○遠藤要君
国民生活に関する
調査会の
調査結果について御
報告申し上げます。
本
調査会は、
平成元年八月に
設置されて以来、内外価格差問題を
調査項目に選び、
国民が真の豊かさを実感できる生活を
実現するためには内外価格差の是正及び土地住宅問題の解決が急務であるとの認識から、これまで
政府及び参考人から説明、
意見を聴取し、
質疑を行うとともに、実情
調査のための
委員派遣を行うなど、鋭意
調査を進めてまいりました。
本問題については、
平成二年六月及び昨年十二月の二回、それまでの
調査結果をまとめて中間
報告を行ったところでありますが、その後各
委員からの
意見表明等が行われ、このたび各会派の
意見の一致を見て最終
報告がまとまり、これを
議長に
提出したところであります。
以下、
報告書の概要について申し上げます。
まず、内外価格差問題についてであります。
当
調査会は、これまで、独占禁止法と競争市場の維持
促進、
経済的規制の緩和、流通構造の
改善、商慣行の是正、消費者教育の
充実等を重点項目として
調査を進めてまいりました。
政府もこれまでさまざまな施策を行い、内外価格差の是正に努めているところでありますが、東京の物価
水準は依然としてニューヨーク等に比べて三割程度割高になっており、その差は決して小さいものとは言えません。
以下、本
調査会において
指摘された
問題点、
改善策等について各項目ごとに申し上げます。
まず、競争市場の維持
促進及び規制緩和の問題については、独禁法の一層の
強化と国際的調和、再販適用除外制度のさらさる検討、公正取引
委員会の
委員選考の
あり方の見直し及び組織の
充実強化、
経済的規制の一層の緩和等の
必要性が
指摘され、今後これらを
実現していくべきであるとのことで
意見の一致を見ました。
次に、
我が国の流通構造については、さまざまな商慣行、流通段階における公的規制、流通機構の小規模性、多段階性、閉鎖性等の
問題点が
指摘されております。これについては、特に建て値制、リベート制、返品制等の商慣行、メーカーの系列支配について一層の是正が必要であります。また、輸入の
促進についても引き続き取り組んでいかなければなりません。
さらに、消費者教育の
充実等につきましては、合理的な消費行動をしていくため、さまざまな商品、価格等についての有効な情報の提供、学校教育における取り組み等について一層の
努力を傾けるべきであります。
内外価格差をめぐるその他の
問題点といたしましては、生産・流通活動のコストを引き上げている
地価の抑制、安価な輸入原材料の積極的利用、幅広い商品・価格選択肢の提供、過剰包装を初めとした過剰サービスの是正等の
必要性について
指摘がなされました。
次に、土地住宅対策について申し上げます。
昭和五十八年ごろから東京都心部の商業地に端を発した
地価の高騰は、首都圏、大阪圏、名古屋圏、さらには一部の地方都市にまで波及いたしました。このため、特に
大都市圏を中心として、土地を持つ者と持たない者との資産格差の
拡大、住宅取得の困難化、通勤距離の
拡大、公共
事業の用地費の増大に伴う
社会資本
整備のおくれなど、さまざまな問題が生じております用
地価の動向は、昨年の後半から鎮静化してきているとはいうものの高どまりの状態にあり、首都圏において住宅を取得するには年収の八・五倍を要するなど、依然、平均的
勤労者が家を持つことが困難な
状況が続いております。
このため、本
調査会は、総合的土地
税制の見直し、公的賃貸住宅の供給、土地関連融資の
適正化等の事項を重点的に取り上げ、検討を続けてまいりました。
まず、公的賃貸住宅については、良質な民営借家が量的に不足するとともに家賃が上昇傾向にあることから、計画的な大量供給を行っていく必要があります。
次に、土地利用計画の
整備充実が今後の重要課題であります。特に、国公有地や工場跡地等の低未利用地の活用や、生産緑地から外れた土地等の
宅地化
促進が必要であるとの
意見が多く出されました。
また、土地
税制につきましては、
地価税の創設を初めとして、土地の保有、譲渡、取得の各段階における見直しがなされてきておりますが、今後ともさらに総合的な
税制面での対策を
推進していくことが求められます。その際、相続税が払えず物納を余儀なくされる者についての施策が必要であります。
なお、高齢者、
障害者等への住宅供給の
促進についても特段の配慮が求められました。
本
調査会は、以上の
調査を踏まえて、内外価格差問題に関しましては、独禁法の一層の
強化及び厳正な運用、
経済的規制のさらなる緩和、商取引を不透明にしている商慣行の是正、消費者への情報提供、消費者教育の
充実、過剰サービスの是正等五項目について、また、土地住宅問題に関しましては、公的賃貸住宅の計画的な大量供給と住宅基本法の制定、高齢者、
障害者等への住宅供給の
推進、
勤労者が年収の五倍程度で住宅を取得できることを政策目標として明確にすること等、三項目について提言を行いました。
これらの提言の
実現方につきましては、関係各方面におかれまして格段の御尽力と御
協力をいただきますようお願い申し上げます。
報告書の詳細につきましては
会議録で御承知願いたいと存じます。
最後に、三年間にわたる本
調査会の活動に御
協力いただきました参考人の方々を初め関係各位に心から感謝申し上げますとともに、今後さらに
調査会の機能を発展させるため、
調査環境の一層の
充実について議員各位の格段の御理解と御
協力をお願いいたしまして、私の
報告を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(
拍手)
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