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国務大臣(
鳩山邦夫君) 実は閣議の中で、PKOというものが案外まだ中身を
国民が知っていないのではないかというような話が幾つか出ました。私もみずからの経験に照らして全く同様に感じておりまして、国会でこれだけの議論をいたしておりまして、自民、公明、民社の賛成の立場からのさまざまな御発言や、あるいはもちろん
社会党、共産党、連合の皆様方の反対の御
意見とか、テレビでも
新聞でもこれだけの報道量があるにもかかわらず、PKOって何だというと、世論
調査で賛成、反対を問えばみんな答えていますけれ
ども、意外と知られていないという部分が私はあるように思えてなりません。これは
日本人の政治への関心の持ち方の問題がなと思うこともありますし、あるいはいろいろな報道が難し過ぎてかえってわからないというようなこともあったのかもしれません。そういう中で、PKOについて来年から使われる中
学校の教科書がさまざまに記述をいたしておるわけであります。さまざまな記述をいたしておりますから、来年から中
学校では当然教科書上もPKOという文字が出てくるわけで、これは幾つかの教科書を見ております。現在、採択の大詰めでございますから、私がどこの教科書、どこの会社がどんなことを書いているということを言うべきではないと思います。
少なくとも、まあ書き方もさまざまでございまして、例えば、武力行使を目的としない人材を派遣するなど国連への
協力の視点からPKOということを
整備しなくてはならない、そうしないと
日本は国際
社会の中で信頼感を保つことができないというような書き方もございます。
日本が世界平和に責任を果たすために憲法前文や第九条に反しないあり方により国連のPKOに参加する道も模索されているとか、あるいは客観的にこういうPKOというものがありますという書き方とか、あるいは国連平和維持活動の一環として自衛隊を海外へ派遣する
動きに対して
日本に不信感を抱く国もある現状も直視して、アジア諸国との一層の平和友好関係を築くことが望まれます、これは実は歴史なんですが、いろいろな教科書の書き方、すべて検定をパスをいたしておりまして、いろいろな見方もあるでしょう。
ただ、PKOというものの客観的な事実についてはきちんと教えてもらいたいという願いがございまして、例えばの話でございますが、いわゆる武力出動として、昔のまるで戦争であるかのような、そういうあり方で自衛隊があらゆる爆弾等を積んで海外へ赴くものではないということ。あるいは、子供を戦場へ送るなというような言い方がよくなされます。それは将来そんなことがあってはいけない、未来永劫あってはいけないという
意味ではよくわかるわけですが、少なくともPKOというのは戦争が終わった後の、すべての停戦が成り立って、そして国連からも
要請があり、その当事国もみんな、どうぞ
日本も来てくださいよといって行く、そして初めて自衛隊がまさに平和のグループとして平和を守り維持するために外国へ行くものであるというような、そういう基本的な事実関係について、それこそ子供を戦場に送ってはいけない、PKOというのはそれに反するので、PKOというのは戦場へ自衛隊が行くことだなどというふうなもし誤解が世の中にあると、これは大変よろしくない結果になると思います。ですから、
学校教育で取り上げられる際も、物の見方はいろいろあろうとも、客観的な事実関係というんでしょうか、そうしたことについては正しく教えていただかなければなりませんねというふうに申し上げたし、現在もそう考えております。
私は実はその後、私が申し上げたことは初中
局長と打ち合わせをしたわけではありませんので、そういう事柄については
教育課程講習会とかあるいは
都道府県の
教育委員会、あるいは市町村の場合もあろうかと思いますが、主管部
課長会議というようなものも行われますから、そういうような機会にお話をしたらいいんではないかと思っていますということも申し上げました。
これは、例えば宮澤総理が韓国で演説をされたり、あるいはその前に海部総理がシンガポールで演説をされた、例の皆様方がしばしば歴史
教育の課題としてお取り上げになるような演説等につきましても、そういうような機会に
文部省の側から御
説明を申し上げてきたという経緯がございます。あるいは、韓国の盧泰愚大統領が
日本の国会で演説をされたときの事柄等についても、そのような機会で若干のお話を
文部省側からさせていただいたことがよりすぐれた国際
理解教育というのか、アジア諸国とのより友好な関係を築くために大事だというようなことで
教育の場に持ち込まれたことも事実でございます。そのような場で、このようなPKO法というものができ上がったので、これを客観的に事実関係を正しく伝えてもらいたいというような、そういうような事柄は
文部省からお願いをしてもよろしいのではないかというふうに思ったわけであります。
実態としては主管部
課長会議を今すぐ行うような情勢ではないようで、そもそもが世界の中の
日本人としての自覚を育てるということ、これを目標にして新しい
学習指導要領は編集をされているわけでございますから、国際
社会における我が国の
役割についてもきちんと教えていかなければなりません。そうした
学習指導要領の
趣旨については
教育課程講習会等を通じて徹底に努めてきているわけでございますが、PKOについても
児童生徒の発達
段階に応じて適切に取り扱われるように、
教育課程講習会の中に部会があるようでございまして、その部会等について指導あるいはお願いをしていこうかと思っております。この部会は、中
学校ですと
社会科でございますから
社会部会で、
高校ですと今、公民科というのに変わっておりますから、中学は
社会部会で、
高校は公民部会でこれを教えていきたい。これは公民というのは公明、民社という
意味ではありませんので、
社会部会と公民部会、これは教科の名前でございます。