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小林正君 八〇年代の後半、具体的には八九年の参議院選挙以降、国民の投票行動といいますか、形態といいますか、かなり変化をしてきたということが言われているわけであります。生活者あるいは市民感覚といいますか、そういう市民の常識というもので閉塞した政治
状況をコントロールしていこう、こういう傾向が出てまいりまして、具体的に言えば、市民あるいは国民の選択というものがかなり私たちがここで
議論しているよりはるかに先行しているんじゃないかなというような気さえするわけであります。
私は、素人の政治参加というネガティブな発想ではなくて、むしろ市民の健全な常識、それが閉塞した政治なりそういうものを市民の立場からコントロールしていく、常識としてそこに生かされていくような
状況というものが非常に好ましいと思うわけです。そういう点で積極的に、素人とか、女性の政治参加について、ネガティブではない発想で政治を活性化する大変重要な要素として位置づけていくべきではないかというのが私の考えであるわけでございます。ぜひそういう方向で積極的に、この夏の参議院選挙は、やはり日本国民会員が参加をした形の中で、棄権も少なくて、新しい国づくりに向けての一歩になるような機会に持っていく必要があるんじゃないかなということを痛切に感じております。
次に、宮澤政権の問題なんですけれ
ども、これはイギリスのサッチャー政権からメージャー政権に交代する経過も含めまして、日本もイギリスもともにいわゆる議院内閣制というのをとっておりまして、政権与党が政権内部で問題があったときには政権が交代をし、直接国民がその総理大臣を選択できないというような問題が議院内閣制にはございます。そういう
意味で言うと、国民、有権者と政権が交代をした政権との間にギャップが生じてくると、直接選んだんではないんだという思いが働くということがどうしても出てくるだろうと思うんです。これをどう克服するかという手だて、努力というものがないと、議院内閣制に基づく議会制民主主義というものが国民から遊離してしまうという問題も出てまいります。
世界的には旧ソ連あるいは東欧、ヨーロッパ諸国の中でファシズムの台頭ということが言われておりますし、きのうのアルゼンチンで起きましたネオナチズムの行動等の問題もあって、必ずしも民主主義の方向へすべて行っているという
状況ではありません。私たちとしては、常に民主主義が成功する方向へいろんな手だてを尽くして努力をしていかなきゃならないだろう、こういうふうに考えるところでございますけれ
ども、宮澤内閣が海部内閣からバトンタッチを受けて何のための政権交代たつたのかなということを三あえて言わざるを得ないわけです。
課題は引き続いて政治改革と国際貢献、そして海部内閣のときも私たちは、これは両方ともボタンのかけ違えであるということを
指摘してまいりましたけれ
ども、その問題についても問題の克服がされておりませんし、一昨日でしたか、NHKの世論調査の結果も発表されましたけれ
ども、その結果から言われますことは、海部内閣と同様にそのリーダーシップのことが
指摘をされているわけであります。そういう点で、一体これは何で政権交代したのか、国民の目から極めて不可解と言わざるを得ないわけでございます。
この四月九日にイギリスで総選挙が行われることになっておりまして、この結果も注目されているわけですけれ
ども、実はサッチャー政権が十一年間にわたって支配をし、そしてECの問題、ポールタックス等の問題で行き詰まって保守党内部の調整でメージャー政権が誕生した。その経過の中で、実は退任時にサッチャーさんが記者団に対して、自分は後部座席に座って運転手にあっちに行けこっちに行けと指図するのが上手だと、こういうことを記者団に言ったということが伝えられています。そして、これを聞いてメージャー首相は何と言ったかというと、アイ アム マイ オウン マンだ、こう言ったと言われております。
このエピソードが
一つと、ロンドン・タイムズが当時ロンドン・サミットが行われたときの
状況としてこういうことを言っております。
サミットに参加した海部首相が退陣したサッチャー前首相に会いたがってコンタクトをとろうとしたということについて、日本で首相は背後の大物に操られているという自分の経験から海部氏は彼女に会いたがっているのかもしれないと論評されておるわけですね。
こういうようなことで、総理自身、世論調査の結果やこのエピソードについてどういうふうにお考えか、お伺いしたいと思います。