○橋本敦君 確実に履行してもらいたいという
行政上の要請なら、
行政罰の過料の
範囲ででもその要請ということは満たし得ると思うんですよ。刑罰を科さなきゃならぬという合理的
理由というのは、私はなかなか
説明し切れない難しい問題だと思いますが、なぜ刑罰でなくちゃならないか。
それからもう
一つの問題として、
署名というのは
本人の同一人
性確認の
指紋にかわる
手段の
一つであるけれ
ども、一番端的に同一人
性確認として効率的に即時的にわかるのは何といっても
写真でしょう。
家族の
登録事項だとか、これは逆に調べなきゃならぬ。
署名も
本人署名がどうか
確認しなきゃならぬというんですから、そういう意味で、
写真というのは非常に私はわかるけれ
ども、
署名にまで刑罰で強制しなきゃならぬという合理的
理由は理解しがたいんです。
そこで、そういう問題もあるんですが、こういった
行政そのものについて刑罰によってやらなくちゃならぬということは、基本的には私はやっぱり入管法が初めできたときの
管理思想なり治安立法思想ということがずっと残っていく
一つの要素になっているというふうに思うんですね。だから、こういった
罰則の問題についても今後の見直しということの中で、合理的な程度が
運用の実際にも照らしてどうであるかということも含めて慎重な検討を
お願いしたい、私はこういうふうに期待をしておきます。
そこで、次の
質問に移っていくんですが、現在我が国には多数の
外国人が在留していらっしゃるんですが、それらの皆さんの人権を守り、あるいは人道上我が国として適正な処置をしていくという上で、最近重要な問題として医療の問題がちょっと大きな問題になっているようでございます。
そこで、厚生省に
お願いしたんですが、東京都立の松沢病院の担当者の方が「精神科救急における
外国人事例の実態と問題点」という
報告を出されました。私もそれをいただいて拝見をしたのでありますが、この松沢病院に入院をされた
外国人患者の
事例は、
外国人総数がふえると同じ曲線カーブで増大をしております。つまり、多くの人が入院をするということになってきているわけであります。問題は、それらの多数の人の
国籍その他を調べてみますと、開発途上国のケースの方が多いということが
一つ。したがって、ほとんどの
方々については生活保護の適用の弾力的
運用が必要であったりあるいは医療費が支払えないという状況があったりして、それ自体が
一つの社会問題化している。松沢病院の例で言いますと、全額自己
負担可能であったのは全体の二九%にすぎないという
報告が出ておるわけであります。
こういう
外国人の皆さんの病気ということについて、基本的に病院や医者の立場でいえば、人道上これは診療を拒否するわけにまいりません。御存じのとおり、医師法でも診療拒否はできないことになっております。さりとて、これらの皆さんの医療費をどうするかということは医療機関にとって重大な問題になっているという意味で、この問題をどう対処するかということが問題になるわけでありますけれ
ども、この松沢病院の
報告書はこう言っております。
医療費や帰国費用等経済上の問題も深刻で、救急
事例の大半は健康保険の適用外のケースであり、生活保護の道も閉ざされた現在、個々に対策を積み上げる以外に
方法はない状態になっている。とりわけ、いわゆる不法滞留者についての入管法による通報
義務や労働法上の権利をめぐって
法律上の問題も生じてきている。これらの問題に対しては国としての対応が急がれるということを現場から希望しているわけですね。私もそのとおりだと思うわけです。
一方、日赤の関係での情報を新聞で見たんですが、日赤も
外国人患者の治療費の回収ができないという問題が起こって、全国九十二カ所の直轄病院で近く実態調査をするということを決めたという報道がございます。この日赤の皆さんの御意見でも、これは厚生省に対する要望になるわけですが、在日
外国人の皆さんのこういった問題での人道上の処置ということについては、第一義的には国が対応する方向を打ち出してもらいたいということを言っているようでございまして、まさに私は今日の日本の問題としても重大な社会問題になってきているというように思うわけですね。
そこで、厚生省はこういった問題について実態の調査をぜひ行っていただいて、そしていわゆる資格外滞在という場合であっても
外国人を診察するという、そういう人道上の必要によって行った医療費等についてはどうするか、国の責任で早く決めて医療体制に支障がないようにしてほしいという希望もあるわけですが、厚生省としての対応についてのお考えをまず
伺いたいと思います。