○中西珠子君 今
労働組合の推薦でと言われましたけれ
ども、しかし
労働組合の推定組織率は今どんどん下がっていますね。全体では二一・四%、九十九人以下は一・八%です。それで、
労働組合のないところでは、過半数
労働者というものの
意見を代表して、そしてその
人たちから推薦された人が出てくると、こういうことです。だけど、果たして本当に
労働者の
意見を代表した人が民主的に選出されてくるかということはちょっとわからないわけです。どこにもその保証はないわけです。そして、とにかく議事録がとってある。そして、出てきた
委員が、その半数ずつから構成されている
委員が全員がこれは合意した決議であるから、だからこれは
労使協定を変えてもいいんだと。また、届け出も変形
労働時間やなんかに関してはしなくてもいいんだと。これはちょっと危険なことではないかと思いますね、
労働基準法の特例をこの
委員会設置によって設けちゃったわけですから。
ですから、非常にこれは慎重に
指導していただいて、そしてどのように運営されていくか、どのように決議がなされるかということについても、もちろん議事録がとってあるから大丈夫とおっしゃるかもしれないけれ
ども、議事録をとっておくだけではどのような議事録だってつくられるんですから、やっぱり
労働省はちゃんとこれは
指導監督していかれなきゃならない
委員会だと思うんです。それで、とにかく形式的な
時短というものが進むと、実態はそうではないのに、形式的に
労働時間は
所定外も
所定内も短くしましたよという報告だけが
労働省に行くということを私は恐れているんです。というのは、この統計とさっき申し上げた実態との乖離ということで、金融
業界がそういうサービス残業を大いにやらせているということもあるわけですから、これをなくしていくのはとても大変なんですね。それで、
労働省の御
指導というのに大いに期待しているわけですから、この点は本当に慎重にやっていただきたいと思うんです。
それから、時間外
労働の
削減の要綱をお書きになっていて、それもずっと
実施していらっしゃるんだけれ
ども、サービス残業をなくすことばかりじゃなくて、
所定外労働を三
年間毎年毎年一〇%ずつ
削減していく、また休日
労働もやめさせる、こういったことを
考えていらっしゃるわけですが、これは具体的な
目標を掲げられて大変結構なことだと思うんですけれ
ども、これをやっぱりなすっていくには大変御苦労があるんじゃないかと思います。
というのは、まず時間外
労働の賃金率がとても日本は低いですね。とにかく一・二五ということで、大変低い。この賃金率を上げたらどうかという
考え方があちらこちらから上がっているわけでございまして、例えば
平成四年四月十五日の
経済審議会運営
委員会、ここで「新しい
経済計画策定の基本的
考え方」とか「新しい
経済計画の基本的
課題」とかいうテーマをお出しになって、また「地球社会と共存する
生活大国への重点
課題」、このテーマの下に「
生活大国への変革」「個人の尊重」というところがありまして、そこにはやはり「
所定外労働の
削減を図るため法定割増賃金率の引上げについて具体的に検討する。」、こう書いてあるわけです。それから、通産省はちょっと否定していらっしゃるし、
労働省も否定していらっしゃいますけれ
ども、昨年日経新聞が、通産省はやっぱり時間外
労働賃金の割り増し率を五〇%に引き上げねばならないという
考えなのだということを書いているわけでございますが、こういう要請は
労働省に対しては実際にはなかったということだそうですけれ
ども、こういう
考え方の人が通産省の中にはいるということは明らかです。
それで、
労働省としては五〇%ぐらいに引き上げるということについてはどのようにお
考えですか。ほかの先進国の割り増し率を一々私が申し上げるまでもなく、五〇%のところが大変多いし、なぜそういうふうに五〇%にしているかといいますと、時間外
労働を使用者側に安易にさせないようにというのが目的であって、一種のペナルティーという
考え方、罰金を払わなければ時間外
労働は
労働者にさせられないという
考え方に基づいているということがよく言われるわけですね。ですから、そういう面でとにかく時間外
労働で景気の調整弁的に扱うというのではなく、そういうやっぱり時間外
労働をさせるには
労働者に対する補償、そして一種の罰金的にちゃんと高い時間外
労働割り増し賃金率を払わなくちゃいけないというふうにしなくちゃいけないのではないか。それで、とにかく
労働者側は、この時間外
労働割り増し賃金率がたった一・二五であっても、長時間
所定外労働をすることによってそれを生計費の中に組み入れている、それを
生活の本当に資に、足しにしているわけです。
そういうことでございますので、やっぱりこれは引き上げていかなければ、両方の
立場から
考えても、一九四七年の
労働基準法施行以来全然変わっていない賃金率というのはちょっと国際的に見てもおかしいし、また
労使双方の時間
短縮努力というものを助成していくためにはこれは必要なんじゃないかと思いますが、
労働省の御
意見はいかがですか。