○及川一夫君
電波法の一部を
改正する
法律案について、
日本社会党・
護憲共同を代表して
宮澤総理及び
関係各大臣に疑問点並びにその真意について
質問をいたしたいと思いますが、その前に、緊急な政治課題として、渡辺外務大臣の福岡及び佐賀での発言の問題について
総理の
見解をただしたいと思います。
総理、
衆議院の解散権は
総理の
権限とされていますが、この解散の中には「見せしめ」あるいは「懲らしめ」のための解散ということがあるのでしょうか。私は、解散とは、重要な政治課題について国論の大勢が明らかでない場合、論議が激しく対立し、
審議が行き詰まったと思われたとき
国民の信を問うことに
意味があると思っているのであります。それを、「見せしめ」、「懲らしめ」とは何たる言い方でありましょうか。
二十三日に福岡市でこの発言をしたと報じられた渡辺副
総理・外務大臣は、事の重大さを意識したのか、昨日二十四日には佐賀市内での講演会で、「見せしめ解散」とは「選挙をやってみせてやる」という栃木なまりだと釈明をいたしているのであります。しかし、一方で、物理的抵抗をテレビに放映させて
国民にぶざまな社会党の姿を見せるのが「見せしめ」だとも解説しているのであります。
総理、これらの釈明や解説の
意味がおわかりになりますか。言葉の持つ
意味になまりも標準語もないのであります。
日本語として、あるいは百歩譲って栃木弁としても通用しない話ではないでしょうか。
総理、これがあなたの
内閣の副
総理であり外務大臣の発言であります。しかも、PKO
法案を担当する最重要閣僚が、
国会の
審議をやゆし、反対する
立場の者を中傷し、国権の至高の政治行為である解散権をもてあそぶがごときことは断じてあってはなりません。この発言は、主権者である
国民全体を愚弄するものであると
指摘しなければなりません。何らかの処分に値する発言であると思いますが、率直な
総理の御所見を聞かせてください。
本論に入ります。
この
法案は、
我が国の電波利用行為にこれまでにはなかった料金
制度を創設し有料化するものであり、電波並びに
電波法についての受けとめ方を根本的に変えるものだと言わねばなりません。
電波が発見されたのは一八八八年と言われています。そして、その電波を使い通信手段とすることに成功したのが一八九五年でありますから、今日の電波利用の実態になるまでわずか百年の歴史しかたっていないのであります。しかも、今日の電波の利用は、最大の分野は通信であるとしても、計測やエネルギー伝送、医療など社会を
構成するさまざまな
機能の
運用も含めて、その利用範囲は大きく
拡大しているのであります。まさに電波なくして生活、産業、
経済はあり得ないと言われるほどその重要性が増しているのであります。
こうした
事態への発展は技術の進歩によるものでありますが、電波の利用がいわば個人化、大衆化の時代に入ったと言われる今日、技術の開発も、これまでの技術主導型から
国民のニーズといった
利用者主導によって技術や開発の
方向が決められ、利用範囲が
拡大されていくものでなければならないと思います。
総理、今日の電波利用の発展と
事態をこのように受けとめ、しかも電波の利用が有料化されるとなりますと、昭和二十五年に制定された
電波法第一条の「
目的」で言われている「電波の公平且つ能率的な利用を
確保することによって、公共の福祉を増進すること」との
規定だけでは不十分ではないかと
考えるのであります。電波をいわば国家的な共有財産と
位置づける以上、独占を
禁止し、公平な配分と、公共の利益、福祉の増進に役立てることはもちろん、不正な使用、認可されているにもかかわらず使い切っていない状態を完全に防止するなどの原則を
国民の前に明らかにすべきであり、
電波法に明記すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
総理並びに郵政大臣の電波利用に対する基本的認識についてまず伺いたいのであります。
第二に、
政府の提案自体、電波利用は
拡大の一途をたどると
指摘いたしております。
電波利用が大衆化されればされるほど、
利用者としてのニーズとは何かについて把握する必要が出てまいります。これまで、電波に関しては電波監理
審議会が常設され、また、大臣の私的諮問
機関として電波政策懇談会がつくられるなど
国民との接点を求めておりますが、これらは電波に関する専門家の会合といった印象を強く受けるのであります。つまり、
利用者を軸にした
審議機関は皆無の状態ではないかと言っても過言ではありません。やはり、電波利用が
国民的な広がりを持っている以上、NHKが持つ中央・地方番組
審議会に類したものを常設し
国民や
利用者の意思を反映させるべきではないかと
考えますが、
総理の御所見を求めます。また、所管大臣である郵政大臣の御
見解を伺いたい。
第三は、電波は有限資源であるとする
政府の
考えについてであります。
私は、
平成元年五月十六日、本院予算
委員会の総括
質問において、当時、米国のモトローラ社が首都圏の移動体通信事業に新規参入しようと強く
政府に要請していた御題を取り上げたことがあります。このとき、当時の片岡清一郵政大臣は、周波数はすべて割り振り済みであり、新規参入は物理的に不可能だという旨の答弁をされました。ところが、その一週間ほど後に、モトローラ社の首都圏参入を認める
政府決定がなされたのであります。このことは、私の
立場からいえば、大臣答弁は食言と言えるものでありました。
このことを改めて
指摘するのは、
政府が余りにも、電波は希少資源であり有限資源ということを強調されるからであります。米国のモトローラ社の参入申請を物理的に不可能と拒否されたことは、周波数に余裕がなく使い切っているということだと思うのであります。しかし、それが一週間後に可能になったということは何を
意味するのか。有限とはいっても厳密なものではなく、技術の進歩など条件によっては、限りなく無限に近く使える周波数帯を開発することができることを
意味するのではないでしょうか。
私は、電波は有限であり資源が枯渇すると言われても、なるほどそうですかと、その説明をすべて了承する気持ちにはなれないのであります。電波資源の有限性とは何かについて、郵政大臣に改めてお聞きしたいのであります。
第四に、電波利用料の法的
性格についてであります。
今回の利用料創設に当たって、
政府は、従来からあった免許申請手数料、登録免許税を存続させることにしております。これでは、
利用者は料金を二重取りされるとの印象をぬぐい切れません。後でも触れますが、国の
機関等の電波利用料を適用除外にしていることとあわせ、新たな料金
制度としてその原則が極めてあいまいなシステムと言わなければなりません。そしてまた、
政府提案は、有料化すること自体の論理的根拠、また金額の算出方式など多くの点で疑問があります。そこで、
衆議院での答弁の中で
政府は三年後の見直しを
考えているととれる意見を表明しておられますが、矛盾を整理し、
国民のより深い理解を得るための見直しならば私も賛成であります。
郵政大臣、この際、三年後の
制度見直しを確約していただけますか。また、見直すとすればその範囲、基準等についても明らかにしていただきたいのですが、いかがですか。
第五として、
政府機関の無線局の電波利用料を免除する問題についてであります。
防衛庁を除く省庁については、省庁ごとの電波利用
状況と免除される料金の額について郵政大臣から
お答えいただきたい。
防衛庁については、独自の電気通信体系を持ち、電波利用についても独自のネットワークがあると思いますが、利用している無線局の数、免除される料金額を
お答えいただきたい。
第六として、
電波法百三条に基づき国の
機関等は有料化の適用を除外するという問題についてであります。
適用除外とは、これを文字どおり読めば利用料は免除されることであり、一切の予算
措置はないものと解するのが常識であります。しかし、郵政省の説明によれば、有料化に伴う
政府機関等の料金相当額は一括して郵政省の一般財源として計上するとなっており、適用除外の
意味があいまいになっています。適用除外即免除なのか、それとも免除せず事実上利用料を徴収するのか、明確にしてほしいのであります。
同時に、電波利用は現行法でも公平であるべしと
規定されているにもかかわらず、国の無線局の有料化は適用除外し、その他は現行の手数料のほかに利用料を徴収するとの提案は極めて問題だと言わねばなりません。国の
機関を適用除外する理由について、財政
責任者としての
大蔵大臣の答弁を求めます。
第七として、免除する
政府機関の電波利用料相当額は、郵政省の一般財源として計上するとした場合、現実問題として一体どういう性質のものにするのでありましょうか。
政府機関以外から徴収した利用料は、文字どおり特定財源とされ、使途もはっきりいたしております。しかし、
政府機関に対する免除額相当分と称されるお金は、お金に印がついているわけではありませんから、結局のところ、電波利用料を原資として実施することになっているデータベースの
充実、電波
監視システム
整備という二つの事業費に免除相当額をプラスしない限り、電波利用料を特定財源化するという
趣旨は貫徹しないことになります。
また、予算折衝の過程において郵政省は常に電波利用料減免相当額を本来の郵政予算のプラスアルファ分として
確保しなければつじつまが合わないことになりますが、予算折衝の最終
段階では大臣同士の政治加算が行われるのが常識であり、その政治加算に電波利用料が入っているかどうかなどだれにもわからないのであります。このようなシステムを許容したことについて、当事者としての郵政大臣の御
見解を伺いたい。
第八として、地方自治体
関係の減免
措置について、消防と水防
関係は全額免除とされています。これに対し、防災
関係の電波利用料は半額免除とされています。この区別について、郵政大臣に理由をお聞きしたい。また、自治大臣の
見解はどうか、お聞きいたします。
私は、消防、水防、防災ともに同一視して免除すべきだと
考えます。また、業務
内容が公益性の極めて高いものであるという
意味で言えば、その他の事業体の行う業務にもたくさんあると思うのであります。しかも、同じ公共的業務でも、
政府機関は免除、民間や特殊
法人は徴収するという区別の根拠がいま一つはっきりしないのであります。例えば、
日本放送協会が行う防災放送、さらには航空機、船舶に義務づけられている無線設備などなぜ減免の
対象にならないのか、明確な御説明をお願いいたしたいと思うのであります。
最後に、今回の利用料創設と
国民生活の
関係についてであります。
有料化によって電波を利用する事業体はコスト高となるわけでありますが、これが
国民生活に悪影響をもたらさないよう
政府として配慮すべきであると思います。有料化によるコスト増はどう処理されるべきと
政府は
考えるのか。実施後の見通しと
対策を
総理にお聞きしたいのであります。
以上、誠意ある答弁を強く求め、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣宮澤喜一君
登壇、
拍手〕