○板垣正君 この北方領土返還については、御案内のとおり、与野党全会一致で
国会における決議が衆参において何回も重ねられてきたわけでありますし、まさにその正念場を迎えつつあるわけでありますから、
政府当局におかれてもさらに
決意を持って臨んでいただきたい。私
どもも全面的にこの問題に対処していく
決意でございます。
時間の
関係もありますので、
人勧関連で恩給の問題です。これ
一つ御要望申し上げておきます。
恩給受給者は
人勧の成り行きに非常に関心を持っております。御案内のとおりに、
人事院勧告が決まりますとこれに対応した恩給受給者の
改善措置がこれまた年末でございますが処理される。そういうことで、
政府等においても従来国家補償としての恩給を
公務員給与に準拠をして
改善を図る、総合勘案と言いながら実質的には
公務員給与のアップ率を基準として
改善を図ってきていただいておる。さらに恩給受給者と申しましても特に戦没者遺族の場合、国家補償性がなかんずく私は配慮されてきていただいているし、またそうあっていただきたい。こういう点で、
岩崎長官には今年度の
改善措置についてはまさにそういう
趣旨で実現を図っていただき、遺族初め
関係者も大変感謝いたしているところでございます。したがいまして、もうお気持ちのほどはよくわかりますので御答弁は求めませんけれ
ども、何とぞそういう手法で今度の予算編成にも
処遇改善に臨んでいただきたい、このことをお願い申し上げる次第であります。
最後に、
官房長官お戻りいただきましたので、天皇陛下の御訪中の問題を申し上げたいと思います。
天皇陛下の御外遊をめぐってこれほど論議されたことはなかったと思う。現天皇陛下も東南アジアをめぐられたわけでありますが、今度中国に行かれることについてはど国内的にも大きく論議され、国際的にも注目されていることはないと思う。そういう中で私は、今は時期にあらず、諸般の情勢からいってその時期ではないということを再三主張してまいりましたけれ
ども、とにかく
政府は八月二十五日の閣議をもって正式に天皇陛下の御訪中が
決定された。日程も
決定された。今や双方が準備に専念をしておると、こういう段階でありますから、そういう現状に立って
官房長官にお願い申し上げたい。
従来の日中
関係、この日中二十年のけじめと、こう言いますけれ
ども、必ずしも満足される外交が展開されてきていない。つまり蹟罪外交、日中位負け外交、さらに悪い表現では土下座外交、こういう姿において我が方が主張すべきことも主張しない。相手国の言うことは御無理ごもっともで、内政干渉的なことにも涙をのんでと申しますか、それを受け入れてきたと、こういう積み重ねが、さらには中国のこの天安門事件の問題にせよ、尖閣列島の問題にせよ、あるいは最近の軍事力、海軍力増強の動きにせよ、諸般の問題の中で
日本国民がこぞって陛下を喜んでお送りする気持ちになり得ない、こういうものがあることはこれまた事実であります。もちろん我が国の外交の
基本として、アジア外交における日中
関係というものは、これはやはり一番
基本的な日米
関係とともに大事にしなければならない。
そういう
意味合いにおいて、陛下が御訪中されることはまさに
政治抜きの親善のために行っていただくということを総理も談話をされ、
官房長官も
記者会見で発言された、まさにそのとおりであっていただきたいと思います。いやしくも
政治的な利用と申しますか、
政治的なペースにこれが絡まるというようなことはこれは我が国の国益のためにも、将来のためにも避けなければならない。同時に、これを契機にして二十年という、戦後四十七年という、そういうある
意味のけじめをつける
意味合いにおいていつの日かは陛下に行っていただかなければならない時期、これはあったと思うし、今度もそういう
意味合いがあると思うんですね、
一つのけじめとして。
そうであるならば、さっき申し上げたような購罪外交とか位負け外交とか、そういうものはもうこの辺でひとつおしまいにしていただきたい。おしまいにして、これからの日中外交が本当に開かれた
関係でお互いが言いたいことを言い合い、かつその中で本当の相互
理解を深めていけるような、そして我が国が我が国の
立場に立ってやはり
基本的な問題は実行していく、こういう
基本姿勢をこの際再確認をしていただく、こういう
決意も含めて
政府の
責任においてこの御訪中問題をつつがなく果たしていただきたいと思います。その御
決意、御見解を承って終わらせていただきます。