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説明員(柳井俊二君) ただいま木庭
先生から五原則に関する
お尋ねをいただきました。御指摘のごとく、実施計画を策定する際にこれらの点につきまして私どもとしても慎重に検討したわけでございます。ただいま御指摘の諸点のそれぞれにつきまして御説明させていただきたいと存じます。
まず第一に、紛争当事者間の停戦の合意についてでございますけれども、ポル・ポト派の動向がしばしば話題になるわけでございますが、ポル・ポト派は累次の機会にパリ包括和平協定を遵守するということを明らかにしているわけでございます。散発的あるいは局地的な違反が発生しているというふうに伝えられておりますが、いずれも小規模なものでございまして、停戦の
前提を危うくするというようなものではないというふうに承知しております。
この点は、
先生よく御承知のとおり、
一般的に申しまして、長年にわたって戦闘がありまして停戦がやっと成立するという場合に、こういう停戦というのは脆弱な点がございまして、ある程度の停戦違反が生ずるのは現実問題としてはやむを得ないという点もあろうかと思います。このような脆弱な停戦を国際的な努力によりまして確固たる平和に導くというのがまさしく国連の平和維持
活動の役目であろうというふうに考える次第でございます。また、ポル・ポト派は、現在、全面的に戦闘を再開するといったような行動に出ているわけでもございません。
以上を勘案しまして、パリ協定に基づく和平プロセスの基本的な枠組みは維持されている、また紛争当事者間の停戦の合意も保たれているというふうに
判断した次第でございます。
なお、現在、UNTACには軍事部門で三十一カ国、文民部門を合わせますと全体で約百カ国という多くの国々から参加を得ているわけでございまして、これはUNTACの
活動が典型的な国連平和維持
活動として広く国際的に認められているということを示していると思います。これは、各国がカンボジアにおきまして停戦合意が存在しているというふうに認識している証左でもあると言って差し支えないと存じます。
第二に、受け入れ国及び紛争当事国の国連平和維持
活動への同意の点でございます。
カンボジアにおきまして、現在、その主権を具現しておりますのはいわゆるSNC、カンボジア最高国民評議会でございます。また、SNCは現時点でポル・ポト派を含む四派を代表する機能を有効に維持していると考えております。SNCはUNTACの
活動を含むパリ協定に署名しているわけでございまして、UNTACの
活動には受け入れ国すなわちカンボジアとしてのSNCの同意、それから紛争当事者各派の総意としてのSNCの同意というものが存在していると認識しております。なお、この点も
先生御
案内のとおり、パリ協定には各派の代表がそれぞれ署名しているということもございます。
それから第三に、中立性の問題でございますが、UNTACはパリ協定に基づきましていずれの紛争当事者にも偏ることなく
活動を行っているというふうに
判断されます。ポル・ポト派が、UNTACの立場はどうもプノンペン政府に近くてポル・ポト派への対応が厳しいというような不満を漏らしているということも聞いておりますけれども、ただ、この点につきましては、そもそもポル・ポト派が武装解除に応じていないという別の問題がございます。そのような状況にかんがみれば、来年春の選挙を予定どおり実施するため、和平プロセスを進めているUNTACといたしましては、ポル・ポト派がパリ協定上の
義務を果たすように種々説得に努めるということはむしろ当然であろうというふうに考えております。
以上、ちょっと長くなりましたが、合意の点、受け入れ国の同意の点、それから紛争当事国のPKOに対する同意の点、それから中立性ということについて御説明申し上げました。