業者原子力発電所のサイドから、イギリス及びフランスには使用済み燃料が送り出されるということになろうかと思うわけでございます。最終的には、なるべく我が国の国内におきまして使用済み燃料を再処理し、プルトニウムを取り出すという努力をしていくということであろうかと思うわけでございますけれども、国際的にプルトニウムを安全に取り扱われる、そういうシステムをつくり上げていくこともまた重要であろうかと認識している次第でございます。
  126. 川島委員(川島實)

    川島委員 アメリカは、今度クリントンに一日二十日に政権がかわるわけでございますが、原子力発電については、安全性の問題を理由に、新韻の原発建設は進めないという方針を実は選挙申出しているわけでございます。そういう中で今回の我が国プルトニウム輸送の問題について、非常に国際的な批判があるということを受けて、IAEAは会議を開いて、この問題について急遽審議をする、こういう方針が出されておるやに聞いておるわけでございますが、先ほどからのいろいろの我々が問題点を提起をすることとは別にして、ここの会議で出された問題について我が国はすべて情報公開を含めて遵守をする、こういう形に私どもはなろうかと思うんですが、それでよろしゅうございますか。
  127. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  今ほど先生御指摘の会議と申しますのは、国際原子力機関、これのブリクス事務局長の名前で召集いたしましたプルトニウムの取り扱い管理問題に関します専門家の、もともとIAEAは非公式な会合、こう言っておったわけでございますが、その会合のことであろうかと存ずるわけでございます。この会合はきのうときよう、国際原子力機関の所在地でありますオーストリアのウィーンにおきまして目下開催されつつあるというそういう状態であるわけでございまして、私どもの方からも白尾調査国際協力課長を派遣いたしまして、会議に備えておるところであるわけでございます。  この会合は、先ほども申しましたように非公式な会合でございまして、プルトニウム利用の現状、それからプルトニウムの貯蔵、利用、処分あるいは輸送に関します政策、あるいはIAEAが世界全体を見ながらプルトニウムを管理していくというような上にどういう役割を果たすかというようなことにつきまして、IAEA事務局とそれから関係国、これはアメリカイギリスフランスそれからロシア、中国、ドイツ日本関係国が非公式にざっくばらんに話し合うという、そういう会合であろうと認識しておるわけでございまして、その意味では、この会合で最終的な方向とか、あるいは位置づけが出されるものとは認識していないわけでございます。  また、我が国といたしましては、このような会合を通じまして、将来の国際的なプルトニウム利用や管理のあり方、あるいはその場合におきます国際原子力機関の事務局や関係国の考え方等を十分聞きまして、将来の我が国プルトニウム利用政策を踏まえながらこの議論には積極的に対応していきたい、かように考えておるところでございます。
  128. 川島委員(川島實)

    川島委員 実は、私四点通告をいたしておりまして、もう時間がございませんので、ちょっとはしょって主なところだけお伺いをしておきたいと思いますが、一つは、環境を守るために審議会が答申をしてきておるわけでございますが、特に今オゾン層の破壊の問題で、フロンガスの禁止を受けての取り組みが早まって各国とも対応がなされてきておるわけでございますけれども、東南アジア諸国の途上国からは、日本環境問題についての取り組みが非常に――技術指導だとかいろいろなそういう部品といいますか設備、そういうものについて環境問題で日本はもうけ過ぎているんではないか、もっと原価なり無償で、環境汚染を抑える装置についてはあらゆる部門で協力をしてもらわなければいかぬという国々の声が実は上がっておるわけでございます。  さらに、国内においてもフロンガスの問題は、今自動車だけ取り上げましても大手のメーカーではいまだにつくっておりますけれども、中小の修理工場やなんかは今はばたっと手に入らないということで非常に困っているわけでございますけれども、科学技術の観点から、こういう代替品の施策についてどのような手当てをしておるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  129. 西出説明員(西出徹雄)

    ○西出説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、オゾン層保護につきましては地球環境問題のトップバッターということで、国際的にはウィーン条約あるいはモントリオール議定書に基づいて規制を進めていくということでございますし、十一月の半ばに開かれましたコペンハーゲンでの第四回の締約国会合で、特定フロンについては削減時期も九六年までに全廃ということで繰り上げられました。  こういう中で、開発途上国に対してどういうふうに協力をしていくかという点が一点ございます。これにつきましては、私ども幾つかの施策を進めているところでございますけれども、一つは、途上国の専門家の方々に日本に来ていただいて、代替のための技術の学習、あるいは実際に我々の進めてまいりました政策についての研修というようなことをやっておりまして、これは毎年各開発途上国からの方に来ていただきまして、平成二年度からJICAの集団研修コースということで指導をしております。  それから、実際にその代替を進めていくという意味では、開発途上国、具体的には例えばことしの三月にタイで、日本アメリカ協力いたしまして、タイの実際の製造業者に対してどういう技術を代替したらいいかということの指導をやっております。これにつきましては、我が国技術的な面でかなり細かいところまでの指導をやっておりますと同時に、国連の中にこのオゾン層保護の開発途上国への支援の基金がございます。基金に対しての活用のための指導というのを我が国協力いたしましてタイにおいて、としやったわけでございますけれども、こういうような開発途上国への技術移転というのを今後とも進めてまいりたいと思っております。  それから中小企業に対しましては、これも私ども脱フロンあるいは省フロンということで、この需要削減をいかに進めていくかということが九六年全廃への非常に大事な課題だと考えております。その意味で、これまで例えば中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫の中で、脱フロンあるいは省フロンの洗浄装置等を導入するのに対して低利の融資制度を設ける、あるいは税制面での優遇措置を講ずるというようなことで、技術的な面ででき上がったものについて早急に代替化あるいは省フロン化という形で対応がうまくとられるような形での施策を講じてきているところでございます。  以上でございます。
  130. 川島委員(川島實)

    川島委員 もう一点。今国連におきましても、我が国はさきのサミットで気象変動条約の締結に賛成をしてないわけでございまして、国内におきましても自動車の排ガス規制の問題が非常に声が上がってきている。電気自動車の導入が、公共団体における導入が非常に少ないんじゃないか。コスト高もあっていろいろ問題があろうかと思うわけですが、神奈川の生協は率先してそういう受け入れをしている。やはり需要がなければつくる方も開発が非常に少ないというのが、我が国の商工の関係の業者の実績じゃないかと思うわけでございますが、そういう研究開発についてもっときちっとやるべきだと思うのですが、その現状はどうなっているのか。  それから、バーゼル条約の関係についても、リサイクルの技術の問題で、ドイツが包装の関係だとか自動車の関係だとか、あらゆるものについで非常に国際的に高く評価をされているのに対して、我が国は非常におくれていると思うのですが、この点についてお伺いをしておきたいと思います。
  131. 斉藤説明員(斉藤照夫)

    斉藤説明員 御説明申し上げます。  電気自動車についての取り組みでございますが、電気自動車は現在、平成三年度末で千三百台でございますが、地方公共団体におきましても一生懸命導入の率先垂範の努力が続けられておりすして、これまで約二百台が地方団体に導入をされておるというところでございます。  また先生御指摘の、生協におきまして共同購入をいたします。その組合員に配送する低公害のトラック、これを開発するためにコープかながわとコープ電動車両開発とが協力しまして、いす父犬んと組みまして現在電気配送トラックを開発いたしまして、実走行テストを横浜で行っておるところでございます。このEV技術検討委員会には環境庁の方の職員も入っておりまして、いろいろ御助言申し上げておるところでございますが、電気自動車、確かに価格の問題、それから需要の問題開発の問題とあるわけでございます。私ど永として、各種の助成措置、税制上の優遇措置等によりましてその推進を図っておるところでございまして、関係省庁とも協力をいたしまして、さらに一層の推進を図りたいと思っております。
  132. 川島委員(川島實)

    川島委員 時間がございませんので一点だけ、文部省がお見えになっておりますので。  実は、英国の科学誌の「ネーチャー」が日本特集を発行いたしまして、幾つかの問題について批判といいますか提言といいますか、そういうことを行っておるわけでございますが、この中で日本の大学制度の問題について幾つか指摘をしておるわけでございます。これをどう受けとめておるのかお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  133. 工藤説明員(工藤智規)

    工藤説明員 お答えいたします。  「ネーチャー」は、私どもも拝読させていただきましたけれども、いろいろなことを指摘してございます。私どもの感想だけではなくて、大学の先生方何人かの御感想も承りますと、御指摘の趣旨、一面事実といいましょうか、なかなか的をついている部分もありますけれども、他方、一面的過ぎるのではないかという御指摘なり御感想もあるところでございます。  ただ、いろいろ言われているところにつきましては、私どもも謙虚に受けとめておりまして、特に日本の学術研究がこれから国際的な役割を果たすためにももっと充実しなければいけないという課題につきましては、既に各方面からも指摘されているところでございまして、そのための大学の組織運営の活性化という問題について大学審議会でも目下検討中でございますし、また私どもも、予算の上で研究費、それから設備費施設費あるいは若手研究者の処遇改善等々、各種の教育研究条件の改善につきまして努力しているところでございます。
  134. 川島委員(川島實)

    川島委員 終わります。
  135. 近岡委員長(近岡理一郎)

    近岡委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時十一分開議
  136. 近岡委員長(近岡理一郎)

    近岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。関晴正君。
  137. 関委員(関晴正)

    ○関委員 第一に質問いたしますが、フランススーパーフェニックスがことしの六月二十九日において、フランス政府がこの運転再開を取りやめた。七年もかかってスーパーフェニックス研究に努めておったフランスが、ついに再開を断念した。これは科技庁長官は、断念したとは言いながらやめたんじゃないんだということで執拗に答えているんですけれども、このフランス政府プルトニウム燃料とする高速増殖炉の断念というものは、私は、世界原子力経済と申しましょうか原子力政治と申しましょうか、そこに与えた影響というものは大変なものだと思う。このことについて我が国は、そんなことがどうあったって我が道を行くんだと言わんばかりにプルトニウムの道を突き進もうとしているんですが、やっぱりここで日本も見直しをする、考え直しをする、そういうことにならなきゃならぬじゃないだろうかと思うんです。科学技術庁の中に、こんなことは一顧だにしない、進め進めということになっておられるのでしょうか。まず、この点を伺います。
  138. 谷川国務大臣(谷川寛三)

    谷川国務大臣 これは午前中も議論がございました。それからまた予算委員会でもお答えを申し上げましたが、確かに六月の下旬に、フランス総理大臣スーパーフェニックスにつきましては安全性についてさらにもう一遍よく再検討をしなさいということで、再開が見送られることになりました。ところが七月になりまして、それを受けましてキュリアン研究宇宙大臣担当大臣でございますが、私に手紙が参りまして、ああいう発表があったけれども、やめたわけじゃないから御了承いただきたい、こういうことでございました。  それから、その後私、八月、十一月に彼とお目にかかってお話をする機会がございました。十一月には日本へ来ました。その際に、またスーパーフェニックスの問題も取り上げまして質問をしたんですが、同様の答えでございまして、私言ったんですよ。国会でいろいろ質問お答えせぬといかぬからはっきり言ってくれ、いややめたんじゃない、しばらく待ってくれ、研究を重ねておる、こういうことでございましたので、御了承いただきたいと思います。
  139. 関委員(関晴正)

    ○関委員 やめたんじゃない、見合わせることにしたんだ、そのうちにやるんだ、こういうお答えのように聞いたわけですが、何でこのスーパーフェニックスが断念するに至ったかということについては、大臣、どう把握されていますか。
  140. 谷川国務大臣(谷川寛三)

    谷川国務大臣 何度もなにするようでございますが、断念したんじゃないんで、なお精査をしておる。そこで、八月に会いましたときにこういうことを言っておりました。(関委員「いやいや、なぜやめたかということです」と呼ぶ)やめたんじゃない。安全性につきまして、さらに念査をするようにという総理大臣の御趣旨だそうです。  さらにつけ加えますと、けさほどもお話がありましたが、これを高レベル燃料体、なるべく廃棄物が出ないようにする点でスーパーフェニックスが貢献をすることができるかどうかもあわせ研究するようにという指示だそうでございます。これにつきましては、日本の高い原子力技術もかりたいので専門家を派遣してもらえないだろうかということで、オーケー、三人派遣して一緒に研究しているところでございます。そういうことでございます。
  141. 関委員(関晴正)

    ○関委員 この人は、何と申しましょうか、例えで言えば悪いんだけれども、ばかの一つ覚えなんというのがありますよね。再開を見合わせたということはやめたんじゃないとくる。しかし、スーパーフェニックス再開はやめたんですよ。やめたというのと見合わせたという言葉の違いがある。しかし、この言葉の違いは、故障が起きたというのと、故障じゃなくて、事故じゃなくて、事故にもかかわらず故障だなんといっている言葉と同じなんです。  だから私、大臣に聞きたいのは、何でこれほど金をかけてつくった百二十四万キロワットにわたるところのスーパーフェニックス運転をやめたか、大きな理由が三つあるんです。ナトリウムの管理が難しいというのと、原子炉の中における反応度を制御することが難しいということなんです。炉の中の点検がまた難しいということなんです。ですから、炉心の問題とナトリウムの問題とそれから原子炉そのものの点検の問題と、この三つが大変だというんです。火災が起きる、爆発が起きる、ナトリウムというのは扱いにくいものだから手を上げたんです。  そこで、今あなたが何か日本から三人が行って助けてくれるようなお話をするけれども、そんなものじゃない。三人だれが行ったかという話まで入ればいいんだけれども、とても時間がないか以私が申し上げておくけれども、あの膨大な一つの報告書というものを読めば、どういうわけで再開を見合わせたか、なるほど言葉ではやめたとは言いませんけれども、私どもから見ればこれは死亡宣言だ、こう思っているのです。いつ起こるだろうか、まあフェニックスだから、不死鳥だからまた起きてくるぞと思われるかもしれぬけれども、そういう意味からいけば、どれだけ金がかかるかということについても大変だと思うのです。だから、安全上の問題と経済上の問題で、これはもう見合わせるしかない、言葉で言えば見合わせる、それから世界的に見ればやめたですよ。  このおかげで世界各国、大変な影響でしょう。そういうような方針が今度世界的にとられなくなるということですよ。再処理で商売している国は困りますよ。フランスだって再処理で商売しているんでしょう。イギリスだって再処理でまた商売しようというんで、今やっているでしょう。し面し、このことが起きてからイギリスも大変な変化を起こしたでしょう。THORPだって、もう運転できるかどうかわからない。千二百トンの処理能力を持つこの会社も、つくったものの見通しがつかない。やめるしかないじゃないかと今言われてますよ。これはイギリスの最大の問題になつているでしょう。各国とも、この六月二十九日を打点として、大きく原子力行政というものに変化を来しているわけです。しかし、我が国だけは進め進めですよ。  そこで、今一トンのプルトニウムを運んでくるというんだけれども、この一トンのプルトニウムを運ぶにしても、世界各国は多大の懸念を表しておる。懸念の第一は、まずこの海を汚されるんじゃないかという、海上に浮かんでいる島々の国々ですよ。小さな島の国だけれども、大きな海が汚されたらどうするかということが一つの問題。いま一つは、日本が核兵器をつくる、そういうプルトニウムをたくさん貯蔵されてはたまらないじゃないかという軍事上の懸念です。はしなくもきょうは十二月八日ですよね、大臣大臣も私も、あの十二月八日というのは、私は中学生であったし、あなたは高校生だったでしょう。今から五十一年前のことになりますが、忘れられません。きょうは大東亜戦争への日です。そういうことを思いながら、日本が再び戦争への道を歩むことは断じて許さない。こういうことで核燃の扱いについても平和に徹するんだ、こうきているけれども、何せそういうプルトニウムというのはすぐ原子爆弾になるものですよ。長崎に投下されたのはプルトニウム爆弾。そういうものが日本にたくさん貯蔵されてはたまらないよという国々懸念もあるでしょう。そういうことから、今日我が国プルトニウム行政というものに多大の懸念がある。  そこで、私は余り論ずることはしませんが、なぜこのプルトニウム輸送に当たってこんなに、フランスから持ってくるのにまず時間がかかったのだろうか。その時間のかかった理由の中に、先ほど我が党の辻さんが質問されましたように、プルトニウムの組成の問題があった。このプルトニウムの組成の問題というのは、プルトニウムの容器についての申請、プルトニウムの言うなれば設計についての許可申請、この許可申請の第二回目のものですよ。何で第二回目の許可申請が必要になったのですか。ここから聞きましょう。
  142. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  過去に行いました輸送物の設計承認輸送物と申しますのは容器の中に放射性物質を入れたものを輸送物と申しますが、その設計承認におきまして、本輸送物で輸送できる収納物としては七種類あり、収納物ごとに全体のプルトニウムの質量、。プルトニウム同位体の各質量等が定められておりました。  今回の輸送に際しまして、一部の収納物についてプルトニウム組成が変更されました。その程度でありますが、一部のプルトニウム同位体、プルトニウム郷とプルトニウム242でございますが、この質量が全体のプルトニウム質量の三%程度増加したものでございます。これら変更によりまして、輸送物の構造とか熱、遮へい、あるいは臨界にかかわる解析に影響があるかどうかを解析しましたけれども、従来用いました収納物の条件の範囲を超えるものではないということがはっきりいたしましたので、改めて解析を行う必要がないということを確認しました。また密封解析につきましては、プルトニウムの組成ですとか収納物の密封性に関します発送前検査の方法が今回少し変わりました。そのための解析を行ったものでございますが、解析結果はすべて法令、この法令はIAEAの輸送規則に基づいてつくられているものでございますが、その基準値を満足しているということを確認した次第でございます。  したがいまして、今回のプルトニウム組成の変更は、単に解析条件の変更であって、試験を実施したりそのほかのことを行う必要はないということでございました。念のために申請がなされ、解析をしなくてもいいということを行うために申請があったというふうに解していただいて結構だと思います。
  143. 関委員(関晴正)

    ○関委員 組成の問題でそういうような変化があったというのだけれども、我が国としてはどういう組成の内容だと思って申請をしてきたのですか。八四年の当時と同じようなものとして申請されたのですか。それともまた変化があったのですか。そこはどうです。  それから、ただいまの答弁の中には、238と242ですか、そのお話だけしておったのだが、だとすればあとのものは変化がないのですか。おかしくありませんか。
  144. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 先ほど申しました変更前の解析で用いましたプルトニウムの組成それぞれの量で、今回、今申しましたプルトニウム238とプルトニウム242が変更前といいますか従前の申請の範囲を超えたものでございますので、そのプルトニウム238と242だけを取り上げたものでございまして、その他のプルトニウムにつきましては、従前の申請の範囲内にございました。  それから、どうして変わったかということでございますが、以前に輸送したもののプルトニウムと同じ組成というふうに考えて、とりあえずの解析を行いました。また、フランスの方で輸送に先立ちまして最終に組成がはっきりいたしましたのでチェックしましたところ、今申しましたプルトニウム238とプルトニウム242の量が少しふえているということで、改めて輸送物の設計承認の申請のし直しということになったものでございます。
  145. 関委員(関晴正)

    ○関委員 もう一遍言ってください。238が幾らから幾らに、242が幾らから幾らに、そしてあとのものは変わらないというのは、どういうことなのか。
  146. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 プルトニウムの組成で、プルトニウム238が一・四%以下になるという従前の申請が、変更後ではプルトニウム238が二・二%以下になるということでございました。それからプルトニウム242が、変更前は四・三%以下という申請でございましたが、変更後はプルトニウム242は七・一%以下になるということでございました。
  147. 関委員(関晴正)

    ○関委員 そうしますとあなた、一・四と四・三で、計算しますと五・七ですよ。その五・七であったものが、二・二と七・一と足せば九・三ですよ。ふえていますよ。ふえておったら、他の方が減っていなければならないじゃないですか。こんな計算、どこにありますか。
  148. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  パーセントで申しましたとおり、これは割合を示しておったわけでございますので、全体のプルトニウムはそれに応じてふえたということでございます。
  149. 関委員(関晴正)

    ○関委員 今のは全然答弁になっていません。午前中に答えた答弁と今答えた答弁と、足し算と引き算やればトータル一〇〇になりませんよ。  そこで、その論をしていれば時間を食ってしまってどうにもならないから申し上げますが、いずれにしてもこういうような組成がわかったのは、いつわかったのですか。
  150. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 ちょっと修正させていただきます。  核燃料輸送物設計変更申請書におきましては、収納物の各質量はグラム単位で上限値を定めております。したがいまして、先ほど申しましたパーセントは変更前の収納物のプルトニウム、それからアメリシウムの質量の上限値を一〇〇%といたしまして、それに対しまして変更前ではプルトニウム238が一・四%以下、プルトニウム242が四・三%以下という上限値を決めておりましたところ、今回の場合はプルトニウム238が二・二%以下、プルトニウム242が七・一%以下というふうに変わったということで、上限値に対する比率で今申し上げたところでございます。
  151. 関委員(関晴正)

    ○関委員 いつ覚えたかと聞いているのですよ。聞いていることだけ答えなさい。
  152. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 変更がありましたのは、ことしの八月二十五日に申請がありました。
  153. 関委員(関晴正)

    ○関委員 どこから聞いて、そういうことがわかりましたか。
  154. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 動力炉核燃料開発事業団から変更申請をしたいということがあって、申請を受けつけました。
  155. 関委員(関晴正)

    ○関委員 動燃事業団理事長にお尋ねします。  理事長は、どこから聞いてわかりましたか。
  156. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 フランスにおきまして、日本に向けるプルトニウムを全部容器におさめた段階で分析をして、日本側に通告があったと聞いております。
  157. 関委員(関晴正)

    ○関委員 フランスというのは、フランスのどこですか。
  158. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 コジェマ社でございます。
  159. 関委員(関晴正)

    ○関委員 そういうことを外国から知らされて、そうして日本が設計変更と、それに伴う容器の変更の申請をされたわけなんですが、この問題は、とにかく我が国の当初の使用済み燃料を外国に送って再処理してもらうときの状態というのは、非常に燃焼度の低いものであります。燃焼論をどれほどさきの国会におったときにやったかわかりません。まあ二万メガワット。ところがこの組成でいきますというと、二万メガワットじゃなくて三万か四万のメガワットの間の燃焼度に値する組成になる。それはお認めになりますね。
  160. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 先ほど冒頭に申し上げましたが、輸送物と申しますのは、輸送容器、その容器の中にこの場合ですとプルトニウムを詰め込んだ、その状態で輸送物と申します。今回変わりましたのは、その中身に詰めるプルトニウムの組成が変わったということで、容器とプルトニウムを合わせました輸送物、それの設計変更ということでございましたので容器は変わっておりませんので、念のために。  また、先生が申されましたようなプルトニウム238とプルトニウム242の組成が少しふえたということだけで燃焼度がどれほどふえたかというようなことは、私ども安全審査当局としては承知しておりません。
  161. 関委員(関晴正)

    ○関委員 大変なことです、これは。燃焼度の状態によってそれぞれの組成率というものがあるのでしょう。基準があるでしょう。科技庁がそんなことを知らないのですか。そんなことを知らないということないでしょう。だからこそ先ほど、燃焼度の低かった我が国のものに比べて返ってくるものは燃焼度の高いものじゃないか。ということは、日本使用済み燃料じゃなくて、他国の使用済み燃料日本に返すということになるのじゃないか。そんなことは許されないじゃありませんか。どうです。お答えください。これはどこのものかわからないものじゃありませんか。答えてください。
  162. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  先ほどもお答え申し上げましたように、フランス・コジェマの再処理工場におきまして、日本だけではございませんで、ドイツとかスイスとかほかの国の使用済み燃料処理しておるわけでございまして、物理的に我が国プルトニウムが他の国または他の電力会社の使用済み燃料から回収されたプルトニウムとまぜることは、これはあり得ると承知しておるところでございます。  したがいまして、我が国輸送するプルトニウムの同位体組成、同位体比は、必ずしも搬出した使用済み燃料中に含まれます。プルトニウムの同位体と全く同じになるとは限らないと承知しておるわけでありますけれども、核分裂性のあるプルトニウムにつきましては、再処理分、再処理依頼分と等量のものが含まれるということになっておりまして、この点は先ほども申しましたように、我が国を初め各国のカスタマーたる電気事業者とコジェマの間でもう合意されていることでございまして、また、これまた先ほど申しましたように、国際原子力機関によります保障措置上も問題ないということになっていることを御了解賜りたいと思う次第でございます。
  163. 関委員(関晴正)

    ○関委員 大変なことがこの場ではっきりされました。言うなれば、核燃物質についての管理体制というものは、寸分のすきもないくらいにきちんと行われているはずでありました。それが日本から行った使用済み燃料が再処理されて、その結果のプルトニウムの返還じゃなくて、他国のものも入りまじって来ることになっているのだ、こういうことですから、これは容認するわけにいきません。日本のものをフランス処理して、日本のものを返してくれなきゃならないでしょう。日本のものといっても、これは原産地はアメリカですからね。他国からいただいたウランですから、それを使用した後の使用済みの燃料をそれぞれお願いしているのですが、返ってくるときにはじって他国のものが来る。分裂性プルトニウムの量さえ間違えなければいいじゃないか、これは聞いたことがありません。日本のものが返ってくるものだと思ったら、他国のものが来た。  じゃ、日本のものはどこへ使われているのです。恐らく我々の推定では、日本の良質のプルトニウムがフェニックスに使われているんじゃないだろうかという想定がされるわけです。日本ウランの一部がフランスの軍事に供せられているということになるんじゃないだろうか、こういう懸念が生じます。これについては何の懸念も感じませんか。大臣あるいは局長あるいは理事長、どっちでもいいです。
  164. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 まず本論に入ります前に、日本のものが良質であるかどうかという点につきまして私どものデータを御紹介申し上げますが、現在「もんじゅ」に初装荷用として燃料をつくっておりますそれの平均と、それから今輸送中のフランスからの返還プルトニウムの組成は大差はないということを申し上げさせていただきます。  なお、「もんじゅ」に使っておりますプルトニウムのそもそもの燃料の平均の燃焼時間は二万二千五百という数字でございます。
  165. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 先ほども申しましたように、使用済み燃料から取り出されますプルトニウムにつきましては、まさに核分裂性のあるプルトニウムについて等量ということでそれぞれ考えるということは、先ほども申しましたように国際原子力機関による保障措置上も問題なしとされているところであることを御了解賜りたいと思うわけでございます。  さらに、これまた先ほども申しましたけれども、我が国電気事業者フランスの再処理事業者の間で締結されております再処理役務契約は、日仏原子力協定第一条第一項(b)に基づいて締結されているものでございます。この日仏協定第二条に従いまして、我が国使用済み燃料から回収されますプルトニウムは、平和目的であり、平和的非爆発目的にのみ使用されることになり、この点は、これも先ほど申しましたフランス政府我が国に対します国際約束である、かように考えているところでございます。
  166. 関委員(関晴正)

    ○関委員 日仏原子力協定によって、日本のものが他国のものに返されてきてもいいなんということが協定の中にあると言うのですか。そんなことはないでしょう。いいかげんな答えはしないでく、ださい。  次。この問題で余り時間をとりたくありません。
  167. 近岡委員長(近岡理一郎)

    近岡委員長 関委員、ちょっと答弁があるそうですが……。
  168. 関委員(関晴正)

    ○関委員 答弁がある。じゃ、どうぞ。
  169. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  日仏原子力協力協定を補完いたします文書、原子力の平和的利用に関する協力のための日本政府フランス共和国政府との間の協定を改正する議定書に関する合意された議事録の交換公文がございます。これは平成二年七月十九日に号外として外務省から告示されておりますが、この第二項(b)のところに、「協定の対象となる核物質が、機関の保障措置の適用上選択されている施設以外の施設に置かれる場合には、フランス共和国政府は、機関の保障措置の適用上選択されている施契の中にある同量の核物質であって核分裂性同位元素の含有量が同等以上のものと代替する。」ということがございまして、これによって先ほどの代替が行われているものでございます。
  170. 関委員(関晴正)

    ○関委員 これはさらに詳しい質問は、また別にしたいと思います。  次の質問に移りますが、これは動燃理事長にお尋ねいたします。  我が国が今日持っておるところのプルトニウムの量ですね、現在どのくらいの量をお持ちですか。
  171. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 我が国がと言われますと、全体数字は私存じておりません。規制当局からお答えをお願いしたいと存じます。  それから、動燃につきましては、再処理から燃料製造に至る過程で約〇・四トンぐらいの工程内の在庫があると承知をいたしております。
  172. 関委員(関晴正)

    ○関委員 あなたのところでやっている再処理工場、これはことし現在でどのくらい再処理されました。
  173. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 お答えいたします。  今日まで累計で六百七十トン処理をいたしました。
  174. 関委員(関晴正)

    ○関委員 ことし幾らやったかと聞いているのです。
  175. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 今年、年ベースで約百トンでございます。正確には百三トンほどだったと記憶しております。
  176. 関委員(関晴正)

    ○関委員 回収率は何%になっています。
  177. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 平均いたしまして〇・四ないし〇・五というのが、我々の過去の経験でございます。
  178. 関委員(関晴正)

    ○関委員 そんなことないでしょう。〇・五超えているでしょう。あなた、どこを見ているのです、理事長。〇・五から超えて〇・六に近いでしょう。何です、今の答弁。
  179. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 フィッサイルでお答え申し上げました。
  180. 関委員(関晴正)

    ○関委員 何で答えたって。もう一回答えてください。
  181. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 核分裂生成物としての数量を申し上げました。
  182. 近岡委員長(近岡理一郎)

    近岡委員長 はっきり言ってください。
  183. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 核分裂性物質の量でお答え申し上げました。
  184. 関委員(関晴正)

    ○関委員 ことしは、そうすると百トンのうち幾ら出たのですか。
  185. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 四百八十キロ程度になると承知をいたしております。
  186. 関委員(関晴正)

    ○関委員 そうすると、百トン処理して四百八十キロということですか。少し違いませんか。何月からのものに今の計算が出ています。ことしの何月からのものです。十カ月分ですか、これは十二カ月分ですか。
  187. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 今年一月からの数字でございます。
  188. 関委員(関晴正)

    ○関委員 今度あなたたちの力こぶを入れているところの「もんじゅ」が、今秋の臨界の予定が来秋に延び、来秋の予定がさらに来秋、こうなるのだが、これはいつそういうことがおわかりになりました。
  189. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 「もんじゅ」用の初装荷燃料製造に当初うまくいきませんで、それが主なる原因で臨界が延びてまいったわけであります。いろいろ工夫もしたわけでございますが、当初のつまずきのおくれが挽回できないで、来年の秋ごろというふうに最近訂正をしたところでございます。
  190. 関委員(関晴正)

    ○関委員 最近というのは何月何日です。
  191. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 十一月の下旬に総合的な判断をいたしました。
  192. 関委員(関晴正)

    ○関委員 初装荷の量というのは、幾らになっていますか。
  193. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 核分裂性物質で千三百六十キロでございます。
  194. 関委員(関晴正)

    ○関委員 現在どれだけ確保しているのです。
  195. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 原料は既に確保してございまして、現在、燃料に加工中でございます。
  196. 関委員(関晴正)

    ○関委員 加工は終わるのは、いつです。
  197. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 来年の六月までにはと計画を進めているところでございます。
  198. 関委員(関晴正)

    ○関委員 今度の「もんじゅ」の遅延というものによって、言うなれば再処理工場における活動は休むわけじゃありませんから、プルトニウムの生産は順調になされるわけですね。再処理工場運転、今休むことなくやっているのでしょう。どうですか、運転状況
  199. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 過日、今年の予定を済ませまして、来年の夏過ぎまで計画的な停止に入る予定にいたしております。
  200. 関委員(関晴正)

    ○関委員 「もんじゅ」の炉心取りかえの燃料に使うためにフランスからとにかく持ってくるんだ、こういうことでこのプルトニウム輸送が行われることになっているわけなんですが、我が国の独自の東海村の再処理工場だけでも、「もんじゅ」に間に合わせようと思えば、休むことなくやれば当然供給できる能力があるわけですね。  また、そういう時間をとっておけば、今回日本プルトニウム輸送に当たって各国懸念を解消する時間は十分ある。我々国民に対しても、いろいろな危険がそれぞれ提起されておるんだけれども、その説明も十分できたはずなんです。だけれども、しゃにむに日本に足りないからといって急いだ。急いだ結果、各国懸念がいろいろと示された。しかも、我が国が情報管理だといって何という船であるかも示さないで、そしていつ出かけるということもなく出かけていった。  これについては、もうフランスがすべてを示している。日本の国の品物がよその国から知らされてわかる、何も隠さなくてもいいものを隠していたからでしょう。そういう意味からいけば、きょう私の方の辻さんの質問の中にあったように、自主、民主、公開の原則、この原則をきちんとすべきだと思うのです。隠して何がいいところがあるのです。国民の目をごまかすと言えば言葉は悪いかもしれぬけれども、国民の目にふたをして、そうしてプルトニウム輸送をします、プルトニウムを買いに行きます、こんな恥ずかしいことは私はすべきじゃない。フランスにおいては堂々とテレビにも出ているじゃありませんか。しかも、グリーンピースという世界的な環境保護の団体が船までチャーターして、この行方について心配をする。日本政府が、今我が国あかつき丸がどこそこを走っていますなんということは、少しも知らせない。グリーンピースから聞かされて、国民がわかるわけですよ。今どこを走っているかと聞けば、あなた方はまた答えないでしょう。もうケープタウンを通ってインド洋に入った。明々白々の事実でしょう。  いずれにしても、私は、原子力行政というものは明るくなければならない、原子力行政というものは開けてなければならない。基本原則、自主、民主、公開というものがすりかり色あせてしまっている。大変なことですよ。プルトニウム社会を招くということで、自主、民主、公開の原則が色あせてしまっては、日本の政治というものが閉塞されていくと私は思うのです。ですから、この点については情報公開。情報非公開なんということを四月の初めに打ち出したようだけれども、これは即刻やめるべきであると思いますが、大臣、いかがですか。今やめる大臣に聞くのは酷かもしれぬけれども、終わり際にきちんと答えられませんか。
  201. 谷川国務大臣(谷川寛三)

    谷川国務大臣 お説のとおりでございます。原子力発電推進するにつきましては、皆さんの理解協力を得なきゃいけませんから、やたらな情報管理はいたしません。安全性関係のこととか、研究開発に関する情報とか、こういったことは公開いたします。  ただ、いつ、どこを通って運んでくるというようなことは、施設に置いておくときに比べますと輸送のときというのは非常に危のうございますから、これは従来どおり方針を守っていくつもりでございます。私の次の方にも引き継いでまいります。
  202. 関委員(関晴正)

    ○関委員 とにかく私は、情報というものはあることにこしたことはないと思う。隠すことにいいことは一つもない。日本のあの戦争時代の軍部が横暴きわまったときのことを今思い出しながら、再びそういう道をつくってはならないのだ、私はこういう気持ちからも申し上げているわけであります。  その次に、再処理工場。再処理工場の許可は生だされておりませんが、結構なことだと思っています。しかし、大臣がかわれば再処理工場の許可を次の大臣が早くするのかなと思えば、これまた心配になります。ですから、再処理工場の問題についても、二〇三〇年、あと四十年後にどうするかというプルトニウムの問題、高速増殖炉の問題、そういう時代が来るかどうかはわかりません。わからないのに再処理工場をやたらに動かすなんというようなことに踏み切ることは適当ではない、私はこう思うのです。  そこでお聞きしたいことは、次の実証炉の計画もありますね。「もんじゅ」の次、第二、第三、こういう実証炉の計画だって、聞けば何もないでしょう。ありますか。あるなら、いつごろやって、どのくらいの金をかけてという計画があったら示してください。
  203. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  動燃事業団原型炉もんじゅ」以降の高速増殖炉研究開発でございますが、これにつきましては、発電プラント技術としての実証、習熟とかあるいは性能向上、経済性の確立を図って実用化移行段階に移っていくということになろうと思っているわけでございまして、原子力開発利用長期計画、これは現行の計画でございますが、これに示されておりますように、この段階におきましては、実証炉一号炉を含めまして複数の炉を建設運転経験を経るとともに、所要の研究開発を積み重ねることによりまして、軽水炉経済性あるいは安全性におきまして競合し得る高速増殖炉のための技術体系を確立していくということといたしておるところでございます。  実用化移行段階での炉の建設につきましては、ある程度の期間を置いて炉を順次建設していくということが想定されているわけでございまして、これらの炉の建設運転経験を経るとともに、所要の研究開発を積み重ねることによりまして技術的基盤の確立が図られ、これによりまして二〇二〇年代から二〇三〇年代ごろには軽水炉経済性安全性におきまして競合し得る高速増殖炉のための技術体系が確立できる、かように考えておるところでございます。  実用化に向けました高速増殖炉開発の進め方の詳細につきましては、実証炉一号炉の計画や関連の研究開発の進展をも踏まえながら、さらに原子力委員会の場で検討が進められ、具体化されていくというふうに考えておるところでございます。
  204. 関委員(関晴正)

    ○関委員 今の話は全く、答えればいいなんという態度の答えですよ。あなた、そんな答弁しておるけれども、これにはいつごろにかかって、どのくらいの金がかかってという計画になりますか。今あなたがお話ししているのは、計画じゃないでしょう。構想みたいなものでしょう。どこにつくるかも定まらない、いつつくるかも定まらない、だれがっくるかも定まらない、どれだけ金をかけるかも定まらない、二〇二〇年までに何とかしたい、そんなの計画じゃありませんよ。構想というものだ。だけれども、行政は計画にしてしまって進めているでしょう。そうなるのだと思っているのです。今、そうなることについてのよしあしをこれから論じなければならないときでしょう。そう思いますよ。  しかも、プルトニウムについては、生産されても使い道がないものだから、「もんじゅ」だって二〇〇〇年からは専焼炉にしようというのでしょう。青森県の再処理工場だって、プルトニウムをつくったで、どこへどう始末します。だれが使います。二〇二〇年までにできるかできないかわからないものに使うといって、あなた方はプルトニウム供給需要のバランスシートだけはこの間さきのときに示したけれども、あんなバランスのとれたような状態になるなんということはだれも思っていませんよ。したいと思っているかもしれないけれども、あんなのは答え用に答えているだけだとしか思われていないのです。そういう意味において、ここまで来たからしゃにむにやるのじゃなくて、ここで踏みとどまって、この道はいいのかどうか、そういうところへ考えを直していくべきだと私は思うのです。六ケ所の再処理工場については、その意味においても当然許可する必要がない。安全上の問題と経済上の問題、さらに必要上の問題をここに加えるならば、今の段階でこの許可なんかはすべきものにはならないだろう。そういう意味において、私はこの後の原子力行政においても十二分に考えてもらわなければならないと思います。  とにかく、プルトニウムに対する日本の処し方、そしてこれにかわる新しいエネルギーをいかにしてここに広げていくかということです。これは前の予算委員会のときにも申し上げましたけれども、太陽光発電が一番いい。太陽電池を日本の家屋の屋根の上に全部上げなさいよ。何百万キロワットもの電気がわいてくるのですから。一ワットの経費が今ではたった七百円というところまで来た。三万円もしたコストが七百円というところまで来た。さらにこれを半分にする、百円、二百円というところまで持っていく、これは二〇二〇年までにできることですよ。そうすると、二〇三〇年だとかとお考えの危険なプルトニウムの時代というのは用がなくなると私は思う。そういう点についてはひとつ十二分に吟味をして、ただ計画として、構想としてきたからそれを進めるのだということじゃなくて、フランスのこの事実に学んで、なぜフランスがそういうことになったか、なぜやめたか一やめたのじゃない、見合わせたときっと言うのでしょう。言葉の違いはともかくとして、七年もかけてやることをやめたのだから、このおもしを十二分に酌み取って、原子力行政を新しい構想のもとに進めていただきたいということを私は希望しておきます。  次は、さらに続けたいことがあるのですけれども、今大事な問題として一つ、インドネシアの問題で輸出入銀行の代表に来てもらっておるわけですから、お尋ねしたいと思います。  あの国に日本がフィージビリティスタディー、FSの契約をインドネシアとニュージェックでなされたからといって、この会社がかかる金の一部を、十五億円ほど輸出入銀行にお願いしたい、こう言っているのだけれども、これは単に金を出してやればいいという問題ではないと思うのです。日本国民の税金をもってできているところが輸出入銀行でございましょうが。この輸出入銀行が物の売り買い、こういうことで使われるというならば、まだわかる。でも今度の場合は、物の売り買いじゃないですね。フィージビリティースタディーというのは、結局事前調査費です。インドネシアが原発を将来持つかもしれない、そのためにはひとつ事前の調査をしてもらおう、その事前調査を今度は日本にしてもらう。日本の前にもされましたね。IAEAにおいても、イタリーにおいても、あるいはカナダにおいてもそれぞれなされておる。  そういうなされている経過を見ますと、果たして日本がそういうところに踏み込んでいっていいのかということが出てくるだろうと思うのです。私は、インドネシアという国には行ったことがありませんよ。ありませんけれども、インドネシアの国で暮らしてきた人が大変心配している。あの国の自然がそういうものができてやがて原子力半島になったらどうなるだろうかということで、ムリア半島の皆さん方が心配しているという。ムリア、ムリアと言うのだから、そのことがもう無理やと言われて頭の中に入っているのですがね。インドネシアのムリア半島につくられようとする原子力発電所、その予備の仕事を日本の企業が受け持ってやろうかというのに、日本の輸出入銀行が金を出す。私は、これは控えていただきたいと思うのです。大蔵省やあるいは通産の方で許可をしたからということがあるかもしれませんが、その許可というのは、言うなれば外為法の問題の許可であり、あるいはそういう売買があるならば、それは成り立つならばしてもいいという話であって、この金を出すか出さないか、この金を出すことによって持つ一つの意義というものは、これは輸出入銀行の一つの判断だと思うのです。  そして、輸出入銀行が判断する限りにおいては、あの国の実態というものをよほど見なければならない。あの国の国民の姿というものを見なければならない。スハルト体制というものはどれほど民主的な体制であるか、私にはわかりません。しかし、言われているところから見れば、あの国の体制というものは非常に私は軍事的な色彩の強い国だと思うのです。決して民主的な国だとは言いがたいものがある。無電灯の状態、電灯の姿というのは二〇%だと聞きます。ですから、非常に電気というものの利用度というのは低い。ランプ生活者が多いところでしょう。そういう非常におくれている国にどっと、言うなれば科学の最高の粋である原子力発電所を持ち出すとかということは、それに日本協力をしていくということは、これはどういうものだろう、こうもまた考えます。  いずれにしても、今事務的にそういうことが准められていると聞きますので、この際、きょうは輸出入銀行の総裁をお願いしたんだが、総裁はお見えになれないということでかわりに理事さんが来ておるのですが、原産会議の特別顧問だという総裁のことを考えないで、この問題についてはきちんと対処することが大事だと思いますから、お答えいただければと思います。
  205. 江澤参考人(江澤雄一)

    江澤参考人 先生御指摘のとおり、このインドネシアの原子力開発に関しまして輸出入銀行の技術提供金融、日本企業向けのサプライヤーズクレジットと申すものでございますが、それの要請があることは事実でございます。  先生御指摘のように、外為法上の役務の提供に係る特殊決済の許可、それから通産省の技術提供等保険の付保、いずれもおりておるわけでございまして、輸出入銀行の融資の前提条件は一応整っておるということが言えます。  輸出入銀行といたしましては、現在金融面からこの技術提供契約の内容等を審査中でございまして、その結果を見た上で融資の決定を行うことになると存じます。この技術提供契約は、フィージビリティースタディーというものでございまして、一つはインドネシアのエネルギー需給を予測する。もう一つは、従来の石油とか石炭などの発電との比較検討を含めまして、原子力発電経済性安全性、それから環境面への影響を含めまして、立地の適否等を調査するというものでございます。この環境面への影響という中には、温排水の問題、気象の問題、地震の状況、文化財、植生の問題等々、環境への影響を十分調査することになっております。こういうことで輸出入銀行といたしましては、輸出入銀行法の十八条第二号の技術提供金融というものの対象になるというふうに考えておるわけでございます。  先生御指摘のように、インドネシアにおける原子力発電建設反対のお立場から、このフィージビリティースタディーの実施あるいはそのための融資に反対の御意見があるということは承知いたしております。しかし、このフィージビリティースタディーは、あくまでもインドネシア政府の要請に基づきまして、原発の建設の適否について調査をするというものでございまして、インドネシアが実際に原発を建設するかどうかは、このフィージビリティースタディーの結果を十分検討した上でインドネシア政府が別途決定するものであるということでございます。  もちろん、輸出入銀行は政府関係金融機関でございますから、業務の執行に当たって、政府基本政策に適合するように融資を行っていくということは当然でございます。政府方針といたしまして、核不拡散、安全の確保という点が重要とされております。この点についても政府と十分協議をして、問題のないように配慮をしていきたいというふうに考えております。
  206. 関委員(関晴正)

    ○関委員 七八年のIAEAの援助で、第一回のFSがなされましたよね。七九年、イタリアの協力で第二回のFSがなされましたよね。これらのFSを受けて、米国、フランス、カナダが報告書を提出されておりますよね。これらの報告書をごらんになっての一つの判断というものが大事じゃないかと思うのですが、そういう判断が出てまいりますか。
  207. 江澤参考人(江澤雄一)

    江澤参考人 実は、先生御指摘の資料については承知をいたしておりません。また、コメントする立場にもないわけでございます。  と申しますのは、このフィージビリティースタディーの内容というのは、インドネシア政府がそれぞれの機関に発注をしてこの調査をしてもらったものでございまして、公開をされていないというふうに承知しております。しかしながら、日本の今回のフィージビリティースタディーに先行いたしまして、インドネシア政府がこういう形でフィージビリティースタディーをやっておるといたしますと、インドネシアが今後原子力発電の導入を検討するに際しましては、これらの調査報告書を十分参考にするだろうというふうに考えます。残念ながら、内容については知り得る立場にないことを御理解いただきたいと思います。
  208. 関委員(関晴正)

    ○関委員 少なくとも国民の金を使って、そして手伝いをするというのだけれども、今申し上げた、さきのフィージビリティースタディーにかかわる報告書の内容等を見ることが大事だと思う。  それから、日本の今の会社ですね、このニュージェック会社というのは、これは関西電力の系統、資本が七〇%入っている会社ですね。そして今日、一年たっているわけです。実は、おやりになっているわけですよ、昨年の十一月から調査を開始している。一年たっている。ですから、これらの国のことを進めているのにはそれだけのまた資金の背景もあるわけでしょうから、進んでいるものに、これからやるというなら別ですが、やってしまっているわけです。やってしまっているというのは、金のめどについてもそれぞれ支度してやっていることじゃないのか、こうも思います。しかも、これはインドネシアがかつて我が国に対して、二年前ですね、FSをODAでするように要請があった。しかし、日本はこれを断った。世界銀行からいただくようなお話もあったのだが、これも許可されなかった。  こういうようなことがまたあるわけですから、きょうは通産省それから外務省、さらに大蔵省それぞれおいでになっていると思いますけれども、お答えをいただく時間もないようですから終わりますが、いずれにしても、この問題は軽々に扱わない、余裕があるのだから金さえ出してやればいいのだという安易なことでこれに突き進むことだけはしないでいただきたい。その国の一つの姿、こういう莫大な投資をやがてする、そういう金がこの国にあるのだろうか。ODAの援助を人一倍受けている国が、最高の電力生産の原子力発電所なんというものをつくるのに、その国の経済と申しましょうか財政と申しましょうか、体がそぐう、そういうふうにできているだろうか、こういうことが私は分析の中にあっていいのじゃないだろうか、こう思います。  日本原子力産業のためにやるのだなんというようなことでは、私はまた間違いを起こすことにもなると思いますので、慎重の上にも慎重を期して、責任の地位にある総裁、きょうはお見えになりませんが、総裁には原子力産業会議の特別顧問だからというようなことでくみするようなことにはならないようにして当たっていただくことを希望申し上げて、終わりたいと思います。
  209. 近岡委員長(近岡理一郎)

  210. 近江委員(近江巳記夫)

    ○近江委員 先ほどから皆さんの論議は、プルトニウム問題、エネルギー問題の質問が非常に多かったように思います。世界的な情勢ということを視野に入れない政策というものは、私は問題がある、このように思うわけでございます。  我が国の今とっておりますエネルギー政策、特にプルトニウム問題、連日マスコミでもあかつき丸のああした輸送状況というものが報道もされておる。これは国民の皆さんも非常に不安を覚える。どうなっているのですか。また世界各国も、御承知のようにフランススーパーフェニックスを初めといたしまして、停止の状況にある。そういう中で、我が国だけがやはり突出をしておる。そこに核拡散の心配、当然輸送中の防護の不安の問題、環境への問題等々山積しておると思うのです。特に、旧ソ連の解体によりまして、また米ソ冷戦の終結状態ということになってまいりまして、核兵器の解体、いろいろなそういう数字はありますけれども、米ソで少なくともプルトニウムは二百トンから二百五十トンぐらい出るだろうとか、濃縮ウランは一千トンぐらいに上るのじゃないかとか、そういうこともいろいろと報道されておるわけです。  そういう中で、我が国の政策というもの、一度決めたことは一直線に進んでおるというそういう姿でいいのかどうか、大臣また理事長の率直な御感想をひとつ伺いたいと思うのです。
  211. 谷川国務大臣(谷川寛三)

    谷川国務大臣 お答えいたします。  申し上げるまでもございません。我が国は、原子力発電によりまして総電力需要量の三割までを賄っておる状態でございます。ところが、燃料ウランは全量輸入でございます。世界の豊富ではないウラン資源の二割を使っております。電力需要経済発展、ひいては国民生活向上によりまして年々増大しておる。この先々、乏しい世界ウラン資源のひとり占めを日本がすることは許されない。こういう観点からいたしまして、そしてひいては原子力発電の安定的な進展に資するということから考えて、燃料の再処理によりまして回収される。プルトニウム利用していくという政策を基本方針としているわけでございます。  確かに、お話がありましたように国際的なエネルギー情勢はいろいろ変わっておりますが、一方。プルトニウム利用実用化に向けた技術体系の確立につきましては、着実に進めていかなければならぬということも重要でありまして、このための努力を重ねていかなければならぬと考えております。  いずれにいたしましても、今度の輸送につきましてはいろいろ外国の心配、懸念もありましたので、今後とも国内外の一層の理解を得る努力もいたしまして、我が国におけるプルトニウム平和利用を目指した開発努力を続けていく、この方針はただいまのところ変えるつもりはございません。  ただ、先ほどから議論もありますように、六十二年に制定しました原子力平和利用長期計画を来年の秋ごろには見直さなければいかぬということでありまして、ただいま専門家、学識経験者等の御意見もいろいろ聞いております。ということで検討課題には上っておりますけれども、基本方針を今変えるつもりはないことを申し上げておきたいと思います。
  212. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 お答え申し上げます。  再処理プルトニウム利用路線につきましては、これは日本原子力開発のスタートした時点からの一貫した考え方でございまして、現在もそのとおりでございます。ただ、むしろスピードとしては日本はおくれにおくれといいますか、フランスのフェニックスに比較しますと、二十年おくれでやっと同クラスの「もんじゅ」が完成したということでございます。  その取りかえ燃料に使いますためにプルトニウム輸送フランスのラアーグから現在行っているところでございますが、先生御指摘のように、我々としては正直のところ、これだけの世界的な高い御関心を呼ぶということは実は予期していなかったわけでございまして、まだ物が輸送中でございますからまだ早いわけでありますが、大いに今後の参考にし、また反省の材料にしなければならないというふうに当事者といたしまして考えているところでございます。  いずれにいたしましても、近江先生には長い間御指導をいただいている科学技術庁動燃でございますので、また十分先生の御叱正を賜りながら、今後の仕事を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  213. 近江委員(近江巳記夫)

    ○近江委員 スーパーフェニックスと比べると二十年おくれだと今理事長もおっしゃっていますが、スーパーフェニックスは二年間の故障の停止後、今年一月に運転再開を無期延期しておる。イギリスは、同原型炉への出資を九四年に打ち切る、これを正式に決定している。ドイツは、八九年の再処理工場建設中止に加えて再処理自体も放棄する。アメリカは、商業用のみならず軍事用プルトニウムでさえ生産を中止する。今度クリントン新大統領が誕生しましたけれども、ゴア副大統領は議会で六月の演説ではプルトニウムは一切やめなければいかぬ、こういう演説もしておることは御承知のとおりです。  今度新政権になりまして、いろいろなそういう変更といいますか、我が国に対してもいろいろな形で影響があるのではないかと私は思うのですね。日米間というのは一番密接な関係にあるのですけれども、新政権の誕生によってどういうことを予想されていますか。今考えておられることをちょっと答えてください。
  214. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  今先生御指摘のとおりに、クリントン新政権の原子力政策につきましては、我々十分注意を持って見守っていく必要があると強く考えておるところでございます。クリントン新大統領は、大統領選挙運動中において明らかにしました国家エネルギー政策の中で、原子力への依存度の増加には消極的反対するというそういう立場でございまして、原子力推進の立場をとっておりましたブッシュ大統領とは異なる姿勢を選挙の段階においては少なくとも示したというふうに認識しておるところでございます。  したがいまして、クリントン政権が今後具体的にいかなる原子力政策をとるか、先ほども申しましたように注目しておるところであるわけでございますけれども、我が国といたしましては、日米原子力協力協定に基づきまして、原子力のさまざまな分野におきましてアメリカとの協力をこれまで進めてきたというところでございまして、今後とも日米間の円滑な協力活動が展開していけますように努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。またアメリカに対しましては、我が国の現在の原子力活動の姿も十分に説明して、我が国におきます原子力重要性につきましても訴えかけてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  215. 近江委員(近江巳記夫)

    ○近江委員 大臣は、今のとっておる方針については次の長期計画のところで考えるというような御答弁でございましたけれども、当面はこのまま突っ走ると、こういうことですね。  この長期計画を見てみますと、第四回の長期計画というのは七二年ですけれども、このときに実用化時期を十数年後の八五年から九四年に置かれたわけですね。ところが第五回は七八年ですが、これは五年ごとにやっておるのですけれども、九五年から二〇〇四年。第六回、これは八二年ですが、二〇一〇年と繰り下がってきている。現在の第七回長期計画、八七年、お立てになっているのは二〇二〇年から三〇年と延期しておるんですね。世界情勢、国際情勢がこれだけの大きな激変をしてきている。何もないときでもこれだけの、長期計画というのはぐんぐん変わってきている。そうでしょう。  ですから、やはり世界の中の日本として生きる我が国ですから、こういうような大きな情勢変化があったときに対して、ただもう今まで決めたことをそのまま行くんです、レールだけ走っておればいいんです、そんな視野の狭いようなことでは、かえって大変なことに私はなると思うんですよ。世界各国の皆さんの理解、安心、そういう協力を得て、そしてその透明性の中でいろんな疑惑を払拭しながらしていくという、そういう慎重さがなければだめでしょう。そういう慎重さを私はぜひ求めたい。それについてはどうですか。
  216. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  今先生から現在の長期計画の審議のことにつきまして御質問ございましたので、長期計画の審議の事務方を預かる者といたしまして、現在の状況を御報告申し上げさせていただきます。  先生御指摘のように、非常に今世界の姿は激変しておるということでございまして、長期計画の審議にかかわっておられます学識経験者の先生方も、ぜひこれまでの固定観念にとらわれることなく、柔軟に弾力的な態度で臨むべきであるというような、これはまだ審議が始まったばかりでございますから方向を固定しておるわけではございませんけれども、そういう御議論もあることにつまましては御報告させていただきたいと思うわけでございます。ただその場合におきましても、我が国資源依存の姿あるいは原子力発電の位置づけ等々考えます場合に、やはり使用済み燃料を再処理し、ウラン資源全体を利用できることが可能になるような核燃料サイクル路線が重要なのではないかということにつきましては、大方の先生方、学識経験者の先生方もそういう方向であろうとおっしゃっておられるように聞こえるわけでございます。  ただ全体、近江先生御指摘のように、高速増殖炉実用化時期も年を追ってどんどん後に来ているじゃないかということは確かにあるわけでございます。これにつきましては皆様方御承知のように、ウラン資源世界的に見て非常にグラットな状態にあるということも確かでございます。そらではございますけれども、長期的に見ますとこれも無限にあるわけじゃないわけでございまして、ぜひウラン資源全体、すなわちウラン238をもエネルギー化し得るそういう体系というのが必要になるわけでございまして、そういうことを中心我が国原子力政策を展開していくべきというのが、恐らく事務方を預かっております私どもにも聞こえてきます学識経験者の先生方の現在までの御議論ではなかろうかと思っておりますけれども、重ねて申しますように、固定観念にとらわれることなく、弾力的な対応が必要ということがございますことも申し上げたいと存じます。
  217. 近江委員(近江巳記夫)

    ○近江委員 だぶついてきておるプルトニウム、これの国際管理ということ、これはもう皆、全世界の人が懸念していることですね。また頭脳流出、こういうことがもしも分散というようなことになってきたら、これは大変なことですね。本当に今ここ数年どのようにその管理をしていくかということは、これはもう大変なことです。一番大事なときですよ、今。そういうシビアなときに、我が国が決めたことをいくんですと。全世界じゅうが注目しておる。無神経じゃないですか、これは。  それで、IAEAでこの余剰プルトニウムの管理問題、これは緊急会合をウィーンでやっておられますが、きょうで終わりでしょう。当然皆さんは、中間はどうなっておるかとか、どういう意見が出ておるかとか、いろいろな報告をとっておるはずですね。きょう終わるのですから、もうかなりのことは聞いておられるはずです。どういうことが論議になったのですか。
  218. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘になりましたようにIAEA、国際原子力機関では、きのう、きょう、日本時間で両日にわたって、もちろん向こうでもそうですが、まだ向こうでは二日目に入ってないと思うわけでございますけれども、プルトニウムに関します非公式の各国協議、これはアメリカイギリスフランス、ロシア、中国それからドイツ日本、この七カ国とIAEA事務局で話し合っておると承っておりますが、これが行われつつあるわけでございます。これも極めて重要な会議と認識しておりますけれども、これには私どもの方からは白尾原子力調査国際協力課長を派遣しておるところでございます。  この話し合いは、ごく非公式な、ざっくばらんな話し合いということでございますので、具体的にこの結果から何か出てくるということは必ずしもはっきりはいたしませんけれども、第一日目の報告、これは実はまだきのう終わったところで、出先の者から電話で聞いたばかりでございますので正確を欠くと思います。まだきちんとした文書の格好になっておりませんので正確を欠くと思いますけれども、それぞれ各国世界プルトニウムの姿の現状をレビューするというようなことをどうもやっておるようでございます。それからさらに、今後の政策課題としていかなる選択肢があるかというようなことにつきまして、いろいろな議論がなされておるというふうに承っております。  その中で、先生若干お述べなされました、国際的にプルトニウムをどう管理していくか、あるいは昔は御承知のようにINFCE、国際核燃料サイクル評価という作業がございました。その作業の後で御承知のとおりにIPS、インターナショナル・プルトニアム・ストレージというそういう構想もあったことはあったわけでございますけれども、これも御承知のような経緯で具体的には実らなかったということもあるわけでございます。それもさらに含めた新しい意味でのIPSあるいは国際プルトニウム管理というような、そういう話につきましても議論しようということがあるようでございますけれども、これは本当にまだ電話で聞いただけの話で、一日目でございますので、そういうような話が現在行われておるという連絡を受けたということを申し上げさせていただきたいと存ずる次第でございます。
  219. 近江委員(近江巳記夫)

    ○近江委員 これは二日間の日程で開催されておるようでございますけれども、これは日本からももっと提唱して、回を重ねて、徹底して、いわゆる国際共同管理といいますか、どうしていくかということをただ話し合うだけではなくして、きちっとした今その形をとらなければいかぬと私思うのです。そういう点で日本としてイニシアチブをとっていかれる決意がありますか。
  220. 谷川国務大臣(谷川寛三)

    谷川国務大臣 この問題は、御案内のとおりカーター大統領のときにアメリカから提案がありましたが、機熟せずということで立ち消えになりました。  実は、こういうところで申し上げていいかどうかわかりませんが、私は深く考えておりまして、この間のIAEAの総会へ行く前にドイツのテプファー担当大臣に会いまして、実はIAEAの総会でプルトニウムの問題を切り出したいがどうだろうという相談をしましたら、やめてください、今関心があるのは日本フランスぐらいなもので、ほかのところは余り論にかけておらぬ、だから機熟せぬ、カーターのときのあれもあるから谷川さん、今度は話を出さぬといてくれということで、私は話を出さなかった経緯がございます、率直に申しまして。  そういうことでございまして、関心は大変高く、強く持っておるのでございますが、今局長から話がありましたように、今度も非公式に内輪話を皆さんでしている状況でございまして、様子を見て切り出しをしなきゃならぬことかと思っておるところであります。
  221. 近江委員(近江巳記夫)

    ○近江委員 そんな、様子を見て切り出しをするという。日本の置かれた国際的な状況というのは、それはいろんなお考えがあるのかもしらぬけれども、これだけプルトニウム問題については日本が一番焦点に当たってきているんだ。そうであるならば、そういう疑惑を晴らすためにも、日本としては全く素っ裸の透明の中でという姿勢を、そのためにはもっと論議を重ねてもらいたい、そういう姿勢を出すべきと違いますか。
  222. 谷川国務大臣(谷川寛三)

    谷川国務大臣 申し落としておりましたが、今IAEAの、そういうウィーンへ持っていって管理するという体制ではありませんけれども、けさほども話しましたように、IAEAの査察が大変徹底しております。動燃の事業団の工場には常時数人のIAEAの査察員が来て監視しておりますし、写真機で現場を管理しておるという状況でございます。これは本当に徹底した管理体制でございまして、そういう点で決してプルトニウムの問題をIAEA自体が見逃しておるわけじゃありませんこともつけ加えておきたいと思います。  さっき、私がドイツ大臣に話しまして、今切り出さぬといてくれという話が出ましたことも考えますと、時期を見て出さないとまたかえっていろいろ誤解をと思います。
  223. 近江委員(近江巳記夫)

    ○近江委員 プルトニウム問題は、何といいましてもやっぱり透明性、そしてまた今IAEAの査察の話がございましたけれども、軍事転用へのそういう懸念、それを払拭しなければならぬわけですね。そのためには、いわゆるIAEAの厳格な査察を我が国は受けておるという答弁、私も聞いておりますけれども、我が国としては、それは非核三原則のこともある、あるいは原子力基本法の問題もある、NPT参加の問題もある、いろいろなことがありますよ。だけれども、まだまだ世界的に見れば、政府はそのように言っていますけれども、それじゃ世界の人がそれだけのことを知っているか、そういうこともある。  この透明性ということですが、これは一トン入ってくるのですけれども、現時点で幾らあるのですか、プルトニウムは。詳細にひとつ答弁してく、ださい。
  224. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 日本におきましてプルトニウムを大量にと申しますか、定常的に扱っている機関でございますので動燃状況から御報告申し上げますが、まず大づかみの話を申し上げさせていただきたいと存じます。  動燃は、東海の再処理工場を持っておりますので、年間に〇・四トンから〇・五トンのプルトニウムを生産いたします。それから使用の面でございますが、「もんじゅ」が臨界いたしますと、大体〇・五トン年間に消費をいたします。そのほかに「常陽」並びに敦賀にあります「ふげん」、これで大体○・二トン消費するというのがこれからの姿でございます。そうしますと年間〇・二ないし〇二二トン不足するという状態にございます。  そこで、まず現在、約〇・四トンのプルトニウムウランの混合粉末が東海にございまして、これらはそれぞれの燃料製造の工程に入りつつあるという状況でございます。それから、近く予定どおり進めば約一トンのプルトニウムが入ってくるという状況であります。一方、東海の再処理工場は十二月初旬に操業を終わりまして、来年の夏まで定期的な点検のため操業を停止するという状況でございますので、大体今度入ってきます一トンのプルトニウムをだんだん、俗な言葉で言えば食いつぶしていくという状況がしばらく続く、こういうのが現状でございます。
  225. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  一九九一年十二月末での日本国のプルトニウムの総量は二十九・九トンでございますが、内訳は原子炉、これは軽水炉も含めまして、この中に入っておりますのが二十六・六〇六トン、それから再処理に一・一一八トン、それから動燃事業団プルトニウム燃料製造施設ですとか製錬転換施設といいます主要施設に二・一七六トンございます。  以上でございます。
  226. 近江委員(近江巳記夫)

    ○近江委員 こういういわゆる透明性といいますか、これはもういつの時点でも本当に我が国としては常に明らかにしていく、そういう定時報告ということもあるでしょうけれども、聞かれたならばだれに対してもこうですと、やっぱり常にそういう管理を厳重にしなければいかぬ。透明性を本当に一〇〇%クリアにしていくということは、非常に大事だと私は思うのです。その点、政府はどう考えていますか。
  227. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  これまでも核燃料物質の保有量ですとか、主要な核燃料物質の移動量ですとか査察業務、これはIAEAの行います査察あるいは我が国独自の査察につきましての量につきましては、原子力白書あるいはセミナーあるいはパンフレットで公開してまいりましたが、ますます我が国プルトニウム利用に関する内外の懸念が高まっております。これらを払拭するためにも、こういった査察の実施状況については、皆様方の理解を深めるために何らかの作業をせねばならないと考えております。したがいまして、今どんな形が効果的かということを模索している次第でございます。今後ともこういった努力を重ねまして、保障措置に対します内外の理解を得るよう最大の努力をしてまいりたいと思っております。     〔委員長退席、光武委員長代理着席〕
  228. 近江委員(近江巳記夫)

    ○近江委員 このウィーンでの会議、これは非常に重要な緊急会合であると思いますし、これをうんと育てて、そしてやはり国際共同管理を徹底してやらなければいかぬ。そしてまた、そのことによってこれから我が国がとっていく政策につきましても十分世界の人に理解をしていただき、安心もしていただき、納得もしていただく、こういう姿勢もとらなければいかぬ。そのために全力を挙げてもらいたいし、そのためには時間もかかるかもわからぬが、これは徹底してやるべきだと私は思うのですね。それはやっていただけますか。それをやらない限り、今のような姿勢でいったらだめですよ。つまずきます。それはもう世界じゅうの不信感、反発、経済大国として日本は何だ。我々がそういういろいろな心配な声をかけることに対しても、素知らぬ顔だ。政府の人が行って説明しておるかしらぬけれども、そんなものは上の役人が聞くだけの話ですよ。徹底して私はそれをやるべきだと思う。どうですか。
  229. 谷川国務大臣(谷川寛三)

    谷川国務大臣 そのとおり徹底してやる所存でございます。
  230. 近江委員(近江巳記夫)

    ○近江委員 えらい抽象論というか、その決意はわかったわけですけれども、本当にこれは冗談ではなくやっていただきたいと思うのです。ですから、日本中心的に先駆を切って、そのことを関係国に訴えてきちっとしたものにしていただきたい、このように思います。  それから、 一トンのプルトニウムが入ってくるわけですけれども、これは「もんじゅ」に全量使用されるのかどうか、どう予定されていますか。
  231. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 お答え申し上げます。  この一トンの輸送問題につきまして、米国並びにフランス政府に対しまして、私どもはこの一トンは「もんじゅ」の燃料にのみ使用するということで御説明しております。
  232. 近江委員(近江巳記夫)

    ○近江委員 実用化という点におきましては、これはまた長時間かかるわけでございますけれども、当面、政府軽水炉での利用計画、いわゆるプルサーマル計画、MOX燃料を使用するということを言っておられるわけでございます。このMOX燃料に使用する。プルトニウムの量、あるいは使用の炉、あるいはエネルギー効果等をどのぐらい想定されていますか。
  233. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  プルサーマル計画の概要につきましてかいつまんで申し上げますと、我が国の今後の軽水炉におきますプルトニウム利用計画、プルサーマルでございますが、一九九〇年代半ばに八十万キロワット級の加圧水型炉及び沸騰水型炉、いわゆるP、Bそれぞれ一基におきまして四分の一炉心相当分のMOX燃料を装荷するということでございますし、さらに一二分の一炉心相当分のMOX燃料を装荷いたします百万キロワット級の軽水炉に換算いたしまして、一九九〇年代末には四基程度、二〇〇〇年過ぎには十二基程度の規模にまで段階的かつ一歩一歩拡大して利用していくという計画であるわけでございます。プルサーマル計画におきましては、百万キロワット級の軽水炉におきまして一年間当たりMOX燃料といたしまして消費されます核分裂性プルトニウムの量は、加圧水型炉、沸騰水型炉で若干それぞれ違うところがございますけれども、平均いたしますればおおむね三百数十キログラムというふうに承知いたしておるところでございまして、全体エネルギー効率につきましては、低濃縮のウラン燃料を同程度装荷した場合とおおむね同等程度というふうに聞いておるところでございます。  なお、先生がおっしゃいました、今後どの炉にMOX燃料を入れるのかということであるわけでございますが、これにつきましては、現在電気事業者におきまして所要の検討が進められておるところでございます。  なお、MOX燃料と申しますと、極めて別の新しいことをするような印象もあるわけでございますけれども、プルトニウムは現在の一般の原子力発電所におきましてもどんどん燃えてエネルギーを発生しているということも、あわせ申し上げ弐せていただきます。
  234. 近江委員(近江巳記夫)

    ○近江委員 このプルトニウムを入れる量です分れども、プルサーマル、いわゆるMOX燃料で何%になるのですか。三から六%ぐらいと聞いたのですが、間違いがあったら言ってください。高速増殖炉で一六から二一%ぐらい、そうですが。それから新型転換炉は、ちょっと聞いてないのですけれども、今の言った数字が間違いあるのか。また、新型転換炉はどのぐらいになるか。
  235. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 新型転換炉「ふげん」の例では、約三%のプルトニウムを入れた燃料を使っております。
  236. 近江委員(近江巳記夫)

    ○近江委員 今申し上げた数字は、合っているの。
  237. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  一般的に申しまして、大体今先生がおっしゃったような数字になるものと思っております。
  238. 近江委員(近江巳記夫)

    ○近江委員 これからこうした新しい燃料をまたやっていかれるのでございますし、常に安全性第一ということに徹しなければならぬわけです、「もんじゅ」にいたしましても、当初計画から大分これはおくれてきておるわけでございますけれども、フランスの例を見ましても、現実にはもち既に停止状況ということでございますし、そういう点で私が申し上げたいのは、いわゆる焦る必要はないということです。それは我が国はすべての資源がないのですから、皆さんがエネルギー政策ということで視野を狭くその一点にぐっといけば、それは焦る気持ちといいますか、前へ前へということになるかもしれませんけれども、もっと大きな目で、関係者の皆さんに私は申し上げたい。  あなた方はすぐ、事故でも事象という言葉で言っておるけれども、要するに一つのことだって全体のこととしてとらえていく。そこの原発の一つの炉の問題じゃないんです。そういう精神が、考え方がないんです。もっと安全性に徹して、燃料にしても徹底した、いわゆる石橋をたたいて渡るという、それが非常に大事なんです。その点が非常に欠けておりますし、なれが出ておる。  現在動いておる原発でも、そうでしょう。先般私は福島へ行ってきましたけれども、現場の人にも厳しく私は申し上げたわけでございますけれども、あれなんかはヒューマンエラーの最たるものでしょう。二十年の旧式炉であるということもそれはありますけれども、あんなことが美浜の事故に続いて、ECCSの作動だって五回起きていますけれども、同じ炉で二回も起きているのでしょう。そういうヒューマンエラーを一つの起点として、あるいはまた技術上のそういう大きな欠陥だとか、まだまだそういう途上にあるということを認識しなければいけませんよ。だから、この原発のことに話が入ってきたんですけれども、福島のあの件につきましてはどう反省しているんですか。あんなだらしない事故を起こして、政府として平然としておるんですか。
  239. 谷川国務大臣(谷川寛三)

    谷川国務大臣 せんだっての福島の事故につきましては、早速那須東京電力の社長が私のところへ見えられまして、いろいろ陳謝をされておりました。私からは、管理体制を強化してもらいまして、今お話がありましたこういう人的なミスは二度と起こさないように御注意いただきたいと厳重に申し入れをいたしました。その後、公明党から、この問題につきましての安全性についての申し入れがございました。全く同意見でございまして、この文書を早速東京電力の方へ移送いたしまして、重ねて御注意申し上げたところでございます。また、別途通産省でも、東京電力だけじゃありません、各電力に対しまして同様の注意をしたというふうに聞いておるところであります。今後とも一層厳重に注意をして、安全の上に安全ということでやっていきたいと思います。
  240. 近江委員(近江巳記夫)

    ○近江委員 きょうは通産省も来ておられると思うのですが、通産省から答弁。
  241. 藤富説明員(藤富正晴)

    藤富説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生御指摘になりました、本年九月二十九日に発生いたしました東京電力株式会社福島第一原子力発電所二号機における非常用炉心冷却系、いわゆるECCSの作動を伴う自動停止は、環境への放射性物資の放出はありませんでしたが、点検時の作業ミスを原因とするものであり、遺憾なものと認識しております。  通産省としましては、徹底した原因究明、再発防止対策検討に取り組みまして、過日十月二十九日に東京電力株式会社に対しまして、国及び地方自治体への通報連絡の改善、ヒューマンエラー防止の徹底などを内容とする再発防止対策の実施を指示いたしまして、十一月五日に同電力から再発防止対策の実施についての報告を受けたところでございます。またさらに、原子力発電所の安全性の一層の向上を図る観点から、従来からヒューマンニラー防止対策などの予算措置を講じておりまして、技術開発に取り組んでいるとともに、電気事業者に対してヒューマンエラー防止など運転、保守管理の一層の徹底を厳しく指導しているところでございます。機会をとらえまして、電気事業者を厳しく指導してまいりたいと思います。
  242. 近江委員(近江巳記夫)

    ○近江委員 現地へも行って、また現地の人からもいろいろお話も聞きましたけれども、連絡通報の問題一つにいたしましてもなっていませんし、この一つのことから本当に反省すべき点が山ほどあるわけですね。それがその場限りで終わっているから、いつでも次から次へといっておる。もっと緊張して徹底をしていただきたい、このように思うわけです。  それで、特に現地からいろいろな問題がありましたけれども、要望が一つ来ておりまして、防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲ということで、半径八キロから十キロの距離を目安とするということをやっておるようですが、これは何も法律でも何でもないわけですね。だから周辺の町が、例えば浪江町というところがあるのですけれども、ちょうど十キロ地点に入っているけど入っていない。いつもつんぼ桟敷に置かれておる。大変不満があるのです。この辺の線引きですね、こういうことについての見直しは考えないのですか。何回も皆さん聞いておりながらも、いつも放置をしておる。真剣にそういう現地の声だって受けとめようという、それがない。皆さん方は、やはりその住民の声なりなんなりを軽視している。出たならば、それに対してはどうか。真剣さがないから、そういうような一つの原発のそれにしても、ああいうようなぶざまなヒューマンエラーということが出てくるのですよ。この点は、どうなんですか。
  243. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  今先生の申されました防災の重点地域の範囲は、原子力安全委員会におきまして、現段階におきます施設の状況とか事故の可能性ですとか、あるいはその事故が起こった際の規模などの技術的な側面の検討に加えまして、人口分布ですとか行政区画、あるいは災害応急対策実施上の実効性などを総合的に検討いたしました結果、原子力発電所などを中心といたしまして八キロから十キロの距離を目安とするということを提案したものでございます。それで、これは現在でも、原子力安全委員会といたしましてはこの範囲、すなわち八から十キロメートルの範囲に重点を置いた現行の原子力防災体制は妥当と考えている次第でございます。
  244. 近江委員(近江巳記夫)

    ○近江委員 まあ妥当と考えるといったって、そういう声が強いのですから。だから、そこの線で切って、一切その線引きで関係がないというようなそういう姿勢じゃいかぬと思うのですよ。例えば連絡とかそういうことについては、少なくとも周辺のところについては、主要なことについては御報告するだとか。そういう紋切り型の、このように決めましたからと、それは地元は違うのですよ。そこのところをもっと柔軟にしていくということが大事と違いますか、みんな心配しているのですから。
  245. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 重点地域と申しまして八キロ-十キロを申しましたが、ここだけに防災対策を施すということではございませんで、万々が一の際には、この八から十キロの範囲の重点地域に行います施策の応用として、八キロ-十キロの外側にも必要な対策を施していく所存であります。
  246. 近江委員(近江巳記夫)

    ○近江委員 対策を施していきますじゃなくして、日常にそういうような不安なり、もっと情報を知りたいというようなこともあるわけですから、それをしなさいと言っているのです。対策をするのは当たり前ですよ、そんなことは。それについてはどうなんですか。
  247. 藤富説明員(藤富正晴)

    藤富説明員 過日の九月末の福島第一原子力発電所二号機のトラブルにつきましては、地元の方への連絡通報がおくれたということで大変遺憾なことだと認識しております。  原子力発電開発利用に当たりましては、その安全確保とともに、地元の方々を初めとする国民理解協力を得ることが大前提でございますので、今後とも電気事業者を適切な連絡通報ができるように指導してまいりたいと思っております。
  248. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  防災対策につきましては、常日ごろから地域の行政の方と相談しながら検討を進めているところでございます。
  249. 近江委員(近江巳記夫)

    ○近江委員 だから、そういう声を大事にして、例えば十キロの線引きとするでしょう。そうすると、その線に隣接した市町村については報告だけでも日常するとか何らかの、やはり一歩前進でそういうことをできるかどうか。そういうような声が強いわけですから、ぜひ検討してください。それは検討しますか。
  250. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 今先生の申されましたこと、十分に踏まえまして関係者で検討してまいりたいと思います。
  251. 近江委員(近江巳記夫)

    ○近江委員 少なくとも隣接する市町村につきましては、何らかのそういう形というものをぜひやっていただきたい、このように思います。今検討するとおっしゃったので、強く期待いたしておきます。  それから、もう時間もありませんのであと一点だけ。雲仙・普賢岳等のいわゆる火山あるいはまた地震、そういうことについて絶えず申し入れもしてきておるわけでございますが、私は特にことしの四月二十一日、この申し入れをさせていただきました。科学技術会議の中にぜひそういう防災の部会といいますか、それを設けて、そして基本計画というものにつきまして真剣に取り組むように、また国立の地震研究所であるとか火山研究所も設置しなさい、その他もろもろのことを申し入れをしておるわけですが、その点は真剣に受けとめてやっていただいておるのですか。
  252. 長田政府委員(長田英機)

    長田政府委員 防災科学技術全般の点でございますが、現在、科学技術会議の答申を受けまして内閣総理大臣が定めました防災に関する研究開発基本計画、これは昭和五十六年の七月に定められたものでございますが、これに基づきまして関係省庁で行政をやっております。しかしながら、その後の状況を見てみますと、技術的あるいは社会的要請、先生御指摘のいろいろな点がございまして、この基本計画の見直しを行う方向で現在検討しております。そういう見直しを行うことになりますと、御指摘のとおり、科学技術会議に部会を設けまして、そこで検討をしていくということでございます。
  253. 近江委員(近江巳記夫)

    ○近江委員 それじゃ、その点もよく期待して見守っていきたいと思いますから、十分こたえられる中身をやってもらいたい、強く要望いたしておきます。  それから、まだあと一分ぐらいあるようでございますから、宇宙開発で。先般HⅡがまた失敗したと非常に心配しておるのですけれども、「ふよう」一号がトラブル続出しておるということでございますが、これは関係各省のその辺の十分な連携といいますか、それができてなかったんじゃないか、そこに一番の大きな原因があるんじゃないか。特に科学技術庁、通産省、この点は十分反省して、今後に備えなければいかぬと思うのです。その点、どういうように反省しているのですか。
  254. 石井政府委員(石井敏弘)

    ○石井政府委員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘の地球資源衛星一号は、ことしの二月に打ち上げたわけでございますが、打ち上げ直後に合成開口レーダーのアンテナが展開しないといったようなトラブルが発生いたしたわけでございます。その後これは解決いたしておりますが、その後におきましても、取得画像のトラブルと合成開口レーダー画像に白い筋状のノイズ、あるいはゴースト状の影が生じるといったような問題が生じておるわけでございますが、これらにつきましては、地上での画像処理等によりまして原画像の復元がほぼ可能であるといったようなことで、おおむね地球資源衛星一号によります観測には実質的な支障を与えるものではないであろう、かように認識しておるわけでございます。  特に先生御指摘のこれらのトラブルの原因ということにつきましては、宇宙開発委員会のもとに技術評価部会というものを置きまして、厳重に評価を行うということでやっておるわけでございまして、今回のこのJERS1のトラブルにつきましても徹底的に調査検討がなされたところでございます。その原因あるいは対策につきまして、特にこの技術評価部会におきましては、環境をシミュレートした動的なコンピューター解析を行って、その結果を踏まえて十分な模擬試験を実施するとか、あるいは部品故障の回避についての品質管理の徹底、あるいは十分な試験の実施といったような初期故障を除くことについて十分検討しろとか、あるいは過去の経験が生かされるシステムの中で開発を進めていくというような指摘、あるいは開発製造、試験段階におきます品質確保、性能確認についての十分な配慮をすべきであるといったような指摘をいただいておるわけでございます。  先生のおっしゃいましたような、各省庁がばらばらというような、必ずしもそういったことではございませんが、過去の経験が生かされるようなシステム、こういった非常に厳しい御指摘も受けておりまして、私どもといたしましては、今回の宇宙開発委員会の指摘をも踏まえ、十分このような指摘が活用されるよう、今後とも関係機関と一層緊密な連携をとりつつ、宇宙開発推進に努めてまいりたいと考えております。
  255. 近江委員(近江巳記夫)

    ○近江委員 それじゃ、十分な反省の答弁があったわけですから、今後本当に密接な検討、連携をよくとってやっていただきたい、強く要望いたしまして、質問を終わります。
  256. 光武委員長代理(光武顕)

    光武委員長代理 吉井英勝君。
  257. 吉井(英)委員(吉井英勝)

    吉井(英)委員 まず最初に、これは一九八八年の国会で、いわゆるPP法、核物質防護について法律を通しました。そのときに全会一致で附帯決議をしております。それは「原子力研究開発及び利用について、民主、自主、公開の三原則を定めた原子力基本法の精神を堅持すること。」ということで、全会一致だったわけです。このときの伊藤科学技術庁長官も、この決議を尊重するんだと決意表明をされました。私はけさほど来のいろんな議論を聞いておりましても、これは核ジャック等のこういうものに対するPPは必要なわけです。しかし、PPを拡大してしまって、それで当然公開されるべき情報が管理されてしまう、非公開になってしまう、これは大変なことだと思うわけです。  この点では、まず最初に科学技術庁長官の方から、科学技術庁の内部においても、関係機関においても、この点公開の原則を厳しく遵守するように私は徹底をしていただきたいと思うのですが、長官の見解をまず伺いたいと思います。
  258. 谷川国務大臣(谷川寛三)

    谷川国務大臣 吉井先生のおっしゃるとおりでございます。公開の原則は厳守しております。一般にも周知しております。  ただ、何度も申し上げるようでございますが、輸送中の核物質につきましては、施設に置いて兎るときに比べますと危ないものでございますから、日時とか経路とかそういったものは非公開にしております。公開の原則はしかし守りまして、やたらに情報管理はいたしません。とにかく協力を求めなければいけませんから、安全性についての公開とか研究開発についての公開、これは先生おっしゃるように公開の原則を厳重に守ってい弐ます。周知をしていきます。
  259. 吉井(英)委員(吉井英勝)

    吉井(英)委員 フランススーパーフェニックスの報告書、ことし六月十六日付ですね、昨日もらいました。これについては、私は原文の方と、翻訳もあるだろう、翻訳と両方いただきたいとお願いしておいたのですが、原文だけいただきました。翻訳はないというのですね。それで、これは私に見せたくないのか、本当に翻訳はないのか、どちらなのか、これをまず科学技術庁の方から伺いたいのです。
  260. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 私がお答えするのが適当かどうかわかりませんが、お答えいたします。  まだ正式な翻訳は持っておりません。
  261. 吉井(英)委員(吉井英勝)

    吉井(英)委員 動燃事業団の国際部で翻訳した日本語版があるんじゃありませんか。
  262. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 私どもに非常に関係の深い内容の文献でありますから、勉強のために部分的にあろいは訳したものがあるかもしれませんが、私、見ておりません。
  263. 吉井(英)委員(吉井英勝)

    吉井(英)委員 あるかもしれないというようなものじゃないですね。立派なものがあるじゃないですか。  それで、実は昨日いただいた原文の中でも、添付書類六つは原文でもくれないのですね。これは一体なぜですか。  例えば添付書類の6の(2)というのは、「クレイ・マルヴィル原子力発電所安全審査-ナトリウム汚染の結果要求された書類-勧告書」など、ずっと六つあるのですけれども、これは出したくないから原文の方でもくれなかったのか、一体どういうことですか。
  264. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  それは添付書類はあったのかもしれませんけれども、実際の先生の御要請が報告書ということでありましたので、恐らく担当では本分のみお出ししたということであろうかと思うわけでございます。  それから、先ほどの日本語の訳ありなしてございますけれども、これは実際恐らく事務的には便宜若干の訳をしておるかもしれませんけれども、これにつきましては正確さの問題等々がございましたので、出すことを遠慮させていただいておる、あるいはそういうことであろうかとも思う次第でございます。
  265. 吉井(英)委員(吉井英勝)

    吉井(英)委員 遠慮するなら遠慮するということですね。遠慮すると出さないでは、全然違う。それで、これは原文の方に、これは訳文にも載っておりますが、原文の方に添付文書を1から6までちゃんとつけるんだとなっているんですね。添付書類を全部含めて、これは原文なんですよ。なぜ省いたかという説明には全くならないし、これは私はなかなか権威あるものだと思うのですね。監修、動燃事業団動力炉開発推進本部国際部もんじゅ建設技術開発部でちゃんと出しているじゃないですか。これは当然、科学技術庁もいっているわけだし、適当な訳はあるかもしれないというような話じゃなしに、あなたたちは持っているのだから、なぜ出さないのですか。  私は先ほど長官に伺ったのは、事ほどさように情報が管理されてしまって、さっぱり出されていないのですよ。特に、今国会の中でも「もんじゅ」の問題プルトニウム利用の問題について、これだけけさから議論しているわけですよ。ですから、我々が同じ土俵で議論をしようじゃないかということで求めているわけですから、やはり出してもらうべきだと思うのです。  あわせてこの機会に伺っておきますが、これはまず国会の方にこの文書は要請すれば出して、我々が検討するように協力してもらえますね。
  266. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 今ほど先生のおしかりでございますが、必要なものにつきましては、私どもこれまでもなるべく出すように努力しておったことでございます。ただ、今の先生お話の資料につきましては、委員会の方から御要請がございますれば、出させていただく用意はございます。
  267. 吉井(英)委員(吉井英勝)

    吉井(英)委員 私は、これは国会議員にも、きょうはマスコミの皆さんも来ておられると思いますが、マスコミの皆さんにも、やはりちゃんとこういう大事なときに大事なものは出されるようにする。情報は管理じゃなくて、公開することが大事だと思うのです。  それで、この中で私も読ませていただいて、まず大事な問題として、スーパーフェニックスに関して、前のフェニックスにおいて発生した反応度異常事象の原因が特定できていないので、スーパーフェニックスヘの教訓のフィードバックは不可能だということを書いていますね。もう一つは、原子炉建物内二次系ループにおけるナトリウム大量漏えいへの対応が極めて困難であること、こういうことなどを指摘しているわけです。ほかにどういう点をさらに重視しておりますか。
  268. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  これについてはいろいろ言っておるようでございますけれども、特に重要なこととして指摘しておりますのは、今先生御指摘のその二点というふうに承知しております。     〔光武委員長代理退席、委員長着席〕
  269. 吉井(英)委員(吉井英勝)

    吉井(英)委員 日本のFBR「もんじゅ」について、フランスの場合と、タンク型とループ型の違いがあるとか、いろいろ違いがあるのは私も知っておりますが、この報告書で指摘されたことについて、「もんじゅ」に関しては解決されておりますか。
  270. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  まずフェニックスにつきましては、八九年から九〇年にかけまして、運転中に反応度が急に低くなってスクラムした異常を四回経験しております。フランス関係機関では、この原因の究明を続けておりまして、現時点ではまだ反応度が急に低くなる原因を特定できるところまでは至っていないと承知しております。  しかし、この異常は、基本的には反応度が急に低くなる事象で、その時点でスクラム信号が発生しておりまして原子炉もとまっておりますので、安全性には大きな問題はないというふうに現在では考えております。
  271. 吉井(英)委員(吉井英勝)

    吉井(英)委員 私は指摘しましたように、スーパーフェニックスヘの教訓のフィードバックは不可能であるという点、それから二次系ループにおけるナトリウムの大量漏えいへの対応が極めて困難であることと指摘をしているという点に先ほど触れて、そして原子力局長からそういうことを言っておるということを認められたわけですね。だから、それが日本の「もんじゅ」の場合には解決できているのかということを伺っているのです。
  272. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 ナトリウムの点につきましては、「もんじゅ」につきましては三系統ございます。その三系統はそれぞれに独立しております。  一方、スーパーフェニックスの方は四系統ございまして、約九十度の角度にそれぞれの系統がございますが、一つの系統で、例えばナトリウムの燃焼が起こればすぐさま四系統に広がるような構造になっておりますが、「もんじゅ」の場合は、格納容器のナトリウム機器、配管を収納するところが分かれておりますし、またそれぞれ床を全面スチール張りにするとか、あるいは窒素雰囲気にいたしまして燃焼を抑制するような、万が一、一つのループで燃焼が起こりましてもそれが他に波及しないような設計になっております。
  273. 吉井(英)委員(吉井英勝)

    吉井(英)委員 私は先ほど言いましたように、炉のタイプが違うということはわかっているのですよ。それを前提とした上で、このフランスの報告書で指摘された点が解決されているのかどうか。解決されているのであれば、それは設計上の配慮ももちろん大事なのはわかります。やはりこれはいつの時点で、どういう実験をやって確かめたのかとか、どのように実証したのかということをきちっと知っておく必要があると思うのですね。現実に漏れた場合どうなるかということを、その実験等でいつどういう形で実証されたのか、この点をお聞かせいただきたいと思うのですよ。
  274. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 それから途中で話が中断いたしまして申しわけありませんでしたが、反応度の問題につきましては、フェニックスで原因とされております気泡の炉内通過あるいは炉心構造の変形などの対策につきましては、「もんじゅ」では対策を立てております。  これについては実験をしたかということでございますが、実験はしておりませんが、安全審査でこういった対策を評価して、問題ないという判断をしております。
  275. 吉井(英)委員(吉井英勝)

    吉井(英)委員 報告書を読んでおりましても、フランスだってその面での改善は図るということになっているのですね。しかし、なおかつ、これは教訓のフィードバックは不可能であるとか、極めて困難であるという指摘をしているわけですね。ですから、その理論解析だけではなくて、やはり必要なものについてはそれ相当の規模の実験等をやって、きちっと技術的にも確立していくということが大事なのですから、私はその点をまず指摘しておきたいし、この点でぜひあなた方の態度そのものを改めていただきたい、このことを求めて次の質問に入りたいと思うのです。  十月一日、コジェマの「日本へのプルトニウム返還」という文書も昨日原文でもらいました。これも翻訳文はないのですか。渡したくないわけですか。
  276. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 今、どうも申しわけございません。どの文書であるか確かめておりましたけれども、きのう先生のお手元にたしか原文のみお渡ししたというふうに今認識いたしました。
  277. 吉井(英)委員(吉井英勝)

    吉井(英)委員 原文のみ渡っているか、そんなのはわかっていますねん。それは翻訳文がないのか、渡したくないのかということを聞いているのですよ。  あわせて伺っておきますが、これはコジェマの方の原文を私先に読んでおりますが、「二酸化プルトニウム輸送」という資料の原文もついておりまして私は見ておりますが、それを見ておると、四重構造の容器の意味がよくわかるのですね。しかし、きのういただいたものにはその原文がないのですね。何でこういうふうな原文を外してしまうのですか。
  278. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  後の件につきましては、これはきのうの私どもの担当先生とのやりとりでございますから、実際具体的にどういうお話があったか、つまびらかにいたしかねる点は御了承賜りたいと存じます。  それから、日本文があるかということでございますが、これについては翻訳はしておるようでございます。これは申し上げますように、実際急いでやっておる翻訳でございますから、全体どの程度正確であるか、まさに執務上の参考として訳してあるものはあるということは申し上げさせていただきたいと存じます。
  279. 吉井(英)委員(吉井英勝)

    吉井(英)委員 原文と照らし合わせながら読みますから、仮訳の方を出していただくように求めておきます。  それで、やはり原文だけ見ておりますとなかなか我々もわかりにくいところがあるのですが、もう一つのコジェマの「一酸化プルトニウム輸送」という資料も合わせながら読むと、原文と合わせて図や写真を見ているとよくわかってくるのですよ。例えば、もともとFS47という、アンバラージュというものの中に収納缶を入れ、その中にカートリッジを入れ、そしてステンレス製のブワットというのですか、そういうものを入れるのだ。構造、皆わかるわけですね。しかし、皆さん方の方からいただいたものだけじゃなかなかよくわからないわけですね。非常に不親切。そして読んでみますと、このFS47というのはそれ自体千三百八十キログラムで、FS47というのは酸化プルトニウム十キログラム輸送用の容器なのだ。四個のブワットというステンレス缶それぞれに約三キロ酸化。プルトニウムが入って、缶の中で大体三分の二くらいがこのプルトニウム粉末で埋まるのだ、こういったことをみんな書いてあるわけですね。  しかし、ことしの四月ごろでしたか、私この委員会輸送容器について質問しました。その前にいろいろ資料をお願いしたのですが、さっぱり出てこないのですね。これはPPその他に余りかかわりなく出していい問題なんですよ。コジェマは出しているわけです。なぜ我々に出さないのか。本当にこの点は私はおかしいと思うわけです。  それでさらに読んでいきますと、コジェマの安全テストについても、今まで皆さん明らかにしてないことが載っていますね。一九八四年フランスでのテストでは、一千バールですから大体一千気圧でFS47の防水性の保持をチェックし、テストした。密閉内部で実際に切断されるまでテストを追求して、理論深さ三万メートルで切断を生じたということとか、火災の際の状態については、継ぎ手の部分で一千度Cのテストで容器性能研究をやり、一・五時間たってからしか影響は出なかったと。一・五時間たったら問題を生じているわけですね。そういうことはコジェマの方は明らかにしているのに、全然明らかにしない。  我々は、シェルブールからの輸送が始まる前に、ことしの春の国会で輸送問題を、他の党の皆さんからも質問がありました。我々が議論しているとき、ちっとも皆さん出さないのですね。なぜ出さないのですか。この点については、今の時点でコジェマが既に公にして、皆さんはフランス語版ではくれたのだから、このデータについては出しますか。
  280. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  まさに資料といたしましては、お手元にフランス語の資料を差し上げたわけでございますけれども、そのデータの中身というのは、そこにもありますようにコジェマのデータでございます。コジェマのデータは、基本的に私どもからお出しするのはむしろ筋が違うわけでございまして、むしろコジェマから何らかの方法で取り寄せるということにならざるを得ないと承知する次第でございます。
  281. 吉井(英)委員(吉井英勝)

    吉井(英)委員 いや、安全審査のためにコジェマからデータをもらっておって、それを審査に出したと言っているじゃないですか。コジェマからもらわなくても持っているわけだから。ただ、それを出すことについては、これは春のときもコジェマに問い合わせをしてやりたいという、これは理事長さんのお話でしたかね。ですから、これはあのときのお約束ですから、既にコジェマは出しているわけですから、ひとつぜひこれは問い合わせを早急にやっていただいてデータを出していただきたいと思いますが、理事長、どうですか。
  282. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 お約束は守ります。
  283. 吉井(英)委員(吉井英勝)

    吉井(英)委員 さて、コジェマの方のパンフレット類も見ましたが、工場の全景写真から、各  プラントから、二酸化プルトニウム粉末の工程から、MOXペレットの工程など、カラー写真でよく出ていますね。これは軍事利用は別として、かなり公開はしているわけですよ。  先日、「もんじゅ」の視察に行って、私はびっくりしました。山の中腹にお立ち台というのがあるのですね、「もんじゅ」全景が見られるように。そこで、まあせっかくのことだから人物写真の記念撮影でもと言ったら、これはPPだから禁止だと言うのですね。びっくりしました。PPにかかわるところ、またノウハウにかかわるところについては、私はあえてそういうところまで写真を求めばしません。だからちゃんと話をしたのです。PPでこれはやめてほしいとか、またノウハウにかかわる部分でこれは外してほしいというところは外すから、だからそれだったら撮影いいでしょうと。これは拒否するだけじゃなくて、拒否するぐらいならまだかわいい方で、うそをついて写真機まで私の秘書の人が持っていったのを取り上げてしまうのですね。こういうことを動燃は、理事長はこういう非公開のやり方を指示しておられるのですか。
  284. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 これは原則論でございますが、施設内にカメラの持ち込みを含めて、構内での写真撮影は御遠慮いただいているということであります。ただ、今お話しのように記念のために皆さんで何かバックにしてと、それのバックが炉じゃ因るのでありますが、背景を適当に選んでということについては、一応カメラの持ち込み禁止ですから、何か動燃が用意して撮影してさしあげるといったようなことは考えるべきだという気がいたします。
  285. 吉井(英)委員(吉井英勝)

    吉井(英)委員 そういう準備は、全くありませんでした。  それで、私は、本当に今「もんじゅ」というのは軍事施設じゃないかなとびっくりしました。戦前の帝国日本では、軍港でもない港の施設だって撮影禁止でしたね、軍事機密ということで。今「もんじゅ」の現場は、まさにこういう状態ですよ。理事長、あなたはここで本当に根本的に考えてほしいと思うわけです。我々国会でPPを通したというのは、あくまでも核ジャック等に対する対策であって、それはPPにかかわる施設もあり費す、例えばどこにテレビカメラを据えているかとか、それは目に見えておっても、そんなものは写真に撮ろうとか、我々だってわかっているんだからしませんよ。それから、技術上全くノウハウに属する部分でこれはぜひやめていただきたいと言えば、我々そんなもの盗み撮りしようとか、そんなことは全く考えてないわけだから。その上で、じゃここだったらいいですかということを断って、どうぞということについて撮ることは一向に差し支えないじゃないですか。ほとんどの原子力発電所に行ったって、そんなことはみんな認めているのですよ。動燃の「もんじゅ」だけは異常ですね。私は、軍事施設に入ったという、本当にそういう思いがしました。  理事長、やはり非公開が原則じゃなくて、原則は公開であって、しかしPP、ノウハウにかかおる部分でぜひ撮影を御遠慮願いたいとおっしゃったらいいじゃないですか。我々はそれに協力するんだから。原則公開だということを改めて確認をしていただきたいと思います。
  286. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 原子力基本法に自主、民主、成果の公開とうたわれているわけでありまして、我々もそれを遵守すべき立場にあると存じております。
  287. 吉井(英)委員(吉井英勝)

    吉井(英)委員 遵守するのですから、公開原則ですね。
  288. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 自主、民主、成果の公開は遵守いたします。
  289. 吉井(英)委員(吉井英勝)

    吉井(英)委員 成果物だけじゃなくて、実験中であってもPP、ノウハウ、おっしゃったらいいです。我々はそれを撮影しようとか、見ないでもいいですよ。しかし原則は公開なんだと、これは日本原子力平和利用の大原則なんだということをちゃんとしておいてもらわぬと、何かあなたの方でやっておられるのは原子力平和利用以外をお考えかなということになってくるから、もう一遍答えてください。
  290. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 原子力基本法は自主、民主、成果の公開とうたわれております。我々はそれを遵守いたします。
  291. 吉井(英)委員(吉井英勝)

    吉井(英)委員 成果とか成果物の公開というふうにはなってないのです。そんなことは載ってないですよ。  私はなぜここをあなたの方でちゃんとしておかなければいかぬかといいますと、実は一九六九年に外務省が出した「わが国の外交政策大綱」というのをことしの参議院の予算委員会で我が党の吉岡議員が既に指摘しておりますが、その外務省の文書によると、「当面核兵器は保有しない政策をとるが、核兵器製造経済的・技術的ポテンシャルは常に保持するとともにこれに対する掣肘をうけないよう」にする、外務省はこういう方針を出しているんですよ。それであなた方が平和利用のはずのものまで非公開を貫くとなれば、これは国民からも、諸外国からだって不信の目で見られるのは当たり前じゃありませんか。改めて聞きます。公開原則ですね。
  292. 石渡参考人(石渡鷹雄)

    石渡参考人 我々は原子力基本法にのっとってというのが基本的立場であることをぜひ御理解いただきたいと存じます。
  293. 吉井(英)委員(吉井英勝)

    吉井(英)委員 原子力基本法に書いてあるのは公開が原則ですから、これは科学技術庁の方も、大体動燃というのは国が金を出して、研究費もみんな出しているんだから、もっとしっかり、びしつと指導してもらわぬと困りますよ。  さて、そういうことで今後は対応してもらうということにして、六ケ所の日本原燃のウランプルトニウム混合脱硝の建屋配置図というのを、これは公開ヒアリングのときに出てきたものの白ぼてなんですね。中身ありませんね。フランスのコジェマの公開の姿勢に比べても、余りにも異常だと思うんですよ。ただ、この白ぼてのところに施設を配置しても、どの部分に、どこにPPの施設を設けるとか、そんなことまで書けと私は言ってないんですよ。しかし少なくとも、見たらどういう施設かわかるようにするのは当たり前じゃないですか。これは公開されますか。この機会に聞いておきます。
  294. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  その建物の詳細は、核物質防護上重要と考えて出しませんでした。
  295. 吉井(英)委員(吉井英勝)

    吉井(英)委員 核物質防護というのは核ジャック等の対策のことであって、どういう施設であるかというのは出すのが当然なんですね。核ジャック対策で必要な施設まで出せと言っているんじゃないのです。もう一遍答えてください。
  296. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  建物の配置が詳細になり、またどの施設にプルトニウムがあるかということになれば、万々が一テロリストなどが襲ってまいりました場合、核物質防護上好ましくないと考えてそのようにいたしました。
  297. 吉井(英)委員(吉井英勝)

    吉井(英)委員 私は、それには同意できません。公開されることをまず求めておきたいと思います。  時間がかなり迫ってまいりましたので。先ほどのコジェマのいただいた原文の中でも、附属書の一になるところ、その一番下のところに「コジェマはしかも現在MOX燃料の提供、日本との契約を交渉している。それは百万キロワットの四つの軽水炉の炉心燃料の三分の一に使用することを目指している。」と。  先ほど答弁もありましたし、電事連ニュースの先月十五日付のナンバー四十八を見ましても、一九九〇年代末には使用量は百万キロワット級原子炉三分の一に使い、四基相当分だということで同じことが書いてあるんですが、結局このMOX燃料については、これはコジェマと今話し合いが日本の商業用の原発では進められているんだなというふうに理解していいんですねということと、あわせまして、なぜ今プルサーマルにいっているかということについても、コジェマの文書を読んでおりますと、やはり長いこと、つまり五年間ぐらいプルトニウムを置いておくとアメリシウムに変わってしまう量が非常にふえて、燃料の品質が落ちてしまうんだ、粉末二酸化プルトニウム輸送よりもMOX燃料にしておいた方が輸送上の安全、PP上の安全も含めてうまくいくんだ、こういうことも挙げられておりますし、そうしてFBRそのものがやはりフランスでも日本でも今この問題にぶつかっているという中で、それでこのプルトニウムをどう処理するかということで、MOX燃料として使おうというのがその背景にあるようにうかがわれますが、この点はどうですか。
  298. 石田政府委員(石田寛人)

    石田政府委員 お答え申し上げます。  我が国電気事業者とコジェマの間の話でございますけれども、いろいろな検討はしておるようでございますけれども、まだ少なくとも私は契約ができ上がったとは聞いておりません。  それから、今のお話のように、なぜ急いでいわゆるプルサーマルということをやるかということでございますが、これは先ほども御説明申し上げましたように、一義的にイギリスフランスの再処理施設から出てまいります分離プルトニウム電気事業者のものでございます。電気事業者は全体を総合的に判断いたしまして、まさにMOX燃料として加工し、それを利用する道も検討しておる、かように認識しているところでございます。
  299. 吉井(英)委員(吉井英勝)

    吉井(英)委員 大体もう時間が終わりになってまいりましたので、ここらで締めくくりに入りたいと思うのですが、本来、日本原子炉で使ったものについて、その後始末を日本の国内でめども立たないのに、もともと原発を進めておるからこうなってくるのですが、それを海外に任せればいい。当然日本のものですから、日本としても少なくとも道義的にはどうするかは責任を考えなければいけないことになってきますね。今そこでいろいろな問題が出てきているんですよ。私は、それなのにまだ海外処理ということもお考えのようであるし、特にコジェマの資料を見ておりますと、メロックスというのですかムロックスというのですか、あそこの新しい今建設中の年間百二十万トン、MOXの生産としては…(石渡参考人「万なし」と呼ぶ)ああ、そうそう。万なし。万があったらすごい話になりますが、年間百二十トンのMOX生産、そこへさらにのめり込んでいこうとしているんですね。私は、国際的に見ても、こういうふうな原子力政策についてはやはり根本的に考え直さなければいけない、そのことをやはり皆さんに真剣に考えてもらわなければいかぬと思うのです。  ところで、そのプルサーマルを進めるために安全審査の基準はまだできてないんですね。安全審査の基準はできてないんだが、原電の敦賀と関電美浜一号では……
  300. 近岡委員長(近岡理一郎)

    近岡委員長 時間が参りましたので、まとめてください。
  301. 吉井(英)委員(吉井英勝)

    吉井(英)委員 はい。一号では変更申請を出して、それで基準なしに大体準ずるという扱いで、既にもう使ってきているんですね。これは初めに結論ありきという姿勢が余りにも顕著じゃありませんか。しかも、そういうことが国民の前にほとんど明らかにされないで進められてきた。私は、こうした重大な問題を今抱えているわけですから、いよいよ物事を隠すんじゃなくて、いろいろなものをもっと公開して、少なくとも原子力平和利用だとうたうのだったら、公開を大原則にして、もっともっと公開するべきだ。この最後の部分についてだけは、大臣の方から改めて公開についての考え方、あなたも土佐のいごっそうとして、ここはぴしっと貫いてくださいよ。
  302. 近岡委員長(近岡理一郎)

    近岡委員長 お答えは簡略にひとつ……。
  303. 佐竹政府委員(佐竹宏文)

    ○佐竹政府委員 MOX燃料の安全審査の指針の件について、お答えさせていただきます。  確かに今まだ指針はございませんが、敦賀一号炉はわずか二体、美浜一号炉は四体でございまして、これまでの軽水炉、FBR、ATRにおけるMOX燃料に使用してきました審査経験の蓄積を踏まえまして策定した安全設計審査指針などを用いまして、基本的に安全を確保しております。  ただ、プルトニウムの割合がふえてまいりますと、制御棒の中性子吸収の減少ですとか、ウランプルトニウムの局所的熱出力アンバランスですとか、あるいは原子炉の反応度の変化が少し早いといったようなこともMOXを多量に使った場合にはございますので、事業者におきまして軽水炉におけるMOX燃料利用計画が具体化してまいりましたならば、審査の客観性、合理性をさらに高める上で、指針などの要否について検討してまいりたいと思います。
  304. 谷川国務大臣(谷川寛三)

    谷川国務大臣 いたずらな不当な情報管理は、絶対いたしません。御理解をいただくために安全性に対する情報、それから研究開発に関する情報等は、従来どおり公開いたします。
  305. 近岡委員長(近岡理一郎)

    近岡委員長 御苦労さまでした。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十九分散会