○中西一郎君 外交・
総合安全保障に関する
調査会における
調査の経過と結果につきまして御
報告申し上げます。
本
調査会は、外交・
総合安全保障に関して長期的かつ総合的な
調査を行うことを目的に第百十五回
国会の
平成元年八月七日に設置され、以来三年間にわたり
調査を進めてまいりました。
この間、国際情勢は激変著しく、また、環境問題等が新たに国際政治の場に浮上してくるなど、まさに新しい国際秩序が模索される中で
調査を進めてまいったのであります。
こうした三年間の
調査に基づきまして、本
調査会は、
調査テーマとして決定していました「九〇年代の
日本の役割−環境と安全保障の
あり方—」に沿って、九の
課題と二十の提言から成る最終
報告書を取りまとめ、去る五月十八日、これを
議長に
提出いたしました。
その主な
内容は次のとおりであります。
まず最初に、「二十一
世紀に向かって—
我が国が
世界に貢献するために—」と題する総論部分では、今日、人類の生存にとって重大な問題となっている環境の保全と安全保障における新しい国際秩序の構築は、いずれも普遍的かつ恒久的な平和の基礎であるとの
認識に立ち、
我が国が
世界に貢献するに当たっては、国益に基づくだけではなく、地球益の立場に立ちつつ、自然との
関係においても、人間
社会におきましても、「共生と循環」をわきまえて
行動することを
基本とすべきであるとの
考えを示しました。
次に、「環境安全保障を目指して」と題して、現在の地球環境破壊の危機的
状況に対処するためには、近代工業文明を見直し、新たな経済・
社会システムを構築する必要があるとの立場から、「新しい環境保全型文明」、「国際貢献の
体制整備」、「森林の再生」、「食の安全
確保」、「環境ODAと技術移転」、「科学研究と技術開発」という六つの
課題を掲げ、さらに、これらにつきまして、
共生と循環に立脚した新たな環境保全型文明を提唱することGNPにかえて、環境に留意した新たな
国民経済計算方式を開発すること環境行政の強化拡充のため、環境庁を環境省とするなど現行
体制の見直しを行うこと森林の再生のため地球的規模の大造林計画を実施すること
穀物生産見通しの
調査研究と飢餓対策の
基本戦略を樹立するとともに、食の安全基準について
我が国の
考え方を早急に取りまとめることなどを提言いたしました。
最後に、「新しい時代の平和秩序を求めて」と題して、ポスト冷戦時代における
我が国の貢献につきまして、「積極的平和の秩序づくり」、「アジア・太平洋の平和・軍縮」、「国連の強化」という三つの
課題を掲げ、さらに、これらにつきまして、国際
社会のさまざまな行為主体間のネットワークをつくるとともに、
文化交流を活発化することアジア・太平洋地域における信頼醸成の構築のため、平和
会議を設立するほか、議員フォーラムを開催すること国連機構の見直しと整理統合を進め、国連の紛争処理
機能を未然防止的なものに変えるとともに、軍事活動モニター
制度を
創設すること軍縮を推進し、その財源等により地球環境の保全、難民救済等の平和構築
努力を支える平和保障基金を国連に
創設することなどを提言いたしました。
以上が本
報告書の主な
内容であります。
政府並びに
関係各方面におかれては、本
報告書を十分
検討の上、今後の施策に反映されるよう強く要望するものであります。
なお、三年間にわたる本
調査会の活動を終わるに当たりまして、参考人の
皆様方を初め
関係各位に心から感謝を申し上げまして、御
報告を終わります。(
拍手)