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1992-09-03 第124回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年九月三日(木曜日)    午後一時十分開会     ―――――――――――――    委員異動  九月二日     辞任         補欠選任      高井 和伸君     磯村  修君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。    委員長          守住 有信君    理 事                 板垣  正君                 田村 秀昭君                 穐山  篤君                 喜岡 淳君    委 員                 石川  弘君                 藤江 弘一君                 村上 正邦君                 森山 眞弓君                 翫  正敏君                 瀬谷 英行君                 大久保直彦君                 吉田 之久君                 聴濤  弘君                 磯村  修君                 寺澤 芳男君   国務大臣       国 務 大 臣       (内閣官房長官) 加藤 紘一君       国 務 大 臣       (総務庁長官)  岩崎 純三君       国 務 大 臣       (防衛庁長官)  宮下 創平君   事務局側       常任委員会専門       員        菅野  清君   説明員       人事院総裁    弥富啓之助君       人事院事務総局       管理局長     丹羽清之助君       人事院事務総局       職員局長     山崎宏一郎君       総理府国際平和       協力本部事務局       長        柳井 俊二君       外務大臣官房審       議官       津守  滋君       外務大臣官房審       議官       小西 正樹君       外務大臣官房総       務課長      西村 六善君       外務大臣官房人       事課長      谷内正太郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査並びに国防衛に関する調査  (一般職職員給与及び勤務時間等について の報告並びに給与改定についての勧告に関する件)  (佐川急便政治献金問題に対する内閣政治姿勢に関する件)  (国際平和協力隊カンボジア派遣に関する件)     ―――――――――――――
  2. 守住有信

    委員長守住有信君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る九月二日、高井和伸君が委員を辞任され、その補欠として磯村修君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 守住有信

    委員長守住有信君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国防衛に関する調査を議題といたします。  まず、一般職職員給与及び勤務時間等についての報告並びに給与改定についての勧告に関し、人事院から説明を聴取いたします。弥富人事院総裁
  4. 弥富啓之助

    説明員弥富啓之助君) 人事院は、去る八月七日、国会内閣に対し、公務員給与勤務時間等に関する報告及び給与に関する勧告を提出いたしました。本日、その内容について御説明申し上げる機会が与えられましたことを厚く御礼申し上げます。  以下、その概要を御説明いたします。  まず第一に、職員給与に関する報告及び勧告内容について御説明いたします。  公務員給与改定に当たりましては、人事院は、従来から社会経済情勢全般の動向を踏まえつつ、公務員給与民間給与に均衡させることを基本として臨んでまいりました。本年も、公務員給与に関する判断材料を得るため、民間企業給与を的確に把握することに努め、また、広く各界から御意見を拝聴し、これらをさまざまな角度から検討いたしました。  本年の調査結果によりますと、景気が調整過程にあり企業経営環境は悪化しているものの、民間企業給与には相当程度の上昇が認められ、官民給与の間にはかなりの較差が生じていることが判明をいたしました。これを踏まえ、諸事情をも総合的に勘案した結果、本年も、職員給与について所要改善を行うことが必要であると認め、勧告をいたしました。  本年も四月時点における官民給与を精密に調査し、相互の給与を比較いたしましたが、その結果、官民給与較差金額で九千七十二円、率で二・八七%であることが判明をいたしました。  この較差配分につきましては、俸給に七千九百二十円、諸手当に六百五十一円、この改善手当へのはね返り五百一円といたしました。  改善内容につきまして順次御説明をいたしますと、まず、俸給表については、将来の給与体系の方向をも念頭に置きながら、初任給のほか中堅層職員改善に配慮して、全俸給表にわたって改定を行うこととしております。各俸給表改定に当たっては、昇格制度改善措置の効果を考慮しながら行うこととしております。なお、昨年に引き続いて看護婦処遇改善に配慮するとともに、これまで同様、刑務官少年院教官若手研究員等に配慮した改善を行うこととしております。  次に、手当につきましては、民間における支給状況及び大学生等を扶養する職員家計負担実情を考慮し、扶養手当について子等支給年齢の上限の引き上げを行うこととしているほか、通勤手当住居手当、医師に対する初任給調整手当及び宿日直手当について所要改善を行うこととしております。  調整手当については、平成元年度の支給地域見直しに引き続き、支給地域における民間賃金、物価、生計費等実情に応じて一部の地域につき支給割合適正化を図ることとしております。  実施時期につきましては、本年四月一日からとしておりますが、宿日直手当改定につきましては平成五年一月から、調整手当支給割合改定については平成五年四月からとしております。  このほか、報告におきまして、人材確保のため、勤務条件の着実な改善多面的評価のための試験方法見直しなどを進めることを表明しております。  第二に、職員勤務時間等の報告内容について御説明いたします。  初めに、本年五月から国家公務員完全週休二日制が実施の運びとなりましたことにつきまして、改めて御礼申し上げます。今後とも公務能率の一層の向上行政運営改善に留意し、広く国民の負託にこたえてまいることが必要であると考えております。  さて、本年の報告におきましては、まず、国の試験研究機関について創造的な研究活動の促進を図るため、民間における導入の状況をも考慮し、平成五年四月から、研究職職員について研究業務に応じた弾力的な勤務時間の設定ができるようフレックスタイム制を導入することとしております。  次に、効率的かつ健康に配慮した執務の推進といたしまして、本省庁等特定部署における長時間超過勤務改善するためにも、事務簡素化合理化についての管理者及び職員努力はもとより、予算、法令、政策調整等のいわゆる省際業務国会関係業務につき、政府全体としての取り組み強化を要請するとともに、年次休暇の計画的な使用についても言及しております。  また、勤務時間、休暇等現行法制につきまして、これをわかりやすく整備するとともに、今後の社会の変化への対応も考慮いたしまして、勤務時間等に関する法制の体系的な整備の検討に着手することを表明いたしております。  第三に、公務における高齢対策報告内容について御説明いたします。  我が国は、世界に類を見ない速さで本格的な高齢社会を迎えつつありますが、この高齢社会を活力あるものとするために、官民を問わず六十歳代前半層の雇用を促進していくことが求められております。このような中で、公務においても各部門の特性や職員人生設計にも留意しつつ、働く意欲と能力のある高齢職員を長年公務で培った経験等を生かせる公務内で活用する道を目指していく必要があると考えまして、その旨表明をしております。  人事院は、本年も勧告に向けて、公務員勤務条件に関し、中央地方を通じて、広く各界から意見を聴取いたしました。表明された意見によりますと、人事院勧告に基づき民間給与に準拠して公務員給与決定する方法は、納得性のある妥当なものであるとの理解を得ていることが認められる中で、公務に有為な人材確保するため給与を初めとする勤務条件改善を進めるとともに、職務実情勤務地などを考慮した適切な給与配分を一層推進する必要があるとする意見が多く出されております。また、より一層の能率向上や適正な時間管理が図られるべきであるとの意見や、行政サービス行政運営改善を求める声も寄せられております。  以上、給与勤務時間等に関する報告及び給与に関する勧告概要を御説明申し上げました。  人事院勧告は、申し上げるまでもなく、公務員労働基本権制約を受け、みずからの勤務条件決定に直接参加できる立場にないことの代償措置として行われるものであり、公務員にとってほとんど唯一の勤務条件改善機会となっております。  人事院といたしましては、職員を適正に処遇することが、その士気の高揚を図り、職場の労使関係の安定に寄与するとともに、有為な人材確保を可能にし、ひいては将来にわたる国の行政運営の安定に資するものであると考えます。  内閣委員会の皆様におかれましては、人事院勧告制度が果たしている役割及び職員が真摯に職務に精励している実情に深い御理解を賜り、また、給与勧告内容情勢適応の原則に従い四月分給与からの官民均衡を図るものであることを念頭に置かれまして、何とぞこの勧告のとおり速やかに実施していただくよう衷心よりお願い申し上げる次第でございます。
  5. 守住有信

    委員長守住有信君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 喜岡淳

    喜岡淳君 社会党の喜岡です。どうぞよろしくお願いします。  きょうは、人事院勧告についての質疑ということになっております。この人事院勧告は、もう言うまでもありませんけれども労働基本権代償措置として行われておりますが、この人事院勧告制度がつつがなく実行されるかどうか、これはひとえに政府に対する信頼という問題がひっかかっておるわけです。もしこれがうまくやられなければ、信頼に大きなひびが入ってしまうわけであります。そういう意味では、政府に対する信頼という問題を考えたときに、今国民の中にある一つ不信感というものは、言うまでもなくリクルート共和、こういった問題が解決もしないまま再び佐川問題が大きくクローズアップされてきておる、これに対する大きな不信感というものは皆さん同じ考えだろうというふうに思います。私どもは、臨時国会早期召集を求めますとともに、真相の解明、そして再発防止のための徹底的な政治改革、このために頑張っていく決意でございます。  きょうは、とりあえず内閣委員会でありますから、閣僚とその周辺のところに限定した質問をさせていただきたいと思います。  私は、きょう実は官房長官に対して質問をしたい、こう通告をいたしておりましたが、残念ながら副長官は出られない、そういうことで官房長官が引き取って、責任を持った発言をしていただける、そういうような私は印象を持っておるわけであります。  さて、官房長官お尋ねをいたしますが、副長官政治資金収支報告、その中に金子新潟県知事届け出政治団体一つであります「清新で活力ある県政をすすめる会」から一千万円の寄附を受けておった、こういう記載がございますけれども、この件について官房長官はどういうふうに御理解をされておりますか。官房長官官房長官というのは切っても切り離せない一心同体であると思いますので、このあたりについての事実をお伺いいたします。
  7. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) ただいま御質問をいただきましたことは、近藤長官の一議員としての個人的な問題でございまして、その事実関係等につきまして私が今お答えするのは適当ではないと存じます。
  8. 喜岡淳

    喜岡淳君 私は、個人の問題だという感覚は納得できません。官房長官という内閣を預かる要職の人であります。  調べておられますか、この事実について聞きましたか。心配されているでしょう、報道されておるんですから。相棒でしょう、相棒と言ったら言葉は失礼ですけれども。貴重な人じゃないですか、長官のかわりにいつでもかわっていかれるわけですから、副長官は。その大事な方についてこういう問題が起きたときに聞かないんですか、どうなっているんだと。聞いておられるでしょう。聞いておられないんですか。
  9. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 近藤長官は、私の本当に右腕でございます。本当に仕事上毎日一緒にすべての仕事をしておりますけれども、しかし、今お聞きいただきましたことは官房長官近藤さんの個人の話でございまして、私がここでいろいろ御答弁申し上げる十分な私も知識ありませんし、私がいろいろ一部をお聞きしてここで責任持ってお答えして、それによってまた誤解を生ずるようなこともよろしくないと存じます。  私は、ここに参りましたのは内閣官房長官として、内閣官房及び政府のことにつきましてはいろいろ責任を持ってお答えいたしたいと存じておりますけれども個人のことにつきましては、今お答えするのは適当ではないんじゃないか、こう思っております。
  10. 喜岡淳

    喜岡淳君 では、官房長官、この副長官の問題については事実を調べていただきたいと思いますが、そのおつもりはありますか。
  11. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) いろいろ新聞に報道されております。しかし、それは仮に報道されておりましても、それぞれ政府部内担当のところで調査するものに該当するのかどうかさえも明確ではないことでございますので、私が一人一人の議員の方について聞き取り調査したりいたすことは適当ではないのではないかと存じております。これは他の閣僚についても同じでございます。
  12. 喜岡淳

    喜岡淳君 私は、副長官の問題も含めて官房長官にお願いをしたいと思いますが、すべての閣僚に対して、私は事実を調べていただきたいと思います。そういうおつもりはありますか。
  13. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) どの点について御質問なさっているのかよくわかりませんが、先ほど喜岡委員がおっしゃいましたように、佐川急便問題ということで言及されているのだと思いますけれども、佐川急便問題は御承知のように現在東京地検において厳正なる捜査を行っているところでありまして、政府としてはその推移を見守っていきたい、こう思っております。政府として調べるとなれば、その厳正なる正規の機関での調査というものが一番重要であり、その推移厳正中立、客観的に行われるよう見守っていくというのがまた内閣官房としての筋であろうと思っております。
  14. 喜岡淳

    喜岡淳君 それはもう全然筋が違います。私は筋が違うと思いますね。司法の方は司法の方で調査するでしょう。官房長官官房長官としての政治上の道義というものを感じておられないんですか。あなたの内閣じゃないですか。責任持って一人一人調べて、潔白なら潔白、そのことによって自分内閣は清潔なんだと、国民に対して信頼を呼びかけるくらいの態度が普通じゃないんですか。人ごとのような言い方じゃないですか、それは。私は納得できません。調べてください。
  15. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 事実関係というものが一番重要だと思いますので、その点につきましては厳正中立調査されることが一番重要であろうと思っております。そういう意味で、私は今新聞紙上で言われております佐川急便問題につきましては、現在東京地検捜査をしていると承知しておりますので、その中で客観的、厳正中立に行われるべきであり、我々内閣としては、それが厳正中立に行われるという状況をしっかり確保するということが一番重要なことなんではないかと、こう思っております。
  16. 喜岡淳

    喜岡淳君 官房長官は、政治倫理綱領についてどういう御理解を持っておられますか。
  17. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 政治倫理綱領といいますと、いろいろ、党のものもございますし、個人のものもございますし、院のものもございます。したがって、どの点をお指しになっておられるのかよくわかりませんけれども、しかし、私たちとしては、政治というものは国民信頼を得られるようにしっかりと襟を正した姿勢で臨まなければならないということであろうと思います。
  18. 喜岡淳

    喜岡淳君 この政治倫理綱領の中には、言うまでもありませんが、こういう一文がございます。「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」こういうことが書かれておりますので、ぜひこれは官房長官においても当然踏まえていただいておるものだと思っております。  前にリクルートの問題があったときに、小渕官房長官はすべての閣僚について調査をされたはずであります。  一九八八年の十二月二十九日だったと思います。全閣僚に対して調査をする、こう記者会見をされました。そして、翌年の八九年一月二十四日にその結果を再び記者会見して公表されております。十二月二十九日にやると言って一月二十四日には結果が発表されております。こういうふうに官房長官自身内閣かなめとしての責任ある態度をとったことに対して加藤長官はどういうふうに思われますか。やろうという気にならないですか。
  19. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 答弁が繰り返しになるかと存じますけれども閣僚につきましてはそれぞれもう既に、それぞれの省の記者会見等で、ある意味では国民意見を代弁した各社の記者さんからの質問に対してそれぞれお答えになっておられます。それはその閣僚がみずからの政治責任でもってそこでお答えになっておるわけでございます。そのことは御当人が直接記者会見を通じて国民の前におっしゃるのが一番正確に伝わることであろうと思います。  また、政府として、より客観的に調べる必要があるのではないかという喜岡委員の御指摘でございますけれども、その点につきましては、極めて客観的、公正に、そしてまた厳粛に司法当局が今調査いたしておりますので、その調査というものが極めて客観的な中で行われるようにするということが一番重要で、その調査をずっと見守っていくということが最も正確な調査になるのではないのかなと思っております。
  20. 喜岡淳

    喜岡淳君 私は、極めて残念です、そういうお答えが。官房長官として泥をかぶって自分の責務を果たそう、そういう積極的な姿勢は一切聞かれませんね、今のお話では。あなたは何ですか、官房長官は何するんですか、そうしたら、内閣のこんなに大きな問題抱えて。金額からいったって、従来の共和とかリクルートとかロッキードとか問題にならない金額じゃないですか、今度は。現職閣僚、名前まで報道されておるでしょう。あなた、ちゃんと調べて違うなら違うと、官房長官としてやってくださいよ。調べなければそれはわからないですよ。既に外電が書き始めたじゃないですか、日本の汚い政治改まらず、外電がどんどん書き始めました。  ロシアの人も来られますよ。月がかわれば今度訪中の問題もある。年末にはアメリカで大統領選挙。またお会いされるんでしょう、新しく選ばれた大統領に。PKOだって世界に貢献する日本立場世界から信頼される日本とおっしゃったのはだれですか。今こそやっぱり官房長官宮澤内閣かなめとして、閣僚に対する調査をして、内閣はこうだとはっきりした姿勢を示していただきたい。私は強く調査を要求しておきたいと思います。  さて、そういう政府に対する信頼の中で大きな問題となっておりますもう一つの問題は人事院勧告の問題であります。  去る八月七日、人事院は、平均二・八七%ですか、九千七十二円の給与引き上げなど、ことしの勧告を行いました。  総務庁長官官房長官お尋ねをいたしますが、早期完全実施というのは当然だと考えておりますけれども、この点について官房長官総務庁長官、それぞれ決意のほどを伺いたいと思います。
  21. 岩崎純三

    国務大臣岩崎純三君) 先ほど先生の冒頭の御質問の中で、人事院勧告制度労働基本権制約代償措置の根幹をなすものである、このように申されました。私ども総務庁といたしましても、人事院勧告制度尊重という基本姿勢に立ちまして、国政全般との関連を考慮しながら、労使関係の安定、さらには職員士気向上、生活への影響等々配慮いたしまして、人事院勧告早期実現に今日まで最善努力をいたしてまいりました。  今回の公務員給与にかかわる問題につきましては、財政上極めて厳しい状況にあると思われるところでございますが、人事院勧告早期に完全実施するという基本的な考え方に立って、同様に最善努力を尽くしてまいりたい、このように考えております。
  22. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) ただいま総務庁長官から申されましたように、また、さっき人事院総裁が申されましたように、公務員にとりましてはただ一つとも言えるほどの処遇改善のための一つの仕組みであるということを我々も十分に踏まえております。そういうことを頭に入れながら、その制度基本的に尊重するという基本姿勢に立って、国政全般との関連を考慮しつつ、引き続き最大限の努力をしてまいりたい、こう思っております。
  23. 喜岡淳

    喜岡淳君 ことしの四月十三日に宮澤総理労働団体の方とお会いをしたときにも次のような約束が行われております。宮澤総理がおっしゃったことは、人事院勧告については、基本的に人勧尊重という立場に立っているので、国政全般とのかかわりもあるが、それよりも適正に対処してまいりたい、こういうことが強調されております。人勧早期完全実施基本的には一種の常識になっている。したがって、財政事情もあるが、人勧制度をつくった理念に忠実にやっていくという基本線に変わりはない。こちらが強調されておるわけであります。  そこで問題になってくるのは、今後の閣議決定の日程とか、そういった今後のスケジュールになってくるわけですが、その閣議決定についてはどういうふうにめどを持っておられますか、官房長官
  24. 岩崎純三

    国務大臣岩崎純三君) 去る八月七日に人事院総裁から給与に関する報告をいただきました。政府といたしましては、当日早速給与関係閣僚会議を開催いたしまして、早急に着手をいたしたところでございます。  総務庁長官といたしましては、できるだけ早い時期に結論を得たいという考え方はもとよりでございますけれども国民理解を得て公務員給与の問題について検討していきたいという立場から、関係閣僚会議におきまして人事院勧告趣旨を踏まえ、先ほどもお話にございましたとおり国政全般との関連をも考慮しながら、人事院勧告制度趣旨に基づきまして十分に論議を尽くす必要もあり、また検討いたす必要もございますので、残念ながら今のところ閣議決定の時期あるいはその後のスケジュールについて定かなことを申し上げる状況にない、このように申し上げざるを得ません。
  25. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 内閣官房といたしましても、今、総務庁長官お答えされたとおりでございます。
  26. 喜岡淳

    喜岡淳君 大変残念なお答えであります。国政全般を見ながらということが、ともすれば政争の具に使われるなどということがないように強く要望しておきたいと思います。勧告が出た以上は、代償措置でございますから直ちにやるというのが私は本筋だろうというふうに理解をいたしております。  そこで、臨時国会召集の問題でありますが、官房長官、いつごろ臨時国会召集しようというふうなお考えでしょうか。この臨時国会召集日がいろいろ報道されております。十月末だと言う人もあれば、十一月にずれ込むという報道も行われていたり、どのあたり臨時国会のことを考えておられるのでしょうか。
  27. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 臨時国会召集につきましては、政府としては、召集をお願いする最大の理由に補正予算の審議を考えております。いずれ適当な時期に、この召集につきましては内閣の方の方針も決め、また、それに基づいて国会の方に御相談申し上げなければならない、こう思っております。  しかしながら、補正予算の編成作業というものは、一つに税収の見通しにつきましてしっかりとしたものを立てなければならないという大前提がございます。特に本年度は御承知のような経済情勢でございますので、税収見通しにつきましてはかなり当初の予想と違った変動があり得るものと考えておりまして、その点につきましてはかなり正確に把握しておかなければ国会の審議にたえるものにならないと思っております。その作業はかなりおくれそうでございますので、極めて近い時期に審議をお願いできる状況にはないということを申し上げざるを得ないと思います。
  28. 喜岡淳

    喜岡淳君 官房長官は景気の回復に対して急いで措置をとるというお考えでしょうか。緊急性を感じておられますか。
  29. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 景気の回復ということは非常に重要なことでございまして、正直言いますと、昨年の十一月冒頭の宮澤内閣成立以来、この点は我々内閣の最大の仕事一つだと思っております。  いかにバブル経済の後遺症から日本経済を健全一な道に回復させ、軟着陸させながら回復させるか、これが最大のテーマであろうと思っておりますし、もちろん株価等の問題をきっかけにいろいろな国内経済についての御議論がありますので、我々としては緊急に手を打たなければならないということを考えておりまして、先般来金融行政に関する八月十八日の指針、それから十兆七千億にわたりますいわゆる景気対策のパッケージを出しましたのも、その緊急性を感じているからこそ必死になってみんなで考えて発表したものでございます。  もちろんその前に、数次にわたる公定歩合の引き下げ等も日銀の方がやってくださいましたし、また三月、六月、それぞれ景気対策を打ってきているところでございます。
  30. 喜岡淳

    喜岡淳君 緊急に手を打つことの必要性を今官房長官はおっしゃいました。緊急に手を打つためには、早く臨時国会召集するというのが、これはもう当然のことだろうと思います。  もし、いろいろな政治事情などを考え過ぎて、ずるずるといくならば、それは逆に日本経済を悪化させているということを自覚していただきたいと思うんです。早く召集してください。いいですか、お願いします。  私が一番心配しておりますのは、例えば臨時国会召集がずるずるいくようになった場合、間違いなく年内にはあるのかどうかですね。まさか年内に臨時国会が開かれないなどということはあり得ないですね。それは間違いないですね。官房長官、間違いないと思っていいですね、そのことは。
  31. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 補正予算の御審議もいただかなければなりませんので、現在のところ年内には必ず臨時国会でその審議をお願いしなければならないと考えております。
  32. 喜岡淳

    喜岡淳君 それでは、総務庁長官お尋ねをいたします。  人勧制度の理念については、代償措置だということで今お聞きをいたしました。従来からも差額支給の問題が議論されてまいりましたが、通常国会が一月召集になっております。そういう意味では給与法の改正が一体どの時点で行われるのか。今までは臨時国会の話をしてきたわけでありますが、一般的な議論を今からお尋ねをいたします。  人事院勧告が出たら差額は必ず年内に支給するのだ、そして勧告は直ちに早期に完全実施するのだ、こういう決意を今まで述べられたわけでありますけれども、それを具体的にこうすればいい、そのようなお考えは何かお持ちでしょうか。従来からもそれについては検討するということが言われてまいりましたけれども、具体的なことは何か検討されておるでしょうか。
  33. 岩崎純三

    国務大臣岩崎純三君) 国家公務員給与改定につきましては、従来から給与改定に係る差額が生じました場合には差額の年内支給について努力をいたしてまいりました。  そうしたこれまでの長い経験と実績、それを踏まえまして国民の納得を得られる結論を早急に得まして、年内支給に向かって今後も真剣に努力をいたしていきたい、このように考えております。  それから、給与法の改定の問題でございますが、この取り扱いがまとまった段階において、給与法の改正の作業を進め、成案を得ましたならば直ちに国会においてその段階で御相談を申し上げ、その上で本法案の成立を見たい、このような仕組みで進ませていただきたいと考えております。
  34. 喜岡淳

    喜岡淳君 総務庁長官お尋ねいたしますが、十二月通常国会が一月常会に変わりまして、やはり年内支給というものがどうなるのだろうか、そういう心配は各地で聞かれております。と同時に、私たち心配しますのは、これまでの議論の中にも出てきたように、この佐川問題の成り行きとか、いつも言われるのは一般論、抽象的な言葉では、そのときそのときの国政全般考えてみて、あるいは財政事情を見てみて、財政論とか政治事情論が台頭してくるわけでありますが、私は何があってもこれは代償措置である以上、年内に速やかに完全実施することが原則だというのは長官も大臣も同じだろうと思うんです。  そこで、給与法が国会を通過しなければならないわけです。ですから、給与法を国会で通過させることを考えるならば、その枠の中で考えてもなかなかいい方法は私はないと思いますけれども、この枠を取っ払って抜本的に考え方をめぐらしてみようという御決意総務庁長官、おありでしょうか。もっと根本的な考えの、発想の転換です。
  35. 岩崎純三

    国務大臣岩崎純三君) 総務庁の基本的な考え方人事院勧告に対する尊重、さらには差額の支給の問題における今日までの年内支給を行った経緯と実績、そういった多年の蓄積があるわけでございますから、まずそれを土台にして総務庁としては問題に一つは取り組んでいきたい、このように考えております。  それからもう一点は、給与改善の問題について、仮に総務庁が差額の支給も年内支給も完全にできるんだ、そのための一つ方法としては、総務庁が年度当初に予算を計上してきちっと予算を押さえておくことが必要であろう、こんな考え方もあろうかと思います。いっか本委員会におきましてそのことも議論になりました。その際、私は、総務庁が予算を要求するということになりますると、その年の給与改定率に予断を与える結果になってしまうんじゃなかろうか。あるいはまた、人事院勧告をした場合に政府給与改定に対する取り扱い、この件についていろいろな影響を与える、そうした問題も生みはしなかろうかというようなことで、それは財政当局にお任せをし、人事院勧告代償措置として十分に今まで尊重してまいった。そして、少なくとも昭和六十一年以降は完全実施を行ってきた。この実績と経緯を大切にして完全実施の問題に対応していきたい、このように考えておるところです。
  36. 喜岡淳

    喜岡淳君 年内完全実施、年内支給のための仕組みづくりとしては、やっぱり今おっしゃったように財源問題は避けて通れません。その際に、財源を当初から組んでおったからといって、それで果たして予断を与えるでしょうか。人事院は独立した組織として科学的なデータ分析、収集を行います。そして、データに基づく科学的調査、分析の結果、勧告がされるわけでありまして、私は人事院が独立した組織である以上、予断を与えるなどということはあり得ないと確信をいたしておりますし、もしそんなことがあるならば人事院制度そのものが崩れるじゃないですか。したがって、そういうことは私はないと思いますから、ぜひ総務庁長官御自身が積極的に年内支給のために私一肌脱いであげようという姿勢で大蔵省にかけ合っていただきたい、これが私の気持ちであります。  もう一つ、ぜひ検討していただきたい問題は国家公務員の国公法の問題です。私、いろいろ法律を調べてみますと、勧告等に対して尊重義務というものがいろんな法律の中には存在いたしております。しかし、人事院勧告については、内閣政府勧告はするものの、拘束力が法律的にはございません。  そこで問題なんですが、例えば電波法なんかを見てみますと、電波法の中でも、「電波監理審議会は」「郵政大臣に」「必要な勧告をすることができる。」これを受けて「これを尊重して必要な措置をしなければならない。」と、尊重義務が課せられております。  宇宙開発委員会設置法だって、「内閣総理大臣は」「意見を受けたときは、これを尊重しなければならない。」と、意見尊重が明文化されております。  電気事業法においても、通商産業大臣に対して審議会から「建議があったときは、これを尊重しなければならない。」と、これまた尊重義務が明文化されております。  選挙制度審議会設置法においても、「政府は、審議会から答申又は意見の申し出があったときは、これを尊重しなければならない。」こういう規定が盛り込まれております。  ぜひ、この人事院勧告におきましても、国公法の二十八条、「情勢適応の原則」の中に、人事院勧告を速やかに実施するように、速やかに完全実施するように努力しなければならない、こういった努力規定あるいは尊重の規定を盛り込むということについて、お考え願えないでしょうか。総務庁長官、どうでしょうか。この人勧の場合だけなんですよ、勧告に対して裏の歯どめがかかっていないのは、他の法律と比べて。
  37. 岩崎純三

    国務大臣岩崎純三君) 今の勧告制度尊重の規定の問題についてでございますけれども、総務庁といたしましては、先ほども申し上げたように、予算の計上の有無にかかわらず、人事院勧告制度を最大限に尊重して完全実施をする、予算が計上されてもされなくても、あるいはその多寡にかかわらず、完全実施を今日まで鋭意積み上げてまいったところでございます。  そうした考え方に立てば、むしろ総理がおっしゃったように、国全体との関係もあるが、人事院勧告を最大限に尊重していくんだ、こういうことで、しかも過去の実績の積み上げがある。それを踏まえて、総務庁長官である私といたしましては、精いっぱい努力をいたしていきたい、こう考えておるところでございますので、御信頼のほどお願い申し上げたいと存じます。
  38. 喜岡淳

    喜岡淳君 十分、総務庁長官に対して信頼をして尊敬いたしております。  ただ、毎年毎年、同じ質問と同じ答えが繰り返されていく。言えば、書いてしまえば終わることなんですね。言うことなんですから書けるはずでしょう。同じことをいつも聞いて、答えて、それならもうちゃんと明文化しておく。他の法律と比較をしても、今引用しましたように、他の勧告等々については尊重あるいは努力すべし、そういうことが法的に明文化されております。人事院勧告の場合だけそれが抜けておるわけですから。そういう意味ではぜひこれについて御検討いただきたい。  いずれにしましても、総務庁長官の今の決意とお立場というのはよくわかりましたけれども、財源の確保と法的な担保、これはやはり法治国家としては当然やるべき問題だろうというふうに思いますから、完全実施をやるという限りは、それが目に見える形できちんとやっていただきたい。それがやはり具体的な信頼の措置ではないかというふうに思います。  それから次の問題は、人事院お尋ねをいたします。去年のこの委員会でも質疑が行われておりますが、民間準拠の問題につきましてです。  例えば、現行の官民比較方式について、改善すべきところがあるのかないのか、こういう意見が出始めております。特に、私は今の官民給与の均衡は崩れておると思います。それは初任給のところに一番典型的にあらわれておったからがゆえに、初任給に対しては大幅な引き上げが行われたというふうに理解をいたしております。  そこで、お尋ねをする一つは、官民較差の比較方法、私はそれに問題があると思うんです。  一つは、民間企業国家公務員を比べる場合、一体民間のどのような企業国家公務員の賃金を比べるのか。大きな企業と比べるのと小さな企業と比べるのとでは民間給与水準は変わってくるんですね、大きな企業ほど賃金は相対的に高いわけですから。小さいところと比べると民間の賃金水準は低く出てきて、国家公務員に対する勧告というのは下がってくるということになるわけですね。現在百人というところで線を引かれておりますが、私はこの百人ということではなくて、人数の問題というよりもとのような民間企業国家公務員を比べるかが問題だと思うんです。言うまでもなく人勧は争議権の代償措置でございますから、民間企業においても労使が集団交渉によって賃金を決定しておる、そういう企業国家公務員とを比べるというのならば、私はつじつまが合うと思います。ただ単に百人というところの人数で比べるというのは、私はちょっと理に合わないんではないかというふうに思います。  それから、官民比較のもう一つの問題は、経験年数の比較方法についてぜひ検討を加えていただきたいと思います。民間企業の特徴は、中途採用の方が多いということであります。国家公務員の特徴は、中途採用が比較的少ない、大学、高校を卒業してずっとその道を行くという方が多いというのが特徴でございますので、そういった民間の方と公務員の方との違いを考慮した比較方法、これをぜひ検討していただきたい。  それから、三つ目のことでございますが、今度のフレックスタイムの導入に当たっては、ぜひ職員団体との十分な意見調整の上で臨んでいただきたい、このことをまとめてお聞きをいたしますが、人事院総裁の方からお答えをいただきたいと思います。
  39. 弥富啓之助

    説明員弥富啓之助君) お答えを申し上げます。  民間企業調査対象事業所規模、これをどの程度にするかというお話が第一問でございました。これは、大企業と比較すべきであるというような御意見もあり、あるいはもう少し小規模の企業まで含めるべきではないかという意見など、従来からさまざまあったことは承知をいたしております。現行は、今御指摘ございましたように、企業規模百人以上、事業所規模五十人以上という規模でございまして、これは会社組織の民間企業の常雇いの従業員の約六割をカバーしているというふうに承知をいたしておりまして、ただいまの方式は大方の納得が得られているのではないかというふうに考えております。  なお、調査対象の企業規模をもっと大きなものにしろというお話でございますが、これは県によりあるいは地方によって対象となる企業の数が極端に少なくなるというようなことも相当あるのではないかというふうに思います。また、国の官署というのは県内の郡部等にもいろいろ多く立地をいたしておりまして、そこにおいて対象企業が仮に五百人ぐらいだとすれば、ちょっとそういう大規模な企業がないところと比較しました公務員給与が、そこの民間の賃金と比べた場合果たしてどうなるかなというようなことも考えなければいけませんので、これはやはり公務員給与基本関係する問題でございます。慎重に対処していかなければならないのではないかというふうに思っております。  それから、労使交渉によって賃金改定している企業はどのくらいか。また、そういう企業と比較したらどうかというようなお話でございますが、御承知のとおりに、今は無作為の抽出法によりまして七千七百ばかりの企業調査いたしております。特に、労働組合云々、それは今のところやっておりません。  また、フレックスタイムでございますが、これをとります場合に、関係職員団体や職員意見を十分に聞くべきであるということでございます。そのとおりでございまして、今回の提言に際しましても、関係省庁や試験研究機関職員団体と数次にわたる話し合いを持ちまして、その要望を十分に考慮した上で制度の枠組みを固めたつもりでございます。今後ともそのようにやってまいりたい、かように考える次第でございます。
  40. 喜岡淳

    喜岡淳君 どうもありがとうございました。
  41. 翫正敏

    ○翫正敏君 翫正敏です。  今ほど喜岡委員質問の中で、臨時国会早期の開会を要求するという官房長官に対する質問がありました。それに対して官房長官お答えは、佐川問題は検察で厳正に調べているところである、内閣としてそれをさらにするというのは考えていない、こういうこと。それから、補正予算の審議のために今年中に臨時国会の開催を考えているが、税収についての見通しがまだ立っていないので、これから詰めていかなきゃならないのでその開会がおくれそうだと、こういうお答えだったんですけれども、私はこれは非常によろしくないと思うんですね。早期の開会をすべきだ、こう思うんです。  佐川問題につきましては、真相の究明ということについてはもちろんですけれども政治倫理の確立のための立法措置を求める、こういう声は国民の間にほうはいとして起こっていると思います。それを内閣として、また国会としてしなければならないわけでありますし、さらに次に、私、質問の準備をしてきておりますが、この間の国会で強行成立をいたしましたPKO法の運用というものが始まりつつあります。そういうこともありますし、さらには国民の中で大きな関心を持っております日中国交回復二十周年ということで、天皇訪中問題というようなことが大きな議論になって賛否の議論が起こっております。  等々考えてみますと、やはり早期国会の開催というものは必要不可欠である、こう私は思って先ほどの喜岡委員質問加藤官房長官の答弁を聞いておったんですが、いかがなものなんでしょうか、早期開会はぜひ必要だと思うんですが、どうでしょうか。
  42. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) いろいろな御議論、御意見があろうかと存じます。我々といたしましても、できるだけ早く補正予算の基本となります税収見通し等を立てまして、そしてまた御議論をいただく、御審議いただくということも重要だと思っておりますけれども、先ほど申しましたように、経済の状況がかなりいろいろ変動いたしておりますので、明確な税収見積もり等を立てるためにはしばらくのお時間をいただく必要があるのではないかなと思っております。  佐川問題等につきましては、本当に厳正中立、そしてまた正確な司法当局調査を待っていきたい、こう思っております。  また、その他の問題等につきましては、いろいろ本日もここでまた御議論いただくことであろうと思っております。
  43. 翫正敏

    ○翫正敏君 国会を開催するというのは、政府の都合で開催するという場合もありますけれども国会議員が要求をすれば開かなければならないというふうに憲法の第五十三条にも書いてございますので、内閣は開かなければならない、召集決定しなければならないというふうになっております。国民の開催要求の声があり、それを受けて国会議員の中にも今各党の中から、私は社会党に所属しておりますが、社会党からも強く早期開催要求しておりますし、他の党のことは今からいろいろ出るからわかりませんが、そういうのを受ければ、当然、税収見通しがまだ立ってないのでいつ開けるかわからないという内閣の方の都合だけで国会の開催をおくらせていいというものではないと私は考えるんですが、いかがですか。
  44. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 国会の方でどういう御意思をお決めになられるかは、これは政府の方で余り申し上げることではないと思います。
  45. 翫正敏

    ○翫正敏君 それはつまり、国会の方で先ほどの憲法の規定に従って要求があれば当然内閣として早期に、極端に言えば一週間後でも開催する、こういうことであると、こう承ってよろしいわけですね。
  46. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 国会でどういう御意思をお決めになるか、それは政府がとやかく申していいことではございませんし、その前提の上でどういう判断になりますかはその状況によるのであろうと思っております。
  47. 翫正敏

    ○翫正敏君 国会議員の方から国会の開催の要求を強めていきながら、内閣に対して国会召集をしてもらうようにぜひ働きかけていきたいというふうに思っています。  質問を準備してきたPKO協力法の問題について、運用が始まりつつありますので、この点についてお聞きをします。  まず具体的なことではなくて、PKO協力法の法律そのものの問題についてと及び憲法を踏まえてまず最初に数点伺っておきたいと思います。  まず、憲法及びPKO協力法に基づいて我が国の自衛隊が湾岸戦争型の多国籍軍に参加をしたり協力したりするというそういうことについて、後方支援ということも含めてどのようになっているのか、法律の責任者である官房長官の方からお答えください。
  48. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) 国際平和協力本部の所管の法律でございます国際平和協力法につきまして私の方からお答えさせていただきたいと存じます。  ただいま憲法についてもお尋ねございましたが、これについても私直接の所管ではございませんけれども、知る限りのところについて触れさせていただきたいと存じます。  先生御案内のように、国際平和協力法は、国際連合平和維持活動及び人道的な国際救援活動に協力するということを目的とする法律でございます。したがいまして、特にいわゆる国際連合の平和維持活動ということになりますと、停戦の合意が成立した上で、このような合意を確実なものにするという活動でございます。関係国の同意、紛争当事者の同意というものが基本になっておりまして、また活動自身も中立的に行われるというものでございます。  先ほどお尋ねの多国籍軍、これは湾岸危機の際の多国籍軍という御趣旨でございますが、そのようなものに参加することはこの法律では想定しておりません。したがいまして、このようなものに参加するということはできないわけでございます。  なお、憲法の問題につきましては、これは法制局の方の所管でございますが、私の承知している限り、湾岸危機の際のいわゆる多国籍軍に参加をするということは我が国の憲法上許されないものであったというふうに考えております。ただ、いろいろ憲法の範囲内で協力をし得るという分野はあったと承知しております。
  49. 翫正敏

    ○翫正敏君 官房長官に念のため尋ねますが、憲法及びPKO協力法に基づいて湾岸戦争型の多国籍軍への我が国自衛隊の協力、後方支援なら協力できるんですか。
  50. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) ちょっと実質的な点につきまして私の方から官房長官お答えの前にお答えしたいと思います。  先生御案内のように、多国籍軍に対する支援につきましては、一昨年から昨年大変に国内で議論になりまして国会でも随分論議が重ねられたわけでございます。時間の関係もございますので詳しくは申し上げるのを避けますが、基本的には先ほど申し上げましたように我が国の自衛隊等が多国籍軍そのものに参加する、その一員になって武力の行使をする、それによって侵略を押し返すということはできないということでございますが、それ以外の協力につきましては武力行使と一体となるようなものでない限りこれはできるということで、当時物資協力その他の協力を行った、もちろん資金の協力も行ったということでございます。
  51. 翫正敏

    ○翫正敏君 官房長官、それでいいですか。
  52. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 当時、廃案になりましたけれども、衆議院で国連平和協力法という名の法案を審議いたしましたとき私委員長をしておりまして、約七十時間この議論をお聞きし、またその司会をしていたわけでございます。そのとき大変議論になりましたけれども、武力行使と一体とならない限り後方支援は可能であるし資金面の援助は可能である。その武力行使と一体というのはどういうところで定義づけるかということについてはケース・バイ・ケースであるということが当時の議論の中核であり、今申し上げたことが、また我が政府の見解であったし、今でもあります。
  53. 翫正敏

    ○翫正敏君 PKO協力法の中に、今の湾岸戦争型の多国籍軍への後方支援の協力ということを規定した部分はあるんですか。
  54. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) 先ほどもちょっと触れましたけれども、国際平和協力法の対象としておりますことは大きく分けまして二つでございまして、第一は国連の平和維持活動、いわゆるPKOでございます。それからもう一つは人道的な国際救援活動というものでございまして、いわゆる湾岸危機のときのような多国籍軍に対する協力というものは規定しておりません。
  55. 翫正敏

    ○翫正敏君 防衛白書などにはわかりやすくということで図解というんですか、絵をかいて説明していただいておりますが、国際平和協力業務というこのPKO協力法の中には、国連平和維持活動というのと人道的な国際救援活動というのと大きく分けて二つがあってということで分けられているわけなんです。  官房長官お尋ねしますが、人道的な国際救援活動への自衛隊の参加、これにつきましても次のページのところに法律から抜き出して、PKO協力法から抜き出していわゆる五原則というものが色刷りして書いてあるんですね。これは念のために読んでおきます。  Ⅰ 紛争当事者の間で停戦の合意が成立していること。  Ⅱ 当該平和維持隊が活動する地域の属する国を含む紛争当事者が当該平和維持隊の活動及び当該平和維持隊へのわが国の参加に同意していること。  Ⅲ 当該平和維持隊が特定の紛争当事者に偏ることなく、中立的な立場を厳守すること。  Ⅳ 上記の原則のいずれかが満たされない状況が生じた場合には、わが国から参加した部隊は撤収することができること。  Ⅴ 武器の使用は、要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られること。こういうふうに法律を五項目にまとめてあるんですが、いわゆるこの五原則は国連平和維持活動はもとより人道的な国際救援活動という下のところにも当然適用されるものと、こう理解してよろしいんですか。
  56. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) ただいま御指摘の点でございますが、国際平和協力法に規定されておりますところの停戦の合意、受け入れ側の同意、中立性等のいわゆる五原則、基本方針とも言っておりましたが、これらの五原則は、元来は経緯的には先生御案内のとおりいわゆるPKOについて議論され、出てきた原則ではございます。したがいまして、この法律の中でも国連平和維持活動として行われる国際平和協力業務の実施に当たって適用されるものでございます。  他方、人道的な国際救援活動として行われる国際平和協力業務の実施につきましても、この法律のもとで行う人道的な活動と申しますのは、これは平たく言えば紛争絡みの問題でございます。紛争に関連して国連を中心とした人的な面での活動が行われる、そしてそれに対する協力をするということでございますので、いわゆる基本方針、あるいは五原則の趣旨はこの人道的精神にのっとった活動という本来的な性格から若干の差異はございますが、基本的にはこの法律に反映されているということは言えると思います。
  57. 翫正敏

    ○翫正敏君 官房長官、若干の差異があるということなんですが、若干の差異はどこにあるのかということも含めて官房長官の方からお答えください。五原則はこの人道援助にも適用されるのか。
  58. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) ただいま私が若干の差異と申し上げました、この点多少敷衍させていただきたいと存じます。  この五原則が人道的な国際救援活動についてどのように反映されているかということは、一々挙げますと時間がかかりますので、特に目立った差異ということを強いて申し上げれば、国連の平和維持活動につきましては、中立、普遍性ということを規定しておりますが、人道的な国際救援活動の場合には、その性格上、中立、普遍的なものとして行われることは当然でございますので、条文上特にその点は規定していないというようなことが例えばございます。
  59. 翫正敏

    ○翫正敏君 官房長官、要するに若干の差異というのは、法律の条文を見ると分けてあって、そしてこの五原則の方は平和維持隊への参加についての五原則となっているということであって、その差異というのも条文を見ると全く同じに書いてあるわけではないけれども、こういうふうに表に例えば五原則とまとめて見るならば、当然これは人道的な国際救援活動にも適用されるものだと、そういうふうに柳井さんお答えになったと思うんですが、それでよろしいですか。
  60. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) そのとおりでございます。
  61. 翫正敏

    ○翫正敏君 わかりました。  次に、この五原則の二の紛争当事者が我が国の参加に同意していることということについてお聞きをしますが、この五原則の二の参加の同意の原則ですけれども、これは国連のPKO活動が当該国ないし紛争当事者の同意を得て展開をされているということと同義ではありませんね。これはあくまで我が国が参加をすることの同意であると、こういうふうにこの法律を理解すればよろしいですね。
  62. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) この法律上二つの同意が書いてあるわけでございまして、ただいま仰せになりましたとおり、国連自体の平和維持活動に対する同意と、それから具体的な参加国がその国に行って活動すると、この場合には我が国でございますが、我が国がこのような活動をするということに対する同意と、二つの同意があるということでございます。
  63. 翫正敏

    ○翫正敏君 官房長官、よろしいですね。
  64. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) そのとおりでございます。
  65. 翫正敏

    ○翫正敏君 そこで、紛争とか戦争というものが停戦するというわけなんですけれども、停戦した場合にこの活動が行われるわけですが、それをあえて分けると、複数国間での紛争とか戦争というものがあって、それが停戦した場合、それから一国内での紛争が、国内紛争が停戦した場合、その複合したような場合というのもあるかもしれませんけれども、そういうように分けることができると思うんですが、それぞれの場合について、同意の対象者というものは法律上だれということになるんでしょうか。
  66. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) いろいろな場合があると思います。国同士の紛争、あるいは国とその国内の一部の反乱分子との紛争、あるいはそのような一部の分子というものが複数あるというようなもの等々あると存じます。  いずれにいたしましても、武力紛争の当事者間の停戦の合意、それから先ほどの同意につきましては、紛争当事者の同意という両方が法律上要件になっているということでございます。法律第六条の「実施計画」という規定におきましても、これは御案内のとおりでございますが、実施計画の決定をするときの要件といたしまして、第一号の方で「国際連合平和維持活動のために実施する国際平和協力業務については、紛争当事者及び当該活動が行われる地域の属する国の当該業務の実施についての同意」が必要である、こう規定しております。
  67. 翫正敏

    ○翫正敏君 ちょっと今はっきりしなかったので、具体例で聞いておきますが、ユーゴ内戦の完全撤退と現地当事者の間の一致した受け入れの合意がなければ派遣しないというのが国連の従来の方針であったけれども、ユーゴ国内の混迷の情勢下に二つの条件の実現を待たずに派遣することになったということが国連PKFですね。そういうふうになっているんですが、この場合、日本の自衛隊がこのPKO活動に参加するということは日本のPKO協力法上できない、こういうふうに理解してよろしいですか。
  68. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) ユーゴ情勢は大変複雑な展開を見せているわけでございます。  旧ユーゴの一部でございますクロアチア共和国内のいわゆる国連保護隊、UNPROFORと言っておりますが、これの展開地域におきましては事態は鎮静化しつつあるというふうに聞いております。ただ、しばしば報ぜられておりますごとく、ボスニア・ヘルツェゴビナにおきましては、この国連保護隊の任務を拡大してここにおいて活動させるということを国連が決めましたときには、停戦の合意及び当事者の受け入れの同意というものはあったものと承知しておりますが、残念ながらその後必ずしも停戦の合意は遵守されていないようでございます。事態はいまだ流動的でございまして、状況を慎重に見きわめる必要があると思っております。  ただ、いずれにいたしましても、ユーゴにおける国連の平和維持活動につきましては、我が国としてこれまで参加してほしいというような打診を受けておりませんので、五原則との関係等含めまして、国際平和協力法に基づいて具体的な検討を行うというような段階には至っておりません。
  69. 翫正敏

    ○翫正敏君 官房長官、今のを簡単に整理して、ユーゴの国連PKOに日本の自衛隊が参加するというのは、五原則に照らして今のところそういうことはできないというふうに理解してよろしいですか。
  70. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) そのとおりでございます。
  71. 翫正敏

    ○翫正敏君 そこで、同意を得る場合の方法なんですが、同意は紛争当事者、紛争国ですね、属する国及び紛争当事者の同意ですが、これは文書によって同意を得るんでしょうか。その場合、文書の性格、それからその文書を国会報告するということの必要性、国会に出していただくということの必要性、そういうことについてはどういう法律の解釈なんでしょうか。
  72. 小西正樹

    説明員(小西正樹君) お答え申し上げます。  紛争当事者の同意につきましては、国連の方が取りつけるというふうに承知しております。これが国連の慣行として確定したものであるというふうに承知いたしております。  また、この国会との関係でございますが、紛争当事者の受け入れの同意の方法につきましては、実施計画の内容となっておりませんので国会報告を行うこととはなっておりませんが、必要に応じ国会においても御説明させていただく、こういうふうに考えております。
  73. 翫正敏

    ○翫正敏君 官房長官、今のでいきますと、我が国の自衛隊がPKO協力法に基づいて参加をするという、その場合の同意の文書も国連がとるんですか。そういう説明でいいんですか。
  74. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 文書かどうか、その細かなところは政府委員にお聞きいただきたいと思いますが、我が国の要員、隊員が派遣される際に、相手国または当事者の同意を得るのは国連が得る。日本からのPKOを派遣しますがよろしゅうございますねということは国連がその当事者の同意を得るということで、それで得て我々に通告がある、そういうものに基づいて我々が派遣を決定する、そういうことでございます。
  75. 翫正敏

    ○翫正敏君 それは、国連事務総長から日本の自衛隊、自衛隊とは言わなくてもいいんですが、日本から来てくださいという派遣の要請があったということと同じことです。同じことを繰り返しておられるだけじゃないんですか。法律上にもちゃんと国連事務総長からの派遣の要請がありというふうになっていますよね。派遣の要請があったということは、日本にあったということは、すなわち日本が当該地域に派遣すべき五原則の二の同意、これが得られているということで派遣の要請がある、こういうことなんですか。そういうふうに言っておられるんですか。
  76. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 我が国からの派遣というものについて、受け入れ国またはその当事者の同意を国連が得て、その上で国連が我が国に派遣招請をしてくる、その招請が本日未明あったということでございます。
  77. 翫正敏

    ○翫正敏君 私は特別委員会の委員として、百時間ですか、委員の席に座ってこの五原則のことも含めてずっと聞いておりましたが、審議に参加しておりましたが、同意という問題について、今官房長官がおっしゃっておるようなことだというのは実は夢にも思っておりませんでして、大変驚いているわけでありますが、この立法の趣旨から考えまして、私は今の官房長官の答弁は間違っていると思うんです。  国連からの要請があったということは、すなわちその当該紛争国ないし紛争地域の同意があったということである。だから我が国に要請があったんだと。だから、それが来たらわかりましたということで参加をすればいいんだと。こういうことではせっかく、私はこの法案そのものには反対でしたから、五原則を認めればいいのかと言われたら困るんですが、五原則というものが法律の中に書かれた、含まれたということで、その中でもやはり一番重要な原則の、これは全部重要な原則だと思いますが、この紛争当事者の同意があることということで、我が国の参加に同意していることというわけですから、我が国が参加をするのに同意がなけりゃならないんじゃないんですか。我が国の責任ではないんですか、この法律の立法の趣旨というのは。国連から要請があったということで、既に国連がオーケーだからということになれば、国連がPKOの活動を展開しているということがあれば、既にもう国連がその国から国連の活動の同意は得ているわけですからね。  同意には二つあるとさつき柳井さんもおっしゃったでしょう。国連のPKO活動が同意されているということ、我が国がそこへ参加をするということの同意ということと、二つ同意があると言われたんだから、その二つ目の同意のことを聞いているんですよ、私。この五原則の二もそうでしょう。間違っておられるんじゃないですか、その法律解釈は。
  78. 小西正樹

    説明員(小西正樹君) ただいまの先生の御質問でございますけれども、我が国の参加に対する受け入れ側の同意ということであるというふうに理解しておりますが、これは我が国に限りませんで、一般的に国連側が各国のそのPKOの参加につきまして国連の責任において取りつけるというのが国連の慣行でございまして、この慣行に従いまして今回の正式要請も行われたわけでございます。  それで、この背景といたしまして、具体的に申し上げれば、七月の下旬に、我が国の要員、部隊の派遣について明石UNTAC代表よりSNC議長でありますシアヌーク殿下に通報したところ、シアヌーク殿下はそれを歓迎するということで、このことはSNCの総意であるという趣旨の国連側からの連絡を受けております。このたび、先ほど官房長官から御指摘のあったように私ども国連の正式要請を受けておりますが、国連の正式要請はそういった背景を踏まえまして我が国に提示されたものでございます。
  79. 翫正敏

    ○翫正敏君 そのような国会の審議のときとは随分と違うような法律解釈をして、そしてカンボジアへ具体的に自衛隊を派遣しようとしておられるとするならば、なおさら、さっき一番最初に申し上げましたことに戻りますと、この問題も含めて国会早期の開会というものをぜひやっていただかなくてはならない。佐川問題もあり、その他の重要問題もあるわけですから、そのことを強く要求しておきたいと思います。今ほどの答弁は、私はこれは、この法案の審議に、法律の審議に委員としてずっとかかわった一人として絶対納得ができないということを申し上げておきます。  ちなみに、自衛隊を派遣する場合の指揮官となられます防衛庁長官、我が国の参加に同意しているというこの問題について、今ほどの官房長官やまた答弁がこっちの方でございましたが、そのことについてどんな御見解か、簡単に言ってください。
  80. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 先ほど防衛白書で五原則、これは法律に随所に書かれておる条件でございますが、特にこの前半の三条件、これは当時の議論の中におきましても国際連合自体が判断するものという議論もございました。しかしながら、今二つとか一つとかおっしゃられておりますが、私は究極的には一つだと思います。  これは審議官の答弁したとおりでございまして、国連がこのPKO活動を日本に要請するについて、国連側が相手に対して、例えばカンボジアに対して、カンボジアなりSNCその他、日本が参加することについて同意があるかどうか、これがきちっとなされていなければ法律的には要件は満たされません。しかしながら実際上は、例えばポル・ポト派の動向いかんが我が国では非常に重要な関心事であります。したがって、我が国の外交努力を通じて円滑に武装解除に応じられるような条件になることが好ましいことはもう申し上げるまでもないわけですから、これらについての外交的努力をしておられることは、我が国がカンボジアに関係の深い立場にあるだけにこれは当然のことでございますが、法律的に申しますと、我が国は直接そういうグループないしSNCの同意を取りつける必要はなくて、国連自体がこれは明確に合意して我が国の方に要請してきていると、こういうように思います。
  81. 翫正敏

    ○翫正敏君 納得ができないので、機会あるときにはたやりたいと思います。きょうは留保いたします。  カンボジアのUNTACへの日本の参加の要請がまさに国連から、事務総長からあったということなんですが、それであと残り時間、ちょっと五原則の一、二、三、四ですね、五は飛ばします。この停戦の合意、これはパリ協定ということであろうと思いますが、それでよいのかどうか。それから、二番の紛争当事者、この特定ですけれども、これをしていただきたい。  それから、三番の中立原則ですが、この中立というものを担保するものは何かということをお答えいただきたい。それはなぜそういうことを言うかといいますと、きょうの新聞を見ますというと、ポル・ポト派の「民主カンボジアの声」というラジオ放送が、UNTACの明石特別代表はプノンペン政権側に肩入れしているというようなことを放送で流していると、こういう報道もなされておりますので、この中立の立場を担保するものは何なのかということをお答えいただきたい。  それから、四番目が中断それから撤収、これでございますが、これが日本独自なものなのならその日本独自な撤収に至る段取りをお示しいただきたいと思いますし、国連の方にちゃんとそういうものがあるんだということをこの法案をつくられた方が中央公論に書いておられますけれども、国連の定める手続に従って引き揚げる、こういうふうに書いておられますが、国連の手続があるのならそれは何に載っている手続なのかということ、こういうことを示していただきたい。  五番目はいいです。この四つについて順次お答えく、ださい。
  82. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) まとめて御指摘でございますので、あるいは答弁漏れがございましたら後で補足させていただきますが、最初のカンボジアについての停戦の合意でございますが、これは御指摘のごとくパリ協定でこの停戦が合意されたということでございます。パリ協定におきましては、国家としてのカンボジア及びいわゆる四派の代表がそれぞれ署名をしておりまして、このような形で停戦の合意が成立したということでございます。  二番目は、紛争当事者という御質問だったと思いますが、これは具体的には、カンボジアにつきましてはいわゆるプノンペン政府、それからラナリット派、これは旧シアヌーク派でございます。それから、ソン・サン派、そして民主カンボジアいわゆる。ポル・ポト派、これら四派でございます。  パリ協定につきましては、先ほど申し上げましたようにこれらの代表それぞれが直接この協定に署名しております。  それから、三番目の中立ということでございますが、この中立、あるいはいずれの紛争当事者にも偏ることなくこの平和維持活動を行うというのは、これはいわゆるPKO自体の確立した慣行でございまして、国連といういわば国際社会を代表する機関が行う活動でございますので、これはそのようなものとしてこの中立性は担保されるというふうに考えます。  先ほどちょっとお触れになりましたUNTACがどうもポル・ポト派以外の三派の方に好意的というか、あるいは逆に言えばポル・ポト派に厳しいというような批判が特にポル・ポト派の方から時々あることは承知しております。ただ、これはもとを正せばポル・ポト派といえども停戦には合意しており、基本的にはこれを守ってはおりますが、パリ協定で規定された第二段階においての重要な段階、すなわち武装解除というものになかなか協力的にならないということでございまして、このことは遺憾でございます。  そういうことから国連といたしましては、また国連のみならず国連加盟国の主要な国々は、この武装解除というような第二段階の措置を早急にとれということをポル・ポト派に要求しているわけでございます。そういう意味で、ポル・ポト派から見ればあるいは自分たちにどうもUNTACが厳しいということになるかもしれませんが、これはもとを正せばポル・ポト派がそういう武装解除に協力的でないということが原因でございますので、これを放置すればむしろポル・ポト派のいわばわがままを許すということになりますので、放置すればむしろ中立性が失われていくということでございますので、そのようなポル・ポト派に対する説得努力というのはまさにこの中立性を保つためであると申しても差し支えないと存じます。  それから第四番目は、たしか終了の場合の手続の問題であったかと記憶しますが、この点につきましては、法案の審議の際にも何度か問題になりました。  これは、PKOはその停戦の成立及び紛争当事者の同意を前提に中立、非強制の立場で国連の権威を説得によって停戦の監視等の任務を行うということでございますが、このような前提条件が崩れてしまった場合、一時的に業務を中断する、そして状況を見る、判断するということがあり得ますが、もしそのような前提条件が崩れたような状態が非常に長引きまして、このPKOの基礎がなくなってしまったということが確定的になりました場合にはこれはもうPKOは存立しないわけでございまして、その場合、派遣した各国は武隊を撤収するということになるわけでございます。これが撤収のいわば典型的なケースでございますが、それ以外にも撤収するケースがあるということも排除されないと思います。  このような場合も含めまして、ある派遣国がその自国の武隊を撤収するという場合の手続というものが予想されておりまして、これはモデルでございますからまだ確定的になったものではございませんけれども、従来の慣行を示すものとして一九九一年五月二十三日付の国連のモデル協定というのがございます。この二十六条に基本的なやり方が述べられているわけでございまして、これによりますと、派遣国政府は、国連事務総長に適切かつ事前の通告を行った上で撤収するということになっているわけでございます。先ほどちょっとお触れになりました西村氏の論文につきまして私の方からお答えするのもいかがかとは思いますけれども、恐らくその中で述べられているのは、このような手続を念頭に置かれてのことだろうというふうに想像いたします。
  83. 翫正敏

    ○翫正敏君 もう一点。  モデル協定に基づいて日本と国連の間で派遣協定が結ばれると思いますが、それは当然国会報告されると、こう理解してよいと思いますが、それでよいかどうか、官房長官お答えくださいね。  それから、実施計画が八日に閣議決定されるというふうに新聞報道されておりますが、そうであるとするとそれは国会報告されるわけですね。どのような形で報告されるのか。まさか印刷物を議員にちょいちょいと配って報告しましたと、そういうことではないと思うんですが、どういうふうにして報告するのか、それをお答えください。その二点について。
  84. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) 二つお尋ねでございますが、私の方の所管のことから先にお答えさせていただきたいと存じます。  この実施計画が決定された場合の国会報告方法でございますが、これは国際平和協力法第七条に明確に規定されておりますので、これに従いまして閣議で計画を決定した際には、その内容につきまして遅滞なく報告するつもりでございます。  具体的な報告方法等につきましては、ぴったりした前例がございませんので、この辺につきましては既に私ども国会事務局とも御相談をしつつございます。国会事務局の御意見も踏まえながら適切なやり方をしていきたいと存じております。  それから、国連との派遣に関する枠組みの問題につきましては、国連局の方からお答え願いたいと思います。
  85. 小西正樹

    説明員(小西正樹君) お答えいたします。  国連の平和維持活動への要員派遣に当たりまして、我が国と国連との間でいかなる枠組みを設定するかにつきましては、この活動への要員に係ります国連と各国の間の枠組み協定の具体的な状況、国連が現在協議を実施しておりますが、この協議の結果等によると考えております。従来の例では、UNTACの場合を含めまして、各国と国連との間での口上書交換による意図表明の形で処理されているというふうに承知しております。我が国の要員派遣に対しましての国連との間の枠組みについて先ほど申し上げましたとおり、私どもはこの国際平和協力法の枠内で実施できるようにただいま国連側と協議中でございます。
  86. 翫正敏

    ○翫正敏君 ありがとうございました。終わります。
  87. 大久保直彦

    大久保直彦君 初めに人勧の問題でございますが、本委員会開会冒頭に弥富総裁から御発言もあり、また官房長官並びに総務庁長官からも御発言がありましたので繰り返しませんけれども、そもそも人勧につきましては、これを最大限に尊重して、その完全実施のために努力をいたすということを重ねて強く要請をいたしておきたいと思いますが、官房長官から一言お願いしたいと思います。
  88. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 政府といたしましては、人事院勧告制度の精神をしっかりと尊重しなければならないと思いますし、過去昭和六十一年以降ですか、その実績はそれを尊重してきた歴史を示しているものだと思っております。そういう精神で処理をできますように、国政全般との関連も含めながら、考えながら処理をしてまいりたいと思っております。
  89. 大久保直彦

    大久保直彦君 私は佐川問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、その前に一点だけ、先ほど臨時国会召集関連をいたしまして、税収の見込み云々という御発言が官房長官からございましたけれども、現時点においてどのようなことを想定されておるのか。巷間伝えられるところでは大変な歳入欠陥ではないか。二兆円もしくは三兆円、いやそれ以上のものである、こういう意見もあるようでございます。もし現時点で、官房長官の方で御発言でき得る範囲で結構でございますが、その時期並びに税収の規模について御答弁があればお願いいたしたいと思います。
  90. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 税収等の見積もりにつきましては、どの程度の変動があり得るかについて、でき得るならば数字を挙げて述べよということでございますが、現在のところその数字は持ち合わせておりません。したがって、今後各企業の動向、それぞれの権威のある調査等を踏まえて、できるだけ早くその見通しを立てたいと思っておりますけれども、九月中にその数字がまとまることはなかなか技術的に困難ではないだろうか。また、十月に入っても、しばし時間が必要なことなんではないだろうかな、こう思っております。
  91. 大久保直彦

    大久保直彦君 佐川問題につきましては、大変また国民信頼を損ねるような事態が発生をして非常に厳しい状況であると思っておりますが、この問題もさることながら、この佐川問題に対応する宮澤内閣姿勢そのものが今新しく問われておる段階に来ているのではないか。と申しますのも、五億円の授受を認めた金丸副総裁が辞意を表明されましたときに、やたらこれを慰留した。なぜ副総裁の辞任を慰留されたのか、宮澤内閣としては何を考えておるのか、どういう立場で慰留をしたのか、倫理観などは持ち合わせないのではないか。ただ最大派閥がついていれば、その内容いかんによっては何が何でもいてもらわなくては困る。極めて清潔な政治を標榜し、また、対外的に信頼を訴える政治を実行していくことを掲げておきながら、極めて宮澤内閣態度は不可解そのものである。  またさらに、新潟県知事につきましても、先ほど来同僚議員質問にもありましたけれども、その知事辞任についても、先ほど官房長官が右腕とおっしゃった方も、何か重要な役割を果たされておったと。  こういうことを考えますと、今こそ宮澤内閣といたしましては、この佐川問題については進んで積極的に取り組むべきではないのか。政治倫理に対する感覚が欠落をしておる、ということは、同時に、これからの再発防止に向けましても、政治改革に取り組もうなどというお考えは元来持ち合わせていないのではないか、こういう意見も巷間ございます。私も一部同感でございますが、まず冒頭に、このことについての官房長官の所見を伺っておきたいと思います。
  92. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 幾つかの論点を今御指摘なされたと思います。  まず第一に、金丸副総裁がおやめになったときになぜ慰留したのかという御質問でございますけれども、金丸副総裁は、我々宮澤政権とともに過去一年近く、この内外時局多難な際に、ともに政治的に多くの難問を処理してきてくださった重要な政治家でございます。予算の問題もありましたし、それから、PKO法案という難しい法案をみんなで協力して、国会の御審議を得ながら同意を得るという作業もともにやってまいりました。また、経済対策等につきましても、ともにいろいろ考えながら進んでこられました、強力な、重要な政治家でございます。宮澤内閣にとりましては大きな支えでありましたし、その方がおやめになるというときに、突然のことでございますので、すぐ辞表を受けとめる気持ちになれなかったという気持ちの問題はどうしてもあると思います。  いろいろな御議論はあろうかと思いますけれども、総理としても、気持ちの問題としてすぐ受理できる心構えができなかったということであって、それはある意味では人間のごくあり得ることだったのではないかなと思っております。  それから次に、政治改革等から考えると、率先していろいろ調べたりしていくべきではないかというような問題点とかを御指摘になりながら、政治改革をやる覚悟はないのではないかという御指摘が最後にあったかと存じますけれども、我々としては、政治改革というのは現在の急務であって、そして金銭にまつわるいろいろな疑念があることは承知いたしております。  そのためにも、この間、国会の中で各党で協議をいただき、ある程度まとまりつつある緊急是正の内容につきましては、できるだけ早く処理をするように今後とも努力をしてまいりたい、特に国会各派の御協力をいただきたいと思っておりますし、また、今後の抜本的な改革についても本格的に取り組んでまいりたいと、こう思っております。
  93. 大久保直彦

    大久保直彦君 ただいまの御答弁につきましてもいろいろ意見がございますが、ただ、きょうは余り時間がございませんので、概括的にお尋ねをいたしますが、今の御答弁を伺っておりましても、納得のいかない面が多々ございまして、宮澤内閣そのものの政治倫理、または一つのけじめ、または再発防止政治改革、こういうことに関連をいたしまして、果たしてどうなるものやらという懸念が国民全般にあり、それがまた政治不信にもつながりかねない、こういうことを憂慮いたしておるわけでございますが、宮澤内閣としてはこの佐川事件というものにどのようにこれから取り組んでいこうとされておるのか、どう位置づけてどういうふうにこれを解明しようとされておるのか、その問題について御答弁をお願いします。
  94. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 最も重要なことは事実関係が客観的に明確になることであろうと思っております。その作業は、そういう任務を負っておりますいわゆる司法当局厳正中立調査をしていくことが重要であろうと思っておりますし、現に我々はその調査が行われていると思っております。その経緯を見守っていきたいと、こう思っております。
  95. 大久保直彦

    大久保直彦君 地検が捜査中であると、当局は厳正な捜査をいたしておるという御答弁は先ほどもお伺いいたしましたが、今確かに一般論としてはそういう御答弁もあり得るかと思います。しかし、今の事態はそういう一般論がもう通用する範囲を超えておるのではないか。ということは、もう長官自身も御承知だと思いますが、この佐川事件というのはさきのリクルート事件の様相に非常に似ておるのではないかということを私は痛感してなりません。あのリクルート事件のときもいろいろ次から次へと食言があったり、また三点セットというようなことが問題になったり、もらってないと答えたはずの閣僚が実はということで辞任をされたりということで、閣僚の中の答弁も二転、三転をして、最終的に竹下内閣が総辞職と、こういう事態に追い込まれたわけでございます。  そういうことを考えますと、今、そのような官房長官が一般論を述べておる段階ではないのではないか、むしろ本当に宮澤内閣のあすを考えるならば、進んで閣内でこのことの真相究明のための積極的な調査と申しますか、いろいろ取り組みが検討されてしかるべきではないのか、このように思うわけでございますが、それについてはいかがですか。
  96. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) こういう問題が出てきましたときに一番重要なのは、事実関係を明確にすること、そしてそれが法に照らしてどういう意味を持つかということを明確にすることであろうと思っております。したがって、その任務は今政府部内では司法当局がしっかりとした問題意識を持って取り組んでいると思っております。  それぞれの閣僚等につきましての言及が今あったと思いますけれども、その点につきましては、それぞれの閣僚が自己の政治責任において過日もそれぞれ閣議後の記者会見で述べられておりますし、それは直接記者会見等を通じて国民の前に自分考えを述べ、また事実関係を述べられるのが最も正確に伝わることなのではないかなと、こう思っております。政府部内でこの点について調査をするとすれば、司法当局がしっかりと調べるということが重要であろうと思っております。
  97. 大久保直彦

    大久保直彦君 新しい内閣をつくる場合に、それに事例するようなことがあるかないかということを直接本人にかつてお尋ねになったような経緯もありました。また今、長官が御発言になったように、司法当局のみならずマスコミ各方面におかれましても直接その当該といいますか、全閣僚に対していろいろなアンケートなり調査をぶつけて、いろいろその実態の解明をなさっておられる。私はそれほどまでにやはり国民の関心はこの佐川問題についてはもう抜き差しならぬところへ来ているんだと思うんです。ですから、今繰り返されておるような一般論で過ごされませんで、どうか内閣が進んでまず閣内の事実の解明に、または実態の解明に取り組んで、それを国民の前に明らかにするということが今一番重要なことではないのだろうかというふうに思いますので、重ねて御答弁をお願いしたいと思います。
  98. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 最も重要な、最も厳粛な政府による調査内閣による調査というものは、司法当局調査が厳粛に行われるようにするということであろうと存じております。
  99. 大久保直彦

    大久保直彦君 きょう私がこのことについて官房長官お尋ねをするということを私の友人に話しましたところ、何を伺っても積極的な御答弁はないだろう、むしろ恐ろしいといいますか、巷間今懸念されておりますことは、これだけの大きな広がりを見せておる佐川事件、まだほんの入り口であると思いますけれども、これがやがて政界全体に広がることを懸念しまして、宮澤内閣は我々が予想することとは全く正反対の方向で、この事件の捜査について権力の介入というようなこともある場面においては考えておられるのではないのかということを耳打ちした者がおります。私もよもやそんなことは考えてないと思っておりますけれども、こういう何が飛び出してくるかわからない非常に予測の厳しい事態でございますので、この点についても官房長官から本日の時点での明確なお考えを聞かせておいていただきたいと、こういうふうに思います。
  100. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 今、大変重要な御指摘がございましたけれども、我々はこういう問題点につきまして権力で介入するかどうかというようなことを言われることはございません。法務大臣が答弁いたしておりますけれども、検察は厳正公平、不偏不党の立場を堅持し、適正に検察権を行使してきたものと認識しており、具体的事件の捜査、処理に関し、指揮権を発動して検察権の行使に不当な制約を加えるようなことは考えていないということを法務大臣が最近記者会見での席であったかと存じますが、そう述べておりますけれども、先ほどから申しましておりますように、最も重要なことは、公正な、中立的な調査がしっかりと行われること、事実関係が明白になるということが一番重要でありますから、そういう状況をつくり出す、それを信頼するということが一番重要であると申し述べてきたのは、そういう我々の立場を強く申し上げたかったからでございます。
  101. 大久保直彦

    大久保直彦君 ただいまの御答弁はそのとおり承っておきたいと思います。  ただ、この佐川問題のこれからの展開ということを考えますと、また国民のひとしく抱いておるいら立ちというようなことを考えますと、これはやはり一日も早くこの全貌が解明されまして、二度とこういうことが起きないような再発防止の手だてがきちっと講じられなければならないと思います。そういう意味から、一日も早い臨時国会召集がなされまして、その国会の場で国会がなすべき役割をきちっと果たして、やはり国民信頼にこたえなければならないのではないか。そういう意味では、私ども国会早期召集を強く要求いたしておきたいと思います。  また、国会国会でのやり方があるということをさっき長官も述べられておりましたけれども、それとは別に政府におかれましても、この佐川問題解明に向けて臨時国会早期召集をぜひとも検討されるべきである、このように申し上げておきたいと思います。  残念ながらきょうはこれで時間が終わりでございますので、まことに中途半端なことで、最後に御答弁をいただきまして私の質問を終わりたいと思います。
  102. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 国会召集等につきましては、諸般の事情を判断しながら政府部内でも今後検討していくことになろうと存じますけれども、補正予算の御審議をいただく際にはしっかりとした税収見積もり、また支出についての見通しを立てたものを出さなければならないと思っております。  また、佐川問題等の解明につきましては、司法当局が厳正に調査できる、そういう状況を常に確保するということが最も重要なことだと存じております。
  103. 大久保直彦

    大久保直彦君 終わります。
  104. 吉田之久

    ○吉田之久君 限られた時間でございますので、いろいろ質問はしたいのでございますが、まず初めに、今、大久保さんからも御質問がありましたので、政治倫理の問題について先に質問をいたしたいと思います。  今もお話がありましたが、今度の佐川問題それはまさに政界に激震を与えた一つ疑惑だというふうに私どもは思います。なぜ激震なのか。まず国民の側から見ますと、政治姿勢あるいは政治倫理、それを見詰める代表的な二つの柱は国会内閣であると思います。地方議会、地方自治体等ももちろん関係はありますけれども国民はひとしく今の国会とそして内閣姿勢を見詰めておる。ところが、今度のこの佐川急便の事件はまさに自民党の中枢を直撃した一つの事件であると言わなければなりません。しかも、一方、報道に伝えられるところによりますと、現閣僚にも佐川マネーがかなり流れ込んでいる疑いが極めて濃厚であるということが連日報じられているわけでございます。  だから、先ほど来の官房長官の御答弁は一般論としてはわかります。一人の国民に対する疑惑を晴らす問題としてはわかりますけれども、まして政治の中枢、かつ閣僚の中にもしもそういう人たちが存在するとなれば、それは通り一遍の対応だけでは通らない問題だというふうに思うわけでございます。  さて、先ほどあくまでも事実関係司法当局に任せる、検察の捜査の動向、推移を厳正に中立に見守るんだということが明言されました。だとするならば、内閣考え方姿勢の延長線上には、今も大久保さんからも御質問がありましたけれども、断じて指揮権発動等のごときものは全くあり得ないということが当然の結論だと思うわけでございまして、今も御答弁がありましたけれども官房長官は法務大臣に対しましても、あるいは総理自身に対しましても、断じて宮澤内閣はあくまでも権力をもって介入することは金輪際あり得ないということを改めて進言される必要があると思うのでございますけれども、再度この辺のところをお伺い申し上げたいと思います。
  105. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 今、吉田先生が御指摘になりましたいわゆる指揮権は、検察庁法第十四条に基づき法務大臣に認められました権限であって、したがって、私がここで直接あれこれ申し上げていい筋合いのものではないと思っております。そこはひとつ法律の建前から明確にしなければならないところだろうと思っておりますが、一方、法務大臣は、かねてから検察は厳正公正、不偏不党の立場を堅持し、適切に検察権を行使してきたものだと思っている、そして具体的な事件処理に関しては、自分としては指揮権を発動して検察権の行使に不当な制約を加えるようなことは考えていないということを繰り返し明言いたしておりますことをここで御紹介いたしておきます。
  106. 吉田之久

    ○吉田之久君 法務大臣の決意につきましては既に聞いておりますし、また官房長官からもそういう御明言がありますので、私どもはかたくそのことを信じてこれからの内閣の対応を見守ってまいりたいと思うのでございますが、同時に、内閣というのは最も権威を誇る組織だと思うんです。だから、個々の大臣がいろいろと記者会見をして自分立場を述べられることは、それはもちろん当然のことではありますけれども内閣それ自体として我々はかくのごとく調査し、そしてかくのごとく報告することができるということをやっぱり国民の前に明らかにしなければ、国民疑惑、まして権威の象徴であります内閣を見詰める国民の目は次第次第に疑惑に覆われていくと思うわけなんでございます。  だから、事細かにその事実関係や、いつ幾日にだれが運んだ、返した、受け取ったというようなことまで官房長官が各閣僚にお調べになる必要はないと思うんでございますけれども、一人一人の閣僚に対して、天地神明に誓って佐川急便とは一銭のかかわりもありませんとか、あるいは若干の寄附や援助をもらったことはありますとか、あるいは資金以外の関連協力を得たことはありますとか、あるいはそれは政治資金にちゃんと届け出をしてありますとか、あるいはまだ届けてありませんとか、その辺のところは責任を持って聞きただし、調査して、そして今度は内閣自身として自信を持って天下に報告するというやっぱり姿勢がないと、とてもとてもここまできた日本政治倫理というものを再建する道は出てこないんじゃないかというふうに私は思うんでございますが、そういうお気持ちはお持ちになりませんでしょうか。
  107. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) それぞれの閣僚の皆様には責任を持ってそれぞれの閣議後の記者会見国民に向かって事実関係を述べていただき、そして責任を持って御発言いただいておるわけでございます。恐らく内閣の方で皆さんにお聞きしても同じ発言になるだろうと思います。  したがって、そこから先、内閣がみずからの機能において明確に調べるというようなことになりますと、恐らく政府部内の中でそれを一番権威を持ってやり得るのは司法の場だと思います。したがって、その司法の場に一切の制約を加えずに公明正大に調べていただくような条件を我々が確保すること、これが実は一番内閣としては国民の前に事実関係を一番的確にお知らせする道であろう、こう思っております。
  108. 吉田之久

    ○吉田之久君 その辺が全く官房長官のお気持ちは、時代の推移国民政治を見詰めるそういう姿勢に対して的確に対応していない、私ども国民の側を代表してそう思います。  一般の国民のいろいろな事情については今官房長官のおっしゃるとおりでございますけれども、事閣僚という立場にある人たちに対して、事実か無実かは知りませんけれども、そういううわさが流れておる。それは検察当局に調べさせればいいよということだけでは、時々刻々動いている今日の日本政治、それを見詰めている国民から見たらたまらない思いだと思うんですね。いずれは調べるだろうけれども官房長官として、総理大臣として、各閣僚記者会見はしておるけれども、それはかなり公的な一つの報道ではありますけれども、組織として、内閣としてきちんと聞いて間違いなくこう言い切れると。もしも事実と違ったことがあるならば、それは内閣自身が責任をとるというぐらいのことを言わないと、もはやどうにもならないほど政治不信は進んでおると私はもう断言してはばかりません。だから、その辺のところはこれ以上答弁を求めたってむだだと思いますけれども、ひとつ篤と長官の胸の底に刻んでおいていただきたいというふうに思うわけでございます。  次に、臨時国会の開会が何かそういう佐川急便等の問題もこれあり、次第におくれるのではないかということも国民の中にそれとなく感じている現状でございます。それはとんでもないことだと思うのでございますね。まして緊急総合経済政策を速やかに実施すべき時期に迫られておるわけであります。ならば一刻も早くその臨時国会を開いて、そしてそういう問題に対応する、あわせて今申します政治倫理の問題についても大いに解明を急いでいくということをしなければなりません。それを故意におくらせるとするならば、まさに国民に対して内閣は二重の背信をすることになるということを私は非常に恐れるわけでございます。  したがって、先ほど来も各委員から御質問がありましたけれども、税収見通しの確定がこのままでいけば大体いつごろになるのか、あるいは建設国債発行の額の設定などは大体どのぐらいの時期で確定するのか、やっぱり大急ぎでやってもらわないといけない。景気は悪うございますから、税収の見通しがだんだん困難でおくれると、おくれればおくれるほど確かな結果は出ると思うのでございますが、それがおくれればおくれるだけ今度は景気浮揚の対応がおくれるわけでありまして、これはまさに二律背反になってきていると思います。そういう点で、急いで景気浮揚の策を講じようとする臨時国会早期に開くためにはどのような段取りが予想されるのか、ただいま時点の官房長官の見通し等について簡略に御説明をいただきたいと思います。
  109. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 今、補正予算の提出等について景気対策もあるのでできるだけ急ぐべきではないか、他の要因を考えて意図的に国会召集をおくらせるべきではないという御指摘でございました。  補正予算につきましては、今回の総合経済対策に関連する事項以外にも、人事院勧告の取り扱いをどうするか、きょうここで御議論いただいているようなテーマでございますが、それから台風などが起きたり災害復旧なんかもございます。そこで義務的な経費の追加財政需要の動向をどう見るか、九月というのは台風の多いときでございますのでそれをどう判断するか。また、歳入面で言いますと、先ほど言いましたように、今回は経済が大変動いておりますので、当初の見積もりから大きく乖離いたしました税収になっている可能性は十分にあろうかと存じますので、そういう点を含めて、現時点では補正予算の提出時期について云々することはとてもとても時期尚早であろうと思っております。  それで通常のときもといいますか、近年で最も早い税収補正を伴った補正予算の提出は十月三十一日なんであります。これは昭和六十一年度でございますけれども、そういうわけで、特に今度の場合には経済変動が大きいと予想されます。だれの目にもそれが予想されますので、本当にその点につきましては少し時間をいただかないと責任を持った補正予算の提出はできないということになるのではないかと思います。  一方、それではいわゆる景気対策というのは十分できるのか、遅くなるのじゃないかという点がございます。  先ほど申しましたように、我々はそこは非常に緊急のことだと考えておりますので、八月十八日の金融行政に関する政策発表とか、八月二十八日に繰り上げました十兆七千億の対策等はかなり急いで行ったものであり、かなり国際的にも評価を今得ている対策になったと自負いたしております。また、それでは予算はどうするのかと、公共事業前倒し七五%上半期やったのだからその後を追わなければ間に合わないではないかという御議論もあると思いますけれども、現在の公共事業についての対策はいわゆる残りの二五%を第三・四半期の方でかなり前倒しをして実施してもらうということ等も含めまして、その点につきましては遺漏のなきように手当てをいたしてまいりたい、こう思っております。
  110. 吉田之久

    ○吉田之久君 ともあれ、一刻も早く臨時国会を開いて景気浮揚対策を講じませんと、いろいろと慎重を期して数字を把握している間に時期おくれになってしまったんでは何にもならないわけでございまして、いろいろと数字の世界は厳しゅうございますけれども、補正の補正も絶えずあるわけでございますから、その辺はやっぱり現状にマッチした対応を内閣自身も急いでいただきたい。  人勧の問題もまさにそのとおりでございまして、人勧国家公務員労働基本権代償措置であります。したがって尊重されなければなりませんし、同時に完全実施を約束されなければなりません。早急に閣議決定がなされなければなりません。ともあれ、いろいろ各委員からもお述べになりましたけれども、余りにも年中行事化し過ぎております。そして、年末ぎりぎりに決定して、それで国会関連法案を通すというようなことになっておりますが、今度は国会法の改正で通常国会が一月の下旬になります。だとすると、もしもこの臨時国会で結論を見出すことができなかったら人勧実施は極めておくれます。国家公務員や県庁職員がおくれるだけではなしに、市町村はその後にずっとおくれて労使協議を行わなければならない。場合によれば丸一年民間と比べておくれてしまうことがあると思うんでございますね。まとめて払うからいいだろうというわけにはいかない、やっぱり公務員といえどもみんなそれぞれ大事な生活設計を持っているわけでございます。  そういう点で、次なる臨時国会において間違いなく関係法案の成立を見るよう、内閣としては精いっぱいの協力をするということを明言していただきたいと思うんです。
  111. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 人勧制度があって、そしてそれに関して毎年年中行事のようにこの公務員給与の問題が論議されるではないかという、今、吉田先生の御発言がございました。先ほど喜岡先生もそういうことをおっしゃり、何かそこは議論しなくても済むようなシステムを、また法律を考えるべきではないかという御指摘がありましたけれども、しかしどこの国でも公務員給与の問題というのは政治の中で毎年議論される重大な問題であろうと思っております。それは国民が見ている話でございまして、この問題はやはり国会で毎年議論され得べき問題ではないかと存じます。  国家公務員給与の問題は、また地方公務員給与の問題にも深く影響いたすわけでございます。だからこそ私たちはこの問題は重要だと考えており、また争議権をカットした唯一の代償措置であるということも存じております。したがって、また国会の開会が新年になりますという新しい事態も私たちもよく存じておりますので、そこを念頭に入れながら、国政全般のことも考えながら十分に対処していきたいと考えております。
  112. 吉田之久

    ○吉田之久君 あと二、三分しかありませんので、今次勧告配分について、答弁は要りませんが、強く要望しておきたいことが一つございます。  それは、行政一俸給表の三、四、五、六級とも一けた台の号俸ではほぼ平均引き上げ率二・九%を上回っておりますけれども、十号俸前後から軒並みに平均を大きく下回っておる。これで中堅層に配慮したとはとても言えないと思うんでございますね。特に、俸給表を見ますと、五級、六級あたりですね、一番世帯盛りの年代だと思うんでございますが、しかも六級の場合には組合活動なんかしている者は組合員でおらなければなりませんので、七級、八級には上れない。この辺にかなりの人たちがおるわけでございまして、しかもそのアップ率は二・三とか二・二でございまして、これは非常に苦しい現状にあると思います。その点は篤とひとつお考えをいただきたい。  それから最後に、PKOがいよいよ来月派遣されることになりますけれども、派遣手当の問題でございます。二万円というのは一日二万円のようでございますが、最も危険率が高いと推定される停戦監視団に属する者だけである、他の分野はもっと低い。何か非常にアンバランスが出てくるかもしれませんし、我が国が初めて平和の使者を送る最初の行為でありまして、やっぱり目いっぱい思い切った措置を講ずべきであると思います。その辺を予備費から出すのか防衛費を削って出すのか、いろいろ問題はあるようでございますが、一言長官のお考え方を聞きたい。PKOの派遣の問題です。
  113. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) PKOの方につきまして御答弁申し上げます。  今度の国際協力業務というものは、我が国の自衛隊等の職員にとりまして新たな国際的な任務を遂行する重大な任務であろうと思っております。こういう任務につかれる人々の待遇、それから、こんなことはあってほしいとはだれも思わないですけれども、万が一の場合に関する賞じゅつ金の話等につきましては、今関係省庁の間で鋭意検討しておりまして、それで財政当局に強く迫っておるものですから、閣議決定が四、五日おくれるようなところまでやっております。大体めどがつきかけておりますけれども、先生御指摘の点は十分に財政当局にも理解してもらって、客観的に十分と言えるかどうかは知りませんけれども、我々としては精いっぱいのことをそれぞれについてやっていかなければならない、こう考えております。
  114. 吉田之久

    ○吉田之久君 適切な対応をお願いいたしまして質問を終わります。
  115. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 初めに人勧問題について一点、公務員の長時間労働の問題について人事院お尋ねしたいと思います。  ことしの勧告報告は、国家公務員超過勤務の問題を取り上げてその法的整備の必要性を指摘しております。この問題を具体的に解決するためには、定員の拡大、これは言うまでもありませんけれども、残業の上限規制、これを法的に何らかの形で定め、実施していくことが不可欠だというふうに考えます。その際重要なことは、公務員民間労働者より不利益になってはならないという民間準拠の立場から、少なくとも民間に適用されている法制度、これに調和したやり方で定めるということが大事だと思います。  労働基準法の第三十六条では、超過勤務については労使が協定するということになっております。これに準じて、国家公務員も使用者と残業の上限について協議し合意する、こうやっていくべきではないか。そうして上限規制、これを何らかの形でやるべきだというふうに思います。そしてその検討に進む必要があるというふうに思いますが、どうでしょうか。
  116. 山崎宏一郎

    説明員山崎宏一郎君) 民間の場合は労働基準法がございまして、御指摘のような規定もございます。ただ、国家公務員の場合には労働基準法の規定は参酌しておりますけれども公務という独自の世界でございますので、公務にふさわしい形の勤務条件を設定する必要があるということで、御承知のように、国家公務員法のもとに人事院規則で具体的な条件を設定しておるところでございます。  したがいまして、残業の規制等の問題も従来から特段の法的な規制等は行っておりませんし、今後残業問題をどう詰めていくかということが問題でございますけれども、いろんな視点からの対策はあろうかと思います。当面我々が考えておりますのは、残業の原因となっております仕事の進め方といいますか、そういう根の深い問題に対処する必要があるということを考えております。
  117. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 地方公務員に対しては労働基準法の第三十六条に準じたやり方が適用されるというふうに聞いております。国家公務員の場合にもそれの検討をぜひお願いしたいということを要望しておきたいと思います。  次に、官房長官にお聞きしたい問題でございます。これは佐川急便問題です。  といいますのは、佐川急便問題は今宮澤内閣政治姿勢を問われる最大の問題になっているというふうに言うことができると思います。あの佐川急便から総額二十一億円を受け取ったとされる十二名の政治家の中には、宮澤内閣の外務大臣それから運輸大臣の名前も挙がっております。十二名のうちの一人である金丸氏はその事実を認めたということで、このことは非常に信憑性が高いというふうに言わざるを得ないと思います。  さらに、九月一日、奥田運輸大臣が北陸佐川から一億円の提供を受けていたことが北陸佐川の総勘定元帳から明らかになったという報道もございます。運輸相といえば、まさに佐川急便を監督する、そういう立場にある重要な大臣であります。そのようなことが報道されている以上、政府責任は本当に大きいというふうに思います。政府責任を持って事の真相を国民に明らかにすべきだと思うんです。  問題の総勘定元帳は紛失されたもので、石川県の政治結社が入手して警視庁に任意提出したものだと報じられています。これはいわば捜査中の資料と違って、入手して、そして警視庁に任意提出したというものですから、捜査中の資料ということではないと思うんですね。ですから、この元帳の少なくとも奥田運輸大臣に関連する部分というものは国会に提出していただいて、それで問題の真偽を明らかにするということをやっていく必要があるんじゃないかというふうに思いますが、官房長官の御見解を伺いたいと思います。
  118. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) この佐川急便事件につきましていろいろな報道がありますことを我々も承知いたしております。しかし、その報道はいろんな人の名前が挙がったり、いろんな金額があったり、そしてあるときは消え、あるときはまた出てまいります。それは、その一つ一つを前提に我々は議論はできないと思っております。そして、それぞれの方が責任を持って御答弁なり、また記者会見等にも応じられておるわけでございます。  今、我々の政府がしなければならないことは、政治改革をしっかりやるという心を固めながら、同時に、具体的な案件についての調査につきましては司法当局に厳正な捜査が行われるような条件を与えることでないだろうかなと思っております。公明正大、そして中立、厳しい、厳格な捜査が行われるということを信頼し、そしてその結果を待つということではないだろうかなと思っております。
  119. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 こういう問題が起こったときに、本人が記者会見なりなんなりでまず否定されるというのは、言ってみれば当然のことなんで、すぐ肯定をするなどということはおよそあり得ないことです。否定をされるからこそ、やっぱり政府としてきちっとした態度が必要だというのがこの問題の道筋だと私は思うんです。  金丸氏はやめるときに記者会見をして、公器である新聞、これに報道されましたので云々というふうに、その新聞の報道の意味をそういうふうに述べています。ですから、新聞に報道され、あるいは本人が否定しているということだからということだけで、この問題は政府としては関与しなくていいんだということには決してならない。逆に否定されている、あるいはまた新聞に報道されているからこそ、政府としてきちっとした責任ある解明を行うべきだ、こういうふうに思います。  しかも、先ほども言いましたけれども、この総勘定元帳というのは捜査中の資料じゃないんです。ここが一つの大きな問題です。ですから、捜査中の資料で捜査に任せなければならないということで、この問題に政府が無関心であってはならないというふうに思います。  再度官房長官考え方、これをもう一度聞かせていただきたいというふうに思います。
  120. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 繰り返しますけれども政府が、また内閣官房が厳正な調査責任を持ってやるとするならば、司法当局調査を待ち、そしてそれが法に照らして明確にされるということが一番の客観的なおかつ権威のあるものであろうと思っております。それが、最も国民信頼する調査になるのではないだろうかと思っております。  今、聴濤先生が具体的にある調査資料の点について言及されましたけれども、その辺の事実関係や性格、ちょっとつまびらかではございませんので答弁は避けますし、国会による資料要求の問題であるとするならば、委員会の方で御判断くださるものであろうと思います。
  121. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 先ほども指摘があったんですけれども、新潟県の知事選をめぐって、さきに質問がされましたけれども、この点でもやはり政府責任というのは非常に大きいと思うんですね。きちっとさせる必要がある。  あの八九年の新潟知事選に当たって、佐川急便から三億円の金が流れたということは、もうこれは広く知られ、また供述もされているところです。そのうちの二億円、自民党の県連に渡ったという問題が報道されております。そして、その当時の県連の会長というのは、まさに今の官房長官であります。加藤官房長官の直接の部下になる方、これが当時の自民党の県連の会長であった。その辺の事情というのは知る立場にあったと思うんです。ですから、この点でもやはり政府責任を持って近藤官房長官から事情を聞き、そして国民の前にきちっと事の真相を明らかにする責任があると思いますが、いかがでしょうか。
  122. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 官房長官は、私とともに毎日内閣官房仕事をしております私の右腕でございます。そういう意味で、一心同体仕事をいたしておりますけれども、しかし現在御質問いただいておりますことは、内閣官房仕事に関する問題ではなくて、近藤長官の一議員としての、一国会議員としての活動に関するものでございますので、ここで私が言及するのは適当ではないと存じます。
  123. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 どうも、あれもやらないこれもやらないということでは、やはり無責任だと思います。本当に解明する姿勢があるのかないのかということが問われてくると思うんですね。こういうことでは、政治改革政治改革と言っても、その前提を明らかにしないということになりますと、まじめな改革というのは私はできないと思う。  私たち、この問題、臨時国会早期開催を求めておりますし、そこで徹底的に解明したいというふうに思いますが、先ほどの資料の総勘定元帳というのは、報じられているところによると、そういう捜査中の資料ではございません。いわば、落とし物があって、それが警視庁に届けられているという性格の問題だというふうに思いますので、官房長官、そのあたりつまびらかでないとおっしゃいましたけれども、よく調べて提出をお願いしたいということを再度要望しておきたいと思います。  時間がございませんので、官房長官にもう一つの問題、テーマとして、カンボジアの問題、自衛隊、PKOの問題、この点について質問させていただきます。  宮澤総理は、七月十五日、前橋の記者会見で、カンボジアヘの自衛隊派遣について、武装解除という第二段階に無事に入っていけるかどうかを見届けるのが先決だと。すなわちカンボジアヘの自衛隊派遣は、武装解除という段階に入っているかどうか見届けるのが先決だというふうに記者会見をしております。  また、加藤官房長官自身も同じ日の記者会見で、ポル・ポト派がパリ協定の第二段階に実質的に入っていると見きわめてから派遣を考えていきたいと、こういうふうに述べておられます。  現在、ポル・ポト派が武装解除をしていない、応じていないということは、もう天下周知のことです。それに従って他の派も武装解除をわずかにしか行っていないというのもこれまた天下周知の事実です。それにもかかわらず、報じられておるところによれば、近々に、九月早々に政府は派遣を決定しようとしているわけです。  そうしますと、総理の言明、官房長官の言明、それに照らしてもそれに反する、そういうことになってくるのではないか。今、官房長官の言明に照らしても自衛隊の派遣はできないはずなんだけれども、それをあえてやろうとされる。これはどういうことなのかということをお聞きしたいと思います。
  124. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 総理も私たちも申し上げておりますことは、またがって申し上げましたことは、いわゆる国際平和協力法にも明確に規定されております五条件、これがしつかりと満たされている状況ということが絶対必要であるということからきております発言でございます。また、武装解除等の問題が実質的に進むようにというようなことも、いわゆる第一項の停戦の合意という問題がしっかりと確約されているというようなこととの関連で申し上げておったわけでございますが、ポル・ポト派は累次の機会に、その後もパリ協定、包括和平協定を遵守する旨明らかにしておりますし、また全面的に戦闘を開始するという行動に出ているわけではありません。したがって、パリ協定に基づく和平プロセスの基本的な枠組みは維持されていると私たちは思っておりまして、当事者間の停戦の合意も保たれているというふうに認識しております。その意味で第一項は満たされていると思っております。  第二項は、いわゆる派遣に関する同意条項でございますが、これは先ほどから御議論ありましたように、国連を通じてSNCのシアヌーク議長から明確に同意の意向を受けておるということでございます。
  125. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 るる御説明ございましたが、パリ協定が維持されているかどうかということを私今質問したんじゃないんです。パリ協定の定める第二段階、すなわち武装解除が行われなければ、その辺をよく見きわめなければ自衛隊のカンボジアヘの派遣はあり得ないと、そういうふうに総理それから官房長官は言われた。今パリ協定がどうなっているか、こうなっているかじゃないんです。  第二段階に入ったかどうかを見きわめなければ決定できないとおっしゃったわけで、そのことは今五条件が満たされている、あるいはパリ協定をポル・ポト派が破棄するとは言っていないとか、そういうことではなく、総理それから官房長官の言明そのものに照らしてどうなんだということを聞いておるわけです。今のお答えによると、その言明はほごにしてもいいということにならざるを得ないと思うんですが、そういうことですか。
  126. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 我が国の要員、それから部隊を派遣する際に一番重要なのは、第一項目の停戦の合意がなされているかということでございまして、ポル・ポト派の武装解除が前提になるということを申し上げているのではございません。第一項で停戦合意がなされているかというのが非常に重要なことでございまして、それをまた確実なものにするためにも武装解除は重要な一つのステップでありますし、またそれがしつかりとやられるように、我々は外交努力を積み重ねなければならないという我々の決意の表明でもあったわけでございます。その点につきましては、累次我が方の池田アジア局長を現地に派遣して、今交渉し、精いっぱいの説得工作を行っておるところでございます。
  127. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 時間がもうありませんが、停戦の合意は守られていないと思うんです。プノンペン政府が毎日というほど記者会見をして発表して、ポル・ポト派がきょうはこういう攻撃をした、そういう報道がいっぱいで、この間どれだけの停戦違反が行われたかというのは、プノンペン政府だけじゃなくて、国連のガリ事務総長の報告にもそれは出ている。  これは、七月十四日に安保理に提出されたガリ事務総長の報告ですが、停戦違反、停戦合意が破られている具体的な事実を挙げて、こういうことまでガリ事務総長は言っているんですね。パリ協定に基づく義務を果たすよう説得するまでUNTACの活動を中止するか、それとも一つの派の協力がなくとも国際社会決意が変わらないことを示すか、国連はこの二者択一に迫られている、これがカンボジア情勢だというのが肝心の国連ガリ事務総長の報告書です。  この情勢認識に立つならば、今度の自衛隊の海外派兵は、あのPKO協力法のどの条項をもってしても、これは発動できないと私は考えます。  時間がありませんので、そのことを述べて私の質問を終わらせていただきます。
  128. 磯村修

    磯村修君 私も佐川急便問題についてちょっとお伺いしようと思ったんですけれども官房長官が退席されてしまったのでお伺いできないわけでございます。この辺は後日また機会がありましたらお伺いするということにいたします。  そこで、人勧の問題でございますけれども、先ほどからいろいろと御議論がございました。やはり政府人事院勧告を守っていくためにも、早期実施のために最大限の努力をしていくと、こういう趣旨のことを総務庁長官及び官房長官も答弁なさっているわけでございますが、毎年のように、これが十二月の年末ぎりぎりに決まるというふうな状況考えた場合、今年度当初予算にも一・五%というふうな給与改善費というものが計上されているわけなんですけれども、時期早くこれが完全実施できるように、財源的な措置を当初から見込んでできるだけ計上するような努力が必要ではなかろうかと、こういうふうに思うわけなんです。  そういう点につきまして、なぜこれができないのか、やはり努力してそういう財源措置を当初からできるような状況考えるべきではなかろうか、こう思うわけでございますけれども、お考えをお伺いしたいと思います。
  129. 岩崎純三

    国務大臣岩崎純三君) 人事院勧告制度を尊重するという政府基本姿勢につきましては、先ほど来の諸先生方の御質問お答えをいたしたところでございます。またその早期実現に向けまして、今日まで総務庁といたしましては、最大限の努力をいたし、国民理解と納得の上に立ってそれが実現を見てまいったところでございます。    〔委員長退席、理事板垣正君着席〕  ただ、先生は同じことを繰り返さずに財源の措置を冒頭にやった方がよかろう、このような御指摘がございました。この件につきましては喜岡委員の御質問にもお答えをいたしましたとおり、従来までも財源の有無あるいは財源の多寡にかかわらず、人事院から勧告を受けました場合には、財源のいかんを問わず、総務庁といたしましてはその完全実施に取り組んでまいったところでございます。  特に、昭和六十一年から平成二年まではその財源が全くゼロでございました。ゼロではございましたけれども人事院勧告を受けまして、財源の手当てをし、完全実施した経緯もございます。  ただ、それ以前、財源はある程度当初予算に計上をいたしました。しかし国内事情等々で給与改善を停止した場合もありますし、また完全実施をせずに部分的な実施をした過去の経緯もございます。そのときどきの国内の情勢あるいは経済情勢等々があってそのような経過をたどっておるわけでございますが、少なくとも六十一年以降は財源の有無あるいはその多少いかんにかかわらず、人事院勧告を完全実施をいたしてまいったところでございます。と同時に、先ほども申し上げたように、もしある程度の財源を当初に総務庁が要求いたしますると、当該年度の改定率に一つの示唆を与える、こんな問題もあるわけでございますので、決していい結果を生むものではないのではなかろうか、かようにも考えております。そのところをひとつ御理解と御協力をいただきたいと思います。    〔理事板垣正君退席、委員長着席〕
  130. 磯村修

    磯村修君 ともかく給与改善というのは、働く人にとっては大変重要な生活の根源になるものでございますので、十分なる御検討をお願いしておきたいと思います。  それから、今回高齢化対策の問題も取り上げられておりますけれども、これ具体的に、これは何と申しましょうか、定年延長をしていくのかあるいは再雇用していくのか、その辺の具体的なお考えはどういうふうになっているのか、お伺いしたいと思います。
  131. 丹羽清之助

    説明員丹羽清之助君) 御案内のように、社会の高齢化が進展する中で、高齢者雇用の拡大、当面六十五歳程度までの継続雇用の促進が求められておるわけでございます。  今回の報告では、公務におきましても、働く意欲と能力のある六十歳代前半層職員を、長年公務に従事して培った知識、経験を最も生かしやすい公務内で活用することを目指す必要がある旨言及しております。  先生御指摘の定年延長か再任用かというような任用形態の具体的なあり方につきましては、今後引き続き検討していくこととしておりますけれども、その際、報告でも述べましたように、新たな経験として高齢者の適切な職務配置のあり方とかという点を探る必要があること、あるいは民間企業の動向あるいは社会一般の状況にも留意する必要があること等、それらのことを念頭に置きながら今後鋭意検討してまいりたい、このように思っております。
  132. 磯村修

    磯村修君 防衛庁長官にお伺いしたいと思うんですけれども、PKO協力法が成立してから、いろいろと具体的に、当面カンボジアヘの派遣問題も出ているわけなんですけれども防衛白書の中ではPKOへの参加につきまして、合憲性であることを強調するとともに、自己完結型的な組織というものは自衛隊以外にないんだということが強調されております。  そこでお伺いしたいことは、近い将来、防衛計画の基本にもなっておりますところの防衛大綱、こうした中にも自衛隊のPKO活動という新たなことを書き入れていくのかどうか。そうしてまた、もう一つは、自衛隊の任務というのが自衛隊法第三条で定められているんですけれども、その第三条にいわゆるPKO活動に関連した条項を加えるような法改正、こういうことも考えているのかどうか。その辺のことをお伺いしたいと思います。
  133. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 今回の国際貢献の任務でございますけれども、冷戦後の状況における平和的な協力業務、五条件のもとで自衛隊を海外に派遣するものでございます。このことは、自衛隊ばかりではありません、厳密に言いますと警察あるいは選挙監視等もございますが、主として非常に困難性のある停戦後の平和回復活動、これは自衛隊がやっぱり組織、機能、経験等を生かした組織で行かなければならないということからして、今回の自衛隊の海外派遣にこの法律でも部隊としての参加を規定したような法案になったとおりでございます。  しかしながら、一方、防衛計画の大綱につきましては、これは第百二十三回国会委員会等で私も申し上げておりますけれども、今の中期防自体に特に人的資源の制約、もっと砕いて言えば、自衛官の募集対象人員である十八歳から二十六歳くらいまでですか、その年齢が今後の高齢化によって非常にウエートが、比重が低くなってまいりまして、募集困難というようなこともございます。いわゆる人的資源の制約ですね。そういうこともございますので、そういうことを含め、またそのほかの国際情勢あるいは財政事情その他万般のことを含めながら、防衛計画の別表の見直しには及ぶこともあるだろうということを申し上げてきておるわけです。  一方、災害等については、確かに防衛計画の大綱に言葉としては一行くらい入っておりますが、今、先生の御指摘は自衛隊法の三条の本来任務と表裏一体の関係だと思います。三条はまさに我が国の間接侵略、直接侵略あるいは治安出動の本来任務を規定しておるものでございまして、今回のこの国際協力業務は第八章に規定してございますが、我々は一二条の業務とはみなしておりません。事柄は重要です。重要度を言っているわけではございませんが、法律体系その他からして、そういうことを言っているわけではございません、よしんば三条に規定するということになりますと、それに相応した組織、編成、装備等々、万般にわたってこれは変えなければならない大きな問題、課題がございます。  したがいまして、将来の問題としては、国際貢献の割合が非常に大きくなっていくというようなことがあれば、国民的な論議の中で自衛隊のあり方をどうすべきかということがだんだん定着してまいるような事態であれば、これに即応してまた検討していくべきものでございまして、今直ちに、先生のおっしゃるように、三条を改正して防衛計画大綱の中にきちっと位置づけろとおっしゃる意見意見としてよくわかりますけれども、私どもは今そういうことは考えておりません。
  134. 磯村修

    磯村修君 先ほどカンボジアに派遣する問題をめぐりまして、いわゆるポル・ポト派が武装解除に応じないという問題が出ましたですね。これは私は非常にその辺の事情がわからないんですけれども、パリ協定があって、そして第二の段階として武装解除していくということなんですけれども、ポル・ポト派が武装解除をしなくても施設部隊を派遣するんだというふうな計画が進んでいるようなんですけれども、武装解除しないということは、つまり武力行動、こういうこともあり得るんだということが予想されるわけですね。武装解除しないわけですから、いつでも発砲する、武力行動に出る、こういう態勢にあるわけですね。そうした状況の中に、国民が懸念しているところの自衛隊の部隊を派遣していくということはどうなのかと。大変これは心配する、危惧する、懸念する声も高いわけなんです。  これは、いわゆるPKO協力法の五原則ということがあって、いや五原則には反しないんだからいいんだというふうなことでもって今計画を進めているんだというふうな、一口に言えばそういうことであろうと思うんですけれども、ともあれ、とにかく協定を無視して、いわゆる第二段階のなすべきことをなさないで、応じないでというポル・ポト派が存在しておるところに自衛隊の部隊を派遣するということ自体大きな問題があるんじゃなかろうか。やはり慎重論もあるわけですから、これをあえて派遣しなければならないんだ、国連の要請があるから派遣するんだということだけでもって済まされる問題なのかどうかということなんです。PKO協力法の五原則と、いつでも攻撃態勢を堅持するんだという武装解除に応じないポル・ポト派との関係関連、この辺本当にこれは法に照らして、そういう地域に派遣すること自体合理性があるのかどうか、その辺の見解を伺いたいと思うんです。
  135. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) ただいま先生から停戦というものと武装解除というものの関係について非常に重要な点の御指摘があったわけでございますが、まず第一に、考え方といたしまして両者の関係をどう見るかという点についてお答えいたしたいと存じます。  御承知のように、停戦の合意そのものはパリ協定によって成立をしたわけでございます。そして、ポル・ポト派を含めて紛争当事者であった四者がいずれも代表を送ってこれに署名し、合意を行い、またその後もいろいろな機会にポル・ポト派も含めましてパリ協定の停戦の合意は守るんだということを確認しているわけでございます。確かに散発的あるいは局地的な停戦違反事件というものが報ぜられております。これが多いというのか少ないというのかその辺の判断は一応別といたしまして、少なくともパリ協定に基づく停戦というもの自体が維持され、守られていると、全体としてですね。多少の違反はあるかもしれませんが、全体として停戦が守られているということは私どももそのように判断しておりますし、またuNTAC自身がこういう点は確認をしているわけでございます。UNTACとしては、最近もそういうような違反事件はあるけれども、全体として見れば平穏に推移しているというような見解を発表しております。  また、これは私ども日本政府としてそのようにいわば勝手に見ているということではございませんで、現在、御承知のとおり、軍事部門には三十一カ国の加盟国が参加しております。それから、文民部門だけ参加している国もございますが、いずれにしましても、合わせて約百カ国という多くの国々がUNTACの平和維持活動の努力に参加しているということでございまして、これはUNTACの活動がいわば典型的なPKO活動として広く国際的に認められているということを示す証左だと思います。繰り返しになりますが、多少の違反事件はございますが、全体としては停戦の合意は守られているということは言えると思います。  それからもう一つ、先ほど御指摘になりましたパリ協定上の武装解除の問題でございますが、私このパリ協定というのは非常に画期的な、野心的と言ってもいいような停戦協定だと存じます。と申しますのは、第二段階に入りましてそれぞれの武装を七〇%削減するということが決められているわけでございますが、これが達成されれば非常に望ましいことでございます。停戦の合意と武装解除の関係でございますが、従来持っていた武器をそのまま持っていても停戦ということはあり得るわけでございます。  ただ、先ほども御指摘のとおり、それではまたいつ始まるかわからないという危険がございます。パリ協定の考え方は各派が持っている武器をどんどん減らしていって停戦の合意を確実なものにしようという考え方に立っていると言っていいと思います。ポル・ポト派が協力的でないというのは武装のレベルを下げるというところでございまして、停戦の合意は守られているけれども、遺憾ながら武装のレベルが高い状態にあるというのが現状であろうと思います。そこで、武装解除につきまして、UNTACそれから我が国も含めまして、国連加盟国がみんなでポル・ポト派を説得して、早く武装解除の方にも応じてほしいということを外交的に働きかけているというのが現状でございます。
  136. 磯村修

    磯村修君 時間だそうですけれども一つだけちょっとお伺いしておきます。  国連からの協力要請でカンボジアに派遣される部隊、施設部隊六百人、文民警察が七十五人、それから停戦監視員が八人ということだそうですが、それでよろしゅうございますか。  もう一つは、これらの部隊、人員あるいは装備を輸送する場合に、これは自衛隊の飛行機なりあるいは船なりだけではなくて民間の協力も必要になってくるのかどうか。それから、行かれる部隊は武装していくのかどうか。その三点についてお伺いします。
  137. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 数は、今委員の御指摘のように、施設部隊六百人、それから監視員八人、そしてこれは警察のことでございますが七十五人というふうに承っております。  それから、民間の輸送協力でございますけれども、自衛隊の輸送艦あるいは補給艦等をもってする、あるいはC130H、これで輸送するということを考えておりますけれども、先遣隊と本隊に分けて行かすわけですが、主体になる本隊を派遣する場合はなかなか我が国のC130Hだけで輸送ができない面もございますので、これは民間をチャーターするとか、あるいは装備についても民間船をチャーターするということはあり得ることでございまして、私ども考えております。  それから三番目の装備については、これは実施計画の中で定めるように法定されております。これは施設部隊でございますからそれにふさわしい装備を持っていくことは当然でございまして、包括的にそういう種類とか数を恐らく実施計画で記載することになるかと存じます。それから武器につきましても、さきに政令でお決めいただいたのはピストルと小銃、これは個人として参加する場合、あるいは他の平和協力隊員、他の省庁等から応募した平和協力隊員等々の武器でございまして、部隊としての武器については装備の中の一つとして観念される構成になっておりますが、実際はどうするかといいますと、これはピストル、けん銃とそれから小銃というように限定をいたすつもりでございます。
  138. 磯村修

    磯村修君 終わります。
  139. 板垣正

    ○板垣正君 まず、PKO、平和維持活動派遣について承りたいと思いますが、報道等によりますと、きょう正式に国連から我が国連代表部に派遣要請が行われたといわれておりますが、その点について御確認をいただきたいと思います。  さらに、実施計画について、もう既に相当内容的には詰められつつある、八日の閣議で決定をする、こういうことも報道されているわけであります。また、十一日には関係政令の施行をする、こういうことで、このことが着々と進められておる。大変おくればせでありますけれども、我が国もようやく国連平和維持活動に具体的に協力をする時期を迎えたということはまことに意義深いことであると思います。過般の参議院選挙を通じましても、この問題については大方の国民の御理解をいただいたものと解釈できる、私はこう信じております。  国連からの正式な派遣要請が国連代表部に出たかどうか、また、八日の閣議決定実施計画、そうした運びで進んでおるか、まずその点を確認いたしたいと思います。
  140. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) ただいま御指摘のように、国連からの正式要請につきましては、本日の未明に日本政府としてこれを受け取りました。  その中身につきましては、従来から非公式に打診がございましたものと基本的には変わりはございませんで、先ほどもお話が出ておりましたように、我が国の参加が期待されております分野は停戦監視要員、これは八名ということでございます。それから施設部隊の六百名、それから文民警察要員七十五名ということでございまして、その後の派遣時期その他の詳細につきましては至急事務的に詰めたいということも書いてございます。これが第一点でございます。  私ども、従来からカンボジアのPKOにつきまして国連から非公式に打診がございましたので、これに基づいて準備を開始しておりましたが、現在、先ほどもお触れになりましたが、実施計画あるいは隊員の手当ての問題も含めまして、政令の施行ということも含めまして、九月八日の閣議におきましてこれらの決定をいたしたいということで鋭意詰めを行っているところでございます。現在、事務的な詰めの最終段階に差しかかっておりまして、今週中にぜひ実質的に詰めを終えたいということで頑張っておる次第でございます。
  141. 板垣正

    ○板垣正君 それで、今のお話にもございました実施計画の具体的な派遣時期等について、報道されているところによりますと、自衛隊の後方支援、これは施設部隊約六百人でありますが、第一次を九月二十三日に三十人、第二次を十月一日に百八十人、第三次を十月十三日に四百人、これが本隊、さらに停戦監視要員八人は九月十七日、文民警察七十五人、これは十月中に派遣をする。なお、そのほかに九月十一日にはアンゴラの選挙協力に三人派遣をする、こういうふうにも伝えられておりますが、その点も伺いたいと思います。  この派遣については、何と申しましても、防衛庁、自衛隊の皆さん方に大変な御苦労をいただくということで、今日までいろいろ準備を重ねられ、訓練を積み重ねてこられたと思うのでございます。宮下長官も派遣命令を発せられ、各幕僚長から各部隊に指示が出され、九月十三日に伊丹の駐屯地において編成完結式を行うというようなことも報道されております。  そこで、防衛庁、自衛隊の皆さん方が初めてこの活動に参加をしていただく、国民ひとしく御苦労様ですと、見事に任務を果たしてきてくださいと、こういう気持ちが大方であろうと思う。そして、掃海に派遣をされた海上自衛隊の皆さん方が見事に職責を果たされ、国際的にも非常な評価を得た、これに匹敵するほどの活動の成果を上げていただけるものと私は確信をいたしております。  それで、防衛庁長官に承りますが、そうした自衛隊の皆さん方の士気ですね、その心組みについて、防衛庁長官としてどういうふうに御指導いただき、またどういうふうに受けとめておられるか、あるいは装備等について不備なものはないか、この辺について最高指揮官としての御見解を承りたいと思います。
  142. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 大変御理解のある板垣先生の御指摘でございまして、私も基本的に全く先生のおっしゃるとおり同感に存じます。  そこで、具体的な事実関係について申し上げますと、八月十一日でございますが、これはまだ正式決定を見ておりませんから準備命令を出しまして、各幕僚長に所要の準備を万端するようにということで指示をいたしました。その際私が申し上げたのは、これは我が国の国際的な平和協力業務に自衛隊が参加するという歴史的な一ページを飾る大きな意義を持つ事業であるからきちっとやっていただきたい、そして同時に、あくまでこの法の趣旨に従って正々堂々とその任務を遂行していただきたい、決して焦らず、またはね上がることなく与えられた任務を法令の定むるところによってきちっとやることがかえって自衛隊への信頼につながるものであるということを申し上げて、万遺漏なきようにしていただきたい。そして、私としては、隊員の方々が使命感を持って喜んでこれに参加していっていただけるように、また家族の方々もこれに深い理解を示して、国民理解のもとに多くの支援を得て派遣できるようにということを強く、私どももいたしますが、幕僚長の方々におかれましてもそのような心構えで、まさに歴史的な一ページを飾ることであるということで申し上げたような次第であります。  幸い、六百人とプラス予備員の選考も具体的に全部終わりまして、今、委員御指摘のように青野ケ原の訓練等も完了いたしました。万般の準備は整っておりますが、隊員の募集に当たりましても、非常に士気が旺盛でございまして、こういう平和的な協力業務にはぜひ参加してみたいというような希望をする若者が非常に多いということを私は感じ、心強く思っておるところでございます。  全員が全員そうかといいますと、私どもはやっぱり個人の家庭の事情その他もしんしゃくしなければなりません。例えば、お父さんが病気でお父さんと二人暮らしたというような隊員もおったようでございますが、そういう方々はちょっと行っていただくのにはお気の毒だというような、そういう配慮も必要かと存じますが、総じて言えば、隊員がこの平和協力業務をよく理解して、そしてこれに応じようという気迫がみなぎっておるということを私は報告を受けておりますし、感じております。  なお、装備等その他の問題は、これはこの任務を遂行するための十分な装備を持っていかなければならないことは当然でございまして、装備については実施計画でその種類その他をきちっと明記させていただきます。武器については、先ほども議論ございましたように、小銃、ピストルを持参するのみでございまして、それ以上の武器は携行いたしません。  そしてなおかつ、後でまた御質問があろうかと存じますが、隊員の処遇関係、あるいは家族への配慮等々、万般の準備をいたしまして、現在準備中でございまして、私どもは八日に決定をいたしますれば今度は直接派遣命令を私の方で出しまして、具体的なスケジュールに従って派遣をいたすということになります。  なお、今予定されている派遣の時期等について、あるいは一度に出すわけでなくて、先遣隊を出したりいたしますけれども、そういう点で御必要があれば防衛局長の方から答弁をさせていただきます。
  143. 板垣正

    ○板垣正君 時間の関係もありますから、詳細な点は今承りましたことで心強く、大変御配慮をいただいておること、隊員の士気も旺盛であるということで力強く受けとめさせていただいたわけであります。  今のお話にもありましたが、やはり行かれる方も安心をして行っていただく、最悪の場合があっても国のきちっとした配慮がある、手当の問題等もございましたが、さらに保険、JICA等は国が保険を掛ける、自衛隊は個人が保険を掛ける、こういうふうな形で今行われておりますが、派遣隊員についての保険の扱い、手当等について事務局からで結構ですが、どうなっておりますか。
  144. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) 私ども隊員の処遇の中で保険の問題も大変に重要だと考えております。  そこで、既存の保険ではこのような場合に保険料が支払われない場合がございますので、この点につきましては保険会社に、主要なところでございますけれども、お願いをいたしまして、いわば新しい種類の保険を開発していただくということで、現在その新しい案が出つつあるところでございます。これも早急に新種の保険を開発していただき、また、保険料につきましては、今回の場合はJICAの場合と異なりまして国家公務員が派遣されるということもございますので、若干取り扱いは変わると思いますが、できるだけ負担にならないような保険料でお願いしたいということで、保険の内容と保険料と、この両者につきまして現在関係の会社の方々と協議をしているところでございます。  いずれにしましても、適切な保険が掛けられ、安心して任務に携わっていただくということにいたしたいと思っております。
  145. 板垣正

    ○板垣正君 よろしく御配慮を願います。  次に、北方領土の問題であります。きょう九月三日は、御承知のとおりに戦後ソ連が不当に北方領土を占領し終わった、そして彼らの称する第二次大戦終わりの日であると、こう言っているわけですね。八月十八日に占守島に侵攻し、九月三日に歯舞、色丹まで占領した。まさにそのまま居座っている姿が今日あるわけであります。そしてきのうですか、渡辺外務大臣が退院された、まだ十分回復されておられない身をもってモスクワまで行かれてエリツィン大統領と会談をされた。  これは外務省に伺いますけれども、九月十三日はエリツィン大統領日本に見える、まさに正念場のときを迎えつつある。言ってみればその環境整備、こういうようなことで外務大臣も行かれたと思います。しかし、どうも報道されるところによりますと、エリツィンの態度は取りつく島もない、島返すどころか取りつく島もない。そして、むしろ援助が足りないとか、圧力をかけるのはいかぬとか、彼の政治立場が非常に苦しい、保守派や軍部から突き上げられておる国内情勢も大変な状況にあることは背景にあろうとは思います。そういうことで、これは外務省も今度の外相訪ロ、そしてあの会談、こういうことについてどう評価し、これを受けとめて、エリツィン本人が見えたときにどう対処するのか、この点についての外交当局の御見解を承りたい。
  146. 津守滋

    説明員(津守滋君) ただいま先生から御指摘がございましたように、九月中旬のエリツィン大統領の訪日は日ロ関係の将来にとって極めて重要な機会であります。あるいは一つの正念場と言えるかもしれません。この訪日を控えまして、現在、鋭意その準備を行っておるわけでございますが、昨日、御指摘のように渡辺副総理・外務大臣はエリツィン大統領と会談をいたしました。そこでの内容につきましては既に先生御承知かと思いますが、基本的に、エリツィン大統領は今度日本に来た際にロシア側の具体的な提案を行う、こういうことでございました。昨日の会談では、渡辺大臣よりこれまで繰り返し表明してきました日本基本的な立場を述べたわけでございます。すなわち、北方四島に対する主権は我が方にある、この主権をロシア側が確認さえすればその返還の時期、態様等については柔軟に対応する、こういうことでございます。  したがいまして、あと二週間でございますけれども、この期間さらにこうした日本立場をロシア側に対して粘り強く訴えていき、今度のエリツィン訪日の際に一歩でも二歩でも前進できるように鋭意努力したいと考えております。
  147. 板垣正

    ○板垣正君 北方四島返還については即時一括返還、これが国是であり、従来その方針を堅持してきたと思いますけれども、いろいろな内外情勢、国際情勢の変化等、国際的な問題にこれもなってきている中で我が国の方針もある面では大きく転換したと申しますか、とにかく五六年宣言の問題もあります。その確認なり主権を認めろ、主権を認めたらまあ後は相談しましょう、柔軟にやりますよと。これらについて巷間余りにも日本の外交姿勢は弱いんじゃないのか、つまりはロシアのペースにはまりつつあるんではないのか。なかなかしたたかな国でありますから、我が方の善意を示してもなかなかロシア側の善意が示されない。むしろ逆に援助が足りないとか圧力をかけるのはけしからぬとか、まるで昔のソ連と同じではありませんか。  こういう形で、スターリンのあの誤りを清算していわゆるペレストロイカの実を示す、法と正義を示す、これが原点にありますから、我々は決して感情的になったり敵対的な気持ちになる必要はもちろんない、冷静に交渉すべきである、折衝が必要でありましょうけれども、やはり国民の総意はそこにあるわけでありますから、その辺をきちんと踏まえた外交姿勢で対処していただきたい、このことをよろしくお願いいたしたいわけであります。  次に総務庁長官の方に、これも北方領土の関連でございますが、総務庁中心でいろいろ御苦労いただいておりますビザなし渡航を含め、北方四島との交流や北方四島の早期返還に向けた啓蒙活動等の国民運動について政府は積極的に取り組むべきである、こういうことで総務庁におかれても北方対策本部で新規の事業も次の予算要求等にも出して計画を進められつつあるということでございますが、その辺について承りたいと思います。
  148. 岩崎純三

    国務大臣岩崎純三君) ただいま板垣先生から我が国の基本方針は、北方領土を一括返還いたしまして、平和条約を締結し、そして日ロ間に真の相互理解に基づいた安定した関係を確立する、これが我が国の基本的な方針でございます。そのために、外務省からも答弁がございましたように、粘り強い外交交渉を支えるためには、何といいましても北方領土問題を解決するという国民の総意の結集、これが最も大切だろうと考えております。そのために総務庁といたしましては、各種啓発活動あるいは北方領土問題解決のための返還要求運動等々を今日まで引き続き行ってまいりました。全国大会あるいは都道府県段階における県民大会、さらには返還要求のための署名運動、あるいはパネルの展示会、そしてロシア人にも歴史や状況理解してもらおうということでロシア語のパンフレット等々を発行いたしまして、その国民世論の高揚に努めてまいってきたところでございます。  そして、まさに今、北方領土問題の正念場の時期でもございますので、これからも返還運動の問題そして各種啓発の問題を全国的に展開をいたし、国民世論の高揚を今後も引き続き図ってまいりたいと考えております。  第二点の北方領土との交流の問題、いわゆるビザなし交流の件につきましては、先生御指摘のように北方四島在住者との間に相互信頼、相互交流というものが生まれまして、いい形での環境がつくられつつあるところでございます。今後、北方領土問題の解決のためにも新しく来年度は北方領土返還要求運動関係者と北方領土に在住しているその方々との相互交流の場を提供する、そのために新たな予算要求の措置をいたしておる、このような状況でございます。
  149. 板垣正

    ○板垣正君 この北方領土返還については、御案内のとおり、与野党全会一致で国会における決議が衆参において何回も重ねられてきたわけでありますし、まさにその正念場を迎えつつあるわけでありますから、政府当局におかれてもさらに決意を持って臨んでいただきたい。私どもも全面的にこの問題に対処していく決意でございます。  時間の関係もありますので、人勧関連で恩給の問題です。これ一つ御要望申し上げておきます。  恩給受給者は人勧の成り行きに非常に関心を持っております。御案内のとおりに、人事院勧告が決まりますとこれに対応した恩給受給者の改善措置がこれまた年末でございますが処理される。そういうことで、政府等においても従来国家補償としての恩給を公務員給与に準拠をして改善を図る、総合勘案と言いながら実質的には公務員給与のアップ率を基準として改善を図ってきていただいておる。さらに恩給受給者と申しましても特に戦没者遺族の場合、国家補償性がなかんずく私は配慮されてきていただいているし、またそうあっていただきたい。こういう点で、岩崎長官には今年度の改善措置についてはまさにそういう趣旨で実現を図っていただき、遺族初め関係者も大変感謝いたしているところでございます。したがいまして、もうお気持ちのほどはよくわかりますので御答弁は求めませんけれども、何とぞそういう手法で今度の予算編成にも処遇改善に臨んでいただきたい、このことをお願い申し上げる次第であります。  最後に、官房長官お戻りいただきましたので、天皇陛下の御訪中の問題を申し上げたいと思います。  天皇陛下の御外遊をめぐってこれほど論議されたことはなかったと思う。現天皇陛下も東南アジアをめぐられたわけでありますが、今度中国に行かれることについてはど国内的にも大きく論議され、国際的にも注目されていることはないと思う。そういう中で私は、今は時期にあらず、諸般の情勢からいってその時期ではないということを再三主張してまいりましたけれども、とにかく政府は八月二十五日の閣議をもって正式に天皇陛下の御訪中が決定された。日程も決定された。今や双方が準備に専念をしておると、こういう段階でありますから、そういう現状に立って官房長官にお願い申し上げたい。  従来の日中関係、この日中二十年のけじめと、こう言いますけれども、必ずしも満足される外交が展開されてきていない。つまり蹟罪外交、日中位負け外交、さらに悪い表現では土下座外交、こういう姿において我が方が主張すべきことも主張しない。相手国の言うことは御無理ごもっともで、内政干渉的なことにも涙をのんでと申しますか、それを受け入れてきたと、こういう積み重ねが、さらには中国のこの天安門事件の問題にせよ、尖閣列島の問題にせよ、あるいは最近の軍事力、海軍力増強の動きにせよ、諸般の問題の中で日本国民がこぞって陛下を喜んでお送りする気持ちになり得ない、こういうものがあることはこれまた事実であります。もちろん我が国の外交の基本として、アジア外交における日中関係というものは、これはやはり一番基本的な日米関係とともに大事にしなければならない。  そういう意味合いにおいて、陛下が御訪中されることはまさに政治抜きの親善のために行っていただくということを総理も談話をされ、官房長官記者会見で発言された、まさにそのとおりであっていただきたいと思います。いやしくも政治的な利用と申しますか、政治的なペースにこれが絡まるというようなことはこれは我が国の国益のためにも、将来のためにも避けなければならない。同時に、これを契機にして二十年という、戦後四十七年という、そういうある意味のけじめをつける意味合いにおいていつの日かは陛下に行っていただかなければならない時期、これはあったと思うし、今度もそういう意味合いがあると思うんですね、一つのけじめとして。  そうであるならば、さっき申し上げたような購罪外交とか位負け外交とか、そういうものはもうこの辺でひとつおしまいにしていただきたい。おしまいにして、これからの日中外交が本当に開かれた関係でお互いが言いたいことを言い合い、かつその中で本当の相互理解を深めていけるような、そして我が国が我が国の立場に立ってやはり基本的な問題は実行していく、こういう基本姿勢をこの際再確認をしていただく、こういう決意も含めて政府責任においてこの御訪中問題をつつがなく果たしていただきたいと思います。その御決意、御見解を承って終わらせていただきます。
  150. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) このたびの両陛下の中国御訪問に関する決定につきましては、板垣委員御指摘のように大変多くの論議がございました。国内の世論調査新聞各紙等の社説等見ましても、おおむね国民の大方の賛成は得ていると思っておりますけれども、しかし大変な議論があったということは事実でございます。いずれにいたしましても、国民のさらなる理解と祝福が得られますように引き続き政府としても今先生御指摘のように最大限の努力をしていかなければならないと、こう思っております。  両陛下の御訪中というのはあくまでも友好親善のものであって、親善の実が上がるように政府としても努力しなければならないのは当然のことであろうと思っております。また、国政には関与されないという陛下のお立場にかんがみますならば、今回の御訪中が政治的なものにならないように政府においても十分に注意しなければならないと思いますし、中国側もこの点につきましては累次その点を明確にいたしております。政治利用することなども考えていないということを言っておりますので、双方ともこの点については十分なる努力をしなければならない、注意を払わなければならないと思っております。  今、板垣先生がおっしゃいましたように、これまでの対中外交姿勢というものがいわゆる土下座外交であったか購罪外交であったかということについてはいろんな御議論があろうかと思います。私たち政府といたしましては、中国に対する外交が瞭罪とか土下座とかというものだけになっているとは思っておりません。土下座外交になっているとは思っておりませんけれども国民のある御意見として、十分に我が方の立場を明確に中国に常日ごろ言っているのかという御議論があることも承知いたしております。外交関係におきまして一番重要なのは、お互いに率直に言い合うことであろうと思います。お互いに率直に言い合わずしてお互いがお互いを過大評価しているときに外交関係は摩擦を生じるだろうと思っております。  したがって、いかに率直に言葉を交わし合いながら、お互いにいかに率直に相手を客観的に見詰めることができるかということが両国関係、特に極めて接近した二つの国にとっては重要なアプローチの仕方でなかろうかと思います。そういう点は政治の分野でしっかりと努力をしなければならないし、陛下に多大の御負担をおかけしたり、陛下の旅が謝罪の旅になったりするようなことはよくないことであろうと、こう考えております。
  151. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 日本新党の寺澤芳男です。初当選ですし、内閣委員会の出席も今回が初めてであります。よろしくお願いします。  人事院勧告に基づく公務員の待遇がきょうの主なテーマなんですが、私の場合、今御議論が随分出ております外交政策、これを直接担当しております日本政府の外務省の職員の業務の実態について二、三御質問をさせていただきたいと思います。  冷戦終結後、皆さんもちろん御存じのように、世界は新しい秩序の構築に向けて各国が大変な努力をして模索をしております。我が国もその例外ではない。皆さんの御議論に出てくるほとんどの部分は、日中問題にせよあるいは日ロ問題にせよ外交問題にかかわる議論が相当きょうも出てまいりました。実際にそれを担当している外務省の職員の業務の実態、これを考えてみますと、まず第一番目に数の問題なんですが、約四千五百名。これはアメリカの国務省の四分の一であり、英国の二分の一である。聞くところによると、一カ月何と二百時間のオーバータイムをやっている外務省の職員がいる。過労死寸前の状態である。あるいは在外公館にとって欠かせない電信官、これが三日三晩徹夜で仕事をしてなかなか出てこないので、部屋に入ってみたら事切れていたというようなことを聞いております。  外務省としては、一体どういう形でこの四千五百人をふやしていこうとしているのか、具体的に毎年どのぐらいふやしたらいいのか、そして適正規模の外務省の職員は国内あるいは国外別々にどのぐらいがめどなのか、この点についてぜひ御意見をお聞かせください。
  152. 谷内正太郎

    説明員谷内正太郎君) お答え申し上げます。  流動化いたしております国際情勢の中で、我が国が増大する国際的責務に対応した適切な外交を実施していくためには、先生が今御指摘になりましたように定員の増強を含め、外務省の諸機能を一層強化することが必要であるというふうに思っております。特に、定員の増強につきましては毎年の予算要求において最重点事項の一つとしておりまして、平成四年度には厳しい行財政事情の中ではございますけれども、百三十名、その内訳を申しますと、本省四十二名、在外八十八名の増員を御承認いただいたところでございます。この結果平成四年度末の外務省の定員は四千五百二十二名、うち本省千八百五名、在外二千七百十七名となっております。  外務省といたしましては、厳しい行財政事情の中ではございますけれども、今後とも外務省定員の拡充を図り、外交実施体制強化のための努力を続けていく所存でございますので、引き続き御支援を得たいと思っております。  なお、私どもの目標といたしましては、向こう五年間に一千名さらに増員する必要があると思っておりますし、そのようなラインで頑張りたいというふうに思っております。
  153. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 外務省の職員の数の問題以外に、特に在外公館の外務省の職員仕事内容についてかねがね思って懸念しておりましたことを率直に質問させていただきます。  外務省の在外公館の職員、これはいろんな幅広い活動をしております。ただ、その中に、例えばアメリカであればアメリカの政治、経済、そういうものの情報収集とか、あるいは当然のことながら在留邦人の保護とか、いろんな仕事がありますが、いわゆる日本から来た要人、VIPをお世話をするという、この仕事が非常に多い。これは私が過去アメリカに二十一年間生活して現地で見ておりますと、時々目に余る状態であります。その日本の要人というのは国会議員も含まれております。あるいは当然のことながら政府の他の省庁の方々、そういうことから大体どのぐらいの時間をそういう便宜、要するにアテンドしているのか。そしてまた、それが実際問題として本来あるべき外交官としてやるべき仕事をどのぐらい阻害しているのか、実態を教えてください。
  154. 西村六善

    説明員(西村六善君) お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘がございましたとおり、外国におきます私どもの大使館におきまして今御指摘のような公務でおいでになられます国会議員の先生方、それからその他の公務でおいでになられます公務員の方々、その他の方々に対しまして、目的とされます種々の公務の執行のために、私どもが便宜といいましょうか、御支援といいましょうか、そういうものを当然させていただいているわけでございますけれども、その点は当然のことでございますけれども、そういう公務でお越しになられました方々の公務を全うすることによって、国際情勢あるいはその国その国の政治ないしはいろいろな行政のメカニズムといったようなものについて正しい、より正しい御理解をいただくという点では非常に意味があることだというふうに考えておるわけでございまして、そういう限りにおきまして、私どもといたしましても一生懸命できる範囲で御協力をさせていただいているというのが現状でございます。  しかしながら、ただいま先生も御言及になられましたとおり、近年におきましては非常に我が国の国際的な地位の向上といった点も影響していると思いますけれども、そういう公的な任務を持ちまして海外にお出かけになられる国会の先生方、その他の方々というのは非常にふえているわけでございまして、現在先生が御指摘になられましたような一般的な印象といたしまして、在外公館がそれに忙殺されているという状況が生まれているのは事実だろうと思うのでございます。  若干の数字を御参考までに申し上げさせていただきますと、六年前でございますけれども、昭和六十一年におきましては件数にいたしまして、そういう便宜供与を私どもが全世界の在外公館を通じましてさせていただきました件数は二万一千二百八十七件でございまして、お世話をさせていただきました先生方、その他の方々を延べの人数にいたしますと十一万一千九百五十五名ということになっておるわけでございますが、これが五年後の平成三年におきましては二万六千四百八件に増加するとともに、人数におきましては十四万三千六百七十人といったような人的な増加になっている次第でございます。  先生がただいま御質問になられましたどれぐらいの時間を当てているかという点につきましては、正確に把握をすることが非常に難しい、困難なものでございまして、それが本来あるべき仕事に支障になっているかどうかといったような点につきましても正確にこれを計量的に申し上げるわけにはなかなかいかないのでございますけれども、私どもといたしましては、そういう公務の執行のために適切な御支援をさせていただくということは一方において必要だと思いますので、私どもの本来、それも本来の仕事の一部だというふうに考えまして、他方の仕事との調和を最大限図りつつやっている次第でございまして、そういう観点からも今後とも在外の職員の増加について各般の御理解をいただきたいというふうに願っている次第でございます。
  155. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 この便宜供与の問題につきましては、具体的には例えば飛行場への不必要な出迎え、見送り、これは終日で軽く三時間ぐらいどの国でもかかると思います。あるいはそういうことはないと思いますが、買い物のお手伝い、そういう不必要なやつを民間の業者に任せるとか、そういうことを検討して本来の外交の姿に戻っていただきたいと思います。  次は、大使の人選についてなんですが、日本の主要国の大使というのは全部外務官僚がやっている。ライシャワーさんは大学の先生であった。それが大変アメリカにとって大事な日本国の大使になっている。マンスフィールドさんは上院議員だった。これもアメリカにとって大変大事な日本の大使になった。例えば日本がこれから本当に世界で外交をやっていくためには、今までのように主要国の大使のポストは全部外務官僚だというのはいかがかと思います。広く民間、例えばソニーの盛田さんみたいな人がアメリカ大使になるかどうかわかりませんが、そういう感じ、あるいは学識経験者、大学の先生、そういう幅広い弾力的な大使の起用というのをお考えになっているのかどうなのか、その辺のところを御答弁お願いいたします。
  156. 谷内正太郎

    説明員谷内正太郎君) 外務省といたしましては、外部からの大使への起用に関しまして門戸を閉じているということでは全くございません。従来から民間ないし他省庁御出身の方に適材がおいでになる場合には大使に起用させていただいているというのが実情でございます。  ちなみに平成四年九月現在、このような大使は四名ございますし、数カ月前の時点でいいますと六名という数字になっております。これは各国と比べましても決して少ないということはないというふうに認識しております。  いずれにいたしましても、先生ただいま御指摘の点もございましたので、今後とも適材適所という観点から、随時検討してまいりたいと思っております。
  157. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 日本を外国から見ますと、非常に大きな強力な国に見えます。事実そうであります。  今、外国は日本の外交政策というものを非常に注目しております。その外交政策の実際の担当というか実務を担当する外務省、これは日本にとって、今後外交政策を遂行していく上で非常に大変大事な省庁であると私は思います。  私は、日本政府がいわゆるスモールガバメント、中央集権をなるべく排して、中央のいわゆる官僚制度というものをなるべく少なくしていこうという、これはあくまでも許認可権を握っている官庁はなるべく小さな官庁にしていかなきゃいけないという考えでおりますが、外務省の場合は全く違っておりまして、今の外務省の人員と、そしてハードでいいますと在外公館のいろんな建物、これも危機管理、一たん緩急の場合に在留邦人を保護できるのかというような点、あるいは電信の設備、その点を考えますと、私は寒心にたえません。  こういうことについて、外務省のあり方全般について、加藤官房長官からぜひ御答弁を願いたいと思います。
  158. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 我が国が戦後比較的、外交的な余地が少なかったときと比べまして、最近ますます我が国の外交活動の重要性は国際的に高まってきていると思っております。  また、我が国は特にアジア政策等を中心に独自の外交政策を志向する部分も徐々にではありますが出てまいりましたし、その必要性もふえてまいりました。また、そういうことを期待されるようにもなりました。例えば、最近カンボジアに我が方のアジア局長が行きまして、実際はタイでございますけれども、対立する四派の間の調整を行うようなことは恐らく五年前、十年前には考えられなかったような活動の分野でなかろうかと思います。  その意味で、極めて厳しい定員の問題の中ではあっても、外務省の人員というものについてできる限りの配慮をしていただけるように、私は今ちょっと外務大臣の臨時代理の立場でございますので、政府部内でも努力をしていただけるようにしたいと思いますし、また、政府全体としてもそう考えていかなければならないと思います。  それから、今、寺澤先生がおっしゃいました外務省の大使に外務省以外からという問題点につきましては、今後の課題だろうと思いますし、現在四人おって、この間まで六人おったということも、多分その多くは他省庁であろうと思います。寺澤さんのおっしゃったのは多分役所じゃなくて、民間の学界等またビジネスの世界から新しい血をという問題であろうと思います。  この点は、また政府全体として一つのテーマとして今後考えていかなきゃならぬと思いますけれども、やはり日本社会全体にモビリティーといいますか、社会全体にありませんと、民間企業の方で活力のある方が一回外務省の大使になると、戻ってきてからまたビジネスに返れないという問題点があったり、また学界の方でも、一度行ったら戻ってこれないみたいな問題もあったりして、一つ社会全体の隘路もあろうかと思います。  そういう点もあるけれども、しかし、そこを踏まえながらみんなでそれぞれ新しい血を入れられるように努力していくことも必要でなかろうかと思います。
  159. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 ありがとうございました。私の質疑はこれで打ち切ります。
  160. 守住有信

    委員長守住有信君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時五分散会