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政府委員(清水湛君) 第三者を被保険者とする保険契約におきましては、被保険者の同意が保険契約の効力発生要件である、こういうふうに商法上なっているわけでございます。この立法の趣旨は、
先生まさに御
指摘のとおり、もし第三者の同意なしにこのような契約が自由に行われるということになりますと、当該第三者の身に危険が生ずるおそれがある、こういうことから第三者の同意が絶対必要であり、しかもこれは強行法規であって、これに反する特約をしても無効である。この同意がない場合には保険契約は効力を生じない、無効である、こういうことになっているわけでございます。
そこで、こういう契約をいたしましても無効でございますから、仮に第三者が死亡いたしましても保険金請求権は発生しない、こういうことになるわけでございまして、
それなりに商法におきましては最も強い、無効であるということによりまして、このような第三者についての保険契約が勝手にされることをある
意味においては強く防止をしているということが言えるわけでございます。
そこで問題は、
先生御
指摘のように、現実の実務におきまして第三者の同意が十分に得られておらないままこのような契約がされているのではないかということでございますけれ
ども、この点につきましては私
ども保険の実務を直接掌握する立場にはございませんので、正確なことは申し上げられませんけれ
ども、大蔵省等の監督官庁におきましてこのような同意をきちんととるように十分な指導をしておられるというふうには伺っているわけでございます。
しかしながら、それでも第三者の同意が必ずしも確実に得られないというような場合に、先般
先生御
指摘の不動産登記法の例の保証通知の
制度、これを採用したらどうかというのがただいまの御意見でございます。私
どもはそういうような
制度を採用するということにつきましては、これは一つの非常に示唆に富む意見ではあるというふうに思いますけれ
ども、一つには、理論的な問題としてこのような登記所が現在行っている保証通知の
制度はいわば登記官という国の機関に対して私人が登記という処分を求める、そういう場合に、登記官といたしましてはその人間が本当に本人であるかどうかという審査をする義務が不動産登記法であるわけでございますけれ
ども、その審査をする義務の履行の方法として現在事前通知という
制度がとられておる、こういう
状況になっているわけでございます。
しかしながら一方、商法の保険契約に関する規定は私人間の対等の私法契約としての保険契約について、その保険契約を締結するための要件とか効果とかあるいはそれに伴う種々の
権利義務というようなものを商法は規定しているわけでございまして、具体的にその契約を締結するに当たって、例えば第三者の同意を得るためにはどういう手続をとったらいいかというようなことについては、一応これは商法の保険法の
範囲外の問題ではないかというふうに
考えられる要素もあるわけでございます。
つまり、そういう第三者の同意がなければ無効であるという商法を前提といたしまして、そういう商法の規定に基づいて保険業を行う保険会社、こういう会社が無効な保険契約とならないようにするためにいろんな第三者確認手続というものを現にとっているわけでございますけれ
ども、そういういわば
業務のあり方あるいは
業務規制のあり方の問題として、
先生がおっしゃるような、例えば通知
制度を事前にとるというようなことも一つの方法として
考えられるというふうにも
考えられるわけでございます。
したがいまして、私
どもこれは商法の問題として検討すべき問題なのか、あるいは保険会社の
業務のあり方、あるいは
業務の監督のあり方等の問題として検討すべき問題であるのか、いろいろ
考え方はあるところでございますけれ
ども、なお引き続き御意見を
伺いまして勉強させていただきたいというふうに
考えておる次第でございます。